説明

アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを有効成分とする涙液分泌促進組成物、及びそれを含有する経口投与用製剤

【課題】アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドを有効成分として含有する、涙液分泌を促進する組成物を提供すること。
【解決手段】本発明の涙液分泌促進組成物は、好ましくはアミノ酸残基数が2以上6以下のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド、より好ましくは配列番号1乃至7に示されるいずれか1種以上のアンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを有効成分として含有する。本発明の涙液分泌促進組成物は、経口投与製剤とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、涙液分泌を促進する組成物であって、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害ペプチドを有効成分として含有することを特徴とする組成物に関する。また、本発明は、そのような組成物を含有する経口摂取用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
涙液は、眼球の最外層を覆う厚さ約7μmの薄い液層である。涙液は、表層から順に、油層、水層及びムチン層の3層構造を有しており、各層が互いに影響し、涙液の構造を整えている。涙液の各層には、例えば、ラクトフェリン、リゾチーム、IgA、IgG又はアルブミンのようなタンパク質、ワックス、コレステロール、糖質、ムチン等の種々の生体成分が含有されている。涙液の機能としては、眼表面の環境を湿潤に保つとともに、外界から侵入する病原体による感染の防御、多数の生理活性物質の眼球への供給、及び無血管組織である角膜への酸素供給等が挙げられる。
【0003】
このように、涙液は様々な機能を有しているが、例えば、涙液の分泌に異常が起こり、その量的又は質的変化によって、涙液の蒸発量が増加した場合には、涙液が正常に機能しにくくなる場合がある。こうした涙液の異常が生じた場合、自覚症状として眼精疲労又は眼の乾燥といった、いわゆる「ドライアイ症状」を訴える症例が多い。
【0004】
ドライアイ症状を引き起こす原因としては、シェーグレン症候群(Sjogren's syndrome)のような自己免疫疾患、又は加齢による涙腺機能の低下等、様々な要因が報告されている。近年注目されている要因の一つとして、パーソナルコンピュータ(PC)のディスプレイ画面(VDT)を見ながら行う作業(VDT作業)による眼への負荷がある。
【0005】
IT技術の向上とインターネット基盤の充実に伴って、日常生活の中でPCを使用する機会は、飛躍的に増加している。Intel社が概算したところ、世界にはインターネットに接続したPCが約10億台あり、今やオフィスワーカーのほとんどがVDTを見ながら仕事を行っている。そして、PCの使用頻度の増加に伴い、VDT作業が原因と考えられるドライアイ症状を訴える人も増加しており、先進工業国ではドライアイ症状が重大な健康問題として取り上げられ始めている。VDT作業によって瞬き回数が通常の4分の1程度に減り、涙液の蒸発量が増えることが、ドライアイ症状の発症の一因と考えられている。
【0006】
現在、ドライアイ症状を緩和する方法として、人工涙液を点眼することにより不足した涙液を外部から補充する方法、又は涙点に涙点プラグと呼ばれる栓を挿入して涙点を閉鎖する方法が知られている。しかしながら、いずれの方法も一時的な対症療法に過ぎない。それゆえ、このような対症療法ではなく、涙液の分泌量を増加させることによって、眼精疲労、眼の乾燥、異物感又は不快感等の症状を根本的に改善する組成物が求められている。
【0007】
この様な状況の中、特許文献1には、ACE阻害薬を有効成分とする涙液分泌促進及び角結膜障害治療剤が開示されている。ACEは、腎臓に存在するプロテアーゼであるレニンがアンジオテンシノーゲンに作用して生成するアンジオテンシンIに作用し、アンジオテンシンIIを生成する酵素である。アンジオテンシンIIは、強力な末梢毛細血管収縮作用を有し、副交感神経及び副腎を刺激してカテコールアミンの放出を促進するため、高い血圧上昇作用も有している。また、アンジオテンシンIIは、副腎皮質ホルモンのアルドステロンの分泌も促進するので、ナトリウムの再吸収促進及び循環血流量の増大が起こることによっても、血圧を上昇させる。さらに、ACEは、血管拡張作用を持つブラジキニンを分解する作用もあるので相乗的に血圧を上昇させる作用を有している。
【0008】
ACE阻害薬は、高血圧等の心血管系疾患の治療薬として一般に広く知られ、かつ、使用されている。ACE阻害薬のうち、カプトプリル、エナラプリル又はアセラプリルのような有機低分子化合物が一般的に医薬品として使用されているが、ペプチド又は蛋白質分解物のようなアミノ酸結合体であってもACE阻害作用を有するとの報告も数多く存在する。ACE阻害作用を有すると報告されているペプチドは、アミノ酸残基数が2〜18残基程度であり、これまでに300種類以上が報告されている。これらのアミノ酸結合体の由来は様々であり、(1) 魚、豚又は乳製品のような動物由来のもの;(2) 小麦、大豆、胡麻又は海草のような植物由来のもの;(3) 菌類であるキノコ又はクロレラのような微生物由来のもの:が知られている。
【0009】
ここで、特許文献1は、エナラプリル又はカプトプリルのような有機低分子化合物であるACE阻害薬が、涙液分泌促進効果を有することを開示している。
【0010】
また、特許文献2は、キマーゼ阻害薬を有効成分として含有する涙液分泌促進剤を開示している。また、特許文献3及び特許文献4は、PAR-2(Protease-activated receptor-2/プロテアーゼ活性化受容体2)を活性化させるペプチドに涙液分泌促進作用があることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−218792号公報
【特許文献2】特開2001−58958号公報
【特許文献3】特開2001−181208号公報
【特許文献4】特開2005−187482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1は、ACE阻害ペプチドの効果については何ら開示しておらず、また、ACE阻害薬が涙液分泌量の減少を予防する効果を有することについても開示していない。また、特許文献2〜4も、ACE阻害作用ペプチドの効果については一切開示していない。このように、ACE阻害作用ペプチドが涙液分泌の促進効果を有するかどうかについては、これまで注目されてこなかった。
【0013】
本発明は、ACE阻害作用を有するアミノ酸結合体を有効成分として含有する、涙液分泌を促進する組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ACE阻害作用を有するアミノ酸結合体は、特に経口で投与することによって、高い涙液分泌促進効果を発揮し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0015】
具体的に、本発明は、
ACE阻害ペプチドを有効成分として含有する、涙液分泌促進組成物に関する。
【0016】
前記ACE阻害ペプチドは、アミノ酸残基数が2以上6以下であることが好ましい。
【0017】
前記アミノ酸残基数が2以上6以下のACE阻害ペプチドは、配列番号1乃至7のいずれかに示される1種以上のペプチドであることが好ましい。
【0018】
配列番号1乃至7に示されるペプチドは、後述するように、いずれも特許文献1に開示されているエナラプリル又はカプトプリルと比較して、高い涙液分泌促進効果を有することが確認された。
【0019】
本発明の涙液分泌促進組成物は、経口投与製剤に含有されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアミノ酸残基数が2以上6以下であるACE阻害ペプチドを含有する、涙液分泌を促進する組成物は、減少した涙液分泌量を増加させ、ストレスによる涙液分泌量の減少を予防し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実験例1における、ACE阻害薬投与群及びACE阻害ペプチド投与群の涙液分泌回復量を表すグラフである。
【図2】実験例2における、ACE阻害薬投与群及びACE阻害ペプチド投与群の涙液分泌変化量を表すグラフである。
【図3】実験例3における、ACE阻害ペプチドの涙液分泌量を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、以下、詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されない。
【0023】
本発明の涙液分泌促進組成物は、ACE阻害ペプチド(好ましくは、アミノ酸残基数が2以上6以下のACE阻害ペプチド)を有効成分として含有することを特徴としている。本発明の涙液分泌促進組成物は、有効成分による涙液分泌量を増加させる効果及び/又は涙液分泌量の減少を予防する効果を妨げない限り、製剤上必要とされる各種成分、例えば、後述する賦形剤、結合剤等を含有させてもよい。
【0024】
本発明の涙液分泌促進組成物は、経口投与、静脈内投与、経粘膜投与、皮下投与、筋肉内投与、眼局所投与などの各種の投与方法を適宜選択できるが、経口投与により投与されることが好ましい。
【0025】
経口投与する場合、ACE阻害ペプチドの投与量(服用者の体重あたりの投与量)は、0.005mg/kg〜5mg/kgの範囲であることが好ましく、0.01mg/kg〜1mg/kgの範囲であることがより好ましい。また、経口投与の回数は、1日当たり1回〜数回とすることが好ましい。
【0026】
経口投与する場合、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤等の剤形から適宜選択することができ、これらの製剤について、安定化、易吸収化、徐放化、易崩壊化、難崩壊化等の修飾を施すことも可能である。また、これら製剤中には、それぞれの剤型に応じて、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定化剤、保存剤、溶剤、基剤、コーティング剤、矯味剤又は着色剤のような添加剤を使用してもよい。
【0027】
添加剤は、一般に経口投与剤に使用されるものであれば特に限定されない。以下に使用し得る添加剤の具体例を例示する。
(1)賦形剤:デンプン類、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、トレハロース、キシリトール。
(2)結合剤:デンプン、セルロース、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デキストリン。
(3)滑沢剤:ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ワックス類、ステアリン酸及びその塩類。
(4)安定化剤:アスコルビン酸、キレート剤、還元性物質、トコフェロール、亜硫酸水素ナトリウム。
(5)保存剤:安息香酸及びその塩類、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール。
(6)溶剤:精製水、生理食塩水、エタノール、グリセリン、植物油類。
(7)基剤:ワセリン、植物油類、タルク、マクロゴール。
(8)コーティング剤:白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース。
(9)矯味剤:白糖、ブドウ糖、サッカリン、キシリトール、アスコルビン酸、クエン酸、メントール。
(10)着色剤:水溶性食用色素。
【0028】
[実験例1]
低湿度環境下にてラットの顔面に向けて送風し、ラットドライアイモデルを作製した。作製したラットドライアイモデルを被験動物として、ACE阻害ペプチドの涙液分泌促進作用を調べた。対照薬としては、有機低分子ACEマレイン酸エナラプリル及びラミプリルを使用した。
【0029】
(1)被験動物
被験動物として、照明下12時間及び暗室下12時間、気温23±2℃、相対湿度60±10%の環境を維持した飼育室にて、4日間馴化させた8週齢の雌性SDラット(紀和実験動物研究所)を用いた。
【0030】
(2)ラット涙液減少型ドライアイモデルの作製方法
馴化飼育後、ラットを気温20±2℃、相対湿度25±5%に維持した低湿度環境下に搬入し、扇風機によって風速2〜4m/sの風をラットに向けて送風した。この送風は、ラットが正面から風を受けるようにした状態で8時間、その後さらに、ラットが自由に動くことができる状態で16時間行った。このような一連のドライアイ処置を毎日継続した。このドライアイ処置を10日間継続した後、涙液分泌量が低下したラットを選抜し、被験動物(ラット涙液減少型ドライアイモデル)とした。
【0031】
(3)試験液の調製
ACE阻害ペプチドとして、配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤(ゴマペプチドKM-20、ゴマ由来タンパク質分解物、KISCO株式会社)、及び配列番号4のペプチド(ペプチド合成機を用いて作製)を使用した。ゴマペプチドKM-20は、脱脂ゴマよりアルカリ溶液を用いてタンパク質を溶解抽出し、酸処理したものについて、タンパク分解酵素(食品添加物用プロテアーゼ)を作用させた後、デキストリンを配合して調製し、噴霧乾燥した粉末製剤である。発明者等が分析したところ、KM-20には、配列番号1〜3のペプチドがすべて含有されていることが確認されている。
【0032】
対照薬として、ACE阻害薬であるマレイン酸エナラプリル及びラミプリルを使用した。これら4種類の薬剤を蒸留水に溶解し、4種類の試験液を調整した。ブランクとして、蒸留水を使用した。ACE阻害薬は、被験動物への投与量をヒト臨床投与量とした。ACE阻害ペプチドは、含有する特定保健用食品からの摂取量を参考に、被験動物への投与量を設定した(成人の平均体重を60kgとして体重あたりの用量を算出した)。なお、表1において、配列番号1〜3のACE阻害ペプチドの投与量は、ゴマペプチドKM-20の投与量が記載されている。
【0033】
【表1】

【0034】
(4)投薬方法及び投与期間
1日1回、ドライアイ処置開始後11日目から21日間反復して、ドライアイ処置下、表1に示す投与量で、被験動物に試験液を経口投与した。
【0035】
(5)涙液分泌量の測定方法
塩酸オキシブブロカイン(ベノキシール点眼液0.4%、参天製薬株式会社)を用いて点眼麻酔後、綿糸(ゾーンクイック、昭和薬品化工株式会社)を上眼瞼に60秒間挿入して涙液を採取し、綿糸が濡れた長さ(mm)を被験動物の涙液分泌量として測定した。
【0036】
被験動物の選抜時(ドライアイ処置10日目)及び試験薬投与21日目の翌日に涙液分泌量を測定した。そして、選抜時の涙液分泌量を初期値とし、初期値と薬剤投与21日目の翌日の涙液分泌量との差を涙液分泌回復量とした。
【0037】
(6)統計処理
Dunnetによる多重比較及びStudent's t -検定を用いて、ACE阻害薬及びACE阻害ペプチドの2群間の涙液分泌回復量を比較した。危険率はいずれも5%とした。図1は、涙液の測定結果を示すグラフである。蒸留水投与群(ブランク群)と比較して、ACE阻害ペプチド投与群は、配列番号1及び配列番号2のペプチド共に、統計学的に有意に涙液分泌回復量が多かった。一方、ACE阻害薬投与群であるエナラプリル及びラミプリル共に、涙液分泌量の回復が認められたが、ブランク群に対して統計学的に有意な差は認められなかった。
【0038】
ACE阻害薬とACE阻害ペプチドとの比較において、配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤投与群は、エナラプリル投与群と比較して2.7倍、ラミプリル投与群と比較して1.8倍も涙液分泌回復量が多く、ドライアイ症状からの回復効果が認められた。配列番号4のペプチド投与群は、エナラプリル投与群と比較して6.6倍、ラミプリル投与群と比較して4.4倍も涙液分泌回復量が多く、ドライアイ症状からの回復効果が認められ、対照群との差は統計学的に有意であった。このように、配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤(ゴマ由来タンパク質分解物)及び配列番号4のペプチドは、経口投与した被験動物が、ドライアイ症状から回復することを有効に促進し得ることが確認された。
【0039】
[実験例2]
10日間のドライアイ処置時に試験液を経口投与し、ドライアイ処置前(初期値)、及び投与10日目の翌日に涙液分泌量の測定を行う以外、すべて実験例1と同様の実験を行い、ACE阻害ペプチドの涙液分泌量減少に対する予防効果を、ACE阻害薬と比較した。
【0040】
図2は、ドライアイ処置前後の涙液分泌変化量の測定結果を示すグラフである。図2において、縦軸は、(涙液分泌量の初期値−10日目の翌日の涙液分泌量)であり、縦軸の数値が0に近いほど、涙液分泌量がドライアイ処置によって減少していないことを示す。蒸留水投与群(ブランク群)と比較して、ACE阻害ペプチド投与群は配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤及び配列番号4のペプチド共に、統計学的に有意に涙液分泌量が多く、ドライアイ処置によって涙液分泌量が減少していないことが確認された。一方、ACE阻害薬投与群は、エナラプリル及びラミプリル共に、ブランク群よりも涙液分泌量が多かったが、統計学的に有意な差ではなかった。
【0041】
ACE阻害薬とACE阻害ペプチドの比較において、配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤投与群の涙液分泌変化量は、エナラプリル投与群と比較して約1/3.5、ラミプリル投与群と比較して約1/28であった。また、配列番号4のペプチド投与群の涙液分泌変化量は、エナラプリル投与群と比較して約1/5.6、ラミプリル投与群と比較して約1/5.6であった。なお、両投与群の間には統計学的な有意差が検出された。このように、配列番号1〜3のペプチドを含有する製剤(ゴマ由来タンパク質分解物)及び配列番号4のペプチドは、経口投与した被験動物について、ドライアイ症状を有効に抑制し得ることが確認された。
【0042】
[実験例3]
配列番号5のペプチドを含有する製剤(イワシペプチドα-1000N、イワシ由来タンパク質分解物、仙味エキス株式会社)、配列番号6のペプチド(ペプチド合成機を用いて作製)、及び配列番号7のペプチド(ペプチド合成機を用いて作製)を試験薬として、実験例2と同様の実験を行った。
【0043】
イワシペプチドα-1000Nには、配列番号5のペプチドが約50mg/100g含有されており、実験例3で使用した製剤中の配列番号5のペプチド含有量は49.32mg/100gであった。
【0044】
【表2】

【0045】
図3は、投与10日目の翌日における涙液分泌量の測定結果を示すグラフである。図3において、縦軸は、測定された涙液分泌量の初期値に対する比(=涙液分泌量の測定値/涙液分泌量の初期値)である。蒸留水投与群(ブランク群)と比較して、ACE阻害ペプチド投与群は、いずれも統計学的に有意に涙液分泌量が多く、経口投与した被験動物について、ドライアイ症状を有効に抑制し得ることが確認された。なお、配列番号7のペプチドは、ドライアイ症状の抑制効果が最も高いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の涙液分泌促進組成物は、ドライアイ症状からの涙液分泌量の回復、及びドライアイ症状の予防の両方について、有機低分子ACE阻害薬であるマレイン酸エナラプリル及びラミプリルよりも優れた効果を発揮し得る。本発明の涙液分泌促進組成物は、ドライアイ症状の治療又は予防に関係する医薬品、健康食品等の分野において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドを有効成分として含有する、涙液分泌促進組成物。
【請求項2】
前記アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドが、アミノ酸残基数が2以上6以下である、請求項1に記載の涙液分泌促進組成物。
【請求項3】
前記アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチドが配列番号1乃至7に示されるいずれか1種以上のペプチドである、請求項2に記載の涙液分泌促進組成物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の涙液分泌促進組成物を含有する経口投与製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−136440(P2012−136440A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274470(P2010−274470)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(595149793)株式会社オフテクス (8)
【Fターム(参考)】