説明

アロファネート・イソシアヌレート化触媒、及び該触媒の製造方法

【課題】加水分解性塩素からのプロトン酸の影響を受けず、安定した反応性を示す触媒とその製造方法を提供する。
【解決手段】特定のカルボン酸金属塩を酸化処理することにより、加水分解性塩素から生じたプロトン酸の影響を受けず、反応阻害を生じないアロファネート・イソシアヌレート化触媒が得られる。また、この触媒を使用した場合、1分子中にアロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を含有したポリイソシアネート変性体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロファネート・イソシアヌレート化触媒、及び該触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂組成物は、個々の要求特性に合わせた分子設計が容易であることから、建築土木関連、光学関連、電気関連、自動車関連、及び衣料関連とさまざまな用途で使用されている。
【0003】
このポリウレタン樹脂組成物の一成分として使用されるポリイソシアネートは、一般的にアミン化合物とホスゲンとのホスゲン化反応により得る方法やポリカルビミン酸エステルの熱開裂により得る方法がある。ホスゲン化反応によるポリイソシアネートは、不純物として0.001〜1質量%程度の加水分解性塩素を含有する。この加水分解性塩素は、加水分解により塩酸を生成する物質の総称であり、主な化合物として、イソシアネート基に塩酸が付加したカルバモイルクロリド化合物の塩酸塩である。
加水分解性塩素を含有するポリイソシアネートは、ポリイソシアネートの貯蔵安定性を高める効果がある一方で、活性水素基との反応においては、加水分解性塩素から生じたプロトン酸の影響により、イソシアネート基の反応を阻害したり、耐候性や耐食性に大きく悪影響を及ぼすことが知られている。特に、ポリイソシアネートからアロファネート化反応、及びイソシアヌレート化反応を経由するポリイソシアネート変性体の製造においては、加水分解性塩素の影響により、使用する触媒が触媒活性を失い、目的の生成物が得られないといった問題を抱えていた。
【0004】
このような背景の中で、ポリイソシアネートから反応を阻害する加水分解性塩素の濃度を低減する方法が数多く試みられている。加水分解性塩素を含有するポリイソシアネートから加水分解性塩素を除去する方法としては、加水分解性塩素を含有するポリイソシアネートを70℃以上で凝縮蒸留することにより精製する方法や、グリシドールを添加し蒸留することにより精製する方法が提案されている。これらの方法により得られたポリイソシアネートは、加水分解性塩素の含有量が60〜200ppmであるとされている(例えば、特許文献1、及び特許文献2参照)。
【0005】
また、加水分解性塩素を公知の方法で除去し、二酸化炭素等の酸性ガスを溶存させることが提案されている。この方法により得られたポリイソシアネートは、反応阻害も少なく、貯蔵安定性に優れているとされている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−161250号公報
【特許文献2】特開2007−223997号公報
【特許文献3】特開2005−060392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、加水分解性塩素の濃度を低減したポリイソシアネートは、反応阻害が見られず目的の生成物が得られるが、加水分解性塩素を長時間の蒸留等の操作により除去しているため、ポリイソシアネートが着色する問題があった。
また、蒸留工程の追加に伴う生産性や経済性の課題を残しており、加水分解性塩素の濃度が高いポリイソシアネートであっても、反応阻害を生じずに目的のポリイソシアネート変性体が得られる触媒の開発が急務であった。
【0008】
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、加水分解性塩素の濃度が高いポリイソシアネートを使用しても加水分解性塩素からのプロトン酸の影響を受けず、安定したアロファネート化反応、及びイソシアヌレート化反応の反応性を示す触媒とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、検討を重ねた結果、任意のカルボン酸金属塩を酸化処理した化合物を触媒とすることで、加水分解性塩素が高いポリイソシアネートを使用した場合であっても、アロファネート化反応、及びイソシアヌレート化反応を阻害せず、目的とした生成物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0010】
本発明の概要は以下の通りである。
本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒は一般式(1)で示される。
【0011】
【化3】

【0012】
(一般式(1)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる四価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)
【0013】
また、一般式(1)で示されるアロファネート・イソシアヌレート化触媒の四価の金属含有量が全金属含有量に対して、少なくとも10質量%であることを特徴とする。
【0014】
また、アロファネート・イソシアヌレート化触媒の製造方法は、一般式(2)で示されるカルボン酸金属塩を酸化反応することによりアロファネート・イソシアヌレート化触媒を得ることを特徴とする。
【0015】
【化4】

【0016】
(一般式(2)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる二価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)
【発明の効果】
【0017】
本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒、該触媒の製造方法によれば、特定のカルボン酸金属塩を酸化処理することにより、加水分解性塩素の濃度が高いポリイソシアネートを使用しても、加水分解性塩素から生じたプロトン酸の影響を受けず、反応阻害を生じないアロファネート・イソシアヌレート化触媒が得られる。また、この触媒を使用した場合、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒は、分子中に酸化し得ない状態の四価の金属を含むことで、加水分解性塩素の分解を抑制し、反応阻害の要因であるプロトン酸の生成を減少させ、更に加水分解性塩素の分解から生じたプロトン酸の濃度が高い状態であっても反応阻害を生じず、アロファネート化反応、及びイソシアヌレート化反応ができる触媒であり、一般式(1)で表される化合物である。
【0019】
【化5】

【0020】
アロファネート・イソシアヌレート化触媒は、一般式(1)に示されるカルボン酸金属塩であり、Mとしては、錫、ジルコニウム、亜鉛から選ばれる1種類の四価の金属である。これ以外の金属の場合には、アロファネート化反応、又はイソシアヌレート化反応の一方の反応が選択的に進行し、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体を得ることが困難である。
また、側鎖のRは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基である。これ以外の側鎖の場合には、ポリイソシアネートへの触媒の溶解性の低下や、経時変化で析出物を生じる恐れがある。
カルボン酸の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、へプチル酸、オクチル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラギジン酸、2−エチルヘキサン酸等の飽和脂肪族カルボン酸、シクロプロピルカルボン酸、シクロブチルカルボン酸、シクロペンチルカルボン酸、シクロヘキシルカルボン酸等の飽和単環カルボン酸、ビシクロ(4.4.0)デカン−2−カルボン酸等の飽和複環カルボン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、ジフェニル酢酸等の芳香脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
また、アロファネート・イソシアヌレート化触媒は、単独であるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
アロファネート・イソシアヌレート化触媒の四価の金属含有量は、ヨウ素溶液滴定法に基づき算出され、全金属含有量に対して、少なくとも10質量%であることが好ましい。尚、金属含有量の測定方法は、この他に重量変化による定量(酸素の原子量を16として、酸化に伴う増加量から計算により求める)も行うことが可能である。更に、全金属含有量の定量については、誘導結合プラズマ発行分光分析(ICP分析)を用いて測定することも可能である。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒の四価の金属含有量が、下限未満の場合には、加水分解性塩素を分解し、プロトン酸を生成させるため、反応阻害を招き、目的とする生成物が得られない恐れがある。
【0022】
ここで、ヨウ素溶液滴定法の測定方法としては、以下の操作によって全金属含有量と二価の金属含有量を求めて四価の金属含有量を算出する手法をとった。
<全金属含有量の測定方法:A(質量%)>
(1)三角フラスコ500mlに試料を約0.5g秤量し、塩酸(1+1)を100mlと、ホスフィン酸ナトリウムを5gと、飽和塩化第二水銀溶液を1ml加える。
(2)ゲッケル弁を三角フラスコに取り付け、炭酸水素ナトリウムと、純水を加え、空気を遮断し、ホットプレート上で40分間加熱後、20℃以下に冷却する。
(3)デンプン溶液を2ml加え、0.05mol/lのヨウ素溶液で滴定し、ヨウ素デンプン反応の黒紫色に着色したときを終点とし、滴定量から全金属含有量を算出する。
<二価の金属含有量の測定方法:B(質量%)>
(1)三角フラスコ300mlに大理石の小片と、炭酸水素ナトリウムを2gと、純水を20ml加える。
(2)これに塩酸(1+3)を30ml加え、前もって秤量した試料を約0.5g加える。
(3)0.05mol/lのヨウ素溶液で滴定し、終点近くになったら、デンプン溶液を2ml加え、ヨウ素デンプン反応の黒紫色に着色したときを終点とし、滴定量から二価の金属含有量を算出する。
<四価の金属含有量の計算:C(質量%)>
C=(A−B)/A×100
(1)A:全金属含有量(質量%)
(2)B:二価の金属含有量(質量%)
(3)C:四価の金属含有量(質量%)
【0023】
本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒の製造方法としては、一般式(2)で示されるカルボン酸金属塩を酸化反応することにより得られる。
【0024】
【化6】

【0025】
(一般式(2)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる二価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)
【0026】
また、カルボン酸金属塩は、一般式(2)の単座配位だけではなく、一般式(3)、又は一般式(4)に示す二座配位や単座配位と二座配位の複合の結合状態をとるものも含まれる。
【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】
(一般式(3)、及び一般式(4)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる二価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)
【0030】
カルボン酸金属塩を酸化させる方法としては、公知の酸化剤を用いることも可能であるが、安全性、適度な酸化能、精製が不要、及び簡便な装置で合成が可能な点から、酸素を使用し、酸素気流下でカルボン酸金属塩を加熱する方法やオゾンによる酸化処理方法が好ましい。
【0031】
酸素による酸化処理方法の酸素の濃度としては、20〜100質量%の範囲であることが好ましい。下限値未満の場合は、十分に酸化反応が進行せず、四価の金属含有量の低下を招く恐れがある。
【0032】
また、酸素による酸化処理方法の反応温度としては、5〜120℃の範囲であることが好ましい。下限値未満の場合は、十分に酸化反応が進行せず、四価の金属含有量の低下を招く恐れがあり、上限値を超えると、生成したアロファネート・イソシアヌレート化触媒が分解したり着色する恐れがある。
【0033】
オゾンによる酸化処理方法としては、市販されているオゾン発生器を用い、アロファネート・イソシアヌレート化触媒が分解しない程度でオゾン濃度や反応温度を適宜調整することができる。
【0034】
また、カルボン酸金属塩が固体の場合には、固体のまま酸化反応を行うことも可能であるが、反応の均一性や反応時間の関係から、カルボン酸金属塩に可溶な溶媒に予め溶解し、酸化反応を行うことが好ましい。
【0035】
酸化反応の反応時間は、カルボン酸金属塩の濃度、酸素濃度やオゾン濃度、反応温度、及びカルボン酸金属塩の種類により異なるが、一般には2〜72時間である。反応においては、連続反応の他に断続反応で行っても問題はない。
【0036】
本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒は、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体を生成させる触媒として好適であり、両結合基を1分子中に含有するために、これまでのアロファネート基含有ポリイソシアネート変性体とイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート変性体との混合物と比較し、耐候性の向上や低極性有機溶剤に対する溶解性を高めることができる。
【0037】
アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体は、アロファネート・イソシアヌレート化触媒の存在下で、有機ジイソシアネートと、モノアルコールとの反応によりアロファネート基を生成し、直ちにイソシアヌレート基を生成させることによって、両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体を得ることができる。
【0038】
ここで、使用される有機ジイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート等を挙げることができ、単独または2種以上を併用することができる。
【0039】
<芳香族ジイソシアネート>
芳香族ジイソシアネートの具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等を挙げることができる。
【0040】
<脂肪族ジイソシアネート>
脂肪族イソシアネートの具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチル−ペンタン−1,5−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0041】
<脂環族ジイソシアネート>
脂環族ジイソシアネートの具体例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0042】
<芳香脂肪族ジイソシアネート>
芳香脂肪族ジイソシアネートの具体例としては、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、1,3−または1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物、ω,ω′−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン等を挙げることができる。
【0043】
<モノアルコール>
ポリイソシアネート変性体に使用されるモノアルコールとしては、特に限定されるものではなく、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソアミルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,3,5−トリメチル−1−ヘキサノール、1−トリデカノール、2−トリデカノール、2−オクチルドデカノール、ペンタデカノール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、トリメチルシクロヘキサノール等が挙げることができ、単独またはまたは2種以上を併用することができる。
【0044】
また、ポリイソシアネート変性体の製造方法としては、以下に代表されるような第1工程〜第4工程を経て製造される。
第1工程:有機ジイソシアネートと、モノアルコールを水酸基に対して、イソシアネート基が過剰量になる量を仕込んで、ウレタン化反応させてイソシアネート基末端プレポリマーIを製造する。
第2工程:イソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒を有機ジイソシアネートと、モノアルコールとの合計質量に対して0.001〜1.0質量%仕込み、アロファネート化反応を行った後、直ちにイソシアヌレート化反応を行ってイソシアネート基末端プレポリマーIIを製造する。
第3工程:イソシアネート基末端プレポリマーIIに反応停止剤を添加することによって、反応の停止を行う。
第4工程:イソシアネート基末端プレポリマーIIを薄膜蒸留又は溶剤抽出によって、遊離の有機ジイソシアネートの含有量を1質量%未満になるまで除去する。
【0045】
ここで、第3工程におけるに反応停止剤としては、触媒の活性を失活させる作用があり、具体的には、リン酸、塩酸等の無機酸、スルホン酸基、スルファミン酸基等を有する有機酸およびこれらのエステル類、アシルハライド等公知の化合物が使用される。
これらの反応停止剤は、単独または2種以上を併用することができる。尚、添加時期は、反応終了後、速やかな添加が好ましい。
【0046】
このようにして得られたポリイソシアネート変性体は、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有し、GPCの分析から得られた数平均分子量は、500〜3000であり、数平均分子量からの平均官能基数は2.0〜5.0の範囲である。
【0047】
また、一連の反応で得られたポリイソシアネート変性体は、公知のポリオールと、有機溶剤と、必要に応じてウレタン化反応触媒を配合することによって、二液型塗料組成物として使用することが可能である。
【0048】
更に二液型塗料組成物には、必要に応じて、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、溶剤、難燃剤、加水分解抑制剤、潤滑剤、可塑剤、充填材、帯電防止剤、分散剤、触媒、貯蔵安定剤、界面活性剤、レベリング剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0049】
これら二液型塗料組成物は、スプレー、刷毛、浸漬、コーターなどの公知の方法により被着体の表面上に少なくとも10μmの膜厚を形成するように塗布することができる。
【0050】
このように特定のカルボン酸金属塩を酸化処理することによって、得られた本発明のアロファネート・イソシアヌレート化触媒は、加水分解性塩素の濃度が高いポリイソシアネートを使用しても加水分解性塩素からのプロトン酸の影響を受けず、安定したアロファネート化反応、及びイソシアヌレート化反応の反応性を示し、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基を1分子中に含有したポリイソシアネート変性体を合成することができる。また、このポリイソシアネート変性体を用いた二液型塗料組成物は、建築用塗料、重防食用塗料、自動車用塗料、家電用塗料、パソコンや携帯電話等の情報機器用塗料に用いることができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0052】
<アロファネート・イソシアヌレート化触媒の合成>
<合成例1>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸亜鉛(II)(商品名:ニッカオクチックス亜鉛、二価/四価=98/2、日本化学産業社製)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で36時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−1を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−1は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全亜鉛含有量と二価の亜鉛含有量から四価の亜鉛含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=57/43であった。また、外観は淡黄色液体、色数は30APHA、25℃の粘度は300mPa・s、濁度は0であった。
【0053】
<合成例2>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(商品名:ニッカオクチックス錫、二価/四価=97/3、日本化学産業社製)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で36時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−2を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−2は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=60/40であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0054】
<合成例3>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸ジルコニウム(II)(商品名:ニッカオクチックスジルコニウム、二価/四価=99/1、日本化学産業社製)を100g、ミネラルスピリットA(JX日鉱日石エネルギー社製)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。均一に溶解し80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で42時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−3を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−3は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全ジルコニウム含有量と二価のジルコニウム含有量から四価のジルコニウム含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=59/41であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は60mPa・s、濁度は0であった。
【0055】
<合成例4>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、酢酸亜鉛(II)(商品名:無水酢酸亜鉛、二価/四価=99/1、関東化学社製)を100g、エタノールを100g仕込み、撹拌しながら40℃に昇温した。均一に溶解し40℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、40℃で36時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−4を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−4は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全亜鉛含有量と二価の亜鉛含有量から四価の亜鉛含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=62/38であった。また、外観は淡黄色液体、色数は150APHA、25℃の粘度は20mPa・s、濁度は0であった。
【0056】
<合成例5>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、ナフテン酸亜鉛(II)(商品名:ナフテックス亜鉛、二価/四価=98/2、日本化学産業社製)を100g、ミネラルスピリットAを100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。均一に溶解し80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で48時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−5を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−5は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全亜鉛含有量と二価の亜鉛含有量から四価の亜鉛含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=60/40であった。また、外観は黄色液体、色数は250APHA、25℃の粘度は70mPa・s、濁度は0であった。
【0057】
<合成例6>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、安息香酸亜鉛(II)〔商品名:安息香酸亜鉛(II)、二価/四価=97/3、三津和化学薬品社製〕を100g、トルエンを100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。均一に溶解し80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で42時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−6を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−6は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全亜鉛含有量と二価の亜鉛含有量から四価の亜鉛含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=63/37であった。また、外観は淡黄色液体、色数は150APHA、25℃の粘度は30mPa・s、濁度は0であった。
【0058】
<合成例7>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オレイン酸亜鉛(II)〔商品名:オレイン酸亜鉛(II)、二価/四価=99/1、三津和化学薬品社製〕を100g、トルエンを100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。均一に溶解し80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で36時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−7を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−7は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全亜鉛含有量と二価の亜鉛含有量から四価の亜鉛含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=59/41であった。また、外観は淡黄色液体、色数は120APHA、25℃の粘度は20mPa・s、濁度は0であった。
【0059】
<合成例8>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で1時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−8を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−8は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=95/5であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0060】
<合成例9>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で2時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−9を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−9は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=90/10であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0061】
<合成例10>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で60時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−10を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−10は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=0/100であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は430mPa・s、濁度は0であった。
【0062】
<合成例11>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスと高純度窒素ガスとを混合比2/8に調整した混合ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で54時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−11を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−11は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=59/41であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0063】
<合成例12>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃に達した後、高純度酸素ガスと高純度窒素ガスとを混合比1/1に調整した混合ガスを流量20ml/minで流入し、80℃で42時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−12を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−12は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=60/40であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0064】
<合成例13>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら5℃に冷却した。5℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、5℃で60時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−13を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−13は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=61/39であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0065】
<合成例14>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら120℃に昇温した。120℃に達した後、高純度酸素ガスを流量20ml/minで流入し、120℃で30時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−14を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−14は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=59/41であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0066】
<合成例15>
攪拌機、温度計、冷却管、及びガス導入管を備えた容量300ミリリットルの四つ口フラスコに、オクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を100g仕込み、撹拌しながら20℃に調整した。20℃で安定した後、オゾン発生器(商品名:ED−OG−R4、エコデザイン社製)でオゾンを12g/h発生させ、流量20ml/minで流入し、20℃で8時間保持することによって、アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−15を得た。
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−15は、ヨウ素溶液滴定法の測定方法による全錫含有量と二価の錫含有量から四価の錫含有量を算出したところ、質量比で二価/四価=60/40であった。また、外観は淡黄色液体、色数は90APHA、25℃の粘度は390mPa・s、濁度は0であった。
【0067】
アロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−1〜Cat−15の性状を表1〜表3に示す。
【0068】

【表1】

【0069】

【表2】

【0070】

【表3】

【0071】
<ポリイソシアネート変性体の合成>
<実施例1>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートHDI−1(NCO含有量:49.9質量%、加水分解性塩素含有量:221.5ppm)を880gと、トリデカノール(協和発酵ケミカル社製)を120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−1を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508(城北化学工業社製、酸性リン酸エステル)を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−1を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−1はNCO含有量が16.2質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は700mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は49モル%、ヌレート基含有量は51モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0072】
<加水分解性塩素の測定方法>
加水分解性塩素の測定方法は、JIS K1603−3の「プラスチック−ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法−第3部:加水分解性塩素の求め方」に準じ、下記の硝酸銀標準溶液による電位差滴定により求められる。
(1)三角フラスコ500mlに試料を約10g秤量し、メタノール50mlを加え撹拌する。三角フラスコ側面に結晶を析出し始めたら、蒸留水を200ml加え、30分間煮沸する。
(2)煮沸完了後、氷浴中で約10℃に冷却し、硝酸を10滴加え、硝酸銀標準液で電位差滴定を行う。
<加水分解性塩素含有量の計算:H(%)>
加水分解性塩素は、次式のように質量%で算出し、その後、適宜単位に変換する。
H=3.55×V×c/m
(1)H:加水分解性塩素(質量%)
(2)V:試料の滴定に要した硝酸銀溶液量(ml)
(3)c:硝酸銀溶液の濃度(mol/l)
(4)m:試料の質量(g)
(5)3.55:塩素の原子量(35.5g/mol)とmgからgへの変換係数(1000)、及び質量%への変換係数(100)とを組み合せた係数(g/mol)。
【0073】
<NMR:アロファネート基・ヌレート基・ウレタン基含有量の測定>
(1)測定装置:ECX400M(日本電子社製、1H−NMR)
(2)測定温度:23℃
(3)試料濃度:0.1g/1ml
(4)積算回数:16
(5)緩和時間:5秒
(6)溶剤:重水素ジメチルスルホキシド
(7)化学シフト基準:重水素ジメチルスルホキシド中のメチル基の水素原子シグナル(2.5ppm)
(8)評価方法:8.5ppm付近のアロファネート基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルと、3.7ppm付近のヌレート基の窒素原子に隣接したメチレン基の水素原子のシグナルと7.0ppm付近のウレタン基の窒素原子に結合した水素原子のシグナルの面積比から結合基の含有量を測定。
【0074】
<GPC:分子量の測定>
(1)測定器:HLC−8220(東ソー社製)
(2)カラム:TSKgel(東ソー社製)
・G3000H−XL
・G2500H−XL
・G2000H−XL、G1000H−XL
(3)キャリア:THF(テトラヒドロフラン)
(4)検出器:RI(屈折率)検出器
(5)温度:40℃
(6)流速:1.000ml/min
(7)検量線:標準ポリスチレン(東ソー社製)
・F−80(分子量:7.06×10、分子量分布:1.05)
・F−20(分子量:1.90×10、分子量分布:1.05)
・F−10(分子量:9.64×10、分子量分布:1.01)
・F−2(分子量:1.81×10、分子量分布:1.01)
・F−1(分子量:1.02×10、分子量分布:1.02)
・A−5000(分子量:5.97×10、分子量分布:1.02)
・A−2500(分子量:2.63×10、分子量分布:1.05)
・A−500(分子量:5.0×10、分子量分布:1.14)
(8)サンプル溶液濃度:0.5%THF溶液
【0075】
<実施例2>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−2を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−2を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−2はNCO含有量が16.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は850、25℃の粘度は720mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は50モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0076】
<実施例3>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−3を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−3を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−3はNCO含有量が16.5質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は710mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は48モル%、ヌレート基含有量は52モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0077】
<実施例4>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−4を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−4を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−4はNCO含有量が16.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は870、25℃の粘度は690mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は51モル%、ヌレート基含有量は48モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0078】
<実施例5>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−5を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−5を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−5はNCO含有量が16.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は700mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は50モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0079】
<実施例6>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−6を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−6を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−6はNCO含有量が16.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は710mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は48モル%、ヌレート基含有量は49モル%、ウレタン基含有量は3モル%であった。
【0080】
<実施例7>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−7を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−7を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−7はNCO含有量が16.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は720mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は50モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0081】
<実施例8>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートHDI−2(NCO含有量:49.9質量%、加水分解性塩素含有量:30.0ppm)を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−2を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−8を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−8はNCO含有量が16.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は690mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は51モル%、ヌレート基含有量は47モル%、ウレタン基含有量は2モル%であった。
【0082】
<実施例9>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネートHDI−3(NCO含有量:49.9質量%、加水分解性塩素含有量:105.4ppm)を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−2を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−9を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−9はNCO含有量が16.7質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は700mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は49モル%、ヌレート基含有量は48モル%、ウレタン基含有量は3モル%であった。
【0083】
<実施例10>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−8を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になる前に反応が進行しなくなったため、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−10を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−10はNCO含有量が15.7質量%、外観は透明液体、数平均分子量は760、25℃の粘度は550mPa・s、遊離HDI含有量は0.1質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は65モル%、ヌレート基含有量は34モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0084】
<実施例11>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−9を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−11を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−11はNCO含有量が16.2質量%、外観は透明液体、数平均分子量は790、25℃の粘度は600mPa・s、遊離HDI含有量は0.1質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は54モル%、ヌレート基含有量は45モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0085】
<実施例12>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−10を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−12を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−12はNCO含有量が16.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は850、25℃の粘度は730mPa・s、遊離HDI含有量は0.3質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は50モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0086】
<実施例13>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−11を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−13を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−13はNCO含有量が16.2質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は710mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は48モル%、ヌレート基含有量は51モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0087】
<実施例14>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−12を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−14を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−14はNCO含有量が16.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は850、25℃の粘度は720mPa・s、遊離HDI含有量は0.4質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は51モル%、ヌレート基含有量は49モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0088】
<実施例15>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−13を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−15を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−15はNCO含有量が16.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は850、25℃の粘度は690mPa・s、遊離HDI含有量は0.1質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は51モル%、ヌレート基含有量は48モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0089】
<実施例16>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−14を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−16を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−16はNCO含有量が16.2質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は710mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は48モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は2モル%であった。
【0090】
<実施例17>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにアロファネート・イソシアヌレート化触媒Cat−15を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−17を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−17はNCO含有量が16.5質量%、外観は透明液体、数平均分子量は840、25℃の粘度は710mPa・s、遊離HDI含有量は0.1質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は50モル%、ヌレート基含有量は50モル%、ウレタン基含有量は0モル%であった。
【0091】
<比較例1>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにオクチル酸亜鉛(II)(商品名:ニッカオクチックス亜鉛、二価/四価=98/2、日本化学産業社製)を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になる前に反応が進行しなくなったため、JP−508を0.5g添加し、反応液を室温に冷却してイソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−18を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−18はNCO含有量が14.5質量%、外観は透明液体、数平均分子量は620、25℃の粘度は230mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は92モル%、ヌレート基含有量は7モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0092】
<比較例2>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにオクチル酸錫(II)(商品名:ニッカオクチックス錫、二価/四価=97/3、日本化学産業社製)を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になる前に反応が進行しなくなったため、JP−508を0.5g添加し、反応液を室温に冷却してイソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−19を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−19はNCO含有量が14.8質量%、外観は透明液体、数平均分子量は620、25℃の粘度は290mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は87モル%、ヌレート基含有量は12モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0093】
<比較例3>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにミネラルスピリットAで固形分50質量%に調整したオクチル酸ジルコニウム(II)(商品名:ニッカオクチックスジルコニウム、二価/四価=99/1、日本化学産業社製)の溶液を0.8g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になる前に反応が進行しなくなったため、JP−508を0.5g添加し、反応液を室温に冷却してイソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−20を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−20はNCO含有量が14.4質量%、外観は透明液体、数平均分子量は600、25℃の粘度は150mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は95モル%、ヌレート基含有量は3モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0094】
<比較例4>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−1を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにオクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を0.2g添加し、110℃でアロファネート化反応を行った。その後、60℃まで冷却し、イソシアヌレート化触媒である2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムオクチル酸塩(商品名:DABCO TMR、エアープロダクツジャパン社製)を0.2g添加し、60℃でイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.25g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−21を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−21はNCO含有量が16.5質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は720mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は47モル%、ヌレート基含有量は52モル%、ウレタン基含有量は1モル%であった。
【0095】
<比較例5>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−2を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにオクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−22を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−22はNCO含有量が16.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は860、25℃の粘度は690mPa・s、遊離HDI含有量は0.2質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は52モル%、ヌレート基含有量は48モル%、ウレタン基含有量は2モル%であった。
【0096】
<比較例6>
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた容量2リットルの四つ口フラスコに、HDI−3を880gと、トリデカノールを120g仕込み、窒素気流下、撹拌しながら85℃に加熱し、3時間ウレタン化反応を行うことでイソシアネート基末端プレポリマーIを得た。その後、このイソシアネート基末端プレポリマーIにオクチル酸錫(II)(二価/四価=97/3)を0.4g添加し、110℃でアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になるまでアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応を行った。その後、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比が50/50になる前に反応が進行しなくなったため、JP−508を0.5g添加し、停止反応を行い、反応液を室温に冷却し、イソシアネート末端プレポリマーIIを得た。このイソシアネート末端プレポリマーIIを130℃×0.04kPaで薄膜蒸留をすることで未反応のHDIを除去し、精製したポリイソシアネート変性体PI−23を得た。
ポリイソシアネート変性体PI−23はNCO含有量が15.3質量%、外観は透明液体、数平均分子量は690、25℃の粘度は350mPa・s、遊離HDI含有量は0.3質量%であった。また、全結合基におけるアロファネート基含有量は84モル%、ヌレート基含有量は14モル%、ウレタン基含有量は2モル%であった。
【0097】
ポリイソシアネート変性体PI−1〜ポリイソシアネート変性体PI−23に使用した原料の配合量と性状を表4〜表9に示す。
【0098】

【表4】

【0099】
表4に用いられる原料の略記号は以下の通り。
・HDI−1:ヘキサメチレンジイシシアネート(加水分解性塩素含有量:221.5ppm)
・オクチル酸ジルコニウム溶液:ミネラルスピリットAの固形分50質量%溶液
・DABCO:2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムオクチル酸塩
・JP−508:酸性リン酸エステル
【0100】

【表5】

【0101】
上記表5に示すように、実施例1〜実施例7に係るポリイソシアネート変性体は、加水分解性塩素の影響を受けず、効率的にアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応が進行し、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基が1分子中に存在するポリイソシアネート変性体が得られる。このポリイソシアネート変性体は、貯蔵安定性やトレランスに優れている。
これに対して、比較例1〜比較例3に係るポリイソシアネート変性体は、加水分解性塩素の影響でイソシアヌレート化反応が進行せず、目的の組成比にすることが困難であった。また、比較例4のポリイソシアネート変性体は、目的の組成比にすることが可能であったが、アロファネート基含有ポリイソシアネート変性体とイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート変性体の混合物になり、貯蔵安定性やトレランスで劣っていた。
【0102】

【表6】

【0103】
表6に用いられる原料の略記号は以下の通り。
・HDI−1:ヘキサメチレンジイシシアネート(加水分解性塩素含有量:221.5ppm)
・HDI−2:ヘキサメチレンジイシシアネート(加水分解性塩素含有量:30.0ppm)
・HDI−3:ヘキサメチレンジイシシアネート(加水分解性塩素含有量:105.4ppm)
・JP−508:酸性リン酸エステル
【0104】

【表7】

【0105】
上記表7に示すように、実施例8、実施例9、実施例11、及び実施例12に係るポリイソシアネート変性体は、加水分解性塩素濃度の影響を受けず、安定してアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応が進行し、アロファネート基とイソシアヌレート基の両結合基が1分子中に存在するポリイソシアネート変性体が得られる。このポリイソシアネート変性体は、貯蔵安定性やトレランスに優れている。また、四価の金属含有量が低い実施例10は、若干の加水分解性塩素濃度の影響を受けるが、貯蔵安定性やトレランスに優れたポリイソシアネート変性体が得られる。
これに対して、比較例5、及び比較例6に係るポリイソシアネート変性体は、加水分解性塩素濃度が低濃度であれば反応性への影響が見られないが、高くなるに従い反応阻害を大きく受け、目的の組成比にすることが困難であった。また、比較例5のポリイソシアネート変性体は、目的の組成比にすることが可能であったが、一部がアロファネート基含有ポリイソシアネート変性体とイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート変性体の混合物になり、トレランスで劣っていた。
【0106】

【表8】

【0107】
表8に用いられる原料の略記号は以下の通り。
・HDI−1:ヘキサメチレンジイシシアネート(加水分解性塩素含有量:221.5ppm)
・JP−508:酸性リン酸エステル
【0108】

【表9】

【0109】
上記表9に示すように、実施例13〜実施例17に係るポリイソシアネート変性体は、触媒の酸化処理条件によりトレランスなどの性能に変化が見られず、加水分解性塩素濃度が高濃度であっても安定してアロファネート化反応とイソシアヌレート化反応が進行するものであった。
【0110】
<二液塗料組成物の調整>
配合量は、表10に示すように、ポリオールとしてアクリルポリオール(商品名:アクリディックHU−596、水酸基価:30mgKOH/g、DIC社製)と、得られたポリイソシアネート変性体とをR(イソシアネート基/水酸基のモル比)=1になるように配合し、更に顔料として酸化チタン(商品名:CR−90、結晶構造:ルチル型、石原産業社製)、及び有機溶剤としてミネラルスピリットA(JX日鉱日石エネルギー社製)を固形分が50%になるように配合し、ホモミキサーを使用し300rpmで3分間撹拌して二液塗料組成物を調整した。
【0111】
<塗装方法及び試験片の調整>
調整した二液塗料組成物を、メチルエチルケトンで脱脂した鋼板(JIS G3141、商品名:SPCC−SB、処理の有無:PF−1077、日本テストパネル工業社製)にアプリケーターを用い、膜厚が50μmになるように塗布した。その後、温度60℃の乾燥機中で1時間加熱処理を行い、続いて温度23℃、相対湿度50%の環境下で7日間養生し、コーティング塗膜を得た。
【0112】

【表10】

【0113】
表10に用いられる原料の略記号は以下の通り。
・アクリディックHU−596:アクリルポリオール(水酸基価:30mgKOH/g)
・CR−90:酸化チタン
【0114】
上記表10に示すように、実施例18に係る二液型塗料組成物は、鉛筆硬度が十分に高く、耐候性に優れ、また、その他の諸物性にも優れていた。
これに対して、比較例7に係る二液型塗料組成物は、鉛筆硬度や耐候性が劣っていた。また、比較例8の二液型塗料組成物は、耐候性が若干劣っていた。
【0115】
(1)評価試験1:
<貯蔵安定性>
得られたポリイソシアネート変性体を−10℃、及び25℃に168時間放置し、濁り、浮遊物、及び析出物の有無を目視で評価した。
【0116】
<評価基準>
・濁り、浮遊物、及び析出物が認められない:合格(評価:○)
・濁りが認められる:合格(評価:△)
・析出物が認められる:不合格(評価:×)
【0117】
(2)評価試験2:
<トレランス>
得られたポリイソシアネート変性体を各1g採取し、それぞれにアニリン点の異なるHAWS(シェルケミカルズ)、ミネラルスピリットA(JX日鉱日石エネルギー社製)、及びIPソルベント2028(出光興産社製)を加えていき、濁りを生じた滴定量を終点として算出した。
【0118】
<計算式>
T=L/S
・T:トレランス(倍)
・L:有機溶剤の滴定量(g)
・S:サンプル量(g)
【0119】
(3)評価試験3:
<光沢度>
実施例18、比較例7、及び比較例8で得られたコーティング塗膜をJIS Z8741に準じて、ヘイズ−グロスリフレクトメーターで60°における光沢度を測定した。
【0120】
<評価基準>
・80%以上:合格(評価:○)
・60%以上〜80未満:合格(評価:△)
・60%未満:不合格(評価:×)
【0121】
(4)評価試験4:
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4:1999に準じて、塗膜が破れない鉛筆の硬度を測定した。
【0122】
(5)評価試験5:
<耐屈曲性>
JIS K5600−5−1:1999の耐屈曲性試験に準じ、直径2mmの円筒形マンドレルを使用し、円筒形マンドレルにより折り曲げられた場合の塗膜の割れ、及び鋼板からの剥れの有無を評価した。
【0123】
<評価基準>
・塗膜の割れ及び剥れが見られない:合格(評価:○)
・塗膜の割れ及び剥れを生じている:不合格(評価:×)
【0124】
(6)評価試験6:
<耐カッピング性>
JIS K5600−5−2:1999の耐カッピング試験に準じ、押し込みによって、部分変形を受けた場合の塗膜の割れ、及び鋼板からの剥れるまでの押し込み深さ(mm)を測定した。
【0125】
(7)評価試験7:
<耐おもり落下性>
JIS K5600−5−3:1999の耐屈曲性試験に準じ、直径10.3mm、質量0.5kgのおもりを使用し、塗膜の割れ、及び剥れが生じる最低の落下高さ(cm)を測定した。
【0126】
(8)評価試験8:
<密着性>
JIS K5600−5−6:1999の碁盤目テープ剥離試験に準じ、塗膜に1mm方形の碁盤目(10×10)の切れ目を入れ、テープによる剥離試験を行って残留枚数を測定した。
【0127】
(9)評価試験9:
<耐候性>
実施例18、比較例7、及び比較例8で得られたコーティング塗膜を下記の条件で耐候性の加速試験を行った。
・試験装置:QUV(Q−LAB社製)
・ランプ:EL−313
・照度:0.59w/m
・λmax:313nm
・1サイクル:12時間〔UV照射:8時間(温度70℃)、結露:4時間(温度50℃)〕
・試験時間:964時間
【0128】
<評価基準>
JIS Z8741に準じて、ヘイズ−グロスリフレクトメーターで60°における光沢度を測定し、光沢保持率を算出した。光沢保持率は下式により求めた。
光沢保持率(%)=100×耐候試験後光沢度÷初期光沢度
・80%以上:合格(評価:○)
・70%以上〜80%未満:合格(評価:△)
・70%未満:不合格(評価:×)
【0129】
(10)評価試験10:
<リコート性>
鋼板上に実施例18の二液塗料組成物(アクリディックHU−596/ポリイソシアネート変性体PI−2)を50μm形成したものを被着体とした。被着体の上層に調整した二液塗料組成物を50μmの膜厚になるように塗布し、塗膜の膨潤、及び皺の有無を目視にて確認した。
【0130】
<評価基準>
・塗膜の外観に変化が見られない:合格(評価:○)
・塗膜の膨潤及び皺を生じている:不合格(評価:×)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示されるアロファネート・イソシアヌレート化触媒。

【化1】

(一般式(1)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる四価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)
【請求項2】
一般式(1)で示されるアロファネート・イソシアヌレート化触媒の四価の金属含有量が全金属含有量に対して、少なくとも10質量%であることを特徴とする請求項1に記載のアロファネート・イソシアヌレート化触媒。
【請求項3】
一般式(2)で示されるカルボン酸金属塩を酸化反応することによりアロファネート・イソシアヌレート化触媒を得ることを特徴とする請求項1、及び請求項2に記載のアロファネート・イソシアヌレート化触媒の製造方法。

【化2】

(一般式(2)のMは、錫、ジルコニウム、亜鉛より選ばれる二価の金属を示す。Rは、炭素数が1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基より選ばれる結合基を示す。)

【公開番号】特開2012−245493(P2012−245493A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121140(P2011−121140)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000230135)日本ポリウレタン工業株式会社 (222)
【Fターム(参考)】