説明

アンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物および同組成物を用いて封止した半導体装置

アンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物を提供する。この樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、カップリング剤を必須成分とし、カップリング剤は、−Si(OR)3−n(n=1〜3)で表される構造を1分子中に2個以上有し、樹脂組成物中におけるカップリング剤の含有量は0.05wt%〜1.5wt%である。これにより、無機充填材の充填性を高めても良好なアンダーフィル浸入性を確保できる。また、この組成物を用いて封止した半導体装置は、耐湿性および耐熱衝撃性において優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、アンダーフィル浸入性、耐湿性および耐熱衝撃性に優れるアンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物、および同組成物を用いて封止した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
近年、樹脂封止型半導体装置は、デバイスの高密度化、高集積度化、動作の高速化等の傾向にあり、従来型のパッケージ(QFP等)よりさらに小型化、薄型化することのできる半導体素子のパッケージが要求されている。これらの要求に対して、BGA及びCSP、ベアチップ実装といった高密度実装が知られている。ベアチップ実装としては、たとえば、フリップチップ実装がある。フリップチップ実装とは、チップ配線面に約10〜150μmのバンプ電極を数十個から数千個つけて基板の電極をはんだ、金属接合、導電ペースト等で接合する方法であり、実装品の温度サイクル性能を高めるため液状封止材が使用される。すなわち、液状封止材の硬化物は金属バンプを補強する効果を持つので、温度サイクルによるバンプ破壊の発生を防止することができる。
例えば、日本公開特許公報第2001−55486号に記載されいてるフリップチップ型半導体装置用アンダーフィル材は、液状エポキシ樹脂100重量部、最大粒径50μm以下で平均粒径0.5〜10μm球状無機質充填材100〜300重量部、以下の組成式(P)で表される反応性官能基含有シリコーン化合物(オルガノシロキサンオリゴマー)0.1〜6重量部および硬化促進剤0.01〜10重量部を含有してなる。

ここに、Rは反応性官能基を有する1価の有機基、RおよびRは独立して炭素数1〜8の非置換又はアルコキシ置換の1価炭化水素基、aは0.16〜1.0、bは0〜2.0、cは0.5〜2.0、dは0〜1.0、a+b+c+dは0.8〜3を満足する数である。また、1分子中の珪素原子数は2〜6である。このアンダーフィル材によれば、上記した反応性官能基含有シリコーン化合物を含有しているので、上記のように無機質充填材を多量に配合しても狭い間隙への良好な浸入特性を維持することができる。また、シランカップリング剤(即ち、反応性官能基含有アルコキシシラン化合物)を添加した場合であっても、ボイドの発生を低減でき、このアンダーフィル材を用いて封止されたフリップチップ型半導体装置の信頼性の向上を図っている。
しかしながら、アンダーフィル浸入性、耐湿性および耐熱衝撃性に優れるとともに、アンダーフィル材を用いて封止されたフリップチップ型半導体装置のさらなる信頼性の向上を図るためには既存のアンダーフィル材には依然として改善の余地が残されている。例えば、高信頼性を得るためには、無機充填材料の高充填化による低線膨張、低吸湿が必要な項目になる。特に、近年においては、半導体デバイスの高速通信化により、アンダーフィルのギャップが一層狭くなり、より粒径の小さいシリカを高充填させる必要がある。しかしながら、液状エポキシ樹脂組成物に無機充填材を高充填させると粘度が上昇して流動性が失われ、フリップチップへの封止が困難になる。また、無機充填材を高充填させたエポキシ樹脂組成物は一般に密着力及び耐熱衝撃性が低下する傾向が見られる。
【発明の開示】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の封止用エポキシ樹脂組成物の欠点を改善し、アンダーフィル浸入性、耐湿性および耐熱衝撃性に優れるアンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物を提供することにある。
すなわち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、カップリング剤を含み、カップリング剤は次式で示される構造(A)を1分子中に2個以上有し、樹脂組成物中におけるカップリング剤の含有量が0.05wt%〜1.0wt%であることを特徴とする。

本発明によれば、1分子中にアルコキシ基群が2つ以上あるカップリング剤を使用することにより無機充填剤の濡れ性を大幅に向上でき、アンダーフィルの信頼性を損なわすに充填性を向上することが可能となる。
上記エポキシ樹脂組成物において、樹脂組成物の他の成分との配合に先立ってカップリング剤を純水もしくはアルコール類にて加水分解することが好ましい。この場合は、カップリング剤のアルコキシ基を加水分解することによって、カップリング剤の無機充填剤との濡れ性をさらに改善できる。また、予め加水分解する方が、製造時のバラつきを少なくできる。
上記エポキシ樹脂組成物において、カップリング剤の少なくとも2個の構造(A)の間は、(−NH−)n、(−S−)n、(−CH2−)n、(−O−)n、(−C=O)から選ばれる1種によって連結されることが好ましい。特に、N、S、OH、=Oを含むものは極性が高いために、基材やChipとの密着性向上に寄与し、信頼性の向上を図れる。
上記エポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤は、3級アミン、マイクロカプセル型潜在性イミダゾールの中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これら3種類からの選定が一液性及びポットライフの点で望ましい。
上記エポキシ樹脂組成物において、無機充填材は最大粒径が0.5μmから30μmであることが好ましい。最大粒径が0.5μm以下であると、粘度が増加してアンダーフィル性能が低下する。一方、最大粒径が30μm以上であると、30μm以下の狭い隙間に対応できなくなる。
上記エポキシ樹脂組成物において、硬化剤は、酸無水物型で3官能以上のものを硬化剤中に5〜40wt%含むことが好ましい。
本発明のさらなる目的は、上記エポキシ樹脂組成物を使用して封止した半導体装置を提供することにある。
本発明のさらなる特徴およびそれがもたらす効果は,以下に述べる発明を実施するための最良の形態および実施例から理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明のアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物および同組成物を用いて封止した半導体装置について詳細に説明する。
本発明のアンダーフィル用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、カップリング剤を必須成分として含有する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上の混合物を使用できる。これらの中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂の使用が粘度と硬化物物性向上の観点から特に好ましい。多官能エポキシ樹脂としては、例えば下記に示すような化合物(1)〜(3)がある(式中″G″はグリシジル基である)。官能基数は3もしくは4が粘度や硬化性の面で好ましい。また、脂環型エポキシ樹脂やアミン型エポキシ樹脂の3官能、4官能タイプを使用しても良い。尚、信頼性の点からNaイオンやClイオン、Brイオン等の不純物が出来るだけ少ないエポキシ樹脂を使用する方が好ましい。

本発明で用いられる硬化剤としては、通常エポキシ樹脂を硬化するものであればよい。例えば、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン等のアミン系硬化材、無水フタル酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物硬化材、フェノールノボラック系硬化材、アリール型フェノール硬化剤などがあげられる。酸無水物硬化剤の多官能型は、下記例(4)〜(9)に示すような構造の化合物があるが、2官能型のものが低粘度、低融点で好ましい。


本発明では、配合されるエポキシ樹脂に対する硬化剤の化学量論上の当量比は、0.6〜1.4の範囲が好適である。当量比が0.6未満であると、硬化しにくくなったり、硬化物の耐熱性が低下したり、硬化物の強度が低下する恐れがある。また、当量比が1.4よりも多くなると、硬化物の耐熱性が低下したり、硬化後の接着強度が低下したり、硬化物の吸湿率が高くなるなどの欠点が発現する恐れがある。また、特に好ましいエポキシ樹脂に対する硬化剤の当量比は、0.75〜1.00の範囲である。尚、信頼性の点からNaイオンやClイオン、Brイオン等の不純物が出来るだけ少ない硬化剤を使用する方が好ましい。
本発明で使用される硬化促進剤は、イミダゾール骨格を持ったもの、もしくはアミン類化合物、マイクロカプセル型硬化促進剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。あるいは、1級〜3級のアミン類もしくはその塩、トリアゾール類もしくはその塩、イミダゾール類もしくはその塩、ジアザビシクロアルケン類もしくはその塩などの公知のものを単独で、又は2種類以上混合して使用できる。更に、上記のような単一の化学構造をもつもの以外にも、イミダゾール骨格を有する化合物からなる核の周りに熱硬化性樹脂の皮膜を配した微細球(いわゆるマイクロカプセル)、またはアミンアダクトの粒子等も硬化促進剤として好適に用いられる。
本発明で用いられる無機充填材は特に限定されない。例えば、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、微粉シリカ、マグネシア、窒化珪素等の使用が挙げられる。その添加量は、樹脂組成物全体の40wt%〜65wt%とすることが好ましい。40wt%以下だと線膨張係数を低減することが難しく、結果的に得られた半導体装置の割れや破壊につながる恐れがある。一方、65wt%以上だと粘度が高くなってアンダーフィル浸入性が低下する恐れがある。フリップチップ用の場合は、フィラーの粒径を細かくする必要がある。ただ、細かくすることによる粘度上昇、硬化時の沈降を考えると、最大粒径が30μm以下であることが好ましい。
本発明で使用されるカップリング剤は、次式で示される構造(A)を1分子中に2個以上有し、樹脂組成物中におけるカップリング剤の含有量が0.05wt%〜1.5wt%である。

構造(A)を1分子中に2個以上持ったカップリング剤としては、例えば、下記の構造(10)〜(17)を持つものが挙げられる(nは1〜10)。

構造(A)を1分子中に2個以上持ったシランカップリング剤を使用すれば、その他カップリング剤を併用しても構わない。例えば、下記のシランカップリング剤やチタネートカップリング剤を併用してもよい。すなわち、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、更に、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等があり、特に、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシランが好適である。また、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等がある。これらのカップリング剤は単独で使用しても良いし、2種類以上を混合して使用することができる。
これらのカップリング剤は、エポキシ樹脂組成物中に配合されることで、封止樹脂と、半導体チップ及び回路基板の界面の接着性を向上して、半導体装置の信頼性を高める。また、カップリング剤の使用方法は、あらかじめ充填材に対して湿式法あるいは乾式法で処理しても良いし、樹脂に混合するインテグラルブレンド法で使用しても良い。
尚、本発明においては必要に応じて他の樹脂や顔料、希釈剤、消泡剤等を用いても問題はない。また、チタネート系などエポキシ樹脂の改質、基板等の密着性を向上させる等の目的で用いられるものが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物を製造する場合は、上記したエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、カップリング剤およびその他の成分を一緒にまたは別々に配合し、必要に応じて冷加熱処理を行ないながら、攪拌、溶解、混合、分散を行なう。次いで、得られた混合物に無機充填材を加え、必要に応じて冷加熱処理を行ないながら、攪拌、溶解、混合、分散を行なうことによって液状エポキシ樹脂組成物が得られる。尚、攪拌、溶解、混合、分散等の工程でディスパーやプラネタリーミキサー、ボールミル、ビーズミル、3本ロール等を効果的に組み合わせて使用してもよい。
【実施例】
(実施例1〜21および比較例1〜3)
以下、本発明の樹脂組成物を実施例に基づいて具体的に説明する。尚、これらの実施例は本発明の好ましい実施例であり、本発明をこれらの実施例に限定する意味に解釈されるべきではない。
実施例1〜21および比較例1〜3のエポキシ樹脂組成物を製造するため、以下のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤およびカップリング剤を表1〜3に示す配合量で用いた。
エポキシ樹脂としては、ビスA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)エピコート828、エポキシ当量189)を用いた。
硬化剤の酸無水物としては、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)MH−700、酸無水物当量166)、及び多官能型酸無水物A(大日本インキ化学工業(株)B4400、酸無水物当量140)、もしくは多官能型酸無水物B(ダイセル化学工業(株)PMDA(無水ピロメリット酸無水物(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物))、酸無水物当量218)を用いた。
硬化促進剤としては、イミダゾール系マイクロカプセル型潜在性触媒(旭化成エポキシ(株)、HX3941HP)、アミン変性触媒(旭電化工業(株)EH3849S)、イミダゾール(四国化成工業(株)、1B2PZ)、リン系触媒(北興化学工業《株》TPP(トリフェニルホスフィン))のいずれかを使用した。
無機充填材として、QS−4(三菱レイヨン(株)、最大粒径14μm)、SO−E2((株)アドマテックス、最大3μm)、QS−9(三菱レイヨン(株)、最大35μm)、QS−8(三菱レイヨン(株)、最大30μm)、AA04(住友化学工業(株)、最大0.5μm)のいずれかを使用した。
構造(A)を1分子中に2個含むカップリング剤としては、下記のカップリング剤1〜5のいずれかを使用した。
<カップリング剤No.1>
このカップリング剤1は、以下の構造(18)を有し、分子量は178である。

<カップリング剤No.2>
このカップリング剤は、カップリング剤No.1の1molに対して純水0.2mol、エタノール0.05molを加えて攪拌し、35℃で3hrs放置してカップリング剤No.1の加水分解を行うことによって得られた。
<カップリング剤No.3>
このカップリング剤は、分子量120の(CHSi(OCH1molに対して純水0.2mol、エタノール0.05molを加えて攪拌し、35℃で3hrs放置することにより得られ、以下の構造(19)を有し、平均重合度は1.1である。

<カップリング剤No.4>
このカップリング剤は、以下の構造(20)を有し、平均重合度は1.1であり、分子量は161である。

<カップリング剤No.5>
このカップリング剤は、以下の構造(21)を有し、平均重合度は2.2であり、分子量は114である。

尚、必要に応じて、従来カップリング剤であるエポキシシランカップリング剤(日本ユニカー《株》A187)を所定量使用した。
一例として、実施例1のエポキシ樹脂組成物の製造方法を具体的に説明する。まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と、硬化剤の酸無水物であるMH−700および多官能型酸無水物BであるPMDAと、硬化促進剤のイミダゾール1B2PZと、カップリング剤No.2と、無機充填材の合成シリカQS−4とを表1に示す配合量で配合し、これをミキサーで30分間混合した後、3本ロールで混練した。得られた混練物を再びミキサーで30分間混合し、実施例1のエポキシ樹脂組成物を得た。
上記と実質的に同様の手法によって表1〜3に記載の配合組成となるように実施例2〜21のエポキシ樹脂組成物をそれぞれ作製した。尚、比較例としては、構造(A)を1分子中に2個含むカップリング剤を使用しない場合を比較例1、カップリング剤No.1の配合量が0.05wt%に満たない場合を比較例2、およびカップリング剤No.1の配合量が1.5wt%を上回る場合を比較例3とした。
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物及びそれを用いて封止した半導体装置について以下の物性評価を行った。
▲1▼アンダーフィル浸入性
試験に用いた半導体装置は、FR5グレードの回路基板上の電極と、チップサイズ0.4mm厚、10mm角のCMOSゲートアレイ素子のチップ周辺部の電極が、70μmの高さの半田バンプにより接続されたものである。このチップの1辺の端部に、エポキシ樹脂組成物をディスペンサーで塗布し、すぐに基板を80℃のホットプレート上に置いてから、樹脂組成物が塗布した辺と反対側の辺に到達する時間を測定した。測定した時間が60秒以下の場合を″○″、2分以下の場合を″△″、2分以上の場合を″×″として評価した。
▲2▼温度サイクル(TC)試験
エポキシ樹脂組成物を浸入させた半導体部品を、150℃の温度で2時間で硬化させた。硬化後の半導体部品の電気的動作確認結果が良品であったものについて、−55℃で30分、室温で5分、150℃で30分、室温で5分を1サイクルとする気相の温度サイクル試験にかけ、1000サイクル後の素子の動作確認を行い、良否を判定した。10個の供試サンプル中の不良数が0〜3個の場合を″○″、4〜6個の場合を″△″、7〜10個の場合を″×″として評価した。
また、同サンプルの外観検査を行ない、樹脂フィレット部にクラックが発生しているかどうかを確認した。クラック発生したサンプルの個数が0〜3個の場合を″○″、4〜6個の場合を″△″、7〜10個の場合を″×″として評価した。
▲3▼PCT(プレッシャークッカ)試験
前記と同様に、硬化後の半導体部品の電気的動作確認結果が良品であったものについて、2気圧121℃のプレッシャークッカー試験にかけ、168時間後の素子の動作確認を行い、良否を判定した。10個の供試サンプル中の不良数が0〜3個の場合を″○″、4〜6個の場合を″△″、7〜10個の場合を″×″として評価した。
上記▲1▼〜▲3▼の評価結果をそれぞれ表1〜表3に示す。
【産業上の利用可能性】
上記実施例から明らかなように、上記構造(A)を1分子中に2個以上有するカップリング剤を0.05wt%〜1.5wt%の範囲で含有する本発明のアンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物によれば、無機充填材料の高充填化の要請に対しても良好なアンダーフィル浸入性を確保できる。また、優れた耐湿性および耐熱衝撃性が達成されることから、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて封止された半導体装置は高い信頼性を有するものである。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材およびカップリング剤を含むアンダーフィル用液状エポキシ樹脂組成物であって、前記カップリング剤は次式で示される構造(A)を1分子中に2個以上有し、前記樹脂組成物中における前記カップリング剤の含有量は0.05wt%〜1.5wt%である。

【請求項2】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物において、
上記カップリング剤は、エポキシ樹脂組成物の他の成分との混合に先立って純水もしくはアルコール類にて加水分解される。
【請求項3】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物において、
上記カップリング剤の少なくとも2個の構造(A)の間は、(−NH−)n、(−S−)n、(−CH2−)n、(−O−)n、(−C=O)から選ばれる1種によって連結される。
【請求項4】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物において、
上記硬化促進剤は、3級アミン、マイクロカプセル型潜在性イミダソールの中から選択される少なくとも1種である。
【請求項5】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物において、
上記無機充填材の最大粒径は、0.5μm〜30μmである。
【請求項6】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物において、
上記硬化剤は、酸無水物型で3官能以上のものを硬化剤中に5〜40wt%含む。
【請求項7】
請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止したフリップチップ型半導体装置。

【国際公開番号】WO2005/080502
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510142(P2006−510142)
【国際出願番号】PCT/JP2004/002158
【国際出願日】平成16年2月24日(2004.2.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】