説明

アンテナカバー

【課題】アンテナ素子を収容するアンテナカバーを設け、検査前後の被検体またはアンテナカバーへのアンテナ素子の取り付けや被検体またはアンテナカバーからのアンテナ素子の取り外しの作業を容易に行うこと。
【解決手段】カバー部材B11,B12に形成される収容部B14に、挿入口B16から受信用アンテナA1を挿入し、挿入口B16を貼付して受信用アンテナA1を固定することによって、受信用アンテナA1を収容し、かつ接着された縁部の一辺から延出するつまみ部B17と、カバー部材B11,B12の対向する面を貫通する孔B20,B21と、挿入口B16から孔B20,B21に向うミシン目B22,B23とを設けることによって、被検体1の外表面またはアンテナカバーB1への受信用アンテナA1の取り付けおよび外表面またはアンテナカバーB1からの受信用アンテナA1の取り外しを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子を内部に収容するアンテナカバーに関し、特に被検体上に貼付可能なアンテナカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野では、撮像機能と無線通信機能とが装備されたカプセル型内視鏡が登場している。このカプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体である被検者の口から飲み込まれた後、被検者の生体から自然排出されるまでの観察期間、たとえば胃、小腸などの臓器の内部(体腔内)をその蠕動運動に伴って移動し、撮像機能を用いて順次撮像する構成を有する。
【0003】
また、これら臓器内を移動するこの観察期間、カプセル型内視鏡によって体腔内で撮像された画像データは、順次Bluetoothなどの無線通信機能により、被検体の外部に送信され、外部の受信装置内に設けられたメモリに蓄積される。被検者がこの無線通信機能とメモリ機能を備えた受信装置を携帯することにより、被検者は、カプセル型内視鏡を飲み込んだ後、排出されるまでの観察期間であっても、不自由を被ることなく自由に行動が可能になる。観察後は、医者もしくは看護士によって、受信装置のメモリに蓄積された画像データに基づいて、体腔内の画像をディスプレイなどの表示手段に表示させて診断を行うことができる。
【0004】
一般に、受信装置は、カプセル型内視鏡から送信される映像信号を受信するための複数のアンテナ素子を被検体外部に分散配置し、映像信号の受信誤りが少ない1つのアンテナ素子を選択切り替えして受信するようにしている。なお、特許文献1には、接着剤を有するアンテナ素子を被検体上の所定部位に接着することで被検体外部に配置し、これら複数のアンテナ素子の受信切り替えを行い、各アンテナ素子が受信する電界強度に基づいて、映像信号の発信源である被検体内のカプセル型内視鏡の位置を探知する受信機が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−19111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、複数のアンテナ素子を直接被検体上の各部位に接着するような場合では、複数のアンテナ素子の検査前の取り付けや検査後の取り外しの作業が煩雑になり、手間と時間がかかり、これに伴って検査にかかる時間が長くなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、アンテナ素子を収容するアンテナカバーを設け、検査前後の被検体またはアンテナカバーへのアンテナ素子の取り付けや被検体またはアンテナカバーからのアンテナ素子の取り外しの作業を容易に行うことができるアンテナカバーおよびアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるアンテナカバーは、アンテナ素子の少なくとも一部を収容可能な収容部を内部に形成するカバー部材と、前記アンテナ素子を前記収容部内部に挿入可能な前記カバー部材に形成される挿入口と、前記アンテナ素子を前記収容部内部に挿入可能な前記カバー部材に形成される挿入口と、前記挿入口に設けられ、前記アンテナ素子が前記収容部に収容された際に、前記アンテナ素子から延出したケーブルを導出させるとともに、前記挿入口を粘着させて閉塞する粘着性を有する粘着部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記ケーブルの延出方向と略同一線上に、前記カバー部材を破断可能に形成される破断部を、さらに備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される断続な薄肉部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される断続な切目部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される変性部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される貼合部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明にかかるアンテナカバーは、上記発明において、前記カバー部材は、紙、不織布またはセロハンを貼り合せて形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかるアンテナカバーは、カバー部材に形成される収容部に、挿入口からアンテナ素子を挿入することによって、アンテナ素子を収容するアンテナカバーを設け、かつ前記挿入口に設けられ、前記アンテナ素子が前記収容部に収容された際に、前記アンテナ素子から延出したケーブルを導出させるとともに、前記挿入口を粘着させて閉塞する粘着性を有する粘着部を設けることによって、検査前後の被検体またはアンテナカバーへのアンテナ素子の取り付けや被検体またはアンテナカバーからのアンテナ素子の取り外しの作業を容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明にかかるアンテナカバーおよびアンテナ装置の実施の形態を図1〜図11の図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。また、以下の実施の形態では、カプセル型内視鏡(被検体内導入装置)で取得された映像信号を受信するアンテナ装置を一例として説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる受信装置を備えた無線型被検体内情報取得システムの全体構成を示す模式図である。図1において、無線型被検体内情報取得システムは、無線受信機能を有する受信装置2と、被検体1内に導入され、体腔内画像を撮像して受信装置2に対して映像信号などのデータ送信を行うカプセル型内視鏡3とを備える。また、無線型被検体内情報取得システムは、受信装置2が受信した映像信号に基づいて体腔内画像を表示する表示装置4と、受信装置2と表示装置4との間でデータの受け渡しを行うための携帯型記録媒体5とを備える。受信装置2は、アンテナ群2aと、受信される無線信号の処理などを行う外部装置2bとを備え、いずれも被検体1に携帯される。
【0018】
表示装置4は、カプセル型内視鏡3によって撮像された体腔内画像などを表示するためのものであり、携帯型記録媒体5によって得られるデータに基づいて画像表示を行うワークステーションなどのような構成を有する。具体的には、表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイなどによって直接画像を表示する構成としても良いし、プリンタなどのように、他の媒体に画像を出力する構成としても良い。
【0019】
携帯型記録媒体5は、外部装置2bおよび表示装置4に対して着脱可能であって、両者に対して挿着された時に情報の出力または記録が可能な構造を有する。この実施の形態では、携帯型記録媒体5は、カプセル型内視鏡3が被検体1の体腔内を移動している間は、外部装置2bに挿着されてカプセル型内視鏡3から送信されるデータを記録する。そして、カプセル型内視鏡3が被検体1から排出された後、つまり、被検体1の内部の撮像が終了した後には、外部装置2bから取り出されて表示装置4に挿着され、この表示装置4によって、携帯型記録媒体5に記録されたデータが読み出される構成を有する。たとえば、外部装置2bと表示装置4とのデータの受け渡しを、コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリなどから構成される携帯型記録媒体5によって行うことで、外部装置2bと表示装置4との間が有線で直接接続された場合よりも、被検体1が体腔内の撮影中に自由に動作することが可能となる。なお、ここでは、外部装置2bと表示装置4との間のデータの受け渡しに携帯型記録媒体5を使用したが、必ずしもこれに限らず、たとえば外部装置2bに内蔵型の他の記録装置、たとえばハードディスクを用い、表示装置4との間のデータの受け渡しのために、双方を有線または無線接続するように構成してもよい。
【0020】
次に、図2のブロック図を用いて受信装置の構成について説明する。受信装置2は、カプセル型内視鏡3から無線送信された体腔内の画像データを受信する機能を有する。図2に示すように、受信用アンテナA1〜Anと、これら受信用アンテナA1〜Anを収容して、直接被検体(人体)1の外表面に貼付されるアンテナカバーB1〜Bn(図1参照)とを備えたアンテナ装置としてのアンテナ群2aと、アンテナ群2aを介して受信された無線信号の処理などを行う外部装置2bとを備える。なお、各受信用アンテナA1〜Anは、被検体1が着用するジャケットなどの衣類の表面に貼付しても良い。
【0021】
外部装置2bの外表面には、図示しない電力供給用の電池を収納する電池パックが外付けされており、この電池パックが外部装置2bに装着されると、電池と外部装置2bの後述する内部機器とが電気的に接続されて、これら内部機器への電力供給が可能な状態となる。また、この外表面の上面には、受信用アンテナA1〜Anを接続するための接続部CONが設けられている。
【0022】
アンテナ素子としての受信用アンテナA1〜Anは、上記接続部CONに接続するコネクタCON1〜CONnを有する。また、これら受信用アンテナA1〜Anは、同一構成からなり、ここでは代表として、図3に受信用アンテナA1の構成を示す。図3において、受信用アンテナA1は、たとえばループアンテナからなり、端部を有するループ状に形成されたループ部A11と、一端にこのループ部A11の端部が取り付けら、他端にコネクタCON1が取り付けられるケーブル部A12と、このループ部A11の少なくとも一部、たとえばこの実施の形態では、ループ部A11の全部が埋め込まれる樹脂プレートA13とから構成される。
【0023】
樹脂プレートA13は、たとえば四角を面取りした透明の略矩形の第1の透明部材としての樹脂部材からなり、埋め込まれたループ部A11の変形や断線などを防止可能に保持している。また、この樹脂プレートA13には、たとえばプレートの中央付近に、被検体1の外表面に配置する際の図示しない配置位置などを示す認識情報が付記されている。また、この受信用アンテナA1〜Anは、検査時に、アンテナカバーB1〜Bnに収容されて、被検体1の外表面のそれぞれの所定位置に貼付されて使用される。このように、アンテナ素子に認識情報を付記するのは、ケーブル部A12の絡まりや断線を防ぐためにも、ケーブル部A12の長さを貼付する位置に対応させた適切な長さに設定するためと、どの検査対象部位にどのアンテナ素子が対応しているか予め設定するためである。なお、本発明では、これら受信用アンテナA1〜AnとアンテナカバーB1〜Bnとは、それぞれアンテナ装置を構成し、これらアンテナ装置が集まったものアンテナ群2aとしている。また、樹脂プレートは、上記認識情報が付記された位置の部位のみ透明で、他の部位は半透明でも良い。なお、樹脂プレートA13に付記される認識情報は、プレートの中央付近に限らず、プレートの任意の位置に付記することが可能である。
【0024】
外部装置2bは、カプセル型内視鏡3から送信された無線信号の処理を行う機能を有する。すなわち、外部装置2bは、図2に示すように、各受信用アンテナA1〜Anの接続切り替えを行う切替スイッチSWと、この切替スイッチSWの後段に接続され、切替スイッチSWによって切り替え接続された受信用アンテナA1〜Anからの無線信号を増幅し、復調する受信回路11とを有し、さらに受信回路11の後段には、信号処理回路12と、サンプルホールド回路15とが接続される。サンプルホールド回路15の後段には、さらにA/D変換部16が接続される。
【0025】
制御部Cは、制御手段としての選択制御部C1を有し、信号処理回路12、A/D変換部16、携帯型記録媒体5に対応する記憶部13、表示部14および切替制御部SCを接続する。切替制御部SCは、強度受信アンテナ番号N1および映像受信アンテナ番号N2を有し、これらの番号情報をもとに、切替スイッチSWの切替指示を行うとともに、サンプルホールド回路15、A/D変換部16および選択制御部C1の処理タイミングを指示する。また、電力供給部17は、上記電池パック内の電池からなり、上述した各内部機器への電力供給を行う。
【0026】
外部装置2bの切替スイッチSWは、切替制御部SCからの切替指示に基づき、受信用アンテナA1〜Anからの無線信号を受信回路11に出力する。ここで、切替スイッチSWは、受信用アンテナA1〜Anの配置位置にそれぞれ対応して各受信用アンテナA1〜Anを接続するアンテナ切替手段としての接続部CONを有する。
【0027】
この接続部CONは、各コネクタCON1〜CONnの未接続状態を検知する、図示しないアンテナ未接続検知機能を有している。このアンテナ未接続検知機能は、コネクタCON1〜CONn毎に設けられており、選択制御部C1は、これらアンテナ未接続検知機能から入力する未接続検知信号の有無を検知することによって、コネクタCON1〜CONnの接続状態、すなわち受信用アンテナA1〜Anが外部装置2bに接続されているか否かを判断することができる。
【0028】
受信回路11は、上述したように、無線信号を増幅し、復調した映像信号S1を信号処理回路12に出力するとともに、増幅した無線信号の受信電界強度である受信強度信号S2をサンプルホールド回路15に出力する。信号処理回路12によって処理された映像データは、制御部Cによって記憶部13に記憶されるとともに、表示部14によって表示出力される。サンプルホールド回路15によってサンプルホールドされた信号は、A/D変換部16によってデジタル信号に変換され、制御部Cに取り込まれ、最も大きい受信電界強度を受信した受信用アンテナを映像信号期間の受信用アンテナとして選択するとともに、この選択された受信用アンテナ以外の受信用アンテナを順次、強度受信期間の受信用アンテナとして選択し、それぞれの受信用アンテナ番号を、映像受信アンテナ番号N2、強度受信アンテナ番号N1とする信号S4として切替制御部SCに出力する。ここで、選択制御部C1が切替対象の受信用アンテナとして設定するのは、信号S6をもとに現に接続された受信用アンテナA1〜Anのみを対象とする。また、制御部Cは、強度受信期間の受信電界強度および映像受信期間の受信電界強度を、そのとき選択された受信用アンテナと対応付けて映像データとともに記憶部13に記憶する。この記憶された各受信用アンテナの受信電界強度は、映像データが受信されたときの体腔内のカプセル型内視鏡3の位置を算出するための情報となる。
【0029】
切替制御部SCは、選択制御部C1に指示された強度受信アンテナ番号N1と映像受信アンテナ番号N2とを保持し、強度受信期間には強度受信アンテナ番号N1に対応する受信用アンテナA1〜Anを選択接続するように切替スイッチSWに指示し、映像受信期間には映像受信アンテナ番号N2に対応する受信用アンテナA1〜Anを選択接続するように、切替スイッチSWに指示する信号S5を切替スイッチSWに出力するとともに、サンプルホールド回路15によるサンプルホールドタイミングを指示する信号S3a、A/D変換部16によるA/D変換タイミングを指示する信号S3b、選択制御部C1による選択制御タイミングを指示する信号S3cを出力する。
【0030】
次に、アンテナカバーの構成を説明する。なお、これらアンテナカバーB1〜Bnは、同一構成からなり、ここでは代表して、図4、図5にアンテナカバーB1の構成を示す。図4は、実施の形態1にかかるアンテナカバーの構成を示す構成図であり、図5は、図4のA−A断面を示す断面図である。これら図において、アンテナカバーB1は、たとえば四角を面取りした略矩形の紙、不織布またはセロハンなどから形成されるカバー部材B11,B12を2枚重ね合せ、かつ図4に示す斜めの一点鎖線の縁部領域で接着剤B13によって、これらカバー部材B11,B12は接着されている。すなわち、この接着剤B13で接着される縁部領域は、カバー部材B11,B12の三辺の縁部領域である。この接着によって、カバー部材B11,B12の対向する面間の中央領域には、アンテナ素子を収容する収容部B14が形成される。この収容部B14の内形は、アンテナ素子の外形(樹脂プレートA13)と略同一の形状を有している。また、図5に示すように、カバー部材B12の外面には、後述するつまみ部B17を除いて、たとえばアクリル系の粘着剤が塗布された粘着部B15が形成され、アンテナカバーB1を被検体1の外表面に張り付けて固定可能に構成される。なお、アンテナカバーB1の使用前には、この粘着部B15およびつまみ部B17(カバー部材B12側)上に図示しない剥離紙を被せて貼り付けが不可能な状態にしておき、使用時にこの剥離紙を剥がずことで粘着部B15を露出させて貼り付けを可能な状態にする。
【0031】
また、このアンテナカバーB1は、接着剤で接着されていない一辺の縁部領域から形成され、アンテナ素子を収容部B14内部に挿入可能な挿入口B16と、接着された縁部の一辺から延出する延出部としてのつまみ部B17とを備える。この挿入口B16の収容部B14側には、アンテナ素子の挿入が容易になるように、図4中、二点鎖線で示す折り目B18が形成されている。また、この挿入口B16を構成するカバー部材B11の内面には、たとえばアクリル系の粘着剤が塗布された粘着部B19が形成されており、アンテナ素子を収容部B14内部に挿入した状態で、この挿入口B16のカバー部材B11と対向するカバー部材B12の内面同士を貼り合わせることで、挿入口B16の閉塞およびアンテナ素子の固定を可能にしている。なお、折り目B18および粘着部B19は、カバー部材B11,B12の少なくとも一方に設けられれば良い。また、アンテナカバーB1の使用前には、この粘着部B19上に図示しない剥離紙を被せて貼り付けが不可能な状態にしておき、使用時にこの剥離紙を剥がずことで粘着部B15を露出させて貼り付けを可能な状態にする。
【0032】
つまみ部B17は、粘着された縁部の一辺、たとえばこの実施の形態では挿入口B16と対向する一辺から延出するとともに、このつまみ部B17を構成するカバー部材B12の外面には、粘着剤が塗布されない非粘着部B20が形成されている。つまり、このつまみ部B17は、検査終了後に被検体1の外表面から取り外す際につまめるように構成されている。また、このつまみ部B17は、カバー部材B12の外面を覆う剥離紙を使用時に取り外す際にも、粘着剤が塗布されていないので、剥離紙の取り外しが容易になるというような利点もある。なお、この実施の形態では、つまみ部B17を挿入口B16と対向する一辺から延出させたが、本発明はこれに限らず、図4中、挿入口B16と対向する一辺と、カバー部材B11,B12の左右側の二辺との少なくとも一辺から延出するように形成することも可能である。
【0033】
また、アンテナカバーB1は、収容部B14の略中央位置で、かつこの収容部B14を形成するカバー部材B11,B12の対向する面を貫通する開口部としての円形の孔B20,B21が形成されている。この孔B20,B21の内径は、ほぼ同一で、かつアンテナ素子のループ部A11の内径よりも小さく形成されており、アンテナ素子に被せたアンテナカバーB1を被検体1の外表面に貼付する際に、予め外表面に付記したマーカーの位置に、この孔B20,B21を合わせるようにすることで、予め決定しておいた検査対象部位におけるカプセル型内視鏡3からの無線信号を受信し易い位置に、ループアンテナを配置することが可能となる。さらに、アンテナカバーB1の収容部B14の内形とアンテナ素子の外形とが略同一に構成されているので、図6に示すように、たとえばアンテナ素子である受信用アンテナA1が収容部B14内へ挿入されると、アンテナカバーB1に位置決めされることとなり、カバー部材B11側から孔B20,B21を介して被検体1の外表面のマーカーを認識して、孔B20,B21とこのマーカーを位置合わせることで、アンテナ素子であるループアンテナを適所に配置することが可能となる。なお、孔B20,B21の開口位置は、中央部に限らず、たとえばアンテナ素子の認識情報の位置に合わせて、任意に設定することが可能である。
【0034】
さらに、アンテナカバーB1は、挿入口B16からアンテナ素子のケーブル部A12の延出方向と反対方向、すなわち挿入口B16から孔B20,B21に向って、カバー部材B11,B12に断続な破断部としての切目部(ミシン目)B22,B23が形成されている。このミシン目B22,B23は、粘着部B15に剥離紙を被せる前に設けられるもので、図7に示すように、検査終了後に、たとえば作業者がアンテナカバーB1の左右の両側部を矢印方向に引っ張ることで、ミシン目に沿ってカバー部材B11,B12が破断して、受信用アンテナA1の取り出しを容易にしている。また、この実施の形態では、ケーブル部A12の延出方向と同方向に破断していくので、ケーブル部A12に無理なストレスをかけることがなく、断線などの障害の発生を防ぐことができる。また、アンテナカバーB1は、ミシン目に沿って破断するので、アンテナ素子に対して、交換可能な紙、不織布またはセロハンなどの部材で構成することが好ましいが、破断が可能であればいかなる部材で構成することが可能である。なお、このミシン目B22,B23は、挿入口B16から孔B20,B21を通ってつまみ部B17に向って形成させることも可能である。
【0035】
次に、アンテナ素子の被検体への貼着から検査終了後のアンテナ素子の取り出しまでの動作を説明する。まず、作業者は、検査前に図3に示す受信用アンテナA1を図4に示すアンテナカバーB1内に挿入する(図6参照)。そして、挿入口B16の粘着部B19に被せた図示しない剥離紙を剥がして、挿入口B16のカバー部材B11,B12同士を貼り合わせることで、挿入口B16の閉塞およびアンテナ素子の固定を行う。これによって、受信用アンテナA1がアンテナカバーB1内に位置決めされて、孔B20,B21から受信用アンテナA1の樹脂プレートA13に設けた認識情報が認識可能となる。次に、カバー部材B12の粘着部B15に被せた図示しない剥離紙を剥がし、さらにカバー部材B11側から孔B20,B21を介して被検体1の外表面のマーカーを認識して、孔B20,B21とこのマーカーとを位置合わせしながら、アンテナカバーB1を被検体1外表面の所定位置に貼り合わせた後に、検査を開始する。
【0036】
次に、検査が終了すると、作業者は、つまみ部B17を掴んで、被検体1の外表面からアンテナカバーB1を取り外す。そして、図7に示すように、アンテナカバーB1の左右の両側部を矢印方向に引っ張って、ミシン目に沿ってカバー部材B11,B12を破断させて、アンテナカバーB1の挿入口B16側を開くことで、受信用アンテナA1をアンテナカバーB1内から容易に取り出すことが可能となる。
【0037】
このように、この実施の形態では、受信用アンテナをアンテナカバー内に挿入して固定し、この受信用アンテナが収容されたアンテナカバーを被検体の外表面の所定位置に貼付することで、検査前後の被検体またはアンテナカバーへの受信用アンテナの取り付けや被検体またはアンテナカバーからの受信用アンテナの取り外しの作業を容易に行うことができる。この作業の手間が容易になることにより、その作業時間が低減し、これに伴って検査にかかる時間を削減することができる。
【0038】
また、この実施の形態では、受信用アンテナに対して、交換可能な紙、不織布またはセロハンなどの部材からなるアンテナカバーを設けることで、さらに検査前後の被検体またはアンテナカバーへの受信用アンテナの取り付けや被検体またはアンテナカバーからの受信用アンテナの取り外しの作業を容易に行うことができる。
【0039】
また、この実施の形態では、カバー部材に形成される収容部に、挿入口から受信用アンテナを挿入することによって、受信用アンテナを収容するアンテナカバーを設け、かつカバー部材の所定面に、前記カバー部材を被検体に貼付する粘着部を設けることで、さらに検査前後の被検体またはアンテナカバーへの受信用アンテナの取り付けや被検体またはアンテナカバーからの受信用アンテナの取り外しの作業を容易に行うことができる。
【0040】
また、この実施の形態では、カバー部材の縁部に延出し、かつ所定面が非粘着部で構成されるつまみ部を設けることで、さらに検査前後の被検体またはアンテナカバーへの受信用アンテナの取り付けや被検体またはアンテナカバーからの受信用アンテナの取り外しの作業を容易に行うことができるとともに、前記粘着部および被粘着部に被さる剥離紙の取り外しが容易になる。
【0041】
また、この実施の形態では、収容部を形成するカバー部材の対向する面に孔を設けることで、アンテナカバーを介して被検体の外表面を認識可能にし、さらに被検体の外表面への受信用アンテナの取り外しの作業を容易に行うことができる。
【0042】
また、この実施の形態では、カバー部材に外力によって破断可能な断続的なミシン目を形成することで、アンテナカバーから受信用アンテナを取り外す際に、外力を加えてカバー部材をミシン目に沿って破断することによる。また、この実施の形態では、ケーブルの延出方向の垂直方向から外力を加えて受信用アンテナの取り外しを行うので、取り外し動作によるケーブルへのストレスを軽減し、断線などの障害発生を防ぐことができる。
【0043】
(実施の形態2)
図8は、図2に示した受信用アンテナの構成の他例を示す構成図であり、図9は、実施の形態2にかかるアンテナカバーの構成を示す構成図である。なお、以下の図において、図3および図4に示した受信用アンテナとアンテナカバーの構成部分と同様の構成部分に関しては、説明の都合上、同一符号を付記するものとする。
【0044】
ところで、上述した実施の形態1では、樹脂プレートA13が略矩形の受信用アンテナA1と、この受信用アンテナA1を収容する略矩形のアンテナカバーB1について説明したが、本発明はこれに限らず、たとえば図8、図9に示すような変形例によって形成することも可能である。すなわち、この実施の形態では、アンテナ装置を、図8に示すように、略円形の樹脂プレートA13を備える受信用アンテナA1と、図9に示すように、カバー部材B11,B12のつまみ部B17側の一辺を半円形に形成した半円半矩形のアンテナカバーB1とから構成する。また、収容部B14も、アンテナカバーB1の外形に合わせて半円半矩形に構成する。
【0045】
この実施の形態の場合も、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、つまみ部を持って被検体の外表面からアンテナカバーを取り外す時に、つまみ部側の一辺が半円形に構成されているので、実施の形態1の矩形の場合に較べて粘着面積が小さく、これによって取り外し時の粘着抵抗が少なくなり、さらにアンテナカバーの取り外しが容易になるという利点がある。
【0046】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3にかかるアンテナカバーの構成の一例を示す構成図である。この実施の形態では、カバー部材B11,B12に第2の透明部材として、たとえばセロハンなどを用いる場合を想定している。すなわち、図10において、カバー部材B11,B12は、透明のセロハンで構成されているので、収容部B14の中央位置に設けた孔B20,B21が不要となり、かつ挿入口B16からつまみ部B17に向って、カバー部材B11,B12にミシン目B22,B23が形成されている。
【0047】
この実施の形態の場合も、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、カバー部材に孔が不要となるので、製造工程が削減され、製造時間が短縮されるとともに、製造コストを低減することも可能となる。
【0048】
図11は、実施の形態3にかかるアンテナカバーの構成の他例を示す構成図である。この実施の形態では、カバー部材B11,B12にそれぞれ形成されるミシン目を1本ではなく、複数本たとえば所定間隔距離をとった2本ずつのミシン目B22〜B25で構成する場合を示す。この場合には、受信用アンテナの取り外し時に、たとえばミシン目B22,B24間の帯状部材B26を作業者が挿入口B16側でつまんで、図中、矢印方向に引っ張ることで、帯状部材B26がミシン目B22,B24に沿って帯状に破断されて、受信用アンテナの取り外しが可能となる。
【0049】
この実施の形態の場合も、実施の形態3の上記一例と同様の効果を奏するとともに、広範囲でカバー部材が破断されるので、さらに受信用アンテナの取り外しが容易となる。
【0050】
なお、本発明にかかるアンテナカバーは、上記実施の形態に限らず、種々の変形実施の形態が可能であり、たとえばカバー部材B11を2枚で構成させ、図10に示したミシン目の代わりに、このミシン目の中央ラインで互いの1辺が重なり合う観音開きの構造に形成する。そして、受信用アンテナを取り外す場合には、作業者がこの重なり合った1辺を摘んで、図中、左右方向に引っ張ることで、カバー部材B11を左右に開くことができる。この場合には、カバー部材のみを摘んで左右に開くので、取り外し動作によるケーブルへのストレスをさらに軽減し、断線などの障害発生を防ぐことができる。
【0051】
また、本発明では、カバー部材B11,B12に、たとえば熱を加えると強度が弱くなる部材を用い、上記ミシン目の代わりに、このミシン目の中央ラインの領域に熱を加えて変性させる変性部(破断部)を設けることで、加わる外力によるカバー部材の破断を容易にすることも可能である。
【0052】
また、本発明では、たとえばカバー部材B11,B12のミシン目の代わりに、このミシン目の中央ラインの領域のカバー部材の厚みを薄く形成する薄肉部(破断部)を設けることによって、加わる外力によるカバー部材の破断を容易にすることも可能である。
【0053】
さらに、本発明では、たとえば帯状部材B26の代わりに、カバー部材B11,B12と異なる部材で帯状部材を形成するとともに、カバー部材B11を2枚で構成させ、上記ミシン目の代わりに、このミシン目の中央ラインで互いの1辺とこの帯状部材を重ね合わせて互いを貼着するように構成することも可能である。そして、受信用アンテナを取り外す場合には、作業者がこの重なり合った帯状部材を摘んで剥がすことによって、カバー部材の破断を容易にすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態1にかかる受信装置を備えた無線型被検体内情報取得システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示した受信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した受信用アンテナの構成の一例を示す構成図である。
【図4】実施の形態1にかかるアンテナカバーの構成を示す構成図である。
【図5】図4のA−A断面を示す断面図である。
【図6】図4のアンテナカバーに図3の受信用アンテナを挿入した状態を示す図である。
【図7】図6の状態から受信用アンテナを取り出す状態を説明するための図である。
【図8】図2に示した受信用アンテナの構成の他例を示す構成図である。
【図9】実施の形態2にかかるアンテナカバーの構成を示す構成図である。
【図10】実施の形態3にかかるアンテナカバーの構成の一例を示す構成図である。
【図11】実施の形態3にかかるアンテナカバーの構成の他例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 被検体
2 受信装置
2a アンテナ群
2b 外部装置
3 カプセル型内視鏡
4 表示装置
5 携帯型記録媒体
11 受信回路
12 信号処理回路
13 記憶部
14 表示部
15 サンプルホールド回路
16 A/D変換部
17 電力供給部
A1〜An 受信用アンテナ
A11 ループ部
A12 ケーブル部
A13 樹脂プレート
B1〜Bn アンテナカバー
B11,B12 カバー部材
B13 接着剤
B14 収容部
B15,B19 粘着部
B16 挿入口
B17 つまみ部
B18 折り目
B20 非粘着部
B20,B21 孔
B22〜B25 ミシン目
B26 帯状部材
C 制御部
C1 選択制御部
CON 接続部
CON1〜CONn コネクタ
SC 切替制御部
SW 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子の少なくとも一部を収容可能な収容部を内部に形成するカバー部材と、
前記アンテナ素子を前記収容部内部に挿入可能な前記カバー部材に形成される挿入口と、
前記アンテナ素子を前記収容部内部に挿入可能な前記カバー部材に形成される挿入口と、
前記挿入口に設けられ、前記アンテナ素子が前記収容部に収容された際に、前記アンテナ素子から延出したケーブルを導出させるとともに、前記挿入口を粘着させて閉塞する粘着性を有する粘着部と、
を備えることを特徴とするアンテナカバー。
【請求項2】
前記アンテナカバーは、前記ケーブルの延出方向と略同一線上に、前記カバー部材を破断可能に形成される破断部を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載のアンテナカバー。
【請求項3】
前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される断続な薄肉部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする請求項2に記載のアンテナカバー。
【請求項4】
前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される断続な切目部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする請求項2に記載のアンテナカバー。
【請求項5】
前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される変性部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする請求項2に記載のアンテナカバー。
【請求項6】
前記破断部は、前記挿入口から前記ケーブルの延出方向と反対方向に向けて、前記カバー部材に形成される貼合部を有し、前記カバーに対して、前記延出方向の略垂直方向から加わる外力によって破断可能に形成されることを特徴とする請求項2に記載のアンテナカバー。
【請求項7】
前記カバー部材は、紙、不織布またはセロハンを貼り合せて形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のアンテナカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−6489(P2006−6489A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185555(P2004−185555)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】