アンダーローラ式ドラム架台装置
【課題】 ドラムの装置への載置が容易であり、最小限の押し付け力でドラムを引き下げ、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しにも使用可能である。
【解決手段】 アンダーローラ式ドラム架台において、架台1の中央両側に略門型の支持フレーム3を相対向して設け、各支持フレーム3の縦長の貫通部4にドラム軸引き下げスライド体5を上下摺動自在に嵌め、各ドラム軸引き下げスライド体5に、架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体7を設け、各クランプ体7には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端にクランプヘッドを設け、当該架台1の二つのアンダーローラにドラムを載置した際、上記両側のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体7を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体5を油圧により引き下げる構成とした。
【解決手段】 アンダーローラ式ドラム架台において、架台1の中央両側に略門型の支持フレーム3を相対向して設け、各支持フレーム3の縦長の貫通部4にドラム軸引き下げスライド体5を上下摺動自在に嵌め、各ドラム軸引き下げスライド体5に、架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体7を設け、各クランプ体7には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端にクランプヘッドを設け、当該架台1の二つのアンダーローラにドラムを載置した際、上記両側のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体7を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体5を油圧により引き下げる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線、ケーブル、ワイヤー等をドラムの外周に巻き取ったり、ドラムの外周から繰り出したりするドラム架台であって、特にアンダーローラ方式のドラム架台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム架台は、大きく分けて三つの方式があり、ドラム軸方式、クランプ方式、アンダーローラ方式がある。ドラム軸方式は、ドラム架台の両側に設けた軸受けにドラム軸を渡し、このドラム軸にドラム本体の軸穴を通して当該ドラム本体を回転自在に掛け、このドラム本体の軸穴付近に設けた歯車等と、回転動力源の駆動軸とをローラチェーン等で連結し、当該ドラム本体を、ドラム軸を中心に回転させている。また、クランプ方式は、ドラム架台の両側に設けた軸受けの上部から、ドラム本体の両側の鍔を挟み込むようにクランプ部材が突出し、この両側の各クランプ部材の先端をドラム本体の軸穴に入れて両側の鍔を両側から押圧して、ドラム本体を支持しながら、当該クランプ部材を回転させることによりドラム本体を回転させるものである。また、アンダーローラ方式は、ドラム架台に水平に間隔をあけて二つの横長のローラを設け、これらの二つのローラの上にドラム本体を載せ、上記ローラを回転駆動させて、ドラム本体を回転させるものである。
【0003】
上記ドラム軸方式とクランプ方式は、装置に載せるドラムの大きさの種類が多いと、これらのドラムすべてに適用できるようにすると、軸の回転数は最小巻き径によって計算され、また、軸のトルクは最大巻き径によって計算するため、回転数、トルク共に最大値のものが必要になってくる。 従って、多大な張力を必要とするケーブル等の巻き取り、繰り出しに適用するためには、大がかりな装置になってしまう。また、アンダーローラ方式では、装置に載せるドラムの大きさの種類が多い場合でも、搭載したドラムの鍔径と最小巻き径(ドラムの胴径)の比で対応できるため、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しにも適用し易い。
また、上記ドラム軸方式では、ドラム本体を装置に搭載する前に予め、質量の大きな軸をドラム本体の軸穴に挿入しておき、ドラム本体と軸を一緒に持ち上げて装置に搭載して固定した後、駆動装置と連結するなど、煩雑な作業が必要となる。
また、クランプ方式では、ドラム本体の軸穴側面を両側から挟みつけて、質量の大きなドラム本体を支持しつつ、回転させるため、クランプ面で滑らせないためのクランプの押し付け力は強大となり、ドラム本体の横荷重に対する強度が要求されるので多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しには適用し難い。
【0004】
しかし、このアンダーローラ方式のドラム架台では、ドラムの載置や載せかえは容易であるが、ケーブルを繰り出したり、巻き取りの張力が大きいと、これらのケーブル等に引っ張られて、ドラム本体がアンダーローラから外れて架台から飛び出してしまうおそれがある。そこで、アンダーローラ方式においてはドラム本体が飛び出さないように軸棒を用いるとか、飛び出し防止のガイドローラを設ける等のドラム本体の飛び出しを抑える方法が採られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アンダーローラ駆動方式は装置が簡易でドラムの載置が容易であるものの、載置したケーブルを含むドラム本体の自重とアンダーローラの摩擦係数のみのケーブルの巻き取り、繰り出ししか張力制御ができないので比較的低張力の巻き取り、繰り出し装置としてしか使用できず、数1000kgfの張力制御を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出し装置としては不向きであるとされていた。
【0006】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたものであり、アンダーローラ上にドラムを載せ、ドラムの両側から油圧シリンダでクランプ体を軸穴に挿入し、油圧シリンダによるドラム軸引き下げ体で押圧するので、ドラムの装置への載置が容易であり、最小限の押し付け力でドラムを引き下げるドラム軸引き下げ機構を有するものであって、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しにも使用可能である、アンダーローラ方式のドラム架台装置を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1の発明は、略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置するアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧により上記各支持フレームの下方に押し下げるようにし、またこれらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧により架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側のドラム軸引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体を油圧により引き下げ、これらの油圧による押し付け力は、油圧回路に圧力保持回路を設けて押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有する構成からなる、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【0008】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、上記ドラムを載置した際の、両側のドラム軸引き下げスライド体の油圧による引き下げは、各引き下げスライド体の下に油圧シリンダを設け、アンダーローラと載置するドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記ドラム軸引き下げスライド体を引き下げる構成とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
また請求項3の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、上記両側のドラム軸引き下げスライド体に設けた各クランプ体の軸の先端に設けたクランプヘッドは、円柱形で、基部にフランジ部を有し、その先端を載置するドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部を当該軸貫通孔の内周縁に当接自在な構成とし、かつ、上記軸の先端に着脱自在とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【0009】
また、請求項4の発明は、上記請求項1、2又は3のいずれかに記載の発明において、各ドラム軸引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部の両側壁にチャネル溝のレールを設け、これらのレールの中に、各引き下げスライド体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させたことにより、各引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部に沿って摺動自在とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
また、請求項5の発明は、上記請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の発明において、上記一方のアンダーローラの外側の架台に脚を立て、この脚の上部に棒状のセンサブラケットを設け、このセンサブラケットは、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラケットの外周に回転自在に一端を支持した伸縮自在なロッドを設け、このロッドの上記軸支部の一端に、当該ロッドと一体な距離センサを設け、上記ロッドの先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体に回動自在に係止し、上記距離センサが発する光又は超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定された巻き径検出装置を設けた、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ドラムに軸を通さずに、ドラムの両側からドラムの軸貫通孔にクランプヘッドを押圧して、ドラムをクランプしつつ、ドラムをアンダーローラに押し付けることにより、ドラム回転時のドラム自体の横移動を防止すると共に、効率よくドラムが回転し、かつケーブル等の巻き取り、繰り出しにおいて多大な張力にも十分耐えるドラム架台装置である。また、請求項2の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラムを押し下げているドラム軸引き下げスライド体は油圧シリンダにより、アンダーローラとドラムの摩擦係数によって、予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、ドラムを押し付けているため、載置するドラムの種類、径に応じて最小限の押し付け力でよく、より効率的にケーブル等の巻き取り又は繰り出しができる。さらに、載置するドラムの鍔外径は、真円でないため、アンダーローラ方式では、ドラム軸芯が振れるが、この発明では油圧シリンダにより、ドラムをアンダーローラに押し付け、この油圧シリンダを作動させる油圧回路には常に一定圧力が働くように、圧力保持回路を設置しているので、当該油圧シリンダは押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有し、上記ドラム軸芯の振れを吸収でき、安定した運転ができる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラムの両側から、クランプヘッドによりドラムをクランプしつつ回転させているため、ドラムの横移動を防止できる。また、当該クランプヘッドはクランプ体の軸に着脱自在に取り付けているため、ドラムの径が異なる場合、当該載置するドラムに適した大きさのクランプヘッドに交換できる。
また、請求項4の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラム軸引き下げスライド体は、各支持フレームの貫通部の両側壁に設けてチャネル溝のレールに、自体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させて、当該レール内を上下させる構成としているため、ドラム軸引き下げスライド体は蛇行することなく、ドラムを両側からアンダーローラに確実に押し付けることができる。
また、請求項5の発明によれば、巻き径検出センサを設けているため、常にドラムに巻きついたケーブル等の巻き径が測定でき、その巻き径に応じてドラムの回転速度や回転トルクを調節でき、定張力延線、定速度巻き取りを行うことができる。さらに、この発明では、載置するドラムの径が異なっても、ドラムの径に応じてドラム軸引き下げスライド体が移動するため、この引き下げスライド体に先端を係止したロッドと一体な距離センサが動くため、常に載置するドラムの軸芯方向に光や超音波が発信でき、載置するドラムの径に応じて距離センサの向きを変える必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置したアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧シリンダにより上記各支持フレームを下方に押し下げる構成とし、また、これらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧シリンダにより架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側の引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側の引き下げスライド体を油圧により引き下げる構成とし、両側の引き下げスライド体の油圧による引き下げは、アンダーローラとドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記引き下げスライド体を引き下げる構成のアンダーローラ式ドラム架台装置であり、これにより最小限の押し付け力でドラムを引き下げる機構を有し、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しに使用可能である。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図3はこの発明のドラム架台装置の正面図、側面図及び平面図であり、ほぼ扁平な架台1の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラ2、2を回転自在に設けている。この架台1の、上記二つのアンダーローラ2、2の間の中央部両側に、相対向して二つほぼ門型の支持フレーム3、3を立設している。これらの各支持フレーム3の中央の縦長の貫通部4にドラム軸引き下げスライド体5を上下摺動自在に嵌め、当該各引き下げスライド体5の下方に設けた油圧シリンダ6と接続されている。これらの引き下げスライド体5及び油圧シリンダ6は両側の支持フレーム3に相対向して設けられている。これにより、各油圧シリンダ6により、各ドラム軸引き下げスライド体5は各貫通部4に沿って上下に移動可能である。
【0014】
また、これらの各引き下げスライド体5に、架台1の中央部方向に水平突出自在なクランプ体7を設け、これらの各クランプ体7は、各引き下げスライド体5の外側に設けた油圧シリンダ8により、架台1の中央部に突出移動可能である。また、これらの各クランプ体7の内側面から突出するクランプヘッド9を設け、ドラムを載置した際、上記両側の引き下げスライド体5のクランプヘッド9をドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体7、7を油圧シリンダ8により突出させて上記各クランプヘッド9でドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体5、5を油圧シリンダ6により引き下げる構成となっている。また、これらの上記油圧シリンダ6及び8を作動させる油圧回路(図示省略)には、常に一定の圧力が働くように、圧力保持回路を設置しており、上記各油圧シリンダ6、8は押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有している。
また、上記二つの支持フレーム3、3にそれぞれアーム10の一端を回転自在に接続した、トラバーサ装置11を設けている。また、一方の支持フレーム3の脇の記架台1上には、油圧モータ12、減速機13及び制御部14が設けられ、また、この装置の操作部15が設けられている。
【0015】
図4は上記二つのアンダーローラ2、2の配置を示す平面図であり、これらのアンダーローラ2、2はそれぞれ両端で、架台1に設けられた軸受け2a、2aに支持されており、それぞれその一端にスプロケット2b、2bを設け、これらのスプロケット2b、2bをチェーン16で連結し、一方のアンダーローラ2の一端を上記減速機13に接続している。これにより、油圧モータ12の回転が減速機13を介して、一方のアンダーローラ2に伝達され、さらにチェーン16を介して他方のアンダーローラ2に伝達される構成となっている。
【0016】
次に、図5乃至図7は上記ドラム軸引き下げスライド体5の詳細を示す正面図、平面図及び一部断面側面図であり、上記各引き下げスライド体5は、その上下、両側に四つの車輪17を設け、上記各支持フレーム3の各貫通部4の両側壁に設けたチャネル溝のレール18中に、各引き下げスライド体5の車輪17を回転自在に嵌合させたことにより、各引き下げスライド体5は各支持フレーム3の貫通部4に沿って摺動自在となっている。従って、各引き下げスライド体5は、車輪17がレール18に嵌合された状態で摺動するため、蛇行したりすることがない。また、上記引き下げスライド体5の上下両側の車輪17に替えて、適宜形状のガイドプレートを引き下げスライド体5の上下両側に設け、これらのガイドプレートをレール18中に嵌合させて、引き下げスライド体5を摺動自在としてもよい。また、上記各ドラム軸引き下げスライド体5と各油圧シリンダ6の接続は、当該油圧シリンダ6のピストンロッド6aの先端を、当該引き下げスライド体5の下部に設けたブラケット5aにピン6bを介して回転自在に接続している。
【0017】
また、上記各ドラム軸引き下げスライド体5は、図7に示すように箱型をなし、内外側面を貫通する貫通孔に略横筒型のクランプ体7を設けている。このクランプ体7はその一端に内側板7aを設け、この内側板7aの裏面の上下部を各引き下げスライド体5の内側外面に当接自在としている。また、引き下げスライド体5の外側に設けた油圧シリンダ8のピストンロッド8aの先端を、引き下げスライド体5の内部中空部を通して、上記クランプ体7の一端に設けた内側板7aの裏面に、ピン8bを介して回転自在に接続している。従って、これらの油圧シリンダ8の作用により、クランプ体7は、各引き下げスライド体5から、架台1の中央方向に水平突出自在となっており、これらのクランプ体7は架台1の両側に設けられ、両側のクランプ体7、7は相対向している。
【0018】
また、これらのクランプ体7の内部には、水平な軸19を回転自在に設けている。そしてこの軸19の先端は、上記クランプ体5の内側板7aの孔から外側に突出しており、この突出部に、上記クランプヘッド9を被冠、固定している。このクランプヘッド9は円柱形状で、基部にフランジ部9aを有し、その先端を、この架台に載置されたドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部9aを当該軸貫通孔の内周縁に当接させる構成となっている。従って、この架台1に載置されたドラムは、クランプ体7が油圧シリンダ8によりドラムの両側に突出し、そのクランプ体7の各クランプヘッド9が当該ドラムの両側の鍔の軸貫通孔に嵌合し、これらのクランプヘッド9のフランジ部9aが各軸貫通孔の内周縁を押圧し、これにより当該ドラムを両側からクランプする構成となっている。また、このクランプヘッド9は、図8及び図9に示すように、ドラムの大きさや外径にあわせて異なる形状のフランジ部9aやヘッドのクランプヘッド9を予めそろえて置き、ドラムの大きさ等に合わせて上記軸19に、ボルト等により着脱自在に取り付ける。また、上記軸19の後端には、クランプ体7の外側に設けたエンコーダ20と接続されており、このエンコーダ20で軸19、即ち、架台1に載置されたドラムの回転数をカウントできる。
【0019】
また、図10及び図11は、この架台装置に設けた巻き径検出装置21を示す側面図及び正面図であり、上記一方のアンダーローラ2の外側の架台1に二本の脚22、22を間隔をあけて立て、これらの脚22、22の上端に棒状のセンサブラケット23を設け、このセンサブラケット23は、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラケット23の外周に回転自在に一端を軸支した伸縮自在なロッド24を設け、このロッド24の上記軸支部の一端から支持腕25を突出し、この支持腕25に超音波式の距離センサ26を設けている。この距離センサ26は上記伸縮自在なロッド24と一体となっており、上記ロッド24の先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体5の内側面にピン27により回動自在に係止し、上記距離センサ26が発する超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定されている。この距離センサ26は、当該架台に載置されるドラムのドラムに巻きついたケーブル等の外周に超音波を当てその距離を測定し、そのケーブル等の巻き径を検出するものである。
【0020】
このような巻き径検出センサ21を設けているため、載置されるドラムの径が異なっても、ドラムの径に応じてドラム軸引き下げスライド体5が移動するため、この引き下げスライド体5に先端を係止した伸縮自在なロッド24と一体な距離センサ26が動くため、常に載置されるドラムの軸芯方向に超音波を発信でき、いちいち載置されるドラムの径に応じて距離センサの向きを変える必要がない。
【0021】
また、図12及び図13は、アンダーローラ2の外周に設けるライニングの説明断面正面図及び説明断面側面図を示し、アンダーローラ2の外周に設けるウレタンからなるライニング28を二つ割りにして二つの円弧状のライニング片28a,28bとし、これらの突合せ端部でボルト29により一体化したものである。これにより当該ライニング28が使用により磨り減った場合、装置にアンダーローラ2を装着したままライニング28を取り替えることができる。
【0022】
なお、この発明における、支持フレーム3、ドラム軸引き下げスライド体5、及びクランプ体7等の構成は上記実施例に記載のものに限定されるものではなく、他に種々の実施例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の装置の正面図である。
【図2】この発明の装置の側面図である。
【図3】この発明の装置の平面図である。
【図4】この発明のアンダーローラの配置を示す平面図である。
【図5】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す正面図である。
【図6】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す平面図である
【図7】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す側面図である。
【図8】この発明の他の形状のクランプヘッドを示す断面側面図である。
【図9】この発明の他の形状のクランプヘッドを示す断面側面図である。
【図10】この発明の巻き径検出装置の側面図である。
【図11】この発明の巻き径検出装置の正面図である。
【図12】この発明の、アンダーローラのライニングの構造を示す説明正面断面図である。
【図13】この発明の、アンダーローラのライニングの構造を示す説明側面断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 架台
2 アンダーローラ
3 支持フレーム
4 貫通部
5 ドラム軸引き下げスライド体
6 油圧シリンダ
7 クランプ体
8 油圧シリンダ
9 クランプヘッド
16 チェーン
17 車輪
18 レール
19 軸
21 巻き径検出装置
22 脚
23 センサブラケット
24 伸縮自在なロッド
25 支持腕
26 距離センサ
27 ピン
28 ライニング
29 ボルト
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線、ケーブル、ワイヤー等をドラムの外周に巻き取ったり、ドラムの外周から繰り出したりするドラム架台であって、特にアンダーローラ方式のドラム架台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のドラム架台は、大きく分けて三つの方式があり、ドラム軸方式、クランプ方式、アンダーローラ方式がある。ドラム軸方式は、ドラム架台の両側に設けた軸受けにドラム軸を渡し、このドラム軸にドラム本体の軸穴を通して当該ドラム本体を回転自在に掛け、このドラム本体の軸穴付近に設けた歯車等と、回転動力源の駆動軸とをローラチェーン等で連結し、当該ドラム本体を、ドラム軸を中心に回転させている。また、クランプ方式は、ドラム架台の両側に設けた軸受けの上部から、ドラム本体の両側の鍔を挟み込むようにクランプ部材が突出し、この両側の各クランプ部材の先端をドラム本体の軸穴に入れて両側の鍔を両側から押圧して、ドラム本体を支持しながら、当該クランプ部材を回転させることによりドラム本体を回転させるものである。また、アンダーローラ方式は、ドラム架台に水平に間隔をあけて二つの横長のローラを設け、これらの二つのローラの上にドラム本体を載せ、上記ローラを回転駆動させて、ドラム本体を回転させるものである。
【0003】
上記ドラム軸方式とクランプ方式は、装置に載せるドラムの大きさの種類が多いと、これらのドラムすべてに適用できるようにすると、軸の回転数は最小巻き径によって計算され、また、軸のトルクは最大巻き径によって計算するため、回転数、トルク共に最大値のものが必要になってくる。 従って、多大な張力を必要とするケーブル等の巻き取り、繰り出しに適用するためには、大がかりな装置になってしまう。また、アンダーローラ方式では、装置に載せるドラムの大きさの種類が多い場合でも、搭載したドラムの鍔径と最小巻き径(ドラムの胴径)の比で対応できるため、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しにも適用し易い。
また、上記ドラム軸方式では、ドラム本体を装置に搭載する前に予め、質量の大きな軸をドラム本体の軸穴に挿入しておき、ドラム本体と軸を一緒に持ち上げて装置に搭載して固定した後、駆動装置と連結するなど、煩雑な作業が必要となる。
また、クランプ方式では、ドラム本体の軸穴側面を両側から挟みつけて、質量の大きなドラム本体を支持しつつ、回転させるため、クランプ面で滑らせないためのクランプの押し付け力は強大となり、ドラム本体の横荷重に対する強度が要求されるので多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しには適用し難い。
【0004】
しかし、このアンダーローラ方式のドラム架台では、ドラムの載置や載せかえは容易であるが、ケーブルを繰り出したり、巻き取りの張力が大きいと、これらのケーブル等に引っ張られて、ドラム本体がアンダーローラから外れて架台から飛び出してしまうおそれがある。そこで、アンダーローラ方式においてはドラム本体が飛び出さないように軸棒を用いるとか、飛び出し防止のガイドローラを設ける等のドラム本体の飛び出しを抑える方法が採られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アンダーローラ駆動方式は装置が簡易でドラムの載置が容易であるものの、載置したケーブルを含むドラム本体の自重とアンダーローラの摩擦係数のみのケーブルの巻き取り、繰り出ししか張力制御ができないので比較的低張力の巻き取り、繰り出し装置としてしか使用できず、数1000kgfの張力制御を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出し装置としては不向きであるとされていた。
【0006】
この発明は、これらの点に鑑みて為されたものであり、アンダーローラ上にドラムを載せ、ドラムの両側から油圧シリンダでクランプ体を軸穴に挿入し、油圧シリンダによるドラム軸引き下げ体で押圧するので、ドラムの装置への載置が容易であり、最小限の押し付け力でドラムを引き下げるドラム軸引き下げ機構を有するものであって、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しにも使用可能である、アンダーローラ方式のドラム架台装置を提供し、上記課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、請求項1の発明は、略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置するアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧により上記各支持フレームの下方に押し下げるようにし、またこれらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧により架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側のドラム軸引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体を油圧により引き下げ、これらの油圧による押し付け力は、油圧回路に圧力保持回路を設けて押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有する構成からなる、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【0008】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、上記ドラムを載置した際の、両側のドラム軸引き下げスライド体の油圧による引き下げは、各引き下げスライド体の下に油圧シリンダを設け、アンダーローラと載置するドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記ドラム軸引き下げスライド体を引き下げる構成とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
また請求項3の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、上記両側のドラム軸引き下げスライド体に設けた各クランプ体の軸の先端に設けたクランプヘッドは、円柱形で、基部にフランジ部を有し、その先端を載置するドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部を当該軸貫通孔の内周縁に当接自在な構成とし、かつ、上記軸の先端に着脱自在とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【0009】
また、請求項4の発明は、上記請求項1、2又は3のいずれかに記載の発明において、各ドラム軸引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部の両側壁にチャネル溝のレールを設け、これらのレールの中に、各引き下げスライド体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させたことにより、各引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部に沿って摺動自在とした、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
また、請求項5の発明は、上記請求項1、2、3又は4のいずれかに記載の発明において、上記一方のアンダーローラの外側の架台に脚を立て、この脚の上部に棒状のセンサブラケットを設け、このセンサブラケットは、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラケットの外周に回転自在に一端を支持した伸縮自在なロッドを設け、このロッドの上記軸支部の一端に、当該ロッドと一体な距離センサを設け、上記ロッドの先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体に回動自在に係止し、上記距離センサが発する光又は超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定された巻き径検出装置を設けた、アンダーローラ式ドラム架台装置とした。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ドラムに軸を通さずに、ドラムの両側からドラムの軸貫通孔にクランプヘッドを押圧して、ドラムをクランプしつつ、ドラムをアンダーローラに押し付けることにより、ドラム回転時のドラム自体の横移動を防止すると共に、効率よくドラムが回転し、かつケーブル等の巻き取り、繰り出しにおいて多大な張力にも十分耐えるドラム架台装置である。また、請求項2の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラムを押し下げているドラム軸引き下げスライド体は油圧シリンダにより、アンダーローラとドラムの摩擦係数によって、予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、ドラムを押し付けているため、載置するドラムの種類、径に応じて最小限の押し付け力でよく、より効率的にケーブル等の巻き取り又は繰り出しができる。さらに、載置するドラムの鍔外径は、真円でないため、アンダーローラ方式では、ドラム軸芯が振れるが、この発明では油圧シリンダにより、ドラムをアンダーローラに押し付け、この油圧シリンダを作動させる油圧回路には常に一定圧力が働くように、圧力保持回路を設置しているので、当該油圧シリンダは押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有し、上記ドラム軸芯の振れを吸収でき、安定した運転ができる。
【0011】
また、請求項3の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラムの両側から、クランプヘッドによりドラムをクランプしつつ回転させているため、ドラムの横移動を防止できる。また、当該クランプヘッドはクランプ体の軸に着脱自在に取り付けているため、ドラムの径が異なる場合、当該載置するドラムに適した大きさのクランプヘッドに交換できる。
また、請求項4の発明によれば、上記発明の効果に加え、ドラム軸引き下げスライド体は、各支持フレームの貫通部の両側壁に設けてチャネル溝のレールに、自体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させて、当該レール内を上下させる構成としているため、ドラム軸引き下げスライド体は蛇行することなく、ドラムを両側からアンダーローラに確実に押し付けることができる。
また、請求項5の発明によれば、巻き径検出センサを設けているため、常にドラムに巻きついたケーブル等の巻き径が測定でき、その巻き径に応じてドラムの回転速度や回転トルクを調節でき、定張力延線、定速度巻き取りを行うことができる。さらに、この発明では、載置するドラムの径が異なっても、ドラムの径に応じてドラム軸引き下げスライド体が移動するため、この引き下げスライド体に先端を係止したロッドと一体な距離センサが動くため、常に載置するドラムの軸芯方向に光や超音波が発信でき、載置するドラムの径に応じて距離センサの向きを変える必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置したアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧シリンダにより上記各支持フレームを下方に押し下げる構成とし、また、これらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧シリンダにより架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側の引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側の引き下げスライド体を油圧により引き下げる構成とし、両側の引き下げスライド体の油圧による引き下げは、アンダーローラとドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記引き下げスライド体を引き下げる構成のアンダーローラ式ドラム架台装置であり、これにより最小限の押し付け力でドラムを引き下げる機構を有し、多大な張力を必要とするケーブルの巻き取り、繰り出しに使用可能である。
【実施例1】
【0013】
図1乃至図3はこの発明のドラム架台装置の正面図、側面図及び平面図であり、ほぼ扁平な架台1の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラ2、2を回転自在に設けている。この架台1の、上記二つのアンダーローラ2、2の間の中央部両側に、相対向して二つほぼ門型の支持フレーム3、3を立設している。これらの各支持フレーム3の中央の縦長の貫通部4にドラム軸引き下げスライド体5を上下摺動自在に嵌め、当該各引き下げスライド体5の下方に設けた油圧シリンダ6と接続されている。これらの引き下げスライド体5及び油圧シリンダ6は両側の支持フレーム3に相対向して設けられている。これにより、各油圧シリンダ6により、各ドラム軸引き下げスライド体5は各貫通部4に沿って上下に移動可能である。
【0014】
また、これらの各引き下げスライド体5に、架台1の中央部方向に水平突出自在なクランプ体7を設け、これらの各クランプ体7は、各引き下げスライド体5の外側に設けた油圧シリンダ8により、架台1の中央部に突出移動可能である。また、これらの各クランプ体7の内側面から突出するクランプヘッド9を設け、ドラムを載置した際、上記両側の引き下げスライド体5のクランプヘッド9をドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体7、7を油圧シリンダ8により突出させて上記各クランプヘッド9でドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体5、5を油圧シリンダ6により引き下げる構成となっている。また、これらの上記油圧シリンダ6及び8を作動させる油圧回路(図示省略)には、常に一定の圧力が働くように、圧力保持回路を設置しており、上記各油圧シリンダ6、8は押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバの機能を有している。
また、上記二つの支持フレーム3、3にそれぞれアーム10の一端を回転自在に接続した、トラバーサ装置11を設けている。また、一方の支持フレーム3の脇の記架台1上には、油圧モータ12、減速機13及び制御部14が設けられ、また、この装置の操作部15が設けられている。
【0015】
図4は上記二つのアンダーローラ2、2の配置を示す平面図であり、これらのアンダーローラ2、2はそれぞれ両端で、架台1に設けられた軸受け2a、2aに支持されており、それぞれその一端にスプロケット2b、2bを設け、これらのスプロケット2b、2bをチェーン16で連結し、一方のアンダーローラ2の一端を上記減速機13に接続している。これにより、油圧モータ12の回転が減速機13を介して、一方のアンダーローラ2に伝達され、さらにチェーン16を介して他方のアンダーローラ2に伝達される構成となっている。
【0016】
次に、図5乃至図7は上記ドラム軸引き下げスライド体5の詳細を示す正面図、平面図及び一部断面側面図であり、上記各引き下げスライド体5は、その上下、両側に四つの車輪17を設け、上記各支持フレーム3の各貫通部4の両側壁に設けたチャネル溝のレール18中に、各引き下げスライド体5の車輪17を回転自在に嵌合させたことにより、各引き下げスライド体5は各支持フレーム3の貫通部4に沿って摺動自在となっている。従って、各引き下げスライド体5は、車輪17がレール18に嵌合された状態で摺動するため、蛇行したりすることがない。また、上記引き下げスライド体5の上下両側の車輪17に替えて、適宜形状のガイドプレートを引き下げスライド体5の上下両側に設け、これらのガイドプレートをレール18中に嵌合させて、引き下げスライド体5を摺動自在としてもよい。また、上記各ドラム軸引き下げスライド体5と各油圧シリンダ6の接続は、当該油圧シリンダ6のピストンロッド6aの先端を、当該引き下げスライド体5の下部に設けたブラケット5aにピン6bを介して回転自在に接続している。
【0017】
また、上記各ドラム軸引き下げスライド体5は、図7に示すように箱型をなし、内外側面を貫通する貫通孔に略横筒型のクランプ体7を設けている。このクランプ体7はその一端に内側板7aを設け、この内側板7aの裏面の上下部を各引き下げスライド体5の内側外面に当接自在としている。また、引き下げスライド体5の外側に設けた油圧シリンダ8のピストンロッド8aの先端を、引き下げスライド体5の内部中空部を通して、上記クランプ体7の一端に設けた内側板7aの裏面に、ピン8bを介して回転自在に接続している。従って、これらの油圧シリンダ8の作用により、クランプ体7は、各引き下げスライド体5から、架台1の中央方向に水平突出自在となっており、これらのクランプ体7は架台1の両側に設けられ、両側のクランプ体7、7は相対向している。
【0018】
また、これらのクランプ体7の内部には、水平な軸19を回転自在に設けている。そしてこの軸19の先端は、上記クランプ体5の内側板7aの孔から外側に突出しており、この突出部に、上記クランプヘッド9を被冠、固定している。このクランプヘッド9は円柱形状で、基部にフランジ部9aを有し、その先端を、この架台に載置されたドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部9aを当該軸貫通孔の内周縁に当接させる構成となっている。従って、この架台1に載置されたドラムは、クランプ体7が油圧シリンダ8によりドラムの両側に突出し、そのクランプ体7の各クランプヘッド9が当該ドラムの両側の鍔の軸貫通孔に嵌合し、これらのクランプヘッド9のフランジ部9aが各軸貫通孔の内周縁を押圧し、これにより当該ドラムを両側からクランプする構成となっている。また、このクランプヘッド9は、図8及び図9に示すように、ドラムの大きさや外径にあわせて異なる形状のフランジ部9aやヘッドのクランプヘッド9を予めそろえて置き、ドラムの大きさ等に合わせて上記軸19に、ボルト等により着脱自在に取り付ける。また、上記軸19の後端には、クランプ体7の外側に設けたエンコーダ20と接続されており、このエンコーダ20で軸19、即ち、架台1に載置されたドラムの回転数をカウントできる。
【0019】
また、図10及び図11は、この架台装置に設けた巻き径検出装置21を示す側面図及び正面図であり、上記一方のアンダーローラ2の外側の架台1に二本の脚22、22を間隔をあけて立て、これらの脚22、22の上端に棒状のセンサブラケット23を設け、このセンサブラケット23は、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラケット23の外周に回転自在に一端を軸支した伸縮自在なロッド24を設け、このロッド24の上記軸支部の一端から支持腕25を突出し、この支持腕25に超音波式の距離センサ26を設けている。この距離センサ26は上記伸縮自在なロッド24と一体となっており、上記ロッド24の先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体5の内側面にピン27により回動自在に係止し、上記距離センサ26が発する超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定されている。この距離センサ26は、当該架台に載置されるドラムのドラムに巻きついたケーブル等の外周に超音波を当てその距離を測定し、そのケーブル等の巻き径を検出するものである。
【0020】
このような巻き径検出センサ21を設けているため、載置されるドラムの径が異なっても、ドラムの径に応じてドラム軸引き下げスライド体5が移動するため、この引き下げスライド体5に先端を係止した伸縮自在なロッド24と一体な距離センサ26が動くため、常に載置されるドラムの軸芯方向に超音波を発信でき、いちいち載置されるドラムの径に応じて距離センサの向きを変える必要がない。
【0021】
また、図12及び図13は、アンダーローラ2の外周に設けるライニングの説明断面正面図及び説明断面側面図を示し、アンダーローラ2の外周に設けるウレタンからなるライニング28を二つ割りにして二つの円弧状のライニング片28a,28bとし、これらの突合せ端部でボルト29により一体化したものである。これにより当該ライニング28が使用により磨り減った場合、装置にアンダーローラ2を装着したままライニング28を取り替えることができる。
【0022】
なお、この発明における、支持フレーム3、ドラム軸引き下げスライド体5、及びクランプ体7等の構成は上記実施例に記載のものに限定されるものではなく、他に種々の実施例が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の装置の正面図である。
【図2】この発明の装置の側面図である。
【図3】この発明の装置の平面図である。
【図4】この発明のアンダーローラの配置を示す平面図である。
【図5】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す正面図である。
【図6】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す平面図である
【図7】この発明の引き下ろしスライド体の詳細を示す側面図である。
【図8】この発明の他の形状のクランプヘッドを示す断面側面図である。
【図9】この発明の他の形状のクランプヘッドを示す断面側面図である。
【図10】この発明の巻き径検出装置の側面図である。
【図11】この発明の巻き径検出装置の正面図である。
【図12】この発明の、アンダーローラのライニングの構造を示す説明正面断面図である。
【図13】この発明の、アンダーローラのライニングの構造を示す説明側面断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 架台
2 アンダーローラ
3 支持フレーム
4 貫通部
5 ドラム軸引き下げスライド体
6 油圧シリンダ
7 クランプ体
8 油圧シリンダ
9 クランプヘッド
16 チェーン
17 車輪
18 レール
19 軸
21 巻き径検出装置
22 脚
23 センサブラケット
24 伸縮自在なロッド
25 支持腕
26 距離センサ
27 ピン
28 ライニング
29 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置するアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧により上記各支持フレームの下方に押し下げるようにし、またこれらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧により架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側のドラム軸引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体を油圧により引き下げ、これらの油圧による押し付け力は、油圧回路に圧力保持回路を設けて押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバ機能を有する構成としたことを特徴とする、アンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項2】
上記ドラムを載置した際の、両側のドラム軸引き下げスライド体の油圧による引き下げは、各引き下げスライド体の下に油圧シリンダを設け、アンダーローラと載置するドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記ドラム軸引き下げスライド体を引き下げる構成を特徴とした、請求項1に記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項3】
上記両側のドラム軸引き下げスライド体に設けた各クランプ体の軸の先端に設けたクランプヘッドは、円柱形で、基部にフランジ部を有し、その先端を載置するドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部を当該軸貫通孔の内周縁に当接自在な構成とし、かつ、上記軸の先端に着脱自在としたことを特徴とする、上記請求項1又は2に記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項4】
上記各ドラム軸引き下げスライド体は、各支持フレームの貫通部の両側壁にチャネル溝のレールを設け、これらのレールの中に、各引き下げスライド体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させたことにより、各引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部に沿って摺動自在としたことを特徴とする、上記請求項1、2又は3のいずれかに記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項5】
上記一方のアンダーローラの外側の架台に脚を立て、この脚の上部に棒状のセンサブラケットを設け、このセッサブラケットは、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラッケトの外周に回転自在に一端を軸支した伸縮自在なロッドを設け、このロッドの上記軸支部の一端に、当該ロッドと一体な距離センサを設け、上記ロッドの先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体に回動自在に係止し、上記距離センサが発する光又は超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定された巻き径検出装置を設けたことを特徴とする、上記請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項1】
略水平な架台の上に、前後に間隔をあけて平行に二つのアンダーローラを回転自在に設け、これらのアンダーローラを回転駆動源の駆動シャフトに連動させ、これらのアンダーローラに自体の二つの鍔を載せてドラムを載置するアンダーローラ式ドラム架台において、この架台の中央両側に略門型の支持フレームを相対向して立設し、これらの各支持フレームの中央の縦長の貫通部にドラム軸引き下げスライド体を上下摺動自在に嵌め、当該各ドラム軸引き下げスライド体を油圧により上記各支持フレームの下方に押し下げるようにし、またこれらの各ドラム軸引き下げスライド体に、油圧により架台の中央部方向に水平突出自在なクランプ体を設け、これらの各クランプ体には回転自在な軸を設け、これらの各軸の先端に、クランプ体の内側面から突出するクランプヘッドを設け、上記ドラムを載置した際、上記両側のドラム軸引き下げスライド体のクランプヘッドをドラムの鍔の軸貫通孔に嵌めて、両側のクランプ体を油圧により突出させて上記クランプヘッドでドラムをクランプしつつ両側のドラム軸引き下げスライド体を油圧により引き下げ、これらの油圧による押し付け力は、油圧回路に圧力保持回路を設けて押し付け力に変動の少ないショックアブゾーバ機能を有する構成としたことを特徴とする、アンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項2】
上記ドラムを載置した際の、両側のドラム軸引き下げスライド体の油圧による引き下げは、各引き下げスライド体の下に油圧シリンダを設け、アンダーローラと載置するドラムの摩擦係数によって予め設定したドラムのアンダーローラに対する押し付け力により、上記ドラム軸引き下げスライド体を引き下げる構成を特徴とした、請求項1に記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項3】
上記両側のドラム軸引き下げスライド体に設けた各クランプ体の軸の先端に設けたクランプヘッドは、円柱形で、基部にフランジ部を有し、その先端を載置するドラムの鍔の軸貫通孔に嵌合し、フランジ部を当該軸貫通孔の内周縁に当接自在な構成とし、かつ、上記軸の先端に着脱自在としたことを特徴とする、上記請求項1又は2に記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項4】
上記各ドラム軸引き下げスライド体は、各支持フレームの貫通部の両側壁にチャネル溝のレールを設け、これらのレールの中に、各引き下げスライド体の上下両側に設けた車輪又はガイドプレートを嵌合させたことにより、各引き下げスライド体は各支持フレームの貫通部に沿って摺動自在としたことを特徴とする、上記請求項1、2又は3のいずれかに記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【請求項5】
上記一方のアンダーローラの外側の架台に脚を立て、この脚の上部に棒状のセンサブラケットを設け、このセッサブラケットは、載置されるドラムの軸芯に平行に位置し、このセンサブラッケトの外周に回転自在に一端を軸支した伸縮自在なロッドを設け、このロッドの上記軸支部の一端に、当該ロッドと一体な距離センサを設け、上記ロッドの先端を、上記一方のドラム軸引き下げスライド体に回動自在に係止し、上記距離センサが発する光又は超音波が常に載置されるドラムの軸芯に向くように設定された巻き径検出装置を設けたことを特徴とする、上記請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のアンダーローラ式ドラム架台装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−1750(P2007−1750A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186440(P2005−186440)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(000139702)株式会社安田製作所 (16)
【Fターム(参考)】
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