説明

アンテナ、管理用棚、および、管理システム

【課題】リーダ/ライタによるシート状アンテナを介したICタグの読み取り性能を、向上することが可能な管理システムを提供する。
【解決手段】管理システム1000は、アンテナを有するICタグが付された書籍類を管理するための管理システムであって、書籍類またはケース3が並べられる、管理用棚と、管理用棚に配置されるシート状アンテナ200と、シート状アンテナの表面上に、シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置され、ICタグとシート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板500と、書籍類のICタグのアンテナおよびシート状アンテナを介して、書籍類のICタグと通信するリーダ/ライタ320と、ICタグとリーダ/ライタとの通信により得られた情報に基づいて、光ディスクを管理する管理装置310と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、CD、DVD、BD、本、雑誌等の書籍類の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管理に必要な情報を記憶しているICタグを光記録媒体に貼り付け、該ICタグとリーダ/ライタとを通信することにより、該光記録媒体を管理するシステムがある。
【0003】
例えば、光記録媒体を収納する光記録媒体用ケースを配置する管理用棚の背面、または、底面に、リーダ/ライタ用のシート状アンテナ(例えば、特許文献1参照)を配置する場合がある。この場合、光記録媒体に貼り付けられたUHF帯用のICタグ(例えば、特許文献2参照)は、その偏波方向の指向性の影響により、該リーダ/ライタは十分な読み取り性能を発揮することができない問題がある。
【0004】
すなわち、上記従来技術では、複数の光記録媒体に付されたICタグを適切に読み取ることができず、光記録媒体に対する所定の管理が実施できない。
【特許文献1】特開2010-114696号公報
【特許文献2】特開2006−14968号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ICタグの読み取り性能を向上することが可能なアンテナ、管理用棚、および、管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る管理システムは、
ICタグが付された書籍類を管理するための管理システムであって、
前記書籍類または前記ケースが並べられる、管理用棚と、
前記管理用棚に配置されるシート状アンテナと、
前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板と、
前記書籍類のICタグおよび前記シート状アンテナを介して、前記書籍類のICタグと通信するリーダ/ライタと、
前記ICタグと前記リーダ/ライタとの通信により得られた情報に基づいて、前記光ディスクを管理する管理装置と、を備える
ことを特徴とする。
【0007】
また、上記管理システムにおいて、
前記書籍類、または、前記書籍類を収納するケースに、設けられたブーストアンテナをさらに備えていてもよい。
【0008】
また、上記管理システムにおいて、
前記反射板の長さは、前記シート状アンテナが送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1に設定されてもよい。
【0009】
また、上記管理システムにおいて、
前記反射板は、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置される平板状の導体を有してもよい。
【0010】
また、上記管理システムにおいて、
前記反射板は、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置されるメッシュ状の導体を有してもよい。
【0011】
また、上記管理システムにおいて、
前記反射板は、前記管理用棚上で、前記シート状アンテナの表面に対して平行に移動可能であってもよい。
【0012】
また、上記管理システムにおいて、
前記書籍類は、書籍、新聞、雑誌、CD、DVD、BD、ビデオテープ、オーディオテープの何れかであってもよい。
【0013】
また、上記管理システムにおいて、
前記ICタグのアンテナは、ダイポール型のアンテナであってもよい。
【0014】
また、上記管理システムにおいて、
前記ブーストアンテナが前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射するようにしてもよい。
【0015】
また、上記管理システムにおいて、
前記ICタグは、前記書籍類の表面に付されていてもよい。
【0016】
また、上記管理システムにおいて、
前記書籍類は、円形の形状を有する光ディスクであり、
前記複数のバーアンテナの交点は、前記ケースに収納される光ディスクの略中心に設けられた前記ICタグのダイポール型のアンテナの中心を通る、前記光ディスクの表面の垂線上に位置してもよい。
【0017】
また、上記管理システムにおいて、
前記ケースは、
前記書籍類である光ディスクを収納するためのケース本体と、
前記ケース本体に収納された前記光ディスクの表面と略平行になるように、前記ケース本体に設けられた前記ブーストアンテナと、を有し、
前記ブーストアンテナは、
前記ケース本体に収納された前記光ディスクの中心を通る直線上で交差する、複数のバーアンテナを含んでいてもよい。
【0018】
また、上記管理システムにおいて、
前記複数のバーアンテナは、帯状の導体から成ってもよい。また、上記管理システムにおいて、
前記ブーストアンテナは、ダイポール形状を有してもよい。
【0019】
また、上記管理システムにおいて、
前記バーアンテナの長さは、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1であってもよい。
【0020】
また、上記管理システムにおいて、
前記ICタグのダイポール型のアンテナの偏波方向は、前記光ディスクの前記表面と略平行であってもよい。
【0021】
本発明の一態様に係るアンテナは、
アンテナを有するICタグが付された書籍類、または、前記書籍類を収納するケースが並べられる管理用棚に、配置されるシート状アンテナと、
前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板と、を備える
ことを特徴とする。
【0022】
また、上記アンテナにおいて、
前記書籍類または前記ケースにブーストアンテナが設けられてもよい。
【0023】
本発明の一態様に係る管理用棚は、
アンテナを有するICタグが付された書籍類を並べるための管理用棚であって、
シート状アンテナが底面または背面に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板が、前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置されている
ことを特徴とする。
【0024】
また、上記管理用棚において、
リーダ/ライタが、前記書籍類のICタグのアンテナおよび前記シート状アンテナを介して、前記書籍類のICタグと通信し、
管理装置が、前記ICタグと前記リーダ/ライタとの通信により得られた情報に基づいて、前記光ディスクを管理するようになってもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るアンテナ、管理用棚、および、管理システムは、ICタグの読み取り性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一態様である実施例1に係るICタグ100が付された光ディスク(光記録媒体)1の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す光ディスク1を収納した状態の実施例1に係る光記録媒体用ケースの構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示すシート状アンテナ200、反射板500、リーダ/ライタ320、および、管理装置310を含む管理システム1000の一例を示す図である。
【図5】図3は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の例を示す図である。
【図7】図7は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明による管理システムの実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0028】
なお、以下では、「書籍類」とは、書籍のみならず、新聞、雑誌、資料、書類、その他の紙製媒体や、このような紙製媒体をバインダ等により綴じ込むことによって作成された書類綴じ込みファイルや、CD、DVD、BD等の光記録媒体や、ビデオテープ、オーディオテープ等の磁気記録媒体も含んでいる。
【実施例1】
【0029】
この実施例1では、一例として、上述の書籍類のうち、光記録媒体である光ディスク(DVD)に本発明を適用した場合について説明するが、他の上述の書籍類に関しても同様に説明される。
【0030】
図1は、本発明の一態様である実施例1に係るICタグ100が付された光ディスク(光記録媒体)1の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示す光ディスク1を収納した状態の実施例1に係る光記録媒体用ケースの構成の一例を示す図である。
【0031】
図1に示すように、既述の書籍類の1つである光ディスク1は、円形の形状を有し、その中央に光ディスク1のプレーヤ(図示せず)の支持部に係合するための穴1aが形成されている。この光ディスク1は、例えば、CD、DVD、BD等の光記録媒体である。
【0032】
また、この光ディスク1の表面には、この光ディスク1を管理するためのICタグ100が設けられている。
【0033】
また、図1に示すように、ICタグ100は、例えば、インレットを構成する、ICチップ100aと、ダイポール型のアンテナ100bと、を備える。
【0034】
ICチップ100aは、情報を記憶するためのメモリ部(図示せず)と、該メモリ部への情報の記憶動作、該メモリ部からの情報の読み出し動作、および、無線通信動作を制御する制御部(図示せず)を有する。
【0035】
ダイポール型のアンテナ100bは、例えば、ループ状の形状を有するループ部100b−1と、光ディスク1の表面上に延在する延在部100b−2とを含む。なお、図1の例では、延在部100bは、矩形波状に光ディスク1の表面上に延在している。
【0036】
したがって、ICタグ100のダイポール型のアンテナ100bの偏波方向は、光ディスク1の表面と略平行である。
【0037】
また、該インレットは、例えば、両面テープ(図示せず)により光ディスク1の表面に貼り付けられている。
【0038】
また、該インレットは、光ディスク1に対向しない面(上面)に、ラベル表紙(図示せず)が、例えば、アクリル系の粘着剤により、貼り付けられている。
【0039】
ここで、図2に示すように、光記録媒体用ケース3は、ダイポール型のアンテナ100bを有するICタグ100が表面に付された光ディスク1を収納するようになっている。
【0040】
この光記録媒体用ケース3は、例えば、光ディスク1の穴1aに係合する支持部(図示せず)を、穴1aに係合させることにより、光ディスク1を内部で支持するようになっている。
【0041】
この光記録媒体用ケース3は、ケース本体31と、ブーストアンテナ2と、を備える。
【0042】
ケース本体31は、光ディスク1を収納するようになっている。このケース本体31は、例えば、略直方体の形状を有する。
【0043】
ブーストアンテナ2は、ケース本体31に収納された光ディスク1の表面と略平行になるように、ケース本体31に設けられている。すなわち、ブーストアンテナ2は、ケース本体31の1つの面に設けられている。
【0044】
なお、ブーストアンテナ2は、ケース本体31の内面に設けられていても、また、ケース本体31の外面に設けられていてもよい。
【0045】
また、ブーストアンテナ2が紙(歌詞カード)等の基材に設けられ、この基材をケース本体31に添付されることにより、ブーストアンテナ2がケース本体31に設けられてもよい。
【0046】
このブーストアンテナ2は、例えば、ダイポール形状を有する。
【0047】
このブーストアンテナ2は、導体で構成される。すなわち、このブーストアンテナ2は、例えば、Al、Ag等の金属箔で構成される。
【0048】
このブーストアンテナ2は、例えば、ケース本体31に収納された光ディスク1の中心(光ディスク1を支持する支持部(図示せず))を通る直線上で交差する、複数のバーアンテナ2a、2bを含む。バーアンテナ2aとバーアンテナ2bとは、例えば、それぞれの重心で、交差している。
【0049】
特に、図2に示す例では、2つのバーアンテナ2a、2bは、例えば、ケース本体31に収納された光ディスク1の中心を通る直線上で、直交するように配置されている。
【0050】
すなわち、複数のバーアンテナ2a、2bの交点は、光記録媒体用ケース3に収納される光ディスク1の略中心に設けられたICタグ100のダイポール型のアンテナ100bの中心を通る、光ディスク1の表面の垂線上に位置する。
【0051】
また、ブーストアンテナ2は、光記録媒体用ケース3に収納される光ディスク1の表面と略平行になるように、ケース本体31上に伸びて配置されている。
【0052】
また、直交する2つのバーアンテナ2a、2bの一方(2a)は、ケース本体31の1つの角に向かって延在し、直交する2つのバーアンテナの他方(2b)は、ケース本体31の他の角に向かって延在している。
【0053】
この複数のバーアンテナ2a、2bは、帯状の導体から成る。このブーストアンテナ2は、帯状の導電材料テープから、貼付、転写、エッチング、印刷、または、接着により、光記録媒体用ケース3に、所定の長さおよび形状で形成される。
【0054】
また、バーアンテナ2a、2bの長さは、例えば、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1である。例えば、UHF帯(900MHz程度)での使用を想定した場合、ブーストアンテナ2を構成するバーアンテナ2a、2bの長手方向の長さは15cm程度となる。また、このバーアンテナの幅方向の幅は、例えば、5mm程度である。このバーアンテナの厚さは、例えば、9μm〜50μmである。
【0055】
このブーストアンテナ2とICタグ100のダイポール型のアンテナ100bとの間は、例えば、電磁結合、電磁誘導、静電結合の1つ、又は組み合わせにより非接触で電気信号を伝達することがきるようになっている。
【0056】
ここで、既述のICタグ100のICチップ100aは、ダイポール型のアンテナ100b、ブーストアンテナ2、および、シート状アンテナ200を介して、リーダ/ライタ(質問器(Interrogator))へ情報を読み出し、または、該質問器からシート状アンテナ200、ダイポール型のアンテナ100b、および、ブーストアンテナ2を介して入力された情報を記憶する。
【0057】
また、ICタグ100は、ダイポール型のアンテナ100bとブーストアンテナ2との相対的な位置関係に応じて、シート状アンテナ200との交信距離が異なるようになっている。
【0058】
このICタグ100は、リーダ/ライタ320(シート状アンテナ200)との交信周波数が、例えば、800MHzから10GHzの範囲である。
【0059】
また、ICタグ100は、ダイポール型のアンテナ100bに接続されるICチップ100aのインピーダンスと、ブーストアンテナ2のインピーダンスとを整合することにより、受信電力を向上することができる。
【0060】
なお、図2の例では、光記録媒体用ケース3のケース本体31に直接光ディスク1が収納される例を示しているが、ケース本体31は、光ディスク1を収納した中箱(図示せず)を収納することにより、光ディスク1をケース本体31内に収納するようにしてもよい。
【0061】
次に、以上のような構成を有する光記録媒体用ケース3に収納された光ディスク1を管理するための管理システムの例について説明する。
【0062】
ここで、図3は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の一例を示す図である。また、図4は、図3に示すシート状アンテナ200、反射板500、リーダ/ライタ320、および、管理装置310を含む管理システム1000の一例を示す図である。
【0063】
図3に示すように、管理用棚400は、底面4上に、複数の光記録媒体用ケース3が並んで配置されるようになっている。そして、管理用棚400の底面4に、シート状アンテナ200が配置されている。なお、この管理用棚400の底面4および背面5は、導体で構成されている。
【0064】
なお、後述のように、ICタグ100の偏波方向に指向性があるので、シート状アンテナ200の表面と光記録媒体用ケース3(光ディスク1)の表面(すなわち、ブーストアンテナ2の延伸方向)とは、直交するように配置されるのが好ましい。
【0065】
また、反射板500は、例えば、平板状の形状を有する。図3、4の例では、この反射板500は、略直方体の形状を有する。この反射板500の表面の大きさは、例えば、ICタグ100の表面の大きさよりも大きくなるように設定される。さらに、例えば、反射板500の表面の大きさは、光記録媒体用ケース1が配置されるシート状アンテナ200の表面に垂直な方向の管理用棚400の断面と、同程度の大きさを有するようにしてもよい。
【0066】
この反射板500は、例えば、シート状アンテナ200の表面に対して略垂直に配置される平板状のAl、Ag等の金属(導体)を含む。なお、この反射板500は、シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置されるメッシュ状のAl、Ag等の金属(導体)を含むようにしてもよい。
【0067】
この反射板500は、ICタグ100とシート状アンテナ200との交信で使用される、例えば、UHF帯(900MHz程度)の電磁波を、反射するようになっている。なお、光記録媒体用ケース3のブーストアンテナ2がICタグ100とシート状アンテナ200との交信で使用される、例えば、UHF帯(900MHz程度)の電磁波を、反射するようになっていてもよい。
【0068】
さらに、この反射板500の長さは、例えば、シート状アンテナ200が送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1に設定される。例えば、UHF帯(900MHz程度)での使用を想定した場合、反射板500の長手方向の長さは15cm程度となる。
【0069】
また、この反射板500の表面(電磁波を反射する表面)は、管理用棚400に配置されたシート状アンテナ200の表面(電磁波を送受信する表面)に対して、略垂直(好ましくは、垂直)になるように、管理用棚400の底面上に配置される。
【0070】
なお、図3の例では、反射板500は、管理用棚400の底面4上に並べられた複数の光記録媒体用ケース1の間に、配置されているが、管理用棚400の底面4上に並べられた複数の光記録媒体用ケース1の両脇に、配置するようにしてもよい。
【0071】
なお、図3に例では、反射板500がその表面全体に金属が配置された構成を有するが、例えば、反射板500は、紙等の板状の基材にメッシュ形状の金属膜やバー状の金属膜等の導体を配置して構成するようにしてもよい。この場合においても、反射板500は、その表面で、ICタグ100とシート状アンテナ200との交信で使用される、例えば、UHF帯(900MHz程度)の電磁波を、反射する。
【0072】
また、図4に示すように、光ディスク1を管理するための管理システム1000は、複数の光記録媒体用ケース3と、シート状アンテナ200と、管理装置310、リーダ/ライタ320と、同軸ケーブル330と、配線340と、反射板500と、を備える。
【0073】
シート状アンテナ200は、光記録媒体用ケース3が並べられる管理用棚400(図3)に配置される。このシート状アンテナ200と反射板500とにより、1つのアンテナが構成される。
【0074】
リーダ/ライタ320は、ブーストアンテナ2、ダイポール型のアンテナ100b、および、シート状アンテナ200を介して、光ディスク1のICタグ100と通信するようになっている。
【0075】
管理装置310は、光ディスク1のICタグ100とリーダ/ライタ320との通信により得られた情報に基づいて、光ディスク1を管理するようになっている。
【0076】
また、図4に示すように、シート状アンテナ200は、薄い平板状の誘電体層250を、メッシュ状の導電体層230と平板状の導電体層240とで挟む構造を有する。また、メッシュ状の導電体層230のメッシュ周期と、誘電体層250の厚さと、は、シート状アンテナ200を伝搬する波長よりも小さいものとする。
【0077】
また、メッシュ状の導電体層230は、例えば、メッシュ周期が7mmのメッシュ状の導体の構造を有し、一辺が6mmの正方形の開口部分を有する。このような形状では、メッシュ状の導電体層230の表面から一定の高さまで(シート状アンテナ200の表面から一定の高さまで)、電磁場が染み出すようになる。
【0078】
この電磁場が染み出す領域を浸出領域という。この浸出領域の高さは、メッシュのパターン形状とシート状アンテナ200の誘電体層250の厚さと誘電率によって決まる。
【0079】
例えば、メッシュの線間隔がIm、メッシュの線幅がWmの正方形のメッシュ構造を有するメッシュ状の導電体層230においては、メッシュ周期は(Wm+Im)となる。
【0080】
また、シート状アンテナ200において、メッシュ状の導電体層230のメッシュ周期は、伝搬する電磁波の波長より十分短いものとし、例えば、伝搬する電磁波の0.2倍以下である。
【0081】
また、誘電体層250の厚さは、伝搬する電磁波の波長よりも十分短いものとし、例えば、誘電体層250の厚さは、波長の0.04倍以下である。
【0082】
このように、メッシュ状の導電体層230のメッシュ周期と誘電体層250の厚さとが、シート状アンテナ200を伝搬する電磁波の波長よりも十分に小さい場合には、所謂、導波管と同様に、シート状アンテナ200が遮断周波数を有する。そして、シート状アンテナ200の横幅Wが電磁波の半波長の整数倍である場合に共振を起こす(例えば、特開2010−114696号公報参照)。
【0083】
そして、横幅Wが半波長の整数倍である場合には、シート状アンテナ200を伝搬する電磁波が共振状態となるため、シート状アンテナ200のメッシュ状の導電体層230から放射される電力が増大する。
さらに、シート状アンテナ200の横幅Wの長さと、シート状アンテナ200を伝搬する電磁波の半波長の長さとが等しい場合には、シート状アンテナ200の長辺L方向に、所謂、平面波として電磁波が進行しているように見える(例えば、特開2010−114696号公報参照)。
【0084】
したがって、シート状アンテナ200の電磁波吸収部材210は、シート状アンテナ200の何れか一方の短辺に配置されていればよい。シート状アンテナ200においては、電力を入力する電磁波インタフェース220を他方の短辺に配置しているので、給電点がある短辺と対向する短辺に電磁波吸収部材(終端部材)210を配置すればよい。
【0085】
電磁波吸収部材210は、導体板と抵抗とを組み合わせた構成とすることができ、例えば、導体板をメッシュ状の導電体層230の上に載置してもよい。
【0086】
また、図4に示すように、リーダ/ライタ320は、光ディスク1の管理を実行する管理装置310に配線340を介して接続される。
【0087】
シート状アンテナ200は、リーダ/ライタ320に、同軸ケーブル330と電磁波インタフェース220を介して接続される。
【0088】
なお、リーダ/ライタ320は、読み取り機能または書き込み機能の少なくとも何れか一方を有する。
【0089】
また、リーダ/ライタ320は、ICタグ100と通信する場合に、電磁波を同軸ケーブル330と電磁波インタフェース220とを介して、シート状アンテナ200に通信用の電磁波を入力する。
【0090】
そして、ICタグ100は、シート状アンテナ200から放射され通信内容に応じた電磁波を、ブーストアンテナ2と、ダイポール型のアンテナ100bとを介して受信する。一方、ICタグ100aは、シート状アンテナ200に対して、ブーストアンテナ2と、ダイポール型のアンテナ100bとを介して、通信内容に応じた電磁波を送信する。
【0091】
管理装置310は、リーダ/ライタ320と光ディスク1のICタグ100との通信により得られた情報に基づいて、光ディスク1を管理する。
【0092】
なお、管理システム1000において、同軸ケーブル330、配線340に代えて、管理装置310、リーダ/ライタ320、シート状アンテナ200との間を、無線で情報が伝達するようにしてもよい。
【0093】
ここで、光ディスク1に付されたICタグ100のダイポール型のアンテナ100bの偏波方向には、指向性がある。したがって、ダイポール型のアンテナ100bの向きとシート状アンテナ200の表面の垂線との位置関係により、ICタグ100aの電磁波の送受信の感度が異なる。
【0094】
しかし、本実施例においては、光ディスク1を収納する光記録媒体用ケース3にブーストアンテナ2に設けられていることにより、ダイポール型のアンテナ100bの偏波方向の指向性の影響を低減し、ICタグ100aとシート状アンテナ200との間の電磁波の送受信の感度を向上させることができる。
【0095】
さらに、既述のように、反射板500は、ICタグ100とシート状アンテナ200との交信で使用される該電磁波を反射する。また、光記録媒体用ケース3のブーストアンテナ2も該電磁波を反射する。これにより、ダイポール型のアンテナ100bの偏波方向の指向性の影響がさらに低減し、ICタグ100aとシート状アンテナ200との間の電磁波の送受信の感度をさらに向上させることができる。
【0096】
すなわち、シート状アンテナ200上でのICタグ100の読取り率および読取り数が、飛躍的に向上することになる。
【0097】
これにより、複数の光記録媒体に付されたICタグ100をより適切に読み取り、光記録媒体に対する所定の管理を実施することができる。
【0098】
なお、既述の図3では、反射板500が管理用棚400の底面4上で固定されている例について示したが、図5に示すように、反射板500が管理用棚400の底面4(シート状アンテナ200)上で、シート状アンテナ200の表面に対して平行に移動可能なように設定してもよい。
【0099】
ここで、図3、図5の例では、シート状アンテナ200が管理用棚400の底面4上に配置された構成について示したが、シート状アンテナ200が管理用棚400の背面5上に配置するようにしてもよい。
【0100】
図6および図7は、図2に示す光記録媒体用ケース3を並べた状態の、シート状アンテナ200および反射板500が配置された管理用棚400の構成の例を示す図である。なお、管理システムの構成は、図4に示す構成と同様である。
【0101】
図6に示すように、管理用棚400は、底面4上に、複数の光記録媒体用ケース3が並んで配置されるようになっている。そして、管理用棚400の背面5に、シート状アンテナ200が配置されている。
【0102】
なお、この図6の例では、反射板500は、管理用棚400の底面4上に並べられた複数の光記録媒体用ケース1の間に、配置されているが、管理用棚400の底面4上に並べられた複数の光記録媒体用ケース1の両脇に、配置するようにしてもよい。
【0103】
また、図7に示すように、反射板500が管理用棚400の底面4上で、シート状アンテナ200の表面に対して平行に移動可能なようしてもよい。
【0104】
なお、図6、図7の例において、例えば、シート状アンテナ200の幅Wの中心の管理用棚400の底面4からの高さと、光記録媒体用ケース3のブーストアンテナ2の管理用棚400の底面4からの高さとがほぼ等しくなるように設定されている。これにより、ブーストアンテナ2とシート状アンテナ200との通信距離が短くなる。
【0105】
また、図2に示す光記録媒体用ケース3のブーストアンテナ2の構成は、一例であり、同様の機能を有すればブーストアンテナ2は異なる構成を有していてもよい。
【0106】
以上のような構成により、反射板500がICタグ100とシート状アンテナ200との交信で使用される例えば、UHF帯(900MHz程度)の電磁波を反射して、ダイポール型のアンテナ100a、ブーストアンテナ2、およびシート状アンテナ200の感度を向上し、ICタグ100の読み取り性能を向上することができる。
【0107】
以上のように、本実施例に係る管理システムによれば、リーダ/ライタによるシート状アンテナを介したICタグの読み取り性能を、向上することができる。
【0108】
なお、既述の実施例においては、ICタグが付された書籍類である光記録媒体を、ブーストアンテナが設けられたケースに収納する例について説明した。
【0109】
しかし、ICタグが付された書籍類を、そのまま管理システムの管理用棚に並べて管理するようにしても、ICタグの読み取り性能を向上し、本発明の効果を奏することができる。
【0110】
さらに、ICタグが付された書籍類にさらにブーストアンテナを直接設けて、管理システムの管理用棚に並べて管理するようにしても、ICタグの読み取り性能を向上し、本発明の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 光ディスク(光記録媒体(書籍類))
2 ブーストアンテナ
2a バーアンテナ
2b バーアンテナ
3 光記録媒体用ケース
31 ケース本体
100 ICタグ
100a ICチップ
100b アンテナ
100b−1 ループ部
100b−2 延在部
103 光記録媒体用ケース
131 ケース本体
200 シート状アンテナ
210 電磁波吸収部材(終端部材)
220 電磁波インタフェース
230 メッシュ状の導電体層
240 平板状の導電体層
250 誘電体層
310 管理装置
320 リーダ/ライタ
330 同軸ケーブル
340 配線
400 管理用棚
500 反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグが付された書籍類を管理するための管理システムであって、
前記書籍類または前記ケースが並べられる、管理用棚と、
前記管理用棚に配置されるシート状アンテナと、
前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板と、
前記書籍類のICタグおよび前記シート状アンテナを介して、前記書籍類のICタグと通信するリーダ/ライタと、
前記ICタグと前記リーダ/ライタとの通信により得られた情報に基づいて、前記光ディスクを管理する管理装置と、を備える
ことを特徴とする管理システム。
【請求項2】
前記書籍類、または、前記書籍類を収納するケースに、設けられたブーストアンテナをさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記反射板の長さは、前記シート状アンテナが送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1に設定される
ことを特徴とする請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記反射板は、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置される平板状の導体を有することを特徴とする請求項2または3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記反射板は、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置されるメッシュ状の導体を有することを特徴とする請求項2または3に記載の管理システム。
【請求項6】
前記反射板は、前記管理用棚上で、前記シート状アンテナの表面に対して平行に移動可能であることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
前記書籍類は、書籍、新聞、雑誌、CD、DVD、BD、ビデオテープ、オーディオテープの何れかである
ことを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記ICタグのアンテナは、ダイポール型のアンテナであることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項9】
前記ICタグは、前記書籍類の表面に付されていることを特徴とする請求項2ないし8のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項10】
前記書籍類は、円形の形状を有する光ディスクであり、
前記複数のバーアンテナの交点は、前記ケースに収納される光ディスクの略中心に設けられた前記ICタグのダイポール型のアンテナの中心を通る、前記光ディスクの表面の垂線上に位置する
ことを特徴とする請求項2ないし9のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項11】
前記ケースは、
前記書籍類である光ディスクを収納するためのケース本体と、
前記ケース本体に収納された前記光ディスクの表面と略平行になるように、前記ケース本体に設けられた前記ブーストアンテナと、を有し、
前記ブーストアンテナは、
前記ケース本体に収納された前記光ディスクの中心を通る直線上で交差する、複数のバーアンテナを含む
ことを特徴とする請求項2ないし10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記複数のバーアンテナは、帯状の導体から成ることを特徴とする請求項11に記載の管理システム。
【請求項13】
前記ブーストアンテナは、ダイポール形状を有することを特徴とする請求項2ないし12のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項14】
前記バーアンテナの長さは、送受信する電磁波の波長の略正の整数倍または略正の整数分の1である
ことを特徴とする請求項11に記載の管理システム。
【請求項15】
前記ICタグのダイポール型のアンテナの偏波方向は、前記光ディスクの前記表面と略平行であることを特徴とする請求項11に記載の管理システム。
【請求項16】
アンテナを有するICタグが付された書籍類、または、前記書籍類を収納するケースが並べられる管理用棚に、配置されるシート状アンテナと、
前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板と、を備える
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項17】
前記書籍類または前記ケースにブーストアンテナが設けられていることを特徴とする請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
アンテナを有するICタグが付された書籍類を並べるための管理用棚であって、
シート状アンテナが底面または背面に配置され、前記ICタグと前記シート状アンテナとの交信で使用される電磁波を反射する反射板が、前記シート状アンテナの表面上に、前記シート状アンテナの表面に対して略垂直に配置されている
ことを特徴とする管理用棚。
【請求項19】
リーダ/ライタが、前記書籍類のICタグのアンテナおよび前記シート状アンテナを介して、前記書籍類のICタグと通信し、
管理装置が、前記ICタグと前記リーダ/ライタとの通信により得られた情報に基づいて、前記光ディスクを管理するようになっている
ことを特徴とする請求項18に記載の管理用棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−155617(P2012−155617A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15537(P2011−15537)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】