説明

アンカーボルト固着剤

【課題】貯蔵安定性が良く、耐アルカリ性が高く、高強度を発揮するアンカーボルト固着剤の提供。
【解決手段】主剤と硬化剤からなるアンカーボルト固着剤において、該主剤の主成分がメタクリル基及びアクリル基の2種類の反応性官能基を有するエポキシアクリレート樹脂であり、該エポキシアクリレート樹脂のメタクリル基とアクリル基のモル比が80:20〜30:70であること特徴とするアンカーボルト固着剤。該主剤中には、硬化促進剤として水酸基を有する芳香族第3級アミン(例:N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジン)混合しておくことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート、岩盤等の母材に穿孔し、その孔の中にアンカーボルトなどの固定部材を固着するための固着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穿孔の中に固着剤を用いてアンカーボルト等の固定部材を母材に固着するものとして、カプセル型と注入型のものがある。
前者のカプセル型は穿孔の中に固着剤入りカプセルを挿入し、アンカーボルト等の固定部材に打撃及び/または回転を与えながら、カプセルを破砕し、固着剤の主剤と硬化剤を混合することにより固着剤を硬化させてアンカーボルトなどの固定部材を固着する方法である。
【0003】
次に後者の注入型は現場調合式のものとカートリッジ式のものとがある。現場混合式のものは、それぞれの容器に入った主剤と硬化剤を現場で混合し穿孔内に注入し、固定部材を固着する。また、カートリッジ式のものは、カートリッジの中の主剤と硬化剤を、ハンドガンや油圧、空圧、電力等の駆動力で適量ずつ吐出し、スタティックミキサー等の混合機により混合された固着剤を穿孔の中に注入し、固定部材を固着する方法である。
これら固着剤には硬化性の良さからラジカル硬化性樹脂が好ましく用いられている。固着剤の主剤にはラジカル硬化性樹脂として、一般的にエポキシアクリレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が用いられるが、特に耐コンクリートアルカリ性、耐振動性に優れたエポキシアクリレート樹脂が適している。
【0004】
エポキシアクリレート樹脂はエポキシ樹脂をメタクリル酸で変性したメタクリル型エポキシアクリレート樹脂、アクリル酸で変性したアクリル型エポキシアクリレート樹脂がある。一般的に使用されているメタクリル型エポキシアクリレート樹脂は、耐アルカリ性は良いものの、貯蔵シェルフライフが短くなるために、保存期間が短く、使用前にその優れた性能をなくしてしまうといった問題があった(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、アクリル型エポキシアクリレート樹脂は耐アルカリ性に課題を有していた。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸のみを付加したアクリル型エポキシアクリレート樹脂であり、促進剤としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン(特許文献2)があるが、この場合、貯蔵安定性は良く、耐コンクリートアルカリ性も改良されてはいるが、(社)日本建築あと施工アンカー協会で規定されている耐アルカリ性試験方法(JIS K 6919「繊維強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル」)において、規格として定められる重量変化率±10%以内であることを満足できないものであった。
【0006】
また、低温硬化性に優れる固着剤組成物及びそれを用いたアンカーボルト固着剤組成物(例えば、特許文献3)にはメタクリル酸及び/又はアクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂の記載はあるものの、耐アルカリ性と貯蔵安定性の両立に関してのメタクリル酸とアクリル酸の割合について具体的な提示はなされていなかった。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−28478号公報
【特許文献2】特許第3565589号公報
【特許文献3】特開昭61−254681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、貯蔵安定性が良く、耐アルカリ性が高く、高強度なアンカーボルトなどの固定部材を固着させる固着剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討した結果、主剤と硬化剤からなるアンカーボルト固着剤において、その主剤の主成分をメタクリル基及びアクリル基の2種類の反応性官能基を持つエポキシアクリレート樹脂とし、そのメタクリル基とアクリル基のモル比を80:20〜30:70とすることによって前記課題を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
また、本発明者らは、更に主剤中に予め硬化促進剤として水酸基を有する芳香族第3級アミンを主剤中に含ませることが好ましいことを見出した。
すなわち、本発明は以下に記載するとおりのアンカーボルト固着剤である。
【0010】
(1)主剤と硬化剤からなるアンカーボルト固着剤において、該主剤の主成分がメタクリル基及びアクリル基の2種類の反応性官能基を有するエポキシアクリレート樹脂であって、該エポキシアクリレート樹脂のメタクリル基とアクリル基のモル比が80:20〜30:70であること特徴とするアンカーボルト固着剤。
(2)更に硬化促進剤として水酸基を有する芳香族第3級アミンを含むことを特徴とする上記(1)記載のアンカーボルト固着剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアンカーボルト固着剤は、貯蔵安定性が良く、耐アルカリ性が高く、高強度を発揮する効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明に使用される主剤とは、エポキシアクリレート樹脂、重合性モノマー、硬化促進剤の混合物である。
さらに、本発明のエポキシアクリレート樹脂とは、メタクリル基及びアクリル基の2種類の反応性官能基を持っており、一般的な製造方法においてエポキシ樹脂に不飽和一塩基酸を滴下しながら反応する際に、メタクリル酸及びアクリル酸を同時または時差的に滴下し得られたエポキシアクリレート樹脂(以降メタ/アクリル型エポキシアクリレート樹脂という)でも、エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したメタクリル型アクリレート樹脂とエポキシ樹脂にアクリル酸を付加したアクリル型エポキシアクリレート樹脂をそれぞれ個別に製造した後に合したものでも良い。製造工程の合理化のためには、前者の方が好ましい。
【0013】
また、それらの製造方法によって得られるエポキシアクリレート樹脂のメタクリル基及びアクリル基の2種類の反応官能基のモル比は80:20〜30:70である。
ここで用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAD型、ノボラック型、ビフェニル型、ナフタレン型、フタル酸型、ヘキサヒドロフタル酸型、安息香酸型ジグリシジルエーテル、及びグリコール型グリシジルエーテル等があり、一般的にビスフェノールA型が用いられる。
【0014】
本発明に用いることのできる重合性モノマーとしてはビニルモノマー、アクリルモノマー、アクリル酸エステル等がある。例えば、スチレン、ビニルトルエン、メタクリル酸メチル、ジアリルイソフタレート、トリアリルイソシアヌレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、フェニルマレイミド、エチレングリコールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリメタアクリル酸トリメチロールプロパン、2,5−ジメルスチレン、p−クロロスチレン、マレイン酸ジメチルがあり、一般的にはスチレンが用いられる。また、重合性モノマーの混合比率は樹脂とモノマーの種類により粘度、官能基数、重合性が異なるために特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の10〜70wt%、樹脂粘度が10〜20000mPa・s(E型粘度計、25℃)を目安として混合すると良い。
【0015】
主剤中に含まれる硬化促進剤は、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチルアニリン等の窒素置換基がアルキル基である芳香族アニリン類やオクタン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、コバルト/アミン混合促進剤を使用できるが、引張強度、貯蔵安定性の観点から、N,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン、N,N−ジヒドロキシエチル−p−トルイジンなどの水酸基を有する芳香族第3級アミンを使用する事が好ましい。硬化促進剤の主剤中の含有量は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%であることが望ましい。0.1重量%未満では硬化促進効果がなく、5重量%を超えた場合、主剤の保存性が悪化する等の問題がある。
【0016】
さらに主剤成分には必要に応じ、重合禁止剤、着色剤、顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、骨材、充填材、チキソトロピー化剤等を添加、混合することができる。また、硬化剤成分にも必要に応じ、骨材、充填材、チキソトロピー化剤、希釈剤、可塑剤等を添加混合することができる。
【0017】
本発明に用いられる重合禁止剤はキノン類、ハイドロキノン類、フェノール類があり、例えば、ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、p−トルキノン、p−キシロキノン、ナフトキノン、2,6−ジクロロキノン、ハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、モノメチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等を必要量添加する事ができるが、キノン類はアミン類との着色等の変化することがあり、ハイドロキノン類、フェノール類を添加する事が好ましい。
【0018】
本発明に用いることのできる着色剤、顔料、紫外線吸収剤は、太陽光線による樹脂の重合を防止する耐光安定化剤として必要に応じ添加する。これらの添加剤にはレーキ顔料、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、高級有機顔料及び無機顔料、その単品あるいはそれらの混合物がある。例えば、「トナーイエロー」、「トナーブラウン」、「トナーグリーン」(武田薬品(株)製)、「カラーテックスブラウン」、「カラーテックスオレンジ」、「カラーテックスマロン」(山陽色素(株)製)及び「オプラスエロー」(オリエント化学(株)製)を添加する事ができる。ただし、添加量については、主剤中の樹脂の種類やモノマーの種類及び添加剤の効果が異なるため一義的には決められない。
【0019】
本発明に用いることのできる界面活性剤は、アニオン型、カチオン型、ノニオン型、両性型があるが、水中での引張強度の安定に効果のあるアニオン型のものが好ましい。アニオン型界面活性剤は、カルボン酸塩としてアルキルエーテルカルボン酸塩「ビューライトEAC」(三洋化成(株)製)等、スルホン酸塩では、ジアルキルスルホコハク酸塩「サンセパラ100」(三洋化成(株)製)、アルキルアリルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等、硫酸エステル塩では、アルキルアリル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、リン酸エステル塩ではアルキルエーテルリン酸塩等が挙げられる。特に好ましくは、界面活性剤を樹脂添加した場合、樹脂のゲル化を促進しないジアルキルスルホコハク酸塩またはアルキルアリルスルホコハク酸塩を使用することが望ましい。これらアニオン型界面活性剤は1価及び2価の金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、特にナトリウム塩がより好ましい。これらの界面活性剤はどこに配置しても良いが、樹脂中に混合しておくのが好ましい。使用量は特に限定されないが、強度の点で主剤に対し10wt%以下に抑えることが好ましい。また、界面活性剤は反応性単量体や溶剤に溶解して用いても良い。
【0020】
本発明に用いることのできる硬化剤は、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類及びパーオキシカーボネート類等の有機化酸化物であり、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等があり、最も一般的にはベンゾイルパーオキサイドが用いられる。また、この硬化剤は一般的に硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機物、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン、重合性モノマー、水などの希釈剤で希釈して用いられる。
【0021】
本発明には骨材や樹脂充填材、チキソトロピー化剤は使用してもしなくても良いが、骨材を使用する場合、マグネシアクリンカー、ガラスビーズ、セラミック骨材、硬質プラスチック等の人工骨材や、珪石、大理石、石英砂等の天然骨材を用いることができる。また、ガラスファイバー、カーボンファイバー、スチールファイバー等の繊維類を用いることもできる。また、充填材を使用する場合、石英砂、硅砂、硅粉、シリカ、炭酸カルシウム、石膏、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、フラッシュアイ、マイカ、火山灰、シラス、シラスバルーン、コンクリート粉、発泡コンクリート粉、セメント、カーボンブラック、アルミナ、鉄、アルミニウム等を用いることができる。さらに、チキソトロピー化剤を使用する場合は、微粉シリカ(商品名アエロジル(日本アエロジル(株)製)、微粉アルミナ、タルク、石綿及びコロイド性ケイ酸アルミニウム/有機複合体、ベントナイト、ヒマシ油誘導体等を用いることができる。骨材や樹脂充填材、チキソトロピー化剤は単独または、組み合わせて使用できる。
【0022】
本発明に用いることのできる容器は、運搬または保管時には破損せず、内容物の漏れがないように封入できるものであれば良く、ガラス、陶磁器、合成樹脂、紙、金属等からものがあり、カプセル、カートリッジ、缶、パック状等がある。この場合、容器の形状及び材質はカプセル型及び注入型の用途に応じたものを適宜選択すると良い。また、硬化剤容器は硬化剤の特性に応じ、安全性を考慮し選択することが望ましい。
【実施例】
【0023】
本発明について、実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
エポキシアクリレート樹脂を製造する工程において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂66wt%、スチレン34wt%にビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量に合わせて、メタクリル酸、アクリル酸をそれぞれモル比80:20〜30:70の割合で適量滴下しアクリレート化したメタ/アクリル型エポキシアクリレート樹脂に重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進剤としてN−N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン0.8wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。
【0024】
ここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度を測定した。さらに注入型での引張強度の測定を行った。
耐アルカリ性試験はJIS K 6919「繊維強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル」の耐アルカリ性試験方法に準じた。試験片は、主剤100gに硬化剤としてベンゾイルパーイキサイド(ナイパーBMT−M(日本油脂株式会社製))を2g添加し、25℃雰囲気で硬化して厚さ3mmの注型板を作製し、幅25mm、長さ75mmに機械加工したのち、120℃で1時間後硬化させることによって得た。
試験片を10%の水酸化ナトリウム溶液中で100℃、100時間煮沸したのち、100℃の空気浴中で2時間乾燥し、重量変化量を測定した。
【0025】
カプセルを次のようにして製作した。
まず硬化剤として炭酸カルシウムで40%濃度に希釈したベンゾイルパーオキサイド1.2gを外径6mm、長さ90mm、肉厚0.5mmのガラス管製内容器に封入した。この硬化剤入り内容器と、主剤8.8g及び骨材として1.2〜2.4mmの天然珪石21gを外径17mm、長さ120mm、肉厚0.5mmのガラス管外容器に収容し、外容器を密封してカプセルを製作した。
カプセルライフは、促進試験としてカプセルを60℃恒温槽にて加温し、樹脂の流動性がなくなるまでの期間の目視確認と、10℃〜30℃の室温で1年間保管前後の引張強度を確認した。
【0026】
カプセルの引張強度は以下の要領で行った。サイズ0.5×0.5×1m、圧縮強度21N/mmのコンクリートブロックに穿孔径19mm、穿孔長130mmの孔を穿孔し、ブロアーとナイロンブラシを用いて孔内清掃を行い、上記カプセルを穿孔内に挿入し、先端45度にカットした外径16mmの全ネジボルトM16(材質SNB−7)を電動ハンマードリルに装着し、回転打撃を与えながら孔底まで埋め込み、1日の養生時間をおき引張強度を測定した。測定機器はアンカーボルト用引張試験機ANSER−5−III(旭化成ケミカルズ株式会社製)を用いて行った。
【0027】
注入型の主剤、硬化剤の調製は次の通り行った。
上記主剤20gに、粒度74〜210μmの珪砂20g、アエロジル1.2gを混合し主剤を調製した。また、ジブチルフタレートで40%濃度に希釈されたベンゾイルパーオキサイド20gに、粒度74〜210μmの珪砂20g、アエロジル1.2gを混合し硬化剤を調製した。
注入型の引張強度はカプセルの引張強度試験に用いたと同様のコンクリートブロックに、穿孔径19mm、穿孔長100mmの孔を穿孔し、ブロワ−とナイロンブラシを用いて孔内清掃を行った。そして、先に調製した主剤と硬化剤を8:1の割合で混合し、孔内に流し込み、先端寸切りの外径16mmの全ネジボルトM16(材質SNB−7)を孔底まで挿入し、養生1日後に引張強度を測定した。結果を表1に示す。
【0028】
[実施例2]
実施例1のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂66wt%、スチレン34wt%にビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシ当量に合わせて、メタクリル酸、アクリル酸をそれぞれモル比50:50の割合で適量滴下しアクリレート化したメタ/アクリル型エポキシアクリレート樹脂に重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進剤としてN−N−ジメチルアニリン1.0wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。
また、実施例1と同様にここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度の測定を行った。さらに注入型での引張強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0029】
[実施例3]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したメタクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%とスチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加したアクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%と樹脂スチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂を、それぞれメタクリル基とアクリル基のモル比が80:20〜30:70となるように混合し、重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進剤としてN−N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン0.8wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。
また、実施例1と同様にここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度の測定を行った。さらに注入型での引張強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0030】
[実施例4]
実施例2のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したメタクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%とスチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂とビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加したアクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%と樹脂スチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂を、それぞれメタクリル基とアクリル基のモル比が50:50のとなるように混合し、重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進材としてN−N−ジメチルアニリン1.0wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。
また、実施例1と同様にここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度の測定を行った。さらに注入型での引張強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にメタクリル酸を付加したメタクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%とスチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂に重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進材としてN−N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン0.8wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。また、実施例1と同様にここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度の測定を行った。さらに注入型での引張強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例2]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加したアクリル型エポキシアクリレート樹脂66wt%とスチレンモノマーを34wt%の割合で混合した樹脂に重合禁止剤としてトリメチルハイドロキノン400ppm、硬化促進材としてN,N−ジヒドロキシプロピル−p−トルイジン0.8wt%、界面活性剤としてジオクチルスルホコハク酸塩1.5wt%をそれぞれ添加した主剤を製造した。また、実施例1と同様にここで製造した主剤の耐アルカリ性試験及び、本主剤を用いてカプセルを製作し、カプセルライフの確認と引張強度の測定を行った。さらに注入型での引張強度の測定を行った。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の固着剤は、貯蔵安定性が良く、耐アルカリ性が高く、高強度を発揮するので、コンクリート、岩盤等の母材に穿孔した孔の中にアンカーボルトを固定するための固着剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤と硬化剤からなるアンカーボルト固着剤において、該主剤の主成分がメタクリル基及びアクリル基の2種類の反応性官能基を有するエポキシアクリレート樹脂であり、該エポキシアクリレート樹脂のメタクリル基とアクリル基のモル比が80:20〜30:70であること特徴とするアンカーボルト固着剤。
【請求項2】
更に硬化促進剤として水酸基を有する芳香族第3級アミンを含むことを特徴とする請求項1記載のアンカーボルト固着剤。

【公開番号】特開2008−7672(P2008−7672A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180857(P2006−180857)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】