説明

アロエレシンAをアロエシンに転換するための方法

本発明は、以下の反応により、アロエレシンAをアロエシンに加水分解で変換する方法に関する。その結果、アロエ植物の液汁からの抽出物として入手可能なアロエシンの量は増大され、そしてアロエシンの抽出及び精製はより有用でありかつ費用も安い。アロエシンはアロエレシンAより商業的に価値が高いので、当該方法は、アロエ植物からの液汁又はアロエビターの商業的価値も増大する。本発明は、場合により、p−クマリン酸からアロエシンを分離するステップも含む。当該方法において使用される典型的な加水分解ステップは、酸加水分解、塩基加水分解、及び酵素加水分解である。酸加水分解の場合、当該酸は、塩酸、硫酸、硝酸、若しくはリン酸の如きいずれかの好適な有機酸又は無機酸である。酵素加水分解の場合、当該加水分解酵素は、典型的には、エステラーゼ、リパーゼ又はプロテアーゼである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、アロエレシンAをアロエシンに転換するための方法に関する。
【0002】
アロエは、その300種超が存在するとして知られる多肉植物であり、その大半はアフリカ原産である。アロエ由来の製品は、何世紀にも渡って伝統薬において使用され、特に、やけど、傷、及び他の外傷の治療のための皮膚病の適用において使用されている。近代的治療観察結果は、抗炎症活性、抗腫瘍活性、抗酸活性、抗糖尿病活性、チロシナーゼ抑制活性、及び抗酸化活性を含む。アロエ製品は、特に、昨今の天然物の人気増大につれて、美容品、及び健康食品業界においても広範囲に使用される。
【0003】
そこから医薬、治療、又は皮膚、美容適用が得られるアフリカのアロエの主な種は、南アフリカの限定種であるAloe feroxである。アロエの他種も似たような目的のために使用される。Aloe veraは、スキンケア製品、シャンプー、及び健康飲料において米国内で広範囲に使用される。しかしながら、A.feroxは、A.veraより優れたいくつかの特性を有することがわかっている。例えば、A.feroxは、A.veraより高いカルシウム、及びアミノ酸含量を有する。栽培されたA.ferox植物の切断された葉は、側で育っているA.vera植物よりも20倍超の重量/重量の苦味のある液汁を産生する。A.feroxの葉は非常に厚くかつ広いので、1枚の葉あたりの苦味のある液汁の総産生量がより多い。A.feroxから回収されるゲルの量も、A.veraからのものよりも、常に量が多い。
【0004】
当該アロエの特定成分を分離するために多くの方法が存在する(例えば、米国特許第4,735,935号、及び同第4,656,029号を参照のこと)。アロエの商業用製品は、アロエの葉により製造された液汁から入手され、そして当該液汁はその苦味に起因してアロエビターと呼ばれる。当該液汁を収集し、そして当業者に知られる慣習的方法により乾燥させ、アロエビター又はケープアロエ(Cape Aloe)として知られる暗褐色の固形物質を製造する。
【0005】
商業的アロエビターは、4つの主成分、すなわち、アロインA、アロインB、アロエシン、及びアロエレシンAを含む。
【0006】
A.feroxの葉浸出液における主な化合物の全体組成は、特にこの種の形態多様性、及び広範な自然分布領域を考慮しても、かなり不変のものである。A.feroxにおいて、アロエレシンA、アロエシン、及びアロイン(A、及びBの両方のエピマー)は、各々約4:3:2の比率において、総乾燥重量の70%〜97%に寄与する。
【0007】
アロインA及びB(又はバルバロイン)は、通常選択的抽出によりアロエビターから単離され、そして下剤として主に使用される。アロエシンはアロエビターからも単離され、皮膚美白、及び日焼け防止剤として使用される(米国特許第4,656,029号)。アロエレシンAは、通常処分される。それ故、アロエレシンAはアロエ液汁に最も多量に存在するけれども、商業的はほぼ又は全く無い。それ故、当該アロエレシンAをより高い商業的価値を有する化合物へ転換することは有意義なことであろう。
【0008】
以下の記載において、アロエ液汁へのいかなる言及も、アロエビター又はアロエビター抽出物を言及することを目的とする。
【発明の開示】
【0009】
本発明の概要
本発明の第1態様において、アロエレシンAの少なくとも一部をアロエシン、及びp−クマリン酸に加水分解するステップを含む、アロエレシンAをアロエシンに転換するための方法を提供する。
【0010】
当該方法は、p−クマリン酸からアロエシンを分離するステップをさらに含み得る。
【0011】
当該アロエレシンAをアロエシンに加水分解するステップは、酸加水分解を使用して実施され得る。
【0012】
あるいは、当該アロエレシンAをアロエシンに加水分解するステップは、加水分解酵素を使用して実施され得る。
【0013】
酸加水分解の場合、当該酸は、いずれかの有機酸又は無機酸となり得る。特に、当該酸は、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸からなる群より選択される1又は複数の酸となり得る。
【0014】
酵素加水分解の場合、当該加水分解酵素は、エステラーゼ、リパーゼ又はプロテアーゼとなり得る。
【0015】
特に、当該加水分解酵素は、アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼ、DiversaのESL001−02(登録商標)、NordiskのNOVO388(登録商標)、及びAltus Chiroscreenキット(登録商標)のMucor mieheiリパーゼからなる群より選択される。より特には、当該酵素は、Quest InternationalのAmano Protease M(登録商標)又はBioprotease P conc(登録商標)のいずれかとなり得、両方はアスペルギルス・オリザエ由来のプロテアーゼである。
【0016】
あるいは、当該酵素は、上述の酵素のいずれか1つのDNA又はアミノ酸配列、あるいはその部分配列に少なくとも実質的に一致するDNA又はアミノ酸配列によりコードされる酵素となり得る。
【0017】
当該酵素のDNA又はアミノ酸配列は、上記酵素のDNA又はアミノ酸配列と少なくとも70%相同性を有し得る。
【0018】
当該酵素は、固形か液体状態のどちらかとなり得る。
【0019】
好ましくは、アロエレシンAは、副産物を形成せずに、特にポリマーを形成せずに、アロエシン、及びp−クマリン酸に転換される。
【0020】
アロエレシンAは、アロエ植物のいずれかの種、特にA.ferox種又はA.vera種、及びさらに特にはA.ferox種から入手され得る。
【0021】
アロエレシンAは、アロエ植物の葉より製造される液汁から入手され得る。当該液汁は、液体状態又は固形となり得る。
【0022】
アロエレシンAは、特に精製形態となり得る。
【0023】
酸を使用する際の加水分解ステップは、約0.5N〜約10Nの酸濃度範囲において実施され得、好ましくは2N〜5Nの酸濃度で実施される。
【0024】
当該加水分解ステップは、約20〜約121℃で実施され得、酸を使用する際、通常、約90℃で実施される。加水分解酵素を使用するとき、当該加水分解ステップは、通常、約37℃で実施される、例外として、ESL001−02(登録商標)を使用するとき、当該加水分解ステップは約50〜約90℃、より好ましくは約70℃で実施され得る。
【0025】
緩衝液が、反応媒体において使用され得る。当該緩衝液は、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム緩衝液又は水、あるいは約4〜約8のpH範囲にpKaを有するいずれかの他の緩衝液となり得る。当該緩衝液濃度は、0.01M〜1Mの範囲となり得、好ましくは0.1Mである。
【0026】
エタノール又はアセトンの如き有機溶媒が、約10〜50%の濃度、好ましくは約30%の濃度で添加され得る。
【0027】
本発明の第2態様において、アロエ植物の液汁からアロエシンを抽出するための方法を提供し、当該方法は、以下のステップを含む:当該アロエ植物におけるアロエレシンの少なくとも一部をアロエシン、及びp−クマリン酸に加水分解し;そして液汁自然発生的なアロエシン及びアロエレシンAから転換されたアロエシンから抽出する。
【0028】
当該アロエ植物は、A.ferox種のものとなり得る。当該液汁は、液体又は固形となり得る。
【0029】
当該アロエレシンAは、上記詳述した方法によって加水分解され得る。
【0030】
本発明の第3態様として、上記詳述したように、アロエレシンAをアロエシン、及びp−クマリン酸に加水分解することにより形成されるアロエシンを提供する。
【0031】
当該アロエレシンAは、当該アロエ植物の液汁由来、好ましくはA.ferox種の液汁由来となり得る。
【0032】
当該アロエシンは、上記詳述したように、自然発生的なアロエシン、及びアロエレシンAから転換されたアロエシンの組合せとなり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の詳細説明
本明細書中に、アロエレシンAをアロエシンに加水分解で転換するための方法を記載する。
【0034】
アロエレシンAは、p−クマリン酸のアロエシニル(aloesinyl)・エステルであり、出願人はアロエレシンAをアロエシン(C−グリコシド−5−メチルクロモン)に効果的かつ経済的に加水分解し、その結果アロエ植物の液汁からの抽出としてのアロエシン有用量を増大することが可能であることを見出した。アロエシンはアロエレシンAより商業的により価値が高いので、当該方法は、当該アロエ植物由来の液汁又はアロエビターの商業的価値をも増大させる。アロエレシンAのアロエシンへの転換反応を以下に示す。
【0035】
【化1】

【0036】
当該アロエレシンAのアロエシンへの転換は、アロエシン、並びにアロエビター由来の副産物アロインA、及びアロインBの選択的除去も促進する。アロエレシンAの非存在下でのアロエシンの抽出、及び精製は、アロエレシンAの存在下よりも、困難性、及び費用が非常に少ない、その理由として主な2つは、以下の通りである:(a)転換後、抽出され得るより多くのアロエシンが存在すること、及び(b)転換後、たった2つの主成分(アロエシン、及びアロイン)をアロエビターから分離することが必要であり、そしてこれらは非常に異なる物理的特性を有しているので、アロエシンの選択的抽出がより容易になる。
【0037】
当該方法は、p−クマリン酸からアロエシンを分離するステップも含み得る。好適な分離ステップは、当業者にとって明らかであり、本明細書中において議論されるものではないだろうが、典型的な分離方法は、溶媒抽出、クロマトグラフィー、及び結晶化を含む。
【0038】
当該方法において使用され得る加水分解ステップの例は、酸加水分解、塩基加水分解、及び酵素加水分解である。
【0039】
酸加水分解の場合、当該酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などのいずれかの有機酸又は無機酸となり得る。
【0040】
酵素加水分解の場合、当該加水分解酵素は、エステラーゼ、リパーゼ又はプロテアーゼとなり得、例えば、アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼ、DiversaのESL001−02(登録商標)、NordiskのNOVO388(登録商標)(特に、製品中のプロテアーゼ混入物質)又はAltus Chiroscreenキット(登録商標)のMucor mieheiリパーゼである。より好ましくは、当該酵素は、AmanoのProtease M(登録商標)かQuest InternationalのBioprotease P conc(登録商標)のいずれかであり、両方ともアスペルギルス・オリザエ由来のプロテアーゼである。
【0041】
あるいは、当該酵素は、上記酵素又はそれらの部分配列の内のいずれか1つのDNA又はアミノ酸配列と少なくとも実質的に一致するDNA又はアミノ酸配列によりコードされる酵素となり得る。当該酵素のDNA又はアミノ酸配列は、上記酵素のDNA又はアミノ酸配列と少なくとも70%の相同性を有する。当該酵素は固形又は液体状態のいずれかである。
【0042】
アロエレシンAは、通常、ポリマーの如き複産物を形成せずに、アロエシン、及びp−クマリン酸に転換される。
【0043】
当該アロエ植物のいずれの種も、アロエシンAの源として好適であり、当該アロエ植物の葉により産生される液汁から入手される。当該液汁は液体又は固形となり得、当該アロエレシンAは、精製型、部分精製型となり得、あるいはアロエ植物の液汁又は他の部分における非精製型となり得る。
【0044】
当該加水分解ステップは、酸を使用するとき、通常、約0.5N〜約10Nの酸濃度範囲において実施され、好ましくは、約2〜約5N酸濃度で実施される。約10〜50%、好ましくは約30%の濃度におけるエタノール又はアセトンの如き有機溶媒は、場合により、当該反応過程に添加される。
【0045】
当該加水分解ステップは、通常、約20〜約121℃で実施され、そして酸を使用するとき、通常、約90℃で実施される。加水分解酵素を使用するとき、当該加水分解ステップは、通常、約37℃で実施され、例外として、酵素ESL001−02を使用するとき、当該加水分解ステップは、約50〜約90℃、より好ましくは約70℃で実施される。
【0046】
緩衝液は、反応媒体において使用され得る。当該緩衝液は、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム緩衝液又は水、あるいは約4〜約8のpH範囲にpKaを有するいずれかの他の緩衝液となり得る。当該緩衝液濃度は、約0.01M〜1Mの範囲、好ましくは0.1Mである。
【0047】
上記加水分解方法により得られたアロエシンは、局所的皮膚用組成物において使用され得る。当該アロインは、ヒト、及び獣医市場のための様々な組成物に使用され得る。
【実施例】
【0048】
実施例において、塩酸、及び硫酸を使用しアロエレシンAをアロエシンに加水分解する酸の能力を示し、そしてアスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼを使用しアロエシンへのアロエレシンAの酵素加水分解を示した。
【0049】
定量的HPLC方法を、本明細書に記載される加水分解過程の最適化の間、アロエレシンA、アロエシン、及びp−クマリン酸の量を測定するための分析ツールとして開発した。試験、及び結果の詳細を、以下の実施例において示す。
【0050】
実施例1:HCl、及びアセトンを使用する酸加水分解
アロエレシンAを含むアロエ液汁(15%)を、長時間かけて、アセトンの存在下又は非存在下、1.3又は5NのHClと共に90℃で加水分解した。当該アロエ液汁中の基質の溶解度を増大するためにアセトンを使用した。当該反応液の一定分量(20μl)を、一定の時間間隔で取り出し、30%のアセトンを含むpH7.2の100mMリン酸緩衝液に添加した。サンプルの分析を、確立された方法を使用して、HPLCにより実施した。
【0051】
結果は、加水分解の比率は酸強度に依存していたこと、及び5NのHClを使用したとき40%〜80%の転換が達成されたことを示した。10%のアセトンの存在は、加水分解をわずかに改良した。アロエレシンAの消失比率は、酸強度が高ければ高いほど大きかった。当該結果は、90〜95%のアロエレシンAが、3〜5NのHClで2時間以内に消失することも示した。
【0052】
実施例2:HCl又はHSO、及びエタノールを使用する酸加水分解
エタノールをアセトンの代わりとして使用した。アロエレシンAを含むアロエ抽出物を、長時間にわたり、50%(v/v)エタノールの存在下、1NのHCl又はHSOと共に90℃で加水分解した。アロエ抽出物の量を、10〜50%(v/v)に変化させた。各反応物の一定分量(1ml)を表示された時間間隔で取り出し、そして0.5mlの冷アセトンに添加した。サンプルの分析を、確立された方法を使用して、HPLCにより実施した。
【0053】
アロエレシンAとアロエシンとの終止モルバランスは、加水分解する酸としてのHSO、及び30%のアロエ液汁濃度を使用して、4時間反応後、80%の範囲内であった(及びこの期間内でできるかぎり高かった)。終止モルバランスは、酸としてHSOを使用したとき、約10%超だったが、モルバランスにおける損失は、HClと比較してより素早く観察された。
【0054】
実施例3:アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼを使用する酵素加水分解
アロエ抽出物又は精製アロエレシンAにおける、アロエシンへのアロエレシンAの酵素加水分解を予備的に最適化するために、条件変数を試験した。アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼを、加水分解酵素の例として選択し、そして2つのアスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼを試験した、一方はAmanoのProtease M(登録商標)であり、他方はQuest InternationalのBioprotease P conc(登録商標)であった。
【0055】
Protease M(登録商標)仕様書:
起源:Asp.oryzae(Non−GMO)
希釈剤:Potato Dextrin (Non−GMO)
希釈剤の濃度:約15%
【0056】
Bioprotease P conc(登録商標)仕様書:
最小400,000HUTプロテアーゼ u/gm
・総生存濃度<50,000/gm
・酵母&かび<200/gm
・E.coli:25gms中なし
・サルモネラ菌:25gms中なし
・FCC&JECFAにより示されたような全ての他の国際規格
(重金属、鉛、ヒ素など)に適合
【0057】
以下のパラメーターをスモールスケールに関して調べた。
酵素濃度:1〜50mglの酵素
アロエ抽出物:3mlあたり15μl〜200μl
緩衝液型:リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又は炭酸ナトリウム
緩衝液濃度:0.001M〜1M
pH:4〜7
Tween濃度:0、1、及び10%v/v
アセトン濃度:0〜50%
【0058】
通常、基質としてアロエ液汁を使用したとき、アロエシン濃度の少なくとも50%増大を得た。
【0059】
実施例4:アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼを使用する酵素加水分解
酵素としてAmano Protease M(登録商標)又はQuest Bioprotease P conc(登録商標)を使用して、1ml反応液あたり3mgの純(91%)アロエレシンAに関して反応を実施した。当該調べたパラメーターは以下の通りであった。
酵素濃度:2、及び20mg
緩衝液濃度:0.01Mのリン酸ナトリウム
pH:5.5
【0060】
反応を、20時間超、振動しているアジテーター上で撹拌しながら、37℃で実施した。アロエシンへのアロエレシンAの完全な転換を達成した。
【0061】
全ての反応について、3mlの全反応液を分析のために提示した。当該サンプルを、水:メタノール:THF(20:40:40)で25mlとし、HPLCで分析した。
【0062】
アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼは37℃で最適に機能することを見つけ出した。アロエシン、及びp−クマリン酸へのアロエレシンAの転換を、上記パラメーターを使用して最適化し、そして、アロエレシンAがアロエシン、及びp−クマリン酸に完全に転換される条件を見つけ出した。4時間後、アロエシン含有量において100%増大し、アロエレシンAにおいて100%低減した。それ故、当該転換は、基質として純アロエレシンAを使用したとき、100%の終止モルバランスで完了する。
【0063】
実施例5:アロエシンのラージスクール製造
当該反応を、被覆撹拌槽、ガラス裏打ち反応器内で実施した。アロエ液汁を、窒素下、2モル濃度のHCl溶液の等価質量を使用して加水分解した。当該反応器を90℃まで加熱し、そして温度を、約5.5時間、維持した。得られたアロエレシンの転換は、およそ30%のアロエシンへの平均選択度を伴う、およそ94%だった。
【0064】
反応の終わりで、当該反応内容物を、被覆を通して冷水を透過させることにより70℃に冷却した。この系を、45%の苛性溶液(当該酸に対しておよそ0.75当量)を使用して、およそpH4.5に中和した。
【0065】
当該反応器を28℃までさらに冷却し、そして撹拌を止めた。当該反応混合物を2相への分離に供した。水層(加水分解物といわれる)が底に固定され、そして固形物を含む上層(上層といわれる)が上に固定された。当該加水分解物を保持槽に排水した。
【0066】
当該上層を、撹拌しながら、窒素と共に酸素を供給し、その後、水を添加した。次いで、当該反応器内容物を水の等価質量で洗浄した。当該反応器を、25℃で、30分間撹拌し、次いで、さらに30分間、放置した。
【0067】
当該混合物の分離を、上部に残る上層と共に、25℃で実施した。水層を保持槽に排水した。水洗浄物を、先に排水された加水分解物と混合した。反応後のストリームから回収された総アロエシンは、およそ84%だった。
【0068】
残余固形物を、10%の苛性溶液中への溶解により、当該反応器から除去した。次いで、当該洗浄溶液を排出し、廃棄物として処理した。
【0069】
本発明は、本明細書中の記載のように、正確な詳細まで限定することを目的としない。例えば、出願人は、試験された酸又は酵素の化学的又は生化学的に同等の酸及び酵素の如き、他の加水分解剤も、当該加水分解反応に使用されることを企図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロエレシンAの少なくとも一部をアロエシン、及びp−クマリン酸に加水分解するステップを含む、アロエレシンAをアロエシンに転換するための方法。
【請求項2】
p−クマリン酸からアロエシンを分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アロエレシンAをアロエシンに加水分解するステップが、酸加水分解を使用して実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記アロエレシンAをアロエシンに加水分解するステップが、酵素加水分解を使用して実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
有機酸が、前記酸加水分解のために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
無機酸が、前記酸加水分解のために使用される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記酸が、塩酸、硫酸、硝酸、及びリン酸からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酵素加水分解を実施するために使用される酵素が、エステラーゼ、リパーゼ、及びプロテアーゼからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素が、アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼ、ESL001−02(登録商標)、NOVO388(登録商標)、及びMucor mieheiリパーゼからなる群より選択される、請求項4又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記アスペルギルス・オリザエ・プロテアーゼ酵素が、Protease M(登録商標)又はBioprotease P conc(登録商標)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アロエレシンAが、副産物を形成せずに、アロエシン、及びp−クマリン酸に転換される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記アロエレシンAが、ポリマーを形成せずに、アロエシン、及びp−クマリン酸に転換される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記アロエレシンAが、いずれかの種のアロエ植物から得られる、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記アロエレシンAが、A.ferox種から得られる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記アロエレシンAが、A.ferox種から得られる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記アロエレシンAが、アロエ植物の葉から作られた液汁から入手される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記アロエレシンAが、部分的に精製されたか、又は精製された型である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
約0.5N〜約10Nの酸濃度において実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
約2N〜約5Nの酸濃度において実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記加水分解ステップが、約20℃〜約121℃の温度で実施される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記加水分解ステップが、約90℃の温度で実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項22】
前記加水分解ステップが、約30℃〜約90℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項23】
前記加水分解ステップが、約37℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項24】
前記加水分解ステップが、約70℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
緩衝液が使用される、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記緩衝液が、リン酸ナトリウム緩衝液、炭酸ナトリウム緩衝液、ホウ酸ナトリウム緩衝液又は水である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記緩衝液が、約4〜約8のpH範囲におけるpKaを有する、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記緩衝液濃度が、約0.01M〜約1Mの範囲内である、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記緩衝液濃度が、約0.1Mである、請求項25〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
有機溶媒が、前記加水分解ステップに添加される、請求項3に記載の方法。
【請求項31】
前記有機溶媒が、エタノール又はアセトンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記有機溶媒の濃度が、約10〜約50%(v/v)である、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記有機溶媒の濃度が、約30%(v/v)である、請求項30〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
アロエ植物の液汁からアロエシンを抽出する方法であって、以下のステップ:
アロエ植物における少なくとも一部のアロエレシンAを、アロエシン及びp−クマリン酸に加水分解し;そして
液汁の自然発生的なアロエシン、及び前記アロエレシンAから転換されたアロエシンから抽出する
を含む、上記方法。
【請求項35】
前記アロエ植物が、A.ferox種のものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記アロエレシンAが、酸加水分解によりアロエシンに加水分解される、請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記アロエレシンAが、酵素水分解によりアロエシンに加水分解される、請求項34又は35に記載の方法。

【公表番号】特表2008−533123(P2008−533123A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501433(P2008−501433)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/IB2006/000542
【国際公開番号】WO2006/097811
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507312699)
【Fターム(参考)】