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アルミニウムまたはアルミニウム合金バレル電気めっき方法
説明

アルミニウムまたはアルミニウム合金バレル電気めっき方法

【課題】被めっき物の量の多少に関わらず、めっき未着やフクレや剥離などの密着不良が発生しにくく、めっき皮膜にこげや光沢不良のない均一なめっき被膜を得ることができるバレル電気めっき方法を提供する。
【解決手段】本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき浴を用いてバレル電気めっきを施す方法であって、被めっき物を収容したバレル(4)の内部に配置された陽極(6)を回転、揺動又は振動させると共に、陽極とバレルの内壁面に設けられた陰極との間に電圧を印加し、バレルを回転、揺動又は振動させることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレルめっき方法に関し、特に、ボルト、ねじ等の小物部品のアルミニウムまたはアルミニウム合金バレル電気めっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開昭49−130号公報(特許文献1)には、メッキ槽におけるバーレル回転支持方法並びに装置が記載されている。ここに記載されているめっき装置は、被めっき物を収容するバレルと、このバレルの中に挿入され、被めっき物と接触される陰極と、バレルの外部に配置された陽極と、を有する。
図6は、従来のバレル電気めっき方法に使用されているバレルめっき装置の一例を模式的に示す断面図である。図6に示すように、従来のバレル電気めっき装置100は、めっき槽102の中に回転自在に支持されたバレル104を有し、このバレル104の内部に被めっき物Wが収容される。また、陰極106は、バレル104に収容された被めっき物Wに接触するように、バレル104内に配置される。一方、陽極108は、めっき槽102の中の、バレル104の外部に配置される。めっきを行う際には、バレルを回転させながら、陽極108と陰極106の間に電圧が付与され、陽極108と、陰極106に接触した被めっき物Wの間に電流が流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭49−130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開昭49−130号公報に記載されたバレルめっき装置を用いて電気めっきを行う場合、被めっき物は、バレルに挿入された陰極と接触することにより陰極電位にされる。従って、バレル内の被めっき物の数量が少ない場合には、陰極と被めっき物の接触、又は被めっき物同士の接触が十分に確保されず、一部の被めっき物が通電不良を起すいという問題がある。多数のめっき物のうちの一つでも通電不良が生じると、バイポーラ現象が発生して、めっき未着、密着不良、不均一なめっきの原因となり、良好なめっき被膜を得ることができなくなる。また、被めっき物が多い場合には、めっきに必要な総電流量が大きくなり、また、浴電圧も高くなる。この大きな電流が、バレル外部の陽極からバレルの壁面に設けられた穴を通って流れるため、そこに電流が集中し、焦げと呼ばれるめっき金属の異常析出が発生するという問題がある。
【0005】
特に、非水系のアルミニウムめっき、アルミニウム合金めっきでは、バイポーラ現象が発生しやすく、被めっき物に接触不良が発生した場合には、めっき未着や密着不良が顕著に発生するという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、被めっき物の量の多少に関わらず、めっき未着やフクレや剥離などの密着不良が発生しにくく、めっき皮膜にこげや光沢不良のない均一なめっき被膜を得ることができるバレル電気めっき方法を提供することを目的としている。
特に、本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を、被めっき物に効率良くめっきすることができるバレル電気めっき方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき浴を用いてバレル電気めっきを施す方法であって、被めっき物を収容したバレルの内部に配置された陽極を回転、揺動又は振動させると共に、陽極とバレルの内壁面に設けられた陰極との間に電圧を印加し、バレルを回転、揺動又は振動させることを特徴としている。
【0008】
このように構成された本発明においては、バレルに収容された被めっき物は、バレルの内壁面に設けられた陰極に導通する。バレルは回転、揺動、又は振動される。また、陽極はバレルの中に配置され、陽極駆動部により回転、揺動、又は振動される。
【0009】
このように構成された本発明によれば、陰極がバレルの内壁面に設けられているので被めっき物と陰極との導通が確実に確保されると共に、陽極がバレルの中に配置され、陽極駆動部により回転、揺動、又は振動されるので、浴電圧の過度の上昇を防止することができる。これにより、被めっき物の量の多少に関わらず、良好なめっき被膜を得ることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき浴が、非水系アルミニウムめっき浴又は非水系アルミニウム合金めっき浴である。
【0011】
本発明において、好ましくは、非水系アルミニウムめっき浴又は非水系アルミニウム合金めっき浴は、例えば下記の浴が上げられる
Alめっき浴は、A)アルミニウムハロゲン化物と(B)N−アルキルピリジニウムハライド類、N−アルキルイミダゾリウムハライド類、N,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類、N−アルキルピラゾリウムハライド類、N,N’−アルキルピラゾリウムハライド類、N−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類もしくはBF4-、PF6-、TFSI-、BOB-などのフッ素系無機または有機アニオンなどのイオン液体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有する。
上記Alめっき浴に例えば(C)ジルコニウムハロゲン化物、(D)マンガンハロゲン化物を単独もしくは両者を含有すれば、それぞれAl−Zr合金めっき浴、Al−Mn合金めっき浴、Al-Zr-Mnめっき浴となる。それ以外の金属を含有させた場合は、含有金属とのAl合金浴が得られる。
本発明で用いる(A)アルミニウムハロゲン化物は、AlX3で表され、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンであり、塩素もしくは臭素が好ましい。経済性を考慮すると塩素が最も好ましい。
【0012】
本発明で(B)化合物として用いるN−アルキルピリジニウムハライド類としは、ピリジウム骨格にアルキル基が置換していてもよく、例えば下記一般式(I)で表される。
【化1】

(式中、R1は炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、R2は水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては反応性を考慮すると臭素原子が最も好ましい。)
具体的なN−アルキルピリジニウムハライド類としては、例えばN−メチルピリジニウムクロライド、N−メチルピリジニウムブロマイド、N−エチルピリジニウムクロライド、N−エチルピリジニウムブロマイド、N−ブチルピリジニウムクロライド、N−ブチルピリジニウムブロマイド、N−ヘキシルピリジニウムクロライド、N−ヘキシルピリジニウムブロマイド、2−メチル−N−プロピルピリジニウムクロライド、2−メチル−N−プロピルピリジニウムブロマイド、3−メチル−N−エチルピリジニウムクロライド、3−メチル−N−エチルピリジニウムブロマイドなどが挙げられる。
【0013】
本発明で(B)化合物として用いるN−アルキルイミダゾリウムハライド類及びN,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類としては、例えば下記一般式(II)で表される。
【化2】

(式中、R3は炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、R4は水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては反応性を考慮すると臭素原子が最も好ましい。)
具体的なN−アルキルイミダゾリウムハライド類及びN,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類としては、例えば1−メチルイミダゾリウムクロライド、1−メチルイミダゾリウムブロマイド、1−エチルイミダゾリウムクロライド、1−エチルイミダゾリウムブロマイド、1−プロピルイミダゾリウムクロライド、1−プロピルイミダゾリウムブロマイド、1−オクチルイミダゾリウムクロライド、1−オクチルイミダゾリウムブロマイド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド、1,3−ジメチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジメチルイミダゾリウムブロマイド、1,3−ジエチルイミダゾリウムクロライド、1,3−ジエチルイミダゾリウムブロマイド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムクロライド、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムブロマイド、1−ブチル−3−ブチルイミダゾリウムクロライド、1−ブチル−3−ブチルイミダゾリウムブロマイドなどが挙げられる。
【0014】
本発明で(B)化合物として用いるN−アルキルピラゾリウムハライド類及びN,N’−アルキルピラゾリウムハライド類としては、例えば下記一般式(III)で表される。
【化3】

(式中、R5は炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、R6は水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、Xはハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては反応性を考慮すると臭素原子が最も好ましい。)
具体的なN−アルキルピラゾリウムハライド類及びN,N’−アルキルピラゾリウムハライド類としては、例えば1−メチルピラゾリウムクロライド、1−メチルピラゾリウムブロマイド、1−プロピルピラゾリウムクロライド、1−プロピルピラゾリウムブロマイド、1−ブチルピラゾリウムクロライド、1−ブチルピラゾリウムブロマイド、1−ヘキシルピラゾリウムクロライド、1−ヘキシルピラゾリウムブロマイド、1−メチル−2−エチルピラゾリウムクロライド、1−メチル−2−エチルピラゾリウムブロマイド、1−メチル−2−プロピルピラゾリウムクロライド、1−メチル−2−プロピルピラゾリウムブロマイド、1−プロピル−2−メチルピラゾリウムクロライド、1−プロピル−2−メチルピラゾリウムブロマイド、1−ブチル−2−メチルピラゾリウムクロライド、1−ブチル−2−メチルピラゾリウムブロマイド、1−へキシル−2−メチルピラゾリウムクロライド、1−へキシル−2−メチルピラゾリウムブロマイド、1,2−ジメチルピラゾリウムクロライド、1,2−ジメチルピラゾリウムブロマイド、1,2−ジエチルピラゾリウムクロライド、1,2−ジエチルピラゾリウムブロマイドなどが挙げられる。
【0015】
本発明で(B)化合物として用いるN−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類としては、例えば下記一般式(IV)で表される。
【化4】

(式中、R7は水素原子又は炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基であり、R8は水素原子又は炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であるが、但しR7及びR8はともに水素原子であることはなく、Xはハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては反応性を考慮すると臭素原子が最も好ましい。)
具体的なN−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類としては、例えば1−メチルピロリジニウムクロライド、1−メチルピロリジニウムブロマイド、1,1−ジメチルピロリジニウムクロライド、1−エチル−1−メチルピロリジニウムクロライド、1−エチルピロリジニウムクロライド、1−プロピルピリジニウムクロライド、1−メチル−1−プロピルピリジニウムクロライド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムクロライド、1−エチル−1−プロピルピリジニウムクロライド、1−メチル−1−ヘキシルピリジニウムクロライド、1−ブチルピロリジニウムクロライド、1−エチル−1−メチルピリジニウムクロライドなどが挙げられる。
【0016】
また、(B)化合物は、上記のN−アルキルピリジニウムハライド類、N−アルキルイミダゾリウムハライド類、N,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類、N−アルキルピラゾリウムハライド類、N,N’−アルキルピラゾリウムハライド類、N−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類の2種以上の混合物であってもよく、更にハロゲン原子が異なる2種以上の混合物であってもよい。
【0017】
本発明において、(A)アルミニウムハロゲン化物のモル数と、(B)化合物のモル数との比率は、1:1〜3:1の範囲が好ましく、より好ましくは2:1である。このような範囲のモル比とすることにより、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム又はピロリジニウムカチオンの分解と思われる反応が起こるのを防止し、めっき浴の粘度が上昇して浴の劣化及びめっき不良となることを防止することができる。
【0018】
本発明で用いる(C)ジルコニウムハロゲン化物は、ZrX4で表され、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンであり、取り扱い上、塩素が好ましい。
ジルコニウムハロゲン化物の浴中濃度は、好ましくは4×10-4〜4×10-1モル/lであり、より好ましくは4×10-3〜2×10-1モル/lである。このような浴中濃度とすることで、Al−Zr−Mn合金めっき皮膜中のZr共析率を適切な範囲とすることができ、黒色の粉末として析出することもない。
【0019】
本発明で用いる(D)マンガンハロゲン化物は、MnX2で表され、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲンであり、取り扱い上、塩素が好ましい。
マンガンハロゲン化物の浴中濃度は、好ましくは8×10-4〜8×10-1モル/lであり、より好ましくは8×10-3〜4×10-1モル/lであり、さらに好ましくは8×10-3〜8×10-2モル/lである。このような浴中濃度とすることで、Al−Zr−Mn合金めっき皮膜中のMn共析率を適切な範囲とすることができ、黒色の粉末として析出することもない。
【0020】
本発明で用いられる電気Alめっき浴、電気Al合金めっき浴は、50容量%を超えない範囲で(E)芳香族炭化水素溶媒を含有していてもよい。(E)芳香族炭化水素溶媒としては、溶融塩に溶解可能であり、かつ、溶融塩の電気伝導度を低下させない非水系芳香族溶媒であればどのようなものであってもよい。(E)芳香族炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、テトラリン、メシチレン、ヘミメリテン、プソイドクメンなどが挙げられる。これらのうちベンゼン、トルエン、キシレンが好ましく、中でもトルエンが最も好ましい。また、このような芳香族炭化水素溶媒の浴中濃度は、50容量%を超えない範囲が好ましく、より好ましくは1〜50容量%の範囲であり、さらに好ましくは5〜10容量%の範囲である。このような範囲で用いると、着き回り性が改善され、均一なめっきが得られ、電気伝導度の低下や引火性の危険が高くなることもない。
【0021】
本発明で用いられる電気Alめっき浴、電気Al合金めっき浴は、(F)スチレン系ポリマー及び脂肪族ジエン系ポリマーからなる群より選ばれる1種又は2種以上の有機重合体を含有していてもよい。(F)有機重合体として用いるスチレン系ポリマーとしては、具体的には、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、m−メチルスチレンなどのスチレン系ホモポリマー、これら同士のコポリマー、あるいはスチレン系モノマーと他の重合性のビニル系モノマーとのコポリマーが挙げられる。前記ビニル系モノマーの例としては、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸、アクリルアミド、アクリルニトリル、マレイミド、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フマル酸エステル、ビニルエチルエーテル、塩化ビニルなどが挙げられる。これらのうち、炭素数が3〜10のα、β−不飽和カルボン酸又はそのアルキル(炭素数1〜3)エステルが好ましい。
(F)有機重合体として用いる脂肪族ジエン系ポリマーとしては、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどの重合体などが挙げられる。好ましくは、1,2又は3,4構造の分枝鎖を有する重合体、又はこれらと他の重合性ビニル系モノマーとのコポリマーである。前記ビニル系モノマーとしては、上記スチレン系ポリマーについて記載したものと同様のものが挙げられる。
(F)有機重合体の重量平均分子量は、200〜80000の範囲が好ましい。特に、重量平均分子量が300〜5000程度の低中分子量のポリスチレン及びポリ−α−メチルスチレンは、溶融塩溶解性が良く最も好ましい。その浴中濃度は、0.1〜50g/lの範囲が好ましく、より好ましくは1〜10g/lの範囲である。(F)有機重合体をこのような範囲で用いると、デンドライド析出を防止し、表面平滑効果を発揮し、めっきやけが発生するのを防止できる。
【0022】
本発明で用いられる電気Alめっき浴、電気Al合金めっき浴は、(G)光沢剤を含有していてもよい。(G)光沢剤としては、脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド、芳香族ケトン、含窒素不飽和複素環化合物、ヒドラジド化合物、S含有複素環化合物、S含有置換基を有する芳香族炭化水素、芳香族カルボン酸及びその誘導体、二重結合を有する脂肪族カルボン酸及びその誘導体、アセチレンアルコール化合物及び三フッ化塩化エチレン樹脂から選ばれた1種又は2種以上の化合物が挙げられる。
脂肪族アルデヒドは、例えば炭素数2〜12の脂肪族アルデヒドであり、具体的にはトリブロモアセトアルデヒド、メタアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ラウリルアルデヒドなどが挙げられる。
芳香族アルデヒドは、例えば炭素数7〜10の芳香族アルデヒドであり、具体的には0−カルボキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、0−クロルベンズアルデヒド、p−トルアルデヒド、アニスアルデヒド、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。
芳香族ケトンとしては、例えば炭素数8〜14の芳香族ケトンであり、具体的にはベンザルアセトン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、塩化テレフタロイルベンジルなどが挙げられる。
含窒素不飽和複素環化合物は、例えば炭素数3〜14の窒素複素環化合物であり、具体的にはピリミジン、ピラジン、ピリダジン、s−トリアジン、キノキサリン、フタラジン、1,10−フェナントロリン、1,2,3−ベンゾトリアゾール、アセトグアナミン、塩化シアヌル、イミダゾール−4−アクリル酸などが挙げられる。
【0023】
ヒドラジド化合物としては、例えばマレイン酸ヒドラジド、イソニコチン酸ヒドラジド、フタル酸ヒドラジドなどが挙げられる。
S含有複素環化合物は、例えば炭素数3〜14のS含有複素環化合物であり、具体的にはチオウラシル、チオニコチン酸アミド、s−トリチアン、2−メルカプト−4,6−ジメチルピリミジンなどが挙げられる。
S含有置換基を有する芳香族炭化水素は、例えば炭素数7〜20のS含有置換基を有する芳香族炭化水素であり、具体的にはチオ安息香酸、チオインジゴ、チオインドキシル、チオキサンテン、チオキサントン、2−チオクマリン、チオクレゾール、チオジフェニルアミン、チオナフトール、チオフェノール、チオベンズアミド、チオベンズアニリド、チオベンズアルデヒド、チオナフテンキノン、チオナフテン、チオアセトアニリドなどが挙げられる。
芳香族カルボン酸及びその誘導体は、例えば炭素数7〜15の芳香族カルボン酸及びその誘導体であり、具体的には安息香酸、テレフタル酸、安息香酸エチルなどが挙げられる。
二重結合を有する脂肪族カルボン酸及びその誘導体は、例えば炭素数3〜12の二重結合を有する脂肪族カルボン酸及びその誘導体であり、具体的にはアクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
アセチレンアルコール化合物としては、例えばプロパギルアルコールなどが挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば平均分子量が500〜1300の三フッ化塩化エチレン樹脂などが挙げられる。
(G)光沢剤の浴中濃度は、好ましくは0.001〜0.1モル/lの範囲であり、より好ましくは0.002〜0.02モル/lの範囲である。本発明で用いられる電気Alめっき浴、電気Al合金めっき浴においては、(G)光沢剤をこのような範囲で用いると、平滑効果が得られ、高電流密度でめっきを施した場合でも、黒色スマット状の析出を生じることはない。
本発明で用いられる電気Alめっき浴、電気Al合金めっき浴においては、(E)芳香族炭化水素溶媒、(F)有機重合体及び(G)光沢剤のうちの2種を併用しもてよく、これら3種のすべてを併用してもよい。
【0024】
本発明のAlめっき浴、Al−Zr合金めっき浴、Al−Mn合金めっき浴、Al−Zr−Mn合金めっき浴を用いるバレルめっき方法としては、電気めっきが用いられる。電気めっきは、直流もしくはパルス電流により行うことができるが、特にパルス電流が好ましい。デューティー比(ON/OFF比)を、好ましくは1:2〜2:1、最も好ましくは1:1とし、ON時間を5〜20ms、OFF時間を5〜20msとする条件のパルス電流を用いると電析する粒子が緻密化し、平滑になるので好ましい。浴温は、通常25〜120℃の範囲であり、好ましくは50〜100℃の範囲である。電流密度は、0.5〜5A/dm2の範囲、好ましくは0.5〜2A/dm2の範囲の電解条件で行うのが良い。バレル回転数は0.5〜10rpm、好ましくは0.5〜2rpm、陽極回転数は10〜200rpm、好ましくは、50〜100rpmである。
尚、本発明の非水系Alめっき浴、Al合金めっき浴は、酸素や水分に触れても安全であるが、めっき浴の安定性維持及びめっき性状などの点から乾燥無酸素雰囲気中(乾燥窒素や乾燥アルゴン中)で行うのが望ましい。また液撹拌を併用しても良い。ジェット噴流や超音波攪拌などを使用すれば、電流密度をさらに高くすることができる。ただし、複雑な形状部品をめっきする場合は、着き回り性をよくするために攪拌を行わないか弱くし、0.5〜1A/dm2の低い陰極電流密度で長時間めっきを行うことが望ましい。陽極としては、Alまたは不溶性陽極でも構わない。
【発明の効果】
【0025】
本発明のバレル電気めっき方法によれば、被めっき物の量の多少に関わらず、めっき未着やフクレや剥離などの密着不良が発生しにくく、めっき皮膜にこげや光沢不良のない均一なめっき被膜を得ることができる。
特に、本発明のバレル電気めっき方法によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金を、被めっき物に効率良くめっきすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のバレル電気めっき方法に使用するバレルめっき装置の正面図である。
【図2】本発明のバレル電気めっき方法に使用するバレルめっき装置の左側面図である。
【図3】本発明のバレル電気めっき方法に使用するバレルめっき装置の右側面図である。
【図4】バレルの断面図である。
【図5】陽極にプラス電圧を付与する陽極電気接点の機構を示す図である。
【図6】従来のバレル電気めっき方法に使用されているバレルめっき装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明は、陽極をバレル内中央に配置し、陰極をバレル内壁面に配置し、陽極を回転、揺動、又は振動させ、バレル壁面の陰極を揺動、回転、又は振動させてめっきするバレル電気めっき装置を用いてめっきを行うアルミニウム、アルミニウム合金めっき方法により、常に被めっき品に通電されるようにした陰極接点の改善、極間距離の短縮による浴電圧の低下、及び電流集中の防止による電流密度の均一化を図ることができ、均一なめっき皮膜を得ることができるという知見に基づいて為されたものである。また、本発明は、バレル内に設置された陽極を回転させながらめっきすることにより、陽極電流効率の改善、浴電圧の上昇を防止することができ、皮膜の均一性、こげ防止効果をさらに高め、高電流密度作業が可能になると言う知見に基づいて為されたものである。
【0028】
まず、図1乃至図5を参照して、本発明のバレル電気めっき方法を実施するために使用されるバレルめっき装置を説明する。図1はバレルめっき装置の正面図であり、図2は左側面図であり、図3は右側面図である。また、図4は、バレルの断面図である。図5は、陽極にプラス電圧を付与する陽極電気接点の機構を示す図である。
【0029】
図1乃至3に示すように、バレルめっき装置1は、2枚のフレーム板2a、2bと、このフレーム板に対して揺動可能に支持され、陰極が設けられたバレル4と、このバレル4が揺動する中心軸線上に配置された陽極6と、バレル駆動部であるバレル駆動用モーター8と、陽極駆動部である陽極駆動用モーター10と、陰極と陽極6の間に電圧を印可する電源部11と、を有する。
【0030】
バレルめっき装置1は、アルミ製の陽極を使用した、バレル電気めっき装置である。この装置は、バレル4に、ボルト、ねじ等の小物物品を収容し、バレルめっき装置1を所定の位置までめっき液槽のめっき液の中に漬ける。次いで、陽極駆動用モーター10を起動して陽極6を回転させながら、バレル4を所定の周期で揺動させると共に、陽極6とバレル4に設けられた陰極の間に電流を流すことにより、バレル4内の小物物品にアルミニウム又はアルミニウム合金めっきを施すものである。
【0031】
電源部11は、本実施形態においては、陰極と陽極6の間にパルス状の電圧を印可するパルス電源部である。
フレーム板2a、2bは、絶縁体で形成された2枚の平板であり、3本の連結棒2c、2d、2eにより、平行に連結されている。また、フレーム板2a、2bには、それらの間にバレル4を揺動可能に支持するための軸受けが設けられている。なお、本実施形態においては、フレーム板2a、2bは、テフロン(登録商標)(PTFE)製である。
【0032】
図4に示すように、バレル4は、両端に配置された2つの大径のバレル歯車12と、これらを連結するように配置された金属製の薄板14と、陽極カバー16と、陰極端子18と、邪魔板20と、を有する。
【0033】
薄板14は、凹形に折り曲げられ、半八角形断面を有するバレルを形成し、被めっき物(図示せず)が、この内側に収容される。薄板14は、多数の小穴が設けられた銅板であり、その内側表面は内壁面に設けられた陰極として機能する。使用時においては、めっき液は、薄板14の多数の小穴を通って流入し、又は流出する。
【0034】
なお、本実施形態においては、バレル自体を導電性を有する材料で形成して陰極を構成しているが、変形例として、テフロン(登録商標)等の絶縁体で形成されたバレルの内壁面に導体の陰極板を取り付けても良い。また、本実施形態においては、薄板14はアルミ製であるが、他の金属として、ニッケル、ステンレス、チタン、或いは、カーボン、導電性樹脂によりバレル4を構成することもできる。
【0035】
陽極カバー16は、5枚の板状の部材で形成され、バレル4の中に配置される陽極6の概ね下半分を覆うように配置されている。この陽極カバー16により、被めっき物の数量が多い場合等において、被めっき物の陽極6への偶発的な接触が防止される。陽極カバー16には多数の小穴が形成されており、これらの小穴を通って、陽極から被めっき物に電流が流れるように構成されている。なお、本実施形態においては、陽極カバー16はテフロン(登録商標)製である。
【0036】
陰極端子18は、薄板14の両側から延びる金属製の細長い板であり、電源部11のマイナス側の端子に接続される(図1)。
邪魔板20は、折り曲げられた薄板14の角部に配置された角柱状の部材であり、この邪魔板20により、バレル4の内側に三角形状の断面の山を形成している。邪魔板20は、バレル4の内側に山を形成することにより、バレル4が揺動された際に、被めっき物が良く混合されるようにしている。
【0037】
図1乃至3に示すように、陽極6は、両端部の直径が小さく構成されている段付き軸状のAl製の円柱であり、その両端部は各フレーム板2a、2bを貫通して延びている。これにより、陽極6は、フレーム板2a、2bに対して回転可能に支持されている。また、陽極6の一方の段部には陽極駆動用歯車22が取り付けられている。変形例として、陽極6を中空に形成し、円筒状にもできる。また、陽極6は、プラスチック及び/又は金属で形成された中空円筒の表面に、可溶性又は不溶性の陽極材を交換可能に取り付けることにより構成することもできる。陽極には、アルミニウム等を使用することができる。好ましくは、陽極6の表面にゴルフボールのディンプル状の凹凸を形成しておく。
【0038】
図3に示すように、バレルめっき装置1の上部に配置された陽極駆動用モーター10は、フレーム板2bに取り付けられた伝動用歯車24a、24b、24cを介して陽極駆動用歯車22を回転駆動する。これにより、陽極6が回転駆動される。
【0039】
一方、図2に示すように、バレルめっき装置1の上部に配置されたバレル駆動用モーター8は、フレーム板2aに取り付けられた伝動用歯車26a、26bを介してバレル歯車12を駆動する。また、バレル歯車12には、突起12a、12bが設けられている。バレル歯車12が陽極6を中心に回転すると、突起12a、12bが移動され、これによりフレーム板2aに回動可能に取り付けられたロッド28が回動される。回動されたロッド28の先端部は、その両側に配置されたマイクロスイッチ30a、30bをオン又はオフに切り替える。即ち、図2において、バレル歯車12が反時計回りに回転されると、突起12aがロッド28の下端部を左方向に押し、ロッド28は時計回りに回動される。これにより、ロッド28の上端部がマイクロスイッチ30aを押して、これをオンにする。マイクロスイッチ30aがオンにされると、バレル駆動用モーター8の回転が反転され、バレル歯車12は時計回りに回転されるようになる。
【0040】
バレル歯車12が時計回りに回転されると、突起12bがロッド28の下端部を右方向に押し、ロッド28は反時計回りに回動される。これにより、ロッド28の上端部がマイクロスイッチ30bを押して、これをオンにする。マイクロスイッチ30bがオンにされると、バレル駆動用モーター8の回転が反転され、バレル歯車12は再び反時計回りに回転されるようになる。以上の作用を繰り返すことにより、バレル4は、約90゜の角度範囲に亘って揺動運動される。
【0041】
次に、図5を参照して、陽極電気接点部の構成を説明する。
図5に示すように、陽極電気接点部は、棒状の陽極端子32と、この陽極端子32を付勢するコイルスプリング34と、陽極6と接触する固定側の部材である固定側接点部材36と、内部に陽極端子32を通す絶縁スリーブ38と、コイルスプリング34による付勢力を調節するスプリング調節ボルト40と、を有する。なお、使用時において、陽極電気接点部はめっき液の中に浸漬され、固定側接点部材36に対して陽極6が摺動される。
【0042】
陽極端子32は、上部が細く形成された段付きの軸であり、その上端は電源部11のプラス端子に接続され、下端には固定側接点部材36が取り付けられている。また、陽極端子32の細くなった上部は、コイルスプリング34に通されており、陽極端子32の段部がコイルスプリング34の下端と係合されるようになっている。
【0043】
固定側接点部材36は、チタン製であり、陽極端子32の下端部に螺合されている。また、固定側接点部材36の底面は、陽極6の小径部と広い接触面積で摺動するように、円筒面に形成されている。陽極電気接点の固定側である固定側接点部材36の底面と、陽極電気接点の可動側であるAl製の陽極6が接触しながら陽極6が回転される。これにより、電源部11のプラス端子から陽極端子32、固定側接点部材36を介して陽極6に電流が流れる。
なお、変形例として、固定側接点部材36及び/又は陽極電気接点の可動側を、チタン、チタン合金等の耐腐食性の金属材料で構成することもできる。
【0044】
絶縁スリーブ38は、テフロン(登録商標)製のパイプであり、陽極端子32及びコイルスプリング34を覆うように配置される、また、スプリング調節ボルト40は、中心にボアが形成されたテフロン(登録商標)製のボルト状の部材であり、絶縁スリーブ38の上部に螺合されるように形成されている。スプリング調節ボルト40は、そのボアに陽極端子32が貫通され、スプリング調節ボルト40の先端がコイルスプリング34の上端を押圧するように配置される。このため、スプリング調節ボルト40を回転させることにより、コイルスプリング34を圧縮する力が変化し、固定側接点部材36を陽極6に押し付ける力を調節することができる。
【0045】
次に、バレルめっき装置1を使用した本発明のバレル電気めっき方法の一例を説明する。
まず、バレルめっき装置1のバレル4に、被めっき物である例えば鉄材のボルト、ねじ等の小物物品を入れる。これにより、各被めっき物は、バレル4の内壁面に直接接触して、又は、バレル4の内壁面に接触している他の被めっき物を介して陰極と導通される。なお、被めっき物である基体としては、鉄の他、ニッケル、銅などの各種金属、及びこれらの合金などの金属や合金が挙げられる。また、被めっき物としては、ボルト、ナット、ワッシャー、プレス小物品や直方体、円柱、円筒、球状物など種々の形状のものが挙げられる。
【0046】
バレル4に被めっき物を入れた後、バレルめっき装置1を、めっき液が入れられためっき槽に所定の位置まで浸す。具体的には、バレル4及び陽極6が完全にめっき液に浸かり、バレル駆動用モーター8及び陽極駆動用モーター10が、めっき液の液面よりも上方に位置するようにバレルめっき装置1をめっき液に浸す。なお、本発明において、好ましく使用することができる非水系アルミニウムめっき浴又は非水系アルミニウム合金めっき浴は、前記例示した非水系アルミニウムめっき浴又は非水系アルミニウム合金めっき浴のいずれでも使用することができる。
【0047】
次に、バレル駆動用モーター8及び陽極駆動用モーター10を起動する。陽極6は、陽極駆動用モーター10の駆動力により、陽極6の中心軸線を中心に約50〜100rpmで回転される。一方、バレル4のバレル歯車12は、バレル駆動用モーター8の駆動力により約1rpmの回転速度で回転駆動され、約90゜回動される毎に回転方向が反転されるように揺動される。
【0048】
また、電源部11により、陽極端子32と陰極端子18との間に例えばパルス状の50A−10Vの電流を流す。これにより、電流は、陽極端子32、固定側接点部材36、陽極6、めっき液、被めっき物、陰極(バレル4の内壁面)を通って流れる。なお、陽極端子32と陰極端子18との間に流す電流は、直流でも良い。また、浴温は、めっき液に依存するが、一般的には25〜120゜C、好ましくは、50〜100゜Cとする。電流密度は、0.1〜5A/dm2、好ましくは、0.5〜2A/dm2の更に好ましくは0.5〜1.0A/dm2の電解条件で行うのがよい。なお、めっきを行う間は、濾過器(図示せず)を使用して、バレル4内のめっき液を循環させるのがよい。
【0049】
さらに、バレル4が揺動されることにより、バレル4内の被めっき物が混合され、被めっき物の表面に均一なめっき層が形成される。また、バレル4内に設けられた邪魔板20は、バレル4内における被めっき物の混合が促進され、より均一なめっき層が形成される。また、バレル4の内壁面が陰極を構成しているので、被めっき物の数量が少なく、被めっき物同士が接触していない状態であっても、被めっき物の陰極への導通が確保され、バイポーラ現象の発生が防止される。さらに、陽極6の周囲には陽極カバー16が配置されているので、被めっき物の数量が多い場合でも、被めっき物の陽極6への直接接触が防止される。
【0050】
また、めっき液に浸漬されている陽極6は回転されているので、陽極6の周囲にめっき液の流れが常に生成され、浴電圧(陽極端子32と陰極端子18の間の電圧)異常な上昇を防止することができる。さらに、陽極6がバレル4の中の、陰極に比較的近い位置に配置され、陽極6を囲むように被めっき物が配置されるので、陽極6の被めっき物に対する露出面積が大きくなり、電流集中による黒色析出物や、焦げの発生が防止される。
所定時間後、電源部11による電圧の印加を停止し、バレルめっき装置1をめっき液槽から引き上げで、めっき作業を終了する。本方法により任意の厚さのアルミニウム及びアルミニウム合金めっきを形成することができるが、めっきの厚さは2μm以上であるのが好ましく、より好ましくは3〜25μmである。
【0051】
中でも特に、Al-Zr-Mn合金めっき浴が好ましい。
【実施例】
【0052】
次に、本発明のバレル電気めっき方法を使用して、実際にめっきを行った実施例を説明する。
実施例1
陰極をAl板、陽極をAlとしたバレルめっき装置1(5kgバレル)を使用して、M8のボルトにアルミニウム合金めっきを施した。ボルトの投入量は、1〜5kgの間で変化させた。まず、前処理として、アルカリ脱脂、アルカリ電解洗浄及び酸洗を行い、Niめっきを行いよく水洗し。エタノールで水置換後乾燥した。
めっき浴の組成は、AlCl3と1−メチル−3プロピルイミダゾリウムブロマイドとを2:1のモル比に混合溶融してなる浴に、塩化マンガン10g/L及び塩化ジルコニウム1g/lを添加して電気Al−Zr−Mn合金めっき浴を調製した。乾燥窒素ガス雰囲気中で、100℃に保った前記電気Al−Zr−Mn合金めっき浴に5分間浸漬し、その後、同じめっき浴でパルス電流(デューティー比:1/1、ON時間:10ms、OFF時間:10ms)にてAl−Zr−Mn合金めっきを行った。めっき条件は、電流密度1A/dm2、めっき時間120分、浴温100゜Cとした。表1に示すように、Al−Zr−Mn合金めっきを施した結果として、投入量1〜5kgの何れにおいても光沢のあるアルミニウム合金めっき皮膜を得ることができた。
【表1】

【0053】
比較例1
次に、比較例として、図6に示した従来のバレルめっき装置(5kg)を使用してM8のボルトにアルミニウム合金めっきを施した結果を説明する。
陰極をCu、陽極をAl板とした。ボルトの投入量は、1〜5kgの間で変化させた。まず、前処理として、アルカリ脱脂、アルカリ電解洗浄及び酸洗を行い、Niめっきを行いよく水洗し。エタノールで水置換後乾燥した。
めっき浴の組成は、AlCl3と1−メチル−3プロピルイミダゾリウムブロマイドとを2:1のモル比に混合溶融してなる浴に、塩化マンガン20g/L及び塩化ジルコニウム1g/lを添加して電気Al−Zr−Mn合金めっき浴を調製した。乾燥窒素ガス雰囲気中で、100℃に保った前記電気Al−Zr−Mn合金めっき浴に5分間浸漬し、その後、同じめっき浴でパルス電流(デューティー比:1/1、ON時間:10ms、OFF時間:10ms)にてAl−Zr−Mn合金めっきを行った。めっき条件は、電流密度1A/dm2、めっき時間120分、浴温100゜Cとした。表1に示すように、Al−Zr−Mn合金めっきを施した結果として、投入量1〜5kgの何れにおいても未着または焦げのある密着性の悪い無光沢のアルミニウム合金めっき皮膜しか得ることができなかった。
【表2】

【0054】
以上のように、実施例1においては、被めっき物であるボルトの投入量が少ない場合であっても、常に陰極と被めっき物が接触しているため、めっき未着やめっき不良は発生していないが、従来のバレルめっき装置を使用した比較例1においては、被めっき物の投入量が少ない場合には、被めっき物と陰極が十分に接触していないため、めっき未着や、密着不良等のめっき不良が発生した。これは、陰極と十分な導通が得られていない被めっき物にバイポーラ現象が発生したためと考えられる。
【0055】
本発明の実施形態のアルミニウムまたはアルミニウム合金バレル電気めっき方法によれば、被めっき物の量に大きな影響を受けることなく、めっき未着やフクレ、剥離などの密着不良もなく、めっき皮膜にこげや光沢不良のない均一なめっき皮膜を得ることができる。このように、本発明は、高品質なアルミニウムめっきやアルミニウム合金めっきを効率良く施すことができるので、自動車部品、家電部品等、幅広い用途が期待される。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、上述した実施形態に種々の変更を加えることができる。特に、上述した実施形態においては、陽極は、バレルの中で回転されていたが、陽極が揺動又は振動されるようにバレルめっき装置を構成することもできる。
【0057】
さらに、上述した実施形態においては、バレルは、揺動され、又は回転されていたが、バレルが振動されるように、バレルめっき装置を構成することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 本発明のバレル電気めっき方法に使用するバレルめっき装置
2a、2b フレーム板
2c、2d、2e 連結棒
4 バレル
6 陽極
8 バレル駆動用モーター(バレル駆動部)
10 陽極駆動用モーター(陽極駆動部)
11 電源部
12 バレル歯車
14 薄板
16 陽極カバー
18 陰極端子
20 邪魔板
22 陽極駆動用歯車
24a、24b、24c 伝動用歯車
26a、26b 伝動用歯車
28 ロッド
30a、30b マイクロスイッチ
32 陽極端子
34 コイルスプリング
36 固定側接点部材
38 絶縁スリーブ
40 スプリング調節ボルト
100 従来のバレル電気めっき装置
102 めっき槽
104 バレル
106 陰極
108 陽極
W 被めっき物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム又はアルミニウム合金めっき浴を用いてバレル電気めっきを施す方法であって、
被めっき物を収容したバレルの内部に配置された陽極を回転、揺動又は振動させると共に、上記陽極と上記バレルの内壁面に設けられた陰極との間に電圧を印加し、上記バレルを回転、揺動又は振動させることを特徴とするバレル電気めっき方法。
【請求項2】
上記アルミニウム又はアルミニウム合金めっき浴が、非水系アルミニウムめっき浴又は非水系アルミニウム合金めっき浴である請求項1記載のバレル電気めっき方法。
【請求項3】
上記非水系アルミニウム合金めっき浴が、(A)アルミニウムハロゲン化物と(B)N−アルキルピリジニウムハライド類、N−アルキルイミダゾリウムハライド類、N,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類、N−アルキルピラゾリウムハライド類、N,N’−アルキルピラゾリウムハライド類、N−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類もしくはBF4-、PF6-、TFSI-、BOB-などのフッ素系無機または有機アニオンなどのイオン液体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有する非水系アルミニウムめっき浴である請求項2記載のバレル電気めっき方法。
【請求項4】
上記非水系アルミニウム合金めっき浴が、(A)アルミニウムハロゲン化物と(B)N−アルキルピリジニウムハライド類、N−アルキルイミダゾリウムハライド類、N,N’−アルキルイミダゾリウムハライド類、N−アルキルピラゾリウムハライド類、N,N’−アルキルピラゾリウムハライド類、N−アルキルピロリジニウムハライド類及びN,N−アルキルピロリジニウムハライド類もしくはBF4-、PF6-、TFSI-、BOB-などのフッ素系無機または有機アニオンなどのイオン液体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有し、さらに(C)ジルコニウムハロゲン化物、(D)マンガンハロゲン化物を単独もしくは両者を含有するAl−Zr合金めっき浴、Al−Mn合金めっき浴、Al-Zr-Mnめっき浴である請求項2記載のバレル電気めっき方法。
【請求項5】
浴温が25〜120℃、平均陰極電流密度は、0.5〜5A/dm2、バレル回転数は0.5〜10rpm、かつ陽極回転数が10〜200rpmである請求項1乃至4の何れか1項に記載のバレル電気めっき方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−84798(P2011−84798A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240422(P2009−240422)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000109657)ディップソール株式会社 (25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】