説明

アンチザイムモジュレーターおよびその使用

【課題】アグマチンおよびポリアミンのようには代謝されないアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを提供すること。
【解決手段】スペルミンのポリアミンアナログであって、生理学的pHで4個の正電荷を形成し得る4個のアミン基を含み、第1のアミン基と第2のアミン基とが、および第3のアミン基と第4のアミン基とが、4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そして第2のアミン基と第3のアミン基とが、5個以上のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、全長アンチザイムの発現を誘導するアナログを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮特許出願60/118,892(1999年2月5日出願)に対する優先権の利益を主張し、これは、十分に示されるように、その全体が参考として本明細書中に参考として援用される。本出願は、米国特許出願番号09/115,004(1998年7月14日出願)、同第60/052,586(1997年7月15日出願)、同第09/114,984(1998年7月14日出願)、同第60/065,728(1997年11月14日出願)、同第60/085,538(1998年5月15日出願)、および同第09/396,523(1999年9月15日出願)に関する(これらの全てが、十分に示されるようにその全体が参考として本明細書中に援用される)。
【0002】
(技術分野)
化学および生化学の分野における本発明は、薬理学的適用または農業的適用と共に、新規のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの合成および使用に関する。アグマチンは、アンチザイム(これは、細胞ポリアミン生合成および取り込み/移入の両方を調節する)を誘導することにより細胞内ポリアミンレベルの調節に関与することが示される。以前の薬理学的焦点は、細胞内ポリアミンレベルを低減するために、ポリアミンの生合成の阻害をするかまたはポリアミンの取り込み/移入を阻害するかのいずれかについてであった。本発明は、両方の手段によって細胞のポリアミンレベルを低減するが、必ずしもアグマチンおよびポリアミンのように代謝されないアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを提供する。薬物として、これらのアナログは、所望されない細胞増殖、原発性癌(primarily cancer)の障害を、単独または他の薬剤(特に、ポリアミン合成または輸送の他のインヒビター)と組み合わせて処置するために使用される。本発明はまた、アグマチンおよびポリアミンに関する低分子の誘導モチーフアンチザイムを含むと予期される、鍵となる構造的エレメントを同定する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
アグマチンは、アルギニンデカルボキシラーゼ(ADC)によるアルギニンの脱炭酸において産生されるポリアミンである。従って、アグマチンは、プトレシンのようなポリアミン(これは、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)によるオルニチンの脱炭酸によって産生される)のADC媒介経路とは異なるADC媒介経路によって産生される。ポリアミンスペルミジンおよびスペルミンは、プトレシンのさらなる改変により産生される。ポリアミンは、細胞内プロセス(例えば、増殖、転写および複製)における、タンパク質、RNA、DNA、および脂質の活性を調節することによって、細胞のための「緩衝」系を提供すると認識されている偏在性分子である。さらに、ポリアミンはまた、アポトーシスにおいて直接的な役割を果たし得る。このように、腫瘍細胞を含む急速に細胞増殖する細胞におけるポリアミンの関与は、重要な目的の領域である。
【0004】
哺乳動物および他の生物は、活性ポリアミンの取り込み/移入およびそれらのポリアミン生合成の能力を補う再循環系を有する。哺乳動物細胞は、胃腸吸収、腸微生物叢(flora)、または他の細胞による放出を介した循環において利用可能なポリアミンを取り込み/移入し得る。細胞のポリアミンレベルはまた、ODCを介した生合成によって影響され、この生合成は、1,4−ジメチルプトレシンの異性体によって阻害されることが示されている(非特許文献1)。ポリアミンの取り込み/移入または生合成のいずれかの阻害は、他の活性の増加を補うことを生じることから、より低い細胞ポリアミンレベルに対する任意の試みは、ポリアミン輸送および生合成の両方を標的としなければならない(非特許文献2)。
【0005】
ポリアミンによるタンパク質アンチザイム(AZ)の誘導は、細胞ポリアミンレベルを制御する自動調節ループの一部である。AZは、ODCと結合し、そしてその活性を阻害し、ならびにその分解を増加させることが示されている。従って、AZ誘導は、低減されるポリアミン生合成を生じる。AZはまた、ポリアミントランスポーターによって取り込み/移入活性を阻害することが示されている。最近、異所的に発現されるアンチザイムは、細胞死を生じる抗腫瘍活性を有することが示された(非特許文献3)。さらに、ヌードマウスにおける誘導アンチザイム発現は、腫瘍形成をブロックする。
【0006】
アグマチンは、AZ産生を誘導することによって増殖を抑制し、ポリアミン生合成と取り込み(uptake)/移入(import)の両方の阻害を生じると認識されている(非特許文献4;特許文献1;および非特許文献5)。詳細には、アグマチンは、AZ mRNAの+1翻訳フレームシフトを誘導して、全長タンパク質を生じる。
【0007】
抗癌治療に対するポリアミンの関係は、長い間認識されてきた。ポリアミンは、DNAに特異的に結合することによって真核生物および原核生物のクロマチン構造に影響を与え(非特許文献6)、その結果、DNA上の結合部位が飽和した場合に濃縮が発生する。ポリアミン(およびヒストン)のアセチル化は、DNAに対するそれらの親和性を低下させ、そして協力してヌクレオソームの構造および機能の変化を引き起こし、従って、コア粒子の末端でDNAをほどくことによってDNAの複製および転写を調節すると考えられている。DNAジャイレース活性のインヒビターであるノボビオシン(novabiocin)の作用は、ポリアミン枯渇の効果を模倣する。ポリアミンはまた、おそらくDNA構造を変化させることによって、特定の抗生物質によるDNA結合を調節し得る(非特許文献7)。ポリアミンはまた、クロマチン構造に対してもまた感受性である細胞内DNAへのウイルスの取り込みに影響を与える(非特許文献8)。異常に低いポリアミン濃度は、細胞死をもたらすクロマチン構造の異常を引き起こす(非特許文献9;非特許文献10)。
【0008】
ポリアミンはまた、RNA、タンパク質、および多くの細胞機能に対して著しい効果を有する(非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13)。例えば、翻訳およびmRNAスプライシングは、ポリアミンによってアップレギュレートされる。ポリアミンはまた、いくつかのプロテインキナーゼ(非特許文献12)およびリパーゼ(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパーゼC(非特許文献13))の活性に影響を与える。ポリアミンは、eIF−5Aタンパク質のリジン残基の1回の修飾に関与して、ハイプシンを形成する。このハイプシンは、細胞の生存度に必須である(非特許文献14)。この修飾タンパク質の正確な機能は未知であるが、このタンパク質は、すべての真核生物中に存在し、そして細胞増殖と関連しているようである。異常に高い濃度は、アポトーシスと関連する(非特許文献15)。
【0009】
ポリアミンであるスペルミンは、ミトコンドリアにおいて重要かつ特定の役割を有するようである。ミトコンドリアは、スペルミンを利用する特定のポリアミントランスポーター(ユニポーター)を有する(非特許文献16)。このトランスポーターは、ミトコンドリア中にCaイオンを隔離することによって、細胞質ゾルCa2+濃度を効果的に制御し得る(非特許文献17)。いくつかのポリアミン模倣物はまた、ミトコンドリアに蓄積して、DNAの損失および特定のtRNAの充填を不可能にすることを引き起こす。tRNAの二次構造が最小であるミトコンドリアにおいて、スペルミンは、Ile−RNAの適切なフォールディングのために必要である(非特許文献18)。
【0010】
スペルミンは、ヒト単核細胞において炎症誘発性のサイトカインの産生を阻害し得ることもまた示されている(非特許文献19)。このことは、スペルミンが、動物における免疫応答を制限する対抗制御的な機構を有することを示唆する。同じグループによる、より後の報告は、スペルミンのこの免疫調節機構が、ポリアミン輸送が阻害される場合に否定されることを示した(非特許文献20)。まとめると、これらの結果は、スペルミンの濃度を低下させる能力を有する分子および免疫細胞における他のポリアミンは、免疫刺激効果を有することを示唆する。
【0011】
ポリアミンの細胞レベルは、厳重に調節され、その結果、ポリアミン濃度における可変性の小さな枠のみが許容される。ポリアミン濃度は、その生合成、分解、取り込み/移入および流出の速度を調節することによって、調節される。総説として、非特許文献21を参照のこと。移入の制御による調節としては、非特許文献22を参照のこと。ポリアミン輸送は、高度に調節され、フィードバック阻害に供されるが、理解が不充分なままである。ODCをアップレギュレートする細胞は、トランスポーターのフィードバックコントロールを失い、そして低浸透圧性ストレスに供される場合に死ぬ傾向がある(非特許文献23)。ポリアミン輸送のインヒビターにおける最近の関心は、ポリアミン移入もまた、ポリアミン合成の阻害と共に標的されなければならないことの発見によって推進された(非特許文献2)。以前は、ポリアミンの取り込み/移入は最少であり、そしてポリアミンインヒビターは、細胞傷害性ではなく、単に細胞増殖抑制性であると考えられた。しかし、より綿密なポリアミンインヒビターの試験が、このことは真実ではないことを証明した。ポリアミン合成インヒビターでの処理は、スペルミジンレベルが比較的一定のままであるように、アップレギュレートされた輸送を導いた。従って、細胞は、環境からのポリアミンの再利用および取り上げによって、ポリアミン合成の阻害を補償し、そしてポリアミン合成の延長した阻害に供された細胞においては、取り込みは生存のための単なる手段である。対応して、腫瘍保持マウスの腸管内菌叢にポリアミン産生細菌がない場合、ポリアミン合成のインヒビターは、細胞傷害性になる(非特許文献24および非特許文献9)。
【0012】
ポリアミンはまた、N1−スペルミン/スペルミジンアセチルトランスフェラーゼ(SSAT)およびポリアミンオキシダーゼ(PAO)を含む2酵素再利用システムによって、回収され得る。SSATは、ポリアミンをアセチル化して短命な中間体を生成し、この中間体は、PAOによって代謝されるか、または細胞外に急速に輸送されるかのいずれかである。PAOは、アセチル化スペルミンを酸化し、アセチルプロピナール(acetylpropinal)およびスペルミジンを放出する(または、アセチル化スペルミジンに作用し、プトレシンを生成する)。この入れ替え経路は、脱カルボキシル化されたS−アデノシルメチオニン(dcAdoMet)の要求を撤廃するだけでなく、メチルチオアデノシン(MAT)を生成することなく、ポリアミンを再合成する。アセチル化は、分解経路における律速段階だと考えられる。いくつかのインヒビターは、SSATをアップレギュレートし、これは最近ではラットからクローンされる。
【0013】
ポリアミン前駆体、プトレシンおよびdcAdoMetの合成は、それぞれ高度に制御された酵素ODCおよびS−アデノシルメチオニンデカルボキシラーゼ(AdoMetDC)を介して生じる。ポリアミンスペルミジンは、酵素プトレシンアミノプロピルトランスフェラーゼ(PAPT、スペルミジンシンターゼともいわれる)による、プトレシンへの、dcAdoMetのアミノプロピル基の付与を介して合成され、1分子のMTAを放出する。スペルミジンは、スペルミジンアミノプロピルトランスフェラーゼ(SAPT、すなわちスペルミンシンターゼ)の作用を介する、dcAdoMetからのさらなるアミノプロピル基の付与によって、MTAの第2の分子の放出を伴って、スペルミンにさらに変換され得る。ODCおよびAdoMetDCの活性およびレベルの両方は、ホルモン、増殖因子、ポリアミン濃度およびMTAのような他の因子によって調節される(非特許文献25;非特許文献26)。例えば、MTAは、ODCをアップレギュレートし、およびAdoMetDCをダウンレギュレートし得、これによってプトレシンのレベルが増加する。これらの2つの酵素の半減期(half−lives)は30〜45分程度と非常に短く、そのため、それらの活性は、分裂細胞の必要性および変動に従って、急速に調節され得る。さらに、ODCのアップレギュレートは、発癌性の結果を有し得る(非特許文献27;非特許文献28)。この発癌性形質転換は、ODCインヒビターα−ジフルオロメチルオルニチン(DFMO)によって阻害された。大腸癌モデルにおいて、ODC遺伝子の転位は、悪性度の程度に関連した(非特許文献29)。
【0014】
上記の文書の引用は、上記のいずれもが適切な先行技術であることを承認することは意図されない。これらの文書の、日付についての全ての記載または内容についての表示は、発明者らに入手可能な情報に基づき、そしてこれらの文書の日付または内容の正確さについて、いかなる承認も構成しない。
【特許文献1】国際公開第98/13037号パンフレット
【非特許文献1】Moyano,N.ら、J.Med.Chem.、33:1969−1974(1990)
【非特許文献2】Pegg,A.E.ら、Int.J.Biochem.Cell.Biol.、27:425−442(1995)
【非特許文献3】Iwata,S.ら、Oncogene、18(1):165−172、(1999)
【非特許文献4】Satrianoら、J.Biol.Chem.273:15313−15316(1998)
【非特許文献5】Satrianoら、J.Amer.Soc.Nephrol.,7:1665(1996)
【非特許文献6】Balasundaram,D.ら、Mol.Cell.Biol.100:129−140(1991)
【非特許文献7】Marton,L.J.ら、Inhibition of Polyamine Metabolism,McCann,P.P.ら編、Academic Press,Orlando,Florida,1987、79〜105頁
【非特許文献8】Wallace,H.M.ら、J.Gen.Virol.56:251−258(1981)
【非特許文献9】Quemener,V.ら、Anticancer Res.14:443−448(1994)
【非特許文献10】Porter,C.W.ら、Cancer Res.53:581−586(1993)
【非特許文献11】Tabor,C.W.ら、Ann.Rev.Biochem.53:749−790(1984)
【非特許文献12】Ahmed,K.ら、Adv.Enzyme Regul.25:401−421(1986)
【非特許文献13】Smith,C.D.ら、Biochem J.256:125−130(1988)
【非特許文献14】Park,M.H.ら、TIBS 18:475−479(1993)
【非特許文献15】Parchment,R.E.ら、Cancer Res.49:6680−6686(1989)
【非特許文献16】Toninello,A.ら、J.Biol.Chem.267:18393−18397(1992)
【非特許文献17】Nicchitta,C.V.ら、J.Biol.Chem.259:12978−12983(1984)
【非特許文献18】He,Y.ら、Eur.J.Biochem.221:391−398(1994)
【非特許文献19】Zhang,M.ら、J.Exp.Med.185(10)、1759−1768(1997)
【非特許文献20】Zhang,M.ら、Mol.Med.5、595−605(1990)
【非特許文献21】Tabor,C.W.ら、Ann.Rev.Biochem.53:749−790(1984)
【非特許文献22】Khan,N.A.ら、Cell Biol.Int’l.Rep.15:9−24(1991)
【非特許文献23】Poulin,R.ら、J.Biol.Chem.268:4690−4698(1993)
【非特許文献24】Moulinoux,J.P.ら、J.Urology、146:1408−1412(1991)
【非特許文献25】Janne,J.ら、Ann.Med.23:241−259(1991)
【非特許文献26】Thomas,T.ら、Canc.Res.49:5852−5857(1989)
【非特許文献27】Auvinen,M.ら、Nature 360:355−358(1992)
【非特許文献28】Holtta,E.ら、J.Cell Biol.122:903−914(1993)
【非特許文献29】Pascale,R.M.ら、Carcinogenesis.14:1077−1080(1993)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、薬物として所望されない細胞増殖、原発性癌の障害を、単独または他の薬剤(特に、ポリアミン合成または輸送の他のインヒビター)と組み合わせて処置するために使用される、アグマチンおよびポリアミンのようには代謝されないアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを提供する。また、アグマチンおよびポリアミンに関する低分子の誘導モチーフアンチザイムを含むと予期される、鍵となる構造的エレメントを同定する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の開示)
本発明は、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログならびに薬物および農薬または環境に有用な薬剤としてのそれらの使用に関する。薬物としては、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、細胞ポリアミンレベルを低下し、そして所望されない細胞増殖(癌、ウイルス感染および細菌感染を含む)の障害を処置するために使用され得る。このアナログは、単独または他の薬剤、特にポリアミンの合成または輸送の他のインヒビター(しかし、細胞増殖のほかのインヒビターは含む)と組み合わせて利用され得る。仮説によって結合することを除いて、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、AZ mRNAの+1翻訳フレームシフトが、全長タンパク質の発現を可能にすることを含む、全長アンチザイム(AZ)の発現を増大することによってポリアミンのレベルを減少し得る。
【0017】
全長タンパク質は、オルニチンデカルボキシラーゼ(ODC)によるポリアミンの産生およびその対応するトランスポーター(PAT)によるポリアミンの輸送の両方を順番にダウンレギュレートする。本発明は、アッセイによって決定されるようにそれらのアンチザイムの誘導の要と考えられるこれらのアナログの範囲内で構造的なエレメント/モチーフをさらに規定する。ポリアミドがDNA複製に絶対に必要であり、そして細胞のホメオスタシスに必要であるので、細胞内のポリアミンのレベルを低下することによる細胞増殖の防止に興味がある。十分に低いポリアミンのレベルは、細胞死を導き得る。従って、任意の薬剤は、ポリアミンのレベルを低下し得(特にポリアミン生合成および取り込み/輸入の両方を阻害することによって)、癌を含む細胞増殖に関する種々の疾患または所望されない状態を標的化する機会を提供する。
【0018】
本発明のアナログは、アグマチンのように必ずしも代謝されない。アグマチンは、ジアミンオキシダーゼによってグアニジノブテールアルデヒド(guanidinobuteraldehyde)またはアグマチン特異的アグマチナーゼによってプトレシン、もしくは天然に存在するようなポリアミンに代謝される。このような場合、本発明のアナログは、ポリアミンを再生成させるために容易に代謝されない利点を有する。アグマチン、またはプトレシンおよび他のポリアミンへの変換に供される代謝可能なポリアミンの投与は、ポリアミンのレベルを減少する目的から挫折することが推測される。従って、本発明の1つの局面は、プトレシンまたは任意の他の天然に存在するポリアミン代謝産物に代謝しないアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの産生および使用である。他方で、アグマチンおよび他のポリアミンの正常な代謝は、アグマチンまたはポリアミンアナログの細胞内産物を生じるために利用され得る。従って、本発明の別の局面は、開示されたアナログのプロドラッグ形態の産生および使用である。本発明は、代替物として、それらを改変し、酵素分解に耐性にすることによるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの安定化をさらに含む。このような改変としては、アルキル基を有する第一アミン基の置換が挙げられる。
【0019】
さらに、アグマチンが上記のポリアミンを回収する(salvage)ことに関与するSSATもしくはPAO、または上記のポリアミン合成に関与するAdoMetDCをアップレギュレートするか否かが未知であるが、これらの酵素が、アグマチンによって調節されるという事実は、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログがこれらの酵素と同様に調節する可能性を示す。この予測は、アグマチン、従ってプトレシンレベルが高い場合、ポリアミン合成に寄与する酵素を阻害すると同時に、細胞がポリアミンレベルを低くする酵素をアップレギュレートする傾向があるという観察に基づく。
【0020】
本発明のアグマチンアナログの1シリーズは、以下に記載される図1〜4および6に示されるようなアナログである。これらのアナログは、1つ以上の位置で置換されたアナログを含む。二置換アグマチンは、好ましくは、2つの末端窒素で置換されるが、内部窒素原子および/または内部炭素原子において選択的にまたは付加的に置換され得る。アグマチンアナログの付加的なシリーズは、N1,N4−ジベンジルプトレシンに関し、これは培養物中の腫瘍細胞に対して活性を有する(Aizencang,Gら、Cellular and Molecular Biology,44(4):615〜625(1998))。この報告は、その機構がアンチザイム誘導に関連し得ることを示唆する実験について記載する。この化合物(または幾つかの関連したアナログ)による細胞の処置は、72時間のインキュベーション後、全てのポリアミンレベルを効果的に低下させた。N1,N4−ジベンジルプトレシンおよび幾つかの非常に密接に関連したアナログはまた、米国特許第5,677,350号に開示される。本発明者らは、ジベンジルジアミノアルカンアナログおよび誘導体が、アンチザイム導入の機構を介して、抗癌性の薬剤のための優れた化合物であり得ることを提案する。アグマチンについての生物学的結合部位がリボソームであり得るため、アンチザイムメッセージのフレームシフト翻訳に関与するtRNAまたはrRNA、およびAizencangらのアルキル化プトレシンアナログはまた、明らかにそこで作用し得、インスタントなアグマチンアナログの結合の最適化が、Aizencangらのベンジルリード化合物に対応する位置付近で生じることが明らかである。本発明者は、これらの環上の置換基が、相互作用のためのさらなる部位を付加することによって、リボソーム、tRNAまたはrRNAについての結合親和性を増加し得ることを期待する。
【0021】
本発明者はまた、L−カナバニン、グアニジノオキシプロピルアミン(GOPA)、L−カナバニン、アルギニンアミノ酸アナログの脱炭酸化された産物に構造的に関連するアグマチンが天然植物産物であることを認識しており(Miersch,Jら、Guanidino Compounds in Biology and Medicine:2,DeDeyn,P.P.ら編、John Libbey&Co.,London,England,1997,401〜405を参照のこと)、そしてアルギニンの代わりにタンパク質内に組み込まれることが文献に示されている。グアニジノ官能基の非常に減少した塩基性のために、このようなタンパク質は特性および安定性を変化させた。L−カナバニンはまた、ラットにおいて抗腫瘍活性を有することが示されており、これは、Sigma Chemical Company(St.Louis,Missouri)から市販され、Sigma Chemical Companyから入手可能であるE.coli ADCとの反応によってGOPAに改変される(Hamana,Kら、Biochem.Biophys.Res.Comm.,129(1):46〜51(1985))。従って、GOPAに構造的に類似するかまたは関連しているアグマチンアナログは、本発明の別の実施形態である。
【0022】
さらに、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、AZによって調節された活性ポリアミン輸送の通路を除く通路によって細胞に入るように設計される。例えば、ビス(ベンジル)ポリアミンアナログは、ポリアミン輸送系とは異なる哺乳動物細胞−輸送系についての基質である(Beyers,T.L.ら、Biochem.J.269:35〜40(1990))。さらに、アグマチンおよびポリアミンは、同じトランスポーターを共有しないことが示されている(Sastre,Mら、J.Neurochem.,69:2421〜2426(1997))。例えば、ラットシナプトソーム中へのアグマチン取り込みは、1mMの濃度のポリアミンプトレシン、スペルミジン、またはスペルミンによって阻害されない。その代わりに、アグマチン取り込みは、Ca2+サブタイプトランスポーターを通して起こり得る。従って、本発明のさらなる実施形態は、ポリアミントランスポーターによって細胞内に移入されないアナログである。
【0023】
本発明はまた、ポリアミンアナログによるアンチザイム誘導についての構造的要求の探索の結果を含む。特に、3つの天然に存在するポリアミン、スペルミン、スペルミジン、およびプトレシンに基づくアナログの構造的プロフィールおよび電荷プロフィールは、アンチザイムを誘導する能力に関して研究されている。スペルミン、スペルミジン、およびプトレシンの中で、全長アンチザイム産生を導入する能力は、スペルミンの場合最大であり、プトレシンの場合最低であることが以前に観察されている。
【0024】
これらの3つのポリアミンから誘導されるアナログに見られるサイズおよび複雑性の違いに加えて、生理学的pHにおいて分子内に存在する正のアンモニウムカチオン性電荷の数の違いが存在する。例えば、pH7.2において、3つのポリアミンおよび対応するアナログ中の正電荷の数は、スペルミン(+4)>スペルミジン(+3)>プトレシン(+2)である。
【0025】
しかし、サイズおよび電荷の複雑な状況を超えて、本発明は、電荷中心間の特定の隔たりおよび電荷中心間の介在構造を有するアナログを包含する。さらに、本発明のアナログは、ポリアミン骨格上に置換基として特定の化学部分を有することにより、天然に存在するポリアミンとは異なる。
【0026】
好適な実施形態は、細胞ポリアミンレベル、従って細胞増殖を減少させ、そして抗癌化学療法剤としての薬学的利用性を有する、非常に特異的なアグマチンアナログまたはポリアミンアナログである。このようなアナログは、AZを誘導することにより作用し得る。
【0027】
本発明のさらなる実施形態は、細胞内ポリアミンレベルを枯渇させて、免疫応答を調節するアグマチンアナログおよびポリアミンアナログである。本発明の好ましい実施形態は、免疫細胞中のスペルミンおよび他のポリアミンの濃度を低下させて、免疫刺激効果を生じるアグマチンアナログまたはポリアミンアナログである。このようなアナログは、細菌またはウイルス感染、免疫無防備状態の患者および癌処置に関する使用において特に有利である。
【0028】
本発明はまた、細胞内ポリアミンレベルの減少が所望される疾患または状態を処置するために有用な薬学的組成物を提供し、この薬学的組成物は、本明細書中に記載のようなアグマチンアナログまたはポリアミンアナログ、および薬学的に受容可能な賦形剤を含有する。
【0029】
さらに、本発明は、細胞内ポリアミンレベルの減少、ポリアミン生合成の阻害、および/またはポリアミン取り込みの阻害により処置可能な、所望されない細胞増殖と関連した被験体の疾患または状態を処置するための方法を提供する。この方法は、この被験体に本明細書中に記載されるようなアグマチンアナログまたはポリアミンアナログを含有する薬学的組成物を投与する工程を包含する。この疾患は、好ましくは、癌である。
【0030】
本発明はさらに、上記のアナログと他の抗増殖薬剤とを含む、組み合わせ組成物および方法を提供する。ポリアミンは、クロマチン構造(Knuutila,S.ら、Exp.Cell.Res.145:222−226(1983))に影響を及ぼすので、抗腫瘍薬剤(例えば、トポイソメラーゼIIインヒビターまたは他の插入剤)は、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログと組み合わせて、増殖細胞に対してより効果的である。このような組み合わせが、細胞傷害性において相乗効果を有し、この細胞傷害性は、各々個々の薬剤の毒性より大きい可能性があり得る。従って、このような組み合わせ薬物治療は、本発明のアナログおよび他の抗増殖剤の用量を低下させるために必要であることが予測される。
【0031】
本発明の他の局面は、AZを誘導する能力についてアナログをアッセイする方法およびポリアミン輸送についてアッセイする方法を包含する。本発明のさらなる実施形態は、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログに結合するタンパク質または核酸の同定、アンチザイム誘導に関与する細胞性因子の組織化学的または細胞化学的位置決定、ならびにAZ誘導に関与する低分子の構造エレメント/モチーフを包含する。
【0032】
本発明はさらに、以下の項目を提供する:
(項目1) スペルミンのポリアミンアナログであって、
生理学的pHで4個の正電荷を形成し得る4個のアミン基を含み、
第1のアミン基と第2のアミン基とが、および第3のアミン基と第4のアミン基とが、4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そして第2のアミン基と第3のアミン基とが、5個以上のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、
このアナログが、全長アンチザイムの発現を誘導する、
アナログ。
(項目2) 項目1に記載のアナログであって、
上記第2アミン基と第3のアミン基とが、−CH2−Group−CH2−だけ隔てられており、
このGroupが、C2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族であるか;C3-10脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である、
アナログ。
(項目3) 項目2に記載のアナログであって、
上記Groupが、単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である、
アナログ。
(項目4) 項目3に記載のアナログであって、
上記Groupが、以下:
【化1】

のうちのいずれか1つであり、
1がHであるか;C2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族であるか;C3-10の脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;アルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式であるか;あるいはこれらの組み合わせである、
アナログ。
(項目5) 項目4に記載のアナログであって、
1が、−Hであるか、−CH3であるか、−CH2CH3であるか、−CH2Phであるか、−NH2であるか、−NHCOCH3であるか、−N3であるか、−CNであるか、−Fであるか、−CLであるか、−BRであるか、−Iであるか、−CF3であるか、−OCH3であるか、−OCH2Phであるか、−COCH3であるか、−COOHであるか、−COOCH3であるか、−COOCH2CH3であるか、−COOCH2Phであるか、−OCH2CH2O−であるか、−C(NH2)=NHであるか、あるいはこれらの組み合わせである、
アナログ。
(項目6) 項目1〜5のうちのいずれか1項に記載のアナログであって、1つ以上の上記アミン基上または1つ以上の隣接する炭素原子上に、置換基をさらに含む、アナログ。
(項目7) 項目6に記載のアナログであって、上記1つ以上の隣接する炭素原子が、スペルミン中の末端炭素原子のうちの1つまたは両方である、アナログ。
(項目8) 項目6または7に記載のアナログであって、
上記置換基が、C1-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族であるか;C3-10の脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である、
アナログ。
(項目9) 項目8に記載のアナログであって、上記置換基が、メチルであるか、エチルであるか、フェニルであるか、またはCH2Phである、アナログ。
(項目10) アナログ1283である、項目9に記載のアナログ。
(項目11) スペルミジンのポリアミンアナログであって、
生理学的pHで3個の正電荷を形成し得る3個のアミン基を含み、
第1のアミン基と第2のアミン基とが5個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そして第2のアミン基と第3のアミン基とが4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、
このアナログが、全長アンチザイムの発現を誘導する、
アナログ。
(項目12) 項目11に記載のアナログであって、1つ以上の上記アミン基上または1つ以上の隣接する炭素原子上に、置換基をさらに含む、アナログ。
(項目13) 項目12に記載のアナログであって、上記1つ以上の隣接する炭素原子が、スペルミジン中の末端炭素原子のうちの1つまたは両方である、アナログ。
(項目14) 上記置換基が、スペルミジンのN1位上の、カルボン酸アミドまたはスルホンアミドというアミドである、項目12に記載のアナログ。
(項目15) 項目14に記載のアナログであって、
上記カルボン酸アミドが、アルキルカルボン酸置換基またはアリールカルボン酸置換基であって、この置換基は、
2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族か;C3-10脂環式か;単環または多環の、芳香族またはアリールか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族か;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールか;単環または多環の、複素環式か;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された芳香族か;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式、
を含む、アルキルカルボン酸置換基またはアリールカルボン酸置換基である、
アナログ。
(項目16) 項目14に記載のアナログであって、
上記スルホンアミドというアミドが、アルキルスルホンアミド置換基またはアリールスルホンアミド置換基であって、この置換基が、
2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族か;C3-10脂環式か;単環または多環の、芳香族またはアリールか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族か;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールか;単環または多環の複素環式か;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された芳香族か;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式、
を含む、アルキルスルホンアミド置換基またはアリールスルホンアミド置換基である、
アナログ。
(項目17) 項目15または16に記載のアナログであって、上記アルキルを含む置換基がハライドをさらに含むか、あるいは上記アルコキシ部分がメトキシであるか、エトキシであるか、または置換されたベンジルオキシであるか、または置換されていないベンジルオキシである、アナログ。
(項目18) アナログ1041である、項目15に記載のアナログ。
(項目19) プトレシンのポリアミンアナログであって、
生理学的pHで2個の正電荷を形成し得る2個のアミン基を含み、この2個のアミン基は、5個以上のC−C結合、C−O結合、N−O結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、
このアナログが、全長アンチザイムの発現を誘導し、そしてアグマチンではない、アナログ。
(項目20) 項目19に記載のアナログであって、1つ以上の上記アミン基上または1つ以上の隣接する炭素原子上に、1つ以上の置換基をさらに含む、アナログ。
(項目21) 項目20に記載のアナログであって、
上記1つ以上の置換基が、C1-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族であるか;C3-10の脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である、
アナログ。
(項目22) 項目21に記載のアナログであって、上記1つ以上の置換基が、−Hであるか、−CH3であるか、−CH2CH3であるか、または−CH2CH2−である、アナログ。
(項目23) 項目22に記載のアナログであって、1位か、2位か、3位か、または4位に、モノメチル置換基かまたはジメチル置換基を有する、1,4−ジアミノブタンであるか;1,4−ジメチル−ジアミノブタンであるか;1,3−ジメチル−ジアミノブタンであるか;または1,2−ジメチル−ジアミノブタンであるか;ビス−1,4−シクロプロピル−1,4−ジアミノブタンであるか;あるいは1,1,4,4−テトラメチルジアミノブタンである、アナログ。
(項目24) アナログ1354である、項目21に記載のアナログ。
(項目25) 項目1〜24のうちのいずれか1項に記載のアナログを含む、薬学的組成物。
(項目26) 全長アンチザイムの発現を誘導する方法であって、アンチザイム発現系を、項目1〜24のうちのいずれか1項に記載のアナログと接触させる工程を包含する、方法。
(項目27) 細胞の増殖を阻害する方法であって、この細胞を、項目1〜24のうちのいずれか1項に記載のアナログと接触させる工程を包含する、方法。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、薬物として所望されない細胞増殖、原発性癌の障害を、単独または他の薬剤(特に、ポリアミン合成または輸送の他のインヒビター)と組み合わせて処置するために使用される、アグマチンおよびポリアミンのようには代謝されないアグマチンアナログおよびポリアミンアナログが提供される。さらに、アグマチンおよびポリアミンに関する低分子の誘導モチーフアンチザイムを含むと予期される、鍵となる構造的エレメントが同定される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(発明を実行するための様式)
アグマチンおよびポリアミンの「アナログ」によって、本発明は、構造がアグマチンおよびポリアミンの構造と関連する化合物、ならびにアグマチンおよびポリアミンから誘導される化合物に関連する化合物、あるいはアグマチンおよびポリアミン中に通常存在する1つ以上の原子または結合の改変による「誘導体」を包含する。さらに、本発明の「アナログ」は、細胞に投与された場合に細胞のポリアミンレベルを低下させ得るものである。好ましくは、これらの「アナログ」は、アンチザイムの誘導によって、ポリアミンレベルを低下させる。より好ましくは、これらの「アナログ」は、細胞のポリアミンプールに寄与する構造へと代謝可能ではない。さらに、本発明の「アナログ」は、好ましくは、ポリアミン輸送と無関係な機構によって、細胞へと移入される。
【0035】
本発明のアグマチン「アナログ」およびポリアミン「アナログ」の構造の描写は、通常は、その遊離塩基形態としてである。しかし、本発明の「アナログ」は、その構造の描写の対応するプロトン化形態を含む。さらに、これらの「アナログ」は、このプロトン化種の対応する塩形態を含む。
【0036】
本発明のアナログは、生理学的pHで正電荷を形成し得、この生理学的pHは、6.0〜8.0の範囲として規定される。より好ましくは、この範囲は、6.5〜7.5である。最も好ましくは、このpHは、7.0〜7.2として規定される。6.0〜8.0内および6.5〜7.5内の部分範囲(subrange)のpH値すべて、ならびに、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9および8.0のような個々のpH値が、本発明の産物アナログおよび方法の範囲内にあることは、当業者により理解される。
【0037】
一級アミン基および二級アミン基が、生理学的pHでプロトン化されることは、公知である。「5の規則(rule of 5)」もまた、薬物の溶解性および透過性を評価し、ならびにその経口取り込みおよび組織分布を予測するために、当該分野にて示されている(Lipinski,C.A.ら、Adv.Drug Deliv.Rev.23:3〜25(1997))。この知識を考慮すると、特定の形態のアグマチン「アナログ」およびポリアミン「アナログ」は、その投与方法を部分的に決定する。例えば、「5の規則」外にあるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、より直接的な方法で(例えば、静脈内)投与され得る。
【0038】
本発明の実施に特に重要な本発明の「アナログ」の別の一般的特性は、迅速に増殖していない細胞に対して相対的に毒性がないことである。本発明の「アナログ」が、ポリアミンレベルを低下させ得、従って、細胞増殖を阻害し得るか否かは、下記に提供されるアッセイにより、容易にかつ迅速に決定され得る。
【0039】
本発明者らは、治療用途のための新規なアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを設計し、かつアンチザイム(AZ)誘導を測定するためにプローブのような化合物を使用する試験を考案した。このようなアナログは、細胞のポリアミンレベルを低下させ、そして多数の疾患(特に、癌)において薬物として有用である。これらのアナログはまた、ポリアミンの生合成および輸送の両方を阻害することによって、細胞のポリアミンレベルを低下させる、AZを誘導する能力も有し得る。これらのアナログはまた、例えば、ポリアミン生合成インヒビター(例えば、オルニチンデカルボキシラーゼを阻害する、α−ジフルオロメチルオルニチン(DFMO))または他の薬剤(抗腫瘍剤、または所望されない細胞増殖の障害を処置するために使用される他の薬物を含む)との新規な薬物組み合わせの成分として使用され得る。本発明のアナログはまた、ポリアミンが上記の役割を果たす他の疾患または状態においても有用であり、そして農業上の用途および環境上の用途を有する。好ましくは、これらのアナログは、通常のポリアミン輸送の経路以外の経路によって、細胞に侵入する。
【0040】
本発明のスペルミンアナログは、一般的に、生理学的pHで4個の正電荷を形成し得る4個のアミン基を含み、第1のアミン基と第2のアミン基とが、そして第3のアミン基と第4のアミン基とが、4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そしてこの第2のアミン基と第3のアミン基とが、5個以上のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられている。好ましくは、この第2のアミン基と第3のアミン基とは、−CH2−Group−CH2−だけ隔てられており、このGroupは、C2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたは脂肪族であるか;C3-10脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である。
【0041】
より好ましいスペルミンアナログのGroupは、単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;あるいはアルキル、アルケニルまたはアルキニルで置換された、複素環式である。特に好ましいスペルミンアナログのGroupは、以下のうちのいずれか1つである:
【0042】
【化2】

【0043】
ここでG1は、−Hであるか;C2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または脂肪族であるか;C3-10脂環式であるか;単環または多環の、芳香族もしくはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の、複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、複素環式であるか;あるいはそれらの組み合わせである。
【0044】
特に好ましいスペルミンアナログにおいて、G1は−Hであるか、−CH3であるか、−CH2CH3であるか、−CH2Phであるか、−NH2であるか、−NHCOCH3であるか、−N3であるか、−CNであるか、−Fであるか、−CLであるか、−BRであるか、−Iであるか、−CF3であるか、−OCH3であるか、−OCH2Phであるか、−COCH3であるか、−COOHであるか、−COOCH3であるか、−COOCH2CH3であるか、−COOCH2Phであるか、−OCH2CH2O−であるか、−C(NH2)=NHであるか、またはそれらの組み合わせであり、ここで「Ph」はフェニルである。
【0045】
本発明のスペルミンアナログはまた、そのアミン基のうちの1つ以上の上にか、またはそのアミン基に隣接する炭素原子のうちの1つ以上の上に置換基を含み得る。好ましくは、その隣接する炭素原子は、スペルミンの末端炭素原子である。そのようなアナログの置換基は、好ましくは、C1-10の、直鎖もしくは分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または脂肪族であるか;C3-10脂環式であるか;単環もしくは多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルであるか;あるいは、アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、複素環式である。最も好ましくは、この置換基は、メチルであるか、エチルであるか、フェニルであるか、またはCH2Phであり、ここで「Ph」はフェニルである。
【0046】
本発明のスペルミジンアナログは、生理学的pHにおいて3個の正電荷を形成し得る3個のアミン基を含み、ここで第1アミン基と第2アミン基とが、5個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そしてこの第2アミン基と第3アミン基とが、4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられている。好ましくは、このアナログは、一つ以上のアミン基上にか、またはアミン基に隣接する一つ以上の炭素原子上に置換基をさらに含む。一つ以上の隣接する炭素原子が、スペルミンの一つまたは両方の末端の炭素原子であることが最も好ましい。
【0047】
スペルミジンのN1位置上にカルボン酸アミドまたはスルホンアミドというアミドを含むスペルミジンアナログもまた、好ましい。より好ましくは、カルボン酸アミドが、アルキルカルボン酸置換基またはアリールカルボン酸置換基であって、この置換基がC2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または脂肪族か;C3-10脂環式か;単環もしくは多環の、芳香族またはアリールか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族か;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールか;単環または多環の、複素環式か;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された芳香族;複素環式で置換された、アルキル、アルケニル、またはアルキニルか;あるいはアルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、複素環式、を含む。スルホンアミドアミドが、アルキルスルホンアミド置換基またはアリールスルホンアミド置換基であって、この置換基がC2-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または脂肪族か;C3-10脂環式か;単環または多環の、芳香族またはアリールか;アリールで置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールか;単環または多環の複素環式か;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族か;脂肪族で置換された芳香族か;複素環式で置換された、アルキル、アルケニルまたはアルキニルか;あるいはアルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、複素環式を含む場合もまた、好ましい。
【0048】
最も好ましいアルキル含有置換基は、ハロゲン化物(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード)をさらに含むか、またはこのアルコキシ部分がメトキシ、エトキシ、または置換されたか、もしくは置換されていないベンジルオキシである。
【0049】
そのようなアナログの例は、以下を含む:
【0050】
【化3】

【0051】
本発明のプトレシンアナログは、生理学的pHにおいて、2個の正電荷を形成し得る2個のアミン基を含み、これらのアミン基は、5個以上のC−C結合、C−O結合、N−O結合、および/またはC−N結合の距離だけ隔てられている。好ましくは、このアナログはまた、1つ以上のこのアミン基上かまたは1つ以上の隣接する炭素原子上に、1つ以上の置換基を含む。これらの置換基は、好ましくは、C1-10の、直鎖または分枝鎖の、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または脂肪族であるか;C3-10脂環式であるか;単環または多環の、芳香族またはアリールであるか;アリールで置換された、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであるか;単環または多環のアリールで置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された、単環または多環の、芳香族であるか;アルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、アリールであるか;単環または多環の複素環式であるか;単環または多環の複素環式で置換された、脂肪族であるか;脂肪族で置換された芳香族であるか;複素環式で置換された、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであるか;あるいはアルキル、アルケニル、またはアルキニルで置換された、複素環式である。より好ましくは、これらの置換基は、−Hであるか、−CH3であるか、−CH2CH3であるか、または−CH2CH2−である。
【0052】
特に好ましいアナログは、1位か、2位か、3位かまたは4位に、モノメチルまたはジメチル置換基を有する、1,4−ジアミノブタン;1,4−ジメチル−ジアミノブタン、1,3−ジメチル−ジアミノブタン、または1,2−ジメチル−ジアミノブタン;ビス−1,4−シクロプロピル−1,4−ジアミノブタン;および1,1,4,4−テトラメチルジアミノブタンである。以下構造を有するアナログがさらにより好ましい:
【0053】
【化4】

【0054】
本発明の他のアナログには、N1,N4−ビスメチレンまたはエチレンアリール−1,X−ジアミノアルカンまたはアレーンジアミノアルカンを含む、ジベンジルプトレシンアナログが挙げられる。本発明のさらなるアナログは、以下の構造を有する:
【0055】
【化5】

【0056】
さらに、1−グアニジノキシ3−アミノプロパン誘導体(例えば、1、2または3−モノメチルGOPAおよび3,3−ジメチル−GOPA)も同様に、本発明のアナログである。本発明のさらなるアナログは、以下の構造を有する:
【0057】
【化6】

【0058】
本発明はまた、細胞のポリアミンレベルを減少し、そして/またはAZを誘導するアナログを含む組成物を提供する。これらのアナログは、上記の記載ならびに図1〜4および6に記載される式により包含される。
【0059】
pH7.2において、アミン基に由来する+4の電荷を有する本発明の代表的なスペルミンアナログを、以下の表に記載する:
【0060】
【表1】

【0061】

【0062】

【0063】

【0064】
上記の表ならびに下記の表1Bおよび1C中のIC50値は、乳癌細胞株MDA−MB−231を用いて決定された。
【0065】
インビボ細胞性アンチザイム誘導アッセイにおいて表1Aに列挙された10個のアナログに対する試験により、8つの陽性結果が明らかにされた。詳細には、アナログ1383、1385、1202、1277、1283、1346、1376、および1377は、インビボで陽性の評価を得たが、アナログ1190および1375は、陰性の評価を得た。驚くべきことに、アナログ1375は、いかなるアンチザイム誘導をも検出され得る前に、このアッセイにおいて有意にタンパク質翻訳を阻害することが見出された。一方、アナログ1277、1346、および1376は、アンチザイムを誘導することが必要とされるアナログよりも高い濃度で翻訳を阻害した。これらのアナログは、RNA転写物の細胞性翻訳のインヒビターとして有用であり得る。
【0066】
正電荷中心間の距離の重要性は、アナログ1190とスペルミン(これは、インビトロアッセイおよびインビボアッセイの両方でアンチザイムを誘導した)との比較によって実証される。アナログ1190(これは、スペルミン中の両方のアミノプロピル基を、1炭素原子伸長したアミノブチル基で置換する)は、インビボでアンチザイムを誘導する能力を全く示さなかった。別のスペルミンアナログである1383またはα−ジメチルスペルミンは、スペルミンのアミノプロピル基の末端炭素原子上に2個のメチル基を有する。これらは、スペルミンと同じ程度に、インビボ細胞性アッセイにおいてアンチザイムを誘導する能力を示した。スペルミンと同じように正電荷中心間を隔てられていることに加えて、この分子は、腫瘍細胞において劇的に減少した代謝率を有することが他によって示されている。
【0067】
アナログ1385(すなわちN1−エチルスペルミン)は、末端窒素をエチルでモノアルキル化された、スペルミンの誘導体である。この誘導体はまた、正電荷中心間の間隔を維持し、そしてスペルミンと比較した場合、インビボでほんのわずかだけ少なくアンチザイムを誘導し得た。
【0068】
アナログ1202、1224および1157は、アミノ酸とスペルミンとの結合体であり、これらのアナログは、ポリアミンアナログにおける置換基の構造の重要性を実証する。L−Lys−スペルミン結合体(アナログ1202)は、スペルミンとの比較において、インビトロまたはインビボのいずれかでアンチザイムを誘導する能力の減少を示し、一方で、アナログ1202と比較して1つ少ないメチレン炭素原子を有するアナログ1224では、インビトロで誘導の損失が見られた。第3のアナログ(1157すなわちL−Val−スペルミン)は、インビトロでアンチザイムを誘導する能力を保持していた。アナログ1224での観測は、カダベリンでの同様の状況(以下の表1Cを参照のこと)に類似し得、ここでプトレシンにおける2つの正電荷中心間の間隔の変化が、インビトロアンチザイム誘導において劇的な変化をもたらしたが、インビボでの差はほとんど無かった。
【0069】
表1Aにおける最後の6つのアナログは、スペルミン骨格の改変を含む。スペルミンの内部ジアミノブタン炭素鎖を、コンホメーション的により剛性な二環式環系で置換することにより、アナログ1277を生じ、これはインビボでアンチザイムを誘導する能力の減少を実証した。誘導活性における増大は、アナログ1283で観測され、ここでスペルミンのジアミノブタン部分は、ビス−1,4−(アミノメチル)ベンゼン置換により置き換えられている。以下に示されるさらなるアナログの化合物1283は、アミノプロピル基の末端炭素原子上のメチル基を含み、インビボで代謝される能力を低減させる。
【0070】
【化7】

【0071】
アナログ1277の末端アミノ基をジヒドロイミダゾリウム基で置換することにより、アンチザイムを誘導する、わずかに良好な能力を有する化合物1346を生じる。
【0072】
pH7.2でアミン基に由来する+3の電荷を有する、本発明の代表的なスペルミジンアナログは、以下の表に示される。
【0073】
【表2】

【0074】
表1Bのアナログのうち、化合物1110は、インビボ細胞アッセイにおいてアンチザイム誘導活性を実証したが、1041は、(インビボではなお試験されなければならないが)インビトロで誘導活性を実証した。アナログ1110(N1−アセチルスペルミン)は、この分子の正電荷の数を+4から+3に減らすために、スペルミンにアセチル基を加えた生成物である。この分子(ORI 1110)は、スペルミジンと比較した場合、これらは同じ電荷数を有するが、活性アンチザイムの発現を誘導する能力の減少を示した。
【0075】
対照的に、アナログ1041を生成するための、スルホンアミド結合を介する大きな芳香族基を用いるスペルミンの改変は、スペルミジンとの比較で、インビトロ誘導活性における劇的な増大をこの分子に生じる。この結果は、アンチザイム誘導の標的における芳香族結合領域、またはポケットを示唆する。
【0076】
このシリーズにおける次のアナログ(化合物1090)は、結合領域が特定の構造群に特異的性を有するということを示唆する。アナログ1090は、芳香族部分とスペルミンとの間に6−アミノヘキサン酸リンカーを含む。アナログ1090は、インビトロアッセイにおいてアンチザイムを誘導する能力が全く無いことを実証したが、これもまた、カダベリンで観測された状況(表1Cを参照のこと)に類似し得、ここでプトレシンにおける2つの正電荷中心間の間隔の変化が、インビトロアンチザイム誘導における劇的な変化をもたらすが、インビボでは差はほとんど無い。
【0077】
pH7.2でアミン基に由来する+2の電荷を有する、代表的なプトレシンアナログは、以下の表に示される。
【0078】
【表3】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】

【0083】
プトレシン(これは、2つの正電荷を有する)から始まり、1つの末端でのグアニジニウム部分の付加は、アグマチン化合物を生成する。プトレシンの構造におけるこの変化は、インビトロ(細胞)アッセイおよびインビボ(細胞)アッセイの両方において、アンチザイムのフレームシフトを誘導する際に活性の類似する分子を与える。プトレシンの荷電アミノ基の間のさらなるメチレン炭素原子の付加は、カダベリンとして知られている分子を生じる。このカダベリンは、インビボでのアンチザイム+1フレームシフト事象を誘導する際に、プトレシンよりもほんのわずかに活性が低い。興味深いことに、インビトロアッセイにおいて、誘導は観察されなかった。
【0084】
プトレシンの末端炭素原子への2つのメチル基の付加は、少なくともインビトロで、アンチザイムを誘導するアナログ1351(2,5−ジアミノヘキサンまたはジメチルプトレシン)を生じる。表1Cにおける、次の9つのアナログ(1226、1242、1296、1247、1192、1307、1312、1313、および1327)は、プトレシン骨格に、さらなる置換基を含む。これらの9つのアナログのうち8つは、インビトロでの誘導活性を実証しなかったが、にもかかわらず、これらは、カダベリン(これもまた、インビトロでの活性を示さないが、インビボでの有意な活性を示す)に類似し得る。
【0085】
表1C(1284、1291、1354、1292、および1355)における次の5つのアナログは、アンチザイム誘導のための適切な正電荷の必要性を実証する。天然物L−カナバニン(アナログ1284)は、pH7.2で正味+1の電荷を有する、グアニジン置換アミノ酸である。これは、インビトロ誘導アッセイにおいて活性を示さない。グアニジニウム基およびカルボン酸基の両方を取り除いて、アナログORI 1291(AOPA)またはその炭素伸長型アナログ1292(AOBA)を生じさせる場合、誘導活性は観察されない。これらのアナログの両方は、生理学的pHでの+2の正味の正電荷を有する。L−カナバニンからカルボン酸基のみを取り除くことで、アナログ1354(GOPA)を生じさせる。このアナログは、インビトロでの誘導活性において、アグマチンに類似する。このアナログはまた、生理学的pHで+2の正味の正電荷を含む。アミノ酸(L−リジン)の、そのアミド(アナログ1355)の産生を介する、正味の正電荷の増加(正味の電荷は+1〜+2に荷電される)は、アンチザイムを誘導するいくつかの能力を示す分子において生じる。このことは、L−リジン自身が、アンチザイム活性化を誘導しないので、重要である。
【0086】
本発明のさらなるポリアミンアナログは、以下の表2に示される。
【0087】
【表4】

【0088】
本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、結果としてポリアミドを生成するようには好ましくは代謝され得ないアナログを含む。プトレシンへの変換に供されるアグマチンの投与は、プトレシンへのアグマチナーゼ媒介変換、およびスペルミジンおよびスペルミンへの引き続く変換の可能性のために、ポリアミンレベルを減少させる目的を無にすると予想される。従って、本発明は、プトレシンあるいは任意の他の人工または天然に存在するポリアミン代謝産物へとは好ましくは代謝されない、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログの産生および使用を含む。特定のアグマチンおよびポリアミンの代謝不可能なアナログには、エチレングアニジノが挙げられる。これは、構造的にGOPAに類似しており、そして先に文献に記載されていない。他のアナログが、図8に示される。一方、本発明は、記載されたアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを産生するために細胞内および/または細胞外で代謝される、プロドラック形態の産生および使用を含む。例えば、本発明者らは、ADCによって脱炭酸されてGOPAが産生され、細胞の増殖を阻害するという期待を伴って、L−カナバニンを投与し得ることを提案する(図7を参照のこと)。
【0089】
開示されたアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを修飾することによってこれらのアナログを安定にすることはまた、本発明の範囲内である。一置換されたポリアミンのインビボ代謝安定性は、酵素学的分解に抵抗するようにポリアミンを修飾することによって、増強され得る。例えば、末端の一級アミン基のアルキル基での置換、またはアミノアルキル基の末端炭素原子へのアルキル基の付加により、この目的を達成する。さらに、二級アミノ基がアルキル化される化合物はまた、本発明の範囲内として考えられる。アミド窒素のN−アルキル化が、タンパク質分解を減速させるか、あるいは、このカルボキシル基を、CH2に還元させ得る。前述の変化は、多数の合成経路により達成され得る。炭素原子αの二級窒素への置換および窒素のアシル化がまた、ポリアミンオキシダーゼ経路を介した分解を減速させ得る。このような化学修飾がまた、医薬品として使用された場合、化合物の副作用の可能性を最小にするのに成され得る。
【0090】
本発明は、一以上の位置で置換されたアグマチンアナログおよびポリアミンアナログをさらに含む。二置換されたアグマチンは、好ましくは、2個の末端窒素で置換されるが、内部の窒素原子および/または内部の炭素原子で代替的にまたは付加的に置換され得る。好ましい実施形態には、図1〜4および6ならびに表1A〜1Cに示されるいくつかの構造の中の位置または環の末端で修飾されたものが挙げられる。特にこれらの構造の6員環置換基の修飾は、相互作用のためにより多くの部位を添加することによって、リボソーム、tRNA、またはrRNAの結合親和性を増加させると期待される。
【0091】
特に好ましい実施形態は、非常に特異的なアグマチンアナログおよびポリアミンアナログであり、これらは、細胞のポリアミンレベルを減少させ、そしてAZを誘導することによって抗癌化学療法剤としての薬学的有用性を有する。これらには、図6および上記表に記載される化合物が挙げられる。
【0092】
本発明の好ましいアナログは、化合物1354、1041および1283である。これらのアナログを含む薬学的組成物および治療方法がまた、好ましい。AZを誘導する他のアナログの構造が、これらの化合物に対して、そして互いに、この化合物間で共通である構造エレメント/モチーフについて比較され、見出される共通のエレメント/モチーフに基づくAZ誘導に関与する構造−活性関係が同定される。非誘導性のアナログの構造がまた、互いに、そして好ましいアナログおよび他のAZ誘導性アナログと比較され、AZ誘導に関与しない共通のエレメント/モチーフが同定される。従って、AZを誘導する能力についてスクリーニングした後に、アグマチンアナログおよびポリアミドアナログの構造を比較することによって、AZ誘導のために重要な構造エレメント/モチーフおよび重要でない構造エレメント/モチーフの両方が、、AZを誘導するさらなるアナログの調製のために同定および利用され得る。
【0093】
例えば、上で議論される化合物の比較により、構造、電荷および電荷中心間の分離距離の役割が、AZ誘導のための化合物の調製に重要なものとして実証された。
【0094】
(合成の一般的手段)
当業者に理解されるように、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを合成する多くの手段が存在する。モノ−メチルおよびジ−メチルで置換されたアグマチンアナログを合成するためのアプローチの1つは、以下のアプローチによるものである:
【0095】
【化8】

【0096】
ここで化合物9(化合物8の一般的形態である)において、nは、0〜6である。この合成プロトコールは以下にさらに詳細である。
【0097】
あるいは、化合物8および9はまた、以下のように、化合物10から開始する別の合成アプローチを用いても合成され得る。
【0098】
【化9】

【0099】
(L−カナバニン関連アグマチンアナログの合成)
GOPAの合成のため少なくとも2つのアプローチが容易に可能である。Hamana、Kら(Biochem.Biophys.Res.Comm.,129(1):46〜51(1985))に記載の化学−酵素プロセスに従って、E.coliのアルギニンデカルボキシラーゼが用いられ、L−カナバニンからGOPAを直接生成し得る。この反応後は、TLCにより追跡され得、そして得られたGOPAは、HClでの溶出を用いる陽イオン交換クロマトグラフィーにより単離され得る。
【0100】
第2のプロセスは、合成手順を介して、まず、アミノオキシプロピルアミンおよびアミノオキシブチルアミンを生成することにより可能である(Pankaskine,M.C.ら、Syn.Communications,19(3および4):339〜344(1989))。次いで、これらのそれぞれが、メチルチオイソウレアと反応し、所望のグアニジン誘導体を生成し得る。アミノオキシ機能基は、α−効果に起因して、アミノ機能よりも求核性であるので、所望の生成物については完全な化学選択性が期待される。このカップリング反応は、以下に示されるように進行し得、続いてグアニジン化反応の段階を設定するために脱保護され得る。
【0101】
【化10】

【0102】
さらに、アミンオキシダーゼ耐性である、GOPAのα−メチルバージョンは、以下に示す経路を通じて合成され得る。ブロモフタリミド誘導体の形成後、上記の経路が用いられ、この合成を終了し得る。
【0103】
【化11】

【0104】
(アンチザイムの誘導)
当業者は、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを、フレームシフトを誘導する能力について試験する、多数の手段があることを理解する。例えば、Satrianoら(J.Biol.Chem.、273:15313−15316(1998))およびそこに引用される参考文献は、インビトロでの網状赤血球系を使用した。RNA 4:479−486、1998においてGrentzmann、Gらによって記載されるように、アンチザイムデュアルルシフェラーゼフレームシフトアッセイ(antizyme dual luciferase frameshifting assay)を使用して、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを、インビトロで(例えば、試験管によって)およびインビボで(例えば、細胞培養によって)試験した。このアッセイによって、ヒトアンチザイム配列上での翻訳のフレームシフトの効率を測定し得る。簡単には、ヒトアンチザイム配列の2つのバリエーションを、pRL−SV40(Promega)プラスミド中のウミシイタケ(5’)ルシフェラーゼレポーター遺伝子とホタル(3’)ルシフェラーゼレポーター遺伝子との間でクローン化した。一方のプラスミドは、完全な翻訳のために+1フレームシフトを必要とする野生型アンチザイム配列を含み、他方のプラスミドは、改変されたインフレームアンチザイム(コントロール)配列を含んだ。これらのプラスミドを使用して、ヒト細胞株を、野生型アンチザイム配列含有プラスミドまたはインフレームアンチザイム配列含有プラスミドのいずれかを用いて、一時的にまたは安定にトランスフェクトする。各々のアッセイ(2つのプラスミドのうちの1つを含む細胞を用いる)におけるウミシイタケルシフェラーゼ活性およびホタルルシフェラーゼ活性を測定して、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの存在下または非存在下での、ポリメラーゼの減少または翻訳効率を説明する。この比を使用して、野生型配列において見られるホタルルシフェラーゼ活性を、インフレームコントロール配列と比較して標準化する。この比はまた、本発明のアナログがタンパク質の翻訳を完全に阻害するか否かを示し得る。
【0105】
アグマチンアナログおよびポリアミンアナログの、アンチザイムフレームシフトへの効果のインビトロアッセイを、以下のように行った。野生型アンチザイム配列およびインフレームアンチザイム配列を含む線状化プラスミドを、インビトロで転写し、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログを伴う、ならびにそれらを伴わない、網状赤血球溶解産物におけるインビトロでの翻訳がそれに続いた。Dual−LuciferaseTMレポーターアッセイ(Promega)を使用して、ルミネセンスを測定した。
【0106】
インビボアッセイまたはインビトロアッセイのいずれかを使用して、試験化合物を、アンチザイムを誘導する能力についてスクリーニングする。
【0107】
あるいは、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログでの処理の後に、アンチザイム誘導を、アンチザイムの増加したレベルについて、総細胞性タンパク質の抗体ベース検出(ウエスタンブロット)によってアッセイし得る(以下の実施例IIIを参照のこと)。
【0108】
(増殖阻害)
本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、部分的にはその増殖阻害特性に基づいて選択され、このことはポリアミン生合成およびポリアミン輸送の両方の阻害を必要とする。アナログのIC50は、好ましくは、低いμMの範囲以下である。7日間を超えてアッセイされる場合、細胞は、不十分な生合成およびポリアミンの搬入に起因してポリアミンレベルが激減する。培地中のポリアミンレベルは、残りの取込みに起因して最初は減少し得るが、本発明の好ましいアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、長い間、培地中に残留ポリアミンが残存することを可能にする。さらに、1μMまでのポリアミン(例えば、スペルミジン)を培地に添加することは、瞬時のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログによって媒介される増殖阻害から細胞を救い得ない。なぜなら、ポリアミンの取込み/搬入が、誘導されたアンチザイムによって既に阻害されているからである。ポリアミンの枯渇は、直接に致命的というよりは細胞増殖抑制性であるから、このアッセイでは、生きているが分裂していない細胞が残る。増殖アッセイ単独では、必ずしもポリアミン取込みの減少を証明しないので、輸送阻害を確認するために、増殖アッセイおよび速度論的輸送アッセイ(kinetic transport assay)が組み合わせて使用されている。
【0109】
(ポリアミン輸送の阻害)
当業者は、ポリアミン輸送の阻害についてスクリーニングするための多数の手段が存在することを理解する。これらを使用して、上記の種々の合成経路によって作製されたアグマチンアナログおよびポリアミンアナログをスクリーニングし得る。本発明のポリアミンベースのプローブの開発および輸送アッセイの使用は、米国特許出願60/052,586(1997年7月15日出願)、同09/115,004(1998年7月14日出願)、同09/114,984(1998年7月14日出願)、同60/065,728(1997年11月14日出願)、同60/085,538(1998年5月15日出願)、および同09/396,523(1999年9月15日出願)(これら全ては、完全に示されるように、それらの全体が参考として本明細書によって援用される)に記載されている。
【0110】
アンチザイムの誘導によってのみポリアミンレベルを低下させるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの場合、このような誘導は、すべての輸送アッセイの前に生じることが可能にされなければならない。なぜなら、輸送を阻害するのは、アナログ自体よりむしろ、アンチザイムであるからである。
【0111】
上記に引用される出願に提示されるように、これらのアッセイは、高スループットスクリーニングのためのロボットシステムによる細胞輸送の検出と組み合わせた、蛍光標識したプローブの使用によって行われ得る。あるいは、上記アッセイの化学発光性または比色性のバリエーション、ならびに従来の放射化学アッセイ(全てが、上記の出願に記載される)が、使用され得る。輸送インヒビターとして同定されたアグマチンアナログおよびポリアミンアナログはまた、一般に、アンチザイムの誘導および/または細胞内ポリアミンレベルの低下における効果を示すはずである。高感度スクリーニングアッセイに対する別のアプローチは、ポリアミントランスポーターに対するプローブとして使用されるポリアミン上の検出可能な標識によって放出されるシグナルの酵素的増幅であり、これらのいくつかは、周知の酵素免疫アッセイまたは酵素連結イムノソルベントアッセイ(ELISA)に類似し、そして全てが上記で引用された出願において記載される。
【0112】
(アグマチンアナログおよびポリアミンアナログを結合するタンパク質の同定)
アグマチンは、全長アンチザイムのフレームシフト媒介性発現を誘導するものとして同定されているので、アンチザイムを同様に誘導する本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログは、この誘導プロセスに関与する同じ標的のタンパク質または核酸(特に、リボソーム、tRNAまたはrRNAの核酸)を結合することが予測される。従って、このようなタンパク質および核酸についてのアッセイは、本発明の範囲内に含まれ、アンチザイムまたは他のポリアミン調節細胞性因子の誘導に関与するさらなる標的を同定する。さらに、密接または不可逆的に結合するアグマチンアナログおよびポリアミンアナログが、任意のこのような目的のタンパク質または核酸を抽出および単離するために使用され得る。このような例において、アナログは、適切な固相支持体上に固定化され得、この支持体は、標的のタンパク質または核酸のような細胞性因子を含む材料との接触下に置かれる。細胞性因子と固定化されたアナログとの間の非特異的相互作用を除去した後、特異的に相互作用する因子を、単離および分析し得る。このような固相支持体、すなわちキャリアとしては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然セルロースおよび改変セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびに磁鉄鉱が挙げられる。キャリアの性質は、本発明の目的のために、ある程度可溶性であるか、または不溶性であるかのいずれかであり得る。支持体材料は、固定化されるアナログが、標的の細胞性因子に結合し得る限り、実質的に任意の可能な構造的立体配置を有し得る。従って、支持体の立体配置は、球形(ビーズにおけるような)または円筒形(試験管またはマイクロウェルの内面、あるいはロッドの外面におけるような)であり得る。あるいは、その表面は、平坦(例えば、シート、試験小片、マイクロウェルの底部など)であり得る。当業者は、抗体または抗原を結合するための多くの他の適切なキャリアを認識しているか、または慣用的実験の使用によってこれらを確認し得る。
【0113】
さらに、アナログは、細胞性因子との接触の前に、2メンバーのタンパク質−タンパク質相互作用システム(例えば、限定されないが、抗体−抗体、抗体−プロテインAまたはビオチン−アビジン/ストレプトアビジン)の1つのメンバーに結合体化され得る。接触後、因子が結合した結合体化アナログを、この因子の単離を可能にするための、相互作用システムのもう1つのメンバーによって単離し得る。最後に、アナログは、細胞性因子を結合させて、この因子の単離を容易にした後に、特異的抗体によって免疫沈降され得る。
【0114】
いくつかのタンパク質は、基質またはポリアミンが結合した場合にコンフォーメーション変化を受けるので、プローブとして使用したアナログが、タンパク質に結合するようにか、または結合しないようにか(タンパク質が、所定のコンフォーメーション状態にある場合)のいずれかに、本発明のスクリーニングアッセイを適応させる。
【0115】
(アンチザイム誘導に関連する細胞因子の位置決定)
アグマチンアナログおよびポリアミンアナログはまた、アンチザイムの誘導に関与する細胞因子の組織化学的または細胞化学的位置決定のために使用され得る。細胞による取り込み後、(例えば、放射活性、蛍光またはビオチン化であるがこれらに限定されない手段によって適切に標識された後に)このアナログを、細胞または組織の細胞化学的分析においてプローブとして使用し、アンチザイム誘導が起きている細胞または細胞中の部位を同定し得る。例えば、蛍光標識したアナログを伝統的な細胞学的分析に取り込み、蛍光顕微鏡を使用して現在の診断技術の精度を向上させ得る。
【0116】
(アンチザイムを誘導する構造エレメント/モチーフの最適化)
当業者が理解するように、アンチザイム誘導活性に対して有利な構造エレメントについて試験するための多くの手段が存在する。アナログ1354、1041および1283などにおいて、一旦、活性が検出されると、電子供与基または電子吸引(withdrawing)基のいずれかを含む化合物での置換が行われ、、活性を改良する。活性に対する影響が測定され、そして結果に依存して、次の置換基が選択される。同様に、疎水性置換基の効果が研究される。一旦多数の活性化合物が得られると、共通のファルマコフォアの鍵をプログラム(例えば、Chem−X(Chemical Design、San Diego))を用いて決定する。次いで、このファルマコフォアの鍵を潜在的なアンチザイムインデューサーとして評価されるべきファルマコフォアの鍵を含む化合物について、インハウスおよび市販のライブラリーの両方を検索するために使用される。
【0117】
あるいは、市販のライブラリーは、アンチザイム誘導活性についてスクリーニングされる。リード化合物は同定され、そして構造的および電子的に最適化され、増加したアンチザイム誘導活性を与える。上記のプロセスのさらなる反復は、リードを最適化するために行われる。
【0118】
1354、1041および1283のような同定されたリードアナログを最適化するさらなる手段は、並行合成およびコンビナトリアルケミストリーの使用により、まだ未熟な迅速に変化する分子探索の分野である。概説として、Lam,K.S,Anticancer Drug Des.12:145−167,1997;Salemme,F.R.ら;Structure 5:319−324,1997;Gordon,E.M.ら、J.Med.Chem.37:1385−1401,1994;Gallop,M.A.ら、J.Med.Chem.37:1233−1251,1994を参照のこと。薬学産業は、1つの「フラスコ」中で数百〜数千の化合物の組み合わせ合成の本来のアプローチが、続いて試験され、そしてその結果を逆解析積分することが、多くの落とし穴を有する冗漫なプロセスであることを認めてきた。医化学のより伝統的なアプローチ、すなわち、同時に1つの化合物を合成および試験することは、標的の周囲の構造に関するより信頼が置けてかつ情報量の多い結果を生じる。したがって、コンビナトリアルケミストリーは、各別々の容器を用いて一度に複数の化合物を合成する傾向にある。従って、多くは、この1つの化合物/1つのウェルの並行合成アプローチを採用してきた。多くのリード化合物は、この方法で生成されたが、化学反応は、必要な薬物様の特徴を有する分子を必ずしももたらさない。
【0119】
薬物様の特徴(分子量、親水性/疎水性、輸送、代謝および安定性)の取り込みの前のリード最適化のさらなる工程は、薬物開発のコストを減少する。従って、所望の特徴が始めのライブラリーに取り込まれる、新たな化学反応を探求することは、好ましい。リード同定と新規薬物候補物の生成との間の工程の数を減少することにより、コストは、有意に減少し得る。
【0120】
例えば、1354、1041および1283の合成に必要な基質に関連する基質のアレイで開始する並行合成を使用して、置換された化合物のライブラリーが合成され得る。適切で入手可能な設備を使用して、24個もの化合物が1つの機器で同時に合成され得る。市販の機器は、高処理能の並行合成を支持する。1度の96個の化合物の合成のためのマイクロタイタープレート形式は、現在慣用的であり、Chiron Mimotopes PTY LTD(San Diego)により開発された96マルチピン技術は代表的な例である。この形式は、異なる長さの炭素リンカーおよび窒素原子での置換を有するプトレシンアナログを合成するために特に有用である。
【0121】
以下の実施例IIにおける合成シリーズA、BおよびCに使用されるこの合成アプローチは、同時に化合物のライブラリーを合成するために使用されるように改変され得る。方法は、当該分野で公知であり、この方法は、不純物および未反応物質を抽出により所望の生成物から分離するための反応条件が選択される溶液相アプローチを使用する。あるいは、固相支持体アプローチは、反応が固相支持体上で段階的な様式で行われる場合に使用され得、そして過剰な試薬が洗い流され、そして生成物は切断され、そして固体支持体から回収される。
【0122】
(適用および用途)
多数の細胞プロセスにポリアミンが関与することに起因して、本発明のアナログにより可能とされる、ポリアミンレベルの減少は、種々の細胞の成分およびプロセスに影響を与える際に有用である。これらのうちでもとりわけ、ポリアミン合成の阻害の際の、固形腫瘍の血管新生の減少である。DFMOでの1ヶ月の処置は、頸部上皮内癌を有するヒトにおいて、腫瘍性血管数の50%の減少をもたらした(Mitchell,M.F.ら、Proceedings AACR 39:Ab.600、(1998))。他の研究は、DFMOが、インビボで腫瘍細胞により誘導される新生血管形成を阻害することを示した(Jasnis.M.A.ら、Cancer Lett 79:39〜43、(1994))。従って、本発明によって可能とされる、ポリアミンレベルの減少は、固形腫瘍の血管新成を阻害することが予測される。
【0123】
本発明のアナログの別の適用は、再狭窄に関してである。このアナログを、当該分野において公知の種々の方法で(共有結合的に、または徐放性調製物として、が挙げられる)、ステントに付着させて、この手順から生じる傷害の後の細胞増殖の開始を阻害し得る。この点に関して、本発明のアナログは、部分的にまたは全体的に、一酸化窒素シンテターゼ(NOS)(これは、種々の疾患における上昇したレベルのNOに関連する)を阻害することによって、その有利な効果を及ぼし得る。種々のグアニジノ化合物(アグマチンを含む)は、NOSに対するその効果に関して、アッセイされた(Yokoi,I.ら:Guanidino Compounds in Biology and Medicine:2、De Deyn,P.P.ら編、John Libbey&Co.、London、England、1997、3〜7頁を参照のこと)。NOSの阻害が有利であると予測される疾患としては、敗血症性ショック、関節炎、発作、慢性炎、腫瘍における新脈管形成、および糖尿病が挙げられる。
【0124】
ポリアミントランスポーター(PAT)のインヒビターは、細胞増殖の阻害に寄与し得るので、より低いレベルのポリアミンが、血管形成後傷害の処置において有用であると、本発明者らに観察された。内皮の露出および血管壁の傷害は、新内膜(neointimal)過形成および管腔狭窄を導く。例えば、平滑筋細胞増殖の阻害は、新内膜形成を阻害すると予測される。傷害後の細胞増殖のこの開始は、本発明に従ってポリアミンレベルを減少させることによる処置に従順である(Takagi,M.M.ら、Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.17:3611〜3619、(1997);Nakaoka,T.ら、J.Clin.Invest.100:2824〜2832、(1997);Maillard,L.ら、Cardiovasc.Res.35:536〜546、(1997);Endean,E.D.ら、J.Surg.Res.、50:634〜637(1991))。
【0125】
より低いポリアミンレベルにより影響を受けると予測される、別の領域は、慢性関節リウマチ(RA)であり、これは、通常、低用量のメトトレキサートを用いて処置される。メトトレキサートの効力の理由は未知であるが、これはリンパ系細胞の増殖を阻害するとは考えられない。S−アデノシルメチオニン(AdoMet)代謝は、メトトレキサートの免疫抑制性活性において直接的な役割を果たすことが提唱されている一方で、AdoMet代謝の免疫応答に対する直接的な効果は公知ではないが、ポリアミンの役割は、示唆されている(Furumitsu,Y.ら、J.Rheumatology、20:1661〜1665、(1993);Nesher,G.ら、Arthr.Rheumat.33:954〜957、(1990))。さらに、サイトカインは、RAの病因において直接的な役割を果たすと考えられ、そしてポリアミンインヒビターは、患者の滑液において低いIL−2レベルを逆転させることが観察された(Flesher,E.ら、J.Clin.Invest.83:1356〜1362、(1987))。ポリアミンレベルは、RA患者の尿、滑液、滑膜組織、および末梢血液単核細胞において上昇する。これらの細胞をメトトレキサートの存在下で培養すると、IgM−リウマチ因子の産生が阻害された。RAの病因におけるポリアミンまたは上昇したポリアミンレベルの可能な役割を考慮すると、ポリアミンレベルの減少は、RAを有する患者において、ポリアミンレベルを低下させ、従ってその効果を回復させる可能性を有することが予測される。さらに、ポリアミン合成インヒビターであるDFMOは、MRL−lpr/lprマウス(全身性エリテマトーデス、別の自己免疫疾患のモデル)の寿命を延長させる。
【0126】
ポリアミンレベルを低下させることによって影響されると考えられる細胞成分は、タンパク質eIF−5Aであり、それはタンパク質合成において役割を果たしそうであるが、その正確な機能は、あいまいなままである(Hanauske−Abelm,H.M.ら、FEBS Lett.266:92〜98、(1995))。eIF−5Aは、稀である。なぜなら、デオキシハイプシルシンターゼ(基質としてスペルミンを使用する)およびデオキシハイプシルヒドロキシラーゼの連続的な作用によって翻訳後修飾的に産生される異常なアミノ酸ハイプシンによって修飾されるからである。すべてではないがほとんど真核生物内で生じる、このeIF−5Aの修飾の阻害は、細胞周期の後期G1期における増殖の停止と同時に発生する。従って、ハイプシンでの翻訳後修飾を阻害する、より低いポリアミンレベルは、細胞周期のブロックによる望ましくない細胞増殖(例えば、癌)に関連した疾患の処置において有用である。
【0127】
ポリアミンを低下させることによって細胞周期に影響を及ぼす別の手段は、CHENSpmは、アポトーシスを誘導するポリアミンアナログである(Ha,H.C.Proc Nat.Acad.Sci.,USA 94:11557〜11562(1997))という観察に基づいて、本発明者らによって注目されている。CHENSpmはまた、スペルミジンおよびスペルミンのレベルを低下させ、そして準毒性濃度でG2細胞周期の停止を生じる。これは、作用の異常な様式を示す。ポリアミンは、チューブリンに結合し、そしてその束ねることを促進することが知られているが、これはポリアミンがアポトーシスを誘導し得るか、または細胞増殖を阻害することによる、いくつかの可能なメカニズムの1つにすぎない。また、いくつかの微小管結合タンパク質(MAP)はまた、ポリアミンに結合する。このように、より低いポリアミンレベルは、G2細胞周期の停止ならびにチューブリンの束ねることの減少およびMAPとの結合に寄与すると考えられる。
【0128】
より低いポリアミンレベルの別の効果は、寄生生物(例えば、Trypanososma cruzi)に対すると考えられる。それは、新規の合成よりもむしろ、宿主からのそれらの増殖に必要なポリアミンを獲得することであると考えられる。ODCインヒビターDFMOは、プトレシン、スペルミジンの前駆体、ならびにスペルミンの合成の能力を減少させる。DFMOは、マウスにおけるT.bruceiの感染を治療し得、そしてT.brucei gambienseによって引き起こされるヒトにおけるアフリカ睡眠病に対して活性である。DFMOはまた、Pneumocystis carinii肺炎、および爬虫類の原虫寄生生物、Cryptosporidiumによる感染において臨床的な有用性を有する。実験室において、DFMOは、Acanthamoeba、Leishmania、Giardia、PlasmodiaおよびEimeriaに対して作用する(Marton,L.J.ら、Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.35:55〜91、(1995))。ポリアミンはまた、HemophilusおよびNeisseria生物の増殖に必須である(Cohen,S.S.,A Guide to the Polyamines,Oxford University Press,NY.94〜121頁、(1998))。従って、本発明により可能となるポリアミンレベルの低下は、それらの増殖に必要なポリアミンレベルを低下させることによって寄生生物(例えば、Trypanososma cruzi、T.brucei、Pneumocystis carinii、Cryptosporidium、Acanthamoeba、Leishmania、Giardia、Plasmodia、Eimeria、HemophilusおよびNeisseria)による感染の予防、処置および/または治療における可能性を有すると考えられる。
【0129】
ポリアミンレベルの低下はまた、広範な真菌類(例えば、Uremyces phaseoli Linnaeus、race O.Unifoliolate種(bean rust))に対して植物を保護し得る。DFMOは、以下の植物:トマト植物においてVerticillium属萎れ病菌(wilt fungus)に対する;コムギにおいて黒サビ病菌(stem rust fungus)およびウドンコ病菌(powdery mild fungus)に対する;マメ植物においてウドンコ病菌(powdery mild fungus)に対する;リンゴ旭の葉(Macintosh apple leave)においてウドンコ病菌(powdery mild fungus)に対する;オーグルオート麦において赤サビ病菌(leaf rust fungus)に対する;そしてトウモロコシにおいてトウモロコシサビ病菌(corn rust fungus)に対する、有効な殺菌剤である(米国特許第4,818,770号)。ポリアミンレベルを低下させる本発明のアナログは、広範な真菌類に対する植物を保護することにおける可能性を有すると考えられる。
【0130】
低いポリアミンレベルは細胞死を生じることから、本発明のアナログは、腫瘍細胞の増殖を阻害する細胞傷害性薬物と組み合わされて使用され得る。薬剤、8−クロロ−cAMP(8−Cl−cAMP)(Tortoraら、Cancer
Res.57:5107〜5111(1997))は、PLA−1、シグナル伝達タンパク質を選択的にダウンレギュレートするcAMPアナログである。PLA−1、シグナル伝達タンパク質は、細胞増殖および新生物の形質転換に直接関与し、そして特定のオンコジーンおよび増殖因子の分裂促進効果を媒介する。ヒトGEO結腸癌異種移植片を保持するヌードマウスにおいて、8−Cl−cAMPは、腫瘍の新脈管形成およびEGFファミリーの増殖因子の分泌を阻害し、そして腫瘍の増殖を阻害する際に抗EGFレセプター抗体と協同する。8−Cl−cAMPは、本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログと比べて、異なるメカニズムによって作用し、それは8−Cl−cAMPと組み合わされるか、またはODCインヒビターおよび/またはSAM脱カルボキシル化インヒビターと組み合わされて(8−Cl−cAMPを有するか、または有さない)使用され得る。なぜなら、より低いポリアミンレベルは、クロマチン構造に影響するので、他の薬物は本発明のアナログと組み合わされて使用され得る。これらは、トポイソメラーゼインヒビター、DNAアルキル化薬剤、およびDNA插入剤(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、クロロゾトシンなど)を含む。
【0131】
さらに、アグマチンは、メトホルミン、II型糖尿病薬剤と類似の構造を有し、そして弱いインスリン分泌促進物質であることが示されているので、本発明のアナログは、糖尿病の処置において有用であると考えられる。
【0132】
(薬学的および治療的組成物ならびにそれらの投与)
本発明の薬学的組成物に使用され得る化合物は、本明細書中に記載されるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログの全て、ならびにこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩を含む。塩基性基を含む本発明の化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩は、適切な場合、当該分野で公知の方法によって塩基性アミンの存在下で、非毒性の有機または無機の強酸または中程度の強酸を用いて形成される。本発明に含まれる酸付加塩の例は、マレイン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、および硝酸塩である。
【0133】
上に述べられるように、本発明の化合物は、低い細胞性ポリアミンレベルに対する能力を有し、そして/またはアンチザイム、多くの疾患または状態のうちの任意(好ましくは癌)の処置において開発される性質を誘導する。本発明の組成物は、それ自体で活性であり得るか、またはインビボでその活性形態に変換される「プロドラッグ」として作用し得る。
【0134】
本発明の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩は、カプセル、含浸ウェハ(impregnated wafer)、錠剤または注射可能調製物のような都合の良い投薬形態に組み込まれ得る。固体または液体の薬学的に受容可能なキャリアが使用され得る。
【0135】
好ましくは、本発明の化合物は、例えば、注射によって、全身的に投与される。使用される場合、注射は、任意の公知の経路、好ましくは、静脈内、皮下的、筋内的、頭蓋内的、または腹腔内的であり得る。注射可能物は、溶液または懸濁液、注射の前に液体中で溶液または懸濁液に適した固体形態、あるいはエマルジョンとしてのいずれかの、従来の形態で調製され得る。
【0136】
固体キャリアには、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム二水和物、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体キャリアには、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、生理食塩水、水、ブドウ糖、グリセロールなどが挙げられる。同様に、キャリアまたは希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような任意の長期の放出材料を単独でまたはワックスとともに含み得る。液体キャリアが使用される場合、調製物は、シロップ、エリキシル剤、エマルジョン、軟質ゼラチンカプセル、滅菌注射可能液体(例えば、溶液)、例えばアンプル、または水性または非水性液体懸濁液の形態であり得る。このような薬学的組成物の要約は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton Pennsylvania(Gennaro 18版、1990)に見出され得る。
【0137】
薬学的調製物は、薬学的化学の従来の技術に従って作製され、この技術は、経口または非経口投与(局所投与、経皮投与、膣内投与、鼻腔内投与、気管支内投与、頭蓋内投与、眼内投与、耳内投与および直腸投与を含む)のための所望の生成物を生じるために、錠剤形態に必要な場合には、成分の混合、顆粒化および圧縮、または適切な場合には、成分の混合、充填および溶解のような工程を包含する。薬学的組成物はまた、わずかな(minor)量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤など)を含み得る。時限放出のために処方された薬学的組成物もまた、調製され得る。
【0138】
投与の好ましい経路は、全身性であるが、薬学的組成物は、局所もしくは経皮(例えば、軟膏剤、クリーム剤もしくはゲル剤);経口;直腸(例えば、坐剤、)、非経口(注射によってもしくは注入によって連続的に);膣内;鼻腔内;気管支内;頭蓋内、耳内;または眼内に投与され得る。
【0139】
局所適用については、化合物は、局所的に適用されるビヒクル(例えば、軟膏または軟膏剤)中に組み込まれ得る。活性成分についてのキャリアは、スプレー可能形態または非スプレー可能形態のいずれかであり得る。非スプレー可能形態は、局所適用に固有のキャリアを含み、かつ好ましくは水の動的粘性よりも大きい動的粘度を有する、半固形形態または固形形態であり得る。適切な処方物としては、溶液、懸濁液、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、散剤、リニメント剤、軟膏などが挙げられるがこれらに限定されない。所望される場合、これらは、滅菌され得るか、または補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤、または浸透圧に影響する塩などと混合され得る。非スプレー可能局所調製物について好ましいビヒクルとしては、軟膏基剤(例えば、ポリエチレングリコール−1000(PEG−1000);従来のクリーム剤(例えば、HEBクリーム);ゲル剤;およびペトロラタムなどが挙げられる。
【0140】
また、スプレー可能なエアロゾル調製物が、局所適用に適切であり、ここでこの化合物は、好ましくは固体または液体の不活性なキャリア物質と組み合わされて、絞り出し(squeeze)容器中に、または加圧した揮発性の通常は気体状の噴霧体と混合して包装される。エアロゾル調製物は、本発明の化合物に加えて、溶媒、緩衝液、界面活性剤、香料、および/または抗酸化剤を含み得る。
【0141】
好ましい局所適用について、特にヒトでは、有効量の化合物を、標的領域(例えば、皮膚表面、粘膜、眼など)に投与することが好ましい。この量は、一般に、処置される領域、症状の重篤度、および用いられる局所ビヒクルの性質に依存して、1回の適用あたり約0.001mg〜約1gの範囲である。
【0142】
本発明の組成物は、疾患または状態を処置するために使用される、1以上のさらなる化合物と組み合わせて与えられる。癌の処置には、アグマチンアナログおよびポリアミンアナログが、有糸分裂インヒビター(例えば、ビンブラスチン);アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド);葉酸インヒビター(例えば、メトトレキサート、プリトレキシム(pritrexim)またはトリメトレキサート);抗代謝剤(例えば、5−フルオロウラシルおよびシトシンアラビノシド);インターカレート(intercalating)抗生物質(例えば、アドリアマイシンおよびブレオマイシン);酵素または酵素インヒビター(例えば、アスパラギナーゼ);トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド);あるいは生物学的応答修飾剤(例えば、インターフェロン)のような抗腫瘍剤と組み合わせて与えられる。実際、本明細書中に開示されるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログと組み合わせて、任意の既知の癌治療剤を含む薬学的組成物は、本発明の範囲内である。
【0143】
本発明の組成物はまた、抗感染剤(抗菌剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗ウイルス剤、および抗コクシジウム剤を含む)のような1以上の他の医薬を含み得る。
【0144】
本発明の化合物の代表的な単一投薬量は、約1ng/kg体重と約10g/kg体重の間である。この用量は、好ましくは、約0.01mg/kg体重(body wt.)と約1g/kg体重の間であり、そして最も好ましくは、約0.1mg/kg体重と約100mg/kg体重の間である。局所投与に関して、化合物の約0.01〜20%濃度の範囲の投薬量(好ましくは1〜5%)が、示唆される。約1〜500mgの範囲の総日投薬量が、経口投与に好ましい。しかし、上記の範囲は、個体処置レジメに関する変数の数が大きい場合、示唆的であり、そしてこれらの推奨される値からのかなりの可動域が予想される。
【0145】
疾患または状態を処置するための化合物の有効量または有効用量は、特定の疾患または状態に対して認められているインビトロ系またはインビボ動物モデルを用いて決定され得る。癌の場合、多くの当該分野で認められているモデルが公知であり、そしてヒト腫瘍の広範な範囲の代表である。化合物は、ヒトまたは非ヒト動物起源の任意の多数の腫瘍細胞株を用いた標準的なアッセイを使用して、培養中の腫瘍細胞増殖の阻害に対して試験され得る。動物モデルを含むこれらの多くのアプローチは、詳細に以下に記載される:Geran,R.I.ら「Protocols for Screening Chemical Agents and Natural Products Against Animal Tumors and Other Biological Systems(第3版)」、Canc.Chemother.Reports、第3部、3:1−112。
【0146】
ここで本発明を一般的に記載してきたが、本発明は、例として提供される以下の実施例の参照を通してより容易に理解され、そしてこれらの実施例は、特定されない場合は本発明の限定を意図しない。
【実施例】
【0147】
(実施例I)
(アグマチンアナログの合成)
モノおよびジメチル置換されたアグマチンアナログを合成するための1つのアプローチは、上記に示されており、そして以下に再現する:
【0148】
【化12】

【0149】
ここで、化合物9において、これは、化合物8の一般化された形態である(n=0〜6)。
【0150】
異なるアミノアルキルジエチルアセタールおよび異なるアミンを用いて開始し、多くの誘導体を合成し得る。多くの実施例を図1〜4および6に示す。化合物10(下記)を、2−アミノエチルジエチルアセタールで開始する上記のアプローチを用いて合成する。化合物11は、3−アミノプロピルジエチルアセタールで開始する同じアプローチを用い、そして中間体化合物5の合成においてジメチルアミンの代わりにピロリジンを用いて合成し得る。
【0151】
【化13】

【0152】
(実施例II)
(ジアミノアルカン誘導体の合成)
以下のシリーズA、B、およびCを、以下の経路を用いて合成し得る。各シリーズを並行な合成方法で生成し、そして結晶化またはシリカゲルもしくはDowex50陽イオン交換樹脂のカラムクロマトグラフィーによって純粋形態で得た。
【0153】
【化14】

【0154】
両端に同じアリールアルキル基(grouping)を有するシリーズBをまた、以下のスキームを用いて合成し得た:
【0155】
【化15】

【0156】
最初のシリーズの化合物は、以下の芳香族アルデヒドおよび脂肪族アルデヒドを使用した。このシリーズを、何百もの市販のアルデヒドを使用することにより、多いに拡大し得る。シリーズAは、上記の実施例Iにおける化合物8および化合物9と同一である。
【0157】
【化16】

【0158】
ジアミノアルカンのアミノ基上に2つの異なる置換基を含む、アナログのさらなるグループ(シリーズD)を、シリーズAから直接的に合成し得る。異なるアルデヒドを選択することにより、非対称な二置換アナログの非常に大きなシリーズを、生成する。例えば、X−Ar2CHOが、上記に示されるシリーズBの合成スキームにおいて、一般式X−ArCHOに置換される場合に、シリーズDを、合成し得る。従って、多数の非対称な二置換ジアミンアナログを、異なるジアミンおよび異なるアルデヒドを用いることにより、生成し得る。これは、以下に概略的に示され、ここで、Ar1は、上記に示されるシリーズAにおけるAr部分を表す。明瞭さの目的で、Ar1およびAr2は、同一の基の単量体形態および二量体形態ではなく異なる芳香族基を表す。
【0159】
【化17】

【0160】
より多くのアナログを、2当量のカルボン酸とジアミノアルカンとの結合により生成し、ジアミド中間体を得る。次いで、この中間体を、BH3.THFを用いることにより、メチレン酸化状態に還元する。幾つかの代表的なカルボン酸を、示す。
【0161】
【化18】

【0162】
アジリジン官能基を含む反応性アナログのシリーズを、以下の経路を通って生成し得る。ジケトン出発物質の合成は、Sudweeksら(J.Org.Chem.1975,40(8),1131〜1136)により使用される方法に従った。ジオキシムの形成し、続いて水素化アルミニウムリチウムを用いて処理し、示されるジアジリジン誘導体を得る。
【0163】
【化19】

【0164】
(実施例III)
(アンチザイムフレームシフトアッセイ)
本発明のアグマチンアナログおよびポリアミンアナログを、RNA 4:479−486,1998においてGrentzmann,Gらによって記載されるような、アンチザイムデュアルルシフェラーゼフレームシフトアッセイを用いて、インビトロ(例えば、試験管により)およびインビボ(例えば、細胞株を用いて)で試験した。このアッセイは、ヒトアンチザイム配列上の翻訳フレームシフトの有効性を測定することを可能にする。手短に言えば、ヒトアンチザイム配列の2つの変異を、pRL−SV40(Promega)プラスミドのレニラ(5’)ルシフェラーゼレポーター遺伝子とホタル(3’)ルシフェラーゼレポーター遺伝子との間でクローン化した。一方のプラスミドは、完全な翻訳のために+1フレームシフトを必要とする野生型アンチザイム配列を含み、他方のプラスミドは、改変された、インフレームアンチザイム(コントロール)配列を含んだ。これらのプラスミドを使用して、ヒト細胞株を、野生型アンチザイム配列含有プラスミドまたはインフレームアンチザイム配列含有プラスミドのいずれかで、一過性にまたは安定にトランスフェクトした。(2つのプラスミドのうちの1つを含む細胞を用いた)各アッセイにおけるレニラルシフェラーゼ活性およびホタルルシフェラーゼ活性を、本発明のアナログの存在下または非存在下で、ポリメラーゼ減退または翻訳効率を説明するために測定する。この比率を使用して、野生型配列において見られるホタルルシフェラーゼ活性を、インフレームコントロール配列と比較して規格化する。
【0165】
アンチザイムフレームシフトの際の、アグマチンアナログの効果のインビトロアッセイを、以下のように行った。野生型アンチザイム配列およびインフレームアンチザイム配列を含む直線化プラスミドは、網状赤血球溶解物において、アグマチンアナログあり、およびなしで、インビトロで転写され、続いてインビトロで翻訳された。ルミネッセンスを、Dual−LuciferaseTMレポーターアッセイ(Promega)を用いて測定した。
【0166】
(実施例IV)
(細胞増殖ならびにアグマチンアナログおよびポリアミンアナログによるその阻害)
細胞を、96ウェルプレートにプレートし、それによって細胞をアッセイの持続時間の間、対数増殖する。プレートした次の日、薬物を細胞に添加し、細胞を7日間増殖した。細胞増殖を、MTS/PMS色素アッセイ(Promega)によって測定した。このアッセイを、培養培地中の血清からのアミンオキシダーゼを阻害するための、1mMアミノグアニジン、および任意の増殖阻害が培地からの外部ポリアミンの枯渇の結果ではないことを保証するための、1μMスペルミジンの存在下で行った。このアッセイはまた、7日間にわたって行った。なぜなら、これは、ポリアミン生合成および輸送の付随的な阻害のメカニズムのために、細胞増殖における最も活動的な範囲を可能にするからである。ポリアミンの細胞内レベルが増殖抑制性のレベルまで減少し始める前に、細胞を数回分割する必要がある。従って、増殖は、3〜4日目まで著しく中断しない。
【0167】
(実施例V)
(輸送アッセイにおけるアグマチンアナログおよびポリアミンアナログのスクリーニング)
対数増殖期における細胞を、アグマチンアナログと予めインキュベートし、続いて3H−スペルミジンを添加した。細胞を、37℃で10分間インキュベートした(これは、以前に、ポリアミン取り込みのための線形範囲内にあることが示されている)。次いで、細胞を、冷PBSで3回洗浄し、0.1%SDSで溶解し、そして細胞へのポリアミン取り込みの量を、細胞溶解物のシンチレーションカウンティングにより決定した。Kiを決定するために、4つの基質濃度および5つのインヒビター濃度およびコントロールを試験した。Kiを、Michaelis−Menten等式への非線形あてはめにより決定した。
【0168】
(実施例VI)
(輸送阻害および増殖阻害の両方についてのアグマチンアナログおよびポリアミンアナログのスクリーニング)
例えば、化合物ORI 1041およびORI 1093を、DFMOありおよびなしで、細胞に基づく(MDA−MB−231乳癌細胞株)アッセイにおいて、ポリアミン輸送インヒビターとして、そして増殖阻害について評価した。結果を、以下の表3に示す。
【0169】
【表5】

【0170】
代表的に、ORI 1041と類似の化合物は、それら自身についての細胞増殖アッセイにおいて、IC50>300μMまで細胞傷害性ではない。しかし、DFMOの存在下で、この化合物はしばしば、R値(R=IC50/IC50+DFMO)として測定される、IC50の大きな減少を示す。300ぐらいの高いR値が観察される。ORI 1041のような化合物の小さいサブセットにおいては、R値は1に近づき、これは、この化合物がそれら自身について細胞傷害性であることを意味する。ORI 1041およびORI 1093について観察する場合、R値は、1または1に近い。ORI 1041(かなり良好な輸送インヒビター)はまた、アンチザイム誘導因子であることが推測される。ORI 1293(二置換プトレシン誘導体)は、かなり乏しい輸送インヒビターであるが、IC50=2μMを有する、効果的な細胞傷害性誘導体である。これら2つのプトレシン誘導体による、細胞培養物において示される毒性は、アンチザイム誘導に起因することが提唱されている。同様の細胞増殖速度は、PC−3前立腺癌細胞株において、これら2つの化合物を用いて得られた。
【0171】
上記で引用されるすべての参照文献は、先に具体的に援用されているか否かに関わらず、本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0172】
ここで、本発明を十分に記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そして過度の実験をすることなく、同じことが広範な等価なパラメータ、濃度および条件の範囲内で行われ得ることが、当業者によって認識される。
【0173】
本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されてきたが、さらなる変更が可能であることが理解される。本出願は、一般的に本発明の原理に従い、そして本発明が関連する分野において公知または慣用的な実施の範囲内に近づくような、そして上記の添付の特許請求の範囲に記載された本発明上記の本質的な特徴に適用され得るような、本開示からの発展を含む、本発明の任意の変形、使用、または適応を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】図1は、本発明のアルギニン様アグマチンアナログの構造を示す。
【図2】図2は、可変性のアミン基を含むさらなるアグマチンアナログを示す。
【図3】図3は、複素環式環を含むさらなるアグマチンアナログを示す。
【図4】図4は、本発明により包含される、さらなるアグマチンアナログを示す。
【図5】図5は、アンチザイムを介したアグマチンによるポリアミン調節を示す模式図である。
【図6】図6は、グアニジンオキシモチーフを含む、アミジン、アセチルイミドに類似したアグマチンアナログを示す。
【図7】図7は、インビボでのADCによるGOPAの生成を提唱する模式図である。
【図8】図8は、アグマチンおよび種々の関連化合物の構造を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペルミンのポリアミンアナログであって、
生理学的pHで4個の正電荷を形成し得る4個のアミン基を含み、
第1のアミン基と第2のアミン基とが、および第3のアミン基と第4のアミン基とが、4個のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、そして該第2のアミン基と該第3のアミン基とが、5個以上のC−C結合および/またはC−N結合の距離だけ隔てられており、
該アナログが、全長アンチザイムの発現を誘導する、
アナログ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−176948(P2007−176948A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38690(P2007−38690)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【分割の表示】特願2000−597259(P2000−597259)の分割
【原出願日】平成12年2月4日(2000.2.4)
【出願人】(500023990)メディクエスト セラピューティックス インク (9)
【Fターム(参考)】