説明

アンチ溶媒凝固プロセス

本発明は、凝固されるべき少なくとも1の有機若しくは無機化合物を含む液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出されて、または1以上のアンチ溶媒が膜を通して凝固されるべき少なくとも1の有機若しくは無機化合物を含む液状媒体中に押出されて、当該有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を生成する、アンチ溶媒凝固プロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアンチ溶媒(antisolvent:反溶媒)凝固技術を使用する、無機または有機化合物を凝固するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に凝固は他の分離プロセスよりも低いエネルギーを要するから、工業においては、凝固は無機または有機化合物の精製にしばしば使用される技術である。ほとんどの工業的用途は、凝固を達成するために溶液を直接にまたは間接に冷却することによって、および/または溶媒の一部を蒸発することによって当該溶液から化合物を凝固することを含む。たとえば、多くの無機塩は、天然源の塩を水に溶解することによって製造される水性溶液から工業的につくられる。塩は通常、水の蒸発によって水性溶液からそれを結晶化することによって得られ、水の蒸発は一般に多重効用型または蒸気再圧縮型蒸発器を使用して達成される。しかし、このような蒸発プロセスはエネルギー多消費性である。水からの塩の分離が水の蒸発なしにできるならば、かなりのエネルギーの節約が可能になるであろう。
【0003】
無機または有機化合物の他の凝固方法は、アンチ溶媒凝固プロセスによるものである。アンチ溶媒プロセスでは、凝固されるべき化合物は、当該化合物を含む溶媒へのアンチ溶媒の添加またはその逆によって得られる。このようにして化合物の凝固が誘発される。その後、所望であれば、得られた化合物は反応混合物からろ過されることができる。化合物が結晶として沈降するときは、該方法は一般にアンチ溶媒結晶化と呼ばれる。特に無機塩の製造では、アンチ溶媒結晶化は、一般に採用される蒸発結晶化プロセスのエネルギーを節約する代替案となることができる。しかし、当該アンチ溶媒方法の一般的な欠点は、付随する高い過飽和の故に不純物が製品とともに沈降しやすいことである。また、従来技術のアンチ溶媒結晶化では、凝集物の発生または形態(モルホロジー)上の不安定性がしばしば観察される。というのはこれらの発達形態は母液の取り込みに敏感だからである。凝集物の内部では、空隙は母液で満たされているだろう。したがって、追加の洗浄段階または再結晶化が、所望の純度を持つ製品を得るために通常必要である。
【0004】
慣用のアンチ溶媒プロセスの他の欠点は、得られた製品の粒子サイズが、容器の形状並びにアンチ溶媒の添加の速度および場所によって広い範囲で変動しうることである。たとえば、当該プロセスをスケールアップするとまたはプロセスの構成の変更がされると、異なった製品が得られるかもしれない。何故ならば、プロセス環境が変わってしまったからである。特に工業的規模のプロセスでは、当該アンチ溶媒プロセスの再現性および頑健性の不足は問題になりうる。
【0005】
多くの工業的用途にとって、凝固された化合物の粒子サイズは非常に重要である。というのは、それはとりわけ化合物の溶解速度および貯蔵安定性に影響を与えるからである。したがって、化合物の最終的粒子サイズを調節しようと試みることは、多くの研究テーマの課題であった。この問題は医薬製品開発の分野において特に関心の的である。粒子サイズ分布は、人が医薬的に許容できる製品を得たいときに、たとえば最終投与形態内の内容物の均一性の点でおよび固形投与形態の溶解速度の点で重要である。たとえば、低い投与量の投与形態では、粒子サイズが大き過ぎると良好な均質性を得るのは困難であるかもしれない。その上、大きい粒子サイズは医薬化合物を処理して医薬最終製品にするのを困難にしうる。たとえば、粒子サイズは、錠剤化の前になされる混合工程での分離の容易さにも影響を与える。
【0006】
同じ理由で、粒子サイズの調節可能性は重要である。たとえば、医薬化合物の粒子サイズの幅広い変動は、医薬最終製品中の医薬化合物の濃度の不十分な調節につながりうる。さらに、医薬化合物の粒子サイズの幅広い変動または大きい粒子サイズは、追加の微細化または粉砕段階を必要とするかもしれない。
【0007】
しばしば医薬化合物の粒子は、好ましくは結晶形態で調製される。このような医薬化合物が結晶形態で調製されるならば、純度、結晶サイズ分布、および結晶の多形性が非常に重要になりうる。たとえば、結晶構造の違いは、物理化学的なパラメータ、たとえば安定性、溶解速度、融点、分析データその他の違いにつながることがあり、該パラメータはしばしば多形性化合物の結晶形態によって強く影響を受ける。
【0008】
アンチ溶媒結晶化にしばしば使用される方法は、いわゆるエマルション溶媒拡散(QESD)法である。これはたとえば、J.Texter著、「Organic Particle Precipitation」(「Reactions and Synthesis in Surfactant Systems」、Marcel Dekker社、2001年刊、577〜607ページ)に記載されている。QESD法では、溶解された結晶材料を含む溶媒の小滴がアンチ溶媒中に生成される。典型的には、小滴は、従来の混合技術に周知の手法である高せん断方法を介して生成される。いったんこの小滴が形成されれば、アンチ溶媒は小滴内に拡散して、結晶の析出につながる。すなわち、溶媒およびアンチ溶媒は、それぞれ小滴から外へおよび小滴内に拡散する必要がある。形成された結晶はアンチ溶媒と溶媒(これは元の小滴の外へ拡散される。)との混合物中に分散される。必要であれば、乳化剤(または乳化剤の混合物)が、小滴の安定化を促進するためにアンチ溶媒および/または溶媒に加えられることができる。しかし、このプロセスの鍵は、アンチ溶媒溶液が連続相として存在する場所で小滴が形成されることである。これはたとえば、M.Nocentらによって「J.of Pharmaceutical Sciences」、90巻、第10号、2001年10月刊、1620ページに記載されている。QESD法では、用いられる混合エネルギーが小滴サイズを制御するので、これを微調整することによって最終的な結晶サイズの調節を達成することが試みられている。同時に、溶媒とアンチ溶媒間の物理的相互作用はたとえば、表面張力によって制御されるので、小滴サイズは該相互作用によって支配される。しかし、QESD法では乳化およびアンチ溶媒結晶化が同時に生じる事実の故に、凝固される化合物の粒子サイズ分布は制御するのが非常に困難である。
【0009】
国際特許出願公開第90/03782号は、微細に分割された固形の結晶性または非晶質の粉体の製造プロセスを記載している。当該プロセスは、固体を液状担体溶媒中に溶解して射出溶液を形成し、そしてこの溶液を圧縮液化ガスまたは超臨界ガスの雰囲気に加える段階を含み、該ガスは固体として微細化されるべきまたは細分割されるべき固体に対して本質的にアンチ溶媒または非溶媒である。
【0010】
H.Kroeberらは、「15th International Symposium on Industrial Crystallization」、第15回、イタリー国、Sorrento、2002年9月開催において、圧縮流体アンチ溶媒を用いる沈降によって微粒子を調製するプロセスを説明している。たとえば、アセトン、エタノール、およびメタノール/エタノール混合物中の酒石酸の液状溶液がノズルを経てアンチ溶媒として使用される超臨界二酸化炭素中へスプレーされる。
【0011】
F.Espitalierら著、「12th Symposium on Industrial Crystallization」、1993年9月刊、第1巻、25〜31ページは、薬物が高温度で溶媒中に溶解され、そして変動する直径の毛細管を通してより低温度で非溶媒中に導入されるプロセスを記載している。
【0012】
国際特許出願公開第00/38811号は、液状溶媒中のある物質の溶媒溶液流を超音波照射下に当該物質に対する液状アンチ溶媒流と混合することを含む、結晶粒子の調製プロセスを記載している。
【0013】
しかし、これらの従来技術のアンチ溶媒プロセスは、制御するのが悪名高いほど困難であることが知られている。より高容量へスケールアップすることおよび/または粒子サイズの頑健な制御を得ることは困難である。
【特許文献1】国際特許出願公開第90/03782号公報
【特許文献2】国際特許出願公開第00/38811号公報
【非特許文献1】J.Texter著、「Organic Particle Precipitation」(Marcel Dekker社、2001年刊、「Reactions and Synthesis in Surfactant Systems」、577〜607ページ)
【非特許文献2】M.Nocentら著、「J.of Pharmaceutical Sciences」、90巻、第10号、2001年10月刊、1620ページ
【非特許文献3】H.Kroeberら著、「15th International Symposium on Industrial Crystallization」、第15回、イタリー国、Sorrento、2002年9月刊
【非特許文献4】F.Espitalierら著、「12th Symposium on Industrial Crystallization」、1993年9月刊、第1巻、25〜31ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述の理由により、慣用の蒸発プロセスよりもエネルギー消費が少なく、そして所望の品質およびサイズの凝固された化合物を提供する、改善されたアンチ溶媒プロセスが必要である。その上、粒子サイズ分布が調節されることができる改善されたアンチ溶媒結晶化プロセスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
驚くべきことに、本発明者らは、溶解された有機または無機化合物を含む液状媒体へアンチ溶媒を配量するまたはその逆をするために膜を使用することによって、改善されたアンチ溶媒凝固プロセスが得られることを見出した。もっと特定すると、精密配量装置として膜を使用することによって、制御された凝固プロセス、好ましくは結晶化プロセスが得られて、一般に非凝集性でありおよび改善された特性(たとえば、改善された貯蔵寿命)を持つ、当該有機または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を生成する。その上、本発明に従うプロセスを用いて、好ましくはより高い製品収率が得られ、そして不合格品がより少なくなる。言い換えれば、本発明に従うアンチ溶媒凝固プロセスは、(出発の)材料および/または溶媒のより効率的な使用を含み、したがって慣用の蒸発またはアンチ溶媒プロセスと比較して、エネルギー消費量の減少が達成されることができる。さらに、本プロセスは、より高容量に容易にスケールアップされることができ、そして粒子サイズの頑健な制御を可能にする。
【0016】
エマルション技術という遠い分野での膜の使用は知られている。たとえば、R.Williamsらは、「Chemical Engineering Research and Design(Part A)」、第76巻、1998年刊、894〜901ページおよび902〜910ページで、交差流の膜を使用するエマルションの制御された製造について記載している。エマルションが、不連続相を多孔性膜を通して細分することによって製造される。その後、膜の反対側の表面上に形成された小滴は、連続相の交差流によって洗い流される。
【0017】
膜の蒸発結晶化プロセスでの使用は、E.Curcioらによって、「Ind.Eng.Chem.Res.」、2001年刊、第40巻、2679〜2684ページに記載されている。ここでは、いわゆる膜蒸留技術が蒸発結晶化プロセスと結合されている。もっと正確には、微孔性の疎水性膜が一方の側で熱い供給物と接触し、他方の側で濃縮する溶液と接触する。膜の両層で、蒸気−液体の平衡が達成されて、蒸気圧の勾配を生み出す。溶媒の蒸発は、溶液流が過飽和状態下にある膜モジュールの内側で起きるが、結晶化段階は別の槽内で実施される。
【0018】
加えて、J.Zhiquianらは、その論文、「Synthesis of Nanosized BaSO Particles with a Membrane Reactor: Effects of Operating Parameters on Particles」、Journal of Membrane Science、第209巻、2002年刊、153〜161ページ、および「Synthesis of Nanosized BaSO and CaCO Particles with a Membrane Reactor: Effects of Additives on Particles」、Journal of Colloid and Interface Science、第266巻、2003年刊、322〜327ページで、NaSO溶液を膜を通してBaCl溶液に加えることによるBaSO粒子の調製について記載している。所望の化合物は、2つの溶液の合体および反応の後にのみ形成された。さらに、第2の論文において、非常に少量の添加剤、たとえばエタノール、アセトン、および酢酸が粒子の形態(モルホロジー)に及ぼす影響が探究された。たとえば、粒子が0.1713mol l-1までのエタノールの存在下に調製された。これらの添加剤は粒子表面の段差および曲がり部に吸着することができて、粒子の成長の抑制につながることが述べられた。低濃度の故に、該添加剤は溶媒としてのあるいはアンチ溶媒としての役目をすることができない。
【0019】
したがって、本発明は、少なくとも1の溶解された有機若しくは無機化合物を含む液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出されて、または1以上のアンチ溶媒が膜を通して少なくとも1の有機若しくは無機化合物を含む液状媒体中に押出されて、当該有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を生成する、アンチ溶媒凝固プロセスを提供する。
【発明の効果】
【0020】
驚くべきことに、膜を精密配量装置として使用することによって、少なくとも1の溶解された化合物および1以上のアンチ溶媒を含む液状媒体の効率的な微混合が、達成されることができることが見出された。このようにして、慣用のアンチ溶媒凝固においては固体の制御されていない沈降および強固に凝集した粒子の生成をしばしば招く過飽和の局所的変動が、避けられることができる。したがって、この新規な凝固プロセスを使用して、凝集した固形粒子が形成されないかまたは有意により少なく形成されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に従う方法は、少なくとも1の溶解された有機若しくは無機化合物を含む液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出されて、または1以上のアンチ溶媒が膜を通して少なくとも1の溶解された有機若しくは無機化合物を含む液状媒体中に押出されて、当該有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を生成する、新規なアンチ溶媒凝固プロセスである。膜を精密配量装置として使用することによって、アンチ溶媒と、凝固されるべき化合物を含む液状媒体との効率的な微混合が達成されて、溶液、または低度に好ましくはエマルションを形成し、それから該化合物が凝固して、好ましくは結晶化して、固形粒子に、好ましくは結晶粒子になる。
【0022】
本発明のプロセスは、当該制御された混合の故に、たとえば流体力学特性、温度、および(局所的)濃度のよりよい制御の故に、はるかにより制御された凝固状態を生じる。凝固が結晶化であるときは、慣用の結晶化技術と比較して、より均一な形態、より高い純度、およびより少ない摩滅を持つ結晶粒子を含む組成物が得られることができ、それでいて本プロセスは慣用プロセスよりも融通性がある。
【0023】
本発明に従うプロセスを経て凝固されるのに適した化合物は、例として有機化合物、たとえば医薬若しくは工業化学品、または無機化合物、たとえばアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩または不均一性触媒若しくは触媒中間体若しくは触媒添加剤であることができる。好ましくは、有機または無機化合物は、遷移金属化合物、遷移金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、キレート化化合物、脂肪酸、たんぱく質、セルロース誘導体、界面活性剤、ケイ酸塩、塩素酸塩、カルボン酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、糖類、アミノ酸、および顔料からなる群から選ばれる。本発明に従う凝固プロセスは、有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を調製するのに使用されることができ、当該固形粒子は非晶質であるかあるいは結晶性である。非晶質粒子は結晶構造を持たない粒子であり(Webster’s 3rd New International Dictionary、Merriam−Webster社、1993年刊、72ページ参照)、一方、結晶粒子は、その中で個々の分子が結晶ドメイン内に規則的な配列で並んでいる固形物の沈殿である。生成されたこれらの粒子は結晶または結晶の断片から構成される。当該結晶は単一形態である、すなわちただ1つの(多)形態からなるか、または同形混合物であることができ(Webster’s 3rd New International Dictionary、Merriam−Webster社、1993年刊、72ページ参照)、すなわち1より多い(多)形態を含むことができる。後者の場合には、結晶内のいくつかの多形が非晶質領域によって分離されていることができる。好ましい実施態様では、結晶は単一形態である、すなわちそれは1の(多)形態からのみなる。
【0024】
1の好ましい実施態様では、本発明に従うアンチ溶媒プロセスを使用して凝固されることになる有機および/または無機化合物は医薬化合物である。医薬化合物とは、手術若しくは療法によって人体若しくは動物体の治療をするのに、または人体若しくは動物体へ施される診断方法に使用されることができる化合物を意味し、予防療法に使用される化合物および避妊に使用される化合物を含む。1のさらなる実施態様では、このような医薬化合物の中間体も医薬化合物とみなされる。一般に、医薬化合物は、ある特定の国で薬として販売されることができる前に、しかるべき当局の認可を必要とする。
【0025】
医薬化合物は、たとえば遊離塩基、その対応エステルとして、または医薬的に許容される塩として存在することができる。医薬的に許容される塩の例は、たとえばマレイン酸塩、塩化物若しくは臭化物塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩またはプロピオン酸塩を含む。好ましい実施態様では、医薬化合物は、ステロイドホルモン、たとえばチボロン、すなわち((7アルファ,17アルファ)−17−ヒドロキシ−7−メチル−19−ノル−プレグネ(pregn)−5(10)−エン−20−イン−3−オン、プロゲステロン、すなわち(プレグネ−4−エン−3,20−ジオン)、デソゲストレル、すなわち(17アルファ)−13−エチル−11−メチレン−18,19−ジノルプレグネ−4−エン−20−イン−17−オール)、および3−ケト−デソゲストレルまたはエトノゲストレル、すなわち((17アルファ)−17−ヒドロキシ−13−エチル−11−メチレン−18,19−ジノルプレグネ−4−エン−20−イン−3−オン)の群から選ばれる。
【0026】
好ましくは、本発明に従うプロセスによって調製される固形粒子は、少なくとも1の医薬化合物を含むが、2以上の医薬化合物または1以上の医薬化合物と医薬的に活性でない他の化合物との組み合わせを含むことができる。1の実施態様では、固形粒子はただ1つの医薬化合物の粒子から本質的になる。他の実施態様では、固形粒子は2以上の化合物の混合物を含み、そのうち好ましくは少なくとも1つが医薬化合物である。さらなる実施態様では、固形粒子は2以上の医薬化合物の混合物を含む。
【0027】
この明細書全体を通して使用されるアンチ溶媒の語は、任意の液体、超臨界組成物またはガス状組成物であって、本発明に従うプロセスに採用される液状媒体と化学構造において異なり、溶解された凝固されるべき化合物を含む当該液状媒体と1:1のモル%比で20℃において混合された後に、混合後24時間以内に、好ましくは12時間以内に、より好ましくは1時間以内に、さらにより好ましくは15分間以内に、およびもっとも好ましくは2分間以内に、溶解された化合物の少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも15重量%、およびもっとも好ましくは少なくとも25重量%が凝固するような程度まで当該化合物の溶解度を下げるものを意味する。好ましくは、アンチ溶媒は液状組成物である。
【0028】
液状組成物を使用することによってこれを達成するために、該化合物のアンチ溶媒への溶解度は好ましくは液状媒体へよりは有意に低いだろう。好ましくは、アンチ溶媒中の当該化合物の飽和溶液に溶解している化合物の量は、20℃の温度において、用いられた液状媒体中の当該化合物の飽和溶液に溶解している量よりも少なくとも10重量%低い。好ましくは、溶解した化合物の量は、用いられた液状媒体中の当該化合物の飽和溶液に溶解している量よりも少なくとも30重量%低く、もっとも好ましくは少なくとも50重量%低い。加えて、液状媒体、凝固されるべき化合物及びアンチ溶媒の混合物中のアンチ溶媒の存在は、好ましくは当該化合物の当該混合物中の溶解度を、アンチ溶媒を液状媒体へ加えた後に生じる混合物の増加した容積について補正した後でさえも、当該混合物中に溶解している凝固されるべき化合物の全量が、アンチ溶媒を加える前に液状媒体中に溶解していた当該化合物の量よりも低いような程度まで下げる。これは以下の非限定的な例、すなわち100gの化合物が1,000gの液状媒体に溶解される例を用いて例示されることができる。この溶液に、1,000gのアンチ溶媒が加えられる。アンチ溶媒と液状媒体の両方を含む得られた混合物への溶解度が、たとえば1,000gの当該混合物当り25gであれば、50gの化合物が凝固するだろう。液状媒体とアンチ溶媒との当該混合物への化合物の溶解度が1,000g当り50gであったならば、溶質は凝固しなかったであろう。というのは、液状の両媒体の全量(2,000g)は100gの化合物を溶解するのに十分であったであろうからである。
【0029】
実用的な目的には、ガス状若しくは超臨界のアンチ溶媒または好ましくは液状のアンチ溶媒は、20℃において、液状媒体中の溶媒の量に基づいて、その10mol%が凝固されるべき化合物を含む液状媒体へ加えられた後で用いられ、得られた液状混合物への当該化合物の溶解度は、20℃において、液状媒体単独中へよりも少なくとも50%低いことが注記される。
【0030】
液状媒体/アンチ溶媒混合物に溶解されることができる凝固されるべき化合物の量は、純粋な液状媒体および純粋なアンチ溶媒への溶解度を使用して予測されることができない。当業者に知られているように、これは種々の液状媒体/アンチ溶媒比を含む液状媒体/アンチ溶媒混合物を使用して、実験的に決定されることができる。これらの実験の結果は、どの液状媒体/アンチ溶媒比が最大の収率を与えるかを決定するのに使用されることができる。
【0031】
好ましくは、本発明に従うプロセスに使用されるアンチ溶媒は、環境に無害、不燃性、非爆発性、非毒性、無臭性、非腐食性、化学的に安定、取扱い易く、容易に入手できおよび/または安価である。アンチ溶媒の選択は、製品品質および全体プロセスの経済性に非常に重要である。凝固されるべき化合物−溶媒系の化学ポテンシャルを計算するための化学計算ツールであるCOSMOTHERM(商標)の使用は、改良された化学的理解の故に適当なアンチ溶媒の選択をより容易にするだろうということが見出された。好まれるアンチ溶媒は、アルコール、ケトン、カルボン酸、エステル、エーテル、アルカン、水、アミン、(食用)第4級アンモニウム塩、イオン性液体、ガス状二酸化炭素、および超臨界液体を含む。特に好まれるアンチ溶媒の例は、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ペンタン、ポリエチレングリコール、塩化コリン、EDTAの(金属)錯体を含むイオン性液体、および第二鉄−グルコン酸塩−ショ糖錯体を含む。
【0032】
本発明に従うプロセスに使用される液状媒体は、1以上のアンチ溶媒と混合された後に1相または2相系を形成することができる。しかし、好ましくは、液状媒体/アンチ溶媒混合物は1相系である。当該液状媒体は、少なくとも1の凝固されるべき有機または無機化合物および当該一または複数の化合物のための少なくとも1の溶媒を含む。液状媒体は2以上の溶媒を含むことができるが、好ましくはただ1つの溶媒を含む。このような溶媒は好ましくは、凝固されるべき化合物が少なくとも合理的な程度まで溶解する液体である。好まれる実施態様では、液状媒体中の凝固されるべき化合物の濃度は、少なくとも0.1g/l(リットル)、より好ましくは少なくとも0.2g/l、およびさらにより好ましくは少なくとも1g/lである。しかし、液状媒体中の化合物の最適濃度は、とりわけ使用されるアンチ溶媒、凝固されるべき化合物の特性、固形組成物の所望の純度、および結晶組成物の場合には結晶サイズに依存する。
【0033】
たとえば、本発明に従うプロセスに使用される液状媒体中の化合物の飽和濃度が、20℃において約0.1g/l〜約1g/lであれば、好ましくは、液状媒体中の化合物の濃度は、飽和濃度の70〜100重量%、より好ましくは95〜100重量%の範囲にある。20℃において約1g/l〜約50g/lの液状媒体への溶解度を持つ化合物では、好ましくは飽和濃度の50〜100重量%、好ましくは75〜99.8重量%、およびもっとも好ましくは90〜99重量%の範囲の濃度が使用される。20℃において約50g/l以上の溶媒への飽和濃度を持つ化合物では、液状媒体中の化合物の濃度は好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%の範囲にある。
【0034】
凝固されるべき化合物を含む液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出される実施態様では、好ましくは、凝固されるべき化合物は、膜の詰まりの危険を避けるために飽和濃度の最大でも99重量%の濃度で液状媒体中に溶解されることが注記される。
【0035】
液状媒体は、加えて慣用の補助剤、たとえば界面活性剤、結晶成長禁止剤、結晶の形態(モルホロジー)を変える添加剤、結晶の変態(すなわち、結晶格子の種類)を変えるための添加剤および/または粒子の凝集を避ける添加剤を含むことができる。
【0036】
液状媒体が、本発明に従うプロセスに使用される1以上のアンチ溶媒とともに2相系を形成するならば、好ましくはエマルションまたはエマルション様の混合物が形成され、そこでは1以上のアンチ溶媒が連続相を形成し、凝固されるべき化合物を含む液状媒体の小滴が分散相を形成する。この実施態様では、形成されたエマルションを安定化するためにアンチ溶媒および/または液状媒体に乳化剤を加えることも好まれる。この目的には、任意の慣用の乳化剤または乳化剤の混合物が使用されることができる。
【0037】
多様な溶媒(すなわち、液状媒体中の溶媒)とアンチ溶媒との組み合わせが可能である。好まれる実施態様では、溶媒とアンチ溶媒との容積比は幅広く色々であることができる。たとえば、20容積部の溶媒が1部のアンチ溶媒と組み合わされることができる。しかし、凝集の危険は、溶媒の容積部とアンチ溶媒の容積部との比を5:1〜1:20の範囲に、またはより好ましくは1:1〜1:10の範囲に選ぶことによって好都合に低減される。
【0038】
最大収率を得るために好ましく使用されるアンチ溶媒の最適量は、凝固されるべき化合物の凝固特性並びにアンチ溶媒および液状媒体へのその溶解度に依存する。しかし、それは当業者によってルーチン通りの実験によって容易に決定されることができる。
【0039】
さらに好まれる実施態様では、溶媒およびアンチ溶媒は、20℃において溶媒の飽和溶液中に溶解された化合物と20℃においてアンチ溶媒の飽和溶液中に溶解された化合物との比が3:1〜1,000,000:1の範囲に、より好ましくは50:1〜10,000:1の範囲に、およびもっとも好ましくは100:1〜1,000:1の範囲にあるように選ばれる。
【0040】
液状媒体および/または1以上のアンチ溶媒は、1以上の不活性な液状化合物を含むことができることが注記される。そのような不活性な化合物は、典型的には非溶媒と表示される。この語は、本発明に従うプロセスに使用される溶媒およびアンチ溶媒と化学組成が異なる液状媒体であって、当該液状媒体から分離しないが、液状媒体中に取り込まれた後、化合物の凝固を誘発しないものを指す。より正確には、多分非溶媒である液体1,000gが、本発明に従うプロセスに使用されるべき溶媒中の凝固されるべき化合物の溶液1,000gと混合されたときに、一緒にされた液状の両媒体中の当該化合物の飽和溶液に溶解するであろう化合物の量は、20℃において2,000gの液状媒体中の当該化合物の飽和溶液に溶解するであろう化合物の量と比較して10重量%より多くは増加も減少もしないことができて、当該液体は非溶媒と呼ばれる。液状媒体および/またはアンチ溶媒に加えられた非溶媒は、通常には担体として、たとえば希釈剤としての役割をする。非溶媒を利用することによって、流体力学特性および濃度に関する凝固条件は、さらにより精細に微調整されることができる。
【0041】
さらに、液状媒体は限定された量の1以上のアンチ溶媒を含有することができ、および/または1以上のアンチ溶媒は凝固されるべき化合物のための溶媒の限定された量を含有することができる。1以上のアンチ溶媒の液状媒体への付加混合および/または溶媒の1以上のアンチ溶媒への付加混合は、形成される粒子の粒子サイズを調節する手段として使用されることができる。より正確には、アンチ溶媒中に存在する溶媒の量が増加すると、結晶化される化合物の粒子サイズは減少するだろう。しかし、粒子の絶対的大きさは、使用される溶媒および/またはアンチ溶媒の種類に依存する。さらに、液状媒体および/またはアンチ溶媒は、様々な理由、たとえば種付けのために固形粒子を含有することができ、および微量の他の液体を様々な理由のために含有することもできる。液状媒体は超臨界状態であることもできることも注記されるべきである。
【0042】
この明細書全体を通して使用される膜の語は、直径で少なくとも0.1nmの、好ましくは少なくとも0.2nmの、より好ましくは少なくとも0.5nmの、もっとも好ましくは少なくとも1nmの平均孔サイズを持ち、および最大でも10mmの、好ましくは最大でも5mmの、より好ましくは最大でも1mmの、さらにより好ましくは最大でも50μmの、およびもっとも好ましくは最大でも25μmの平均孔サイズを持つ任意の慣用の膜を表すことができる。この明細書全体を通して使用される膜の語は、それらが0.1nm〜10mmの、より好ましくは0.2nm〜5mmの、およびもっとも好ましくは0.5nm〜50μmの直径を持つ孔を含む限り、例として他の孔の空いた物、たとえば篩、デッドエンドフィルター、または孔の空いた板を含むことも意図される。さらに、膜の語は、密な重合体膜、たとえば浸透気化膜および逆浸透膜を含む。しかし、好ましくは、ナノろ過膜(0.8nm〜9nmの孔)、限外ろ過膜(3nm〜100nmの孔)、精密ろ過膜(50nm〜3μmの孔)、および粒子ろ過膜(2μm〜50μmの孔)からなる群から選ばれる慣用の膜が利用される。
【0043】
当該膜は、任意の可能な形を持つことができる。典型的な形は、管、繊維、板、シート、渦巻き等である。好ましくは、膜は管の形を持つ。膜の孔は任意の種類の形、たとえば丸い形、四角な形、スリットの形または不規則な形を持つことができる。好ましくは、孔は多かれ少なかれ丸い形を持つ。
【0044】
当該膜は、好ましくは膜モジュールの内部に置かれる。膜モジュールの語は、液状媒体のための1以上の入口とアンチ溶媒のための1以上の入口との間に置かれた1以上の膜を含む装置を意味する。さらに、当該膜モジュールは、一緒にされた液状両媒体のための1以上の出口を含む。膜モジュール内の膜はセラミック、金属、重合体等のような材料によって強化されることができる。さらに、当該膜モジュールは、たとえば、任意的に異なる孔サイズを持っていてもよい1以上の膜の連続的な構成、または任意的に異なる孔サイズを持っていてもよい1以上の膜が互いに同心に置かれる構成を含むことができる。重要な部類の膜は無機膜、有機/無機膜、および重合体膜である。当該部類の膜は、使用される液状媒体および/またはアンチ溶媒に応じて、本発明に従うプロセスに適用されることができる。当業者は、通常の一般的知識および本明細書に開示された情報に基づいて適切な膜を選択することができる。
【0045】
上述のように、本発明に従うプロセスでは、少なくとも1の凝固されるべき化合物を含む液状媒体および1以上のアンチ溶媒の効率的な微混合を達成するために、膜は精密配量装置として使用される。この明細書全体を通して使用される微混合の語は、(分散されるべき)液状媒体が膜を通して一方の側から押し出され、一方、膜の他方の側ではもう第二の液状媒体、すなわち連続相が膜表面に沿って流れていることを意味する。そうすることによって、(分散されるべき)液状媒体は膜の他方の側で小滴を形成し、それはある瞬間に現れまたは連続相中に溶解することが意図される。液状媒体が連続相と完全に混和性であるならば、(相境界は視認できないであろうから)小滴は単に想像上の小滴であることを理解しなければならない。この想像上の小滴は、当該液状媒体から(主として)なる小滴の大きさおよび形を持つ小さい液体の容積として意図されることができる。当該小滴の大きさは、なかんずく膜の平均孔サイズおよび/または孔分布、膜の種類、連続相流の(牽引)力、圧力差、表面張力、および膜表面との接触角に依存する。混合が起きる長さの規模は、膜の孔の長さの規模と同じ桁であると推定される。これらの孔はもっとも好ましくは25μmより小さいので、混合はもっとも好ましくは非常に小さい規模で起きる。(分散されるべき)液状媒体を膜を通して滞留する液状媒体中に押し出すこと(すなわち、デッドエンド配量)も可能であることは注記される。種々の配量形態が使用されることができ、たとえば配量速度を揺動すること、膜の長手に沿って配量速度を変化すること、または(不活性な)ガスおよび液状アンチ溶媒若しくは液体を逐次的に加えることを使用することによってできる。液状媒体とアンチ溶媒との混合を改善する混合装置を使用して配量形態を変えること、たとえば液体とアンチ溶媒との間に若しくは膜の長手にわたって温度差を付与すること、および/または慣用の超音波方法を使用することは、凝固プロセスおよびそのようにして得られる固形粒子の品質を最適化するために適用されることができる技術の例である。
【0046】
特に好まれる実施態様では、液状媒体中の化合物の溶液は、膜の孔を経由してアンチ溶媒中に押出される。膜モジュールを通るアンチ溶媒の流量と液状媒体の流量との比は、好ましくは1より大きく、またはより好ましくは1.5より大きい。好まれるアンチ溶媒および液状媒体の流量は、とりわけ使用される膜の種類、膜の大きさ、液状媒体、およびアンチ溶媒に依存し、そして当業者によって容易に決定されることができる。好まれる実施態様では、結晶の形態(モルホロジー)、すなわち結晶の形は、アンチ溶媒および/または液状媒体の流れを変えることによって変えられることができる。
【0047】
アンチ溶媒が膜の孔を経由して少なくとも1の有機または無機化合物を含む液状媒体中に押出される実施態様では、膜モジュールを通る液状媒体の流量とアンチ溶媒の流量との比は、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:1〜1:5である。
【0048】
液状媒体およびアンチ溶媒は、層流状態下かあるいは乱流状態下で混合される。好ましくは、これらは、予測できおよび均一な流体力学特性の故に、層流状態下で混合される。液状媒体とアンチ溶媒との混合後、好ましくは24時間以内に、より好ましくは12時間以内に、さらにより好ましくは1時間以内に、なおさらにより好ましくは15分間以内に、有機および/または無機の化合物は凝固し始める。もっとも好ましくは、混合後2分間以内に、当該化合物は凝固し始め、これはもっとも好ましくは当該化合物は膜モジュール内で凝固するだろうということを意味する。
【0049】
1以上のアンチ溶媒が、凝固されるべき化合物を含む液状媒体と混合された後で形成される液状媒体またはエマルションの特性は、適切な膜を選択することによって影響されることができる。たとえば、混合後の媒体がエマルションであれば、分散相の狭い小滴直径分布が、配量装置として狭い孔サイズ分布を持つ膜を使用することによって得られることができる。
【0050】
凝固プロセスの間および/または後で、生成された固形粒子、好ましくは結晶粒子は、所望であれば、固体/液体(S/L)分離の任意の慣用的方法によって残りの液体から分離されることができる。好ましくは、結晶粒子は、(精密)ろ過、密度差に基づく方法、たとえば遠心分離によって、または沈降によって回収される。本発明に従うプロセスを用いて得られた結晶化化合物の狭い結晶サイズ分布および均一な粒子の形の故に、ほとんどの場合により少ないフィルターの詰まりまたは製品の損失が生じるだろう。したがって、一般に、本発明に従うアンチ溶媒結晶化プロセスでは、S/L分離は、慣用の結晶化プロセスで得られる製品のろ過に比較してより容易になるだろう。
【0051】
本発明に従うプロセスは固形粒子を含む組成物を生じ、その中で粒子はほんのわずかの凝集を示し、好ましくは本質的に凝集を示さない。さらに、本発明に従うプロセスは、従来プロセスで得られる粒子よりも滑らかな表面を持つ粒子を含む固形組成物を生じる(たとえば、図2Aおよび2B参照)。したがって、本発明は、本発明に従うプロセスで得ることができる固形粒子、好ましくは結晶粒子を含む新規な組成物も提供する。
【0052】
上述のプロセスによって得ることができる固形粒子、好ましくは結晶粒子は、好都合には高純度および、さらに、従来技術のプロセスによっては得ることができなかったような狭い粒子サイズ範囲を持つ。(d50−d10)/d50(ここで、d50、d10、およびd90は、粒子のそれぞれ、50%、10%、および90%が示された値より小さいか等しい、慣用のレーザー回折法によって決定される粒子サイズを持つことを意味すると理解されることができる。)として定義される幅は、1.4未満でさえあることができ、これは凝固プロセス、たとえば結晶化プロセスとしては例外的である。一般に、本発明に従うプロセスでは、幅は好ましくは3未満である。より好ましくは、幅は2.5未満、およびもっとも好ましくは2未満である。
【0053】
現行の結晶化プロセスの多くはバッチプロセスである。これは、結晶化およびS/Lろ過が逐次的なプロセスであることを意味する。一般に、これは、同等の製造能力において、結晶化およびS/L分離が同時に行われる連続プロセスに比較してより大きなS/L分離装置を必要とする。好都合には、本発明に従うプロセスは連続的に運転されることができる。この新しい、好ましくは連続的な結晶化プロセスでは、原則として比較的小さいS/L分離装置が使用されることができる。連続方式で運転することのさらに有利な点は、結晶化されるべき化合物を含む液状媒体と1以上のアンチ溶媒との流量比が、非常によく調節されることができることである。好ましくは、この比は形成される結晶組成物の多形構造を制御することもできる。もっとも好ましくは、本発明に従う結晶化プロセスは、生成物の乾燥の後、粉体を扱う段階、たとえば粉砕および篩分が必要でないように実施される。
【0054】
本発明に従う特に好まれる実施態様では、生成した固形粒子、好ましくは結晶粒子の回収後、用いられた液状媒体および1以上のアンチ溶媒は、分離手段、たとえばナノろ過膜を使用して分離されて、アンチ溶媒および/または液状媒体の再循環を可能にする。
【0055】
結晶組成物が生成される慣用のアンチ溶媒結晶化プロセスのスケールアップは、しばしば達成するのが困難である。何故ならば、より大きい機器の使用は、たとえば流体力学および過飽和の現象に大きな影響を持つからである。したがって、結晶化プロセスの最適化は、一般に製造現場で実施されなければならない。しかし、本発明に従うプロセスを使用することによって、小規模の実験に使用されたのと同じ膜モジュールを並列の配置で増加することによって、または1のモジュール中の膜の数を増加することによってスケールアップが得られる事実の故に、プロセスのスケールアップは比較的容易に達成されることができる。したがって、本発明に従う凝固プロセス、好ましくは結晶化プロセスは、どのような上述の問題の発生もなくスケールアップされることができる。
【0056】
したがって、この発明は、並列のアンチ溶媒凝固モジュール、または特定の実施態様では、並列のアンチ溶媒結晶化モジュールの配置も提供し、その中で各当該モジュールは1以上の、好ましくは管型または毛細管型の膜を含んでいる。好ましくは、2〜30,000の並列のアンチ溶媒凝固モジュール、より好ましくは5〜5,000の並列のアンチ溶媒凝固モジュールを含む配置が適用される。実用的な理由のため、5〜1,000のモジュールの配置が好まれる。各モジュールは、たとえば1〜30,000の膜、より好ましくは1〜15,000の膜を含むことができる。好まれる実施態様では、2以上の管型の膜が、容器の形をした凝固モジュール、好ましくは結晶化モジュール内に並列の構成に置かれる。
【0057】
上述のように、液状媒体および/または1以上のアンチ溶媒は回収されることができて、連続式の、工業的に有用なプロセスの創生を可能にする。この点から、液状媒体とともに2相系を形成するアンチ溶媒が適している。これらのアンチ溶媒は、アンチ溶媒と液状媒体との相互溶解度が低くなる値まで温度を増加または減少することによって使用済み母液から(部分的に)回収されることができ、このようにして2の液体が慣用の技術によって互いに容易に分離されることができる2相系を生成する。
【0058】
上述のように、本発明に従う凝固プロセスは1相系かあるいは2相系で実施されることができる。1相系では、液状媒体を束縛することによって化合物の溶解度を減少させるアンチ溶媒の存在の故に、液状媒体中に存在する化合物は凝固するだろう。2相系では、凝固の推進力は、液状媒体のアンチ溶媒相中への抽出によって、およびアンチ溶媒の液状媒体への溶解によって生み出される。これに加えて、温度の差が利用されることができる。たとえば、有機または無機化合物を適当な溶媒に溶解するときに、温度は増加されることができ、高められた温度の液状媒体が生じる。当該液状媒体をより低い温度のアンチ溶媒と混合することによって、より低い温度の混合物が得られることができる。このような温度の低下は、本プロセスの速度および収率の観点から好都合であることができる。本プロセスは、高められた温度のアンチ溶媒およびより低い温度の液状媒体を使用して実施されることもできる。
【0059】
本発明のさらに好まれる実施態様では、その中に化合物が存在する液状媒体へ1以上のアンチ溶媒を加えることによって、またはその逆によって得られる固形粒子が、その沈降若しくは結晶化の後、またはその凝固と同時にカプセル化される。より少ない程度に好まれるけれども、アンチ溶媒を液状媒体へ加えた後、またはその逆の後、エマルションが形成されるならば、液状の核材料および凝固されるべきであった化合物を含む固形の殻材料を含有するカプセルが生成される。
【0060】
カプセル化は、液状の核材料および粒子に堅さをもたらす殻材料を典型的に含有するカプセルを生成するためにしばしば使用される技術である。しかし、これらの技術は、本発明に従うプロセスを経由して予め成形された粒子をカプセル化するのに使用されることもできる。カプセル化は、カプセル化された化合物の、たとえば色、形、容積、見掛け密度、反応性、耐久性、感圧性、感熱性、および感光性を変えることができる。カプセル化された粒子は多くの有用な機能を持ち、そしてカプセルの中身が、制御された条件下に周囲の環境に放出されなければならない用途としばしば関係付けられる多くの異なった分野で使用されてきた。凝固される化合物をカプセル化することによって、たとえば揮発性化合物の貯蔵寿命を増加することが可能である。さらに、カプセル化されたコンパウンドの核材料は、紫外線、湿分、および酸素の影響から保護されることができる。2の活性種間の化学反応は、カプセル化による物理的分離によって防がれることができ、そして最後に、微細に分割された粉体はカプセル化されることができて、凝集問題を低減する。カプセル化に使用される殻材料は、好ましくは合成的性質のもの、たとえば重合体物質であるが、ゼラチンおよびアルギン酸塩のような材料も使用されることができる。当該材料および同様にカプセル化の方法は、カプセル化されるべき化合物の物理的特性および意図された用途に基づいて、当業者によって容易に選択されることができる。
【0061】
さらに、本発明に従うプロセスは、粒子自体をコーティングするのに使用されることができる。これらは、本発明に従って調製された粒子、またはある他の慣用の方法で調製された粒子であることができる。
【0062】
したがって、本発明は、固形粒子の固形組成物が調製される上述のプロセスも提供し、当該組成物中で少なくとも粒子の一部が、溶解された有機または無機コーティング材料を含む液状媒体を膜を通して当該コーティング材料に対する1以上のアンチ溶媒中のコーティングされるべき粒子の懸濁液中に押出すことによって、1以上の有機または無機コーティング材料の1以上の固形コーティングでコーティングされた核からなる。
【0063】
好まれる実施態様では、コーティングされるべき粒子およびコーティングされた粒子の両方が本発明に従うプロセスによって調製される。このようにして、1つだけのコーティングまたは2以上のコーティングが付与されることができる。
【0064】
当該プロセスでは、
a)少なくとも1の溶解された有機または無機化合物を含む第1の液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出されて、または1以上のアンチ溶媒が膜を通して少なくとも1の有機または無機化合物を含む液状媒体中に押出されて、当該有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物が生成する。
b)その後、さらなる段階で、調製された固形粒子の少なくとも一部が、その中にコーティング材料が溶解している第2の液状媒体を膜を通して、当該コーティング材料に対するアンチ溶媒中の当該固形粒子の懸濁液中に押出すことによって、コーティング材料の1以上の固形コーティングでコーティングされて、コーティングされた固形粒子を含む組成物が生成する。
【0065】
当該プロセスは、1以上の膜モジュールの連続的な構成、または1の膜モジュール内に1以上の膜が互いに同心に置かれる構成によって好都合に実施されることができる。膜モジュールの連続的な構成では、粒子の核が第1の膜モジュール中で調製されることができて、固形粒子を生成し、それが後続の、たとえば第2の膜モジュール中でコーティングされることができる。前の膜モジュールによって生成された粒子は、スラリーまたは懸濁液として生成されることができ、それは次の膜モジュールに直接送られることができる。しかし、好まれる実施態様では、前の膜モジュールから得られた固形粒子は、液状混合物から分離され、そして次の膜モジュール中に供給される前に任意的に精製されてもよい。
【0066】
さらなる実施態様では、少なくとも核または1以上のコーティングは医薬化合物を含む。さらに好まれる実施態様では、核は第1の医薬化合物を含み、一方、少なくとも1のコーティングは第2の異なった医薬化合物を含む。
【0067】
コーティング材料は、任意の所望の種類のコーティング材料であることができ、たとえば重合体材料、抗真菌性防腐剤、抗菌性防腐剤、酸化防止剤、乳化剤、芳香剤、甘味料、界面活性剤または他の活性化合物を含む。コーティングに適した材料の例は、これらに限定されないが、ゼラチン、ペクチン、ポリエチレングリコール、アルギン酸塩、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンオキシド共重合体、トロメタモール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース(たとえば、メトセル)、エチルセルロースゼラチン(たとえば、エトセル)、酢酸フタル酸セルロース、シェラック、アスパルテーム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキトルエン、次亜リン酸、アスコルビン酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、無水亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸、没食子酸プロピル、モノチオグリセロール、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンおよび/またはモノパルミテートを含む。
【0068】
本発明に従う他の実施態様では、既に形成された固形粒子の後処理として表面特性を変性することによって、粒子をカプセル化することもできる(またはそれをコーティングと定義することもできよう)。粒子表面の(たとえば化学反応による)変性は、新規に加えられた機能性を持つ核材料を生成することができる。人は、たとえば表面の酸化を想起することができよう。このようにして、硬度、溶解度、および形のような特性が意のままに変えられ、微調整されることができる。
【0069】
1の特別の実施態様では、核および1以上のコーティング材料の両方が医薬的に活性な化合物であり、たとえば十分に限定された比で2の医薬的に活性な化合物を含む粒子を調製する。当該粒子は全体にまたは部分的に結晶性でありうる。
【0070】
さらなる実施態様では、医薬的に活性な化合物の徐放性を持つ製品に使用される粒子が調製される。
【0071】
コーティング材料に対するアンチ溶媒とは別に、懸濁物は前述の1以上の非溶媒を含むこともできる。
【0072】
前述の組成物および/または前述のプロセスは、その中に活性成分が有利には均質な態様で分布している薬物投与形態を調製するのに好都合に使用されることができる。したがって、本発明は上述の組成物を含む薬物投与形態も提供する。粒子サイズの小さい幅およびわずかな変動の故に、組成物はさらに、吸入用医薬製品の調製に使用するのに特に有利である。したがって、1の特別の実施態様では、当該薬物投与形態は吸入用製品である。他の実施態様では、当該薬物投与形態は錠剤である。
【0073】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって詳細に説明される。
【実施例1】
【0074】
結晶性NaCl組成物の製造
【0075】
以下の手順が、本発明に従うアンチ溶媒結晶化プロセスを使用する塩化ナトリウム結晶の製造に適用された。すべての実験は環境条件で実施された。得られた結晶は、SEM(走査型電子顕微鏡)およびデータ分析用のFraunhofer社のモデルの付いたMalvern Instruments社のMastersizer 2000装置を使用するレーザー回折によるCSD(結晶サイズ分布)測定によって分析された。
【0076】
25重量%の塩化ナトリウム溶液が室温で調製された。純エタノールがアンチ溶媒として使用された。当該塩溶液は、管型膜の外側からこの膜の内側のアンチ溶媒(エタノール)中へと配量された。当該膜は、1.1μmの孔サイズを持ちおよび10mmの内直径を持つ疎水性の管型SPG(商標)膜、UP11023型であった。ギアポンプが速度を調節するのに使用された。アンチ溶媒の速度は50リットル/時に設定され、および塩溶液の流量は60リットル/時に設定された。
【0077】
このようにして得られた結晶はろ過を使用して集められ、100%エタノールで洗われ、そしてその後炉内で乾燥された。図1は得られた結晶のSEM写真を示す。CSD測定は、40μmの平均結晶サイズd50および1.5の幅を示した。
【0078】
膜内に付加的なマクロ混合を与えるために、(長さ25.5cmおよび直径3mmであり、棒上にそれぞれ長さ15mmおよび幅2mmを持つ8枚の羽根を持つ)単純な撹拌棒が、疎水性の管型SPG(商標)膜、UP11023型(供給者:日本国、SPGテクノロジー社)の内側に取り付けられた追加実験が実施された。撹拌機の回転速度は630rpmに設定された。再び、25重量%の塩溶液が使用され、およびエタノールがアンチ溶媒として使用された。塩溶液は、上述の膜を使用してアンチ溶媒に配量された。塩溶液の流量は40リットル/時に、およびエタノールの流量は50リットル/時に設定された。得られた結晶はろ過を使用して集められ、そして100%エタノールで洗われた。当該結晶は1.2の幅を持っていた。
【実施例2】
【0079】
結晶性3−ケトデソゲストレル組成物の製造
【0080】
以下の手順が、本発明のアンチ溶媒結晶化を使用して3−ケトデソゲストレルの製造に適用された。すべての実験は環境条件で実施された。得られた結晶は、慣用のレーザー回折法によって測定されるCSD測定を使用して分析された。
【0081】
5リットルのエタノール中97gの3−ケトデソゲストレルの3−ケトデソゲストレル溶液が調製された。水がアンチ溶媒として使用された。配量のために、1μmの平均孔サイズを持つMicrodyn(商標)SE020TP1N型の膜が使用された。3−ケトデソゲストレル溶液が膜の外側から膜の内側のアンチ溶媒へ配量された。アンチ溶媒の速度は45リットル/時に設定された。3−ケトデソゲストレル流の速度は0.41リットル/時に設定された。再び、ギアポンプが速度を調節するために使用された。このようにして得られた結晶はろ過を使用して集められ、100%エタノールで洗われ、そしてその後炉内で乾燥された。図2Aは得られた結晶のSEM写真を示す。データ分析用のFraunhofer社のモデルの付いたMalvern Instruments社のMastersizer 2000装置を使用するレーザー回折によるCSD測定は、3μmのd10値、d50=10μm、およびd90=20μmを示した。幅は1.7であると決定された。ここで、d50、d10、およびd90は、それぞれ、50%、10%、および90%の粒子が示された値よりも小さいかまたは等しい粒子サイズを持つことを意味すると理解されることができる。
【0082】
上述の実験は、液状媒体流およびアンチ溶媒流について種々の流量を使用して、それらが粒子サイズ分布へ与える影響を調べるために繰り返された。
【0083】
表1は、使用された種々の流量および得られたCSD値をまとめる。
【表1】

【実施例3】
【0084】
比較例3
【0085】
10kgの3−ケトデソゲストレルが200リットルのエタノールに溶解された。この混合物は400gの活性炭で処理され、そしてその後ろ過された。ろ液は、90℃まで加熱することによって80リットルの容積まで減少された。105リットルの水が環境温度で溶液に加えられ、そして混合物はその後0℃まで冷却された。混合物は0〜2℃で2時間撹拌された。得られた結晶はろ別され、そしてその後真空中で最大50℃の温度で、0.4%未満の水含有量に達するまで乾燥された。得られた結晶はノズルの装備された20cmの自己発生渦流ジェットミル中で毎時15kgの速度で微粉砕された。配量圧力は3バールであり、粉砕圧力は7バールであった。
【0086】
図2Bは得られた結晶のSEM写真を示す。
【0087】
図2Aを図2Bと比較することから、本発明に従うプロセスによって得られる粒子は、慣用のプロセスに従って得られる粒子よりも滑らかな表面および有意に小さい幅を持つことが観察されることができる。
【実施例4】
【0088】
結晶性プロゲステロン組成物の製造
【0089】
以下の手順が、プロゲステロンの製造に適用された。すべての実験は環境条件で実施された。得られた結晶は、データ分析用のFraunhofer社のモデルの付いたMalvern Instruments社のMastersizer 2000装置を使用するレーザー回折によるCSD測定によって分析された。
【0090】
1リットルのエタノール当たり50gのプロゲステロンのプロゲステロン溶液が調製された。種々の組成の水/エタノール混合物(表2参照)がアンチ溶媒として使用された。配量のために、1μmの平均孔サイズを持つMicrodyn(商標)SE020TP1N型の膜が使用された。プロゲステロン溶液が膜の外側から膜の内側のアンチ溶媒へ配量された。ギアポンプが流速を調節するために使用された。アンチ溶媒の速度は45リットル/時に設定され、およびプロゲステロン溶液の速度は12リットル/時に設定された。このようにして得られた結晶はろ過を使用して集められ、100%エタノールで洗われ、そしてその後炉内で乾燥された。
【0091】
表2は、使用された種々のアンチ溶媒組成物および得られたCSDの結果をまとめる。当該表から見出すことができるように、すべての場合に驚くほど小さい幅を持つ結晶性プロゲステロン粒子が得られた。
【表2】

【実施例5】
【0092】
結晶性チボロン組成物の製造

【0093】
さらなる実施例として、チボロン(上の構造参照)が、34mgのチボロンが1kgのエタノールに溶解されるプロセスによって結晶化された。アンチ溶媒として90重量%の水および10重量%のエタノールの混合物が使用された。チボロン−エタノール溶液が、1.1μmの孔サイズを持ちおよび10mmの内直径を持つ管型の疎水性SPG(商標)膜、UP11023型(供給者:日本国、SPGテクノロジー社)を通してアンチ溶媒中に圧入された。チボロン溶液の流量は65リットル/時であり、一方、アンチ溶媒の流量は15リットル/時であった。d50=18.2μm、d10=3.8μm、およびd90=51.3μmを持つ結晶粒子が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施例1に記載された手順に従って得られた塩化ナトリウム結晶のSEM写真。
【図2A】実施例2に記載された手順に従って得られた3−ケトデソゲストレル結晶のSEM写真。
【図2B】比較例3に記載された手順に従って得られた3−ケトデソゲストレル結晶のSEM写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の有機若しくは無機化合物を含む固形組成物を調製するためのアンチ溶媒凝固プロセスにおいて、少なくとも1の溶解された有機若しくは無機化合物を含む液状媒体が膜を通して1以上のアンチ溶媒中に押出されて、または1以上のアンチ溶媒が膜を通して少なくとも1の有機若しくは無機化合物を含む液状媒体中に押出されて、当該有機および/または無機化合物を含む固形粒子を含む組成物を生成する方法。
【請求項2】
凝固が結晶化であり、調製された固形粒子が結晶粒子であり、有機または無機化合物が結晶化可能な化合物であり、および任意的に、当該結晶粒子が本プロセスから回収されてもよい、請求項1に従うプロセス。
【請求項3】
プロセスが連続プロセスとして実施される、請求項1〜2のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項4】
液状媒体が1以上のアンチ溶媒からナノろ過によって分離され、および任意的に、液状媒体および/またはアンチ溶媒が再循環されてもよい、請求項1〜3のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項5】
当該粒子を含む当該組成物が得られる前に、エマルションが形成される、請求項1〜4のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項6】
非溶媒が、液状媒体中におよび/または1以上のアンチ溶媒中に存在する、請求項1〜5のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項7】
有機または無機化合物が、遷移金属化合物、遷移金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、脂肪酸、たんぱく質、糖類、アミノ酸、および顔料からなる群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項8】
固形粒子が、ただ1つの無機または有機化合物の粒子から本質的になる、請求項1〜7のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項9】
無機または有機化合物が医薬化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項10】
医薬化合物が、チボロン、プロゲステロン、デソゲストレル、および3−ケト−デソゲストレル(エトノゲストレル)からなる群から選ばれる、請求項9に従うプロセス。
【請求項11】
固形組成物が、2以上の医薬化合物の混合物を含む、請求項1〜8のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項12】
固形粒子を含む組成物が調製され、当該組成物の中で粒子の少なくとも一部が、溶解された有機または無機コーティング材料を含む液状媒体を膜を通して、当該コーティング材料に対する1以上のアンチ溶媒中のコーティングされるべき粒子の懸濁液中に押出すことによって、1以上の有機または無機コーティング材料の1以上の固形コーティングでコーティングされた核からなる、請求項1〜4のいずれか1項に従うプロセス。
【請求項13】
調製された固形組成物が、医薬化合物を含む少なくとも1のコーティング材料でコーティングされた医薬化合物を含む核を持つ粒子を含む、請求項12に従うプロセス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に従うプロセスによって得ることができる組成物。
【請求項15】
結晶化段階直後の粒子サイズ分布の幅が、好ましくは3未満、より好ましくは2未満である、請求項2に従うプロセスによって得ることができる結晶粒子。
【請求項16】
チボロン、プロゲステロン、デソゲストレル、および3−ケト−デソゲストレル(エトノゲストレル)からなる群から好ましくは選ばれる少なくとも1の医薬化合物を含む、請求項15に従う結晶粒子。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項に従う結晶粒子を含む投与形態の薬物。
【請求項18】
投与形態が錠剤である、請求項17に従う投与形態の薬物。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか1項に従うプロセスまたは請求項14〜16のいずれか1項に従う結晶粒子を、投与形態の薬物の調製に使用する方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−524565(P2006−524565A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505309(P2006−505309)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004506
【国際公開番号】WO2004/096405
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】