説明

アンギオテンシン変換酵素阻害剤及びバソプレッシン受容体拮抗薬を含む複合治療

本発明は、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と、を含有する特定の医薬組成物、並びにこれらの化合物、組成物、中間生成物及びこれらの誘導体を調製するための方法、並びにバソプレッシン及び/又はアンギオテンシン変換酵素媒介疾患の処置のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤と、を含有する組成物に関する。本発明はまた、このような医薬組成物をヒト患者に投与することを含む、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びに、バソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病が挙げられるが、これらに限定されないバソプレッシン及び/若しくはアンギオテンシン変換酵素媒介疾病の進行を処置、改善並びに/又は予防する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
バソプレッシンは、主に下垂体後葉から分泌されるノナペプチドホルモンである。このホルモンは、V1a及びV2受容体サブタイプを介してその作用をもたらす。バソプレッシンの機能には、子宮、膀胱及び血管平滑筋の収縮、肝臓におけるグリコーゲン分解の刺激、血小板凝集の誘発、下垂体前葉からのコルチコトロピンの放出、並びに腎臓の水再吸収の刺激が挙げられる。中枢神経系(CNS)内の神経伝達物質として、バソプレッシンは攻撃行動、性行動、ストレス応答、社会行動及び記憶に影響し得る。V1a受容体はバソプレッシンの中枢神経系効果、平滑筋の収縮及び肝臓グリコーゲン分解効果を媒介するが、V1b受容体はバソプレッシンの下垂体前葉効果を媒介する。恐らく腎臓内でのみ見出されるV2受容体は細胞内アデニル酸シクラーゼの刺激を介するバソプレッシンの抗利尿作用に影響する(リーブシュ(Liebsch)、Gら、Neurosci.1996、217、101)。
【0003】
上昇した血漿バソプレッシンレベルは鬱血性心不全の病因において役割を演ずるようである(P.A.ヴァン・ズヴァイテン(Van Zwieten)Progr.Pharmacol.Clin.Pharmacol.1990、7、49)。鬱血性心不全の処置に対する進歩として、非ペプチドバソプレッシンV2受容体拮抗薬は鬱血性心不全を有する意識のある犬において低い浸透圧モル濃度アクアレシス(aquaresis)及び減じられた末梢抵抗を誘発した(H. Ogawa、 J.Med. Chem. 1996、 39、 3547)。ある種の病理学的状態では、血漿バソプレッシンレベルは特定の浸透圧モル濃度に関しては不適切に上昇することがあり、それにより腎臓水鬱滞及び低ナトリウム血症をもたらし得る。浮腫症状(硬変、鬱血性心不全、腎不全)を伴う低ナトリウム血症には、抗利尿ホルモン(SIADH)の不適切な分泌の症候群が伴われ得る。バソプレッシンV2拮抗薬を用いるSIADH−弱体化ラットの処置はそれらに存在する低ナトリウム血症を治した(G. Fujisawa, Kidney Int. 1993、 44(1)、 19)。一部はバソプレッシンの血管中でのそのV1a受容体における収縮作用のために、バソプレッシンV1a拮抗薬は血圧を低下させており、同様に高血圧症のための有効な処置を示す。既知のバソプレッシン受容体拮抗薬には、YM−087(ヤマノウチ(Yamanouchi));VPA−985、WAY−140288、及びCL−385004(アメリカン・ホーム・プロダクツ(American Home Products));SR−121463(サノフィ−シンセラボ(Sanofi-Synthelabo));並びにOPC31260、OPC41061、及びOPC21268(オオツカ(Otsuka))が挙げられる。
【0004】
それゆえに、バソプレッシン受容体拮抗薬は、高血圧症、低ナトリウム血症、鬱血性心不全/心臓機能不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳浮腫及び虚血、発作、血栓症、並びに水鬱滞の症状における治療薬として有用である。追加的な症状には、ネフローゼ症候群、中枢神経系損傷、月経困難症、攻撃性、多発性嚢胞腎、不安症、強迫性障害、及びバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病が挙げられ得る。
【0005】
特に、腎症及び(nephropathyand)腎不全は、長期の糖尿病及び/又は高血圧症の一般的な合併症である。アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンギオテンシン受容体阻害薬の投与と組み合わせての、厳格な血糖コントロール及び高血圧症の適切なコントロールの維持が、疾病の進行を遅らせることができることが十分に実証されてきている。この標準的な治療をよそに、腎不全の進行の有意な危険性及び発生は残っている。それゆえに、この疾病の進行を更に遅らせる新規処置に対して、有意な未達成の医学的ニーズが存在する。
【0006】
ヒトにおける進行性腎症の最も一般的に認められている理論は、様々な病理学的損傷原因(例えば、糖尿病、炎症など)に起因するネフロン数の初期減少を関与させており、これは、ネフロン機能の喪失を埋め合わせるために、糸球体の圧力及び流れが適応的に増加する結果として、残っている機能するネフロンの損傷を導く(アンダーソン(Anderson)S、メイヤー(Meyer)TW、ブレナー(Brenner)BM:腎疾患の発症及び進行における血行力学的要因の役割(The role of hemodynamic factors in the initiation and progression of renal disease.)J Urol 133:363 368、1985;レムッズィ(Remuzzi)G、バータニ(Bertani)T:進行性腎症の病態生理学(Pathophysiology of progressive nephropathies.)N Engl J Med 339:1448 1456、1998)。これらの元々の健康なネフロンにおいて必要な過剰濾過を維持する役割を果たす糸球体高血圧は、血漿タンパク質の濾過の増加を伴い、この血漿タンパク質(尿細管エンドサイトーシスにより大部分は再吸収される)は、組織瘢痕及び機能障害を導く腎炎誘発作用を示す。それゆえに、1つの腎臓の除去及び残っている腎臓の一部の損傷により誘発されたネフロンの人工的喪失を伴う、ラット残存腎臓モデルは、ヒト腎症において生じるプロセス及び病理をシミュレートするための良好なモデルを提示する(オルソン(Olson)JL、ホステッター(Hostetter)TH、レンケ(Rennke)HG、ブレナー(Brenner)BM、ヴェンカタカラム(Venkatachalam)MA:極端な腎臓腫瘤切除後の変化した糸球体選択的透過性と進行性硬化(Altered glomerular permselectivity and progressive sclerosis following extreme ablation of renal mass).Kidney Int 22:112 126,1982)。更に、このモデルは、腎不全に対する処置に関して、良好な臨床有効性を有する。重要なことに、アンギオテンシン変換酵素(ACE)の阻害(アンダーソン(Anderson)S、レンケ(Rennke)HG,ブレナー(Brenner)BM:ラットにおける全身性高血圧に伴う進行性腎疾患での変換酵素阻害剤の治療上の利点(Therapeutic advantage of converting enzyme inhibitors in arresting progressive renal disease associated with systemic hypertension in the rat.)J Clin Invest 77:1993 2000,1986)及びアンギオテンシン受容体遮断(タリフ(Tarif)N and バクリス(Bakris)GL:アンギオテンシンII受容体遮断と非糖尿病媒介腎疾患の進行(Angiotensin II receptor blockade and progression of nondiabetic-mediated renal disease.)Kidney Int.52: S67〜S70,1997)は、(尿タンパク、血清クレアチニン及び糸球体硬化の減少により証明されるように)残存腎臓モデルにおいて有効であることが示され、続いて、糖尿病性腎症を有する患者において尿タンパクを低減すること、並びに血清クレアチニンなどの腎機能の他の尺度を向上することが示された(クシャーサガー(Kshirsagar)、AV,ジョイ(Joy)、MS、ホーガン(Hogan)、SL、フォーク(Falk)、RJ & コリンドレス(Colindress)、RE:糖尿病性及び非糖尿病性腎疾患におけるACE阻害剤の効果:無作為化プラセボ対照試験の系統的概要(Effect of ACE inhibitors in diabetic and nondiabetic chronic renal disease: a systematic overview of randomized placebo-controlled trials.)Am.J.Kidney Dis,35:695〜707,2000;コイル(Coyle)、JD、ガードナー(Gardner)、SF & ホワイト(White)、CM:2型糖尿病におけるアンギオテンシンII受容体遮断薬の腎保護作用(The renal protective effects of angiotensin II receptor blockers in type 2 diabetes mellitus.)Annals Pharmacotherapy,38:1731−8,2004)。更に、臨床試験は、ACE阻害剤及びアンギオテンシン受容体遮断薬での処置が腎不全に至る時間(透析又は腎臓移植にとって必要な)を増加させることを示した。それゆえに、尿アルブミン(albumen)の削減は、処置機序から独立した疾病の進行における影響を予測する良好な代理指標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、を含む、治療的に有効な医薬組成物に対するニーズが存在する。バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患の進行を処置、改善する並びに/又は遅らせる有効な方法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む医薬組成物を目的とする。
【0009】
本発明はまた、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症が挙げられるが、これらに限定されないバソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患の進行を処置する、改善する並びに/又は遅らせる方法にも関し、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤をこの被験者に投与すること及び治療的に有効な量の少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬をこの被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0010】
本発明の開示された実施形態では、バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又はこれらの関連する症候群若しくは合併症は、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される。好ましくは、これらの症状のいずれかを処置するために投与される化合物の治療的に有効な量は、1日当たり約0.05〜1gである。
【0011】
本発明は更に、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される症状の進行を処置する、改善する並びに/又は遅らせるための薬剤の調製のための、1つ以上のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせた少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤の使用も目的とする。
【0012】
本発明の他の特徴及び利点は、「発明を実施するための形態」、「実施例」及び添付の「特許請求の範囲」から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ビヒクル−処置動物におけるRMRの21日後の尿タンパク及び血清クレアチニンの著しい増加、並びに1ヶ月目及び2ヶ月目でのこれらの測定値の漸進的増加。
【図2】実験の終わりの時点でのラット残存腎臓モデルにおける腎臓組織学的検査に基づく構造的損傷の程度。
【図3】ラット残存腎臓モデルにおける血圧値。
【図4】ストレプトゾトシン誘発性I型糖尿病ラットにおける尿アルブミン排出。
【図5】II型糖尿病のdb/dbマウスモデルにおける尿アルブミン排出。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特に指示がない限り、以下の定義は本明細書及び請求項を通して適用される。
【0015】
「少なくとも1つ」は、1つ以上(例えば、1〜3、1〜2、又は1)を意味する。
【0016】
「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに直接的又は間接的に特定の成分の特定の量の組み合わせから生じる任意の生成物を包含することを意図する。
【0017】
本発明の処置の方法において他の薬剤と共に式Iの化合物を投与することを説明するために使用されるとき、「と組み合わせて」は、式Iの化合物及び他の薬剤が、別個の剤形で連続して又は同時に投与されるか、又は同一の剤形で同時に投与されることを意味する。
【0018】
「哺乳類」は、ヒトを含み、好ましくはヒトを意味する。
【0019】
「患者」は、ヒト及び他の哺乳類の両方を含み、好ましくはヒトである。
【0020】
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、を有する直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素鎖を意味する。
【0021】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、式中、アルキルは上で定義されている通りである。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ及びn−ブトキシが挙げられる。親部分との結合は、エーテル酸素を介する。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、少なくとも1つのバソプレッシンV1a/V2受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0023】
多くのACE阻害剤を本発明に採用することができる。本発明の組成物中で使用されるACE阻害剤は、当該技術分野において周知であり、いくつかは、高血圧症、糖尿病性腎症及び慢性心不全のための処置に日常的に使用される。例えば、エナラプリル、エナラプリラット及び密接に関連した類似体は、米国特許第4,374,829号、同第4,472,380号及び同第4,264,611号に記載されている。モエキシプリル、キナプリル、キナプリラット及び密接に関連した類似体は、米国特許第4,743,450号及び同第4,344,949号に記載されている。ラミプリル及びその類似体は、米国特許第4,587,258号及び同第5,061,722号に記載されている。リシノプリルは、米国特許第4,374,829号に記載されている。以上の特許の全ては、典型的なACE阻害剤のその教示に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
本発明の1つの実施形態では、ACE阻害剤は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される。本発明の更なる実施形態では、ACE阻害剤は、エナラプリルである。本発明の別の実施形態では、ACE阻害剤は、リシノプリルである。
【0025】
本発明のバソプレッシン拮抗薬は、任意のアルギニンバソプレッシン又は抗利尿ホルモンの生物活性を阻害するのに有効である任意の化学化合物として定義される。
【0026】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン拮抗薬は、式(I)の化合物
【0027】
【化1】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である(米国特許出願公開第10/869,746号を参照されたい)。
【0028】
本発明の実施形態は更に、化合物1、
【0029】
【化2】

【0030】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、のバソプレッシン拮抗薬を目的とする。
【0031】
本発明の別の実施形態では、この医薬組成物は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、式(I)
【0032】
【化3】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0033】
本発明の更なる実施形態では、この医薬組成物は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、
【0034】
【化4】

【0035】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0036】
本発明の更なる実施形態では、この医薬組成物は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、式(I)
【0037】
【化5】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0038】
本発明の更なる実施形態では、この医薬組成物は、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(このようなアンギオテンシン変換酵素阻害剤は、リシノプリルである)と、式(I)
【0039】
【化6】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0040】
本発明の更なる実施形態では、この医薬組成物は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、
【0041】
【化7】

【0042】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0043】
本発明の更なる実施形態では、この医薬組成物は、エナラプリルである少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、
【0044】
【化8】

【0045】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0046】
本発明のこのような更なる別の実施形態では、この医薬組成物は、リシノプリルである少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、
【0047】
【化9】

【0048】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む。
【0049】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0050】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0051】
本発明の1つの実施形態では、ACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0052】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、式(I)
【0053】
【化10】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0054】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬(このような拮抗薬は、
【0055】
【化11】

【0056】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0057】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、式(I)
【0058】
【化12】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0059】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬(このような拮抗薬は、
【0060】
【化13】

【0061】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0062】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(このような阻害剤はリシノプリルである)を、少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬(このような拮抗薬は、
【0063】
【化14】

【0064】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の治療効果を提供する。
【0065】
本発明の別の実施形態では、バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症、の進行を阻害若しくは遅らせるための方法が存在し、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0066】
本発明の1つのこのような実施形態では、本方法は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、式(I)
【0067】
【化15】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0068】
本発明の別のこのような実施形態では、本方法は、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、
【0069】
【化16】

の化合物、あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0070】
本発明の更に別のこのような実施形態では、この方法は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、式(I)
【0071】
【化17】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0072】
本発明の更に別のこのような実施形態では、この方法は、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、式(I)の化合物、
【0073】
【化18】

【0074】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0075】
本発明の更に別のこのような実施形態では、この方法は治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤(このような阻害剤はリシノプリルである)を、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬(このような拮抗薬は、
【0076】
【化19】

【0077】
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、である)と組み合わせて、この被験者に投与することを含み、この組み合わせられた投与は、所望の予防効果を提供する。
【0078】
本発明の1つの実施形態では、この疾患は、内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、発作、血栓症、水鬱滞、攻撃性、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群及び中枢神経系損傷の疾病状態から選択される。
【0079】
本発明の別の実施形態では、この疾患は、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される。
【0080】
1つの実施形態では、疾患は腎症である。別の実施形態では、疾患は、進行性腎不全である。更に別の実施形態では、疾患は、糖尿病性腎症である。更に別の実施形態では、疾患は、多発性嚢胞腎である。更に別の実施形態では、疾患は、鬱血性心不全である。更に別の実施形態では、疾患は、高血圧症である。更に別の実施形態では、疾患は、低ナトリウム血症である。更に別の実施形態では、疾患は、浮腫である。更に別の実施形態では、疾患は、バソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる。
【0081】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を共に配合することを含む、医薬組成物を配合するためのプロセスが開示される。
【0082】
薬剤で使用するために、本発明の化合物の塩は非毒性の「薬剤として許容される塩」を指す。しかし他の塩も本発明の化合物又はそれらの薬剤として許容される塩の調製に有用である場合がある。化合物の好適な薬剤として許容される塩としては、例えば、化合物の溶液を、製薬学的に許容できる酸、例えば塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸の溶液と共に混合することにより形成され得る酸付加塩が挙げられる。更に、本発明の化合物が酸性部分を保有する場合、その好適な薬剤として許容される塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、及び第四級アンモニウム塩のような、好適な有機リガンドと共に形成される塩が挙げられる。したがって、代表的な薬剤として許容される塩としては、以下が挙げられる:
酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物塩、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストル酸塩、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレソルシン酸塩、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩。
【0083】
薬剤として許容される塩の調製に使用してもよい代表的な酸及び塩基としては、以下が挙げられる:
酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミトリン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバイン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸を含む酸、並びに
アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛を含む塩基。
【0084】
本発明はその範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、かかるプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に変換され得る化合物の機能的誘導体である。すなわち、本発明の治療法では、用語「投与」は、記載する種々の障害の、具体的に開示する化合物を用いた、又は具体的には開示しないくともよいが、患者に投与された後にインビボで特定の化合物に転換する化合物を用いた治療を包含すべきである。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する通常の手順は、例えば、ブンドガード(Bundgaard)・H著「プロドラッグの設計(Design of Prodrug)」(Bundgaard)編、エルゼビア(Elsevier)社、1985年)に述べられている。
【0085】
本発明による化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、結果としてそれらはエナンチオマーとして存在する可能性がある。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在し得る。すべてのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。更にその化合物に関する結晶形の中には多形として存在できるものもあり、そしてそのまま本発明に含まれることが意図される。加えて、化合物の中には水(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成できるものもあり、そしてそのような溶媒和物も本発明の範囲に包含されることが意図されている。
【0086】
本発明による化合物を製造する方法により立体異性体の混合物が生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーのような従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々のエナンチオマーをエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製することができる。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの成分であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。代替的に、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてもよい。
【0087】
本発明の化合物の任意の製造方法中、関与する任意の分子の感受性又は反応性基を保護することが必要かつ/又は望ましい場合がある。これは、有機化学における保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)、ed.J.F.W.McOmie、プレナム出版(Plenum Press)、1973、及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis),ジョン・ワイリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1991に記載されるもののような通常の保護基を用いて達成することができる。保護基は、当該技術分野において既知の方法を用いて、都合のよいその後の段階で除去してよい。
【0088】
本発明の化合物(その製薬上許容できる塩及び製薬上許容できる溶媒和物を含む)は、単独で投与することができるにもかかわらず、それらは、一般には、目的とする投与経路及び標準的な薬務又は獣医学診療に関連して選択される、薬剤担体、賦形剤又は希釈剤との混合物で投与される。それゆえに、本発明は、1つ以上の製薬上許容できる担体、賦形剤又は希釈剤と共に、1つ以上の式(I)の化合物とACE阻害剤との組み合わせを含む製薬学的及び獣医学的組成物を目的とする。
【0089】
一例として、本発明の製薬学的及び獣医学的組成物では、本発明の化合物は、任意の好適な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、及び/又は可溶化剤と混合してもよい。
【0090】
この組み合わせの錠剤又はカプセルを、必要に応じて、1つずつ、又は同時に2つ若しくはそれ以上投与してもよい。徐放性製剤中の化合物を投与することも可能である。
【0091】
あるいは、一般式(I)の化合物とACE阻害剤との組み合わせは、吸入又は坐薬若しくは膣坐薬の形態で投与することができ、又はそれは、ローション、溶液、クリーム、軟膏又は散布剤の形態で局所的に適用してもよい。経皮投与の代替手段は、皮膚貼付剤の使用によるものである。例えば、それらは、ポリエチレングリコールの水性エマルション又は液体パラフィンからなるクリームに組み込むことができる。それらはまた、1〜10重量%の濃度で、白ろう又は白色ワセリンベースからなる軟膏に、必要とされているとき、このような安定剤及び防腐剤と共に組み込むことができる。
【0092】
一部の用途では、好ましくは、この組み合わせられた組成物は、デンプン又はラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の形態で、又は単独若しくは賦形剤との混合物のいずれかでカプセル若しくは卵形剤(ovule)で、又は着香剤若しくは着色剤を含有するエリキシル剤、溶液若しくは懸濁液の形態で、経口的に投与される。
【0093】
この組み合わせられた組成物(並びに化合物単独)は、例えば陰茎海綿体内、静脈内、筋肉内又は皮下などの、非経口で注入することもできる。この場合、この組み合わせられた組成物は、好適な担体又は希釈剤を含む。
【0094】
非経口投与では、この組み合わせられた組成物は、血液と等張な溶液を製造するために、例えば十分な塩又は単糖などの他の物質を含有してもよい無菌水溶液の形態で用いられるのが最良である。
【0095】
口腔投与又は舌下投与では、この組み合わせられた組成物は、従来の方式で配合できる、錠剤又はトローチ剤の形態で投与されてもよい。
【0096】
更なる例証として、活性成分として記載されている本発明の組み合わせられた化合物を含有する製薬学的及び獣医学的組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、化合物を医薬担体と密に混合することにより調製できる。担体は、場合の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとってよい。したがって、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられ、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。この固体経口製剤はまた、糖のような物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶コーティングされてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加してもよい。注入用の縣濁液又は溶液はまた、水性担体を適切な添加剤と共に用いて製造してもよい。
【0097】
有利なことに、本発明の組み合わせられた化合物は、1回に1日用量を投与してもよく、又は全1日用量を1日2回、3回、又は4回に分割して投与されてもよい。更に本発明の組み合わせられた化合物は、当業者に周知である好適な鼻内賦形剤の局所的使用を介して、又は経皮的な皮膚パッチを介して鼻に投与することができる。経皮送達系の形で投与するために、投薬量の投与は、勿論、投薬レジメン全体にわたって断続的ではなく連続的であろう。
【0098】
本明細書で使用するとき、「治療的に有効な量」は、バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患のいずれか1つの進行を処置する、改善する又は遅らせるのに明白な効果を与える量である。例えば、治療的に有効な量は、尿タンパクの削減を生じさせることにより、糖尿病性腎症及び進行性腎不全を処置するのに明白な効果を与える量である。本発明の組成物は、ACE阻害剤とバソプレッシン拮抗薬とを、約1〜約200、詳しくは約5〜約100、更に詳しくは約10〜約50の重量比で含有する。典型的な有効量は、約4〜約50mgのACE阻害剤及び約10〜約800mgのバソプレッシン拮抗薬である。
【0099】
本発明に従う有効である正確な投与量は、投与される具体的なACE阻害剤とバソプレッシン拮抗薬、処置される被験者の具体的な状態、処置の持続時間及び疾病の重篤度、並びに第二医療的判断を実施するときに日常的に考えられるこのような他の要因を考慮して、担当する医療施術者により決定されるべきである。ヒトに医薬組成物を投与するのに治療的に有効な量は、例えば、動物試験の結果から数学的に決定することができる。
【0100】
本発明又はその医薬組成物の使用のための治療的に有効な量は、平均的な(70Kg)のヒトに対する1日当たり約1〜4回の投薬計画において、約0.1mg〜約3000mg、より詳しくは約1mg〜約1000mg、より詳しくは約10mg〜約500mgの活性成分の薬量範囲を含み、当業者にとっては自明なことであるが、本発明の活性化合物の治療的に有効な量は、処置される状態が変化することにより変化する。
【0101】
経口投与では、医薬組成物は、好ましくは、治療されるべき被験体への投与量の症状調節のために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。
【0102】
また、バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患の処置又は予防のために投与すべき式(I)の化合物とのACE阻害剤の組み合わせの治療的に有効な投与量は、当業者により容易に決定され得、所望の効果により変動することが当業者には明らかである。それ故、最適な投与量を容易に決定することができ、これは使用する具体的な化合物、投与様式、製剤の強度及び病状の進行度合によって変わるであろう。更に、被験体の年齢、体重、食事及び投与時間を含む、治療されている具体的な被験体に関連する因子は、結果として適切な治療用濃度に用量を調節するために必要になる。上記投与量は、したがって、平均的な場合の代表例である。無論、より多い又はより少ない投与量がよい場合、個々の例が存在し得、このようなものは、本発明の範囲内である。
【0103】
本発明の化合物を、それを必要としている被験者のために使用する場合には、常に、上記のいずれかの組成及び用法・用量又は当技術分野で確立されたそれらの組成及び用法・用量の本発明の化合物が投与され得る。
【0104】
本発明はまた、本発明の製薬学的若しくは獣医学的組成物の1つ以上の成分を充填された1つ以上の容器を含む製薬学的若しくは獣医学的パック又はキットを提供する。所望により、注意書きが、薬剤若しくは生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指定された形式でこのような容器に随伴することができ、この注意書きは、ヒトへの投与に対しての製造、使用又は販売についての機関による認可を反映する。
【0105】
生物学的実験の実施例
以下で説明される生物学的試験により示されるように、並びに表I及び表IIに表されるように、本発明の化合物−バソプレッシン拮抗薬及びACE阻害剤−は、内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、発作、血栓症、水鬱滞、攻撃性、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群及び中枢神経系損傷を処置するのに有用であり得る。
【0106】
本発明のより具体的な化合物−バソプレッシン拮抗薬及びACE阻害剤−は、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病を処置するのに有用であり得る。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
腎症のラット残存腎臓モデルにおける有効性
ラット残存腎臓モデルは、重篤な進行性腎不全の動物モデルである。このモデルでは、重篤な進行性腎不全の状態が、1つの腎臓の除去及び腎動脈のいくつかの分枝の結紮を介しての腎臓質量減少(RMR)により生じ、残っている腎臓の3分の2の梗塞形成及び機能喪失がもたらされる。この手順は、重篤な高血圧、タンパク尿、進行性腎機能低下、尿細管間質性障害及び糸球体硬化の状態を作り出す(オルソン(Olson)JL、ホステッター(Hostetter)TH、レンケ(Rennke)HG、ブレナー(Brenner)BM、ヴェンカタカラム(Venkatachalam)MA:極端な腎臓腫瘤切除後の変化した糸球体選択的透過性と進行性硬化(Altered glomerular permselectivity and progressive sclerosis following extreme ablation of renal mass)。Kidney Int 22:112−126,1982)。
【0108】
腎症は、尿中のタンパク質の量の漸進的増加、血清クレアチニンの増加及び動脈圧の増加として明白である。加えて、糸球体の重篤な硬化、炎症細胞の浸潤及び尿細管障害は、腎臓質量減少(RMR)の3ヶ月以内の組織学的分析を介して測定可能である。これらの測定値は、モデルにおける有効性を判定するための基礎を形成する。尿タンパク、血清クレアチニン及び動脈圧は、疾病の進行の処置の影響を判定するために、ヒトにおいて同様に測定される。
【0109】
この試験の狙いは、このモデルにおけるタンパク尿及び腎疾病の進行についての、ACE阻害剤(エナラプリル)と比較した化合物1、並びに化合物1及びエナラプリルの組み合わせ処置の効果を評価することである。これらの作用剤の有効性は、蛋白尿の削減、血清クレアチニンの上昇速度の低下及び糸球体硬化の削減、並びにこれらによる末期腎不全への進行の遅延に関連している。
【0110】
処置はRMRの21日後に開始され、このとき、動物は既に顕性腎症を有していた。処置群(n=8/群、ただしエナラプリルはn=7)は、ビヒクル;10mg/kg/日の化合物1;30mg/kg/日の化合物1;15mg/mL(飲料水中)のエナラプリル;及び15mg/mLのエナラプリル+30mg/kg/日の化合物1を含んだ。全化合物は、飲料水中で投与された。追加的な偽手術非処置群もまた含まれた。測定は、RMRの21日後であるが処置前、並びに処置の1ヶ月目及び2ヶ月目で行われた。顕著な過剰致死が、10及び30mg/kg/日の化合物1処置群で生じた。致死の増加は、投与依存性ではなく、化合物1とエナラプリルとの組み合わせ処置を受けた群では顕著ではなく(表1)、効果は偶然及びこのモデルの腎不全の重篤度における既知の変動性に起因する傾向がある。
【0111】
【表1】

【0112】
図1は、ビヒクル−処置動物におけるRMRの21日後の尿タンパク及び血清クレアチニンの著しい増加、並びに1ヶ月目及び2ヶ月目でのこれらの測定値の漸進的増加を示す。エナラプリルは、処置の1ヶ月目及び2ヶ月目の両方において尿タンパク及び血清クレアチニンを有意に低減させた。化合物1(10及び30mg/kg/日)もまた、単独で投与したときに、尿タンパク及び血清クレアチニンを低減させたが、エナラプリル程ではなかった。しかしながら、エナラプリルと化合物1(30mg/kg/日)との組み合わせ処置は、エナラプリル単独よりも大幅に尿タンパク及び血清クレアチニンを低減させた。この発見は、腎臓保護(nephroprotection)、すなわち、アンギオテンシン変換酵素の阻害及びバソプレッシン受容体の阻害、のための2つの機構が独立しているという点、並びに両方の化合物の使用を組み合わせるとヒト腎症において益々高まる利益を生み出すことができるという点で意義深い。
【0113】
実験の終わりの時点で、腎臓は、組織病理学的損傷について量的に検査された。ビヒクル処置ラットからの60%近くの糸球体が硬化していた(図2)。エナラプリル処置は、ビヒクル処置ラットと比較して、硬化した糸球体の百分率の有意な減少を引き起こしていた。10又は30mg/kg/日の化合物1は、ビヒクルと比較して硬化した糸球体の百分率を減少させる傾向を有したが、これは統計的には有意ではなかった。重要なことに、エナラプリルと化合物1、30mg/kg/日、との組み合わせ処置は、エナラプリル単独と比較して硬化の更なる減少を引き起こした。いずれの処置群においても尿細管障害スコアにおける統計的に有意な効果はなかった。しかしながら、組み合わせ処置群において尿細管障害スコアにおける減少傾向は存在した。組み合わせ処置群における尿細管障害の程度が、他の処置群と対照的に、正常な腎臓における尿細管障害値から有意に異ならなかったことは、注目に値する。腎間質中での単球/マクロファージの蓄積は、視野当たりのED1陽性細胞数として定量化された。陽性細胞数は、対照ラットと比較して、RMR状態のビヒクル処置ラット(63±4)で有意に多かった。化合物1は、10及び30mg/kg/日(各々48±4及び49±10)で腎間質中での単球/マクロファージの蓄積を低減させる傾向を有したが、これは統計的に有意ではなかった。しかしながら、エナラプリル(38±6)及びエナラプリルと化合物130mg/kg/日との組み合わせ(29±5)は、ビヒクルと比較して細胞数の統計的に有意な減少を生じた。細胞の減少は、組み合わせ処置群においてより大きくなる傾向を有した。
【0114】
組織学的データは、尿タンパク及び血清クレアチニンの減少の程度が糸球体内の構造的損傷からの保護の程度と相関することを示し、組み合わせ処置が、ヒト腎症のこの疾病モデルにおいて、腎臓に対する恒久的損傷からの有意に大きな保護を生じることを示唆する。それゆえに、この結果は、組み合わせ処置が、複数の病因に起因する糸球体の機能の喪失を伴うヒト腎症の疾病(例えば、糖尿病性腎症、微量アルブミン尿症を有する慢性高血圧症、膜性腎症及び巣状分節状糸球体硬化症などの糸球体腎炎の形態)に有意な効果を有することを示唆する。
【0115】
(実施例2)
ラット残存腎臓モデルにおける血圧
血圧の減少は、この動物モデル及びヒトにおける腎疾病の進行を遅らせることに貢献することができる。10及び30mg/kg/日の両方で、エナラプリルと、より少ない程度で化合物1とは、ビヒクルと比較して動脈圧の有意な減少を生じた(図3)。しかしながら、エナラプリルと化合物1、30mg/kg/日、との組み合わせは、エナラプリル単独と同程度の血圧の減少を有し、それゆえにエナラプリルと共に与えられるとき、化合物1による動脈圧の更なる減少は示さなかった。これは、化合物1をエナラプリルに加える追加的な利益は、全身性高血圧の減少の結果ではなく、むしろ直接の腎臓保護効果であるという傾向を有したことを示す。
【0116】
(実施例3)
残存腎臓モデルにおける水摂取及び利尿への効果
水摂取及び利尿は、RMR後、全ての処置群で増加した(表2)。実験のコースを通して、いずれの処置群においても有意な差はなかった(表2)。実験の終わりの時点で、いずれの処置群においても血清電解質に差はなかった(表2)。尿電解質は、正常対照ラットと比較して、全ての処置群において有意に少なかった。しかしながら、エナラプリル単独群及び化合物1+エナラプリル群における尿塩化物イオン(Cl-)、並びに化合物1+エナラプリル群における尿カリウムイオン(K+)は、ビヒクル群のものよりも有意に多かった(表2)。処置群の間で食物消費又は体重に有意な差はなかった(データは示されていない)。
【0117】
【表2】

【0118】
(実施例4)
残存腎臓モデルにおける血清及び尿電解質への効果
試験の終わりの時点において、対照群と比較して、RMR状態のいずれの処置群においても血清電解質に有意な差はなかった。尿Na排出は、ビヒクル処置RMRラットで減少した。化合物1及びエナラプリルの単独投与の両方、並びに組み合わせ処置は、尿Na排出を同程度に正常化する傾向を有した。この結果は、化合物1がRMRにより生じた尿細管Na再吸収を阻害している可能性があることを示唆する。尿K及びCl排出は、対照ラットと比較して、RMR状態のラットにおいて減少した。化合物1及びエナラプリルの単独投与の両方、並びに組み合わせ処置は、尿K及びCl排出を正常化する傾向を有した。
【0119】
(実施例5)
腎症のストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットモデルにおける有効性
ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラットは、尿アルブミン排出の増加として顕在化する初期腎機能低下を発症するI型糖尿病のモデルである。ストレプトゾトシン、65mg/kg、の腹腔内投与の1週間後、ラットは、以下の処置群に割り当てられた:非処置;30mg/kg/日の化合物1;又は30mg/kg/日のエナラプリル。どちらの化合物も、12週間にわたって飲料水中で投与された。12週目での処置群の間の致死率は、非処置及び化合物1処置群において1/10であり、エナラプリル処置群では3/10であった。糖尿病状態の結果として、尿量は、非糖尿病のラットの尿量の10倍近くであった。12週間の試験のコースを通して、効果に関して有意な処置は、体重及び脾臓重量及びヘマトクリット値を含む多数の指標において観察されなかった。1日当たりの排出量及び浸透圧モル濃度並びに塩素、クレアチニン、ナトリウム又はカリウム濃度、クリアランス、排出値を含む尿指標は、化合物1又はエナラプリル処置のいずれにも有意に変動しなかった。尿アルブミン排出における有意な減少は、ビヒクル処置対照と比較して、化合物1処置で観察された(図4)。排出されたナトリウム及びカリウムの濾過分留は、化合物1及びエナラプリルのいずれにも影響されなかった。
【0120】
非糖尿病対象に対する、腎臓重量並びに糸球体及び糸球体間質の面積の増加にもかかわらず、腎臓重量又は腎糸球体若しくは糸球体間質の形態における有意な効果は、ビヒクル処置糖尿病ラットと比較するとき、化合物1又はエナラプリルのいずれについても観察されなかった。
【0121】
統計的に有意ではなかったものの、血清アルブミン濃度は、ビヒクル処置対象と比較して、化合物1又はエナラプリル処置後に増加したが、この発見は尿アルブミン排出の減少と一致する。血清及び尿の、ナトリウム及び塩素は、処置により変動しなかったが、尿の自由水クリアランス増加傾向は、化合物1処置で観察された。血清浸透圧モル濃度は、化合物1処置で有意に減少した(ビヒクル処置対象と比較して)。この減少は、糖尿病ラットにおいて典型的な高浸透圧の血清の正常化傾向を有した(歴史的対照に基づく)。
【0122】
糖尿病ラットにおける7日間にわたっての化合物1の経口投与は、糖尿病ラットにおける48時間にわたっての平均動脈圧又は心拍数に影響を有さなかった。全てのケースにおいて、化合物1は、経時的に、ビヒクル処置動物と同様の、血圧及び心拍数の値を示した。7日間にわたってのエナラプリルの経口投与は、糖尿病ラットにおける48時間にわたっての動脈圧に影響を有さなかった。
【0123】
(実施例6)
糖尿病性腎症のdb/dbマウスモデルにおける有効性
オスのdb/dbマウス、2型糖尿病の遺伝子モデル、は、尿アルブミン排出の増加として顕在化する初期腎機能低下を発症する。9週齢において、糖尿病が、血糖(>300mg/dL)の測定により確認され、動物を1〜3つの処置群(n=12/群)に割り当てた:非処置、化合物1、30mg/kg/日及びエナラプリル、30mg/kg/日。化合物は、16週間にわたって飲料水中で投与された。いずれの処置群においても致死はなかった。動物についての体重は、試験の開始時において同様であった。しかしながら、化合物1で処置されたマウスは、6〜16週で他の2つの処置群と比較して体重を増加した。エナラプリル処置群についての体重は、試験のコースを通して、ビヒクル処置された対照から区別できなかった。
【0124】
試験の主要な指標である尿アルブミン濃度は、試験の最初の12週を通してビヒクル処置対照動物で増加したが、ピークは12週の時点で観察された(図5)。しかしながら、ビヒクル投与の第16週までに、ビヒクル処理動物は、投与前アルブミン排出レベルを示した(およそ250μg/24h)。尿アルブミン排出は、化合物1により影響されなかった。しかしながら、エナラプリルは、尿アルブミン排出を低減させる傾向を有し、有意な差が2週目及び16週目においてビヒクル対照と比較して観察された。エナラプリルは、尿中のアルブミン排出を500μg/24h以下に維持する傾向を有した。1日当たりの尿量は、全ての処置群について、試験の16週間のコースを通して、増加する傾向を有し、処置群の間に差は観察されなかった。尿浸透圧モル濃度は、ビヒクル、化合物1又はエナラプリルのいずれかの投与について16週間にわたって測定されたが、処置により影響されなかった。
【0125】
顕微鏡的には、糸球体表面積は、処置群の間で有意に異ならなかった。更に、齢適合対照マウス(dm)の別個の群は、他の全ての処置群のものの糸球体表面積と同程度の糸球体表面積を有した。糸球体間質表面積及び糸球体間質により占有された糸球体面積の百分率は、非糖尿病対照と比較して、ビヒクル処置動物において有意に上昇した。糸球体間質表面積又は糸球体間質により占有された糸球体面積の百分率における有意な差は、ビヒクル処置動物と比較して、化合物1又はエナラプリルでは観察されなかった。
【0126】
上述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤と、少なくとも1つのバソプレッシンV1a/V2受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体と、を含む医薬組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択され、少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、式(I)
【化1】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択され、製薬上許容できる担体を含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、リシノプリルである、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、式(I)
【化2】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択され、製薬上許容できる担体を含む、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、
【化3】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、であり、製薬上許容できる担体を含む、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症を処置するための方法であって、前記方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて前記被験者に投与することを含み、前記組み合わせられた投与が所望の治療効果を提供する方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択され、式(I)
【化4】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬、並びに製薬上許容できる担体と組み合わされ、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、リシノプリルである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、エナラプリルである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記バソプレッシン拮抗薬が、式(I)
【化5】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択され、製薬上許容できる担体を含み、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、
【化6】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩であり、製薬上許容できる担体を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症を改善するための方法であって、前記方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて前記被験者に投与することを含み、前記組み合わせられた投与が、所望の治療効果を提供する、方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択され、式(I)
【化7】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬、並びに製薬上許容できる担体と組み合わされ、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、リシノプリルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記バソプレッシン拮抗薬が、式(I)
【化8】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択され、製薬上許容できる担体を含み、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、
【化9】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、であり、製薬上許容できる担体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
バソプレッシン及び/若しくはACE媒介疾患、又は被験者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症の進行を予防するための方法であって、前記方法は、治療的に有効な量の少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤を、少なくとも1つのバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて前記被験者に投与することを含み、前記組み合わせられた投与が、所望の治療効果を提供する、方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、カプトプリル、エナラプリル、エナラプリラット、リシノプリル、ラミプリル、ゾフェノプリル、セロアナプリル(ceroanapril)、アラセプリル、ベナゼプリル、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、キナプリラット、モエキシプリル、レンチアプリル、キナプリル、スピラプリル、シラザプリル、ペリンドプリル及びフォシノプリルからなる群から選択され、式(I)
【化10】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方は、H、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、式中、R5及びR6の各々は独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択される少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬、並びに製薬上許容できる担体と組み合わされ、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、エナラプリル及びリシノプリルからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つのアンギオテンシン変換酵素阻害剤が、リシノプリルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記バソプレッシン拮抗薬が、式(I)
【化11】

(式中、
1及びR2のうちの一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである)、
あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、から選択され、製薬上許容できる担体を含み、前記組み合わせられた投与が、前記所望の治療効果を提供する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1つのバソプレッシン拮抗薬が、
【化12】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、又はジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩、であり、製薬上許容できる担体を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患が、内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、発作、血栓症、水鬱滞、攻撃性、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群及び中枢神経系損傷の疾病状態から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記疾患が、腎症、及び進行性腎不全(糖尿病性腎症を含む)、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病の病態から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患が、腎症である、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患が、腎不全である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患が、低ナトリウム血症である、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患が、多発性嚢胞腎である、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記治療的に有効な量が、約0.1mg〜約1,000mgの薬量範囲を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記治療的に有効な量が、約50mg〜約1000mgの薬量範囲を含む、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−503085(P2011−503085A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533199(P2010−533199)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/082438
【国際公開番号】WO2009/061786
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】