説明

アンダーカバー装置

【課題】カバー材の開閉操作が容易になると共に、底面板に設ける開口部をスライド式よりも広くとれる作業機の上部旋回体のアンダーカバー装置を提供する。
【解決手段】上部旋回体の底面に固定された底面板に略半円形をなす開口部14を設ける。開口部14よりやや広い面積を有する略半円形をなすカバー材15を、開口部14近傍のカバー材枢支部14bに回動可能に取付ける。底面板13における開口部14の弧状開口縁14aの近傍に、カバー材15の弧状縁15aを摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材17を設ける。カバー材15に回動操作用のハンドル15f,15gを設ける。ハンドル15f,15gを用いてカバー材15を回動させることにより、カバー材15によって開口部14を閉塞、開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機における上部旋回体の下面に設けるメンテナンス用のアンダーカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルにおいては、上部旋回体を構成する旋回フレーム上にエンジンやラジエータ等を含むパワーユニットが搭載される。そして旋回フレームの下面は底面板で覆われると共に、底面板の一部にメンテナンス用の開口部を設け、この開口部に着脱可能なアンダーカバーを取付ける。従来のアンダーカバーは、多くの場合、例えば特許文献1,2に示すように、ボルトによって旋回フレームの下面に着脱可能に取付けられている。
【0003】
また、従来のアンダーカバー装置として、図10(A)の側面図および図10(B)の底面図に示すものがある。このアンダーカバー装置は、底面板70に設けたメンテナンス用開口部70aをカバー材71により覆う構造を有する。このカバー材71の底面板70に対する固定は、カバー材71に設けた2条のガイド溝71aに蝶ボルト72を挿通して底面板70に設けたナット73に螺合し締結すると共に、カバー材71の先端を底面板70に設けたL字形の係止板74に係止させて行なう。開口部70aの開放は、蝶ボルト72を緩め、カバー材71に設けたハンドル71bに両手の指75を掛けてカバー材71を引き出すことにより行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−302065号公報
【特許文献2】特開2010−216190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に記載のように、カバー材をボルトにより底面板の下面に着脱可能に取付ける構造においては、カバー材の着脱の度にボルトの着脱も行なう必要があり、上部旋回体の下部の狭い作業空間において、作業が容易ではなく、カバー材の着脱に手間がかかるという問題点がある。
【0006】
一方、図10に示すように、カバー材71をスライドさせて開口部70aを開閉する従来構造においては、カバー材71にガイド溝71aを設ける必要があるため、底面板70の開口部70aの面積を広くとることができない。また、カバー材71を片手で引くとカバー材71が偏り、スライドできなくなるので、カバー材71の開閉に両手を使用する必要があり、上部旋回体の下部の狭い作業空間において、開閉作業時における作業者の姿勢が安定せず、開閉作業が容易ではないという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、カバー材の開閉操作が容易になると共に、底面板に設ける開口部をスライド式よりも広くとれるアンダーカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1のアンダーカバー装置は、作業機の上部旋回体の下面にメンテナンス用に設けられるアンダーカバー装置において、
前記上部旋回体の下面に固定される底面板と、
前記底面板に設けた略半円形をなす開口部と、
前記開口部よりやや広い面積を有する略半円形をなすカバー材と、
前記カバー材の弧状縁で形成される円弧の中心に設けた枢着部を、前記底面板における前記開口部の弧状開口縁で形成される円弧の中心に設けたカバー材枢支部に合わせて前記カバー材を前記底面板の下面に回動可能に取付ける取付け具と、
前記底面板の下面における前記開口部の前記弧状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材の前記弧状縁を摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材と、
前記カバー材の下面に取付けられた回動操作用のハンドルとを備え、
前記ハンドルを用いて前記カバー材を前記取付け具を中心として回動させることにより、前記カバー材によって前記開口部を閉塞、開放する構成としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2のアンダーカバー装置は、作業機の上部旋回体の下面にメンテナンス用に設けられるアンダーカバー装置において、
前記上部旋回体の下面に固定される底面板と、
前記底面板に設けられ、略半円形の弧状開口縁、前記弧状開口縁で形成される円弧の中心に設けたカバー材枢支部、および前記カバー材枢支部の両側からそれぞれ前記弧状開口縁の端部にわたって設けた直線状開口縁を有する開口部と、
略半円形の弧状縁、前記弧状縁で形成される円弧の中心に設けた枢着部、および前記枢着部の両側からそれぞれ前記弧状縁の端部にわたって設けた直線状縁を有すると共に、前記開口部よりやや広い面積を有するカバー材と、
前記カバー材に設けた枢着部を、前記底面板に設けたカバー材枢支部に合わせて前記カバー材を前記底面板の下面に回動可能に取付ける取付け具と、
前記底面板の下面における前記開口部の前記弧状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材の前記弧状縁を摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材と、
前記底面板の下面における前記開口部の一方の直線状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材により前記開口部を閉塞した際に前記カバー材の一方の直線状縁を当接させると共に、前記カバー材の回動により前記開口部を全開させた際に前記カバー材の他方の直線状縁を当接させて位置決めする固定ストッパと、
前記底面板における前記開口部の前記他方の直線状開口縁の近傍に、前記底面板の下面より下方に突没可能に、かつ付勢手段により下方に付勢して設けられ、前記カバー材により前記開口部を閉塞した際に前記カバー材の前記他方の直線状縁を当接させて回り止めする可動ストッパと、
前記カバー材に取付けた回動操作用のハンドルとを備えた
ことを特徴とする。
【0010】
請求項3のアンダーカバー装置は、請求項2に記載のアンダーカバー装置において、
前記周辺支持材を、前記底面板に設けた枢支部を中心とする円弧上に、互いに90度の角度間隔を持って4個配設したことを特徴とする。
【0011】
請求項4のアンダーカバー装置は、請求項2または3に記載のアンダーカバー装置において、
前記カバー材における前記枢着部の両側の前記直線状縁の近傍に、前記ハンドルを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5のアンダーカバー装置は、請求項1から4までのいずれか1項に記載のアンダーカバー装置において、
前記底面板および前記カバー材に通気用の孔を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ハンドルに片手を掛けてカバー材を回動させることによって開口部を開閉できるため、従来のように複数本のボルトによりカバー材を取付けたものや、両手をハンドルに掛けて直線移動させることにより開閉するものに比較して開口部の開閉操作が容易となる。また、カバー材は、底面板に設ける開口部よりやや広い程度の面積ですむため、カバー材を直線移動させて開閉するものに比較して広い開口部を確保することができる。
【0014】
また、カバー材の弧状縁を摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材を設けたので、カバー材の振動が防止されると共に、カバー材の周辺部が支持されるため、カバー材や取付け具に振動による過大が力が作用してカバー材や取付け具が損傷することを防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、カバー材の枢着部の両側の2つの直線状縁が、開口部閉塞時と開放時で固定ストッパ、可動ストッパに当接して回り止めされるので、振動によるカバー材の回動が防止され、開口部の閉塞状態において、カバー材が回動して開口部が開くおそれがない。また、可動ストッパは、下方から押し上げることで簡単にワンタッチで回動防止状態を解除することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、4個の周辺支持材を円上に均等な間隔で分散配置したので、カバー材による開口部の閉塞時のみならず、開閉途中の状態においてもカバー材が常時周辺支持材により支持され、周辺支持材をスムーズに回動させることができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、カバー材の直線状縁の近傍にハンドルを設けたので、片手でカバー材を容易に回動させることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、カバー材の周辺部が、底面板の底面に設けたガイド材により支持されてガイドされる構造であり、従来のようにカバー材にガイド溝を有してガイド部材の直線的移動により開口部を開閉する構造に比較し、カバー材が開口部の周辺に対して重なる部分が狭くてすむため、カバー材で開口部を閉塞した状態において、底面板に設ける通気孔がカバー材により覆われて機能しないか、あるいはカバー材に覆われるために元々通気孔を設けない部分の広さが従来より狭くなり、良好な通気性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のアンダーカバー装置を適用する作業機の底面部を示す斜視図である。
【図2】本発明によるアンダーカバー装置の一実施の形態を開口部閉塞状態で示す底面図である。
【図3】本発明によるアンダーカバー装置の一実施の形態を開口部全開状態で示す底面図である。
【図4】この実施の形態の底面板を示す底面図である。
【図5】この実施の形態の周辺支持材を示す縦断面図である。
【図6】この実施の形態のカバー材を示す底面図である。
【図7】この実施の形態のカバー材の枢着部を示す縦断面図である。
【図8】この実施の形態のストッパの取付け構造を示す縦断面図である。
【図9】この実施の形態の可動ストッパの退避状態を示す縦断面図である。
【図10】(A)は従来のアンダーカバー装置を示す側面図、(B)はその底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明のアンダーカバー装置を適用する作業機の上部旋回体の底面部の一例を示す斜視図である。この上部旋回体1は、油圧ショベルの上部旋回体である。2は上部旋回体1を構成する旋回フレームであり、この旋回フレーム2にはエンジン、油圧ポンプ、ラジエータ、タンク類を含む油圧パワーユニット3と、運転室4と、カウンタウエイト5等が搭載される。6はフロント取付け部であり、このフロント取付け部6は、作業用多関節フロントの根本部を構成するブームやブームシリンダを取付けるものである。7は下部走行体(図示せず)に取付けられる旋回装置(図示せず)に設置する旋回装置取付け部である。
【0021】
10,11は本発明のアンダーカバー装置であり、それぞれ、比較的頻繁に掃除等のメンテナンスを行なうエンジンのオイルパンの下と、エンジンのラジエータの前後に相当する部位に取付けられたものである。
【0022】
図2、図3は図1に示したアンダーカバー装置10を、カバーによる開口部の閉塞状態と全開状態とでそれぞれ示す底面図である。図2、図3において、13は上部旋回体1を構成する旋回フレーム2の底面に取付けられた底面板、14はこの底面板13に設けた略半円形をなすメンテナンス用開口部、15は開口部14を開閉するカバー材,13aは底面板13に設けた通気用の孔である。
【0023】
図4に示すように、底面板13に設ける開口部14は、略半円形の弧状開口縁14aと、弧状開口縁14aで形成される円弧の中心に設けたカバー材枢支部14bと、カバー材枢支部14bの両側からそれぞれ弧状開口縁14aの端部にわたって設けられた直線状開口縁14c,14dとを有する。14eは通気用の孔である。この底面板14は、周囲部分をボルト16によって旋回フレーム2の底面に固定して取付ける。
【0024】
17はカバー材15の周辺支持材である。この周辺支持材17は、底面板13の下面における開口部14の弧状開口縁14aの近傍に、溶接またはねじやリベット等の固定具により取付けられる。この実施の形態においては、周辺支持材17は、弧状開口縁14aの近傍のみならず、カバー材枢支部14bを中心として開口部14の反対側にも2個の周辺支持材17を設け、合計4個の周辺支持材17を設けている。これら4個の周辺支持材17は、枢支部14bを中心とする円弧上に、互いに90度の角度間隔を持って配設している。この周辺支持材17は、図5に示すように、カバー材15の弧状縁15aが摺動可能に嵌まるようなコ字形をなす。
【0025】
図6に示すように、開口部14を開閉するカバー材15は、略半円形の弧状縁15aと、この弧状縁15aで形成される円弧の中心に設けた枢着部15bと、この枢着部15bの両側からそれぞれ弧状縁15aの端部にわたって設けられた直線状縁15c,15dとを有する。このカバー材15は、開口部14よりやや広い面積を有する。15eは通気用の孔である。15f,15gはカバー材15における直線状縁15c、15dの近傍に下方に突出させて取付けたカバー材回動操作用のハンドルである。15i,15jはカバー材15を回動させる際に、直線縁15c,15dの外端部が周辺支持材17内に円滑に挿入されるようにするためのテーパー部である。これらのテーパー部15i,15jは、直線縁15c,15d側の肉厚が狭くなるように、カバー材15の下面を傾斜面に形成したものである。
【0026】
図7はカバー材枢支部14bに対するカバー材15の枢着部15bを取付ける構造を示す断面図である。20はカバー材15を底面板13に取付けるための取付け具として設けたボルトである。13b、15hはそれぞれ図4、図6にも示したように、それぞれ枢支部14b、枢着部15bに設けたボルト挿通孔、21,22はボルト20を挿通するワッシャ、23はボルト20に螺合するダブルナット、24はボルト20を挿通すると共に、ワッシャ22とダブルナット23との間に介在させたばねワッシャである。このばねワッシャ24の弾力により、カバー材15の枢着部15bは底面板13にがたつきなく圧接された状態で取付けられる。
【0027】
図2〜図4において、25は底面板13の下面における一方の直線状開口縁14cの近傍に設けられた固定ストッパである。この固定ストッパ25は、カバー材15により開口部14が閉塞された状態において、直線状縁15cを当接させるものである。図8に示すように、この固定ストッパ25は底面板13に図示のような嵌着や溶接等により固定して取付けられる。
【0028】
図2〜図4において、26は底面板13における他方の直線状開口縁14dの近傍に設けられた可動ストッパである。この可動ストッパ26は、開口部14をカバー材15により閉塞した状態において、カバー材15の直線状縁15dを当接させて回り止めするものである。図8に示すように、この可動ストッパ26は、底面板13の上面に溶接した取付け金具27により取付けられる。すなわちこの可動ストッパ26はボルトにより構成され、底面板13に設けた孔13cおよび取付け金具27に設けた頭部収容部27aに対し、ボルト頭部26aを上下動可能に嵌合すると共に、ボルト26のねじ部26bを、取付け金具27に設けたボルト挿通孔27bに上下動可能に挿通する。このねじ部26bにはダブルナット28を螺合し、抜け止めする。
【0029】
図9に示すように、この可動ストッパ26は、下方から指等で押し上げることにより、底面板13の下面より上部に引っ込み、カバー材15の回動を妨げないように退避させることができる。また、このボルト26はダブルナット28と共に自重を下方への付勢手段として利用するもので、手やカバー材15による支えが無くなると、図8に示すように、自重によって底面板13の下面よりも下方に突出した位置に下降する。なお、ボルト26の下方への付勢手段としてばねを用いることもできる。
【0030】
この構成において、通常時には、図2に示すように、カバー材15により開口部14を閉塞した状態とする。この状態では、カバー材15の枢着部15bはボルト20とダブルナット23により底面板13の枢支部14bに固定される。また、カバー15の直線状縁15c,15dはそれぞれ固定ストッパ25、可動ストッパ26に当接してカバー材15の回動が防止される。また、このカバー材15による開口部14の閉塞状態において、カバー材15の弧状縁15aは弧状開口縁14aの近傍に設けた2個の周辺支持材17,17により支持される。
【0031】
カバー材15を回動させて開口部14を開く際には、可動ストッパ(ボルト)26によるカバー材15の止め状態を解除するため、図9に示すように可動ストッパ26を指で底面板13の下面より上方に押し上げる。この状態で片手をハンドル15gに掛けてカバー材15を回動させると、カバー材15の上面に可動ストッパ26が載り、可動ストッパ26がカバー材15の上面に摺動しながらカバー材15を回動させることができる。
【0032】
そして、図3に示すように、カバー材15の直線状縁15dが固定ストッパ25に当接することにより、それ以上の回動が阻まれ、開口部14が全開状態となる。この全開放態では、カバー材15の弧状縁15aは、弧状開口縁14aの近傍に設けた2個の周辺支持材17,17の反対側に設けられている2個の周辺支持材17,17に支持される。この開放状態において、可動ストッパ26はカバー材15の上面に載ったままである。この開口部14の全開状態において、作業者はこの開口部14から手を入れて部品の取り出し、取付けや掃除を行なうことができる。
【0033】
このカバー材15の全開状態からカバー材15を回動させて開口部14を閉じる際には、ハンドル15fに片手を掛けて前記と反対方向に回し、図2の閉塞状態とする。この閉塞状態となると、可動ストッパ26は自重により図8に示すようにカバー材15を回り止めする位置に降下する。
【0034】
このように、この実施の形態においては、ハンドル15f,15gに片手を掛けてカバー材15を回すことによって開口部14を開閉できるため、従来のように複数本のボルトによりカバー材を取付けたものや、両手をハンドルに掛けて開閉する直線移動させるものに比較して開口部の開閉操作が容易となる。また、カバー材15は、底面板13に設ける開口部14よりやや広い程度の面積ですむため、カバー材を直線移動させるものに比較して広い開口部を確保することができる。
【0035】
また、カバー材15の弧状縁15aを摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材17を設けたので、カバー材15の振動が防止されると共に、カバー材15の周辺部が支持されるため、カバー材15や取付け具20に振動による過大が力が作用してカバー材15や取付け具20が損傷することを防止することができる。
【0036】
また、カバー材15の枢着部15bの両側の2つの直線状縁15c,15dが、開口部14の閉塞時に固定ストッパ25と可動ストッパ26に当接して回り止めされるので、カバー材15が回動して開口部14が開放されるおそれがない。また、可動ストッパ26は、下方から押し上げることで簡単に回動防止状態を解除することができ、回動防止解除操作がワンタッチで簡単に行なえる。
【0037】
また、この実施の形態においては、4個の周辺支持材17を均等な間隔で円弧上に分散配置したので、カバー材15による開口部14の閉塞時、開放時のみならず、開閉途中の状態においてもカバー材15が常時周辺支持材17により支持されるので、カバー材15をスムーズに回動させることができる。
【0038】
また、カバー材15の直線状縁15c,15dの近傍にそれぞれハンドル15f,15gを設けたので、カバー材15の開放作業時、閉塞作業時にそれぞれハンドル15f,15gを引くことにより、カバー材15を容易に回動させることができる。
【0039】
また、この実施の形態においては、カバー材15の周辺部が、底面板13に設けたガイド材17により支持されてガイドされる構造であり、従来のようにカバー材にガイド溝を有してガイド部材の直線的移動により開口部を開閉する構造に比較し、カバー材15が開口部14の周辺に対して重なる部分が狭くてすむため、カバー材15で開口部14を閉塞した状態において、底面板13に設ける通気孔13aがカバー材15により覆われて機能しないか、あるいはカバー材15に覆われるために元々通気孔13aを設けない部分の広さが従来より狭くなり、良好な通気性が確保される。
【0040】
さらにこの実施の形態においては、可動ストッパ26を直線状開口縁14dの近傍に設けるとともに、開口部14を閉塞している時にこの直線状開口縁14dに並ぶカバー材の直線状縁15dの近傍にハンドル15gを設けたので、可動ストッパ26の押し上げによる回り止め状態解除と、ハンドル15gの操作によるカバー材15の回動を、片手で同時に容易に行なうことができる。
【0041】
本発明は、油圧ショベル以外の各種作業機の上部旋回体の下面のアンダーカバー装置に適用できる。また、本発明を実施する場合、上記実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:上部旋回体、2:旋回フレーム、3:油圧パワーユニット、4:運転室、5:カウンタウエイト、6:フロント取付け部、7:旋回装置取付け部、10,11:アンダーカバー装置、13:底面板、14:開口部、14a:弧状開口縁、14b:カバー材枢支部、14c,14d:直線状開口縁、15:カバー材、15a:弧状縁、15b:枢着部、15c,15d:直線状縁、15f,15g:ハンドル、17:周辺支持材、20:取付け具(ボルト)、21,22:ワッシャ、23:ダブルナット、24:ばねワッシャ、25:固定ストッパ、26:可動ストッパ、27:取付け金具、27a:頭部収容部、27b:ボルト挿通孔、28:ダブルナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機の上部旋回体の下面にメンテナンス用に設けられるアンダーカバー装置において、
前記上部旋回体の下面に固定される底面板と、
前記底面板に設けた略半円形をなす開口部と、
前記開口部よりやや広い面積を有する略半円形をなすカバー材と、
前記カバー材の弧状縁で形成される円弧の中心に設けた枢着部を、前記底面板における前記開口部の弧状開口縁で形成される円弧の中心に設けたカバー材枢支部に合わせて前記カバー材を前記底面板の下面に回動可能に取付ける取付け具と、
前記底面板の下面における前記開口部の前記弧状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材の前記弧状縁を摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材と、
前記カバー材の下面に取付けられた回動操作用のハンドルとを備え、
前記ハンドルを用いて前記カバー材を前記取付け具を中心として回動させることにより、前記カバー材によって前記開口部を閉塞、開放する構成としたことを特徴とするアンダーカバー装置。
【請求項2】
作業機の上部旋回体の下面にメンテナンス用に設けられるアンダーカバー装置において、
前記上部旋回体の下面に固定される底面板と、
前記底面板に設けられ、略半円形の弧状開口縁、前記弧状開口縁で形成される円弧の中心に設けたカバー材枢支部、および前記カバー材枢支部の両側からそれぞれ前記弧状開口縁の端部にわたって設けた直線状開口縁を有する開口部と、
略半円形の弧状縁、前記弧状縁で形成される円弧の中心に設けた枢着部、および前記枢着部の両側からそれぞれ前記弧状縁の端部にわたって設けた直線状縁を有すると共に、前記開口部よりやや広い面積を有するカバー材と、
前記カバー材に設けた枢着部を、前記底面板に設けたカバー材枢支部に合わせて前記カバー材を前記底面板の下面に回動可能に取付ける取付け具と、
前記底面板の下面における前記開口部の前記弧状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材の前記弧状縁を摺動可能に遊嵌し支持する周辺支持材と、
前記底面板の下面における前記開口部の一方の直線状開口縁の近傍に設けられ、前記カバー材により前記開口部を閉塞した際に前記カバー材の一方の直線状縁を当接させると共に、前記カバー材の回動により前記開口部を全開させた際に前記カバー材の他方の直線状縁を当接させて位置決めする固定ストッパと、
前記底面板における前記開口部の前記他方の直線状開口縁の近傍に、前記底面板の下面より下方に突没可能に、かつ付勢手段により下方に付勢して設けられ、前記カバー材により前記開口部を閉塞した際に前記カバー材の前記他方の直線状縁を当接させて回り止めする可動ストッパと、
前記カバー材に取付けた回動操作用のハンドルとを備えたことを特徴とするアンダーカバー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアンダーカバー装置において、
前記周辺支持材を、前記底面板に設けた前記枢支部を中心とする円弧上に、互いに90度の角度間隔を持って4個配設したことを特徴とするアンダーカバー装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のアンダーカバー装置において、
前記カバー材における前記枢着部の両側の前記直線状縁の近傍に、前記ハンドルを設けたことを特徴とするアンダーカバー装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載のアンダーカバー装置において、
前記底面板および前記カバー材に通気用の孔を設けたことを特徴とするアンダーカバー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−162871(P2012−162871A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22296(P2011−22296)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】