説明

アンジオテンシンII受容体拮抗剤の配合剤

【課題】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤の配合剤を見出す。
【解決手段】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬を見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
高血圧治療は薬物治療が主体であり、日本においてはカルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(以下、ARBとも記載する)などレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬、利尿薬、ベータ遮断薬など各種降圧薬が治療に用いられている。高血圧治療ガイドライン2009(JSH2009)では、降圧目標を若年・中年者では130/85mmHg未満、糖尿病や腎障害患者では130/80mmHg未満、高齢者では140/90mmHg未満としている。
【0003】
アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、高血圧治療薬として知られている薬剤であり、その有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤として、カンデサルタン シレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン メドキソミル、ロサルタン カリウム、イルベサルタン、アジルサルタン メドキソミル、エプロサルタン メシル酸塩、プラトサルタン、allisartanなどが知られている。イルベサルタンは非ペプチド性のアンジオテンシンII受容体拮抗剤であり、日本では2008年4月に「高血圧症」を適応症として承認されている。
【0004】
アンジオテンシンII受容体拮抗薬については、同じく高血圧治療薬として知られているアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬等との配合剤が各種開発され、一部は販売されるに至っている。なお、利尿薬には尿酸値が上昇するという懸念がある。
【0005】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤の配合剤に関しては、カンデサルタン シレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合剤、バルサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤、テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤、ロサルタン カリウム/ヒドロクロロチアジド配合剤、イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤が知られている。
カンデサルタン シレキセチル/ヒドロクロロチアジド配合剤は、カンデサルタン シレキセチル4mg及びヒドロクロロチアジド6.25mgを含有する錠剤、カンデサルタン シレキセチル8mg及びヒドロクロロチアジド6.25mgを含有する錠剤が販売されている。
バルサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤は、バルサルタン80mgとヒドロクロロチアジド6.25mgあるいは12.5mgとの配合剤が承認されている。
テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤は、テルミサルタン80mgあるいは40mgとヒドロクロロチアジド12.5mgとの配合剤が承認されている。
ロサルタン カリウム/ヒドロクロロチアジド配合剤は、ロサルタン カリウム50mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを配合する。
イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド配合剤は、イルベサルタン300mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgあるいは25mgを配合するものと、イルベサルタン150mg及びヒドロクロロチアジド12.5mgを配合するものが米国で販売されている。
利尿剤としては、ヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、キシパミド、シクロペンチアジド、Epoxyprorenone、シクロチアジドなど、多数が知られているが、上記配合剤中、利尿剤としてはヒドロクロロチアジドを用いたものばかりで、トリクロルメチアジドを配合した配合剤は知られていない。
なお、トリクロルメチアジドはチアジド系降圧利尿剤であり、日本では1960年8月に承認されている。
【0006】
特許文献1には、イルベサルタンとヒドロクロロチアジドとの配合剤が記載されている。しかし、トリクロルメチアジドとの配合剤については、実施例や具体的データが記載されておらず、実際の効果については開示も示唆もされていない。また、イルベサルタンと利尿剤の量の比は、50.00:4.17〜8.33である。
非特許文献1には、カンデサルタン シレキセチルとヒドロクロロチアジドとの併用による降圧効果について記載されているが、トリクロルメチアジドとの組合せについては記載されていない。
【0007】
非特許文献2には、ロサルタンとヒドロクロロチアジドを組合せた際のヒドロクロロチアジドの用量依存的な降圧効果について記載されている。また、利尿薬によって上昇が懸念される尿酸値はARBの中でも唯一ロサルタンのみが軽減できる記載されている。
非特許文献3には、ロサルタンなどのARBとヒドロクロロチアジドとの合剤について記載されている。
非特許文献4および5には、イルベサルタンが腎保護作用を有することが記載されている。
イルベサルタンとトリクロルメチアジドの配合剤については、本願優先日後に公開された非特許文献6や、本願優先時後に行われた塩野義製薬株式会社の第3次中期経営計画説明会(非特許文献7)において、公表されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3162626号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Hypertens Res Vol.19, No.4(1996)
【非特許文献2】Therapeutic Research Vol.31, No.1 2010
【非特許文献3】齋藤郁夫著 「新しい診断と治療のABC 高血圧(改訂第2版)」 最新医学社出版 p.140-147
【非特許文献4】The New England Journal of Medicine (2001) 345, 870-878
【非特許文献5】The New England Journal of Medicine (2001) 345, 851-860
【非特許文献6】血圧 vol.18 no.1 2011 p75-p79
【非特許文献7】塩野義製薬株式会社、“Third Medium-Term Business Plan”、[online]、平成22年3月16日、塩野義製薬、インターネット<URL: http://www.shionogi.co.jp/ir/explanatory/pdf/p100316.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤の配合剤を見出す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤の配合剤において、利尿剤との配合剤が好ましいことを見出し、また、利尿剤としてトリクロルメチアジドを用いることができることを見出し、また、トリクロルメチアジドを用いることにより、使用する利尿剤の量を減らすことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0012】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤の配合剤において、利尿剤としてトリクロルメチアジドを用いることにより、使用する利尿剤の量を減らすことができる。特に、イルベサルタンとトリクロルメチアジドの配合剤は、強い降圧効果と高い安全性を有する配合剤である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】イルベサルタンとトリクロルメチアジドの併用による降圧効果を示す図(1日目)である。縦軸はSBP(収縮期血圧)、横軸は経過時間を表す。Fはトリクロルメチアジド、Iはイルベサルタンを表す。たとえば、F(3)は、トリクロルメチアジド3mg/kgを表す。 (実施例1)
【図2】イルベサルタンとトリクロルメチアジドの併用による降圧効果を示す図(2日目)である。縦軸はSBP(収縮期血圧)、横軸は経過時間を表す。Fはトリクロルメチアジド、Iはイルベサルタンを表す。たとえば、F(3)は、トリクロルメチアジド3mg/kgを表す。 (実施例1)
【図3】アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドの併用投与試験の有効性の結果を示す図である。縦軸は血圧(単位mmHg)、横軸は経過時間を表す。SBPは収縮期血圧を意味し、DBPは拡張期血圧を意味する。 (実施例5)
【図4】アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドの併用投与試験の安全性の結果を示す図である。観察期と治療期の各値(尿酸値、K値(カリウム値)、血糖値)をプロットしたものである。 (実施例5)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者は、研究の結果、以下に記載の発明を完成した。
(1)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬、
(2)
高血圧治療用である、前記(1)記載の医薬、
(3)
配合剤である、前記(1)または(2)記載の医薬、
(4)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比100:1〜400:1の割合で含有するものである、前記(3)記載の医薬、
(5)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する、前記(4)記載の医薬、
(6)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する、前記(4)記載の医薬、
(7)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、トリクロルメチアジドを1mg含有する、前記(5)記載の医薬、
(8)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、トリクロルメチアジドを1mg含有する、前記(6)記載の医薬、
(9)
1回あたり100mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられることを特徴とする、前記(1)または(2)記載の医薬、
(10)
1回あたり200mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられることを特徴とする、前記(1)または(2)記載の医薬、
(11)
重症高血圧患者に用いるものである、前記(1)または(2)記載の医薬、
(12)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンである、前記(1)〜(6)または(9)〜(11)のいずれかに記載の医薬、
(13)
イルベサルタン100mgで効果不十分な場合に用いるものである、前記(12)記載の医薬、
(14)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、イルベサルタン200mgで効果不十分な場合に用いるものである、前記(6)、(8)または(10)記載の医薬、
(15)
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgで効果不十分な場合に用いるものである、前記(6)、(8)または(10)記載の医薬。
【0015】
本明細書において、アンジオテンシンII受容体拮抗剤は、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を意味する。さらに詳しくは、アンジオテンシンII受容体拮抗剤はAT1受容体にアンジオテンシン変換酵素(ACE)により作られたアンジオテンシンIIが結合するのを妨げ、血管収縮作用、血管壁肥厚作用、動脈硬化作用、心筋には心筋収縮力増強作用、心筋肥大作用などの作用を発揮できないようにするアンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を意味する。
従って、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を含有する薬剤は、降圧薬としてのみならず、抗動脈硬化薬としても注目されている。たとえば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤としては、カンデサルタン シレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン メドキソミル、ロサルタン カリウム、イルベサルタン、アジルサルタン メドキソミルなどが知られている。本発明において使用されるアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、これらに限定されるものではなく、アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物であれば、広く使用することができる。特に好ましくは、イルベサルタン、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物であり、さらに好ましくは、イルベサルタンである。
イルベサルタンを含有する薬剤としては、現在、日本において、100mg錠、50mg錠が販売されており、適応症は「高血圧症」であり、用法・用量としては、「通常、成人にはイルベサルタンとして50〜100mgを1日1回経口投与する。」と添付文書に記載されている。
以下に、イルベタンの化学構造式を示す。
【化1】

【0016】
本明細書中、トリクロルメチアジドは、トリクロルメチアジド、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を意味する。トリクロルメチアジドは、チアジド系降圧利尿剤であり、遠位尿細管において、Na、Clの再吸収を抑制して利尿効果を示す薬剤である。現在、日本において、トリクロルメチアジドを含有する薬剤としては、2mg錠、1mg錠が販売されており、適応症は、「高血圧症(本態性,腎性等)、悪性高血圧、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症」であり、用法・用量としては、「通常、成人にはトリクロルメチアジドとして1日2〜8mgを1〜2回に分割経口投与する。」と添付文書に記載されている。
以下に、トリクロルメチアジドの化学構造式を示す。
【化2】

【0017】
本発明は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬である。組合せからなる医薬とは、併用する場合、共投与する場合、キットとして使用される場合、配合剤として製剤されている場合のいずれの形態も含む。服薬の単純化によるアドヒアランスの向上の観点からは、配合剤として製剤した医薬が好ましい。
【0018】
本発明の配合剤においては、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比100:1〜400:1の割合で含有するものが好ましい。たとえば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有しトリクロルメチアジドを0.25mg〜1mg含有する配合剤や、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有しトリクロルメチアジドを0.5mg〜2mg含有する配合剤が好ましい。
特に、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比100:1の割合で含有する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有しトリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤や、
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比200:1の割合で含有する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有しトリクロルメチアジドを0.5mg含有する配合剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有しトリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤や、
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比400:1の割合で含有する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有しトリクロルメチアジドを0.5mg含有する配合剤が好ましい。
さらには、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比100:1の割合で含有する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有しトリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤、
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比200:1の割合で含有する、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有しトリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤が好ましい。
特に、アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンである配合剤が好ましい。さらには、イルベサルタンを100mg含有し、トリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤、イルベサルタンを200mg含有し、トリクロルメチアジドを1mg含有する配合剤が好ましい。
【0019】
本発明の医薬の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましい。成人に経口投与する場合、本発明の医薬に用いられる有効成分が、通常0.05〜200mg/kg/日であり、好ましくは0.1〜50mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、本発明の医薬に用いられる有効成分が、通常0.005〜50mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜10mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回〜数回に分けて投与すれば良い。
特に、1回あたり100mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.25mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるもの、1回あたり200mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜2mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるものが好ましい。
特に好ましくは、1回あたり100mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるもの、1回あたり200mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるものが好ましい。
特に、1回あたり100mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるもの、1回あたり200mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられるものが好ましい。この場合、アンジオテンシンII受容体拮抗剤として、特にイルベサルタンが好ましい。
【0020】
本発明の医薬は、高血圧治療剤として使用される。
また、重症高血圧患者(血圧値が収縮期で180mmHg以上かつ拡張期で110mmHg以上)に用いることもできる。
重症高血圧患者以外では、たとえば、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する配合剤は、イルベサルタン100mgで効果不十分な場合に用いることができる。また、アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する配合剤は、イルベサルタン200mgで効果不十分な場合や、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgで効果不十分な場合に用いることができる。
【0021】
イルベサルタン100mgで効果不十分な場合とは、イルベサルタン100mgを投与したが、血圧が正常化しないもしくは目標値まで達成させることができない場合を意味する。たとえば、イルベサルタン100mgを6週間投与し,血圧値が収縮期で140mmHg以上かつ拡張期で90mmHg以上の場合などを意味する。この条件はそれぞれの患者の状態によって担当医師が決定する。
イルベサルタン200mgで効果不十分な場合とは、イルベサルタン200mgを投与したが、血圧が正常化しないもしくは目標値まで達成させることができない場合を意味する。たとえば、イルベサルタン200mgを6週間投与し,血圧値が収縮期で140mmHg以上かつ拡張期で90mmHg以上の場合などを意味する。この条件はそれぞれの患者の状態によって担当医師が決定する。
イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgで効果不十分な場合とは、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgを投与したが、血圧が正常化しないもしくは目標値まで達成させることができない場合を意味する。たとえば、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgを6週間投与し,血圧値が収縮期で140mmHg以上かつ拡張期で90mmHg以上の場合などを意味する。この条件はそれぞれの患者の状態によって担当医師が決定する。
【0022】
本発明の医薬は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。経口投与は常法に従って錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤、液剤、シロップ剤、バッカル剤または舌下剤等の通常用いられる剤型に調製して投与すればよい。非経口投与は、例えば筋肉内投与、静脈内投与等の注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等、通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。好ましくは経口投与であり、好ましい剤型は錠剤である。
本発明の医薬に用いられるアンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドの有効量に、その剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬製剤とすることができる。注射剤の場合には有効成分を適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすればよい。
賦形剤としては、乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム又は結晶セルロ−ス等が挙げられる。
結合剤としては、メチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ゼラチン又はポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末又はラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム又はマクロゴ−ル等が挙げられる。
坐剤の基剤としては、カカオ脂、マクロゴ−ル又はメチルセルロ−ス等を用いることができる。
液剤又は乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加しても良い。経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えても良い。
本発明の医薬がキットである場合、例えば、同一パッケージ内にアンジオテンシンII受容体拮抗剤を製薬上許容される担体及び/又は賦形剤との混合物として含む第1経口投与薬剤、並びに、トリクロルメチアジドを製薬上許容される担体及び/又は賦形剤との混合物として含む第2経口投与薬剤を含むキットなどが挙げられる。
本発明の医薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬であり、さらにアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、別のアンジオテンシンII受容体拮抗薬、カルシウム拮抗薬、トリクロルメチアジド以外の利尿薬などの有効成分を含んでいても良い。
【0023】
以下に実施例を記載し本発明を説明するが、実施例の記載は本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0024】
イルベサルタンとトリクロルメチアジドの併用による降圧効果
(試験例)
雄性高血圧自然発症ラット (SHR/NCrlCrlj, 13〜16週齢, 日本チャールス・リバー) を使用した。血圧は、非観血式血圧測定装置 (BP-2000, Visitech Systems 社)を用い、テイルカフをラットの尾に取り付けて、尾の血流から非侵襲的に測定した。ラットを36℃ の恒温保温箱に一定時間(約10-20分)入れ、環境に馴化させた後に血圧を測定した。Vehicle、イルベサルタン単独、トリクロルメチアジド単独および両薬物の併用投与群は1日1回(AM8:30-9:30)、2日間連続経口投与し、血圧測定は各投与前、 投与2、4、6、8及び24時間後に無麻酔下で測定した。
各薬物は0.5%メチルセルロース (MC) を媒体として調製し2mL/kg (体重)の容量で投与した。Vehicle群は0.5% MCとした。統計解析は、投与前、 投与2、4、6、8及び24時間後に測定した値を用いて各処置群間での差異を二元配置分散分析法により行い、p<0.05を有意水準とした。

(結果)
イルベサルタンとトリクロルメチアジドを併用した場合、イルベサルタン(単剤)、トリクロルメチアジド(単剤)に比べて、相乗的な効果を示した。一日目の結果を図1及び二日目の結果を図2に示した。図は各薬剤投与後の収縮期血圧の変化を示し、Fはトリクロルメチアジド、Iはイルベサルタンを意味する。また、各記号の横の数字は投与量を表し、単位はmg/kgである。
【実施例2】
【0025】
イルベサルタンのヒトインビトロ酵素阻害
ヒト肝ミクロソームを用いて、イルベサルタンのヒト主要CYP酵素に対するインビトロ阻害作用を検討した結果、イルベサルタンはCYP1A2、CYP2D6及びCYP2E1に対して阻害を示さなかったが、CYP2A6に対しては520.7μmol/LのKi値を、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対してはそれぞれ22.5μmol/L、50μmol/L及び150μmol/LのIC50値を示し、これら4分子種に対しては弱いながらもイルベサルタンの阻害活性が認められた。
イルベサルタンの200mgを、イルベサルタン単剤としてヒトに経口投与した時の血漿中濃度の平均Cmaxは2.1μg/mL(4.9μmol/L)であり、CYP酵素に対するIC50(又はKi)値と比べて十分な乖離が認められている。
また、ヒト肝細胞を用いたインビトロ試験において、トリクロルメチアジドを2μmol/Lの濃度で2時間インキュベートした後にも98%が未変化体として残存しており、トリクロルメチアジドは代謝的に非常に安定であることが確認された。したがって、配合剤中のイルベサルタンがCYP酵素を阻害する懸念は小さく、トリクロルメチアジドの代謝プロファイルが影響を受ける可能性は極めて低い。
【実施例3】
【0026】
トリクロルメチアジドのヒトインビトロ酵素阻害
ヒト肝ミクロソーム及びCYP発現酵素を用いたイルベサルタンのインビトロ代謝評価の結果、イルベサルタンは主に4種類のモノヒドロキシ体へ酸化的に代謝されることが確認されており、これら代謝物の主要代謝酵素はCYP2C9であることが明らかにされている。
一方、トリクロルメチアジドのヒト主要CYP酵素 (1A2、2C8、2C9、2C19、2D6及び3A4)に対するインビトロ阻害作用についてヒト肝ミクロソームを用いて検討した結果、トリクロルメチアジドは0〜3μmol/Lの濃度範囲において、いずれのCYP酵素に対しても阻害を示さなかった。
また、トリクロルメチアジド4mgを高血圧患者に投与した際のCmaxは0.088±0.01μg/mL(0.23±0.03μmol/L)であり、配合剤中のトリクロルメチアジド含有量を考えると、配合剤中のトリクロルメチアジドがイルベサルタンの代謝に関与するCYP2C9を阻害し、イルベサルタンの代謝が阻害される懸念は小さい。
【実施例4】
【0027】
ラット単回併用毒性試験
(試験例)
イルベサルタン及びトリクロルメチアジドをラット(Crl:CD(SD)、6週齢、雄雌,日本チャールス・リバー)に単回併用経口投与し、一般状態を観察するとともに血漿中薬物濃度測定を行った。イルベサルタンは0、30、300 mg/kg、トリクロルメチアジドは0、1、10、100 mg/kgの投与量を用いた。
以下の表1に本試験の投与量を示す。
【表1】


その結果、イルベサルタン及びトリクロルメチアジドの単剤もしくは併用投与した際に、いずれの投与量においても死亡例はなく、全例において一般症状には変化は認められなかった。イルベサルタンの血漿中濃度はトリクロルメチアジドを併用投与した際に、いずれの投与量おいても単剤を投与した際の曝露と比べ変化は認められず、併用投与による影響は認められなかった。結果を表2に示す。
【表2】


一方、トリクロルメチアジドの血漿中濃度はイルベサルタン 30 mg/kgとの併用投与では単剤を投与した際の曝露に対して変化は認められなかったが、イルベサルタン 300 mg/kgを併用投与した際にはCmax、AUC0−24hrが約2−3倍上昇した。また、両剤の曝露に性差は認められなかった。結果を表3に示す。
【表3】


表中、Irbeはイルベサルタンを意味し、Triはトリクロルメチアジドを意味する。
【実施例5】
【0028】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドの併用投与試験
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドの併用投与時の有効性及び安全性を検討した。本態性高血圧症患者(選択基準:150/95mmHg以上)を対象とし、未治療患者に対して、8週間、アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジド1mgを1日1回併用投与した。症例数は30例。観察期(投薬開始前)と治療期(投薬開始後)のデータを取り、有効性と安全性を調べた。アンジオテンシンII受容体拮抗剤は全てイルベサルタン100mgであった。結果を以下に示す。
(結果)
有効性について
イルベサルタン/トリクロルメチアジドの8週間の併用投与により、収縮期血圧が平均で24mmHg、拡張期血圧が平均13.1mmHgの降圧効果が確認された。結果を図3と表4に示す。図及び表中、SBPは収縮期血圧を意味し、DBPは拡張期血圧を意味する。
【表4】

単位はmmHg。

安全性について
尿酸値、K値(カリウム値)、血糖について、観察期と治療期の比較を行った。その結果、安全性において問題となるものはなかった。特に、イルベサルタン/トリクロルメチアジドの尿酸値の変化量は、他配合剤に比べて小さいと推定される。治療期においても上昇することがなく、他のアンジオテンシンII受容体拮抗薬と利尿剤の配合剤に比べても、イルベサルタン/トリクロルメチアジドの配合剤が優れていることがわかった。結果を図4、比較を表5に示す。
【表5】

各配合剤の申請資料概要より引用。データはいずれも8週間投与のもの。単位:mg/dl
【実施例6】
【0029】
臨床試験
(試験例)
イルベサルタン100mg単独投与で降圧効果が不十分な本態性高血圧症患者を対象として、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5mg配合剤又はイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤の有効性及び安全性を、イルベサルタン単独投与群を対照として検討した。
まずイルベサルタン100mg単独投与を6週間(以下、適格性判定期とする)行い、ついで、イルベサルタン100mg、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5mg配合剤又はイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤を8週間(以下、二重盲検期とする)投与した。
対象患者は、同意取得時に20歳以上80歳未満の本態性高血圧症患者で、適格性判定期開始時に以下の1)または2)のいずれかの基準を満たし、適格性判定期終了時に以下の3)の基準を満たす患者を選択した。
1)同意取得前4週間以上降圧薬による高血圧治療を受けている患者
2)降圧薬による高血圧治療を受けていない患者で,坐位の収縮期血圧が160mmHg以上又は拡張期血圧が100mmHg以上の患者 (II度高血圧以上)
3)トラフ時坐位の収縮期血圧が140mmHg以上180mmHg未満でかつ,拡張期血圧が90mmHg以上110mmHg未満 (I度高血圧−II度高血圧)
用法・用量は、以下の通りであった。
1.適格性判定期 (単盲検,6週間):
1日1回朝食後の午前8時頃 (6時〜10時)のほぼ一定の時刻に適格性判定期用薬剤 1錠(イルベサルタン錠 100mg)を6週間服薬した。
2.二重盲検期(8週間):
1日1回朝食後の午前8時頃 (6時〜10時)のほぼ一定の時刻に二重盲検期用薬剤1錠を8週間服薬した。
主要評価項目としては、二重盲検期判定血圧−適格性判定期基準血圧により算出されるトラフ時坐位拡張期血圧変化量(トラフ時坐位拡張期血圧下降度ともいう)を使用し、イルベサルタン単独投与群に対する配合剤の優越性・有効性を検証した。検定での有意水準は両側0.05とし、閉検定手順の原理に基づいて逐次的に2群比較を行うことで、検定の繰り返しによる多重性を調整した。
解析方法としては、Mixed−effects model repeated measures approach (MMRM法)を用いた。具体的には、二重盲検期の治験薬投与後の規定観測時点で得られた利用可能なすべてのデータを用い、トラフ時坐位拡張期血圧下降度を応答変数とし、群、観測時点、群と観測時点の交互作用を固定効果、割付け因子を共変量として、誤差分散に特定の共分散構造を仮定しないモデルをあてはめた。このモデルのもとで、二重盲検期8週時の血圧下降度について、配合剤の各群とイルベサルタン単独投与群との間で比較を行った。
(結果)
有効性について
イルベサルタン100mg単独投与で降圧効果が不十分な患者を対象に、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤は、8週間時のトラフ時坐位拡張期血圧変化量においてイルベサルタン単独投与群の効果に加えさらに3.90mmHg低下させる優れた効果を示した。イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5mg配合剤は、イルベサルタン単独投与群の効果に加えてさらに1.28mmHg低下させる効果を示した。結果を表6に示す。
【表6】

単位はmmHg。
配合錠-A群:イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5mg配合剤。
配合錠-B群:イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤。

安全性について
配合剤において新たな安全性懸念は認められなかった。尿酸値へ悪影響を及ぼす可能性は低いと推定される。投与終了後の尿酸値が7.0mg/dlを超え、かつ投与前からの変化率が20%以上と悪化した患者の割合は、本試験と類似した試験を実施したミコンビ(登録商標、テルミサルタン/HCTZ)に対して低く、本配合剤が高い安全性を持つことが確認された。結果を表7に示す。なお、HCTZはヒドロクロロチアジドを意味する。
【表7】

割合*:尿酸値が7.0mg/dlを超え、かつ投与前からの変化率が20%以上の割合
申請資料概要より引用。データは8週間投与のもの。
【実施例7】
【0030】
イルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤の優越性試験
イルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤の優越性試験ではイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤のイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤に対する優越性を検証する。あわせてイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤がイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤に対し降圧効果で上回ることを推定するデータを取得する。安全性に問題がないことを確認する。
【実施例8】
【0031】
長期投与試験
長期投与試験ではイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤およびイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤の長期投与における有効性及び安全性を検討する。イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg効果不十分例に対するイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mg配合剤の上乗せ効果があることも併せて検討する。
【実施例9】
【0032】
健康成人におけるイルベサルタンおよびトリクロルメチアジドの薬物相互作用試験
健康成人におけるイルベサルタン及びトリクロルメチアジドの各単剤単独投与時と各単剤併用投与時との間で薬物動態の比較を行った。イルベサルタンは200mg、トリクロルメチアジドは1mgを用いて行った。
(結果)
イルベサルタン200mgとトリクロルメチアジド1mgを併用投与しても両薬剤間に重要な薬物相互作用はなく、安全性にも問題はないことが推察された。
【実施例10】
【0033】
健康成人における配合剤製剤とイルベサルタンおよびトリクロルメチアジド併用時の生物学的同等性試験
生物学的同等性試験を実施する。健康成人においてイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤の薬物動態プロファイルとイルベサルタン100mgとトリクロルメチアジド1mg併用時の同等性を検討する。あわせてイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤の薬物動態プロファイルとイルベサルタン200mgとトリクロルメチアジド1mg併用時の同等性を検討する。
【実施例11】
【0034】
本態性高血圧症患者における配合剤製剤反復投与時の薬物動態の検討
本態性高血圧症患者を対象に、配合剤を反復投与した時のイルベサルタン及びトリクロルメチアジドの各薬物動態プロファイルの確認を目的に実施する。
投与1期目としてイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド1mg製剤 (又はイルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5mg製剤)の1日1回1週間程度の反復投与を行う。休薬期間後に同一の高血圧症患者に投与2期目としてイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド1mg製剤(又はイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド0.5mg製剤)で同様の反復投与を行い、イルベサルタン及びトリクロルメチアジドの各薬物動態プロファイルを評価(初回と最終回投与との間及び2製剤間での比較)する。併せて安全性を評価する。
【実施例12】
【0035】
健康成人における配合剤製剤の食事の影響の検討
健康成人を対象に、食事がイルベサルタン200mg/トリクロルメチアジド1mg配合剤製剤投与時のイルベサルタンおよびトリクロルメチアジドの薬物動態プロファイルに及ぼす影響を検討する。
【産業上の利用可能性】
【0036】
アンジオテンシンII受容体拮抗薬の配合剤において、利尿剤としてトリクロルメチアジドを用いることにより、使用する利尿剤の量を減らすことができる。特に、イルベサルタンとトリクロルメチアジドの配合剤は、強い降圧効果と高い安全性を有する配合剤である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとの組合せからなることを特徴とする医薬。
【請求項2】
高血圧治療用である、請求項1記載の医薬。
【請求項3】
配合剤である、請求項1または2記載の医薬。
【請求項4】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤とトリクロルメチアジドとを重量比100:1〜400:1の割合で含有するものである、請求項3記載の医薬。
【請求項5】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤を100mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する、請求項4記載の医薬。
【請求項6】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤を200mg含有し、トリクロルメチアジドを0.5mg〜1mg含有する、請求項4記載の医薬。
【請求項7】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、トリクロルメチアジドを1mg含有する、請求項5記載の医薬。
【請求項8】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、トリクロルメチアジドを1mg含有する、請求項6記載の医薬。
【請求項9】
1回あたり100mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1または2記載の医薬。
【請求項10】
1回あたり200mgのアンジオテンシンII受容体拮抗剤と0.5mg〜1mgのトリクロルメチアジドが、ヒトに対して1日1回経口投与されるように用いられることを特徴とする、請求項1または2記載の医薬。
【請求項11】
重症高血圧患者に用いるものである、請求項1または2記載の医薬。
【請求項12】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンである、請求項1〜6または9〜11のいずれかに記載の医薬。
【請求項13】
イルベサルタン100mgで効果不十分な場合に用いるものである、請求項12記載の医薬。
【請求項14】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、イルベサルタン200mgで効果不十分な場合に用いるものである、請求項6、8または10記載の医薬。
【請求項15】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤がイルベサルタンであり、イルベサルタン100mg/トリクロルメチアジド0.5〜1mgで効果不十分な場合に用いるものである、請求項6、8または10記載の医薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−213713(P2011−213713A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51303(P2011−51303)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】