アンチセンスオリゴヌクレドチドによるSTAT3発現の調節

【課題】ヒトSTAT3の発現を抑制するための化合物、組成物、及び方法の提供。
【解決手段】組成物は、STAT3をコードする核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。STAT3の発現の抑制及びアポトーシスの促進のための、これらオリゴヌクレオチドの使用。オリゴヌクレオチドは、STAT3をコードする、好ましくはmRNAである核酸分子と特異的にハイブリダイズする。STAT3の過剰発現若しくは構成的な活性化、又は不十分なアポトーシスに関連した疾病、特に炎症性疾患及び癌の治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然に存在する、シグナル伝達及び転写活性に関与するDNA結合タンパク質をコード化し、また疾患と関係するヒトSTAT3遺伝子の発現を調節するための組成物及び方法に関する。本発明はまた、STAT3が介在するシグナル伝達及び転写活性を抑制する方法にも関し、これらの方法は診断的又は治療的に使用することができる。更に、本発明はヒトSTAT3遺伝子の発現に関連した状態の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
STAT(シグナルトランスデューサー及び転写活性化因子)タンパク質は、シグナル伝達及び転写活性において二重の役割を有するDNA結合タンパク質である。現在、STATファミリーには6種類の独立したメンバー(STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5、及びSTAT6)、並びに数種のアイソフォーム(STAT1−α、STAT1−β、STAT3−α及びSTAT3−β)が存在している。STATの活性は、種々のサイトカイン及び有糸分裂刺激によって調節される。サイトカインがその受容体に結合すると、その受容体と関連したJanusタンパク質チロシンリン酸化酵素(JAK)が活性化される。活性化されたJanusタンパク質チロシンリン酸化酵素は次にSTATをリン酸化し、その結果STATが核へ転位し、STAT反応性遺伝子の転写が活性化される。STAT上の特定のチロシン残基のリン酸化によりSTATが活性化し、その結果STATのホモ二量体及び/又はヘテロ二量体が形成され、それが特定の遺伝子プロモーター配列に結合する。サイトカインがSTAT活性化を介して介在する出来事には、細胞の増殖及び分化、並びにアポトーシスの予防が含まれる。
【0003】
STAT活性化の特異性は、サイトカインの特異性を原因とする。即ち、各STATは、少数の特定のサイトカインと反応する。例えば成長因子のような他の非サイトカインシグナル伝達分子も、STATを活性化することが知られている。これらの因子がタンパク質チロシンリン酸化酵素と関連した細胞表面の受容体に結合すると、やはりSTATがリン酸化される。
【0004】
STAT3[急性期応答因子(APRF)、STAT3−αも同様]は特に、インターロイキン−6(IL−6)及び上皮細胞成長因子(EGF)に反応することが知られている(Darnell、Jr.、J.E.等、Science、1994、264、1415−1421)。加えて、STAT3はインターフェロンによるシグナル伝達に重要な役割を果たすことが知られている(Yang、C.−H.等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1998、95、5568−5572)。STAT3がMAPK経路によって調節されている可能性を示す証拠が存在する。ERK2はセリンのリン酸化を誘導し、またSTAT3とも関連している(Jain、N.等、Oncogene、1998、17、3157−3167)。
【0005】
STAT3は殆どの種類の細胞内で発現している(Zhong、Z.等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1994、91、4806−4810)。STAT3は、創傷及び炎症に対する反応に関与する遺伝子の発現を誘導する。またSTAT3は、bcl−2の発現を通じてアポトーシスを予防することが示されている(Fukada、T.等、Immunity、1996、5、449−460)。
【0006】
STAT3の異常な、又は恒常的な発現は、多くの疾患過程に関与している。STAT3は、細胞の形質転換に関与していることが示されている。STAT3はv−srcによって形質転換した細胞にて恒常的に活性化されている(Yu、C.−L.等、Science、1995、269、81−83)。また恒常的に活性化されたSTAT3は、STAT3が介在する遺伝子発現を誘導し、srcによる細胞の形質転換に必須である(Turkson、J.等、Mol.Cell.Biol.、1998、18、2545−2552)。またSTAT3は、ヒトT細胞好性ウイルスI型(HTLV−I)によって形質転換された細胞において恒常的に活性化されている(Migone、T.−S.等、Science、1995、269、79−83)。
【0007】
STAT3の恒常的な活性化及び/又は過剰発現は、骨髄腫、乳癌、前立腺癌、脳腫瘍、頭頸部癌、黒色腫、白血病及びリンパ腫、特に慢性骨髄性白血病及び多発性骨髄腫を含む癌いくつかの形態に関与していると思われる(Niu等、Cancer Res.、1999、59、5059−5063)。EGFRを過剰に発現する乳癌細胞ラインにおいては、リン酸化されたSTAT3が恒常的に発現している(Sartor、C.I.等、Cancer Res.、1997、57、978−987、Garcia、R.等、Cell Growth and Differentiation、1997、8、1267−1276)。低分化膠芽腫及び髄芽腫においても、活性化されたSTAT3の値が増加していることが判っている(Cattaneo、E.等、Anticancer Res.、1998、18、2381−2387)。
【0008】
ラット及びヒト前立腺癌の双方に由来する細胞は、恒常的に活性化されたSTAT3を有し、STAT3の活性化は細胞の悪性度と相関することが示されている。ドミナントネガティブ(dominant−negative)なSTAT3の発現は、ヒト前立腺細胞の増殖を有意に抑制することが判っている(Ni等、Cancer Res.、2000、60、1225−1228)。
【0009】
またSTAT3は、数種の急性白血病及びT細胞リンパ腫において恒常的に活性化されていることが判っている(Yu、C.−L.等、J.Immunol.、1997、159、5206−5210)。興味深いことに、慢性リンパ性白血病において、STAT3はそのセリン残基において恒常的にリン酸化されていることが判っている(Frank、D.A.等、J.Clin.Invest.、1997、100、3140−3148)。加えて、STAT3に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドは、非小細胞肺癌の細胞(Song等、Oncogene22:4150、2003)及び前立腺癌の細胞(Mora等、Cancer Res.62:6659、2002)のアポトーシスを促進することが示されている。
【0010】
STAT3は、培養液内及び骨髄腫患者から得られた骨髄の単核球内いずれにおいても、骨髄腫の腫瘍細胞内で恒常的に活性化されていることが見出されている。これらの細胞は、Fas介在性のアポトーシスに対して抵抗性を有し、またBcl−xLを高いレベルで発現している。STAT3のシグナル伝達は、アポトーシスに抵抗性を付与することを介して、骨髄腫の腫瘍細胞の生存に必須であることが示されている(Catlett−Falcone、R.等、Immunity、1999、10、105−115)。恒常的に活性化されたSTAT3は、慢性骨髄性白血病とも関連している。従ってSTAT3は、多発性骨髄腫、及び活性化されたSTAT3のシグナル伝達を伴うその他の癌の、治療的介入の標的となり得る。多発性骨髄腫の患者の治療の選択肢は、必ずしも満足できるものではない。ベルケードは、評価可能な188人の患者を対象とした、生存率ではなく腫瘍の縮小率に基づく中心的な試験により2003年5月に認可された。患者の28%のみが一部反応した。データは現在、FDAにより再評価されている。化学療法に抵抗性を有する骨髄腫の新規な治療法に対する医学的必要性が存在することは明らかである。
【0011】
STAT3のドミナントネガティブな変異体を用いて、活性化STAT3を生体内で抑制するための、同系マウスの腫瘍モデルシステムにおける遺伝子治療的アプローチが行われた。活性化STAT3のシグナル伝達はB16黒色腫の成長を抑制し、生体内でB16腫瘍細胞のアポトーシスを誘導することが分かった。興味深いことに、アポトーシス細胞の数(95%)は形質移入細胞の数を上回った。これは炎症反応(急性及び慢性の炎症細胞による腫瘍組織の浸潤)が、残存する腫瘍細胞の殺傷に関与し得る抗腫瘍「傍観者効果(bystander effect)」の可能性を示している。
【0012】
またSTAT3は、関節リウマチを含む炎症性疾患でも役割を有する可能性がある。関節リウマチ患者の滑液(Sengupta、T.K.等、J.Exp.Med.、1995、181、1015−1025)、及び炎症を起こした関節から得られた細胞(Wang、F.等、J.Exp.Med.、1995、182、1825−1831)内にて、活性化STAT3が発見されている。
【0013】
交互のスプライシングがSTAT3βを形成し、該STAT3βは、そのC末端に存在する55アミノ酸残基が欠損している特徴を有する。この領域はトランス活性化領域含み、従ってSTAT3βは、STAT3の機能の負の制御因子として働く可能性がある。STAT3βはSTAT3と比較して安定しており、より強力なDNA結合活性を有するのに対し、STAT3は転写活性が高いことが分かっている。STAT3βは、STAT3同様、ホモ二量体を形成し、またSTAT及びSTAT3βは結合してヘテロ二量体を形成することもできる(Caldenhoven、E.等、J.Biol.Chem.、1996、271、13221−13227)。
【0014】
現在、STAT3の発現を抑制するためのアプローチがいくつか存在している。共にAkira、S.及びKisihmoto、Tに発行された米国特許第5、719、042号及び米国特許第5、844、082号は、炎症性疾患、白血病及び癌等のIL−6に関連した疾患の治療に、抗体、アンチセンス核酸及びリボザイムを含む、APRFを抑制する物質を用いることを示している。Schreiber、R.D.等は、米国特許第5、731、155号、米国特許第5、582、999号、及び米国特許第5、463、023号において、p91に結合する短いペプチドを用いて転写の活性化を抑制する方法を開示している。Darnell、J.E.等は、米国特許第5、716、622号において、STATのDNA結合領域を含むペプチド、DNA結合領域を含むキメラタンパク質、及びSTATの転写活性を抑制するための抗体を開示している。
【0015】
ヒトのSTAT3の翻訳開始領域を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用が開示されている(Grandis、J.R.等、J.Clin.Invest.、1998、102、1385−1392)。この報告によれば、STAT3の翻訳開始領域に対して相補的なホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)が介在するTGF−β刺激による細胞増殖を抑制している。これはSTAT3がEGFRシグナル伝達経路の構成要素であることを示唆している。STAT3の発現、及びSTAT3に関連した疾患過程を標的とした治療的組成物、及び治療法に対する必要性は未だ満たされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5、731、155号
【特許文献2】米国特許第5、582、999号
【特許文献3】米国特許第5、463、023号
【特許文献4】米国特許第5、716、622号
【特許文献5】米国特許第5、663、153号
【特許文献6】米国特許第3、687、808号
【特許文献7】米国特許第4、469、863号
【特許文献8】米国特許第4、476、301号
【特許文献9】米国特許第5、023、243号
【特許文献10】米国特許第5、177、196号
【特許文献11】米国特許第5、188、897号
【特許文献12】米国特許第5、264、423号
【特許文献13】米国特許第5、276、019号
【特許文献14】米国特許第5、278、302号
【特許文献15】米国特許第5、286、717号
【特許文献16】米国特許第5、321、131号
【特許文献17】米国特許第5、399、676号
【特許文献18】米国特許第5、405、939号
【特許文献19】米国特許第5、453、496号
【特許文献20】米国特許第5、455、233号
【特許文献21】米国特許第5、466、677号
【特許文献22】米国特許第5、476、925号
【特許文献23】米国特許第5、519、126号
【特許文献24】米国特許第5、536、821号
【特許文献25】米国特許第5、541、306号
【特許文献26】米国特許第5、550、111号
【特許文献27】米国特許第5、563、253号
【特許文献28】米国特許第5、571、799号
【特許文献29】米国特許第5、587、361号
【特許文献30】米国特許第5、194、599号
【特許文献31】米国特許第5、565、555号
【特許文献32】米国特許第5、527、899号
【特許文献33】米国特許第5、721、218号
【特許文献34】米国特許第5、672、697号
【特許文献35】米国特許第5、625、050号
【特許文献36】米国特許第5、034、506号
【特許文献37】米国特許第5、166、315号
【特許文献38】米国特許第5、185、444号
【特許文献39】米国特許第5、214、134号
【特許文献40】米国特許第5、216、141号
【特許文献41】米国特許第5、235、033号
【特許文献42】米国特許第5、264、562号
【特許文献43】米国特許第5、264、564号
【特許文献44】米国特許第5、405、938号
【特許文献45】米国特許第5、434、257号
【特許文献46】米国特許第5、466、677号
【特許文献47】米国特許第5、470、967号
【特許文献48】米国特許第5、489、677号
【特許文献49】米国特許第5、541、307号
【特許文献50】米国特許第5、561、225号
【特許文献51】米国特許第5、596、086号
【特許文献52】米国特許第5、602、240号
【特許文献53】米国特許第5、610、289号
【特許文献54】米国特許第5、602、240号
【特許文献55】米国特許第5、608、046号
【特許文献56】米国特許第5、618、704号
【特許文献57】米国特許第5、623、070号
【特許文献58】米国特許第5、663、312号
【特許文献59】米国特許第5、633、360号
【特許文献60】米国特許第5、677、437号
【特許文献61】米国特許第5、792、608号
【特許文献62】米国特許第5、646、269号
【特許文献63】米国特許第5、677、439号
【特許文献64】米国特許第5、539、082号
【特許文献65】米国特許第5、714、331号
【特許文献66】米国特許第5、719、262号
【特許文献67】米国特許第5、539、082号
【特許文献68】米国特許第5、719、262号
【特許文献69】米国特許第5、034、506号
【特許文献70】WO98/39352号
【特許文献71】WO99/14226号
【特許文献72】WO98−DK39319980914号
【特許文献73】米国特許第5、874、553号
【特許文献74】米国特許第6、127、346号
【特許文献75】米国特許第4、981、957号
【特許文献76】米国特許第5、118、800号
【特許文献77】米国特許第5、319、080号
【特許文献78】米国特許第5、359、044号
【特許文献79】米国特許第5、393、878号
【特許文献80】米国特許第5、446、137号
【特許文献81】米国特許第5、466、786号
【特許文献82】米国特許第5、514、785号
【特許文献83】米国特許第5、519、134号
【特許文献84】米国特許第5、567、811号
【特許文献85】米国特許第5、576、427号
【特許文献86】米国特許第5、591、722号
【特許文献87】米国特許第5、597、909号
【特許文献88】米国特許第5、610、300号
【特許文献89】米国特許第5、627、053号
【特許文献90】米国特許第5、639、873号
【特許文献91】米国特許第5、646、265号
【特許文献92】米国特許第5、658、873号
【特許文献93】米国特許第5、670、633号
【特許文献94】米国特許第5、792、747号
【特許文献95】米国特許第5、700、920号
【特許文献96】米国特許第6、147、200号
【特許文献97】米国特許第3、687、808号
【特許文献98】米国特許出願第10/155、920号
【特許文献99】米国特許出願第10/013、295号
【特許文献100】米国特許第6、028、183号
【特許文献101】米国特許第6、007、992号
【特許文献102】米国特許第4、845、205号
【特許文献103】米国特許第5、130、302号
【特許文献104】米国特許第5、134、066号
【特許文献105】米国特許第5、175、273号
【特許文献106】米国特許第5、367、066号
【特許文献107】米国特許第5、432、272号
【特許文献108】米国特許第5、434、257号
【特許文献109】米国特許第5、457、187号
【特許文献110】米国特許第5、459、255号
【特許文献111】米国特許第5、484、908号
【特許文献112】米国特許第5、502、177号
【特許文献113】米国特許第5、525、711号
【特許文献114】米国特許第5、552、540号
【特許文献115】米国特許第5、587、469号
【特許文献116】米国特許第5、594、121号
【特許文献117】米国特許第5、596、091号
【特許文献118】米国特許第5、614、617号
【特許文献119】米国特許第5、645、985号
【特許文献120】米国特許第5、646、269号
【特許文献121】米国特許第5、750、692号
【特許文献122】米国特許第5、830、653号
【特許文献123】米国特許第5、763、588号
【特許文献124】米国特許第6、005、096号
【特許文献125】米国特許第5、681、941号
【特許文献126】米国特許出願第09/996、292号
【特許文献127】PCT/US92/09196号
【特許文献128】米国特許出願公開第09/334、130号
【特許文献129】米国特許第4、828、979号
【特許文献130】米国特許第4、948、882号
【特許文献131】米国特許第5、218、105号
【特許文献132】米国特許第5、525、465号
【特許文献133】米国特許第5、541、313号
【特許文献134】米国特許第5、545、730号
【特許文献135】米国特許第5、552、538号
【特許文献136】米国特許第5、578、717号
【特許文献137】米国特許第5、580、731号
【特許文献138】米国特許第5、591、584号
【特許文献139】米国特許第5、109、124号
【特許文献140】米国特許第5、118、802号
【特許文献141】米国特許第5、138、045号
【特許文献142】米国特許第5、414、077号
【特許文献143】米国特許第5、486、603号
【特許文献144】米国特許第5、512、439号
【特許文献145】米国特許第5、578、718号
【特許文献146】米国特許第5、608、046号
【特許文献147】米国特許第4、587、044号
【特許文献148】米国特許第4、605、735号
【特許文献149】米国特許第4、667、025号
【特許文献150】米国特許第4、762、779号
【特許文献151】米国特許第4、789、737号
【特許文献152】米国特許第4、824、941号
【特許文献153】米国特許第4、835、263号
【特許文献154】米国特許第4、876、335号
【特許文献155】米国特許第4、904、582号
【特許文献156】米国特許第4、958、013号
【特許文献157】米国特許第5、082、830号
【特許文献158】米国特許第5、112、963号
【特許文献159】米国特許第5、214、136号
【特許文献160】米国特許第5、082、830号
【特許文献161】米国特許第5、112、963号
【特許文献162】米国特許第5、245、022号
【特許文献163】米国特許第5、254、469号
【特許文献164】米国特許第5、258、506号
【特許文献165】米国特許第5、262、536号
【特許文献166】米国特許第5、272、250号
【特許文献167】米国特許第5、292、873号
【特許文献168】米国特許第5、317、098号
【特許文献169】米国特許第5、371、241号
【特許文献170】米国特許第5、391、723号
【特許文献171】米国特許第5、416、203号
【特許文献172】米国特許第5、451、463号
【特許文献173】米国特許第5、510、475号
【特許文献174】米国特許第5、512、667号
【特許文献175】米国特許第5、514、785号
【特許文献176】米国特許第5、565、552号
【特許文献177】米国特許第5、567、810号
【特許文献178】米国特許第5、574、142号
【特許文献179】米国特許第5、585、481号
【特許文献180】米国特許第5、587、371号
【特許文献181】米国特許第5、595、726号
【特許文献182】米国特許第5、597、696号
【特許文献183】米国特許第5、599、923号
【特許文献184】米国特許第5、599、928号
【特許文献185】米国特許第5、688、941号
【特許文献186】WO97/26270号
【特許文献187】WO03/004602号
【特許文献188】米国特許第5、013、830号
【特許文献189】米国特許第5、149、797号
【特許文献190】米国特許第5、220、007号
【特許文献191】米国特許第5、256、775号
【特許文献192】米国特許第5、366、878号
【特許文献193】米国特許第5、403、711号
【特許文献194】米国特許第5、491、133号
【特許文献195】米国特許第5、565、350号
【特許文献196】米国特許第5、623、065号
【特許文献197】米国特許第5、652、355号
【特許文献198】米国特許第5、652、356号
【特許文献199】米国特許第5、700、922号
【特許文献200】米国特許第5、760、209号
【特許文献201】米国特許第5、614、621号
【特許文献202】米国特許第6、051、699号
【特許文献203】米国特許第6、020、475号
【特許文献204】米国特許第6、326、478号
【特許文献205】米国特許第6、169、177号
【特許文献206】米国特許第6、121、437号
【特許文献207】米国特許第6、465、628号
【特許文献208】米国特許第5、108、921号
【特許文献209】米国特許第5、354、844号
【特許文献210】米国特許第5、416、016号
【特許文献211】米国特許第5、459、127号
【特許文献212】米国特許第5、521、291号
【特許文献213】米国特許第5、543、158号
【特許文献214】米国特許第5、547、932号
【特許文献215】米国特許第5、583、020号
【特許文献216】米国特許第5、591、721号
【特許文献217】米国特許第4、426、330号
【特許文献218】米国特許第4、534、899号
【特許文献219】米国特許第5、013、556号
【特許文献220】米国特許第5、108、921号
【特許文献221】米国特許第5、213、804号
【特許文献222】米国特許第5、227、170号
【特許文献223】米国特許第5、264、221号
【特許文献224】米国特許第5、356、633号
【特許文献225】米国特許第5、395、619号
【特許文献226】米国特許第5、417、978号
【特許文献227】米国特許第5、462、854号
【特許文献228】米国特許第5、469、854号
【特許文献229】米国特許第5、512、295号
【特許文献230】米国特許第5、527、528号
【特許文献231】米国特許第5、534、259号
【特許文献232】米国特許第5、543、152号
【特許文献233】米国特許第5、556、948号
【特許文献234】米国特許第5、580、575号
【特許文献235】米国特許第5、595、756号
【特許文献236】WO93/24510号
【特許文献237】WO94/26764号
【特許文献238】米国特許第5、770、713号
【特許文献239】米国特許第5、705、188号
【特許文献240】WO97/30731号
【特許文献241】米国特許第4、837、028号
【特許文献242】WO88/04924号
【特許文献243】米国特許第No.5、543、152号
【特許文献244】WO97/13499号
【特許文献245】米国特許第4、426、330号
【特許文献246】米国特許第4、534、899号
【特許文献247】米国特許第5、013、556号
【特許文献248】米国特許第5、356、633号
【特許文献249】米国特許第No.5、213、804
【特許文献250】欧州特許第EP0496813B1号
【特許文献251】WO91/05545号
【特許文献252】米国特許第5、225、212号
【特許文献253】WO94/20073号
【特許文献254】WO96/10391号
【特許文献255】米国特許第5、540、935号
【特許文献256】米国特許第5、556、948号
【特許文献257】WO96/40062号
【特許文献258】米国特許第5、264、221号
【特許文献259】WO97/04787号
【特許文献260】WO92/20823号
【特許文献261】米国特許第5、034、506号
【非特許文献】
【0017】
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【非特許文献47】Manoharan等、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1992、660、306−309
【非特許文献48】Manoharan等、Bioorg.Med.Chem.Let.、1993、3、2765−2770
【非特許文献49】Oberhauser等、Nucl.Acids Res.、1992、20、533−538
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【非特許文献150】Griffin、B.E等、Tetrahedron、1967、23、2301−2313
【非特許文献151】Griffin、B.E等、Tetrahedron、1967、23、2315−2331
【非特許文献152】Gleave等、Cancer Res.51:1598−1605、1992
【非特許文献153】Chiarle、等、Blood、2003、101、1919−1927
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【非特許文献155】Rickert等、Nuc.AcidsRes.、1997、25、1317
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【非特許文献157】Mora等、Cancer Res.62:6659、2002
【非特許文献158】Raz等、PNAS、1999、96、2846−2851
【非特許文献159】Ho等、J.Pharm.Sci.、1996、85、138−143
【非特許文献160】Akira、S.等(Cell、1994、77、63−71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、STAT3をコードする核酸を標的とし、STAT3の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドを提供する。また本発明は、ヒトのSTAT3をコードする核酸を標的とするキメラのオリゴヌクレオチドを提供する。
【0019】
また本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを用いて、細胞内及び組織内においてヒトのSTAT3の発現を調節する方法を含む。
更に本発明は、炎症性疾患、特に関節リウマチ、並びに乳腺、前立腺、頭部及び頸部並びに脳のものを含む癌、骨髄腫、黒色腫、白血病、及びリンパ腫の診断及び治療方法を含む。これらの方法は本発明のオリゴヌクレオチドを用いる。本発明のオリゴヌクレオチド及び方法は、治療的にも予防的にも有用であると思われる。更に本発明のオリゴヌクレオチド及び方法は、臨床研究及び診断のための手段として、また種々の細胞機能及び生理学的過程及び状態におけるSTAT3の役割を検出及び確認するための手段として、並びにSTAT3の発現と関連した状態の診断のための手段として有用であると思われる。
【0020】
STAT3はサイトカインシグナル伝達にて重要な役割を有している。STAT3の過剰発現、及び/又は恒常的な活性化は、多数の炎症性疾患及び癌と関連している。従って、このDNA結合タンパク質は、これらの疾患を治療するための魅力的な目標である。より詳細には、STAT3発現の調節は、例えば関節リウマチ、乳癌、前立腺癌、脳腫瘍、頭頸部癌、骨髄腫、黒色腫、白血病及びリンパ腫のような疾患の治療に有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、STAT3をコードする核酸分子の機能を調節し、最終的には生成されるSTAT3の量を調節するためにアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドを使用する。このことは、STAT3をコードする、好ましくはmRNAである核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することによって、達成される。
【0022】
例えばオリゴヌクレオチドのようなアンチセンス化合物と、該アンチセンス化合物がハイブリダイズする、該アンチセンス化合物の逆相補的核酸分子標的との間の関係は、通常、「アンチセンス」と称されている。本発明の文脈において、オリゴヌクレオチドを選択された核酸標的に対して「標的にする」ことは複数のプロセスからなる。このプロセスは通常、調節するべき機能を有する核酸配列を同定することから開始される。これはその発現が特定の疾病状態と関連する、例えば細胞遺伝子(又はその遺伝子から形成されたmRNA)や、感染物質由来の外来核酸であり得る。本発明では、標的はSTAT3をコードする核酸、換言すればSTAT3をコードする遺伝子であるか、又はSTAT3遺伝子から発現されたmRNAである。STAT3をコードするmRNAは、現在の所、好ましい標的である。標的プロセスはまた、アンチセンス相互作用が発生し、その結果遺伝子発現が調節されるように、核酸配列内の部位(一つ又は複数)を決定することも含む。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によれば、当業者はメッセンジャーRNAが、3文字遺伝子コードを使用するタンパク質のコード情報のみならず、当業者に周知の5’−未翻訳領域、3’−未翻訳領域、5’−キャップ領域及びイントロン/エクソン接合部リボヌクレオチド領域を形成する関連リボヌクレオチドを含むことが理解されよう。従って、本発明によれば、これら関連リボヌクレオチドと、情報リボヌクレオチドとを完全に、又は部分的に標的とするオリゴヌクレオチドを調製し得る。従って、オリゴヌクレオチドは、転写開始部位領域、翻訳開始コドン領域、5’−キャップ領域、イントロン/エクソン接合部、コード配列、翻訳終結コドン領域、又は5’−若しくは3’−未翻訳領域内の配列と特異的にハイブリダイズすることが可能であり得る。当該技術分野で公知なように、翻訳開始コドンは通常、5’−AUG(転写されたmRNA分子、対応するDNA分子の5’−ATG)であり、翻訳開始コドンは通常、「AUGコドン」、「スタートコドン」、又は「AUGスタートコドン」とも称されている。少数の遺伝子が、5’−GUG、5’−UUG又は5’−CUG、及び5’−AUAのRNA配列を含む翻訳開始コドンを有し、5’−ACG及び5’−CUGは、インビボにて機能することが証明されている。従って、用語「翻訳開始コドン」及び「スタートコドン」は、各場合の開始アミノ酸が通常メチオニン(真核生物において)、又はホルミルメチオニン(原核生物において)であっても、多数のコドン配列を包含し得る。当該技術分野にて、真核生物及び原核生物の遺伝子は、二種又は三種以上の代替的なスタートコドンを有し、これらのいずれもが特定の細胞型若しくは組織内で、又は特定の状況の組合せの下で翻訳開始に優位に使用され得ることも公知である。本発明の文脈では、「スタートコドン」及び「翻訳開始コドン」は、それらコドンの配列(一つ又は複数)に関わらず、インビボで、STAT3をコードする遺伝子から転写されたmRNA分子の翻訳を開始するのに使用されるコドン(一つ又は複数)を意味する。当該技術分野にて、遺伝子の翻訳終結コドン(又は「停止コドン」)は3種の配列、即ち5’−UAA、5’−UAG及び5’−UGA(対応するDNA配列は、各々5’−TAA、5’−TAG及び5’−TGA)のうちの1種を有し得る。用語「スタートコドン領域」「AUG領域」及び「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(即ち、5’又は3’)に、連続的な約25〜50個のヌクレオチドを包含するmRNA又は遺伝子部分を意味する。この領域は、好ましい標的領域である。同様に、用語「停止コドン領域」「翻訳終結コドン領域」は、翻訳終結コドンからいずれかの方向(即ち、5’又は3’)に、連続的な約25〜50個のヌクレオチドを包含するmRNA又は遺伝子部分を意味する。この領域は、好ましい標的領域である。当該技術分野にて、翻訳開始コドンと翻訳終結コドンとの間の領域を意味することが周知のオープンリーディングフレーム(ORF)又は「コード領域」も、効果的に標的とし得る領域である。他の好ましい標的領域は、当該技術分野にて翻訳開始コドンから5’方向のmRNA部分を意味することが周知の5’未翻訳領域(5’UTR)を含み、従って5’キャップ部位とmRNAの翻訳開始コドンの間のヌクレオチド、又は遺伝子上の対応するヌクレオチドを含み、また、当該技術分野にて翻訳終結コドンから3’方向のmRNA部分を意味することが周知の3’未翻訳領域(3’UTR)を含み、従って翻訳終結コドンとmRNA3’末端の間のヌクレオチド、又は遺伝子上の対応するヌクレオチドを含む。mRNAの5’キャップは、5’−5’トリホスフェート連鎖を介してmRNAの最も5’側の残基に結合したN7−メチル化グアノシン残基からなる。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造自体と、該キャップに隣接した最初の50のヌクレオチドを含むものと考慮される。5’キャップ領域もまた、好ましい標的領域であり得る。
【0024】
真核生物のmRNAの転写産物のいくつかは直接翻訳されるが、多くは「イントロン」として周知の一つ又は二つ以上の領域を含み、該領域はプレmRNA転写産物から切除されて一つ又は二つ以上の成熟mRNAを与える。残りの(即ち翻訳された)領域は「エクソン」として周知であり、スプライスされて一緒になり連続するmRNA配列を形成する。mRNAスプライス部位、即ちエクソン−エクソン又はイントロン−エクソン接合部もまた、好ましい標的領域であり得、疾病に異常なスプライシングが関与している場合や、疾病に特定のmRNAスプライス生成物の過剰生成が関与している場合に、特に有用である。再配列又は欠失を原因とする異常な融合接合部もまた、好ましい標的である。別の方法でスプライスされた特定のエクソンを標的にすることも好ましいといえる。イントロンもまた、例えばDNA又はプレmRNAを標的とするアンチセンス化合物に対して効果的であり、それゆえ好ましい標的領域であり得ることが分かっている。
【0025】
標的部位(一つ又は複数)が特定されたら、該標的に対して十分相補的な、即ち十分な特異性を有して十分にハイブリダイズし、所望の調節が得られるオリゴヌクレオチドを選択する。
【0026】
「ハイブリダイゼーション」とは、翻訳の文脈において、通常、向かい合った核酸鎖上の、又は一本の核酸鎖の二領域における相補的な塩基間のワトソン−クリック型塩基対として知られる水素結合を意味する。その間に三つの水素結合を形成することで周知のグアニンとシトシンは、相補的な塩基の例である。アデニンとチミンはその間に二つの水素結合を形成する相補的な塩基の例である。
【0027】
「特異的にハイブリダイズ可能な」及び「相補的」は、DNA又はRNAとオリゴヌクレオチド間に安定した特異的な結合が生じるに十分な相補性の程度を示すのに使用されている。
【0028】
オリゴヌクレオチドは、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸配列に対して100%の相補性を有する必要はないことが理解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの標的に対する結合が、標的分子の通常の役割を妨害してその機能又は活性を損失させる場合に、特異的にハイブリダイズ可能であり、特異的な結合が所望される条件下、即ちインビボでのアッセイ若しくは治療的処置の生理的条件下で、又はインビトロでのアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下で、オリゴヌクレオチドの標的としない配列への非特異的な結合が回避されるに十分な相補性の程度を有する。
【0029】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのmRNAとのハイブリダイゼーションは、mRNAの通常の機能の一つ又は二つ以上と干渉する。干渉されるべきmRNAの機能は、例えばRNAのタンパク質翻訳の部位への転位、RNAからのタンパク質の翻訳、一つ又は二つ以上のmRNAの種を与えるRNAのスプライシング、及びRNAが関与し得る触媒作用のような任意の生体機能である。特定のタンパク質(一種又は複数)のRNAに対する結合も、アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNAに対するハイブリダイゼーションによって妨げられる。
【0030】
以下、好ましいアンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸の位置を、「標的セグメント」と称する。本願明細書で使用されるように、用語「標的セグメント」は、活性アンチセンス化合物が標的とする標的領域の、少なくとも8個の核酸塩基からなる部分として定義する。理論に裏付けされている訳ではないが、現在、これら標的セグメントは、ハイブリダイゼーションのために接近可能な標的核酸の部分を表すと信じられている。
【0031】
ある標的セグメントの特定の配列を本願明細書に記述するが、当業者はこれらが本発明の範囲に含まれる特定の実施態様を例示及び説明するものであることを認識されよう。当業者は更なる標的セグメントを確認することができる。
例示的な好ましい標的セグメントから選択された8個の連続的な核酸ストレッチを少なくとも一つ含む、8〜80個の核酸塩基の長さを有する標的セグメントは、ターゲティングに適していると考えられる。
【0032】
標的セグメントは、例示的な標的セグメントのうちの一つの5’末端にて少なくともその8個の連続的な核酸塩基を含む、DNA又はRNA配列を含み得る(残りの核酸塩基は同一のDNA又はRNAの連続したストレッチであり、標的セグメントの5’末端のすぐ上流から開始して、該DNA又はRNAが約8〜約80個の核酸塩基を含む迄連続する)。同様に、標的セグメントは、例示的な好ましい標的セグメントのうちの一つの3’末端にて少なくともその8個の連続的な核酸塩基を含む、DNA又はRNA配列で表される(残りの核酸塩基は同一のDNA又はRNAの連続したストレッチであり、標的セグメントの3’末端のすぐ下流から開始して、該DNA又はRNAが約8〜約80個の核酸塩基を含む迄連続する)。アンチセンス標的セグメントが例示的な好ましい標的セグメントの中央部にて少なくとも8個の連続的な核酸塩基を含み、そのオリゴヌクレオチドが約8〜約80個の核酸塩基を含む迄いずれか一方、又は両方の方向へ延び得るDNA又はRNA配列で表され得ることも想定される。本願明細書にて記述される標的セグメントに関して経験を積んだ当業者は、必要以上の実験を行うことなく、更なる好ましい標的セグメントを同定し得るであろう。
【0033】
一つ又は二つ以上の標的領域、セグメント又は部位が確認された後、該標的に十分相補的な、即ち十分な特異性を有して十分にハイブリダイズし、所望の効果を与えるアンチセンス化合物が選択される。
【0034】
本願明細書に開示される低重合体のアンチセンス化合物も、標的核酸塩基配列の領域を標的とし得る。低重合体のアンチセンス化合物が標的とし得る、8個以上、80個以下の核酸塩基を含む核酸塩基配列の全領域を、以下のように説明する。
【0035】
R(n、n+m−1)を標的核酸塩基配列からの領域とし、ここで「n」は該領域中で最も5’側に存在する核酸塩基の位置であり、「n+m−1」は該領域中で最も3’側に存在する核酸塩基の位置であり、「m」は、該領域の長さである。「m」の長さを有する領域のセット「S(m)」は、nが1〜L−m+1の範囲内にあり、ここでLは標的核酸塩基配列の長さであり、L>mである領域として定義する。全領域中のセット「A」は、mが8以上であり、80以下である各長さの領域の組合せの和集合として構成され得る。
【0036】
この領域のセットは、以下の数学的表記を用いて表すことができる。

式中、

である。
及び

式中、数学的演算子|は、「例えば」を示し、
数学的演算子 は「セットのメンバー」を示し(例、y zは、要素yが組合せzのメンバーであることを示す)、
xは変数を示し、
Nは、正の整数として定義される全自然数を示し、
そして、数学的演算子

は、「セットの和集合」を示す。
【0037】
例えば、mが8、20、及び80の領域のセットは、以下のように構成することができる。標的核酸塩基配列の位置1(n=1)より開始する、100個の核酸塩基の長さ(L=100)の標的核酸塩基配列内の、各々8個の核酸塩基の長さを有するS(m=8)領域の組合せは、以下の式を用いて構成され得、

また、1−8、2−9、3−10、4−11、5−12、6−13、7−14、8−15、9−16、10−17、11−18、12−19、13−20、14−21、15−22、16−23、17−24、18−25、19−26、20−27、21−28、22−29、23−30、24−31、25−32、26−33、27−34、28−35、29−36、30−37、31−38、32−39、33−40、34−41、35−42、36−43、37−44、38−45、39−46、40−47、41−48、42−49、43−50、44−51、45−52、46−53、47−54、48−55、49−56、50−57、51−58、52−59、53−60、54−61、55−62、56−63、57−64、58−65、59−66、60−67、61−68、62−69、63−70、64−71、65−72、66−73、67−74、68−75、69−76、70−77、71−78、72−79、73−80、74−81、75−82、76−83、77−84、78−85、79−86、80−87、81−88、82−89、83−90、84−91、85−92、86−93、87−94、88−95、89−96、90−97、91−98、92−99、93−100の核酸塩基からなる領域の組合せを記述する。
【0038】
標的核酸塩基配列の位置1から開始する、100個の核酸塩基の長さを有する標的配列内の、20個の核酸塩基の長さを有する領域の更なるセットは、以下の式を用いて記述され得、

また、1−20、2−21、3−22、4−23、5−24、6−25、7−26、8−27、9−28、10−29、11−30、12−31、13−32、14−33、15−34、16−35、17−36、18−37、19−38、20−39、21−40、22−41、23−42、24−43、25−44、26−45、27−46、28−47、29−48、30−49、31−50、32−51、33−52、34−53、35−54、36−55、37−56、38−57、39−58、40−59、41−60、42−61、43−62、44−63、45−64、46−65、47−66、48−67、49−68、50−69、51−70、52−71、53−72、54−73、55−74、56−75、57−76、58−77、59−78、60−79、61−80、62−81、63−82、64−83、65−84、66−85、67−86、68−87、69−88、70−89、71−90、72−91、73−92、74−93、75−94、76−95、77−96、78−97、79−98、80−99、81−100の核酸塩基からなる領域のセットを記述する。
【0039】
標的核酸塩基配列の位置1から開始する、100個の核酸塩基の長さを有する標的配列内の、80個の核酸塩基の長さを有する領域の更なるセットは、以下の式を用いて記述され得、

また、1−80、2−81、3−82、4−83、5−84、6−85、7−86、8−87、9−88、10−89、11−90、12−91、13−92、14−93、15−94、16−95、17−96、18−97、19−98、20−99、21−100の核酸塩基からなる領域のセットを記述する。
従って、この例では、Aは1−8、2−9、3−10…93−100、1−20、2−21、3−22…81−100、1−80、2−81、3−82…21−100の領域を含む。
【0040】
前述した例のセットと、10〜19及び21〜79の長さを有する他のセットとの和集合は、数式

を用いて記述することができる。
【0041】
式中、

は全セットの全メンバーを組み合わせて得られるセットの和集合を表す。
本願明細書に記載する数式は、任意長Lを有する標的核酸塩基配列中の全ての可能な標的領域を定義する。ここで領域の長さはmであり、mは8個以上かつ80個以下の核酸塩基長を有し、またmはLより小さく、nはL−m+1より小さい。
【0042】
mRNAの機能を妨げる総合的効果は、STAT3の発現を調節する。本発明の文脈において、「調節」とは阻害又は刺激のいずれか、即ち発現を低下させるか、又は増加させることを意味する。調節は、例えばmRNA発現のノーザンブロットアッセイ、又は本願明細書の実施例にて教授される逆転写ポリメラーゼ連鎖反応、又はタンパク質発現のウエスタンブロット若しくはELISAアッセイ、又はタンパク質発現の免疫沈降アッセイのような慣例的方法によって測定することができる。細胞増殖又は腫瘍細胞増殖上の効果も、本願明細書の実施例に教授されるように測定することができる。目下の例においては、阻害が好ましい。
【0043】
よく知られているオリゴヌクレオチドのアンチセンス効果に加え、少なくとも一つのホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチド類似体は、局所免疫応答の刺激を誘発できることが見出されている。このことは米国特許第5、663、153号に記載されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。この免疫刺激効果は、これらオリゴヌクレオチド類似体が所有し得るアンチセンス効果のいずれとも関連しないものと想定される。これらオリゴヌクレオチド類似体は、単独で、又は例えばその効力を増大させる特に抗感染薬及び抗癌薬薬物のような薬物、及び外科的処置のような他の治療様式と組み合わせて、免疫賦活薬として有用である。また、あるアンチセンスオリゴヌクレオチドが既に所有する抗感染及び抗癌効果は、そのような免疫刺激を介して向上される。
【0044】
少なくとも一つのホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチド類似体は、全身性又は体液免疫応答の刺激を誘発するために使用され得る。従って、これらオリゴヌクレオチドは、単独又は他の治療様式と組み合わせて、抗体応答の免疫賦活薬としても有用である。このことは、米国特許第5、663、153号に記載されている。
【0045】
従って、現在、STAT3を標的とするオリゴヌクレオチドのアンチセンス効果に加えて、少なくとも一つのホスホロチオエートのバックボーン連鎖を有するオリゴヌクレオチドは、STAT3のシグナル伝達のドミナントネガティブな阻害剤によって既に観察されている抗腫瘍「バイスタンダー効果」に追加され得る免疫応答を引き出す際に有用であり得ると想定されている(Niu等、CancerRes.、1999、59、5059−5063)。この効果は、残存腫瘍細胞の殺滅に関与し得る急性及び慢性炎症細胞による腫瘍浸潤に関係していると信じられている。従って、STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドの治療的効果は、そのオリゴヌクレオチド自体の免疫刺激特性によって増強され得る。これに代わって、STAT3を標的とし得ないが、少なくとも一つのホスホロチオエートバックボーン連鎖を有するオリゴヌクレオチドを、アンチセンス又は他のSTAT3の阻害剤との組合せにおいて補助剤として使用し得る。
【0046】
本発明のオリゴヌクレオチドは、診断、治療、予防、及び研究用の試薬として、及びキット中で使用することができる。本発明のオリゴヌクレオチドはSTAT3をコードする核酸にハイブリダイズするため、この事実を利用したサンドイッチ、非色及び他のアッセイを容易に構成することができる。オリゴヌクレオチドのSTAT3遺伝子又はmRNAとのハイブリダイゼーションを検出する手段の調製は、慣習的に行うことができる。その調製には、酵素結合、放射標識、又は任意の他の適切な検出システムが含まれる。STAT3の存在又は不在を検出するキットを調製することもできる。
【0047】
本発明はまた、関節リウマチのような炎症性疾患、又は乳癌、脳腫瘍、又は頭部及び頸部の癌、メラノーマ(黒色腫)、骨髄腫、白血病及びリンパ腫のような癌を疑われる患者由来の組織若しくは他の標本中の異常な炎症状態、又は特定の癌の診断にも適している。本発明を用いて多数のアッセイを考案し得る。これらアッセイは通常、阻害を検出及び通常定量可能なように選択された条件下で、組織標本を本発明のオリゴヌクレオチドと接触させることを含む。本発明の文脈では、組織又は細胞をオリゴヌクレオチド(一つ又は複数)と「接触」させるとは、インビトロ又はエクスビボにて、通常液体担体であるオリゴヌクレオチド(一つ又は複数)を、細胞懸濁液又は組織標本に添加するか、又はオリゴヌクレオチド(一つ又は複数)を動物の細胞又は組織に対して投与することを意味する。
【0048】
本発明のオリゴヌクレオチドはまた、研究目的に使用され得る。このように、オリゴヌクレオチドが示す特異的なハイブリダイゼーションは、当業者が認識し得る及び他の方法体系に使用され得る。
【0049】
本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸又はデオキシリボ核酸のオリゴマー又はポリマーを意味する。この用語には、天然に存在する核酸塩基、糖類及び共有結合する糖間(バックボーン)連鎖から構成されているオリゴヌクレオチドと、同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドとが含まれる。このような修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、例えば細胞取り込みの向上、標的への結合の向上、及びヌクレアーゼ存在下での安定性の向上のような所望の特性により、天然型よりも好ましい場合が多い。
【0050】
本発明によるアンチセンス化合物は、約8〜80個の核酸塩基(即ち、約8〜80個の結合したヌクレオシド)からなることが好ましい。当業者は本発明が8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、又は80個の核酸塩基長の化合物を具体化することを理解するであろう。
【0051】
一実施態様において、本発明のアンチセンス化合物は12〜50の核酸塩基長を有する。一当業者は、本実施態様の化合物が12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50の核酸塩基長を有することを理解するであろう。
【0052】
一実施態様において、本発明のアンチセンス化合物は13〜40の核酸塩基長を有する。一当業者は、本実施態様の化合物が13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は40の核酸塩基長を有することを理解するであろう。
【0053】
別の一実施態様において、本発明のアンチセンス化合物は15〜30の核酸塩基長を有する。一当業者は本実施態様の化合物が15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30の核酸塩基長を有することを理解するであろう。
【0054】
一実施態様において、本発明のアンチセンス化合物は19〜25個の核酸塩基長を有する。一当業者によって19、20、21、22、23、24、又は25の核酸塩基長を有する化合物が具体化されることが理解されるであろう。
【0055】
別の一実施態様において、本発明のアンチセンス化合物は19〜21個の核酸塩基長を有する。一当業者によって19、20又は21の核酸塩基長を有する化合物が具体化されるこということが理解されるであろう。
本願明細書に使用されている用語「オリゴマー化合物」は、実質的に核酸ベースの単量体からなる高分子化合物として定義する。オリゴマー化合物には、オリゴヌクレオチド、及びその類似体、疑似体又は模倣体が含まれる。
【0056】
アンチセンス化合物の好ましい形態は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであるが、多くの種において例えば二本鎖RNA(dsRNA)分子のような二本鎖構造の導入によって、遺伝子又はそれに関連する遺伝子産物の機能の、アンチセンス仲介による強力かつ特異的な低下が誘導されることが見出されている。この現象は植物及び動物の両方にて発生し、ウイルス防御及びトランスポゾンのサイレンシングと進化的に関係があると信じられている。
【0057】
dsRNAが動物において遺伝子サイレンシングを生じ得ることの最初の証拠は、1995年の、線虫Caenorhabditis elegans(Guo及びKempheus、Cell、1995、81、611−620)の研究にて示された。Montgomery等は、dsRNAの最初の干渉効果は転写後であることを示した(Montgomery等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1998、95、15502−15507)。以来、二本鎖RNA(dsRNA)に対する暴露から生じるCaenorhabditis elegans中にて明らかにされた転写後アンチセンス機構は、RNA干渉(RNAi)と称されている。この用語は、内因的に標的とされたmRNAレベルの配列特異的な低下を誘導するdsRNAの導入に関係した、アンチセンス仲介遺伝子サイレンシングを意味するよう一般化された(Fire等、Nature、1998、391、806−811)。最近、dsRNAのアンチセンス極性を有する一本鎖RNAオリゴマーは、実際に、RNAiの強力な誘導物質であることが証明されている(Tijsterman等、Science、2002、295、694−697)。これら二本鎖RNA分子を使用してSTAT3の発現を標的とし、また阻害することも想定される。二本鎖RNA分子は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが標的とする領域と同様の領域を標的とし、同様の効果を呈する。二本鎖RNA分子は、通常19〜21個の塩基対の長さを有するが、8〜50個の核酸塩基の長さ範囲に亘り得る。siRNA分子の作成を、一般的な意味において以下の実施例に記載するが、STAT3を標的とする任意の所望のsiRNAが従来のオリゴヌクレオチド合成法により合成され得ることを認識されよう。アンチセンス鎖の配列が分かれば、相補的なセンス鎖が合成される。その後、センス及びアンチセンス鎖を組み合わせて、siRNAを形成する。
【0058】
(オリゴマー及びモノマーの修飾)
公知のように、ヌクレオシドは塩基と糖との組合せである。ヌクレオシドの塩基部分は通常、複素環塩基である。この複素環塩基の最も普遍的なクラスはプリン及びピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を更に含むヌクレオシドである。ペントフラノシルを含むヌクレオシドに関しては、リン酸基は糖の2’、3’又は5’のいずれかのヒドロキシル部分に結合し得る。オリゴヌクレオチドを形成する際、リン酸基は隣接するヌクレオシド同士を互いに共有結合して線状の高分子化合物を形成する。続いて、この線状高分子化合物の各末端は更に連結されて、環状化合物を形成し得るが、一般に線状化合物が好ましい。更に、線状化合物は内部の核酸塩基層相補正性を有する場合があり、従って完全に又は部分的に二本鎖の化合物を生成するように折り重なり得る。リン酸基は、通常、オリゴヌクレオチド内でヌクレオシド間結合を形成するか、又は糖と共にオリゴヌクレオチドのバックボーンを形成する。RNA及びDNAのバックボーンを形成する通常のヌクレオシド間結合は、3’−5’ホスホジエステル結合である。
【0059】
(修飾ヌクレオシド間結合)
本発明に有用な、好ましいアンチセンスオリゴマー化合物の特定の例としては、修飾された、例えば天然に存在しないヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドがある。本明細書に定義されるように、修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドは、リン原子を保持するヌクレオシド間結合と、リン原子を有さないヌクレオシド間結合とを含む。本明細書の、及び当該技術分野にて時折引用されるように、ヌクレオシドのバックボーン内にリン原子を含まない修飾オリゴヌクレオチドも、オリゴヌクレオチドであると見なされ得る。
【0060】
C.elegans系では、ヌクレオチド間結合の修飾(ホスホロチオエート)はRNAi活性に対して有意に干渉しなかった。その観察に基づき、本発明のある好ましいオリゴマー化合物は、一つ又は二つ以上の修飾ヌクレオシド間結合も含み得ることが示唆される。好ましい硫黄含有修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートのヌクレオシド間結合である。
【0061】
内部にリン原子を含む好ましい修飾オリゴヌクレオチドのバックボーンは、例えばホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートを含むメチル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’−アミノホスホロアミデート及びアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、通常の3’−5’結合を有するチオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェート及びボラノホスフェート、2’−5’結合を有するこれらの類似体、及び一つ又は二つ以上のヌクレオチド間結合が3’−3’、5’−5’、2’−2’結合である逆転した極性を有するものを含む。逆転極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間結合の最も3’側に一つの3’−3’結合、即ち一つの逆位ヌクレオシド残基を有し、該ヌクレオシド残基は脱塩基(核酸塩基が存在しないか、又はその位置に水酸基が存在する)であり得る。様々な塩、混合塩、及び遊離酸の形態も含まれる。
【0062】
上記のリン含有結合の調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第3、687、808号、米国特許第4、469、863号、米国特許第4、476、301号、米国特許第5、023、243号、米国特許第5、177、196号、米国特許第5、188、897号、米国特許第5、264、423号、米国特許第5、276、019号、米国特許第5、278、302号、米国特許第5、286、717号、米国特許第5、321、131号、米国特許第5、399、676号、米国特許第5、405、939号、米国特許第5、453、496号、米国特許第5、455、233号、米国特許第5、466、677号、米国特許第5、476、925号、米国特許第5、519、126号、米国特許第5、536、821号、米国特許第5、541、306号、米国特許第5、550、111号、米国特許第5、563、253号、米国特許第5、571、799号、米国特許第5、587、361号、米国特許第5、194、599号、米国特許第5、565、555号、米国特許第5、527、899号、米国特許第5、721、218号、米国特許第5、672、697号及び米国特許第5、625、050号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0063】
本発明のより好ましい実施態様において、オリゴマー化合物は一つ又は二つ以上のホスホロチオエート及び/又はヘテロ原子ヌクレオシド間結合、特に−CH−NH−O−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−(メチレン(メチルイミノ)又はMMIバックボーンとして公知である)、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−及び−O−N(CH)−CH−CH−(本来のホスホジエステルヌクレオチド間結合は、−O−P(=O)(OH)−O−CH−で表される)を有する。MMI型のヌクレオシド間結合は、上記に引用した米国特許第5、489、677号に開示されている。好ましいアミドヌクレオシド間結合は、上記に引用した米国特許第5、602、240号に開示されている。
【0064】
内部にリン原子を含まない好ましい修飾オリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子、及びアルキル若しくはシクロアルキルのヌクレオシド間結合、又は一つ若しくは二つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環のヌクレオシド間結合で形成されたバックボーンを有する。これらには、モルホリノ結合(一部がヌクレオシドの糖部分から形成された)、シロキサンバックボーン、スルフィド、スルホキシド及びスルホンのバックボーン、ホルムアセチル及びチオホルムアセチルのバックボーン、メチレンホルムアセチル及びチオホルムアセチルのバックボーン、リボアセチルバックボーン、アルケン含有バックボーン、スルファメートバックボーン、メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノのバックボーン、スルホネート及びスルホンアミドのバックボーン、アミドバックボーン、及び他の混合N、O、S及びCH構成部分を有するものが含まれる。
【0065】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第5、034、506号、米国特許第5、166、315号、米国特許第5、185、444号、米国特許第5、214、134号、米国特許第5、216、141号、米国特許第5、235、033号、米国特許第5、264、562号、米国特許第5、264、564号、米国特許第5、405、938号、米国特許第5、434、257号、米国特許第5、466、677号、米国特許第5、470、967号、米国特許第5、489、677号、米国特許第5、541、307号、米国特許第5、561、225号、米国特許第5、596、086号、米国特許第5、602、240号、米国特許第5、610、289号、米国特許第5、602、240号、米国特許第5、608、046号、米国特許第5、610、289号、米国特許第5、618、704号、米国特許第5、623、070号、米国特許第5、663、312号、米国特許第5、633、360号、米国特許第5、677、437号、米国特許第5、792、608号、米国特許第5、646、269号及び米国特許第5、677、439号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0066】
(オリゴヌクレオチド模倣体)
本発明の別の一化合物群は、オリゴヌクレオチド模倣体を含む。オリゴヌクレオチドに適用される用語「模倣体」は、フラノース環のみ、又はフラノース環及びヌクレオチド間結合の双方が、新規な基で代替されているオリゴマー化合物を含むことを意図し、フラノース環のみの代替は、当該技術分野にて糖代用物(sugar surrogate)とも称されている。複素環塩基部分又は修飾複素環塩基部分は、適当な標的核酸とのハイブリダイゼーションのために保持されている。このようなオリゴマー化合物の一つである、卓越したハイブリダイゼーション特性を有することが証明されているオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と称されている。PNAオリゴマー化合物にて、オリゴヌクレオチドの糖バックボーンは、アミド含有バックボーン、詳細にはアミノエチルグリシンのバックボーンで代替されている。核酸塩基は保持され、バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に対して直接的又は間接的に結合している。PNAオリゴマー化合物の調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第5、539、082号、米国特許第5、714、331号、及び米国特許第5、719、262号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。PNAオリゴマー化合物の更なる教授は、Nielsen等、Science、1991、254、1497−1500に見出すことができる。
【0067】
卓越したハイブリダイゼーション特性を有すると報告されているオリゴヌクレオチド模倣体の一つは、ペプチド核酸(PNA)である。PNA化合物のバックボーンは、結合した二つ又は三つ以上のアミノエチルグリシン単位からなり、これはPNAにアミド含有バックボーンを付与する。バックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に対して複素環塩基部分が直接的に、又は間接的に結合している。PNA化合物の調製について教授する代表的な米国特許は、米国特許第5、539、082号、及び米国特許第5、719、262号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。PNA化合物の更なる教示は、Nielsen等、Science、1991、254、1497−1500に見出すことができる。
【0068】
基本のPNA構造が最初に調製されて以来、PNAは非常に多くの修飾部を組み込むよう修飾されてきた。基本構造を以下に示す。

式中、
は、複素環塩基部分であり、
は水素、アミノ保護基、−C(O)R、置換又は非置換C−C10アルキル、置換又は非置換C−C10アルケニル、置換又は非置換C−C10アルキニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、化学官能基、レポーター基、共役基、α−カルボキシル基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又は任意にて、アミノ酸がアスパラギン酸若しくはグルタミン酸の場合にω−カルボキシル基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又はカルボキシル基を介して結合したD、L若しくはD及びLアミノ酸の混合物から誘導されたペプチドであり、ここで置換基は、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルから選択され、
【0069】
は、−OH、−N(Z)Z、R、α−アミノ基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又は任意にて、アミノ酸がリジン若しくはオルニチンの場合にω−アミノ基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又はカルボキシル基を介して結合したD、L若しくはD及びLアミノ酸の混合物から誘導されたペプチド、化学官能基、レポーター基、又は共役基であり、
は、水素、C−Cアルキル、又はアミノ保護基であり、
【0070】
は、水素、C−Cアルキル、アミノ保護基、−C(=O)−(CH−J−Z3、α−カルボキシル基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又は任意にて、アミノ酸がアスパラギン酸若しくはグルタミン酸の場合にω−カルボキシル基を介して結合したD若しくはLα−アミノ酸、又はカルボキシル基を介して結合したD、L若しくはD及びLアミノ酸の混合物から誘導されたペプチドであり、
は、水素、アミノ保護基、−C−Cアルキル、−C(=O)−CH、ベンジル、ベンゾイル、又は−(CH−N(H)Zであり、
各Jは、O、S又はNH−であり、
はカルボニル保護基であり、そして
nは、2〜約50である。
【0071】
研究されているオリゴヌクレオチド模倣体の別のクラスは、結合したモルホリノ単位(モルホリノ核酸)を基本とし、同モルホリノ単位はモルホリノ環に結合した複素環塩基を有する。モルホリノ核酸内のモルホリノモノマー単位を結合する多数の結合基が報告されている。非イオン性オリゴマー化合物を形成するために、結合基の好ましいクラスが選択されている。非イオン性のモルホリノベースのオリゴマー化合物は、細胞タンパク質と望ましくない相互作用を起こさないと思われる。
【0072】
モルホリノベースのオリゴマー化合物は、細胞タンパク質と望ましくない相互作用を起こさないと思われ、オリゴヌクレオチドの非イオン性疑似体である(Dwaine A.Braasch及びDavid R.Corey、Biochemistry、2002、41(14)、4503−4510)。
【0073】
モルホリノベースのオリゴマー化合物は、1991年7月23日発行の米国特許第5、034、506号に開示されている。オリゴマー化合物のモルホリノ種は、モノマーサブユニットを結合する多様な異なる結合基を有するように調製されている。
モルホリノ核酸は、モノマーサブユニットを結合する多様な異なる結合基(L)を有するように調製されている。基本の式を以下に示す。

式中、
は、ヒドロキシル又は保護されたヒドロキシルであり、
は、水素又はリン酸若しくはリン酸誘導体であり、
は、結合基であり、そして
nは、2〜約50である。
【0074】
オリゴヌクレオチド模倣体の更なるクラスは、シクロヘキセニル核酸(CeNA)と称される。通常DNA/RNA分子内に存在するフラノース環は、シクロヘニル環で代替されている。CeNADMT保護ホスホロアミデートモノマーが調製されており、古典的なホスホロアミデート化学に従ってオリゴマー化合物の合成に使用される。完全に修飾されたCeNAオリゴマー化合物、及び特定の位置がCeNAで修飾されたオリゴヌクレオチドが調製かつ研究されている(Wang等、J.Am.Chem.Soc.、2000、122、8595−8602参照)。一般に、CeNAモノマーをDNA鎖に組み込むと、DNA/RNAハイブリッドの安定性が高まる。CeNAオリゴアデニレートは、RNA及びDNA補完と複合体を形成する本来の複合体に同様の安定性を有するする。天然の核酸構造にCeNA構造を組み込む研究は、NMR及び円二色性分光法により、立体配座の容易な適合性の下で進行することが示された。更にCeNAを標的RNA配列内への組み込みは、血清に対して安定性を示し、E.ColiRNaseを活性化して標的RNA鎖を切断する。
【0075】
CeNAの一般式を以下に示す。

式中、
各Bxは、複素環塩基部分であり、
は、ヒドロキシル又は保護されたヒドロキシルであり、そして
は、ヒドロキシル又は保護されたヒドロキシルである。
【0076】
オリゴヌクレオチド模倣体の別の一種(アンヒドロヘキシトール核酸)は、一つ又は二つ以上のアンヒドロヘキシトールヌクレオシドから調製され得(Wouters及びHerdewijn、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1999、9、1563−1566参照)、一般式

を有すると思われる。
【0077】
更なる好ましい修飾には、糖環の4’炭素原子に2’−ヒドロキシル基が結合して2’−C、4’−C−オキシメチレン結合を形成し、それにより二環式糖部分を形成している、Locked Nucleic Acid(LNA)が含まれる。結合は2’酸素原子と4’炭素原子を架橋するメチレン(−CH−)基が好ましく、ここでnは1又は2である(Singh等、Chem.Commun.、1998、4、455−456)。LNA及びLNA類似体は、相補的なDNA及びRNAと共に非常に高い二重鎖熱安定性(Tm=+3〜+10℃)、3’−エキソヌクレオリティックな(exonucleolytic)分解に対する安定性、及び良好な溶解特性を示す。二環式の環系を有するLNAの塩基構造を、以下に示す。

【0078】
2DNMR分光法で測定したLNAの立体配座において、ロックされたLNAヌクレオチドの向きは、一本鎖及び二本鎖LNAの双方とも、リン酸バックボーンがより高度のN型立体配座固体群を導入するように仕向けている(Petersen等、J.Mol.Recognit.、2000、13、44−53)。これらの配座は、改善された核酸塩基の積み重ねと関連している(Wengel等、Nucleosides Nucleotides、1999、18、1365−1370)。
【0079】
LNAは、極めて安定したLNA:LNA二重鎖を形成することが示されている(Koshkin等、J.Am.Chem.Soc.、1998、120、13252−13253)。LNA:LNAハイブリダイゼーションは、最も熱的に安定な核酸タイプの二重鎖システムであることが示され、LNAのRNA疑似性が二重鎖レベルで確立された。3つのLNAモノマーの導入(T又はA)により、DNA相補体に向けて融点が有意に上昇した。LNA仲介ハイブリダイゼーションの普遍性は、極めて安定なLNA:LNA二重鎖の形成によって増強されている。LNAのRNA疑態は、モノマーのN−型立体配座の制限、及びLNA:RNA二重鎖の二次構造の結果としてもたらされた。
【0080】
LNAはまた、相補的なDNA、RNA又はLNAと、高い熱親和性を有する二重鎖を形成する。円二色(CD)スペクトルでは、完全修飾LNAを含む二重鎖(特に、LNA:RNA)は、A−型RNA:RNA二重鎖と構造的に類似することが示される。LNA:DNA二重鎖の核磁気共鳴(NMR)検査では、LNAモノマーの3’末端の立体配座を確認した。LNAによるストランドインベージョン(strand invasion)を示唆する二本鎖DNAも認められた。ミスマッチ配列の研究では、LNAはワトソン−クリック型の塩基対法則に従い、対応する未修飾基準鎖と比較して選択性が向上されていることが示される。
【0081】
LNAオリゴマー化合物の新規な型、及びLNAは、幅広い診断的及び治療的用途にて有用である。中でも、アンチセンス用途、PCR用途、鎖置換オリゴマー、核酸ポリメラーゼのための基質、及び概してヌクレオチドを基板とする薬物として有用である。LNAを含む強力かつ無毒なアンチセンスオリゴヌクレオチドに記載なされている(Wahlestedt等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、2000、97、5633−5638)。著者等は、LNAがアンチセンス薬剤にいくつかの望ましい性質を付与することを示している。LNA/DNAコポリマーは、血清及び細胞抽出物中で容易に分解されない。LNA/DNAコポリマーは、生きたラットの脳におけるGタンパク共役受容体シグナル伝達と、Escherichia coliにおけるレポーター遺伝子の検出ほどにアッセイ系内で異なる強力なアンチセンス活性を示した。LIPOFECTIN(登録商標)に仲介される、LNAの生きているヒト肺癌細胞内への送達も達成されている。
【0082】
LNAモノマーであるアデニン、シトシン、グアニン、5’−メチル−シトシン、チミン及びウラシルの合成及び調製は、それらのオリゴマー化、及び核酸認識特性と共に、記述されている(Koshkin等、Tetrahedron、1998、54、3607−3630)。LNA及びその調製は、国際特許出願公開第WO98/39352号及び国際特許出願公開第WO99/14226号にも記述されている。
【0083】
LNAの第一の類似体、ホスホロチオエートLNA及び2’−チオ−LNAが調製されている(Kumar等、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1998、8、2219−2222)。核酸ポリメラーゼのための、基質としてオリゴデオキシリボヌクレオチド二重鎖を含むロックされている(locked)ヌクレオチド類似体の調製も、記述されている(Wengel等、国際特許出願公開第WO98−DK39319980914号)。更に、立体配座的に制限された、柄(handle)を伴う高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’−アミノ−LNAの合成は、当該技術分野にて記述されている(Singh等、J.Org.Chem.、1998、63、10035−10039)。加えて、2’−アミノ−及び2’−メチルアミノ−LNAも調製されており、相補的なRNA及びDNA鎖とのそれらの二重鎖の熱安定性については、以前に報告されている。
【0084】
式(アミダイトモノマーを示す)

を有する二環及び三環ヌクレオシド類似体を含む、更なるオリゴヌクレオチド模倣体も調製されている(Steffens等、Helv.Chim.Acta、1997、80、2426−2439、Steffens等、J.Am.Chem.Soc.、1999、121、3249−3255、及びRenneberg等、J.Am.Chem.Soc.、2002、124、5993−6002参照)。これら修飾オリゴヌクレオシド類似体はホスホロアミデート手法を用いてオリゴマー化され、得られた三環ヌクレオシドを含むオリゴマー化合物は、DNA、RNA及びそれ自体とハイブリダイズされた場合、熱安定性(Tm)が向上することが示されている。二環ヌクレオシド類似体を含むオリゴマー化合物は、DNA二重鎖のそれにほぼ等しい熱安定性を示している。
【0085】
オリゴヌクレオチド模倣体の別の一種はホスホノモノエステル核酸と称され、バックボーン内にリン基を組み込んでいる。この種のオリゴヌクレオチド模倣体は、遺伝子発現抑制の分野にて、核酸検出のためのプローブとして、また分子生物学にて使用される補助物として、有用な物理的及び生物学的、並びに薬理学的特性を有することが報告されている(アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、センスオリゴヌクレオチド及び三重形成オリゴヌクレオチド)。
以下に一般式(マーカッシュ変数の定義については、全容が参照して本願明細書に組み入れられる米国特許第5、874、553号及び米国特許第6、127、346号を参照)を示す。

【0086】
別のオリゴヌクレオチド模倣体の一つが報告されており、該模倣体ではフラノシル環がシクロブチル部分に代替されている。
【0087】
(修飾された糖)
本発明のオリゴマー化合物は、一つ又は二つ以上の置換された糖部分を含むこともできる。好ましいオリゴマー化合物は、OH、F、O−、S−、又はN−アルキル、O−、S−、又はN−アルケニル、O−、S−又はN−アルキニル、又はO−アルキル−O−アルキルから選択された糖置換基を含む。アルキル、アルケニル及びアルキニルは、置換又は非置換のC〜C10アルキル又はC〜C10アルケニル及びアルキニルであり得る。特にO[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、及びO(CHON[(CHCHが好ましく、ここでn及びmは、1〜約10である。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、C〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリル又はO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的性質を改善するための基、又はオリゴヌクレオチドの薬力学的性質を改善するための基、及び同様の性質を有する他の置換基から選択された糖置換基を含む。好ましい修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−(2−メトキシエトキシ)又は2’−MOEとしても知られる2’−O−CHCHOCH、)(Martin等、Helv.Chim.Acta、1995、78、486−504)即ちアルコキシアルコキシ基がある。更なる好ましい修飾には、以下の実施例にて記述する2’−DMAOEとしても知られる2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、即ちO(CHON(CH基、及び2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−O−ジメチル−アミノ−エトキシ−エチル又は2’−DMAEOEとしても知られる)、即ち2’−O−CH−O−CH−N(CHがある。
【0088】
他の好ましい糖置換基には、メトキシ(−O−CH)、アミノプロポキシ(−OCHCHCHNH)、アリル(−CH−CH=CH)、−O−アリル(−O−CH−CH=CH)及びフルオロ(F)がある。2’−糖置換基は、アラビノ(上)位又はリボ(下)位に存在し得る。好ましい2’−アラビノ修飾は2’−Fである。同様の修飾がオリゴマー化合物上の他の位置に、特に3’末端ヌクレオシド上、又は2’−5’結合されたオリゴヌクレオチド内の糖の3’位、及び5’末端ヌクレオチドの5’位になされ得る。オリゴマー化合物は、ペントフラノシル糖に代わって例えばシクロブチル部分のような糖模倣体も含み得る。これら修飾された糖構造の調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第4、981、957号、米国特許第5、118、800号、米国特許第5、319、080号、米国特許第5、359、044号、米国特許第5、393、878号、米国特許第5、446、137号、米国特許第5、466、786号、米国特許第5、514、785号、米国特許第5、519、134号、米国特許第5、567、811号、米国特許第5、576、427号、米国特許第5、591、722号、米国特許第5、597、909号、米国特許第5、610、300号、米国特許第5、627、053号、米国特許第5、639、873号、米国特許第5、646、265号、米国特許第5、658、873号、米国特許第5、670、633号、米国特許第5、792、747号、及び米国特許第5、700、920号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0089】
更なる代表的な糖置換基には、式I又は式IIの基がある。

式中、
は、O、S又はNHであり、
は、単結合、O、S又はC(=O)であり、
は、C1−C10アルキル、N(R)(R)、N(R)(R)、N=C(R)(R)、N=C(R)(R)又は式III

を有し、
及びRは、各々独立して、水素又はC−C10アルキルであり、
は、−R−Rであり、
、R、R及びRの各々は、独立して、水素、C(O)R、置換又は非置換のC−C10アルキル、置換又は非置換のC−C10アルケニル、置換又は非置換のC−C10アルキニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、化学官能基又は共役基であり、ここで置換基は水素、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルから選択されるか、
又は任意にて、R及びRが一緒になって、それらが結合する窒素原子と共にフタルイミド部分を形成し、
各Rは、独立して、置換又は非置換のC−C10アルキル、トリフルオロメチル、シアノエチルオキシ、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、アリルオキシ、9−フルオレニルメトキシ、2−(トリメチルシリル)−エトキシ、2、2、2−トリクロロエトキシ、ベンジルオキシ、ブチリル、イソ−ブチリル、フェニル又はアリール、
は、水素、窒素保護基又は−R−Rであり、
は、水素、窒素保護基又は−R−Rであり、
は、結合又は結合部分であり、
は、化学官能基、共役基又は固体支持媒体であり、
Rm及びRnの各々は、独立して、H、窒素保護基、置換又は非置換のC−C10アルキル、置換又は非置換のC−C10アルケニル、置換又は非置換のC−C10アルキニルであり、ここで置換基はヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、アルキニル、NH、N(R)(R)、グアニジノ及びアシルから選択され、ここでアシルは酸アミド又はエステルであるか、
又はR及びRが一緒になって、窒素保護基であり、連結してN及びOから選択される更なるへテロ原子を任意にて含む環構造を形成し、又は化学官能基であり、
は、OR、SR、又はN(Rであり、
各Rは、独立して、H、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、C(=NH)N(H)R、C(=O)N(H)R又はOC(=O)N(H)Rであり、
、R及びRは、約4〜約7個の炭素原子、又は約3〜約6個の炭素原子及び1又は2個のヘテロ原子を含む環系を構成し、ここでヘテロ原子は酸素、窒素及び硫黄から選択され、環系は脂肪族、不飽和脂肪族、芳香族、又は置換若しくは非置換の複素環であり、
は、1〜約10個の炭素原子を有するアルキル又はハロアルキル、2〜約10個の炭素原子を有するアルケニル、2〜約10個の炭素原子を有するアルキニル、6〜約14個の炭素原子を有するアリール、N(R)(R)OR、ハロ、SR又はCNであり、
は、1〜約10であり、
各mは、独立して、0又は1であり、
は、0又は1〜10の整数であり、
は、1〜10の整数であり、
は、0、1又は2であるが、
但しmが0のとき、mは1より大きい。
【0090】
式Iの代表的な置換基は、「Capped 2’−Oxyethoxy Oligonucleotides」と題された1998年8月7日出願の米国特許出願第09/130973号に開示されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。
式IIの代表的な環式置換基は、「RNA Targeted 2’−Oligomeric compounds that are Conformationally Preorganized」と題された1998年7月27日出願の米国特許出願第09/123108号に開示されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0091】
特に好ましい糖置換基には、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、及びO(CHON[(CHCH)]があり、ここでn及びmは1〜約10である。
式III及び式IVに示す代表的なグアニジノ置換基は、「Functionalized Oligomers」と題された1999年7月7日出願の共有の米国特許出願公開第09/349、040号に開示されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0092】
代表的なアセトアミド置換基は、米国特許第6、147、200号に開示されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。
代表的なジメチルアミノエチルオキシエチル置換基は、「2’−O−Dimethylaminoethyloxyethyl−Oligomeric compounds」と題された1999年8月6日出願の国際特許出願第PCT/US99/17895号に開示されており、その全容は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0093】
修飾された核酸塩基/天然に存在する核酸塩基
オリゴマー化合物は、核酸塩基(当該技術分野にて度々、単に「塩基」又は「複素環塩基部分」と称される)が修飾されたもの、又は置換されたものをも含み得る。本願で使用されているように、「非修飾」又は「天然」の核酸塩基には、プリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)が含まれる。本願明細書にて複素環塩基部分とも称される修飾核酸塩基は、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル及びアデニン及びグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミン及び2−チオシトシン、5−ハロウラシル及びシトシン、5−プロピニル(−CC−CH)ウラシル及びシトシン並びにピリミジン塩基の他のアルキル誘導体、6−アゾウラシル、シトシン及びチミン、5−ウラシル(シュードウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル及び他の8−置換アデニン及びグアニン、5−ハロ特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチル及び他の5−置換ウラシル及びシトシン、7−メチルグアニン及び7−メチルアデニン、2−F−アデニン、2−アミノ−アデニン、8−アザグアニン及び8−アザアデニン、7−デアザグアニン及び7−デアザアデニン及び3−デアザグアニン及び3−デアザアデニンのような他の合成及び天然核酸塩基を含む複素環塩基部分も指す。
【0094】
複素環塩基部分には、プリン又はピリミジン塩基が、例えば7−デアザグアノシン、2−アミノピリジン及び2−ピリドンのような他の複素環で代替されたものも含まれる。更なる核酸塩基は、米国特許第3、687、808号に開示されたもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering、858−859ページ、Kroschwitz、J.I.、ed.John Wiley&Sons、1990に開示されたもの、Englisch等、Angewandte Chemie、International Edition、1991、30、613に開示されたもの、Sanghvi、Y.S.、Chapter15、Antisense Research and Applications、289−302ページ、Crooke、S.T.及びLebleu、B.、ed.、CRC Press、1993に開示されたものを含む。これら核酸塩基のあるものは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を向上させるために特に有用である。それらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、並びに2−アミノプロピル−アデニン、5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシンを含むN−2、N−6及びO−6置換プリンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸の二重鎖の安定性を0.6〜1.2℃だけ上昇させることが示されており(Sanghvi、Y.S.、Crooke、S.T.及びLebleu、B.、eds.、Antisense Research and Applications、CRC Press、Boca Raton、1993、pp.276−278)、現在、特に2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わせて更に好ましい塩基置換である。
【0095】
本発明の一局面にて、オリゴマー化合物は、一つ又は二つ以上の複素環塩基部分の代わりに多環式複素環化合物を有するよう調製される。これ迄、多数の三環式複素環化合物が報告されてきた。これらの化合物は、修飾された鎖の標的の鎖への結合特性を向上させるために、アンチセンス用途にて慣例的に使用されている。最も研究された修飾はグアノシンを標的とし、そのためにG−クランプ又はシチジン類似体と称されている。これらの多環式複素環化合物の多数は、一般式

を有する。
【0096】
第二の鎖内のグアノシンと3つの水素結合を形成する代表的なシトシン類似体は、1、3−ジアザフェノキサジン−2−オン(R10=O、R11−R14=H)[Kurchavov、等、Nucleosides and Nucleotides、1997、16、1837−1846]、1、3−ジアザフェノチアジン−2−オン(R10=S、R11−R14=H)、[Lin、K.−Y.、Jones、R.J.、Matteucci、M.J.Am.Chem.Soc.1995、117、3873−3874]及び6、7、8、9−テトラフルオロ−1、3−ジアザフェノキサジン−2−オン(R10=O、R11−R14=F)[Wang、J.、Lin、K.−Y.、Matteucci、M.Tetrahedron Lett.1998、39、8385−8388]を含む。オリゴヌクレオチド内に組み込まれ、これら塩基修飾は相補的なグアニンとハイブリダイズすることが示されており、該グアニンはアデニンとハイブリダイズし、また積み重ね相互作用が拡大する結果、螺旋の熱安定性が向上されることも示された(“Modified Peptide Nucleic Acids”と題された2002年5月24日出願の米国特許出願第10/155、920号、及び「Nuclease Resistant Chimeric Oligonucleotides」と題された2002年5月24日出願の米国特許出願第10/013、295号も参照。これら両方はその全容が参照して本願明細書に組み入れられる)。
【0097】
シトシン類似体/置換が、堅い1、3−ジアザ−フェノキサジン−2−オン骨格(scaffold)(R10=O、R11=−O−(CH−NH、R12−14=H)に結合したアミノエトキシ部分を有する場合、更なる螺旋構造の安定化特性が観察されている[Lin、K.−Y.、Matteucci、M.J.Am.Chem.Soc.1998、120、8531−8532]。結合の研究により、単一の組込みがモデルオリゴヌクレオチドの、その相補的な標的DNA又はRNAに対する結合親和性を、5−メチルシトシン(dCme)に関して18°迄のΔTをもって向上させることが示され、これは周知の単一修飾による親和性向上のうちで尚最も高い。その一方、螺旋構造安定性の獲得によって、オリゴヌクレオチドの特異性は損われない。Tのデータは、dC5meと比較して、完全一致配列とミスマッチ配列との間で大きな違いがあることを示す。繋いだアミノ基が更なる水素結合ドナーとして働き、相補的なグアニンのHoogsteen面、即ち06と相互作用して、4つの水素結合を形成することが示唆される。このことは、G−クランプの増大された親和性が、拡大された塩基の積み重ねと、更なる特定の水素結合との組合せによって仲介されていることを意味する。
【0098】
本発明に従った更なる三環式複素環化合物、及びそれらを使用する方法は、2000年5月22発行の米国特許第6、028、183号、及び米国特許第6、007、992号に開示されており、その全容は本願明細書に組み入れられる。
【0099】
フェノキサジン誘導体の結合親和力の増大と、その損なわれていない配列特異性とは、フェノキサジン誘導体をより強力なアンチセンスベースの薬物の開発のための価値ある核酸塩基にする。事実、フェノキサジン置換体を含むヘプタヌクレオチドは、RNaseHを活性化し、細胞取り込みを向上させ、アンチセンス活性を増大させることが可能であるという、インビトロでの実験からの将来有望なデータが得られている[Lin、K−Y、Matteucci、M.J.Am.Chem.Soc.1998、120、8531−8532]。単一の置換がインビトロにおいて20mer2’−デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの効力を有意に改善することが示されたことから、活性化の向上は、G−クランプの場合、より顕著である[Flanagan、W.M.、Wolf、J.J.、Olson、P.、Grant、D.、Lin、K.−Y.、Wagner、R.W.、Matteucci、M.Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1999、96、3513−3518]。それでも、オリゴヌクレオチド設計を最適にし、またこれら複素環修飾の生物学的活性への影響をより深く理解するために、オリゴマーのヌクレアーゼ安定性に対する効果を評価することが大切である。
【0100】
複素環塩基として有用な更なる修飾多環式複素環化合物は、上記した米国特許第3、687、808号、並びに米国特許第4、845、205号、米国特許第5、130、302号、米国特許第5、134、066号、米国特許第5、175、273号、米国特許第5、367、066号、米国特許第5、432、272号、米国特許第5、434、257号、米国特許第5、457、187号、米国特許第5、459、255号、米国特許第5、484、908号、米国特許第5、502、177号、米国特許第5、525、711号、米国特許第5、552、540号、米国特許第5、587、469号、米国特許第5、594、121号、米国特許第5、596、091号、米国特許第5、614、617号、米国特許第5、645、985号、米国特許第5、646、269号、米国特許第5、750、692号、米国特許第5、830、653号、米国特許第5、763、588号、米国特許第6、005、096号、及び米国特許第5、681、941号、並びに2001年11月28日出願の米国特許出願第09/996、292号に開示されているが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる
【0101】
本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド内の一つ又は二つ以上のヌクレオチド位置に、異なる塩基が存在する変異体も含む。例えば、第一のヌクレオチドがアデノシンの場合、この位置にチミジン、グアノシン又はシチジンを含む変異体を作成し得る。これはオリゴヌクレオチドの任意の位置にて実施することができる。次いでこれらオリゴヌクレオチドを、本願明細書において記述する方法を用いて、そのSTAT3の発現抑制能を決定するために試験する。
【0102】
複合物
本発明のオリゴマー化合物に追加し得る更なる好ましい置換は、一つ又は二つ以上の部分を結合又は複合させることを含み、それにより得られたオリゴマー化合物の活性、細胞分布又は細胞取り込みを改善する。一実施態様において、この修飾オリゴマー化合物は、複合基を例えばヒドロキシル又はアミノ基のような官能基に共有結合させて調製される。本発明の複合基は、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学特性を高める基、及びオリゴマーの薬物動態学的特性を高める基を含む。典型的な複合物は、コレステロール、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸塩又はエステル、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン、及び染料を含む。本発明の文脈にて、薬力学特性を高める基は、オリゴマー取り込みを改善し、オリゴマーの分解耐性を高め、かつ/又はRNAとの配列特異性ハイブリダイゼーションを強化する基を含む。本発明の文脈にて、薬物動態学的特性を高める基は、オリゴマー取り込み、分布、代謝又は分泌を改善する基を含む。代表的な複合基は、1992年10月23日出願の国際特許出願第PCT/US92/09196号に開示されており、その開示全体は参照して本願明細書に組み入れられる。複合体部分は、例えばコレステロール部分(Letsinger等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989、86、6553−6556)、コール酸(Manoharan等、Bioorg.Med.Chem.Let.、1994、4、1053−1060)のような脂質部分、例えばヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan等、Ann.N.Y.Acad.Sci.、1992、660、306−309、Manoharan等、Bioorg.Med.Chem.Let.、1993、3、2765−2770)のようなチオエーテル、チオコレステロール(Oberhauser等、Nucl.Acids Res.、1992、20、533−538)、例えばドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison−Behmoaras等、EMBOJ.、1991、10、1111−1118、Kabanov等、FEBS Lett.、1990、259、327−330、Svinarchuk等、Biochimie、1993、75、49−54)のような脂肪鎖、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロール又はトリエチルアンモニウム1、2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan等、Tetrahedron Lett.、1995、36、3651−3654、Shea等、Nucl.Acids Res.、1990、18、3777−3783)のようなリン脂質、ポリアミン又はポリエチレングリセロール鎖(Manoharan等、Nucleosides&Nucleotides、1995、14、969−973)、又はアダマンタン酢酸(Manoharan等、Tetrahedron Lett.、1995、36、3651−3654)、パルミチル部分(Mishra等、Biochim.Biophys.Acta、1995、1264、229−237)、又はオクタデシルアミン若しくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Rooke等、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1996、277、923−937)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0103】
本発明のオリゴマー化合物は、活性薬物成分、例えば、アスピリン、ワーファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、(S)−(+)−プラノプロフェン、カープロフェン、ダンシルサルコシン(dansylsarcosine)、2、3、5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸、ホリニン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌薬又は抗生物質にも複合し得る。オリゴヌクレオチド−薬物複合体及びその調製は、その全容が参照して本願明細書に組み入れられる米国特許出願公開第09/334、130号(1999年6月15日出願)に記載されている。
【0104】
これらオリゴヌクレオチド複合体の調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第4、828、979号、米国特許第4、948、882号、米国特許第5、218、105号、米国特許第5、525、465号、米国特許第5、541、313号、米国特許第5、545、730号、米国特許第5、552、538号、米国特許第5、578、717号、米国特許第5、580、731号、米国特許第5、580、731号、米国特許第5、591、584号、米国特許第5、109、124号、米国特許第5、118、802号、米国特許第5、138、045号、米国特許第5、414、077号、米国特許第5、486、603号、米国特許第5、512、439号、米国特許第5、578、718号、米国特許第5、608、046号、米国特許第4、587、044号、米国特許第4、605、735号、米国特許第4、667、025号、米国特許第4、762、779号、米国特許第4、789、737号、米国特許第4、824、941号、米国特許第4、835、263号、米国特許第4、876、335号、米国特許第4、904、582号、米国特許第4、958、013号、米国特許第5、082、830号、米国特許第5、112、963号、米国特許第5、214、136号、米国特許第5、082、830号、米国特許第5、112、963号、米国特許第5、214、136号、米国特許第5、245、022号、米国特許第5、254、469号、米国特許第5、258、506号、米国特許第5、262、536号、米国特許第5、272、250号、米国特許第5、292、873号、米国特許第5、317、098号米国特許第、5、371、241号、米国特許第5、391、723号、米国特許第5、416、203号、米国特許第5、451、463号、米国特許第5、510、475号、米国特許第5、512、667号、米国特許第5、514、785号、米国特許第5、565、552号、米国特許第5、567、810号、米国特許第5、574、142号、米国特許第5、585、481号、米国特許第5、587、371号、米国特許第5、595、726号、米国特許第5、597、696号、米国特許第5、599、923号、米国特許第5、599、928号及び米国特許第5、688、941号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられる。
【0105】
本発明の組成物に使用されるオリゴマー化合物は、例えばヌクレアーゼ安定性等の性質を高めるために、一般にオリゴマー化合物の片方又は双方の末端に結合した安定化基を有するようにも修飾され得る。安定化基には、キャップ構造が含まれる。「キャップ構造、又は末端キャップ部分」は、オリゴヌクレオチドの両末端に組み込まれた化学修飾を意味する(例えば、参照して本願明細書に組み入れられるWincott等、WO97/26270号を参照のこと)。この末端修飾は、末端核酸分子を有するオリゴマー化合物をエキソヌクレアーゼによる分解から保護し、細胞内での送達及び/又は局在化を補助し得る。キャップは5’−末端(5’−キャップ)、3’−末端(3’−キャップ)、又は双方の末端に存在し得る。非限定的な例において、5’−キャップは、逆位脱塩基残査(部分)4’、5’−メチレンヌクレオチド、1−(β−D−エリトロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環ヌクレオチド、1、5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、α−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’、4’−セコヌクレオチド、非環式3、4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、非環式3、5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−逆位ヌクレオチド部分、3’−3’−逆位脱塩基部分、3’−2’−逆位ヌクレオチド部分、3’−2’−逆位脱塩基部分、1、4−ブタンジオールホスフェート、3’−ホスホロアミデート、ヘキシルホスフェート、アミノヘキシルホスフェート、3’−ホスフェート、3’−ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、又は架橋若しくは非架橋のメチルホスホネート部分(より詳細については、参照して本願明細書に組み入れられるWincott等による国際特許出願公開第WO97/26270号を参照)を含む。
【0106】
特に好ましい本発明の3’−キャップ構造は、例えば4’、5’−メチレンヌクレオチド、1−(β−D−エリトロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環ヌクレオチド、5’−アミノアルキルホスフェート、1、3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート、3−アミノプロピルホスフェート、6−アミノヘキシルホスフェート、1、2−アミノドデシルホスフェート、ヒドロキシプロピルホスフェート、1、5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド、L−ヌクレオチド、α−ヌクレオチド、修飾塩基ヌクレオチド、ホスホロジチオエート、トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド、非環式3’、4’−セコヌクレオチド、3、4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド、3、5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆位ヌクレオチド部分、5’−5’−逆位脱塩基部分、5’−ホスホロアミデート、5’−ホスホロチオエート、1、4−ブタンジオールホスフェート、5’−アミノ、架橋及び/又は非架橋の5’−ホスホロアミデート、ホスホロチオエート及び/又はホスホロジチオエート、架橋又は非架橋のメチルホスホネート及び5’−メルカプト部分(詳細については、参照して本願明細書に組み入れられているBeaucage及びTyer、1993、Tetrahedron49、1925、を参照)を含む。
【0107】
オリゴマー化合物の片方又は双方をキャップして、ヌクレアーゼ安定性を付与するのに使用され得る更なる3’及び5’−安定化基は、2003年1月16日発行のWO03/004602号に開示されている。
【0108】
キメラオリゴマー化合物
オリゴマー化合物の全ての位置を一様に修飾する必要はなく、事実、1個のオリゴマー化合物内に前述した修飾の二種以上を組み込む、又は例えばオリゴマー化合物内のヌクレオシドのようなモノマーサブユニット内にさえも組み込むことができる。本発明は、キメラのオリゴマー化合物であるオリゴマー化合物も含む。本発明の文脈において、「キメラの」オリゴマー化合物又は「キメラ」とは、各々が少なくとも一つのモノマー単位から構成される二つ又は三つ以上の化学的に異なる領域を含むオリゴマー化合物を指す。即ち核酸ベースのオリゴマーの場合ではヌクレオチドである。
【0109】
キメラのオリゴマー化合物は一般に、ヌクレアーゼ分解耐性を増大させ、細胞取り込みを高め、及び/又は標的核酸への結合親和性を高めるように修正された少なくとも一つの領域を有している。オリゴマー化合物の更なる領域は、RNA:DNA又はRNA:RNAハイブリッドを切断可能な酵素のための基質として働き得る。例示として、RNaseHは細胞エンドヌクレアーゼであり、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する。従って、RNaseHを活性化させることによってRNA標的が切断され、遺伝子発現の抑制効率が非常に向上される。従って、キメラを使用した場合、例えば同一標的領域へのホスホロチオエートデオキシオリゴヌクレオチドのハイブリダイズと比較して、より短いオリゴマー化合物によって同等の結果が得られる場合が多い。RNA標的の開裂は、日常的にゲル電気泳動によって、また、必要ならば、当分野で公知の関連核酸ハイブリダイゼーション技法によって検出できる。
【0110】
本発明によるキメラのオリゴマー化合物は、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオシド、及び/又は上述したオリゴヌクレオチド模倣体の二つ又は三つ以上の要素を含む複合3本構造として形成され得る。このようなオリゴマー化合物は、当該技術分野においてハイブリッドヘミマー(hemimer)、ギャップマー(gapmer)又は逆位ギャップマーとも称される。このハイブリッド構造の調製を教授する代表的な米国特許は、米国特許第5、013、830号、米国特許第5、149、797号、米国特許第5、220、007号、米国特許第5、256、775号、米国特許第5、366、878号、米国特許第5、403、711号、米国特許第5、491、133号、米国特許第5、565、350号、米国特許第5、623、065号、米国特許第5、652、355号、米国特許第5、652、356号、及び米国特許第5、700、922号を含むが、これらに限定されるものではなく、またこれら各々は参照して本願明細書に組み入れられている。
【0111】
3’末端の修飾
本発明の一局面において、オリゴマー化合物は、3’末端の糖立体配座を導入するように合成的に修飾されたヌクレオシドを含む。ヌクレオシドは、合成的に修飾された複素環塩基、糖部分、又はそれら両方を組み込み、所望の3’末端の糖立体配座を誘導し得る。これら修飾ヌクレオシドは、オリゴマー化合物の所望の3’末端の立体配座構造を保持する一方、オリゴマー化合物の特定の性質を向上し得るように、RNA状ヌクレオシドを疑似するよう使用される。RNA干渉の必要条件(例、誘因)により、RNA型二重鎖には明らかな優位性が存在しており(A型螺旋、3’末端が優位)、これは2’−デオキシ−2’−F−ヌクレオシドからなる二重殻がC.elegans系内でのRNAi応答の誘因に有効であるとの事実に一部支持されている。より安定な3’末端のヌクレオシドを使用して向上される性質としては、タンパク質結合、タンパク質オフレート、吸着及び排除(clearance)の調節を介した薬物動態学的性質の調節、ヌクレアーゼ安定性及び化学的安定性の調節、結合親和性及びオリゴマーの特異性の調節(酵素及び相補的配列の親和性及び特異性)、並びにRNA切断効率の増大があるが、これらに限定されるものではない。本発明は、C3’末端型立体配座に有利なように修飾された一つ又は二つ以上のヌクレオシドを有する、RNAiを誘因するオリゴマーを提供する。
【0112】
スキーム1

ヌクレオシドの立体配座は、ペントフラノシル糖の2’、3’又は4’位における置換を含む様々な要因の影響を受ける。電気的に陰性な置換基は、一般にアキシアル位を好み、その一方で、立体的に厳しい置換基は、エクアトリアル位を好む(Principles of Nucleic Acid Structure、Wolfgang Sanger、1984、Springer−Verlag)。以下の図2に示すように、2’−OHを認識要素として保持する一方、3’末端の立体配座に有利なように2’位を修飾することができる。(Gallo等、Tetrahedron(2001)、57、5707−5713.Harry−O’kuru等、J.Org.Chem.、(1997)、62(6)、1754−1759及びTang等、J.Org.Chem.(1999)、64、747−754)。代替的に、2’デオキシ−2’F−ヌクレオシドに例示されるように、2’−OHを排除することにより3’末端の立体配座を優先させることができる(Kawasaki等、J.Med.Chem.(1993)、36、831−841)。ここで3’末端の立体配座は、電気的に陰性なフッ素原子をアキシアル位に配置している。リボース環の他の修飾には、例えば4’位を置換した4’−F修飾ヌクレオシド(Guillerm等、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters(1995)、5、1455−1460及びOwen等、J.Org.Chem.(1976)、41、3010−3017)、又は例えば、メタノカルバ修飾によってヌクレオシド類似体を得て(Jacobson等、J.Med.Chem.Lett.(2000)、43、2196−2203及びLee等、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters(2001)、11、1333−1337)3’末端の立体配座の優先が誘導される。同様のラインに沿って、RNAi応答の誘因となるオリゴマーは、立体配座をC3’末端型の立体配座にロックするよう修飾された、即ちLocked Nucleic Acid(LNA、Singh等、Chem.Commun.(1998)、4、455−456)、及びエチレン架橋された核酸(ENA、Morita等、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters(2002)、12、73−76)の一つ又は二つ以上のヌクレオシドから構成され得る。本発明に従う修飾ヌクレオシドの例を、以下の表Iに示す。これらの例は例示を意味し、網羅的なものではない。
【0113】
表I

【0114】
修飾ヌクレオシド、及びそのオリゴマーの好ましい立体配座は、分子動力学計算、核磁気共鳴分光法及びCD測定等の様々な方法により判断し得る。このように、オリゴマーコンテクスト内に、RNA状の立体配座、A型二重鎖構造を誘導するよう予測された修飾が、本発明の修飾オリゴヌクレオチドに使用するために選択される。本発明に適用できる多数の修飾ヌクレオシド合成は、当該技術分野にて公知である(例えば、Chemistry of Nucleosids and Nucleotides Vol 1−3、ed.LeroyB.Townsend、1988、Plenumpress、及び以下の実施例セクションを参照のこと)。RNA依存型RNAポリメラーゼのための抑制剤/基質として知られるヌクレオシドには、例えばHCVNS5Bがある。
【0115】
一局面にて、本発明は、核酸標的に対抗する本来のRNAと比較して向上した性質を有する、調製されたオリゴヌクレオチドに関する。標的が確認され、有効な長さと、標的配列の部分に相補的な配列とを有するオリゴヌクレオチドが選択される。選択された配列を有する各ヌクレオシドは、その性質を向上させる可能性のある修飾について吟味される。好ましい修飾は、一つ又は二つ以上のRNAヌクレオシドを3’末端の立体配座の構造を有するヌクレオシドと代替することであろう。この修飾によって、本来のRNAに関して化学的安定性とヌクレアーゼ安定性とが向上され得る。また同時に、合成及び/又はオリゴヌクレオチドへの組込みがより安価かつ容易である。選択配列は、更にいくつかの領域に分割され、各領域のヌクレオシドは、キメラコンフィギュレーションの結果であり得る修飾の改善について評価される。5’及び3’−末端についても、一つ又は二つ以上の末端ヌクレオチドが度々有利に修飾されるため考慮される。本発明のオリゴマー化合物は、一本鎖上に、又は二本鎖配列(一つ又は複数)の少なくとも一つの5’位上に、少なくとも一つの5’−修飾リン酸基を有し得る。ヌクレオシド間結合、複合基、置換糖若しくは塩基、一つ又は二つ以上のヌクレオシドのヌクレオシド模倣体との置換、及び意図する標的のために選択された配列を改善する任意の他の修飾のような、更なる修飾も考えられる。RNAのホモ二重鎖核酸の立体配座形態を表す用語は「A型」であり、DNAでは“B型”である。RNA及びDNA二重鎖の各々の立体配座形態は、核酸繊維のX線回折分析により決定される(Arnott及びHukins、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1970、47、1504)。一般に、RNA:RNA二重鎖は、DNA:DNA二重鎖と比較してより安定であり、より高い融点(Tm)を有する(Sanger等、Principles of Nucleic Acid Structure、1984、Springer−Verlag、New York、NY.、Lesnik等、Biochemistry、1995、34、10807−10815、Conte等、Nucleic Acids Res.、1997、25、2627−2634)。RNAの安定性の増大は、数個の構造的特徴、最も顕著にはA型形態から生じる改善された塩基積み重ね相互作用を原因とする(Searle等、Nucleic Acids Res.、1993、21、2051−2056)。RNA内の2’ヒドロキシの存在が糖をC3’末端のパッカー、即ちノーザンパッカーとも称される方向に偏らせ、それにより二重鎖はA型形態を指示するようになる。加えて、RNAの2’−ヒドロキシル基は、RNA二重鎖の安定化を助ける水素結合に仲介された水のネットワークを形成し得る(Egli等、Biochemistry、1996、35、8489−8494)。他方で、デオキシ核酸はC2’末端の糖パッカー、即ちサザンパッカーとしても知られるパッカーへ好み、これは比較的不安定なB型形態を形成すると考えられる(Sanger、W.(1984)Principles ofNucleic Acid Structure、Springer−Verlag、New York、NY)。本願明細書で使用されるように、B型形態は、C2’末端のパッカー及びO4’末端のパッカーの両方を含む。このことは、B型二重鎖を生じさせるフラノース立体配置を考慮すれば、O4’末端のパッカーの寄与も考慮に入れる必要があると指摘したBerger等によるNucleic Acids Research、1998、26、2473−2480と一致する。
【0116】
しかしながら、DNA:RNAハイブリッド二重鎖は、通常、純粋なRNA:RNA二重鎖よりも安定性が低く、その配列に応じて、DNA:DNA二重鎖よりも安定性が高いか、又は低いかのいずれかであり得る(Searle等、Nucleic Acids Res.、1993、21、2051−2056)。ハイブリッド二重鎖の構造は、A型及びB型形態の中間であり、そのため結果として積み重ね相互作用が乏しい場合がある(Lane等、Eur.J.Biochem.、1993、215、297−306、Fedoroff等、J.Mol.Biol.、1993、233、509−523、Gonzalez等、Biochemistry、1995、34、4969−4982、Horton等、J.Mol.Biol.、1996、264、521−533)。標的RNAと合成配列との間に形成された二重鎖の安定性は、アンチセンス及びRNA干渉のような療法にとっては、これらの機構が合成オリゴヌクレオチド鎖のRNA標的鎖への結合を必要とするため重要である。アンチセンスの場合、mRNAを効果的に抑制するには、アンチセンスDNAがmRNAに対して非常に高い結合親和性を有する必要がある。さもなくば、所望の合成オリゴヌクレオチド鎖と標的mRNA鎖との間の相互作用の頻度が減少し、効力が低下する。
【0117】
糖パッカリングを修飾する慣例的に使用されている一方法では、糖の形態に影響を与える置換基を用いて、糖の2’−を置換する。環の立体配座への影響は、2’位の置換基の性質に依存する。多くの異なる置換基の試験により、糖のパッカリング効果が測定されている。例えば、2’−ハロゲンが研究され、2’−フルオロ誘導体ではC3’末端型の個体数が最も高くなり(65%)、2’−ヨードでは最も低くなる(7%)ことが示された。アデノシン(2’−OH)及びデオキシアデノシン(2’−H)の個体数は、各々36%及び19%である。更に、アデノシン二量体(2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシン、2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシン)の2’−フルオロ基の効果は、更に、積み重ね立体配座の安定性に対応している。
【0118】
予想通り、相対的な二重鎖の安定性は、2’−OH基を2’−F基で置換して、C3’末端の集団を増大させることにより高められ得る。高い極性を有する2’ F結合の性質と、際立ったC3’末端のパッカリング優先性とは、A型二重鎖の積み重ね立体配座を安定化し得ることが想定される。UV淡色効果、円二色性分光法、及びHNMRによるデータも、ハロ置換基の電気陰性度が低くなるにつれて、積み重ね度が低下することを示している。更に、糖部分の2’位の立体的な嵩高さは、B型二重鎖と比較するとA型二重鎖によく収容される。従って、ジヌクレオシドモノホスフェートの3’−末端上の2’−置換基は、積み重ね立体配座上に、立体的な反発、フラノースパッカリング優先性、静電気反発、疎水性による誘引、及び水素結合能などの多数の効果を付与すると思われる。これらの置換基効果は、置換基の分子サイズ、電気陰性度、及び疎水性により決定されると思われる。相補的な鎖の融点も、2’−置換により上昇する。立体配座の3’末端の優先性、又は置換基の存在が、結合の増加の原因であるか否かは明らかではない。しかしながら隣接する塩基の重なり(積重ね)の増加は、3’末端の立体配座により達成され得る。
【0119】
ヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増大させ、また結合親和性を非常に高くする合成2’−修飾の一つは、2−メトキシエトキシ(2’−MOE、2’−OCHCHOCH)側鎖である(Baker等、J.Biol.Chem.、1997、272、11944−12000)。2’−MOE置換の直の利点の一つは、多数の同様の2’修飾、例えばO−メチル、O−プロピル、及びO−アミノプロピルと比較して高い、結合親和性における改善である。2’−O−メトキシエチル置換基を有するオリゴヌクレオチドも、遺伝子発現のアンチセンス抑制剤であることが示され、インビボでの未来における使用が期待されている(Martin、P.、Helv.Chim.Acta、1995、78、486−504、Altmann等、Chimia、1996、50、168−176、Altmann等、Biochem.Soc.Trans.、1996、24、630−637、及びAltmann等、Nucleoside Nucleotides、1997、16、917−926)。DNAに関して、2’−MOE修飾を有するオリゴヌクレオチドは、RNA親和性の向上と、ヌクレアーゼ耐性の増大とをが示した。ウイングヌクレオシドと、デオキシ−ホスホロチオエートヌクレオチド(オリゴヌクレオチド又はギャップマーとも称される)の内部領域とに2’−MOE置換基を有するキメラオリゴヌクレオチドは、動物モデルにおける腫瘍成長の低下に低用量で効果を示すことが証明されている。2’−MOE置換オリゴヌクレオチドは、いくつかの疾病状態に対するアンチセンス薬剤として、抜群に有望であることが証明されている。そのようなMOE置換オリゴヌクレオチドの一つは、現在、CMV網膜炎治療の臨床試験にて研究されている。
【0120】
化学的定義
本願明細書に別に定義されない限り、アルキルは、C−C12、好ましくはC−C、より好ましくはC−Cの直鎖、又は(可能であれば)分岐鎖の脂肪族ヒドロカルビルを意味する。
【0121】
本願明細書に別に定義されない限り、ヘテロアルキルは、少なくとも1個、好ましくは約1〜約3個のヘテロ原子を、鎖の末端部を含む鎖内に含む、C−C12、好ましくはC−C、より好ましくはC−Cの直鎖、又は(可能であれば)分岐鎖の脂肪族ヒドロカルビルを意味する。好ましいヘテロ原子は、N、OおよびSを含む。本願明細書に別に定義されない限り、シクロアルキルは、C−C12、好ましくはC−C、より好ましくはC−Cの脂肪族ヒドロカルビル環を意味する。
【0122】
本願明細書に別に定義されない限り、アルケニルは、直鎖、又は(可能であれば)分岐鎖のヒドロカルビル部分であってもよく、かつ少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含み得るC−C12、好ましくはC−C、より好ましくはC−Cアルケニルを意味する。
【0123】
本願明細書に別に定義されない限り、アルキニルは、直鎖、又は(可能であれば)分岐鎖のヒドロカルビル部分であってもよく、かつ少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を含むC−C12、好ましくはC−C、より好ましくはC−Cアルキニルを意味する。
【0124】
本願明細書に別に定義されない限り、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも3個の環員を含み、その少なくとも1個が炭素であり、また1、2又は3個の環員が炭素以外である環部分を意味する。好ましくは、炭素原子の数は、1〜約12、好ましくは1〜約6の間で変動し、環員の全部の数は3〜約15、好ましくは約3〜約8の間で変動する。好ましい環ヘテロ原子は、N、O及びSである。好ましいヘテロシクロアルキル基は、モルホリノ、チオモルホリノ、ピリジニル、ピペラジニル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、ホモモルホリノ、ホモチオモルホリノ、ピロロジニル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイミダゾリル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソキサゾリル、テトラヒドロピラゾリル、フラニル、ピラニル、及びテトラヒドロイソチアゾリルを含む。
【0125】
本願明細書に別に定義されない限り、アリールは、少なくとも一つのアリール環を含む任意の炭化水素環構造を意味する。好ましいアリール環は、約6〜約20個の環炭素を有する。特に好ましいアリール環は、フェニル、ナフチル、アントラニル、及びフェナントレニルを含む。
【0126】
本願明細書に別に定義されない限り、ヘテロアリールは、少なくとも一つの完全不飽和環を含み、該環は炭素及び非炭素原子から構成される環部分を意味する。好ましくは、環系は約1〜約4個の環を含む。好ましくは、炭素原子の数は、1〜約12個、好ましくは1〜約6個の間で変動し、環員の全部の数は、3〜約15個、好ましくは約3〜約8個の間で変動する。好ましい環ヘテロ原子は、N、O及びSである。好ましいヘテロアリール部分は、ピラゾリル、チオフェニル、ピリジル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピリミジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチオフェニル等を含む。
【0127】
本願明細書に別に定義されない限り、一つの部分が複合部分、例えばヘテロアリールアルキル(ヘテロアリール及びアルキル)、アラルキル(アリール及びアルキル)等として定義される場合、そのサブ部分の各々は本願明細書に定義したとおりである。
【0128】
本願明細書に別に定義されない限り、電子吸引基は、例えばシアノ又はイソシアナート基のような、それが結合する炭素から電子の電荷を吸引する基である。注目すべき他の電子吸引基は、その電子陰性度が炭素のそれを上回るグループ、例えば、ハロゲン、ニトロ、そのオルト又はパラ位が一つ又は二つ以上のシアノ、イソチオシアナート、ニトロ又はハロ基で置換された、又はフェニルを含む。
【0129】
本願明細書に別に定義しない限り、用語ハロゲン及びハロは、それらの通常の意味を有する。好ましいハロ(ハロゲン)置換基は、Cl、Br、及びIである。前述した任意の置換基は、本願明細書に別に定義しない限り、所望の性質に応じた適切な置換基である。それらには、ハロゲン(Cl、Br、I)、アルキル、アルケニル、及びアルキニル部分、NO、NH(置換及び非置換)、酸部分(例、−COH、−OSO等)、ヘテロシクロアルキル部分、ヘテロアリール部分、アリール部分等が含まれる。前記の全ての式において、記号(〜)は、5’−ホスフェートの酸素又は硫黄に対する結合を示す。
【0130】
リン酸保護基(ホスフェート保護基)は、米国特許第5、760、209号、米国特許第5、614、621号、米国特許第6、051、699号、米国特許第6、020、475号、米国特許第6、326、478号、米国特許第6、169、177号、米国特許第6、121、437号、米国特許第6、465、628号に記載されているものを含み、これら各々はその全容が参照して明白に本願明細書に組み入れられる。
【0131】
本発明に従って使用されるオリゴヌクレオチドは、公知の固相合成法により利便性よく、また日常的に製造され得る。この合成法のための器具は、AppliedBiosystemsを含むいくつかの業者から販売されている。この合成法のための任意の他の手段を使用してもよい。オリゴヌクレオチドの実際の合成は、ルーチン作業者の技量で十分可能である。同様の技術を2’−O−メトキシエチルオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート及び2’−アルコキシ又は2’−アルコキシアルコキシ誘導体(Martin、P.、Helv.Chim.Acta1995、78、486−504)を製造するために使用することはよく知られている。また同様の技術、及び商業的に入手可能な修飾アミダイト、及び多孔質ガラス(controlled−poreglass)(CPG)製品、例えばビオチン、フルオレセイン、アクリジン又はソラレン修飾アミダイト及び/又はCPG(GlenResearch、Sterling、VAから入手可能)を、蛍光ラベルした、ビオチン化又は他の複合オリゴヌクレオチドの合成に使用することもよく知られている。
【0132】
アンチセンス組成物及び製剤
本発明の化合物は、摂取、分布及び/又は吸収を助けるするために、例えば、リポソーム、受容体を標的とする分子、経口製剤、直腸経由の製剤、局所製剤又は他の製剤として他の分子、分子構造又は化合物の混合物とよく混合、封入、複合化、又は別様に関連され得る。これら分布及び/又は吸収を助ける製剤を教授している代表的な米国特許は、各々参照して本願明細書に組み入れられる米国特許第5、108、921号、米国特許第5、354、844号、米国特許第5、416、016号、米国特許第5、459、127号、米国特許第5、521、291号、米国特許第5、543、158号、米国特許第5、547、932号、米国特許第5、583、020号、米国特許第5、591、721号、米国特許第4、426、330号、米国特許第4、534、899号、米国特許第5、013、556号、米国特許第5、108、921号、米国特許第5、213、804号、米国特許第5、227、170号、米国特許第5、264、221号、米国特許第5、356、633号、米国特許第5、395、619号、米国特許第5、416、016号、米国特許第5、417、978号、米国特許第5、462、854号、米国特許第5、469、854号、米国特許第5、512、295号、米国特許第5、527、528号、米国特許第5、534、259号、米国特許第5、543、152号、米国特許第5、556、948号、米国特許第5、580、575号、及び米国特許第5、595、756号を含むが、これらに限定されるものではない。
【0133】
本発明のアンチセンス化合物は、薬剤的に許容される任意の塩、エステル、若しくはそのようなエステルの塩、又はヒトを含む動物に投与された場合、その生物学的に活性な代謝産物若しくは残基を(直接的若しくは間接的に)提供し得る任意の他の化合物を包含する。従って、例えば、本開示は本発明の化合物のプロドラッグ及び薬剤的に許容される塩、そのようなプロドラッグの薬剤的に許容される塩、並びに他の生物学的同等物も含む。
【0134】
用語「プロドラッグ」は不活性形態にて製造されて、内因性酵素、又は他の化学物質及び/又は条件の作用によって身体又はその細胞内で活性形態(即ち、薬物)に変換される治療薬を示す。特に、本発明のオリゴヌクレオチドのプロドラッグの種類は、Gosselin等による1993年12月9日発行のWO93/24510号、又はImbach等に付与されたWO94/26764号及び米国特許第5、770、713号に開示された方法に従い、SATE[(Sアセチル−2−チオエチル)ホスフェート]誘導体として製造される。
【0135】
用語「薬剤(医薬)的に許容される塩」は、本発明の化合物の生理学的及び薬剤的に許容される塩、即ち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性効果をそれに与えない塩を意味する。
【0136】
薬剤的に許容される塩基付加塩は、金属又はアミン、例えばアルカリ及びアルカリ土類金属又は有機アミンと共に形成される。カチオンとして使用される金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び同様物が挙げられる。適切なアミンの例は、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、及びプロカインが挙げられる(例えば、Berge等、「Pharmaceutical Salts、」J.of Pharma Sci.、1977、66、1−19を参照)。本願明細書に使用されるように、「薬剤的付加塩」は、本発明の組成物の一成分の酸形態の、薬剤的に許容される塩を含む。これらには、アミンの有機又は無機酸が含まれる。好ましい酸塩は、塩酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩及びリン酸塩である。薬剤的に許容される他の適切な塩は、当業者に周知であり、それらには様々な無機及び有機酸の塩基塩が含まれる。
【0137】
オリゴヌクレオチドについて、薬剤的に許容される塩の好ましい例には、(a)ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、例えばスペルミン及びスペルミジン等のポリアミンのようなカチオンと共に形成される塩、(b)例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸及び同様物のような無機酸と共に形成される酸付加塩、(c)例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息公酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸、及び同様物のような有機酸と共に形成される塩、並びに(d)例えば塩素、臭素、及びヨウ素のような元素アニオンから形成される塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0138】
薬剤組成物、及び投与経路
本発明の薬剤組成物は、局所又は全身治療のいずれが望ましいかに応じて、及び治療するべき領域に応じて、多数の方法により投与することができる。投与は、局所的に(眼、並びに膣及び直腸送達を含む粘膜に)、肺に(例、ネブライザーによるものを含む粉末又はエアゾルの吸入又は通気)、気管内に、鼻腔内に、上皮に、及び経皮的に、経口的に又は非経口的に行われ得る。非経口投与は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、又は筋内注射若しくは点滴、又は頭蓋内、例、くも膜下腔内若しくは脳室内投与を含む。少なくとも一つの2’−O−メトキシエチル修飾を含むオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると思われる。
【0139】
局所投与のための薬剤組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座薬、スプレー、液剤及び散剤を含み得る。従来の薬剤担体、水性、粉末状又は油状基材、増粘剤等が必要であるか、又は望ましい。被覆コンドーム、グローブ等も有用である。好ましい局所製剤は、本発明のオリゴヌクレオチドが、例えば脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート化剤及び界面活性剤のような局所送達剤と混合されたものを含む。好ましい脂質及びリポソームは、中性(例、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、負(例、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)及びカチオン性(例、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAP及びジオレイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)を含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム内に封入されるか、又はリポソーム、特にカチオン性リポソームと複合体を形成し得る。代替的に、オリゴヌクレオチドは脂質、特にカチオン性脂質に複合されてもよい。好ましい脂肪酸及びエステルは、アラキドン酸、オレイン酸、エイコサン酸、ラウリン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプリン酸エステル、トリカプリン酸エステル、モノオレイン酸エステル、ジラウリングリセリル1−モノカプリン酸エステル、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、又はC1−10アルキルエステル(例、イソプロピルミリステートIPM)、モノグリセリド、ジグリセリド又はそれらの薬剤的に許容される塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0140】
いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、経口投与経路を介して対象者に投与され得る。本発明の対象者は、動物を含む。動物の対象者は、例えばマウス、ラット、イヌ、モルモット、サル、ヒト、ヒトではない霊長類、ネコ又はブタ等の哺乳類であり得る。ヒトではない霊長類には、サル及びチンパンジーが含まれる。適切な動物対象者は、例えばマウス、ラット、イヌ、ヒトではない霊長類、ネコ又はブタ等の実験動物であり得る。
【0141】
いくつかの実施態様において、対象者はヒトであり得る。所定の実施態様において、本願明細書により詳細に記述するように、対象者はヒトの患者であり得る。所定の実施態様では、ヒト患者の一つ又は二つ以上の遺伝子の発現を調節する必要があり得る。いくつかの特定の実施態様において、ヒト患者の一つ又は二つ以上の遺伝子の発現を抑制する必要があり得る。特定の実施態様において、本願明細書に記述する治療結果を得るためにSTAT3を調節、即ち抑制又は増強する必要があり得る。
【0142】
いくつかの実施態様において、本発明による非経口でない(例、経口)オリゴヌクレオチド製剤は、オリゴヌクレオチドのバイオアベイラビリティを向上させる。この文脈にて、用語「バイオアベイラビリティ」は、薬物送達に特定の投与モードが使用された場合に、循環系(例、血液、詳細には血漿)に到達する投与薬物部分の量を意味する。高いバイオアベイラビリティは、他の一つの投与モードに関して、特定の投与モードが、対象者の抹消血液血漿にオリゴヌクレオチドを送達する能力を意味する。例えば、薬物を対象者に導入するのに非経口でない投与モード(例、経口モード)が使用される場合、その投与モードのバイオアベイラビリティは、異なる投与モード、例、IVの投与モードと比較され得る。いくつかの実施態様において、非経口でない投与後の化合物の血漿濃度曲線(AUC0)下の面積は、静脈内(i.v.)投与(AUCiv)後の薬物血漿濃度曲線下の面積で除算されて、無次元量(相対バイオアベイラビリティ、RB)を提供し得る。これは、IV経路と比較した、非経口でない経路を介して吸収された化合物部分を表している。組成物のバイオアベイラビリティは、第一組成物の相対バイオアベイラビリティ(RB1)が第二の組成物の相対バイオアベイラビリティ(RB2)よりも大きい場合に、他の一組成物のバイオアベイラビリティと比較して高いと言われている。
【0143】
一般に、バイオアベイラビリティは、薬物の最終的な作用部位が細胞内であったとしても、化合物の治療的有効性が到達する血中濃度と関連する場合に、治療的有効性と相関する(vanBerge−Henegouwen等、Gastroenterol.、1977、73、300)。バイオアベイラビリティに関する研究は、経口投与後の薬物の抹消血中濃度の変化を測定することによって、薬物の腸管吸収の程度を測定するのに使用されている(DiSanto、Chapter76In:Remington’s Pharmaceutical Sciences、18thEd.、Gennaro、ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990、1451−1458ページ)。一般に、経口組成物(オリゴヌクレオチドを含む)のバイオアベイラビリティは、その相対バイオアベイラビリティが、実質的に純粋なオリゴヌクレオチド、即ち浸透促進剤を含まないオリゴヌクレオチドから構成されている組成物のバイオアベイラビリティよりも大きい場合に、”高い“と言われる。
【0144】
器官バイオアベイラビリティとは、器官内の化合物の濃度を意味する。試験対象者の器官バイオアベイラビリティは、多数の手段、例えば全身X線写真により測定され得る。器官バイオアベイラビリティは、本願明細書により詳細に記述するように、オリゴヌクレオチドに対する一つ又は二つ以上の修飾、一種又は二種以上の担体化合物又は賦形剤の使用等により調節、例えば高めることができる。一般には、バイオアベイラビリティが増大する結果、器官バイオアベイラビリティも増大する。
【0145】
本発明による経口オリゴヌクレオチド組成物は、「吸収促進剤」又は単に「浸透促進剤」としても周知の一種又は二種以上の「粘膜浸透促進剤」を含んでもよい。従って、本発明のいくつかの実施態様は、少なくとも一種の浸透促進剤と組み合わせた少なくとも一種のオリゴヌクレオチドを含む。一般に、浸透促進剤は、所望の投与モードに関連した粘膜(一つ又は複数)、(例えば腸管上皮膜)を通過する薬物の輸送を促進する物質のことである。従って、オリゴヌクレオチドの活性を妨害することなく、またオリゴヌクレオチドが副作用例えば有毒性、刺激作用又はアレルギー応答のような許容不可能な程度の副作用を生じることなく、動物の身体内に導入され得るように、オリゴヌクレオチドの取り込みを促進する一種又は二種以上の浸透促進剤を選択することが望ましい。
【0146】
本発明の実施態様は、非経口でない投与モードを介して投与されたオリゴヌクレオチドのバイオアベイラビリティを向上させる、一種又は二種以上の薬剤的に許容される浸透促進剤を含む組成物、及びそのような組成物を使用する方法を提供する。従来、特定の薬物のバイオアベイラビリティを向上させるために、特定の浸透促進剤が使用されてきた。Muranishi、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Systems、1990、7、1及びLee等、Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Systems、1991、8、91参照。オリゴヌクレオチドの取り込み及び送達は、非経口でない手段により投与される場合でも、多数の異なるクラス浸透促進剤の使用を介して非常に改善され得ることが分かっている。
【0147】
いくつかの実施態様において、非経口でない投与用の組成物は、天然に存在するオリゴヌクレオチド(即ち、完全−ホスホジエステルデオキシリボシル、又は完全ホスホジエステルリボシルオリゴヌクレオチド)の一つ又は二つ以上の修飾を含む。この修飾は、結合親和性、ヌクレアーゼ安定性、細胞若しくは組織浸透性、組織分布、又は他の生物学的若しくは薬物動態学的性質を向上させ得る。修飾は一般に、オリゴヌクレオチド化学(chemistry)に関して本願明細書により詳細に記述するように、塩基、リンカー又は糖に行われ得る。本発明のいくつかの実施態様にて、対象者に投与するための組成物、特に(ヒト又はヒトではない)動物対象者に投与するための経口組成物は、親和力、安定性、組織分布、又は他の生物学的性質を向上させるために一つ又は二つ以上の修飾を有する修飾オリゴヌクレオチドを含むと想定される。
【0148】
適切な修飾リンカーには、ホスホロチオエートリンカーがある。本発明のいくつかの実施態様にて、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つのホスホロチオエートリンカーを有する。ホスホロチオエートリンカーは、ヌクレアーゼ安定性、及び血漿タンパク質結合特性をオリゴヌクレオチドに付与する。ヌクレアーゼ安定性は、インビボにて、オリゴヌクレオチドの寿命を延長するのに有用である一方、血漿タンパク質結合は、オリゴヌクレオチドの腎排泄による初回通過クリアランスの速度を低下させる。本発明のいくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは少なくとも二つのホスホロチオエートリンカーを有する。オリゴヌクレオチドが正確にn個のヌクレオシドを有するいくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、1〜n−1個のホスホロチオエート結合を有する。オリゴヌクレオチドが正確にn個のヌクレオシドを有するいくつかの実施態様にて、オリゴヌクレオチドはn−1個のホスホロチオエート結合を有する。オリゴヌクレオチドが正確にn個のヌクレオシドを有し、nは偶数である他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは1〜n/2個のホスホロチオエート結合を有するか、又は、nが奇数である場合、1〜(n−1)/2個のホスホロチオエート結合を有する。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、交互のホスホジエステル(PO)及びホスホロチオエート(PS)結合を有する。他の実施態様において、オリゴヌクレオチドは、二つ又は三つ以上の連続するPO結合からなる少なくとも一つのストレッチ、及び二つ又は三つ以上のPS結合からなる少なくとも一つのストレッチを有する。他の実施態様にて、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つのPS結合で遮断された、PO結合からなる少なくとも二つのストレッチを有する。
【0149】
いくつかの実施態様において、ヌクレオシドの少なくとも一つは、ヌクレアーゼ安定性、結合親和性又は数個の他の有利な生物学的性質を糖に付与する修飾によって、リボース糖単位上が修飾されている。場合により、糖修飾は2’−修飾を含み、例えばリボース糖の2’−OHが代替又は置換されている。2’−OHの適切な置換には、2’−F及び2’−アラビノ−Fが含まれる。OHの適切な置換には、2’−O−アルキル、例えば2−O−mエチル、及び2’−O−置換アルキル、例えば2’−O−メトキシエチル、2’−NH、2’−O−アミノプロピル等が含まれる。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの2’−修飾を含む。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも二つの2’−修飾を含む。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つの2’−修飾を各末端(即ち、各々同一又は異なる2’−修飾を有する3’−及び5’−末端ヌクレオシド)に含む。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、同オリゴヌクレオチドの各末端に少なくとも二つの連続した2’−修飾を含む。いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチドは、更に少なくとも一つのデオキシヌクレオシドを含む。特定の実施態様にて、オリゴヌクレオチドはデオキシヌクレオシドのストレッチを含み、同ストレッチは該オリゴヌクレオチドがハイブリダイズ可能なRNAのRNase(例、RNaseH)切断を活性化することが可能である。いくつかの実施態様において、デオキシヌクレオシドのストレッチは、約6〜約16個、例えば約8〜約16個の連続的なデオキシヌクレオシドを含むRNAのRNase仲介切断を活性化することが可能である。更なる実施態様にて、オリゴヌクレオチドはRNA:RNAハイブリッドに対して作用するdsRNAse酵素による切断を誘発することが可能である。
【0150】
本発明のオリゴヌクレオチド組成物は、錠剤、カプセル、液体シロップ、軟性ゲル、座薬、及び浣腸を含むが、これらに限定されない様々な剤形に調製され得る。用語「消化管送達」には、例えば経口、直腸経由、内視鏡投与、及び舌下/頬内投与が含まれる。これらの投与モードは、消化管の一部若しくは全体における吸収、及びそのように投与されたオリゴヌクレオチド又はその模倣物の十分な粘膜貫通を通常必要とする。
【0151】
頬内又は舌下投与のような口腔粘膜を介した薬物送達は、多くの場合、薬物の血漿濃度がより迅速に上昇する等の数個の所望の特徴を有する(Harvey、Chapter35In:Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.、Gennaro、ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990、711ページ)。
【0152】
内視鏡は、消化管の内部に薬物を直接送達するのに使用され得る。例えば、内視鏡的逆行性膵管造影法(ERCP)は、延長した胃内視鏡検査を利用して、胆管及び膵管への選択的アクセスを可能にする(Hirahata等、GanToKagakuRyoho、1992、19(10Suppl.)、1591)。リポソーム製剤を含む薬剤組成物は、内視鏡的手段を介して、消化管の一部内、例えば十二指腸(Somogyi等、Pharm.Res.、1995、12、149)又は胃粘膜下内に直接送達され得る(Akamo等、JapaneseJ.CancerRes.、1994、85、652)。胃洗浄装置(Inoue等、Artif.Organs、1997、21、28)及び経皮内視鏡供給装置(Pennington等、AilmentPharmacol.Ther.、1995、9、471)も薬剤組成物の直接的な消化管送達に使用することができる。
【0153】
いくつかの実施態様において、オリゴヌクレオチド製剤は、肛門経由で直腸又は腸管下部内に投与され得る。この目的のために直腸座薬、保持浣腸、又は直腸カテーテルが使用され得、患者のコンプライアンスを得ることが困難な場合に好ましいと思われる(例、小児及び老人用途、又は患者が嘔吐しているか、又は無意識下にある場合)。直腸投与は経口経路と比較して、より迅速かつ高い血中濃度が得られる(Harvey、Chapter35In:Remington’s Pharmaceutical Sciences、18thEd.、Gennaro、ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990、711ページ)。直腸から吸収された薬物の約50%が肝臓を迂回すると想定されるため、この経路による投与は初回通過代謝の可能性を有意に低下させる(Benet等、Chapter1 In:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、9th Ed.、Hardman等、eds.、McGraw−Hill、New York、NY、1996)。
【0154】
経口オリゴヌクレオチド組成物に添加される他の賦形剤には、界面活性剤(即ち「表面−活性剤」)がある。これらは、水溶液中に溶解すると、溶液の表面張力、又は水溶液と他の一液体との間の界面張力を低下させ、その結果、消化管粘膜及び他の表皮膜を通過するオリゴヌクレオチドの吸収が促進される化学的な存在である。胆汁塩及び脂肪酸に加えて、界面活性剤には、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル及びポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(Lee等、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92ページ)、並びにパーフルオロヘミカル乳剤、例えばFC−43(Takahashi等、J.Pharm.Phamacol.、1988、40、252)が含まれる。
【0155】
浸透促進剤として作用し、本発明の組成物に使用され得る脂肪酸及びその誘導体には、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカノン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレイル)−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセリル1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、アシルカルニチン、アシルコリン、並びにモノ−及びジ−グリセリド、及び/又はそれらの生理学的に許容される塩(即ち、オレイン酸塩、ラウリン酸塩、カプリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩等)が含まれる(Lee等、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92ページ、Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1、El−Hariri等、J.Pharm.Pharmacol.、1992、44、651)。
【0156】
いくつかの実施態様において、経口送達用のオリゴヌクレオチド組成物は、粒子、カプセル、ゲルカプセル、微粒子等からなり得る少なくとも二つの別個の相を含み得る。各相は、一種又は二種以上のオリゴヌクレオチド、浸透促進剤、界面活性剤、生体接着剤、発泡剤、又は他の補助剤、賦形剤若しくは希釈剤を含み得る。いくつかの実施態様において、一つの相は少なくとも一種のオリゴヌクレオチドと、少なくとも一種の浸透促進剤とを含む。いくつかの実施態様において、第一の相は、少なくとも一種のオリゴヌクレオチドと、少なくとも一種の浸透促進剤とを含み、第二の相は少なくとも一種の浸透促進剤を含む。いくつかの実施態様において、第一の相は、少なくとも一種のオリゴヌクレオチドと、少なくとも一種の浸透促進剤とを含み、第二の相は少なくとも一種の浸透促進剤を含み、かつ実質的にオリゴヌクレオチドを含まない。いくつかの実施態様において、少なくとも一つの相は、相の内容物の放出を遅延させる例えば皮膜又はマトリクスのような少なくとも一つの分解遅延剤を混合されている。いくつかの実施態様において、少なくとも一つの相。いくつかの実施態様において、第一の相は少なくとも一種のオリゴヌクレオチドと、少なくとも一種の浸透促進剤を含み、第二の相は少なくとも一種の浸透促進剤と放出遅延剤とを含む。特定の実施態様にて、経口オリゴヌクレオチド組成物は、オリゴヌクレオチド及び浸透促進剤を含有する粒子からなる第一の相と、放出遅延剤で被覆され、かつ浸透促進剤を含有する粒子からなる第二の相とを含む。
【0157】
様々な胆汁塩もまた浸透促進剤として機能して、薬物の取り込み及びバイオアベイラビリティを改善する。胆汁の生理学的役割には、脂肪及び脂溶性ビタミンの分散及び吸収の促進が含まれる(Brunton、Chapter38 In:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、9th Ed.、Hardman等、eds.、McGraw−Hill、New York、NY、1996、934−935ページ)。様々な天然胆汁塩、及びそれらの合成誘導体が浸透促進剤として働く。従って、用語「胆汁塩」には、天然に存在する任意の胆汁成分と、それらの任意の合成誘導体とが含まれる。本発明の胆汁塩には、例えば、コール酸(又はその薬剤的に許容されるナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケモデオキシコール酸(CDCA、ケモデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24、25−ジヒドロ−フシデート(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、及びポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)(Lee等、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1991、92ページ、Swinyard、Chapter39 In:Remington’s Pharmaceutical Sciences、18th Ed.、Gennaro、ed.、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1990、782−783ページ、Muranishi、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems、1990、7、1、Yamamoto等、J.Pharm.Exp.Ther.、1992、263、25、Yamashita等、J.Pharm.Sci.、1990、79、579)が含まれる。
【0158】
いくつかの実施態様において、本発明の浸透促進剤は、浸透促進化合物の混合物である。この浸透促進混合物の一つは、カプリン酸及び/又はラウリン酸、又はそれらの塩、例えばナトリウム塩を伴うUDCA(及び/又はCDCA)である。この混合物は、生物学的に活性な物質の粘膜、特に腸粘膜を通過する送達を促進するのに有用である。他の浸透促進剤混合物は、約5〜95%の胆汁酸、又は塩(一種又は複数種)、5〜95%のカプリン酸及び/又はラウリン酸を伴うUDCA及び/又はCDCAを含む。特定の浸透促進剤は、UDCAのナトリウム塩、カプリン酸、及びラウリン酸を、各々約1:2:2の比にて含む混合物である。このような浸透促進剤の別の一つは、カプリン酸及びラウリン酸(又はその塩)を0.01:1〜1:0.01の比(モルベースで)にて含む混合物である。特定の実施態様にて、カプリン酸、及びラウリン酸は、例えば約0.1:1〜約1:0.1、詳細には約0.5:1〜約1:0.5のモル比で存在する。
【0159】
他の賦形剤にはキレート化剤、即ち金属イオンと共に複合体を形成して該金属イオンを除去し、その結果、消化管及び他の粘膜を介したオリゴヌクレオチドの吸収が促進される化合物が含まれる。本発明において、DNA様オリゴヌクレオチドを含有する組成物中での浸透促進剤としてのそれらの使用に関しては、キレート化剤はDNase抑制剤としても作用するという利点を追加し、このことはDNAヌクレアーゼが触媒反応のために二価金属イオンを必要とし、従ってキレート化剤により抑制されるということで最もよく特徴付けられる(Jarrett、J.Chromatogr.、1993、618、315)。本発明のキレート化剤には、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチル酸塩(例、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチル酸塩、及びホモバニル酸塩)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス−9及びβ−ジケトン(エナミン)のN−アミノアシル誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない(Lee等、Critical Reviews in Pharmaceutical Drug Carrier Systems、1991、92ページ、Muranishi、Critical Reviews in Pharmaceutical Drug Carrier Systems、1990、7、1、Buur等、J.Control Rel.、1990、14、43)。
【0160】
本願明細書で使用されているように、非キレート非界面活性剤浸透促進剤は、キレート化剤、又は界面活性剤としての有意でない活性を示す化合物として定義され得るにも関わらず、消化管及び他の粘膜を介したオリゴヌクレオチドの吸収を促進する(Muranishi、Critical Reviews in Pharmaceutical Drug Carrier Systems、1990、7、1)。この浸透促進剤のクラスには、不飽和環状尿素、1−アルキル−及び1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Lee等、CriticalReviews in Pharmaceutical Drug Carrier Systems、1991、92ページ)、並びに非ステロイド系抗炎症薬例えばジクロフェナクナトリウム、インドメタシン及びフェニルブタゾンが含まれるが、これらに限定されるものではない(Yamashita等、J.Pharm.Pharmacol.、1987、39、621)。
【0161】
細胞レベルでオリゴヌクレオチドの取り込みを促進する薬剤を、本発明の薬剤的、治療的及び他の組成物に加えてもよい。例えば、カチオン性脂質、例えばLIPOFECTINTMJunichietal、米国特許第5、705、188号)、カチオン性グリセロール誘導体、及びポリカチオン性分子、例えばポリリシン(Lollo等、国際特許出願公開第WO97/30731号)が使用され得る。
【0162】
「薬剤的担体」又は「賦形剤」は、一種又は二種以上の核酸を動物に送達するための、薬剤的に許容される溶媒、懸濁剤、又は任意の他の薬理学的に不活性なビヒクルであり得る。賦形剤は液体又は固体であり得、計画された投与方法を留意した上で、オリゴヌクレオチド、及び所定の薬剤組成物の他の成分と組み合わせた際に所望の塊、堅さ等を提供するように選択される。典型的な薬剤的担体には、結合剤(例、αとうもろこし澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、充填剤(例、ラクトース及び他の糖、微結晶セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート又は硫酸水素カルシウム、等)、滑沢剤(例、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、硬化ベジタブルオイル、コーンスターチ、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、等)、錠剤崩壊剤(例、澱粉、グリコール酸澱粉ナトリウム、EXPLOTAB)、及び湿潤剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム、等)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0163】
経口オリゴヌクレオチド組成物は、更に薬剤組成物中に、当該技術分野で確立されている使用レベルにおいて、慣習的に見られる他の補助成分を含有してもよい。従って、例えば、組成物は、更なる、適合性を有する、薬剤的に活性な物質、例えば、痒み止め薬、アストリンゼン、局所麻酔薬、又は抗炎症薬を含有してもよいし、本発明の組成物を多様な剤形に物理的に調製する際に有用な、例えば色素、着香剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤、安定剤等の更なる材料を含有してもよい。しかしながら、これらの材料は、添加された場合に、本発明の組成物成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。
【0164】
非経口、くも膜内又は脳室内投与のための組成物及び製剤には、緩衝液、希釈剤、及び他の適切な添加剤、例えば浸透促進剤、担体化合物、及び他の薬剤的に許容される担体若しくは賦形剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。無菌水溶液が含まれ得る。
【0165】
本発明の薬剤組成物には、液剤、乳剤、及びリポソーム含有製剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。これら組成物は、プレフォームドリキッド(preformed liquid)、自己乳化性固形物及び自己乳化性半固形物を含むが、これらに限定されない様々な成分から生成され得る。
【0166】
単位剤形で利便性よく存在し得る本発明の薬剤製剤は、薬剤工業の分野で周知の従来の技術に従って製造され得る。この技術は、活性成分を薬剤的担体(一種若しくは複数種)又は賦形剤(一種若しくは複数種)と関連させるステップを含む。一般に製剤は、均一かつ緊密に活性成分を液体担体、若しくは微粉化した固体担体、又はこれら双方と関連させた後、必要であれば製品を成形することによって製造される。
【0167】
本発明の組成物は、例えば錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、軟性ゲル、座薬、及び浣腸を含むが、これらに限定されない多数の可能な剤形のうちのいずれかに調製され得る。本発明の組成物は、水性、非水性、又は混合媒体中の懸濁液として調製することもできる。水性懸濁液は更に、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストランを含む、懸濁液の粘土を高める物質を含有してもよい。懸濁液は、安定剤を含み得る。
【0168】
本発明の一実施態様にて、薬剤組成物は発泡体として調製及び使用されてもよい。薬剤発泡体には、例えば乳剤、マイクロエマルジョン、クリーム、ゼリー及びリポソームを含むがこれらに限定されない製剤が含まれる。これらの製剤は基本的に類似した性質を有するが、最終製品の成分及び堅さが異なる。これら組成物及び製剤の調製は、一般に薬剤及び製剤の分野の当業者に周知であり、本発明の組成物の製剤に適用することができる。
【0169】
乳剤
本発明の組成物は、乳剤として作成及び調製することができる。乳剤は、通常、一つの液体が他の一液体中に液滴の形態で分散した不均一系であり、該液滴は通常、直径が0.1μmを超える(Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.199、Rosoff、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、Volume 1、p.245、Block in Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume2、p.335、Higuchi等、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1985、p.301)。乳剤は、多くの場合二相系であり、緊密に混合され、かつ互いに分散された二つの不混和性の液体相からなる。一般に、乳剤は、油中水型(w/o)又は水中油型(o/w)のいずれかであり得る。水相が小さい液滴として大きい油相中に微細化され、かつ分散される場合、得られた組成物は油中水型(w/o)乳剤と称される。代替的に、油相が小さい液滴として大きい水相中に微細化され、かつ分散される場合、得られた組成物は水中油型(w/o)乳剤と称される。乳剤は、分散した相と活性薬物に加えて更なる成分を含んでもよく、該成分は水相、油相又はそれ自体で別個の相として存在し得る。必要に応じて、乳剤中に薬剤賦形剤、例えば乳化剤、安定剤、色素、及び酸化防止剤が存在してもよい。薬剤乳剤は、三つ以上の相を含む複合乳剤、例えば油中水中油型(o/w/o)及び水中油中水型(w/o/w)のような乳剤であってもよい。このような複合製剤は、多くの場合、単純な2成分乳剤が提供しない確かな利点を提供する。o/w乳剤の個々の油滴が小さい水滴を取り囲む複合乳剤は、w/o/w乳剤を構成する。同様に、油滴が、油の連続の中に安定化している水の小球中に取り囲まれた系は、o/w/o乳剤を提供する。
【0170】
多くの場合、乳剤の分散又は不連続相は、外部又は連続相中によく分散され、乳化剤手段又は製剤の粘度を介して該形態を保持している。乳剤スタイルの軟膏ベース及びクリームの場合のように、乳剤のいずれの相も半固体又は固体であってよい。乳剤を安定化させる他の手段には、乳剤のいずれの相に組み込んでもよい乳化剤の使用がある。乳化剤は大きく次の4つのカテゴリーに分類することができる。成界面活性剤、天然に存在する乳化剤、吸収ベース、及び微分散した固体(Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.199)。
表面活性剤としても周知の合成界面活性剤は、乳剤の調製に幅広く適用されており、文献にて概説されている(Rieger、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.285、Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、1988、volume 1、p.199)。界面活性剤は一般に、両親媒性であり、親水性部分と疎水性部分を含む。界面活性剤の疎水性の性質に対する親水性の性質の比は、親水/疎水バランス(HLB)と称され、製剤の調製において界面活性剤を類別及び選択する際の有用な手段である。界面活性剤は、親水基の性質に基づき次の異なるクラスに分類され得る。非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性(Rieger、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.285)。
【0171】
乳剤製剤に使用される天然に存在する乳化剤は、ラノリン、蜜蝋、リン脂質(フォスファチド)、レシチン及びアカシアを含む。吸収ベースは、例えば無水ラノリン及び親水性ワセリンのように、親水性を有するため水を吸収してw/o乳剤を形成することができるが、尚、半固体の堅さを保持する。微粉化した固体も、特に界面活性剤と組み合わせて、また粘性調合物中において良好な乳化剤として使用されている。これらには、例えば重金属水酸化物のような極性無機固体、例えばベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト、カオリン、モンモリロナイト、コロイド状ケイ酸アルミニウム及びコロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムのような非膨潤粘土、顔料及び例えば炭素又はトリステアリン酸グリセリルのような無極性固体がある。
【0172】
乳剤の性質に寄与する非常に多様な非乳化材料を、乳剤製剤中に含むことができる。それらには、脂肪、油、蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、保湿剤、親水コロイド、保存剤及び酸化防止剤が含まれる(Block、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.335、Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.199)。
【0173】
親水コロイドには、例えばポリサッカライド天然に存在するゴム、及び合成ポリマー、例えば多糖類(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、カラギナン、グアーガム、カラヤガム、及びトラガカント)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース及びカルボキシプロピルセルロース)、及び合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、及びカルボキシビニルポリマー)が含まれる。これらは水中に分散、又は膨潤してコロイド状溶液を形成し、これが分散相の液滴の周囲に強力な界面薄膜を形成することによって、また外部の相の粘度を増大させることによって、乳剤を安定化させる。
【0174】
乳剤は多くの場合、微生物の増殖を容易に支持し得る、例えば炭水化物、タンパク質、ステロール及びリン脂質等の多数の成分を含有するため、これらの製剤は保存剤を組み込む場合がが多い。乳剤製剤に含まれる、通常使用されている保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、第四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、及びボロン酸が含まれる。酸化防止剤も、通常乳剤製剤に添加されて製剤の劣化を防止する。使用される酸化防止剤は、例えばトコフェロール、アルキルガレート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンのようなフリーラジカルスカベンジャーであり得るか、又は例えばアスコルビン酸及びメタ重亜硫酸ナトリウムのような還元剤、及び例えばクエン酸、酒石酸、及びレシチンのような酸化防止剤協力剤であり得る。
【0175】
皮膚を介した、経口及び非経口経路による乳剤製剤の適用、並びにそれらの製造方法は、文献にて再考されている(Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.199)。経口送達用の乳剤製剤は、調製の容易性、吸収の有効性、及びバイオアベイラビリティ的見地から非常に幅広く使用されている(Rosoff、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.245、Idson、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.199)。鉱油ベースの下剤、油溶性ビタミン及び高脂肪栄養調製品は、o/w乳剤として一般に経口投与されている材料のうちに含まれる。
【0176】
本発明の一実施態様にて、オリゴヌクレオチドの組成物はマイクロエマルジョンとして調製される。マイクロエマルジョンは、単一の光学的等方性を有し、かつ熱力学的に安定な溶液である、水系、油系及び両親媒性の系として定義され得る(Rosoff、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.245)。通常、マイクロエマルジョンは、最初に、油を水性の界面活性剤溶液中に分散し、次に、概して中間鎖長アルコールである第四の成分の十分量を加えて透明な系を形成することにより調製される系である。従って、マイクロエマルジョンはまた、表面活性分子の界面薄膜により安定化された、熱力学的に安定で、二つの不混和性液体から構成される等方的に透明な分散物であるとして記述されている(Leung and Shah、:Controlled Release of Pharmaceuticals :Polymers and Aggregate Systems、Rosoff、M.、Ed.、1989、VCH Publishers、New York、185−215ページ)。マイクロエマルジョンは、通常、油、水、界面活性剤、共界面活性剤及び電解質を含む3〜5種の成分を組み合わせて調製される。マイクロエマルジョンが油中水型(w/o)又は水中油型(o/w)のいずれであるかは、使用する油及び界面活性剤の性質と、界面活性剤分子の極性頭部及び炭化水素尾部の構造及び幾何学的な充填状態とに依存する(Schott、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA、1985、p.271)。
【0177】
相ダイアグラムを用いた現象論的アプローチは広範囲に研究されており、当業者にマイクロエマルジョンの調製方法についての包括的な知識を提供した(Rosoff、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、RiegerandBanker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.245、Block、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.335)。従来の乳剤と比較すると、マイクロエマルジョンは、自発的に形成された熱力学的に安定な液滴の製剤中の水不溶性の薬物を可溶化する利点を有する。
【0178】
マイクロエマルジョン調製品に使用される界面活性剤には、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)、の単独、又は共界面活性剤との組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。通常、短鎖アルコール、例えばエタノール、1−プロパノール、及び1−ブタノールである共界面活性剤は、界面活性剤薄膜を貫通し、界面活性剤分子間に生成した空間による乱れた薄膜を形成することによって、界面流動性を高めるよう働く。しかしながら、マイクロエマルジョンは共界面活性剤を使用せずに調製することができ、アルコールを含有しない、自己乳化性のマイクロエマルジョン系が当該技術分野にて公知である。水相は、一般に水、薬物、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール、プロピレングリコール及びエチレングリコール誘導体の水溶液であり得るが、これらに限定されるものではない。油相は、例えばCaptex300、Captex355、CapmulMCM、脂肪酸エステル、中間鎖(C−C12)モノ、ジ、及びトリ−グリセリド、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリグリコール化グリセリド、飽和ポリグリコール化C−C10グリセリド、ベジタブルオイル及びシリコーン油を含むが、これらに限定されるものではない。
【0179】
マイクロエマルジョンは、薬物可溶化、及び薬物吸収改善の見地から特に興味が持たれている。ペプチドを含む薬物の経口バイオアベイラビリティを向上させるために、脂質ベースのマイクロエマルジョン(o/w及びw/oの両方)が提案されている(Constantinides等、Pharmaceutical Research、1994、11、1385−1390、Ritschel、Meth.Find.Exp.Clin.Pharmacol.、1993、13、205)。マイクロエマルジョンは、薬物可溶性の改善、酵素加水分解からの薬物の保護、界面活性剤によって誘導される薄膜流動性、及び浸透性の変更による薬物吸収の改善の可能性、調製の容易性、固体剤形での経口投与の容易性、臨床的有効性の向上、及び毒性の低減といった利点を提供する(Constantinides等、Pharmaceutical Research、1994、11、1385、Ho等、J.Pharm.Sci.、1996、85、138−143)。マイクロエマルジョンは多くの場合、その成分が周囲温度で集まると自発的に形成される。このことは、熱不安定性の薬物、ペプチド又はオリゴヌクレオチドを調製する場合に特に有利であり得る。マイクロエマルジョンはまた、美容及び薬剤用途の双方にて、活性成分の経皮送達に有効である。本発明のマイクロエマルジョン組成物及び製剤は、胃腸管からのオリゴヌクレオチドの全身吸収を促進し、また胃腸管、膣、頬側口腔及び他の投与部位内での局所細胞によるオリゴヌクレオチド取り込みを促進することが期待される。
【0180】
本発明のマイクロエマルジョンはまた、更なる成分、及び添加剤、例えばスルビタンモノステアレート(Grill3)、Labrasol、及び浸透促進剤を含有して、製剤の性質を改良し、また本発明のオリゴヌクレオチド及び核酸の吸収を促進してもよい。本発明のマイクロエマルジョンに使用される浸透促進剤は、界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、キレート化剤、及び非キレート化剤非界面活性剤からなる5つの大きいカテゴリーの一つに属するよう分類され得る(Lee等、Critical Reviews in Therapeutic Drag Carrier Systems、1991、p.92)。これらの各クラスは、上記に記述されている。
【0181】
リポソーム
マイクロエマルジョンの他にも、研究され、薬物製剤に使用されている組織化された界面活性剤構造が存在する。それらには、単分子膜、ミセル、二分子膜及び小胞が含まれる。例えばリポソームのような小胞は、その特異性と、薬物送達の見地からそれらが提供する遅延作用により、多大な興味を集めている。本発明に使用されているように、用語「リポソーム」は球状の二分子膜(一つ又は複数)に配置された親水性脂質から構成される小胞を意味する。
【0182】
リポソームは、親油性材料から形成された膜と、水性の内部とを有する単層又は複層の小胞である。水性部分は、送達されるべき組成物を含んでいる。カチオン性リポソームは、細胞壁に融合できる利点を有する。非カチオン性リポソームは、細胞壁に同様に融合することができないが、インビボでマクロファージに吸収される。
【0183】
哺乳類の皮膚を損なわずに該皮膚を貫通するために、脂質小胞は、適切な経皮的勾配の影響の下で、各々直径50nm未満の微細な孔の連続を通過する必要がある。従って、高度に変形可能で、これらの微細孔を通過し得るリポソームを使用することが望ましい。
リポソームの更なる利点としては、天然リン脂質から得られたリポソームが生体適合性、及び生分解性を有すること、多様な水溶性及び油溶性薬物を取り込むことができること、その内部区画に封入した薬物を代謝及び分解から保護することができる(Rosoff、Pharmaceutical Dosage Forms、Lieberman、Rieger and Banker(Eds.)、1988、Marcel Dekker、Inc.、New York、N.Y.、volume 1、p.245)ことが挙げられる。リポソーム製剤を調製する際に考慮するべき重要な点は、脂質表面の変化、小胞の寸法、及びリポソームの水性部分の容積である。
【0184】
リポソームは、活性成分を作用部位に移動及び送達する際に有用である。リポソーム膜は生物学的膜と構造的に類似するため、リポソームが組織に適用された場合、リポソームは細胞膜と融合し始める。リポソームと細胞との融合が進行するにつれ、リポソーム内容物が細胞内に排出されて、活性薬剤が作用し得る。
【0185】
リポソーム製剤は、多くの薬物の送達モードとして広く研究の焦点となっている。局所投与のために、リポソームは他の製剤を超える数個の利点を有するという証拠が増加している。これらの利点には、投与薬物の多大な全身吸収による副作用の低減、所望の標的における投与薬物の蓄積の増大、皮膚内へ親水性及び疎水性の両方の様々な薬物を投与できる能力等がある。
【0186】
数個の報告において、高分子量DNAを含む薬剤を皮膚に送達するリポソームの能力が詳細されている。鎮痛剤、抗体、ホルモン及び高分子量DNAを含む化合物が、皮膚に投与されている。これら用途の大部分は表皮上層を標的としていた。
【0187】
リポソームは大きい二つのクラスに分類され、またDNA、RNA又は任意の核酸ベースの構成体の送達に有用である。カチオン性リポソームは正電荷を帯びたリポソームであり、負電荷を帯びたDNA分子と相互作用して、安定な複合体を形成する。正電荷を帯びたDNA/リポソーム複合体は、負電化を帯びた細胞表面に結合し、エンドソーム内に吸収される。エンドソーム内の酸性pHを原因として、リポソームは破壊されて、その内容物が細胞原形質内に放出される(Wang等、Biochem.Biophys.Res.Commun.、1987、147、980−985)。
【0188】
pH感受性又は負電荷を帯びたリポソームは、DNAと複合体を形成せずにDNAを封入する。DNAと脂質の両方が同様に帯電しているため、複合体を形成せずに反発が生じる。にも関わらず、いくつかのDNAはこれらリポソームの水性内部に捕捉される。pH−感受性リポソームは、チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを培地内の細胞の単分子膜に送達するのに使用されている。標的細胞内で外来遺伝子の発現が検出された(Zhou等、Journal of Controlled Release、1992、19、269−274)。
【0189】
リポソーム組成物の主な種類の一つには、天然物由来のホスファチジルコリン以外では、リン脂質が含まれる。天然のリポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、一般に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成される一方、アニオン性融合性リポソームは、主としてジオレイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成される。別の種類のリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば大豆PC、及び卵PCから形成される。別の種類のリポソーム組成物は、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0190】
数個の研究がリポソーム薬物製剤の皮膚への局所送達について評価している。インターフェロンを含むリポソームをモルモットの皮膚に適用した所、皮膚ヘルペス疼痛が軽減したのに対し、他の手段を介してのインターフェロンの送達(例、溶液又は乳剤として)は無効であった(Weiner等、Journal of Pharmaceutical Targeting、1992、2、405−410)。また更なる研究にて、リポソーム製剤の一部として投与されたインターフェロンの、水性系を使用したインターフェロンの投与に対する効力を試験し、リポソーム製剤は水性投与と比較して優れているとの結論に達した(duPlessis等、Antiviral Research、1992、18、259−265)。
【0191】
非イオン性リポソーム系、特に非イオン性界面活性剤及びコレステロールからなる系も試験され、薬物の皮膚への送達における有用性が測定された。NovasomeTMI(グリセリルジラウレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)及びNovasomeTMII(グリセリルジステアレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含む非イオン性リポソーム製剤を使用して、シクロスポポリン−Aをマウス皮膚の真皮内に送達した。結果は、このような非イオン性リポソーム系がシクロスポリン−Aの皮膚の異なる層内での沈着を促進するのに有効であることを示した(Hu等S.T.P.Pharma.Sci.、1994、4、6、466)。
【0192】
リポソームはまた、「立体的に安定した」リポソームも含む。この用語は本願明細書に使用されているように、一種又は二種以上の特別な脂質を含むリポソームを意味し、該脂質はリポソームに組み込まれると、特別な脂質を含まないリポソームに関して循環寿命を高める。立体的に安定したリポソームの例には、リポソームの小胞形成脂質部分が(A)一種又は二種以上の糖脂質を含むもの、例えばモノシアロガングリオシドGM1、又は(B)例えばポリエチレングリコール(PEG)部分のような、一つ又は二つ以上の親水性ポリマーで誘導体化されたものが含まれる。特定の理論のいずれかに裏づけされている訳ではないが、当該技術分野では、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリン、又はPEG−誘導体化脂質を含む立体的に安定化したリポソームでは、細網内皮系(RES)の細胞内への取り込みが低下することから、これら立体的に安定化したリポソームの延長された循環寿命が誘導される(Allen等、FEBS Letters、1987、223、42、Wuetal Cancer Research、1993、53、3765)。
【0193】
一つ又は二つ以上の糖脂質を含む様々なリポソームが公知である。Papahadjopoulos等(Ann.N.Y.Acad.Sci.、1987、507、64)は、モノシアルガングリオシドGM1、硫酸ガラクトセレブロシド、及びホスファチジルイノシトールの、リポソームの血中半減期を延長する能力について報告した。これらの発見はGabizon等(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、1988、85、6949)により詳細に解説された。Allen等による米国特許第4、837、028号及びWO88/04924号には、(1)スフィンゴミエリン及び(2)ガングリオシドGM1又はaガラクトセレブロシド硫酸エステルを含むリポソームが開示されている。米国特許第No.5、543、152号(Webb等)には、スフィンゴミエリンを含むリポソームが開示されている。WO97/13499号(Lim等)に、1、2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含むリポソームも開示されている。
【0194】
一つ又は二つ以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含む多数のリポソーム、及びそれらを調製する方法が公知である。Sunamoto等(Bull.Chem.Soc.Jpn.、1980、53、2778)は、PEG部分を含む非イオン性洗浄剤2C1215Gを含むリポソームを記載した。Illum等(FEBS Lett.、1984、167、79)は、ポリスチレン粒子に重合体グリコールで親水性被覆を施すと、血中半減期が有意に延長することを示した。ポリアルキレングリコール(例、PEG)のカルボキシル基を結合して修飾した合成リン脂質が、Sears(米国特許第4、426、330号及び米国特許第4、534、899号)により記載されている。Klibanov等(FEBS Lett.、1990、268、235)は、PEG又はPEGステアレートで誘導体化したホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むリポソームが、血中循環半減期を有意に延長させたことを示す実験について記載している。Blume等(Biochimicaet Biophysica Acta、1990、1029、91)は、この観察を、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)及びPEGを組み合わせて形成される、例えばDSPE−PEGのような他のPEG−誘導体化リン脂質に拡大した。共有結合したPEG部分を外部表面上に有するリポソームが、Fisherによる欧州特許第EP0445131B1号及びWO90/04384号に記載されている。PEGで誘導体化されたPEを1−20モルパーセント含むリポソーム組成物、及びその使用方法が、Woodle等(米国特許第5、013、556号及び米国特許第5、356、633号)及びMartin等(米国特許第No.5、213、804及び欧州特許第EP0496813B1号)により記述されている。多数の他の脂質−ポリマー接合体を含むリポソームがWO91/05545号及び米国特許第5、225、212号(両方ともMartin等による)並びにWO94/20073号(Zalipsky等)に開示されている。PEG−修飾セラミド脂質を含むリポソームが、WO96/10391号(Choi等)に記載されている。米国特許第5、540、935号(Miyazaki等)及び米国特許第5、556、948号(Tagawa等)は、その表面が更に官能基部分で誘導体化され得るPEG−含有リポソームを記載している。
【0195】
Thierry等による国際特許第WO96/40062号は、高分子量核酸をリポソーム内に封入する方法を開示している。Tagawa等による米国特許第5、264、221号は、タンパク質−結合リポソーを開示し、またこのリポソームの内容物はアンチセンスRNAを含み得ることを主張している。Rahman等による米国特許第5、665、710号は、オリゴデオキシヌクレオチドをリポソーム内に封入する特定の方法を記述している。Love等による国際特許第WO97/04787号は、raf遺伝子を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むリポソームを開示している。
【0196】
トランスファーソーム(transfersomes)は、更に別のリポソームの一種類であり、高度に変形可能な脂質集合体であり、薬物送達ビヒクルの魅力的な候補である。トランスファーソームは脂質液滴と表現することができ、これらは高度に変形可能であるため、液滴よりも小さい孔を容易に貫通し得る。トランスファーソームは、それらが使用される環境に順応性を有し、例えばトファンスファーソームは自己最適化(皮膚内の孔の形状に適応)し、自己修復し、分解せずに高い頻度で標的に到着し、及び多くの場合、自己充填性を有する。トファンスファーソームを製造する場合、標準的なリポソーム組成物に、通常、界面活性剤であるサーフェスエッジ(surface−edge)活性剤を加えることが可能である。トファンスファーソームは血清アルブミンを皮膚に送達するのに使用されている。トファンスファーソームが仲介する血清アルブミンの送達は、血清アルブミンを含む溶液の皮下注射と同程度に有効であることが示されている。
【0197】
界面活性剤は、例えば乳剤(マイクロエマルジョンを含む)、及びリポソームのような製剤に幅広く適用されている。多数の異なる種類の界面活性剤(天然及び合成の双方)の性質を分類及び位置付けする最も通常の方法は、親水/疎水バランス(HLB)を使用して行われる。親水性基(「頭部」としても周知)の性質は、製剤に使用される異なる界面活性剤を類別する際に最も有用な手段を提供する(Rieger、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Dekker、Inc.、New York、NY、1988、p.285)。
【0198】
界面活性剤分子がイオン化されていない場合、非イオン性界面活性剤として分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬製品及び美容製品に幅広い用途を有し、広いpH値の範囲で使用可能である。一般に、そのHLB値は、その構造に応じて2〜約18の範囲に亘る。非イオン性界面活性剤には、例えばエチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル、ポリグリセリルエステル、ソルビタンエステル、スクロースエステル、及びエトキシル化エステルのような非イオン性エステルが含まれる。例えばエトキシル化脂肪アルコール、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマーのような非イオン性アルカノールアミド及びエーテルも、このクラスに含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤のクラスで最も良く知られたメンバーである。
【0199】
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散された際に負電荷を帯びる場合、界面活性剤は、アニオン性に分類される。アニオン性界面活性剤には、石鹸のようなカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアセトアミド、硫酸アルキルとしての硫酸エステル、及びエトキシル化アルキルスルフェート、アルキルベンゼンスルホネートのようなスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホスクシネート、並びにホスフェートが含まれる。アニオン性界面活性剤のクラスで最も重要なメンバーは、アルキルスフホネート及び石鹸である。
【0200】
界面活性剤分子が水中に溶解又は分散された際に正電荷を帯びる場合、界面活性剤は、カチオン性に分類される。カチオン性界面活性剤には、第四級アンモニウム塩、及びエトキシル化アミンが含まれる。第四級アンモニウム塩は、このクラスで最も使用されているメンバーである。
【0201】
界面活性剤分子が正電荷又は負電荷のいずれかを帯びる能力を有する場合、界面活性剤は両性に分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N−アルキルベタイン及びリン脂質が含まれる。
【0202】
薬物生成物、製剤及び乳剤中の界面活性剤の使用が再考されている(Rieger、Pharmaceutical Dosage Forms、MarcelDekker、Inc.、New York、NY、1988、p.285)。
【0203】
非経口ではない投与に適切で、核酸との反応に有害性のない、薬剤的に許容される有機又は無機賦形剤もまた、本発明の組成物の調製に使用され得る。薬剤的に許容される適切な担体には、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及び同様物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0204】
核酸の局所投与のための製剤には、滅菌及び非滅菌水溶液、例えばアルコールのような通常の溶媒中の非滅菌溶液、又は液体又は固体の油ベース中の核酸溶液が含まれる。溶液は緩衝液、希釈剤及び他の適切な添加剤を含んでもよい。非経口ではない投与に適切で、核酸との反応に有害性のない、薬剤的に許容される有機又は無機賦形剤を使用してもよい。
【0205】
薬剤的に許容される適切な賦形剤には、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及び同様物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0206】
本発明の化合物は、パルス送達によっても投与され得る。“パルス送達”とは、薬物(例、アンチセンス化合物)と浸透促進剤との組み合わせの第一パルスと、薬物吸収を促進する浸透促進剤の第二パルスとを送達する医薬製剤を意味する。浸透促進剤の第一パルスの放出によって吸収されない。
【0207】
本発明の一実施態様は、腸の薬物吸収を促進する遅延放出経口製剤であり、該製剤は、
(a)前記薬物及び浸透促進剤を含む担体粒子の第一集団と、ここで薬物及び浸透促進剤は腸の第一部位に放出されることと、
(b)浸透促進剤及び遅延放出皮膜又はマトリクスを含む担体粒子の第二集団と、ここで浸透促進剤は、第一部位の下流の腸内の第二部位に放出され、それにより薬物が第二部位に到達した際の薬物吸収が促進されることと、を含む。
【0208】
代替的に、(a)及び(b)の浸透促進剤は異なっていてもよい。
このような促進は少なくとも担体粒子の二つの集団を封入することにより得られる。担体粒子の第一集団は、生物学的に活性な物質と浸透促進剤とを含み、担体粒子の第二(場合により追加の)集団は、浸透促進剤と遅延放出皮膜又はマトリクスとを含む。
【0209】
経口的に投与された薬物に適用される「初回通過効果」は、胃酸及び様々な消化酵素の作用による分解を意味する。初回通過クリアランス効果を緩和する手段の一つは、投与する薬物の用量を増加することにより、初回通過クリアランスで損失する割合を補償することを意味する。これは例えば、静脈内投与により、単に動物に対してより多量の薬物を提供することにより、例えば、動物に対して単純により多量の薬物を付与することにより容易に達成され得る。他の要因も、非経口ではない手段を介して投与された薬物のバイオアベイラビリティに影響を与える。例えば、薬物は消化管又は血流中で酵素的に、又は化学的に分解され得、及び/又は様々な粘膜に対して不浸透性又は半浸透性を有し得る。
【0210】
これら医薬組成物は、直腸、膣又は肺経由で投与された場合に、生物活性を有する物質の吸収を促進することが可能であると想定される。生物活性を有する物質の放出は、胃腸管の任意の部分で達成され得ることも想定される。
【0211】
オリゴヌクレオチドの液体の医薬組成物は、オリゴヌクレオチドと、例えば滅菌パイロジェンフリー(pyrogen free)水、又は生理食塩水溶液のような適切なビヒクルとを組み合わせて調製され得る。他の治療的化合物も任意に含有し得る。
【0212】
本発明は固体微粒子組成物の使用も想定している。そのような組成物は、好ましくは呼吸に適したサイズのオリゴヌクレオチド粒子を含む。そのような粒子は、例えば、乾燥オリゴヌクレオチドを従来の手段、例えば乳鉢及び乳棒により粉砕した後、得られた粉末組成物を400メッシュスクリーンに通して大きい粒子及び凝集体を分離する。活性オリゴヌクレオチドを含む固体微粒子組成物は、エアゾルの形成を容易にするよう働く分散剤、例えばラクトースを任意に含み得る。
【0213】
本発明によれば、オリゴヌクレオチド組成物はエアゾル化することもできる。液体粒子のエアゾルは、ネブライザー等、任意の適切な手段により製造することができる。例えば、米国特許第4、501、729号を参照されたい。ネブライザーは商業的に入手可能な装置であり、該装置は通常は空気又は酸素である圧縮ガスをベンチュリ(又は)オリフィスを通して推進するか、又は超音波撹拌のいずれかにより、溶液又は懸濁液を治療的なエアゾル噴霧に転換する。適切なネブライザーには、PARILCPLUS、PARIDURA−NEB2000、PARI−BABYSize、PARIPRONEBCompressorwithLCPLUS、PARIWALKHALERCompressor/ネブライザー系、PARILCPLUSReusableネブライザー、及びPARILCJet+(登録商標)ネブライザーの名称でBlairex(登録商標)により販売されているものを含む。
【0214】
ネブライザーに使用される製剤は、液体のオリゴヌクレオチドから構成されてもよく、例えば無菌、パイロジェンフリー水、又は生理食塩水溶液、ここでオリゴヌクレオチドは、製剤の約40%w/wを占める。オリゴヌクレオチドは20%w/w未満を占めることが好ましい。所望であれば、例えば保存料(例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル)酸化防止剤、及び着香剤等の更なる添加物を組成物に加えてもよい。
【0215】
オリゴヌクレオチドを含む固体粒子も、当該技術分野にて周知の任意の固体粒子医薬エアゾルを使用してエアゾル化され得る。このようなエアゾル発生器は、上述したような呼吸に適した粒子を生成し、更にエアゾルの単位容積当たり再現可能な一定量を生成する。適切な固体微粒子エアゾル発生器には、吸入器及び定量噴霧器が含まれる。定量噴霧器は当該技術分野にて使用されており、本発明に有用である。
【0216】
好ましくは、液体又は固体のエアゾルは、約10〜150リットル/分の速度で製造され、より好ましくは約30〜150リットル/分、最も好ましくは約60リットル/分の速度で製造される。
生物活性物質の高いバイオアベイラビリティも、本発明の組成物の経口投与、及び方法を介して達成される。
【0217】
他の成分
本発明の組成物は、更に医薬組成物中に、当該技術分野で確立されている使用レベルで慣習的に見られる他の補助成分を含有してもよい。従って、例えば、組成物は、更なる、適合性を有する、薬剤的に活性な物質、例えば、痒み止め薬、アストリンゼン、局所麻酔薬又は抗炎症薬を含有してもよいし、本発明の組成物を多様な剤形に物理的に調製する際に有用な、例えば色素、着香剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤、増粘剤及び安定剤等の更なる材料を含有してもよい。しかしながら、これらの材料は、添加された場合に、本発明の組成物成分の生物学的活性を過度に妨害しない必要がある。製剤は滅菌されてもよく、また所望であれば、製剤中の核酸(一種又は複数種)と有害な相互作用を起こさない、例えば滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝液、着色剤、着香及び/又は芳香物質、及び同様物のような補助剤を混合してもよい。
【0218】
水性懸濁液は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン等の、該懸濁液の粘度を増大させる物質を含んでもよい。懸濁液は安定剤も含んでよい。
【0219】
本発明の一実施態様は、(a)一つ又は二つ以上のアンチセンス化合物と、(b)非アンチセンス機構により機能する一つ又は二つ以上の他の化学療法薬とを含有する医薬組成物を提供する。このような化学療法薬の例は、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン(esorubicin)、ブレオマイシン、マフォスファミド、イホスファミド、シトシンアラビノシド、ビス−クロロエチルニトロウレア(nitrosurea)、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロウレア(nitrosurea)、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスホアミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコホルマイシン、4−ヒドロキシペロキシシクロホスホロアミド、5−フルオロウラシル(5−FU)、5−フルオロデオキシウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP−16)、トリメトレキサート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチン及びジエチルスチルベストロール(DES)を含むが、これらに限定されるものではない。一般的には、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、15th Ed.1987、pp.1206−1228、Berkow等、eds.、Rahway、N.J.を参照されたい。本発明の化合物と共に使用する場合、このような化学療法薬は、個別に(例、5−FU及びオリゴヌクレオチド)、連続的に(例、一定期間5−FU及びオリゴヌクレオチド、続いてMTX及びオリゴヌクレオチド)、又は一つ又は二つ以上の他のそのような化学療法薬と組み合わせて(例、5−FU、MTX及びオリゴヌクレオチド、又は5−FU、放射線療法及びオリゴヌクレオチド)使用され得る。非ステロイド系抗炎症薬及び副腎皮質ステロイドを含むがこれらに限定されない抗炎症薬、及びリビビリン、ビダラビン、アシクリビル及びガンシクロビルを含むがこれらに限定されない抗ウイルス薬も、本発明の組成物と組み合わせることができる。The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、15th Ed.、Berkow等、eds.、1987、Rahway、N.J.、2499−2506及び46−49ページ、各々)を参照されたい。他の非アンチセンス化学療法薬も、本発明の範囲内に含まれる。二種又は三種以上の組み合わせた化合物を一緒に、又は連続的に使用し得る。
【0220】
別の関連する一実施態様にて、本発明の組成物は、第一の核酸及び第二の核酸標的を標的とする一種又は二種以上の更なるアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド。二種又は三種以上のアンチセンス化合物は、一緒に又は連続的に使用され得る。
【0221】
投薬
投薬は治療するべき疾病状態の重症度及び感応性に依存する。治療の期間が数日〜数ヶ月継続するか、又は治癒するか、又は疾病状態が縮小される迄、最適な投薬計画は患者の身体内の薬物蓄積測定値から計算され得る。当業者は最適な投薬、投薬方法及び反復率を容易に決定することができる。
【0222】
以下の実施例は、本発明の例示であり、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0223】
オリゴヌクレオチドの合成
非修飾オリゴデオキシヌクレオチドをヨウ素で酸化した標準的なホスホロアミデートを使用して、自動DNA合成機(Applied Biosystems model 380B)上で合成した。Applied Biosystems(Foster City、CA)からβ−シアノエチルジイソプロピル−ホスホロアミデートを購入した。Forホスホロチオエートオリゴヌクレオチドのために、標準的な酸化ボトルを0.2M溶液のアセトニトリル中の3H−1、2−ベンゾジチオール−3−オン1、1−ジオキシドの0.2M溶液と交換し、亜リン酸エステル結合を段階的にチエート化(thiation)した。チエート化サイクル待機ステップは、68秒に増大され、キャッピングステップが続いた。シトシンは、5−メチルシトシンであり得る(5−メチルデオキシシチジンホスホロアミデート、GlenResearch、Sterling、VA、又はAmersham Pharmacia Biotech、Piscataway、NJから入手可能)。
【0224】
2’−メトキシβ−シアノエチルジイソプロピル−ホスホロアミデート(Chemgenes、Needham、MA)を使用して、2’−メトキシオリゴヌクレオチドを合成した。非修飾オリゴヌクレオチドのための標準的なサイクルは、テトラゾールのパルス送達後の待機ステップを除き、ベースを360秒に増加した。例えばGlen Research、Inc.、Sterling、VAから入手可能な適切な2’−修飾アミダイトを使用して、この方法の変更によって他の2’−アルコキシオリゴヌクレオチドを合成した。
【0225】
Kawasaki等(J.Med.Chem.1993、36、831−841)に記載されているようにして、2’−フルオロオリゴヌクレオチドを合成した。簡単に言えば、商業的に入手可能な9−β−D−アラビノフラノシルアデニンを出発物質として使用し、手順を変更することによって、3’、5’−ジテトラヒドロピラニル(THP)中間体と同様の適度の収率にて2’−a−フルオロ原子をSN2−置換により2’−β−O−トリチル(trifyl)基を導入して、保護ヌクレオシドN6−ベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンを合成した。このようにN6−ベンゾイル−9−β−D−アラビノフラノシルアデニンを選択的に保護した。THP及びN6−ベンゾイル基の脱保護は、標準的な方法体系により行い、また標準的な方法を使用して5’−ジメトキシトリチル−(DMT)及び5’−DMT−3’−ホスホロアミデート中間体を得た。
【0226】
テトライソプロピルジシロキサニル(TPDS)保護9−β−D−アラビノフラノシルグアニンを出発物質として使用し、中間体ジイソブチリルアラビノフラノシルグアノシンに転換することにより2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンを合成した。TPDS基を脱保護し、次いでヒドロキシル基をTHPで保護してジイソブチリルジ−THP保護アラビノフラノシルグアニンを得た。選択的なO−脱アシル化及びトリフレーション(triflation)の後、粗生成物をフッ化物で処理し、次いでTHP基を脱保護した。標準的な方法体系を使用して、5’−DMT−及び5’−DMT−3’−ホスホロアミダイを得た。
【0227】
2、2’−アンヒドロ−1−β−D−アラビノフラノシルウラシルが70%フッ化水素−ピリジンで処理される公知の手順である修飾によって、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンを合成した。標準的な手順を使用して5’−DMT及び5’−DMT−3’ホスホロアミデートを得た。
【0228】
2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンのアミノ化と、続く選択的な保護によりN4−ベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンを得て2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンを合成した。標準的な手順を使用して、5’−DMT及び5’−DMT−3’ホスホロアミデートを得た。
【0229】
Martin、P.(Helv.Chim.Acta 1995、78、486−506)に従って、2’−(2−メトキシエチル)−修飾アミダイトを合成した。合成を容易にするために、最後のヌクレオチドはデオキシヌクレオチドであり得る。2’−O−CHCHOCH−シトシンは、5−メチルシトシンであり得る。
【0230】
5−メチルシトシンモノマーの合成:
2、2’−アンヒドロ[1−(β−D−アラビノフラノシル)−5−メチルウリジン]:
5−メチルウリジン(リボシルチミン、Yamasa、Choshi、Japanを介して商業的に入手可能な)(72.0g、0.279M)、ジフェニルカーボネート(90.0g、0.420M)及び重炭酸ナトリウム(2.0g、0.024M)をDMF(300mL)に加えた。混合物を攪拌しながら加熱還流して、発生した二酸化炭素を制御下で放出させた。1時間後、僅かに暗化した溶液を減圧濃縮した。得られたシロップを攪拌しながらジエチルエーテル(2.5L)中に注いだ。生成物はゴム状物を形成した。エーテルを傾けて除去し、残基を少量のメタノール中に溶解した(約400mL)。溶液を新鮮なエーテル(2.5L)内に注いで、堅いゴム状物を得た。エーテルを傾けて除去し、ゴム状物をオーブン中で乾燥して(60°Cで1mmHgにて24時間)固体を得、これは粉砕して明るい黄褐色粉末となった(57g、85%粗収率。この材料をそのまま次の反応に使用した。
【0231】
2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン:
2、2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(195g、0.81M)、トリス(2−メトキシエチル)ボレート(borate)(231g、0.98M)及び2−メトキシエタノール(1.2L)を、2Lステンレス鋼の圧力容器に加え、160℃の予め加熱した油浴中に配置した。155〜160°Cで48時間加熱した後、容器を開放して溶液を乾燥するまで蒸発させ、MeOH(200mL)で粉砕した。残留物を熱アセトン(1L)中に懸濁させた。不溶の塩をろ過し、アセトン(150mL)で洗浄し、ろ液を蒸発させた。残留物(280g)をCHCN(600mL)中に溶解し、蒸発させた。シリカゲルカラム(3kg)を、5%EtNHを含有するCHCl/アセトン/MeOH(20:5:3)中に充填した。残留物をCHCl(250mL)中に溶解し、カラムに充填する前にシリカ(150g)上に吸着させた。生成物を溶媒で溶出して、160g(63%)の生成物を得た。
【0232】
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン:
2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン(160g、0.506M)をピリジン(250mL)と共蒸発させ、乾燥した残留物をピリジン(1.3L)中に溶解した。塩化ジメトキシトリチル(94.3g、0.278M)の第一のアリコートを加え、混合物を室温で1時間攪拌した。塩化ジメトキシトリチル(94.3g、0.278M)の第二のアリコートを加え、反応物を更に1時間攪拌した。次いでメタノール(170mL)を加えて反応を停止させた。HPLCは約70%の生成物の存在を示した。溶媒を蒸発させ、CHCN(200mL)で粉砕した。残留物をCHCl(1.5L)中に溶解し、2x500mLの飽和NaHCO及び2x500mLの飽和NaClで抽出した。有機相をNaSO上で乾燥し、ろ過し、蒸発させた。275gの残留物を得た。残留物をpackした3.5kgシリカゲルカラム上で、0.5%EtNHを含有するEtOAc/ヘキサン/アセトン(5:5:1)で溶出して精製した純粋な画分を蒸発させて生成物164gを得た。不純な画分から更に約20gを得、全収率は183g(57%)であった。
【0233】
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−ウリジン:
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−ウリジン(106g、0.167M)、DMF/ピリジン(562mLのDMF及び188mLのピリジンから調製した750mLの3:1混合物)及び無水酢酸(aceticanhydride)(24.38mL、0.258M)を一緒にして、室温で24時間攪拌した。最初にMeOHを加えることによってtlc標本をクエンチし、反応物をtlcで監視した。tlcによる判断によって反応が完了したら、MeOH(50mL)を加え、混合物を35℃で蒸発させた。残留物をCHCl(800mL)中に溶解し、2x200mLの飽和中炭酸ナトリウム及び2x200mLの飽和NaClで抽出した。水層を200mLのCHClで逆抽出した。一緒にした有機物を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて残留物122g(約90%生成物)を得た。残留物を3.5kgシリカゲルカラム上で精製し、EtOAc/ヘキサン(4:1)を使用して溶出した。純粋な生成物画分(画分s)を蒸発させて、96g(84%)を得た。
【0234】
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−4−トリアゾールウリジン:
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン(96g、0.144M)をCHCN(700mL)中に溶解して第一の溶液を調製し、とっておいた。トリエチルアミン(189mL、1.44M)CHCN(1L)中のトリアゾール(90g、1.3M)溶液に加え、−5°Cに冷却し、オーバーヘッドスターラーを用いて0.5時間攪拌した。0−10°Cに保持した攪拌溶液にPOClを30分間かけて滴加し、得られた混合物を更に2時間攪拌した。後者の溶液に、第一の溶液を45分間かけて滴加した。得られた反応混合物を一夜、冷室内に貯蔵した。反応混合物から塩をろ過し、溶液を蒸発させた。残留物をEtOAc(1L)中に溶解し、不溶固体をろ過して除去した。ろ液を1x300mLのNaHCO及び2x300mLの飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。残留物をEtOAcで粉砕して表題の化合物を得た。
【0235】
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン:
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−4−トリアゾールウリジン(103g、0.141M)のジオキサン(500mL)及びNH4OH(30mL)溶液を、室温で2時間攪拌した。ジオキサン溶液を蒸発させ、残留物をMeOH(2x200mL)と共沸させた。残留物をMeOH(300mL)中に溶解し、2リットルのステンレス鋼圧力容器に移動した。NH3ガスで飽和させたMeOH(400mL)を加え、容器を2時間かけて100°Cに加熱した(tlcは完全な転換を示した。)。容器の内容物を乾燥するまで蒸発させ、残留物をEtOAc(500mL)中に溶解し、飽和NaCl(200mL)で一回洗浄した。有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を蒸発させて85g(95%)の表題の化合物を得た。
【0236】
N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−シチジン:
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−シチジン(85g、0.134M)をDMF(800mL)中に溶解し、無水安息香酸(37.2g、0.165M)を攪拌しながら加えた。3時間攪拌した後、tlcでは反応が約95%完了したことが示された。溶媒を蒸発させ、残留物をMeOH(200mL)と共沸させた。残留物をCHCl(700mL)中に溶解し、飽和NaHCO(2x300mL)及び飽和NaCl(2x300mL)で抽出し、MgSO上で乾燥して残留物(96g)を得た。残留物を、0.5%EtNHを含有するEtOAc/ヘキサン(1:1)で溶出する1.5kgシリカゲルカラムのクロマトグラフィーにかけた。純粋な生成物画分を蒸発させて、90g(90%)の表題の化合物を得た。
【0237】
N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン−3’−アミダイト:
N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−シチジン(74g、0.10M)を、CHCl(1L)中に溶解した。テトラゾールジイソプロピルアミン(7.1g)及び2−シアノエトキシ−テトラ−(イソプロピル)ホスファイト(40.5mL、0.123M))を、窒素雰囲気下で攪拌しながら加えた。得られた混合物を室温で20時間攪拌した(tlcでは反応が95%完了したことが示された)。反応混合物を飽和NaHCO(1x300mL)及び飽和NaCl(3x300mL)で抽出した。水性洗浄物をCHCl(300mL)で逆抽出し、抽出物を一緒にして、MgSO4上で乾燥し、濃縮した。得られた残留物を、EtOAc:ヘキサン(3:1)を溶出溶媒として使用する1.5kgシリカカラム上のクロマトグラフィーにかけた。純粋な画分を一緒にして、90.6g(87%)の表題の化合物を得た。
【0238】
5−メチル−2’−デオキシシチジン(5−me−C)を含むオリゴヌクレオチドを、商業的に入手可能なホスホロアミデート(Glen Research、Sterling VA又はChem Genes、Needham MA)を使用して、刊行された方法(Sanghvi等、Nucl.AcidsRes.1993、21、3197−3203)に従って合成した。
【0239】
2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイト
2’−(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト[2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトとしても公知の]を以下のパラグラフに記述するように製造した。アミンを、アデノシン及びシチジンの場合はベンゾイル部分で、グアノシンの場合はイソブチリルで保護した以外は、チミジン(5−メチルウリジン)と同様にアデノシン、シチジン及びグアノシンヌクレオシドアミダイトを製造した。
【0240】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン
−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(Pro.Bio.Sint.、Varese、Italy、100.0g、0.416mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.66g、0.013eq、0.0054mmol)を周囲温度にてアルゴン雰囲気下で、機械的に攪拌しながら乾燥ピリジン(500ml)中に溶解した。tert−ブチルジフェニルクロロシラン(125.8g、119.0mL、1.1eq、0.458mmol)を一度に加えた。反応物を16時間、周囲温度にて攪拌した。TLC(Rf0.22、酢酸エチル)では、反応が完了したことが示された。溶液を減圧濃縮して、濃厚な油状物を得た。これをジクロロメタン(1L)及び飽和重炭酸ナトリウム(2x1L)並びにブライン(1L)間に分割した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧濃縮して濃厚な油状物を得た。この油状物を酢酸エチル及びエチルエーテル(600mL)の1:1混合物中に溶解し、溶液を−10℃に冷却した。得られた結晶生成物をろ過して収集し、エチルエーテル(3x200mL)で洗浄し、乾燥して(40℃、1mmHg、24h)149g(74.8%)の白色固体を得た。TLC及びNMRは、純粋な生成物と一致した。
【0241】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルウリジン
2Lステンレス鋼内にて、非撹拌加圧反応器に、テトラヒドロフラン(1.0M、2.0eq、622mL)中のボランを加えた。ドラフト内で手動で撹拌して、最初にエチレングリコール(350mL、過剰量)を、水素ガスの発生が沈下するまで注意深く加えた。5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(149g、0.311mol)及び重炭酸ナトリウム(0.074g、0.003eq)を手動で攪拌しながら加えた。反応器を密封し、内部温度が160℃に到達するまで、油浴中で加熱し、その後、16時間保持した(圧力<100psig)。反応容器を周囲温度に冷却し、開放した。TLC(所望の生成物のRf0.67、ara−Tside生成物のRf0.82、酢酸エチル)は、生成物の約70%の転換を示した。更なる副生物の形成を回避するため、反応を停止させ、温浴中で、エチレングリコールを除去するより過酷な条件下で、減圧濃縮した(10〜1mmHg)(40〜100℃)。[代表的に、低沸騰溶媒を除去した後、残留溶液を酢酸エチル及び水間に分割してもよい。生成物は有機相に移る。]残留物をカラムクロマトグラフィー(2kgシリカゲル、酢酸エチル−ヘキサン勾配1:1〜4:1)で生成した。適切な画分を一緒にして、揮散させ、乾燥して生成物を白色の砕けやすい発泡体(84g、50%)、不純物を含む出発物質(17.4g)及び純粋な再使用可能な出発物質20gを得た。出発物質に基づく純粋な回収出発物質の収率は58%であった。TLC及びNMRは99%純粋な生成物と一致した。
【0242】
2’−O−([2−フタルイミドキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジン
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルウリジン(20g、36.98mmol)を、トリフェニルホスフィン(11.63g、44.36mmol)及びN−ヒドロキシフタルイミド(7.24g、44.36mmol)と混合した。次いでこれを40℃で2日間、高真空下でP上にて乾燥した。反応混合物をアルゴンでフラッシュし、乾燥THF(369mL、Aldrich、sureseal bottle)を加えて透明な溶液を得た。反応混合物に、ジエチルアゾジカルボキシレート(6.98mL、44.36mmol)を滴加した。滴加の速度は、丁度次の滴加の前に暗赤色が消える速度で行われた。滴加が完了した後、反応物を4時間撹拌した。その時点でTLCは反応の完了を示した(酢酸エチル:ヘキサン、60:40)。溶媒を真空蒸発させた。得られた残留物をフラッシュカラム上に配置し、酢酸エチル:ヘキサン(60:40)で溶出して、2’−O−([2−フタルイミドオキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジンを白色発泡体(21.819、86%)として得た。
【0243】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルムアドキシイミノオキシ(formadoximinooxy))エチル]−5−メチルウリジン
2’−O−([2−フタルイミドオキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジン(3.1g、4.5mmol)を乾燥CHCl(4.5mL)中に溶解し、メチルヒドラジン(300mL、4.64mmol)を−10℃〜0℃で滴加した。1時間後、混合物をろ過し、ろ液を氷冷CHClで洗浄し、一緒にした有機相を水、ブラインで洗浄し、無水NaSO上で乾燥した。溶液を濃縮して2’−O−(アミノオキシエチル)チミジンを得、次いでこれをMeOH(67.5mL)中に溶解した。ここにホルムアルデヒド(20%水溶液、w/w、1.1eg)を加え、混合物を1時間攪拌した。溶媒を真空除去し、残留物をクロマトグラフィーにかけて、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]−5−メチルウリジンを白色発泡体(1.95、78%)として得た。
【0244】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N、N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジン
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]−5−メチルウリジン(1.77g、3.12mmol)を、乾燥MeOH(30.6mL)中の1Mピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)溶液中に溶解した。この溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.39g、6.13mmol)を10℃にて不活性雰囲気下で加えた。反応混合物を10℃で10分間攪拌した。その後、反応容器を氷浴から除去し、室温で2時間攪拌し、反応物をTLC(5%MeOH、CHCl中)で監視した。NaHCO水溶液(5%、10mL)を加え、酢酸エチル(2x20mL)で抽出した。酢酸エチル相を無水NaSO上で乾燥し、乾燥するまで蒸発させた。残留物をMeOH(30.6mL)中の1MPPTS溶液に溶解した。ホルムアルデヒド(20%w/w、30mL、3.37mmol)を加え、反応混合物を室温で10分間攪拌した。反応混合物を氷浴中で10℃に冷却し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.39g、6.13mmol)を加え、反応混合物を10℃で10分間攪拌した。10分後、反応混合物を氷浴から除去し、室温で2時間攪拌した。この反応混合物に5%NaHCO(25mL)溶液を加え、酢酸エチル(2x25mL)で抽出した。酢酸エチル層を無水NaSO上で乾燥し、乾燥するまで蒸発させた。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、CHCl中の5%MeOHで溶出して、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N、N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジンを白色発泡体(14.6g、80%)として得た。
【0245】
2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(3.91mL、24.0mmol)を乾燥THF及びトリエチルアミン(1.67mL、12mmol、乾燥、KOH上で保持)中に溶解した。次いでこのトリエチルアミン−2HF混合物を、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N、N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジン(1.40g、2.4mmol)に加え、室温で24時間攪拌した。反応物をTLC(5%MeOH、CHCl中)で監視した。溶媒を減圧除去し、残留物をフラッシュカラム上に配置し、CHCl中の10%MeOHで溶出して2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン(766mg、92.5%)を得た。
【0246】
5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン
2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン(750mg、2.17mmol)をP上で、40℃の高速真空下で乾燥した。次いでこれを無水ピリジン(20mL)と共蒸発させた。得られた残留物を、アルゴン雰囲気下でピリジン(11mL)中に溶解した。混合物に4−ジメチルアミノピリジン(26.5mg、2.60mmol)、4、4’−ジメトキシトリチルクロリド(880mg、2.60mmol)を加え、反応混合物を出発物質が全て消失するまで室温で攪拌した。真空下でピリジンを除去し、残留物をクロマトグラフィーにかけ、CHCl中の10%MeOH(数滴のピリジンを含有する)で溶出して、5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノ−オキシエチル)−5−メチルウリジン(1.13g、80%)を得た。
【0247】
5’−O−DMT−2’−O−(2−N、N−ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−[(2−シアノエチル)−N、N−ジイソプロピルホスホロアミデート]
5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン(1.08g、1.67mmol)を、トルエン(20mL)と共蒸発させた。残留物にN、N−ジイソプロピルアミンテトラzonide(0.29g、1.67mmol)を加え、P上で、40℃の高真空下で乾燥した。その後、反応混合物を無水アセトニトリル(8.4mL)中に溶解し、2−シアノエチル−N、N、N1、N1−テトライソプロピルホスホロアミデート(2.12mL、6.08mmol)を加えた。反応混合物を、不活性雰囲気下で、周囲温度にて4時間攪拌した。反応の進行はTLC(ヘキサン:酢酸エチル1:1)で監視した。溶媒を蒸発させた後、残留物を酢酸エチル(70mL)中に溶解し、5%NaHCO(40mL)水溶液で洗浄した。酢酸エチル層を無水NaSO上で乾燥し、濃縮した。得られた残留物をクロマトグラフィーにかけ(溶離液として酢酸エチルを使用)、5’−O−DMT−2’−O−(2−N、N−ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−[(2−シアノエチル)−N、N−ジイソプロピルホスホロアミデート]を白色発泡体(1.04g、74.9%)として得た。
【0248】
メチレン(メチルイミノ)(MMI)バックボーンを有するオリゴヌクレオチドを、本発明の譲受人に共譲渡され、全容が参照して本願明細書に組み入れられる米国特許第5、378、825号に従って合成した。合成を容易にするため、MMI結合を含む様々なヌクレオシド二量体を合成し、オリゴヌクレオチドに組み入れた。他の窒素−含有バックボーンを、本発明の譲受人に共譲渡され、全容が参照して本願明細書に組み入れられるWO92/20823号に従って合成した。
【0249】
アミドバックボーンを有するオリゴヌクレオチドを、De Mesmaeker等(Acc.Chem.Res.1995、28、366−374)に従って合成した。アミド部分は単純かつ周知の合成方法により容易に接近可能で、オリゴヌクレオチドの固相合成に必要な条件に適合性を有する。
【0250】
モルホリノバックボーンを有するオリゴヌクレオチドを、米国特許第5、034、506号(Summerton及びWeller)に従って合成した。
ペプチド−核酸(PNA)オリゴマーをP.E.Nielsenetal(Science1991、254、1497−1500)に従って合成した。
【0251】
多孔質ガラスカラム(Applied Biosystems)から切断し、濃縮水酸化アンモニウム中で55℃で18時間脱保護した後、オリゴヌクレオチドを、2.5容量のエタノールを伴う0.5MNaClから沈殿させて精製した。合成したオリゴヌクレオチドを、変性ゲル上のポリアクリルアミドゲル電気泳動、又はキャピラリゲル電気泳動で分析し、材料の完全長の少なくとも85%になる迄判定した。合成にて得られたホスホロチオエート及びホスホジエステル結合の相対量を、31P核磁気共鳴分光法により周期的に調べ、Chiang等(J.Biol.Chem.1991、266、18162)に記載されているような、いくつかの研究用にオリゴヌクレオチドをHPLCで精製した。得られたHPLC−精製材料は、非−HPLC精製材料で得られたものと同様であった。
【0252】
代替的に、標準的な96−ウエルフォーマット内で96配列を同時に組立可能な自動合成機上で、固相P(III)ホスホロアミデート化学を用いてオリゴヌクレオチドを96−ウエルプレートのフォーマットにより合成した。水性ヨウ素で酸化して、ホスホジエステルヌクレオチド間結合を得た。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、無水アセトニトリル中の3、H−1、2ベンゾジチオール−3−オン1、1ジオキシド(Beaucage Reagent)を使用した硫化により生成した。標準的な塩基−保護β−シアノエチルジイソプロピルホスホロアミデートは、販売者(例、PE−Applied Biosystems、Foster City、CA、又はPharmacia、Piscataway、NJ)から購入した。非標準的なヌクレオシドは、公表された方法を使用して合成した。これらを塩基保護β−シアノエチルジイソプロピルホスホロアミデートとして使用した。
【0253】
オリゴヌクレオチドを担体から切断し、濃縮NHOHで高温にて(55〜60°C)12〜16時間、脱保護した後、解放した生成物を真空乾燥した。次いで乾燥生成物を無菌水中に再懸濁させてマスタープレートを得、これをロボットピペッターを用いて希釈して全分析及び試験プレート標本を得た。
【実施例2】
【0254】
ヒトSTAT3オリゴデオキシヌクレオチド配列
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ヒトSTAT3を標的とするよう設計した。標的配列のデータは、Akira、S.等(Cell、1994、77、63−71)(GenBank(登録商標)受入番号L29277、本願明細書に配列番号1として提供する。)から公表されたAPRFcDNA配列から得た。ホスホロチオエート結合を有する一連のオリゴデオキシヌクレオチドを合成した。2’−デオキシシトシンは5−メチルシトシンであった。これらオリゴヌクレオチド配列を、表1に示す。オリゴヌクレオチドの更なるセットを、10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)として合成した。同キメラオリゴヌクレオチドは、両側(5’及び3’方向)に5個のヌクレオチドの「ウイング」が存在する。「ウイング」は2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。2’−MOEシトシン及び2’−デオキシシトシンの全ては、5−メチル−シトシンであった。これらのオリゴヌクレオチド配列を表2に示す。
【0255】
インビトロでの研究により、STAT3を高いレベルで発現する適切な細胞ラインを選択した。細胞培養条件は、その特定の細胞ラインに標準的なものである。オリゴヌクレオチド処理は4時間行い、mRNAは通常最初の処理から24〜48時間後に単離された。mRNAはRNAEASY7キット(Qiagen、Santa Clarita、CA)を使用して単離した。
【0256】
表1
ヒトSTAT3ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドのヌクレオチド配列
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

「C」残基は5−メチル−シトシンである、全結合はホスホロチオエート結合である。
GenBank(登録商標)受入番号L29277、遺伝子座名「HUMAPRF」、配列番号1からコーディネート。
【0257】
表2
ヒトSTAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列
【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

太字の残基は、2’−メトキシエトキシ残基である。2’−メトキシエトキシシトシン残基及び2’−OHシトシン残基は、5−メチル−シトシンである。全結合はホスホロチオエート結合である。
GenBank(登録商標)受入番号L29277、遺伝子座名「HUMAPRF」、配列番号1からコーディネート。
【0258】
オリゴヌクレオチド活性は、ABI PRISM(登録商標)7700 Sequence Detection System(PE−Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用したリアルタイムPCRによって、製造業者の指示に従い、STAT3 mRNAレベルの定量によりアッセイした。これは閉鎖管、非ゲルベースの、蛍光検出システムであり、リアルタイムでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)生成物を高スループット定量できる。PCRが完了した後に増幅精製物を定量する標準的なPCRとは対照的に、リアルタイムPCR生成物を蓄積と同時に定量する。これはPCR反応に、フォワードとリバースPCRプライマー間を特異的にアニールし、二種の蛍光色素を含有するオリゴヌクレオチドプローブを含めることによって達成される。レポーター色素(例、JOE又はFAM、PE−Applied Biosystems、Foster City、CA)はプロ−ブの5’末端に取り付けられ、消光色素(例、TAMRA又はMGB、PE−Applied Biosystems、Foster City、CA)はプロ−ブの3’末端に取り付けられる。プローブ及び色素が無傷(intact)の場合、レポーター色素発光は、3’消光色素の近接によりクエンチされる。増幅中、プロ−ブの標的配列へのアニーリングにより、Taqポリメラーゼの5’−エキソヌクレアーゼ活性により切断され得る基質が形成される。PCR増幅周期の延長期中、Taqポリメラーゼによるプローブの切断により、プロ−ブの残留部分から(従って消光部分から)レポーター色素が放出され、配列特異的な蛍光シグナルが生成される。各周期にて、更なるレポーター色素分子が各プローブから切断され、蛍光強度がABI PRISM (登録商標)7700Sequence Detection System内に組み込まれたレーザー光学機械により、規則的(6秒)間隔で監視される。各アッセイでは、未処理対照標本からの一連の希釈mRNAを含む一連のパラレル反応が、試験標本のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理後の抑制パーセントの定量に使用される標準曲線を生成する。
【0259】
単離したRNAを、最初に逆転写酵素反応にかけ、RNAから相補的なDNA(cDNA)を調製する。得られたcDNAはリアルタイムPCRのための基質である。逆転写酵素及びリアルタイムPCR試薬はPE−Applied Biosystems、Foster City、CAから得た。反応は25μlPCRカクテル(1xTAQMAN7緩衝液A、5.5mM MgCl、各300μMのdATP、dCTP及びdGTP、600μMのdUTP、各100nMのフォワードプライマー、リバースプライマー及びプロ−ブ、20URNAseインヒビター、1.25単位のAMPLITAQ GOLD7、及び12.5UMuLV逆転写酵素)を、25μlpoly(A)mRNA溶液を含む96−ウエルプレートに加えることにより実施した。逆転写酵素反応は、95℃で10分間のインキュベーション、次いで48℃で30分間のインキュベーションによりAMPLITAQ GOLD7を活性化し、95℃で15秒(変性)、次いで60℃で1.5分間(アニーリング/延長)の二ステップPCRプロトコールの40周期を実施した。
STAT3PCRプライマー及びプロ−ブは、市販のソフトウエア(例、Oligo5.0又はPrimer Express(登録商標))を使用して設計し得る。
【実施例3】
【0260】
マウスSTAT3オリゴヌクレオチド配列
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、マウスSTAT3を標的とするよう設計した。標的配列のデータは、Zhong、Z.、(GenBank(登録商標)受入番号U06922、本願明細書に配列番号82として提供する。)により提出されたSTAT3cDNA配列から得た。オリゴヌクレオチド10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー(gapmers)」)として合成した。同キメラオリゴヌクレオチドは、両側(5’及び3’方向)に5個のヌクレオチドの「ウイング」が存在する。「ウイング」は2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全2’−MOEシトシンは、5−メチル−シトシンである。オリゴヌクレオチド配列を表3に示す。
【0261】
Bリンパ腫細胞ライン、BCL1をATCC(Manassas、VA)から得た。BCL1細胞をRPMI1640培地にて標準的な条件下で培養した。
BCL1細胞(PBS中5X10細胞)にBTX Electro Cell Manipulator(登録商標)600(Genetronics、San Diego、CA)を使用した電気穿孔により、200V、1000μFにて、オリゴヌクレオチドを移入した。最初のスクリーニングにて、BCL1細胞は10μMオリゴヌクレオチドを電気穿孔され、24時間後、RNAを収集した。オリゴヌクレオチドを含まない対照標本を、同一の電気穿孔条件にかけた。
【0262】
RNEASY7(登録商標)キット(Qiagen、Santa Clarita、CA)を使用して総細胞RNAを単離した。RIBOQUANT(登録商標)キット及びテンプレートのセットを使用して、製造業者の指示に従い(Pharmingen、San Diego、CA)RNAse保護実験を行った。psvsport−1プラスミド(ATCC、Rockville、MD)のXhoI/SalI制限消化で調製されたラットcDNAプロ−ブを使用して、Chiang、M−Y.等(J.Biol.Chem.、1991、266、18162−18171)に記載されたノーザンブロッティングを実行した。PhosphorImager(登録商標)(Molecular Dynamics、Sunnyvale、CA)を使用して、mRNAレベルを定量した。
【0263】
表3
マウスSTAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドのヌクレオチド配列
【表9】

全2’−MOEシトシン残基は、5−メチル−シトシンである。全結合はホスホロチオエート結合である。
GenBank(登録商標)受入番号U06922、遺伝子座名「MMU06922」、配列番号82からコーディネート。
【0264】
結果を表4に示す。オリゴヌクレオチド17138(配列番号85)、17139(配列番号86)、17140(配列番号87)、17143(配列番号90)、17144(配列番号91)、17152(配列番号99)、17153(配列番号100)、17156(配列番号103)、及び17157(配列番号104)は、このアッセイにて45%を越える抑制を示した。
【0265】
表4
BCL1細胞における、キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるマウスSTAT3mRNA発現の抑制
【表10】

【実施例4】
【0266】
BCL1細胞における、マウスSTAT3タンパク質レベル上のアンチセンスキメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの効果の用量応答
ISIS17152(配列番号99)を更なる研究のために選択した。このオリゴヌクレオチドのタンパク質レベル上の効果を、ウエスタンブロット法により測定した。ISIS23177(配列番号106)、3塩基ミスマッチ、を対照として使用した。BCL1細胞を増殖させ、本質的に実施例3に記載したように処理及び加工した。
【0267】
Karras、J.G.等(J.Exp.Med.、1997、185、1035−1042)に記載されているように、初期B細胞及びBリンパ腫細胞ラインから核抽出物を調製した。
Karras、J.G.等(J.Immunol.、1996、157、2299)に記載されているように、ウエスタンブロッテッィングを実行した。STAT1及びSTAT3抗体はUBI(LakePlacid、NY)から得た。
結果を表5に示す。ISIS17152(配列番号99)は、ミスマッチ対照と比較してSTAT3タンパク質レベルを有意に低下させた。
【0268】
表5
STAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドに対するBCL1細胞の用量応答
【表11】

【実施例5】
【0269】
STAT3アンチセンスキメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるBCL1増殖の抑制
ISIS17152(配列番号99)のBCL1増殖上の効果を測定した。BCL1細胞は、その増殖の原因と考えられる恒常的に活性化したSTAT3を含んでいた。BCL1細胞(1×10)に、本質的に実施例3に記載されたように、10nm、15nm又は20nmのSTAT3(ISIS17152)又はミスマッチ(ISIS23177)オリゴヌクレオチドを電気穿孔した。電気穿孔から48時間後、細胞を96−ウエルプレート内で、200μL完全RPMI中にてインキュベートした。培養物に1μCiの[3H]−チミジンを培養物中で最後の8時間にパルスした。細胞を回収して、D.A.等(Int.Immunol.、1995、7、151−161)に記載されているように、チミジン取り込みについて分析した。
結果を表6に示す。ISIS17152(配列番号99)はBCL1細胞増殖を約50%低下させたのに対し、ミスマッチ対照は細胞増殖上の効果を有さなかった。
【0270】
表6
STAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるBCL1細胞増殖の抑制
【表12】

【実施例6】
【0271】
STAT3アンチセンスキメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるBCL1IgM分泌の抑制
ISIS17152(配列番号99)の、BCL1細胞内のIgM分泌レベル上の効果を測定した。STAT3はIgM発現の調節に関与している(Faris、M.等、Immunology、1997、90、350−357)。BCL1細胞(1×10)に、本質的に実施例3に記載されたように、5nm又は15nmのSTAT3(ISIS17152)又はミスマッチ(ISIS23177)オリゴヌクレオチドを電気穿孔した。電気穿孔後、細胞を12−ウエルプレート内で、2mLの完全RPMI中にてインキュベートした。電気穿孔から24時間後、培地を新鮮な培地と交換した。更に48時間後、増殖培地を回収して、遠心分離により細胞を除去し、OPT−EIATMELISAキット(Pharmingen、San Diego、CA)を使用してマウスIgM抗体(Southern Biotechnology、Birmingham、AL)を捕獲及び検出することにより、IgM含有量をアッセイした。
結果を表7に示す。ISIS17152(配列番号99)は、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチド(ISIS23177)と比較して、IgM分泌を有意に減少させた。
【0272】
表7
STAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるBCL1IgM分泌の抑制
【表13】

【実施例7】
【0273】
STAT3アンチセンスキメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる処理後のBCL1細胞内のケモイカイン誘導
ISIS17152(配列番号99)の、BCL1細胞内のケモカインレベル上の効果を測定した。BCL1細胞に、本質的に実施例3に記載されたように、5nm、10nm又は20nmのSTAT3(ISIS17152)又はミスマッチ(ISIS23177)オリゴヌクレオチドを電気穿孔した。電気穿孔から16時間後、培地に10uMのCpG−含有オリゴヌクレオチドを加えて、電気穿孔したBCL1細胞内でケモカイン遺伝子発現を誘導した。CpG−含有オリゴヌクレオチドは、免疫賦活性の分子である(Krieg、A.M.、等、Nature、1995、374、546−549)。8時間後、マウスケモカインテンプレートセット、Mck−5(Pharmingen、San Diego、CA)を使用して、当業者周知の方法によって、RNase保護アッセイによりケモカインレベルを測定した。
結果を表8に示す。ISIS17152(配列番号99)は、ケモカインRANTES、MIP−1−α及びMIP−1−βの発現を誘導することができたのに対し、ミスマッチ対照では効果が小さかった。
【0274】
表8
STAT3キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる処理後のBCL1細胞内のケモカイン誘導
【表14】

【実施例8】
【0275】
ヒトSTAT3を標的とした更なるアンチセンスオリゴヌクレオチド
配列番号1を標的とした更なるオリゴヌクレオチドのセットを設計し、10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)として合成した。同キメラオリゴヌクレオチドは、両側(5’及び3’方向)に5個のヌクレオチドの「ウイング」が存在する。「ウイング」は2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている(太字で示す)。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。2’−MOEシトシン及び2’−デオキシシトシンの全ては、5−メチル−シトシンであった。これらのオリゴヌクレオチド配列を表9に示す。
【0276】
表9
ヒトSTAT3を標的とした更なるキメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列
【表15】

【表16】

【0277】
これらオリゴヌクレオチドを、オリゴヌクレオチドの2.5μMの濃度において、U266細胞内でSTAT3発現を低下させる能力について試験した。U266ヒト骨髄腫細胞ライン(当初American Type Culture Collectionから入手)は、RPMI1640培養液を補充した標準的な条件下で保持された。細胞(PBS中15×10細胞)にBTXEl ectro Square Porator T820(Genetronics、San Diego CA)を使用して、200Vで単一の6−ミリ秒パルスにてオリゴヌクレオチドを移入した。RNA抽出前に、細胞を24時間インキュベートした。
【0278】
RNeasy(登録商標)キット(Qiagen、Santa Clarita、CA)を使用して総細胞RNAを単離した。標準的なRT−PCRと、続くネステッドプライマー反応によりMB−MDA468RNAから調製されたcDNAプロ−ブを使用して、15μgのRNAに関してノーザンブロット分析を行った。Molecular Dynamics Phosphorimager(登録商標)使用してシグナルを定量した。
【0279】
選択された化合物についての結果(対照のmRNA発現のパーセント、及びmRNA発現の抑制パーセントとして表す)を表10に示す。
【0280】
表10
U266細胞における、キメラ(デオキシギャップ)ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによるヒトSTAT3mRNA発現の抑制
【表17】

【0281】
ISIS113176、129987、113187、129991、113209、129995、113210及び129999、並びにISIS17148及びマウスSTAT3オリゴISIS114054を使用して、用量応答実験を行った。一連のミスマッチオリゴヌクレオチド、ISIS129987、ISIS114505、ISIS129991、ISIS129995及びISIS129999を対照として使用した。結果を表11に示す。
【0282】
表11
アンチセンスオリゴヌクレオチドによるヒトSTAT3mRNA発現の抑制パーセント−用量応答
【表18】

【0283】
ISIS17148(SEQ ID 95)、113176(SEQ ID 115)、113187(SEQ ID 126)、113209(SEQ ID 148)及び113210(SEQ ID 149)は、一つ又は二つ以上のオリゴヌクレオチド濃度においてSTAT3発現を50%越にて低下させた。従って、これらの化合物が好ましい。
【実施例9】
【0284】
マウス黒色腫細胞におけるアポトーシス細胞死を誘発するSTAT3のアンチセンス抑制
補充したRPMI1640培地(Life Technologies、Inc.、Grand Island、NY)の標準的な条件下で、マウスB16黒色腫細胞を増殖させた。
【0285】
細胞をマウスSTAT3を標的とするISIS17152(SEQ ID 99)、又は3−塩基ミスマッチ対照、ISIS28084(AAAAAGAGGCCTGATTGCCC、配列番号151)で処理した。細胞にLipofectAMINE(登録商標)PLUSJ試薬(GibcoBRL)を使用して、オリゴヌクレオチドを移入した。オリゴヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドを100ul血清フリーRPMI1640培地と混合し、続いて6ulLipofectAMINE(登録商標)PLUSJ試薬を加えることにより、Lipofect AMINE(登録商標)PLUSJと予め複合体を形成した。標本をよく混合し、室温で15分間インキュベートした。更なる4ulのLipofect AMINE(登録商標)PLUSJ試薬を血清フリーRPMI中にて100μlに希釈した。この希釈Lipofect AMINE(登録商標)PLUSJを、予め複合体を形成しているオリゴヌクレオチド/Lipofect AMINE(登録商標)PLUSJ混合物と混合し、室温で15分間インキュベートした。800μlの血清フリーRPMI1640を加え、得られたオリゴヌクレオチド−Lipofect AMINEPLUSJ−培地混合物(約1ml)を、6−ウエルプレート内の細胞に加えた。インキュベートから3時間後、20%ウシ胎児血清で補充したRPMI16401mlを加えた。最終的なオリゴヌクレオチド濃度は200nM又は300nMであった。
【0286】
移入から24時間後、細胞を計数し、細胞生存率上のアンチセンス処理の効果を決定した。ウエスタンブロット分析のために、移入から24時間後に細胞を回収し、移入から48時間後にアポトーシスのAnnexin−V染色のために回収した。
オリゴヌクレオチドの細胞数に関する効果を、表12に示す。
【0287】
表12
細胞数に関するSTAT3のアンチセンス抑制の効果
【表19】

データはSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理がミスマッチ対照オリゴによる処理と比較して、細胞死を増大させることを示す。
【0288】
B16細胞中のアポトーシスを、アンチセンス処理から48時間後に、AnnexinV−PE(Clontech、PaloAlto、CA)による染色、続くフローサイトメトリー分析により測定した。Annexin−V染色の陽性は、アポトーシスの指標である。偽移入(Mock−transfected)細胞、及び対照オリゴヌクレオチド処理細胞は、各々11%及び10%Annexin−V陽性細胞を有した。対照的に、30%のISIS17152−処理細胞はAnnexin−V陽性であり、これはアポトーシス細胞数がほぼ3倍増加したことを示す。この明らかな増加は、アポトーシスアッセイ中に死細胞が細胞の加工により洗い去られるため、STAT3オリゴによる処理でアポトーシスを受けた細胞数が低く見積もられている可能性があることに留意するべきである。
【0289】
アンチセンス処理から24時間後に回収した細胞に関して、当業者周知の方法を使用してウエスタンブロット分析を行い、STAT3を検出した。抗STAT3抗体はK15、Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CAから購入した。200nM又は300nMのISIS17152は、B16細胞内でSTAT3タンパク質の生成を有意に低下させた。
【実施例10】
【0290】
白血病大型顆粒リンパ球(LGL)上のSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果
LGL白血病は、自己免疫性のリンパ球増殖性疾患であり、LGL細胞は、高いレベルのFas及びFasL発現にも関わらず、Fas−依存性アポトーシスを受けないことで知られている(Lamy等、Blood、1998、92、4771−7)。STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドのLGL細胞をアポトーシスシグナルに感作させる能力について試験した。
【0291】
高いLGL数及びクローナルTCR遺伝子再配列を伴うT細胞(CD3+)LGL白血病の臨床基準を満たす患者から、LGL白血病細胞を得た。全患者が分析時に治療を必要としない慢性疾患を有していた。精製した白血病LGL細胞(2×10)を、0.5mLの完全培地(Gibco Life Technologies、Gaithersburg、MDから入手したRPMI−1640を補充)中にて、24−ウエルプレート内にプレーティングした。細胞を、ISIS17148アンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号95)又は対照オリゴヌクレオチド、ISIS16094(配列番号152)のいずれかと共にインキュベートした。LGL白血病細胞に送達されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、受動的に取込まれた。送達のためにトランスフェクション試薬は全く使用しなかった。
【0292】
各々、1uM用量のSTAT3(ISIS17148、SEQ ID 95)又は対照ミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドのいずれかで処置した3人の患者からのLGL細胞から、抽出物を調製した。ウエスタンブロットを行いSTAT3タンパク質レベルを測定した。STAT3タンパク質レベルは、ミスマッチオリゴで処理した対照と比較して25〜45%の範囲で低下した。
【0293】
用量1、2及び5uMのSTAT3(ISIS17148、SEQ ID 95)又は対照ミスマッチアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置されたLGL細胞におけるアポトーシス誘導を、フローサイトメトリーで測定した。アポトーシスはSTAT3アンチセンス処理細胞で有意に増大し、用量依存性を有していた。二重反応における特定のアポトーシスのパーセント測定値は、各々1、2、及び5uMのSTAT3アンチセンス処理細胞にて、アポトーシスが未処理細胞の約5%から6、17及び24%のレベルに増加したことを示した。対照オリゴヌクレオチド処理細胞におけるアポトーシスレベルは、全用量で約6%に留まった。アポトーシスはFas−介在経路を介して活性化されると思われる。
【実施例11】
【0294】
ヒト骨髄腫細胞ラインU266における、STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチド処理後のアポトーシス誘導
多発性骨髄腫(MM)は、過剰増殖性疾患である。以前の研究にて、手付かずのトランス活性化ドメインを欠くドミナントネガティブなSTAT3の発現に応答して、MM細胞ラインU266でアポトーシスが増大することが示された。
アンチセンスSTAT3オリゴヌクレオチドISIS17148(SEQ ID 95)及びISIS113176(SEQ ID 115)を、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドと比較して、U266細胞でアポトーシスを増大させる能力について試験した。様々な量のオリゴヌクレオチドを、移入により培養細胞へ送達した。細胞を移入から48時間後に回収して、STAT3mRNA及びタンパク質レベルを各々ノーザン及びウエスタンブロットにより測定した。両方のSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与に応答して、STAT3mRNA及びタンパク質の有意な用量依存的低下が見られた。ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドは、STAT3mRNA又はタンパク質レベル上に有意な効果を有さなかった。
【0295】
細胞はまた、上述したAnnexin5染色及びフローサイトメトリーによって、STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドに応答したアポトーシスの増加についてもアッセイされた。ISIS17148及びISIS113176を移入された細胞の両方に、アポトーシスの有意な増加が見られた。ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドで処理した細胞では、アポトーシスの有意な変化は見られなかった。
【実施例12】
【0296】
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3のアンチセンス抑制
本発明によれば、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号L29277、本願明細書に配列番号1として組み入れる、GenBank(登録商標)受入番号NT_010755.13のヌクレオチド配列4189213〜4263636の相補体、本願明細書に配列番号153として組み入れる、及びGenBank(登録商標)受入番号NM_139276.1、本願明細書に配列番号154として組み入れる)を使用して、ヒトSTAT3の異なる領域を標的とする更なる一連のオリゴヌクレオチドを設計した。オリゴヌクレオチドを表13に示す。“標的部位“は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の第一の(最も5’側)ヌクレオチドの番号を示す。表13の全化合物は、10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)であり、その両側(5’及び3’方向)には5個のヌクレオチド「ウイング」が存在する。ウイングは2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0297】
化合物を、A549細胞内で、そのSTAT3mRNAレベル上の効果について分析した。ヒト肺癌腫細胞ラインA549をAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas、VA)から入手した。A549細胞を、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)、100単位/mLペニシリン、及び100ug/mLストレプトマイシン(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)を補充したDMEM基本培地(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)中で、慣習的に培養した。細胞は90%の集密度に到達した際、トリプシン処理及び希釈によりルーチン的に継代した。
【0298】
ISIS18078を対照オリゴヌクレオチドとして使用し、75nMで使用した。ISIS18078(GTGCGCGCGAGCCCGAAATC、配列番号155)は、9個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)であり、同キメラオリゴヌクレオチドは、両側(5’及び3’方向)に、各々5個のヌクレオチド及び6個のヌクレオチドの「ウイング」が存在する。「ウイング」は2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0299】
細胞が65−75%の集密度に到達したとき、これらをオリゴヌクレオチドで処理した。96−ウエルプレート内で増殖させた細胞のために、ウエルを100μLのOPTI−MEM−1(登録商標)血清使用量低減培地(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)で1回洗浄した後、3.75μg/mLLIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)を含有する130μLのOPTI−MEM−1(登録商標)、及び75nMの表13の化合物で処理した。細胞を処理し、データを二重に獲得した。未処理細胞を対照として使用した。37°Cで4〜7時間処理した後、培地を新鮮な培地と交換した。オリゴヌクレオチド処理から16〜24時間後、細胞を回収した。A549細胞内のSTAT3mRNAレベルを、本願明細書の他の方法に記載したように、リアルタイムPCRで定量した。
【0300】
公表された配列情報(本願明細書に配列番号1として組み入れる)を使用して、ヒトSTAT3へのプローブ及びプライマーを、ヒトSTAT3配列とハイブリダイズするように設計した。プライマー−プローブセット199(PPS199)では、PCRプライマーは、
【0301】
フォワードプライマー:ACATGCCACTTTGGTGTTTCATAA(配列番号156)リバースプライマー:TCTTCGTAGATTGTGCTGATAGAGAAC(配列番号157)であり、PCRプロ−ブは、FAM−CAGTATAGCCGCTTCCTGCAAGAGTCGAA−TAMRA(配列番号158)であり、ここでFAMは蛍光レポーター色素であり、TAMRAは消光色素である。リアルタイムRT−PCRで得られた遺伝子標的の量を、RiboGreen(登録商標)(Molecular Probes、Inc.Eugene、OR)を使用して総RNAを定量することにより標準化した。このアッセイでは、170μLのRiboGreen(登録商標)作業用試薬(10mMTris−HCl中に1:350に希釈したRiboGreen(登録商標)試薬、1mM EDTA、pH7.5)を30μLの精製した、細胞RNAを含有する96−ウエルプレート内にピペッティングした。プレートをCytoFluor(登録商標)4000(PE Applied Biosystems、Foster City、CA)内で、485nmの励起と530nmの発光にて測定した。
アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の結果は2つの実験の平均であり、表13に示す。データは未処理対照細胞に関する抑制パーセントとして表される。
【0302】
表13
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3mRNAレベルの抑制
【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【0303】
表13に示すように、SEQ ID No 159、161、165、166、169、170、171、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、215、216、217、220、222、223、224、225、226、227、228、232、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、274、275、276、277、278、279、280、281、283、284、285、286、287、288、289、290、291、293、294、295、296、297、298及び299はヒトSTAT3発現を少なくとも60%抑制した。
【実施例13】
【0304】
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有する、ヒトSTAT3を標的とするキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
本発明によれば、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号L29277、本願明細書に配列番号1として組み入れる、GenBank(登録商標)受入番号NM_139276.1、本願明細書に配列番号154として組み入れる)を使用して、ヒトSTAT3の異なる領域を標的とするように、更なる一連のオリゴヌクレオチドを設計した。オリゴヌクレオチドを表14に示す。“標的部位“は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の第一の(最も5’側)ヌクレオチドの番号を示す。表14の全化合物は10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域を含む20個のヌクレオチド長のキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)であり、その両側(5’及び3’方向)には5個のヌクレオチド「ウイング」が存在する。ウイングは2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0305】
化合物を、A549細胞内で、そのヒトSTAT3発現上の効果について分析した。1.5μL/mgLIPOFECTIN(登録商標)と共に混合した50nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで細胞を処理した。移入から約20時間後、細胞を回収して、リアルタイムPCRを使用してSTAT3mRNA発現を測定した。データは2つの実験の平均値であり、未処理対照細胞に関する抑制パーセントとして表14に示した。
【0306】
表14
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有する、ヒトSTAT3を標的としたキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
【表24】

【表25】

【表26】

【実施例14】
【0307】
マウスSTAT3を標的とする、2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
本発明によれば、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号U06922.1、本願明細書に配列番号82として組み入れる、GenBank(登録商標)受入番号U30709.1、本願明細書に配列番号382として組み入れる)を使用して、マウスSTAT3RNAの異なる領域を標的とするように、オリゴヌクレオチドの更なる連続を設計した。そのオリゴヌクレオチドを表15に示す。“標的部位“は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列の第一の(最も5’−側)ヌクレオチド番号を示す。表15に示す全化合物は、キメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)20個のヌクレオチドの長さを有する、から構成される10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域から構成され、その両端には(5’及び3’方向)5個のヌクレオチド「ウイング」が存在する。ウイングは、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全シチジン残基は、5−メチルシチジンである。
【0308】
表15
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有する、マウスSTAT3を標的とするキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
【表27】

【0309】
更なる実施態様において、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号U06922.1、本願明細書に配列番号82として組み入れる)を使用して、オリゴヌクレオチドの更なる連続を、マウスSTAT3RNAを標的とするように設計した。化合物を表16に示す。“標的部位”は、化合物が結合する特定の配列の第一の(最も5’−側)ヌクレオチド番号を示す。表16の全化合物は、12個の2’−デオキシヌクレオチドからなる“ギャップ”領域から構成され、その両端には(5’及び3’方向)2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドからなる“ウイング”が存在するキメラオリゴヌクレオチドである。ギャップ内の2’−MOEヌクレオチドの数は、2〜5ヌクレオチド長の間で変動する。2’−デオキシヌクレオチドがプレイン(plain)型であり、2’−MOEヌクレオチドはボールド(bold)型である。各オリゴヌクレオチドの正確な構造を、“ウイング”構造として表16に設計してある。5〜10〜5は、例えば最初及び最後の5ヌクレオチドが2’−MOEヌクレオチドで、中央の10ヌクレオチドが2’デオキシヌクレオチドであることを示す。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。下線を引いた非修飾シチジン残基は、他の全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0310】
表16
マウスSTAT3を標的とする、2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
【表28】

【0311】
本発明の更なる実施態様では、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号U06922.1、本願明細書に配列番号82として組み入れられる)を使用して、マウスSTAT3RNAの異なる領域を標的とするように更なるオリゴヌクレオチドの連続を設計した。そのオリゴヌクレオチドを表17に示す。“標的部位“は、そのオリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の第一(最も5’側の)ヌクレオチドの数を示す。表17中の全化合物は、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから一律に構成される。オリゴヌクレオチド全体にてヌクレオシド間(バックボーン)結合はホスホロチオエート(P=S)であり、全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0312】
表17
マウスSTAT3を標的とする、ホスホロチオエート均一2’MOEオリゴヌクレオチド
【表29】

【実施例15】
【0313】
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
本発明によれば、ヒトSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドのサブセットを、用量反応試験で更に研究した。化合物を、そのT−24細胞中のヒトSTAT3mRNAレベルに対する効果について分析した。
【0314】
移行細胞膀胱腫瘍細胞ラインT−24をAmerican Type CultureCollection(ATCC、Manassas、VA)から獲得した。T−24細胞を慣例的に、10%ウシ胎児、100単位/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンで補充した完全McCoy5A基本培地(培地及び補充物はInvitrogen Life Technologies、Carlsbad、CAから入手)内で培養した。細胞を、90%集密度に到達した時、慣例的にトリプシン処理及び希釈により継代した。細胞を7000細胞/ウエルの密度にて、96−ウエルプレート(Falcon−Primaria#3872、BD Biosciences、Bedford、MA)内に播種して、アンチセンスオリゴヌクレオチド移入の実験に使用した。
【0315】
使用した対照オリゴヌクレオチドは、ISIS129695(TTCTACCTCGCGCGATTTAC,配列番号391)、ISIS129694(GTACAGTTATGCGCGGTAGA 配列番号392)、ISIS129690(TTAGAATACGTCGCGTTATG 配列番号393)、ISIS129686(CGTTATTAACCTCCGTTGAA 配列番号394)、ISIS116847(CTGCTAGCCTCTGGATTTGA,配列番号395)及びISIS113529(CTCTTACTGTGCTGTGGACA 配列番号396)であった。これらのオリゴヌクレオチドはSTAT3を標的とするものではなく、負の対照として使用された。
【0316】
T−24細胞を、本願明細書の他の実施例に記載するように、100nMオリゴヌクレオチドにつき3ug/mL LIPOFECTIN(登録商標)を混合した18.75、37.5、75、又は150nMのオリゴヌクレオチドで処理した。未処理細胞を対照として使用した。処理から16時間後、その後のリアルタイムPCR分析のために、細胞からRNAを調製した。
【0317】
ヒトSTAT3mRNA発現レベルを、プライマープローブセットPPS199を使用したリアルタイムPCRによって定量し、遺伝子標的の量を、本願明細書の他の実施例に記載するように、RiboGreen(登録商標)を使用して標準化した。2つの実験による平均のデータを、表18に示す。“−”又は“+”は、各々、未処理対照細胞に関するSTAT3mRNA発現の減少又は増加を示す。
【0318】
表18
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3のmRNAレベルの抑制:用量反応
【表30】

【0319】
表18に示すように、試験した化合物は、ヒトSTAT3mRNA発現を用量依存的に抑制する。
用量反応はT−24細胞で繰り返され、本願明細書でPPS2033と称される異なるプライマー−プローブセットを使用して、遺伝子標的の量を測定した。PPS2033はプローブを含み、ヒトSTAT3に対するプライマーは、(配列番号154として本願明細書に組み入れた)配列情報を使用して、ヒトSTAT3配列とハイブリダイズするように設計された。PPS2033では、PCRプライマーは、フォワードプライマー:GAGGCCCGCCCAACA(配列番号397)リバースプライマー:TTCTGCTAATGACGTTATCCAGTTTT(配列番号398)及びPCRプローブは:FAM−CTGCCTAGATCGGC-MGB(配列番号399)であり、ここでFAMは、レポーターの蛍光色素であり、MGBは、消光色素である。リアルタイムPCRで得られた遺伝子標的の量は、RiboGreen(商標登録)TM(Molecular Probes、Inc.Eugene、OR)を使用して、全RNAを定量することによって正規化された。使用した対照オリゴヌクレオチドは、ISIS129695(配列番号391)、ISIS129694(配列番号392)、ISIS129690(配列番号393)、ISIS129686(配列番号394)、ISIS116847(配列番号395)及びISIS113529(配列番号396)であった。
【0320】
T−24細胞を、本願明細書の他の実施例に記載するように、100nMオリゴヌクレオチドにつき3ug/mL LIPOFECTIN(登録商標)を混合した18.75、37.5、75、又は150nMのオリゴヌクレオチドで処理した。未処理細胞を対照として使用した。処理から16時間後、その後のリアルタイムPCR分析のために、細胞からRNAを調製した。
【0321】
ヒトSTAT3mRNA発現レベルを、プライマープローブセットPPS2033を使用したリアルタイムPCRによって定量し、遺伝子標的定量値を、本願明細書の他の実施例に記載するように、RiboGreen(登録商標)を使用して標準化した。2つの実験による平均のデータを、表19に示す。“−”又は“+”は、各々、未処理対照細胞に関するSTAT3mRNA発現の減少又は増加を示す。
【0322】
表19
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3mRNAレベルの抑制:用量反応
【表31】

【0323】
表19に示すように、PPS2033を使用した標的遺伝子量の測定は、試験化合物がヒトSTAT3mRNA発現を用量依存的に抑制することを示した。
A549細胞にて、更なる用量反応実験を行った。A549細胞を、本願明細書の他の実施例に記載するように、100nMオリゴヌクレオチドにつき3ug/mLLIPOFECTIN(登録商標)を混合した18.75、37.5、75、又は150nMのオリゴヌクレオチドで処理した。使用した対照オリゴヌクレオチドは、ISIS129686(配列番号394)及びISIS129690(配列番号393)であった。未処理細胞を対照として使用した。処理から16時間後、その後のリアルタイムPCR分析のために、細胞からRNAを調製した。
ヒトSTAT3mRNA発現レベルを、プライマープローブセットPPS199を使用したリアルタイムPCRによって定量し、遺伝子標的の量を、本願明細書の他の実施例に記載するように、RiboGreen(登録商標)を使用して標準化した。2つの実験による平均のデータを、表20に示す。用量反応における“−”又は“+”は、各々、未処理対照細胞に関するSTAT3mRNA発現の減少又は増加を示す。
【0324】
表20
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトSTAT3mRNAレベルの抑制:用量反応
【表32】

【0325】
表20に示すように、試験した化合物は、A549細胞においてヒトSTAT3mRNA発現を用量依存的に抑制する。
【実施例16】
【0326】
RNAの合成
一般に、RNAの合成化学は、戦略的中間段階(反応において、多様な保護基を選択的に組み込むことを基本とする。当業者は有機合成において保護基を使用することを理解するであろうが、有用な保護基のクラスはシリルエーテルを含む。詳細には、5´−ヒドロキシルの保護には、2´−ヒドロキシル上の酸に不安定なオルトエステル保護基と組み合わせて、嵩高いシリルエーテルが使用される。次にこの保護基のセットは、標準的な固相合成技術と共に使用される。他の全合成ステップの後、最終的に酸に不安定なオルトエステル保護基を除去することが重要である。更に、合成の早い段階でのシリル保護基の使用は、望ましくない2´−ヒドロキシルの脱保護を行うことなく、所望の際の容易な除去を確実にする。
【0327】
区別して除去され、かつ化学的不安定さが異なる保護基による、2´−ヒドロキシル保護と組み合わせた5´−ヒドロキシル保護の連続的な保護工程の後に、RNAオリゴヌクレオチドが合成された。
【0328】
RNAオリゴヌクレオチドは段階を追って合成される。各ヌクレオチドは固体担体に結合したオリゴヌクレオチドに連続して追加される(3´−から5´−の方向へ)。鎖の3’−末端の第一ヌクレオシドは、固体担体に対して共有結合されている。ヌクレオチド前駆体、リボヌクレオシドホスホロアミデート、及び活性化剤を加え、第一ヌクレオシドの5’−末端上に第二塩基をカップリングする。担体を洗浄し、未反応5’−ヒドロキシル基を全て無水酢酸でキャップして、5’−アセチル部分を得る。次いで結合を酸化してより安定な結合とし、最終的に所望のP(V)結合を得る。ヌクレオチド追加サイクルの終わりに、フッ化物を5’−シリル基で切断する。このサイクルを、続く各ヌクレオチドについて繰り返す。
【0329】
合成後、DMF中の1M二ナトリウム−2−カルバモイル−2−シアノエチレン−1、1−ジチオレート三水和物(SNa)を使用して、リン酸上のメチル保護基を30分で切断する。水を使用して、固体担体に結合したオリゴヌクレオチドから脱保護溶液を洗浄する。次いで、担体を55°Cで10分間、水中の40%メチルアミンで処理する。これにより、RNAオリゴヌクレオチドが溶液中に解放され、環外アミンが脱保護され、2’−基が修飾される。この段階で、オリゴヌクレオチドは、アニオン交換HPLCにより分析され得る。
【0330】
2´−オルトエステル基は、除去されるべき最後の保護基である。DharmaconResearch、Inc.(Lafayette、CO)によって開発されたエチレングリコールモノアセテートオルトエステル保護基は、以下の重要な性質を有する便利なオルトエステル保護基の一例である。ヌクレオシドホスホロアミデート合成、及びオリゴヌクレオチド合成の条件に対して安定である。しかしながら、オリゴヌクレオチド合成後、オリゴヌクレオチドはメチルアミンで処理されるが、これによりオリゴヌクレオチドが固体担体から切断されるだけでなく、オルトエステルからアセチル基が除去される。得られたオルトエステル上の2−エチル−ヒドロキシル置換基は、アセチル化前駆体と比較すると電子吸引性が弱い。その結果、修飾オルトエステルは、酸触媒加水分解に対してより不安定となる。具体的には、アセチル基が除去された後、切断速度は約10倍速くなる。従って、このオルトエステルは、オリゴヌクレオチド合成に適合し、尚かつ、次いで修飾された場合、最終的なRNAオリゴヌクレオチド生成物に適合可能な比較的穏やかな水性条件下での脱保護が可能となるに十分な安定性を有する。
【0331】
これに加えて、RNAの合成方法は当該技術分野にて公知である。(Scaringe、S.A.Ph.D.Thesis、University of Colorado、1996、Scaringe、S.A等、J.Am.Chem.Soc.、1998、120、11820−11821、Matteucci、M.D.及びCaruthers、M.H.J.Am.Chem.Soc.、1981、103、3185−3191、Beaucage、S.L.及びCaruthers、M.H.Tetrahedron Lett.、1981、22、1859−1862、Dahl、B.J.、等、Acta Chem.Scand、.1990、44、639−641、Reddy、M.P.等、Tetrahedrom Lett.、1994、25、4311−4314、Wincott、F等、Nucleic Acids Res.、1995、23、2677−2684、Griffin、B.E等、Tetrahedron、1967、23、2301−2313、Griffin、B.E等、Tetrahedron、1967、23、2315−2331)。
【0332】
本発明のRNAアンチセンス化合物(RNAオリゴヌクレオチド)は、本願明細書の方法により合成されるか、又はDharmacon Research、Inc(Lafayette、CO)から購入することができる。いったん合成された後、相補的なRNAアンチセンス化合物は、当該技術分野にて公知の方法によりアニールされて、二本鎖(二重鎖)アンチセンス化合物が形成され得る。例えば、二重鎖は30μlのRNAオリゴヌクレオチドの相補的な鎖の各々(50uMRNAオリゴヌクレオチド溶液)と、15μlの5Xアニーリング緩衝液(100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウム)とを一緒にした後、90°Cで1分間、次いで37°Cで1時間加熱することによって形成され得る。得られた二重鎖アンチセンス化合物は、キット、アッセイ、選別、又は標的拡散の役割を研究する他の方法、又は診断的若しくは治療的目的のために使用することができる。
【実施例17】
【0333】
STAT3を標的とする二重鎖アンチセンス化合物の設計及びスクリーニング
本発明によれば、STAT3を標的とするために、本発明のアンチセンス化合物と、その相補体とからなる一連の核酸二重鎖を設計し得る。二重鎖のアンチセンス鎖の核酸塩基配列は、本願明細書に開示するSTAT3を標的とするオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分を含む。鎖の末端は、天然又は修飾核酸塩基を追加することにより修飾されてオーバーハングを形成し得る。次いでアンチセンス鎖の相補体としてdsRNAのセンス鎖が設計及び合成され、このセンス鎖は双方の末端に修飾又は付加物も含み得る。例えば、一実施態様にて、dsRNA二重鎖の両方の鎖は、核酸塩基の中央全体において相補性を有し、各々片方又は両方の末端にオーバーハングを有するであろう。二重鎖のアンチセンス鎖及びセンス鎖は、約17〜25個のヌクレオチドを含むか、又は約19〜23個のヌクレオチドを含む。代替的に、アンチセンス鎖及びセンス鎖は、20、21又は22ヌクレオチドを含む。
【0334】
例えば、配列CGAGAGGCGGACGGGACCGと、デオキシチミジン(dT)からなる2個の核酸塩基オーバーハングとを有するアンチセンス鎖を含む二重鎖は、以下の構造を有するであろう。
cgagaggcggacgggaccgTT アンチセンス鎖
|||||||||||||||||||
TTgctctccgcctgccctggc 相補体
【0335】
オーバーハングは、2〜6個の範囲の核酸塩基からなり得、これら核酸塩基は、標的核酸に対して相補的であっても、相補的でなくてもよい。別の一実施態様では、二重鎖は、末端にオーバーハングを1個のみ有し得る。
【0336】
別の一実施態様にて、同一配列CGAGAGGCGGACGGGACCGを有するアンチセンス鎖を含む二重鎖は、以下に示すように、平滑末端(鎖を構成する1個のオーバーハング)を有するよう調製され得る。
cgagaggcggacgggaccg アンチセンス鎖
|||||||||||||||||||
gctctccgcctgccctggc 相補体
【0337】
RNA二重鎖は、単分子又は二分子であり得る。即ち、2つの鎖が一つの分子の一部であるか、又は別個の分子であり得る。
二重鎖のRNA鎖は、本願明細書に開示する方法によって合成されるか、又はDharmacon Research Inc.(Lafayette、CO)から購入することができる。いったん合成された後、相補的な鎖がアニールされる。一つの鎖がアリコートされ、濃度50uMに希釈される。いったん希釈した後、30uLの各鎖を、15uLの5Xアニーリング緩衝溶液と一緒にする。該緩衝液の最終濃度は、100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH pH7.4、及び2mM酢酸マグネシウムである。最終容積は75uLである。この溶液を90℃で1分間インキュベートした後、15秒間遠心分離する。このチューブを37℃で1時間静止させ、この間にdsRNA二重鎖を実験に使用する。dsRNA二重鎖の最終濃度は、20uMである。この溶液は、5回まで冷凍貯蔵(−20°C)及び解凍することができる。
【0338】
いったん調製した後、二重鎖を形成するアンチセンス化合物は、そのSTAT3調節能を評価される。
集密度が80%に到達したときに、細胞を本発明の二重鎖アンチセンス化合物で処理する。96−ウエルプレート内で増殖した細胞に関しては、ウエルを200μLOPTI−MEM−1(登録商標)低下させた−血清培地(GibcoBRL)で一回洗浄し、次いで、12μg/mL LIPOFECTIN(登録商標)(GibcoBRL)を含有する130μLのOPTI−MEM−1(登録商標)と、最終濃度200nM(100nM二重鎖アンチセンス化合物につき6μg/mL LIPOFECTIN(登録商標)の割合)の所望の二重鎖アンチセンス化合物で処理する。5時間の処理後、培地を新鮮な培地と交換する。処理から16時間後、細胞を回収し、この時RNAを単離し、標的低下をRT−PCRで測定する。
【0339】
本発明のアンチセンス化合物とその相補体とを含む一連の核酸二重鎖は、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号L29277、本願明細書に配列番号1として組み入れる)を使用して、STAT3mRNAを標的とするように設計した。二重鎖のアンチセンス鎖の核酸塩基配列は、20個のヌクレオチドの長さを有する。アンチセンス鎖の配列を、表21に示す。dsRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖に相補的であるように設計かつ合成される。
【0340】
表21の全化合物はオリゴデオキシヌクレオチドであり、21個のヌクレオチドの長さと、3’末端上にTTオーバーハングである2個のヌクレオチドとを有し、全体にホスホジエステルヌクレオシド間結合(バックボーン)を有する。これらの配列は、チミン(T)を含むよう示されているが、当業者は、一般にチミン(T)はRNA配列内でウラシル(U)と置き換え得ることを理解するであろう。
【0341】
表21
ヒトSTAT3を標的とするdsRNA
【表33】

【0342】
表21の化合物を、そのA549細胞中にて、ヒトSTAT3発現に対する効果を試験した。ISIS330249とその相補体とを含むdsRNAは、アンチセンスオリゴヌクレオチドISIS106734(配列番号45)と同一の部位を標的とし、ISIS330247とその相補体とを含むdsRNAは、アンチセンスオリゴヌクレオチドISIS113176(配列番号115)と同一の部位を標的とする。従って、ISIS106734及びISIS113176もまた試験した。A549細胞を、本願明細書に記載するように、LIPOFECTINTM(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)と混合したオリゴヌクレオチドで処理した。使用したオリゴヌクレオチド濃度を、表22に示す。使用した対照オリゴヌクレオチドは、ISIS129698(TTTGATCGAGGTTAGCCGTG、配列番号402)であった。細胞をオリゴヌクレオチドで4時間処理し、更に16時間後、回収した。未処理細胞を対照として使用した。
【0343】
本願明細書の他の実施例に記載したように、プライマープローブセットPPS199を使用したリアルタイムPCRにより、ヒトSTAT3mRNA発現レベルを定量し、RiboGreen(登録商標)を使用して遺伝子標的の量を標準化した。2種の実験から得られたデータの平均値を、表22に示す。“−”又は“+”は、各々、未処理対照細胞に関するSTAT3mRNA発現の減少又は増加を示す。存在する場合、“N.D.”は、未測定であることを示す。
【0344】
表22
dsRNAsによるSTAT3mRNAレベルの抑制
【表34】

【実施例18】
【0345】
LNCaPマウスモデルでの腫瘍成長の抑制
前立腺癌腫
ヒト前立腺癌腫のLNCaPハツカネズミモデルは、参照して本願明細書に組み入れられるKiyama等、CancerRes.63:3575−3584、2003に記載されている。即ち、LNCaPヒト前立腺癌腫細胞を、5%の熱不活性化ウシ胎児血清で補充したRPMI培地(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)中で培養保持した。6〜8週齢の雄の無胸腺ヌードマウス(Harlan Sprague Dawley、Inc.、Indianapolis、IN)の脇腹に、メトキシフルラン麻酔下で27−ゲージ針を用いて、約1X10LNCaP細胞を、0.1mlのMatrigel(Becton Dickinson Labware、Franklin Lakes、NJ)で皮下免疫した。300〜500mm3の容積の腫瘍を有するマウスは、陰嚢からのアプローチにより去勢され、10mg/kgのISIS113176(配列番号115)ヒトアンチセンス又はISIS129987(配列番号404)ヒトミスマッチ対照STAT3オリゴヌクレオチドのいずれかによる、第一週目の5回/週、その後の3回/週の腹腔内処理にランダムに割り当てられた。去勢後、1日目に処理を開始した。腫瘍の容積及び血清前立腺に特異的な抗原(PSA)測定を週に1回実行した。公式LXWXHX0.5236(Gleave等、Cancer Res.51:1598−1605、1992)により腫瘍容積を計算した。マウスの尾の静脈を切開して血液標本を得て、血清PSAレベルを、感度の下限値が0.2μg/リットル(Abbott IMX、Montreal、Quebec、Canada)である酵素イムノアッセイキットを使用して、製造業者のプロトコールに従って決定した。
【0346】
ISIS113176は、去勢したヌードマウス内のLNCaP異種移植片モデルの血清PSAレベル及び腫瘍成長の誘導を抑制した。ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドISIS129987でのマウスの同様の処理では、効果が見られなかった。観察されたPSA及び腫瘍容積に対するSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチド−仲介効果は、ミスマッチオリゴヌクレオチドISIS129987又は生理食塩水で処理した対照と有意に異なっていた(学生試験、p≦0.05)。処理効果は、観察期間(去勢後10週間)の終わりにて見られた。本アプローチの潜在的な標的−特異的な有毒性に対処するため、正常なマウスを、最適化されたハツカネズミSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチド(50mg/kg迄、3回/週で2週間、)で皮下処理し、血液、肝臓及び骨髄中の薬物動態学的及び毒性学的効果を評価した。STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチド処理により、骨髄の前単球亜集団の肝臓mRNAが85%減少し、STAT3タンパク質が有意に抑制された。STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理された動物の全血球計算値、肝臓組織又は骨髄亜集団には、明白な変化は観察されなかった。STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理により、STAT3の肝臓及び骨髄発現は有意に低下した。従って、STAT3へのアンチセンスオリゴヌクレオチドは、前立腺癌の処置における治療的機会を表す。
【実施例19】
【0347】
初代ヒト肝細胞における、ヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
更なる実施態様において、ヒトSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒト肝細胞の用量反応研究のために選択された。初代ヒト肝細胞をIn Vitro Technologies(Baltimore、MD)から購入した。細胞を24−ウエルプレート(Falcon−Primaria、BD Biosciences、Bedford、MA)内に、10%ウシ胎児血清、100単位s/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンで補充した高グルコースDMEM培地中に(培地及び補充物はInvitrogen Life Technologies、Carlsbad、CAから入手)、50、000細胞/ウエルの密度でプレーティングした。細胞を一夜吸着させ、翌日アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。
【0348】
このアッセイで試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ISIS113196、ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、ISIS345781、ISIS345794、ISIS345815及びISIS345823であった。細胞を、オリゴヌクレオチド100nMにつきLIPOFECTIN(登録商標)3μg/mLの濃度にてLIPOFECTIN(登録商標)を混合した5、10、25、50及び150nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。4時間後、培地を交換し、細胞を更に20時間培養した。RNAを単離し、本願明細書に記載するように、PPS199を使用してリアルタイムPCRによりSTAT3mRNAレベルを測定した。三組のデータが得られ、これを平均した。結果を表23に、未処理対照に関するmRNA発現のパーセントとして示す。試験した各アンチセンスオリゴヌクレオチド、IC50、STAT3mRNA発現が50%抑制されたアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を、表24に示す。
【0349】
表23
初代ヒト肝細胞における、ヒトSTAT3mRNA発現の抑制
【表35】

【0350】
表24
STAT3アンチセンス抑制のIC50
【表36】

【0351】
表23に示すように、ISIS113196、ISIS337332、ISIS345794、及びISIS345823は、初代肝細胞におけるヒトSTAT3mRNAレベルを用量依存的に低下させた。表24に示すように、ISIS345794は、最低IC50を示した。
【0352】
表25に、上述した細胞内でのSTAT1の発現レベルを示す。STAT1発現レベルは、当該技術分野にて慣習的な、本願明細書に記載した方法で設計されたプライマー及びプローブを使用したリアルタイムPCRにより測定された(例、Primer Express(登録商標)、Applied Biosystems、Foster City、CA)。
【0353】
表25
STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した初代ヒト肝細胞内におけるヒトSTAT1mRNA発現
【表37】

【0354】
表25に示すように、STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、STAT1発現の実質的又は用量依存的な抑制を起こさなかった。ISIS345794の公知のA basic local alignment search tools(BLAST)分析、遺伝子分析技術ではSTAT3以外の核酸分子の相同性が明らかとならなかった。
【実施例20】
【0355】
HepG2細胞におけるヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
更なる実施態様にて、ヒトSTAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを、HepG2細胞内での用量反応のために選択した。
【0356】
ヒト肝芽腫細胞ラインHepG2をAmerican Type Culture Collection(Manassas、VA)から得た。HepG2細胞を、1.5g/L重炭酸ナトリウムを含有するように調製し、10%ウシ胎児血清、0.1mM非必須アミノ酸、及び1mMピルビン酸ナトリウムを補充したEagle’sMEM(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)内でルーチン的に培養した。約90%集密度に到達した際に、細胞をルーチン的にトリプシン処理及び希釈して継代した。リン酸緩衝生理食塩水中のタイプ1ラットテールコラーゲンの1:100希釈物で被覆したマルチウエル培養プレートを、細胞培養用に調製した(BD Biosciences、Bedford、MA)。コラーゲン含有プレートを、37°Cで約1時間インキュベーとした後、コラーゲンを除去し、ウエルをリン酸緩衝生理食塩水で2回洗浄した。細胞を96−ウエルプレート(Falcon−Primaria#3872、BD Biosciences、Bedford、MA)内に、密度約8、000細胞/ウエルにて播種して、オリゴマー化合物移入実験に使用した。
【0357】
このアッセイで試験したアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ISIS113196、ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、ISIS345781、ISIS345794、ISIS345815及びISIS345823であった。細胞を、100nMのオリゴヌクレオチドにつき3μg/mLのLIPOFECTIN(登録商標)の濃度にて、LIPOFECTIN(登録商標)を混合した5、10、25、50及び150nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドにより処理した。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。4時間後、培地を交換し、細胞を更に20時間培養した。RNAを単離し、本願明細書に記載したように、プライマープローブセットPPS199を使用したリアルタイムPCRにより、STAT3mRNAレベルを測定した。三組のデータが得られ、これを平均した。結果を表26に、未処理対照に関するmRNA発現のパーセントとして示す。STAT3mRNA発現が50%抑制されたアンチセンス化合物濃度IC50も示す。
【0358】
表26
HepG2細胞におけるヒトSTAT3mRNA発現の抑制
【表38】

【0359】
表26に示すように、ISIS113916、ISIS337333、ISIS345794、ISIS345815、及びISIS345823は、HepG2細胞にてSTAT3mRNA発現を用量依存的に低下させた。
【0360】
表27に、上述したSTAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞内のSTAT1の発現レベルを示す。STAT1mRNAレベルは、当該技術分野にて慣習的な、本願明細書に記載した方法で設計されたプライマー及びプローブを使用したリアルタイムPCRにより測定された。
【0361】
表27
STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理したHepG2細胞内のヒトSTAT1mRNA発現
【表39】

【0362】
表27に示すように、STAT3オリゴヌクレオチドは、STAT1発現を実質的に、即ち用量依存的に抑制しなかった。
【0363】
アンチセンスオリゴヌクレオチドをHepG2細胞に移入した後、STAT3タンパク質レベルも測定した。細胞をSTAT3を標的とした10nM、50nM又は100nM用量のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理し、STAT3タンパク質レベルを、商業的に入手可能なSTAT3抗体(Santa Cruz Biotechnology、Inc.、Santa Cruz、CA)を使用したウエスタンブロット法により測定した。STAT3抗体はECLplus(登録商標)試薬(AmershamBiosciences、Piscataway、NJ)を使用して検出され、Chemidoc(登録商標)EQSystem(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)を使用して定量した。ハウスキーピング遺伝子G3PDHにより発現したタンパク質を使用して、標本間のタンパク質レベルの差異を標準化した。表28に、未処理対照細胞に関するタンパク質発現パーセントとして芦原下データを示す。
【0364】
表28
HepG2細胞内でのSTAT3タンパク質発現の抑制
【表40】

【0365】
表28に示すように、ISIS113196、ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、ISIS345781、ISIS345794、ISIS345815、及びISIS345823による処理は、HepG2細胞内でSTAT3タンパク質レベルを用量依存的に低下させた。
【実施例21】
【0366】
A549細胞内でのヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
ヒトSTAT3標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、A549細胞内での用量反応の研究にて試験した。細胞を、オリゴヌクレオチド100nMにつきLIPOFECTIN(登録商標)3μg/mLの濃度にてLIPOFECTIN(登録商標)を混合したアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。オリゴヌクレオチド濃度を、表29及び表30に示す。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。両方とも本願明細書に記載したPPS199及びPPS2033である二つの異なるプライマープローブセットを使用して、STAT3mRNA発現レベルを二重に測定した。PPS2033及びPPS199を使用したデータを、未処理対照に関する発現のパーセントとして、各々、表29及び表30に示す。
【0367】
表29
PPS2033を使用して測定した、A549細胞内でのヒトSTAT3のアンチセンス抑制
【表41】

【0368】
表29に示すように、PPS2033を使用して測定した所、ヒトSTAT3を標的とした全てのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、A459細胞内で発現を抑制した。
【0369】
表30
PPS199を使用して測定した、A549細胞内でのヒトSTAT3のアンチセンス抑制
【表42】

【0370】
表30に示すように、PPS199を使用して測定した所、ヒトSTAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、A549細胞内で発現を用量依存的に抑制した。
代替的なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度の範囲を使用して、更なる用量反応実験を同様に実行した。プライマープローブセットPPS2033及びPPS199を使用したデータを、未処理対照細胞に関するSTAT3mRNA発現のパーセントとして、各々、表31及び表32に示す。
【0371】
表31
PPS2033を使用して測定した、A549細胞内でのヒSTAT3のアンチセンス抑制
【表43】

表31のデータは、試験した更なる濃度も、ヒトSTAT3を用量依存的に抑制したことを示す。
【0372】
表32
PPS199を使用して測定した、A549細胞内でのヒSTAT3のアンチセンス抑制
【表44】

【0373】
表32のデータは、試験した更なる濃度も、ヒトSTAT3を用量依存的に抑制したことを示す。
【実施例22】
【0374】
Hep3B細胞内でのヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
Hep3B細胞内での用量反応研究にて、STAT3のアンチセンス抑制を試験した。
ヒト肝細胞腫細胞ラインHep3B(Hep3B2.1−7)を、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から得た。この細胞ラインは、最初、8歳のAfrican−American雄の肝細胞の癌腫から誘導された。細胞は、are上皮形態を有し、ヌードマウスにて発癌性を有する。Hep3B細胞を、Minimum Essential培地(MEM)内でEarleの平衡塩類溶液、2mML−グルタミン、1.5g/L重炭酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸、1.0mMピルビン酸ナトリウム(ATCC#20−2003、Manassas、VA)及び10%加熱不活性化したウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)と共に慣習的に培養した。90%集密度に到達した際に、細胞を慣習的にトリプシン処理及び希釈して継代した。
【0375】
細胞を、100nMのオリゴヌクレオチドにつき3μg/mLのLIPOFECTIN(登録商標)の濃度にて、各々LIPOFECTIN(登録商標)を混合したアンチセンスオリゴヌクレオチドISIS129688、ISIS113196、ISIS337333、ISIS345794、ISIS345815、又は対照オリゴヌクレオチドISIS129688(TTCGCGGCTGGACGATTCAG、本願明細書に配列番号411として組み入れる)、各々を混合したLIPOFECTIN(登録商標)で処理した。STAT3を標的としないISIS129688は、その両端(5’及び3’方向)に、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成された5個のヌクレオチド”ウイングが存在する10個の2’−デオキシヌクレオチドを含む、20ヌクレオチドの“ギャップマー”である。ISIS129688は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエートバックボーンを有し、全シチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0376】
オリゴヌクレオチド濃度は、6.25nM、25nM、50nM、及び100nMであった。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。PPS2033を使用して、本願明細書に記載したようにリアルタイムPCRにより、STAT3mRNA発現レベルを二重に測定した。データを未処理対照に関する発現のパーセントとして、表33に示す。
【0377】
表33
Hep3B細胞内でのSTAT3発現の抑制:用量反応
【表45】

【0378】
表33に示すように、ISIS113926、ISIS337333、ISIS345815orISIS345815による処理は、Hep3B細胞内にてSTAT3mRNA発現を用量依存的に低下させた。ISIS345794は、Hep3B細胞内にて50nM用量でSTAT3mRNA発現を低下させた。
【実施例23】
【0379】
THLE−2細胞内でのヒトSTAT3のアンチセンス抑制:用量反応
THLE−2細胞内での用量反応研究にて、STAT3のアンチセンス抑制を試験した。
SV−40で形質転換した肝臓上皮細胞ラインTHLE−2を、AmericanType Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から得、供給者の指示に従って培養した。オリゴヌクレオチド移入実験で使用するために、細胞を96−ウエルプレート内で約10、000細胞/ウエルの密度にてプレーティングした。
【0380】
細胞を、各々、オリゴヌクレオチド100nMにつきLIPOFECTIN(登録商標)3μg/mLの濃度にてLIPOFECTIN(登録商標)を混合したアンチセンスオリゴヌクレオチドsISIS129688、ISIS113196、ISIS337333、ISIS345794、ISIS345815、又は対照オリゴヌクレオチドISIS129688で処理した。オリゴヌクレオチド濃度は、6.25nM、25nM、50nM、及び100nMであった。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。PPS2033を使用して、本願明細書に記載したようにリアルタイムPCRにより、STAT3mRNA発現レベルを二重に測定した。データを表34に、未処理対照に関するmRNA発現のパーセントとして示す。
【0381】
表34
THLE−2細胞内でのSTAT3の抑制:用量反応
【表46】

【0382】
表34に示すように、ISIS113926、ISIS337333、orISIS345815による処理は、THLE−2細胞内でSTAT3mRNA発現を用量依存的に低下させた。ISIS354794も、THLE−2細胞内でSTAT3mRNA発現を低下させた。
【実施例24】
【0383】
ヒトSTAT3を標的とするdsRNAsの設計及びスクリーニング
更なる実施態様にて、STAT3mRNA(GenBank(登録商標)受入番号NM_139276.2、本願明細書に配列番号412として組み入れる)を標的とする一連の核酸二重鎖を設計した。これらを表35に示す。表35の全化合物は、19ヌクレオチドの長さを有し、全体にホスホジエステルヌクレオシド間結合(バックボーン)を有するオリゴリボヌクレオチドである。化合物は、平滑末端を有するように調製(製造)された。表35はdsRNAのアンチセンス鎖を示し、センス鎖はアンチセンス鎖の相補体として合成した。これらの配列はウラシル(U)を含んでいるが、当業者はウラシル(U)は一般に、DNA配列においてはチミン(T)に代替されることを理解するであろう。「標的部位」は、化合物が結合する特定の標的配列上の第一(最も5’−側)ヌクレオチド番号を示す。
【0384】
表35の化合物を、A549細胞内でのSTAT3mRNAに対する効果について試験した。STAT3を標的としないdsRNA対照は、ISIS335449(UUUGUCUCUGGUCCUUACUU、本願明細書に配列番号413として組み入れる)とその相補体との二重鎖、及びISIS359661(UUAUCGCUUCUCGUUGCUU、本願明細書に配列番号414として組み入れる)とその相補体との二重鎖を含んでいた。ISIS335449は、20ヌクレオチドの長さを有し、化合物全体にてホスホジエステルヌクレオシド間結合(バックボーンs)を有するオリゴリボヌクレオチドである。ISIS359661は、オリゴリボヌクレオチド19ヌクレオチドの長さを有し、化合物全体にてホスホジエステルヌクレオシド間結合(バックボーンs)を有するオリゴリボヌクレオチドである。ISIS335449及びISIS359661の両方とその相補体とは、平滑末端を有するよう調製された。STAT3を標的としないISIS129700(TAGTGCGGACCTACCCACGA、本願明細書に配列番号415として組み入れる)は、対照の一本鎖オリゴヌクレオチドとして使用された。ISIS129700は、5’及び3’末端上に5個のヌクレオチド“ウイング”が存在する、10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央“ギャップ”領域を含む、20ヌクレオチドの長さを有するキメラオリゴヌクレオチド(“ギャップマー”)である。ウイングは、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成されている。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全てのシチジンは5−メチルシチジンである。
【0385】
A549細胞を、150nMのdsRNA化合物を混合した15μg/mLLIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)、又は150nMの一本鎖オリゴヌクレオチドを混合した15μg/mLLIPOFECTIN(登録商標)で4時間処理した後、通常の増殖培地内で20時間培養した。
【0386】
PPS2033を使用して、本願明細書の他の実施例に記載したようにヒトSTAT3mRNA発現を測定した。結果を標準化した。dsRNA化合物又は一本鎖オリゴヌクレオチドで処理されていない未処理対照細胞に対して標準化した。データは2つの実験の平均値であり、これらを表35に示す。
【0387】
表35
A549細胞内におけるdsRNAによるヒトSTAT3の抑制
【表47】

【0388】
これらのデータは、ヒトSTAT3を標的としたdsRNAが、A549細胞内でmRNA発現を低下させたことを示す。SEQ ID NO417、418、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、431、432、433、435、436、440、441、443、445、446、447、448、449、450、451及び452のアンチセンス鎖、及びその相補体を含むdsRNAは、このアッセイではSTAT3を少なくとも30%抑制した。
【実施例25】
【0389】
ヒトSTAT3のアンチセンス抑制に続く、肺癌腫細胞ラインにおけるアポトーシス
ヒトSTAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、両方とも肺癌腫細胞ラインであるA549及びH460細胞内でのアポトーシスに対する効果について試験した。
【0390】
A549細胞を、本願明細書に記載したように獲得し、培養した。H−460肺癌腫細胞ラインを、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から獲得し、10%ウシ胎児血清、100単位/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(培地及び補充物はInvitrogen Life Technologies、Carlsbad、CAから入手)を補充したRPMI培地内で培養した。両方の細胞タイプを、96−ウエルプレート内で、10、000細胞/ウエルの密度にてプレーティングした。
【0391】
細胞を、100nMのオリゴヌクレオチドにつき3μg/mLLIPOFECTIN(登録商標)の濃度にて、LIPOFECTIN(登録商標)を混合したアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した。オリゴヌクレオチド濃度は、10、20、40及び80nMであった。ISIS29848(NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN、ここでN=A、T、CorG、配列番号453)はランダム化した配列を有し、負の対照として使用した。未処理細胞を対照として使用し、そのデータを標準化した。細胞にアンチセンスオリゴヌクレオチドを移入し、PPS2033を使用したリアルタイムPCRによる処理から24時間後、STAT3mRNAレベルを測定した。
【0392】
アポトーシスに対するSTAT3のアンチセンス抑制の効果を評価するために、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理から24及び48時間後、カスパーゼアッセイを実行した。カスパーゼ−3活性を、ペプチド配列DEVD内のアスパラギン酸残基の後方の切断を検出する蛍光定量HTSカスパーゼ−3アッセイ(Catalog#HTS02、EMDBiosciences、SanDiego、CA)により評価した。DEVD基質を蛍光分子でラベルし、これはカスパーゼ−3による切断により、蛍光の青色から緑色へシフトする。このアッセイでは、製造業者の指示に従って、オリゴマー化合物で処理した細胞内の活性カスパーゼ−3を測定した。アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の後、10μMジチオスレイトールを含有する50μLのアッセイ緩衝液を各ウエルに加え、続いて20μLのカスパーゼ−3蛍光基質コンジュゲートを加えた。蛍光プレートリーダー(SpectraMAX(登録商標)GeminiXS(登録商標)、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を使用して、ウエル内の蛍光(励起/発光400/505nm)を直ちに検出した。プレートをカバーして更に3時間、37℃でインキュベートし、その後蛍光を再度測定した(励起/発光400/505nm)。3時間後の測定値から、ゼロ時の値を減じた。未処理対照細胞から得た測定値を、100%活性として指定した。オリゴマー化合物で処理した細胞内のカスパーゼ−3活性を、未処理対照細胞のそれに対して標準化した。100%を超えるか、又は100%未満のカスパーゼ活性値は、化合物が、各々、カスパーゼ活性を刺激するか、又は抑制する能力を有することを示す。
【0393】
6−ウエル内にて、250、000細胞/ウエルの密度でプレーティングし、ヒトSTAT3を標的とした150nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した、A549及びH460細胞におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)の切断を検出することにより、アポトーシスを評価した。オリゴヌクレオチド処理から48時間後、タンパク質を単離して、ウエスタンブロット分析を実施した。商業的に入手可能な抗体(Cell signaling、Beverly、MA)によりPARPを検出し、次いでECLplus(登録商標)(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)で検出した。シグナルは、Chemidoc(登録商標)EQSystem(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)で検出した。完全長PARP及び切断されたPARPを両方とも定量した。
【0394】
アポトーシスは、更にA549及びH460細胞内の低二倍体を測定することにより評価した。細胞は24ウエルプレート内にて50、000細胞/ウエルの密度でプレーティングされ、ヒトSTAT3を標的とした20、80及び150nMのアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理された。ISIS226844(GCCCTCCATGCTGGCACAGG、配列番号454)はSTAT3を標的とせず、負の対照として使用された。ISIS183891(CCGAGCTCTCTTATCAACAG、配列番号455)は、これを抑制することが細胞周期停止に繋がるキネシン様1を標的とし、用量100nMにて負の対照として使用された。細胞を処理から48時間に回収し、フローサイトメトリー分析用の細胞を調製するために使用した。細胞をヨウ化プロピジウムで染色し、フローサイトメーターを使用して細胞周期プロファイルを生成した。Mod Fitプログラム(Verity Software House、Inc.、TopshamME)を使用して、細胞周期プロファイルを分析した。核DNAの分解(fragmentation)はアポトーシスの顕著な特徴であり、細胞内の低二倍体DNAの含有量を増大させ、これは“subG1”と分類されている。細胞内でのG1相の延長は、S相に入る前の細胞周期停止を示し、細胞内でのS相の延長は、DNA合成中の細胞周期停止を示し、細胞内でのG2/M相の延長は、有糸分裂の直前又は有糸分裂中の細胞周期停止を示している。異数体(A)細胞は、二倍体細胞よりもDNA含有量が多い。オリゴマー化合物で処理した細胞の細胞周期プロファイルを未処理対照細胞のそれに対して標準化した。100%を超えるか、又は100%未満の値は、各々、指示される細胞周期のDNA含有量を有する、細胞の割合における増加又は減少を示すと考慮される。
【0395】
A549細胞内のこれらアッセイから得られたデータを、以下の表に示す。A549細胞内のSTAT3mRNAレベルを、未処理対照細胞に関するmRNA発現のパーセントとして表36に示す。オリゴヌクレオチド処理から24時間及び48時間後のカスパーゼ−3活性を、未処理対照細胞のパーセンテージとして表37に示す。PARP定量を、未処理対照細胞に関するパーセンテージとして表38に示す。DNAプロファイルを、細胞周期の各相におけるパーセンテージとして、表39に示す。
【0396】
表36
A549細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制
【表48】

【0397】
表37
A549細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後のカスパーゼ−3活性
【表49】

【0398】
表38
A549細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後の完全長及び切断PARP
【表50】

【0399】
表39
A549細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後のDNAプロファイル
【表51】

【0400】
三種の異なるアッセイにより測定された所によれば、これらのデータからSTAT3のアンチセンス抑制は、A549細胞内でアポトーシスを引き起こすことが明らかである。例えば、20nMのISIS345781による処理では、STAT3mRNA発現が99%も抑制され(表36)、48時間におけるカスパーゼ−3活性は、未処理対照で観察されたものと比較して、約30倍の水準まで劇的に増大した(表37)。また、完全長PARPは対照の2%に減少し、切断PARPは対照の約8倍であった(表38)。更に、ISIS345781で処理した細胞のサブG1集団は、対照の約20倍であり(表39)、DNA分解が生じたことを示している。一般に、細胞周期のサブG1、G1/S及びG2/M以外の相では、細胞分布には顕著な変化が見られなかった。ISIS337332は、80及び150nM用量にてG1集団を増大させ、これはG1細胞周期停止を示している。合わせて、これらのデータは、ISIS345781によるSTAT3のアンチセンス抑制が、A549細胞内でアポトーシスを誘導したことを明らかに示している。他のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理も同様に、アポトーシスの誘導に付随してSTAT3発現を低下させた。
【0401】
H−460細胞内におけるリアルタイムPCR、カスパーゼ−3、PARP及びDNAプロファイルアッセイから得られたデータを、以下の表に示す。H−460細胞内のmRNAレベルを、未処理対照細胞に関するmRNA発現のパーセントとして表40に示す。オリゴヌクレオチド処理から24時間及び48時間後のカスパーゼ−3活性を、未処理対照細胞のパーセンテージとして表41に示す。PARP定量を、未処理対照細胞に関するパーセントとして表42に示す。DNAプロファイルを、細胞周期の各相におけるパーセンテージとして、表43に示す。
【0402】
表40
H−460細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制
【表52】

【0403】
表41
H−460細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後のカスパーゼ−3活性
【表53】

【0404】
表42
H−460細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後のPARP切断
【表54】

【0405】
表43
H−460細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後のDNAプロファイル
【表55】

【0406】
H−460細胞内でSTAT3のアンチセンス抑制は、アポトーシスを誘導した。例えば、20nMのISIS345785による処理は、STAT3発現を約92%抑制した(表40)。この標的の発現における低下は、未処理対照に関してカスパーゼ−3活性の約2.4倍の増大を伴った(表41)。完全長PARPは対照の43%に減少し、一方、切断されたPARPは対照の143%に増加した(表42)。また、20nMのISIS345785で処理された細胞内の低二倍体は、対照細胞内のそれの約4倍に増加した(表43)。このように、H−460細胞内でのISIS3456785によるSTAT3のアンチセンス抑制は、アポトーシス誘導を引き起こした。他のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理も同様に、アポトーシスの誘導に付随してSTAT3発現を低下させた。
【0407】
アポトーシスの誘導に加えて、ISIS113176によるSTAT3のアンチセンス抑制はS相停止を引き起こし、これはDNA複製が妨害されたことを示している。
【実施例26】
【0408】
ALCLモデルにおける、インビボでのSTAT3及び腫瘍成長の抑制
NPM−ALKトランスジェニックマウスは、自発的にT−細胞リンパ腫及び形質細胞腫瘍を発症する(Chiarle、等、Blood、2003、101、1919−1927)。従って、これらマウスを、両方ともSTAT3活性化と関連した胞性リンパ腫(ALCL)及び多発性骨髄腫のインビボモデルとして使用した。加えて、T−細胞リンパ腫及び形質細胞腫瘍からの細胞をレシピエントマウスに注入すると、レシピエントマウスに皮下腫瘍が発症する。移植したT−細胞リンパ腫及び形質細胞腫瘍は、各々、ALCL及び多発性骨髄腫の動物モデルとして働く。
【0409】
STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、ALCLにおけるSTAT3発現及び腫瘍成長に対する効果について、インビボで試験した。マウスNPM−ALKT−細胞腫瘍由来の約2X10細胞を、同系の(遺伝子的に同一の)マウスに注入した。腫瘍細胞の注入から7日後、マウスにISIS17152(配列番号99)又は3塩基ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドISIS28084(配列番号151)を、用量20mg/kgにて毎日皮下注射した。オリゴヌクレオチドは、一オリゴヌクレオチド処理につき6匹の動物に、14日間投与された。オリゴヌクレオチドは腫瘍の反対側から皮下注射された。腫瘍容積は毎日測定された。それを表44に示す。
【0410】
表44
ALCLモデルにおける腫瘍容積:マウスNPM−ALK細胞
【表56】

【0411】
ISIS17152で処理した動物では、腫瘍の成長は最小であるか又は全く観察されなかった。逆に言えば、対照オリゴヌクレオチドによって処理された動物では、腫瘍細胞の注射から14日以内に、5匹の動物全部が大きな腫瘍塊を発症した。STAT3タンパク質は本願明細書に記載したように、モノクローナルSTAT3抗体(Zymed Laboratories、Inc.、South San Francisco、CA)を使用したウエスタンブロット法により測定された。モノクローナルSTAT3抗体は化学発光システム(ECL、Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)により検出され、STAT3タンパク質はISIS17152で処理された動物の腫瘍及び肝臓内で減少した。更に、残留した腫瘍塊の組織検査により、ISIS17152で処理された動物からの腫瘍の有意な範囲において壊死及び単一の細胞死が観察された。
【0412】
インビボでの同様の実験を実行し、免疫無防備状態のマウスに、約1X10ヒトNPM−ALK腫瘍細胞(Dr.ALorenzana、Van Eslander Cancer Center、Gross Pointe Woods、MIより提供)を注入した。この試験は、20mg/kgのISIS113176(配列番号115)又はミスマッチ対照オリゴヌクレオチド(129987、配列番号404)を使用するマウスNPM−ALK細胞について記述した通りに実施した。オリゴヌクレオチドを腫瘍の反対側に皮下注射した。各々3匹の動物を含むグループに対してオリゴヌクレオチドを14日間投与した。腫瘍容積を測定し、表44に示した。
【0413】
表44
ヒトNPM−ALK細胞を使用した、ALCLモデルにおける腫瘍容積
【表57】

【0414】
ISIS113176で処理した動物では、腫瘍の成長は最小であるか又は全く観察されなかった。逆に言えば、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドを注射された動物に腫瘍成長が観察された。これらのデータは、STAT3のアンチセンス抑制は腫瘍内のSTAT3タンパク質発現を抑制して、ALCLモデルにてインビボで腫瘍成長を抑制することを示す。これらの発見は、STAT3抑制が、ヒトALCL治療における治療的アプローチの一つであることを示す。
【実施例27】
【0415】
多発性骨髄腫モデルにおける腫瘍成長の抑制
恒常的に活性化されたSTAT3の存在により特徴付けられる、NPM−ALKトランスジェニックマウス由来の多発性骨髄腫細胞を、同系マウスに皮下注射した。マウスは、ISIS17152(配列番号99)又はミスマッチ対照オリゴヌクレオチド(配列番号151)を毎日皮下注射された。オリゴヌクレオチドを14日間投与した。オリゴヌクレオチドは、腫瘍の反対側に皮下注射された。腫瘍容積を二日に一回測定し、表45に示した。
【0416】
表45
ヒトNPM−ALK細胞を使用した、ALCLモデルにおける腫瘍容積
【表58】

【0417】
表45に示すように、このモデルにてSTAT3を標的としたISIS17152は、腫瘍の成長を抑制したのに対し、対照オリゴヌクレオチドは抑制しなかった。これらのデータは、STAT3のアンチセンス抑制が、多発性骨髄腫モデルにおいてインビボで腫瘍成長を防止することを示す。
【実施例28】
【0418】
LCL細胞ラインにおける、ヒトSTAT3のアンチセンス抑制の効果
STAT3のアンチセンス抑制を、そのヒトALCL細胞(TSALCL細胞、又はSU−DHL細胞、Dr.A.Lorenzana、Van Eslander Cancer Center、Gross Pointe Woods、MIより提供)における細胞の増殖及び生存に対する効果について評価した。TSALCL細胞に、電気穿孔法により0.02、0.3、1.5、3、6、12及び15μMのISIS113176(配列番号115)、又は3−塩基ミスマッチISIS129987(配列番号404)を移入した。Amaxa(登録商標)電気穿孔ユニット(AmaxaBiosystems、Gaithersburg、MD)を使用して、製造業者の指示に従い2X10細胞に電気穿孔した。24時間後、細胞を回収した。細胞生存率を不健康細胞又は死細胞のみによって取り上げられるトリパンブルー染色により評価した。ミスマッチ対照で処理した細胞内で、細胞生存率及びSTAT3タンパク質は低下しなかった。しかしながら、ISIS113176で処理した細胞では細胞生存率の用量依存的な低下が見られ、用量0.03、1.5、3、6及び12μMにおいて、対照の97%、87%、67%、60%及び29%であった。細胞生存率は、15μM用量のISIS113176を受容した細胞内では、対照の36%に低下した。細胞生存率の低下に加えて、本願明細書に記載したように実施した、処理細胞のウエスタンブロッティングにて、STAT3タンパク質発現が用量依存的に低下することが明らかとなった。
【0419】
新たに合成したDNA内への三重水素化チミジンの取り込みは、細胞増殖の基準として役立つ。STAT3のアンチセンス抑制後の細胞増殖は、ISIS113176(配列番号115)を移入された細胞内に取り込まれた三重水素化(3H)チミジンの量を測定することにより評価される。SU−DHL細胞に、7μMのISIS113176を移入した。細胞に、構成的に活性化されたSTAT3、STAT3cを移入し、これらはSTAT3が自発的に二量化して、DNAに結合して転写を活性化させるアミノ酸置換を有している(Bromberg、J.F.等、Cell、1999、98、295−303)。細胞を、培養の最後の18時間に1μCiの3H−チミジンが存在する下で培養した。オリゴヌクレオチド処理から24、48及び72時間後、細胞を回収した。3H−チミジンの取り込みを慣習的なシンチレーション計数法で測定し、総数/分(CPM)として表46に示した。STAT3活性化又は抑制の影響を受けない細胞のための対照に、Jurkat細胞(ATCC、Manassas、VAから入手可能)を使用した。
【0420】
表46
ヒトALCL細胞内におけるアンチセンス抑制後の細胞増殖の低下
【表59】

【0421】
表46に示すように、ヒトSU−DHL細胞内でのアンチセンス抑制は、細胞増殖を顕著に抑制した。構成的に活性化されたSTAT3を発現しないJurkat細胞は、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の影響を受けない。従って、細胞増殖上の効果は、STAT3のアンチセンス抑制に特異的である。
【0422】
同様のアッセイにて、TSALCL細胞に7μMのISIS113176を移入した。オリゴヌクレオチド処理から24、48及び72時間後、STAT3発現及びPARP切断を、本願明細書に記載した手法を使用したウエスタンブロット法により評価した。STAT3タンパク質発現は低下し、アポトーシスの指標であるPARPの切断が観察された。これら双方は時間依存的に発生した。細胞増殖は、これら細胞に取り込まれた3H−チミジンを測定することにより評価された。
【0423】
表47
TSALCL細胞内におけるSTAT3のアンチセンス抑制後の細胞増殖の低下
【表60】

これらのデータは、STAT3のアンチセンス抑制が、未分化リンパ腫細胞内での細胞増殖を低下させたことを示す。
【実施例29】
【0424】
正常なマウスにおける、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果:毒性スクリーニング
正常マウスにおける、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を評価した。C57Bl/6マウスに、50mg/kg用量のオリゴヌクレオチドを4週間の間、週に2回皮下注射した。投与したSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、ISIS345781、ISIS113196、ISIS345815、ISIS345794、又はISIS345823であった。ISIS335099(GAGTATCACTATGGCTGGCC、配列番号456)はSTAT3を標的とせず、対照オリゴヌクレオチドとして使用した。対照グループとして、生理食塩水を受容する動物も使用した。各処理グループは、5匹の動物を含んでいた。処理前(Wk0)及び処理から2週間後(Wk2)及び4週間後(Wk4)の血液標本を収集した。慣習的な臨床分析により、血糖、コレステロール及びトリグリセリドを測定した。これらのデータを表48に示す。
【0425】
表48
正常なマウスにおける、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの血漿グルコース、トリグリセリド、及びコレステロールに対する効果
【表61】

【0426】
その上昇が毒性を示し得る、血中の肝臓トランスアミナーゼALT及びASTを慣習的な臨床分析により測定した。これらのデータを表49に示す。
【0427】
表49
正常なマウスにおける、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの肝臓トランスアミナーゼレベルに対する効果
【表62】

【0428】
処理から4週間後、動物を犠牲にして、肝臓組織からRNAを調製した。STAT3mRNA発現を、本願明細書に記載したようにリアルタイムPCRにより測定した。データを、生理食塩水で処理した対照マウスに関するRNA発現の抑制パーセントとして、表50に示す。
【0429】
表50
肝臓におけるSTAT3標的の減少
【表63】

【0430】
表50に示すように、ISIS113916、ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、ISIS345794、及びISIS345823による処理は、肝臓においてSTAT3mRNAを減少させた。
試験の終わりに、肝臓、脾臓、脂肪パッド及び腎臓の重量を測定した。各処理グループにおける平均の肝臓重量を、表51に示す。
【0431】
表51
肝臓重量に対するSTAT3アンチセンスオリゴヌクレオチドの効果
【表64】

【0432】
生理食塩水処理動物の脂肪パッドの平均重量は、約0.33gであった。ISIS337333、ISIS345778、ISIS345815、ISIS345794、又はISIS345823処理グループの脂肪パッドの平均重量は、約0.29g〜0.36gの範囲にあり、生理食塩水処理グループで測定した重量と比較して有意な差異は見られなかった。ISIS337333、ISIS345781、及びISIS113196で処理した動物の脂肪パッドの平均重量は、生理食塩水−処理対照動物と比較して、各々約0.23g、0.22g、及び0.26gだけ僅かに軽かった。
【0433】
ISIS337332、ISIS337333、ISIS345778、及びISIS113196で処理した動物の脾臓重量の測定値の平均は、約0.09〜0.1gであり、生理食塩水処理動物の平均(約0.09g)と差異はなかった。ISIS345815、ISIS345794、又はISIS345823で処理した動物の平均脾臓重量は、各々約0.08、0.07、及び0.08であった。従って、STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理は、正常なマウスの脾臓重量を増加させなかった。
【0434】
処理グループで測定した平均腎臓重量は、約0.29g〜約0.34gの範囲にあった。これらのデータは、生理食塩水処理対照で測定した平均腎臓重量(約0.36g)と比較して、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理が、正常なマウスの腎臓重量を増加させなかったことを示す。
【0435】
0、2及び4週間目に、体重を測定した。生理食塩水−処理対照動物で測定した平均体重は、約24g〜27gの範囲にあり、動物の体重は時間と共に増加した。STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した動物では、時間と共に同様の体重増加が見られ、その平均重量は対照動物の平均体重と有意に異ならなかった。
正常マウスの、ヒトSTAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドによる処理は、有意な悪影響を与えなかった。
【実施例30】
【0436】
STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドの、癌治療としての評価
STAT3の不適切な発現及び/又は活性化は、前立腺癌、頭頸部の扁平上皮細胞癌腫、非小細胞肺癌腫及び肝細胞癌腫、多発性骨髄腫、未分化大細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、並びに非ホジキンリンパ腫を含む様々な癌と関連している。従って、STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、固形腫瘍又は血液悪性腫瘍の患者にて評価された。処理グループは約30〜40人の患者からなる。充填期間にて、第一週にアンチセンスオリゴヌクレオチドを3回静脈内投与し、その後、アンチセンスオリゴヌクレオチドを毎週投与した。用量は、2mg/kg〜10mg/kgの範囲であった。処理応答を評価し、またバイオマーカーを測定することにより、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理による効果を評価した。多発性骨髄腫患者のバイオマーカーの例には、血清パラプロテイン、及び循環多発性骨髄腫細胞におけるアポトーシスがある。循環骨髄腫細胞にてSTAT3タンパク質及びリン酸化も測定した。
【0437】
STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、化学療法薬が効かない患者、又は癌の再発を経験している患者でも試験した。
【0438】
STAT3を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドを、単独で、又は例えば化学療法薬ベルケード(登録商標)のような他の薬剤と組み合わせて投与した。
【実施例31】
【0439】
ヒトSTAT3のアンチセンス抑制後の、肺癌腫細胞ラインにおけるアポトーシス
サイトカインIL6は、STAT機能の上流制御因子であり、肺癌細胞においても上方制御されていることが知られている。STAT3は腫瘍形成及び上皮細胞の生存と頻繁に関係するため、STAT3のヒト非小細胞肺癌腫細胞における役割を描写することに興味が持たれていた。そのため、細胞増殖及びアポトーシス誘導におけるSTAT3のアンチセンス抑制の効果が試験された。アッセイは記述されているように実施された(Song等、Onco遺伝子、2003、22、4150−4165)。
【0440】
A549、H460、H358及びH1299細胞ライン(全てATCC(Manassas、VA)から入手可能)を、5%ウシ胎児血清、2mMグルタミン及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンで補充したRPMI培地(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)内で増殖させた。A549、H358及びH1299細胞は、構成的に活性化したSTAT3を示した。
【0441】
オリゴヌクレオチドを、封入リポソーム、又は電気穿孔のいずれかを用いて、ヒト肺癌細胞内に移入した。A549、H358及びH1299細胞(60−mm皿内に100、000〜200、000個の細胞)に、1.5mlのOptiMEM(登録商標)培養液(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)中の15mgのLIPOFECTIN(登録商標)(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)と共に、500nMのオリゴヌクレオチドを移入した。細胞をオリゴヌクレオチドと共に4時間インキュベートし、混合物を除去し、5%ウシ胎児血清含有RPMIで1回洗浄した後、培地内でインキュベートした。免疫ブロット、電気泳動移動度シフト解析、及び顕微鏡観察のために、移入から24時間後、細胞を回収した。Apo−BRDU(登録商標)アッセイのために、移入後48時間にて細胞を回収した。
【0442】
H460細胞の電気穿孔のために、細胞を約20−30X10の数にまで増殖させ、トリプシン処理し、そして最終濃度10μmにてオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。細胞を電気穿孔した。Biorad 電気穿孔器(Bio−Rad Laboratories、Hercules、CA)内で、1000μF及び230VのOPTI−MEM内で、全容積400mLのEagle培地、その後、細胞を10cm皿内にて5%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMI中にリプレーティングし、5%CO2及び37°Cのインキュベーター内に一夜配置した。翌朝、細胞をPBSで洗浄し、血清及び抗生物質を含む新しい培養液を加えた。
【0443】
Apo−BRDU(登録商標)キット(Pharmingen、BD Biosciences、San Diego、CA)を使用して、製造業者の指示に従いアポトーシスをアッセイした。10、000細胞/実験的条件からデータを獲得し、CELLQuest(登録商標)software(BD Biosciences、SanJose、CA)を使用して、FACScan(登録商標)Immunocytometry System上で蛍光を分析した。PARP抗体(CellSignaling、Beverly、MA)を使用して完全長、及び切断された大きい断片(fragment)を検出して、アポトーシスの指標であるポリメラーゼ(PARP)の切断を測定することにより、アポトーシスも検出した。
【0444】
前述したように、STATDNA結合アッセイを実施した(Yu等、Science、1995、269、81−83、Garcia等、Cell Growth and Differentiation、1997、8、1267−1276)。タンパク質-DNA複合体を非変性(非変性)ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)により分解し、オートラジオグラフィーにより検出した。電気泳動移動度シフト解析(EMSA)により特定のSTAT3複合体を同定する際に使用される抗STAT3(C−20)ポリクローナル抗体を、Santa Cruz Biotechnologiesから得た。スーパーシフトアッセイで使用するために、放射標識したプローブ(一種又は複数種)の添加、及び電気泳動に先立って、1μgのC−20抗体を核抽出物と共に室温で20分間インキュベートした。
【0445】
以下のようにウエスタンブロットを実行した。細胞溶解物を全タンパク質含有量(50mg)について標準化し、SDS-PAGEにかけた。これら試験にて使用された一次抗体は、STAT3(Transduction Laboratories、Lexington、KY)、リン酸化STAT3Y705(Cell Signaling、Beverly、MA)PARP(Cell Signaling、Beverly、MA)、及びβアクチン(Sigma、St.Louis、MO)から構成されていた。タンパク質の検出は、西洋ワサビペルオキシダーゼ−複合二次抗体、及びAmersham Biosciences(Piscataway、NJ)からのエンハンスト(enhanced)化学発光システム(ECL)キットを使用して実施した。
【0446】
A549細胞にはオリゴヌクレオチド、アンチセンス、又はミスマッチオリゴヌクレオチドのいずれも移入されず、24時間後に細胞が収集され、総タンパク質及び核抽出物が調製された。ウエスタンブロッッティングにより、ISIS113176によって細胞の総STAT3タンパク質の含有量が低下したことが明らかとなった一方、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドで処理した細胞、又は未処理細胞内では低下が見られなかった。STAT3レベルの低下は、移入から24時間後といった早期の(PARP)の切断により証明されるアポトーシスの活性化を伴っていたが、ミスマッチ対照で処理された細胞内、又は未処理細胞内ではPARPの切断が見られなかった。EMSAでアッセイされたように、STAT3のアンチセンス抑制は、STAT3DNA−結合活性をほぼ完全に抑制した一方、ミスマッチオリゴヌクレオチド処理は、STAT3DNA−結合活性に全く影響を及ぼさなかった。ISIS113176で48時間処理した細胞の顕微鏡写真検査では、細胞数の減少、及び細胞の寸法及び形状の変化が観察され、それには細胞破片及び空胞化細胞の増加が伴っていた。反対に、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドで処理した細胞では、細胞の数、寸法、形状に変化が見られず、また細胞死を暗示する細胞破片も増加していなかった。A549細胞内でのアポトーシス調整におけるSTAT3の役割を支持する更なる証拠を得るため、細胞を収集して、Apo−BrdUを組み入れることによりDNAフラグメンテーションをアッセイした。3つの独立した実験で得られた結果をプールして、Apo−BrdUを組み入れた細胞のパーセンテージにより、アポトーシス%を決定した。アンチセンスSTAT3で処理した細胞は、ミスマッチ対照処理細胞の約16倍、未処理細胞の約48倍だけApo−BrdUの組み込みを増大させ、これらの結果はアポトーシスを示している。未処理及びミスマッチ対照処理細胞は、ニックDNAの最小の痕跡を有した。従って、STAT3のアンチセンス抑制は、A549肺癌腫細胞内でのPARP切断及びDNAフラグメンテーションで示されるように、アポトーシスを誘導した。
A549細胞での発見を拡大するために、同様の実験をH358及びH1299肺癌腫細胞にて実施した。STAT3のアンチセンス抑制は、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドでの処理と比較して、H358及びH1299細胞の両方でSTAT3タンパク質を消失させた。H358細胞内で、ISIS113176で処理された該細胞内でのPARP切断を証拠としたアポトーシス経路の活性化が見られたが、STAT3タンパク質の欠損にも関わらずH1299細胞内でアポトーシスの証拠は見られなかった。
【0447】
最小のSTAT3DNA結合活性を有するH460肺癌腫細胞内でも、STAT3アンチセンスオリゴヌクレオチド処理の効果が評価された。H460細胞に、電気穿孔により10μm迄のISIS113176又はISIS129987を移入した。EMSAで測定した所、STAT3活性は最小のDNA結合活性を示し、これはSTAT3アンチセンス抑制によって低下されたが、ミスマッチ対照オリゴヌクレオチド処理では低下されなかった。細胞構造又は細胞数上に影響は認められず、アポトーシスは増加せず(ISIS129987及びISIS113176処理後、各々0.53%及び0.27%のアポトーシス細胞)Apo−BrdUの組み入れにおける増加は観察されなかった。これらのデータは、STAT3のアンチセンス抑制が特異的で、TAT3活性が最小であるH460細胞内では細胞死を誘導しないという結論を支持している。
【0448】
これらのデータから、STAT3のアンチセンス抑制は、A549及びH358細胞内ではアポトーシスを生じるが、1299又はH460細胞内ではアポトーシスは観察されないことが明らかである。これらの発見は、STAT3の直接的な抑制がアポトーシス細胞死を引き起こすことを示し、特定のヒト肺癌細胞内でアポトーシス経路を制御することを示唆している。
【実施例32】
【0449】
前立腺癌細胞内におけるヒトSTAT3のアンチセンス抑制
多発性骨髄腫の発病には、アポトーシスを妨げる、サイトカインIL−6によるSTAT3の活性化が関与している。前立腺癌にIL−6を含むサイトカインが関与するため、前立腺癌細胞内におけるSTAT3の機能が研究された。更なる実施態様にて、STAT3のアンチセンス抑制を実施したDU145細胞のSTAT3活性、アポトーシス及び増殖を評価した。これらのアッセイに使用した手法は、Mora等(Cancer Research、2002、62、6659−6666)に詳細に記述されている。
【0450】
DU145前立腺癌細胞をATCC(Manassas、VA)から入手し、10%ウシ胎児血清を補充したRPMI培地内で培養した。細胞を、250nMのISIS113176(配列番号115)又はSTAT3を標的としないミスマッチ対照オリゴヌクレオチドであるISIS129987(GCTCCAATACCCGTTGCTTC、配列番号404)で処理した。移入から18時間前、細胞を10cmプレート内で2X10細胞の密度で播種した。細胞に、Lipofectamine(登録商標)Plus(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)のみ、Lipofectamine(登録商標)Plus及びISIS113176、又はLipofectamine(登録商標)Plus及びISIS129987を3時間移入した。未処理細胞を対照として使用した。
【0451】
処理から24時間後、タンパク質単離及び核抽出物調製のために細胞を回収した。STAT3のDNA結合活性を、核抽出物内で電気泳動移動度シフト解析(EMSA)により評価した。5ugの総細胞タンパク質を、活性化STAT3タンパク質に対して結合する32P−ラベルしたオリゴヌクレオチドプローブと共にインキュベートした。タンパク質−DNA複合体を非変性ポリアクリルアミド電気泳動で分離し、オートラジオグラフィーで検出した。STAT3タンパク質レベルは、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz、CA)からの抗体を使用して、ウエスタンブロットにより評価した。また移入細胞を収集して95%エタノール中で固定し、ウサギヒトポリクローナル抗体(Phospho−Tyr705−Stat3、Cell Signaling、Beverly、MA)を使用して、リン酸化STAT3の免疫組織化学的染色を行った。
【0452】
EMSAは、対照細胞(ミスマッチ対照オリゴヌクレオチド、Lipofectamine(登録商標)Plusのみ、又は処理なし)と比較して、ISIS113176を移入したDU145細胞内でSTAT3DNA結合活性が非常に低下されたことを示した。STAT3に対する抗体が遮断され、このDNA−結合活性をスーパーシフトさせ、この活性がSTAT3に対応することを確認した。STAT3タンパク質発現は、対照細胞と比較して、ISIS113176を移入したDU145細胞内で非常に低下した。また、リン酸化STAT3の染色は移入DU145細胞内で停止された。これらのデータは、リン酸化STAT3を含むSTAT3タンパク質のレベル、及びSTAT3DNA−結合活性を低下させることを示す。
【0453】
対照細胞、及び移入DU145細胞内のアポトーシスを、活性化カスパーゼ−3に特異的な抗体を使用して、供給者プロトコール(Becton Dickinson Phar Mingen、San Diego、CA)に従ってカスパーゼ−3レベルを測定することにより評価した。フローサイトメトリーにより染色を分析した。細胞増殖を、血球計数器及びトリパンブルー染色排除法を使用して、生細胞の数を計数することにより測定した。活性化されたカスパーゼ−3は、Lipofectamine(登録商標)Plusのみ、ISIS129987又はISIS113176を受容した細胞内で、各々、未処理対照の約5%、7%及び18%であり、STAT3のアンチセンス抑制後のアポトーシスの増加が示された。細胞増殖も48時間に亘り抑制され、ISIS113176−処理標本では細胞数は3X10を超えなかった。ミスマッチ対照、及びLipofectamine−Plusで処理した細胞の細胞数は、同じ48時間中に各々約5X10及び9X10細胞に増加した。
【実施例33】
【0454】
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有する、マウスSTAT3を標的としたキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
本発明によれば、公表された配列(GenBank(登録商標)受入番号U06922、本願明細書に配列番号82として組み入れる、GenBank(登録商標)受入番号NT_039521.2のヌクレオチド12369484〜12421464の相補体、本願明細書に配列番号461として組み入れる、GenBank(登録商標)受入番号NM_213659.1、本願明細書に配列番号462として組み入れる、及びGenBank(登録商標)受入番号NM_011486.3、本願明細書に配列番号463として組み入れる)を使用して、マウスSTAT3の異なる領域を標的とする更なる一連のオリゴヌクレオチドを設計した。そのオリゴヌクレオチドを、表52に示す。“標的部位“は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の第一(最も5’側)のヌクレオアチド番号を示す。表52の全化合物は、両側(5’及び3’方向)上に5個のヌクレオチド”ウイング”が存在する、10個の2’−デオキシヌクレオチドからなる中央”ギャップ”領域を含む、20ヌクレオチドの長さを有するキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)である。ウイングは、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドから構成される。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体を通してホスホロチオエート(P=S)である。全シチジン残基は、5−メチルシチジンである。
【0455】
本願明細書の他の実施例に記載したように、定量的リアルタイムPCRによって化合物のマウスSTAT3mRNAレベル上の効果について分析した。データは、b.END細胞が75nMの本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理される二つの実験の平均である。
【0456】
マウス脳血管内皮細胞ラインb.ENDを、Max Plank Institute(Bad Nauheim、Germany)のDr.WernerRisauより入手した。b.END細胞を、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)で補充した高グルコースDMEM(Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)中で、慣習的に培養した。細胞が約90%集密度に到達した際に、細胞をルーチン的にトリプシン処理及び希釈により継代した。細胞を96−ウエルプレート(Falcon−Primaria#3872、BD Biosciences、Bedford、MA)内に、密度約3000細胞/ウエルにて播種して、オリゴマー化合物移入実験に使用した。
【0457】
公表された配列情報(GenBank(登録商標)受入番号NM_213659.1、本願明細書に配列番号462として組み入れる)を使用して、マウスSTAT3配列にハイブリダイズするようにプローブ及びプライマーを設計した。マウスSTAT3のためのPCRプライマーは、
【0458】
フォワードプライマー:GCCACGTTGGTGTTTCATAATCT(配列番号464)
リバースプライマー:GATAGAGGACATTGGACTCTTGCA(配列番号465)
及びPCRプローブは、FAM−TTGGGTGAAATTGACCAGCAATATAGCCG−TAMRA(配列番号466)であり、ここでFAMは蛍光色素であり、TAMRAは消光色素である。
【0459】
表52
2’−MOEウイング及びデオキシギャップを有する、マウスSTAT3を標的とするキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
【表65】

【表66】

【実施例34】
【0460】
多発性骨髄腫モデルにおける、細胞死及び腫瘍成長抑制を誘導するSTAT3のアンチセンス抑制
更なる実施態様にて、多発性骨髄腫発症と、多発性骨髄腫由来の腫瘍の成長とにおけるSTAT3の必要性について研究した。トランスジェニックNPM−ALK(NPM−ALK Tg)マウスは、構成的に活性化されたSTAT3によって特徴付けられる多発性骨髄腫を自発的に発症する。多発性骨髄腫の発症にSTAT3が必要か否かを決定するために、NPM−ALK TgマウスのB細胞のSTAT3遺伝子を破壊した。前述したように、マウスSTAT3遺伝子座はCreリコンビナーゼ認識部位(loxP部位)を含むように設計した(Raz等、PNAS、1999、96、2846−2851)。この改変STAT3を持つマウスとCreリコンビナーゼ導入遺伝子を持つマウスと交雑させると、Creリコンビナーゼが、loxP部位に隣接する遺伝子座部分を切除して、STAT3遺伝子座を削除(delete)する。NPM−ALKTgマウスは、条件的に破壊可能なSTAT3遺伝子を導入するように育種された。次にこれらマウスを、B系統限定CD19遺伝子の制御下でCreを発現する、CD19+特異的なCre導入遺伝子を保有するマウスと交雑させた(Rickert等、Nuc.AcidsRes.、1997、25、1317)。得られた子孫は、B−細胞特異的なSTAT3遺伝子削除を有していた。B細胞はCD19抗原で確認することができ、多発性骨髄腫の原因となる形質細胞に成熟し、これはCD19及びCD138抗原の両方の存在で確認される。
【0461】
マウスを前述したように交雑させ、子孫の遺伝子型の同定によって、全CD19+又はCD138+細胞の80%超がSTAT3削除を受けたことが明らかとなった(Chiarle等、Blood、2003、101、1919−1927に記載されているように以前に同定されている)。更に、検査した23NPM−ALKTgSTAT3−欠損動物ではSTAT3ネガティブな多発性骨髄腫細胞は検出されなかった。これらの細胞から、前述したように核抽出物を調製した(Mora等、Cancer Res.62:6659、2002)。本願明細書に記載したウエスタンブロッティングによる核抽出物中のリン酸化STAT3の検出によって、これらマウスの全CD138+多発性骨髄腫細胞が、検出可能な核リン酸化STAT3を含むことが明らかとなった。(Raz等、PNAS、1999、96、2846−2851に記載されている)サザンブロッティングにより、これらの細胞中のSTAT3遺伝子は無傷であると判定された。これらのデータは、形質細胞の変換はSTAT3を絶対的に必要とすることを示す。
【0462】
STAT3ポジティブなCD19+細胞は多発性骨髄腫を発症させ、多発性骨髄腫細胞はレシピエントマウスに移植された。得られた腫瘍中の、STAT3アンチセンス抑制の効果を試験した。多発性骨髄腫細胞を、ヌード又は同系マウス(Balb/cマウス)に皮下注射(2X10細胞)又は静脈内注射した(1X10細胞)。測定可能な多発性骨髄腫腫瘍(約0.5mm)を有する動物に、用量20mg/kgのISIS 17152(配列番号99)又は対照オリゴヌクレオチドISIS 28084(配列番号151)を14日間毎日注射した。注射は腫瘍の反対側にて皮下に行われた。各処理グループは3〜9匹の動物を含んでいた。
【0463】
オリゴヌクレオチド処理から15日後、ISIS 17152−注入動物の腫瘍成長は、対照オリゴヌクレオチド−注入動物の15%に低下した。慣習的な組織学的分析による判断では、ISIS 17152で処理した腫瘍全体には、唯一つのアポトーシス形態が見られた対照オリゴヌクレオチド処理腫瘍と比較して、大きな壊死領域が見られた。加えて、商業的に入手可能なキット(例、OPT−EIA(登録商標)、BD Biosciences Pharmingen、San Diego、CA)を使用したELISA法により、多発性骨髄腫で増大する血清IgMレベルを測定した。その結果、血清IgMレベルは、対照オリゴヌクレオチド処理動物と比較して、ISIS 17152処理動物で低下することが分かった。更に、ISIS 17152処理を受けた動物の生存率は、対照動物に関して有意に増加した。
【0464】
1cm腫瘍を発症したマウスにて同様の実験を実施して、確立した腫瘍に対するSTAT3アンチセンス抑制の効果を試験した。マウスを、40mg/kgのISIS17152又は対照オリゴヌクレオチドで14日間毎日処理した。この実験において、STAT3のアンチセンス抑制の結果として腫瘍壊死、及び腫瘍細胞周期停止を観察した。
【0465】
腫瘍内のアポトーシスは、Annexin−V染色キット(Clontech、Palo Alto、CA)を使用して、製造業者の指示に従ってAnnexin−V染色により評価した。簡単に言えば、細胞を0.2mLの染色緩衝液(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、5mM CaCl)及び10μLのヨウ化プロピジウム(50μg/ml)中に懸濁させ、5μLのAnnexin−V試薬を4℃で10分間かけて加えた。次いで標本をFacsFlow緩衝液で希釈し、Becton Dickinson FACScan(登録商標)(Mountain View、CA)上で分析した。STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを受容したマウスの腫瘍細胞中にて、対照と比較して約2倍のAnnexin−Vポジティブな腫瘍細胞の増加が観察された。商業的に入手可能なキット(例、APO−DIRECT(登録商標)、Pharmingen、BD Biosciences、San Diego、CA)を使用して、製造業者の指示に従ってTUNEL染色によりアポトーシスも評価した。ISIS17152で処理したマウスの腫瘍細胞中では、対照オリゴヌクレオチド処理腫瘍とは対照的にTUNEL−ポジティブ細胞が広範囲に存在した。これらのデータは、アンチセンス抑制が移植された多発性骨髄腫腫瘍内にてアポトーシスを誘発したことを示す。
【0466】
細胞周期停止をフローサイトメトリーにより評価した。細胞を本願明細書に記載したように調製した。ISIS17152−処理腫瘍(20mg/kg用量)からの細胞は、対照処理腫瘍からの細胞と比較して、S相集団にて45%減少した。従って、STAT3のアンチセンス抑制は、細胞周期のG1相において細胞周期停止を誘導した。
【0467】
原発性多発性骨髄腫腫瘍、及び移植された腫瘍のSTAT3、リン酸化STAT3、Bcl−xL、サバイビン、ERK、リン酸化ERK及びc−mycの発現についてウエスタンブロットにより評価した。タンパク質溶解物を調製し、商業的に入手可能な抗体(STAT3及びリン酸化STAT3抗体は本願明細書に記載した方法にて得た、他の抗体はSanta Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CAから入手可能)を使用して、ウエスタンブロット分析にかけた。原発性及び移植多発性骨髄腫腫瘍の両方にて、これら全タンパク質を高いレベルにて観察し、移植腫瘍細胞が原発性腫瘍細胞と同様の特徴を示すことが示された。
【0468】
多発性骨髄腫のマウスモデルにおいて、組合せ処理も試験した。移植された多発性骨髄腫細胞に由来する腫瘍を持つ動物を、ISIS17152及びボルテゾミブ(Velcade(登録商標)として商業的に周知の、Millenium Pharmaceuticals、Cambridge、MA)又はシクロホスファミド(Endoxana(登録商標)として商業的に周知の、Asta Medica、Frankfurt、Germany)の組み合わせによって処理した。少なくとも10匹の動物からなる一処理グループは、20mg/kgのISIS 17152とボルテゾミブの組み合わせを、14日間毎日皮下投与された。ボルテゾミブは0.05mg/kg〜1.0mg/kgの範囲の用量にて、14日の試験期間中、週に2回静脈内投与された。少なくとも10匹の動物からなる更なる処理グループは、220mg/kgのISIS 1715をシクロホスファミドと組み合わせて毎日皮下投与された。シクロホスファミドは、用量35mg/kgにて、14日の試験期間中、週に2回腹腔内投与された。組み合わせ処理グループでは以下の項目、すなわち腫瘍成長、生存率、血清IgMレベル、アポトーシス、細胞周期停止、STAT3及びリン酸化STAT3タンパク質レベル、並びに腫瘍壊死を評価した。
【0469】
これらのデータは、STAT3のアンチセンス抑制が、インビボにてG1相における細胞周期停止、細胞死及び腫瘍成長抑制を誘導することを示す。従って、STAT3を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは、多発性骨髄腫の治療に活用される治療薬である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号154で示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド2790〜3140、(b)配列番号154で示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド2983〜3127、または(c)配列番号154で示されるヌクレオチド配列のヌクレオチド2983〜3066を標的とする、STAT3をコードする核酸分子と特異的にハイブリダイズし、STAT3の発現を阻害することができる長さが8〜80核酸塩基であるアンチセンス化合物。
【請求項2】
STAT3をコードする核酸分子と100%相補的である請求項1記載のアンチセンス分子。
【請求項3】
長さが(a)12〜50核酸塩基、(b)13〜40核酸塩基、または(c)15〜30核酸塩基である
請求項1または2に記載のアンチセンス分子。
【請求項4】
少なくとも一つの修飾されたヌクレオシド間結合を有する請求項1〜3のいずれかに記載のアンチセンス化合物。
【請求項5】
修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である請求項4記載のアンチセンス化合物。
【請求項6】
少なくとも一つの置換された糖部分を含む請求項1〜5のいずれかに記載のアンチセンス化合物。
【請求項7】
置換された糖部分が2’−O−(2−メトキシエチル)部分である請求項6に記載のアンチセンス化合物。
【請求項8】
少なくとも一つの修飾核酸塩基を含む請求項1〜7のいずれかに記載のアンチセンス化合物。
【請求項9】
修飾核酸塩基が5−メチルシトシンである請求項8に記載のアンチセンス化合物。
【請求項10】
キメラオリゴヌクレオチドである請求項1〜9のいずれかに記載のアンチセンス化合物。
【請求項11】
ギャップマーである請求項10に記載のアンチセンス化合物。
【請求項12】
デオキシヌクレオチドを含む第1領域と、少なくとも一つの2’−O−(2−メトキシエチル)ヌクレオチドを含む、該第1領域と隣接する第2および第3領域を有するキメラオリゴヌクレオチドである請求項11に記載のアンチセンス化合物。
【請求項13】
該第1領域の長さが10デオキシヌクレオチドであり、該第2および第3領域の長さがそれぞれ5ヌクレオチドである請求項12に記載のアンチセンス化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のアンチセンス化合物と医薬的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項15】
治療または予防に用いるための請求項1〜13のいずれかに記載のアンチセンス化合物。
【請求項16】
異常な炎症状態または炎症性疾患を治療または予防するのに用いるための請求項15に記載のアンチセンス化合物。
【請求項17】
リウマチ性関節炎を治療または予防するのに用いるための請求項16に記載のアンチセンス化合物。
【請求項18】
癌を治療または予防するのに用いるための請求項15に記載のアンチセンス化合物。
【請求項19】
乳癌、前立腺癌、脳もしくは頭部および頸部の癌、骨髄腫、黒色腫、白血病、またはリンパ腫からなる群より選択される癌を治療または予防するのに用いるための請求項18に記載のアンチセンス化合物。

【公開番号】特開2012−213399(P2012−213399A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129201(P2012−129201)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2006−552100(P2006−552100)の分割
【原出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】