説明

アレルギー治療用低アレルゲン性ハイブリッドポリペプチド

本発明は、低アレルゲン性ポリペプチドの同定方法、および低アレルゲン性ポリペプチドを同定するためのスクリーニング方法に関する。さらに本発明は、本発明の方法により同定される低アレルゲン性ポリペプチド、ならびにこれらのポリペプチドの予防的および治療的使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
花粉症(Allergy to grass pollen)を患う人は世界人口の10%以上にのぼっている。本明細書において、4つの主要なオオアワガエリ花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6由来の成分から構築した低アレルゲン性の組換えハイブリッド分子に基づく、花粉症治療用ワクチンの開発について記載する。この4つのアレルゲンのビルディングブロックおよびその組み合わせをコードするコドン最適化合成遺伝子を、エピトープマッピング解析および構造データに従って設計し、大腸菌で発現させた。17種類の組換えハイブリッド分子をアフィニティークロマトグラフィーにより精製し、発現量、純度および折り畳み(fold)、溶解度および低アレルゲン性に関して評価した。上記の4つの花粉アレルゲン由来の成分を組み合せたハイブリッド分子の中から低アレルゲン性ハイブリッド分子が4種類同定され、この4種類は、異なる動物モデルを免疫した際にいずれのモデルでも、アレルギー患者由来IgEの花粉アレルゲン認識を阻害するIgG抗体を誘導することが確認された。これらの低アレルゲン性ハイブリッド分子は、花粉症の免疫療法に用いる安全なワクチンとして提供される。
【0002】
IgE型アレルギーは、有病率が増加の一途をたどっている世界的な健康問題の1つである(1)。アレルギー性疾患は、主に花粉、ダニ、動物ふけやカビに由来する環境アレルゲンに対して特異的なIgE抗体が産生されることが特徴である(1)。肥満細胞または好塩基球の表面の受容体に結合したIgE同士が、多価性のアレルゲンを介して架橋を形成すると、炎症性メディエータが放出され、アレルギー症状が現れる(2)。また、抗原提示細胞の表面に存在するFcεRIおよびFcεRIIを介した抗原提示が、IgEによって促進されると、T細胞媒介性アレルギー性炎症に関与するアレルゲン特異的T細胞の活性化が増強される(3、4)。現在、アレルゲン特異免疫療法は、アレルギーに対して長期間にわたり効果をもたらすことのできる唯一の原因療法であるが、粗製アレルゲン抽出物を使用するとその効果は妨げられる(5、6)。このような調製物には、アレルゲン性成分および非アレルゲン性成分が様々な量で含まれるため、生物活性を有する化合物が存在すると、副作用としてアナフィラキシー反応が起こるリスクが高くなる。また、臨床的に関連のあるアレルゲンの免疫原性が消失または低下している場合、抽出物から作られるワクチンの効力は弱くなる(7)。アレルゲンの性状解析は、ここ20年間で、免疫化学や分子生物学の手法により大きく進展し、今日、最も一般的で最も重要なアレルゲンについては、その構造や免疫学的特性がすでに明らかになっている。天然のアレルゲンと非常に類似した特性を持つ組換えアレルゲンが作製されており、現在、これらの組換えアレルゲンをアレルギーの診断や治療に用いることが可能である(5)。また、免疫学上有益な特性を持つアレルゲン誘導体が組換えにより作製できることも示されている(8)。免疫療法による治療経過中のIgEによる副作用を回避するために、低アレルゲン性のアレルゲン変異体が作製されており、IgE結合能が大幅に低減したBet v1由来の組換えフラグメントは、既に臨床試験で用いられている(9)。異なるアレルゲンの組み合わせからなるハイブリッド分子は、各アレルゲン単独よりも高い免疫原性を有することが示されている(10〜12)。
【0003】
リンハルトらは、2つの主要な花粉アレルゲンPhl p2およびPhl p6それぞれの低アレルゲン性誘導体(すなわちPhl p2のモザイク分子およびPhl p6の欠失変異体)を組み合わせることにより、高い免疫原性を有する低アレルゲン性ハイブリッド分子を作製したが(参考文献21)、先行するデータ(参考文献15、17)を踏まえると、予想外のものでもない。
【0004】
本発明者らは、ハイブリッド技術とモザイク技術を組み合わせても、常に低アレルゲン性分子の創製につながるわけではないことを見出した。驚くべきことに、構成するフラグメントが同一であってもその結合順序が異なる2つの融合ポリペプチドは、極めて異なるIgE反応性を示したのである。従って、本発明は、ワクチンとして役立つ可能性を有する低アレルゲン性ポリペプチドの同定方法を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
a)少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来するN個のフラグメントを含むポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつNが3より大きい整数であるポリペプチドで構成されるポリペプチド群を準備する工程;
b)前記ポリペプチドのIgE反応性を判定する工程;
c)前記ポリペプチドのT細胞反応性を判定する工程;
d)前記ポリペプチドが前記アレルゲンに対するIgG応答を誘導することが可能か否かを判定する工程;
e)前記ポリペプチドが、アレルギー患者由来IgEの前記アレルゲンへの結合を阻害する防御性IgG応答を誘導することが可能か否かを判定する工程;および
f)前記ポリペプチドの中から、(i)前記アレルゲンのいずれか1つよりもIgE反応性が低く、(ii)T細胞反応性を示し、(iii)1以上の前記アレルゲンに対するIgG応答を誘導することが可能であり、かつ(iv)アレルギー患者由来IgEの前記アレルゲンへの結合を阻害する防御性IgG応答を誘導することが可能であるポリペプチドを選択する工程
を含む、低アレルゲン性ポリペプチドの同定方法に関する。
【0006】
本発明の一実施形態において、前記ポリペプチド群内の少なくとも2つのポリペプチドは、それぞれ同一のフラグメントを含むもののその結合順序が異なる。
【0007】
本発明の別の実施形態において、前記ポリペプチド内のフラグメントはいずれも、それぞれ20〜100個のアミノ酸で構成されている。
【0008】
本発明の別の実施形態において、前記ポリペプチドは、2つの異なるアレルゲンに由来する4〜12個のフラグメントからなる。
【0009】
本発明の別の実施形態において、本発明の方法は、工程(a)で準備したポリペプチドの二次構造を決定して、ランダムコイル構造を示すポリペプチドを選択する工程をさらに含む。
【0010】
本発明の別の実施形態において、前記アレルゲンは、花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p3、Phl p4、Phl p5、Phl p6、Phl p7、Phl p11、Phl p12およびPhl p13からなる群より選択される。
【0011】
本発明の別の実施形態において、各フラグメントは、配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる。
【0012】
本発明の別の実施形態において、前記ポリペプチド群内の少なくとも1つのポリペプチドは、配列番号21〜37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
本発明の別の態様は、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含む低アレルゲン性ポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ少なくとも1つのフラグメントがPhl p1、Phl p5、Phl p2またはPhl p6に由来する低アレルゲン性ポリペプチドである。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含む低アレルゲン性ポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ各フラグメントが配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる低アレルゲン性ポリペプチドである。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記低アレルゲン性ポリペプチドは、配列番号22、23、24、25、36および37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
本発明の別の実施形態において、前記低アレルゲン性ポリペプチドは、配列番号39、40、41、42、53および54からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる。
【0017】
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドおよび薬学的に許容される希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物である。
【0018】
本発明の別の態様は、アレルギー、好ましくは花粉症を予防および/または治療する医薬を製造するための本発明のポリペプチドの使用である。
【0019】
本発明の別の態様は、本発明のポリペプチドをコードする核酸である。
【0020】
本発明のさらなる別の態様は、治療上有効な量の本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを、それを必要とする個体に投与する工程を含む、アレルギー性疾患を予防および/または治療する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】主要なオオアワガエリ花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6由来のアレルゲンフラグメントを組み合わせたハイブリッド分子の構造を示した図である(実施例1を参照)。
【図2】精製ハイブリッドタンパク質A〜Qを含むPAAゲルをクマシーで染色した図である(実施例1を参照)。左余白に分子量を示す(レーンm:分子量マーカー)。
【図3】水に溶解したタンパク質B、C、PおよびQの遠紫外線CDスペクトルを示した図である。この遠紫外線CDスペクトルは、Jasco J−810分光偏光計(Japan Spectroscopic、東京、日本)を用いて収集した(実施例2を参照)。
【図4】3名の典型的な花粉症患者における、ニトロセルロースに吸着したハイブリッドタンパク質およびコントロールタンパク質に対するIgEの反応性を示した図である(実施例3を参照)。
【図5】野生型アレルゲンと比較してハイブリッドタンパク質のアレルゲン性が低減していることをCD203c発現により確認した図である(実施例4を参照)。
【図6】Phl p1とPhl p5との混合物、Phl p2とPhl p6との混合物、BとCとの混合物、PまたはQで免疫したマウスにおけるIgGの反応性を示した図である。Phl p1、Phl p2、Phl p5、Phl p6のそれぞれに対する特異的IgG1抗体の量の推移をELISA法により比較した(実施例6を参照)。
【図7】実施例7の結果を示した図である。B、C、PまたはQで免疫したウサギにおけるIgGの反応性、すなわち野生型アレルゲンPhl p1(図7A)、Phl p5(図7B)、Phl p2(図7C)、Phl p6(図7C)のそれぞれに対するIgG抗体応答を示した図である。
【図8】B、C、PまたはGPH(参考文献11に記載の花粉アレルゲン由来ハイブリッド)で免疫したウサギにおけるIgGの反応性、すなわち野生型アレルゲンPhl p1に対するIgG抗体応答を示した図である(実施例8を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の方法は、低アレルゲン性ポリペプチドの同定方法である。本発明の方法は、低アレルゲン性ポリペプチドを同定するためのスクリーニング方法でもある。本明細書における「低アレルゲン性」とは、IgE反応性およびIgEによる肥満細胞または好塩基球の脱顆粒を誘導する能力が低減していることを意味する。
【0023】
本発明の方法は、第1の工程において、ポリペプチド群を準備する。前記ポリペプチド群内のポリペプチドは、それぞれ独立して、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来するN個のフラグメントを含む。
【0024】
ポリペプチド
前記ポリペプチド群は、少なくとも2つの異なるポリペプチドからなる。前記ポリペプチド群は、2〜100、好ましくは3〜75、より好ましくは4〜50、最も好ましくは5〜30の異なるポリペプチドからなることが好ましい。
【0025】
前記ポリペプチドは、それぞれ独立して、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来するN個のフラグメントを含むか、該フラグメントからなる。Nは3より大きい整数であり、好ましくは4〜25、より好ましくは4〜20、さらに好ましくは4〜15、最も好ましくは4〜10(例えば、4、5、6、7、8、9または10)である。前記ポリペプチド群内のポリペプチドは、それぞれ同一または異なる数のフラグメントを含んでもよく、該フラグメントからなってもよい。すなわちNは、前記ポリペプチド群内のポリペプチド間において同一であっても異なっていてもよい。ポリペプチド内の各フラグメントはすべて異なることが好ましい。
【0026】
各フラグメントは、アレルゲンのアミノ酸配列における少なくとも8個、好ましくは8〜100個、より好ましくは10〜90個、さらに好ましくは12〜80個、さらに好ましくは15〜70個、さらに好ましくは20〜60個の連続するアミノ酸からなる。
【0027】
本発明において準備するポリペプチドは、前記アレルゲン由来のアミノ酸配列のみで構成されるものに限定されない。フラグメント(異なるアレルゲン由来の連続するアミノ酸配列からなるフラグメント)間に、外来の配列(例えば、スペーサー配列)が挿入されていてもよい。また前記ポリペプチドは、宿主細胞で発現させた際にポリペプチドの精製を容易にするためのタグ配列を含んでいてもよい。このようなタグ配列の例としては、ヘキサヒスチジンタグが挙げられ、ヘキサヒスチジンタグによってNi2+キレートクロマトグラフィーによる精製が可能になる。その他のタグは当業者に公知である。さらに前記ポリペプチドは、宿主細胞で発現させた結果、1番目のアミノ酸として外来のメチオニン残基が付加されていてもよい。前記ポリペプチドのN末端領域が、アレルゲンの内部フラグメントまたはC末端フラグメントである場合、同様のメチオニン付加がしばしば起こる。
【0028】
本発明の一実施形態において、前記ポリペプチドは、以下の(I)〜(VII):
(I) Met−F1−F2−...−FN−tag、
(II) Met−F1−F2−...−FN、
(III) F1−F2−...−FN−tag、
(IV) Met−tag−F1−F2−...−FN、
(V) tag−F1−F2−...−FN、
(VI) tag−F1−F2−...−FN−tag、および
(VII) F1−F2−...−FN
のいずれかの構造で構成されていてもよい。上記式中、MetはN末端メチオニン残基を示し、F1、F2およびFNは、それぞれ第1、第2および第Nフラグメントを示し、tagはタグ配列(例えば、ヘキサヒスチジンタグ((His)))を示す。これらの実施形態(I)〜(VII)において、フラグメント間に外来のアミノ酸は存在しない。すなわち、F1−F2−...−FNは、アレルゲンフラグメントが連続する配列である。本発明の他の実施形態において、フラグメント間に1以上(例えば、1、2または3)の外来アミノ酸が存在してもよいが、存在しない方が好ましい。
【0029】
本発明のポリペプチドは、種々の方法により作製することができる。本発明の一実施形態において、ポリペプチドは、ポリヌクレオチドを宿主細胞で発現させることにより作製される。宿主細胞は、原核細胞でも真核細胞でもよい。原核細胞を使用する場合、宿主細胞として好ましい細胞は大腸菌である。真核細胞としては、酵母、昆虫細胞またはCHO細胞などの細胞株などが挙げられる。本発明のポリペプチドをコードする適切なポリヌクレオチドを宿主細胞へ導入し、これを目的のポリペプチドが細胞内で発現されるような条件下で培養する。目的のポリペプチドは、細胞から分泌されるか、細胞内に蓄積される。細胞または培地から目的のポリペプチドを回収するために、公知の精製手法を用いることができる。
【0030】
本発明の別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、例えば固相合成などの化学合成によって自体公知の手法に従って作製される。
【0031】
アレルゲン
本明細書における「アレルゲン」とは、アトピー性個体においてI型過敏性反応を誘発し得る物質を意味する。ほとんどのヒトでは、寄生虫感染への防御としてのみ、有意な免疫グロブリンE(IgE)応答が惹起される。しかし、一部の個体では、一般的な環境抗原に対してもIgE応答が惹起される。この遺伝的素因をアトピーと言う。アトピー性個体においては、寄生虫に由来しない抗原がIgEの異常産生を誘導するため、I型過敏症を発症する。
【0032】
本発明に係るアレルゲンには、動植物由来のアレルゲン(Allergomeデータベース: www.allergome.org)が包含される。前記アレルゲンは、通常、野生型アレルゲンである。前記アレルゲンとしては、アシブトコナダニ、ネッタイタマニクダニ、コナヒョウヒダニ、デルマトファゴイデス・ミクロセラス(Dermatophagoides microceras)、ヤケヒョウヒダニ、ユーログリファス・マイネイ(Euroglyphus maynei)、イエニクダニ、サヤアシニクダニ、ケナガコナダニ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、ナミテントウ、アーカエオポタモビウス・シビリエンシス(Archaeopotamobius sibiriensis)、ブラインシュリンプ、シマイシガニ、ヨーロッパエビジャコ、アメリカンロブスター、バナメイエビ、ヨシエビ、サガミイセエビ、ノーザンブラウンシュリンプ、ショウナンエビ、ウシエビ、ポンタスタカス・レプトダクティラス(Pontastacus leptodactylus)、ネッタイシマカ、ウスイロユスリカ、キロノムス・サミ・サミ(Chironomus thummi thummi)、台湾黒蚊、トリアトーマ・プロトラクタ(Triatoma protracta)、トウヨウミツバチ、オオミツバチ、セイヨウミツバチ、ボンブス・ペンシルバニカス(Bombus pennsylvanicus)、セイヨウオオマルハナバチ、ドリコベスプラ・アレナリア(Dolichovespula arenaria)、ドリコベスプラ・マクラータ(Dolichovespula maculata)、トビキバアリ、ポリステス・アヌラリス(Polistes annularis)、ヨーロッパアシナガバチ、ポリステス・エクスクラマンス(Polistes exclamans)、ポリステス・フスカタス(Polistes fuscatus)、フランスフタモンアシナガバチ、ポリステス・メトリカス(Polistes metricus)、ポリビア・ポーリスタ(Polybia paulista)、ポリビア・スクテラリス(Polybia scutellaris)、アカカミアリ、ヒアリ、ソレノプシス・リクテリ(Solenopsis richteri)、ソレノプシス・サエヴィスマ(Solenopsis saevissima)、モンスズメバチ、オオスズメバチ、ベスプラ・フラボピロサ(Vespula flavopilosa)、ヨーロッパクロスズメバチ、ベスプラ・マクリフロンス(Vespula maculifrons)、ウエスタン・イエロージャケット、ベスプラ・スクアモサ(Vespula squamosa)、ベスプラ・ビジュア(Vespula vidua)、キオビクロスズメバチ、鳩扁ダニ、オオギョウレツムシガ、ネコノミ、セイヨウシミ、ヨーロッパトノサマガエル、イヌ、ネコ、ウシ、カリフォルニアマイワシ、タラ、ニワトリ、アナウサギ、メカジキ、ウマ、メグリム、モルモット、ハツカネズミ、ドブネズミ、タイセイヨウサケ、アカトゲトサカ、スルメイカ、ヒメリンゴマイマイ、ミダノアワビ、アニサキス・シンプレクス(Anisakis simplex)、豚回虫、ナシ黒斑病菌、クラドスポリウム・クラドスポリオイデス(Cladosporium cladosporioides)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Cladosporium herbarum)、クルブラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、クロコウジカビ、ニホンコウジカビ、ペニシリウム・ブレビコンパクツム(Penicillium brevicompactum)、ペニシリウム・クリソゲヌム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・シトリヌム(Penicillium citrinum)、ペニシリウム・オキサリクム(Penicillium oxalicum)、フザリウム・カルモラム(Fusarium culmorum)、紅色白癬菌、トリコフィトン・トンスランス(Trichophyton tonsurans)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ボイジニ(Candida boidinii)、エピコッカム・パーピュラセンス(Epicoccum purpurascens)、ササクレヒトヨタケ、ミナミシビレタケ、ロドトルラ・ムシラギノサ(Rhodotorula mucilaginosa)、癜風菌、マラセチア・シンポディアリス(Malassezia sympodialis)、ヒノキ、スギ、アリゾナイトスギ、ホソイトスギ、マウンテンシダー、ケードネズ、ユニペルス・サビノイデス(Juniperus sabinoides)、エンピツビャクシン、ナツメヤシ、アスパラガス、サフラン、パイナップル、ハルガヤ、ギョウギシバ、オーチャードグラス、ヒロハノウシノケグサ、シラゲガヤ、オオムギ、ホソムギ、イネ、アメリカスズメノヒエ、オニクサヨシ、オオアワガエリ、ナガハグサ、ライムギ、セイバンモロコシ、コムギ、トウモロコシ、サンジャクバナナ、セロリ、ニンジン、ブタクサ、ブタクサモドキ、オオブタクサ、ハタヨモギ、ヒマワリ、レタス、カラシナ、セイヨウアブラナ、ヤセイカンラン、ブラッシカ・ラパ(Brassica rapa)、シロガラシ、テンサイ、シロザ、ノハラヒジキ、メロン、キウイフルーツ(Actinidia chinensisまたはActinidia deliciosa)、ブラジルナットノキ、ラッカセイ、ダイズ、レンズマメ、アオバナルーピン、エンドウマメ、インゲンマメ、リョクトウ、ヨーロッパハンノキ、シダレカンバ、セイヨウシデ、ヨーロッパグリ、ヘーゼルナッツ、ブラックウォルナット、カシグルミ、ホワイトオーク、ニチニチソウ、セイヨウトネリコ、ヨウシュイボタ、オリーブノキ、ヘラオオバコ、ゴマ、ライラック、アボカド、パラゴムノキ、メルクリアリス・アンヌア(Mercurialis annua)、トウゴマ、モミジバスズカケノキ、スズカケノキ、オランダイチゴ、カナムグラ、リンゴ、クロミグワ、カベイラクサ、ヒカゲミズ、アンズ、サクランボ、セイヨウスモモ、アーモンド、モモ、セイヨウナシ、ヨーロッパキイチゴ、インドナツメ、マスカット、カシューナットノキ、レモン、マンダリン、オレンジ、ライチ、ピスタチオ、トウガラシ、トマト、およびジャガイモなどから選択される1以上の種由来のアレルゲンが挙げられる。
【0033】
1以上のアレルゲンは、オオアワガエリ、シダレカンバ、ヤケヒョウヒダニ由来のアレルゲンであることが好ましく、オオアワガエリ由来のアレルゲンであることが最も好ましい。
【0034】
本発明の方法の好ましい実施形態において、フラグメントの起源であるアレルゲンはすべて、上記のリストに記載の1つの種に由来する。すなわち、この実施形態においては、異なる「起源であるアレルゲン」は、すべて同一の種に由来する。
【0035】
本発明における好適なアレルゲン群は、花粉アレルゲン、例えばオオアワガエリ由来のアレルゲンからなる。前記アレルゲンは、Phl p1、Phl p2、Phl p3、Phl p4、Phl p5、Phl p6、Phl p7、Phl p11、Phl p12およびPhl p13からなる群より選択されることが好ましく、Phl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6からなる群より選択されることが最も好ましい。これら選択され得る花粉アレルゲンのアミノ酸配列を、配列番号1〜10にそれぞれ示す。
【0036】
フラグメントの起源となり得る他の具体的なアレルゲンとしては、欧州特許第1817330(B1)号明細書に記載のものなども挙げられ、この文献は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0037】
前記ポリペプチド内のフラグメントは、少なくとも2つの異なるアレルゲン、好ましくは2〜10つの異なるアレルゲン、より好ましくは2〜5つの異なるアレルゲン(例えば、2、3、4または5つの異なるアレルゲン)に由来する。
【0038】
ある特別な実施形態において、前記ポリペプチド群は少なくとも2つのポリペプチドを含み、これらのポリペプチドは同一のフラグメントから構成されるもののその結合順序が異なる。
【0039】
IgE反応性の判定
本発明の方法は、さらなる工程において、前記ポリペプチドのIgE反応性を判定する。「IgE反応性」とは、広義には、ある物質のIgE抗体に対する結合能を意味する。より具体的には、本明細書における「IgE反応性」とは、前記ポリペプチドの、ポリペプチド内のフラグメントの起源である1以上のアレルゲンに対してアレルギーを示す個体由来のIgE抗体に結合する能力を表す。
【0040】
IgE反応性は、(1)フラグメントの起源である1以上のアレルゲンに対してアレルギーを示す個体の血清中のIgEと、(2)前記ポリペプチドとの結合の程度を求めることにより測定できる。このIgE反応性の測定は、参考文献(18)または(19)に記載の方法により行ってもよい。
【0041】
あるいは、IgE反応性およびアレルゲン性は、1以上の前記アレルゲンに対してアレルギーを示す個体より単離したヒト好塩基球表面のCD203cの発現量を調べることにより判定することもできる。実施例4および参考文献(20)を参照のこと。
【0042】
T細胞反応性の判定
本発明の方法は、さらなる工程において、前記ポリペプチドのT細胞反応性を判定する。本明細書における「T細胞反応性」とは、ある物質の、T細胞受容体に特異的に結合する能力を意味する。より具体的には、「T細胞反応性」とは、前記ポリペプチドの、T細胞の増殖を誘導する能力を表す。
【0043】
前記ポリペプチドのT細胞反応性は、
(1)フラグメントの起源である1以上のアレルゲンに対してアレルギーを示す個体より単離した末梢血単核細胞(PBMC)を準備し、
(2)このPBMCに含まれるT細胞の増殖の程度を求める
ことにより測定できる。実施例5および参考文献(16)を参照のこと。
【0044】
防御性IgG応答の誘導
本発明の方法は、さらなる工程において、前記ポリペプチドの、フラグメントの起源である1以上のアレルゲンに対してIgG応答を誘導する能力を判定する。この判定は、
(1)前記ポリペプチドで非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)を免疫し、
(2)この非ヒト哺乳動物における、フラグメントの起源である1以上の前記アレルゲンに対する特異的IgG抗体の増加量を求める
ことにより実施できる。測定するIgG抗体は、IgG1抗体が好ましい。工程(2)はELISA法により行われることが好ましい。実施例6を参照のこと。
【0045】
本発明の方法は、前記ポリペプチドが防御性IgG応答をどの程度誘導できるかを判定する工程をさらに含む。この工程は、
(1)前記ポリペプチドで非ヒト哺乳動物(例えば、マウス、ラットまたはウサギ)を免疫して、IgG抗体を含む組成物を準備し、
(2)前記ポリペプチド内のフラグメントの起源である1以上の前記アレルゲンに対してアレルギーを示す個体由来のIgE抗体を含む組成物を準備し、
(3)IgG抗体を含む前記組成物が、1以上の前記アレルゲンと前記IgE抗体との結合を阻害可能であるか否か、および/またはその阻害の程度を判定する
ことにより実施できる。
【0046】
この試験は、ELISA法により行われることが好ましい。例えば、フラグメントの起源である野生型アレルゲンをELISAプレートに固定し、このELISAプレートを、IgG抗体を含む前記組成物と接触させ、IgG抗体と固定化アレルゲンとを結合させる。洗浄後、ELISAプレートを、IgE抗体を含む前記組成物と接触させて、洗浄後、IgE抗体量を求める。実施例7を参照のこと。
【0047】
本発明のポリペプチドの選択
本発明の方法は、最終工程として、良好な特性を示しひいてはワクチンとしての利用可能性を有する有用なポリペプチドを選択する工程を含む。選択されるポリペプチドは以下の特性を有する必要がある:
(i)ポリペプチド内のフラグメントの起源であるアレルゲンの1以上よりもIgE反応性が低い;
(ii)T細胞反応性を有する;
(iii)ポリペプチド内のフラグメントの起源であるアレルゲンに対するIgG応答を誘導できる;かつ
(iv)ポリペプチド内のフラグメントの起源であるアレルゲンへのアレルギー患者由来IgEの結合を阻害する防御性IgG応答を誘導できる。
【0048】
上記の(i)に関しては、起源である少なくとも1つのアレルゲンより、対象のポリペプチドのIgE反応性が低い場合、そのポリペプチドは選択されるが、好ましくは、起源であるアレルゲンのいずれと比較しても対象のポリペプチドのIgE反応性が低い場合にのみ、そのポリペプチドは選択される。例えば、ポリペプチドがPhl p2およびPhl p5由来のフラグメントからなる場合、選択されるためには、ポリペプチドのIgE反応性は、Phl p2より低くかつPhl p5より低くなければならない。
【0049】
選択されるためには、参考文献16および実施例4に記載されるような定量的IgE測定により求められるIgE反応性およびアレルゲン性が、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも90%低減していることが好ましい。
【0050】
必要条件(ii)に関しては、対象のポリペプチドがアレルゲン特異的T細胞の活性化を誘導できる(実施例5)場合のみ、そのポリペプチドは選択される。
【0051】
必要条件(iii)に関しては、対象のポリペプチドで免疫した際にアレルゲン特異的IgG応答を誘導できる(例えば、実施例6を参照のこと)場合のみ、そのポリペプチドは選択される。
【0052】
必要条件(iv)に関しては、対象のポリペプチドによる免疫化で誘導されたIgG抗体がアレルギー患者由来IgEの野生型アレルゲンへの結合を阻害できる(例えば、実施例7を参照のこと)場合のみ、そのポリペプチドは選択される。
【0053】
本発明の方法により同定される低アレルゲン性ポリペプチド
本発明は、さらなる態様において、本発明により同定・作製される低アレルゲン性ポリペプチドに関する。
【0054】
本発明の低アレルゲン性ポリペプチドは、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含んでもよく、該フラグメントからなってもよい。前記ポリペプチド内の隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ少なくとも1つのフラグメントはPhl p1またはPhl p5に由来する。フラグメントの数はN個であってもよく、Nは上記と同一の意味を有する。
【0055】
本発明の別の実施形態において、本発明の低アレルゲン性ポリペプチドは、少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含んでもよく、該フラグメントからなってもよい。前記融合ポリペプチド内の隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ各フラグメントは配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる。これらのアミノ酸配列は、本願実施例で使用したフラグメントに含まれる。フラグメントの数はN個であってもよく、Nは上記と同一の意味を有する。本発明の低アレルゲン性ポリペプチドは、以下の(VIII)〜(XIV):
(VIII)Met−F1−F2−...−FN−tag、
(IX)Met−F1−F2−...−FN、
(X)F1−F2−...−FN−tag、
(XI)Met−tag−F1−F2−...−FN、
(XII)tag−F1−F2−...−FN、
(XIII)tag−F1−F2−...−FN−tag、および
(XIV)F1−F2−...−FN
のいずれかの構造で構成されていることが好ましい。上記式中、MetはN末端メチオニン残基を示し、F1、F2およびFNは、それぞれ第1、第2および第Nフラグメントを示し、tagはタグ配列(例えば、(His))を示し、各フラグメントは配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる。通常、タグ配列は5〜10個のアミノ酸で構成される。
【0056】
本発明の低アレルゲン性ポリペプチドは、配列番号22、23、24、25、36および37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むことがより好ましい。これらのアミノ酸配列は、それぞれ構築物B、C、D、E、PおよびQに含まれる(実施例を参照のこと)。本発明の低アレルゲン性ポリペプチドは、以下の(XV)〜(XXI):
(XV)Met−SEQ−tag、
(XVI)Met−SEQ、
(XVII)SEQ−tag、
(XVIII)Met−tag−SEQ、
(XIX)tag−SEQ、
(XX)tag−SEQ−tag、および
(XXI)SEQ
のいずれかの構造で構成されていてもよい。上記式中、MetはN末端メチオニン残基を示し、SEQは配列番号22、23、24、25、36および37からなる群より選択されるアミノ酸配列を示し、tagはタグ配列(例えば、(His))を示す。通常、タグ配列は5〜10個のアミノ酸で構成される。
【0057】
本発明のポリペプチドは、配列番号39、40、41、42、53および54からなる群より選択されるアミノ酸配列からなっていてもよい。構築物B、C、D、E、PおよびQは、それぞれこれらのアミノ酸配列からなる(実施例を参照のこと)。これらの実施形態は前述の構造(VIII)または(XV)に相当する。
【0058】
本発明の方法に関する上記のすべての実施形態は、本発明の低アレルゲン性ポリペプチドに適用することが可能であり、逆もまた同様である。
【0059】
本発明のさらなる態様
さらに本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。遺伝子コードの縮重により、複数の異なるポリヌクレオチド分子が1種類のポリペプチドをコードする場合がある。本発明のポリヌクレオチドは、目的のポリペプチドを宿主細胞で発現させることにより取得するための発現用コンストラクトであることが好ましい。発現用コンストラクトは、プロモーター配列、抗生物質耐性因子をコードする遺伝子、複製開始点などの当技術分野で公知の構成要素をさらに含んでいてもよい。
【0060】
さらに本発明は、本発明のポリヌクレオチドがトランスフェクションされた細胞、または本発明のポリヌクレオチドで形質転換された細胞に関する。好適な細胞としては、真核細胞または原核細胞などが挙げられる。真核細胞にトランスフェクションする方法としては、リン酸カルシウム法によるトランスフェクション、エレクトロポレーション法、リポフェクション法などの当技術分野で公知の方法が挙げられる。
【0061】
さらに本発明は、本発明に係るポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは細胞を含む医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物は、1以上の薬学的に許容される担体または希釈剤(緩衝液や塩溶液など)をさらに含んでいてもよい。好ましくは、本発明の医薬組成物はワクチン組成物である。ある特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、水酸化アルミニウムなどのアジュバントをさらに含む。
【0062】
また本発明は、本発明のポリペプチドの調製方法に関する。この方法は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを準備する工程、該ポリヌクレオチドを宿主細胞へ導入する工程、得られた宿主細胞を目的のハイブリッドポリペプチドが発現される条件下で培養する工程、および前記細胞より発現産物を回収する工程を含む。前記ポリヌクレオチドは当技術分野で公知の方法により作製することができる。本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをPCR法によって作製することが好ましい場合もある。花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p3、Phl p4、Phl p5、Phl p6、Phl p7、Phl p11、Phl p12およびPhl p13のcDNA配列を、配列番号11〜20にそれぞれ示す。当業者であれば、これらの配列および本願の開示に基づいて、本発明のポリペプチドをコードする適切な核酸を容易に設計することができる。
【0063】
さらに本発明は、アレルギー性疾患を予防および/または治療する医薬を調製するための、本明細書に記載のポリペプチド、ポリヌクレオチドまたは細胞の使用に関する。このような医薬は、I型アレルギーのDNAワクチン接種にそのまま直接使用できる、ワクチンをコードするポリヌクレオチドで構成されていてもよい。現在免疫療法に慣例的に使用されているI型アレルギー性疾患の経口、舌下または非経口用治療製剤を調製するために、組換えまたは合成ポリペプチドを使用してもよい。製剤例としては、舌下免疫療法用の製剤、または注射免疫療法用のアジュバント結合型ハイブリッドポリペプチドなどが挙げられる。本発明のさらなる適用の可能性として、例えば樹状細胞やその他の抗原提示細胞などの細胞を用いた免疫療法の形態なども挙げられる。これらの細胞は形質転換体であり、in vivoにおいて抗原を発現する。好ましくは、適切なベクターにより形質転換されたオルソロガス(orthologous)な細胞を使用する。
【0064】
適用の一態様としては、アジュバント結合型ポリペプチドの皮下注射が挙げられる。別の可能性として、ポリペプチドの構成成分に対する免疫寛容またはアネルギーを誘導するために、ポリペプチドを経口投与または経鼻投与することも考えられる。すべての可能な製剤は、当業者に公知の基準(アジュバントの用量および用法に関する基準)に従って調製することができる。
【0065】
さらに本発明は、予防接種または寛容誘導に用いる医薬を調製するための、本明細書に記載のポリペプチド、または本明細書に記載のポリペプチドもしくは細胞の使用に関する。ハイブリッドポリペプチドの予防投与とは、個体、好ましくはI型アレルギーにかかったことのない子供に、ハイブリッドワクチンの構成成分に対する免疫寛容、アネルギーもしくは非応答性、または防御免疫の状態を誘導するために、ハイブリッドポリペプチドを投与することを意味する。このような状態への誘導は、すでに確定診断されているアレルギー性疾患を治療するために、種々のプロトコールによって達成してもよい。このような予防療法を、本明細書に記載のポリペプチドまたはポリヌクレオチドを用いて行ってもよい。
【0066】
本発明は、さらなる実施形態において、検体中のアレルゲン性タンパク質に対する抗体を検出するための、本明細書に記載のポリペプチドの使用に関する。抗体は、IgM、IgE、IgGまたはIgAであってもよい。抗体の検出には、体液より採取した検体中の抗体の濃度を測定してもよい。検体は、動物由来でもヒト由来であってもよい。このような試験は、液相に存在するポリペプチド、または固相に固定されたポリペプチドに基づいて行われる。このような試験の例としては、ELISA、ウェスタンブロット、または検体中の特異抗体に結合させるためにポリペプチドを固定化して行うその他の試験などが挙げられる。あるいは、例えば競合的免疫アッセイのように、抗体を含有する液に直接ポリペプチドを加えて特異抗体を吸着させてもよい。
【0067】
本発明のポリペプチドは、T細胞増殖実験などの細胞実験に使用してもよい。
【0068】
添付の配列表に記載のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列の概要:



【0069】
アミノ酸配列を示す配列番号1〜10において、シグナルペプチドを有する場合は、シグナルペプチドが欠失した成熟型ペプチドを示している。
【0070】
以下の実施例により、本発明についてさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0071】
以下の実験において、上記の手法は組み合わせることによって花粉のように複雑なアレルゲン物質にまで拡張可能であることを示す。本発明者らは、オオアワガエリ由来の4つの主要なアレルゲン(Phl p1、Phl p2、Phl p5、Phl p6)に基づく花粉症治療用ワクチンを作製した(13、14)。構造データおよびエピトープマッピング解析を参照して、これらのアレルゲンを低アレルゲン性のフラグメントに分割した。以下に、これらのフラグメントからそれぞれ異なる組み合わせで構成されるハイブリッドタンパク質の作製、その生化学的および免疫学的特性、ならびに花粉症ワクチン接種に用いる候補分子として4種類のハイブリッドタンパク質をどのようにして選択したかについて記載する。
【0072】
<実施例1>
ハイブリッド分子の設計、発現および精製
低アレルゲン性ハイブリッド分子を作製するために、主要なオオアワガエリ花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6由来のアレルゲンフラグメントを組み合わせて、図1に示すような17種類の異なるハイブリッド分子を設計した。設計した各タンパク質(A〜Qと記載する)のアミノ酸配列を表1に示す。P1MおよびP2Mは、以前に設計したアレルゲン誘導体(参考文献15、16)である。これらの配列はすべて、大腸菌発現用にコドン最適化されており、各配列の5’末端に開始コドン(ATG)が、3’末端に6×ヒスチジンタグ、次いで終止コドンが付加されている。ハイブリッド分子A〜Qをコードする遺伝子を、それぞれ発現ベクターpET17b(Novagen)にクローニングして、液体培養により大腸菌BL21(DE3)株(Stratagene)で発現させた。すべてのタンパク質をアフィニティークロマトグラフィーにより標準プロトコール(Qiagen)に従って精製した。発現したハイブリッド分子の純度をSDS−PAGEにより調べた(図2)。
【0073】
【表1】

【0074】
<実施例2>
ハイブリッド分子の二次構造の推定
ハイブリッド分子の二次構造を決定するために、タンパク質B、C、PおよびQをそれぞれ水に溶解し、各タンパク質の遠紫外線CDスペクトルをJasco J−810分光偏光計(Japan Spectroscopic、東京、日本)を用いて収集した。遠紫外線CDスペクトルの収集は、(16)の記載に準じて行った。二次構造を分析したところ、これらのハイブリッドタンパク質はすべて、ランダムコイル構造を示した。これは他の複数のアレルゲン誘導体においても以前に確認されている(18、19)。
【0075】
<実施例3>
ハイブリッド分子のIgE反応性
ハイブリッド分子のIgE反応性を調べるために、花粉症患者の血清からIgEを採取し、該IgEの、Phl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6由来のハイブリッド分子A〜Q、rPhl p1、rPhl p2、rPhl p5、rPhl p6、またはネガティブコントロールであるHSAに対する直接的な結合を、(18、19)に記載の非変性ドットブロット実験により調べた。花粉症患者のIgE抗体は、組換えタンパク質である「野生型」アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6には結合したが、コントロールタンパク質HSAには結合しなかった。一方、ハイブリッド分子A〜Qに対しては、意外にもそれぞれ異なる反応性を示すことが分かった。しかし、この異なる反応性を一次構造によって説明することはできなかった(例えば、ハイブリッドAとC、およびハイブリッドEとFは、それぞれ全く同一のアレルゲンフラグメントを含んでいるため)。
【0076】
<実施例4>
ハイブリッド分子B、C、PおよびQの低アレルゲン性
4つのハイブリッド分子B、C、PおよびQを選択し、これらについてさらなる解析を行った。IgE依存性のエフェクター細胞活性化に関するハイブリッドB、C、PおよびQのIgE反応性を判定するために、花粉症患者より単離したヒト好塩基球表面のCD203cの発現を調べた。CD203cは、ヒト好塩基球の活性化マーカーとして報告されており、受容体に結合したIgE同士がアレルゲンにより架橋を形成するとアップレギュレートされる(20)。図5に示すように、等モル量の野生型アレルゲンと比較して少なくとも10倍高い濃度のハイブリッド分子に対して、好塩基球は耐容性を示した(患者1〜12)。このデータは、4つのハイブリッド分子B、C、PおよびQのアレルゲン性が大幅に減弱していることを示唆するものである。
【0077】
<実施例5>
T細胞の増殖
ハイブリッド分子のT細胞反応性を評価するために、4名の花粉症患者より単離したPBMCを用いて、(16)の記載に準じてin vitro増殖実験を行った。ハイブリッド分子のアレルゲン性は減弱しているものの、野生型アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6のほとんどのT細胞エピトープは保存されていた(表2)。
【0078】
【表2】

【0079】
<実施例6>
ハイブリッド分子B、C、PおよびQによる免疫化は、野生型アレルゲンに対するIgG応答を誘導した
B、C、PまたはQによる免疫化で誘導されたIgG抗体が野生型アレルゲンrPhl p1、rPhl p2、rPhl p5およびrPhl p6を認識可能か否か判定するために、2つの異なる動物モデル(BALB/cマウスおよびウサギ)を使用した。Phl p1とPhl p5との混合物、Phl p2とPhl p6との混合物、BとCとの混合物、PまたはQでBALB/cマウスを免疫し、Phl p1、Phl p2、Phl p5、Phl p6のそれぞれに対する特異的IgG1抗体の量の推移をELISA法により比較した(図6)。ハイブリッドB+C、PおよびQは、Phl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6に対して特異的なIgG1抗体応答を誘導することが可能であり、その応答は、野生型アレルゲン自体による抗体応答よりも強力であった。
【0080】
B、C、PまたはQによる免疫化をウサギに対しても行い、ウサギにおけるアレルゲン特異的なIgG抗体応答の推移を調べた。ウサギ抗血清を段階希釈し、各希釈液中のPhl p1、Phl p2、Phl p5、Phl p6のそれぞれに対する特異的IgG抗体の有無をELISAにより調べた。構築物B、C、PおよびQは、野生型アレルゲンPhl p1(図7A)、Phl p5(図7B)、Phl p2(図7C)およびPhl p6(図7C)に対してIgG抗体応答を誘導することができた。
【0081】
<実施例7>
ハイブリッドアレルゲンB、C、PおよびQによる免疫化は、アレルギー患者由来IgEの野生型アレルゲンおよび花粉抽出物への結合を阻害する防御性IgG応答を誘導した
ハイブリッド分子B、C、PおよびQにより誘導されたIgG抗体が、花粉症患者由来IgEのrPhl p1、Phl p2、Phl p5、rPhl p6または天然由来の花粉抽出物への結合を阻害する能力を有するか否かを検討した。ELISAプレートに固定した天然由来の花粉抽出物と、抗Pおよび抗Qのウサギ抗血清混合物、抗B、抗Cおよび抗Qのウサギ抗血清混合物、Phl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6からなる花粉ハイブリッド(GPH)(参考文献11に記載)で免疫したウサギの抗血清、またはそれぞれの免疫前血清とをあらかじめインキュベーションして、ELISA阻害実験を行った。これらのウサギIgG抗体は、14名の花粉症患者由来IgEの花粉抽出物への結合を次の通り阻害した:P+Q:73%;B+C+Q:78%;GPH:75%(表3)。同様の実験を、ELISAプレートに固定したrPhl p1、rPhl p2、rPhl p5またはPhl p6を用いて行ったところ、平均阻害率は、Phl p1に対しては81〜94%(表4)、Phl p5に対しては86〜90%(表5)、Phl p2に対しては45%(表6)、およびPhl p6に対しては34%(表7)であった。
【0082】
【表3】

【0083】
【表4】

【0084】
【表5】

【0085】
【表6】

【0086】
【表7】

【0087】
<実施例8>
ハイブリッド分子B、CおよびPによる免疫化は、野生型アレルゲンPhl p1に対するIgG応答を誘導した
ウサギ抗血清を段階希釈し、各希釈液中のPhl p1特異的IgG抗体の有無をELISAにより調べた。構築物B、CおよびPは、野生型アレルゲンPhl p1に対するIgG抗体応答を誘導することができた。このIgG応答を、高い免疫原性を有する分子として報告されている、野生型アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p5およびPhl p6からなるハイブリッド分子(花粉ハイブリッド、GPH)(11)による免疫化で誘導されたIgG抗体量と比較した。驚くべきことに、CおよびPで免疫したウサギにおいて誘導されたPhl p1特異的IgG抗体の量は、GPHの場合の抗体量をさらに上回った。これらの結果を図8に示す。
【0088】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来するN個のフラグメントを含むポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつNが3より大きい整数であるポリペプチドで構成されるポリペプチド群を準備する工程;
b)前記ポリペプチドのIgE反応性を判定する工程;
c)前記ポリペプチドのT細胞反応性を判定する工程;
d)前記ポリペプチドが前記アレルゲンに対するIgG応答を誘導することが可能か否かを判定する工程;
e)前記ポリペプチドが、アレルギー患者由来IgEの前記アレルゲンへの結合を阻害する防御性IgG応答を誘導することが可能か否かを判定する工程;および
f)前記ポリペプチドの中から、(i)前記アレルゲンのいずれか1つよりもIgE反応性が低く、(ii)T細胞反応性を示し、(iii)1以上の前記アレルゲンに対するIgG応答を誘導することが可能であり、かつ(iv)アレルギー患者由来IgEの前記アレルゲンへの結合を阻害する防御性IgG応答を誘導することが可能であるポリペプチドを選択する工程
を含む、低アレルゲン性ポリペプチドの同定方法。
【請求項2】
前記ポリペプチド群内の少なくとも2つのポリペプチドが、それぞれ同一のフラグメントを含むもののその結合順序が異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリペプチド内のすべてのフラグメントが、それぞれ20〜100個のアミノ酸で構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、それぞれ独立して、2つの異なるアレルゲンに由来する4〜12個のフラグメントからなることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)で準備したポリペプチドの二次構造を決定して、ランダムコイル構造を示すポリペプチドを選択する工程をさらに含む先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記アレルゲンが、花粉アレルゲンPhl p1、Phl p2、Phl p3、Phl p4、Phl p5、Phl p6、Phl p7、Phl p11、Phl p12およびPhl p13からなる群より選択されることを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
各フラグメントが、配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリペプチド群内の少なくとも1つのポリペプチドが、配列番号21〜37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むことを特徴とする先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含む低アレルゲン性ポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ少なくとも1つのフラグメントがPhl p1またはPhl p5に由来する低アレルゲン性ポリペプチド。
【請求項10】
少なくとも2つの異なるアレルゲンに由来する少なくとも4個のフラグメントを含む低アレルゲン性ポリペプチドであって、隣接する任意の2フラグメントの連続したアミノ酸配列が前記アレルゲンのいずれにおいても連続するアミノ酸配列として存在せず、かつ各フラグメントが配列番号55〜76からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる低アレルゲン性ポリペプチド。
【請求項11】
配列番号22、23、24、25、36および37からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む請求項10に記載の低アレルゲン性ポリペプチド。
【請求項12】
配列番号39、40、41、42、53および54からなる群より選択されるアミノ酸配列からなる請求項11に記載の低アレルゲン性ポリペプチド。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
アレルギー、好ましくは花粉症を予防および/または治療する医薬を製造するための請求項9〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項15】
請求項9〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードする核酸。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−504307(P2013−504307A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528359(P2012−528359)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063230
【国際公開番号】WO2011/029869
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(504446489)バイオメイ アクツェンゲゼルシャフト (4)
【Fターム(参考)】