説明

アンサマイシンヒドロキノン組成物

本発明の態様は、硫黄含有化合物および式(I)の化合物を含む組成物を提供し、またその調製方法と使用方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2008年10月15日に出願された米国仮特許出願第61/105648号への優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アンサマイシンヒドロキノン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
熱ショックタンパク質90(Hsp90)は非常に豊富な哺乳類タンパク質であり、細胞の生存に必須であり、二重シャペロン機能を示す。このタンパク質は、その未変性立体配座が熱ショックなどの様々な環境ストレスにより変えられた後にタンパク質と相互作用することによって、細胞のストレス応答に重要な役割を果たし、それにより、適切なタンパク質のフォールディングを保証し、非特異的凝集を防ぐ。Hsp90は、おそらく変異タンパク質の不適切なフォールディングを修正することによって、突然変異の影響に対してタンパク質を保護する役割を果たすこともある。Hsp90は、正常な生理的条件下でも重要な調節的な役割も果たし、数多くの特定のクライアントタンパク質の立体配座の安定性および熟成を担う。
【0004】
Hsp90活性の1つ以上の態様を阻害することによって、ある健康状態または疾患の治療効果が得られるかもしれない多数の生物学的状況において、現在、Hsp90アンタゴニストが探求されている。その研究では主に、癌などの増殖性疾患に焦点が当てられているが、他の健康状態も、Hsp90アンタゴニストを使用して治療され得ることも示されてきた。
【0005】
ゲルダナマイシンは、天然の生成物のベンゾキノン含有アンサマイシン群の一員である大環状ラクタムである。ゲルダナマイシンのナノモル作用強度および腫瘍細胞を殺すための見掛けの選択性、並びに哺乳類細胞における主要標的がHsp90であるという発見により、抗ガン剤としての開発への関心が刺激された。しかしながら、ゲルダナマイシンの投与に関する低溶解度と肝毒性のために、治療用途のための適切な組成物を開発することが困難になってきた。特に、ゲルダナマイシンは水溶性が乏しく、治療に効果的な用量で送達するのが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4261989号明細書
【特許文献2】米国特許第5387584号明細書
【特許文献3】米国特許第5932566号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Schnur et al., J. Med. Chem. (1995) 38:3813-3820
【非特許文献2】Schnur et al., J. Med. Chem. (1995) 38:3806-3812
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
肝毒性が減少し、水溶性が増加し、生物活性が匹敵するゲルダナマイシンの類似体を開発するために多大な労力が払われてきた。例えば、17−AAGなどの様々なアミノ酸基により17位で置換されたゲルダナマイシン類似体(「17−アミノ−置換ゲルダナマイシン類似体」)が、Hsp90結合を維持しながら、減少した肝毒性を示すが、水溶性は低いままである(例えば、特許文献1から3を参照)。対応するヒドロキノンの調査は、これらの化合物は一般に容易な空気酸化のために不安定であることが分かっているので、限られていた(非特許文献1および2参照)。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、17−アミノ置換ゲルダナマイシン類似体のヒドロキノンの組成物を提供し、またその調製方法と使用方法も提供する。
【0010】
例えば、ある態様において、本発明は、硫黄含有化合物および式(I):
【化1】

【0011】
ここで、R1, R2, R3, R4, R5, R6およびR7がここに定義されたものである;
のヒドロキノン化合物を含む組成物を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、ここに記載された組成物、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬配合物を提供する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、ヒドロキノン組成物を製造する方法であって、
(i) 式(II):
【化2】

【0014】
または薬学的に許容されるその塩を、硫黄含有化合物の存在下で、
式(I):
【化3】

【0015】
の化合物に還元する工程であって、
ここで、R1, R2, R3, R4, R5, R6およびR7がここに定義されたものである工程、および
(ii) 式(I)の化合物および硫黄含有化合物を含む組成物である沈殿物を単離する工程、
を有してなる方法を提供する。
【0016】
さらにまた別の態様において、本発明は、癌などの過剰増殖性疾患を治療する方法であって、治療を必要としている被験者に、薬剤的に効果的な量の本発明の組成物または配合物を投与する工程を有してなる方法を提供する。
【0017】
本発明の詳細は、ここに記載される説明および実施例に述べられている。本発明の他の特徴、目的、および利点は、その説明および特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】それぞれ、3.8および7.9の保持時間を有する実施例2の、17−アミノゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AG−HQ)およびその酸化分解生成物である17−アミノ−ゲルダナマイシン(17−AG)のHPLCクロマトグラムを示す
【図2】実施例2の17−AG−HQの粉末X線回折(XRPD)パターンを示す
【図3】259.55℃での吸熱を示す、実施例2の17−AG−HQの示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を示す
【図4】実施例3の17−AG−HQの粉末X線回折(XRPD)パターンを示す
【図5】259.47℃での吸熱を示す、実施例3の17−AG−HQの示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を示す
【図6】246.71℃での吸熱を示す、実施例4の17−AG−HQの示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を示す
【図7】242.15℃での吸熱を示す、実施例5の17−AG−HQの示差走査熱量測定(DSC)温度記録図を示す
【図8】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例1から5の17−AG−HQの安定性を示すグラフ
【図9】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例6Aおよび6Bの17−AG−HQの安定性を示すグラフ
【図10】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例8Aおよび8Bの17−BAG−HQの安定性を示すグラフ
【図11】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例10Aおよび10Bの17−FEAG−HQの安定性を示すグラフ
【図12】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例11Aおよび11Bの17−AAG−HQの安定性を示すグラフ
【図13】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例2の17−AG−HQの様々な配合物の安定性を示すグラフ
【図14】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例3の17−AG−HQの様々な配合物の安定性を示すグラフ
【図15】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例3の17−AG−HQのNaHSO3/鉱油配合物の安定性を示すグラフ
【図16】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例3の17−AG−HQのマイクロカプセル封入配合物の安定性を示すグラフ
【図17】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例6Bの17−AG−HQのNaHSO3配合物の安定性を示すグラフ
【図18】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例6Bの17−AG−HQの亜リン酸ジブチル配合物の安定性を示すグラフ
【図19】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例8Bの17−BAG−HQのNaHSO3配合物の安定性を示すグラフ
【図20】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例8Bの17−BAG−HQの亜リン酸ジブチル配合物の安定性を示すグラフ
【図21】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例10Bの17−FEAG−HQのNaHSO3配合物の安定性を示すグラフ
【図22】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例10Bの17−FEAG−HQの亜リン酸ジブチル配合物の安定性を示すグラフ
【図23】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例11Bの17−AAG−HQのNaHSO3配合物の安定性を示すグラフ
【図24】40℃および75%の相対湿度(RH)での実施例11Bの17−AAG−HQの亜リン酸ジブチル配合物の安定性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
特定の官能基および化学用語の定義が以下により詳しく記載されている。化学元素は、CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.の内表紙の元素の周期表により特定され、特定の官能基は一般にここに記載されたように定義される。さらに、有機化学の一般原則、並びに特定の官能部分および反応性が、Organic Chemistry, Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989;およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0020】
本発明のある化合物は、1つ以上の不斉中心を含んで差し支えなく、それゆえ、様々な異性体の形態で、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーで存在し得る。ここに提供される化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーまたは幾何異性体の形態にあっても、もしくはラセミ混合物および1種類以上の立体異性体が豊富な混合物を含む、立体異性体の混合物の形態にあってもよい。ある実施の形態において、ここに提供される化合物は、一方のエナンチオマーのみを含む(enantiopure)化合物である。ある他の実施の形態において、立体異性体混合物が提供される。
【0021】
さらに、ここに記載されるある化合物は、別記しない限り、シスまたはトランス、もしくはEまたはZいずれかの異性体として存在し得る二重結合を1つ以上有してよい。本発明はさらに、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体、あるいは、様々な異性体の混合物、例えば、E/Z異性体のラセミ混合物または一方のE/Z異性体が豊富な混合物としての化合物を包含する。
【0022】
特定のエナンチオマーが好ましい場合、対応するエナンチオマーを実質的に含まない、すなわち、光学的に濃縮された(optically-enriched)ものとして提供してもよい。「光学的に濃縮された」とは、ここに用いたように、その化合物が、一方のエナンチオマーの比率が他方と比べて大きいものから構成されていることを意味する。ある実施の形態において、その化合物は少なくとも約90質量%の好ましいエナンチオマーから構成される。他の実施の形態において、その化合物は少なくとも約95質量%、98質量%、または99質量%の好ましいエナンチオマーから構成される。好ましいエナンチオマーは、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の形成と結晶化を含む当業者に公知の方法により混合物から単離してもよく;もしくは好ましいエナンチオマーは不斉合成により調製してもよい。例えば、Jacques, et al., Enantiomers, Racemates and Resolutions, Wiley Interscience, New York, 1981; Wilen, S.H., et al., Tetrahedron 33:2725 (1977); Eliel, E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds, McGraw-Hill, NY, 1962;およびWilen, S.H. Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p. 268, E.L. Eliel, Ed., Univ. of Notre Dame Press, Notre Dame, IN 1972を参照のこと。
【0023】
値の範囲が列記されている場合、その範囲内の各値と部分的範囲を包含することが意図されている。例えば、「C1-6アルキル」は、C1, C2, C3, C4, C5, C6, C1-6, C1-5, C1-4, C1-3, C1-2, C2-6, C2-5, C2-4, C2-3, C3-6, C3-5, C3-4, C4-6, C4-5, およびC5-6アルキルを包含することが意図されている。
【0024】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「アルキル」は、1から8の炭素原子を有する(「C1-8アルキル」)直鎖または分岐鎖飽和炭化水素基のモノラジカルを称する。ある実施の形態において、アルキル基は1から6の炭素原子を有し得る(「C1-6アルキル」)。ある実施の形態において、アルキル基は1から4の炭素原子を有し得る(「C1-4アルキル」)。C1-4アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルが挙げられる。C1-6アルキル基の例としては、上述したC1-4アルキル基、並びにペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。アルキル基の追加の例としては、ヘプチル、オクチルなどが挙げられる。別記しない限り、アルキル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0025】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「アルケニル」は、2から8の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する(「C2-8アルケニル」)直鎖または分岐鎖炭化水素基のモノラジカルを称する。ある実施の形態において、アルケニル基は2から6の炭素原子を有し得る(「C2-6アルケニル」)。ある実施の形態において、アルケニル基は2から4の炭素原子を有し得る(「C2-4アルケニル」)。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内部であっても(2−ブテニルにおけるような)または末端であっても(1−ブテニルにおけるような)差し支えない。C2-4アルケニル基の例としては、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、ブタジエニルなどが挙げられる。C2-6アルケニル基の例としては、上述したC2-4アルケニル基、並びにペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニルなどが挙げられる。アルケニルの追加の例としては、ヘプテニル、オクテニル、オクタトリエニルなどが挙げられる。別記しない限り、アルケニル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0026】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「アルキニル」は、2から8の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する(「C2-8アルキニル」)直鎖または分岐鎖炭化水素基のモノラジカルを称する。ある実施の形態において、アルキニル基は2から6の炭素原子を有し得る(「C2-6アルキニル」)。ある実施の形態において、アルキニル基は2から4の炭素原子を有し得る(「C2-4アルキニル」)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内部であっても(2−ブチニルにおけるような)または末端であっても(1−ブチニルにおけるような)差し支えない。C2-4アルキニル基の例としては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニルなどが挙げられる。C2-6アルキニル基の例としては、上述したC2-4アルキニル基、並びにペンチニル、ヘキシニルなどが挙げられる。アルキニルの追加の例としては、ヘプチニル、オクチニルなどが挙げられる。別記しない限り、アルキニル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0027】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「シクロアルキル」は、3から10の環炭素原子を有する(「C3-10シクロアルキル」)単環式の飽和カルボシクリル基を称する。ある実施の形態において、シクロアルキル基は3から6の環炭素原子を有し得る(「C3-6シクロアルキル」)。ある実施の形態において、シクロアルキル基は5から6の環炭素原子を有し得る(「C5-6シクロアルキル」)。C5-6シクロアルキル基の例としては、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。C3-6シクロアルキル基の例としては、上述したC5-6シクロアルキル基、並びにシクロプロピルおよびシクロブチルが挙げられる。C3-8シクロアルキル基の例としては、上述したC3-6シクロアルキル基、並びにシクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。別記しない限り、シクロアルキル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0028】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「シクロアルケニル」は、3から10の環炭素原子を有する(「C3-10シクロアルキル」)不飽和非芳香族カルボシクリル基(すなわち、1つ以上の二重結合を有するカルボシクリル基)を称する。「シクロアルケニル」は、不飽和の部位を多数有する環を包含することが意図されているが、ここに定義したように、アリール部分を含むことは意図されていない。ある実施の形態において、シクロアルケニル基は3から6の環炭素原子を有し得る(「C3-6シクロアルケニル」)。ある実施の形態において、シクロアルケニル基は5から6の環炭素原子を有し得る(「C5-6シクロアルケニル」)。C5-6シクロアルケニル基の例としては、シクロペンテニルおよびシクロヘキセニルが挙げられる。C3-6シクロアルケニル基の例としては、上述したC5-6シクロアルケニル基、並びにシクロプロペニルおよびシクロブテニルが挙げられる。C3-8シクロアルケニル基の例としては、上述したC3-6シクロアルケニル基、並びにシクロヘプテニルおよびシクロオクテニルが挙げられる。別記しない限り、シクロアルケニル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0029】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「ヘテロシクリル」は、3から10の環炭素原子および1から4の環ヘテロ原子を有する非芳香族環系を称し、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。「ヘテロシクリル」は、(i)不飽和の部位を多数有する環(ここに定義されるようなヘテロアリール部位を含むことは意図されていない);および(ii)一方の環が芳香族であり、他方の環が非芳香族である、縮合環系;を包含することが意図されている。ある実施の形態において、ヘテロシクリル基は、炭素原子および1から3のヘテロ原子から選択される3から7の環原子を有し得、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。ある実施の形態において、ヘテロシクリル基は、炭素原子および1または2のヘテロ原子から選択される5から7の環原子を有し得、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。ある実施の形態において、ヘテロシクリル基は、炭素原子および1から3のヘテロ原子から選択される5から6の環原子を有し得、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。ヘテロシクリル基は、飽和していても、もしくは1つ以上の炭素−炭素二重結合、炭素−窒素二重結合、または炭素−炭素三重結合を含有しても差し支えない。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基において、結合地点は、価数が許すように、炭素または窒素原子であってよい。1〜2個の環ヘテロ原子を有する例示のヘテロシクリル基としては、オキシラニル、アジリジニル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、モルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジアゼピニル、オキセパニル、ジオキセパニル、オキサゼパニル、オキサゼピニル、ピロリジン−2,5−ジオン、ピロール−2,5−ジオンなどが挙げられる。1〜3個のヘテロ原子を有する例示のヘテロシクリル基としては、上述したヘテロシクリル基、並びにトリアゾリジニル、オキサジアゾリジニル、トリアジナニルなどが挙げられる。ヘテロシクリル基は、上述した例におけるような単環式(「単環式ヘテロシクリル」)、二環式(「二環式ヘテロシクリル」)、または三環式(「三環式ヘテロシクリル」)であっても差し支えない。二環式ヘテロシクリル基は、1つまたは両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含んで差し支えない。そのような二環式ヘテロシクリル基の例としては、テトラヒドロインドリル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル、オクタヒドロイソクロメニル、デカヒドロナフチリジニル、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロールなどが挙げられる。別記しない限り、ヘテロシクリル基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0030】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「アリール」は、6または10の環炭素原子を有する芳香族単環式または二環式環系のラジカルを称する。そのようなアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチルが挙げられる。別記しない限り、アリール基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0031】
「アラルキル」という用語は、アリール基により置換されたアルキル基を称し、ここで、アルキル部分およびアリール部分は、独立して、ここに記載するように、置換されているか、または未置換である。
【0032】
ここに用いたように、単独でまたは別の基の一部として、「ヘテロアリール」は、環炭素原子および1から4の環ヘテロ原子を有する5員から10員の芳香族環系のラジカルを称し、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。そのようなヘテロアリール基の例としては、ピロリル、フラニル(フリル)、チオフェニル(チエニル)、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル(ピリジル)、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(ベンゾチエニル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニルなどが挙げられる。ある実施の形態において、ヘテロアリール基は単環式(「単環式ヘテロアリール」)であって差し支えなく、ある実施の形態において、ヘテロアリール基は二環式(「二環式ヘテロアリール」)であって差し支えない。別記しない限り、ヘテロアリール基の各例は、独立して、ここに記載するような1〜5個の基により置換されているか、または未置換である。
【0033】
「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリール基により置換されたアルキル基を称し、ここで、アルキル部分およびヘテロアリール部分は、独立して、ここに記載するように、置換されているか、または未置換である。
【0034】
ここに記載されるように、化合物は、置換されたまたは未置換の炭素原子を含有してもよい。一般に、「置換された」という用語は、炭素原子の1つ以上の水素原子が置換基により置き換えられていることを意味する。別記しない限り、置換された基は、その基の各置換可能な位置で置換基を有してよく、任意の所定の構造における複数の位置で、特定の群から選択された複数の置換基により置換されている場合、その置換基は、全ての位置で同じであっても異なっていてもよい。本発明に想定される置換基の組合せは、安定な化合物、すなわち、その製造、検出、およびある実施の形態においては、回収、精製、および/またはここに開示された目的の1つ以上のための使用を可能にする条件に曝されたときに実質的に変えられない化合物を形成するものであることが好ましい。
【0035】
例示の置換基としては、以下に限られないが、ハロ、 -CN, -NO2, -N3, -SO2H, -SO3H, -OH, -ORaa, -ON(Rbb)2, -N(Rbb)2, -N(Rbb)3+X-, -N(ORcc)Rbb, -SH, -SRaa, -SSRcc, -C(O)Raa, -CO2H, -CO2Raa, -OC(O)Raa, -OCO2Raa, -C(O)N(Rbb)2, -OC(O)N(Rbb)2, -NRbbC(O)Raa, -NRbbCO2Raa, -NRbbC(O)N(Rbb)2, -C(NRbb)ORaa, -OC(NRbb)Raa, -OC(NRbb)ORaa, -C(NRbb)N(Rbb)2, -OC(NRbb)N(Rbb)2, -NRbbC(NRbb)N(Rbb)2,-NRbbSO2Raa, -SO2N(Rbb)2, -SO2Rcc, -SO2ORcc, -OSO2Raa, -SORaa, -Si(Rcc)3, -OSi(Raa)3 -C(S)N(Rbb)2, -C(O)SRcc, -C(S)SRcc, -SC(S)SRcc, -P(O)2Raa, -P(O)(Raa)2, -OP(O)(Raa)2, -OP(O)(ORcc)2, C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, 3-10員ヘテロアリールが挙げられ、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRdd基により必要に応じて置換されていてもよく;
または2つのジェミナル置換基が結合して、=O, =S, =NN(Rbb)2, =NNRbbC(O)Raa, =NNRbbCO2Raa, =NNRbbS(O)2Raa, =NRbb, =NOR’, -O(C(Rcc)2)2-3O-,または-S(C(Rcc)2)2-3S-を形成してもよく;
または2つの近接(vicinal)置換基が結合して、-O(C(Rcc)2)1-2O- or -S(C(Rcc)2)1-2S-を形成してもよく;
Raaの各例は、独立して、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, および3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRdd基により必要に応じて置換されていてもよく;
Rbbの各例は、独立して、 -H, -OH, -ORaa, アミノ保護基(例えば、-C(O)Raa, -C(O)ORaa, -SO2Raa), C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, および3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRdd基により必要に応じて置換されていてもよく;
Rccの各例は、独立して、 -H, C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, および3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRdd基により必要に応じて置換されていてもよく;
Rddの各例は、独立して、 ハロ、-CN, -NO2, -N3, -SO2H, -SO3H, -OH, -ORee, -ON(Rff)2, -N(Rff)2, -N(Rff)3+X-, -N(ORee)Rff, -SH, -SRee, -SSRee, -C(O)Ree, -CO2H, -CO2Ree, -OC(O)Ree, -OCO2Ree, -C(O)N(Rff)2, -OC(O)N(Rff)2, -NRffC(O)Ree, -NRffCO2Ree, -NRffC(O)N(Rff)2, -C(NRff)ORee, -OC(NRff)Ree, -OC(NRff)ORee, -C(NRff)N(Rff)2, -OC(NRff)N(Rff)2, -NRffC(NRff)N(Rff)2,-NRffSO2Ree, -SO2N(Rff)2, -SO2Ree, -SO2ORee, -OSO2Ree, -SORee, -Si(Ree)3, -OSi(Ree)3, -C(S)N(Rff)2, -C(O)SRee, -C(S)SRee, -SC(S)SRee, -P(O)2Ree, -P(O)(Ree)2, -OP(O)(Ree)2, -OP(O)(ORee)2, C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, 3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRgg基により必要に応じて置換されていてもよく;
または2つのジェミナルRdd置換基が結合して、=Oまたは=Sを形成してもよく;
Reeの各例は、独立して、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, および3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRgg基により必要に応じて置換されていてもよく;
Rffの各例は、独立して、H, C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, および3-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、C1-6アルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル、および3-10員ヘテロアリールの各々は、1−5個のRgg基により必要に応じて置換されていてもよく;
Rggの各例は、独立して、ハロ、-CN, -NO2, -N3, -SO2H, -SO3H, -OH, -OC1-6アルキル, -ON(C1-6アルキル)2, -N(C1-6アルキル)2, -N(C1-6アルキル)3X, -NH(C1-6アルキル)2X, -NH2(C1-6アルキル)X, -NH3X, -N(OC1-6アルキル)(C1-6アルキル), -N(OH)(C1-6アルキル), -NH(OH), -SH, -SC1-6アルキル, -SS(C1-6アルキル), -C(O)(C1-6アルキル), -CO2H, -CO2(C1-6アルキル), -OC(O)(C1-6アルキル), -OCO2(C1-6アルキル), -C(O)NH2, -C(O)N(C1-6アルキル)2, -OC(O)NH(C1-6アルキル), -NHC(O)(C1-6アルキル), -N(C1-6アルキル)C(O)(C1-6アルキル), -NHCO2(C1-6アルキル), -NHC(O)N(C1-6アルキル)2, -NHC(O)NH(C1-6アルキル), -NHC(O)NH2, -C(NH)O(C1-6アルキル),-OC(NH)(C1-6アルキル), -OC(NH)OC1-6アルキル, -C(NH)N(C1-6アルキル)2, -C(NH)NH(C1-6アルキル), -C(NH)NH2, -OC(NH)N(C1-6アルキル)2, -OC(NH)NH(C1-6アルキル), -OC(NH)NH2, -NHC(NH)N(C1-6アルキル)2, -NHC(NH)NH2, -NHSO2(C1-6アルキル), -SO2N(C1-6アルキル)2, -SO2NH(C1-6アルキル), -SO2NH2,-SO2C1-6アルキル, -SO2OC1-6アルキル, -OSO2C1-6アルキル, -SOC1-6アルキル, -Si(C1-6アルキル)3, -OSi(C1-6アルキル)3 -C(S)N(C1-6アルキル)2, C(S)NH(C1-6アルキル), C(S)NH2, -C(O)S(C1-6アルキル), -C(S)SC1-6アルキル, -SC(S)SC1-6アルキル, -P(O)2(C1-6アルキル), -P(O)(C1-6アルキル)2, -OP(O)(C1-6アルキル)2, -OP(O)(OC1-6アルキル)2, C1-
6アルキル, C1-6ペルハロアルキル, C2-6アルケニル, C2-6アルキニル, C3-10シクロアルキル, C3-10シクロアルケニル, C6-10アリール, 3-10員ヘテロシクリル, 3-10員ヘテロアリールから選択され;または2つのジェミナルRgg置換基が結合して、=Oまたは=Sを形成してもよく;および
X-は対イオンである。
【0036】
ここに用いたように、「近接」は、2つの隣接する炭素原子に結合した2つの置換基を称する。
【0037】
ここに用いたように、「ジェミナル」は、1つの炭素原子に結合した2つの置換基を称する。
【0038】
ここに用いたように、「ハロ」および「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、-F)、塩素(クロロ、-Cl)、臭素(ブロモ、-Br)、またはヨウ素(ヨード、-I)を称する。
【0039】
ここに用いたように、「対イオン」は、電子的中性を維持するために、正の帯電した第四級アミンに関連する負に帯電した基である。例示の対イオンとしては、ハロゲンイオン(例えば、F-,Cl-,Br-,I-), NO3-, ClO4-, OH-, H2PO4-, HSO4-, スルホネートイオン(例えば、メタンスルホネート、トリフルオロメタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、10−カンファースルホネート、ナフタレン−2−スルホネート、ナフタレン−1−スルホン酸−5−スルホネート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホネートなど)およびカルボキシレートイオン(例えば、アセテート、エタノエート、プロパノエート、ベンゾエート、グリセレート、ラクテート、タータレート、グリコレートなど)が挙げられる。
【0040】
適切なアミノ保護基としては、以下に限られないが、アミド基(例えば、-C(O)Raa)、カルバメート基(例えば、-C(O)ORaa)、およびスルホニルアミノ基(例えば、-SO2Raa)が挙げられる。そのようなアミノ保護基は、当該技術分野においてよく知られており、その例としては、Protecting Groups in Organic Synthesis, T. W. Greene and P. G. M. Wuts, 3rd edition, John Wiley & Sons, 1999に詳しく記載されているものが挙げられる。
【0041】
アミノ保護基として使用するのに適している例示のアミド基としては、以下に限られないが、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキシアミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロフェニルアセトアミド、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシカルボニルアミノ)アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミドおよびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドが挙げられる。
【0042】
アミノ保護基として使用するのに適した例示のカルバメート基としては、以下に限られないが、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2,7−ジブロモ)フルオレニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル)]メチルカルバメート(DBD-Tmoc)、4−メトキシフェンアシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB-t-BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−2−(4−ビフェニリル)エチルカルバメート(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t-Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)エチルカルバメート(Pyoc)、2−(N,N−ジクロロヘキシルカルボキシアミド)エチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、カルバミン酸ビニル(Voc)、カルバミン酸アリル(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、カルバミン酸シンナミル(Coc)、4−ニトロシンナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニルカルバメート、アルキルジチオカルバメート、カルバミン酸ベンジル(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトロベンジルカルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)エチルカルバメート、[2−(1,3−ジチアニル)]メチルカルバメート(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチルカルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピルカルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジルカルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンズイソキサゾリルメチルカルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチルカルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)メチルカルバメート、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシカルボニルビニルカルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキシアミド)ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキシアミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)メチルカルバメート、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニルカルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)エチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、1−メチル−1−(4−ピリジル)エチルカルバメート、カルバミン酸フェニル、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートが挙げられる。
【0043】
アミノ保護基として使用するのに適した例示のスルホニルアミノ基としては、以下に限られないが、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtz)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtz)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル)ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナシルスルホンアミドが挙げられる。
【0044】
他の適切なアミノ保護基としては、以下に限られないが、フェノチアジニル−(10)−カルボニル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノカルボニル誘導体、N’−フェニルアミノチオカルボニル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−ワン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンアミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−ワン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−ワン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エポキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−と利府ニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミン(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロビリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロへキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタカルボニルクロム−またはタングステン)カルボニル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、アミド亜リン酸ジアルキル、アミド亜リン酸ジベンジル、アミド亜リン酸ジフェニル、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミドおよび3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)が挙げられる。
【0045】
ここに用いたように、「薬学的に許容される塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織と接触する使用に適しており、妥当な利益/リスク比に見合う塩を称する。薬学的に許容される塩は当該技術分野において公知である(例えば、S. M. Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19を参照のこと)。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導されたものが挙げられる。薬学的に許容される非毒性酸の付加塩の例には、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸により、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸などの有機酸により、もしくはイオン交換などの当該技術分野に使用される他の方法を使用して、形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨウ化物、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、硫酸ラウリル、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0046】
詳細な説明
本発明は、17−アミノ置換ゲルダナマイシン類似体のヒドロキノンの組成物およびその調製方法および使用方法を提供する。
【0047】
例えば、ある態様において、本発明は、硫黄含有化合物および式(I):
【化4】

【0048】
のヒドロキノン化合物を含む組成物であって、
R1は、-H, -OR8, -SR8, -N(R8)(R9), -N(R8)C(O)R9, -N(R8)C(O)OR9, -N(R8)C(O)N(R8)(R9), -OC(O)R8, -OC(O)OR8, -OS(O)2R8, -OS(O)2OR8, -OP(O)2OR8または-CNであり;
R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,または-C(=O)CH3から選択され;もしくは、R2およびR3が、それらが結合している窒素と一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員のヘテロシクリル環を表し;
R4が-H,アルキル,アルケニルまたはアラルキルであり;
R5およびR6が各々-Hであるか、またはR5およびR6が一緒になって結合を形成し;
R7が、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルであり;
R8およびR9の各例が、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルから選択され;もしくはR8およびR9が一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員の必要に応じて置換されたヘテロシクリル環を表す;
組成物を提供する。
【0049】
ある実施の形態において、R1は、OR8, -OC(O)R8, -OC(O)OR8, -OS(O)2R8, -OS(O)2OR8,または-OP(O)2OR8である。ある実施の形態において、R1は-OR8である。ある実施の形態において、R1は-OHである。ある実施の形態において、R1は-O(C=O)CH3である。
【0050】
ある実施の形態において、R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルから選択される。ある実施の形態において、R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニルまたはアラルキルである。
【0051】
ある実施の形態において、R2は-Hである。ある実施の形態において、R3は-Hである。ある実施の形態において、R2およびR3の両方とも-Hである。
【0052】
ある実施の形態において、R2はアルキル,アルケニルまたはアラルキルであり、R3は-Hである。
【0053】
ある実施の形態において、R2はアルキルであり、R3は-Hである。ある実施の形態において、R2は-CH2CH2Fであり、R3は-Hである。
【0054】
ある実施の形態において、R2はアルケニルであり、R3は-Hである。ある実施の形態において、R2は-CH2CH=CH2であり、R3は-Hである。
【0055】
ある実施の形態において、R2はアラルキルであり、R3は-Hである。ある実施の形態において、R2は-CH2Phであり、R3は-Hである。
【0056】
ある実施の形態において、R4は-Hである。
【0057】
ある実施の形態において、R5およびR6の各々は-Hである。他の実施の形態において、R5およびR6は一緒になって結合を形成する。
【0058】
ある実施の形態において、R7は-Hまたはアルキルである。ある実施の形態において、R7は-Hである。
【0059】
ある実施の形態において、R8は、-H,アルキル,アルケニル,またはアルキニルである。ある実施の形態において、R8は-Hである。
【0060】
ある実施の形態において、R9は、-H,アルキル,アルケニル,またはアルキニルである。ある実施の形態において、R9は-Hである。
【0061】
ある実施の形態において、R8およびR9の両方とも-Hである。
【0062】
他の実施の形態において、R1が-N(R8)(R9)である場合、R8およびR9は一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員のヘテロシクリル環を表す。ある実施の形態において、R1が-N(R8)(R9)である場合、R8およびR9は一緒になって、3員から5員のヘテロシクリル環を表す。ある実施の形態において、R1が-N(R8)(R9)である場合、R8およびR9は一緒になって、3員のヘテロシクリル環(例えば、アジリジニル)を表す。ある実施の形態において、ある実施の形態において、R1が-N(R8)(R9)である場合、R8およびR9は一緒になって、4員のヘテロシクリル環(例えば、アゼチジニル)を表す。ある実施の形態において、ある実施の形態において、R1が-N(R8)(R9)である場合、R8およびR9は一緒になって、5員のヘテロシクリル環(例えば、ピロリジニル)を表す。
【0063】
ある実施の形態において、R5およびR6が一緒になって結合を形成する場合、前記ヒドロキノン化合物は、式(I−a):
【化5】

【0064】
のものである。
【0065】
ある実施の形態において、R1が-OR8であり、R5およびR6が一緒になって結合を形成する場合、前記ヒドロキノン化合物は、式(I−b):
【化6】

【0066】
のものである。
【0067】
ある実施の形態において、R1が-OR8であり、R4が-Hであり、R5およびR6が一緒になって結合を形成する場合、前記ヒドロキノン化合物は、式(I−c):
【化7】

【0068】
のものである。
【0069】
ある実施の形態において、R1が-OR8であり、R4およびR7が-Hであり、R5およびR6が一緒になって結合を形成する場合、前記ヒドロキノン化合物は、式(I−d):
【化8】

【0070】
のものである。
【0071】
ある実施の形態において、R1が-OHであり、R4およびR7が-Hであり、R5およびR6が一緒になって結合を形成する場合、前記ヒドロキノン化合物は、式(I−e):
【化9】

【0072】
のものである。
【0073】
ある実施の形態において、前記ヒドロキノン化合物は、
【化10】

【化11】

【化12】

【0074】
からなる群より選択される。
【0075】
ある実施の形態において、式(I)の化合物は、17−アミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AG−HQ):
【化13】

【0076】
である。
【0077】
ある実施の形態において、式(I)の化合物は、17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−BAG−HQ):
【化14】

【0078】
である。
【0079】
ある実施の形態において、式(I)の化合物は、17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−FEAG−HQ):
【化15】

【0080】
である。
【0081】
ある実施の形態において、式(I)の化合物は、17−アリルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AAG−HQ):
【化16】

【0082】
である。
【0083】
ある実施の形態において、前記組成物は安定な組成物である。
【0084】
ここに用いたように、「安定な組成物」とは、規定の期間に亘り(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、7日間、14日間、21日間、または30日間)標準的な安定性条件(例えば、40℃および75%の相対湿度)に曝露された後、式(I)の化合物の元の量の少なくとも約80%が組成物中に残っている(すなわち、式(II)の化合物に酸化されていない、または他の副生成物に分解していない)ように硫黄含有化合物および基線量の式(I)の化合物(例えば、HPLCにより測定された百分率の純度などの)を含む組成物を称する。ある実施の形態において、式(I)のヒドロキノン化合物の元の量の少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%が、規定の期間に亘り(例えば、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、7日間、14日間、21日間、または30日間)組成物中に残っている。
【0085】
ある実施の形態において、前記組成物は、少なくとも1日間に亘り40℃および75%の相対湿度で安定である。ある実施の形態において、前記組成物は、少なくとも2日間、3日間、4日間、5日間、7日間、14日間、21日間、または30日間に亘り40℃および75%の相対湿度で安定である。
【0086】
先に一般的に定義されたように、本発明の組成物は、式(I)の化合物および硫黄含有化合物を含む。例示の硫黄含有化合物としては、以下に限られないが、亜硫酸塩、硫酸塩、スルホンなどが挙げられる。ある実施の形態において、硫黄含有化合物は、スルホネート(すなわち、スルホン酸塩)ではない。ある実施の形態において、硫黄含有化合物は亜硫酸塩である。
【0087】
亜硫酸塩の例としては、以下に限られないが、重硫酸カリウム(KHSO3)、重硫酸ナトリウム(NaHSO3)、重硫酸カルシウム(Ca(HSO3)2)、重硫酸マグネシウム(Mg(HSO3)2)、メタ重亜硫酸カリウム(K2S2O5)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)、メタ重亜硫酸カルシウム(CaS2O5)、メタ重亜硫酸マグネシウム(MgS2O5)、亜硫酸カリウム(K2SO3)、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、亜硫酸カルシウム(CaSO3)、亜硫酸マグネシウム(MgSO3)、次亜硫酸カリウム(K2S2O4)、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)、次亜硫酸カルシウム(CaS2O4)、次亜硫酸マグネシウム(MgS2O4)、およびホルムアルデヒドスルホキシ酸ナトリウム(「SFS」;HOCH2S(=O)ONa)が挙げられる。
【0088】
ある実施の形態において、亜硫酸塩は、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カリウム、または次亜硫酸ナトリウムである。ある実施の形態において、亜硫酸塩は、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、または次亜硫酸ナトリウムである。ある実施の形態において、亜硫酸塩は次亜硫酸ナトリウムである。
【0089】
ある実施の形態において、亜硫酸塩は、式(III):
【化17】

【0090】
のものであって、ここで、
R10は、-OR12, -CH2OR12, -S(=O)OR12および-S(=O)2OR12から選択され;
R11およびR12は、独立して、-Hおよび-Mから選択され;
Mは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムから選択された陽イオンである。
【0091】
ある実施の形態において、R10は、-OH, -OM, -CH2OH, -CH2OM, -S(=O)OH, S(=O)OM, -S(=O)2OHおよび-S(=O)2OMから選択される。
【0092】
ある実施の形態において、R11は-Mである。
【0093】
ある実施の形態において、Mはナトリウムまたはカリウムである。ある実施の形態において、Mはナトリウムである。
【0094】
ある実施の形態において、硫黄含有量は、組成物中に存在する硫黄含有化合物の尺度である。
【0095】
ある実施の形態において、組成物の硫黄含有量は、元素分析により測定して、0.05パーセントより多い。
【0096】
ある実施の形態において、組成物の硫黄含有量は、元素分析により測定して、0.05パーセントより多い、0.06パーセントより多い、0.07パーセントより多い、0.08パーセントより多い、0.09パーセントより多い、0.1パーセントより多い、0.2パーセントより多い、0.3パーセントより多い、0.4パーセントより多い、0.5パーセントより多い、0.6パーセントより多い、0.7パーセントより多い、0.8パーセントより多い、0.9パーセントより多い、1パーセントより多い、2パーセントより多い、3パーセントより多い、4パーセントより多い、5パーセントより多い、6パーセントより多い、7パーセントより多い、8パーセントより多い、9パーセントより多い、または10パーセントより多い。
【0097】
ある実施の形態において、組成物の硫黄含有量は、元素分析により測定して、0.06パーセントより多い、0.07パーセントより多い、0.08パーセントより多い、0.09パーセントより多い、0.1パーセントより多い、0.2パーセントより多い、0.3パーセントより多い、0.4パーセントより多い、0.5パーセントより多い、0.6パーセントより多い、0.7パーセントより多い、0.8パーセントより多い、0.9パーセントより多い、1パーセントより多い、2パーセントより多い、3パーセントより多い、4パーセントより多い、5パーセントより多い、6パーセントより多い、7パーセントより多い、8パーセントより多い、9パーセントより多い、または10パーセントより多い。
【0098】
ある実施の形態において、組成物の硫黄含有量は、元素分析により測定して、約0.1パーセントと約10パーセントの間、約0.2パーセントと約10パーセントの間、約0.3パーセントと約10パーセントの間、約0.4パーセントと約10パーセントの間、約0.1パーセントと約9パーセントの間、約0.1パーセントと約8パーセントの間、約0.1パーセントと約7パーセントの間、または約0.1パーセントと約6パーセントの間である。
【0099】
硫黄含有化合物は、組成物の少なくとも約1%(w/w)、少なくとも約2%(w/w)、少なくとも約5%(w/w)、少なくとも約10%(w/w)、少なくとも約20%(w/w)、少なくとも約30%(w/w)、少なくとも約40%(w/w)、少なくとも約50%(w/w)、少なくとも約60%(w/w)、少なくとも約70%(w/w)、少なくとも約80%(w/w)、少なくとも約90%(w/w)、少なくとも約95%(w/w)、少なくとも約98%(w/w)、または少なくとも約99%(w/w)である。
【0100】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物は、組成物の約5%(w/w)と約99%(w/w)の間、約5%(w/w)と約90%(w/w)の間、約5%(w/w)と約80%(w/w)の間、約5%(w/w)と約70%(w/w)の間、約5%(w/w)と約60%(w/w)の間、約5%(w/w)と約50%(w/w)の間、約5%(w/w)と約40%(w/w)の間、約5%(w/w)と約30%(w/w)の間、約5%(w/w)と約20%(w/w)の間、または約5%(w/w)と約10%(w/w)の間である。
【0101】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物は、組成物の約10%(w/w)と約90%(w/w)の間、約20%(w/w)と約90%(w/w)の間、約30%(w/w)と約90%(w/w)の間、約40%(w/w)と約90%(w/w)の間、約50%(w/w)と約90%(w/w)の間、約60%(w/w)と約90%(w/w)の間、約70%(w/w)と約90%(w/w)の間、または約80%(w/w)と約90%(w/w)の間である。
【0102】
ある実施の形態において、式(I)の化合物の硫黄含有化合物に対するモル比は、約0.001:1、約0.01:1、約0.1:1、約1:1、約5:1、約10:1、約20:1、約30:1、約40:1、約50:1、約60:1、約70:1、約80:1、約90:1、約100:1、または約1000:1である。
【0103】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物の式(I)の化合物に対するモル比は、約0.001:1、約0.01:1、約0.1:1、約1:1、約5:1、約10:1、約20:1、約30:1、約40:1、約50:1、約60:1、約70:1、約80:1、約90:1、約100:1、または約1000:1である。
【0104】
本出願人等は、組成物中の硫黄含有量を増加させると、例えば、組成物中の硫黄含有化合物の量を増加させると、式(I)の化合物の安定性が増加することを発見した。どのような特定の理論にも拘束するものではないが、この安定性における増加は、式(I)の化合物のヒドロキノン部分と硫黄含有化合物との間の非共有(非イオン)結合、例えば、水素結合の増加のためであると仮定される。
【0105】
例えば、硫黄含有化合物が亜硫酸塩である、ある実施の形態において、組成物の安定性の増加は、式(IV):
【化18】

【0106】
の1種類以上の水素結合錯体であって、ここで、
R10は、-OR12, -CH2OR12, -S(=O)OR12および-S(=O)2OR12から選択され;
R11およびR12は、独立して、-Hおよび-Mから選択され;
Mは、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウムから選択された陽イオンである水素結合錯体の形成のためであろう。
【0107】
配合物
ある実施の形態において、本発明は、上述した組成物、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬配合物を提供する。
【0108】
薬学的に許容される賦形剤としては、配合者の判断により、所望の特定の投薬形態に適合するような、任意のおよび全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、表面活性剤(surface active agent)、等張剤、増粘剤または乳化剤、糖、高分子、界面活性剤(surfactant)、酸化防止剤、可溶化剤または懸濁剤、キレート剤、防腐剤、造粒剤および/または分散剤、結合剤、および/または滑沢剤、またはそれらの組合せが挙げられる。Remington's Pharmaceutical Sciences, Sixteenth Edition, E. W. Martin (Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1980)には、薬学的に許容される配合物の調製に使用される様々なキャリヤおよびその調製のための公知の技法が開示されている。任意の望ましくない生物学的作用を生じるか、またはそうでなければ組成物の任意の成分と有害な様式で相互作用することなどにより、任意の従来のキャリヤ媒体が本発明の組成物に不適合である範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0109】
ある実施の形態において、配合物中に与えられる賦形剤の少なくとも1つは糖である。「糖」という用語は、ここに用いたように、1種類以上の三糖、四糖、五糖、六糖、七糖、八糖または九糖を含む、天然または非天然の単糖類、二糖類、オリゴ糖類、または多糖類を称する。糖は、カルボニル基の還元(アルジトール)による、1つ以上の末端基のカルボン酸(アルドン酸)への酸化による、もしくは1つ以上のヒドロキシル基の水素(デオキシ糖)、アミノ基(アミノ糖)、チオール基(チオ糖)、アシルアミノ基、硫酸基、リン酸基、または同様のヘテロ原子基による置換による、もしくは先の改質の任意の組合せによる、糖類由来の物質が挙げられる。糖という用語は、これらの化合物の誘導体(すなわち、アシル化、アルキル化、および糖アルコールのアルデヒドまたはケトンとの反応によるグリコシド結合の形成などにより化学修飾された糖)も含む。糖は、ヘミアセタール、ヘミケタール、またはラクトンとしての環式形態(すなわち、オキシロース、オキセトセスムフラノース、ピラノース、セプタノース、オクタノースなど)、または非環式形態で存在してよい。糖類は、ケトース、アルドース、ポリオールおよび/またはケトース、アルドースおよびポリオールの混合物であってよい。
【0110】
例示の糖としては、以下に限られないが、グリセロール、ポリビニルアルコール、プロピレングリコール、ソルビトール、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、マンニトール、グロース、デキストロース、イドース、ガラクトース、タロース、グルコース、フルクトース、デキストレート、ラクトース、スクロース、デンプン(すなわち、アミラーゼおよびアミロペクチン)、デンプングリコール酸ナトリウム、セルロースおよびセルロース誘導体(すなわち、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、クロスカルメロース、ヒプロメロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カラギーナン、シクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピル−ガンマ−CD)、デキストリン、ポリデキストロース、およびトレハロースが挙げられる。ある実施の形態において、糖は、無水ラクトース、ラクトース一水和物、トレハロースおよびヒドロキシプロピル−ガンマ−CDから選択される。
【0111】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は高分子である。例示の高分子としては、以下に限られないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、アルブミン、ポリエチレンイミン(PEI)、アカシアゴム、セルロース誘導体、ポリペクチン酸カルシウム、無水マレイン酸誘導体、ポリアクリル酸およびメタクリル酸、リン脂質、グリコール(プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの)、ポリグリコシドおよびラクチド誘導体、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、デンプン、ワックス、油、アルギン酸塩およびアルギン酸、カゼインカルシウム、カラギーナン、ペクチン、ポリヘキサメタリン酸塩、ポリビニルアセテートなど;それらの混合物などが挙げられる。ある実施の形態において、高分子はポリビニルアルコール(PVA)である。
【0112】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は界面活性剤である。例示の界面活性剤としては、以下に限られないが、天然乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびビーガム[ケイ酸マグネシウムアルミニウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリル、およびプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート[Tween80]、ソルビタンモノパルミテート[Span40]、ソルビタンモノステアレート[Span60]、ソルビタントリステアレート[Span65]、グリセリルモノオレアート、ソルビタンモノオレアート[Span80])、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート[Myrj 45]、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、およびソルトール(Solutol))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、クレモフォール)、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij30])、ポリ(ビニル−ピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレアート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルロニックF68、ポロクサマー188、セトリモニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウムなどおよび/またはそれらの組合せが挙げられる。ある実施の形態において、界面活性剤はTween界面活性剤(例えば、Tween20、Tween80など)である。
【0113】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は酸化防止剤である。例示の酸化防止剤としては、以下に限られないが、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、システイン塩酸塩、チオグリセロール、メルカプト酢酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)、レシチンおよび有機亜リン酸塩(例えば、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリス(2−クロロエチル)、亜リン酸トリス(2−4−t−ブチル−フェニル)など)が挙げられる。ある実施の形態において、酸化防止剤は亜リン酸ジブチルである。ある実施の形態において、酸化防止剤は重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)である。
【0114】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は可溶化剤または懸濁剤である。例示の可溶化剤または懸濁剤としては、以下に限られないが、水、有機溶媒、油、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0115】
例示の有機溶媒としては、以下に限られないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘキサン、アセトン、ベンゼン、トルエン、およびキシレンが挙げられる。
【0116】
例示の油としては、以下に限られないが、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、ババス油、ベルガモット油、クロフサスグリ種油、ルリヂサ油、ビャクシン油、カミルレ油、キャノーラ油、カラウェー油、カルナウバ蝋、ヒマシ油、シナモン油、カカオバターオイル、ココナッツ油、タラ肝油、コーヒー油、トウモロコシ油、綿実油、エミュー油、ユーカリ油、月見草油、魚油、アマニ油、ゲラニオール油、ヘチマ油、ブドウ種油、ヘーゼルナッツ油、ヒソップ油、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ油、ククイナッツ油、ラバンディン油、ラベンダー油、レモン油、アオモジ油、マカデミアナッツ油、アオイ油、マンゴー種油、メドウフォーム油、ミンク油、ナツメグ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラッフィー油、ヤシ油、パーム核油、桃仁油、ピーナッツ油、ケシ実油、カボチャ種油、菜種油、米糠油、ローズマリー油、紅花油、ビャクダン油、サスクアナ(sasquana)油、チリメンキャベツ油、シーバックソーン油、ゴマ油、シアバターオイル、シリコーン油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、アザミ油、ツバキ油、ベチベル油、クルミ油、および小麦胚芽油、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコーン、セバシン酸ジエチル、ジメチコーン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0117】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤はキレート剤である。例示のキレート剤としては、以下に限られないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、およびエデト酸三ナトリウムが挙げられる。
【0118】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は防腐剤である。
【0119】
例示の抗菌防腐剤としては、以下に限られないが、塩化ベンザルコニウム、塩基ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、およびチメロサールが挙げられる。
【0120】
例示の抗真菌防腐剤としては、以下に限られないが、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、およびソルビン酸が挙げられる。
【0121】
例示のアルコール防腐剤としては、以下に限られないが、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸エステル、およびフェニルエチルアルコールが挙げられる。
【0122】
例示の酸性防腐剤としては、以下に限られないが、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータ・カロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、およびフィチン酸が挙げられる。
【0123】
他の防腐剤としては、以下に限られないが、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロキシムメシレート(deteroxime mesylate)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、Glydant Plus、Phenonip、メチルパラベン、Germall 115、Germaben II、Neolone、Kathon、およびEuxylが挙げられる。
【0124】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は希釈剤である。例示の希釈剤としては、以下に限られないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉糖など、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0125】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は造粒剤および/または分散剤である。例示の造粒剤および/または分散剤としては、以下に限られないが、ジャガイモデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ(citrus pulp)、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材産物、天然海綿(natural sponge)、陽イオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニルピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルスターチナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、α化デンプン(Starch 1500)、微結晶性デンプン、不水溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物など、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0126】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は結合剤である。例示の結合剤としては、以下に限られないが、デンプン(例えば、コーンスターチおよびデンプン糊);ゼラチン;糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど);天然および合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスの抽出物、パンワールゴム(panwar gum)、ガッチゴム(ghatti gum)、イサポール・ハスク(isapol husk)の粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum)、およびカラマツアラボガラクタン(larch arabogalactan));アルギネート;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;無機カルシウム塩;ケイ酸;ポリメタクリレート;ワックス;水;アルコールなど;およびそれらの組合せが挙げられる。
【0127】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は緩衝剤である。例示の緩衝剤としては、以下に限られないが、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、第二リン酸カルシウム、リン酸、第三リン酸カルシウム、水酸化カルシウムリン酸塩、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、パイロジェンフリー水(pyrogen-free water)、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0128】
ある実施の形態において、配合物中に提供される少なくとも1つの賦形剤は滑沢剤である。例示の滑沢剤としては、以下に限られないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0129】
ある実施の形態において、配合物に添加される1種類以上の薬学的に許容される賦形剤は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、または100%純粋である。ある実施の形態において、前記賦形剤は、ヒトへの使用および家畜への使用が承認されている。ある実施の形態において、前記賦形剤は、米国FDAにより承認されている。ある実施の形態において、賦形剤は薬剤グレードである。ある実施の形態において、前記賦形剤は、アメリカ薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準を満たしている。
【0130】
ここに記載された配合物は、公知のまたは薬学の技術においてこれから開発される任意の方法により調製してよい。一般に、そのような調製方法は、本発明の組成物を、ここに記載されたような1種類以上の賦形剤と関連付け、次いで、必要に応じておよび/または好みに応じて、製品を所望の一回または複数回投与単位に成形および/または包装する各工程を含む。
【0131】
本発明の配合物は、1つの一単位投与量として、および/または複数の一単位投与量として、調製し、包装し、および/またはまとめて販売してもよい。ここに用いたように、「単位投与量(unit dose)」は、所定量の本発明の組成物を含む配合物の個々の量である。
【0132】
配合物中の本発明の組成物および賦形剤の相対量は、治療される被験者の個性、サイズ、および/または条件に応じて、また配合物を投与すべき経路に応じて、様々であろう。例として、組成物は、配合物の0.1%と100%(w/w)の間を占める。
【0133】
経口および非経口投与のための液体投与形態としては、以下に限られないが、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物に加えて、液体投与形態は、当該分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの組合せを含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味料、および香料を含み得る。非経口投与のための態様において、本発明の組成物は、可溶化剤、例えば、Cremophor、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマーおよびそれらの組合せと混合される。
【0134】
注射用配合物、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って調製してもよい。無菌注射用配合物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌注射用溶液、懸濁液またはエマルション(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用してよい許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P.、および塩化ナトリウム等張液がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として通常使用される。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無菌性の不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製において使用される。
【0135】
注射用配合物は、例えば、細菌保持フィルター(bacterial-retaining filter)による濾過によって、または、使用前に、滅菌水または他の滅菌注射用媒体中に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態にある滅菌剤を含ませることによって、滅菌され得る。
【0136】
薬物の効果を長くするために、皮下注射または筋肉注射からの薬物の吸収を遅くすることがしばしば望ましい。これは、不十分な水溶性を有する結晶性材料または非晶性材料の懸濁液の使用によって行ってもよい。そのとき、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、これは、転じて結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される薬物形態の吸収の遅延は、油ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁することによって行われる。
【0137】
直腸投与または膣投与のための配合物は、典型的に、本発明の組成物を、好適な非刺激性賦形剤または担体、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコールまたは座薬ワックスと混合することによって調製できる座薬であり、これらは、周囲温度で固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸腔または膣腔において溶けて有効成分を放出する。
【0138】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態において、本発明の組成物は、以下と混合される:少なくとも1種類の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または(a)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、およびアカシア、(c)保湿剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土、ならびに(i)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤を含んでもよい。
【0139】
同様のタイプの投薬配合物が、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用する軟質および硬質ゼラチンカプセル剤において充填剤として使用され得る。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティングおよび製薬分野において周知の他のコーティングを用いて調製され得る。それらは、必要に応じて、乳白剤を含有し得、かつそれらが腸管の特定の部分においてのみまたはそこにおいて優先的に、必要に応じて遅延様式で、本発明の組成物を放出する組成のものであり得る。使用され得る本発明の包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体投薬配合物が、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用する軟質および硬質ゼラチンカプセル剤において充填剤として使用され得る。
【0140】
本発明による組成物および配合物は、上述の1つ以上の賦形剤を用いたマイクロカプセル化形態で提供することができる。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよびシェル、例えば腸溶コーティング、放出制御コーティング、および製薬分野において周知の他のコーティングを用いて調製され得る。このような固体投薬形態において、本発明の組成物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトース、またはデンプンと混合され得る。このような投薬形態は、通常の慣行であるように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、錠剤化滑沢剤および他の錠剤化助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態は緩衝剤を含み得る。それらは、必要に応じて、乳白剤を含有し得、かつそれらが腸管の特定の部分においてのみまたはそこにおいて優先的に、必要に応じて遅延様式で、有効成分を放出する組成のものであり得る。使用できる包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。
【0141】
本発明の組成物の局所および/または経皮投与のための配合物は、軟膏剤、パスタ剤、クリーム、ローション、ゲル、粉剤、液剤、スプレー、吸入剤、および/またはパッチを含む。一般的に、本発明の組成物は、滅菌条件下で、薬学的に許容される賦形剤および/または任意の必要とされる防腐剤および/または必要とされ得る緩衝剤と混合される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を意図し、これは、身体への有効成分を制御送達するというさらなる利点をしばしば有する。このような投薬形態は、例えば、適切な媒体に本発明の組成物を溶解および/または分散させることによって、調製され得る。代わりにまたは追加に、速度は、速度制御膜を提供することによって、および/またはポリマーマトリクスおよび/もしくはゲルに本発明の組成物を分散させることによって、制御され得る。
【0142】
皮内用配合物の送達に使用するのに適したデバイスとしては、短い針のデバイス、例えば、米国特許第4,886,499号;第5,190,521号;第5,328,483号;第5,527,288号;第4,270,537号;第5,015,235号;第5,141,496号;および第5,417,662号の各明細書に記載されているものが挙げられる。皮内用組成物は、皮膚中への針の有効な貫入長を制限するデバイス、例えば、国際公開第99/34850号パンフレットに記載のもの、およびその機能的な等価物によって投与され得る。液体ジェット式注射器によって、および/または角質層を貫通しかつ真皮に達するジェットを生じさせる注射器によって、液体ワクチンを真皮へ送達するジェット式注射デバイスが好適である。ジェット式注射デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号;第5,599,302号;第5,334,144号;第5,993,412号;第5,649,912号;第5,569,189 号;第5,704,911号;第5,383,851号;第5,893,397号;第5,466,220号;第5,339,163号;第5,312,335 号;第5,503,627号;第5,064,413号;第5,520,639号;第4,596,556号;第4,790,824号;第4,941,880 号;第4,940,460号の各明細書;ならびに国際公開第97/37705号および第97/13537号の各パンフレットに記載されている。圧縮ガスを使用して粉末形態のワクチンを皮膚の外層を通って真皮へ加速する弾道(ballistic)粉末/粒子送達デバイスが好適である。代わりにまたは追加に、従来の注射器が、皮内投与の従来のマントー法(mantoux method)において使用され得る。
【0143】
局所投与に好適な配合物としては、以下に限られないが、液体および/または半液体調製物、例えば、リニメント剤、ローション剤、水中油型および/または油中水型エマルション、例えば、クリーム、軟膏剤および/またはパスタ剤、および/または液剤、および/または懸濁剤が挙げられる。局所的に投与可能な製剤は、例えば、約1%〜約10%(w/w)の本発明の組成物を含み得る。局所投与用の配合物は、さらに、本明細書中に記載される1つ以上の追加の成分を含み得る。
【0144】
薬剤配合物は、頬側口腔を介しての経肺投与のために、調製、包装、および/または販売され得る。このような製剤は、本発明の組成物を含みかつ約0.5〜7ナノメートル、または約1〜6ナノメートルの範囲内の直径を有する乾燥粒子を含み得る。このような配合物は、好都合なことに、噴射剤の流れが粉末を分散するように指向され得る乾燥粉末リザーバを備えるデバイスを使用する、および/または、密封容器中の低沸点噴射剤中に溶解および/または懸濁された有効成分を含むデバイスのような自己発射溶媒/粉末分注容器を使用する、投与のための乾燥粉末形態である。このような粉末は、重量で少なくとも98%の粒子が0.5ナノメートルを超える直径を有し、かつ数で少なくとも95%の粒子が7ナノメートル未満の直径を有する、粒子を含む。あるいは、重量で少なくとも95%の粒子が1ナノメートルを超える直径を有し、かつ数で少なくとも90%の粒子が6ナノメートル未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、砂糖のような固体微粉希釈剤を含み得、好都合なことに単位投与形態で提供される。
【0145】
低沸点噴射剤は、一般的に、大気圧で65°F(約18℃)未満の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般的に、噴射剤は、本発明の組成物の50〜99.9%(w/w)を構成し得る。噴射剤は、さらに、液体非イオン性および/または固体陰イオン界面活性剤および/または固体希釈剤(これは、有効成分を含む粒子と同一の桁の粒径を有し得る)などのさらなる成分を含み得る。
【0146】
経肺送達用の薬剤配合物は、溶液および/または懸濁液の液滴の形態で本発明の組成物を提供し得る。このような配合物は、水性および/または希アルコール溶液および/または懸濁液として調製、包装、および/または販売され得、好都合なことには、任意の噴霧化および/または微粒化装置を使用して投与され得る。このような配合物は、さらに、以下に限られないが、香味料、例えば、サッカリンナトリウム、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、および/または防腐剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチルを含む1つ以上の追加の成分を含み得る。この投与経路で提供される液滴は、約0.1〜200ナノメートルの範囲の平均直径を有し得る。
【0147】
経肺送達に有用であるとここに記載される配合物は、鼻内送達にも有用である。鼻内投与に好適な別の製剤は、本発明の組成物を含みかつ約0.2〜500マイクロメートルの平均粒子を有する粗い粉末である。このような配合物は、嗅剤が摂取される様式で、即ち、鼻孔の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を通る迅速な吸入によって、投与される。経鼻投与に好適な製剤は、例えば、0.1%(w/w)程度〜100%(w/w)程度の本発明の組成物を含み得、かつ本明細書中に記載される1つ以上の成分を含み得る。
【0148】
薬剤配合物の製造における一般的な考慮すべき事項は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005において見出すことができる。
【0149】
ここに提供した薬剤配合物の記載は、主に、ヒトへの投与に適しているが、そのような配合物は、一般に、全ての種類の動物(例えば、霊長類、畜牛、豚、馬、羊、猫、犬、および鳥)への投与に適していることが当業者には理解されよう。配合物を様々な動物への投与に適するようにするために、ヒトへの投与に適した薬剤配合物を改良することは、十分に理解されており、普通の獣医薬理学者は、もしあっても単なる通常の実験により、そのような改良を設計および/または実施することができる。
【0150】
治療方法
本発明は、増殖性疾患を治療する方法であって、治療の必要がある被験者に治療に効果的な量の、本明細書に記載された本発明の組成物または配合物を投与する工程を有してなる方法を提供する。
【0151】
「被験者」という用語は、ここに用いたように、霊長類、畜牛、豚、馬、羊、猫、犬、鳥(鶏、鴨、雁、および/または七面鳥などの商業的に関連する鳥を含む)、およびヒト(例えば、男性、女性、幼児、子供、青年、成人)などの哺乳類を称する。
【0152】
「治療する」という用語は、ここに用いたように、被験者が被っているまたは被っている疑いのある健康状態を部分的にまたは完全に軽減する、抑制する、改善する、および/または緩和することを称する。治療は、予防投与または治療投与によるものであってよい。
【0153】
「治療に効果的な量」という用語は、ここに用いたように、投与されたときに、被験者を治療するのに十分であるように、組成物中に提供される式(I)の化合物の最小量を称する。
【0154】
ヒドロキノンアンサマイシン(例えば、式(I)の化合物などの)は、生理的pHで体外と体内で対応するベンゾキノンに酸化することが知られている。ベンゾキノン17−AAGを含むアンサマイシンは、公知のHsp90阻害剤である。さらに、アンサマイシンのヒドロキノンも、Hsp90阻害活性を有することが知られている。
【0155】
17−AAGなどのHsp90阻害剤は、以下に限られないが、CML(Gorre et al, Blood (2002) 100:3041-44)、CLL(Castro et al, Blood (2005) 106: 2506-2512)、胃癌および小細胞肺癌(Shen et al, Bioorg. Med. Chem. (2005) 13: 4960-71)、非小細胞肺癌(Nguyen et al., Ann. Thorac. Surg. (2000) 70: 1853-1860; Shimamura et al., Cancer Research (2005) 65:6401-640)、甲状腺癌(Marsee et al., J. Biol. Chem. (2004) 279:43990-7)、白血病(Yang et al., Oncogene (2006) 1-11; Nimmanapalli et al., Cancer Res. (2001) 61 : 1799-1804)、肥満細胞症、消化管間質腫瘍(GIST)、肥満細胞白血病、急性骨髄性白血病および睾丸癌などのc−Kit関連病(Fumo et al., Blood (2004) 103: 1078-84)、乳癌(de Candia et al. PNAS (2003) 100:12337-12342; M[upsilon]nster et al., Cancer Res. (2001) 61 : 2945-2952)、前立腺癌(Georgakis et al. Clin. Cancer Res. (2006) 12:584- 90; Solit et al, Clin.Cancer Res. (2002) 8:986-993; Neckers, Trends MoI Med. 2002;8(4 suppl):S55-S61)、黒色腫(Grbovic et al, PNAS (2006) 103:57-62; Burger et al, Anti- Cancer Drugs (2004) 15: 377-388)、結腸癌(Chung et al, J. Natl. Cancer Inst. (2003) 95: 1624-1633)、および卵巣癌(Banerji et al., Clin Cancer R
es. 2005;l 1 :7023-7032)を含む多数の細胞系統およびヒトの癌モデルに対する活性を有することが示されてきた。
【0156】
本発明の組成物および配合物は、例えば、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、真正赤血球増加症、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、頚癌、子宮癌、睾丸癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、子宮内膜癌螺旋、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、外套細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭部癌および頚部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原因不明骨髄性化生、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、馴染みのある好酸球増加、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、およびカルチノイド腫瘍を含む増殖性疾患を治療するのに使用できる。
【0157】
組成物中に存在する式(I)の化合物の実際の投与レベルは、被験者に毒性ではなく、特定の被験者、組成物、および投薬様式について所望の治療応答を達成するのに効果的な化合物の量を得るように変えられてよい。選択される投与レベルは、投薬経路;投薬時間;化合物の排泄速度または代謝速度;吸収速度と程度;治療期間;使用される化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または材料;治療されている被験者の年齢、性別、体重、健康状態、身体全体の健康および以前の病歴;および医学分野においてよく知られた同様の要因を含む様々な臨床要因に依存する。
【0158】
投薬される投与量は、式(I)の化合物の少なくとも約0.01mg、少なくとも約0.05mg、少なくとも約0.1mg、少なくとも約0.5mg、少なくとも約1mg、少なくとも約5mg、少なくとも約10mg、少なくとも約15mg、少なくとも約20mg、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約35mg、少なくとも約40mg、少なくとも約45mg、少なくとも約50mg、少なくとも約55mg、少なくとも約60mg、少なくとも約65mg、少なくとも約70mg、少なくとも約75mg、少なくとも約80mg、少なくとも約85mg、少なくとも約90mg、少なくとも約95mg、少なくとも約100mg、少なくとも約125mg、少なくとも約150mg、少なくとも約175mg、または少なくとも約200mgであり得る。
【0159】
この投与量は、毎日、一日おき、週三回、週二回、毎週、または各週に投薬して差し支えない。この投与スケジュールは、「薬物休止(drug holiday)」(例えば、薬物は、2週間投与し、1週間空けるように投与して差し支えない)を含んでも、または薬物休止なく、連続的であっても差し支えない。
【0160】
この投与量は、任意の薬学的に許容される様式で、例えば、経口、静脈、動脈内、筋肉内、皮下、皮内、くも膜下、または大脳内の様式で投薬して差し支えない。ある実施の形態において、投与量は経口投薬される。
【0161】
ある実施の形態において、ここに記載された組成物は、癌の治療において選択的な活性を達成するために、別の療法(例えば、別の治療剤または放射線)と組み合わせて使用して差し支えない。例示としての治療剤は、以下に限られないが、カルミノマイシン、ダウノルビシン、アミノプテリン、メトトレキセート、メトプテリン、ジクロロメトトレキセート、マイトマイシンC、ポルフィロマイシン、5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド、ポドフィロトキシンまたはエトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシドなどのポドフィロトキシン誘導体、メルファラン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ロイロシジン、ドキソルビジン、ビンデシン、ロイロシン、パクリタキセル、タキソール、タキソテール、ドセタキセル、シスプラチン、メシル酸イマチニブ、ゲムシタビン、エストラムスチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、ゲムシチビン(gemcitibine)、イホスファミド、メルファラン、ヘキサメチルメラミン、チオテパ、シタラビン、イダトレキセート(idatrexate)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ダカルバジン、L−アスパラギナーゼ、カンプトテシン、CPT−11、トポテカン、シタラビン(ara-C)、ビカルタミド、フルタミド、ロイプロリド、ピリドベンゾインドール誘導体、インターフェロン、およびインターロイキンが挙げられる。特に有用な治療剤としては、タキソテール、Gleevec(イマチニブ)、Tarceva(エルロチニブ)、Sutent(スニチニブ)、Tykerb(ラパチニブ)、およびXeloda(カペシタビン)が挙げられる。
【0162】
本発明の組成物および治療剤は、同じ配合物中で投薬する必要はなく、物理的特徴と化学的特徴が異なるために、異なる経路で投薬してよい。ことによると同じ配合物中での、投薬の形態および投薬の妥当性は、当業者の知識に十分に含まれる。最初の投薬は、当該技術分野に公知の確立されたプロトコルにしたがって行って差し支えなく、次いで、観察された効果、投薬量、投薬の形態および投薬時間に基づいて、ベテラン臨床医により変更されて差し支えない。
【0163】
特定の治療の選択は、主治医の診断および患者の健康状態の主治医による判断並びに適切な治療プロトコルに依存する。
【0164】
本発明の組成物および治療剤は、増殖性疾患の性質、被験者の健康状態、および本発明の組成物と共に投薬すべき(すなわち、単一の治療プロトコル内で)治療剤の実際に選択に応じて、共に(例えば、同時に、実質的に同時に、または同じ治療プロトコル内で)、または連続的に投薬してもよい。
【0165】
本発明の組成物および治療剤が同時にまたは実質的に同時に投薬されない場合、投薬の最適順序は、異なる腫瘍について異なるであろう。それゆえ、ある状況において、本発明の組成物を最初に投薬し、次いで、治療剤を投薬してもよく、他の状況において、治療剤を最初に投薬し、次いで、本発明の組成物を投薬してもよい。この交互の投薬は、単一の治療プロトコル中に繰り返してもよい。投薬の順序、および治療プロトコル中の各治療剤の投薬の繰返し数の決定は、患者の健康状態および治療されている疾患の評価後に、ベテラン医師の知識の十分に範囲内である。
【0166】
本発明の組成物を別の治療剤と組み合わせて投薬する場合、各々の投与量は、ほとんどの場合、単一剤治療の対応する投与量よりも少ないであろう。
【0167】
調製方法
本発明のヒドロキノン組成物を調製する方法において、
(i) 硫黄含有化合物の存在下で、式(II):
【化19】

【0168】
の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(I):
【化20】

【0169】
の化合物に還元させる工程;および
(ii) 沈殿物を単離する工程であって、この沈殿物が、硫黄含有化合物および式(I)の化合物を含む組成物である工程、
を有してなり、ここで、
R1は、-H, -OR8, -SR8, -N(R8)(R9), -N(R8)C(O)R9, -N(R8)C(O)OR9, -N(R8)C(O)N(R8)(R9), -OC(O)R8, -OC(O)OR8, -OS(O)2R8, -OS(O)2OR8, -OP(O)2OR8または-CNであり;
R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,または-C(=O)CH3から選択され;もしくは、R2およびR3が、それらが結合している窒素と一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員のヘテロシクリル環を表し;
R4が-H,アルキル,アルケニルまたはアラルキルであり;
R5およびR6が各々-Hであるか、またはR5およびR6が一緒になって結合を形成し;
R7が、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルであり;
R8およびR9の各例が、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルから選択され;もしくはR8およびR9が一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員の必要に応じて置換されたヘテロシクリル環を表すものである方法も提供される。
【0170】
ある実施の形態において、この組成物の硫黄のパーセントは、元素分析により測定して、0.05パーセントより多い。
【0171】
ある実施の形態において、前記組成物は安定な組成物である。
【0172】
ある実施の形態において、前記組成物は、少なくとも1日間に亘り40℃および75%の相対湿度で安定である。
【0173】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物は亜硫酸塩である。
【0174】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物は還元剤である。ここに用いたように、「還元剤」は、式(II)の化合物のベンゾキノン基を式(I)のヒドロキノン化合物に還元するのに十分な物質である。
【0175】
ある実施の形態において、硫黄含有化合物は、亜硫酸塩還元剤、または亜硫酸塩のものと同様の還元能力を有する別の硫黄含有化合物である。ある実施の形態において、硫黄含有化合物は、亜硫酸塩還元剤である。
【0176】
例示の亜硫酸塩還元剤としては、以下に限られないが、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、およびメタ重亜硫酸カリウムが挙げられる。ある実施の形態において、亜硫酸塩還元剤は次亜硫酸ナトリウムである。
【0177】
配合物を調製する方法において、
(iii) 工程(ii)の沈殿物を1種類以上の賦形剤と混合して、配合物を提供する追加の工程を含む方法も提供される。
【0178】
ある実施の形態において、1種類以上の賦形剤は、糖、ポリマー、界面活性剤、酸化防止剤、可溶化剤または懸濁剤、もしくはそれらの組合せから選択される。
【0179】
ある実施の形態において、混合工程(iii)は、均質な配合物(例えば、透明な溶液)を提供する。ある実施の形態において、混合工程(iii)は、不均質な配合物(例えば、エマルション、懸濁液)を提供する。ある実施の形態において、不均質な配合物はエマルションである。
【0180】
ある実施の形態において、前記方法はさらに、(iv)配合物を乾燥させる工程を含む。ある実施の形態において、配合物は減圧下(例えば、真空下、凍結乾燥による)で乾燥される。
【0181】
ある実施の形態において、乾燥した配合物は、粉末、スポンジまたは発泡体である。
【実施例】
【0182】
本発明を一般的に記載してきたが、以下の実施例を参照することにより、本発明はより容易に理解されるであろう。これらの実施例は、本発明の特定の態様および実施の形態の説明の目的のためだけに含まれ、本発明を制限することを意図したものではない。
【0183】
実施例1.17−アミノゲルダナマイシンヒドロキノンHC塩(17−AG−HQ−HCl)の調製
【化21】

【0184】
工程1: ゲルダナマイシン(1.12g、2ミリモル、1当量)を無水ジクロロメタン(5ml)に加えた。メタノール中のNH3をこの溶液に加え(9ml、100ミリモル、50当量)、24時間に亘り撹拌した。この反応溶液をジクロロメタンで希釈し、水で抽出し、その後低濃度HClで抽出した。有機層を収集し、塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、紫色の固体を生成した。この固体をアセトン/ヘプタンから二度再結晶化させて、0.239の17−アミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AG)を生成した。
【0185】
工程2: 17−アミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AG)(0.55g、1ミリモル、1当量)をEtOAc(100ml)中に溶解させた。新たに調製した次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(10ml、0.68M)の10%水溶液を加え、室温で1時間に亘り撹拌した。色が濃い紫色から鮮黄色に変化し、完全な反応を示した。複数の層を分離し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤をEtOAc(2×10ml)で濯いだ。有機相のアリコートを採取し、減圧下で濃縮し、硫黄含有量について分析した。実施例1の17−AG−HQに関する元素分析が表1に列記されている。
【0186】
工程3: この有機相を20分間でEtOAc(1ml)中1.5MのHClでpH2に酸性化した。得られたスラリーを室温で1.5時間に亘り撹拌した。固体を濾過により単離し、酢酸エチル(10ml)で濯ぎ、真空下で乾燥させ、実施例1の17−AG−HQ HCl塩(0.524g、87%の収率)を提供した。
【0187】
40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときの17−AG−HQ−HCl塩の安定性データが図8に示されている(表2も参照のこと)。
【0188】
実施例2〜6. 17−アミノゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AG−HG)を含む組成物の調製
【化22】

【0189】
実施例2.
酢酸エチル(1000ml)中の17−アミノゲルダナマイシン(17−AG)(6.0g、11ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(1000ml中120g;0.68M)の水溶液を加えた。紫色の溶液が黄色に変わるまで、二相混合物を60分間に亘り激しく撹拌した。有機層を分離し、1000mlの水で洗浄し、硫酸マグネシウム(18g)上で乾燥させた。有機溶液を濾過し、乾燥剤を500mlの酢酸エチルで洗浄した。この溶液を減圧下で濃縮して、濃い錆びついた黄色の固体(4.92g、8.98ミリモル、82%の収率)として実施例2の17−AG−HQを得た。純度パーセント(HPLC−UV):92%。
【0190】
上述した化合物に関する例示のHPLC、粉末X線回折(XRPD)および示差走査熱量測定(DSC)データが、それぞれ、図1、2および3に示されている。実施例2の17−AG−HQに関する元素分析が表1に列記されている。
【0191】
実施例2の17−AG−HQは、実施例1の17−AG−HQ−HCl塩より安定ではないことが分かった(すなわち、より酸化を受けやすい)。40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときの実施例2の17−AG−HQに関する安定性データが図8に示されている(表形式の安定性データについては表2を参照のこと)。実施例2の17−AG−HQは、HPLCにより測定すると、40℃および75%のRHで、2週間でそのキノン形態に完全に酸化することが分かった。
【0192】
実施例3.
酢酸エチル(1250ml)中の17−アミノゲルダナマイシン(17−AG)(9.0g、16.5ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(1250ml中178g;0.8M)の水溶液を加えた。紫色の溶液が黄色に変わるまで(60分間)、二相混合物を激しく撹拌し、有機層中に沈殿物が生成された。この沈殿物を濾過し、500mlの酢酸エチル中に再度溶解させた。有機層を分離し、500mlの塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。有機溶液を濾過し、乾燥剤を500mlの酢酸エチルで洗浄した。この溶液を減圧下で濃縮して、オレンジ色の固体残留物を得た。この残留物を酢酸エチル中に再度溶解させ、減圧下で濃縮して、鮮黄色の固体(8.53g、15.58ミリモル、94%の収率)として実施例3の17−AG−HQを得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0193】
例示のXRPDおよびDSCが、それぞれ、図4および5に示されている。実施例3の17−AG−HQに関する元素分析が表1に列記されている。
【0194】
実施例2の17−AG−HQと比べると、実施例3の17−AG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図8および表2参照のこと)。より優れた安定性は、実施例2の17−AG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例3の17−AG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表1参照)。
【0195】
実施例4.
酢酸エチル(139ml)中の17−アミノゲルダナマイシン(17−AG)(1.0g、1.83ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(139ml中20g;0.8M)の水溶液を加えた。紫色の溶液が黄色に変わるまで(30分間)、二相混合物を激しく撹拌し、有機層中に沈殿物が生成された。沈殿した固体および有機層を共に水層から分離し、150mlの塩水で洗浄した。次いで、沈殿した固体を有機層から濾過し、有機層を廃棄した。沈殿した固体を真空炉(30℃、24時間)内で乾燥させて、鮮黄色の固体(680mg、1.24ミリモル、68%の収率)として実施例4の17−AG−HQを得た。純度パーセント(HPLC−UV):98%。
【0196】
上述した化合物のDSCが図6に示されている。実施例4の17−AG−HQに関する元素分析が表1に列記されている。
【0197】
実施例2および3と比べると、実施例4の17−AG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図8および表2参照のこと)。より優れた安定性は、実施例2および3の17−AG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例4の17−AG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表1参照)。
【0198】
実施例5.
酢酸エチル(139ml)中の17−アミノゲルダナマイシン(17−AG)(1.0g、1.83ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(139ml中20g;0.8M)の水溶液を加えた。紫色の溶液が黄色に変わるまで(30分間)、二相混合物を激しく撹拌し、有機層中に沈殿物が生成された。沈殿した固体を反応混合物から直接濾過し、真空炉(30℃、24時間)内で乾燥させて、鮮黄色の固体(730mg、1.33ミリモル、73%の収率)として実施例5の17−AG−HQを得た。純度パーセント(HPLC−UV):98.6%。
【0199】
上述した化合物のDSCが図7に示されている。実施例5の17−AG−HQに関する元素分析が表1に列記されている。
【0200】
実施例2、3および4と比べると、実施例5の17−AG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図8および表2参照のこと)。より優れた安定性は、実施例2、3および4の17−AG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例5の17−AG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表1参照)。
【0201】
実施例6.
実施例6A. 酢酸エチル(360ml)中の17−アミノゲルダナマイシン(17−AG)(3.03g、5.17ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(125ml中12.5g;0.57M)の水溶液を加えた。紫色の溶液が黄色に変わるまで(30分間)、二相混合物を激しく撹拌した。このときに、有機層の半分を反応系から取り出し、実施例6Bの17−AG−HQの調製に使用した(下記参照)。残りの反応系を、沈殿物が形成されるまで(2時間)、撹拌した。有機層を濾過し、沈殿物をEtOAc(25ml、1回)および水(25ml、1回)のいくつかのアリコートで洗浄した。洗浄した沈殿物を真空下で乾燥させて、鮮黄色の固体(1.223g、2.23ミリモル、40.0%の収率)として実施例6Aの17−アミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0202】
実施例6B. 実施例6Aからの有機濾液に、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(100ml中10g;0.57M)の水溶液を加えた。二相混合物を10分間に亘り激しく撹拌して、17−AG−HQへの完全な再転化を確実にした。黄色の有機層を分離し、100mlのNaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶液を濾過し、乾燥剤をEtOAc(100ml)で濯いだ。有機層を組み合わせ、この溶液を減圧下で濃縮して、錆びた黄色の固体(1.470g、2.68ミリモル、48.8%の収率)として実施例6Bの17−アミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):96%。
【0203】
実施例6Aと6Bの比較 実施例6Bの17−AG−HQと比べると、実施例6Aの17−AG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図9および表2参照のこと)。実施例6Bの17−AG−HQは、HPLCにより測定すると、40℃および75%のRHで、3週間でキノン形態に完全に酸化することが観察された。より優れた安定性は、実施例6Bの17−AG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例6Aの17−AG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表1参照)。
【表1】

【0204】
実施例1〜6の化合物および組成物の安定性データが、下記の表2に要約されている。
【表2】

【0205】
一般に、還元剤としてより高濃度の次亜硫酸ナトリウム(実施例2と3を比較)、17−AG−HQ沈殿物の形成と単離(実施例6Aと6Bを比較)、および/または上述の水性作業工程などの反応の合成作業の制限(実施例4と5を比較)の使用により、硫黄含有量が多く、安定性の高いヒドロキノンを提供することができる。
【0206】
実施例7. 17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシン(17−BAG)の調製
【化23】

【0207】
DCM(143ml、0.050M)中のゲルダナマイシン(4.00g、7.13ミリモル、1当量)の溶液に、ベンジルアミン(4.67ml、42.8ミリモル、6当量)を加えた。この反応系を窒素雰囲気下で24時間に亘り22℃で撹拌した。この最中に、反応混合物が黄色の溶液から濃い紫色の溶液に変化した。この反応溶液を塩化水素酸(7.13ml、6N、6当量)で抑制し、300mlの酢酸エチルで希釈した。有機層を150mlの飽和NaClで洗浄した。水層を150mlの酢酸エチルで抽出(3回)して、紫色の生成物を除去した。有機層を収集し、Na2SO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、紫色の固体を生成した。この紫色の固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシン(17−BAG)(4.50g、7.08ミリモル、99%)を生成した。純度パーセント(HPLC−UV):99.5%。
【0208】
実施例8. 17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−BAG−HQ)の調製
【化24】

【0209】
実施例8A. 酢酸エチル(350ml)中の17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシン(17−BAG)(3.5g、5.51ミリモル、1当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(125ml中12.5g;0.57M)を加えた。紫色の混合物が黄色に変わるまで(30分間)、二相混合物を激しく撹拌した。このときに、有機層の半分を反応系から取り出し、実施例8Bの17−BAG−HQの調製に使用した(下記参照)。Na2S2O4水層を125mlの新たに調製した次亜硫酸ナトリウムの水溶液(Na2S2O4)(125ml中25g;1.1M)と交換した。この反応混合物を、沈殿物が形成されるまで、72時間に亘り22℃で激しく撹拌した。有機層を濾過し、沈殿物を酢酸エチル(25ml、3回)および水(25ml、3回)のいくつかのアリコートで洗浄した。洗浄した沈殿物を真空下で乾燥させて、鮮黄色の固体(941.0mg、1.536ミリモル、27.9%の収率)として実施例8Aの17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−BAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0210】
実施例8B. 先の実施例8AにおけるT=60で取り出した有機層を飽和NaClで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過した。混合物の減圧下で濃縮して、オレンジ−黄色の固体(1.025g、1.60ミリモル、29.2%の収率)として実施例8Bの17−ベンジルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−BAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0211】
実施例8Aと8Bの比較 実施例8Bの17−BAG−HQと比べると、実施例8Aの17−BAG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図10および表4参照のこと)。より優れた安定性は、実施例8Bの17−BAG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例8Aの17−BAG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表3参照)。
【表3】

【表4】

【0212】
実施例9. 17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシン(17−FEAG)の調製
【化25】

【0213】
DCM(143ml、0.050M)中のゲルダナマイシン(4.00g、7.13ミリモル、1当量)の溶液に、2−フルオロエチルアミン塩酸塩(7.10g、71.3ミリモル、8当量)およびジイソプロピルエチルアミン(24.85ml、143ミリモル、20当量)を加えた。この反応系を窒素雰囲気下で24時間に亘り22℃で撹拌した。この最中に、反応混合物が黄色の溶液から濃い紫色の溶液に変化した。この反応溶液を塩化水素酸(23.78ml、6N、20当量)で抑制し、350mlのEtOAcで希釈し、150mlの飽和NaClで洗浄した。水層を150mlの酢酸エチルで抽出(3回)して、紫色の生成物を除去した。有機層を収集し、MgSO4上で乾燥させ、減圧下で濃縮して、17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシン(17−FEAG)(4.20g、7.10ミリモル、99%)を生成した。純度パーセント(HPLC−UV):99%。
【0214】
実施例10. 17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−FEAG−HQ)の調製
【化26】

【0215】
実施例10A. EtOAc(30ml)中の17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシン(17−FEAG)(3.0g、5.07ミリモル)の溶液に、新たに調製した次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)の20%水溶液(125ml中25g;1.1M)を加えた。紫色の反応混合物が黄色に変わるまで(60分間)、二相混合物を激しく撹拌し、有機層中に沈殿物が形成された(24時間)。有機層を濾過し、沈殿物を酢酸エチル(25ml、3回)および水(25ml、3回)のいくつかのアリコートで洗浄した。有機濾液を、実施例10Bの17−FEAG−HQの調製(下記参照)に使用するために貯蔵した。沈殿物を真空下で乾燥させて、鮮黄色の固体(1.667g、2.81ミリモル、55.4%の収率)として実施例10Aの17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−FEAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):98%。
【0216】
実施例10B. 実施例10Aからの有機濾液に、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)の水溶液(100ml中20g;1.1M)を加えた。二相混合物を1時間に亘り激しく撹拌して、17−FEAG−HQへの完全な転化を確実にした。黄色の有機層を分離し、100mlのNaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶液を濾過し、乾燥剤を100mlのEtOAcで濯いだ。有機層を組み合わせ、この溶液を減圧下で濃縮して、鮮黄色の固体(735.6mg、1.239ミリモル、24.4%の収率)として実施例10Bの17−(2−フルオロエチルアミノ)−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−FEAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0217】
実施例10Aと10Bの比較 実施例10Bの17−FEAG−HQと比べると、実施例10Aの17−FEAG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図11および表6参照のこと)。より優れた安定性は、実施例10Bの17−FEAG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例10Aの17−FEAG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表5参照)。
【表5】

【表6】

【0218】
実施例11. 17−アリルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AAG−HQ)の調製
【化27】

【0219】
実施例11A. EtOAc(60ml)中の17−アリルアミノ−ゲルダナマイシン(17−AAG)(3.03g、5.17ミリモル、1.0当量)の溶液に、22℃で、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)(125ml中25g;1.1M)を加えた。紫色の混合物が黄色に変わるまで(60分間)、二相混合物を激しく撹拌し、有機層中に沈殿物が形成された(60時間)。有機層を濾過し、沈殿物を酢酸エチル(25ml、3回)および水(25ml、3回)のいくつかのアリコートで洗浄した。有機濾液を、実施例11Bの17−AAG−HQの調製(下記参照)に使用するために貯蔵した。洗浄した沈殿物を収集し、真空下で乾燥させて、鮮黄色の固体(654.0mg、1.11ミリモル、21.5%の収率)として実施例11Aの17−アリルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):98%。
【0220】
実施例11B. 実施例11Aからの有機濾液に、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)の水溶液(100ml中20g;1.1M)を加えた。二相混合物を1時間に亘り激しく撹拌して、17−AAG−HQへの完全な転化を確実にした。黄色の有機層を分離し、100mlのNaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた。有機溶液を濾過し、乾燥剤を100mlのEtOAcで濯いだ。有機層を組み合わせ、この溶液を減圧下で濃縮して、錆びた黄色の固体(2.25g、3.38ミリモル、74.0%の収率)として実施例11Bの17−アリルアミノ−ゲルダナマイシンヒドロキノン(17−AAG−HQ)を得た。純度パーセント(HPLC−UV):97%。
【0221】
実施例11Aと11Bの比較 実施例11Bの17−AAG−HQと比べると、実施例11Aの17−AAG−HQは、40℃および75%の相対湿度(RH)で保持したときのある期間に亘るより優れた安定性を示す(図12および表8参照のこと)。より優れた安定性は、実施例11Bの17−AAG−HQの硫黄含有量と比べで、実施例11Aの17−AAG−HQのより多い硫黄含有量によるものであろう(表7参照)。
【表7】

【表8】

【0222】
実施例12. 可溶化剤または懸濁剤
溶媒(2ml)をピペットで採取して、ラベルの付いたガラス瓶に入れた(表9)。ヘッドスペースをアルゴンでパージした後、溶媒のバイアルを1時間に亘り4℃で冷やした。実施例2の17−AG−HQ(10mg)を各溶媒バイアルに加え、ヘッドスペースをアルゴンで再びパージした。1時間までに亘りバイアルの色の変化を調べた。変色は安定性の指標である:17−AG−HQは黄色であるのに対し、17−AGはピンク色であり、それゆえ、黄色からピンク色への変色は、、17−AG−HQから17−AGへの酸化を示すであろう。この実験の結果が下記の表9に要約されている。適切な溶媒または懸濁剤のこのリストは、実施例3〜6、8、10または11のヒドロキノンを可溶化/懸濁に適用できる。
【表9】

【0223】
実施例13. 実施例2の配合物17−AG−HQ
(A) NaHSO3および糖類
重亜硫酸ナトリウム(3.5ml;100mlの水中に1g)と様々な糖類(250mg)の水性混合物を渦流で混合することによって、異なる溶液を調製した。これらの溶液を30分間に亘り4℃で冷蔵庫内に保管した。次いで、実施例2の17−AG−HQを100mg、各溶液に加え、渦流で混合することにより溶解した。得られた溶液を4時間に亘り−80℃で冷蔵庫内に保管し、次いで、48時間に亘り凍結乾燥させて、様々な17−AG−HQ配合物を提供した。比較目的のために、上述した方法によるが、糖類を除いた(すなわち、重硫酸ナトリウムのみ)配合物を調製した。実施例2の17−AG−HQの例示の配合物が表10に列記されている。
【表10】

【0224】
(B) NaHSO3およびポリマー
10mlの重亜硫酸ナトリウムの水溶液(100mlの水中に1g)に300mgのポリビニルアルコール(PVA)および3mgのTween80を加え、この溶液を1時間に亘り70℃で撹拌することによって、溶液を調製した。次いで、3.5mlのこの溶液に100mgの実施例2の17−AG−HQを加え、渦流で混合することによって溶解させた。この溶液を4時間に亘り−80℃で冷蔵庫内に保管し、次いで、48時間に亘り凍結乾燥させた。PVA、Tween−80および実施例2の17−AG−HQの混合物からなるこの例示のポリマー配合物が表11に要約されている。
【表11】

【0225】
40℃および75%のRHでの上述した配合物に関する安定性データが、図13および表12に示されている。データから分かるように、全ての配合物は、配合されていない実施例2の17−AG−HQと比べて、一ヶ月の期間に亘りより大きい安定性を示した。
【表12】

【0226】
実施例14. 実施例3の17−AG−HQの配合物
(A) NaHSO3および糖類
重亜硫酸ナトリウム(3.5ml;100mlの水中に1g)と様々な糖類(250mg)の水性混合物を渦流で混合することによって、異なる溶液を調製した。これらの溶液を30分間に亘り4℃で冷蔵庫内に保管した。次いで、実施例3の17−AG−HQを100mg、各溶液に加え、渦流で混合することにより溶解した。得られた溶液を4時間に亘り−80℃で冷蔵庫内に保管し、次いで、48時間に亘り凍結乾燥させた。比較目的のために、上述した方法によるが、糖類を除いた(すなわち、重硫酸ナトリウムのみ)配合物を調製した。実施例3の17−AG−HQの例示の配合物が表13に列記されている。
【表13】

【0227】
40℃および75%のRHでの17−AG−HQ配合物に関する安定性データが、図14および表14に示されている。データから分かるように、全ての配合物は、配合されていない実施例3の17−AG−HQと比べて、より高い安定性を示した。
【表14】

【0228】
(B) NaHSO3および鉱油
10mlの軽油に重亜硫酸ナトリウム(100mg)を加え、高剪断ホモジナイザを使用して、5分間に亘り均質化した。調製された懸濁液を20mlのシンチレーション・ガラス瓶にピペットで取り分け(5ml)、これに140mgの実施例3の17−AG−HQを加え、粒子が油中に分散されるまで、5分間に亘り均質化することによって、懸濁液を混合した。油懸濁液中の粒子は、直ぐに沈降したが、振盪により容易に再懸濁できた。
【0229】
40℃および75%のRHでの鉱油配合物に関する安定性データが、図15および表15に示されている。
【表15】

【0230】
(C) NaHSO3およびポリマー(マイクロカプセル封入配合物)
実施例3の17−AG−HQを、以下の水中油エマルション法を使用して、高分子量ポリビニルアルコールポリマー中にマイクロカプセル封入した。
【0231】
重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)(100mg)を10mlの脱イオン水中に溶解させた。この溶液に、ポリビニルアルコール(PVA、300mg)およびTween80(3mg)を加え、70℃で1時間に亘り撹拌することによって溶解させた。50mgの重亜硫酸ナトリウムを5mlの軽油に加え、高剪断ホモジナイザを使用して5分間に亘り均質化することによって、実施例3の17−AG−HQの鉱油懸濁液を調製した。実施例3の17−AG−HQ(70mg)をこの油に加え、粒子が油中に分散されるまで5分間に亘り均質化することによって、懸濁液を混合した。
【0232】
3.5mlのPVA/Tween水溶液に、1mlの鉱油中の17−AG−HQの懸濁液を注射器で滴下により撹拌しながら徐々に加えることによって、水中油エマルションを調製した。このエマルションを、透明な溶液中で小さな黄色のマイクロスフェアが分離するまで、さらに5分間に亘り撹拌した。このマイクロスフェアを濾過し、20mlのシンチレーション瓶中に収集し、これを、4時間に亘り−80℃で冷蔵庫内に保管し、48時間に亘り凍結乾燥した。所望の生成物を、マイクロスフェアの錆びた黄色のスポンジとして得た。
【0233】
40℃および75%のRHでの実施例3の17−AG−HQのマイクロカプセル封入配合物に関する安定性データが、図16に示されている。このデータから分かるように、この配合物は、高温および高湿度の条件下で良好な安定性を示す。
【0234】
実施例15. 実施例6B,8B,10Bおよび11Bの配合物
(A) NaHSO3
重亜硫酸ナトリウム水溶液(100mlの水中に1g)を氷上で冷却し、20分間に亘り窒素でパージした。この溶液3.5mlに、実施例6B,8B,10Bおよび11Bのヒドロキノン100mgを加え、この混合物を渦流による混合によって溶解させた。各反応瓶を窒素でパージし、密封し、4時間に亘り−80℃で貯蔵し、次いで、24時間に亘り凍結乾燥した。各ヒドロキノン配合物を錆びた黄色の粉末として得た。
【0235】
40℃および75%のRHでのこれらの配合物に関する安定性データが、図17,19,21および23並びに表16〜19に示されている。このデータから分かるように、ヒドロキノン配合物は、配合されていない実施例6B,8B,10Bまたは11Bのヒドロキノンと比べて、優れた安定性を示した。
【0236】
(B) NaHSO3および鉱油
重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)(1g)および軽油(100ml)の懸濁液を、高剪断ホモジナイザを使用して、5分間に亘り均質化した。この懸濁液3.5mlに、実施例6B,8B,10Bまたは11Bのヒドロキノン100mgを加え、粒子が油中に均等に分散されるまで、混合物を渦流により混合した。油懸濁液中の粒子は、直ぐに沈降したが、振盪により容易に再懸濁できた。
【0237】
40℃および75%のRHでの鉱油配合物に関する安定性データが、図17,19,21および23並びに表16〜19に示されている。このデータから分かるように、全ての配合物は、配合されていない実施例6B,8B,10Bまたは11Bのヒドロキノンと比べた場合、優れた安定性を示した。
【0238】
(C) 亜リン酸ジブチル
亜リン酸ジブチル水溶液(100mlの水中に1mlの亜リン酸ジブチル)を氷上に保持し、20分間に亘り窒素でパージした。この溶液3.5mlに、実施例6B,8B,10Bまたは11Bのヒドロキノン100mgを加え、この混合物を渦流による混合によって溶解させた。各反応瓶を窒素でパージし、密封し、4時間に亘り−80℃で貯蔵し、次いで、24時間に亘り凍結乾燥した。各ヒドロキノン配合物を錆びた黄色の粉末として得た。
【0239】
40℃および75%のRHでのこれらの配合物に関する安定性データが、図18,20,22および24並びに表16〜19に示されている。このデータから分かるように、実施例6Bの17−AG−HQ(図18)および実施例8Bの17−BAG−HQ(図20)の配合物は、配合されていない実施例6Bおよび8Bのヒドロキノンと比べた場合、安定性においてほとんどまたは全く改善を示していない。実施例10Bの17−FEAG−HQ(図22)および実施例11Bの17−AAG(図24)の配合物は、配合されていない実施例10Bおよび11Bのヒドロキノンと比べた場合、安定性においてある程度の改善(すなわち、それぞれ、10%および25%の改善)を示した。
【0240】
(D) 亜リン酸ジブチルおよび鉱油
亜リン酸ジブチル(1ml)および軽油(100ml)の懸濁液を、高剪断ホモジナイザを使用して5分間に亘り均質化した。この懸濁液3.5mlに、実施例6B,8B,10Bまたは11Bのヒドロキノン100mgを加え、粒子が油中に均等に分散されるまで、この混合物を渦流により混合した。油懸濁液中の粒子は、直ぐに沈降したが、振盪により容易に再懸濁できた。
【0241】
40℃および75%のRHでの鉱油懸濁液に関する安定性データが、図18,20,22および24並びに表16〜19に示されている。このデータから分かるように、実施例8Bの17−BAG−HQ(図20)の配合物は、配合されていない実施例8Bのヒドロキノンと比べた場合、安定性においてほとんどまたは全く改善を示していない。実施例6Bの17−AG−HQ(図18)、実施例10Bの17−FEAG−HQ(図22)および実施例11Bの17−AAG(図24)の配合物は、配合されていない実施例6B,10Bおよび11Bのヒドロキノンと比べて、安定性においてある程度の改善(すなわち、それぞれ、10%、20%および30%の改善)を示した。
【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【0242】
同等物
当業者は、日常の実験しか使用しないで、ここに記載された本発明の特定の実施の形態に対する多くの同等物を認識する、または確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の一部を形成し、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有化合物および式(I):
【化1】

のヒドロキノン化合物を含む組成物であって、
R1は、-H, -OR8, -SR8, -N(R8)(R9), -N(R8)C(O)R9, -N(R8)C(O)OR9, -N(R8)C(O)N(R8)(R9), -OC(O)R8, -OC(O)OR8, -OS(O)2R8, -OS(O)2OR8, -OP(O)2OR8または-CNであり;
R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,または-C(=O)CH3から選択され;もしくは、R2およびR3が、それらが結合している窒素と一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員のヘテロシクリル環を表し;
R4が-H,アルキル,アルケニルまたはアラルキルであり;
R5およびR6が各々-Hであるか、またはR5およびR6が一緒になって結合を形成し;
R7が、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルであり;
R8およびR9の各例が、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルから選択され;もしくはR8およびR9が一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員の必要に応じて置換されたヘテロシクリル環を表し;
前記組成物の硫黄含有量が、元素分析により測定して、0.05パーセントより多いことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記化合物が、式(I−a):
【化2】

のものであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物が、式(I−b):
【化3】

のものであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が、式(I−c):
【化4】

のものであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記化合物が、式(I−d):
【化5】

のものであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
R2が、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,およびヘテロアラルキルからなる群より選択され;R3が-Hであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
R2が-Hであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項8】
R2がアルキルであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項9】
R2がアルケニルであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項10】
R2がアラルキルであることを特徴とする請求項6記載の組成物。
【請求項11】
前記式(I)の化合物が:
【化6】

【化7】

からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物の硫黄含有量が、元素分析により測定して、0.1パーセントより多いことを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項13】
前記硫黄含有化合物が亜硫酸塩であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項14】
前記亜硫酸塩が、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カルシウム、重亜硫酸マグネシウム、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸マグネシウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、次亜硫酸カリウム、次亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カルシウム、次亜硫酸マグネシウム、およびホルムアルデヒドスルホキシ酸ナトリウム(SFS)からなる群より選択されることを特徴とする請求項3記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1日間に亘り40℃および75%の相対湿度で安定であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項16】
請求項1記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を有してなる医薬配合物。
【請求項17】
前記薬学的に許容される賦形剤が糖であることを特徴とする請求項16記載の配合物。
【請求項18】
前記糖が、無水ラクトース、ラクトース一水和物、トレハロースおよびヒドロキシプロピル−ガンマ−CDからなる群より選択されることを特徴とする請求項17記載の配合物。
【請求項19】
前記薬学的に許容される賦形剤がポリマーであることを特徴とする請求項16記載の配合物。
【請求項20】
前記ポリマーがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項19記載の配合物。
【請求項21】
前記薬学的に許容される賦形剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項16記載の配合物。
【請求項22】
前記界面活性剤がTween界面活性剤であることを特徴とする請求項21記載の配合物。
【請求項23】
前記薬学的に許容される賦形剤が酸化防止剤であることを特徴とする請求項16記載の配合物。
【請求項24】
前記酸化防止剤が重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)であることを特徴とする請求項23記載の配合物。
【請求項25】
前記薬学的に許容される賦形剤が可溶化剤または懸濁剤であることを特徴とする請求項16記載の配合物。
【請求項26】
前記可溶化剤または懸濁剤が、水、有機溶媒、油、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項25記載の配合物。
【請求項27】
方法において、
(i) 硫黄含有化合物の存在下で、式(II):
【化8】

の化合物、またはその薬学的に許容される塩を、式(I):
【化9】

の化合物に還元させる工程であって、
ここで、
R1は、-H, -OR8, -SR8, -N(R8)(R9), -N(R8)C(O)R9, -N(R8)C(O)OR9, -N(R8)C(O)N(R8)(R9), -OC(O)R8, -OC(O)OR8, -OS(O)2R8, -OS(O)2OR8, -OP(O)2OR8または-CNであり;
R2およびR3の各々は、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,ヘテロアラルキル,または-C(=O)CH3から選択され;もしくは、R2およびR3が、それらが結合している窒素と一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員のヘテロシクリル環を表し;
R4が-H,アルキル,アルケニルまたはアラルキルであり;
R5およびR6が各々-Hであるか、またはR5およびR6が一緒になって結合を形成し;
R7が、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルであり;
R8およびR9の各例が、独立して、-H,アルキル,アルケニル,アルキニル,シクロアルキル,シクロアルケニル,ヘテロシクリル,アリール,アラルキル,ヘテロアリール,またはヘテロアラルキルから選択され;もしくはR8およびR9が一緒になって、O,N,S,およびPから選択される1から3のヘテロ原子を含有する3員から8員の必要に応じて置換されたヘテロシクリル環を表すものである工程;および
(ii) 沈殿物を単離する工程であって、該沈殿物が、硫黄含有化合物および式(I)の化合物を含む組成物である工程、
を有してなり、
前記組成物の硫黄パーセントが、元素分析により測定して、0.05パーセントより多いことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記組成物が、少なくとも1日間に亘り40℃および75%の相対湿度で安定であることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記硫黄含有化合物が亜硫酸塩であることを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項30】
治療に効果的な量の請求項1記載の組成物または請求項16記載の医薬配合物をその必要のある被験者に投与する工程を有してなる、増殖性疾患を治療する方法。
【請求項31】
前記増殖性疾患が、消化管間質腫瘍(GIST)、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、真正赤血球増加症、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、重鎖病、軟部組織肉腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、頚癌、子宮癌、睾丸癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、子宮内膜癌螺旋、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型リンパ腫、外套細胞リンパ腫、肝細胞癌、甲状腺癌、胃癌、食道癌、頭部癌および頚部癌、小細胞癌、本態性血小板血症、原因不明骨髄性化生、好酸球増加症候群、全身性肥満細胞症、馴染みのある好酸球増加、慢性好酸球性白血病、神経内分泌癌、およびカルチノイド腫瘍からなる群より選択されることを特徴とする請求項30記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2012−505911(P2012−505911A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532245(P2011−532245)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/060819
【国際公開番号】WO2010/045442
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(511093029)インフィニティー ファーマスーティカルズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】INFINITY PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】