説明

アレルギー疾患の予防又は治療の為の薬学的組成物、その用途及びアレルギー疾患の予防又は治療方法

本発明はヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む、アレルギー疾患予防又は治療用薬学的組成物を提供する。本発明はさらに、アレルギー疾患予防又は治療用医薬の製造の為の、前記組成物の用途を提供する。さらに、本発明は哺乳動物に前記薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の予防又は治療方法を提供する。本発明の薬学的組成物を哺乳動物に投与する場合、現在行われる標準的な薬物治療方法等では、調節困難なアレルギー反応を誘導する抗原(アレルゲン)に対する特異的なアレルギー免疫反応(過敏な免疫反応)を効果的に減少できる。従って、本発明の薬学的組成物、それのアレルギー疾患の予防又は治療用途、それを利用する予防又は治療方法によれば、現在の標準的な薬物治療方法のみで臨床症状が十分に好転されていないアレルギー疾患等を効果的に好転させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を有効成分として含むアレルギー疾患予防又は治療用薬学的組成物を提供する。本発明は、さらに、アレルギー疾患予防又は治療用医薬の製造の為の前記組成物の用途を提供する。さらに、本発明は哺乳動物に前記薬学的組成物を投与することを含む、アレルギー疾患の予防又は治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に特定抗原物質に対する過敏反応により、このような過敏反応を起こす哺乳動物の身体に有害な損傷を誘発する現象をアレルギー(allergy)と命名している(Aronson J. BMJ 1999;319:308)。従って、アレルギーは特定抗原物質に対する反応がこのような反応を起こす哺乳動物に有利な場合を指称する免疫(immunity)とは相反する名称である(Aronson J. BMJ 1999;319:308)。最近、哺乳動物の外部環境に存在する抗原に対するIgE抗体-媒介型即時型過敏反応(hypersensitivity reaction typeI)をアレルギー反応に狭意で指称する場合もあるものの、広い意味のアレルギー反応とは、哺乳動物の外部及び内部に存在する抗原等に対するあらゆる過敏反応を全て指称し、これにより、自分自身の蛋白質(自家抗原)に対する過敏反応を自家アレルギー(autoallergy)と命名している(Aronson J. BMJ 1999;319:308)。従って、広い意味のアレルギー反応は、免疫学的な過敏反応の一種にして、第1型から第4型までの過敏反応機転(Gell and Coombs’classification of hypersensitivity reaction)に分類され、広い意味でのアレルギー反応は特定抗原に対する反応がこれを表す宿主自身に有害となり得る全ての形態の免疫学的な過敏反応とこれに因り発生する現象等を指称する(Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. page xvii, Saunders, Philadelphia, 1996)。
【0003】
アレルギー疾患には、アレルギー反応により身体臓器に損傷並びに異常をもたらして臨床症状が発生すると知られている気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹等が含まれる(Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. page xvii, Saunders, Philadelphia, 1996)。さらに、自己蛋白質(免疫グロブリン、コラーゲン、DNA等の自己抗原等)に対して過敏反応(自己抗体反応を含む)を呈し、疾病が発生すると知られた歴史的に自己アレルギー疾患に分類されたことのあるリューマチ関節炎と全身性ループス(Vaughan JH. Med Times 1969;97:187-204)等を含む。伝統的に自己アレルギー疾患に分類されてきた、リューマチ関節炎、全身性ループス、天疱瘡等は、最近前記にて指摘した通り、当業界の誤った慣行(免疫は身体に有益な反応を意味するにも拘らず)により、自己免疫疾患(autoimmune diseases)という誤った名称で呼称する現象がより普遍化され、一部の学者等の疾病の名称に対する校正の必要性に対する指摘にも拘らず、当該学界と業界の慣行的表現として固まりつつある実情である(Aronson J. BMJ 1999;319:308; Davidson, A. et al., N Engl J Med 2001;345:340-350)。一部の人達はこのような名称の問題点を解消する為、自己毀損疾患(autoaggressive diseases)という疾患名を提案したこともあるものの、これも亦広く使用されない実情である。
【0004】
一般的に、現在当業界ではアレルギー反応を誘発し得る抗原物質等を、アレルゲンと定義している。つまり、既にアレルギー反応を良く誘発すると知られた外部的な環境に存在する抗原物質(アレルゲン)である家ダニ、花粉、動物のフケ、黴、卵、卵アルブミン、牛乳蛋白質、小麦粉、南京豆等を全て含む。
【0005】
一方、前記アトピー皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、又は蕁麻疹等のアレルギー疾患等はそれぞれ疾病の臨床的表現様相は異なるものの、極めて類似した病因機転により発病するものとして知られている。これにより、多くのアレルギー疾患患者等において、2種以上のアレルギー疾患等を同時に患っている場合が多いと知られている。
【0006】
外部抗原に対するアレルギー反応により、発生されたアレルギー疾患の発病には外部的なアレルゲンの種類が、家ダニや花粉のような吸引性アレルゲン又は卵、卵アルブミン、牛乳、小麦粉、南京豆のような飲食物アレルゲン又はアレルゲンの種類に関係なく、全てが共通的にアレルゲンに対する特異-IgE抗体反応が核心的な役割をすることが、最近になって施行された人間IgEに特異な人間化した(Humanized)単クロン抗体(monoclonal antibody)を注射してIgE抗体により媒介されるアレルギー反応を抑制する場合、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、飲食物アレルギー及びアトピー性皮膚炎の患者等において、臨床症状が有意に好転できるとの報告等で確認される(Chang TW等。J Allergy Clin Immunol 2006;117:1203-12)。さらに、哺乳動物に誘導した特定アレルゲン(卵アルブミン等の飲食物アレルゲン若しくは、家ダニ等の吸引性アレルゲン又はアレルゲンの種類に関係無く)に対するアレルギー反応と、これにより誘導された哺乳動物の機能的変化がアレルゲン-特異IgE抗体を他の哺乳動物に手動伝達(passive transfer)の際に、他の哺乳動物に移転されることは、アレルゲン-特異IgE抗体がアレルギー反応ばかりでなく、多様なアレルギー疾患等の発病に共通的に核心的な役割をする治療の標的物質であることを確認してくれる証拠と判断される(Oshiba A等。J Clin Invest 1996;97:1398-408; Herz U等。Clin Exp Allergy 2004;34:478-87)。現在までの研究結果等を総合してみれば、外部的な抗原に対するアレルギー反応により、発生されたアレルギー疾患の発病機転において、アレルゲンに対する特異IgE-抗体が最も核心的な重要な役割をすることを確認することができる(Platts-Mills TA. Am J Respir Crit Care Med 2001;164:S1-5)。外部的な抗原によるアレルギー疾患の治療の為に、現在原因アレルゲンをアレルギー皮膚反応試験を介して探し出して回避又は、アレルギー反応やこれに伴う組織の炎症が抑制できる薬物等(ステロイド、抗ヒスタミン剤、抗ロイコトリエン製剤等)を投与又は、さらに原因アレルゲンを少量ずつ漸次増量しながら皮下に投与してアレルゲンに対するアレルギー反応を選択的に減少させるアレルゲン-免疫療法を施行する3種類の治療法が施行されている。しかしながら、前記の治療法等が多くのアレルギー疾患患者等において、臨床症状を好転させ得るものの、多くの患者等では患者自身が満足する程に臨床症状が完全に調節できない場合が極めて多いのが現状である。特に、実生活において外部的なアレルゲンを効果的に回避できる方法は、極めて稀で、現在使用されるアレルゲン-免疫療法の場合、一部の報告では、たまに激しいアレルギー反応を誘発して、これの施行を受けた患者が死亡する場合等が報告されていて、治療の際の急性アレルギー反応(激しい場合、アナフィラキシーによる死亡を含む)の発生可能性に伴う安全性の問題により、アレルゲン-免疫療法がそれぞれの国によって、施行される比率が極めて差が多いものとして知られ、前記外部抗原に対するアレルギー疾患において、治療過程が容易で副作用が無く、特定アレルゲンに対する過敏反応を特異的に抑制して疾病を根本的に好転させる効果的な治療法の開発が切実な状況である。さらに、最近に至り世界的にアレルギー疾患の発病が急増していると知られているものの、未だに効果的な予防方法が開発されていない状態である。
【0007】
一方、全身性ループス、リウマチ関節炎、天疱瘡、拡張性心筋症(dilated cardiomyopathy)等を含む相当数の慢性炎症性疾患等は、人間の体内に存在する自己蛋白質に対する過敏反応により、自分の体内に存在する自己アレルゲン(自己抗原)と反応する抗原特異-IgG抗体により、特定臓器に損傷と炎症を誘発する自己アレルギー疾患として知られている(Vaughan JH. Med Times 1969;97:187-204; Albin RJ. Lancet 1968;2(7583):1397; Davidson, A. et al., N Engl J Med 2001;345:340-350)。現在これらの自己アレルギー疾患の主な治療は、ステロイド又は免疫抑制剤等のように原因自己アレルゲンとは無関に非特異的に炎症を減少させるか、又は抗原非特異的に免疫を抑制させる治療がなされている。しかしながら、多数の患者等は前記薬物治療のみで効果的に又、臨床的に好転されない場合も極めて多い。標準的な薬物治療に反応しない難治性自己アレルギー疾患の場合、患者の血漿を除去し、正常人の血漿を投与する血漿交換術(plasma exchange therapy)又は、患者の血漿を体外に取出して、Protein-Aコラムを通過させ、IgG抗体のみを除去して残りを再度注入する選択的除去術(selective apheresis)(Bosch T. Ther Apher Dial 2005;9:459-68)又は自己アレルゲン(又は自己抗原)蛋白質を利用して血漿内に存在するアレルゲン-特異自己抗体のみを除去した後、残りの血漿を再度患者に注入する特定自己抗原-特異抗体除去術(antigen-specific antibody apheresis)等が臨床的に、効果的であることが証明されている(Schimke I、等、J Clin Aphersis 2005;20:137-142)。従って、前記自己アレルギー疾患の発病において、さらに自己アレルゲン蛋白質に対する特異抗体が疾病の発生に最も核心的な重要な役割をすることが分かる。しかしながら、前記にて記述した非特異的に全体のIgG抗体を除去する血漿交換術や体外抗体吸着除去術等の治療法、又は最近開発された抗体を利用して免疫グロブリンを生産するBリンパ球全体を減少させ、血液内に総免疫グロブリンの量を減少させる治療法等の全ての原因アレルゲン-特異免疫反応を選択的に減少させる治療ではなく、これにより、感染に対する抵抗性減少を始めとした致命的な副作用の発生の危険が、多くの部分に存在すると知られている(Edwards JC等、Rheumatology 2005;44:151-6)。さらに、前記にて言及した患者の血漿を体外に循環させ、自己アレルゲン蛋白質を利用して自己アレルゲン-特異抗体等を除去した後、残りの免疫グロブリン等を再度患者等に注入する治療法は、極めて煩わしく、施術途中血圧降下等の危険が存在する治療法である。従って、前記のような理由等でアレルギー疾患において、アレルゲン-特異抗体を選択的に減少させ得る、病因機転に基づいた根本的で安全な治療過程に、容易で効果的な治療法の開発が切実な状態である。
【0008】
動物に特異抗体を注射する場合、この抗体の抗原反応部位(idiotope)に対して再度抗体(anti-idiotype antibody)を生成させ、最初投与した特定抗体の量を減少させ得ると知られている(Shoenfeld Y等。Int Arch Allergy Immunol 1994;105:211-23)。人間においても、IgE抗体に対する抗体(anti-idiotype antibody)が存在し、IgE抗体反応を調節すると知られている(Geha et al, J Clin Invest, 1983)。つまり、正常人等では特定形態の抗体等が多く作られる場合、抗イディオタイプ抗体(anti-idiotype antibody)が発生して前記特定抗体の生成を抑制する、自己調節機転が存在すると知られている(Zouali M等。Autoimmunity 1996;24:55-63)。従って、特定アレルゲン等に対する抗体が過剰増加されたことが疾病発生に重要な役割をするアレルギー疾患等において、前記アレルゲン等に対する特異抗体を有する人間等や、哺乳動物等の血液又は体液から抗原-特異抗体を分離した後で、これを前記患者等に投与してアレルゲン-特異抗体又は、自己アレルゲン(或いは自己抗原)-特異抗体を減少させ、前記の自己アレルギー疾患等を含むアレルギー疾患等を臨床的に好転できると判断される(Geczy AF等。1978;62:261-70; Zouali M等。Autoimmunity 1996;24:55-63)。しかしながら、このような治療法は未だ人間のアレルギー疾患等で効果が立証されておらず、アレルゲン-特異抗体単独投与だけでは、アレルギー疾患の臨床症状の改善効果がなかったとの報告が存在し(Saint-Remy JM. Ad Exp Med Biol 1996;409:417-24)、実際的にこのようなアレルゲン-特異抗体を利用した免疫治療法が臨床において、アレルギー疾患の治療に適用されない状態であり、従って、このような抗-イディオタイプ抗体形成を介した免疫調節治療剤の薬学的組成物の形態もアレルゲン-特異抗体の単独投与よりも、さらに改善された形態のアレルギー疾患の治療の為の効果的な薬学的組成物への開発されるべき必要性が切実な状態である。
【0009】
一方、1951年ParrotとLabordeにより、アレルギー疾患患者等から減少されているヒスタミン固定能(histaminopexy)を回復させる為の方法で、正常人の血清ガンマグロブリンとヒスタミンを結合させ、複合体の状態に作り、投与する治療法が開発された以降(J Physiol 1951;40:885-9)、ヨーロッパと日本を含む多くの国々からアレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、さらに、慢性蕁麻疹の治療の為に、現在まで広範囲に亙り使用されてきた(Yoshii H, 等;J Allergy Clin Immunol 1997;100:809-16)。このようなヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した治療法を一部では、“非特異的免疫療法”とも称される。アレルギー動物モデルからヒスタミン-免疫グロブリン複合体を注射する場合、好酸球浸潤によるアレルギー性炎症反応を減少させる効果とともに、血清内のTNF-alpha、さらにIL-4が減少される抗炎症効果、さらに、免疫調節効果を呈すると知られている(Yoshii H, 等;J Allergy Clin Immunol 1997;100:809-16; Ayoub M, 等;Int Immunopharmacol 2003;3:523-539)。さらに、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体は自己アレルギー疾患の動物モデルからも抗炎症効果を呈すると知られている(United Satate Patent 6,627,194)。特に、アレルギー動物モデルにおいて、ヒスタミン-免疫グロブリン(又はガンマグロブリン)複合体投与による抗アレルギー効果は同一な量のヒスタミン単独又は免疫グロブリン単独投与の際、又はヒスタミン-アルブミンの複合体又はセロトニン-免疫グロブリン複合体を投与する場合には、観察されない点に基づいてヒスタミンと免疫グロブリン2種の物質間の特異的な組合わせと結合が、アレルギー疾患の治療効果に重要な役割をするものと判断されている(Yoshii H, 等;J Allergy Clin Immunol 1997;100:809-16)。しかしながら、このようなヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した“非特異的免疫療法”は単独療法であり、アレルギー疾患の治療に使用する場合の治療効果の程度が現在の標準的な薬物治療に比べて臨床的に目立つ程でなく、さらに、全体的に前記治療を受けた患者等において、有意な治療効果を呈する患者の比率が有意に高くなく(Kukita J. Nishinipponhifuka 1980;42:470-7)、現在アトピー性皮膚炎と気管支喘息を含むその他のアレルギー疾患等の国際的な治療指針書等、又はアレルギー疾患に対する教科書等から標準治療薬剤として言及されていない実情である(Hanifin JM, et al. J Am Acad Dermatol 2004;50:391-404; Global Initiative for Asthma: NIH publication no. 02-3659, 2002; Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. page xvii, Saunders, Philadelphia, 1996)。さらに、未にもヒスタミン-免疫グロブリン複合体の気管支喘息、慢性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、リューマチ関節炎を含む多種のアレルギー疾患等を有する人、患者等より臨床的な治療効果を呈する正確な薬理学的機転が明確に究明されていない実情である。
【0010】
現在のアレルギー疾患治療の為に使用されているヒスタミン-免疫グロブリン複合体の薬学的組成物において、使用される免疫グロブリンは多数(普通約1000名以上)の献血者等の血漿等の混合物(pooled plasma)から分離された免疫グロブリンであり、このような免疫グロブリンの製造過程で現在使用される多様な注射用人間免疫グロブリン製剤の製造過程での通り、それぞれの献血者の血漿を利用して伝染性ウィルスの存在可否に対する検査上、陰性を呈する献血者等の血漿を混合して免疫グロブリン分画を分離して製造されると知られている(Martin TD. Int Immunopharmacol 2006;6:517-22)。発明者等は上述したヒスタミン-免疫グロブリン複合体の製造に使用される免疫グロブリン分離の為に、使用される血漿の選別過程で伝染性ウィルス又は、伝染性細菌に対する抗体検査意外にアレルギー反応を誘発させる特定抗原(つまり、アレルゲン)等に対する特異抗体の存在可否又は、力価に対する検証が無い点に着目して本発明の薬学的組成物のような進歩した形態の組成物の製造が必要なことと判断した。つまり、発明者等は本発明で現在人間のアレルギー疾患の治療を目的で使用中のヒスタミン-免疫グロブリン複合体が有する、アレルギー疾患に対する治療効果の不予測性と不完全性を含む不確実性がヒスタミン-免疫グロブリン複合体の製造に使用された免疫グロブリンの抗原-特異性の不明確性より起源したものと判断した。さらに、現在まで特定アレルゲンに対する-特異抗体の存在可否又は、アレルゲン-特異抗体の力価を基準に選別された血漿から分離された免疫グロブリンを材料に使用して、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体を製造して、アレルギー疾患の治療用薬学的組成物を製造する為の試みはなかった。これにより、発明者等は既に動物モデル実験を介して究明されたヒスタミンと抗原-特異性が不明確な免疫グロブリン間の特異的結合による抗-アレルギー及び抗炎症効果以外に特定アレルゲンと特異的に結合できる、免疫グロブリン(アレルゲン-特異抗体)とヒスタミンの特異的結合を介した新たな薬学的組成物を創造する場合、既に知られたヒスタミン-免疫グロブリン複合体の薬理的効果に加えて、既存の動物モデル実験等で証明されたアレルゲン-特異抗体の投与による抗-イディオタイプ(anti-idiotype)抗体の生成機転を介して、効果的にアレルゲン-特異抗体の量を減少させる抗アレルギー効果を同時に有する、より進歩した以前には存在しなかった新たな形態のアレルギー疾患の予防又は治療用薬学的組成物を開発し得ると判断した。
【0011】
特に、発明者等は現在までもB型肝炎ウィルスとcytomegalovirusを含むウィルスの感染予防の為に、これらの自然的に前記ウィルスに対して高力価の特異抗体を有するか、又は人為的に前記ウィルス等に対する免疫させる過程を介して、前記ウィルス等に対する抗体の力価が高い献血者等の血液から免疫グロブリン分画を分離して製造された特定ウィルス抗原-特異高度免疫グロブリン(例、cytomegalovirus hyperimmune globulin)という名称で呼ばれる免疫グロブリン製剤の効果が臨床的に立証され、臨床的に広く使用中であるとの事実(Snydman DR. Transpl Infect Dis 2001;3(suppl 2):6-13; Gelfand EW. J Allergy Clin Immunol 2001;108(4 suppl):s111-6)を参照して、本発明のアレルギー疾患の予防又は治療用組成物に含まれたアレルゲン-特異抗体を含む、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンを使用して、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンとヒスタミンの複合体形態で開発しようと努力した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者等は現在既存の薬物治療法だけでは臨床症状を完全に好転できないアレルギー疾患を有する患者等において、より効果的な治療薬物及び治療方法を開発する為に多くの努力を注いでいる。このような努力の一環として本発明者等は現在使用されているヒスタミン-免疫グロブリン複合体の薬学的組成物に含まれた、多数の健康献血者等から集められた、特定アレルゲンに対する特異抗体の力価測定等で選別されていない全体合同血漿(pooled plasma)より、分離された免疫グロブリンの代りに、アレルギー疾患を誘発する特定-アレルゲンに対する特異抗体を高濃度で含有する哺乳動物の血液を選別し、免疫グロブリンを分離して、ヒスタミンとアレルゲン-特異抗体の複合体の形態で製造して使用する場合、既に存在するヒスタミン-免疫グロブリン複合体よりも、有意に優れたアレルゲン-特異抗体生成を抑制する抗アレルギー効果を発揮するであろうとの仮説を設け、このような仮説を本発明の実施例等を介して立証し、本発明を完成した。さらに、本発明者等は本発明の組成物を介して、今後アレルギー疾患に発生する危険性の高い高危険哺乳動物に、前記疾患の発病以前に予め本発明のヒスタミンとアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む、薬学的組成物を投与して特定アレルゲンに対するアレルギー反応の発生を予防し、アレルギー疾患の発生を予防し得る効果的なアレルギー疾患予防ワクチンに開発しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明はヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む、アレルギー疾患予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0014】
本発明の一つの具体例において、前記アレルゲン-特異抗体は、アレルゲンと特異的に反応し得る免疫グロブリンでもあり得る。
【0015】
本発明の一つの具体例において、前記アレルゲン-特異抗体は、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンでもあり得る。
【0016】
本発明の一つの具体例において、前記アレルゲン-特異抗体は、アレルギー-特異IgG抗体でもあり得る。
【0017】
本発明の一つの具体例において、前記アレルギー疾患の予防又は治療は、アレルゲン特異IgE抗体反応を抑制することに起因することもあり得る。さらに、前記アレルギー疾患の予防又は治療は、追加してアレルゲン-特異IgG抗体反応を抑制することに起因することもあり得る。
【0018】
本発明の一つの具体例において、前記アレルゲンは卵、卵アルブミン、牛乳、エビ、蟹、小麦粉、南京豆、家ダニ、花粉、動物のフケ及び黴で構成されるグループから選ばれる一つ以上のアレルゲンでもあり得る。
【0019】
さらに、本発明の一つの具体例において、前記アレルゲンは核抗原蛋白質、二重螺旋DNA、燐脂質、ベータ-2グリコプロテインI、人間IgG抗体のFc分節及び第2型コラーゲンで構成されるグループから選ばれる一つ以上のアレルゲンでもあり得る。
【0020】
本発明の一つの具体例において、前記アレルギー疾患は、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又は気管支喘息でもあり得る。
【0021】
本発明の一つの具体例において、前記アレルギー疾患は、全身性ループス又はリューマチ関節炎でもあり得る。
【0022】
さらに、本発明は(a)哺乳動物をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物の血液検体等内の特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンが、同種の正常哺乳動物等に比べて、2血清希釈倍数以上高力価で含まれた哺乳動物の血漿を選別して選択する段階、(d)前記(c)段階で選ばれたアレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価で含まれた、哺乳動物の血漿からアレルゲン-特異免疫グロブリンを分離する段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン-特異免疫グロブリンと、ヒスタミンを混合する段階を含むアレルギー疾患の予防及び治療用薬学的組成物の製造方法を提供する。
【0023】
さらに、本発明は(a)自然的に特定アレルゲン等に露出され、特異抗体反応を呈する哺乳動物等の血液検体等内の特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(b)特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物等に比べて、2血清希釈倍数以上高力価で含まれた哺乳動物の血漿を選別して選択する段階、(c)前記(b)段階で選ばれたアレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価で含まれた、哺乳動物の血漿からアレルゲン-特異免疫グロブリンを分離する段階、(d)前記(c)段階で分離されたアレルゲン-特異免疫グロブリンと、ヒスタミンを混合する段階を含むアレルギー疾患の予防及び治療用薬学的組成物の製造方法を提供する。
【0024】
さらに、本発明は(a)哺乳動物をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物の血液検体等内の特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンが、同種の正常哺乳動物等に比べて、2血清希釈倍数以上有意に高力価の血液等を選別して選択する段階、(d)前記(c)段階で選ばれたアレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価で含まれた哺乳動物の血液からアレルゲン-特異免疫グロブリンが含まれた免疫グロブリン分画を分離してアレルゲン-特異高度免疫グロブリンを得る段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン-特異高度免疫グロブリン(allergen-specific hyperimmune globulin)と、ヒスタミンを混合する段階を含むアレルギー疾患治療用ヒスタミンとアレルゲン-特異高度免疫グロブリンを有効成分として含むアレルギー疾患の予防及び治療用薬学的組成物の製造方法を提供する。
【0025】
本発明の明細書で用いられた用語“組成物”とは、特定成分を含む産物のみならず、特定成分の配合により直接又は間接的に作られる任意の産物を含むものと見做される。
本発明の組成物で用いられるそれぞれの活性成分は、本発明の組成物内で又は本発明の組成物を溶解させた注射用製剤内で、又は生体内で単独的に又は複合的に存在し得る。例えば、ヒスタミンと抗原-特異抗体はこれらが互いに共有的又は非共有的に結合された複合体の形態で存在し得る。
【0026】
本発明の組成物は活性成分の内、一つが薬学的又は生理学的に許容される塩の形態の組成物、全ての活性成分が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態の組成物、一つ以上の活性成分が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態で、他の活性成分等が自由塩基の形態の組成物、又は一つ以上の活性成分の複合体が薬学的又は生理学的に許容される塩の形態である組成物を含む。
【0027】
本発明の組成物中に含まれた活性成分又は一つ以上の活性成分の複合体の塩は薬学的又は生理学的に許容される全ての塩の形態を含む。本発明の組成物中に含まれた活性成分又は一つ以上の活性成分の複合体の薬学的又は生理学的に許容される塩は水溶性、脂溶性又は不溶性形態の産物を含み、例えば、無機酸又は有機酸又は塩基より形成された通常的な無-毒性塩又は4級アンモニウム塩を含む。
【0028】
本発明の組成物の活性成分中の一つである“ヒスタミン”は、生体内に広く分布する化学式C5H9N3の化合物である。腐敗菌や腸内細菌により、蛋白質中のヒスチジンが脱カルボキシル化されて生ずるものの、組織内では組織蛋白質と結合して非活性状態にあって、抗原抗体反応によりアレルギーやアナフィラキシーが見えた時には、非活性型であるヒスタミンが或る作用により活性型となり、臓器又は組織に作用するものと思われている。本発明の組成物で用いられるヒスタミンは、当業界に公知された方法により化学的に合成又は当業界に市販されているものを使用することもできる。
【0029】
本発明において、用語“アレルゲン-特異抗体”とは、アレルギー反応を誘発する抗原に定義されるアレルゲンと特異的に反応(reacting)し得る抗体を言う。本発明において、前記“アレルゲン-特異抗体”とは“アレルゲン-特異免疫グロブリン”でもあり得る。
【0030】
さらに、本発明において、“アレルゲン-特異抗体”とは、哺乳動物を特定アレルゲンで過免疫させて得た血清中に含まれた全体抗体を含む。例えば、“アレルゲン-特異抗体”は“アレルゲン-特異高度免疫グロブリン(allergen-specific hyperimmune globulin)”でもあり得る。
【0031】
“アレルゲン-特異高度免疫グロブリン”は、特定アレルゲンであり、哺乳動物を免疫化させ、アレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価で存在する状態の血清から分離された免疫グロブリン全体を意味する。例えば、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンは哺乳動物を特定アレルゲンで免疫させるか、又は自然的に特定-アレルゲンに対する特異抗体を有する哺乳動物等の血液検体を採取後に、特定アレルゲンに対する特異-抗体が正常哺乳動物等に比べて、2血清希釈倍数以上有意に高力価の血液等を選別して、これらの血液から分離して得られた全体免疫グロブリンを言う。つまり、“アレルゲン-特異高度免疫グロブリン”は、“アレルゲン-特異抗体”又は“アレルゲン-特異免疫グロブリン”を含めており、従って、“アレルゲン-特異高度免疫グロブリン”から“アレルゲン-特異抗体”又は“アレルゲン-特異免疫グロブリン”のみを純粋分離して、本発明の組成物の製造に用いることもできる。
【0032】
さらに、本発明において、前記アレルゲン-特異抗体はアレルゲンと特異に結合できる能力を利用して物理的な方法で分離された免疫グロブリンG(IgG)でもあり得る。
【0033】
本発明において、“アレルゲン”とは、アレルギー反応過敏反応を誘発し得る、全ての抗原等を指称する。アレルギー反応を誘発し得る抗原、つまり、アレルゲンは主にアレルゲン-特異抗体と反応し得る抗原結合部位(epitope)を有する蛋白質の形態を帯びる。
【0034】
本発明において、アレルゲンは外部的アレルゲンと内部的アレルゲン、つまり、自己アレルゲンを全て含む。
【0035】
外部的なアレルゲンは、家ダニ、花粉、動物のフケ、黴、飲食物、合成繊維、アクセサリー、薬物、化粧品等の我々の周辺に有り触れた物質にして、我々が食べ、触り、息づく時伝えられる大部分の物質等がアレルゲンになり得る。種類は大別して吸引性、飲食物性、薬物性、接触性アレルゲンに分けられる。吸引性アレルゲンは呼吸作用により吸込まれるものにして、花粉、家ダニ、(犬、猫等を含む)動物のフケ、黴、接着剤、塗料等を含む。飲食物性アレルゲンは、食べる飲食物の内過敏反応やアレルギー反応を誘発させ得るものとして、卵、牛乳、乳製品、肉類、大豆、南京豆、エビ、蟹、桃、加工食品等を含む。薬物性アレルゲンは注射や内服薬を介して生体内に入り、過敏反応やアレルギー反応を誘発させ得るものにして、抗生剤、鎮痛剤、ホルモン剤等を含む。接触性アレルゲンは、皮膚に接して過敏反応やアレルギー反応を誘発し得るものにして、化粧品、染色薬、衣服、洗剤、ゴム、金属、化学物質等を含む。
【0036】
内部的なアレルゲン、つまり、自己アレルゲン(又は自己抗原)は、これに制限されるものではないものの、既に全身性ループスとリューマチ関節炎の標的自己アレルゲン蛋白質に究明された代表的な自己アレルゲン等の核抗原蛋白質、二重螺旋DNA、燐脂質、ベータ-2グリコプロテインI、人間IgG抗体のFc分節、又は第2型コラーゲン等を含む。
【0037】
本発明の“アレルゲン-特異抗体”を得る為に、用いられるアレルゲンは好ましくは、相当数の一般人がアレルギー反応を呈する卵、牛乳、小麦粉、南京豆、花粉、家ダニ、動物のフケ、黴、又はこれらの混合物でもあり得るものの、これに制限されるものではない。好ましくは、患者等毎にアレルギー反応を呈する(感作された)アレルゲンの種類により、アレルギー疾患を患っている患者等をグループを組んで、本発明の組成物にて用いられるアレルゲンが各患者グループのアレルギー疾患の治療に最も適した単独のアレルゲン成分、又は数個のアレルゲン成分の混合物であり得るように構成できるであろう。動物又は人間にアレルギー反応を誘発する原因アレルゲンは既に、公知された方法によりアレルゲンを皮膚に投与して発赤、膨疹、又は浮腫を観察する皮膚試験や血清アレルゲン-特異IgE抗体検査を介して確認することができる(Board of Directors. Allergen skin testing. J Allergy Clin Immunol 92:653-7, 1993; Bierman CW, et al. (eds.) Allergy, asthma, and immunology from infancy to adulthood. P144-156, Saunders, Philadelphia, 1996)。
【0038】
本発明の“アレルゲン-特異抗体”が“アレルゲン-特異免疫グロブリン”の場合、“免疫グロブリン”は血清成分の内免疫に重要な役割をし、抗体作用をする特定した物理的、構造的、アミノ酸配列等の共通的特徴に限定され得る糖蛋白質を意味する。免疫グロブリンの基本構造は、分子量約23,000のL鎖(軽鎖)1対と、分子量約5万乃至7万のH鎖(重鎖)1対がS-S結合により連結されていて、H鎖の種類γ、α、μ、δ、εによりそれぞれIgG、IgA、IgM、IgD、IgEに分類される。本発明の組成物で用いられる免疫グロブリンはIgG、IgA、IgM、IgD、IgE又はそれらの混合物でも有り得て、生物学的に同等な活性を有するそれらの断片又はそれらの混合物でもあり得る。
【0039】
本発明の組成物で用いられるアレルゲン-特異抗体は例えば、次のような方法を利用して製造し得る:特定アレルゲンに人為的に免疫させ、特定アレルゲンに対する抗体が高い力価を呈するか又は自然的に特定アレルゲンに露出され、同種の他の哺乳動物と比べて特定アレルゲンに対して有意に高い抗体力価を有する哺乳動物の血漿から全体免疫グロブリンを分離する為に、当業界に通常的に用いられるエタノール沈殿法、イオン膠化樹脂吸着クロマトグラフィー法、又はProtein A又はProtein Gコラムを利用した吸着クロマトグラフィー法を含む、多様な方法で分離して特定アレルゲンに対する高度免疫グロブリン(hyperimmune globulin)を得て、これを本発明のアレルゲン-特異免疫グロブリンとして用いられる。さらに、当業界で通常的に特定アレルゲンを付着させたアガロースビードコラムを利用した吸着クロマトグラフィー法のような、多様な方法を利用して前記特定アレルゲンに対して高い抗体力価を有する哺乳動物の血漿からアレルゲン-特異免疫グロブリンのみを純粋分離して、本発明の薬学的組成物の製造に用いられる。他方、当業界に公知された方法により、血液内に特定アレルゲンに対するアレルゲン-特異抗体が高力価で存在する、哺乳動物の末梢血液単核球から得られた抗体蛋白質に対する遺伝情報を有するcDNA libraryからアレルゲン-特異免疫グロブリンに対する情報を得た後で、これを基に遺伝工学的に製造したものを使用することもできる。このように製造した遺伝子組替え免疫グロブリン蛋白質は、哺乳動物の免疫グロブリンのアミノ酸塩基配列やこれを一部変化させ、人間免疫グロブリン化させた遺伝子操作組替え免疫グロブリン蛋白質を含む(Vaughan TJ, et al. Human antibodies design. Nature Biotech 1998;16:535-539)。さらに、前記アレルゲン-特異免疫グロブリンは、免疫グロブリン蛋白質の内アレルゲンと反応できるF(ab)’2又はFab分節のように、アレルゲンと結合する部分を含む免疫グロブリンの一部分でもあり得る(Vaughan TJ, et al. Human antibodies design. Nature Biotech 1998;16:535-539)。
【0040】
さらに、本発明の組成物で用いられる抗原特異抗体は、本発明の組成物を投与しようとする哺乳動物とは異なる種の動物から得られたものでもあり得る。特に、免疫グロブリンは異種間の相同性が高く、他の動物から得た免疫グロブリンを人間に投与しても同一な薬理効果を表せることは、既に当業界に広く知られた事実である。従って、本発明の組成物投与によるアレルギー疾患の予防及び治療効果は、本発明の薬学的組成物が最終的にアレルギー免疫反応の抑制の為の目的で、投与する動物と異種の哺乳動物から得た場合にも同一に作用し得る。
【0041】
本発明の組成物は(a)哺乳動物等をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物等の血液検体等内のアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)アレルゲン-特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物等に比べて2血清希釈倍数以上高力価で含まれた、哺乳動物等の血漿を選ぶ段階、(d)前記(c)段階で選ばれたアレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価である、哺乳動物等の血漿からアレルゲン-特異免疫グロブリンを分離する段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン-特異免疫グロブリンとヒスタミンを混合する段階を含む方法により製造できる。
【0042】
本発明の組成物は(a)自然的に特定アレルゲン等に露出され、特異抗体反応を呈する哺乳動物等の血液検体等内の特定アレルゲンと反応できるアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(b)特定アレルゲンと反応できるアレルゲン-特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物に比べて、2血清希釈倍数以上高力価で含まれた哺乳動物の血漿を選別して選択する段階、(c)前記(b)段階で選択されたアレルゲン-特異免疫グロブリンが高力価で含まれた哺乳動物等の血漿からアレルゲン-特異免疫グロブリンを分離する段階、(d)前記(c)段階で分離されたアレルゲン-特異免疫グロブリンと、ヒスタミンを混合する段階を含む方法により製造も可能である。
【0043】
さらに、本発明の組成物は(a)哺乳動物をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物の血液検体等内の特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)特定アレルゲンと反応し得るアレルゲン-特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物に比べて、2血清希釈倍数以上有意に高力価の血液等を選別して選択する段階、(d)前記(c)段階で選択された、アレルゲン-特異免疫グロブリンが、高力価で含まれた哺乳動物等の血液からアレルゲン-特異免疫グロブリンが含まれた免疫グロブリン分画を分離して、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンを得る段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン-特異高度免疫グロブリン(allergen-specific hyperimmune globulin)と、ヒスタミンを混合する段階を含む方法により製造も可能である。
【0044】
本発明の薬学的組成物を製造する為に、前記活性成分等は投与の為、必要な製剤の形態により多様な形態の薬学的に許容される担体と親密に混合できる。本発明の薬学的組成物は、好ましくは、単位投与量形態でもあり得て、医者の判断により投与量を調節できるように希釈して用いることが可能な形態を取り得る。
【0045】
本発明の組成物は好ましくは、皮下注射の為のものである。しかしながら、本発明の具体例において、前記組成物は静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、軽皮、非側内、吸込み、局所、直腸、経口、眼球内又は皮内経路を介しても通常的な方式で投与できる。
【0046】
本発明の組成物を注射用製剤に製剤する為に、用いられる注射用緩衝液及びその他の補助剤成分は、当業界に公知されている。本発明の組成物に対する注射用製剤は、注射用緩衝液の他に、例えば、溶解補助剤、pH調整剤、懸濁剤等のその他の補助剤を含め得る。例えば、注射用緩衝液は生理食塩水等を用いることができる。
【0047】
本発明の実施例で確認できる通り、本発明の組成物を特定アレルゲンに対するアレルギー反応を呈する哺乳動物に投与すると、アレルゲン-特異IgE抗体反応を抑制する抗アレルギー効果を呈する。さらに、本発明の組成物はアレルゲン特異IgE抗体反応のみならず、アレルゲン-特異IgG抗体反応を追加して抑制するものと究明された。従って、本発明の組成物を用いると特定-アレルゲンに対するIgE-抗体媒介機転又はIgG-抗体媒介機転により、発病すると知られたアレルギー疾患等を効果的に予防又は治療し得る。
【0048】
前記にて言及した通り、本発明の組成物をアレルギー患者に投与すると、アレルゲン-特異IgE抗体反応のみならず、アレルゲン-特異IgG抗体反応を抑制する。自己アレルギー疾患(或いは自己免疫疾患とも言う)はIgG自己抗体を媒介に発明されると知られていることから、本発明の“アレルゲン-特異抗体”として“自己アレルゲン(又は自己抗原)-特異抗体”を用いると、自己アレルゲン(又は自己抗原)-特異IgG抗体反応を抑制することにより、自己アレルギー疾患(又は自己免疫疾患)を効果的に予防又は治療できるようになる。
【0049】
従って、本発明の組成物を利用して治療し得るアレルギー疾患は、外部的環境に存在する抗原等に対するアレルギー反応により発病されると知られた気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎と共に、内部的に存在する自己抗原に対するアレルギー反応(自己アレルギー反応又は自己免疫反応とも指称する)により発生されると知られたリューマチ関節炎、全身性ループス、天疱瘡等を含め得る。本発明はさらに、前記本発明の薬学的組成物等の中の活性成分を別に、又は共に含有する容器を含むアレルギー疾患の予防又は治療用キットを提供する。本発明の一つの具体例において、本発明はヒスタミンを含有する第1容器;アレルゲン-特異抗体を含む第2容器を含むアレルギー疾患の予防又は治療用キットを提供する。
【0050】
又は、本発明はヒスタミンとアレルゲン-特異抗体を含有する第1容器;及び注射用緩衝液を含む第2容器を含むアレルギー疾患の予防及び治療用キットを提供する。
【0051】
本発明はアレルギー疾患の予防又は治療用医薬の製造の為の、ヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む薬学的組成物の用途を提供する。前記のヒスタミンとアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む本発明の薬学的組成物はアレルギー疾患の予防又は治療用医薬の製造の為の用途に利用することもできる。
【0052】
さらに、本発明は哺乳動物に治療上有効量のヒスタミンとアレルゲン-特異抗体を含む前記薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0053】
ここで、用いられた用語“哺乳動物”は治療、観察又は実験の対象である哺乳動物を指称し、好ましくは、人間を言う。
【0054】
ここで、用いられた用語“治療上有効量”は研究者、獣医師、医者又はその他臨床医により考えられる組織系、動物又は人間において生物学的又は医学的反応を誘導する活性成分又は薬学的組成物の量を意味するもので、これは治療される疾患又は障碍の症状の緩和を誘導する量を含む。
【0055】
本発明に伴うアレルギー疾患の予防又は治療方法は、前記薬学的組成物を利用して行えうる。
【0056】
本発明の薬学的組成物の投与量は現在使用中のヒスタミン-免疫グロブリン複合体を利用した治療の際のヒスタミンと免疫グロブリンの投与量を考慮して決定し得る。一般的な薬学的組成物の場合、症状の軽重度、患者の年齢、体重等により組成物の投与量を決定するものの、本発明の治療方法では前記の条件のみならず、アレルギー疾患を引起したアレルゲンに対する患者の敏感度、及び/又はヒスタミン又は免疫グロブリンに対する患者の敏感度により決定する。
【0057】
ヒスタミンと抗原-特異抗体を含む本発明の薬学的組成物の1回投与の際、ヒスタミンの投与量は0.05乃至2.5μgの場合もあり、好ましくは、0.1乃至1.0μgの場合もあり、より好ましくは、0.15乃至0.45μgの場合もあり得る。さらに、前記薬学的組成物の1回投与の際、抗原-特異抗体の投与量は0.01乃至50mgの場合もあり、好ましくは、12乃至36mgでもあり得る。ヒスタミンと抗原-特異抗体は、好ましくは、1回投与の際、0.5乃至2mlの注射用緩衝液中で混合して溶解させ、用いられる。
【0058】
好ましくは、別途のバイアルに収められた注射用緩衝液に溶解させ、用いられるようにヒスタミン、抗原-特異抗体及び/又はその他補助成分等は乾燥された粉末の形態で、別に密封包装され、提供することができ、投与前医者が患者の症状により投与量を決定して投与量分を溶解させ、用いられる。
【0059】
前記疾患等の治療の際、前記有効成分等の1回投与量は固定的でなく、最初の投与量に対する患者の敏感度を考慮して漸次的に増加させ得る。本発明の組成物の投与量は本発明の組成物の投与に伴う患者の症状により医者の豊富な経験により調節して決定できる。
【0060】
本発明の有効成分又はそれらを含む薬学的組成物に対する治療上、有効投与量及び投与回数は望む効果によって変化し得ることは、当業者に明らかである。そこで、投与される最適な投与量は容易に決定することができ、用いられる特定有効成分、投与方式、製剤の効果及び疾患状態の発展に伴い変化するであろう。さらに、患者の年齢、体重、食餌及び投与の時間を含めた治療を受ける患者個々人の因子等により適宜な治療的水準に伴う投与量調節が必要である。
【0061】
本発明の利点及び特徴、又、それらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例等を参照すれば明確になる。しかしながら、本発明は以下にて開示される実施例等に限定されるものではなく、互いに別の多様な形態で具現されることであり、ただ、本実施例等は本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に、発明の範疇を完全に知らせる為に提供されるものであり、本発明は請求項の範疇により定義されるのみである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
<製剤例>
<製剤例1>
アレルゲン-特異抗体 12mg
ヒスタミン2塩酸塩 0.15μg
塩化ナトリウム 4mg
アミノ酢酸 45mg
D-マンニトール 4mg
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 0.8-2ml
(注射用水は前記他の成分等とは異なる別のバイアルに供給)
【0063】
<製剤例2>
アレルゲン-特異高度免疫グロブリン 12mg
ヒスタミン2塩酸塩 0.15μg
塩化ナトリウム 4mg
アミノ酢酸 45mg
D-マンニトール 4mg
水酸化ナトリウム 適量
注射用水 0.8-2ml
(注射用水は前記他の成分等とは異なる別のバイアルに供給)
【実施例】
【0064】
実施例I:ヒスタミンとアレルゲン-特異抗体の複合体投与による、アレルゲン-特異IgE抗体媒介アレルギー免疫反応及びアレルゲン-特異IgG抗体媒介免疫反応の抑制効果確認
【0065】
I-1.アレルゲン-特異抗体の製造
I-1-1)卵アルブミン(ovualbumin;OVAと略す)を利用した免疫化
本発明で用いられるヒスタミン/アレルゲン-特異免疫グロブリン複合体の製造の為に、用いられるアレルゲン-特異免疫グロブリンを製作する為に、3匹の兎にOVA100μgをcomplete freund’s adjuvantと共に混合して皮下注射で投与した後、3週間隔で2回同量のOVAをincomplete freund’s adjuvantと混合皮下注射で投与して免疫化させた。実験に用いられた兎はNew Zealand White種で3か月年齢の体重22-2.5kgの雌兎を用いた。
【0066】
I-1-2)OVA-特異抗体の力価測定及び高力価のOVA-特異抗体を有する血液の選択
最終OVA皮下注射で投与した後、3週後の最初OVA免疫後9週目の日に、兎から採血して血清を分離した。さらに、前記兎の血清等において高力価を呈するOVA-特異抗体を有する兎の血清を酵素免疫法(ELISA法)で検索した。本発明の実施例I-2で記述したマウス血清内にOVA-特異IgG抗体を測定する方法において、2次抗体コンジュゲートをアルカリホスファターゼが付着された抗兎IgG抗体で代替し、他の実験条件は同一に施行して測定した。特に、兎個体毎にOVA-特異免疫グロブリン抗体値の力価に高い差が予想されるに従い、血清を1:10,000希釈から始めて順次的に10倍ずつ希釈した検体を利用して抗体力価を測定(titration)した。
【0067】
ELISAを利用したOVA-特異IgG抗体の力価測定の際、音声対照に用いたOVAを免疫していない正常兎の血清検体等による吸光度値の平均値+3標準偏差値より大きい吸光度を示し、さらに、陰性対照の血清希釈緩衝液(3%牛血清アルブミンリン酸塩緩衝食塩水)による吸光度値の平均値(本実施例等の場合0.01未満に測定される)の2倍より大きい吸光度値を表す場合をOVA-特異抗体が陽性に検出されたものと定義し、これにより、OVA-特異IgG抗体が陽性を呈した血清の最大希釈倍数又は、純粋分離された免疫グロブリンの最小濃度を基準にして抗体力価を表現した。
【0068】
OVAで免疫した3匹の兎の血清全てが1:1,000,000希釈でも、陰性対照の正常兎血清又は希釈緩衝液による吸光度(希釈緩衝液の場合405nmで測定した吸光度値で平均値が0.01以下)に比べて有意に高い吸光度を示して1:1,000,000血清希釈倍数以上の高力価を呈し、OVAを免疫していない2匹の陰性対照正常兎等の血清の場合、1:10,000でもOVAに対する抗体が検出されなかった(図1)。さらに、OVAで免疫した兎の血清から下記本発明の実施例I-1-3で記述した通り、Protein Aコラムを利用してOVAで免疫した兎の血清から分離した免疫グロブリンの場合、0.1μg/mlの濃度まで陰性対照の正常兎の血清から同一な方法で分離したIgG又は希釈緩衝液の平均吸光度値(希釈緩衝液の場合405nmで測定した吸光度値が0.01以下)に比べて有意に高い吸光度を呈して陽性に検出された。一方、正常兎の血清から分離された免疫グロブリンの場合、10μg/mlの濃度でも希釈緩衝液による吸光度値の平均値(平均吸光度値0.01未満)に比べて有意な差を示さなかったので、OVAに対する特異IgG抗体が検出されなかった(図2)。
【0069】
従って、アレルゲン(例、OVA)を過免疫してアレルゲンに対するIgG抗体が高力価で生成された哺乳動物の血清で前記での通り、簡単なアレルゲン-特異抗体の力価測定検査法(ELISA等)でアレルゲン-特異抗体力価を測定し、さらに、アレルゲンを免疫させない正常哺乳動物に血清でのアレルゲン-特異抗体の力価と比較検討して、鑑別して、アレルゲン-特異免疫グロブリンが2血清希釈倍数以上に、高力価で検出される哺乳動物の血清検体を効果的に選別して選択し得ることを呈する(図1)。さらに、前記のようなアレルゲン-特異免疫グロブリン力価測定検査法で選別して選択したアレルゲン-特異抗体が高力価で存在する哺乳動物の血清から分離した免疫グロブリン、つまり、アレルゲン-特異高度免疫グロブリン内に、前記のアレルゲン-特異抗体の力価が依然と免疫グロブリンの濃度で比較して2倍以上の高力価で存在することが確認できた(図2)。
【0070】
これにより、前記の通り、OVA-特異抗体の力価を測定する検査法に基づき、血液内にOVAに対する特異免疫グロブリンが高力価で存在する兎を選別して、血液を採取し、血清を分離して下記実施例I-1-3)のヒスタミンとアレルゲン-特異高度免疫グロブリンの複合体の製造の為に使用した。さらに、前記実施例は本発明の薬学的組成物に含まれたアレルゲン-特異抗体又はアレルゲン-高度免疫グロブリンは、前記の通り、簡単なアレルゲン-特異抗体力価を測定する検査法を介してアレルゲンを免疫させない正常哺乳動物から分離した免疫グロブリンが含まれたヒスタミン-免疫グロブリン複合体と明確に区別できることを証明する。
【0071】
I-1-3)アレルゲン-特異高度免疫グロブリンの分離及びヒスタミン/アレルゲン-特異高度免疫グロブリン複合体の製造
前記ELISA検査を介してOVAに対して高力価の特異免疫グロブリンを含むものと立証された兎血清からprotein A columnを利用して吸着クロマトグラフィー(affinity-chromatography)方法でIgG抗体を分離して、OVA-特異高度免疫グロブリン(OVA-specific hyperimmune globulin)、つまり、本発明のアレルゲン-特異免疫グロブリンとして使用した。さらに、OVAを注射しない正常兎2匹から採血して血清を分離した後protein A columnでIgG抗体を分離して陰性対照である正常兎免疫グロブリンとして使用した。前記にて分離された兎IgG抗体等は、遠心分離型フィルター器具(centrifugal filtration device)(商品名=centricon; Milipore, U.S.A)を利用して生理食塩水で緩衝液を交換しながら適正濃度に濃縮した。分離されたIgG抗体を濃縮した検体等に存在する免疫グロブリン量を定量した後、それぞれの検体内にOVA-特異IgG抗体の力価をELISA法を利用して再確認した(図2)。前記過程を介して分離された生理食塩水に溶解された兎OVA-特異高度免疫グロブリン(OVA-specific hyperimmune globulin)12mgをヒスタミン2塩酸塩0.15microgramと混合して常温で2時間反応させ、ヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体(histamine/OVA-specific hyperimmune globulin complex)を製造した。さらに、陰性対照群として前記過程から分離された正常兎免疫グロブリン12mgと、ヒスタミン2塩酸塩0.15microgramを常温で2時間反応させて得られたヒスタミン/正常免疫グロブリン複合体を製造した。
【0072】
I-2.卵アルブミン(ovualbumin; OVA)アレルギーマウスモデルの構築
アレルギー疾患はアレルゲンの種類に伴う差がなく、共通的にアレルゲンとIgE抗体及び高親化性IgE収容体を有する細胞(好塩基球又は肥胖細胞;basophil or mast cell)の表面に存在する、アレルゲン-特異IgE抗体との結合による前記細胞等からのヒスタミンとTNF-alpha等を含む多様な化学媒介体の分泌を介したアレルギー免疫反応の結果により発病されると知られている(Platts-Mills TA. Am J Respir Crit Care Med 2001;164;1-5)。従って、本発明のヒスタミン/アレルゲン-特異免疫グロブリン複合体の抗アレルギー効果の検証の為に、当業界で新薬開発の際に抗アレルギー薬剤の効果検証の為に、通常的に使用されている代表的なアレルギー動物モデルである卵アルブミン(ovualbumin; OVAと略す)アレルギーマウスモデルを使用した(Ayoub M, et al. Int Immunopharmacol 2003;3:523-53; Horner AA, et al. J Allergy Clin Immunol 2002;110:413-20;アレルゲン組成物。大韓民国特許登録番号10-0549557)。現在まで当業界と学界の通常的な知識ではアレルギー動物モデルを作る為の、アレルゲン等中に卵アルブミンを利用したアレルギー動物モデルが最も容易で、作る価格も低廉で、再現性が高いと知られており、他のアレルゲンを利用して実験しても特定薬物の薬理作用に対する効果が有意な差がないものと知られていて、本発明の組成物の薬理的効果を証明する実施例等でこれを使用した。
【0073】
OVAアレルギーマウスモデルの製造の為に、年齢が6週の雌BALB/cマウスを使用した。先ず、それぞれのマウスにOVA(Sigma Chemical Co., St. Louis, Mo)20microgramをaluminum hydroxide 2mgとmagnesium hydroxide 2mgが含まれたadjuvant(商品名としてAlumn, Pierce, Rockford, II)と混合した後、腹腔内に0日と14日に注射した。それぞれのマウス等において、OVAに対するアレルギー免疫反応の程度は、14、21、又は28日目に鼠の尻尾より採血して血清を分離した後で、これを利用して下記の方法でOVA-特異IgE抗体及びIgG抗体を測定して評価した。
【0074】
OVAに対する特異-IgE抗体は、既に報告された方法(Saloga J, et al. J Clin Invest 1993;91:133-40)を変形して酵素免疫法(enzyme-linked immunosorbent assay; ELISA)で測定した。96-ウェルプレートにウェル当り5μgのOVAをコーティングした後で3%牛血清アルブミン(bovine serum albumin)と0.1% Tween-20が含まれたリン酸緩衝食塩水(hosphate buffered saline, PBS)で1時間反応させ、非特異的反応を遮断した後で、同一な緩衝液で1:20(v/v)希釈されたマウス血清を3時間反応させ、ビオチン(biotin)が付着された抗-マウスIgE抗体(rat monoclonal antibody)を1時間、さらに、再度アルカリホスファターゼがコンジュゲートされたストラップタビチン(alkaline phosphatase conjugated streptavidin)を30分間反応させ、抗原抗体反応の程度をp-ニトロフェニルホスファト(p-Nitrophenyl phosphate)を利用して発色して測定した。それぞれの反応段階の間にELISA plateは0.1% Tween-20が含まれたPBS(PBST)で5回ずつ洗滌した。陰性対照でOVAを免疫しない正常マウス血清を使用した。測定結果は、405nmで測定した吸光度で表記し、それぞれの検体毎に2回ずつ測定し(duplicate)測定値の平均を実験結果として使用した。
【0075】
OVAに対する特異-IgG抗体測定時には、ELISAプレートにウェル当り0.25μgのOVAをコーティングした後、3%の牛血清アルブミンが含まれたPBSTで1時間反応させ、非特異的反応を遮断し、1:500(v/v)希釈したマウス血清を2時間反応させ、アルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase)が付着された抗-マウスIgG抗体を再度2時間反応させ、抗原抗体反応の程度をp-ニトロフェニルホスファートを利用して発色して測定した。それぞれの反応段階の間にELISAプレートは0.1% Tween-20が含まれたPBS(PBST)で5回ずつ洗滌した。
【0076】
陰性対照でOVAを免疫しない正常マウス血清を使用した。測定結果は、405nmで測定した吸光度で表記し、それぞれの検体毎に2回ずつ測定して測定値の平均を実験結果として使用した。
【0077】
I-3.ヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体によるOVA-特異IgE及びIgG抗体反応の抑制効果確認
ヒスタミン/アレルゲン-特異抗体複合体の薬理学的活性を確認する為に、OVAアレルギーが誘導された実施例I-2の通り、構築されたアレルギーマウスモデルに実施例I-1-3)で製造されたヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体を処置した。実施例2の通り、OVAを注射して誘導したOVAアレルギーマウス(n=24)を下記の通り、3群に分けて実験を行った。第1群対照群(生理食塩水処置群)8匹は1日と15日に生理食塩水をそれぞれ100μlずつ皮下注射した。第2群His/OHIgC複合体(ヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体)の処置群であり、8匹は前記実施例I-1-3)で製造したヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体をマウス当り2mg(免疫グロブリン量で)ずつ1日と15日に皮下注射した。第3群ヒスタミン/正常兎免疫グロブリン複合体処置群で、8匹は前記実施例I-1-3)で製造したスタミン/正常兎免疫グロブリン複合体をマウス当り2mgずつ1日と15日に皮下注射した。実験21日目にマウスの尻尾から採取した血液より分離した血清内に存在するOVA-特異マウスIgE抗体とOVA-特異マウスIgG抗体を測定して、OVA-アレルゲン-特異IgE抗体反応(表1)とOVAアレルゲンに対するIgG抗体反応(表2)を分析した結果は下記の通りである。
【0078】
【表1】

【0079】
前記3群間でOVA-特異IgE抗体値の平均値に統計的に有意な差を示した(one-way Anova test, p<0.001)。さらに、生理食塩水のみを処置した陰性対照群(表1、1群)又は、ヒスタミン/正常兎免疫グロブリン複合体を投与した陰性処置群(表1、3群)に比べて、本発明のヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体を投与した処置群(表1、2群)でOVA-特異IgE抗体値が有意に減少してアレルゲンに対する特異IgE抗体反応が統計的に有意に抑制されたことが確認できた(Table 1, Student’s T-test, p<0.05)。特異にもヒスタミン/正常兎免疫グロブリン複合体を投与した陰性処置群(Table 1,3群)では生理食塩水のみを処置した陰性対照群(Table 1,1群)に比べてかえってOVA-特異IgE抗体値が有為に増加された現象が確認できた(Table 1, Student’s T-test, p<0.05)。
【0080】
前記3群間にOVA-特異IgG抗体値の平均値は表2の通り、統計的に有意な差を示した(one-way Anova test, p=0.001)。
【0081】
【表2】

【0082】
さらに、生理食塩水のみを処置した陰性対照群(表2、1群)又は、ヒスタミン/正常兎免疫グロブリン複合体を投与した陰性処置群(表2、3群)に比べて、本発明のヒスタミン/OVA-特異高度免疫グロブリン複合体を投与した処置群(表2、2群)でOVA-特異IgG抗体値が有意に減少してOVAに対する抗原-特異IgG抗体免疫反応が統計的に有意に抑制されたことが確認できた(表2, Student’s T-test, p<0.05)。
【0083】
既存の研究等を介してアレルギー疾患等において、原因アレルゲンに対する特異IgE抗体反応により、媒介されるアレルギー免疫反応を1)環境内のアレルゲン回避、2)アレルゲン-特異免疫治療、又は3)anti-IgE抗体治療により抑制させる場合臨床症状が有意に好転できると確認され、アレルゲンに対するIgE抗体反応が発病機転に中心的役割をすることが臨床的に立証された状態である(Platts-Mills TA. Am J Respir Crit Care Med 2001;164;1-5)。さらに、動物モデルでアレルゲン-特異IgE抗体のみを、純粋分離して他の動物に受動伝達(passive transfer)する場合、アレルギー反応と氣道組織のアレルギー性炎症反応が、正常動物に伝達されることを確認し、アレルゲン-特異IgE抗体がアレルギー免疫反応とアレルギー疾患の発病に最も核心的な役割をすることが証明されている(Oshiba A, et al. J Clin Invest 1966;97:1398-1408)。さらに、一部のアレルギー動物モデルを利用した研究では、アレルゲン-特異IgG抗体又はアレルギー疾患の発病に一部の役割をする可能性のあることが報告されている(Oshiba A, et al. J Clin Invest 1966;97:1398-1408)。
【0084】
発明者等は実施例I-3でヒスタミン/アレルゲン-特異高度免疫グロブリン複合体が、既にアレルギー疾患の治療の為に、使用されてきたヒスタミン/正常免疫グロブリン複合体に比べてアレルゲン-特異IgE抗体反応を、より効果的に抑制するばかりでなく、アレルゲン-特異IgG抗体反応までも抑制する、はっきりした抗アレルギー効果を示したことを最初に立証した。未だに、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体に含まれた免疫グロブリンの抗原-反応特性と、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体の抗アレルギー薬理作用間に関連性のあることが報告されており、ヒスタミン-免疫グロブリン複合体の薬学的組成物に含まれた免疫グロブリンの抗原-特異性を利用して抗アレルギー効果を改善しようとする試みはなされていない。
【0085】
従って、前記実施例I-3は、発明者等が考案したヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を有効成分として含む本発明の薬学的組成物が既存のヒスタミン/免疫グロブリン複合体に比べて、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギーの治療に適用できる極めて優れた抗アレルギー効果を呈することを証明する。
【0086】
実施例II:既に存在するヒスタミン-免疫グロブリン複合体剤形でアレルゲン-特異免疫グロブリンを除去した場合、抗アレルギー効果が減少されたことを証明し、ヒスタミンとアレルゲン-特異抗体複合体を含む本発明の薬学的組成物の効果を立証
【0087】
本実施例では、既にアレルギー疾患患者等の治療の為に使用されてきた、ヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体注射薬剤で、ヒスタミンとアレルゲン-特異抗体の複合体を除去した残りのヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体をOVAアレルギーマウスモデルに処理し、アレルゲン-特異IgE抗体及びIgG抗体媒介免疫反応の抑制効果を調査し、それをヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体処置群、人間免疫グロブリン処置群、人間免疫グロブリンとヒスタミン同時処置群等と比較した。
【0088】
II-1.実験材料の分析
市販中のヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体注射薬剤(ヒストブリンTM、緑十字社、韓国)は、製造社の薬剤説明書では人間免疫グロブリン12mgとヒスタミン2リン酸塩が0.15μg含まれていると記述されている。前記製剤は有効成分が乾燥された粉末形態で密封された注射用バイアルと、別に密封された2mlの注射用蒸留水バイアルの形態で供給され、製造会社は注射の度毎にこの二つのバイアルを混合して有効成分を溶解した後、2mlずつ注射するように勧奨している。前記薬剤に含まれた免疫グロブリン成分の再確認の為、発明者等がヒスタミン-免疫グロブリン複合体注射薬剤内のIgG、IgM、IgA、アルブミンの濃度をNephelometry測定機器(COBAS INTEGRA, Roche Diagnostics GmbH, Germany)を利用して定量した結果、Human IgG 11.0mg, Human IgA 0.24mgが含まれたものと測定された。IgMとアルブミンは前記機器を利用した測定方法の測定可能最小限界値より低い濃度(IgM<0.037mg/ml, albumin<0.09mg/ml)で存在して検出されなかった。さらに、製剤されたhistamine dichloride(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を購入して使用した。さらに、陰性対照試薬としてヒスタミンを添加しない筋肉注射用人間免疫グロブリン注射液(商品名:ガンマグロブリン;緑十字社、韓国;製品説明書にガンマグロブリン165mg/mlで表記される;nephelometryで測定時IgG 150mg/ml, IgA 0.14mg/ml, IgM<0.04mg/ml, albumin 1.58mg/mlに定量された)を使用した。
【0089】
II-2.ヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体注射薬剤、筋肉注射用免疫グロブリン製剤、さらに、アレルゲンを過免疫させた人間から分離された免疫グロブリン中に含まれたアレルゲン-特異免疫グロブリン抗体の力価測定
既に過去の文献(Vance GHS, et al. Clin Exp Allergy 2004;34:1855-61; StewartGA, et al. Clin Allergy 1988;18:235-43; Saint-Remy JM, et al. Allergy 1988;43:338-47)で報告されており、多くの人の血漿から分離され、製造されて市販されている前記ヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体、筋肉注射用人間免疫グロブリン製剤に存在するOVA及び家ダニアレルゲン(Dermatophagoides farinae)に対して特異的に反応する人間免疫グロブリンG(IgG)抗体をELISAで測定した結果、相当量のアレルゲン-特異IgG抗体等が存在することが確認できた(図3、図4)。前記アレルゲン-特異IgG抗体のELISA測定は、前記実施例I-2に記述された血清内にOVA-特異IgG抗体を測定するELISA法で2次抗体conjugateをalkaline-phosphataseが付着された抗人間IgG抗体で代替し、他の実験条件は同一に行い、測定した。
【0090】
ところで、興味深くも同一な濃度の総IgG抗体になるように希釈して、前記2種類のアレルゲン等に対するIgG抗体の力価を測定した結果、3種の既に市販中のヒスタミン-免疫グロブリン複合体と筋肉注射用免疫グロブリン製剤等間に、アレルゲン-特異IgG抗体値の有意な差が観察されなかった。つまり、前記実施例II-2の実験結果は、既に市販中のヒスタミン-免疫グロブリン複合体の場合、有り触れた主要アレルゲンに対する特異IgG抗体の面から判断した時に、他の筋肉注射用免疫グロブリン製剤と比べて免疫グロブリンを分離する為に、血漿等間に特別な選別過程を経ていないことが立証された。反面、家ダニアレルギーを同伴したアレルギー性鼻炎の治療の為に、1年間家ダニアレルゲンを皮下注射するアレルゲン-特異免疫治療を受けた1名の患者(patient 1; 図3、図4)の血液から分離された免疫グロブリンを、同一なIgG抗体の濃度から始めて2倍ずつ順次的に希釈して家ダニ-特異IgG免疫グロブリンの力価を比べた結果、前記3種の市販中の免疫グロブリン製剤に比べて免疫グロブリンで1.56migrogram/ml濃度まで家ダニ-特異IgG抗体の力価が2倍免疫グロブリン濃度以上の高力価を呈することが確認できた(図4)。従って、人間に特定のアレルゲンを免疫させる場合、本実施例II-2の通り、アレルゲン-特異IgG抗体が高力価で含まれたアレルゲン-特異高度免疫グロブリンが得られることが確認できた。さらに、前記実施例は、本発明の薬学的組成物に含まれたアレルゲン-特異抗体又は哺乳動物を特定アレルゲンで免疫させて得た、アレルゲン-特異抗体が高力価で含まれたアレルゲン-特異高度免疫グロブリンは、前記の通り簡単なアレルゲン-特異抗体力価を測定する検査法を介して、特定アレルゲンに対する情報が不明確な正常哺乳動物から分離された免疫グロブリン又はこのような免疫グロブリンが含まれた既存のヒスタミン-免疫グロブリン複合体剤形と明確に区別し得ることを証明する。さらに、発明者等は前記実施例を介して正常献血者等の血液内に自然的に存在するアレルゲン-特異抗体は力価の面でアレルゲンを過免疫させた人間の血清に存在するアレルゲン-特異抗体に比べて、極めて低い力価を示し、このような理由が既存のヒスタミン-免疫グロブリン複合体のアレルギー疾患治療効果が臨床的治療効果を呈する患者の比率や、その治療効果の程度が微々たる状況を招いた原因でもあり得ると判断する。従って、下記実施例等のアレルギー動物モデルを介して証明した通り、アレルゲンを免疫させ、アレルゲン-特異抗体の力価が正常アレルゲン非免疫哺乳動物に比べて有意に高力価を示した、哺乳動物の血液から分離したアレルゲン-特異高度免疫グロブリンとヒスタミンの複合体の形態を帯びた本発明の組成物が既に存在するヒスタミン-免疫グロブリン複合体の比べて、下記実施例等において立証した通り、より優れたアレルギー疾患予防又は治療効果を呈することは明らかなことである。
【0091】
II-3.現在使用中のヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体注射薬剤中に存在するアレルゲン-特異免疫グロブリン抗体の除去
本発明等は、既に市販中のヒスタミン-免疫グロブリン複合体内に存在する微量のアレルゲン-特異抗体が実際的にこの剤形が表す抗アレルギー効果で決定的役割をすることとの仮説を有して、下記実験等を介してこれを最初確認して立証し、既存の前記製剤が有する抗原-特異性の不明確性の短所を解決し得る科学的原理を究明し、このような既存の剤形に比べて有意に進歩された新たな剤形を創造しようと努力した。
【0092】
ヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体注射薬剤中に存在するOVAに対する特異抗体の効果を確認する為の主材料として使用する為に、精剤されたOVA(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)又は人間血清アルブミン(緑十字社、韓国)を活性化されたアガロースビード(cyanogen bromide activated agarose bead;商品名Sepharose 4B; Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)に製造社の勧告により1ml活性化されたアガロースビードにOVA 5mg又は人間血清アルブミン(human serum albumin; HSA)5mgを付着させた。
【0093】
OVA又は人間血清アルブミンを付着した2種類のアガロースビードそれぞれ4mlと10mg/ml濃度で希釈されたヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体溶液4mlを混合して、4℃で16時間反応させ、上層液のみを分離した。前記のように吸着させた後、上層液を利用して酵素免疫法でOVAに対する人間IgG抗体を測定する場合、前記のOVAを付着させたアガロースビードで吸着させた上層液の場合、OVAに対するIgG抗体が検出されず、人間血清アルブミンで吸着させた場合には、OVAに対するIgG抗体の測定値がヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体元来溶液に比べて統計的に有意な差がなかった。
【0094】
II-4.アレルギー動物モデルでのヒスタミン/人間アレルゲン-特異抗体の複合体によるアレルギー免疫反応抑制効果の検証
前記実施例I-2の方法でOVAに対するアレルギーを誘導した48匹のBALB/c雌マウス等を用いて、本発明のヒスタミン/アレルゲン-特異抗体複合体の生物学的効果を検証した。
【0095】
48匹のマウス等を下記の通り、各群毎に8匹ずつ6群に分けて実験をした。
1群対照群(生理食塩水処置群)は実験1、6、10、17、24日にそれぞれ生理食塩水をそれぞれ100μlずつ皮下(subcutaneous route)に注射した。第2群(ヒスタミン/人間免疫グロブリン処置群)は、ヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体を実験1、6、10、17、24日にそれぞれマウス個体当たり3mgずつ皮下注射した。第3群(OVA-特異免疫グロブリンを除去したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群)はOVA-付着アガロースビードと4℃の温度で16時間反応させ、OVA-特異抗体を除去したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体を、実験1、6、10、17、24日にそれぞれマウス個体当たり3mgずつ皮下注射した。第4群(人間アルブミンと反応させたヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群)は第3群の実験の対照実験として、人間血清アルブミン付着アガロースビードと4℃の温度で16時間反応させ、上層液を採取したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体を、実験1、6、10、17、24日にそれぞれマウス個体当たり3mgずつ皮下注射した。第5群(筋肉注射用人間免疫グロブリン処置群)はヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体の実験に対する対照実験として、実験1、6、10、17、24日にそれぞれマウス個体当たり、前記実施例II-2の筋肉注射用人間免疫グロブリンを免疫グロブリン量として、3mgずつ皮下注射した。第6群は(ヒスタミン/筋肉注射用人間免疫グロブリン処置群)は前記実施例II-2の筋肉注射用人間免疫グロブリンを、商品化されたヒスタミン/人間免疫グロブリン剤形と同一な量のヒスタミンと人間免疫グロブリン比率を有するように、ヒスタミンと人間免疫グロブリンを即時混合して同時に投与した場合で、実験1、6、10、17、24日にそれぞれマウス個体当たり、人間免疫グロブリン量として3mg(総15mg/マウス)ずつ皮下注射した。
【0096】
実験28日目にマウスの尻尾から採取した血液から分離された血清内に存在するOVA-特異マウスIgE抗体を測定し、OVAアレルゲンに対するIgE抗体媒介アレルギー反応を測定した後、分析した結果は下記の通りである。
【0097】
【表3】

【0098】
統計分析上、前記6個の群間にOVA-特異IgE抗体値の平均値の有意な差が観察された(表3;One-way Anova test, p<0.001)。さらに、生理食塩水のみを処置した陰性対照群(1群)に比べてヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群(2群)と人間血清アルブミンで吸着させたヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群(3群)、さらに、ヒスタミンと人間免疫グロブリンを同時投与群でOVA-特異IgE抗体値が有意に減少して、アレルゲンに対する特異IgE抗体反応が抑制されることが確認できた(表3)。
【0099】
現在、市販中のヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体の製造時に用いられる人間免疫グロブリンは、多数の血液供与者から分離された後、集めて当業界に通用される一定した工程を介して製造された免疫グロブリンが用いられる。既存の研究報告等において正常人の血液内には、飲食物を介した感作を介してOVAに対する特異抗体等が相当量存在すると知られている(Vance GHS, et al. Clin Exp Allergy 2004;34:1855-61)。発明者等はこのような報告等に着目して、ヒスタミン/人間免疫グロブリン内に存在する卵アルブミンに対する特異抗体が、マウスOVAアレルギーモデルでOVA-特異IgE抗体反応を抑制するものと仮定して前記の通り、実験を介して下記のような事実等を論理的に証明した。
【0100】
先ず、多数の献血者等から得られた人間免疫グロブリン製剤内には、有り触れた飲食物アレルゲンであるOVA又は、混合吸引性アレルゲンである家ダニのようなアレルゲン等に対する、特異免疫グロブリンが相当数存在することは、前記実施例II-2の実験結果からも確認できた(図3、図4)。
【0101】
本実施例(表3)で観察された通り、市販中のヒスタミン/人間免疫グロブリンから、アレルゲン-特異抗体を除去する場合、アレルギー動物モデルで観察されるヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体による、アレルゲン-特異IgE抗体反応の抑制効果が消えたことが確認できた(表3;1群と3群間に統計的に有意な差がなかった)。さらに、3群のOVA吸着群と対照群である第4群の人間血清アルブミン吸着群間には、ただ、OVAに対する特異抗体の存在有無以外には差がないにも拘らず、2群間に、OVA-特異IgE抗体値の統計的に有意な差(Student t-test, p=0.003)を呈したことは、本実験条件でヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体によるアレルゲン-特異IgE抗体反応の抑制機転にヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体に存在するアレルゲン-特異抗体が決定的な役割をすることを最初に証明する。
【0102】
さらに、陰性対照処置群である人間免疫グロブリン単独処置群(第5群)の場合、生理食塩水のみを処置した陰性対照群(第1群)に比べて有意なOVA-特異IgE抗体値の差を示しさなかったものの(表3;p=0.812)、ヒスタミンと人間免疫グロブリンを同時に投与した群(第6群)の場合、陰性対照群(第1群)に比べて有意なOVA-特異IgE抗体値の減少(表3;p=0.006)を呈した事実と、人間免疫グロブリン単独処置群(第5群)と人間免疫グロブリンとヒスタミン同時処置群(第6群)間に有意なOVA-特異IgE抗体値の差(Student t-test, p=0.040)を呈した事実は、ヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体によるアレルゲン-特異IgE抗体の抑制機転で単にOVA-特異抗体単独による抑制ではなく、OVA-特異抗体とヒスタミンが必ず同時に必要であることが確認できた。つまり、ヒスタミンが一種の免疫反応昂進剤(adjuvant)に作用して、市販中のヒスタミン-人間免疫グロブリン剤形内に存在する微量のアレルゲン-特異抗体による抗アレルギー効果を極大化させる相乗複合効果(synergistic combination effect)を誘発したことを証明する。さらに、通常的に用いられる特定アレルゲンに対する特異抗体の力価で選別されず、免疫グロブリン剤形間にアレルゲン-特異抗体の力価が差がなく、アレルゲン-特異高度免疫グロブリンに比べて極めて低いアレルゲン-特異抗体の力価を表す(図3、図4)既存の免疫グロブリン剤形単独では、抗アレルギー効果が極めて少なく、アレルギー疾患の治療に効果的でないことを証明した(表3、第5群)。
【0103】
従って、発明者等が前記実施例I-3と、実施例II-4の実験結果等を介してヒスタミンとアレルゲン-特異抗体間の相乗複合効果が存在することを最初に発見して証明し、さらに、このような発見に基づいて現在アレルギー疾患の治療の為に、臨床的に用いられているヒスタミン/免疫グロブリン複合体をヒスタミン/アレルゲン-特異抗体の複合体の形態で進歩させ、改良する場合、既存のヒスタミン-免疫グロブリン複合体に比べて極めて効果が優れた新たなアレルギー疾患治療用薬学的組成物を創造し得ることを証明した。
【0104】
さらに、前記実験結果はマウスに別の哺乳動物である人間のアレルゲン-特異抗体と、ヒスタミンの複合体を投与しても、マウスより観察されるアレルゲン-特異アレルギー免疫反応が抑制できることを証明し、人間にも人間から得られたアレルゲン-特異抗体とヒスタミンの複合体のみならず、他の哺乳動物から得られたアレルゲン-特異抗体とヒスタミンの複合体で構成された薬学的組成物を投与する場合、特定アレルゲンに対するIgE抗体-媒介アレルギー免疫反応が抑制できることを論理的に立証する。
【0105】
II-5.OVAアレルギーマウスモデルでヒスタミン/人間抗-OVA抗体の複合体による抗原-特異IgG抗体反応抑制効果の検証
実施例II-4の実験過程を介して実験28日目にマウスから採取した血液を利用して、実施例II-4の実験群1、2、3群のマウスから分離された血清内に存在するOVA-特異マウスIgG抗体を測定してOVAに対するIgG-抗体反応を測定した後、分析した。その結果は下記表4の通りである。
【0106】
【表4】

【0107】
統計分析上、前記3個の群間にOVA-特異IgG抗体値の平均値の有意な差が観察された(表4;one-way Anova test, p=0.002)。さらに、陰性対照のみを処置した陰性対照群(1群)に比べてヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群(2群)がOVA-特異IgG抗体値が有意に減少してOVAに対する特異IgG抗体反応が抑制されることが確認できた。特に、このようなヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体によるOVA-特異IgG抗体抑制効果は、OVAが付着されたアガロースビードと、ヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体を4℃の温度で16時間反応させ、OVA-特異抗体を除去したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体を同一な免疫グロブリン量で投与群(3群、OVA-adsorbed histamine/human immunoglobulin complex)の場合、ヒスタミン/人間免疫グロブリン投与群(2群)に比べて統計的に有意に減少(p=0.045)し、陰性対照群(1群)と統計的に有意な差を示さなかった(p=0.063)(表4)。従って、本発明のヒスタミン/抗原-特異抗体複合体は、ヒスタミン/抗原-非特異抗体複合体に比べてアレルゲン-特異IgG抗体の抑制効果が優れたことが確認できた。
【0108】
そこで、本実施例によれば、ヒスタミン及びアレルゲン-特異抗体を含む本発明の組成物は、IgE-抗体媒介型アレルギー疾患のみならず、本薬学的組成物が有する特定抗原に対するIgG免疫反応を調節する効果を介して特定自己アレルゲン(又は自己抗原)に対する特異IgG抗体反応が過剰に増加され、疾病が発病されると知られた甲状腺炎、全身性ループス、リューマチ関節炎、天疱瘡のような自己アレルギー疾患(又は自己免疫疾患)等の治療の為に、活用し得ることが論理的に確認できた。
【0109】
実施例III:ヒスタミン/家ダニ-特異免疫グロブリンによる家ダニ-特異IgE抗体-媒介アレルギー反応の抑制効果を確認した実施例
III-1.家ダニ-アレルギー動物モデル
既に報告されている家ダニアレルギーマウスモデルの政策方法等(Tournoy KG, et al. Clin Exp Allergy 2000;30:79-85, Yu CK, et al. Clin Exp Allergy 1999;29:414-422)により、体重が20-24gに該当する6週齢の雄C57B1/6マウスを利用して実験を行った。北アメリカ家ダニ(Dermatophagoides farinae;以下の文章等からDer fの略字で表現する)を前記マウス1匹当り蛋白質量(Bradfordの方法で定量する)で40microgramをaluminum hydroxide 2mgとmagnesium hydroxide 2mgが含まれた免疫増強剤(adjuvant;商品名=Alumn; Pierce, Rockford, II)と混合した後で腹腔内に0日に注射した。
【0110】
III-2.家ダニが付着されたアガロースビードを利用したヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体内の家ダニ-特異抗体の抑制
ヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体内に存在する家ダニに対する特異抗体を除去する為に、精剤された家ダニ抽出物(Der f, Allergopharma, Germany)又は陰性対照で市販されている静脈注射用人間血清アルブミン(緑十字社、韓国)を活性化されたアガロースビード(cyanogen bromide activated agarose bead;商品名Sepharose 4B; Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)に製造社の勧告により、5mlアガロースビード16mgの家ダニ(Der f)又は陰性対照抗原で同量の人間血清アルブミンを付着させ、それぞれ2種類の前記アガロースビード4mlと免疫グロブリンで10mg/m濃度に稀釈された商品化されたヒスタミン-人間免疫グロブリン複合体溶液(商品名、ヒストブリン、緑十字社)を4mlずつをそれぞれ常温で4時間反応させ、上層液のみを分離し、免疫グロブリン蛋白質の量を定量した。実施例II-2での通り、ELISA法で前記上層液に存在する家ダニに対する特異IgG抗体を検出した結果、家ダニを付着させたビードと反応させた上層液において、家ダニに対する特異IgG抗体が検出されない為、家ダニ特異抗体を除去したことを確認した。これに反して人間血清アルブミンを付着させたビードと反応させ、上層液においては家ダニに対する特異IgG抗体が市販中のヒスタミン-免疫グロブリン製剤と有意な差のないことが検出された。
【0111】
III-3.ヒスタミン/家ダニ-特異抗体複合体による家ダニアレルギー抑制効果証明
前記方法で家ダニ(Der f)に対するアレルギーを誘導した16匹の6週齢C57B1/6雄マウス等を用いて本発明のヒスタミン/家ダニ-特異免疫グロブリン複合体の生物学的効果を検証した。16匹のマウス等を下記の8匹ずつ2群に分けて実験を行った。それぞれ2群の16匹のマウス等に前記にて記述した通り、マウスにアレルギー反応を誘導する為に、家ダニを腹腔内に投与し、4時間後(つまり0日)に下記記述した2種類の処置等を1回皮下注射した。その効果は15日に採血したマウスの血清検体を利用して前記実施例I-2における方法により、家ダニに対する特異-IgE抗体値をELISA法により測定して確認した。
【0112】
第1群(家ダニ-特異免疫グロブリンを除去したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群)は前記にて記述した通り、家ダニ付着アガロースビードと反応させ、家ダニ-特異免疫グロブリンを抑制したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体をそれぞれマウス個体当り2.5mgずつ皮下注射した。第2群(人間アルブミンと反応させたヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体処置群)は第1群の実験の対照群実験にして、前記にて記述した通り、人間アルブミン付着アガロースビードと反応させた後、上層液を採取したヒスタミン/人間免疫グロブリン複合体をそれぞれマウス個体当り2.5mgずつ皮下注射した。
【0113】
【表5】

【0114】
前記表5の実験結果は本発明のヒスタミン-アレルゲン-特異抗体による、アレルゲン-特異IgE抗体の抑制効果を介した抗アレルギー効果が、実施例Iと実施例IIの卵アルブミンアレルギー動物モデルでの通り、家ダニアレルギー動物モデルにおいても、適用されることを確認した。つまり、本発明のヒスタミンとアレルゲン-特異抗体を有効成分として含むアレルギー疾患治療用組成物は、卵アルブミンで代表される飲食物アレルゲンのみならず、家ダニで代表される吸引性アレルゲンに対するアレルギー反応を全て抑制する効果を示して、アレルゲン等の種類に関係なく、特定アレルゲンに対するアレルギー免疫反応を効果的に抑制できることを証明する。従って、発明者等は既に究明されなかった新たなヒスタミンとアレルゲン-特異抗体間に相乗的相互作用(synergistic interaction)を介して優れた抗アレルギー効果を発生し得る新たな原理を最初発見し、このような原理を適用して既に存在するアレルギー疾患の治療薬物等に比べて極めて効果的で、発展された新たな形態を帯びる本発明のアレルギー疾患の予防又は治療用薬学的組成物が製造できる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明のアレルギー疾患治療用薬学的組成物を、アレルギー疾患患者等に投与する場合、本発明の薬学的組成物が有する抗アレルギー効果を介してアレルギー疾患の臨床症状を効果的に好転させ得る。本発明のアレルギー疾患治療用薬学的組成物とその製造方法は産業的にアレルギー疾患治療用医薬の製造に活用できる。従って、本発明の薬学的組成物、そのアレルギー疾患の予防又は治療用途、それを利用する予防又は治療方法によれば、標準的な治療方法のみで臨床症状が十分に好転されない難治性アレルギー疾患を有する患者等も効果的に好転し得る。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】卵アルブミン(OVA)を免疫した3匹の兎等(OVA-immunized; OVA-1, OVA-2, OVA-3)と免疫していない2匹の正常兎等(normal control 1, normal control 2)の血清内にOVA-特異IgG抗体の力価を酵素免疫法(ELISA)で測定した結果を表す。
【図2】卵アルブミン(OVA)を免疫した兎(OVA-immunized)と免疫していない正常兎等(normal control)の血清内からProtein Aコラムを利用して分離した免疫グロブリン内に存在するOVA-特異IgG抗体の力価を酵素免疫法(ELISA)で測定した結果を表す。
【図3】商業的に購入可能な人間免疫グロブリン製剤等である、筋肉注射用免疫グロブリン製剤(NL/Igと略す)とヒスタミン-免疫グロブリン複合体(His/Ig)製剤、さらに又、アレルギー疾患を患っている患者1名の血液から分離された免疫グロブリン(Patient 1)内に含まれた卵アルブミン(OVA)に対する特異IgG抗体の力価を酵素免疫法(ELISA)で測定した結果を表す。
【図4】商業的に購入可能な人間免疫グロブリン製剤等である、筋肉注射用免疫グロブリン製剤(NL/Igと略す)とヒスタミン-免疫グロブリン複合体(His/Ig)製剤、さらに又、家ダニによるアレルギー性喘息とアレルギー性鼻炎により、1年間家ダニアレルゲンで免疫治療を受けた、アレルギー疾患患者1名の血液から分離された免疫グロブリン(Patient 1)内に含まれた家ダニに対する特異IgG抗体の力価を酵素免疫法(ELISA)で測定した結果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒスタミン及びアレルゲン−特異抗体を有効成分として含む、アレルギー疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項2】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲンと特異的に反応し得る免疫グロブリンであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異高度免疫グロブリンであることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異IgG抗体であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記アレルギー疾患の予防又は治療はアレルゲン−特異IgE抗体反応を抑制することに起因することを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記アレルギー疾患の予防又は治療は追加してアレルゲン−特異IgG抗体反応を抑制することに起因することを特徴とする請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記アレルゲンは卵、卵アルブミン、牛乳、エビ、蟹、小麦粉、南京豆、家ダニ、花粉、動物のフケ及び黴から構成されるグループから選ばれる一つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記アレルゲンは核抗原蛋白質、二重螺旋DNA、燐脂質、ベータ−2グリコプロテインI、人間IgG抗体のFc分節及び第2型コラーゲンで構成されるグループから選ばれる、一つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記アレルギー疾患はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又は気管支喘息であることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記アレルギー疾患は全身性ループス又はリューマチ関節炎であることを特徴とする請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
(a)哺乳動物等をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物等の血液検体内のアレルゲン−特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)アレルゲン−特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物等に比べて2血清稀釈倍数以上高力価の、哺乳動物の血液からアレルゲン−特異免疫グロブリンを分離する段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン−特異免疫グロブリンとヒスタミンを混合する段階を含む請求項1に記載の薬学的組成物の製造方法。
【請求項12】
(a)哺乳動物をアレルゲンで免疫させる段階、(b)哺乳動物等の血液検体内のアレルゲン−特異免疫グロブリンの力価を測定する段階、(c)アレルゲン−特異免疫グロブリンが同種の正常哺乳動物に比べて、2血清希釈倍数以上高力価の哺乳動物の血液を選択する段階、(d)前記(c)段階で選択されたアレルゲン−特異免疫グロブリンが高力価の哺乳動物の血液からアレルゲン−特異免疫グロブリンが含まれた免疫グロブリン分画を分離して、アレルゲン−特異高度免疫グロブリンを得る段階、(e)前記(d)段階で分離されたアレルゲン−特異高度免疫グロブリンと、ヒスタミンを混合する段階を含む請求項3に記載の薬学的組成物の製造方法。
【請求項13】
アレルギー疾患の予防又は治療用医薬の製造の為のヒスタミン及びアレルゲン−特異抗体を有効成分として含む医薬的組成物の用途。
【請求項14】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲンと特異的に反応し得ることを特徴とする第13項記載の免疫グロブリンの用途。
【請求項15】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異高度免疫グロブリンであることを特徴とする請求項13に記載の用途。
【請求項16】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異IgG抗体であることを特徴とする請求項13に記載の用途。
【請求項17】
前記アレルギー疾患の予防又は治療はアレルゲン−特異IgE抗体反応を抑制することに起因することを特徴とする請求項13に記載の用途。
【請求項18】
前記アレルギー疾患の予防又は治療は追加してアレルゲン−特異IgG抗体反応を抑制することに起因することを特徴とする請求項17に記載の用途。
【請求項19】
前記アレルゲンは卵、卵アルブミン、牛乳、エビ、蟹、小麦粉、南京豆、家ダニ、花粉、動物のフケ及び黴から構成されるグループから選ばれる一つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項13乃至18の内いずれか1項に記載の用途。
【請求項20】
前記アレルゲンは核抗原蛋白質、二重螺旋DNA、燐脂質、ベータ−2グリコプロテインI、人間IgG抗体のFc分節及び第2型コラーゲンで構成されるグループから選ばれる1つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項13乃至18の内いずれか1項に記載の用途。
【請求項21】
前記アレルギー疾患はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又は気管支喘息であることを特徴とする請求項13乃至18の内いずれか1項に記載の用途。
【請求項22】
前記アレルギー疾患は全身性ループス又はリューマチ関節炎であることを特徴とする請求項20に記載の用途。
【請求項23】
哺乳動物に治療上有効量のヒスタミン及びアレルゲン−特異抗体を有効成分として含む薬学的組成物を投与することを含むアレルギー疾患の予防又は治療方法。
【請求項24】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲンと特異的に反応し得る免疫グロブリンであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異高度免疫グロブリンであることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記アレルゲン−特異抗体はアレルゲン−特異IgG抗体であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記アレルギー疾患の予防又は治療はアレルゲン−特異IgE抗体を抑制することに起因することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記アレルギー疾患の予防又は治療は追加してアレルゲン−特異IgG抗体反応はを抑制することに起因することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アレルゲンは卵、卵アルブミン、牛乳、エビ、蟹、小麦粉、南京豆、家ダニ、花粉、動物のフケ及び黴から構成されるグループから選ばれる一つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項23乃至28の内いずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記アレルゲンは核抗原蛋白質、二重螺旋DNA、燐脂質、ベータ−2グリコプロテインI、人間IgG抗体のFc分節及び第2型コラーゲンで構成されるグループから選ばれる1つ以上のアレルゲンであることを特徴とする請求項23乃至28の内いずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記アレルギー疾患はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、蕁麻疹又は気管支喘息であることを特徴とする請求項23乃至28の内いずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記アレルギー疾患は全身性ループス又はリューマチ関節炎であることを特徴とする請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−530370(P2009−530370A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501351(P2009−501351)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001350
【国際公開番号】WO2007/108633
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(507310846)
【出願人】(507310857)
【Fターム(参考)】