説明

アンテナおよびアンテナ装置

【課題】 アンテナを屋内に設置しても屋外に設置しても電気的特性が極力異ならないようにする。
【解決手段】 上側板100aと左側板100dと右側板100bと下側板100cからなる矩形状のループアンテナ100であって、左側板100dと右側板100cbとの面は、上側板100aおよび下側板100cの面に対してほぼ直角に折り曲げられて、小型化されている。また、取付金具が取り付けられる部位に、取付金具を投影した形状とほぼ同形状の導体板101が配置されている。これにより、取付具があってもなくても電気的特性がほぼ同様となる。すなわち、ループアンテナ100を屋内に設置しても屋外に設置しても電気的特性が極力異ならないようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイバンドのマルチメディア放送を受信するための屋外および屋内において使用可能な小型のアンテナおよびアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイバンドのマルチメディア放送の周波数帯域は207.5MHz〜222MHzのVHF帯域とされ、偏波方向は水平偏波とされている。VHF放送の受信用アンテナとしては従来の八木式アンテナを使用することができる。このようなVHF帯の八木式アンテナは、十分な受信電力で水平偏渡のVHF電波を受信しようとすると、横方向に共振波長の1/2波長の長さの素子となるため、横方向に大型化せざるを得なかった。また、VHF帯のアンテナとして八木式アンテナに替えてループアンテナを使用することができ、水平偏渡のVHF電波を受信できるループアンテナは、横方向には八木式アンテナより大型化しないようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-136020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水平偏渡のVHF電波を受信できるループアンテナは、ループ面が地面に対してほぼ垂直に配置されて設置される。このループアンテナをケース内に内蔵して、ケースを直立して設置することにより、屋内において使用することができる。また、このケースに内蔵したループアンテナを屋外に設置することも可能であり、屋外に設置する際にはケースに取付金具を取り付けて、取付金具によりポール等にループアンテナを内蔵したケースを直立して取り付けることになる。
しかしながら、取付金具は金属製とされていることから、取付金具によりループアンテナの電気的特性が変化するようになる。そして、ループアンテナを屋内に設置する時は取付金具は不要であり、屋外に設置する時は取付金具が必要とされることから、アンテナを屋内に設置した時と屋外に設置した時とでは電気的特性が異なってしまうという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、アンテナを屋内に設置しても屋外に設置しても電気的特性が極力異ならないようにしたアンテナおよびアンテナ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアンテナは、上側板と左側板と右側板と下側板からなる矩形ループ状のアンテナであって、前記左側板と前記右側板との面は、前記上側板および前記下側板の面に対してほぼ直角に折り曲げられており、取付金具が取り付けられる部位に、該取付金具を投影した形状とほぼ同形状の導体板が配置されていることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付金具が取り付けられる部位に、該取付金具を投影した形状とほぼ同形状の導体板が配置されていることから、アンテナを屋内に設置しても屋外に設置しても電気的特性が極力異ならないようになる。また、左側板と右側板との面が、上側板および下側板の面に対してほぼ直角に折り曲げられていることから、アンテナを小型化することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す下面図である。
【図4】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の実施例にかかるアンテナ装置の他の構成を示す正面図である。
【図6】本発明の実施例にかかるアンテナ装置に内蔵されるループアンテナの構成を示す正面図である。
【図7】本発明の実施例にかかるアンテナ装置に内蔵されるループアンテナの構成を示す側面図である。
【図8】本発明の実施例にかかるアンテナ装置に内蔵されるループアンテナの構成を示す上面図である。
【図9】本発明の実施例にかかるアンテナ装置における後ケースの構成を示す正面図である。
【図10】本発明の実施例にかかるアンテナ装置において、後ケースに導体板を固着する態様を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例にかかるアンテナ装置において、前ケースにループアンテナを固着する態様を示す斜視図である。
【図12】本発明の実施例にかかるアンテナ装置における前ケースの構成を示す正面図である。
【図13】本発明の実施例にかかるアンテナ装置において、前ケースと後ケースとを固着する態様を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施例にかかるアンテナ装置にアンテナ取付具を固着する態様を示す斜視図である。
【図15】本発明の実施例にかかるアンテナおよびアンテナ装置において、導体板がない場合のVSWRの周波数特性を示す図である。
【図16】本発明の実施例にかかるアンテナおよびアンテナ装置において、導体板がある場合のVSWRの周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例にかかるアンテナの構成を図1ないし図3に示す。図1は本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す正面図であり、図2は本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す側面図であり、図3は本発明の実施例にかかるアンテナの構成を示す下面図である。
これらの図に示す本発明の実施例にかかるアンテナはループアンテナ100とされており、207.5MHz〜222MHzの周波数帯域の水平偏波のマルチメディア放送を受信することができるアンテナとされている。このループアンテナ100は、上側板100aと左側板100dと右側板100bと下側板100cとからなる矩形ループ状とされており直立されている。上側板100aおよび下側板100cは、両端部がL字状とされた所定幅の細長い板状とされ、下側板100cのほぼ中央が切断されて、切断された端部が給電点100eとされている。給電点100eと、平衡型のループアンテナ100の受信信号が出力される同軸端子等の不平衡の端子104とは、バラン103を介して接続されている。また、右側板100bおよび左側板100dは、所定幅の細長い矩形の板状とされており、右側板100bと左側板100dの面は、上側板100aおよび下側板100cの面に対してほぼ直角に対面するよう折り曲げられている。このようなループアンテナ100は、金属板を加工することにより作成されている。
【0010】
ループアンテナ100において特徴的な構成は、ループアンテナ100のほぼ中央に導体板101が配置されている構成とされている。導体板101は矩形状とされており、ループアンテナ100を取り付ける金属製のアンテナ取付具102を投影した形状とされている。ループアンテナ100を屋内に設置する場合は、アンテナ取付具102が不要となるが、アンテナ取付具102がない場合のループアンテナ100の電気的特性は導体板101の影響により、アンテナ取付具102がある場合の電気的特性とほぼ同様となる。
【0011】
次に、本発明の実施例のアンテナ装置1の外観の構成を図1に示す。
本発明の実施例のアンテナ装置1は、207.5MHz〜222MHzの周波数帯域の水平偏波のマルチメディア放送を受信することができるアンテナ装置1とされている。そして、図1ないし図3に示す本発明にかかるループアンテナ100を合成樹脂製のアンテナケース2に内蔵して構成されている。アンテナケース2は、薄い厚みの直方体状とされており下部にスタンド2cが着脱自在に取り付けられている。アンテナ装置1を屋内に設置する場合は、スタンド2cをアンテナケース2の下部に取り付けることにより、アンテナ装置1を直立させて設置することができる。また、アンテナ装置2を屋外に設置する場合は、図5に示すようにスタンド2cをアンテナケース2の下部から取り外すと共に、アンテナケース2の背面にアンテナ取付具を取り付ける。そして、アンテナ取付具によりポール等にアンテナ装置1を設置すればよい。なお、図5に示すアンテナケース2の高さHは約431mmとされ、幅Wは約270mmとされている。
【0012】
次に、アンテナケース2に内蔵される本発明の実施例にかかるループアンテナ3の構成を図6ないし図8に示す。図6はループアンテナ3の構成を示す正面図であり、図7はループアンテナ3の構成を示す側面図であり、図8はループアンテナ3の構成を示す上面図である。
これらの図に示すループアンテナ3は、207.5MHz〜222MHzの周波数帯域の水平偏波のマルチメディア放送を受信することができるループアンテナとされている。このループアンテナ3は、上側板3aと右側板3bと左側板3dと下側板3cとからなる矩形ループ状とされている。上側板3aおよび下側板3cは、両端部がL字状とされた所定幅の細長い板状とされ、上側板3aおよび下側板3cの右側および左側にそれぞれ一対の横に細長い形状の係止孔3fが形成されている。また、下側板3cのほぼ中央が切断されて、切断された端部が給電点3eとされている。さらに、右側板3bおよび左側板3dは、所定幅の細長い矩形の板状とされており、右側板3bと左側板3dの面は、上側板3aおよび下側板3cの面に対してほぼ直角に折り曲げられて対面している。このようなループアンテナ3は、金属板を加工することにより作成されている。このループアンテナ3における上側板3aおよび下側板3cの長さw1は約250mmとされ、上側板3aおよび下側板3cにおけるL字状の内側間の長さw2は約210mmとされている。また、右側板3bおよび左側板3dの高さh1は約360mmとされ、ループアンテナ3の縦の高さh2は約400mmとされている。さらに、右側板3bおよび左側板3dの幅d1は約45mmとされている。
【0013】
アンテナケース2は後述する前ケース10と後ケース11からなり、前ケース10と後ケース11とを組み付けることによりアンテナケース2が構成されている。ここで、後ケース11の構成を示す正面図を図9に示す。
後ケース11は図9に示すように矩形の箱状とされており、矩形状の底面11aと底面11aの周囲から立設して形成された側壁11bとから構成されている。底面11aの内側の四隅と側壁11bの中央部の内側近傍には合計6個の円筒状のボスAがそれぞれ形成されており、中央部には4つのCボスがほぼ正方形の頂点の位置に対応してそれぞれ形成されている。そして、Cボスのそれぞれから斜め外方の位置にBボスがそれぞれ形成されている。また、矩形の四隅が切り欠かれた形状の導体板4が後ケース11の内側のほぼ中央部に配置されており、導体板4の切り欠かれた四隅の位置に4つのBボスおよびCボスが位置している。
【0014】
次に、後ケース11に導体板4を固着する態様を図10に示す。
図10の斜視図に示されているように、所定幅の矩形の枠状とされた合成樹脂製の固定用枠体12の四隅に形成されている挿通孔15にそれぞれネジ13を挿通し、後ケース11の内側のほぼ中央部に配置されている導体板4の上に載置する。そして、4本のネジ13をそれぞれBボスに螺着する。これにより、固定用枠体12により導体板4を後ケース11の内側のほぼ中央部に固着することができる。なお、固定用枠体12の挿通孔15の斜め内側に位置して円筒状のスペーサ14がそれぞれ配置されている。固定用枠体12が後ケース11の内側に固着された際のスペーサ14の高さが、Aボスの高さとほぼ同様の高さになるようにされている。また、Cボス内に外径が六角形のナット16がそれぞれ嵌入される。ナット16はCボス内に嵌入された際に、Cボスに対して回動不能に係合される。
【0015】
次に、前ケース10にループアンテナ3を固着する態様と図11に示す。
図11の斜視図に示されているように、前ケース10は矩形の箱状と後ケース11と同様とされており、矩形状の底面10aと底面10aの周囲から立設して形成された側壁10bとから構成されている。底面10aの内側の四隅と側壁10bの中央部の内側近傍には合計6個の径の細い円筒状のDボスがそれぞれ形成されており、内側の上部には左側および右側にそれぞれ一対の横方向に長くされた突起片10cが突出するよう形成されている。なお、図示されていないが前ケース10の内側の下部の左側および右側にもそれぞれ一対の横方向に長くされた突起片10cが突出するよう形成されている。また、前ケース10の側壁10bにおける下面のほぼ中央に挿通孔23が形成されており、この挿通孔23には同軸接栓とされている接栓座22を挿通することができるようにされている。
【0016】
このような構成の前ケース10の内側にループアンテナ3を載置して、ループアンテナ3の上側板3aに形成されている合計4つの係止孔3fのそれぞれに、前ケース10の内側上部において突出して形成されている突起片10cが嵌入されて係止される。また、ループアンテナ3の下側板3cに形成されている合計4つの係止孔3fのそれぞれに、前ケース10の内側下部において突出して形成されている突起片10cが嵌入されて係止される。これにより、前ケース10の内側にループアンテナ3を固着することができ、固着された際にループアンテナ3の左側板3dと右側板3bとの面がそれぞれ前ケース10の側壁10bの内面に対面するようになる。また、ループアンテナ3の下側板3cにおける給電点3eはバラン21の平衡端子に接続され、バラン21の不平衡端子が接栓座22に接続される。バラン21は前ケース10内に収納されると共に、接栓座22は前ケース10の側壁10bに形成されている挿通孔23に挿通されて固着される。
【0017】
図11に示す前ケース10にループアンテナ3を固着する態様により、前ケース10にループアンテナ3を固着した前ケース10の構成を図12に示す。図12に示す正面図のように、ループアンテナ3は前ケース10の側壁10bで囲まれた内部空間に収納されるよう固着される。固着に際しては、ループアンテナ3の上側板3aおよび下側板3cに形成されている係止孔3fのそれぞれに、前ケース10の内側上部および内側下部において突出して形成されている突起片10cがそれぞれ係止される。前ケース10にループアンテナ3を固着した状態において、底面10aの上部に形成された2つのDボスは上側板3aの上に位置し、底面10aの下部に形成された2つのDボスは下側板3cの下に位置し、側壁10bの中央部の内側近傍に形成された2つのDボスは左側板3dと右側板3bの内側に位置するようになる。
【0018】
次に、前ケース10に後ケース11を固着する態様を図13に示す。
図13の斜視図に示すように、後ケース11の上部両側および下部両側と中央部の両側との6ヶ所にはそれぞれ透孔11cが形成されており、透孔11cは前述した6個のAボスを貫通する孔に連通している。また、後ケース11の中央部にはほぼ正方形の頂点に対応する4ヶ所の位置にそれぞれ挿通孔11dが形成されている。この挿通孔11dは、前述した4個のCボスを貫通する孔に連通している。
ここで、前ケース10の開放面と後ケース11の開放面とを対面させるように、前ケース10の側壁10bの上端面に後ケース11の側壁11bの上端面とを合わせるようにする。次いで、6ヶ所に形成されている透孔11cにネジ24をそれぞれ挿通し、Aボス内を貫通したネジ24を前ケース10に形成されている6個のDボスのそれぞれに螺着する。これにより、前ケース10に後ケース11が固着されるようになる。
【0019】
このようにして組み立てられた本発明にかかるアンテナ装置1を屋内で使用する場合は、アンテナケース2の下面にスタンド2cを取り付けて図4に示すアンテナ装置1とする。これにより、アンテナ装置2を直立して屋内で使用することができマルチメディア放送の水平偏波を受信できるようになる。
【0020】
また、本発明にかかるアンテナ装置1を屋外で使用する場合は、アンテナ取付具をアンテナケース2の背面に取り付ける。アンテナ取付具をアンテナケース2の背面に取り付ける態様を図14に示す。
図14の斜視図に示すように、アンテナ取付具は支柱受金具25とU字ボルト27と挟持金具26と蝶ボルト28とから構成されている。支柱受金具25は金属板を加工して作成されており、断面がM字状に折曲されて中央がM字状に凹んでいる。支柱受金具25を投影した形状は矩形状となり、矩形状の導体板4の形状とほぼ同様とされている。この支柱受金具25の両側の平らな取付面の上下にそれぞれ形成されている孔にネジ29をそれぞれ挿入して、ネジ29を後ケース11に形成されている4つの挿通孔11dに挿通する。これにより、4本のネジ29は後ケース11の内側に形成されている4つのCボス内にそれぞれ挿通され、Cボス内に装着されているナット16にそれぞれ螺着されるようになる。これにより、支柱受金具25がアンテナケース2の背面に強固に固着される。固着された際に、支柱受金具25は後ケース11の底面11aを挟んで導体板4と対面する。
【0021】
この支柱受金具25のほぼ中央の横方向に形成されている通し孔にU字ボルト27を挿通し、U字ボルト27に金属板を加工して作成されている挟持金具26を装着する。挟持金具26は横方向に長い矩形状とされ、その中央部は断面がM字状に折曲されて、このM字状の凹部が支柱受金具25のM字状の凹部と対向するようになり、支柱受金具25と挟持金具26との間にポールを挟持することができるようになる。挟持金具26の両側には長孔と横方向の溝とが形成されており、この長孔と溝とにU字ボルト27が挿入され、U字ボルト27の先端に蝶ボルト28が螺合される。そして、支柱受金具25と挟持金具26との間にポールを配置して蝶ボルト28を螺着することにより、支柱受金具25と挟持金具26とでポールを挟持して、ポールにアンテナ装置1を直立して固着することができる。
【0022】
上記したように本発明にかかるアンテナ装置1は屋内においても屋外においても直立して使用されるようになり、マルチメディア放送の水平偏波を受信することができる。また、アンテナ装置1に内蔵されているループアンテナ3は207.5MHz〜222MHzの周波数帯域のマルチメディア放送を受信することができる寸法とされている。
次に、本発明にかかるアンテナ装置1において導体板4がない場合とある場合の電圧定在波比(VSWR)を示すことにより、導体板4の作用を説明する。本発明にかかるアンテナ装置1において導体板4がない場合のVSWRの周波数特性を図15に、本発明にかかるアンテナ装置1において導体板4がある場合のVSWRの周波数特性を図16に示す。
導体板4がない場合のVSWRの周波数特性を示す図15を参照すると、導体板4がない場合であってアンテナ取付具がない場合(屋内で使用する場合)は周波数207.5MHz〜222MHzにおいて約2.0以下のVSWRが得られており、約218MHzにおいて共振して約1.12の最良のVSWRが得られている。また、導体板4がない場合であってアンテナ取付具がある場合(屋外で使用する場合)は周波数207.5MHz〜222MHzにおいて約1.9以下のVSWRが得られており、約216MHzにおいて共振して約1.2の最良のVSWRが得られている。図15を参照すると、導体板4がない場合では、アンテナ取付具がある場合はアンテナ取付具がない場合に比してVSWR特性が全体的に低い周波数側にシフトしてしまうことが分かる。
【0023】
これに対して、導体板4がある場合のVSWRの周波数特性を示す図16を参照すると、導体板4がある場合であってアンテナ取付具がない場合(屋内で使用する場合)は周波数207.5MHz〜222MHzにおいて約1.83以下のVSWRが得られており、約217MHzにおいて共振して約1.14の最良のVSWRが得られている。また、導体板4がある場合であってアンテナ取付具がある場合(屋外で使用する場合)は周波数207.5MHz〜222MHzにおいて約1.83以下のアンテナ取付具がない場合と同様のVSWRが得られており、約216MHzにおいて共振して約1.2の最良のVSWRが得られている。このように、導体板4がある場合はアンテナ取付具がある場合でもない場合でもほぼ同様のVSWR特性が得られることが分かる。
上記したように導体板4を設けることにより、本発明にかかるアンテナ装置1では、導体板4の作用によりアンテナ取付具を必要としない屋内に設置する場合でも、アンテナ取付具を必要とする屋外に設置する場合でもほぼ同様の電気的特性が得られるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
上記説明した本発明のアンテナおよびアンテナ装置において、上側板および下側板の端部をL字状にしたが、L字状にしなくてもよい。また、本発明にかかるアンテナ装置において導体板を固定用枠体で後ケースに固着するようにしたが、これに替えて導体板を後ケースの内側に貼着したり後ケースに直接ネジ止めするようにしてもよい。この場合、導体板の形状は矩形の四隅が切り欠かれた形状とする必要はなく、四隅が斬りかかれていない矩形とすることができる。さらに、導体板の形状はアンテナ取付具を投影した形状とほぼ同様の形状とされていればよく、矩形に限るものではない。
【符号の説明】
【0025】
1 アンテナ装置、2 アンテナ装置、2c スタンド、3 ループアンテナ、3a 上側板、3b 右側板、3c 下側板、3d 左側板、3e 給電点、3f 係止孔、4 導体板、10 前ケース、10a 底面、10b 側壁、10c 突起片、11 後ケース、11a 底面、11b 側壁、11c 透孔、11d 挿通孔、12 固定用枠体、13 ネジ、14 スペーサ、15 挿通孔、16 ナット、21 バラン、22 接栓座、23 挿通孔、24 ネジ、25 支柱受金具、26 挟持金具、27 U字ボルト、28 蝶ボルト、29 ネジ、100 ループアンテナ、100a 上側板、100b 右側板、100c 下側板、100d 左側板、100e 給電点、101 導体板、102 アンテナ取付具、103 バラン、104 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側板と左側板と右側板と下側板からなる矩形ループ状のアンテナであって、
前記左側板と前記右側板との面は、前記上側板および前記下側板の面に対してほぼ直角に折り曲げられており、
取付金具が取り付けられる部位に、該取付金具を投影した形状とほぼ同形状の導体板が配置されていることを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
上側板と左側板と右側板と下側板からなり、前記左側板と前記右側板との面は、前記上側板および前記下側板の面に対してほぼ直角に折り曲げられている矩形ループ状のアンテナと、
該アンテナが収納されている絶縁性のアンテナケースと、
該アンテナケースに設けられる取付金具を投影した形状とほぼ同形状とされ、該取付金具が取り付けられる部位に対応する前記アンテナケースの内面に配置された導体板と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
前記下側板のほぼ中央が切断されて、切断された端部が給電点とされており、前記ケースに装着された接栓座と前記給電点との間が、バランを介して接続されていることを特徴とする請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記上側板と前記下側板にそれぞれ複数の係止孔が形成されていると共に、前記アンテナケースの内面に前記複数の係止孔に対応して複数の突起片が形成されており、前記突起片のそれぞれが前記係止孔のそれぞれに係合することにより、前記アンテナが前記アンテナケース内に固着されており、前記アンテナを前記アンテナケース内に取り付けた際に、前記左側板と前記右側板との面が前記アンテナケースの側壁の内面と対面することを特徴とする請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記導体板の四隅が切り欠かれており、該切り欠かれた四隅に対応する前記アンテナケースの内面にそれぞれボスが形成されており、前記導体板の上に配置した絶縁性の矩形状の固定用枠体の四隅に挿通したネジ手段を前記ボスにそれぞれ螺着することにより、前記導体板が前記アンテナケースに固着されていることを特徴とする請求項2記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−93805(P2013−93805A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236027(P2011−236027)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000227892)日本アンテナ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】