説明

アンジオテンシン受容体遮断薬及びバソプレッシン受容体拮抗薬を含む併用療法

本発明は、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)と、を含有する特定の製薬学的組成物、並びにこれらの化合物、組成物、中間生成物、及び誘導体を調製するための方法、並びにバソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患の処置のための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国仮出願第61/104,282号(2008年10月10日出願)の優先権を請求するものであり、この仮出願を参考として本明細書に組み入れる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)とを含有する製薬学的組成物に関する。本発明はまた、このような製薬学的組成物をヒト患者に投与することを含み、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びに、バソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病を含む、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患の進行を処置、改善、及び/又は阻止する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
バソプレッシンは、主に下垂体後葉から分泌されるノナペプチドホルモンである。このホルモンは、V1a及びV2受容体サブタイプを介してその作用をもたらす。バソプレッシンの機能には、子宮、膀胱、及び血管平滑筋の収縮、肝臓におけるグリコーゲン分解の刺激、血小板凝集の誘発、下垂体前葉からのコルチコトロピンの放出、並びに腎臓の水再吸収の刺激が挙げられる。中枢神経系(CNS)内の神経伝達物質として、バソプレッシンは攻撃行動、性行動、ストレス応答、社会行動、及び記憶に影響し得る。V1a受容体は、バソプレッシンの中枢神経系効果、平滑筋の収縮及び肝臓グリコーゲン分解効果に介在するが、V1b受容体はバソプレッシンの下垂体前葉効果を媒介する。おそらく腎臓内でのみ見出されるV2受容体は、細胞内アデニル酸シクラーゼの刺激を介した、バソプレッシンの抗利尿作用に影響する(Liebsch,G et al、Neurosci.1996,217,101)。
【0004】
血漿バソプレッシン濃度上昇は、鬱血性心不全の発症機序に関与すると思われる(P.A.Van Zwieten,Progr.Pharmacol.Clin.Pharmacol.1990,7,49)。鬱血性心不全の処置へ向けた進展として、非ペプチドバソプレッシンV2受容体拮抗薬は、鬱血性心不全を有する、意識のあるイヌにおいて低浸透圧の自由水の利尿及び末梢抵抗の低減を誘発している(H.Ogawa,J.Med.Chem.1996,39,3547)。ある種の病理学的状態では、血漿バソプレッシンレベルは特定の浸透圧に関しては不適切に上昇することがあり、それにより腎臓水鬱滞及び低ナトリウム血症をもたらし得る。浮腫症状(硬変、鬱血性心不全、腎不全)を伴う低ナトリウム血症には、抗利尿ホルモン(SIADH)の不適切な分泌に関する症候群が伴われ得る。バソプレッシンV2拮抗薬を用いるSIADH−弱体化ラットの処置は、ラットに既発の低ナトリウム血症を調整する(G.Fujisawa,Kidney Int.1993,44(1),19)。血管内のV1a受容体でのバソプレッシンの収縮作用に一部起因して、バソプレッシンV1a拮抗薬は血圧を低下させ、また高血圧症に対して見込みのある処置を示す。既知のバソプレッシン受容体拮抗薬には、YM−087(Yamanouchi);VPA−985、WAY−140288、及びCL−385004(American Home Products);SR−121463(Sanofi−Synthelabo);並びにOPC 31260、OPC 41061、及びOPC 21268(Otsuka)が挙げられる。
【0005】
それゆえに、バソプレッシン受容体拮抗薬は、高血圧症、低ナトリウム血症、鬱血性心不全/心臓機能不全、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、脳浮腫及び虚血、脳卒中、血栓症、並びに水鬱滞の症状における治療薬として有用である。追加的な症状には、ネフローゼ症候群、中枢神経系損傷、月経困難症、侵襲、多発性嚢胞腎、不安症、強迫性障害、及びバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病を挙げることができる。
【0006】
特に、腎症及び腎不全は、長期の糖尿病及び/又は高血圧症の一般的な合併症である。アンジオテンシン受容体拮抗薬の投与と組み合わせた、厳格な血糖コントロール及び高血圧症の適切なコントロールの維持が、疾病の進行を遅らせ得ることが十分に実証されている。この標準的な治療が存在するにもかかわらず、腎不全の進行の有意な危険性及び発生は残っている。それゆえに、この疾病の進行を更に遅らせる新規な処置に対する、有意な未達成の医学的ニーズが存在する。
【0007】
ヒトにおける進行性腎症の、最も一般的に認められている理論は、様々な病理学的障害(例えば、糖尿病、炎症など)によるネフロン数の初期減少を伴い、この初期減少は、腎機能の損失を補償するために、糸球体の圧力及び流量が適応的に増大する結果として、残存する機能中ネフロンの障害を引き起こす(Anderson S,Meyer TW,Brenner BM:The role of hemodynamic factors in the initiation and progression of renal disease.J Urol 133:363 368,1985;Remuzzi G,Bertani T:Pathophysiology of progressive nephropathies.N Engl J Med 339:1448 1456,1998.)。これらの元々は健常なネフロンにおいて必然的な過剰濾過が維持される原因となる糸球体高血圧症は、血漿タンパク質の濾過の増加を伴い、この血漿タンパク質(尿細管エンドサイトーシスにより大部分は再吸収される)は、組織瘢痕及び機能障害を導く腎炎誘発作用を示す。それゆえに、1つの腎臓の除去及び残存する腎臓の一部分の損傷により誘発されたネフロンの人為的喪失を伴う、ラット残存腎臓モデルは、ヒト腎症において生じるプロセス及び病理をシミュレートするための良好なモデルを提示する(Olson JL,Hostetter TH,Rennke HG,Brenner BM,Venkatachalam MA:Altered glomerular permselectivity and progressive sclerosis following extreme ablation of renal mass.Kidney Int 22:112 126,1982)。更に、このモデルは、腎不全に対する処置に関して、良好な臨床有効性を有する。重要なことには、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害(Anderson S,Rennke HG,Brenner BM:Therapeutic advantage of converting enzyme inhibitors in arresting progressive renal disease associated with systemic hypertension in the rat.J Clin Invest 77:1993 2000,1986.)及びアンジオテンシン受容体拮抗薬(Tarif N and Bakris GL:Angiotensin II receptor blockade and progression of nondiabetic−mediated renal disease.Kidney Int.52:S67〜S70,1997)は、残存腎臓モデルにおいて有効であることが示されており(尿タンパク、血清クレアチニン、及び糸球体硬化の低減によって証明されるように)、その後、糖尿性腎症を有する患者における尿タンパクを低減すると共に、血清クレアチニンのような他の腎機能測定値を改善することが示された(Kshirsagar,AV,Joy,MS,Hogan,SL,Falk,RJ & Colindres,RE:Effect of ACE inhibitors in diabetic and nondiabetic chronic renal disease:a systematic overview of randomized placebo−controlled trials.Am.J.Kidney Dis,35:695〜707,2000;Coyle,JD Gardner,SF & White,CM:The renal protective effects of angiotensin II receptor blockers in type 2 diabetes mellitus.Annals Pharmacotherapy,38:1731〜8,2004)。更に、臨床試験は、ACE阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬での処置が腎不全に至る時間(透析又は腎臓移植にとって必要な)を増加させることを示した。それゆえに、尿アルブミン(albumen)の削減は、処置機序から独立した疾病の進行における影響を予測する、良好なサロゲートである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬とを含む、治療的に有効な製薬学的組成物に対するニーズが存在する。バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患の進行の処置、改善、及び/又は遅延のための、有効な方法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む、製薬学的組成物を目的とする。
【0010】
本発明はまた、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病、あるいは患者におけるこれらの関連する症候群若しくは合併症が挙げられるが、これらに限定されないバソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患の進行の処置、改善、及び/又は遅延のための方法にも関し、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬をこの患者に投与すること、及び治療的に有効な量の少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬をこの患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0011】
本発明の開示された実施形態では、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいはそれらの関連する症候群若しくは合併症は、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される。好ましくは、これらの症状のいずれかを処置するために投与される化合物の治療的に有効な量は、1日当たり約0.05g〜1gである。
【0012】
本発明は更に、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される症状の進行の処置、改善、及び/又は遅延させるための薬剤の調製のための、1つ以上のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせた少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬の使用も目的とする。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、「発明を実施するための形態」、「実施例」、及び添付の「特許請求の範囲」から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ビヒクル−処置動物における、腎臓質量減少(RMR)の21日後の尿タンパク及び血清クレアチニンの著しい増加、並びに1ヶ月目及び2ヶ月目でのこれらの測定値の漸進的増加を示す図。
【図2】実験の終わりの時点でのラット残存腎臓モデルにおける腎臓の組織学的検査に基づく構造的損傷の測定を示す図。
【図3】ラット残存腎臓モデルにおける血圧値を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
特に指示がない限り、以下の定義は本明細書及び請求項を通して適用される。
【0016】
「少なくとも1つ」は、1つ以上(例えば、1〜3、1〜2、又は1)を意味する。
【0017】
「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物、並びに特定の成分の特定の量の組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0018】
「組み合わせて」は、本発明の処置の方法において他の薬剤と共に式Iの化合物を投与することを説明するために使用するとき、式Iの化合物及び他の薬剤が、別個の剤形で連続して又は同時に投与されるか、あるいは同一の剤形で同時に投与されることを意味する。
【0019】
「哺乳類」は、ヒトを含み、好ましくはヒトを意味する。
【0020】
「患者」は、ヒト及び他の哺乳類の両方を含み、好ましくはヒトである。
【0021】
「アルキル」は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜12個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子、を有する直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素鎖を意味する。
【0022】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、式中、アルキルは上で定義されている通りである。アルコキシ基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、及びn−ブトキシが挙げられる。親部分との結合には、エーテル酸素を介する。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、製薬学的組成物は、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬、少なくとも1種のバソプレッシンV1a/V2受容体拮抗薬、及び製薬上許容できる担体を含む。
【0024】
多くのアンジオテンシン受容体遮断薬を、本発明において使用することができる。本発明の組成物で使用するアンジオテンシン受容体遮断薬は、当該技術分野において周知であり、いくつかは、高血圧症、糖尿病性腎症、及び慢性心不全の処置のために日常的に使用される。例えばイルベサルタン(米国特許第5,270,317号)、カンデサルタン(米国特許第5,196,444号、及び同第5,705,517号)、バルサルタン(米国特許第5,399,578号)、及びロサルタン(米国特許第5,138,069号)が、一般的に使用されるARBである。上述の特許は全て、それらの教示する典型的なアンジオテンシン受容体遮断薬に関し、参考として本明細書に組み入れる。
【0025】
本発明の1つの実施形態では、アンジオテンシン受容体遮断薬はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、アンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタンである。
【0026】
本発明のバソプレッシン拮抗薬は、任意のアルギニンバソプレッシン又は抗利尿ホルモンの生物活性を阻害するのに有効である任意の化学化合物として定義される。
【0027】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン拮抗薬は、式(I)の化合物
【0028】
【化1】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0029】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である(米国特許出願第10/869,746号を参照されたい)。
【0030】
本発明の実施形態は、化合物1のバソプレッシン拮抗薬
【0031】
【化2】

【0032】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩を更に目的とする。
【0033】
本発明の別の実施形態では、製薬学的組成物はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、式(I)
【0034】
【化3】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0035】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0036】
本発明の更なる実施形態では、この製薬学的組成物はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、
【0037】
【化4】

【0038】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は製薬上許容できる塩である、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0039】
本発明の更なる実施形態では、この製薬学的組成物はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、式(I)
【0040】
【化5】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ、又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0041】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0042】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。本発明の更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0043】
本発明のまた更なる実施形態では、この製薬学的組成物は、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(こうしたアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタンである)と、式(I)
【0044】
【化6】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0045】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0046】
本発明の更なる実施形態では、この製薬学的組成物はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、
【0047】
【化7】

【0048】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0049】
本発明の別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。本発明の更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0050】
本発明のまた更なる実施形態では、この製薬学的組成物は、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(こうしたアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタンである)と、
【0051】
【化8】

【0052】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む。
【0053】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいは患者におけるそれらの関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0054】
本発明の1つの実施形態では、バソプレッシン介在性疾患、あるいは患者におけるその関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0055】
本発明の1つの実施形態では、アンジオテンシン介在性疾患、あるいは患者におけるその関連する症候群若しくは合併症、を処置するための方法が開示され、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0056】
本発明の更なる実施形態では、本方法はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、式(I)
【0057】
【化9】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0058】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0059】
本発明の更なる実施形態では、本方法はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬(こうした拮抗薬は
【0060】
【化10】

【0061】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0062】
本発明の更なる実施形態では、本方法はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、式(I)
【0063】
【化11】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0064】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0065】
別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0066】
本発明の更なる実施形態では、本方法はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬(こうした拮抗薬は
【0067】
【化12】

【0068】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩である)、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0069】
別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0070】
本発明の更なる実施形態では、本方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(こうしたアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタンである)を、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬(こうした拮抗薬は
【0071】
【化13】

【0072】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩である)、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の治療効果を提供する。
【0073】
本発明の別の実施形態では、患者におけるバソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいはそれらの関連する症候群若しくは合併症の進行を阻止、若しくは遅延させるための方法が存在し、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせてこの患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0074】
本発明のそのような1つの実施形態では、この方法はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、式(I)
【0075】
【化14】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0076】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0077】
本発明のこのような1つの実施形態では、この方法はイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬(こうした拮抗薬は
【0078】
【化15】

【0079】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩である)、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0080】
本発明の更に別のそのような実施形態では、この方法はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、式(I)
【0081】
【化16】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
【0082】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0083】
別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0084】
本発明の更に別のそのような実施形態では、この方法はロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬(こうした拮抗薬は、式(I)の化合物
【0085】
【化17】

【0086】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)、及び製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0087】
別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びイルベサルタンからなる群から選択される。更に別の実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬はロサルタン及びバルサルタンからなる群から選択される。
【0088】
本発明の更に別のそのような実施形態では、この方法は、治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬(こうした阻害剤はロサルタンである)を、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬(こうした拮抗薬は、
【0089】
【化18】

【0090】
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩である)と、製薬上許容できる担体と組み合わせて、この患者に投与することを含み、この組み合わせ投与は、所望の予防効果を提供する。
【0091】
本発明の1つの実施形態では、この疾患は内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、脳卒中、血栓症、水鬱滞、侵襲、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群及び中枢神経系損傷の疾病状態から選択される。
【0092】
本発明の別の実施形態では、この疾患は糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病から選択される。
【0093】
1つの実施形態では、疾患は腎症である。別の実施形態では、疾患は進行性腎不全である。更に別の実施形態では、疾患は糖尿病性腎症である。更に別の実施形態では、疾患は多発性嚢胞腎である。更に別の実施形態では、疾患は鬱血性心不全である。更に別の実施形態では、疾患は高血圧症である。更に別の実施形態では、疾患は低ナトリウム血症である。更に別の実施形態では、疾患は浮腫である。更に別の実施形態では、疾患はバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる。
【0094】
本発明の1つの実施形態では、少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬、及び製薬上許容できる担体を共に配合することを含む、製薬学的組成物を配合するためのプロセスが開示される。
【0095】
薬剤での使用に関して、式(I)の化合物の塩は、非毒性の「製薬上許容できる塩」を指す。しかしながら、他の塩も式(I)の化合物又はその製薬上許容できる塩の調製に有用となり得る。製薬上許容できる、式(I)の化合物の塩としては、例えば、化合物の溶液を塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、又はリン酸のような、製薬上許容できる酸の溶液と混合することにより得られる酸付加塩が挙げられる。更に、式(I)の化合物が酸性部分を有する場合は、その適切な製薬上許容できる塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、及び4級アンモニウム塩のような適切な有機リガンドとで形成された塩を挙げることができる。したがって、代表的な製薬上許容できる塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウム・エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、2塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ハイドロバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物塩、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル臭化物塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミン・アンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/2リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が挙げられる。
【0096】
製薬上許容できる塩の調製に使用し得る代表的な酸及び塩基としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシルスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、蓚酸、パルミトル酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、及びウンデシレン酸が含まれる酸、並びにアンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、2級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、及び水酸化亜鉛が含まれる塩基、が挙げられる。
【0097】
本発明の実施形態は、式(I)の化合物のプロドラッグを含む。一般にそのようなプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に変換され得る化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の処置又は阻止の実施形態の方法においては、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物と共に、又は具体的には開示されていないが、患者への投与後にインビボにおいて特定の化合物に変換される化合物と共に記載される、様々な疾患、症状、症候群、及び障害の処置又は予防を包含する。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する従来の手順は、例えば「Design of Prodrugs」(H.Bundgaard,Elsevier編,1985)に記載されている。
【0098】
本発明の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらはしかるべき鏡像異性体として存在することができる。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含されることを理解されたい。更に、その化合物に関する結晶形態の一部は、多形体として存在でき、このようなものも本発明に含まれるものとする。加えて、化合物の中には水(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成できるものもあり、そのような溶媒和物も本発明の範囲に包含されるものとする。
【0099】
本発明の特定の実施形態に従う化合物の調製のプロセスが、立体異性体の混合物を生じさせる場合は、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々の鏡像異性体をエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製してもよい。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの構成要素である鏡像異性体に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてもよい。
【0100】
本発明の様々な実施形態の化合物のいずれの調製のプロセスの間も、関係するいずれの分子に対する感応性基又は反応性基を保護することが必要であり及び/又は望ましい。このことは、Protective Groups in Organic Chemistry,Second Edition,J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;T.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley & Sons,1999に記載されるもののような、従来の保護基によって達成することができる。保護基は、続く都合のよい段階で、当技術分野にて公知の方法を用いて除去され得る。
【0101】
本発明の化合物(その製薬上許容できる塩及び製薬上許容できる溶媒和物を含む)は、単独で投与することができるにもかかわらず、それらは一般には、目的とする投与経路、及び標準的な薬務若しくは獣医学診療に関連して選択される、医薬担体、賦形剤、又は希釈剤との混合物で投与される。したがって、本発明は、1つ以上の製薬上許容できる担体、賦形剤、又は希釈剤と共に、式(I)の化合物とアンジオテンシン受容体遮断薬との組み合わせを含む、製薬学的組成物及び獣医学的組成物を目的とする。
【0102】
一例として、本発明の実施形態の製薬学的組成物では、式(I)の化合物は、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤、及びそれらの組み合わせと混合することができる。
【0103】
この組み合わせの錠剤又はカプセルを、必要に応じて、単独で、又は2つ以上を同時に投与してもよい。徐放性製剤として化合物を投与することも可能である。
【0104】
あるいは一般式(I)の化合物とアンジオテンシン受容体遮断薬との組み合わせは、吸入で、又は坐薬若しくは膣坐薬の形態で投与することができ、あるいはローション、溶液、クリーム、軟膏、又は散布剤の形態で、局所的に適用してもよい。経皮投与の代替手段は、皮膚貼付剤の使用によるものである。例えば、それらは、ポリエチレングリコールの水性エマルション又は液体パラフィンからなるクリームに組み込むことができる。それらはまた、白ろう又は白色軟パラフィン基材からなる軟膏中に、1〜10重量%の濃度で、必要に応じて、このような安定剤及び防腐剤と共に組み込むことができる。
【0105】
一部の用途では、好ましくは、この組み合わせ組成物は、デンプン若しくはラクトースのような賦形剤を含有する錠剤の形態で、あるいは単独若しくは賦形剤と混合された、カプセル又は卵形剤(ovule)で、あるいは着香剤若しくは着色剤を含有する、エリキシル剤、溶液、又は懸濁液の形態で、経口的に投与される。
【0106】
この組み合わせ組成物(並びに化合物単独)は、例えば陰茎海綿体内、静脈内、筋肉内又は皮下などの、非経口で注入することもできる。この場合、この組み合わせ組成物は、好適な担体又は希釈剤を含む。
【0107】
非経口投与では、この組み合わせ組成物は、血液と等張な溶液を製造するために、例えば十分な塩又は単糖などの他の物質を含有してもよい滅菌水溶液の形態で用いられるのが最良である。
【0108】
口腔投与又は舌下投与では、この組み合わせ組成物は、従来の方式で配合できる、錠剤又はトローチ剤の形態で投与されてもよい。
【0109】
更なる例証として、活性成分として記載されている本発明の化合物の組み合わせを含有する製薬学的組成物及び獣医学的組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、化合物を医薬担体と密に混合することにより調製できる。この担体は、所望する投与経路(例えば経口、非経口)に依存して多種多様な形態をとることができる。したがって、懸濁液、エリキシル剤、及び溶液のような液体経口調製剤では、好適な担体及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香料、防腐剤、安定化剤、着色剤などが挙げられ、散剤、カプセル、及び錠剤のような固体経口製剤では、好適な担体及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。この固体経口製剤はまた、糖のような物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶コーティングされてもよい。非経口投与では、担体は通常、滅菌水からなり、溶解性、又は保存性を増大させるために、他の成分を加えることができる。注射可能な懸濁液又は溶液もまた、水性担体を適切な添加剤と共に使用して調製することができる。
【0110】
有利なことに、本発明の化合物の組み合わせは、1回に1日用量を投与してもよく、又は全1日用量を1日2回、3回、又は4回に分割して投与してもよい。更に本発明の化合物の組み合わせは、当業者に周知である好適な鼻腔内ビヒクルの局所的使用を介して、又は経皮的な皮膚パッチを介して鼻内形態で投与することができる。経皮的送達系の形態で投与するためには、投薬は、当然のことながら、投薬計画全般にわたって断続的ではなく連続的である。
【0111】
本明細書で使用するとき、「治療的に有効な量」は、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患のいずれか1つの進行の処置、改善、又は遅延において明白な効果を与える量である。例えば、治療的に有効な量は、尿タンパクの削減を生じさせることにより、糖尿病性腎症及び進行性腎不全を処置するのに明白な効果を与える量である。本発明の組成物は、アンジオテンシン受容体遮断薬とバソプレッシン拮抗薬とを、約1〜約200、詳細には約5〜約100、更に詳細には約10〜約50の重量比で含有する。典型的な有効量は、アンジオテンシン受容体遮断薬では約4〜約50mgであり、及びバソプレッシン拮抗薬では約10〜約800mgである。
【0112】
本発明に従って有効である正確な投与量は、投与される具体的なアンジオテンシン受容体遮断薬及びバソプレッシン拮抗薬、処置される患者の具体的な症状、処置の持続時間及び疾病の重篤度、並びに妥当な医療的判断を実施する際に日常的に考えられるような他の要因を考慮して、担当する医療施術者により決定される。例えば、ヒトに対する本製薬学的組成物の投与に関して、治療的に有効な量は動物試験の結果から数学的に決定することができる。
【0113】
本発明又はその製薬学的組成物の使用に関する治療的に有効な量は、平均的な(70Kgの)ヒトに対する1日当たり約1〜4回の投薬計画において、約0.1mg〜約3000mg、詳細には約1mg〜約1000mg、より詳細には約10mg〜約500mgの活性成分の用量範囲を含むが、当業者には自明なことであるが、本発明の活性化合物に関する治療的に有効な量は、処置されている症状が変化するにつれて変化する。
【0114】
経口投与では、製薬学的組成物は、好ましくは、処置される患者への投与量を症候に合わせて調節するために、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、及び500ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。
【0115】
また、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患の処置又は予防のために投与すべき、式(I)の化合物とのアンジオテンシン受容体遮断薬の組み合わせの治療的に有効な投与量は、当業者により容易に決定することができ、また所望の効果により変動することも当業者には明らかである。それゆえ、最適な投与量を容易に決定することができ、これは使用する具体的な化合物、投与方法、製剤の強度、及び病状の進行度合によって変動するであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む、処置されている具体的な患者に関連する要因は、投与量を適切な治療濃度に調節する必要性をもたらす。上記投与量は、したがって、平均的な場合の代表例である。当然ながら、より多い又はより少ない投与量の範囲が有効となる、個々の例が存在し得、このようなものも、本発明の範囲内である。
【0116】
本発明の化合物の使用が、それを必要としている患者に関して求められる場合には、常に、本発明の化合物は、上記のいずれの組成物及び投薬計画において、あるいは当技術分野で確立されたそれらの組成物及び投薬計画によって、投与され得る。
【0117】
本発明はまた、本発明の製薬学的組成物及び獣医学的組成物の1つ以上の成分によって充填された、1つ以上の容器を含む、医薬パッケージ若しくは獣医学的パッケージ、又はキットを提供する。所望により、注意書きが、薬剤若しくは生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する政府機関により指定された形式でこのような容器に随伴することができ、この注意書きは、ヒトへの投与に対しての製造、使用又は販売についての機関による認可を反映する。
【0118】
生物学的実験の実施例
以下で説明する生物学的試験によって実証するように、また表I及び表IIに示すように、本発明の化合物−バソプレッシン拮抗薬及びアンジオテンシン受容体遮断薬−は、内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、脳卒中、血栓症、水鬱滞、侵襲、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群、及び中枢神経系損傷の処置に有用であり得る。
【0119】
より具体的には、本発明の化合物−バソプレッシン拮抗薬及びアンジオテンシン受容体遮断薬−は、糖尿病性腎症、進行性腎不全、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/又は浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病の処置に有用であり得る。
【実施例】
【0120】
(実施例1)
腎症のラット残存腎臓モデルにおける有効性
ラット残存腎臓モデルは、重篤な進行性腎不全の動物モデルである。このモデルでは、重篤な進行性腎不全の状態が、1つの腎臓の除去及び腎動脈のいくつかの分枝の結紮を介しての腎臓質量減少(RMR)により生じ、残っている梗塞形成及び腎臓の3分の2の機能喪失がもたらされる。この手順は、重篤な高血圧症、タンパク尿、進行性腎機能低下、尿細管間質性障害、及び糸球体硬化の症状を作り出す(Olson JL,Hostetter TH,Rennke HG,Brenner BM,Venkatachalam MA:「Altered glomerular permselectivity and progressive sclerosis following extreme ablation of renal mass」.Kidney Int 22:112〜126,1982)。
【0121】
腎症は、尿中のタンパク質の量の漸進的増加、血清クレアチニンの増加及び動脈圧の増加として認められる。加えて、糸球体の重篤な硬化、炎症細胞の浸潤及び尿細管障害が、RMRの3ヶ月以内の組織学的分析を介して測定可能である。これらの測定値は、モデルにおける有効性を判定するための基準を形成する。疾病の進行の処置の影響について判定するために、尿タンパク、血清クレアチニン、及び動脈圧をヒトにおいても同様に測定する。
【0122】
この試験の狙いは、このモデルにおけるタンパク尿及び腎疾患の進行に対する、アンジオテンシン受容体遮断薬(ロサルタン)と比較した化合物1の効果、並びに化合物1とロサルタンとの組み合わせ処置の効果を評価することである。これらの作用剤の有効性は、タンパク尿の削減、血清クレアチニンの上昇速度の低下、及び糸球体硬化の削減、並びにこれらによる末期腎不全への進行の遅延と関連している。
【0123】
処置はRMRの21日後に開始した。このとき動物は既に顕性腎症を有していた。処置群(n=12/群)には、ビヒクル処置群、30mg/kg/日の化合物1処置群、10mg/kgのロサルタン処置群、及び10mg/kgのロサルタン+30mg/kg/日の化合物1処置群を含めた。全化合物は、飲料水中で投与した。更に偽手術非処置群も含めた。測定は、RMRの21日後(ただし処置前)、並びに処置の1ヶ月目及び2ヶ月目で行った。致死率は、ビヒクル処置群と比較して、化合物1の群、ロサルタンの群、及び化合物1+ロサルタンの群において低かった(表1)。
【0124】
【表1】

【0125】
図1は、ビヒクル−処置動物におけるRMRの21日後の、尿タンパク及び血清クレアチニンの著しい増加、並びに1ヶ月目及び2ヶ月目でのこれらの測定値の漸進的増加を示す。処置の1ヶ月目及び2ヶ月目において、化合物1、ロサルタン、及び化合物1+ロサルタンは、ビヒクル群と比較して、尿タンパク排出及び血清クレアチニンを低減させた。尿タンパク排出の最大の低減は、組み合わせ処置によって生じた。更には、この効果は、処置の1ヶ月目及び2ヶ月目において統計的に有意であったが、一方ロサルタンの効果は統計的に有意ではなかった。加えて、2ヶ月目において組み合わせ処置のみが、統計的に有意な血清クレアチニンの低減を生じさせた。この組み合わせ処置群における尿タンパク排出及び血清クレアチニンのより有意な低減は、腎保護に関する2つのメカニズム、即ち、アンジオテンシン受容体の遮断とバソプレッシン受容体の阻害とは独立していること、並びに両方の化合物の使用が組み合わされると、ヒト腎症において増分利益を生じさせ得ることを示唆している。
【0126】
実験の終わりの時点で、腎臓は、組織病理学的損傷について量的に検査された。ビヒクル−処置ラット由来の糸球体の60%超が硬化していた(図2)。30mg/kg/日の化合物1は、ビヒクルと比較して硬化した糸球体の割合を減少させる傾向を有したが、これは統計的に有意ではなかった。ロサルタン処置は、ビヒクル−処置ラットと比較して、硬化した糸球体の割合の有意な低減を生じさせていた。重要なことにロサルタンと30mg/kg/日の化合物1との組み合わせ処置は、ロサルタン単独と比較して硬化の更なる減少を生じさせた。尿細管障害のスコアは、3つの処置群の全てにおいて低減したが、それらの効果は統計的に有意ではなかった。腎間質中の単球/マクロファージの蓄積を、ED 1(CD68抗体、単球/マクロファージ特異抗原)陽性細胞の、フィールド毎の数として定量化した。陽性細胞数は、対照ラットと比較して、RMR状態のビヒクル処置ラット(61±5)で有意に多かった。化合物1は、10及び30mg/kg/日(45±5)で腎間質中での単球/マクロファージの蓄積を低減させる傾向を有したが、これは統計的に有意ではなかった。ロサルタン(38±6)、及びロサルタンと30mg/kg/日の化合物1との組み合わせ(38±6)もまた、ビヒクルと比較して細胞数を低減させたが、それらの効果は統計的に有意ではなかった。
【0127】
組織学的データは、尿タンパク及び血清クレアチニンの減少の程度が糸球体内の構造的損傷からの保護の程度と相関することを示し、組み合わせ処置が、ヒト腎症のこの疾病モデルにおいて、腎臓に対する恒久的損傷からの有意に大きな保護を生じることを示唆する。それゆえに、この結果は、組み合わせ処置が、複数の病因に起因する糸球体の機能の喪失を伴うヒト腎症の疾病(例えば、糖尿病性腎症、微量アルブミン尿症を有する慢性高血圧症、膜性腎症及び巣状分節性糸球体硬化症などの糸球体腎炎の形態)に有意な効果を有することを示唆する。
【0128】
(実施例2)
ラット残存腎臓モデルにおける血圧
血圧の減少は、この動物モデル及びヒトにおける腎疾患の進行を遅延させることに貢献することができる。化合物1は、処置の1ヶ月目及び2ヶ月目において、動脈圧を減少させる傾向を有したが、これは、ビヒクルと比較して統計的に有意ではなかった。ロサルタン、及びロサルタンと化合物1との組み合わせは、ビヒクル群と比較して統計的に有意な動脈圧の減少を生じさせた。この組み合わせ処置は、ロサルタン単独と比較して、動脈圧の減少を若干大きく生じさせた。(図3)。
【0129】
(実施例3)
残存腎臓モデルにおける水摂取及び利尿への効果
水摂取及び利尿は、RMR後、全ての処置群で増加した(表2)。実験のコースを通して、いずれの処置群においても有意な差はなかった(表2)。実験の終了時にはいずれの処置群においても、血清ナトリウム及び尿中Na排出に差はなかった(データ省略)。
【0130】
【表2】

【0131】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬と、少なくとも1種のバソプレッシンV1a/V2受容体拮抗薬と、製薬上許容できる担体とを含む製薬学的組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択され、少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が式(I)
【化1】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される、請求項1に記載の製薬学的組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される、請求項2に記載の製薬学的組成物。
【請求項4】
少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタンである、請求項3に記載の製薬学的組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が式(I)
【化2】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択され、及び製薬上許容できる担体である、請求項4に記載の製薬学的組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が
【化3】

あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又はこれらの塩であり、及び製薬上許容できる担体である、請求項5に記載の製薬学的組成物。
【請求項7】
治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて患者に投与することを含み、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいは患者におけるそれらの関連する症候群若しくは合併症の処置方法。
【請求項8】
式(I)
【化4】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬、及び製薬上許容できる担体との組み合わせにおいて、前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択され、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタンである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記バソプレッシン拮抗薬が式(I)
【化5】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択され、及び製薬上許容できる担体であり、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が
【化6】

あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩であり、及び製薬上許容できる担体である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて患者に投与することを含み、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいは患者におけるそれらの関連する症候群若しくは合併症の改善方法。
【請求項14】
式(I)
【化7】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬、及び製薬上許容できる担体との組み合わせにおいて、前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択され、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される、請求14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記バソプレッシン拮抗薬が式(I)
【化8】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド又は塩から選択され、及び製薬上許容できる担体であり、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が
【化9】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩であり、及び製薬上許容できる担体である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
治療的に有効な量の少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬を、少なくとも1種のバソプレッシン受容体拮抗薬と組み合わせて患者に投与することを含み、前記組み合わせ投与所望の治療効果を提供する、バソプレッシン及び/又はアンジオテンシン介在性疾患、あるいは患者におけるそれらの関連する症候群若しくは合併症の進行の阻止方法。
【請求項20】
式(I)
【化10】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はH、NR56、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ又はハロであり、ここでR5及びR6のそれぞれは独立してH又はC1〜3アルキルであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩から選択される少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬、及び製薬上許容できる担体との組み合わせにおいて、前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がイルベサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、及びロサルタンからなる群から選択され、前記組み合わせ投与が所望の治療効果を提供する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタン及びカンデサルタンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1種のアンジオテンシン受容体遮断薬がロサルタンである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記バソプレッシン拮抗薬が式(I)
【化11】

[式中、
1及びR2の一方はHであり、他方はC1〜6アルコキシであり、
3はクロロであり、
4は、クロロ、フルオロ、メトキシ又はメチルである]
あるいはその製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩から選択され、及び製薬上許容できる担体であり、前記組み合わせ投与が、所望の治療効果を提供する、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1種のバソプレッシン拮抗薬が
【化12】

あるいは、その製薬上許容できるC1〜6エステル、C1〜6アミド、若しくはジ(C1〜6アルキル)アミド、又は塩である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患が、内耳疾患、高血圧症、鬱血性心不全、心臓機能不全、低ナトリウム血症、冠状血管痙攣、心臓虚血、肝硬変、腎血管痙攣、腎不全、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、脳浮腫及び虚血、脳卒中、血栓症、水鬱滞、侵襲、強迫性障害、月経困難症、ネフローゼ症候群及び中枢神経系損傷の疾病状態から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記疾患が、腎症、及び進行性腎不全(糖尿病性腎症を含む)、多発性嚢胞腎、鬱血性心不全、高血圧症、低ナトリウム血症及び/若しくは浮腫を生じる疾病、並びにバソプレッシンV1a及びV2受容体の過剰活性化から生じる他の疾病の病態から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記疾患が腎症である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記疾患が腎不全である、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患が低ナトリウム血症である、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患が多発性嚢胞腎である、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記治療的に有効な量が約0.1mg〜約1,000mgの用量範囲を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記治療的に有効な量が約50mg〜約1000mgの用量範囲を含む、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−505237(P2012−505237A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531171(P2011−531171)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2009/059993
【国際公開番号】WO2010/042714
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】