説明

アルミ箔系粘着テープ

【課題】粘着テープ用フィルムの剥離剤処理において剥離剤の脱落がなく、テープ製造工程におけるロール汚れをなくしての生産性の向上と剥離剤の粘着剤中への混入による粘着特性不良をなくして被着体への密着性、及び粘着テープの展開を容易にすることによる施工作業時の作業性向上を目的としたアルミ箔系粘着テープを提供する。
【解決手段】アルミ箔と、当該アルミ箔の第1の面に積層され、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物を含有する下塗り層と、当該下塗り層に積層され、長鎖アルキル系の背面処理剤を含有する剥離剤塗布層と、を備え、前記アルミ箔の前記第1の面に向かい合う第2の面上にホットメルト系粘着剤を塗布してなる粘着テープ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ箔系粘着テープに関する。より詳しくは、ダクト・壁面等に使用される断熱材を固定し、当該断熱材を被覆するために使用されるアルミ箔系粘着テープであり、背面処理工程における背面処理剤の脱落を防止することで生産性を向上し、優れた粘着特性による剥がれ防止及び施工作業時のテープ展開性が容易なアルミ箔系粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アルミ箔系粘着テープとして、テープ基材である紙、フィルム、又は基布の上面にアルミ箔を貼り合わせたアルミ箔の積層基材が用いられ、アルミ箔の反対面に粘着剤が塗布され、粘着剤面に剥離紙を貼り合わせて巻き取られることで形成されているものがあった。このようにして形成される理由としては、自背面への重ね貼り性の要求性能を満たす事にある。即ち、アルミ箔系粘着テープを用いて、ダクトや壁面等に断熱材を固定し、当該断熱材を被覆する場合には、施工時に粘着テープを重ねて貼り合わせることで、隙間を作らないようにする。従来、この種のアルミ箔系粘着テープは、背面に剥離剤層を有さないため、重ね貼り性に関しては問題がなかった。
【0003】
一般的に、施工作業により廃棄されてしまう剥離紙の使用はテープの無用な価格上昇につながる。また、実際の施工作業時に剥離紙を剥がしながら被着体に貼り付けるため、作業性が悪く、剥がされた剥離紙をゴミとして処理する必要を有している。
【0004】
そのため、近年、剥離紙を使用しないアルミ箔系粘着テープが開発され市場で使用されている。具体的には、アルミ箔系粘着テープのテープ基材のアルミ箔面に剥離のためにシリコーン処理を施すことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、アルミニウム蒸着粘着テープのフィルムのアルミニウム蒸着面にブチルゴム系下塗り剤を施すことも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭55−96189号公報
【特許文献2】特開平10−195396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の粘着テープには、シリコーン処理による重ね貼り性の低下や、巻戻し力が軽いことによる施工作業時の問題や、シリコーンのアルミ基材表面に対する密着性不良等といった問題点があった。
【0007】
このような課題を改良するために、シリコーン以外の剥離剤層を設けることで製造されるアルミ箔系粘着テープが市場に提案されている。例えば、重ね貼り性を損なうことのないように、自背面重ね貼り性を有する長鎖アルキル系剥離剤(一般的に、炭素数12以上の長鎖アルキルアクリレートの重合物や、長鎖アルキルアクリレートと他のビニルモノマーとの共重合物、或いはポリビニルアルコールに長鎖アルキルイソシアネートなどの長鎖アルキル成分を反応させて得られる反応物)による剥離処理が行われているものがある。
【0008】
しかしながら、アルミ箔の上に長鎖アルキル系剥離剤を処理加工した場合、アルミ箔と長鎖アルキル系剥離剤の密着性が悪く、長鎖アルキル系剥離剤が剥離剤処理時に脱落し、ガイドロールを汚すという問題があった。また、脱落したアルミ箔の一方の面に粘着剤を加工してテープを製造した場合、テープを展開(巻き戻し)できなくなり、粘着テープの施工作業時の作業環境を低下させる原因となっていた。また、粘着特性面からは長鎖アルキル系剥離剤の粘着剤への混入による粘着特性の低下で施工後にテープが剥がれるという問題もあった。
【0009】
そこで、本発明は従来の課題に鑑み、粘着テープとして必要とされるテープ展開力と被着体への密着性の特性とをバランスよく兼ね備えると共に、製造工程での作業性を向上させたアルミ箔系粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアルミ箔系粘着テープは、アルミ箔と、当該アルミ箔の第1の面に積層され、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物を含有する下塗り層と、当該下塗り層に積層され、長鎖アルキル系の背面処理剤を含有する剥離剤塗布層と、を含み、前記アルミ箔の前記第1の面に向かい合う第2の面上にホットメルト系粘着剤を塗布してなるものである。
このように、本発明に関わるアルミ箔系粘着テープは、剥離剤層とアルミ箔及び基材層(AL基材)との間にオレフィン化合物のカルボキシル基及び/又は水酸基を有する剥離剤下塗り層を設けることで剥離剤、剥離剤下塗り層、アルミ箔及び基材層(AL基材)からなる三層間の結合を強固なものにすることができ、粘着剤への剥離剤の脱落移行を防止することによる粘着力の低下がなく、被着体への密着性を良好なものにしつつ、安定な自背面粘着特性を得ることもできる。
本発明においては、上記第2の面と前記ホットメルト系粘着剤との間に積層され、紙、PE、及び基布から選択される少なくともいずれか1つを含有する基材層を更に含んでいてもよい。
また、前記下塗り層の厚みは、好ましくは0.1〜2.0μmである。
また、前記剥離剤塗布層の厚みは、好ましくは0.1〜2.0μmである。
また、本発明においては、自背面に対する粘着力が0.5〜6.0N/cmであることが好ましい。
ここで言う、自背面粘着力とは、粘着剤の背面処理剤への密着性であり、自背面粘着力があまりにも低いとテープの重なった部分、ハーフラップ部分でテープ剥がれが生じ、品質不良を起こす。一方、自背面粘着力があまりにも高いとテープが展開しづらく、作業がしづらくなり、作業性が低下する。
また、本発明においては、前記下塗り層と前記剥離剤塗布層とを70〜120℃の乾燥温度で乾燥する工程を含む、アルミ箔系粘着テープの製造方法が提供されうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、テープ展開力と被着体への密着性の特性とをバランスよく兼ね備えると共に、製造工程での作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
(アルミ箔系粘着テープ)
本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意研究した結果、アルミ箔面に下塗り層としてカルボキシル基又は水酸基を有するオレフィン系化合物の背面処理剤塗布層を設け、その上に長鎖アルキル系剥離剤を含有する剥離剤塗布層を設けることにより、オレフィン化合物のカルボキシル基又は水酸基と、長鎖アルキル系の背面処理剤と、アルミ箔及び基材層(AL基材)との結合を非常に強固なものにすることで、被着体への密着性を良好なものにしつつ、安定な自背面粘着特性を得ることを見出した。そのため、本発明によれば、粘着テープ製造時の剥離剤の密着性を向上し、テープの製造作業性の向上と施工作業時のテープ展開を容易にすることによる現場作業性の向上、剥離剤脱落による粘着力の低下を抑制し被着体への十分な接着性を損なう事のない、アルミ箔系粘着テープを提供することができる。
【0014】
即ち、本発明は、テープ基材として紙、PEフィルム、基布などの上面にアルミ箔を貼り合わせたアルミ箔の多層基材を使用し、アルミ箔面に下塗り層としてカルボキシル基あるいは水酸基を有するオレフィン系化合物背面処理剤塗布層を設け、さらにその上面に長鎖アルキル系剥離剤塗布層を設け、もう一方の紙、PEフィルム、基布の面に粘着剤を塗布してなるアルミ箔系粘着テープに係る。
【0015】
また、本発明は、テープ基材としての紙、PEフィルム、基布などの上面にアルミ箔を貼り合わせたアルミ箔積層基材を使用し、アルミ箔面に下塗り層としてカルボキシル基あるいは水酸基を有するオレフィン系化合物の背面処理剤塗布層を設け、さらにその上面に長鎖アルキル系剥離剤塗布層を設け、もう一方の面に粘着剤を塗布してなり、自背面に対するJISZ−0237による粘着力が0.5〜6.0N/cmであるアルミ箔系粘着テープに係る。また、上記粘着力は、より好ましくは、0.7〜4N/cmである。自背面に対する粘着力が0.5〜6.0N/cmであることで、テープの重ね合わせ、ハープラップ部分におけるテープ剥がれをより安定に抑制することができる。また、テープ展開を容易にし、作業性を優れたものにすることができる。
【0016】
以下、本発明に係る粘着テープを主に構成する基材層、アルミ箔、下塗り層、剥離剤塗布層、ホットメルト系粘着剤について詳細に説明する。
【0017】
(基材層)
ここでは、まず、本発明の粘着テープに設けられる基材層として基材について説明する。基材層は、後述するアルミ箔の第1の面に向かい合う第2の面(片面(糊面))に積層され、紙、PE、及び基布の少なくともいずれかを含有する。
【0018】
本発明における基材に使用される紙、PE樹脂としては、従来一般的に使用されているもの、例えば、紙としては、上質紙、クラフト紙、無機質混抄紙などが挙げられる。PE樹脂は一般的なPE樹脂が使用できるが、手切れ性が得られる延伸したPEフィルムが好ましい。そのPEフィルムの製法は、高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物を8〜16倍に横一軸延伸するものである。
【0019】
高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物は、高密度ポリエチレン(以下、「HDPE」と略称する。)単独、または、HDPEと、直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE」と略称する。)及び低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」と略称する。)の少なくとも一方との混合物をいう。高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物の密度は、0.95g/cm以上であり、好ましくは0.955g/cm以上である。密度の上限については特に限定はないが、好ましくは0.97g/cm未満である。高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物の密度が0.95g/cm未満であると、延伸してフィルムにしても十分な引き裂き強度が得られない場合がある。
【0020】
本発明に使用されるHDPEは、密度が0.93〜0.97g/cmの範囲でメルトフローレートが、JISK6922−2に規定される温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下において、好ましくは0.01〜5.0g/10分を有するものである。
【0021】
本発明に使用されるLLDPEは、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等との共重合体であり、密度が0.91〜0.95g/cmの範囲でメルトフローレートが、JISK6922−2に規定される温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下において、好ましくは0.01〜5.0g/10分を有するものである。
【0022】
(アルミ箔)
本発明で用いられるアルミ箔としては、特に限定されず、市販されているものを用いることができる。
【0023】
アルミ箔と紙等の基材との貼り合わせに使用される接着剤としては、アクリル系、ウレタン系、酢ビ系、EVA系、エポキシ系、ポリオレフィン系、ポリエステル・イソシアネート系の接着剤などが使用できる。また。PEフィルムに対してはEVA系、ポリオレフィン系が使用できる。アルミ箔の厚みは3〜15μmの範囲とすることが好ましい。アルミ箔の厚さが3μm以下であると強度的に低くなったり、紙への接着加工性が悪くなったりする場合があり、15μmを越えると施工作業時にアルミ箔紙粘着テープを手で切るときの作業性が低下する場合がある。
【0024】
(下塗り層)
次に、本発明の粘着テープに設けられる下塗り層として用いられる下塗り剤(プライマー)について説明する。下塗り層は、アルミ箔の第1の面に積層されることで形成されるものである。
【0025】
下塗り剤は、後述する背面処理剤が塗布されることになるアルミ箔の表面上に塗布されており、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物が用いられる。このように、背面処理剤用の下塗り層を設けることによりアルミ箔からの剥離剤脱落を防止できる。カルボキシル基を有するオレフィン系化合物としてエチレンアクリル酸共有重合物アルカノール塩が挙げられ、これら市販されている背面処理剤用した下塗り剤としては、例えば、ザイクセンAタイプ、ザイクセンLタイプ,ザイクセンNタイプ(いずれも住友精化(株)製)がある。一方、水酸基を有するオレフィン系化合物としては、ポリビニルアルコールを酢酸等でエステル化した共重合体が挙げられ、これら市販されているものとして、ゴーセファイマーZ−100、ゴーセファイマーZ−200、ゴーセファイマーZ−205(いずれも日本合成化学(株)製)等がある。また、必要に応じて硬化剤も添加でき、硬化剤としてはエポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、アルデヒド系硬化剤、ヒドラジン系硬化剤、アミン系硬化剤、メチロール系硬化剤、高価金属系硬化剤等が使用できる。
【0026】
使用するカルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物の塗布量は0.05〜2g/m、更に好ましくは0.5〜1g/mの範囲にすることにより、アルミ面及び背面処理面(背面処理剤を塗布する面)の密着性を良好なものにすることができる。なお、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物層の表面に後述する長鎖アルキル系の背面処理剤との密着性を更に強固にさせる目的で、コロナ放電処理、UV放電処理をおこなってもよい。
【0027】
また、このような下塗り剤は、アルミ箔上に0.1〜2.0μmの厚みで塗布されることが好ましい。このような厚みで塗布されることによって、より安定にアルミ箔および背面処理剤との密着性が得られる。
【0028】
(剥離剤塗布層)
次に、本発明の粘着テープに設けられる剥離剤塗布層に用いられる長鎖アルキル系の背面処理剤(剥離剤)について説明する。剥離剤塗布層は、上述したアルミ箔に積層された下塗り層上に更に積層されることで形成されるものである。
【0029】
長鎖アルキル系の背面処理剤としては、一般的に、炭素数12以上の長鎖アルキルアクリレートの重合物や、長鎖アルキルアクリレートと他のビニルモノマーとの共重合物、あるいはポリビニルアルコールに長鎖アルキルイソシアネート等の長鎖アルキル成分を反応させて得られる長鎖アルキル変性高分子が挙げられる。具体的には、共重合物としては、ステアリルアクリレート、アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル等の共重合物、ステアリルアクリルアミド・アクリロニトリル・アクリル酸等の共重合物、ステアリルビニルエーテル・アクリル酸、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の共重合物等が挙げられる。また、長鎖アルキル変性高分子としては、セルロース、ポリビニルアルコール等と塩化ステアロイルとの反応物、ポリビニルアルコール、部分アセタール化ポリビニルアルコール、セルロース誘導体やポリエステル等の活性水素を持つポリマーをステアリルイソシアネート等の脂肪族イソシアネートでアルキル変性したもの等が挙げられる。これら長鎖アルキル系の背面処理剤は、市販されているものも使用することができる。これら市販されている背面処理剤としては、例えばアシオレジンRA−30(アシオ産業(株)製)やピーロイル1010、ピーロイル1050(一方社油脂工業(株)製)等である。
【0030】
背面処理剤に添加される溶剤は、BTX(例えば、トルエン)が一般的である。また、必要に応じてこれらに5〜20質量部の範囲で低級アルコール(例えば、メタノール)を添加しても構わない。低級アルコールを添加することにより背面処理剤がトルエン単独に溶解させるよりも10℃程度低い温度で溶解させることが可能である。
【0031】
背面処理量は、例えば、ピーロイル1010(一方社油脂工業(株)製)を0.05〜5.0質量部、好ましくは0.1〜3.0質量部、例えば、トルエン100質量部に溶解させた溶液を、フィルムに1.0〜15.0g/m、好ましくは2.0〜10.0g/m塗布する。背面処理剤溶液の塗布量が1g/m以上の場合、粘着剤と剥離面との重剥離化によるもテープ展開が容易でテープ剥がれを抑制できる。一方、15g/m以下であることで、テープ展開の軽剥離化による部分的な紙などの層間割れを安定に抑制することができる。
【0032】
また、このような背面処理剤は、下塗り層上に0.1〜2.0μmの厚みで塗布されることが好ましい。このような厚みで塗布されることによって、テープ展開をより安定に行うことができ、作業性を良好なものにすることができる。
【0033】
背面処理剤を塗布したときの乾燥温度は剥離剤の脱落に影響をもたらす。長鎖アルキル型背面処理剤を基材の他方側に塗布して、乾燥温度を70〜120℃、好ましくは90℃〜120で乾燥するのが好ましい。この温度範囲で背面処理を行うと、背面処理剤の脱落のない良好な多層基材が得られる。乾燥温度が70℃未満、例えば、60℃では背面処理剤が完全に乾燥しなく、剥離剤の脱落が生じ、背面処理済みの基材が得られない場合がある。また、乾燥温度が120℃を超えた場合、基材が幅方向に収縮したり、糊面側にカールが発生したりする場合がある。
【0034】
(ホットメルト系粘着剤)
ホットメルト系粘着剤は、溶剤を使用せず、加熱下に容易に溶融して流動性を有するようになる性質を利用して、溶融状態の粘着剤を基材に塗工し冷却することにより粘着層を得ることができるものである。本発明におけるホットメルト型粘着剤は、例えば、ゴム系粘着剤が好適に用いられる。ゴム系粘着剤としては、天然ゴム系および合成ゴム系(ABA型またはAB型ブロック共重合体;Aは熱可塑性ブロック、Bはラバーブロックである。例えば、スチレンーイソプレンースチレン共重合体(以下、「SIS」と略称する。)、スチレンーブタジエンースチレン共重合体等が挙げられる)等のゴム系ポリマーを主成分とする粘着剤が挙げられる。
【0035】
粘着剤には、必要に応じて石油系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン系樹脂等の粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤等を配合しても良い。
【0036】
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルセバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類、ビス2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル類等の脂肪酸エステル類、塩素化パラフィン等のパラフィン類、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類、アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、プロセスオイル、ナフテン系オイル等が挙げられ、これらは単独でまたは混合物で用いられる。好ましくは、ビス2−エチルヘキシルアジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類やナフテン系オイルを用いることができる。可塑剤の配合量は、例えば、合成ゴム系粘着剤SIS100質量部に対して、好ましくは、5〜30質量部である。
【0037】
更に、粘着剤には、耐候性、耐熱性、耐酸化性をさらに向上させるための酸化防止剤や紫外線吸収剤、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルクなどの無機粉末充填剤、ガラス繊維、有機補強用繊維などの繊維状充填剤などを添加しても構わない。
【0038】
また、粘着剤の塗布量は粘着剤材料の配合によって異なるが、10g〜100g/mが好ましく、25g〜50g/mがより好ましい。自背面粘着力は0.5Nから6Nの範囲で本発明の効果を発現して何ら問題点をもたない。
【実施例】
【0039】
以下、表1〜3を参照しつつ、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。これらはいずれも例示的なものであって、本発明の内容を限定するものではない。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
表1〜3において「ロール汚れ」とは、アルミ箔のプライマー(下塗り剤)及び剥離剤(背面処理剤)処理後の粘着塗布機におけるガイドロールの剥離剤脱落による汚れを目視で判定し、次の評価基準であったことを評価した。
・「○」:ロールがきれいで目視では剥離剤の脱落を確認できない状態
・「△」:ロールの汚れは目立たないが背面処理剤の脱落が時々確認されるもの
・「×」:ロールが明らかに汚れて目視で背面処理剤の脱落が確認できるもの
【0044】
表1〜3において「残接着力」とは、粘着剤が背面処理剤に接した場合の影響を調査したものであり、剥離剤(背面処理剤)に接触した後の粘着力を示す。そして、未接触の場合の本来の粘着力との比率を「残留接着力」といい、残留接着力が高いほど、特性として良好である。
【0045】
残留接着率(%)=(剥離剤との接触後の接着力*100)/(剥離剤と未接触の場合の接着力)
標準テープは日東電工(株)製N−31Bを使用
【0046】
表1〜3において「巻戻し力」、「自背面粘着力」、及び「粘着力」とは、夫々JIS Z 0237に規定する測定条件に準じて測定した値を表し、粘着塗工1日後のテープを、温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内で測定した値と50℃のオーブン中に10日間放置した後完全に室温まで冷却した場合について測定した値である。n=3以上の平均値を示している。上記自背面粘着力は基材背面(ここでは背面処理剤面)に対する粘着力を指す。
【0047】
表1〜3において、「基材背面糊残り」とは、テープ展開力の評価項目であり、基材背面の糊残りを次の評価基準であったことを評価した。
・「○」:テープを展開した場合に基材背面に糊が残っていない状態を目視で確認したもの
・「△」:テープを展開した場合に基材背面に糊が時々残っている状態を目視で確認したもの
・「×」:テープを展開した場合に基材背面に糊が残っている状態を目視で確認したもの
【0048】
表1〜3において、「作業性」とは、テープを展開の評価項目であり、展開作業性を次の評価基準であったことを評価した。
・「○」:簡単にテープを展開でき、作業に支障をきたさない状態であったもの
・「△」:テープを展開しづらくなる場合もあるもの
・「×」:テープの展開ができない、展開しづらい状態にあったもの
【0049】
表1、2において、「ボールタック(加熱後)」は、テープを50℃のオーブン中に10日間放置した後完全に室温まで冷却した場合について測定した値であるの評価項目であり、テープ加熱後のタックを次の評価基準であったことを評価した。
・ 6以下;被着体に付きにくい。
・10以上;被着体に良く付く。
【0050】
表1〜3において、「密着性」とは、テープを巻きつけた際、端末の剥がれ状態を評価したもので次の評価基準であったことを評価した。
・「○」:テープ端末がテープ背面にしっかり密着しているもの
・「△」:テープ端末がテープ背面から剥がれることもあるもの
・「×」:テープ端末がテープ背面から剥がれている状態
【0051】
(実施例1)
アルミ箔7μm(日本製箔(株))とクラフト紙(王子製紙(株)製HSK、52g/m)の多層基材はLEPE樹脂(住友化学(株)スミカセンL718−H)を溶融し、フィルムダイで押し出し、製膜機で冷却することにより多層フィルムを得た。
【0052】
アルミ箔7μm(日本製箔(株))にザイクセンL(住友精化(株)、固形分濃度25%)30重量部をメタノール100重量部で希釈しアルミ箔面にグラビヤコーターで6g塗布し、その後ピーロイル1010(一方社油脂工業(株))2重量部にトルエン100重量部で希釈したもの10gをグラビヤコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
【0053】
粘着剤は、SISとしてクインタック3450(日本ゼオン製)100質量部に粘着付与樹脂としてエスコレッツ1202(エクソンモービル製)100質量部、可塑剤としてサンセン410(日本サン石油製)を10質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバスペシャルティケミカルズ製)を1質量部混ぜ合わせて、150℃で30分間攪拌し粘着剤を得た。
【0054】
上記粘着剤を150℃で溶融し、前記背面処理済み多層基材のクラフト紙面に30μmの厚さになるように100m/分で塗工し、紙管に巻き取った後30mm幅で切断し粘着テープを得た。
【0055】
(実施例2)
背面処理剤の下塗り剤としてザイクセンAC(住友精化(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0056】
(実施例3)
背面処理剤の下塗り剤としてゴーセファイマーZ−320(日本合成化学(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0057】
(実施例4)
背面処理剤の下塗り剤としてザイクセンA(住友精化(株))にビスフェノールA(エポキシ樹脂)を1質量部添加したものを使用した以外は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0058】
(実施例5)
アルミ箔の多層化の基材として高密度ポリエチレンを主成分とする樹脂組成物として、HDPE(日本ポリエチレン製 ノバテックHD HF562 密度0.963g/cm)100質量部に、LLDPE(日本ポリエチレン製 ノバテックLL UF421 密度0.926g/cm)10質量部をドライブレンドしたものに、可塑剤としてサンセン410(日本サン石油製)を2質量部混合して押出機に供給し、溶融し、フィルムダイを通して押し出し、成形機で冷却することにより、厚みが約180μmの未延伸シートを成形した。この未延伸シートを120℃のテンター内で10倍に横一軸延伸し、18μmのフィルムを得た。
アルミ箔多層化基材にこのフィルムを使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0059】
(実施例6)
アルミ箔の多層化の基材として、実施例5の延伸フィルムとアルミ箔をドライラミネート(三井化学(株)接着剤タケラックA−620と硬化剤タケネートA−65の混合物を使用)で貼り合わせたものを得、この延伸フィルム側に、あらかじめ、片面を実施例1のLDPE樹脂でオーバーラミネートした不織布(JX日鉱日石ANCI(株)ワリフHS8036)のオーバーラミネートしていない側を、LDPE樹脂を用いた押出ラミネートで積層し、多層化基材を得た。
アルミ箔の多層化基材にこのフィルムを使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0060】
(実施例7)
剥離材用下塗り剤の塗布量を3.0μmに塗布した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0061】
(実施例8)
剥離剤塗布量を0.01μmに塗布した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0062】
(実施例9)
剥離剤塗布量を2.5μmに塗布した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0063】
(実施例10)
剥離剤の乾燥温度を60℃、乾燥時間を1分間にした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0064】
(実施例11)
剥離剤の乾燥温度を130℃、乾燥時間を1分間にした以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0065】
(比較例1)
剥離剤用の下塗り剤を使用しなかった以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0066】
(比較例2)
背面処理剤としてシリコーン系背面処理剤(信越化学工業社製、KS−3600)を塗布量0.2μmで塗布し、塗布後の乾燥温度を100℃とした以外、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0067】
(比較例3)
粘着剤としてアクリル系粘着剤(日本合成化学工業製 コーポニール8976L)を使用した以外は実施例1と同様にして粘着テープを得た。
【0068】
表1〜3から明らかなように、本発明の粘着テープは剥離剤の脱落を防止してコーターのロール汚れを防止し、製造面での作業性を向上させるとともに、タック、粘着力、自背面粘着力の加熱後の安定化を計ることができ、断熱材へのテープ剥がれがなく、密着性に優れたものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ箔と、
当該アルミ箔の第1の面に積層され、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するオレフィン系化合物を含有する下塗り層と、
当該下塗り層に積層され、長鎖アルキル系の背面処理剤を含有する剥離剤塗布層と、
を備え、
前記アルミ箔の前記第1の面に向かい合う第2の面上にホットメルト系粘着剤を塗布してなるアルミ箔系粘着テープ。
【請求項2】
前記第2の面と前記ホットメルト系粘着剤との間に積層され、紙、PE、及び基布から選択される少なくともいずれか1つを含有する基材層を更に備える、請求項1記載のアルミ箔系粘着テープ。
【請求項3】
前記下塗り層の厚みは、0.1〜2.0μmである、請求項1又は2記載のアルミ箔系粘着テープ。
【請求項4】
前記剥離剤塗布層の厚みは、0.1〜2.0μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミ箔系粘着テープ。
【請求項5】
自背面に対する粘着力が0.5〜6.0N/cmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミ箔系粘着テープ。
【請求項6】
前記下塗り層と前記剥離剤塗布層とを70〜120℃の乾燥温度で乾燥する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミ箔系粘着テープの製造方法。


【公開番号】特開2013−23601(P2013−23601A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160425(P2011−160425)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【Fターム(参考)】