説明

アレルゲン検出測定方法及びアレルゲン検出測定装置

【課題】 人体に悪影響を及ぼすアレルゲンを、直接、容易に、高精度に定量することができるアレルゲン検出測定方法及びアレルゲン検出測定装置を提供する。
【解決手段】 開口部が封口部材により封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートの前記複数のマイクロセルの1つについて、マイクロセルの封口を解除し、当該マイクロセル内に注液器を用いてアレルゲン含有溶液を注液する注液工程と、前記注液工程でアレルゲン含有溶液が注液されたマイクロセルに対して、当該マイクロセル内で抗原抗体反応が完了するまでの時間を与える反応工程と、前記反応工程の後、前記マイクロセル内の未反応物質を洗い出す洗浄工程と、前記洗浄工程が終了したマイクロセルについて、アレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定工程と、を備えることを特徴とするアレルゲン検出測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルゲン測定方法及びアレルゲン検出測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大気中の花粉、ダニ、カビなどの浮遊微小物質は、アレルギーの原因として、人体に大きな影響を与えている。このようなアレルギーの中でも特に、スギ、ヒノキ等の花粉に対してアレルギーを引き起こす、いわゆる花粉症患者は年々増加している。
【0003】
従来、花粉飛散量の測定は、大気中にガラス基板やプレパラートを放置し、その上に花粉を堆積させ、その後堆積された花粉を染色し、顕微鏡観察により花粉量を確認する方法が用いられている。
【0004】
また、空気を吸入することにより空気中に浮遊する粒子を採取し、光散乱法により花粉数を測定する方法が用いられている。
【0005】
しかしながら、上記顕微鏡観察法では測定時間が非常に長くなる、検査者の熟練度により測定誤差が生じやすいという問題を有している。
【0006】
また、上記光散乱法は、単に花粉と同程度の粒子径(50ミクロン前後)の粒子の数を測定するだけであって、空気中を浮遊する塵・埃等も測定するおそれがあるため測定精度が悪く、またアレルギーの直接の原因となるアレルゲン(抗原)を検出できないという問題がある。
【0007】
また、花粉に含まれるアレルゲン(抗原)の量を定量する手段としては、下記特許文献1が挙げられる。
【0008】
【特許文献1】特開平4−315053号公報 (段落0010〜0019)
【0009】
上記特許文献1は、花粉の抗原性物質を特異的に認識するスギ花粉アレルゲン抗体の単分子膜を主面上に設けた水晶振動子を蒸留水に浸漬した後、この蒸留水に外気を導入して単分子膜に抗原抗体反応によりアレルゲンを付着させ、水晶振動子の振動数変化から花粉量を定量する技術である。
【0010】
この技術を、図面を用いて更に説明する。
特許文献1に係る花粉抗原測定装置は、図22に示すように、ATカット水晶振動子の主面に、ラングミュア−ブロジェット法によりスギ花粉アレルゲン抗体の単分子膜を一層吸着させることにより、アレルゲン検出測定装置50を作製する。この水晶振動子の端子51は、発振回路52と接続されている。発振回路52はジェネレータ(電源回路)53と接続してある。発振回路52の出力端は周波数カウンタ54と接続しており、この周波数カウンタ54はコンピュータ55と接続している。そしてアレルゲン検出測定装置50は、ビーカ56中の蒸留水57中に浸漬してされている。なお、図19において58は花粉添加手段であり、例えば注射器を用いることができる。
【0011】
アレルゲン検出測定装置50を蒸留水57中に浸漬した状態で、あらかじめ採取しておいた花粉を、花粉添加手段58により蒸留水57に加える。そして、蒸留水中に花粉を加えた後、10分放置し、花粉とアレルゲン検出測定装置のスギ花粉アレルゲン抗体とを反応させた後、水晶振動子の振動数を測定する。そして、この振動数から花粉を加える前の振動数を減じることにより振動数変化を求め、花粉量の定量を行う。
【0012】
しかし、上記特許文献1に係る技術では、スギ花粉アレルゲン抗体の単分子膜の作製が容易ではない、装置が大きいため測定が繁雑であるという問題があった。
【0013】
さらに、抗原抗体反応の検出部である水晶振動子は繰り返し使用可能であるが、抗原抗体反応の認識部であるスギ花粉アレルゲン抗体の単分子膜は抗体に結合した花粉抗原を除去できないため繰り返し使用ができない。よって、アレルゲン検出測定装置を繰り返し使用するためには、単分子膜が設けられた水晶振動子全体を交換する必要があり、コスト高になるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、直接アレルギーの原因となるアレルゲン(例えば花粉アレルゲン)の量を簡便で且つ高精度に定量することのできるアレルゲン検出測定方法及びアレルゲン検出測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための第1の態様の本発明は、開口部が封口部材により封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートの前記複数のマイクロセルの1つについて、マイクロセルの封口を解除しつつ、当該マイクロセル内に注液器を用いてアレルゲン含有溶液を注液する注液工程と、 前記注液工程でアレルゲン含有溶液が注液されたマイクロセルに対して、当該マイクロセル内で抗原抗体反応が完了するまでの時間を与える反応工程と、前記反応工程の後、前記マイクロセル内の未反応物質を洗い出す洗浄工程と、前記洗浄工程が終了したマイクロセルについて、アレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によると、各マイクロセルは、注液工程まで密閉状態が保たれるので、アレルゲン以外の他の物質がマイクロセル内に混入することがなく、高精度にアレルゲンを測定することができる。
【0017】
ここで、前記マイクロセルの大きさは、検出測定手段での検出しやすさの観点から、断面形状が円形であり、直径3〜7mm、深さが8〜12mmであることが好ましい。
しかし、前記マイクロセルの断面形状は円形に限定されることはなく、楕円形、多角形、不定形等であってもよい。また、マイクロセルの深さ方向において、断面積が減少するような構造であってもよい。
【0018】
また、前記マイクロセルプレートの隣り合うマイクロセルの間隔が過小であると、アレルゲン含有液等(試験液)の注液や吸液が難しくなり、過大であると、マイクロセルアレイプレートの大きさが必要以上に大きくなる。このため、隣り合うマイクロセルの間隔は、マイクロセルの直径の0.2〜1倍であることが好ましい。
【0019】
また、前記1つのマイクロセルについて行うアレルゲン検出測定工程が、他の1つのマイクロセルについて行う注液工程、または他の1つのマイクロセルについて行う洗浄工程と同時並行的に行われる構成、とすることができる。
【0020】
上記構成であると、アレルゲン検出測定に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0021】
また、洗浄工程は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す工程である構成、とすることができる。
【0022】
上記構成によると、簡易な方法でマイクロセル内を洗浄することができ、検出精度を高めることができる。
【0023】
上記課題を解決するための第2の態様の本発明は、開口部が封口部材により封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートのマイクロセル群に対し、随時1つのマイクロセルの封口を解除しつつ、そのマイクロセル内に第1の注液器を用いてアレルゲン含有溶液を注液する注液工程と、前記注液工程の後、アレルゲン含有溶液が注液された各々のマイクロセルについて、抗原抗体反応が完了するまでの時間を与える反応工程と、前記反応工程の後、前記マイクロセル内の未反応物質を洗い出し、しかる後に反応工程が終了した次のマイクロセルの洗浄に移る逐次洗浄工程と、前記洗浄が終了した個々のマイクロセル内のアレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定工程と、を備えることを特徴とするアレルゲン検出測定方法である。
【0024】
上記構成によると、同一のサンプル液を随時一つのマイクロセル内に注液を行うため、サンプル中の複数種のアレルゲンを速やかに検出測定することができる。
【0025】
また、或る1つのマイクロセルに対する注液工程、他の1つのマイクロセルに対する前記逐次洗浄工程、前2者以外のもう1つのマイクロセルに対する前記アレルゲン検出測定工程のいずれか2つ以上の工程が、同時並行的に行われる構成、とすることができる。
【0026】
上記構成であると、アレルゲン検出測定に要する時間を飛躍的に短縮することができる。
【0027】
前記逐次洗浄工程は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す工程した後、反応工程が終了した次のマイクロセルの洗浄に移る工程である構成、とすることができる。
【0028】
上記構成によると、簡易な方法でマイクロセル内を洗浄することができ、検出精度を高めることができる。
【0029】
上記第2の態様の本発明において、前記第1の注液器を第2の注液器としても用いる構成、とすることができる。
【0030】
上記第1又は第2の態様の本発明において、前記注液工程におけるマイクロセルの封口の解除が、前記注液器の先で前記封口部材を突き破る方法であるとすることができる。
【0031】
上記構成によると、封口部材のコストを低減できるとともに、封口解除方法が簡便であるため、アレルゲン検出測定方法をより簡略化することができる。
【0032】
この場合、前記封口部材は薄い粘着シートや熱融着性フィルム等であることが好ましい。また、突き破った後、注液器をマイクロセル内に入れて注液を行うので、封口部材により注液器が汚れてマイクロセル内の溶液を汚染しないことが必要となる。このため、上記方法に用いる封口部材の開口部分には、汚染源となる物質(例えば粘着剤等)がないことが好ましい。
【0033】
通常、反応工程には10〜40分程度の時間を与える必要があるが、この工程においては第1の注液器及び第2の注液器は用いない。従って、第1の注液器を第2の注液器として用い、反応工程の進行中に第1の注液器を洗浄し、しかる後第1の注液器を用いて逐次洗浄工程を行うことにより、一つの注液器で注液及び逐次洗浄を行うことができ、検出方法の簡略化を図れる。
【0034】
また、上記第1又は第2の態様の本発明において、前記検出測定工程の後、マイクロセルの開口部を再度封口する封口工程を備える構成とすることができる。
【0035】
上記構成によると、検出測定工程後のマイクロセルに含まれる溶液が、検出測定工程前のマイクロセル内に混入することを防止できる。また、マイクロセルアレイプレートの廃棄時にマイクロセルに含まれる溶液がこぼれて試験室等を汚すことがない。
【0036】
上記課題を解決するための第3の態様の本発明は、開口部が封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートと、前記マイクロセルアレイプレート上のマイクロセルに溶液を注液する注液器を有する注液手段と、洗浄用の注液器を備え、マイクロセル内の未反応物質を洗い出す洗浄手段と、前記マイクロセルアレイプレートを可動させて、前記注液器の直下にマイクロセルを位置させるアレイプレート可動手段と、前記洗浄手段が洗浄したマイクロセル内にあるアレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定手段とを備えるアレルゲン検出測定装置である。
【0037】
上記構成によると、上記第1の態様又は第2の態様の本発明に係る検出測定方法を実施できるアレルゲン検出測定装置が得られる。
【0038】
また、前記アレルゲン検出測定装置は、前記注液手段、前記アレイプレート可動手段、前記洗浄手段、及び前記アレルゲン検出測定手段の動作を統合的に制御する制御手段を備え、前記制御手段は、前記アレイプレート可動手段を動作させて、未開封のマイクロセルが前記注液器の先端の直下に位置するようにし、更に前記注液手段を動作させて、前記注液器先端の直下に位置させたマイクロセルの封口を解くとともに、前記注液器により当該マイクロセル内に溶液を注液させ、更に前記洗浄手段を動作させて、前記注液後所定時間経過したマイクロセル内の未反応物質を洗い出させ、更に前記洗浄が終了した後、未開封の他のマイクロセルが前記注液器の先端の直下に位置するように前記アレイプレート可動手段を動作させる構成とすることができる。
【0039】
上記制御手段を備えることにより、アレルゲンの検出測定が容易となる。
【0040】
また、前記制御手段は、前記注液器により当該マイクロセル内に溶液を注液させるステップと、前記注液後所定時間経過したマイクロセル内の未反応物質を洗い出させるステップと、前記洗浄手段が洗浄したマイクロセル内のアレルゲンの種類と量を測定するステップのいずれか2以上のステップを同時並行的に行うように動作する構成とすることができる。
【0041】
上記制御手段が、上記のように注液・洗浄・検出測定のいずれか2以上のステップを同時並行的に行うことができるので、検出測定に要する時間を飛躍的に短縮できる。なお、制御手段の制御フローについては、発明を実施するための最良の形態において詳細に説明する。
【0042】
上記第3の態様の本発明において、前記洗浄手段は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す手段構成とすることができる。
【0043】
上記構成によると、簡便且つ高精度にマイクロセルを洗浄することができる。
【0044】
上記第3の態様の本発明において、前記アレルゲン検出測定装置はさらに、検出測定後のマイクロセルを再封口する再封口手段を備える構成とすることができる。
【0045】
上記構成によると、上記再封口工程を備える検出測定方法が容易に実現できる。
【0046】
上記第3の態様の本発明において、前記注液手段が前記洗浄手段を兼ねる構成とすることができる。
【0047】
通常、反応工程は10〜40分程度の時間を要するが、上記構成によると、反応工程中に所定数のマイクロセルに対して注液を行い、反応工程終了後には注液手段を洗浄手段として用いてマイクロセルの洗浄を行うことにより、全測定時間を長くすることなく装置を簡略化することができる。
【0048】
上記第3の態様の本発明において、前記封口部材は、粘着シートまたは熱融着性フィルムであり、前記注液器は、前記粘着シートまたは熱融着性フィルムを突き破りマイクロセル内に溶液を注液する構成とすることができる。
【0049】
上記構成によると、マイクロセルの封口及び封口の解除が容易となる。
【0050】
上記第3の態様の本発明において、前記マイクロセルアレイプレートは、プレートとマイクロセルとが一体成型されてなる構成とすることができる。
【0051】
上記構成によると、マイクロセルアレイプレートの作製及び取扱が容易となる。
【0052】
上記第3の態様の本発明において、前記マイクロセルアレイプレートは、アレルゲン抗体を吸着させることのできる素材からなる構成とすることができる。
【0053】
上記構成によると、マイクロセル内にアレルゲン抗体含有溶液を入れて一定時間放置するという簡便な手法でアレルゲン抗体をマイクロセル内に固定することができ、マイクロセルアレイプレートの作製が容易となる。
【0054】
上記第3の態様の本発明において、前記検出測定手段における検出測定方法が、光学的方法であり、前記マイクロセルアレイプレートは、透明な素材からなる構成とすることができる。
【0055】
上記構成によると、光学的方法は、簡便な検出測定方法であるので、検出測定コストを低減することができる。
【0056】
上記第3の態様の本発明において、前記マイクロセルアレイプレートが柔軟性を持つ構成とすることができる。
【0057】
上記構成によると、図5に示すように巻き取った状態のマイクロセルアレイプレートを用いることができ、更に装置を小型化することができる。
【0058】
この場合、図5に示すように、取扱性やすさの観点から、マイクロセルはマイクロセルアレイプレートに一次元に配置されていることが好ましく、マイクロセルアレイプレートの大きさは、取扱やすさの観点から、4.2×4.2×7mm〜130×90×15mmの範囲内であることが好ましい。
【0059】
ここで、柔軟性とは、図5に示すように、マイクロセルアレイプレートを渦巻状に巻き取った場合において、ひび割れ等の破損がない性質を有することを意味する。このような性質を有するマイクロセルアレイプレート材料としては、軟質塩化ビニル・ポリエチレン等を用いることができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によると、高精度で且つ簡便にアレルゲンの種類を検出し、量を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0062】
(実施の形態1)
実施の形態1を図面に基づいて説明する。実施の形態1は、第1の態様の本発明に係る検出測定方法及び第3の態様に係る本発明の検出測定装置に関するものであり、具体的には、注液手段が洗浄手段を兼ねる構成(以下、注液洗浄手段と称する)の検出測定装置に関するものである。
【0063】
図1は、実施の形態1に係るアレルゲン検出測定装置の全体的な構成を示す概念図である。このアレルゲン検出測定装置は、外気中のスギ花粉に含まれるアレルゲンに対して抗原抗体反応を用いてアレルゲンを検出・測定する装置である。
【0064】
アレルゲン検出測定装置は、外気からアレルギー原因粒子(本実施の形態ではスギ花粉)を収集する収集手段1と、スギ花粉からアレルゲンを抽出する抽出手段2と、スギ花粉アレルゲンと特異的に反応する抗体がその内部に固定されたマイクロセルを2以上有するマイクロセルアレイプレート(図示せず)と、アレルゲンマイクロセルアレイプレートに抽出液・洗浄液等(以下、これらを試験液と総称する場合がある)を注液し、これを排出する注液器を備えた注液洗浄手段3と、マイクロセルアレイプレートを載置し、可動させるアレイプレート可動手段4と、マイクロセルアレイプレートでの抗原抗体反応を検出・測定する検出測定手段5と、マイクロセルを封止する封口手段8と、上記各手段の動作を統合的に制御する制御手段(図示せず)を備えている。前記収集手段1と抽出手段2、抽出手段2と注液洗浄手段3は、それぞれ配管(例えばチューブ)6・7により接続されている。
【0065】
なお、上記構成は外気中のスギ花粉に含まれるアレルゲンを検出測定するための構成であり、アレルゲン含有溶液が既に準備されている場合には、収集手段1・抽出手段2・チューブ6・7は必須の構成要素ではない。また、封口手段8も、必須の構成要素ではない。
【0066】
次に、スギ花粉アレルゲンと特異的に反応する抗体が固定化されたマイクロセル及びマイクロセルアレイプレートの作製方法の一例を以下に説明する。これは単に例示に過ぎず、作製方法はこの方法に限定されない。
【0067】
まず、試験動物(例えばウサギ等)にスギ花粉を数回注射した後、このウサギから血清を採取する。この血清を、アフィニティカラム等を用いて精製することにより、スギ花粉アレルゲン抗体31を得る。
【0068】
上記作業と並行して、マイクロセルアレイプレートの射出成形用金型内に透明なポリスチレン樹脂を用いて射出成形を行い、マイクロセル41を2つ以上備えたマイクロセルアレイプレート40を作製する。
【0069】
次に、得られたスギ花粉アレルゲン抗体31を含む溶液を、注液器を用いてマイクロセル41に注液し、室温で2時間静置する。ポリスチレン樹脂はアレルゲン抗体を物理的に吸着する性質を有するので、マイクロセル41の内壁にスギ花粉アレルゲン抗体31が吸着され、固定される。その後、ポリスチレン樹脂に固定化されていない抗体を除去するため、前記注液器によりマイクロセル41中の溶液を吸液し、排出した後、洗浄液を注液しこれを排出するマイクロセル作成用洗浄サイクルを所定回(例えば3回)行う。この後、マイクロセル41の開口部を封口部材(例えば粘着シート)42で密閉する。これにより、図8に示すように、開口部が粘着シート42により封口され、その内部にスギ花粉アレルゲン抗体31が内部に固定されたマイクロセル41が、複数配置されたマイクロセルアレイプレート40が得られる。
【0070】
なお、スギ花粉アレルゲン抗体は、その他の物質と反応しないように、ブロッキング処理を施すことが好ましい。また、図8では、マイクロセル41に固定される物質は抗体のみであるが、マイクロセルにアレルゲン含有溶液を注液したとき、マイクロセル自体にアレルゲンが非特異的吸着を起こすことを防止するため、アルブミンなどのタンパク質や、Tween20などの界面活性剤を、非特異的吸着防止剤としてマイクロセル内に予め添加し、マイクロセル内壁に吸着し、固定してもよい。
【0071】
また、図8では、マイクロセル41中の溶液を取り除いた乾燥状態で封口しているが、固定された抗体をより安定な状態で保存するために、グリセロールなどの安定化剤を含んだ抗体を失活させないpHを有する緩衝液等(例えばリン酸緩衝液)をマイクロセル内に注液した状態で封口してもよい。
【0072】
また、粘着シート42のマイクロセル41の開口を覆う部分には、粘着剤を付着させていないことが好ましい。これは、当該部分は注液器により突き破られ、その後マイクロセル内に入った状態で注液を行うので、この工程においてマイクロセル内41に粘着シート又は注液器に付着した粘着剤が試験液とともにマイクロセル内に混入して、測定の精度を低下させることを防止するためである。
【0073】
また、マイクロセルアレイプレートは、測定に用いるまで抗体の活性を劣化させないために、冷凍保存することが好ましい。
【0074】
次に、アレルゲン検出測定装置を構成する各手段について説明する。
【0075】
収集手段1は、外気からスギ花粉を収集する手段であり、具体的構成としては、上部に開口を設け、該開口から落下する花粉を収集する構成であってもよく、外付けの吸引装置を介して外気中からスギ花粉を強制的に取り込む方法であってもよい。
【0076】
抽出手段2は、収集手段1で収集したスギ花粉を含む溶液をチューブ6により受け取り、この溶液中からスギ花粉アレルゲンを抽出する手段である。具体的な抽出方法としては、アレルゲンの安定性が高いpHを有する溶媒(例えばリン酸緩衝液)中に花粉を放置することによって、花粉を吸水させ、膨張させてスギ花粉粒子の細胞壁を破砕する。これにより、スギ花粉内部のアレルゲンを抽出することができる。また、抽出性・安定性の高い弱アルカリ性炭酸水素アンモニウム溶液等の抽出溶媒を用いると、効率よくスギ花粉からアレルゲンを抽出できる。
【0077】
更に、スギ花粉粒子からアレルゲンを効率よく抽出する方法として、抽出手段2に磁性ボールを配置しておき、外部より磁力を作用させてボールを揺動させるボールミル方式を採用してもよい。
【0078】
また、スギ花粉アレルゲン以外の成分(例えば花粉の殻、塵・埃等)が、マイクロセル内に注液されると、これらの成分がマイクロセル内に固定されたスギ花粉アレルゲン抗体と反応する可能性がある。この問題を解決するため、抽出手段2に、アレルゲンが通過でき、アレルゲンよりもサイズの大きい粒子(例えば、花粉の殻等)が通過できない第1の分離部(図示せず)と、アレルゲンが通過できず、アレルゲンよりもサイズの小さい粒子(例えば、花粉に含まれる可溶物質)が通過できる第2の分離部(図示せず)とを設けて、スギ花粉アレルゲンとスギ花粉アレルゲン以外の成分とを分離することが好ましい。
【0079】
この2つの分離部を用い、抽出液を流すと、第1の分離部と第2の分離部との間に、スギ花粉アレルゲンが残ることとなる。ここで、分離部としては、所定の間隔で配置した複数の柱・所定の空孔サイズをもつゲル状高分子・所定の空孔サイズをもつフィルタ等を用いることができる。
【0080】
図2は、実施の形態1に係る注液洗浄手段3を示す概念図である。注液洗浄手段3は、マイクロセル内に試験液を注液するとともに、洗浄液の注液と排出を繰り返すことによりマイクロセル内を洗浄する手段である。具体的には、廃液容器10と、洗浄液(例えばリン酸緩衝液)を貯蔵する洗浄液容器(マイクロセル洗浄液容器)11と、マイクロセル内に試験液を注液し、マイクロセル内部液を吸液するピペット(注液器)13と、前記ピペット13を洗浄する洗浄液(例えば蒸留水)が貯蔵され、且つピペットを洗浄液内に漬けた状態で超音波による振動を与えて前記ピペットを洗浄する洗浄機構を備えた注液器洗浄液容器12と、ピペット13でマイクロセルの封口部材を突き破り、また前記ピペット13を前記マイクロセル41・上記廃液容器10・洗浄液容器11・洗浄機構12間で移動させるアーム14とを備えている。また、ピペット13には上記抽出手段2から試験液が送られるチューブ7が接続されている。
【0081】
実施の形態1では、注液洗浄手段3は、ピペット13が移動できうる範囲に、廃液容器10、マイクロセル洗浄液容器11、注液器洗浄液容器12が設置されているが、これらの配置は図2に示す構成に限定されるものではない。また、洗浄機構は注液器洗浄液容器12の必須の構成ではなく、マイクロセル洗浄液容器11、注液器洗浄液容器12が同一のものであってもよい。
【0082】
また、1つのマイクロセルに対する洗浄工程が終了した後、洗浄液を入れ替える構成を採用すると、洗浄液が汚染されることによる検出測定精度の低下を防止できるため、好ましい。
【0083】
図12は、実施の形態1に係るアレイプレート可動手段を示す概念図である。アレイプレート可動手段は、例えば図3に示すように、直交するXY座標上に配列されたマイクロセルアレイプレート(図示せず)を可動させる手段であり、X軸方向に移動させる第1の可動手段304を備えたXステージ302と、Y軸方向に移動させる第2の可動手段305を備えたYステージ303と、ステージ設置台306と、マイクロセルアレイプレートが設置されているかどうかを認識するアレイプレート認識手段301から構成される。そして、このアレイプレート可動手段のXステージ上に、例えば図3に示す構造のマイクロセルアレイプレートが設置される。
【0084】
ここで、Xステージ302、Yステージ303の配置は上下逆であってもよく、両者の機能を兼ね備えた1つのステージであってもよい。また、ステージ設置台306と一体化されている構成であってもよい。
【0085】
また、第一の可動手段304、第二の可動手段305としては、例えばモータを用いることができる。また、アレイプレート認識手段301としては、例えば圧力センサを用いることができる。
【0086】
図13は、実施の形態1に係る検出測定手段を示す概念図である。検出測定手段5は、マイクロセル内で行われた抗原抗体反応を検出する手段である。例えば蛍光標識法を用いて検出測定を行う場合、図13に示すように励起光22を照射する励起光照射部20、この励起光22により励起された標識物質からの蛍光23の強度を検出する検出器21を備えている。また、検出した蛍光強度からアレルゲン量を測定する測定部(図示せず)を備えている。
【0087】
封口手段8は、検出測定工程後のマイクロセルから使用済み試験液がこぼれでないようにマイクロセルを再度封口する手段であって、例えば全面に粘着剤が塗布された粘着テープを用いて使用済みマイクロセルを封口する。
【0088】
この封口に用いる粘着テープは、水等の遮断効果・耐破性・耐衝性に優れることが好ましく、例えばポリエステル・ポリエチレン・セロハン・ナイロン・ビニル等を用いることができる。
【0089】
この粘着テープは、マイクロセル中の溶液が外部に漏れない接着強度が求められるが、封口するマイクロセルは使用済み(検出測定工程終了後)であり、再度使用することがないので、マイクロセル内の試験液に影響を及ぼす可能性のある粘着剤がテープ全面に塗布されたものを用いることができる。
【0090】
次に実施の形態1におけるアレルゲン検出測定装置の動作と、アレルゲン検出測定方法の各工程とを、図9を用いて説明する。測定の1サイクルは、図9に示すように、収集工程101、抽出工程102、注液工程103、反応工程104、洗浄工程105、検出測定工程106、封口工程107からなる。
【0091】
ここで、下記各工程における各手段の動作の統合的な制御は、予め制御プログラムが組み込まれたコンピュータからなる制御手段(図示せず)が行う。
【0092】
収集工程101では、収集手段1により外気中のスギ花粉を収集する。
【0093】
抽出工程102では、収集手段1により収集された外気中のスギ花粉を、チューブ6を通じて抽出手段2に送る。抽出手段2において、スギ花粉に含まれるアレルゲンが抽出されるとともに、以降の検出測定工程に悪影響を及ぼす可能性のある他の粒子と分離される。この後、抽出され、分離されたスギ花粉アレルゲンを、花粉抽出手段2内に設けられた溶液タンク(図示せず)に含まれる蛍光標識付きスギ花粉アレルゲン含有溶液と混合し、チューブ7を用いて注液洗浄手段3に送る。
【0094】
注液工程103では、注液洗浄手段3により、アレイプレート可動手段4のマイクロセルアレイプレートのマイクロセルに、抽出手段から送られた溶液(反応液)を注液する。このとき、注液洗浄手段3のピペット13で、マイクロセル41を密閉している粘着シート(封口部材)42を突き刺してピペットをマイクロセルに挿入した後、反応液を注液する。
【0095】
反応工程104では、スギ花粉アレルゲン抗体とアレルゲンとの抗体抗原反応が、マイクロセル内で十分に行われるように、一定時間マイクロセルアレイプレートを静置する。この反応において、花粉から抽出されたスギ花粉アレルゲンと、蛍光標識付きスギ花粉アレルゲンとが、競合してスギ花粉アレルゲン抗体と反応し、アレルゲン−抗体複合体を形成する。
【0096】
洗浄工程105では、注液洗浄手段3により、反応工程104で抗原抗体反応を起こしたマイクロセル中の使用済み反応液が吸引され、廃液容器10に排出される。また、マイクロセル内に残存した未反応のアレルゲンを除去するために、注液洗浄手段3を用いて洗浄液をマイクロセル内に注液し、しかる後にこの液を吸液し廃液容器10に排出して、マイクロセルを洗浄する。
【0097】
この後、洗浄機構12を用いて前記ピペット13を洗浄する。
【0098】
検出測定工程106では、反応工程104で抗原抗体反応を起こしたマイクロセル41中の抗原抗体反応を、検出測定手段5により測定する。
【0099】
具体的方法は、図12の励起光照射部20から励起光22をマイクロセル41に照射し、この励起光22により励起された蛍光標識からの蛍光23の強度を検出器21で測定する。
【0100】
反応液中の花粉から抽出されたスギ花粉アレルゲンの量が増加すると、抗体に結合するアレルゲンのうち、蛍光標識付きスギ花粉アレルゲンの割合が少なくなる。その結果、溶液中の花粉から抽出されたアレルゲンの量が増加すると、検出される蛍光強度が低下する。したがって、蛍光標識付きアレルゲンのみで抗原抗体反応をおこなった場合の蛍光強度に対する相対強度を求めることにより、抽出液中のアレルゲン量を測定する。
【0101】
なお、この方法は、競合法と称されることもあるが、この方法を用いる場合、蛍光標識付きスギ花粉アレルゲンの量と、マイクロセル内に固定されているスギ花粉アレルゲン抗体の量が予め所定の範囲に設定されていることが必要である。なぜなら、マイクロセル内に固定されたスギ花粉アレルゲン抗体の量が過大であり、抽出されたアレルゲン及び蛍光標識付きアレルゲンの量が過小である場合、両アレルゲン全てがスギ花粉アレルゲン抗体と反応して複合体を生成し、正確なアレルゲン量が検出できない等の不具合が生じるからである。
【0102】
封口工程107では、測定後のマイクロセルに含まれる使用済み試験液が他のマイクロセルに混入しないよう、封口手段8によりマイクロセルの開口部を粘着テープ等で再度封口する。たとえば、図12の第1の可動手段61と第2の可動手段62を可動させ、マイクロセルアレイプレート60の使用済みマイクロセルを、封口手段8の下の位置に移動させた後、封口手段8により、測定に使用したマイクロセルに粘着テープを貼り付けて封口する。
【0103】
なお、上記構成は外気中のスギ花粉に含まれるアレルゲンを検出測定するための構成であり、アレルゲン含有溶液が既に準備されている場合には、収集工程101、抽出工程は必須の構成要素ではない。また、封口工程107も、必須の構成要素ではない。
【0104】
次に、制御手段の各手段の統合的制御について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
【0105】
400では、使用するアレイプレートの情報が、測定装置に与えられる。アレイプレートの情報は、例えばあらかじめ登録されているデータから、ユーザが選択することで測定装置に与えられる。本実施の形態におけるアレイプレートの情報は、マイクロセルの総数、マイクロセルの配置、マイクロセル間の間隔等である。
【0106】
401では圧力センサ301によってアレイプレートの設置の有無が検出される。アレイプレートが設置されていない場合には、402でエラー処理が実行される。アレイプレートが設置されている場合には、以下に示す403から410の測定動作がおこなわれる。
【0107】
403では、注液手段のピペットの直下に未使用のマイクロセルが位置するように、アレイプレート可動手段を動作させる(ステップ送り)。このときのステップ幅(移動幅)は、400で与えられたマイクロセルの配置、マイクロセル間の間隔より算出される。404ではピペットをZ方向(下方向)に移動させ、マイクロセルの開口部に位置する封口部材を突き刺してピペットをマイクロセルに挿入する。ピペットのZ方向の移動はステップ送りで行う。このときのステップ送りのステップ幅は、ピペットがマイクロセルの封口を突き破り、マイクロセルに溶液を注入できる位置まで挿入される移動量である。
【0108】
405では反応溶液をマイクロセルに注入する。406では抗原抗体反応を行わせる。この工程において、温度条件等を制御することにより、抗原抗体反応を促進させてもよい。407ではマイクロセルを洗浄する。408でマイクロセルの花粉抗原量を検出する。409で、測定に使用したマイクロセルを再封口する。405〜409の各作業は、上記工程における103〜107と同様であるので、説明を省略する。
【0109】
410では使用したマイクロセル数をカウントしておき、400で与えられたアレイプレートの情報と照合することにより、アレイプレートに含まれるマイクロセルを全て使用したかどうかを判定する。アレイプレートに含まれるマイクロセルを全て使用した場合は、測定を終了する。そうでない場合は、次の測定をおこなうため、403に戻り、403〜410の作業を行う。
【0110】
上記では、説明の便宜を図るため、各工程は順次行うように記載されているが、図1に示すアレルゲン検出測定装置を構成する各手段は、それぞれが独立並行的に動作可能である。よって、例えば図10に示すように、或る1つのマイクロセルに対する抽出工程102と、他の1つのマイクロセルに対する収集工程101を独立並行的に行うことや、或る1つのマイクロセルに対する検出測定工程104と、他の1つのマイクロセルに対する検出測定工程105を独立並行的に行うことが可能である。これにより、測定時間を飛躍的に短縮でき、リアルタイムでのスギ花粉アレルゲンの検出測定を行うことが可能となる。
【0111】
次に、同時並行的に検出を行う場合の制御手段の各手段の統合的制御について、図20に示すマイクロセルと注液器と検出装置とを示す配置概念図、及び図21に示すフローチャートを用いて説明する。
【0112】
図20には、検出工程が、注液工程または洗浄工程と同時並行的におこなわれる測定装置の、ピペットとマイクロセルと検出装置の配置概念図である。この場合、ピペット501と検出装置503は、隣り合う2つのマイクロセルのそれぞれに位置する。例えば、図3のように、マイクロセル502bの真上にピペット501が、マイクロセル502aの直下に検出測定装置が位置する。
【0113】
図21には、検出工程が、注液工程または洗浄工程と同時並行的におこなわれる測定の動作がフローチャートとして示されている。図21では同時並行動作以外は、図19のフローチャートと同じであるので、異なる部分について説明する。
【0114】
608では、ステップ送りによりマイクロセルaを検出装置の真上に移動させる。このとき、マイクロセルaの隣にあるマイクロセルbはピペットの直下に移動する。これにより、609でマイクロセルaの花粉抗原量を検出するのと同時並行的に、611から614において、マイクロセルbへの注入、抗原抗体反応、洗浄をおこなうことができる。610でマイクロセルaの再封口が終わっていることを確認後、615でマイクロセルbを検出測定装置の真上にステップ送りで移動させ、616で検出をおこなう。
【0115】
(実施の形態2)
実施の形態2では、第2の態様の本発明に係る検出測定方法について、図面に基づいて説明する。図15は、実施の形態2に係るアレルゲン検出測定装置の全体的な構成を示す概念図である。
【0116】
実施の形態2に関する検出測定装置は、
(1)注液手段3aと洗浄手段3bを別個に設けたこと、
(2)マイクロセルアレイプレート70、アレイプレート可動手段72として図14に示す構造のものを用いたこと、
(3)封口部材として熱融着性フィルムを用い、加圧、加熱することによりマイクロセルを封口した構造であること、
(4)注液器を2つ設けたこと、
(5)検出測定手段として図16に示す構造のものを用いたこと、
(6)注液器洗浄液容器を設けず、マイクロセル洗浄液容器の洗浄液を注液し排出するサイクルを1回以上繰り返すことにより第2の注液器内を洗浄すること、
(7)マイクロセルアレイプレートが3つのセルを1単位として、スギ花粉抗体、ヒノキ花粉抗体、ダニ抗体が固定されている(71a・71b・71c)こと、
(8)注液器洗浄液容器内の洗浄液は、3つのマイクロセル(71a・71b・71c)に対する洗浄を一単位とし、一単位の逐次洗浄が終了した後、取り替えるように構成したこと、
以外は、上記実施の形態1と同様である。また、各手段の具体的構成も、ほぼ上記 実施の形態1と同じであるため、検出測定装置を構成する各手段に関する具体的説明は、上記実施の形態1と異なる部分について、下記検出測定工程とともに説明する。
【0117】
実施の形態2におけるアレルゲン検出測定装置の動作を、図11を用いて説明する。測定の1サイクルは、図11に示すように、収集工程201、抽出工程202、注液工程203a、反応工程204a、逐次洗浄工程205a、注液工程203b、反応工程204b、逐次洗浄工程205b、検出測定工程206、封口工程207からなる。
【0118】
収集工程201では、収集手段1により外気中のスギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ(死骸を含む)を収集する。
【0119】
抽出工程202では、収集手段1により収集された外気中のアレルゲン粒子を、チューブ6を通じて抽出手段2に送る。抽出手段2において、アレルゲン粒子に含まれるアレルゲンが抽出されるとともに、以降の検出測定工程に悪影響を及ぼす可能性のある他の粒子と分離される。この後、抽出され、分離された混合アレルゲン含有溶液を、チューブ7を用いて注液手段3aに送る。
【0120】
注液工程203aでは、注液手段3aの第1の注液器(上記実施の形態1のピペットと同様の構成;図示せず)により、図14に示すアレイプレート可動手段4上のマイクロセルアレイプレートの3つのマイクロセル71a・71b・71cに、抽出手段から送られた溶液(反応液)を随時一定量注液する。このとき、注液手段3aのピペットで、マイクロセルを密閉している封口部材(熱融着性フィルム)を突き刺してピペットをマイクロセルに挿入した後、混合アレルゲン含有溶液をマイクロセル内に注液する。
【0121】
また、マイクロセルを第1の注液器の直下に移動させるためには、アレイプレート可動手段72を回転方向R及び1つの直径方向Xに可動させることにより行う。なお、アレイプレート可動手段には、圧力センサ、モータの記載を省略している。
【0122】
この後、洗浄手段3aを用いて、第1の注液器を洗浄することが好ましい。この方法は、後述する第2の注液器の洗浄方法と同様である。
【0123】
反応工程204aでは、抗体とアレルゲンとの抗体抗原反応が十分に行われるように、一定時間マイクロセルアレイプレートを静置する。
【0124】
逐次洗浄工程205aでは、洗浄手段3bの第2の注液器(上記実施の形態1のピペットと同様の構成;図示せず)により、反応工程204aで抗原抗体反応を起こしたマイクロセル71a中の使用済み反応液が吸引され、洗浄手段3bの廃液容器(図示せず)に排出される。また、マイクロセル内に残存した未反応のアレルゲンを除去するために、洗浄手段3bの洗浄液容器(図示せず)にから第2の注液器を用いて洗浄液をマイクロセル内に注液した後吸液し、マイクロセル内の液を前記廃液容器に排出する。これによりマイクロセル71a内が洗浄される。この後、同様の工程をマイクロセル71b・71cに対しても行う(逐次洗浄)。
【0125】
しかる後、この注液器を用いて洗浄液を注液し前記廃液容器に排出する注液器洗浄サイクルを1回行うことにより、洗浄手段3bの第2の注液器内を洗浄する。
【0126】
この後、注液工程203bに移行し、洗浄後のマイクロセル71a・71b・71cに対し、第1の注液器を用いて注液手段3aに備えられた蛍光標識付き抗体溶液を随時注液する。
【0127】
反応工程204bでは、上記反応工程204aと同様に抗体抗原反応が十分に行われるように、一定時間マイクロセルアレイプレートを静置する。
【0128】
この後、上記逐次洗浄工程205aと同様にして逐次洗浄工程205bを行う。
【0129】
検出測定工程206では、反応工程204(204a・204b)で抗原抗体反応を起こしたマイクロセル中の抗原抗体反応を、検出測定手段5により測定する。
【0130】
具体的方法は、図16の励起光照射部88から励起光89を射出し、ミラー85、レンズ83、光通過管80を介して、励起光89をマイクロセル41に照射する。この励起光89により励起された蛍光標識からの蛍光90の強度を、光通過管80、ハーフミラー84、レンズ86を介して、検出器87で測定する。
【0131】
反応液中の花粉から抽出されたスギ花粉アレルゲンの量が増加すると、アレルゲン−抗体複合体に結合する蛍光標識付き抗体の量が多くなる。その結果、溶液中の花粉から抽出されたアレルゲンの量が増加すると、検出される蛍光強度が増加する。蛍光標識のみで蛍光を測定した場合の蛍光強度の検量線に、実際に測定された蛍光量を導入することにより、抽出液中のアレルゲン量を測定する。
【0132】
なお、この方法は、サンドイッチ法と称されることもあるが、この方法を用いる場合、蛍光標識付き抗体の量と、マイクロセル内に固定されている抗体の量が、抽出液中のアレルゲン量よりも過剰に設定されていることが必要である。なぜなら、マイクロセル内に固定された抗体の量が過小であり、抽出されたアレルゲンの量が過大である場合、反応できないアレルゲンが残り、また、蛍光標識付き抗体の量が過小であり、抽出されたアレルゲンの量が過大である場合、標識付き抗体と複合体を形成しないアレルゲン−抗体複合体が残り、いずれの場合も正確なアレルゲン量が検出できない等の不具合が生じるからである。
【0133】
封口工程207では、測定後のマイクロセルに含まれる使用済み試験液が他のマイクロセルに混入しないよう、封口手段8によりマイクロセルの開口部をテープ等で再度封口する。たとえば、図14のアレイプレート可動手段72を可動させ、マイクロセルアレイプレート70の使用済みマイクロセル71を封口手段8の下の位置に移動させた後、封口手段8により、測定に使用したマイクロセルにテープを貼り付けて封口する。
【0134】
図11では、説明の便宜を図るため、各工程は順次行うように記載されている。しかし、図15に示すアレルゲン検出測定装置を構成する各手段は、それぞれが独立並行的に動作可能である。よって、或る1連のマイクロセルに対する抽出工程202と、次の1連のマイクロセルに対する収集工程201を並行して行うことや、或る1連のマイクロセルに対する検出測定工程204と、次の1連のマイクロセルに対する検出測定工程205を並行して行うことが可能である。これにより、測定時間を飛躍的に短縮でき、リアルタイムで複数のアレルゲンの検出測定を行うことが可能となる。
【0135】
なお、上記実施の形態2においても、収集手段1、抽出手段2、チューブ6・7、封口手段8は、必須の構成要素ではない。収集工程201、抽出工程202、封口工程207もまた、必須の構成要素ではない。
【0136】
また、制御手段の測定の動作は、図19、図21に示すフローチャートとほぼ同じである。従って、異なる部分について説明する。
【0137】
まず、図19の400において、マイクロセルの総数、マイクロセルの配置、マイクロセル間の間隔に加えて、各マイクロセルに固定された抗体の種類の情報を与える必要がある。
【0138】
また、図19の403〜405において、マイクロセル71aに対する移動、封口解除、注液が終わった後、マイクロセル71bについて同様の作業を行わせる。マイクロセル71cについても同様である。
【0139】
また、図19の洗浄407の後、再び注液405に戻り、標識付き抗体を注液し、以後406−410の作業を行う。
【0140】
なお、同時並行作業については、実施の形態1における図19と図21の違いを、上記実施の形態2における図19の作業に当てはめればよいので、説明を省略する。
【0141】
〔実施例〕
以下、実施例を用いて本発明を更に説明する。
【0142】
〔実施例1〕
実施例1では、上記実施の形態1で説明した方法を用いて、スギ花粉量を測定した。
【0143】
(収集工程101)
はじめに、図1の収集手段1において、50mMリン酸緩衝液中(pH7.4)に所定量のスギ花粉を導入し、スギ花粉を緩衝液に懸濁する。この懸濁溶液を、チューブ6を介して抽出手段2に送る。この送液は、例えばマイクロポンプ(図示せず)を用いる。
【0144】
(抽出工程102)
抽出手段2では、上記リン酸緩衝液中に花粉粒子を放置することにより、花粉を吸水させ、膨張させて花粉の殻を破り、花粉粒子からアレルゲンを抽出する。この後、2枚のフィルタを用いて、粒径の差を用いてアレルゲンと他の物質を選別する。具体的には、アレルゲンを通す程度の大きさの目を持つ第1のフィルタと、アレルゲンを通さない程度の大きさの目を持つ第2のフィルタを用いた。アレルゲン抽出溶液を第1のフィルタに通し、第1のフィルタを通過した溶液を、第2のフィルタに通す。これにより、第1のフィルタ上にはアレルゲンが残ることになる。抽出されたアレルゲンは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識されたスギ花粉アレルゲンを一定量含む溶液中に懸濁する。
【0145】
次に、図12のXステージ302、Yステージ303を動作させ、未使用のマイクロセル63の位置が、ピペット13の先端の真下になるようにマイクロセルアレイプレートをX・Y方向に移動させる。
【0146】
ここでは、Xステージ302を動作させた後、Yステージ303を動作させるようにしたが、動作順は上記とは逆順、または同時でもよい。
【0147】
(注液工程103)
注液洗浄手段のアーム14を動作させ、ピペット13の先をマイクロセル41の封口部材42を突き破ってマイクロセル内に挿入させ、抽出手段2から送られたアレルゲン含有溶液をマイクロセル内に注液する。
【0148】
(反応工程104)
注液後、アーム14を動作させ、ピペット13をマイクロセルから抜き取り、抗原抗体反応のため30分間マイクロセルアレイプレート60を静置する。この反応で、FITCで標識されたアレルゲンと、標識されていない花粉から抽出されたアレルゲンとが、マイクロセルに固定されたスギ花粉アレルゲン抗体と競合して反応し、アレルゲン−抗体複合体を形成する。
【0149】
(洗浄工程105)
反応後、アーム14を動作させ、ピペット13をマイクロセルに挿入し、マイクロセル中の溶液を吸液する。アーム14を動作させ、ピペット13を廃液容器10上に移動させ、溶液を排出する。再びアーム14を動作させ、ピペット13をマイクロセル洗浄液容器11に挿入し、洗浄液を吸引し、これをマイクロセルに注液する。このマイクロセル洗浄サイクルを3回繰り返すことで抗原抗体反応をしていない未反応のアレルゲンをマイクロセルから取り除く。ここで、洗浄液容器11には、洗浄液として50mMリン酸緩衝液(pH7.4)が入っている。なお、本実施例では洗浄の工程を3回繰り返したが、洗浄回数は3回には限られない。
【0150】
(注液器の洗浄)
次に、アーム14を動作させ、ピペット13を注液器洗浄液容器12に挿入し、洗浄液(蒸留水)を吸い込み、吸い出す注液器洗浄サイクルを1回行うとともに、洗浄機構により超音波洗浄を行い、ピペット13を洗浄する。
【0151】
(検出測定工程106)
上記ピペット13の洗浄と並行して抗原抗体反応の検出を行う。図13の励起光照射部20から492nmの波長の励起光22をマイクロセル41に照射し、この励起光22により励起されたFITCからの蛍光23の強度を検出器21で測定する。
【0152】
(封口工程107)
この後、使用済みマイクロセル中の溶液が外部に漏れることを防止するため、使用済みマイクロセルを粘着テープで封口する。
【0153】
ここで、図10に示すように、或る1つのマイクロセルに対する注液工程103と同時に、他の1つのマイクロセルに対する収集工程101を開始した。そして、或る1つのマイクロセルに対する検出測定工程106と同時に、他の1つのマイクロセルに対する注液工程103を行った。この一連の検出測定サイクルを、花粉量を0.00mg/mlから0.40mg/mlまで、0.05mg/ml刻みで花粉量を増加させながら合計9回行った。
【0154】
図17は、実施例1に係る外気中のスギ花粉量と、蛍光強度の関係を示すグラフである。図17からスギ花粉の量の増加に伴い、蛍光の相対強度が一定の関係で低下していくことがわかる。これは、マイクロセル内で花粉から抽出されたアレルゲンと、標識付きのアレルゲンとが競合して、マイクロセル内に固定された抗体と反応したためである。そして、標識付きアレルゲンの量と、蛍光の相対強度から、スギ花粉に含まれるアレルゲンの種類を検出し、その量を測定することができる。
【0155】
〔実施例2〕
実施例2について、図面を参照しながら説明する。図14は、実施例2のアレルゲン検出測定装置のアレイプレート可動手段4の説明に供する構成図である。
図14では、同心円状に並んだマイクロセル71を持つマイクロセルアレイプレート70はアレイプレート可動手段72の上に設置される。このマイクロセルアレイプレートは、3つのマイクロセルを1単位として、それぞれスギ花粉抗体(71a)、ヒノキ花粉抗体(71b)、ダニ抗体(71c)が固定されている。アレイプレート可動手段72はマイクロセルアレイプレート70を回転方向R及び直径方向Xに送り出す。
【0156】
(収集工程201)
はじめに、図15の収集手段1において、50mMリン酸緩衝液中(pH7.4)に所定量のスギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ(死骸を含む)を導入し、これらを緩衝液に懸濁する。この懸濁溶液を、チューブ6を介して抽出手段2に送る。この送液は、例えばマイクロポンプを用いる。
【0157】
(抽出工程202)
収集手段1により収集されたスギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ(死骸を含む)を、チューブ6を通じて抽出手段2に送る。抽出手段2において、スギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ(死骸を含む)に含まれる各種アレルゲンが抽出されるとともに、以降の検出測定工程に悪影響を及ぼす可能性のある他の粒子と分離される。この後、抽出され、分離された混合アレルゲン含有溶液を、チューブ7を用いて注液手段3aに送る。
【0158】
(注液工程203a)
注液手段3aの第1の注液器(図示せず)により、図14に示すアレイプレート可動手段4上のマイクロセルアレイプレートの3つのマイクロセル71a・71b・71cに、抽出手段から送られた溶液(反応液)を随時一定量注液する。このとき、注液手段3aの第1の注液器で、マイクロセルを密閉している封口部材を突き刺して第1の注液器をマイクロセル71aに挿入し、反応液を注液する。この後、図14に示すアレイプレート可動手段をR・X方向に移動させて、第1の注液器の直下にマイクロセル71bを位置させ、マイクロセル71aと同様の動作を行う。マイクロセル71cに対しても同様である。
【0159】
この後、後述する第2の注液器の洗浄方法と同様にして、第1の注液器を洗浄する。
【0160】
(反応工程204a)
注液後、第1の注液器をマイクロセルから抜き取り、抗原抗体反応のため30分間マイクロセルアレイプレート70を静置する。この反応で、花粉等からから抽出されたアレルゲンが、マイクロセルに固定されたスギ花粉アレルゲン抗体と反応し、アレルゲン−抗体複合体を形成する。
【0161】
(逐次洗浄工程205a)
洗浄手段3bの第2の注液器(図示せず)で、反応工程204aで抗原抗体反応を起こしたマイクロセル71a中の使用済み反応液を吸引し、洗浄手段3bに設けられた廃液容器(図示せず)に排出する。また、マイクロセル内に残存した未反応のアレルゲンを除去するために、洗浄手段3bを用いてマイクロセル洗浄液容器内の洗浄液(50mMリン酸緩衝液:pH7.4)をマイクロセル内に注液し、マイクロセル71aを洗浄する。この後、同様の工程をマイクロセル71b・71cに対しても行う(マイクロセルの移動は上記注液工程203aと同様である)。
【0162】
(注液器の洗浄)
しかる後、マイクロセル洗浄液容器内の洗浄液を吸い込み、廃液容器に排出する注液器洗浄サイクルを1回行い、第2の注液器を洗浄する。
【0163】
(注液工程203b)
逐次洗浄工程205a後のマイクロセル71a・71b・71cに対し、第1の注液器を用いて注液手段に設けられた蛍光標識付き抗体溶液を、注液工程203aと同様に所定量注液する。
【0164】
(反応工程204b)
注液後、第1の注液器をマイクロセルから抜き取り、抗原抗体反応のため30分間マイクロセルアレイプレート70を静置する。この反応で、アレルゲン−抗体複合体と、蛍光標識付き抗体とが抗原抗体反応を起こし、蛍光標識付き抗体−アレルゲン−抗体複合体を形成する。
【0165】
(逐次洗浄工程205b)
この後、上記逐次洗浄工程205aと同様にして逐次洗浄工程205bを行う。
【0166】
(注液器の洗浄)
しかる後、マイクロセル洗浄液容器内の洗浄液を吸い込み、廃液容器に排出する注液器洗浄サイクルを1回行い、第2の注液器を洗浄する。
【0167】
(検出測定工程206)
図16の励起光照射部88から励起光89を射出し、ミラー85、レンズ83、光通過管80を介して、励起光89をマイクロセル41に照射する。この励起光89により励起された蛍光標識からの蛍光90の強度を、光通過管80、ハーフミラー84、レンズ86を介して、検出器87で測定する。
【0168】
(封口工程207)
この後、使用済みマイクロセル中の溶液が外部に漏れることを防止するため、使用済みマイクロセルを粘着テープで封止する。
【0169】
ここで、図11に示すように、或る3つのマイクロセル(71a・71b・71c)に対する注液工程203と同時に、次の3つのマイクロセル(71a’・71b’・71c’)に対する収集工程201を開始した。そして、前記或る3つのマイクロセルに対する検出測定工程206と同時に、前記次の3つのマイクロセルに対する注液工程203を行った。この一連の検出測定サイクルを、アレルゲン(スギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ)量を0.0mg/mlから1.0mg/mlまで、0.1mg/ml刻みで、アレルゲン量を増加させながら合計11回行った。
【0170】
図18は、実施例2に係る外気中のスギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ量と、蛍光強度の関係を示すグラフである。このグラフでは、アレルゲン量が1.0mg/mlの時のスギ花粉の蛍光量を100として、相対値で示している。図18からアレルゲンの量の増加に伴い、スギ花粉・ヒノキ花粉・ダニ量の蛍光の強度が、それぞれ正比例的に増加することがわかる。これにより、複数種のアレルゲンを同時に検出測定することができる。
【0171】
〔その他の事項〕
上記実施例では、いわゆる競合法とサンドイッチ法を用いてアレルゲン量を測定したが、本明細書でいう抗原抗体反応(反応)とは、固定抗体とアレルゲンとの反応の他に、アレルゲン−固定抗体複合体に更に標識付き抗体と反応させる反応を含む。
【0172】
また、上記実施例では、蛍光色素標識を用いて検出する方法を説明したが、これ以外にも、従来提案されている酵素標識法、金コロイド法、ラジオアイソトープ標識法、化学発光物質による方法、表面プラズモン共鳴法などの検出方法を用いることができる。
【0173】
たとえば、図16に示す検出測定手段を用いて化学発光を採用する場合、検出測定手段の励起光照射部88とミラー85、励起光89は必要ない。化学発光の場合、標識物質アクリジニウムエステル誘導体、アクリジニウムアシルスルホンアミド誘導体、イソルミノール誘導体などの化学発光を起こす物質を用いることができる。
【0174】
また、直接化学発光する物質でなく、他の物質の化学発光を促進する酵素を標識物質として用いることもできる。この場合、化学発光物質の種類に応じて、過酸化水素水やペルオキシダーゼ等の発光誘起物質が含まれた溶液を用いることができる。
【0175】
上記実施例では、スギ花粉のアレルゲンの測定を行うアレルゲン検出測定装置について説明を行ったが、本発明は抗原抗体反応を起こす抗原物質の測定であれば、いかなる物質の測定に適用できる。
【0176】
例えば、抗ブタクサ花粉抗体を固定化したマイクロセルアレイプレートを用いることにより、ブタクサ花粉の測定も行うことができる。
【0177】
また、例えばスミチオン等の複数の農薬に対する抗体を固定化したマイクロセルアレイプレートを用いることにより、農産物中の複数種の残留農薬の測定を行うことができる。この場合、図11における収集手段1および抽出手段2を除去し、注液する抽出液(試験液)としては、農産物をミキサーで砕いたときの絞り汁溶液を用いればよい。
【0178】
また、例えば卵白アルブミンに対する抗体や小麦に対する抗体等を固定化したマイクロセルアレイプレートを用いることにより、食品中の卵白アルブミンや小麦等の食品アレルギーのアレルゲン検出測定を行うことができる。この場合、図11における収集手段1および抽出手段2を除去し、注液する抽出液(試験液)として、食品をミキサーで砕いたときの絞り汁溶液を用いればよい。
【0179】
また、上記実施の形態では、マイクロセルへの抗体の固定化は、抗体を吸着できるマイクロセルの内壁に抗体を物理的に吸着させる方法で行った。この方法によると、マイクロセル表面を化学修飾する必要がなく、結合のための試薬を使用しないので、抗体が固定化されたマイクロセルを簡便かつ低コストで作製できる。抗体を物理的に吸着させることのできる素材としては、ポリスチレンやポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリメチルペンテン樹脂、ポリメタクリレート樹脂等が例示できる。
ただし、物理的吸着ではなく、化学的にマイクロセルの内壁に抗体を結合させる方法であってもよいことは勿論である。
【0180】
また、上記実施例に係るアレルゲン検出測定装置は、マイクロセル内で抗原抗体反応を行うとともに、当該マイクロセルに対して光学的検出測定(蛍光を利用した検出測定)を行うため、マイクロセルの素材には透明性が必要である。このような素材としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリルスチレン共重合体等が例示できる。
【0181】
使用前のマイクロセルを密閉する封口部材としては、酸素、窒素、炭酸ガス等の遮断効果や耐破性・耐衝性が優れたものであることが好ましい。また注液器を用いて突き破る方法で封口を解除する場合には、ピペットを突き刺したときに突き破れる程度の強度を有するものを用いる。このような材料としては、ポリエステル・ポリエチレン・セロハン・ナイロン等からなる粘着シート、熱融着性フィルム等を用いることができる。
【0182】
ここで、封口部材として粘着シートを用いる場合、粘着剤がシート全体についていると、ピペットをマイクロセルに注液した場合に、ピペットに粘着剤が付着し、注液時にマイクロセル内を汚染する可能性があるので、マイクロセルとテープとの接着面(マイクロセルの周縁部)以外には、粘着剤がついていないものを用いることが好ましい。
【0183】
また、熱融着性フィルムを用いる場合、各マイクロセルの周縁部と当該フィルムとを熱融着すればよい。また、予めマイクロセルアレイプレートのマイクロセルの周縁部にのみ粘着剤を塗布し、フィルムを圧着してもよい。
【0184】
また、密に封口を行うためには、各マイクロセルの周縁部が全て熱融着や粘着により封口されていることが好ましいが、マイクロセルアレイプレートの周縁部のみを熱融着や粘着により封口することにより、全てのマイクロセルが、個別に且つ密に封口されるのであれば、このような方法を採用してもよい。
【0185】
また、簡易な操作で開口、封口できる扉状の封口部材を用いてもよい。
【0186】
また、マイクロセルアレイプレートとしては、図4に示すように、マイクロセルが一直線上に配置することができる。この場合、ピペットの動作を一直線で行うことができるので、ピペットの動作がより簡便になる。
【0187】
また、マイクロセルアレイプレートとしては、図5に示すように柔軟性を持ち、折り曲げ可能である構成としてもよい。この場合、プレートの端から巻いた状態でアレルゲン検出測定装置へ設置することができるので設置場所を小さくでき、アレルゲン検出測定装置の小型化が可能になる。
【0188】
また、図6に示すように最密配列にすれば、面積あたりのマイクロセル数が多くでき、1回のマイクロセルアレイプレートで多数回のアレルゲンの測定ができる。
【0189】
また、図7に示すように同心円状の配列とすると、円板の回転とピペットの直径方向への移動という簡便な動作でマイクロセルを所定の位置に移動させることができる。また、らせん状配置であってもよい。
【0190】
また、上記実施例ではアレイプレート可動手段としてマイクロセルアレイプレートを戴置し、可動させる構造のものを用いたが、これ以外に、可動アーム等によりマイクロセルアレイプレートを保持し、可動させる構成であってもよい。また、マイクロセルアレイプレートを保持する保持部と、アレイプレート可動手段とを別個に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0191】
上述したように、人体に悪影響を及ぼすアレルゲンを、直接且つ容易に検出測定を行うことができる。したがって、産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明に係るアレルゲン検出測定装置の一例を示す概念図である。
【図2】本発明に係る注液洗浄手段の一例を示す概念図である。
【図3】本発明に係るマイクロセルアレイプレートの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係るマイクロセルアレイプレートの一例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係るマイクロセルアレイプレートの一例を示す正面図である。
【図6】本発明に係るマイクロセルアレイプレートの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係るマイクロセルアレイプレートの一例を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るマイクロセルの一例を示す概念図である。
【図9】本発明に係るアレルゲン検出測定装置の動作のタイムチャートの一例を示す図である。
【図10】本発明に係るアレルゲン検出測定装置の動作のタイムチャートの他の例を示す図である。
【図11】実施の形態2に係るアレルゲン検出測定装置の動作のタイムチャートの一例を示す図である。
【図12】本発明に係るマイクロセルアレイプレート可動手段の一例を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る検出測定手段の一例を示す概念図である。
【図14】実施の形態2に係るマイクロセルアレイプレート可動手段の一例を示す斜視図である。
【図15】実施の形態2に係るアレルゲン検出測定装置の一例を示す概念図である。
【図16】本発明に係る検出測定手段の一例を示す概念図である。
【図17】実施例1に係る、スギ花粉量と蛍光の相対強度との関係を示すグラフである。
【図18】実施例2に係る、スギ花粉量と蛍光の相対強度との関係を示すグラフである。
【図19】本発明にかかるアレルゲン検出測定装置の動作のフローチャートの一例を示す図である。
【図20】本発明にかかるピペットと検出装置の位置関係を示す図である。
【図21】本発明にかかるアレルゲン検出測定装置の動作のフローチャートの他の例を示す図である。
【図22】特許文献1に係る花粉抗原測定装置の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0193】
1 収集手段
2 抽出手段
3 注液洗浄手段
3a 注液手段
3b 洗浄手段
4 アレイプレート可動手段
5 検出測定手段
6 チューブ
7 チューブ
8 封口手段
10 廃液容器
11 マイクロセル洗浄液容器
12 注液器洗浄液容器
13 ピペット
14 アーム
20 励起光照射部
21 検出器
22 励起光
23 蛍光
31 固定抗体
40 マイクロセルアレイプレート
41 マイクロセル
42 封口部材
50 特許文献1に係るアレルゲン検出測定装置
51 水晶振動子の端子
52 発振回路
53 ジェネレータ
54 周波数カウンタ
55 コンピュータ
56 ビーカ
57 蒸留水
58 花粉添加手段
70 マイクロセルアレイプレート
71 マイクロセル
72 アレイプレート可動手段
80 光通過管
82 光通過管固定器
83 レンズ
84 ハーフミラー
85 ミラー
86 レンズ
87 検出器
88 励起光照射部
89 励起光
90 蛍光
101 収集工程
102 抽出工程
103 注液工程
104 反応工程
105 洗浄工程
106 検出測定工程
107 封口工程
201 収集工程
202 抽出工程
203 注液工程
204 反応工程
205 逐次洗浄工程
206 検出測定工程
207 封口工程
301 圧力センサ
302 Xステージ
303 Yステージ
304 モータ
305 モータ
306 ステージ設置板
501 ピペット
502 マイクロセル
502a マイクロセルa
502b マイクロセルb
503 検出測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が封口部材により封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートの前記複数のマイクロセルの1つについて、マイクロセルの封口を解除しつつ、当該マイクロセル内に注液器を用いてアレルゲン含有溶液を注液する注液工程と、
前記注液工程でアレルゲン含有溶液が注液されたマイクロセルに対して、当該マイクロセル内で抗原抗体反応が完了するまでの時間を与える反応工程と、
前記反応工程の後、前記マイクロセル内の未反応物質を洗い出す洗浄工程と、
前記洗浄工程が終了したマイクロセルについて、アレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定工程と、
を備えることを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記1つのマイクロセルについて行うアレルゲン検出測定工程が、他の1つのマイクロセルについて行う注液工程、または他の1つのマイクロセルについて行う洗浄工程と同時並行的に行われる、
ことを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項3】
請求項1に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記洗浄工程は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す工程である、
ことを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項4】
開口部が封口部材により封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートのマイクロセル群に対し、随時1つのマイクロセルの封口を解除しつつ、そのマイクロセル内に第1の注液器を用いてアレルゲン含有溶液を注液する注液工程と、
前記注液工程の後、アレルゲン含有溶液が注液された各々のマイクロセルについて、抗原抗体反応が完了するまでの時間を与える反応工程と、
前記反応工程の後、前記マイクロセル内の未反応物質を洗い出し、しかる後に反応工程が終了した次のマイクロセルの洗浄に移る逐次洗浄工程と、
前記洗浄が終了した個々のマイクロセル内のアレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定工程と、
を備えることを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項5】
請求項4に記載のアレルゲン検出測定方法において、
或る1つのマイクロセルに対する注液工程、他の1つのマイクロセルに対する前記逐次洗浄工程、前2者以外のもう1つのマイクロセルに対する前記アレルゲン検出測定工程のいずれか2つ以上の工程が、同時並行的に行われる、
ことを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項6】
請求項4に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記逐次洗浄工程は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す工程した後、反応工程が終了した次のマイクロセルの洗浄に移る工程である、
ことを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項7】
請求項4に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記第1の注液器を第2の注液器としても用いることを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項8】
請求項1または4に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記注液工程におけるマイクロセルの封口の解除が、前記注液器の先で前記封口部材を突き破る方法であることを特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項9】
請求項1または4に記載のアレルゲン検出測定方法において、
前記検出測定工程の後、マイクロセルの開口部を再度封口する封口工程を備えること特徴とするアレルゲン検出測定方法。
【請求項10】
開口部が封口されその内部にアレルゲンに対する抗体が固定されたマイクロセルがプレート上に複数配置されてなるマイクロセルアレイプレートと、
前記マイクロセルアレイプレート上のマイクロセルに溶液を注液する注液器を有する注液手段と、
洗浄用の注液器を備え、マイクロセル内の未反応物質を洗い出す洗浄手段と、
前記マイクロセルアレイプレートを可動させて、前記注液器の直下にマイクロセルを位置させるアレイプレート可動手段と、
前記洗浄手段が洗浄したマイクロセル内にあるアレルゲンの種類と量を測定するアレルゲン検出測定手段と、
を備えるアレルゲン検出測定装置。
【請求項11】
請求項10に記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記アレルゲン検出測定装置は、前記注液手段、前記アレイプレート可動手段、前記洗浄手段、及び前記アレルゲン検出測定手段の動作を統合的に制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記アレイプレート可動手段を動作させて、未開封のマイクロセルが前記注液器の先端の直下に位置するようにし、
更に前記注液手段を動作させて、前記注液器先端の直下に位置させたマイクロセルの封口を解くとともに、前記注液器により当該マイクロセル内に溶液を注液させ、
更に前記洗浄手段を動作させて、前記注液後所定時間経過したマイクロセル内の未反応物質を洗い出させ、
更に前記洗浄が終了した後、未開封の他のマイクロセルが前記注液器の先端の直下に位置するように前記アレイプレート可動手段を動作させる、
ことを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記制御手段は、
前記注液器により当該マイクロセル内に溶液を注液させるステップと、前記注液後所定時間経過したマイクロセル内の未反応物質を洗い出させるステップと、前記洗浄手段が洗浄したマイクロセル内のアレルゲンの種類と量を測定するステップのいずれか2以上のステップを同時並行的に行うように動作させることを特徴とする前記アレルゲン検出測定装置。
【請求項13】
請求項10ないし12の何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記洗浄手段は、マイクロセル内に洗浄液を注液した後当該洗浄液を含むマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出するか、またはマイクロセル内の溶液を吸液してマイクロセル外に排出した後、当該マイクロセル内に洗浄液を注液し、しかる後に当該洗浄液を吸液してマイクロセル外に排出するマイクロセル洗浄サイクルを1回以上繰り返す手段であることを特徴とする前記アレルゲン検出測定装置。
【請求項14】
請求項10ないし13何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記アレルゲン検出測定装置はさらに、検出測定後のマイクロセルを再封口する再封口手段を備えることを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項15】
請求項10に記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記注液手段が前記洗浄手段を兼ねることを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項16】
請求項10ないし14の何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記封口部材は、粘着シートまたは熱融着性フィルムであり、
前記注液器は、前記粘着シートまたは熱融着性フィルムを突き破りマイクロセル内に溶液を注液することを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項17】
請求項10ないし14の何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記マイクロセルアレイプレートは、プレートとマイクロセルとが一体成型されてなるものであることを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項18】
請求項10ないし14の何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記マイクロセルは、アレルゲン抗体を吸着させることのできる素材からなることを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項19】
請求項10ないし14何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
前記検出測定手段における検出測定方法が、光学的方法であり、
前記マイクロセルアレイプレートは、透明な素材からなることを特徴とするアレルゲン検出測定装置。
【請求項20】
請求項10ないし14の何れかに記載のアレルゲン検出測定装置において、
マイクロセルアレイプレートが柔軟性を持つことを特徴とするアレルゲン検出測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−47061(P2006−47061A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227152(P2004−227152)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】