説明

アンチセンスオリゴヌクレオチドによるToll様受容体4発現の調節

TLR4の発現を下方制御するための、アンチセンスオリゴヌクレオチド化合物、組成物および方法が提供される。組成物は、TLR4をコードする核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。組成物はまた、TLR4をコードする核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを、他の治療的および/または予防的化合物および/または組成物と組み合わせて含んでもよい。TLR4の発現を下方制御するために、およびTLR4発現の調節が有用である疾患の予防または処置のために、これらの化合物および組成物を用いる方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(代理人整理番号:09−909−WO)
本願は、2008年11月4日に出願された米国特許仮出願第61/111,148の利益を主張し、その開示は、本明細書に参照として明確に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、Toll様受容体4(TLR4)に関する。特に、本発明は、TLR4をコードする核酸に特異的にハイブリダイズして、TLR4発現および活性を調節するアンチセンスオリゴヌクレオチドに、およびTLR4に関連する、またはTLR4発現の調節が有益である疾患の処置または予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の概要
Toll様受容体(TLR)は多くの免疫系細胞上に存在し、自然免疫応答に関与することが示されている(Hornung, V. et al., (2002) J. Immunol. 168:4531-4537)。TLRは、哺乳動物が外来性分子を認識しそれに対する免疫応答を開始するための鍵となる手段であり、自然免疫応答と適応免疫応答を結びつけるための手段を提供する(Akira, S. et al. (2001) Nature Immunol. 2:675-680; Medzhitov, R. (2001) Nature Rev. Immunol. 1:135-145)。脊椎動物において、このファミリーはTLR1からTLR11と呼ばれる少なくとも11種のタンパク質からなり、これらは、細菌、真菌、寄生虫およびウイルス由来の分子パターンに関連する病原体(PAMP)を認識し、多くの転写因子によって媒介される免疫応答を誘導することが知られている。
【0004】
いくつかのTLRは細胞表面に位置し、細胞外病原体を検出してそれに対する応答を開始し、別のTLRは細胞内に位置し、細胞内病原体を検出してそれに対する応答を開始する。表1は、TLRの提示、それに対する既知のアゴニスト、およびそのTLRを含むことが知られている細胞型を示す(Diebold, S.S. et al. (2004) Science 303:1529-1531;Liew, F. et al. (2005) Nature 5:446-458; Hemmi H et al. (2002) Nat Immunol 3:196-200;Jurk M et al., (2002) Nat Immunol 3:499;Lee J et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:6646-6651: Alexopoulou, L. (2001) Nature 413:732-738)。
【表1】

【0005】
リガンドとTLRの相互作用が媒介するシグナル伝達経路は、TLRファミリーのほとんどのメンバーに共通しており、Toll/IL−1受容体(TIRドメイン)、骨髄分化マーカー88(MyD88)、IL−1R関連キナーゼ(IRAK)、インターフェロン調節因子(IRF)、TNF−受容体関連因子(TRAF)、TGF活性化キナーゼ1、IκBキナーゼ、IκB、およびNF−κBが関与している(例えばAkira, S. (2003) J. Biol. Chem. 278:38105およびGeller at al. (2008) Curr. Drug Dev. Tech. 5:29-38を参照)。より具体的には、TFR1、2、4、5、6、7、8、9および11については、このシグナル伝達系は、PAMPリガンドが、エンドソーム膜または細胞表面にホモダイマーとして存在する膜結合TLRと相互作用し、これを活性化することから開始される。活性化に続いて、受容体は構造変化してタンパク質MyD88を含有するTIRドメインの補充を可能とし、このMyD88は、TLR3を除く全TLRシグナル伝達経路に共通するアダプタータンパク質である。MyD88はIRAK4を補充し、これはIRAK1をリン酸化および活性化する。活性化されたIRAK1はTRAF6に結合し、これはポリユビキチンのTRAF6への付加を触媒する。ユビキチンの付加はTAK/TAB複合体を活性化し、これは次にIRFをリン酸化して、NF−κBの放出および核への移送をもたらす。核内のNF−κBは炎症性遺伝子の発現を誘導する(例えばTrinchieri and Sher (2007) Nat. Rev. Immunol. 7:179-190を参照)。
【0006】
TLRの選択的局在化およびそれから生成されるシグナルは、免疫応答におけるそれらの役割についてある洞察を提供する。免疫応答には、その応答に関与する細胞のサブセットに基づいて、自然応答および適応応答の両方が関与する。例えば、遅延型過敏症および細胞毒性Tリンパ球(CTL)の活性化などの古典的な細胞媒介性の機能に関与するTヘルパー(Th)細胞は、Th1細胞である。この応答は、抗原(例えばウイルスル感染、細胞内病原体、および腫瘍細胞)に対する身体の自然応答であり、IFN−γの分泌および同時にCTLの活性化をもたらす。TLR4は、細胞膜上に局在することが知られ、限定することなくリポポリサッカリド(LPS)を含む、病原体の細胞壁に存在する脂質によって活性化する。TLR4は、ファゴソーム内で病原体の型を識別することが示された(例えば、Aderem and Ulevitch (2000) Nature 406: 780-785を参照)。このLPSに応答するTLR4の能力は、病原体に対する身体の自然免疫応答におけるTLR4の重大な役割を示す。
【0007】
炎症反応の調節に関与する結果、TLRは、自己免疫、感染症および炎症を含む多くの疾患の病因に役割を果たすことが示されている(Papadimitraki et al. (2007) J. Autoimmun. 29: 310-318;Sun et al. (2007) Inflam. Allergy Drug Targets 6:223-235;Diebold (2008) Adv. Drug Deliv. Rev. 60:813-823;Cook, D.N. et al. (2004) Nature Immunol. 5:975-979;Tse and Horner (2008) Semin. Immunopathol. 30:53-62;Tobias & Curtiss (2008) Semin. Immunopathol. 30:23-27;Ropert et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:41-51;Lee et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:3-9;Gao et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:29-40;Vijay-Kumar et al. (2008) Semin. Immunopathol. 30:11-21)。TLRの活性化は免疫応答の開始に関与するが、TLRを介した免疫系の制御されない、または望ましくない刺激は、免疫力が低下した対象において一定の疾患を悪化させたり、望ましくない免疫刺激を引き起し得る。したがって、TLR発現および/または活性の下方制御は、疾患介入への有用な手段を提供することができる。
【0008】
今日まで、TLR活性を阻害することを選択的に狙った研究戦略には、小分子(WO/2005/007672)、抗体(例えばDuffy, K. et al. (2007) Cell Immunol. 248:103-114を参照)、一定のアンチセンス分子(Caricilli et al. (2008) J. Endocrinology 199:399)、および修飾またはメチル化オリゴヌクレオチドの競合的阻害(例えばKandimalla et al. US2008/0089883;Barrat and Coffman (2008) Immunol. Rev. 223:271-283参照)が関連している。例えばクロロキンおよびヒドロキシルクロロキンは、エンドソームの成熟を下方制御することにより、エンドソームTLRシグナル伝達をブロックすることが示されている(Krieg, A. M. (2002) Annu. Rev. Immunol. 20:709)。また、Huangらは、TLR4 siRNAの使用であって、T細胞増殖および天然キラー細胞活性の、腫瘍媒介性の阻害を逆転するための前記使用(Huang et al. (2005) Cancer Res. 65:5009-5014)、およびTLR4 siRNAの使用であって、眼の細菌誘発性の炎症を予防するための前記使用を示した(Huang et al. (2005) Invest. Opthal. Vis. Sci. 46:4209-4216)。
【0009】
さらに、いくつかのグループが、2つのトリプレット配列、近位「CCT」トリプレットおよび遠位「GGG」トリプレット、ポリ「G」(例えば「GGGG」または「GGG」)または「GC」配列であって、一定の細胞内タンパク質と相互反応するものを有する合成オリゴデオキシヌクレオチドを用いて、TLRシグナル伝達および同時に炎症性サイトカインの産生および放出の阻害をもたらした(例えば、Lenert, P. et al. (2003) DNA Cell Biol. 22(10):621-631;Patole, P. et al. (2005) J. Am. Soc. Nephrol. 16:3273-3280; Gursel, I., et al. (J. Immunol., 171: 1393-1400 (2003);Shirota, H., et al., J. Immunol., 173: 5002-5007 (2004);Chen, Y., et al., Gene Ther. 8: 1024-1032 (2001);Stunz, L.L., Eur. J. Immunol. (2002) 32: 1212-1222;Kandimalla et al. WO2007/7047を参照)。しかし、グアノシンストリング(guanosine strings)を含むオリゴヌクレオチドは、四重体構造を形成し、アプタマーとして作用し、トロンビン活性を阻害することが示されている(Bock LC et al., Nature, 355:564-6, 1992;Padmanabhan, K et al., J Biol Chem., 268(24):17651-4, 1993)。したがって、これらの阻害性オリゴデオキシヌクレオチド分子の効用は、患者においては実現できない。
【0010】
TLRの発現を「阻害、抑制または下方制御する」ための期待されるアプローチは、アンチセンス技術である。アンチセンス技術開発の歴史は、標的RNAにハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを設計および試験することは比較的容易であるが、わずか少しのアンチセンスオリゴヌクレオチドのみが意図するように働き、臨床上の候補としての真の可能性を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適化は容易ではないことを示している。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを最適化する場合、正確なオリゴヌクレオチド配列および長さを想定し、適切な核酸化学およびオリゴヌクレオチド化学を利用することは、容易に分かることではないと理解するだろう。しかしながら、これら成分の処方は、すべてのアンチセンスオリゴヌクレオチドの利用にとって決定的である(Stein and Cheng, 1993, Science 261: 1004-1012)。さらに、当業者は、正確な配列、正確な長さの想定、および適切な核酸化学およびオリゴヌクレオチド化学の利用なしでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オフターゲット効果を有し、とりわけ、不安定、不活性、非特異的、および有毒な分子にさせることを理解するだろう。アンチセンスオリゴヌクレオチドの予測不能な性質の結果として、今まで一つのアンチセンスオリゴヌクレオチドのみが、ヒトの使用に承認を受け、アンチセンスオリゴヌクレオチドはヒトの使用には現在市販されていない。
【0011】
したがって、遺伝子発現を最も効率よく下方制御または阻害する最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドの分野において、必要性が存在する。特に、安定で、活性が有り、標的特異的で、非毒性で、かつ自然免疫反応を活性化させないTLR4発現を下方制御する、アンチセンスオリゴヌクレオチドのための分野において、必要性が存在する。かかる特徴を有する分子は、以前にアンチセンスオリゴヌクレオチドを開発することから妨げた問題を克服するだろう。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、とりわけ、TLR4をコードする核酸を標的とし、mRNA翻訳の阻害および/またはRNaseH媒介性メカニズムを介して、TLR4の発現を効率的に阻害する、最適化合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを目的とする。
【0013】
第1の側面において、本発明の最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:7、8、17、24、30、49、86、100、102、115、121、126、136、146、184または256を有するものを含む。
【0014】
別の側面において、本発明は、少なくとも1つの本発明による最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドと、生理学的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤とを含む、組成物を提供する。
【0015】
別の側面において、本発明は、TLR4の発現を阻害する方法を提供する。この方法において、本発明の1つのオリゴヌクレオチドまたは複数のオリゴヌクレオチドは、in vitroまたは細胞内のどちらかで、TLR4 mRNAと特異的に接触するかまたはこれにハイブリダイズされる。
【0016】
別の側面において、哺乳動物における、特にヒトにおける、TLR4の発現を阻害する方法を提供し、かかる方法は、哺乳動物に対して、本発明の化合物または組成物を投与することを含む。
【0017】
別の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR4媒介性の免疫応答を阻害する方法を提供し、該方法は、哺乳動物に対して、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的有効量を投与することを含む。
【0018】
別の側面において、本発明は、TLR4が媒介する疾患を有する哺乳動物を治療的に処置する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に対して、特にヒトに対して、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその組成物の、薬学的有効量を投与することを含む。
【0019】
別の側面において、本発明は、TLR4が媒介する疾患または障害にかかるかまたは発症するリスクのある哺乳動物、特にヒトにおける、疾患または障害を予防する方法を提供する。かかる方法は、前記哺乳動物に対して、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその組成物の、予防有効量を投与することを含む。
【0020】
別の側面において、本発明は、TLR4 mRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびTLR4タンパク質のアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤またはシグナル伝達性転写(STAT)タンパク質の阻害剤を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物におけるTLR4発現および活性を抑制する方法を提供する。
【0021】
本明細書に開示された対象のオリゴヌクレオチドおよび方法はまた、細胞、または対照哺乳動物、またはTLR4に関連するかもしくはTLR4を介した免疫刺激に関連する疾患または障害にかかった哺乳動物における、TLR4遺伝子の機能を試験するためにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドのリニア合成のための合成スキームである。DMTr=4,4’−ジメトキシトリチル、CE=シアノエチル。
【0023】
【図2】図2は、マウスTLR4を発現するHEK293細胞における、本発明の例示のヒトTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドが、免疫刺激性ではないことを実証する(アンチセンスのみ)。図2もまた、本発明の例示のオリゴヌクレオチドの、例2に従って培養および処理されたHEK293細胞においてTLR4の発現および活性化を阻害する能力を実証する(アゴニスト+アンチセンス)。
【0024】
【図3】図3は、ヒトTLR4 mRNAのヌクレオチド配列を示す([配列番号:282](Genbank Accession No. NM 138554)。
【図3−2】図3−2は、図3の続きである。
【0025】
詳細な説明
本発明は、最適化TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチド、かかるオリゴヌクレオチドを含む組成物、および、TLR4媒介性免疫応答を阻害または抑制するための、これらの使用法に関する。より具体的には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは安定で、活性が有り、標的特異的で、無毒であり、かつ自然免疫応答を活性化せず、これにより前に試みられたアプローチの一定の問題点を克服する。本発明の化合物を含む医薬および他の組成物も提供される。さらに、細胞または組織におけるTLR4の発現を下方制御する方法であって、かかる細胞または組織を、1または2以上の本発明のアンチセンス化合物または組成物のみと、またはこれらを他の予防的もしくは治療的組成物と組み合わせて、接触させることを含む、前記方法も提供される。
【0026】
具体的には、本発明は、ゲノム領域またはそれから転写されるRNA分子に相補的となるようデザインされた、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。これらのTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、安定で、標的特異的かつ特に利用可能なmRNA配列を標的とする、ユニークな配列を有し、そのために、内因性および/または外因性のTLR4リガンドまたはTLR4アゴニストに応答して、TLR4媒介性のシグナル伝達の最大限効果的な阻害または抑制をもたらす分子である。
【0027】
本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、種々の細胞型における、ならびに種々のin vitroおよびin vivoの実験モデルにおける、天然または人工的なTLR4アゴニストにより誘導される免疫応答を阻害する。したがって、本発明のアンチセンス組成物は、免疫系を試験するため、またヒトやマウスなどの種々の哺乳動物の免疫系を比較するための、有用なツールである。
【0028】
さらに提供されるのは、TLR4活性化に関連する疾患または病態を有するか、有することが疑われるか、またはこれを発症しやすい哺乳動物、特にヒトを、本発明の1または2以上のアンチセンス化合物または組成物の治療または予防有効量を投与することにより、処置するための方法である。TLR4は、その活性がいくつかの疾患と関連し、炎症反応の重要なイニシエーターとして同定されたことから(例えば、Gribar et al. (2008) J. Leukoc. Biol. 83:493-498; Fukata and Abreu (2007) Biochem. Soc. Trans. 35: 1473-1478; Gao et al. (2007) Curr. Opin. Allergy Clin. Immunol. 7:459-467を参照)、本発明の最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび組成物は免疫治療用途に用いることができ、例えば限定することなく、成人および小児のヒトおよび動物適用における、癌、自己免疫障害、喘息、呼吸アレルギー、食物アレルギー、皮膚アレルギー、全身性エリテマトーデス(SLE)、関節炎、胸膜炎、慢性感染症、炎症性疾患、炎症性腸症候群、敗血症、マラリア、ならびに細菌、寄生虫およびウイルス感染の処置である。さらに、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、種々の疾患の予防および/または処置において、それのみで、または他の薬物または予防的もしくは治療的組成物と組み合わせて、または同時投与しても有用であり、その例としては、DNAワクチン、抗原、抗体、およびアレルゲンであり;および疾患の予防および処置のための、化学治療剤(従来からの化学療法および現代の標的化療法のどちらも)および/またはTLR4アゴニストと組み合わせても有用である。本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、望ましくないTLR4媒介性免疫刺激特性を有する化合物または薬物と組み合わせても有用である。
【0029】
本発明の目的は、その種々の特徴、および発明それ自体は、添付の図面と共に読む場合に、以下の説明からより完全に理解することができ、ここでは以下の用語が与えられた意味を有する。
【0030】
用語「2’−O−置換」とは、一般的に、ペントース部分の2’位の、次のものよる置換を意味する:1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む−O−低級アルキル基(例えば、限定はしないが2’−O−メチル)による、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリールまたはアリル基による置換であって、ここで、かかるアルキル、アリールまたはアリル基は、非置換であるかまたは置換されていてもよく(例えば2’−O−エトキシ−メチル、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、カルボキシル、カルバルコキシル(carbalkoxyl)、もしくはアミノ基により);または、ヒドロキシ、アミノ、またはハロ基による置換、ただし2’−H基による置換ではない。いくつかの態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、その5’ 末端における4または5個の2’−O−アルキルリボヌクレオチド、および/またはその3’ 末端における4または5個の2’−O−アルキルリボヌクレオチドを含む。例示の態様において、合成オリゴヌクレオチドのヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホロチオアートヌクレオチド間結合により連結されている。ホスホロチオアート結合は、RpおよびSpエナンチオマーが混合されたものであるか、またはこれは、RpまたはSp形態のどちらかにおいて立体規則的であるか、もしくは実質的に立体規則的であってよい(Iyer et al. (1995) Tetrahedron Asymmetry 6:1051-1054を参照)。
【0031】
指向的に用いられる場合、「3’」という語は一般的に、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの別の領域または位置からの、(ヌクレオチドの3’末端に向かう)ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの3’の領域または位置をいう。
【0032】
指向的に用いられる場合、「5’」という語は一般的に、同じポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの別の領域または位置からの、(ヌクレオチドの5’末端に向かう)ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの5’の領域または位置をいう。
【0033】
「約」という語は、一般的に、正確な数が重要でないことを意味する。したがって、1または2少ない数のヌクレオシド残基または1から数個の追加のヌクレオシド残基を有するオリゴヌクレオチドは、上記のそれぞれの態様の等価物であると意図される。
【0034】
「アゴニスト」の語は、一般に、細胞の受容体に結合して応答を引き起こす物質をいう。アゴニストはしばしば、リガンドなどの天然の物質の作用を模倣する。
【0035】
「アンタゴニスト」の語は、一般に、アゴニストの効果を弱める物質をいう。
【0036】
「気道炎症」という語は一般的に、限定することなく、アレルゲンに起因する気道の炎症を含み、これは喘息を含む。
【0037】
「アレルゲン」という語は一般的に、対象への曝露によってアレルギー反応を引き起こすところの、抗原または通常はタンパク質である分子の抗原部分をいう。典型的には、対象は、例えば膨疹および発赤試験(wheal and flare test)または当該技術分野において知られたあらゆる方法によって示されるように、アレルゲンに対してアレルギー性である。分子は、たとえ対象の小さなサブセットのみが、該分子への曝露によってアレルギー性(例えばIgE)免疫応答を示した場合でも、アレルゲンという。
【0038】
「アレルギー」という語は一般的に、限定することなく、食物アレルギー、呼吸器アレルギーおよび皮膚アレルギーを含む。
【0039】
「抗原」という語は一般的に、抗体またはT細胞抗原受容体によって認識され、選択的に結合される物質のことをいう。抗原は、これに限定するものではないが、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせを含んでよい。抗原は天然または合成であってよく、一般的にその抗原に特異的な免疫応答を誘導する。
【0040】
「自己免疫障害」という語は一般的に、「自分」の抗原が免疫系の攻撃を被る障害をいう。かかる語は、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血性ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症、自己免疫性喘息(autoimmune asthma)、敗血性ショック、および乾癬を含む。
【0041】
「癌」という語は一般的に、限定することなく、異常なまたは制御されていない細胞増殖および/または分裂に起因する、あらゆる悪性増殖または腫瘍をいう。癌はヒトおよび/または哺乳動物で起こり得、任意のおよび全ての組織において生じ得る。癌を有する患者の処置は、異常なまたは制御されていない細胞増殖および/もしくは分裂または転移が影響を受けるように、本発明の化合物、医薬製剤またはワクチンを投与することを含んでよい。
【0042】
「担体」という語は一般的に、あらゆる賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、油、脂質、脂質含有ベシクル、マイクロスフェア、リポソーム被包、または医薬製剤に用いられることが当業者に周知の他の材料を包含する。担体、賦形剤または希釈剤の特性は、特定の用途についての投与経路に依存するであろうことが理解されるだろう。これらの材料を含有する薬学的に許容可能な製剤の調製は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, ed. A. Gennaro, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990などに記載されている。
【0043】
「共投与」または「共投与された」という語は一般的に、少なくとも2つの異なる物質を、免疫応答を調節するために、十分に近い時間で投与することをいう。共投与は、少なくとも2つの異なる物質の、任意の順序における単一用量または分離された用量での、同時投与および、数日までの時間的間隔が置かれた順序で投与することをいう。
【0044】
「組み合わせて」という語は一般的に、患者の処置過程において、本発明の化合物ならびに、該化合物のTLR4アンチセンス活性を無効にしない、疾患および病態を処置するのに有用な別の剤を投与することを意味する。かかる投与は、同時投与、ならびに数秒から数日までの時間的間隔が置かれた順序を含む、あらゆる順序で行われてよい。かかる組合せ処置はまた、本発明の化合物および/または独立して他の剤の、単回より多くの投与を含んでよい。本発明の化合物および他の剤の投与は、同一または異なる経路によってよい。
【0045】
「個体」または「対象」または「脊椎動物」または「患者」の語は一般的に、ヒトなどの哺乳動物をいう。
【0046】
「阻害」または「下方制御」または「抑制」の用語は、発現に関して用いられる場合には、反応における減少、または、反応の誘発および/または刺激を惹起し得るのではない反応における質的な差を一般的に意味する。
【0047】
「キナーゼ阻害剤」の語は一般的に、細胞内のリン酸化依存性細胞シグナル伝達経路および/または増殖経路に拮抗するまたは阻害する分子をいう。キナーゼ阻害剤は、天然または合成であってよく、経口療法として投与することが可能な小分子を含む。キナーゼ阻害剤は、標的キナーゼ分子の活性化を迅速かつ特異的に阻害する能力を有する。タンパク質キナーゼは、一つには、これらが広範囲の様々なシグナル伝達経路および増殖経路を調節し、多くの異なるタンパク質を含むために、魅力的な薬剤標的である。そのため、これらはキナーゼシグナル伝達が関与する疾患の処置において多くの可能性を有し、かかる疾患としては、癌、心血管疾患、炎症性疾患、糖尿病、黄斑変性症、および神経疾患が含まれる。キナーゼ阻害剤の例としては、ソラフェニブ(ネキサバール(Nexavar)(登録商標))、ステント(Sutent)(登録商標)、ダサチニブ、ダサチニブ(Dasatinib)(商標)、ザクチマ(Zactima)(商標)、チケルブ(Tykerb)(商標)およびSTI571が含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
「リニア合成」という語は一般的に、1つのオリゴヌクレオチドの1つの末端から開始して、他端まで線形的に進行する合成をいう。リニア合成は、同一または非同一(長さ、塩基組成、および/または組込まれた化学的修飾に関して)どちらかのモノマー単位をオリゴヌクレオチドに組込むことを可能にする。
【0049】
「哺乳動物」という語は明示的に、温血脊椎動物を含むことを意図し、これには限定することなく、ヒト、非ヒト霊長類、ラット、マウス、ネコ、イヌ、ウマ、畜牛、ウシ、ブタ、ヒツジおよびウサギを含む。
【0050】
「ヌクレオシド」という語は一般的に、糖、通常はリボースまたはデオキシリボースと、プリンまたはピリミジン塩基からなる化合物をいう。
【0051】
「ヌクレオチド」という語は一般的に、糖に付着したリン含有基を含むヌクレオシドをいう。
【0052】
「修飾ヌクレオシド」という語は一般的に、修飾複素環式塩基、修飾糖部分、またはそれらのあらゆる組み合わせを含むヌクレオシドである。いくつかの態様において、修飾ヌクレオシドは、本明細書に記載されたように、非天然ピリミジンまたはプリンヌクレオシドである。本発明の目的のため、修飾ヌクレオシド、ピリミジンまたはプリンアナログあるいは非天然のピリミジンまたはプリンは互換的に用いることができ、非天然の塩基および/または非天然の糖部分を含むヌクレオシドをいう。本発明の目的のため、塩基は、それがグアニン、シトシン、アデニン、チミンまたはウラシルでない場合、非天然であると考えられ、糖は、それがβ−リボ−フラノシドまたは2’−デオキシリボ−フラノシドでない場合、非天然であると考えられる。
【0053】
本明細書で用いられる場合、「修飾オリゴヌクレオチド」という語は、そのヌクレオチドの少なくとも2つが合成結合を介して共有結合しているオリゴヌクレオチドをいい、該合成結合とはすなわち、1つのヌクレオチドの5’末端と、5’ヌクレオチドホスフェートが任意数の化学基により置き換えられている他のヌクレオチドの3’末端との間のホスホジエステル結合以外の結合である。用語「修飾オリゴヌクレオチド」はまた、修飾塩基および/または糖を有する少なくとも1つのヌクレオチドを有するオリゴヌクレオチドも包含し、例えば2’−O−置換、5’−メチルシトシン、および3’−O−置換リボヌクレオチドである。
【0054】
用語「核酸」は、ゲノム領域またはそれから転写されるRNA分子を包含する。いくつかの態様において、核酸はmRNAである。
【0055】
用語「ヌクレオチド結合」は一般に、2つのヌクレオシドを、それらの糖(例えば3’−3’、2’−3’、2’−5’、3’−5’、5’−5’)を介して連結する化学結合をいい、隣接するヌクレオシド間のリン原子および帯電した、または中性の基(例えばホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアートまたはメチルホスホナート)からなる。
【0056】
用語「オリゴヌクレオチド」は、複数の結合されたヌクレオシド単位から形成されるポリヌクレオシドをいう。ヌクレオシド単位は、ウイルス、細菌、細胞残屑、またはオリゴヌクレオチドベースの組成物(例えばsiRNAおよびマイクロRNA)の一部であってよい。かかるオリゴヌクレオチドはまた、ゲノムDNAまたはcDNAを含む既存の核酸源からも得ることができるが、好ましくは合成法により産生される。ある態様において、各ヌクレオシド単位は、複素環式塩基およびペントフラノシル、トレハロース、アラビノース、2’−デオキシ−2’−置換ヌクレオシド、2’−デオキシ−2’−置換アラビノース、2’−O−置換アラビノースまたはヘキソース糖基を含む。ヌクレオシド残基は、多くの知られているヌクレオシド間結合の任意のものにより互いに結合することができる。かかるヌクレオシド間結合としては、限定することなく、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、アルキルホスホナート、アルキルホスホノチオアート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、シロキサン、カルボナート、カルボアルコキシ、アセトアミダート、カルバメート、モルホリノ、ボラノ、チオエーテル、架橋ホスホルアミデート、架橋メチレンホスホナート、架橋ホスホロチオアート、およびスルホンヌクレオシド間結合が挙げられる。「オリゴヌクレオチドベース化合物」という語もまた、1または2以上の立体特異的ヌクレオシド間結合(例えば、(R)−または(S)−ホスホロチオアート、アルキルホスホナート、またはホスホトリエステル連結)を有するポリヌクレオシドを包含する。本明細書で使用された場合、用語「オリゴヌクレオチド」および「ジヌクレオチド」は明示的に、結合がリン酸基を含もうと含まなかろうと、あらゆるかかるヌクレオシド間結合を有するポリヌクレオシドおよびジヌクレオシドを含むことを意図する。ある例示の態様において、これらのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオアートまたはホスホロジチオアート結合、あるいはそれらの組み合わせである。
【0057】
用語「ゲノム領域またはそれから転写されるRNA分子に相補的である」とは、生理学的条件下で、例えばワトソン−クリック塩基対合(オリゴヌクレオチドと一本鎖核酸の間の相互作用)により、またはフーグステン塩基対合(オリゴヌクレオチドと二本鎖核酸の間の相互作用)により、または任意の他の手段により(これには、オリゴヌクレオチドの場合、RNAに結合し、擬結節形成を引き起こすことを含む)、核酸配列に結合するオリゴヌクレオチドを意味することを意図する。ワトソン−クリックまたはフーグステン塩基対合による、生理学的条件下での結合は、核酸配列の機能との干渉を観察することにより、実質上測定される。
【0058】
用語「ペプチド」は、該ペプチドがハプテンであろうと無かろうと、例えば抗体産生またはサイトカイン活性など、生物学的応答に影響するのに十分な長さおよび組成を有するポリペプチドを一般的にいう。用語「ペプチド」は、修飾アミノ酸(天然または非天然であるかどうかにかかわらず)を含んでもよく、かかる修飾は、これに限定するものではないが、リン酸化、グリコシル化、PEG化、脂質化(lipidization)およびメチル化を含む。
【0059】
用語「薬学的に許容し得る」とは、本発明の化合物の有効性または本発明の化合物の生物学的活性に干渉しない、非毒性物質を意味する。
【0060】
用語「生理学的に許容し得る」とは、細胞、細胞培養物、組織または有機体などの生体系に適合的な、非毒性物質をいう。好ましくは生体系は生物であり、例えば哺乳動物、特にヒトである。
【0061】
用語「予防有効量」とは、一般に、望ましくない生物学的効果の発生を防止または減少させるのに十分な量をいう。
【0062】
用語「治療有効量」または「薬学的有効量」とは、一般に、例えば限定することなく、疾患または障害の兆候または症状の予防、低減、改善または除去を含む有益な結果などの望ましい生物学的効果に対して、影響を及ぼすのに十分な量をいう。したがって、医薬組成物または方法の各活性成分の総量は、限定することなく、免疫刺激を特徴とする慢性の病態の回復などの、有意義な患者の利益を示すのに十分である。したがって、「薬学的有効量」は、それが投与される状況に依存するであろう。薬学的有効量は、1または2以上の予防的または治療的投与において投与してよい。それのみで投与される個別の活性成分に適用される場合、この用語は、その成分のみをさす。組み合わせに適用される場合は、この用語は、組み合わせ投与か、連続投与か、または同時投与であるかどうかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせの量をさす。
【0063】
「処置」という語は一般的に、症状の緩和、または疾病の進行を遅らせるかまたは改善することを含み得る、有益な、または所望の結果を得ることを意図したアプローチをいう。
【0064】
本発明は、ヒトTLR4(配列番号:282)に特異的な核酸に相補的な、アンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、(i)TLR4 mRNAコード配列の標的領域、5’非翻訳領域または3’非翻訳領域に関して、(ii)それらの化学的修飾において、または(iii)両方に関して、最適化されている。幾つかの態様において、化合物は、TLR4 mRNAのコード領域のヌクレオチド142〜2661内、または5’非翻訳領域のヌクレオチド1〜141内、または3’非翻訳領域の2662〜5503内の領域に相補的である。(配列番号:282)
【0065】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、TLR4媒介性免疫応答の阻害が有益である疾患の処置および/または予防に、有用である。本発明の有用なTLR4標的化アンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、限定することなく、天然のヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、および/または主鎖修飾オリゴヌクレオチドを含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドが挙げられる。しかしながら、mRNAがコードするタンパク質の翻訳を阻害するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、非所望の生物学的効果を生成することができ、これらには限定することなく以下が含まれる:不十分に活性なアンチセンスオリゴヌクレオチド、不適切な生物学的利用能、準最適薬学動態、または薬理学、および免疫刺激。したがって本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの最適なデザインには、相補配列の単純な設計を超えた多くの考慮が必要である。したがって、本発明のTLR4標的化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンス活性に対する二次構造干渉を制限するため、オリゴヌクレオチドの標的特異性を増強するため、結合因子または競合因子(例えばタンパク質)との相互反応を最小化するため、細胞取り込み、安定性、生物学的利用能、薬物動態および薬力薬理学を最適化するため、および/または免疫細胞活性化を阻害、防止または抑制するために、必要な改変を組み込むことが意図される。
【0066】
ヒトTLR4遺伝子は、組織特異的に発現する4kb、5kbおよび7kbの転写物として発現し(Medzhitov et al. (1997) Nature 388:394-397; Rock et al. (1998) Proc. Nat. Acad. Sci. 95:588-593)、上皮細胞、B細胞、および骨髄細胞において最も富んでいる。転写物は、ヒトにおいて841アミノ酸タンパク質をコードする、2.5kbコード領域を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、TLR4発現を阻害するための標的としてもっとも効果的に作用する、TLR4核酸配列の最適に利用可能な部分に特異的にハイブリダイズするように設計された。これらのTLR4遺伝子の標的化領域は、既知のエクソンまたは5’非翻訳領域の部分を含む。さらに、イントロン−エクソン境界、3’非翻訳領域およびイントロンは、TLR4発現のアンチセンス阻害についての、潜在的に有用な標的である。ヒトTLR4に特異的な、いくつかの代表的な非限定的オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、配列番号:1〜281を有する。本発明の最適化オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、配列番号:7、8、17、24、30、49、86、100、102、115、121、126、136、146、184または256を有するものを含む。
【0067】
本発明ののオリゴヌクレオチドは少なくとも14ヌクレオチド長であるが、好ましくは15〜60ヌクレオチド長、好ましくは20〜50ヌクレオチド長である。いくつかの態様において、これらのオリゴヌクレオチドは、約14〜28のヌクレオチド、または約16〜25のヌクレオチド、または約18〜22のヌクレオチド、または20のヌクレオチドを含む。これらのオリゴヌクレオチドは、ホスホルアミデートまたはH−ホスホナートケミストリなどの当分野で認識されている方法により調製可能であり、これらは、手動で、または自動化合成機により実施することができる。本発明の合成TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、TLR4 mRNAにハイブリダイズするそれらの能力を損なうことなく、多くの方法で修飾してよい。かかる修飾には、オリゴヌクレオチドの少なくとも1つのヌクレオチド間結合が、以下であるものを含む:アルキルホスホナート、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、ホスフェートエステル、アルキルホスホノチオアート、ホスホルアミデート、カルバメート、カルボナート、ホスフェートトリエステル、アセトアミダート、またはカルボキシメチルエステル、またはこれらの組み合わせおよび、1つのヌクレオチドの5’末端と、他のヌクレオチドの3’末端の間の別のヌクレオチド間結合であって、ここで5’ヌクレオチドホスホジエステル結合が、任意数の化学基により置き換えられているもの。
【0068】
例えば、米国特許第5,149,797号には、メチルホスホナートまたはホスホルアミデート隣接領域の間に挿入されたホスホロチオアートコア領域を有する、伝統的なキメラオリゴヌクレオチドが記載されている。米国特許5,652,356号には、オリゴヌクレオチドホスホロチオアートの1または2以上の領域に隣接する、1または2以上の非イオン性オリゴヌクレオチド領域(例えばアルキルホスホナート、および/またはホスホルアミデートおよび/またはホスホトリエステルヌクレオシド間結合)を含む、「逆転」キメラオリゴヌクレオチドが開示されている。修飾ヌクレオチド間結合を有する種々のオリゴヌクレオチドが、標準法により調製可能である。ホスホロチオアート結合は、混合されたRpおよびSpエナンチオマーであってよく、またはこれらは、標準の手順によりRpまたはSp形態のどちらかの、立体規則的または実質的に立体規則的なものとして作られてもよい。
【0069】
自己安定化オリゴヌクレオチドもまた、本発明の方法において有用な修飾オリゴヌクレオチドと考えられる(Tang et al. (1993) Nucleic Acids Res. 20:2729-2735)。これらのオリゴヌクレオチドは、2つの領域を含む:標的とハイブリダイズする領域;および、自己安定化オリゴヌクレオチド内にある核酸配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を有する、自己相補的領域。
【0070】
その他の修飾としては、オリゴヌクレオチド分子の内部または末端(1または2以上)におけるものであって、ヌクレオシド間ホスフェート結合への分子の付加物を含み、例えばコレステロール、コレステリルまたはアミノ基間に種々の数の炭素残基を有するジアミン化合物、および末端のリボース、デオキシリボースおよびホスフェート修飾物であって、切断するか、または反対側の鎖に、またはゲノムに結合する関連酵素もしくは他のタンパク質に架橋するものである。かかる修飾オリゴヌクレオチドの例としては、修飾塩基および/またはリボースの代わりにアラビノースなどの糖を有するオリゴヌクレオチド、または、その3’および5’位の両方においてヒドロキシル基(その3’位において)およびホスフェート基(その5’位において)以外の化学基に付着している糖を有する、3’,5’−置換オリゴヌクレオチドが挙げられる。
【0071】
糖への修飾の他の例は、リボース部分の2’位への修飾を含み、これには限定することなく、1〜6個の飽和または不飽和炭素原子を含む−O−アルキル基により、または−O−アリールにより、または2〜6個の炭素原子を有する−O−アリル基により置換された2’−O−を含み、かかる−O−アルキル、−O−アリール、または−O−アリル基は非置換であるか、ハロ、ヒドロキシ、トリフルオロメチルシアノ、ニトロアシルアシルオキシ、アルコキシ、カルボキシ、カルバルコキシルまたはアミノ基により置換されていてもよい。これらの置換のいずれも、リボースの場合は天然の2’−ヒドロキシル基を、またはデオキシリボースの場合は2’1−Hを除外することを意図しない。
【0072】
本発明のオリゴヌクレオチドは、1または2以上のリボヌクレオチドを含むことができる。例えば、米国特許第5,652,355号には、DNAコア領域に隣接する2’−O−置換リボヌクレオチドの領域を有する、伝統的なハイブリッドオリゴヌクレオチドが開示されている。米国特許第5,652,356号には、2つのオリゴデオキシリボヌクレオチド領域の間の2’−O−置換(または2’OH、非置換)RNA領域を含むオリゴヌクレオチドを含む、「逆転」ハイブリッドオリゴヌクレオチドが開示され、これは、「伝統的な」ハイブリッドオリゴヌクレオチドに対して「逆転」した構造である。本発明の特に有用なオリゴヌクレオチドの非限定的例は、2’−O−アルキル化リボヌクレオチドをそれらの3’、5’、または3’および5’末端において有し、少なくとも4または5つの連続したヌクレオチドがこのように修飾されている。2’−O−アルキル化基の非限定的例としては、2’−O−メチル、2’−O−エチル、2’−O−プロピル、2’−O−ブチルおよび2’−O−メトキシメチルを含む。
【0073】
他の修飾オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ抵抗性付与バルク置換基でその3’および/または5’末端をキャップされているか、1つのヌクレオチドあたり1つの非架橋酸素において置換基を有する。かかる修飾は、ヌクレオシド間結合のいくつかにおいて、またはその全てにおいて、およびオリゴヌクレオチドの末端の片側または両側および/または分子の内部において、生じることができる。
【0074】
本発明のオリゴヌクレオチドは、1または2以上のアンチセンスオリゴヌクレオチド、または他の核酸含有化合物であって、本発明のアンチセンス分子とは同一領域へ標的されないもの、組み合わせて投与することができる。かかる他の核酸含有化合物は、限定されることなく、リボザイム、RNAi分子、siRNA、miRNA、およびアプタマーを含む。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドがなければTLR4媒介性免疫応答を活性化させる、1または2以上の化合物または組成物と、組み合わせて投与することができる。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、1または2以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アプタマー、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、キナーゼ阻害剤、STATタンパク質の阻害剤、もしくは共刺激分子またはこれらの組み合わせと組み合わせて投与することができる。
【0075】
TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの非限定的なリストを、配列番号:1〜配列番号:170および下の表2に示す。本発明の最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:7、8、17、24、30、49、86、100、102、115、121、126、136、146、184または256を有するものを含む。表2において、オリゴヌクレオチドベースのTLR4アンチセンス化合物は全て、ホスホロチオアート(PS)結合を有する。当業者はしかし、ホスホジエステル(PO)結合、またはPS結合とPO結合の混合も用いることができることを認識するであろう。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

【0076】
ASは、アンチセンスの略記である。下線のヌクレオチドは2’−O−メチルリボヌクレオチドである;他の全ては2’−デオキシリボヌクレオチドである。全ての配列はホスホロチオアート主鎖が修飾されている。例示の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおいて、「CG」ジヌクレオチドが配列に含まれている場合、かかるオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激特性を除去または妨害するように修飾されている。
【0077】
別の側面において、本発明は、少なくとも1つの本発明の最適化アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび生理学的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤を含む組成物を提供する。担体の特性は、投与経路に依存する。かかる組成物は、合成オリゴヌクレオチドおよび担体に加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、および当分野によく知られた他の材料を含んでよい。本発明の医薬組成物はまた、TLR4発現の阻害を強化する他の活性因子および/または剤を含んでもよい。例えば、それぞれがTLR4 mRNAの異なる領域に指向された合成オリゴヌクレオチドの組み合わせを、本発明の医薬組成物に用いてよい。本発明の医薬組成物は、さらに、ヌクレオチド類似体、例えばアジドチミジン、ジデオキシシチジン、ジデオキシイノシンなどを含んでよい。かかる付加因子および/または剤は、医薬組成物に含有されて、本発明の合成オリゴヌクレオチドとの相乗効果、付加効果または増強効果を生成し、または本発明の合成オリゴヌクレオチドに起因する副作用を最小化することができる。本発明の医薬組成物はリポソームの形態であってよく、ここでは本発明の合成オリゴヌクレオチドが、他の薬学的に許容し得る担体に加えて、脂質などの両親媒性剤であって、ミセル、不溶性単層、液晶、または水溶液中の層状の層として凝集形態で存在するものと組み合わせられている。リポソーム製剤用に好適な脂質としては、限定することなく、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リソレシチン、ホスホリピッド、サポニン、胆汁酸などが挙げられる。特に有用な脂質担体は、リポフェクチンである。かかるリポソーム製剤の調製は、当業者のレベル内であり、例えば米国特許第4,235,871号;第4,501,728号; 第4,837,028号;および第4,737,323号に開示されている通りである。本発明の医薬組成物はさらに、オリゴヌクレオチドの、細胞または遅延放出ポリマーへの送達を強化する、シクロデキストリンなどの化合物を含んでもよい。
【0078】
別の側面において、本発明は、TLR4発現を阻害する方法を提供する。この方法において、本発明の1つのオリゴヌクレオチドまたは複数のオリゴヌクレオチドは、in vitroまたは細胞内のどちらかで、TLR4 mRNAと特異的に接触またはハイブリダイズする。
【0079】
別の側面において、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおけるTLR4の発現を阻害するための方法を提供し、かかる方法は、該哺乳動物に対して、本発明の化合物または組成物を投与することを含む。当業者は、本発明のアンチセンス化合物および組成物は、種々の手段によって投与することができることを理解するだろう。かかる投与のための手段の一つは、例3に従う。本発明の化合物または組成物のアンチセンス活性は、TLR4 mRNAおよびTLR4タンパク質の濃度の測定によって、決定することができる。本発明の例示のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、in vivoにおけるTLR4発現の下方制御を起こすことが可能であるとの実証が、データから予測される。
【0080】
別の側面において、本発明は、哺乳動物におけるTLR4媒介性の免疫応答を阻害する方法を提供し、該方法は、該哺乳動物に対して、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的有効量を投与することを含み、ここで投与経路としては、限定することなく、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃による、皮膚パッチ、または点眼剤または洗口剤の形態が挙げられる。当業者は、かかる投与の一つが、例3に従って、または既知の方法によって達成することができることを理解するだろう。本発明の化合物または組成物のアンチセンス活性は、TLR4シグナル伝達に関連するバイオマーカーを測定することにより、例えば、限定されることなく、IL−12を測定することにより、決定できる。本発明の例示のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、in vivoにおけるTLR4発現の下方制御を起こし、TLR4アゴニストによるIL−12の誘導を防止可能であるとの実証が、データから予測される。より一般的には、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの、TLR4アゴニストによる炎症促進性サイトカインの誘導を阻害する能力の実証が、データから予測される。
【0081】
別の側面において、本発明は、TLR4により媒介される疾患を有する哺乳動物を治療的に処置する方法を提供し、かかる方法は、該哺乳動物、特にヒトに対して、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的有効量を投与することを含む。
【0082】
ある態様において、疾患は、癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、マラリア、ライム病、眼の感染症、結膜炎、皮膚障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶反応、アレルギー、喘息または病原菌による疾患である。好ましい自己免疫障害は、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症を含む。ある態様において、炎症性疾患は、限定することなく、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性乾癬、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再かん流障害、関節リウマチ、移植拒絶反応、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、結膜炎および血管炎を含む。
【0083】
第7の側面において、本発明は、TLR4により媒介される疾患または障害にかかるかまたは発症するリスクのある哺乳動物、特にヒトにおいて、疾患または障害を予防する方法を提供する。かかる方法は、該哺乳動物に対して、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたは組成物の予防有効量を投与することを含む。かかる疾患または障害としては、限定することなく、脊椎動物における癌、自己免疫障害、気道炎症、炎症性疾患、感染症、マラリア、ライム病、眼の感染症、結膜炎、皮膚障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶反応、アレルギー、喘息または病原菌による疾患を含む。自己免疫障害は、限定することなく、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症を含む。炎症性疾患は、限定することなく、気道炎症、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性乾癬、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再かん流障害、関節リウマチ、移植拒絶反応、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、結膜炎および血管炎を含む。
【0084】
別の側面において、本発明は、哺乳動物にTLR4 mRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびTLR4タンパク質のアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤またはSTATタンパク質の阻害剤を投与することを含む、哺乳動物におけるTLR4の発現および活性を阻害するための方法を提供する。したがって、残存的に発現したいずれのTLR4タンパク質は、アンタゴニストによって阻害されながら、TLR4の発現は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによって阻害される。好ましいアンタゴニストは、抗−TLR4抗体または結合断片またはそれらのペプチド模倣薬、RNAベースの化合物、オリゴヌクレオチドベースの化合物、およびTLR4活性またはシグナル伝達タンパク質活性の小分子阻害剤を含む。
【0085】
本発明の種々の方法において、TLR4の発現の阻害に効果的である本発明の合成オリゴヌクレオチドの、治療または予防有効量を、細胞に投与する。この細胞は、細胞培養物、血管新生組織培養物の一部であってよく、またはヒトもしくは他の哺乳動物などの哺乳動物の一部もしくは全身であってよい。TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの治療組成物の投与は、既知の手順を用いて、当業者により決定されるように病態および応答に依存して、疾患の症状または代理マーカーを低下させるのに効果的な用量と時間の間、行うことができる。本発明の1または2以上の治療的TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの治療有効量を、個人に対して、単回の処置エピソードとして、同時にまたは連続して投与することが望ましい場合もある。上記本発明の方法のいくつかの例示の態様において、オリゴヌクレオチドは、局所的および/または全身的に投与される。用語「局所的に投与する」とは、身体の規定の場所または領域に送達することをいい、一方用語「全身投与」とは、生物全体への送達を包含することを意味する。
【0086】
本発明の全ての方法において、1または2以上のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、単独で、またはTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの免疫調節効果を減じさせない、疾患または病態を処置するのに有用な任意の他の剤と組み合わせて投与することができる。本発明の全ての方法において、疾患または病態を処置するのに有用な剤としては、限定することなく、1種または2種以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、アプタマー、ペプチド、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバントまたはキナーゼ阻害剤であって、免疫応答の特異性または程度を強化するもの、または共刺激分子、例えばサイトカイン、ケモカイン、タンパク質リガンド、トランス活性化因子、ペプチドおよび修飾アミノ酸を含むペプチドが挙げられる。例えば、自己免疫疾患の処置において、TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1または2以上の標的化治療剤および/またはモノクローナル抗体と組み合わせて投与できることが意図される。あるいは、剤としては、抗原またはアレルゲンをコードするDNAベクターを含むことができる。これらの態様において、本発明のTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、直接免疫調節または抑制効果を生成することができる。1または2以上の他の療法と組み合わせて投与される場合、本発明の合成オリゴヌクレオチドは、他の療法(単数または複数)と同時に、または順番に投与してよい。
【0087】
本発明の種々の方法において、投与経路は、限定することなく、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃による、皮膚パッチ、または点眼剤または洗口剤の形態であってよい。
【0088】
本発明の合成オリゴヌクレオチドの治療有効量を経口的に投与する場合、合成オリゴヌクレオチドは、錠剤、カプセル、散剤、溶液またはエリキシル剤の形態である。錠剤形態で投与する場合、本発明の医薬組成物はさらに、ゼラチンまたはアジュバントなどの固体担体を含んでよい。錠剤、カプセル、および散剤は、約5〜95%の合成オリゴヌクレオチドを、好ましくは約25〜90%の合成オリゴヌクレオチドを含む。液体形態で投与する場合、水、石油、動物または植物起源の油、例えばピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油、または合成油などの液体担体を加えてもよい。医薬組成物の液体形態はさらに、生理食塩水、デキストロースまたは他のサッカライド溶液またはグリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを含んでよい。液体形態で投与する場合、医薬組成物は、約0.5〜90重量%の合成オリゴヌクレオチドを、または約1〜50重量%の合成オリゴヌクレオチドを含む。
【0089】
本発明の合成オリゴヌクレオチドの治療有効量を、非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃により、皮膚パッチ、または点眼剤または洗口剤の形態により投与する場合、合成アンチセンスオリゴヌクレオチドは、発熱物質なしの、非経口的に許容し得る水溶液の形態である。かかる非経口的に許容し得る水溶液で、pH、等張性、安定性などを有するものは、当分野の範囲内である。非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃による、皮膚パッチ、または点眼剤または洗口剤の形態のための例示の医薬組成物は、合成オリゴヌクレオチドに加えて、等張性ビヒクル、例えば塩化ナトリウム注射液、リンガー液、デキストロース液、デキストロースおよび塩化ナトリウム液、乳酸加リンガー液、または当分野で知られている他のビヒクルなどを含むべきである。本発明の医薬組成物はまた、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤または当業者に知られている他の添加物も含んでよい。
【0090】
非経口、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃による、皮膚パッチ、または点眼剤または洗口剤の形態により投与する場合、0.01%〜10%(重量/容積)の用量を用いてよい。液体形態で投与する場合、水、石油、動物または植物起源の油、例えばピーナッツ油、鉱油、大豆油、ゴマ油、または合成油などの液体担体を加えてもよい。局所投与は、リポソームまたは経皮的時間放出パッチによることができる。
【0091】
本発明の医薬組成物中の合成オリゴヌクレオチドの量は、処置される病態の特質および重篤度、および患者が受けた前の処置の特質に依存する。本発明の方法を実施するために用いる種々の医薬組成物は、1kgの身体または器官の重量毎に約10μg〜約20mgの合成オリゴヌクレオチドを含むべきであることが企図される。
【0092】
本発明の医薬組成物を用いる経静脈療法の継続時間は、処置される疾患の重篤度および、各個々の患者の病態および潜在的特異的応答に依存して変化する。
【0093】
いくつかの疾患には急性の処置が必要であり、一方他は、より長期間の治療が必要である。疾患における急性および長期の介入は、両者ともに大事なゴールである。TLR4に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの注射は、急性の状況における一定の疾患を阻害する有効な手段となりえる。しかし、何週間、何ヶ月または何年間にもおよぶ長期の療法については、生理食塩水、遅延放出ポリマーまたはリポソームなどの担体を用いる全身的送達(腹腔内、筋肉内、皮下、静脈内)も考えられる。
【0094】
いくつかの慢性疾患において、オリゴヌクレオチドの全身投与が好ましい可能性がある。注射の頻度は、連続的注入から1ヶ月に1回、1ヶ月に数回であり、またはそれ以下の頻度は、疾患のプロセスおよびオリゴヌクレオチドの生物学的半減期に基づき決定される。
【0095】
本発明のオリゴヌクレオチドおよび方法はまた、細胞内、対照哺乳動物、またはTLR4もしくはTLR4を介した免疫刺激に関連する疾患に苦しむ哺乳動物における、TLR4遺伝子の機能を試験するためにも有用である。かかる使用において、細胞または哺乳動物は、オリゴヌクレオチドを投与され、TLR4 mRNAまたはタンパク質の発現が試験される。
【0096】
いかなる理論またはメカニズムにも限定される意図はなく、本発明のオリゴヌクレオチドの活性は、オリゴヌクレオチドの標的核酸(例えば、ゲノム領域、遺伝子またはそのmRNA転写物の少なくとも一部)へのハイブリダイゼーションに依存し、こうして標的の機能を妨害すると一般に考えられている。生理学的条件下でのかかるハイブリダイゼーションは、核酸配列の機能への干渉を観察することにより、実際に測定される。したがって、本発明にしたがって用いられる例示のオリゴヌクレオチドは、標的核酸と安定な二本鎖(またはフーグスティーンもしくは他の水素結合対合機構においては三本鎖)を形成することができ;RNaseHまたは他のin vivo酵素を活性化させ、これにより標的RNA分子の有効な分解を引き起こし;in vivoで核酸分解に抵抗する能力を有する(例えばエンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ活性)。当分野で知られている、オリゴヌクレオチドに対する上述の多数の修飾等は、これらの例示の特徴の各々に特異的にかつ成功して関与している。
【0097】
本明細書に引用された特許および出版物は、当分野の知識のレベルを反映し、これらはその全体が、ここに参照として組み込まれる。これらの特許および出版物と本明細書の教示の間におけるいかなる不一致も、後者を支持して解決されるべきである。当業者は、ルーチンの実験以上のものを用いることなく、本明細書に記載の特定の物質および手順の多数の等価物を認識し、または解明することができる。例えば、オリゴヌクレオチドとオーバーラップするアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてもよい。かかる等価物は本発明の範囲内と考えられる。
【0098】
以下の例は、本発明を作製し、実施するための例示の様式を説明するが、代替法を用いて類似の結果を得ることができるため、これは本発明の範囲を限定することは意味しない。
【0099】
実施例
例1:
TLR4特異的アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
本発明の化学的実体を、1μmol〜0.1mMスケールで、自動化DNA合成機(OligoPilot II, AKTA (Amersham)および/またはExpedite 8909 (Applied Biosystem))を用いて、図1に概説したリニア合成手順に従って合成した。
【0100】
5’−DMTdA、dG、dCおよびTホスホルアミダイトは、Proligo(Boulder, CO)から購入した。5’−DMT7−デアザ−dGおよびaraGホスホルアミダイトは、Chemgenes(Wilmington, MA)より入手した。DiDMT−グリセロールリンカー固体支持体は、Chemgenesより入手した。1−(2’−デオキシ−β−D−リボフラノシル)−2−オキソ−7−デアザ−8−メチル−プリンアミダイトは、Glen Research(Sterling, VA)より入手し、2’−O−メチルリボヌクレオシドアミダイトは、Promega(Obispo, CA)より入手した。本発明の全ての化合物は、ホスホロチオアート主鎖修飾であった。
【0101】
全てのヌクレオシドホスホルアミダイトは、31PおよびH HMRスペクトルにより特定した。修飾ヌクレオシドは、供給業者推奨の通常のカップリングサイクルを用いて、特定部位に組み込んだ。合成の後、化合物は濃縮水酸化アンモニウムを用いて脱保護し、逆相HPLCにより精製し、脱トリチル化し、続いて透析した。ナトリウム塩形態の精製化合物は、使用の前に凍結乾燥した。純度はCGEおよびMALDI−TOF MSにより試験した。エンドトキシンレベルをLAL試験により決定し、これらは1.0EU/mg未満であった。
【0102】
例2:
細胞培養条件および試薬
TLR4アンチセンス活性のためのHEK293細胞培養アッセイ
ヒトTLR4/CD14/MD−2(Invivogen, San Diego, CA)を安定に発現するHEK293細胞を、48ウェルプレート中の250μL/ウェルの10%熱不活性化FBS添加DMEM中で、5%のCO2インキュベータ内にてプレートした。80%のコンフルエンス時点で、培養物を、培養培地中4μL/mLのリポフェクタミン(Invitrogen, Carlsbad, CA)の存在下で、分泌型ヒト胎盤由来アルカリホスファターゼ(SEAP)レポータープラスミド(pNifty2−Seap)(Invivogen)400ng/mLを用いて、一時的にトランスフェクトした。SEAPレポータープラスミドは、NF−κBによって誘導可能である。プラスミドDNAおよびリポフェクタミンを、血清非含有培地中で別々に希釈し、室温で5分間インキュベートした。インキュベーションの後、希釈DNAおよびリポフェクタミンを混合し、混合物を室温でさらに20分間インキュベートした。100ngのプラスミドDNAおよび1μLのリポフェクタミンを含有するDNA/リポフェクタミン混合物25μLのアリコートを、細胞培養プレートの各ウェルに加え、細胞を6時間トランスフェクトした。トランスフェクションの後、培地を新鮮な培養培地(抗生物質なし)と取り替え、アンチセンス化合物をウェルに加え、インキュベーションを18〜20時間継続した。細胞を次に、ヒトTLR4アゴニスト、LPSを12.5ng/mlで6時間刺激した。
【0103】
処理の終わりに、20μLの培養物上清を各ウェルからとり、SEAPについて、製造業者のプロトコルに従い(Invivogen)Quanti Blue法によりアッセイした。データを図2に示す。図2のデータは、対照と比較したNF−κB活性を示し、(i)本願発明による例示のヒトTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、免疫刺激性ではないこと(アンチセンスのみ);および(ii)本願発明による例示のヒトTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドは、TLR4の発現および活性化を阻害すること(アゴニスト+アンチセンス)を実証する。
【0104】
例3:
TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドのin vivo活性
5〜6週齢のメスのC57BL/6マウス(N=3/群)に、本発明の例示のマウスTLR4アンチセンスオリゴヌクレオチド5mg/kg、またはPBSを、皮下で1日1回、3日間注射した。TLR4アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与に続き、マウスに0.25mg/kgのTLR4アゴニストを皮下注射する。TLR4アゴニスト投与の2時間後、血液を収集し、TLR4 mRNA、TLR4 タンパク質、およびIL−12濃度をELISAにより決定する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20〜50ヌクレオチド長の、TLR4 mRNA(配列番号:282)に相補的な合成アンチセンスオリゴヌクレオチドであって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号:7、8、17、24、30、49、86、100、102、115、121、126、136、146、184または256を含む配列を有し、前記オリゴヌクレオチドは、ヒトTLR4に特異的にハイブリダイズしてその発現を阻害する、前記アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび生理学的に許容し得る担体を含む、組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、TLR4の発現を阻害する方法。
【請求項4】
請求項2に記載の組成物を投与することを含む、TLR4の発現を阻害する方法。
【請求項5】
哺乳動物におけるTLR4の発現を阻害する方法であって、哺乳動物に対して、請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
哺乳動物におけるTLR4の発現を阻害する方法であって、哺乳動物に対して、請求項2に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
哺乳動物におけるTLR4媒介性免疫応答を阻害する方法であって、哺乳動物に対して、請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
哺乳動物におけるTLR4媒介性免疫応答を阻害する方法であって、哺乳動物に対して、請求項2に記載の組成物の薬学的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
TLR4により媒介される1または2以上の疾患または障害を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、前記哺乳動物に対して、請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
TLR4により媒介される1または2以上の疾患または障害を有する哺乳動物を治療的に処置する方法であって、前記哺乳動物に対して、請求項2に記載の組成物の薬学的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
TLR4により媒介される1または2以上の疾患または障害を有する哺乳動物において、疾患または障害を予防する方法であって、前記哺乳動物に対して、請求項1に記載の合成アンチセンスオリゴヌクレオチドの予防有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
TLR4により媒介される1または2以上の疾患または障害を有する哺乳動物において、疾患または障害を予防する方法であって、前記哺乳動物に対して、請求項2に記載の組成物の予防有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
哺乳動物がヒトである、請求項5〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
1または2以上の疾患または障害が、癌、自己免疫疾患または障害、気道炎症、炎症性疾患または障害、感染症、マラリア、ライム病、眼の感染症、結膜炎、皮膚障害、乾癬、強皮症、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、慢性疲労症候群、サルコイドーシス、移植拒絶反応、アレルギー、喘息および病原菌による疾患からなる群から選択される、請求項9〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
自己免疫疾患または障害が、エリテマトーデス、多発性硬化症、I型糖尿病、過敏性腸症候群、クローン病、関節リウマチ、敗血症ショック、全身性脱毛症、急性播種性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、水疱性類天疱瘡、シャーガス病、慢性閉塞性肺疾患、セリアック病、皮膚筋炎、子宮内膜症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、汗腺膿瘍、特発性血小板減少性紫斑病、間質性膀胱炎、限局性強皮症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直、天疱瘡、悪性貧血、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、統合失調症、シェーグレン症候群、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」)、血管炎、白斑、外陰部痛およびウェゲナー肉芽腫症からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
炎症性疾患または障害が、気道炎症、喘息、自己免疫疾患または障害、慢性炎症、慢性乾癬、糸球体腎炎、ベーチェット病、過敏症、炎症性腸疾患、再かん流障害、関節リウマチ、移植拒絶反応、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、結膜炎および血管炎からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
投与経路が、非経口、筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内、粘膜送達、経口、舌下、経皮、局所、吸入、鼻腔内、エアロゾル、眼内、気管内、直腸内、膣内、遺伝子銃、皮膚パッチ、点眼、および洗口からなる群から選択される、請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
1種または2種以上のワクチン、抗原、抗体、細胞毒性剤、アレルゲン、抗生物質、アンチセンスオリゴヌクレオチド、TLRアゴニスト、TLRアンタゴニスト、siRNA、miRNA、アプタマー、タンパク質、遺伝子治療ベクター、DNAワクチン、アジュバント、共刺激分子、キナーゼ阻害剤またはこれらの組み合わせをさらに投与することを含む、請求項3〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物に対して、TLR4 mRNAに相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドおよびTLR4タンパク質アンタゴニストを投与することを含む、哺乳動物におけるTLR4発現および活性を阻害する方法。
【請求項20】
TLR4アンタゴニストが、抗TLR抗体または結合断片もしくはそれらペプヂド模倣薬、RNAベース化合物、オリゴヌクレオチドベース化合物、およびTLR4活性の小分子阻害剤からなる群から選択される、請求書項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3−2】
image rotate


【公表番号】特表2012−508012(P2012−508012A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535640(P2011−535640)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063254
【国際公開番号】WO2010/053975
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(398032717)イデラ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】Idera Pharmaceuticals, Inc.
【Fターム(参考)】