説明

アンジオテンシンII受容体アンタゴニストとしてのニトロオキシ誘導体

Rは、アンジオテンシン受容体アンタゴニスト活性基であり、Yは、群から選択され、R1は、−O−C1−6アルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−C3−8シクロアルキル、−C1−6アルキル、−アリール、−ヘテロアリール、および−C3−8シクロアルキルからなる群から選択され;RおよびRは、独立して水素およびC1−4アルキルからなる群から選択される、構造を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは水和物であり、それは高血圧の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
米国特許第5,138,069号は、一般的かつ詳細に、2−ブチル−4−クロロ−1−[p−(o−1H−テトラゾール−5−イルフェニル)−ベンジル]イミダゾール−5−メタノールカリウム塩および2−ブチル−4−クロロ−1−[(2’−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル]イミダゾール−5−カルボン酸について記載している。米国特許第5,136,069号の261〜263欄は、該特許に記載の化合物を製造するための一般的な方法を記載しており、それはカプセル剤、錠剤、注射用製剤、および懸濁剤を含む。米国特許第5,153,197号は、高血圧の患者を治療するための、単独および利尿薬と組み合わせての、これらの化合物の使用を記載している。
【0002】
国際公開第2005011646号は、アンジオテンシンII受容体ブロッカーとしてのニトロ誘導体、これらを含有する医薬組成物、および心臓血管、腎臓および慢性の肝臓疾患、炎症プロセス、およびメタボリックシンドロームの治療のためのこれらの使用を記載している。該公開公報は、そのそれぞれが種々の方法で酸化窒素基に共有結合される、種々のアンジオテンシン受容体ブロッカー化合物を記載している。具体的な例としては、共有結合した1個の酸化窒素基を有するアンジオテンシン受容体ブロッカー、および独立して共有結合した2個の酸化窒素基を有するアンジオテンシン受容体ブロッカーが挙げられる。
【0003】
国際公開第2005023182号は、ニトロソ化およびニトロシル化された心臓血管系化合物、ならびに少なくとも1個のニトロソ化およびニトロシル化された心臓血管系化合物および任意に少なくとも1個の酸化窒素供与体を含む組成物を記載している。ニトロソ化またはニトロシル化される心臓血管系化合物は、アルドステロンアンタゴニスト、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルブロッカー、エンドセリンアンタゴニスト、ヒドララジン化合物、中性エンドペプチダーゼインヒビター、またはレニンインヒビターであり得る。酸化窒素供与体は、S−ニトロソチオール、亜硝酸塩、硝酸塩、N−オキソ−N−ニトロソアミン、フロキサン、およびシドノンイミンから選択され得る。
【0004】
国際公開第2005070868号は、シクロオキシゲナーゼ−2媒介性疾患または血栓性の心血管事象のリスクがある病状の治療のための併用療法を記載しており、それは、5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシルアセテート、6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイルジニトレート、5−ヒドロキシペンタン−1,2−ジイルジニトレート、(5R)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル4−ニトロベンゾエート、(5S)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル4−ニトロベンゾエート、(2R)−6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイルジニトレート、(2S)−6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイルジニトレート、(2S)−プロパン−1,2−ジイルジニトレート、および(2R)−プロパン−1,2−ジイルジニトレートなどの酸化窒素供与性化合物と組み合わせて、選択されたシクロオキシゲナーゼ−2インヒビターを投与することを含む。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、2−ブチル−4−クロロ−1−[(2’−(1−H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル)メチル]−イミダゾール−5−カルボキシレートニトロオキシ誘導体を含むアンジオテンシンII受容体アンタゴニストであるニトロオキシ誘導体であって、これらの形態の種々の医薬的に許容される塩および水和物を含み、ならびに、患者へのこれらの形態の制御され持続された送達のための医薬製剤を含む。
【0006】
塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される塩、または例えば、無機または有機酸または塩基から形成される4級アンモニウム塩などの無毒性の塩を含む。酸付加塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩などの有機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミンとの塩、アルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などを含む。また、塩基性の窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの低級アルキルハライド、ジメチル、ジエチル、ジブチルなどのジアルキル硫酸塩、およびジアミル硫酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチル、およびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキルハライドなどの剤で四級化され得る。
【0007】
本発明はまた、1以上の以下の病状を有する患者に、本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストを投与することによって、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎障害、血管障害および神経障害などの糖尿病に起因する合併症、緑内障、眼圧亢進、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起障害、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤での治療の合併症、およびレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られているその他の疾患を治療する方法も含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の化合物は、下記一般式(I):
【化1】

(式中、Rは、下記(Ia)〜(Ii)
【化2】


からなる群から選択され、
Yは、下記(1)〜(2)
【化3】

からなる群から選択され、
Yが
【化4】

であるとき、
Rは、
【化5】

であり、
は、
−O−C1−6アルキル、
−O−アリール、
−O−ヘテロアリール、
−O−C3−8シクロアルキル、
−C1−6アルキル、
−アリール、
−ヘテロアリール、および
−C3−8シクロアルキル
からなる群から選択され;
およびRは、独立して、水素およびC1−4アルキルからなる群から選択される)
を有するアンジオテンシンII受容体アンタゴニスト誘導体、またはその医薬的に許容される塩である。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、Rは、下記(Id)
【化6】

である。
【0010】
本発明の別の実施形態において、Rは、下記(Ic)
【化7】

である。
【0011】
本発明の別の実施形態において、Rは、下記(Ib)
【化8】

である。
【0012】
本発明の別の実施形態において、Rは、下記(Ig)
【化9】

である。
【0013】
本発明の別の実施形態において、Rは、下記(Ii)
【化10】

である。
【0014】
本発明の別の実施形態において、Rは、下記(Ia)
【化11】

である。
【0015】
本発明の別の実施形態において、Rは、−O−C1−6アルキルである。
【0016】
本発明の別の実施形態において、Rは、−OCHである。
【0017】
本発明の別の実施形態において、Rは水素であり、RはC1−4アルキルである。
【0018】
本発明の別の実施形態において、Rは水素であり、RはCHである。
【0019】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化12】

である。
【0020】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化13】

である。
【0021】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化14】

である。
【0022】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化15】

からなる群から選択される。
【0023】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化16】

からなる群から選択される。
【0024】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化17】

からなる群から選択される。
【0025】
本発明の別の実施形態において、Yは、
【化18】

からなる群から選択される。
【0026】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
【化19】

または、その医薬的に許容される塩である。
【0027】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
【化20】

または、その医薬的に許容される塩である。
【0028】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
【化21】

または、その医薬的に許容される塩である。
【0029】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
【化22】

または、その医薬的に許容される塩である。
【0030】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
【化23】

または、その医薬的に許容される塩である。
【0031】
本発明の別の実施形態において、化合物は、
(2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−イル)メチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−プロピル−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート、
(1S)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4’−[(1,7’−ジメチル−2’−プロピル−1H,3’H−2,5’−ビベンズイミダゾール−3’−イル)メチル]ビフェニル−2−カルボキシレート、
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、および
(1S)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート
からなる群から選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0032】
本発明の化合物は、2つまでの((R)および(S))、または4つまで((R、R)、(S、S)、(R、S)および(S、R))の立体異性体を与える、1以上のキラル中心を有し得る。本発明は、その立体異性体およびそれらの混合物の全てを含む。他に特に言及されていなければ、1個の立体異性体についての言及は、あらゆる可能な立体異性体に適用される。立体異性の組成が特定されていない場合はいつも、全ての可能な立体異性体が含まれる。「*」を付けている構造は、キラル中心である炭素原子の位置を示している。医薬的に許容される塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導される無毒性の塩、または例えば、無機もしくは有機酸もしくは塩基から形成される4級アンモニウム塩などの無毒性の塩を含む。酸付加塩の例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、カーボネート、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒプル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メシレート、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチネート(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩を含む。付加的な特定のアニオン塩としては、アスコルビン酸塩,グルセプテート、グルタミン酸塩、グルコロネート(glucoronate)、ベシレート(besylate)、カプリル酸塩、イセチアネート、ゲンチシン酸塩(gentisate)、マロネート、ナプシレート(napasylate)、エジシレート(edfisylate)、パモ酸塩、キシナホエート(xinafoate)、およびナパジシレート(napadisylate)が挙げられる。
【0033】
塩基塩は、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩などの有機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミンとの塩、アルギニン、リジンなどのアミノ酸との塩などを含む。また、塩基性の窒素含有基は、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの低級アルキルハライド;ジメチル、ジエチル、ジブチルなどのジアルキル硫酸塩、およびジアミル硫酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルの塩化物、臭化物およびヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジルおよびフェネチルなどのアラルキルハライドなどの剤で四級化され得る。付加的な特定のカチオン塩としては、トロメタミン、ベンザチン、ベネタミン(benethamine)、ジエチルアンモニウム,エポラミンおよび、ヒドラバミンが挙げられる。
【0034】
言及されている場合を除いて本明細書で用いられる場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有する分枝鎖状および直鎖状の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むことが意図される。アルキル基に対して一般的に用いられる略形が、本明細書を通して用いられ、例えば、メチルは「Me」またはCHまたは末端基として伸びた結合である記号、例えば
【化24】

【0035】
を含む慣用の略形で表され得るし、エチルは「Et」またはCHCHで表され得るし、プロピルは「Pr」またはCHCHCHで表され得るし、ブチルは「Bu」またはCHCHCHCHなどで表され得る。例えば、「C1−4アルキル」(または「C−Cアルキル」)は、当該特定の数の炭素原子を有し、全ての異性体を含む、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を意味する。C1−4アルキルは、n−、イソ−、sec−およびt−ブチル、n−およびイソプロピル、エチルならびにメチルを含む。数が特定されていなければ、1−4の炭素原子は、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基が意図される。
【0036】
用語「アリール」は、単独または組み合わせて、フェニル、ナフチル、またはインダニル基、好ましくは、フェニル基に関する。略形「Ph」は、フェニルを表す。
【0037】
アリール基は、置換されていなくてもよく、あるいは任意の1以上の炭素原子上の1個の置換基が、ハロゲン、C−C20アルキル、CF、NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、HS(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、HS(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)S(O)0−2、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HC(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、HC(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−,HOC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、HO(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2−、HC(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、HOC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ハロアリール、ハロアラルキル、ハロヘテロ環、ハロヘテロ環アルキル、シアノアリール、シアノアラルキル、シアノヘテロ環、およびシアノヘテロ環アルキルで置換されていてもよく、そのような置換の結果、安定な化合物が形成される。
【0038】
用語「ヘテロアリール」は、単独または組み合わせて、それぞれ独立して、N、OまたはSから選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する、5または6員芳香族環を意味する。例えば、1個の窒素(ピロール)、1個の酸素(ピラン)もしくは1個の硫黄(チオフェン)原子を含有する5員環、1個の窒素および1個の硫黄(チアゾール)原子を含有する5員環、1個の窒素および1個の酸素(オキサゾールもしくはイソオキサゾール)原子を含有する5員環、2個の窒素(イミダゾールもしくはピラゾール)原子を含有する5員環、3個の窒素原子を含有する5員芳香族環、1個の酸素、1個の窒素もしくは1個の硫黄原子を含有する5員芳香族環、酸素、窒素および硫黄から独立して選択される2個のヘテロ原子を含有する5員芳香族環、1個の窒素(ピリジン)もしくは1個の酸素(フラン)原子を含有する6員環、2個の窒素(ピラジン、ピリミジンもしくはピリダジン)原子を含有する6員環、3個の窒素(トリアジン)原子を含有する6員環、テトラゾリル環、チアジニル環、またはクマリニルが挙げられる。そのような環系の例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、イミダゾリル、トリアジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、およびイソオキサゾリルが挙げられる。
【0039】
ヘテロアリール基は、置換されていなくてもよく、あるいは任意の1以上の炭素原子上の1個の置換基が、ハロゲン、C−C20アルキル、CF、NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、HS(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、HS(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)S(O)0−2、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HC(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、HC(O)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、HOC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、HO(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)O−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、HC(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、HOC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ハロアリール、ハロアラルキル、ハロヘテロ環、ハロヘテロ環アルキル、シアノアリール、シアノアラルキル、シアノヘテロ環、もしくはシアノヘテロ環アルキルで置換されていてもよく、または、独立してもしくは追加的に、任意の1以上の窒素原子上の1個の置換基が、C−C20アルキル、オキソ、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール、−C(O)C1−6アルキル、−C(O)NHC−Cアルキル、−C(O)NHで置換され、−C−CアルキルC(O)NH、−C−CアルキルOC(O)NH、または、独立してもしくは追加的に、任意の1以上の硫黄原子上の1個の置換基が、C−C20アルキル、オキソ、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリールで置換されていてもよく、そのような置換の結果、安定な化合物が形成される。
【0040】
用語「シクロアルキル」は、単独または他の基と組み合わせて、他に特に記載がなければ、3〜8個の炭素原子をもつ飽和環状炭化水素環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを意味する。これは、「C3−8シクロアルキル」または「C−Cシクロアルキル」とも表され得る。意図される意味がこれ以外の場合、例えば、炭素原子数が3個から6個の範囲の炭素原子の場合、この意味は「C3−6シクロアルキル」または「C−Cシクロアルキル」のように表される。シクロアルキル基は、置換されていなくてもよく、あるいは任意の1以上の炭素原子上の1〜3個の置換基が、ハロゲン、C−C20アルキル、CF、NH、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)、NO、オキソ、CN、N、−OH、−O(C−Cアルキル)、C−C10シクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、HS(O)0−2−、(C−Cアルキル)S(O)0−2(C−Cアルキル)−、HS(O)0−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)S(O)0−2−、(C−Cアルキル)C(O)NH−、HC(O)NH−、HN−C(NH)−、−O(C−Cアルキル)CF、(C−Cアルキル)C(O)−、HC(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)−、HOC(O)−、(C−Cアルキル)O(C−Cアルキル)−、HO(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)O−、(C−Cアルキル)C(O)1−2(C−Cアルキル)−、HC(O)1−2(C−Cアルキル)−、(C−Cアルキル)C(O)1−2−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、HOC(O)NH−、アリール、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ハロアリール、ハロアラルキル、ハロヘテロ環、ハロヘテロ環アルキル、シアノアリール、シアノアラルキル、シアノヘテロ環、もしくはシアノヘテロ環アルキルで置換されていてもよく、そのような置換の結果、安定な化合物が形成される。
【実施例】
【0041】
[中間体1]
【化25】

【0042】
(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボン酸の合成
ステップA:メチル(1R,3s,5S)−6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート
メチルシクロペント−3−エン−1−カルボキシレート(5.05g、40.0mmol)のジクロロメタン溶液(400mL)に、0℃で、3−クロロ過安息香酸(10.6g、46.0mmol)を部分的に添加した。該反応は、室温で12時間撹拌した。反応混合物をジエチルエーテル(300mL)で濃縮および希釈した。有機層を水、水性炭酸カリウム、および食塩水で洗浄した。それを乾燥し(硫酸ナトリウム)、シリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、10/90→30/70酢酸エチル/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.90(dd,J=9.0,14.0Hz,2H)、2.36(dd,J=9.0,14.0Hz,2H)、2.66(quintet,J=9.0Hz,1H)、3.53(s,2H)、3.68(s,3H)。
【0043】
ステップB:メチル(1R,3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−メトキシシクロペンタンカルボキシレート
メチル(1R,3s,5S)−6−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−3−カルボキシレート(7.10g、49.9mmol)のメタノール溶液(50mL)に、濃硫酸(0.023mL、0.43mmol)を添加し、その溶液を室温で撹拌させた。4時間後、反応混合物を真空で濃縮し、シリカゲル上でクロマトグラフィーに付し、20/80→100/0酢酸エチル/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.84−1.91(m,2H)、2.23(ddd,J=6.1,8.0,13.9Hz,1H)、2.33(ddd,J=6.2,9.1,13.7Hz,1H)、3.03(quintet,J=8.5Hz,1H)、3.35(s,3H)、3.61(dt,J=3.5,5.9Hz,1H)、3.69(s,3H)、4.21(td,J=3.6,6.1Hz,1H)。
【0044】
ステップC:メチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート
硝酸(5.0mL、78mmol)の無水酢酸(10mL)溶液に、0℃でメチル(1R,3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−メトキシシクロペンタンカルボキシレート(1.0g、5.7mmol)を添加した。2時間後、反応混合物を、炭酸水素ナトリウム溶液の飽和溶液にゆっくり添加した。水性層を酢酸エチル(3x100mL)で抽出し、結合した有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、真空で濃縮して粗生成物を得た。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーによって精製し、5/95→25/75酢酸エチル/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.98−2.10(m,2H)、2.36(ddd,J=6.3,8.7,13.9Hz,1H)、2.51(ddd,J=6.5,8.9,15.2Hz,1H)、2.97(quintet,J=8.5Hz,1H)、3.37(s,3H)、3.71(s,3H)、3.80−3.85(m,1H)、5.28(td,J=2.4,6.5Hz,1H)。ラセミ混合物をキラルセルODカラムのクロマトグラフィーに付し、イソプロパノール/ヘプタンで溶出させ、速い溶出ピークとして(1S,3R,4R)−立体異性体および遅い溶出ピークとして(1R,3S,4S)−立体異性体をもつ、分離したエナンチオマーを得た。
【0045】
ステップD:(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボン酸
メチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(0.66g、3.0mmol)のメタノール溶液(12mL)を0℃に冷却した。この溶液に、4N水酸化カリウム(1.5mL、6.0mmol)を10分間滴加し、溶液を撹拌し、3時間かけて10℃に加温させた。反応混合物を、濃塩酸を添加することによって酸性化し、クロロホルム(3x15mL)で抽出させた。結合した有機層を食塩水で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、表題の化合物を無色の油として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ2.06−2.14(m,2H)、2.34(ddd,J=6.2,9.1,14.1Hz,1H)、2.54(ddd,J=6.6,8.7,15.0Hz,1H)、3.03(quintet,J=8.4Hz,1H)、3.38(s,3H)、3.82−3.86(m,1H)、5.27−5.32(m,1H)、8.5−11.5(br,1H)。
【0046】
[中間体2]
【化26】

【0047】
1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレートの合成
(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボン酸(4.59g、22.4mmol)のd−クロロホルム(60mL)溶液に、オキサリル塩化物(2.40mL、27.4mmol)を添加し、次いで、少量のN,N−ジメチルホルムアミドを滴加した。60分後、H−NMRは、反応が完了したことを示した。この反応混合物に、塩化亜鉛(0.31g、2.27mmol)を添加した。懸濁液を0℃に冷却し、反応混合物に、アセトアルデヒド(2.6mL、46.0mmol)のd−クロロホルム溶液(10mL)を5分かけてゆっくり添加した。該反応を室温まで加温し、17時間撹拌した。H−NMRは、開始酸クロリドが消費され、その物質の大半が所望の生成物に変換されたことを確認した。反応混合物を真空で濃縮し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーに付し、2/98→20/80酢酸エチル/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物を無色の液体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.80(d,J=5.9Hz,3H)、2.04−2.14(m,2H)、2.28−2.36(m,1H)、2.50−2.60(m,1H)、3.01(quintet,J=8.3Hz,1H)、3.37(s,3H)、3.81−3.85(m,1H)、5.26−5.31(m,1H)、6.54(q,J=5.8Hz,1H,Dl)、6.54(q,J=5.9Hz,1H,D2)。
【0048】
ジアステレオマー混合物の、Chiralpak ADカラム上でのクロマトグラフィーを行い、イソプロパノール/アセトニトリル/二酸化炭素で溶出させ、分離したジアステレオマーを得た。
【0049】
[中間体3]:(1S)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート:H NMR(500MHz,CDCl)δ1.80(d,J=5.8Hz,3H)、2.02−2.14(m,2H)、2.32(ddd,J=6.1,8.9,14.0Hz,1H)、2.54(ddd,J=6.5,8.7,15.0Hz,1H)、3.01(quintet,J=8.3Hz,1H)、3.37(s,3H)、3.81−3.85(m,1H)、5.26−5.31(m,1H)、6.54(q,J=5.8Hz,1H)。
【0050】
[中間体4]:(lR)−l−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート:H NMR(500MHz,CDCl)δ1.80(d,J=5.8Hz,3H)、2.04−2.11(m,2H)、2.33(ddd,J=6.0,9.1,14.1Hz,1H)、2.56(ddd,J=6.5,8.6,15.0Hz,1H)、3.01(quintet,J=8.2Hz,1H)、3.37(s,3H)、3.81−3.85(m,1H)、5.26−5.31(m,1H)、6.54(q,J=5.8Hz,1H).
【実施例1】
【0051】
【化27】

【0052】
(2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール5−イル)メチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート
ロサルタンカリウム(potassium losartan)(974mg、2.11mmol)、(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボン酸(中間体1.429mg、2.09mmol)、l−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(447mg、2.33mmol)、およびN−メチルモルホリン(0.50mL、4.6mmol)の混合物を、ジクロロメタン(20mL)に溶解し、2日間、触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジンとともに撹拌した。H ΝMR(500MHz,CDCl)δ0.84(t,J=7.3Hz,3H)、1.28(sextet,J=7.3Hz,2H)、1.56(quintet,J=7.3Hz,2H)、1.78−1.84(m,1H)、1.88−1.92(m,1H)、2.08−2.15(m,1H)、2.30−2.36(m,1H)、2.38(t,J=6.7Hz,2H)、2.71(quintet,J=8.2Hz,1H)、3.26(s,3H)、3.70−3.75(m,1H)、4.87(d,J=13.9Hz,1H)、4.91(d,J=13.7Hz,1H)、5.13(s,2H)、5.15−5.19(m,1H)、6.77(d,J=8.0Hz,2H)、7.10(d,J=8.2Hz,2H)、7.41(d,J=7.8Hz,1H)、7.52(td,J=1.4,7.6Hz,1H)、7.61(td,J=1.4,7.6Hz,1H)、7.84(dd,J=0.9,7.7Hz,1H);LC−MS:m/z 610.4(M+H)。
【実施例2】
【0053】
【化28】

【0054】
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート
ステップA:1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロフェニル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H―テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート
2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸(2180mg、3.19mmol)、炭酸セシウム(2150mg、6.60mmol)、およびテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(538mg、1.59mmol)の混合物を、1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体2、834mg、3.11mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(10mL)溶液で満たした。反応混合物を40℃で16時間加熱し、反応混合物をカラムクロマトグラフィーで精製し、10/90→70/30酢酸エチル/ヘキサンで溶出させ、表題の化合物を白色の固体として得た。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.36(d,J=5.5Hz,3H,Dl)、1.36(d,J=5.5Hz,3H,D2)、1.41(t,J=7.1Hz,3H)、1.94−2.05(m,2H)、2.19−2.27(m,1H)、2.46−2.54(m,1H)、2.76−2.87(m,1H)、3.30(s,3H,Dl)、3.30(s,3H,D2)、3.76(q,J=4.1Hz,1H)、4.61(q,J=7.1Hz,2H,Dl)、4.61(q,J=7.1Hz,2H,D2)、5.23(t,J=6.0Hz,1H)、5.53(d,J=16.0Hz,1H)、5.58(d,J=16.0Hz,1H)、6.75(d,J=6.9Hz,2H)、6.88−6.95(m,7H)、6.98(d,J=8.0Hz,2H)、7.17(dt,J=2.0,7.8Hz,1H)、7.23(t,J=7.7Hz,6H)、7.26−7.34(m,4H)、7.40−7.48(m,2H)、7.54(dd,J=1.1,8.0Hz,1H)、7.76(d,J=7.7Hz,1H)、7.86(d,J=7.8Hz,1H);LC−MS:m/z 913.6(M+H)。
【0055】
ステップB:1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート(1420mg、1.62mmol)のメタノール(20mL)溶液を70℃に2時間加熱した。反応混合物を真空で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、0/100→10/90メタノール/ジクロロメタンで溶出させ、表題の化合物を白色の固体として得た。ジアステレオマー混合物の、Chiralpak ICカラム上でのクロマトグラフィーを行い、メタノール/二酸化炭素で溶出させ、分離したジアステレオマーDlおよびD2を得た。
【0056】
D1:H NMR(5OOMHz,CDCN)δ1.38(d,J=5.7Hz,3H)、1.39(t,J=72Hz,3H)、1.89−1.95(m,1H)、2.00(ddd,J=2.4,8.5,14.9Hz,1H)、2.23(ddd,J=6.2,9.0,13.9Hz,1H)、2.41(ddd,J=7.1,7.8,15.0Hz,1H)、2.95(quintet,J=8.3Hz,1H)、3.26(s,3H)、3.79−3.84(m,1H)、4.49(qd,J=7.2,10.3Hz,1H)、4.54(qd,J=7.2,10.4Hz,1H)、5.19−5.23(m,1H)、5.51(d,J=16.5Hz,1H)、5.57(d,J=16.6Hz,1H)、6.89(d,J=8.4Hz,2H)、6.90(q,J=5.4Hz,1H)、6.97(d,J=8.2Hz,2H)、7.13(t,J=7.9Hz,1H)、7.42(d,J=7.8Hz,1H)、7.49−7.55(m,3H)、7.60(dt,J=1.2,7.6Hz,1H)、7.70(d,J=7.7Hz,1H);LC−MS:m/z 672.4(M+H)。
【0057】
D2:H NMR(500MHz,CDCN)δ1.38(d,J=5.7Hz,3H)、1.39(t,J=6.9Hz,3H)、1.89(ddd,J=4.8,7.2,13.9Hz,1H)、2.02(ddd,J=2.5,8.5,15.0Hz,1H)、2.23(ddd,J=6.1,9.1,13.9Hz,1H)、2.43(ddd,J=6.9,8.3,15.0Hz,1H)、2.97(quintet,J=8.3Hz,1H)、3.24(s,3H)、3.78−3.83(m,1H)、4.48(qd,J=7.0,10.3Hz,1H)、4.54(qd,J=7.1,10.3Hz,1H)、5.23(td,J=2.6,6.7Hz,1H)、5.52(d,J=16.5Hz,1H)、5.58(d,J=16.4Hz,1H)、6.90(q,J=5.4Hz,1H)、6.90(d,J=8.2Hz,2H)、6.98(d,J=8.3Hz,2H)、7.13(t,J=7.9Hz,1H)、7.42(dd,J=1.1,7.8Hz,1H)、7.48−7.56(m,3H)、7.61(dt,J=1.4,7.6Hz,1H)、7.70(dd,J=1.3,7.6Hz,1H);LC−MS:m/z 672.4(M+H)。
【実施例3】
【0058】
【化29】

【0059】
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−プロピル−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート
試薬として2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸にかえて、4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−プロピル−1−{[2’−(l−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用いた以外は、実施例2の方法にしたがって表題の化合物を調製した。H NMR(5OOMHz,CDCl)δ0.96(t,J=7.3Hz,3H)、1.44(d,J=5.0Hz,3H,D1)、1.46(d,J=5.0Hz,3H,D2)、1.57(s,6H)、1.73(sextet,J=7.8Hz,2H)、1.82−2.02(m,2H)、2.18−2.26(m,1H)、2.31−2.40(m,1H)、2.58(t,J=7.9Hz,2H)、2.90(quintet,J=7.8Hz,1H,Dl)、2.90(quintet,J=7.8Hz,1H,D2)、3.24(s,3H,Dl)、3.24(s,3H,D2)、3.56−3.72(m,1H)、5.14−5.20(m,1H)、5.41(d,J=16.6Hz,1H,Dl)、5.41(d,J=16.6Hz,1H,D2)、5.48(d,J=16.8Hz,1H,Dl)、5.48(d,J=16.8Hz,1H,D2)、6.87(d,J=8.2Hz,2H)、6.93(q,J=5.4Hz,1H,Dl)、6.93(q,J=5.4Hz,1H,D2)、7.15(dd,J=2.0,8.2Hz,2H)、7.43(d,J=7.5Hz,1H)、7.55(dt,J=1.4,7.6Hz,1H)、7.61(dt,J=7.5,1.3Hz,1H)、8.01(dd,J=1.3,7.7Hz,1H);LC−MS:m/z 678.3(M+H)。
【実施例4】
【0060】
【化30】

【0061】
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート
試薬として2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸にかえて、N−ペンタノイル−N−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリンを用い、および1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体2)にかえて、(1S)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体3)を用いた以外は、実施例2の方法にしたがって表題の化合物を調製した。LC−MS:m/z667.3(M+Η)。
【実施例5】
【0062】
【化31】

【0063】
(1S)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート
試薬として(1S)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体3)にかえて、(1R)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体4)を用いた以外は、実施例4の方法にしたがって表題の化合物を調製した。LC−MS:m/z 667.3(M+H)。
【実施例6】
【0064】
【化32】

【0065】
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4’−[(1,7’−ジメチル−2’−プロピル−1H,3’H−2,5’−ビベンズイミダゾール−3’−イル)メチル]ビフェニル−2−カルボキシレート
試薬として2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸にかえて、4’[(l,7’−ジメチル−2’−プロピル−1H,3’H−2,5’−ビベンズイミダゾール−3’−イル)メチル]ビフェニル−2−カルボン酸を用いた以外は、実施例2のステップAの方法にしたがって表題の化合物を調製した。H NMR(500MHz,CDCl)δ1.06(t,J=7.4Hz,3H)、1.19(d,J=5.5Hz,3H,Dl)、1.19(d,J=5.5Hz,3H,D2)、1.89(sextet,J=7.6Hz,2H)、1.92−2.00(m,2H)、2.16−2.24(m,1H)、2.39−2.46(m,1H)、2.77(s,3H)、2.82−2.90(m,1H)、2.94(t,J=8.0Hz,2H)、3.29(s,3H,Dl)、3.29(s,3H,D2)、3.73−3.77(m,1H)、3.81(s,3H)、5.19−5.23(m,1H)、5.45(s,2H)、6.79(q,J=5.5Hz,1H,Dl)、6.79(q,J=5.5Hz,1H,D2)、7.09(d,J=8.2Hz,2H)、7.24(d,J=7.7Hz,2H)、7.26−7.31(m,3H)、7.35−7.43(m,2H)、7.44(s,1H)、7.49(s,1H)、7.52(dt,J=1.1,7.6Hz,1H)、7.78−7.81(m,1H)、7.83(dd,J=3.0,7,7Hz,1H);LC−MS:m/z 746.4(M+H)。
【実施例7】
【0066】
【化33】

【0067】
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート
試薬として2−エトキシ−1−{[2’−(1−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボン酸にかえて、2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(l−トリチル−1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボン酸を用い、1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体2)にかえて、(1S)−1−クロロエチル(lR,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体3)を用いた以外は、実施例2の方法にしたがって表題の化合物を調製した。H NMR(500MHz,CDCl)δ0.89(t,J=7.4Hz,3H)、1.36(sextet,J=7.4Hz,2H)、1.56(d,J=5.4Hz,3H)、1.67(quintet,J=7.7Hz,2H)、1.92−2.02(m,2H)、2.20−2.28(m,1H)、2.34−2.42(m,1H)、2.63(t,J=7.4Hz,2H)、2.94(quintet,J=8.2Hz,1H)、3.26(s,3H)、3.73−3.78(m,1H)、5.14−5.18(m,1H)、5.47(d,J=16.5Hz,1H)、5.53(d,J=16.4Hz,1H)、6.93(d,J=8.1Hz,2H)、6.94(q,J=5.4Hz,1H)、7.14(d,J=8.3Hz,2H)、7.43(d,J=7.2Hz,1H)、7.53(dt,J=0.9,7.6Hz,1H)、7.60(dt,J=1.1,7.5Hz,1H)、7.98(d,J=7.7Hz,1H);LC−MS:m/z 668.1(M+H)。
【実施例8】
【0068】
【化34】

【0069】
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート
(1S)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体3)にかえて、(1R)−1−クロロエチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート(中間体4)を用いた以外は、実施例7の方法にしたがって表題の化合物を調製した。H NMR(500MHz,CDCl)δ0.89(t,J=7.4Hz,3H)、1.36(sextet,J=7.4Hz,2H)、1.56(d,J=5.4Hz,3H)、1.67(quintet,J=7.7Hz,2H)、1.85−1.92(m,1H)、1.96−2.03(m,1H)、2.20−2.28(m,1H)、2.34−2.42(m,1H)、2.63(t,J=7.4Hz,2H)、2.94(quintet,J=8.2Hz,1H)、3.24(s,3H)、3.73−3.78(m,1H)、5.16−5.20(m,1H)、5.45(d,J=16.5Hz,1H)、5.55(d,J=16.4Hz,1H)、6.93(d,J=8.1Hz,2H)、6.95(q,J=5.4Hz,1H)、7.14(d,J=8.3Hz,2H)、7.43(d,J=7.2Hz,1H)、7.53(dt,J=0.9,7.6Hz,1H)、7.60(dt,J=1.1,7.5Hz,1H)、7.96(d,J=7.7Hz,1H);LC−MS:m/z 668.1(M+H)。
【0070】
覚醒遠隔測定イヌに3mpkで経口投与されたときに減少する収縮期血圧について、いくつかの例を検討した(データ表1参照)。
【表1】

【0071】
血管弛緩:
本件化合物の血管緊張緩和を誘導する能力を、単離されたウサギの胸部大動脈標本でのインビトロで試験した(Wanstall J.C.ら,Br.J.Pharmacol.,134:463−472,2001)。雄ニュージーランドウサギをチオペンタール−Na(50mg/kg、iv)で麻酔し、放血により屠殺し、次いで胸部を切開し、大動脈を解離した。大動脈リング標本(長さ4mm)を小さい臓器チャンバー(5ml)中、37℃で、生理食塩水溶液(PSS)中にセットした。PSSの組成はmMで、NaCl130、NaHCO14.9、KHPO1.2、MgSO1.2、HEPES10、CaCl、アスコルビン酸170およびグルコース1.1(95%O/5%CO;pH7.4)であった。各リングは、2gの他動張力で取り付けた。等尺性張力を、BIOPAC MP150システムに取り付けられたGrassトランスデューサー(Grass FT03)によって記録した。標本は1時間平衡化され、次いでノルアドレナリン(NA、1μM)で最大下に収縮させ、収縮が安定したら、アセチルコリン(ACh、10μM)を加えた。AChに応答する弛緩は、機能的内皮の存在を示した。NA収縮できなかった、またはAChへの弛緩を示さなかった血管は破棄された。安定な前収縮に達したとき、どちらか一方の血管弛緩剤に対する累積濃度−応答曲線が、機能的内皮の存在下に得られた。各動脈リングは、インヒビターおよび血管弛緩剤の一つの組合せのみに曝露された。さらに、該化合物により誘発された血管弛緩に対する、可溶性グアニル酸シクラーゼインヒビターのODQ(1−H−(1,2,4)−オキサジアゾール(4,3−a)キノキサリン−1−オン)の効果が、大動脈リングをODQ(10μM)と20分間、プレインキュベーションして試験された。
【0072】
実施例2を血管弛緩について評価した。インビトロで、組織ベースの血管弛緩の測定が、ウサギの大動脈片において行われ、表示されたEC50(化合物に対する最大可能反応の50%を生じる化合物の分子濃度、データ表2)によって血管弛緩が示された。
【表2】

【0073】
本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎疝痛、腎障害、血管障害および神経障害などの糖尿病に起因する合併症、緑内障、眼圧亢進、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓手術後の合併症、勃起機能障害、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤での治療の合併症、およびレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られているその他の疾患に関する疾患の治療および/または予防に有用である。
【0074】
本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、特に、高血圧、うっ血性心不全、肺高血圧、腎機能不全、腎虚血、腎不全、腎線維症、心不全、心臓肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、腎障害、血管障害および神経障害などの糖尿病に起因する合併症に関する疾患の治療および/または予防に有用である。
【0075】
一つの実施形態において、本発明は、レニン−アンジオテンシン系の異常調節に関連する疾患の治療および/または予防のための方法、特に上記の疾患の治療または予防のための方法に関し、該方法は、本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストの医薬的に活性な量を患者に投与することを含む。
【0076】
本発明はまた、上記の疾患の治療および/または予防用医薬品の調製のための、本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストの使用にも関する。
【0077】
本発明の上記のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストはまた、アンジオテンシン変換酵素インヒビター(例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、カプトプリル、セロナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モベルティプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリルまたはトランドラプリル)、中性エンドペプチダーゼインヒビター(例えば、チオルファンおよびホスホラミドン)、アルドステロンアンタゴニスト、レニンインヒビター(例えば、ジ−およびトリ−ペプチドのウレア誘導体(米国特許第5,116,835号参照)、アミノ酸および誘導体(米国特許第5,095,119号および第5,104,869号)、非ペプチド結合によって結合されたアミノ酸鎖(米国特許第5,114,937号)、ジ−およびトリ−ペプチド誘導体(米国特許第5,106,835号)、ペプチジルアミノジオール(米国特許第5,063,208号および4,845,079号)およびペプチジルβ−アミノアシルアミノジオールカルバメート(米国特許第5,089,471号);同様に、次の米国特許第5,071,837号;第5,064,965号;第5,063,207号;第5,036,054号;第5,036,053号;第5,034,512号および第4,894,437号に開示されている種々の他のペプチド類似体、および小分子のレニンインヒビター(ジオールスルホンアミドおよびスルフィニル(米国特許第5,098,924号)、N−モルホリノ誘導体(米国特許第5,055,466号)、N−へテロ環式アルコール(米国特許第4,885,292号)およびピロールイミダゾロン(米国特許第5,075,451号)を含む);同様に、ペプスタチン誘導体(米国特許第4,980,283号)ならびにスタトン(statone)含有ペプチドのフルオロ−およびクロロ−誘導体(米国特許第5,066,643号)、エナルクレイン、RO42−5892、A65317、CP80794、ES1005、ES8891、SQ34017、アリスキレン((2S,4S,5S,7S)−N−(2−カルバモイル−2−メチルプロピル)−5−アミノ−4−ヒドロキシ−2,7−ジイソプロピル−8−[4−メトキシ−3−(3−メトキシプロポキシ)フェニル]−オクタンアミドヘミフマレート)、SPP600、SPP630およびSPP635)、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムチャンネルブロッカー(例えば、アムロジピン、ニフェジピン、ベラパルミル、ジルチアゼム、ガロパミル、ニルジピン、ニモジピンズ、ニカルジピン)、カリウムチャンネル活性剤(例えば、ニコランジル、ピナシジル、クロマカリム、ミノキシジル、アプリルカリム、ロプラゾラム)、利尿剤(例えば、ヒドロクロロチアジド)、交感神経遮断剤(sympatholitics)、β−アドレナリン遮断薬(例えば、プロプラノロール、アテノロール、ビソプロロール、カルベジロール、メトプロロールまたはメトプロロールターテート(metoprolol tartate))、α−アドレナリン遮断薬(例えば、ドキサゾチン、プラゾシンまたはαメチルドーパ)中枢性αアドレナリン作動薬、末梢性血管拡張剤(例えば、ヒドララジン)、脂質低下剤(例えば、シムバスタチン、ロバスタチン、エゼタミブ(ezetamibe)、アトルバスタチン、プラバスタチン)、インスリン増感剤および関連化合物を含む代謝変更剤(metabolic altering agents)(例えば、ムラグリタザール、グリピジド、メトフォルミン、ロシグリタゾン))を含む他の薬理学的に活性な化合物との組合せ、またはニトロプルシッドおよびジアゾキシドを含む上記疾患の予防または治療に有用なその他の薬剤との組合せでも用いられる。
【0078】
アンジオテンシンII受容体アンタゴニストを利用する投薬計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および病状;治療される病状の重篤度;投与の経路;患者の腎および肝機能;ならびに用いられる特定の化合物またはその塩を含む種々の因子にしたがって選択される。通常の技量を有する医師または獣医師は、病状の進行を防ぐ、または病状の進行に対処する、または病状の進行を阻止するのに必要とされる薬剤の有効量を容易に決定および処方することができる。
【0079】
示された効果のために使用されるとき、アンジオテンシンII受容体アンタゴニストの経口投与量は、1日、体重1kg当たり約0.0125mg(mg/kg/日)〜約7.5mg/kg/日、好ましくは0.0125mg/kg/日〜3.75mg/kg/日、より好ましくは0.3125mg/kg/日〜1.875mg/kg/日の間の範囲である。例えば、80kgの患者は、約1mg/日〜600mg/日、好ましくは1mg/日〜300mg/日、より好ましくは25mg/日〜150mg/日の間で投与される。したがって、1日1回の投与に適した調製医薬は、1mg〜600mg、好ましくは1mg〜300mg、より好ましくは25mg〜300mgの間、例えば25mg、50mg、100mg、150、200、250および300mgを含有する。有利には、該アンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、1日、2、3または4回に分けられた用量で投与され得る。1日2回の投与に適した調製医薬は、0.5mg〜300mgの間、好ましくは0.5mg〜150mgの間、より好ましくは12.5mg〜150mgの間、例えば12.5mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mgおよび150mgを含有する。
【0080】
本発明のアンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、錠剤、カプセル剤および顆粒剤などの経口形態で投与され得る。典型的には、該アンジオテンシンII受容体アンタゴニストは、以下に記載される適当な医薬結合剤との混合剤中の活性成分として投与される。「% w/w」は、全組成物に対する示された組成物成分の重量パーセントを表す。これらの投薬剤型に用いられる適当な充填剤は、微結晶質セルロース、ケイ酸化微結晶質セルロース、第二リン酸カルシウム、ラクトース、マンニトールおよびデンプン、好ましくは微結晶質セルロース、第二リン酸カルシウム、ラクトースまたはそれらの混合物を含む。適当な結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβ−ラクトースなどの天然糖、コーンシロップ、アラビアゴム、トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウムなどの天然および合成ゴム、カルボキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを含む。これらの投与形態に用いられる滑沢剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸などを含み、好ましくはステアリン酸マグネシウムである。適当なコーティング組成物は、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロースおよびEudragit(登録商標)として商業的に公知のアクリレートコポリマーなどの不溶性ポリマーの水性分散液または有機溶液を含む。可塑剤は、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、トリアセチンおよびヒマシ油を含む。粘着防止剤は、タルク、カオリン、コロイドシリカまたはそれらの混合物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)を有する化合物、もしくはその立体異性体、またはその化合物の医薬的に許容される塩、もしくはその立体異性体の医薬的に許容される塩:
【化1】

(式中、Rは、下記(Ia)〜(Ii)
【化2】


からなる群から選択され;
Yは、下記1)〜2)
【化3】

からなる群から選択され、
Yが
【化4】

である場合、
Rは、
【化5】

であり;
は、
−O−C1−6アルキル、
−O−アリール、
−O−ヘテロアリール、
−O−C3−8シクロアルキル、
−C1−6アルキル、
−アリール、
−ヘテロアリール、および
−C3−8シクロアルキル
からなる群から選択され;
およびRは、独立して、水素およびC1−4アルキルからなる群から選択される)。
【請求項2】
Rが
【化6】

である、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
が−O−C1−6アルキルである、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
が−OCHである、請求項3に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
は水素であり、RはC1−4アルキルである、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
は水素であり、RはCHである、請求項5に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
Yは、
【化7】

である請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Yは、
【化8】

からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
【化9】

である化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
Yは、
【化10】

である、請求項7に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
Yは、
【化11】

である、請求項7に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
Yは、
【化12】

からなる群から選択される、請求項7に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
Yは、
【化13】

からなる群から選択される、請求項10に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
Yは、
【化14】

からなる群から選択される、請求項11に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
化合物は、
(2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−イル)メチル(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンタンカルボキシレート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−エトキシ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−ベンゾイミダゾール−7−カルボキシレート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4−(2−ヒドロキシプロパン−2−イル)−2−プロピル−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート、
(1S)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチルN−ペンタノイル−N−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−L−バリナート、
1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル4’−[(1,7’−ジメチル−2’−プロピル−1H,3’H−2,5’−ビベンズイミダゾール−3’−イル)メチル]ビフェニル−2−カルボキシレート、
(1R)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート、および
(1S)−1−({[(1R,3S,4S)−3−メトキシ−4−(ニトロオキシ)シクロペンチル]カルボニル}オキシ)エチル2−ブチル−4−クロロ−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
請求項1に記載の化合物、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物、利尿薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項18】
治療的に有効な量の、請求項16に記載の組成物を患者に投与することを含む、患者の高血圧を治療するための方法。
【請求項19】
請求項9に記載の化合物および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項20】
請求項9に記載の化合物、利尿薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2012−511002(P2012−511002A)
【公表日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539608(P2011−539608)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/066041
【国際公開番号】WO2010/065432
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】