説明

アルミ合金と鋼板との摩擦攪拌接合方法および摩擦攪拌接合部材

【課題】異なった金属材料の摩擦攪拌接合において、接合界面を大きくしてより接合強度の高い接合継手を有する摩擦攪拌接合方法と、摩擦攪拌接合部材を提供する。
【解決手段】異なった金属材料の摩擦攪拌接合において、融点の高い金属材料としての低融点メッキ鋼板30は、融点の低い金属材料としてのアルミ合金20より融点の低いメッキ層30aを有し、摩擦攪拌接合時にアルミ合金20に生成される塑性流動域20aの塑性流動によってメッキ層30aを拡散して、低融点メッキ鋼板30の鋼板新生面30dを露出してアルミ合金20と固相接合することで、強度の高い接合継手を有する摩擦攪拌接合方法と、摩擦攪拌接合部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板とアルミ合金のように異なった金属材料の摩擦攪拌接合方法および、摩擦攪拌接合部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、比較的融点の低い金属材料(例えば、アルミ合金)に関して、その接合方法として摩擦攪拌接合が確立されている。摩擦攪拌接合は、金属材料を溶融せずに塑性流動の状態にして攪拌し固相接合するので、充分な強度が得られかつ、工法が簡単なため安価に自動化できるといったコスト面での優位さもあるため、自動車製造や鉄道車両製造などの分野で広く利用されている。
【0003】
一方で、摩擦攪拌接合は異なった金属材料(例えば、鋼板とアルミ合金)の接合に関しては充分な強度が得られないという問題がある。これは、接合する金属材料の融点に差があるため、塑性流動による攪拌が充分に行われないことが主な原因である。この問題の解決策として、融点の低い金属材料側から接合用の接合ピンを挿入して、その接合ピン形状と挿入深さを調整して、異なった金属材料を摩擦攪拌接合する技術が公開されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−266182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、融点の高い金属材料としてGA鋼板やSP鋼板、融点の低い金属材料としてアルミ合金を用いた摩擦攪拌接合が多い現状に鑑みると、従来技術の摩擦攪拌接合では、充分な強度の接合継手を得られないのが現状である。
【0005】
原因は、摩擦攪拌接合時に鋼板が接合ピンと接触する範囲(略接合ピン径に相当)でしかアルミ合金と固相接合できず、接合界面が非常に小さいことにある。
【0006】
これは、鋼板は非常に酸化しやすくSP鋼板においては常に表面が酸化膜で覆われた状態であり、またGA鋼板は酸化防止のため表面に合金化溶融亜鉛メッキが施されていることに起因する。
【0007】
すなわち、鋼板とアルミ合金の摩擦攪拌接合は鋼板面と塑性流動化したアルミ合金とが固相接合することで接合するが、SP鋼板を覆う酸化膜は塑性流動化したアルミ合金によって拡散されないため鋼板の新生面が現れず、アルミ合金と固相接合できない。
【0008】
またGA鋼板は表面に亜鉛(Zn)メッキ層が存在するが、GA鋼板は合金化溶融亜鉛メッキ処理が施されており、Znメッキ層の融点は約750℃以上となる。アルミ合金は約450℃で塑性流動化するため、アルミ合金の塑性流動によってもZnメッキ層は拡散されず鋼板の新生面が現れないので、アルミ合金と固相接合できない。
【0009】
そして、接合ピンが回転接触して酸化膜やZnメッキ層を削り取った部分(鋼板の新生面)のみ、塑性流動化したアルミ合金と固相接合できるという特性による。
【0010】
以上のように、従来技術においては、接合ピンが鋼板と接触する部分のみでの接合となるため、接合界面が非常に小さく充分な強度の接合継手を得られないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、鋼板とアルミ合金の接合においても接合界面が大きく、より接合強度の高い接合を行える摩擦攪拌接合方法と摩擦攪拌接合部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、第1の金属材料と、前記第1の金属材料の融点よりも低い融点を有する第2の金属材料との組み合わせによる摩擦攪拌接合方法において、前記第1の金属材料の表面には、少なくとも接合面領域で前記第2の金属材料が接する側の表面に、前記第2の金属材料の融点よりも低い融点を有する皮膜を形成し、前記第1の金属材料と前記第2の金属材料を重ね合わせて前記接合面領域を形成し、前記接合面領域において前記第2の金属材料の表面から回転する接合ピンを、前記第1の金属材料と前記第2の金属材料が接合する接合界面の近傍まで挿入して摩擦攪拌し、前記第2の金属材料の塑性流動により前記皮膜を拡散して前記第1の金属材料の新生面を露出させ、前記新生面において固相接合することを特徴とする摩擦攪拌接合方法とした。この発明により、接合界面が大きく、接合強度の高い接合を行える摩擦攪拌接合方法を提供することができる。
【0013】
さらに、請求項2に係る発明では、前記接合ピンを前記第2の金属材料の表面から挿入する際に、前記接合ピンの前記第1の金属材料への挿入量が、−0.1mm〜0.2mmの範囲になることを特徴とする摩擦攪拌接合方法とした。この発明により、摩擦攪拌接合の加工効率を落とすことなく最適な接合強度を得ることができる。
【0014】
さらに、請求項3に係る発明では、前記第1の金属材料は鋼板からなり、前記第2の金属材料はアルミ合金からなりかつ、前記皮膜は、融点が450℃以下であることを特徴とする摩擦攪拌接合方法とした。この発明により、アルミ合金と鋼板の摩擦攪拌接合において、好適な接合強度を有する摩擦攪拌接合を得ることができる。
【0015】
さらに、請求項4に係る発明では、前記皮膜はメッキ層からなり、前記メッキ層が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムにより組成される合金からなることを特徴とする摩擦攪拌接合方法とした。この発明により、アルミ合金と鋼板の摩擦攪拌接合において、好適な接合強度を有する摩擦攪拌接合を得ることができる。
【0016】
さらに、請求項5に係る発明は、第1の金属材料と前記第1の金属材料の融点よりも低い融点を有する第2の金属材料が請求項1から請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法によって摩擦攪拌接合された摩擦攪拌接合部材であって、前記第1の金属材料と前記第2の金属材料が接合する接合界面に、前記摩擦攪拌接合によって金属間化合物が生成され、前記金属間化合物は、厚みが10nm〜1μmの粒状形態もしくは、分断された層状形態であってかつ、前記接合界面に分散することを特徴とする摩擦攪拌接合部材とした。この発明により、好適な接合強度を有する摩擦攪拌接合部材を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、鋼板とアルミ合金との間で、接合界面が大きく接合強度の高い接合を行える摩擦攪拌接合方法および、摩擦攪拌接合部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、適宜図を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、摩擦攪拌接合に使用される接合ツール1を示す図である。接合ツール1は、図示しないモータ等の回転駆動装置によって回転軸Aの回りに回転駆動される円筒状の回転子12の底部から、回転軸Aを中心に同心円状に突出した略円筒形の接合ピン10を有する。接合ピン10の直径は回転子12の直径より小さく、接合ピン10と回転子12の直径の段差部分でショルダ部11を形成している。
【0020】
図2に本発明の実施形態を図示する。図2は、鋼板にメッキ層を設けた低融点メッキ鋼板に、アルミ合金を重ね合わせて接合面領域を形成することを示す図である。
【0021】
本発明は、図2に示すように、請求項に記載する第1の金属材料としての鋼板と、請求項に記載する第2の金属材料としてのアルミ合金との摩擦攪拌接合方法であるが、前記鋼板には請求項に記載する皮膜として、前記鋼板の表面にアルミ合金20の融点より低いメッキを施したメッキ層30aを有する鋼板(以後、低融点メッキ鋼板と称する)30を用いたことを特徴とする。
【0022】
なお、本実施形態では請求項に記載する皮膜としてのメッキ層を有する鋼板を使用し、前記メッキ層として亜鉛、アルミニウム、マグネシウム(Zn−Al−Mg)から組成される合金による溶融亜鉛メッキを施したが、皮膜の融点がアルミ合金20の融点より低いという条件を満たせば、その皮膜の種類や成分は限定しない。また、低融点メッキ鋼板30のように鋼板全体にメッキ層(皮膜)を有する必要はなく、少なくともアルミ合金20との接合面領域21にメッキ層(皮膜)を有すれば本発明の効果が得られる。
【0023】
図3は、アルミ合金20の表面20bにショルダ部11が接触するまで、接合ピン10を塑性流動域20aに挿入した時の、先端部10aの位置を示す図である。
【0024】
図3に示すように、接合ツール1を回転しながら、アルミ合金20の表面20bに近づけていき接合ピン10の先端部10aをアルミ合金20の表面20bに接触させ、塑性流動域20aを形成しながら、ショルダ部11がアルミ合金20の表面20bに摺接するまで、接合ピン10を回転しながらアルミ合金20の塑性流動域20aに挿入していく。
【0025】
このとき、接合ピン10の先端部10aは、アルミ合金20と低融点メッキ鋼表面30bとの接触面20cからの距離L1が、0mm〜0.1mmの範囲でアルミ合金20の塑性流動域20a内にあるか(図3の(a)参照)もしくは、接合ピン10の先端部10aは、接触面20cからの距離L2が0mm〜0.2mmの範囲で、低融点メッキ鋼板30の中に挿入するか(図3の(b)参照)、いずれかの位置になるように接合ピン10のショルダ部11からの突出量が設定される。
【0026】
つまり、請求項に記載のように、第1の金属材料としての低融点メッキ鋼板30への接合ピン10の挿入量が、−0.1mm〜0.2mmの範囲となっている。
【0027】
この、接合ピン10の低融点メッキ鋼板30の中への挿入量は、摩擦攪拌接合による接合強度と加工効率から決定される値である。
【0028】
すなわち、図3の(b)に示すように、接合ピン10を低融点メッキ鋼板30に挿入した場合、接合ピン10の回転接触により低融点メッキ鋼板30のメッキ層30aが削られる部分と、後記するようにメッキ層30aの拡散による部分とに鋼板新生面30d(図4の(c)参照)が現れる。ここで、接合ピン10の回転接触により低融点メッキ鋼板30のメッキ層30aが削られた部分のほうが完全にメッキ層30aの成分を除去できるため、メッキ層30aの拡散により現れる鋼板新生面30d(図4の(c)参照)の部分よりも、アルミ合金20との摩擦攪拌接合の強度が高くなる。
【0029】
したがって、接合ピン10を微少量だけ低融点メッキ鋼板30に挿入すると、接合ピン10を低融点メッキ鋼板30に挿入しない場合にくらべて、若干強い摩擦攪拌接合を得られる。しかし、接合ピン10を低融点メッキ鋼板30に挿入することで、硬い鋼板を削らなくてはならず、加工抵抗が増えるため加工効率は落ちる。
【0030】
加工抵抗は、接合ピン10の低融点メッキ鋼板30への挿入量が増えるほど大きくなるため、加工効率を考慮すると接合ピン10の、低融点メッキ鋼板30への挿入量は0.2mmが限界となる。
【0031】
反対に、図3の(a)に示すように、接合ピン10の先端部10aをアルミ合金20の塑性流動域20a内に留め置く場合、後記するようにメッキ層30aの拡散によって鋼板新生面30d(図4の(c)参照)は現れるが、先端部10aが接触面20cから一定距離以上離れると、充分な摩擦熱をメッキ層30aに供給できず、充分にメッキ層30aが拡散されないため、摩擦攪拌接合の強度が低下することになる。
【0032】
以上のことより、最適な摩擦攪拌接合の強度を得ることができかつ、加工効率に与える影響も少ない範囲として、接触面20cから先端部10aまでの距離が設定され、図3の(a)におけるL1は0mm〜0.1mmの範囲、図3の(b)におけるL2は0mm〜0.2mmの範囲とした。
【0033】
図4は、本発明に係る摩擦攪拌接合方法の接合過程を示す概略図である。図4の(a)に示すように、ショルダ部11がアルミ合金20の表面20bに摺接する位置で、接合ツール1は回転を続けるため、接合ピン10およびショルダ部11からは摩擦による熱がアルミ合金20と低融点メッキ鋼板30に供給され続け、アルミ合金20の塑性流動域20aが、ショルダ部11の直径と略等しい範囲かつ、アルミ合金20の表面20bから低融点メッキ鋼表面30bと接触する接触面20cまでの範囲に広がる。
【0034】
一方、低融点メッキ鋼板30については、アルミ合金20の塑性流動域20aが持つ温度がメッキ層30aの融点より高いことから、塑性流動域20aと低融点メッキ鋼表面30bが接する接触面20cでは、図4の(b)に示すように、メッキ層30aが溶けてメッキ層溶融部30cが出現する。そして、メッキ層溶融部30cの溶けたメッキ成分は、塑性流動域20aの塑性流動によって拡散されるため、図4の(c)に示すようにアルミ合金20の塑性流動域20aと低融点メッキ鋼板30が接する鋼板新生面30dが現れる。
【0035】
摩擦攪拌接合は、アルミ合金20の塑性流動域20aと低融点メッキ鋼板30の鋼板新生面30dが接する面における固相接合によって接合されるため、図4の(d)に示すようにアルミ合金20と低融点メッキ鋼板30の接合界面30eはアルミ合金20に生成される塑性流動域20aと略等しい大きさとなる。
【0036】
ここで、塑性流動域20aは、前記のように接合ツール1のショルダ部11の直径と略等しい範囲にまで広がっているので、接合界面30eは、接合ツール1のショルダ部11の直径と略等しいといえる。
【0037】
図5は、従来技術で鋼板とアルミ合金の摩擦攪拌接合を実施した場合の接合界面を示す図である。図5に示すように、SP鋼板やGA鋼板などの鋼板40とアルミ合金20を従来技術で摩擦攪拌接合した場合に生成される接合界面20dは、前記のとおり摩擦攪拌接合加工時の接合ピン10b(図5において、想像線で示される)と略等しい大きさである。
【0038】
したがって、図4の(d)で示される、本発明により生成される接合界面30eは、図5で示される従来技術により生成される接合界面20dより大きく、本発明によって従来技術よりも接合強度の高い摩擦攪拌接合を行えるといえる。
【0039】
そして、前記の摩擦攪拌接合において、接合ツール1を必要な長さだけアルミ合金20の表面20bに沿って送れば、必要な接合長を有する摩擦攪拌接合を行える。
【0040】
なお、GA鋼板のメッキに使用される亜鉛の融点は約420℃であり、摩擦攪拌接合加工時におけるアルミ合金20の塑性流動域20aの約450℃より低いが、GA鋼板のメッキ処理は合金化溶融亜鉛メッキ処理であり、メッキ層が鋼板と一部で合金化しているためメッキ表面の融点は約750℃以上になり、アルミ合金20の塑性流動域20aから供給される熱では拡散されない。
【0041】
一方で、本実施形態で使用する低融点メッキ鋼板30のメッキ層30aを構成するメッキは、Zn−Al−Mgからなる溶融亜鉛メッキであり、メッキ層30aが鋼板と合金化することがないためメッキ層30aの融点は約400℃となり、本発明の効果を奏する。
【0042】
図6は、本実施形態による摩擦攪拌接合の接合強度試験を行うための試供材を示す図であり、図7は前記供試材による摩擦攪拌接合の引張りせん断強度を示す図である。
【0043】
以下、図6に示す供試材の形状ならびに摩擦攪拌接合方法を用いて、表1に示す条件で摩擦攪拌接合を行い、引張りせん断強度を測定する接合強度試験をしたところ、図7に示す結果を得られた。

【表1】

【0044】
なお、図7における接合部材の表記と図6における供試材A60と供試材B61は、表1に表記される供試材(A〜D)に以下のように対応する。
接合部材:低融点メッキ鋼板
供試材A60:表1記載の供試材A
供試材B61:表1記載の供試材B
接合部材:GA鋼板
供試材A60:表1記載の供試材A
供試材B61:表1記載の供試材C
接合部材:SP鋼板
供試材A60:表1記載の供試材A
供試材B61:表1記載の供試材D
接合部材:アルミ合金
供試材A60:表1記載の供試材A
供試材B61:表1記載の供試材A
【0045】
図7によると、アルミ合金と低融点メッキ鋼板の摩擦攪拌接合においては、約5kNの引張りせん断強度が得られ、他の組み合わせによる摩擦攪拌接合で得られる引張りせん断強度(約3.0kN〜約3.8kN)よりも大きく、接合強度が高いことがわかる。
【0046】
図8に、本実施形態による摩擦攪拌接合部材の接合界面の電子顕微鏡写真を示す。図8によると、上部のアルミ合金と下部の鋼板の間の接合界面に、黒枠で囲まれた部分で示されるように金属間化合物が生成されていることが確認され、その組成はFe4Al13であった。
【0047】
さらに、図8に示すように、前記の金属間化合物は厚みが10nm〜1μmの範囲であり、接合界面全域にわたる連続した層状形態ではなく、粒状形態もしくは分断された層状形態として接合界面内に分散していることが確認された。
【0048】
一般に、金属間化合物はもろく破断を発生しやすい。したがって、接合界面に連続した層状形態で存在すると、接合界面の強度を低下する原因となる。
【0049】
また、金属間化合物の厚みが増えることでも、接合界面の強度は低下することから、金属間化合物は薄いほうが、強度の高い接合界面を得ることができる。
【0050】
本発明の実施形態による摩擦攪拌接合部材の接合界面は、前記のように金属間化合物が分散して存在しかつ、厚みも10nm〜1μmの範囲に抑えられることから、金属間化合物のもろさを金属間化合物の非存在領域で補填でき、接合界面の強度の低下を防ぐことができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について記述したが、請求項に記載する皮膜はメッキ層に限ったものではなく、アルミ合金より融点が低く、摩擦攪拌接合時にアルミ合金に生成される塑性流動域の塑性流動によって拡散されるという条件を満たすものであれば、その種類は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】摩擦攪拌接合に使用する接合ツールの概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る摩擦攪拌接合における接合部材を示す図である。
【図3】摩擦攪拌時の接合ピンの状態を示す図である。(a)は接合ピンの先端部がアルミ合金の塑性流動域にあることを示す図、(b)は接合ピンの先端部が低融点メッキ鋼板に挿入していることを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る摩擦攪拌接合方法の接合過程を示す概略図である。(a)は、接合ツールによって塑性流動域が形成されることを示す図、(b)は、塑性流動域によって、メッキ層溶融部が形成されることを示す図、(c)は、鋼板新生面が形成されることを示す図、(d)は、接合界面を示す図である。
【図5】従来技術の摩擦攪拌接合による接合界面を示す図である。
【図6】本実施形態に係る接合強度試験に用いた供試材を示す図である。
【図7】本実施形態に係る接合強度試験の結果を示す図である。縦軸に引張りせん断強度、横軸にアルミ合金と摩擦攪拌接合した金属材料を示す。
【図8】本実施形態に係る摩擦攪拌接合部材の接合界面の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0053】
1 接合ツール
10 接合ピン
20 アルミ合金
20a 塑性流動域
21 接合面領域
30 低融点メッキ鋼板
30a メッキ層
30d 鋼板新生面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属材料と、前記第1の金属材料の融点よりも低い融点を有する第2の金属材料との組み合わせによる摩擦攪拌接合方法において、
前記第1の金属材料の表面には、少なくとも接合面領域で前記第2の金属材料が接する側の表面に、前記第2の金属材料の融点よりも低い融点を有する皮膜を形成し、
前記第1の金属材料と前記第2の金属材料を重ね合わせて前記接合面領域を形成し、
前記接合面領域において前記第2の金属材料の表面から回転する接合ピンを、
前記第1の金属材料と前記第2の金属材料が接合する接合界面の近傍まで挿入して摩擦攪拌し、
前記第2の金属材料の塑性流動により前記皮膜を拡散して前記第1の金属材料の新生面を露出させ、
前記新生面において固相接合することを特徴とする摩擦攪拌接合方法。
【請求項2】
前記接合ピンを前記第2の金属材料の表面から挿入する際に、前記接合ピンの前記第1の金属材料への挿入量が、−0.1mm〜0.2mmの範囲になることを特徴とする請求項1に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項3】
前記第1の金属材料は鋼板からなり、前記第2の金属材料はアルミ合金からなりかつ、前記皮膜は、融点が450℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項4】
前記皮膜はメッキ層からなり、前記メッキ層が、亜鉛、アルミニウム、マグネシウムにより組成される合金からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の摩擦攪拌接合方法。
【請求項5】
第1の金属材料と前記第1の金属材料の融点よりも低い融点を有する第2の金属材料が請求項1から請求項4に記載の摩擦攪拌接合方法によって摩擦攪拌接合された摩擦攪拌接合部材であって、
前記第1の金属材料と前記第2の金属材料が接合する接合界面に、金属間化合物が生成され、
前記金属間化合物は、厚みが10nm〜1μmの粒状形態もしくは、分断された層状形態であってかつ、前記接合界面に分散することを特徴とする摩擦攪拌接合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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