説明

アレイ(群)を作製するための方法および装置

【課題】並列サンプル堆積を使用するアレイ(特にマイクロアレイ)を作製するための、改良された方法および装置を提供すること。
【解決手段】試薬領域の複数のアレイを作製するための装置が、開示される。この装置の分配アセンブリは、基板中の異なるアレイ領域における選択された位置で試薬を堆積するために、間隔をあけられている複数のヘッドを有する。このアセンブリのヘッドがアレイ領域に沿って進行されるに従って、そのアレイのある列における領域が連続的に満たされ、アセンブリの分配ヘッド間の間隔に関して、接近して間隔をあけられている試薬領域で、種々のアレイ領域における並列堆積が可能となる。この装置を使用して複数のアレイを作製するための方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の分野)
本発明は、基板表面上で形成されたバイオポリマーなどのマイクロアレイ(群)、ならびにそのようなマイクロアレイを作製するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(本発明の背景)
種々の方法が、生物学的巨大分子のアレイ、例えば核酸分子またはタンパク質のアレイを作製するために、現在利用可能である。多孔性膜上にDNAの整列されたアレイを作製するための1つの方法は、「ドットブロット」アプローチである。この方法では、真空マニホルドが、DNAの複数(例えば96個)の水性サンプルを、直径3ミリメーターのウェルから多孔性膜へと移す。この方法は、マイクロアレイ(すなわちそのアレイにおける異なるサンプル領域が、約1mm以下の距離で分離されているアレイ)を作製するためには適切ではない。
【0003】
マイクロアレイは、サンプルアレイのサンプルピックアップ用ウェル(例えばマイクロタイタープレート)と選択されたマイクロアレイの位置の間を、連続的に移動するロボットアーム装置によって作製され得る。異なる生物学的物質の高密度アレイがこのアプローチによって作製され得るが、その作製時間および効率は、そのマイクロアレイ(もしいくつか同時に作製されているならば、あるいはマイクロアレイ群)の領域が1つずつ連続的な様式で堆積されるという事実によって、制限される。
並列段階的なサブユニットの添加による、マイクロチップ上にオリゴマーアレイを作製するための方法が、提案されている(例えば、非特許文献1)。このアプローチは、そのアレイの選択された領域で、末端サブユニット添加部位を選択的に脱保護するために、フォトマスク法を使用し、これによって、そのアレイ上にオリゴマーを構築する際における大規模な並列サブユニット添加を可能にする。しかし、このアプローチは、比較的高価な処理設備を必要とする。このアプローチはまた、長さ約10〜15サブユニットを越えるポリマーのアレイの構成に、容易に適合されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Fodorら、Science、251:767−773(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それゆえ、並列サンプル堆積を使用するアレイ(特にマイクロアレイ)を作製するための、改良された方法および装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、ある局面では、複数のアレイの試薬領域を作製するための装置に関し、ここで各アレイはN>1個の試薬領域の列を備える。この装置は、複数のアレイ領域へと仕切られ得る基板を支持するワークステーション、N個の分配ヘッドの列を有する分配アセンブリを備え、各分配ヘッドは、異なるアレイ領域におけるN個の異なる試薬領域の選択された1つで、試薬を堆積するために配置されている。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1) 試薬領域(群)の複数のアレイを作製するための装置であって、ここで各アレイはn>1個の試薬領域を形成する列を有し、該装置は、
複数のアレイ領域へと仕切られ得る基板を支持するためのワークステーション、
N個の分配ヘッドの列を有する分配アセンブリ(群)であって、各分配ヘッドが、異なるアレイ領域のN個の異なる試薬領域より選択された1つで、試薬を堆積させるために配置される分配アセンブリ、
該ヘッドから該アレイ基板上へ試薬を堆積させるために、選択された試薬(群)を該分配ヘッド(群)へ供給するための手段、
1つのアレイ領域の1つの試薬領域から隣接するアレイ領域の対応する領域へ、アセンブリヘッドを進行させるために有効な増分距離で、該アセンブリを連続的に進行させるための手段であって、
それによって該アセンブリの連続的進行が、各アレイ領域におけるその選択された試薬領域での堆積のために、各ヘッドを連続的に配置するのに有効である手段、
を備える装置。
(項目2) 前記アセンブリを、前記アレイ領域において前記列の方向に進行させる装置であって、そして該アセンブリにおけるヘッドとヘッドの間の間隔が、(i)すぐ近くに隣接するアレイ領域の対応する試薬領域の間の間隔と、(ii)あるアレイ領域のある列における選択された試薬領域の間の間隔との合計あるいは差異に等しい、項目1に記載される装置。
(項目3) 複数のアレイの作製における使用のための、項目2に記載される装置であって、各アレイがM列の試薬領域から構成され、各列がN個の試薬領域を備えており、ここで前記アセンブリがM×N個のアレイの分配ヘッドを備え、ここであるアセンブリの各列の該N個のヘッドが、異なるアレイ領域のN個の異なる試薬領域から選択された1つで試薬を堆積させるために各々配置されている装置であり、そして該ヘッドの列が、異なるアレイ領域の該M個の異なる列から選択される1つで試薬を堆積させるために、お互いに関して配置されている、装置。
(項目4) 前記アセンブリが、前記アレイ領域の列に対して垂直の方向へ進行させられ、そして前記分配ヘッドが、アセンブリの該移動方向と角をなす軸に沿って配置されている、項目1に記載の装置。
(項目5) 前記分配ヘッドが、マイクロタイタープレートのウェルへ同時に少し挿入されるために間隔をあけられたピンである装置であって、そして前記供給手段が、前記アセンブリのピンが該プレートの選択されたウェルへ少し挿入される位置と前記基板上での試薬の堆積のための位置の間で、該アセンブリを移動させるための手段を備える、項目1に記載の装置。
(項目6) 前記アセンブリヘッドがインクジェットプリンターヘッドである装置であって、そして前記供給手段が該プリンターヘッドを作動させるための手段を備える、項目1に記載の装置。
(項目7) 試薬領域の複数のアレイを作製する方法であって、ここで各アレイがN>1個の試薬領域の列を備え、該方法は以下、
複数のアレイ領域に仕切られ得る基板を、ワークステーションに設置する工程、
N個の分配ヘッド(これは異なるアレイ領域のN個の異なる試薬領域から選択された1つで試薬を堆積するために各々配置されている)の列を有する分配アセンブリを、該基板の上を進行させる工程、
該アレイ領域の試薬領域上での堆積のためにアセンブリヘッドを作動させる工程、および
該進行工程および作動工程を、該アレイ領域における選択された列の全ての領域がそのうえに堆積された試薬を有するまで反復する工程
を包含する方法。
(項目8) 前記進行工程が、前記アレイ領域の前記列の方向で行われる方法であって、そして前記アセンブリでのヘッドとヘッドの間の間隔が、(i)すぐ近くに隣接するアレイ領域の対応する試薬領域の間の間隔と、(ii)あるアレイ領域のある列における選択された試薬領域の間の間隔との合計あるいは差異に等しい、項目7に記載の方法。
(項目9) 複数のアレイの作製における使用のための、項目8に記載される方法であって、各アレイがM列の試薬領域からなっており、各列がN個の試薬領域を備え、ここで前記アセンブリがM×N個のアレイの分配ヘッドを備え、ここで該アセンブリの各列のN個のヘッドが、異なるアレイ領域のN個の異なる試薬領域から選択された1つで試薬を堆積するために各々配置されており、そして該ヘッドの列が、互いに関して、M個の異なるアレイ領域の異なる列から選択される1つで試薬を堆積するために配置されている、方法
(項目10) 前記アセンブリが、前記アレイ領域で列と垂直な方向に進行する方法であって、そして前記分配ヘッドが、アセンブリの該移動方向と角をなす軸に沿って配置されている、項目7に記載の方法。
(項目11) 前記分配ヘッドが、前記マイクロタイタープレートのウェルへ、同時に少し挿入されるために間隔をあけられたピンであって、そして前記作動工程が、前記アセンブリの該ピンが該プレートの選択されたウェルに少し挿入される位置と、前記基板の上での試薬堆積の位置の間で該アセンブリを移動させる工程を包含する、項目7に記載の方法。
(項目12) 前記アセンブリヘッドが、インクジェットプリンターヘッドであって、そして前記作動工程が、該プリンターヘッドを作動する工程を包含する、項目7に記載の方法。
【0007】
操作において、このアセンブリは、1つのアレイ領域の1つの試薬領域から隣接するアレイ領域の対応する試薬領域へ、アセンブリヘッドを進行させ、かつ、隣接するアレイ領域の対応する選択された試薬領域に隣接するアセンブリヘッドを配置し、それによって、隣接するアレイ領域のその選択された位置での堆積のために、各アセンブリを配置するのに有効な増分距離を、連続的に、進行させられる。この操作は、各アレイ領域の唯一の領域での堆積のために、各ヘッドを連続的に配置するのに有効である。
【0008】
ある一般的な実施態様では、このアセンブリは、アレイ領域のその列の方向に進行し、そしてこのアセンブリにおけるヘッドとヘッドの間隔は、(i)すぐに隣接するアレイ領域においての対応する試薬領域間の間隔と(ii)1つのアレイ領域の1つの列の選択された試薬領域間の間隔の合計または差異に等しい。この実施態様は、2次元アレイの分配ヘッドを有するアセンブリを用いて実行され得、これによって、2次元マイクロアレイは並列堆積により形成され得る。
【0009】
この装置の別の一般的な実施態様では、このアセンブリは、そのアレイ領域の列と垂直な方向に進行し、このアセンブリの分配ヘッドは、軸に沿って、すなわち、アセンブリの移動方向と角をなして配置されている。
【0010】
この分配ヘッドは、マイクロタイタープレートのウェルに、同時に少し挿入する(dip)ために間隔をあけられているピンであり得る。ここでこのピンに試薬を供給する構造体は、このアセンブリのピンが、このプレートの選択されたウェルに少し挿入される位置と、基板上に試薬を堆積するための位置との間を、移動させるための構造体を備える。別の実施態様では、このアセンブリヘッドがインクジェットプリンターヘッドであり、そしてその供給構造は、このプリンターヘッドを作動させるための構造をそなえる。
【0011】
本発明はまた、複数のアレイの試薬領域を作製するための方法に関し、ここで各アレイはN>1個、すなわち2個以上の試薬領域の列を含む。この方法は、複数のアレイ領域に仕切られ得る基板をワークステーションに配置する工程、およびN個の分配ヘッドの列(各々が、異なるアレイ領域のN個の異なる試薬領域から選択された1つで試薬を堆積させるために配置されている)を有する分配アセンブリをこの基板の上で進行させる工程を包含する。この進行工程は、あるアレイ領域のある試薬領域から隣接するアレイ領域の対応する試薬領域へアセンブリヘッドを進行し、これによって1つのアレイ領域における選択された領域での堆積のために各アセンブリヘッドが配置されるのに有効な増分距離で実行される。各々の新規な位置において、このアセンブリヘッドはそのアレイ領域の試薬領域上にて試薬の堆積をするために作動される。この進行工程およびヘッドの作動工程は、そのアレイ領域の選択された列のすべての試薬領域が、その上に堆積された試薬を有するまで反復される。
【0012】
1つの方法において、そのアセンブリはその列の方向に進行する。この方法では、このアセンブリにおけるヘッドとヘッドの間隔は、(i)すぐに隣接するアレイ領域の対応する試薬領域の間の間隔、および(ii)1つのアレイ領域の1つの列における選択された領域の間の間隔の合計あるいは差異に等しい。この方法は、2次元アレイの分配ヘッドを有するアセンブリを用いて実行され得、2次元マイクロアレイが並列堆積によって形成されるのを可能にする。
【0013】
この方法の別の実施態様において、このアセンブリは、そのアレイ領域の列と垂直な方向に進行し、このアセンブリの隣接するヘッドは、アセンブリの移動方向と角をなす軸に沿って配置されている。
本発明のこれらのおよびその他の目的および特徴は、以下の本発明の詳細な説明が添付の図面と共に読まれれば、より完全に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1Aおよび1Bは、複数の2次元アレイ領域を示す基板の一部の平面図(1A)であり、そして1つのアレイ領域の拡大図であり、これはこのアレイ上の意図される堆積領域を示す(1B)。
【図2】図2は、本発明に従って構築された装置の部分的概略図である。
【図3】図3は、本発明のヘッドアセンブリの一部の側面図であり、マイクロタイタープレートのウェルを用いての記載で示されている。
【図4】図4A〜4Cは、複数のアレイ領域上での一連の堆積工程を図解しており、本発明の1つの一般的な実施態様に従って、アレイ上における同時堆積を例証している。
【図5】図5は、基板上のいくつかのアレイ領域にわたる堆積位置に配置された、2次元分配ヘッドアセンブリの一部の平面図であり、本発明の1つの一般的な実施態様に従っている。
【図6】図6は、2次元アレイを形成する際に使用される堆積パターンでの開始工程を図解している。
【図7】図7は、本発明の第2の一般的な実施態様に従って構築されたマルチヘッドアセンブリ、およびこのアセンブリが上を移動する基板のアレイ領域の斜視図である。
【図8】図8Aは、基板の上のアセンブリの移動方向とこのアセンブリのヘッドの軸との間の、その角をなした関係を図解している。図8Bおよび図8Cは、複数のアレイ領域上における堆積の異なる段階を図解しており、本発明の第2の一般的な実施様態に従っている。
【図9】図9は、図8Bに示された基板領域の拡大平面図であり、本発明の第2の一般的な方法に従って構築されたアセンブリの隣接する分配ヘッドの間の間隔を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、試薬領域の複数のアレイを作製するために設計されて、ここで各アレイは、領域と領域の間の選択された間隔を有するN>1個(すなわち2個以上、好ましくは8個以上)の試薬領域の列を有する。代表的な実施様態においては、そのアレイはM列の2次元アレイであり、各列はN個(またはNカラム)の試薬領域を有し、例えば8×12のアレイである。
【0016】
アレイは、複数のアレイ領域(例えば方形領域12、14)に仕切られ得る基板10(図1A)上に形成される。各アレイ領域で形成される代表的アレイの例として、図1Bは、12×8個の試薬領域のアレイ(例えばアレイ12に第1列20を形成する領域18)、およびこのアレイの5〜7列にある領域22のような領域を示す。本明細書で使用される場合、用語「列」は、一般的に、形成された領域の第1列を意味するために使用される。
【0017】
このアレイを作製するための装置は、図2の26に概略的に図解されている。この装置は、その基板(この場合、基板10)を保持するためのワークステーション28を備える。また図2に示されるのは、複数のウェル(例えばウェル34、36)を備えるマイクロタイタープレート30である。各ウェルは、形成される各アレイのある領域に堆積される試薬を収容するように設計されている。好ましくは、このプレートは、各アレイのM×N個の領域に対応するM×N個のウェルのアレイを備える。
【0018】
この装置の分配アセンブリ36は、分配ヘッド(例えばヘッド38、40)の列を備える。これらのヘッドは、アレイの列の領域と領域の間隔よりも実質的に大きい、有効なヘッドとヘッドの間隔「d」によって、お互いから間隔をあけられている。代表的には、アレイのこの領域と領域の間隔は、約0.1〜1mmであるのに対し、このアセンブリの隣接するヘッドの間の間隔は、代表的には1cm以上である。例示されたこの実施様態では、そのアセンブリヘッドの間隔「d」は、プレート30の隣接するウェルの間の間隔「d」に等しい。示されていないが、このアセンブリは、好ましくは2次元アセンブリのヘッドであり、プレート30のM×N個のアレイのウェルの数と間隔に対応する、M×N個のアレイのヘッドを有する。
【0019】
ロボットアームあるいは軌道の構造体(矢印42で図示されている)は、液体吸い上げ位置の間を図3に図示されているように、このアセンブリを移動させるために設計されている。図3に示されるように、各ヘッド(例えばヘッド8、40)は、分配ピン(例えば、それぞれピン38a、40a)を備える。このピンは、関連するウェル(例えばウェル34)に少し挿入されて、そのヘッドへ選択されたウェルの試薬を汲み上げる(例えば、毛管現象によって)。
【0020】
液体の汲み上げ後、次にこのアセンブリは、このアセンブリヘッド内の試薬をその基板領域上に分配するために、以下に記載される様式で、ワークステーションの上にある位置に移動される。構造体42およびプレート30もまた、この分配ヘッドへと選択された試薬を供給し、それらのヘッドからアレイ基板上へ試薬を堆積させるための手段として、ひとまとまりに本明細書で言及されている。示されるこの実施様態では、試薬の供給は受動的である(例えば毛管での汲み上げによる)。例えば、分配ヘッドが、搭載された貯蔵所からの、あるいは個々の試薬源からチューブを通ってのインクジェットプリンターヘッドサプライである、別の供給手段が予期されることは明らかである。
【0021】
この装置はまた、アセンブリをワークステーション上で連続的かつ増分的に、基板上のアレイ領域に関する選択された堆積位置へ、移動させるための構造体(矢印44によって示される)を備える。この構造体は、ロボットアーム構造体あるいは従来のトラック(track)構造体であり得、これらはX軸(形成されるアレイの列の方向)に沿ってあるいはX軸およびY軸の両方(形成されるアレイの列およびカラムの方向)に沿って、既知の増分距離だけアセンブリを移動させるよう設計されている。選択された移動距離および移動のパターンは、図4および図5に関する以下の議論から明らかである。構造体44はまた、アセンブリを進行させるための手段として、本明細書中に述べられている。
【0022】
構造体42および44は、各々、制御装置46に操作可能に連結されていて、これは(i)アセンブリヘッドへの液体試薬の供給、および(ii)選択されたアレイ領域位置での選択された試薬の堆積、についてのアセンブリの操作を制御する。
【0023】
図4A〜4Cは、本発明の2つの重要な特徴を図示する:(i)分配アセンブリにおける隣接するヘッドの間の間隔と、隣接するアレイ領域と基板上のアレイにおける隣接する領域の間との間隔の間の関係;ならびに(ii)並行な、いくつかの異なるアレイ領域での基板上の堆積領域におけるアセンブリの連続的増分移動。このアセンブリ(図では50で示される)は、5つの分配ヘッド52、54、56、58、60を備えており、そして基板61上の、領域62、64、66、68、70のような各アレイ領域(領域70におけるアレイ72のような、5つの領域の直線アレイ)において堆積するように設計されている(アセンブリヘッドの数およびアレイの数は、アセンブリ操作の記述を簡単にするために、上記の12×8のアレイから減少させてある)。
【0024】
図4Aに見られるように、隣接するアセンブリヘッドの分配ピンの間の距離「d」は、領域62、64のような隣接するアレイ領域における、対応する第1位置領域(例えば領域73、74)の間の距離「d」、および領域64のようなアレイ領域内の領域74、76のような隣接する領域の間の距離「d」の合計に等しい。従って、アセンブリが、領域(例えば領域62)における第1位置領域での堆積のためにヘッド52を配置する位置へ移動させられる場合、ヘッド54は、すぐに隣接するアレイ領域における第2位置領域での堆積のために配置され、ヘッド56は、次にすぐに隣接するアレイ領域などにおける第3位置領域での堆積のために配置されて、結果として、各ヘッドからの堆積が、連続するアレイ領域上に並列に、そして各アレイ内で連続する領域で、生じている。
【0025】
図4Aに示された堆積の後、アセンブリはここでは左に距離「d」移動させられて(図4B)、ヘッド52(示されず)を次に左に隣接する領域に、第1位置領域での堆積のためにその領域へ配置する;ヘッド54を領域62における第2位置領域での堆積のために配置する;ヘッド58を領域64における第3位置領域に配置する;以下同様。従って、各ヘッドは、各アレイにおける同じ位置領域で同じ試薬を堆積している。
【0026】
このアセンブリの移動は、距離「d」の連続する増分で、この様式で、図4Cに図示されるように、基板上のアレイ領域各々が完全な5つの領域のアレイを有するまで、続けられる。もしアレイ領域の総数がTであり、そして各アレイ上にN個の領域が存在するならば、総数T×N個の個々の領域の堆積がなされる。これには、T+2(N−1)の総増分移動が必要であり、ここでこの2(N−1)という用語は、基板領域「の上での歩き(walk onto)」そして「立ち去る(walk off)」ために必要とされるアセンブリの移動数を表す。
【0027】
上記に例示した実施例では、第1のヘッドは列における第1位置に試薬を堆積するために配置され、第2のヘッドは列における第2の位置で試薬を堆積するために配置され、以下同様である。この実施態様では、ヘッドとヘッドの間隔の開いたアセンブリは、(i)すぐに隣接するアレイ領域の対応する試薬領域間の間隔および(ii)あるアレイ領域のある列における隣接する試薬領域間の間隔の合計に等しい。さらに一般的には、アセンブリの分配ヘッドは、選択された試薬を異なる(好ましくは隣接する)アレイ領域におけるN個の異なる試薬領域の選択された1つに堆積するために、そのように配置されている。従って、間隔に必要とされることは、隣接するヘッドが、(i)すぐ隣接するアレイ領域の対応する試薬領域間の間隔と(ii)あるアレイ領域のある列における選択された試薬領域間の間隔との合計または差異に等しい距離だけ、お互いから間隔をあけられていることのみである。
【0028】
再び装置26に関して、図5は、アセンブリアレイにおける隣接するヘッド(例えば列76におけるヘッド38、40)、および隣接する列における隣接する列(例えば列76、80におけるヘッド38、78)の間の相対的な間隔を示している。示されるこの実施態様では、列における隣接するヘッドは、図のX(水平)軸に沿って隣接するアレイ領域における対応する領域の間の距離に、アレイ内でX軸に沿って隣接する領域の間の距離を加えたのに等しい距離だけ、お互いから間隔をあけられている。同様に、アセンブリのカラムにおいて隣接するヘッドは、図のY(垂直)軸に沿って隣接するアレイ領域における対応する領域の間の距離に、アレイ内で隣接する領域の間のY軸に沿った距離を加えたのに等しい距離だけ、お互いから間隔をあけられている。従って、列の76におけるヘッドは、各アレイの第1列(図の最も下の列)における試薬位置で試薬を堆積するために配置されており、列80におけるヘッドは各アレイの第2列における試薬位置で試薬を堆積するために配置されており、以下同様である。最も一般的な場合において、ヘッドの隣接する列の間の間隔は、例えば各アレイにおいて選択された列に沿って堆積するためにヘッドの各列にヘッドを配置するためであることが、認識される。図6は、ここに記載されたアセンブリが、どのように移動して、2次元で2次元アレイを形成し得るかを示す。この図は、アレイ領域の列(例えば列88における領域84、86)、およびアレイ領域のカラム(例えばカラム94における領域84、90、92)を有する基板82を示す。
【0029】
基板(1列のヘッドのみを含む)を横切る最初の完全な平行移動において、アセンブリは、最も下のアレイ領域(すなわち、図の列88)の最も上の列に沿って、試薬の列を堆積するために移動させられるが、ここで移動および試薬領域の配置の方向は、実線96によって示されている。アセンブリは、次いで反対の方向に移動させられて、ヘッドの2つの列からの同時堆積によって、1番下のアレイ領域から2番目の最も上の列(すなわち領域90を含む列)に沿って試薬の列98を、そして最も下のアレイ領域の一番上の隣の列に第2列100を堆積する。基板を横切るアセンブリ次の完全な平行移動は、102、104、106で示される3つの列を生成する。このプロセスは、M×Nのアレイの全体における基板上のアレイの領域の各々が、満たされるまで反復される。
【0030】
図7〜9は、本発明の別の実施様態に従って構築された装置の特徴を示す。この実施態様では、分配ヘッドアセンブリ(図7において115で示される)は、作製されている試薬領域の列の方向(図2の実施態様で示されるように)よりもむしろ、作製されている試薬領域の列と垂直な方向に進行させられる。アセンブリの移動方向は、図8Aにおいて線116によって示されており、アセンブリ堆積によって満たされる列は、垂直に配置された列(例えば図7および8Bにおける領域122、124の列118、120)である。
【0031】
図に示されるように、アセンブリの隣接するヘッド(例えばヘッド108、110)は、隣接するアレイ領域(例えば領域122、124)でかつ、対応する隣接する列位置(例えば領域122の第1列位置および領域124の第2列位置)、にある試薬領域(例えば図9の領域126、128)で試薬を堆積するために配置されている。続けて図9に関して、アセンブリの隣接するヘッド間の距離「d」は、隣接するアレイ領域の対応する領域(例えば、領域122、124)間の距離「d」、および列において隣接する領域間の距離「d」に関連する。具体的には、距離「d」は、直角三角形の関係によって定義され、d+dの平方根に等しい。この装置の別の特徴は、図2において装置26に対して記載されたのと同様である。
【0032】
操作において、アセンブリ115は、図8Aにおいて、左から右の方向に移動させられ、それは第1アセンブリヘッドを各連続アレイ領域の列の第1位置、第2ヘッドを隣接する列の第2位置と配置する(以下同様)増分で行われる。図8Bは、図における下から上へ方向での各アレイの第1カラムを満たすためのこの操作を示す。示された段階において、最も左のアレイ列は完全に満たされている。6回の増分移動の後(図8C)、示されるように、最初の6アレイ列は完全に満たされていて、そして右の6アレイ領域群は、6〜11領域の間で部分的に満たされている。この操作は、全てのアレイ領域において全ての第1列が満たされるまで、反復される。最初の実施態様に示したように、この操作を完了するために必要とされるアセンブリ工程の数は、T+2(N−1)であり、ここでこの2(N−1)という用語は、基板領域「の上での歩き」そして「立ち去る」ために必要とされるアセンブリの移動数を表す。
【0033】
第2のアセンブリヘッドは、第2列で試薬を堆積するため、第3試薬ヘッドは第3列のために(以下同様)、基板上の各アレイが満たされるまで使用される。
【0034】
本発明を、特定の実施態様および方法に関して記載したが、本発明から逸脱することなく、種々の変更および改変がなされ得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−139512(P2010−139512A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51157(P2010−51157)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願2000−518787(P2000−518787)の分割
【原出願日】平成10年10月30日(1998.10.30)
【出願人】(509130413)アプライド バイオシステムズ, エルエルシー (48)
【Fターム(参考)】