アンテナ付き着衣、アンテナ付き着衣システム、及び、内視鏡システム
【課題】発信源の位置を高い精度で特定する。
【解決手段】アンテナ付き着衣に、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群を備える。
【解決手段】アンテナ付き着衣に、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣、当該信号に基づいて外部機器を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システム、及び、アンテナ付き着衣システムを備えた内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
術者が被験者の体腔内を観察する場合、ケーブルやファイバを配置した可撓管の先端部にある撮像素子によって当該体腔内の画像を撮像する電子内視鏡が広く利用されている。しかしながらこのような内視鏡は、長い可撓管を体腔内に挿入する形態である為、被験者にとって負担となっている。また、このような内視鏡では、その内部が細長く且つ蛇行した腸類に挿入させることが難しい。そこで近年、被験者の負担を軽減させると共に腸類の観察も想定したカプセル型の内視鏡を備えた様々なシステムが提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−19111号公報
【0003】
上記特許文献1に記載されたシステムは、複数のアンテナを搭載したベルトを被験者の体に巻き付けたり接着したりし、体腔内に投入したカプセル型内視鏡から発信される電波を当該アンテナによって受信させ、その発信源の位置を探知するものである。なお、当該文献において、カプセル型内視鏡は、体腔内の状態を測定するものや、体腔内の画像を撮像するものとして記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に示されたようなアンテナ付き着衣では、多くのアンテナを当該着衣上に配置できない為、発信源の位置特定の精度が低い。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、発信源の位置を高い精度で特定する為にアンテナを効率良く配置したアンテナ付き着衣、発信源の位置を高い精度で特定できるアンテナ付き着衣システム、及び、このようなアンテナ付き着衣システムを備えた内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るアンテナ付き着衣は、外部機器からの信号を受信する機能を有したものであり、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群を備えている。
【0007】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係るアンテナ付き着衣は、外部機器からの信号を受信する機能を有したものであり、各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナを備えている。
【0008】
ここで、上記アンテナ付き着衣は、例えば複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、各通信チップとそれぞれに対応するアンテナとを接続/分離するためのコネクタとを更に備えたものであっても良い。
【0009】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るアンテナ付き着衣システムは、外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したものであり、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、第一のアンテナ群及び第二のアンテナ群に含まれた各アンテナの受信強度を検出してその情報を取得する強度情報取得手段と、取得された強度情報の各々を比較する強度情報比較手段と、比較結果に基づいて少なくとも二本のアンテナを特定するアンテナ特定手段を備えており、特定アンテナを参照し、該外部機器の位置を特定する。
【0010】
なお、上記アンテナ付き着衣システムは、特定アンテナの強度情報を取得した時刻を計時する計時手段と、該時刻と特定アンテナとを関連付けて記憶する記憶手段を更に備えたものであっても良く、特定アンテナに加えて該時刻も参照し、該外部機器の位置を特定することができる。なお、取得された強度情報が所定数に満たない場合、今回取得された強度情報のアンテナに加え、記憶手段に記憶された強度情報も参照し、該外部機器の位置を特定することもできる。
【0011】
また、上記アンテナ付き着衣システムでは、最も高い受信強度を有するアンテナにより、外部機器からの信号を捕捉することができる。
【0012】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係るアンテナ付き着衣システムは、外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したものであり、各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナと、複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、複数の通信チップからの信号を処理し記録する制御ユニットを備えている。そして複数の通信チップの各々は、自身と他の通信チップが取得した強度情報を比較し、比較結果を隣接する通信チップを介して制御ユニットに出力する。更に、制御ユニットは、比較結果に基づいて通信チップを制御する。
【0013】
なお、上記アンテナ付き着衣システムでは、該比較結果は、通信チップの識別情報とそれが取得した強度情報とを関連付けたチップデータを少なくとも二つ含んだものであっても良い。また、複数の通信チップの各々は、自身が取得した強度情報が、該比較結果に含まれる少なくとも二つの強度情報の中のいずれか一つよりも高い場合、当該比較結果に自身のチップデータを書き込むことができる。
【0014】
また、上記アンテナ付き着衣システムでは、制御ユニットは、該比較結果を参照し、最も高い強度情報を取得した通信チップを、外部機器からの信号を捕捉する通信チップとして設定することができる。
【0015】
また、上記アンテナ付き着衣システムは、例えば各通信チップとそれぞれに対応するアンテナとを接続/分離するためのコネクタを更に備えたものであっても良い。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る内視鏡システムは、体腔内に投入されるカプセル型内視鏡であって、該体腔内の画像を撮像して信号を生成し、生成された信号を外部に無線で発信するカプセル型内視鏡と、カプセル型内視鏡から発信された信号を受信して処理し、制御ユニット内の所定の記憶装置に記憶する上述したいずれかのアンテナ付き着衣システムと、記憶された信号を用いて、該体腔内の映像を表示するモニタと該体腔内の状態を解析する機能を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアンテナ付き着衣、アンテナ付き着衣システム、及び、内視鏡システムを採用すると、発信源の位置を二次元で囲まれた領域内に特定することができる為、当該発信源が位置し得る領域を狭い範囲に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の内視鏡システムの構成及び作用について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1の内視鏡システム10の構成を示したブロック図である。術者は、本実施例1の内視鏡システム10を使用することにより、被験者1の体腔内の様相を観察し、当該被験者1を診断することができる。
【0020】
内視鏡システム10は、カプセル型内視鏡100、アンテナ付きジャケット200、及び、モニタ付きPCを含む外部処理システム300を有している。カプセル型内視鏡100は、被験者1の体腔内を撮像する為に当該体腔内に投入される小型の内視鏡である。アンテナ付きジャケット200は、体腔内を観察する為に被験者1に着用させるジャケットであり、カプセル型内視鏡100から発信される画像情報を含んだ信号(以下、「ビデオ信号」と称する)を取得することができる。外部処理システム300は、アンテナ付きジャケット200で取得された画像情報を表示、解析することが出来る。ここでいう解析とは、例えば取得された画像情報に基づいて、体腔内の表面形状やその分布の傾向、或いは、画像情報の色信号成分の体腔内表面の色分布の傾向を分析し、通常状態(正常部分)と異なる状態の部分を抽出することを示す。これにより、大量に取得された画像情報に基づき、異常がありそうな部分の候補を予めピックアップすることができ、診断の高速化等が可能となる。なお、本システムにおいて外部処理システム300は、常にアンテナ付ジャケット200及び制御ユニット220と接続している必要はない。
【0021】
図2は、本実施例1のカプセル型内視鏡100の構成を示したブロック図である。カプセル型内視鏡100は、微小な内視鏡である為、細長く且つ蛇行した腸類に容易に進入してその内部を撮像することができる。カプセル型内視鏡100は、各構成要素に電源を供給する電源部102、全体の制御を司る制御部104、各種データが記憶されるメモリ106、体腔内を照明する2つの照明部108、体腔内を観察する為の対物光学系110、体腔内の画像を撮像する固体撮像素子112、外部(ここではアンテナ付きジャケット200)との間で通信を行うための発信部114、及び、送受信するアンテナ部115を備えている。
【0022】
電源がオンされて被験者1の体腔内に投入されると、カプセル型内視鏡100は、照明部108によって当該体腔内を照明する。体腔内の壁部などで反射された照明光は、対物光学系110に入射され、対物光学系110の像側焦点面上にその受光面を有した固体撮像素子112に受光される。
【0023】
固体撮像素子112は、受光された反射光を光電変換し、「ビデオ信号」を生成する。制御部104は、発信部114を制御し、生成された「ビデオ信号」を変調する。変調された「ビデオ信号」は、アンテナ部115を介して外部に発信される。本実施例1において、アンテナ部115から発信された「ビデオ信号」は、アンテナ付きジャケット200によって受信される。
【0024】
次に、本実施例1のアンテナ付きジャケット200の構成及び作用について説明する。本実施例1のアンテナ付きジャケット200は、複数のアンテナを効率良く配置することにより、外部機器(ここではカプセル型内視鏡100)の位置特定を高い精度で実現させ得たものである。
【0025】
図3は、本実施例1の内視鏡システム10の中からアンテナ付きジャケット200を抽出して示した図である。また、図4は、アンテナ付きジャケット200の断面図である。図4(a)は図3のA−A断面を示した図であり、図4(b)は図3のB−B断面を示した図である。
【0026】
なお、本実施例1のアンテナ付きジャケット200では、アンテナによって捕捉された外部機器からの信号や他の各種信号を、周知の二次元拡散信号伝送(2 Dimension- Diffusive Signal-Transmission)テクノロジ(以下、「2D−DST」と称する)によって後述の制御ユニット220に伝送している。この為、アンテナ付きジャケット200内部には、有線ケーブルや銅箔のパターンを用いることなく、例えばカプセル型内視鏡100から発信された信号を伝送する回路が構築され得る。
【0027】
ここで、上記2D−DSTとは、特開平2003−188882号公報やウェブ上(株式会社セルクロス、[平成18年8月検索]、インターネット、〈http://www.cellcross.co.jp/technology.html〉)で開示された技術であって、個別に配線を必要とすることなく、複数の素子(以下、DST(Diffusive Signal-Transmission)チップと称する)の各々が中継地点として機能し、信号を目的地に向けてパケットで伝送させていく技術である。
【0028】
アンテナ付きジャケット200は、被験者1の体の一部を覆うよう型取られている。そしてその上側(着用時に被験者1の胸部付近に位置する箇所)には、2D−DSTによる信号伝送を実行する為の帯状の信号伝送基板120Uが、ジャケット全周に渡って一続きに内在している。また、その下側端部にも、同様の信号伝送基板120Dが、ジャケット全周に渡って一続きに内在している。なお、信号伝送基板120U及び120Dには、その長手方向に沿ってDSTチップ230(DSTチップの内容については後述)が複数配置されている。また、これらの信号伝送基板120U及び120Dは、その一部において制御ユニット220に接続されている。
【0029】
制御ユニット220は、信号伝送基板120U及び120Dにおいて構築され得る信号伝送の回路全体を制御したり、入力された信号を処理、記録したりするユニットである。あるDSTチップ230からの信号は、それぞれの基板において、2D−DSTにより、各DSTチップ230を中継して制御ユニット220に伝送される。
【0030】
図4に示されるように、アンテナ付きジャケット200は、例えば絶縁ゴムや絶縁性の布等の柔軟性及び絶縁性を有した計六枚の絶縁シート111〜116を積層させたものである。絶縁シート111はアンテナ付きジャケット200の裏側(被験者側)に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート111、112、113、114、115、116の順に積層されている。なお、絶縁シート111及び116は、アンテナ付きジャケット200の内部と外部とを絶縁している。また、絶縁シート112〜115は、信号伝送基板120U及び120Dと、カプセル型内視鏡100からの信号を受信する複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0031】
信号伝送基板120Uは、グランド層122U、信号層124U、及び、複数のDSTチップ230を有している。グランド層122U及び信号層124Uは、例えば導電ゴムや導電体が織り込まれた布等の柔軟性及び導電性を有したシートから成る。2D−DSTによる信号伝送が実行されるとき、グランド層122Uはグランド電位となる信号層を成し、信号層124Uは、DSTチップ230間で所定の信号(例えばアンテナによって受信された「ビデオ信号」(以下、「受信ビデオ信号」と称する))を伝送するための信号層を成す。なお、グランド層122Uは絶縁シート113に埋設されており、信号層124Uは絶縁シート115に埋設されている。従って、グランド層122Uと信号層124Uは互いに絶縁された状態で積層されている。また、DSTチップ230は、絶縁シート113及び114に跨るように埋設されている。
【0032】
アンテナ140は、信号伝送基板120Uから信号伝送基板120D近傍に掛けて所定の方向に沿って延在する棒状または平面状のアンテナであり、隣接するアンテナ140と互いに平行になるように複数本配列されている。各アンテナ140は、絶縁シート112に埋設されており、信号伝送基板120U中の一つのDSTチップ230と接続されている。
【0033】
また、信号伝送基板120Dは、グランド層122D、信号層124D、及び、複数のDSTチップ230を有している。グランド層122D及び信号層124Dは、グランド層122U及び信号層124Uと同様の構成及び機能を有している。なお、グランド層122Dは絶縁シート114に埋設されており、信号層124Dは絶縁シート112に埋設されている。従って、グランド層122Dと信号層124Dは互いに絶縁された状態で積層されている。また、DSTチップ230は、絶縁シート113及び114に跨るように埋設されている。
【0034】
アンテナ150は、信号伝送基板120Dから信号伝送基板120U近傍に掛けて、何本かのアンテナ140と交差して延在する棒状、または平面状のアンテナであり、隣接するアンテナ150と互いに平行になるように複数本配列されている。各アンテナ150は、絶縁シート115に埋設されており、信号伝送基板120D中の一つのDSTチップ230と接続されている。
【0035】
上述したようにアンテナ140とアンテナ150は互いに交差して配列されている。ここで、図5に、アンテナ付きジャケット200中の絶縁シート111〜116を除いた構成を示した図であって、当該構成を二次元に展開した概略図を示す。図5に示されるように、各アンテナ140は、何本かのアンテナ150と二次元平面上において交差している。また、各アンテナ150は、何本かのアンテナ140と二次元平面上において交差している。なお、図5において、アンテナ140U1、140U2、140U3、140U4、140U5は、DSTチップ230U1、230U2、230U3、230U4、230U5にそれぞれ接続されている。また、アンテナ150D1、150D2、150D3、150D4、150D5は、DSTチップ230D1、230D2、230D3、230D4、230D5にそれぞれ接続されている。
【0036】
次に、DSTチップ230の構成及び作用について説明する。DSTチップ230は、アンテナ140又は150によって受信された信号を捕捉する機能と、2D−DSTによって制御ユニット220に当該信号を伝送する機能を有している。
【0037】
図6は、本実施例1のDSTチップ230の構成を示したブロック図である。DSTチップ230は、制御部232、メモリ234、及び、通信部236を有している。
【0038】
制御部232は、当該チップ全体の制御を統括的に実行するものであり、アンテナ140又は150によって受信された信号を補足し、2D−DSTによる信号伝送を実行出来る形態に受信信号を処理することができる。メモリ234は、自身のID情報(アンテナ付きジャケット200上における位置情報を含むものであっても良い)、所定の目的地に向けて信号伝送する為の経路情報等を記憶しており、さらに、アンテナ140又は150によって受信された信号を一時的に保持することができる。通信部236は、2D−DSTによる信号伝送を実行する為に、隣接したDSTチップ230との通信を果たす。
【0039】
制御部232によって捕捉された信号は、所定の目的地である制御ユニット220に向け、信号伝送基板120U又は120D中の各DSTチップ230を中継して伝送されていく。
【0040】
図7は、本実施例1の制御ユニット220の構成を示したブロック図である。制御ユニット220は、制御部221、電源222、通信部223、メモリ224、信号処理部225、及び、インターフェース部226を有している。
【0041】
制御部221は、アンテナ付きジャケット200全体を統括的に制御する。電源222は、アンテナ付きジャケット200全体の電源として機能する。例えば各DSTチップ230の駆動電源は、2D−DSTによって信号層124を介し、電源222から供給される。また、通信部223は、2D−DSTによって信号層124を介し、制御ユニット220に最も近接したDSTチップ230との通信を果たす。このため、信号層124では、前記の通信時における信号と電源222から供給される電源とが重畳された状態で伝送される。メモリ224は、各種制御用プログラムや、各アンテナ140又は150及び各DSTチップ230に関する情報を記憶し、DSTチップ230からの伝送信号等を含む各種データを格納することができる。信号処理部225は、上記伝送信号の一つである「受信ビデオ信号」等の情報に所定の処理を施し、それらをメモリ224に送り記憶させたり、インターフェース部266を介し外部処理システム300に信号を出力する為の処理を行うことが出来る。インターフェース部226は、外部装置との信号、及び外部電源との接続部である。本実施例1では、制御ユニット220を、インターフェース部226によって外部処理システム300といった外部装置と接続させることができる。なお、制御部221は、時刻を計時する計時部221を有しており、計時した時刻情報を必要に応じてメモリ224に格納させることができる。
【0042】
図8は、本実施例1の制御ユニット220(より正確には制御部221)が実行する処理であって、体腔内に投入されたカプセル型内視鏡100の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。なお、本実施例1の位置特定処理は、電源222がオンされると開始され、電源222がオフされると終了する。
【0043】
制御ユニット220の電源スイッチがオンされると、制御部221は、自身を初期化し(ステップ1、以下、ステップをSと略記)、全てのDSTチップ230に、電源222によって電力を供給すると共に初期化命令を出力する(S2)。なお、電力は、2D−DSTによって信号層124を介して各DSTチップ230に供給される。また、初期化命令は、信号層124D及び124Uを介して各DSTチップ230に受信される。
【0044】
各DSTチップ230は、電力が供給されて初期化命令を受信すると、自身周辺のチップとの相対位置関係情報(隣のチップはどれであるかというような一種の位置情報)を取得し自己のID情報の一部とすると共に、自身に接続されたアンテナ140又は150の受信強度を検出し、その強度情報をメモリ234に一時的に格納する。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報と自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成し、当該「チップデータ」を、伝送経路情報に基づいて2D−DSTによって制御ユニット220に伝送する。各DSTチップ230からの「チップデータ」を受信すると、制御部221は、それらの「チップデータ」をメモリ224に格納する(S3)。
【0045】
制御部221は、全てのDSTチップ230からの「チップデータ」を取得した時点で、それらの各々に含まれる強度情報を比較する(S4)。そしてその比較結果の中で、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230(すなわち受信強度が最も高いアンテナに接続されたDSTチップ230)を、外部機器すなわちカプセル型内視鏡100からの「ビデオ信号」を受信して捕捉する「信号捕捉チップ」として設定する。また、二番目に高い強度情報、三番目に高い強度情報、及び、四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230を、引き続き「チップデータ」を出力する「チップデータ出力チップ」として設定する(S5)。
【0046】
S5の処理でチップを設定すると、制御部221は、「信号捕捉チップ」として設定した一つのDSTチップ230に、「受信ビデオ信号」を捕捉し、捕捉された「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを送信させる送信命令を出力する。また、「チップデータ出力チップ」として設定した三つのDSTチップ230に、「チップデータ」を送信させる送信命令を出力する(S6)。
【0047】
なお、「信号捕捉チップ」は、制御部221からの送信命令を受信すると、ある程度の容量の「受信ビデオ信号」(例えば1フレームに相当する「受信ビデオ信号」)をメモリ234に蓄積する。そして前記の容量の「受信ビデオ信号」が蓄積されると、当該「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを制御ユニット220に出力する。そしてこれ以降は、自身が「信号捕捉チップ」に設定されている限り、送信命令の有無に拘わらず、前記の容量の「受信ビデオ信号」が蓄積される度に当該「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを制御ユニット220に出力する。
【0048】
制御部221は、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」からの信号を受信すると(S7)、計時部221aによって計時された時刻であって、「信号捕捉チップ」からの信号を受信した時刻を、各チップからの受信信号と共に一つのデータ(以下、このデータを「受信データ」と称する)としてメモリ224に格納する(S8)。なお、制御部221は、ここで格納された「受信データ」に含まれる「受信ビデオ信号」に対し、信号処理部225によって所定の処理を施した状態でメモリ224に格納することも出来る。
そして、信号処理部225、インターフェース部226を介し、処理された信号を外部処理システム300に出力する。これにより、外部処理システム300において、体腔内の観察画像が表示され、これに基づいて患部の状態を解析することができる。
【0049】
制御部221は、次に、受信状況が悪い場合にも位置特定をできる限り精度良く実行する為に、「受信データ」に含まれる強度情報が四つ全て揃っているか否かを判定する(S9)。強度情報が四つ全て揃っていると判定した場合(S9:YES)、制御部221は、これらの強度情報に関連付けられたID情報を参照し、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S11)。
【0050】
ここで、図5を用い、制御部221で実行される位置特定のアルゴリズムを説明する。なお、以下では説明を簡潔にする為に、アンテナの受信強度は、基本的には、当該アンテナとカプセル型内視鏡100との距離に比例し、その他の要因には左右されないものとする。
【0051】
カプセル型内視鏡100が位置Pにあるとき、当該位置Pの最も近くに位置するアンテナ150D2の受信強度が最も高く、アンテナ140U2の受信強度が二番目に高く、アンテナ140U3の受信強度が三番目に高く、アンテナ150D3の受信強度が四番目に高くなる。制御部221は、これら四本のアンテナの強度情報に基づき、当該四本のアンテナに囲まれた領域内にカプセル型内視鏡100が位置すると推定する。そしてさらに、アンテナ150D2の受信強度が最も高く且つアンテナ140U2の受信強度が二番目に高いことから、カプセル型内視鏡100の位置を領域R内に特定する。
【0052】
本実施例1では、より高い精度で位置特定を実行する為にアンテナを四本用いている。しかしながら制御部221はカプセル型内視鏡100の位置を二次元で特定する為、配列されているアンテナのピッチ及び要求されている位置特定の精度にもよるが、位置特定に用いられるアンテナの本数は最低二本あれば良い(この場合、四本のアンテナを用いて位置特定を行うときよりも精度が低下する)。位置特定の精度は、主に、位置特定に用いられるアンテナの数や配置間隔に依存して決まる。
【0053】
また、S9の処理において、上記強度情報が四つに満たないと判定した場合(S9:NO)、制御部221は、メモリ224に格納されている各「受信データ」に含まれる受信時刻の情報に基づいて少なくとも一つの「受信データ」を選択し、選択された「受信データ」に含まれる「信号捕捉チップ」の位置情報及び受信時刻情報を参照して(S10)カプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定する。そしてこれにより推定されるカプセル型内視鏡100が位置し得る範囲と、例えば三つの強度情報(すなわち四つに満たない一以上の強度情報)で推定される範囲とを掛け合わせて更に範囲を絞り込み、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S11)。なお、ここでの「受信データ」の選択条件には様々なものがあり、例えばメモリ224に格納されている最新の「受信データ」のみ、又は、最新の「受信データ」を含む(又は含まない)複数の「受信データ」、或いは、全ての「受信データ」を選択するものが想定される。
【0054】
カプセル型内視鏡100が例えば図5の位置P1にあるとき、当該位置P1の最も近くに位置するアンテナ140U4の受信強度が最も高く、アンテナ150D5の受信強度が二番目に高く、アンテナ150D4の受信強度が三番目に高く、アンテナ140U5の受信強度が四番目に高くなる。ここで、例えばアンテナ140U5とカプセル型内視鏡100との間にシールドとして作用するような部品や異物等が介在し、当該アンテナ140U5の受信強度が微弱となる場合、制御部221は、三本のアンテナだけで位置特定を実行することになる。この為、カプセル型内視鏡100の位置を領域R1とR2とを含む領域までにしか絞れない。
【0055】
ここで、制御部221は、より精度の高い位置特定を実現する為に、直前までに記録された「受信データ」に含まれる位置情報を参照する(例えば前回特定されたカプセル型内視鏡100の位置を参照する)。前回のカプセル型内視鏡100の位置がP2であり、制御部221によって特定された位置が領域R3である場合、領域R1の方が領域R2よりも領域R3に近い。制御部221は、カプセル型内視鏡100が突然大きく移動しないことを前提に、領域R3により近い領域R1内にカプセル型内視鏡100が移動したと推定し、その位置を領域R1内に特定する。
【0056】
また、カプセル型内視鏡100が、例えばいずれかのアンテナの真下に位置する場合、或いは、複数(少なくとも二本)のアンテナとの距離が同一となるように位置する場合、受信強度が同一となる二本のアンテナが存在することになる。この為、先に説明された強度情報不足の例と同様に位置特定の範囲が広くなってしまう。ただしこのような場合にも、計時された時刻の情報に基づいて前回までに格納された「受信データ」を参照することにより、例えばカプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定し、それにより、その範囲をより狭いものに限定することができる。また、過去の「受信データ」を複数読み出し、それらに含まれる上記位置情報及び受信時刻情報に基づいてカプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定して位置を特定することもできる。
【0057】
S11の処理で位置特定が実行されると、制御部221は、現在「信号捕捉チップ」に設定しているDSTチップ230の強度情報が、少なくとも残り三つの「チップデータ出力チップ」に比べても最も高いか否かを判定する(S12)。前記の強度情報が最も高いと判定した場合(S12:YES)、制御部221は、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」の設定を更新するタイミングであるか否かを判定する(S13)。例えば強度情報がある設定値(最低受信強度)よりも低いとき、制御部221は、前記のタイミングでないと判定して(S13:NO)S7の処理に戻り、上述したS7〜S13までの一連の処理を再び実行する。
【0058】
現在「信号捕捉チップ」に設定しているDSTチップ230の強度情報よりも高い強度情報を有したものが残り3つの「チップデータ出力チップ」の中にあると判定した場合(S12:NO)、或いは、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」の強度情報がある設定値(最低受信強度)より低いと判断される、または上記のチップから来る強度情報が異常で、強度情報のリセットが必要と判断された等で、設定を更新するタイミングであると判定した場合(S13:YES)、制御部221は、全てのDSTチップ230に対し、「チップデータ」を送信させる送信命令を出力する(S14)。
【0059】
各DSTチップ230は、S14の処理で出力された送信命令に応答し、「チップデータ」を制御ユニット220に向けて出力する。各DSTチップ230からの「チップデータ」を受信すると、制御部221は、S3の処理と同様に、それらの「チップデータ」をメモリ224に格納する(S15)。そして今回格納された全ての「チップデータ」に含まれる強度情報の各々を比較し、最も高い、二番目に高い、三番目に高い、及び、四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230を判定する。ここで、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の「信号捕捉チップ」とが異なる場合、或いは、二から四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の三つの「チップデータ出力チップ」との中で一つでも異なるものがある場合(S16:YES)、制御部221は、各チップを再設定する為にS5の処理に戻り、チップ再設定後、上述したS6〜S16までの一連の処理を再び実行する。なお、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の「信号捕捉チップ」、及び、二から四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の三つの「チップデータ出力チップ」が全て同一の場合に限り(S16:NO)、制御部221は、S7の処理に戻り、上述したS7〜S16までの一連の処理を再び実行する。
【0060】
本実施例1の如く複数のアンテナ140又は150からなる二つのアンテナ群を互いに交差するように配列すると、二次元平面上においてそれらのアンテナが二方向に延在する。これら二方向に延在する複数のアンテナの受信強度を参照することにより、カプセル型内視鏡100の位置を二次元で囲まれた領域内に特定することができる為、カプセル型内視鏡100が位置し得る領域を狭い範囲に特定することが可能となる。
【0061】
なお、本実施例1では2D−DSTによって各DSTチップを経由させて信号を伝送しているが、別の実施例では各アンテナと制御ユニットとをそれぞれ独立して接続させたケーブルやパターン等によって当該信号を伝送させることもできる。
【0062】
次に、図面を参照して、様々な変形例の一部(実施例2〜6)を示す。なお、以下の図面において、図1〜7に示された本実施例1の内視鏡システム10と同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【実施例2】
【0063】
図9は、本発明の実施例2のアンテナ付きジャケットの断面図であって、図4(a)に対応した断面図である。本実施例2のアンテナ付きジャケットは、計八枚の絶縁シート1111〜1118を積層させたものである。絶縁シート1111はアンテナ付きジャケットの裏側に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート1111、1112、1113、1114、1115、1116、1117、1118の順に積層されている。なお、絶縁シート1111及び1118は、アンテナ付きジャケットの内部と外部とを絶縁している。絶縁シート1112〜1117は、信号伝送基板を構成するグランド層122、信号層124、DSTチップ230a及び230b、及び、複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0064】
本実施例2のアンテナ付きジャケットでは、その上側に配列されたDSTチップ230bと、下側に配列されたDSTチップ230aとが共通のグランド層122及び信号層124に接続されている。上側のDSTチップ230bと下側のDSTチップ230aとが相互通信可能である為、本実施例2のアンテナ付きジャケットは、実施例1のアンテナ付きジャケット200と比較すると、信号伝送経路の自由度が向上する。従って、設定された経路中のチップに不具合が生じた場合であっても、代替的な様々な経路を設定することができる。
【実施例3】
【0065】
図10は、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの構成を示した図である。図10(a)は、図5と同様の図であって、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分とチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。また、図10(b)は、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの断面図であって、図10(a)のC−C断面を示した図である。
【0066】
本実施例3のアンテナ付きジャケットは、計九枚の絶縁シート2111〜2119を積層させたものである。絶縁シート2111はアンテナ付きジャケットの裏側に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート2111、2112、2113、2114、2115、2116、2117、2118、2119の順に積層されている。なお、絶縁シート2111及び2119は、アンテナ付きジャケットの内部と外部とを絶縁している。絶縁シート2112〜2118は、信号伝送基板を構成するグランド層122、信号層124、DSTチップ230c及び230d、及び、複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0067】
本実施例3のアンテナ付きジャケットでは、その上側に配列されたDSTチップ230dと、下側に配列されたDSTチップ230cとが、近接して配置され、共通のグランド層122及び信号層124に接続されている。他の実施例と比較すると各チップ間の距離が短い為、信号伝送の速度が向上する。
【実施例4】
【0068】
図11は、図5と同様の図であって、本発明の実施例4のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。本実施例4のアンテナ付きジャケットは、その上側に、DSTチップ230A1、230A2、230A3を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120U、その下側に、DSTチップ230B1、230B2、230B3、230B4を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120Dを備えている。なお、各信号伝送基板120は、本実施例1と同様に、制御ユニット220にそれぞれ独立して接続されている。
【0069】
各DSTチップは、自身を中心として二方向に延在するV字型のアンテナに接続されている。例えばDSTチップ230A1は、幾つかのV字型アンテナ140及びV字型アンテナ150と交差するように配置されたV字型アンテナ140A1に接続されている。また、DSTチップ230A2、230A3は、V字型アンテナ140A2、V字型アンテナ140A3にそれぞれ接続されている。また、DSTチップ230B1も、幾つかのV字型アンテナ140及びV字型アンテナ150と交差するように配置されたV字型アンテナ150B1に接続されている。また、DSTチップ230B2、230B3、230B4も、V字型アンテナ150B2、V字型アンテナ150B3、V字型アンテナ150B4にそれぞれ接続されている。
【0070】
図12は、本実施例4の制御ユニット220の制御部221が実行する処理であって、体腔内に投入されたカプセル型内視鏡100の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。なお、本実施例4の位置特定処理は、本実施例1と同様に、電源222がオンされると開始され、電源222がオフされると終了する。
【0071】
制御ユニット220の電源スイッチがオンされると、制御部221は、自身を初期化し(S51)、全てのDSTチップに、電源222によって電力を供給すると共に信号伝送経路を確立させる為の経路確立命令を出力する(S52)。
【0072】
各DSTチップは、電力が供給されて経路確立命令を受信すると、所定のアルゴリズムで信号伝送経路を決定し、決定された経路の情報と自身のID情報とを関連付けて制御ユニット220に向けて出力する。制御部221は、各DSTチップからの上記情報をメモリ224に格納すると共に、全てのDSTチップから上記情報を受け取ったか否かを監視する(S53)。そして全てのDSTチップから経路情報を受け取ったと判定すると(S53:YES)、制御部221は、各DSTチップに対して初期化命令を出力する(S54)。
【0073】
次に、図13を用い、上記初期化命令を受信した後の各DSTチップの制御部232が実行する初期動作処理について説明する。なお、以下に説明される本実施例4の各DSTチップで実行される処理は、制御ユニット220からの電力供給が途絶えると終了する。また、信号伝送基板120Uと120Dで実行される処理は同様のものである為、以下においては、信号伝送基板120Uで実行される処理のみを説明し、信号伝送基板120Dで実行される処理は省略する。
【0074】
制御部232は、上記初期化命令を受信すると初期化(例えば後述の特定フラグ=0にする等)を行い(S101)、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度を検出し、その強度情報MMYをメモリ234に一時的に格納する(S102)。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報MMYと自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成する。
【0075】
ここで、ある一つのDSTチップ(例えば制御ユニット220から最も遠くに位置したDSTチップ)は、他のDSTチップと異なる動作をする。具体的には、「チップデータ」を作成後、最も高い受信強度の強度情報MMAXを得たDSTチップに関する情報MAX、及び、二番目に高い受信強度の強度情報M2ndを得たDSTチップに関する情報2ndを有した「チップ特定信号」を、更に作成し、隣接チップに送信する。なお、このDSTチップは、「チップ特定信号」に、情報MAX及び情報2ndとして自身の「チップデータ」を入れる。
【0076】
「チップデータ」のみを作成した各DSTチップ(すなわち上記「チップ特定信号」を作成したもの以外のDSTチップ)の制御部232は、「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する(S103)。「チップ特定信号」を受信したと判定した場合(S103:YES)、制御部232は、過去に「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する為の特定フラグが1であるか否かを判定する(S104)。特定フラグが1でないと判定した場合(S104:NO)、制御部232は、「チップ特定信号」を受信したため当該特定フラグを1にする(S105)。
【0077】
制御部232は、次に、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報MMAXよりも高いものであるか否かを判定する(S106)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S106:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S107)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報MAXが自身の「チップデータ」、情報2ndが先程までの情報MAXとなるように書き換える。
【0078】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S106:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M2ndよりも高いものであるか否かを判定する(S108)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S108:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S109)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報2ndが自身の「チップデータ」となるように書き換える。
【0079】
強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S106:NO)、又はS107或いはS109の書き換え処理後、制御部232は、「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S110)、S103の処理に戻る。なお、S101からS110までの上述した一連の処理は、全てのDSTチップにおいて実行される。従って、信号伝送基板120U中の全てのDSTチップを経由した「チップ特定信号」には、信号伝送基板120Uの中の全DSTチップを比較した結果得られた情報MAX及び情報2ndが含まれる。
【0080】
ここで、S104の処理において、特定フラグが1であると判定した場合(S104:YES)、制御部232は、S105からS110までの上述した一連の処理を実行しており、次の段階として「チップ特定信号」に含まれる情報MAXが自身の「チップデータ」であるか否かを判定する(S111)。
【0081】
情報MAXが自身の「チップデータ」であると判定した場合(S111:YES)、制御部232は、自身のIDを「AMAX」とし、情報2ndに該当するチップのIDを「A2nd」とした「チップ決定信号」を作成する(S112)。「チップ決定信号」作成後、又は、情報MAXが自身の「チップデータ」でないと判定した場合(S111:NO)、制御部232は、「チップ決定信号」又は「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S113)、S103の処理に戻る。なお、S104からS113までの上述した一連の処理は、「チップ特定信号」の伝送順序と逆の順序(すなわち「チップ特定信号」を最後に受信したDSTチップから「チップ特定信号」を作成したDSTチップに至る順序)で実行される。
【0082】
全てのDSTチップでS113の処理が成されると、「チップ決定信号」は、上述した「チップ特定信号」の伝送順序で各DSTチップに送信され、最後に制御ユニット220に送信される。ここで、受信した信号が「チップ特定信号」でなく(S103:NO)「チップ決定信号」である場合(S114:YES)、制御部232は、当該「チップ決定信号」を参照し、自身がどのチップとして機能するかを判定する(S115)。「チップ決定信号」を参照した結果、自身が「AMAX」チップであると判定した場合(S115:AMAX)、制御部232は、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「A2nd」チップであると判定した場合(S115:A2nd)、制御部232は、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「AMAX」チップでも「A2nd」チップでもないと判定した場合(S115:他チップ)、制御部232は、「他」チップとして振る舞うべく、図16のフローチャートに示す処理を実行する。
【0083】
なお、制御ユニット220の制御部221は、図12のS54の初期化命令発行後、「チップ決定信号」の受信を監視している(S55)。そして「チップ決定信号」を受信すると、制御部221は、各チップに対し、「AMAX」チップ、又は「A2nd」チップ、或いは「他」チップとして動作する為の通常受信命令を出力する(S56)。
【0084】
先ず、図14のフローチャートを参照し、「AMAX」チップの動作について説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S121)、「AMAX」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報と「受信ビデオ信号」とを取得する(S122)。そして「チップデータ」を作成すると共に、作成した「チップデータ」と「受信ビデオ信号」とを含んだ「前受信信号」を作成して(S123)「A2nd」チップに送信する(S124)。なお、「AMAX」チップは、「チップ決定信号」の内容を参照することにより、「A2nd」チップがいずれのチップであるかを把握している。「AMAX」チップから出力された「前受信信号」は、2D−DSTによって「他」チップを中継するなどして、「A2nd」チップに伝送される。
【0085】
図15のフローチャートを参照し、「A2nd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S141)、「A2nd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報を取得し(S142)、「チップデータ」を作成する。そして「AMAX」チップによって作成される「前受信信号」を受信したか否かを監視する(S143)。「前受信信号」を受信したと判定した場合(S143:YES)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」のタイプに応じた処理を実行する(S144)。また、所定時間待機しても「前受信信号」を受信しなかった場合(S143:NO)、「A2nd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S143の受信監視処理を再実行する。
【0086】
「前受信信号」のタイプが後述する付加信号を持たないものである場合(S144:付加信号なし)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号」を作成して(S145)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S146)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「AMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S147)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S147:YES)、「A2nd」チップは、自身を「AMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S148)「AMAX」チップに送信し(S149)、S142の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S147:NO)、いずれの信号も作成することなくS142の処理に戻る。
【0087】
更に、図16のフローチャートを参照し、「他」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S161)、「他」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報を取得し(S162)、「チップデータ」を作成する。そして「A2nd」チップによって作成される「受信信号」を受信したか否かを監視する(S163)。
【0088】
「受信信号」を受信したと判定した場合(S163:YES)、「他」チップは、当該「受信信号」を制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S164)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「AMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S165)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S165:YES)、自身を「AMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S167)「AMAX」チップに送信し(S168)、S162の処理に戻る。
【0089】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S165:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「A2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S166)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S166:YES)、自身を「A2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S167)「AMAX」チップに送信し(S168)、S162の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S166:NO)、いずれの信号も作成することなくS162の処理に戻る。
【0090】
なお、制御ユニット220の制御部221は、図12のS56の通常受信命令発行後、「受信信号」の受信を監視している(S57)。そして「受信信号」を受信すると、制御部221は、当該「受信信号」をメモリ224に格納する(S58)。更に、格納された「受信信号」に含まれる各「チップデータ」を参照し、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S59)。位置特定後、S57の処理に戻り、「受信信号」の受信を再度監視する。なお、信号伝送基板120U及び120Dの各々から送信される「受信信号」には二つの「チップデータ」が含まれている。この為、本実施例4の制御部221は、計四つの「チップデータ」によって位置特定を実行する。
【0091】
ここで、カプセル型内視鏡100が図11の位置P4にあるとき、信号伝送基板120Uからの「受信信号」の「AMAX」チップがDSTチップ230A3、「A2nd」チップがDSTチップ230A1となり、信号伝送基板120Dからの「受信信号」の「BMAX」チップ(「AMAX」チップに相当)がDSTチップ230B4、「B2nd」(「A2nd」チップに相当)チップがDSTチップ230B1となる。また、DSTチップ230A3の強度情報MMAXがDSTチップ230B4の強度情報MMAXよりも高い。このような場合、制御部221は、本実施例1と同様のアルゴリズムにより、カプセル型内視鏡100の位置を領域R4内に特定することができる。
【0092】
なお、制御部221は、図12のS58の処理において「受信信号」を格納する際に、各信号伝送基板から得られる「受信信号」の強度情報MMAXを比較し、その値が高い「受信信号」のみをメモリ224に格納する。そして格納された「受信信号」に含まれる「受信ビデオ信号」が1フレーム分の画像に達すると(一つの「受信信号」に含まれる「受信ビデオ信号」が1フレーム分の画像を含むときは直ちに)、1フレーム分の当該「受信ビデオ信号」に対し、信号処理部225によって所定の処理を施し、メモリ224に格納する。そして、メモリ224に格納された所定の処理を施された「受信ビデオ信号」は、さらに信号処理部225によって通信するのに最適な所定の処理が施された上で、インターフェース部226を介し、変換された画像信号を外部処理システム300に出力される。これにより、外部処理システム300において、体腔内の観察画像が表示され、これに基づいて患部の状態を解析することが出来る。
【0093】
ここで図14のフローチャートに戻り、「AMAX」チップの動作について再び説明する。「AMAX」チップは、S124の「前受信信号」送信処理後、「昇格信号」を受信したか否かを判定する(S125)。ここで、「昇格信号」を受信していないと判定した場合(S125:NO)、「前受信信号」を送信するタイミングであるか否かを判定する(S126)。「前受信信号」を送信するタイミングでないと判定した場合(S126:NO)、S125の処理を再び実行する。また、「前受信信号」を送信するタイミングであると判定した場合(S126:YES)、S122の処理に戻り、新しい「前受信信号」を作成して「A2nd」チップに送信する。
【0094】
S125の処理で「昇格信号」を受信したと判定した場合(S125:YES)、「AMAX」チップは、当該「昇格信号」を参照してその発信元を判定する(S127)。発信元が「A2nd」チップであると判定した場合(S127:A2nd)、新しい「前受信信号」を作成して(S128)「A2nd」チップに送信する(S129)。そして自身は「A2nd」チップに降格する為、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「A2nd」チップを「AMAX」チップに昇格させる為の「切替信号A」を付加したもの(付加信号が付加されたもの)である。
【0095】
また、発信元が「他」チップであると判定した場合(S127:他チップ)、「AMAX」チップは、新しい「前受信信号」を作成して(S130)「A2nd」チップに送信する(S131)。なお、ここで作成される「前受信信号」は、「受信ビデオ信号」の区切りに、「他」チップを「AMAX」チップに昇格させる為の「切替信号B1」を付加したもの、又は、「他」チップを「A2nd」チップに昇格させる為の「切替信号B2」を付加したものである。「昇格信号」が図16のS165の処理において高いと判定されたときに作成されたものである場合、「切替信号B1」が付加される。また、「昇格信号」が図16のS166の処理において高いと判定されたときに作成されたものである場合、「切替信号B2」が付加される。
【0096】
新たな「前受信信号」送信後、「AMAX」チップは、当該「前受信信号」に付加された「切替信号B」のタイプに応じた処理を実行する(S132)。「切替信号B1」である場合(S132:切替信号B1)、自身は「A2nd」チップに降格する為、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。また、「切替信号B2」である場合(S132:切替信号B2)、自身は「AMAX」チップのままで且つ「A2nd」チップと「他」チップとが入れ替わる為、「昇格信号」の発信元の「他」チップが「A2nd」チップとなるようにそのIDをセットアップし(S133)、S122の処理に戻って「AMAX」チップとしての処理を続行する。
【0097】
ここで図15のフローチャートに戻り、「A2nd」チップの動作についても再び説明する。S144の処理において、「前受信信号」のタイプが「切替信号A」を付加したもの(付加信号ありのもの)である場合(S144:切替信号A付)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号」を作成して(S150)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S151)。「切替信号A」は「AMAX」チップへの昇格を示す信号である為、「A2nd」チップは、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のS133の処理に進む。
【0098】
また、S144の処理において、「前受信信号」のタイプが「切替信号B1」又は「切替信号B2」を付加したものである場合(S144:切替信号B付)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号X」を作成する(S152)。そして作成した「受信信号X」を、「切替信号B1」又は「切替信号B2」を付加する元になった「他」チップを経由して制御ユニット220に伝送されるよう、隣接チップに送信する(S153)。「A2nd」チップにとって「切替信号B1」又は「切替信号B2」は「他」チップへの降格を示す信号である為、「A2nd」チップは、「他」チップとして振る舞うべく、図16のS162の処理に進む。
【0099】
また、図16のフローチャートに戻り、「他」チップの動作についても再び説明する。S163の処理において、「受信信号」を受信していないと判定した場合(S163:NO)、「他」チップは、「A2nd」チップによって作成され得る「受信信号X」を受信したか否かを判定する(S169)。ここで、「受信信号X」を受信したと判定した場合(S169:YES)、当該「受信信号X」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであるか否かを判定する(S170)。自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであると判定した場合(S170:YES)、「他」チップは、S167の「昇格信号」作成処理の履歴に基づき、「AMAX」チップ又は「A2nd」チップに変更する(S171)。「AMAX」チップに変更する場合(S171:AMAX)、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のS133の処理に進む。また、「A2nd」チップに変更する場合(S171:A2nd)、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。なお、「受信信号X」を受信していない(S169:NO)、又は、「受信信号X」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものでないと判定した場合(S170:NO)、「他」チップは、S162の処理に戻る。
【0100】
本実施例4では、一つのDSTチップに搭載された一つのアンテナが二方向に延在している為、本実施例1と比べて遜色のない位置特定精度を実現すると共にDSTチップ230の数を削減することができる。
【実施例5】
【0101】
図17は、図5と同様の図であって、本発明の実施例5のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。本実施例5のアンテナ付きジャケットは、その下側にのみ、DSTチップ230C1、230C2、230C3、230C4、230C5、230C6、230C7を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120を備えている。
【0102】
各DSTチップは、本実施例4のV字型アンテナ150と同様のアンテナに接続されている。DSTチップ230C1、230C2、230C3、230C4、230C5、230C6、230C7は、V字型アンテナ150C1、150C2、150C3、150C4、150C5、150C6、150C7にそれぞれ接続されている。
【0103】
次に、図18〜図22を参照し、本実施例5の各DSTチップが実行する処理について説明する。なお、本実施例5の制御ユニット220の制御部221は、本実施例4のものと同様の動作をする為、ここでの詳細な説明は省略する。
【0104】
先ず、図18を用い、上記初期化命令(図12のS54の処理参照)を受信した後の各DSTチップの制御部232が実行する初期動作処理について説明する。
【0105】
制御部232は、上記初期化命令を受信すると初期化(例えば後述の特定フラグ=0にする等)を行い(S201)、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度を検出し、その強度情報MMYをメモリ234に一時的に格納する(S202)。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報MMYと自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成する。
【0106】
ここで、ある一つのDSTチップ(例えば制御ユニット220から最も遠くに位置したDSTチップ)は、他のDSTチップと異なる動作をする。具体的には、「チップデータ」を作成後、最も高い受信強度の強度情報MMAXを得たDSTチップに関する情報MAX、二番目に高い受信強度の強度情報M2ndを得たDSTチップに関する情報2nd、及び、三番目に高い受信強度の強度情報M3rdを得たDSTチップに関する情報3rdを有した「チップ特定信号」を、更に作成し、隣接チップに送信する。なお、このDSTチップは、「チップ特定信号」に、情報MAX及び情報2nd並びに情報3rdとして自身の「チップデータ」を入れる。
【0107】
「チップデータ」のみを作成した各DSTチップの制御部232は、「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する(S203)。「チップ特定信号」を受信したと判定した場合(S203:YES)、制御部232は、本実施例4と同様の特定フラグが1であるか否かを判定する(S204)。特定フラグが1でないと判定した場合(S204:NO)、制御部232は、「チップ特定信号」を受信したため当該特定フラグを1にする(S205)。
【0108】
制御部232は、次に、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報MMAXよりも高いものであるか否かを判定する(S206)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S206:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S207)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報MAXが自身の「チップデータ」、情報2ndが先程までの情報MAX、情報3rdが先程までの情報2ndとなるように書き換える。
【0109】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S206:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M2ndよりも高いものであるか否かを判定する(S208)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S208:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S209)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報2ndが自身の「チップデータ」、情報3rdが先程までの情報2ndとなるように書き換える。
【0110】
また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S208:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M3rdよりも高いものであるか否かを判定する(S210)。強度情報MMYが強度情報M3rdよりも高いと判定した場合(S210:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S211)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報3rdが自身の「チップデータ」となるように書き換える。
【0111】
強度情報MMYが強度情報M3rdよりも低いと判定した場合(S210:NO)、又はS207、S209、或いはS211の書き換え処理後、制御部232は、「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S212)、S203の処理に戻る。なお、S201からS212までの上述した一連の処理は、全てのDSTチップにおいて実行される。従って、信号伝送基板120中の全てのDSTチップを経由した「チップ特定信号」には、信号伝送基板120の中の全DSTチップを比較した結果得られた情報MAX、情報2nd、及び、情報3rdが含まれる。
【0112】
ここで、S204の処理において、特定フラグが1であると判定した場合(S204:YES)、制御部232は、S205からS212までの上述した一連の処理を実行しており、次の段階として「チップ特定信号」に含まれる情報MAXが自身の「チップデータ」であるか否かを判定する(S213)。
【0113】
情報MAXが自身の「チップデータ」であると判定した場合(S213:YES)、制御部232は、自身のIDを「CMAX」とし、情報2ndに該当するチップのIDを「C2nd」とし、情報3rdに該当するチップのIDを「C3rd」とした「チップ決定信号」を作成する(S214)。「チップ決定信号」作成後、又は、情報MAXが自身の「チップデータ」でないと判定した場合(S213:NO)、制御部232は、「チップ決定信号」又は「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S215)、S203の処理に戻る。なお、S204からS215までの上述した一連の処理は、「チップ特定信号」の伝送順序と逆の順序(すなわち「チップ特定信号」を最後に受信したDSTチップから「チップ特定信号」を作成したDSTチップに至る順序)で実行される。
【0114】
全てのDSTチップでS215の処理が成されると、「チップ決定信号」は、上述した「チップ特定信号」の伝送順序で各DSTチップに送信され、最後に制御ユニット220に送信される。ここで、受信した信号が「チップ特定信号」でなく(S203:NO)「チップ決定信号」である場合(S216:YES)、制御部232は、当該「チップ決定信号」を参照し、自身がどのチップとして機能するかを判定する(S217)。「チップ決定信号」を参照した結果、自身が「CMAX」チップであると判定した場合(S217:CMAX)、制御部232は、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「C2nd」チップであると判定した場合(S217:C2nd)、制御部232は、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「C3rd」チップであると判定した場合(S217:C3rd)、制御部232は、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップのいずれでもないと判定した場合(S217:他チップ)、制御部232は、「他」チップとして振る舞うべく、図22のフローチャートに示す処理を実行する。
【0115】
先ず、図19のフローチャートを参照し、「CMAX」チップの動作について説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S221)、「CMAX」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報と、「受信ビデオ信号」とを取得する(S222)。そして「チップデータ」を作成すると共に、作成した「チップデータ」と「受信ビデオ信号」とを含んだ「前受信信号1」を作成して(S223)、「C2nd」チップに送信する(S224)。
【0116】
図20のフローチャートを参照し、「C2nd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S241)、「C2nd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S242)、「チップデータ」を作成する。そして「CMAX」チップによって作成される「前受信信号1」を受信したか否かを監視する(S243)。「前受信信号1」を受信したと判定した場合(S243:YES)、「C2nd」チップは、「前受信信号1」に自身の「チップデータ」を加えた「前受信信号2」を作成し(S244)、「C3rd」チップに送信する(S245)。そして受信した「前受信信号1」のタイプに応じた処理を実行する(S246)。なお、S243の処理において所定時間待機しても「前受信信号1」を受信しなかった場合(S243:NO)、「C2nd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S243の受信監視処理を再実行する。また、受信した「前受信信号1」に後述の「切替信号4」が付加されていた場合、「C2nd」チップは、その旨を報知する信号を、S244の処理で作成する「前受信信号2」に付加しておく。
【0117】
「前受信信号1」のタイプが付加された信号を持たないものである場合(S246:付加信号なし)、「C2nd」チップは、自身の強度情報MMYが「受信信号1」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S247)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S247:YES)、「C2nd」チップは、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S248)「CMAX」チップに送信し(S249)、S242の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S247:NO)、いずれの信号も作成することなくS242の処理に戻る。
【0118】
次に、図21のフローチャートを参照し、「C3rd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S261)、「C3rd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S262)、「チップデータ」を作成する。そして「C2nd」チップによって作成される「前受信信号2」を受信したか否かを監視する(S263)。「前受信信号2」を受信したと判定した場合(S263:YES)、「C3rd」チップは、「前受信信号2」に自身の「チップデータ」を加えた「前受信信号」を作成して(S264)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S265)。そして受信した「前受信信号2」のタイプに応じた処理を実行する(S266)。なお、S263の処理において所定時間待機しても「前受信信号2」を受信しなかった場合(S263:NO)、「C3rd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S263の受信監視処理を再実行する。また、受信した「前受信信号2」にS244の処理で説明された「切替信号4」付加の報知信号が付加されている場合、「C3rd」チップは、S264の処理において、「受信信号」に上記報知信号を付加した「受信信号Y」を作成する。
【0119】
なお、本実施例5では、上記に示されるように「受信信号」に三つの「チップデータ」が含まれている。この為、本実施例5の制御ユニット220の制御部221は、三つの「チップデータ」によって位置特定を実行する。
【0120】
「前受信信号2」のタイプが付加信号を持たないものである場合(S266:付加信号なし)、「C3rd」チップは、自身の強度情報MMYが、「受信信号2」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S267)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S267:YES)、「C3rd」チップは、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S269)「CMAX」チップに送信し(S270)、S262の処理に戻る。
【0121】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S267:NO)、「C3rd」チップは、強度情報MMYが「受信信号2」に含まれる「C2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S268)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S268:YES)、「C3rd」チップは、自身を「C2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S269)「CMAX」チップに送信し(S270)、S262の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S268:NO)、いずれの信号も作成することなくS262の処理に戻る。
【0122】
更に、図22のフローチャートを参照し、「他」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S281)、「他」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S282)、「チップデータ」を作成する。そして「C3rd」チップによって作成される「受信信号」を受信したか否かを監視する(S283)。
【0123】
「受信信号」を受信したと判定した場合(S283:YES)、「他」チップは、当該「受信信号」を制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S284)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S285)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S285:YES)、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。
【0124】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S285:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「C2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S286)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S286:YES)、自身を「C2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。
【0125】
また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S286:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「C3rd」チップの強度情報M3rdよりも高いか否かを判定する(S287)。強度情報MMYが強度情報M3rdよりも高いと判定した場合(S287:YES)、自身を「C3rd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M3rdよりも低いと判定した場合(S287:NO)、いずれの信号も作成することなくS282の処理に戻る。
【0126】
ここで図19のフローチャートに戻り、「CMAX」チップの動作について再び説明する。「CMAX」チップは、S224の「前受信信号1」送信処理後、「昇格信号」を受信したか否かを判定する(S225)。ここで、「昇格信号」を受信していないと判定した場合(S225:NO)、「前受信信号1」を送信するタイミングであるか否かを判定する(S226)。「前受信信号1」を送信するタイミングでないと判定した場合(S226:NO)、S225の処理を再び実行する。また、「前受信信号1」を送信するタイミングであると判定した場合(S226:YES)、S222の処理に戻り、新しい「前受信信号1」を作成して「C2nd」チップに送信する。
【0127】
S225の処理で「昇格信号」を受信したと判定した場合(S225:YES)、「CMAX」チップは、当該「昇格信号」を参照してその発信元を判定する(S227)。発信元が「C2nd」チップであると判定した場合(S227:C2nd)、新しい「前受信信号1」を作成して(S228)「C2nd」チップに送信する(S229)。そして自身は「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C2nd」チップを「CMAX」チップに昇格させる為の「切替信号1」を付加したものである。「C2nd」チップが「CMAX」チップに昇格する場合、「C3rd」チップ及び「他」チップは変更されない。
【0128】
また、発信元が「C3rd」チップであると判定した場合(S227:C3rd)、「CMAX」チップは、「昇格信号」のタイプに応じた処理を実行する(S230)。なお、ここでの「昇格信号」のタイプには、「C3rd」チップを「CMAX」チップに昇格させるタイプα、「C3rd」チップを「C2nd」チップに昇格させるタイプβがある。「C3rd」チップが「CMAX」チップに昇格する場合(すなわちタイプα)、「CMAX」チップが「C2nd」チップ、「C2nd」チップが「C3rd」チップに降格し、「他」チップは変更されない。また、「C3rd」チップが「C2nd」チップに昇格する場合(すなわちタイプβ)、「CMAX」チップ及び「他」チップは変更されない。
【0129】
「昇格信号」がタイプαである場合(S230:α)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S231)「C2nd」チップに送信する(S232)。そして自身は「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C3rd」チップを「CMAX」チップに昇格させる為の「切替信号2」を付加したものである。
【0130】
また、「昇格信号」がタイプβである場合(S230:β)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S233)「C2nd」チップに送信し(S234)、S222の処理に戻る。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C3rd」チップを「C2nd」チップに昇格させる為の「切替信号3」を付加したものである。
【0131】
また、発信元が「他」チップであると判定した場合(S227:他チップ)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S235)「C2nd」チップに送信する(S236)。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに、「他」チップを「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格させる為の「切替信号4」を付加したものである。「切替信号4」の内容は、図22のS285、S286、S287の処理に応じて決定される。
【0132】
「CMAX」チップは、「切替信号4」の内容が「他」チップを「CMAX」チップに昇格させるものである場合(S237:C2nd)、自身が「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。また、「切替信号4」の内容が「他」チップを「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格させるものである場合(S237:変更なし)、自身は「CMAX」チップのままで且つ「C3rd」チップ、又は、「C2nd」チップ及び「C3rd」チップが変更する為、その変更に応じた新しい「C2nd」チップ及び「C3rd」チップのIDをセットアップし(S238)、S222の処理に戻って「CMAX」チップとしての処理を続行する。
【0133】
ここで図20のフローチャートに戻り、「C2nd」チップの動作についても再び説明する。S246の処理において、「前受信信号1」のタイプが「切替信号」を付加したものである場合(S246:切替信号付)、「C2nd」チップは、当該「切替信号」のタイプに応じた処理を実行する(S250)。「CMAX」チップへの昇格を示す信号である「切替信号1」である場合(S250:切替信号1)、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。
【0134】
また、「C3rd」チップが「CMAX」チップ又は「C2nd」チップに昇格する為の「切替信号2」又は「切替信号3」である場合(S250:切替信号2又は3)、「C2nd」チップは、「C3rd」チップに降格する為、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。
【0135】
また、「他」チップがいずれかに昇格する為の「切替信号4」である場合(S250:切替信号4)、「C2nd」チップは、当該「切替信号4」の内容に応じた処理を実行する(S251)。「切替信号4」の内容が「他」チップを「CMAX」チップ又は「C2nd」チップに昇格させる内容である場合(S251:C3rd)、「C3rd」チップに降格する為、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。また、「切替信号4」の内容が「他」チップを「C3rd」チップに昇格させる内容である場合(S251:変更なし)、自身は変わらず「C2nd」チップである為、S242の処理に戻って「C2nd」チップとしての処理を続行する。
【0136】
また、図21のフローチャートに戻り、「C3rd」チップの動作についても再び説明する。S266の処理において、「前受信信号2」のタイプが「切替信号」を付加したものである場合(S266:切替信号付)、「C3rd」チップは、当該「切替信号」のタイプに応じた処理を実行する(S271)。「切替信号1」である場合(S271:切替信号1)、「CMAX」チップと「C2nd」チップとが入れ替わるだけであり、自身は変わらず「C3rd」チップである為、S262の処理に戻って「C3rd」チップとしての処理を続行する。
【0137】
また、「CMAX」チップへの昇格を示す信号である「切替信号2」である場合(S271:切替信号2)、「C3rd」チップは、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。
【0138】
また、「C2nd」チップへの昇格を示す信号である「切替信号3」である場合(S271:切替信号3)、「C3rd」チップは、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。
【0139】
また、「切替信号4」である場合(S271:切替信号4)、「他」チップが「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格する為、「C3rd」チップは、「他」チップへと降格する。従って、「C3rd」チップは、「他」チップとして振る舞うべく、図22のS282の処理に進む。
【0140】
また更に、図22のフローチャートに戻り、「他」チップの動作についても再び説明する。S283の処理において、「受信信号」を受信していないと判定した場合(S283:NO)、「他」チップは、「C3rd」チップによって作成され得る「受信信号Y」を受信したか否かを判定する(S290)。ここで、「受信信号Y」を受信したと判定した場合(S290:YES)、当該「受信信号Y」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであるか否かを判定する(S291)。自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであると判定した場合(S291:YES)、「他」チップは、S288の「昇格信号」作成処理の履歴に基づき、いずれかのチップに変更する(S292)。「CMAX」チップに変更する場合(S292:CMAX)、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。また、「C2nd」チップに変更する場合(S292:C2nd)、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。また、「C3rd」チップに変更する場合(S292:C3rd)、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。なお、「受信信号Y」を受信していない(S290:NO)、又は、「受信信号Y」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものでないと判定した場合(S291:NO)、自身は変わらず「他」チップである為、S282の処理に戻って「他」チップとしての処理を続行する。
【0141】
本実施例5では、V字型のアンテナに接続されたDSTチップ230をアンテナ付きジャケットの下側のみに配置している。従って、本実施例4における効果に加え、信号伝送基板を一系統にしたことによるコストメリットも有する。
【0142】
また、本実施例4及び5では、各DSTチップで相互通信を実行している為、制御ユニット220の負担が他の実施例と比べて軽減されている。ただし別の観点においては、本実施例1では、各DSTチップ230の負担が、信号伝送のみに限定されている為、本実施例4及び5と比べて軽減されている。製造者は、要求される仕様に応じて制御ユニット220又はDSTチップ230のいずれの負担を軽減させるかを選択し、アンテナ付きジャケットを設計することができる。
【0143】
なお、本実施例4及び5でも、本実施例1と同様に、計時部221aによって計時される時刻を利用して位置特定を実行することが可能である。また、本実施例1の如きアンテナの配列であっても、本実施例4や5で実行される各処理を適用させることが可能である。また逆に、本実施例4や5の如きアンテナの配列であっても、本実施例1で実行される各処理を適用させることが可能である。
【実施例6】
【0144】
図23は、本発明の実施例6のアンテナ付きジャケット200zの構成を示した図である。本実施例6のアンテナ付きジャケット200zには、本実施例1のアンテナ付きジャケット200と同様に、複数のアンテナ140及び150が埋設されている。各アンテナ140、150の一端にはコネクタ部240が取り付けられている。コネクタ部240は、アンテナ付きジャケット200の上側(着用時に被験者1の胸部付近に位置する箇所)、及び、下側端部においてそれぞれ複数個設置されている。
【0145】
またアンテナ付きジャケット200zは、着脱可能な信号伝送基板120U’及び120D’を備えている。信号伝送基板120U’及び120D’は帯状に形成されている。信号伝送基板120U’及び120D’上には複数のDSTチップ230が一列に並ぶよう設置されている。これらのDSTチップ230はコネクタ部240と同一ピッチで配置されており、各コネクタ部240と機械的及び電気的に接続するための周知の構造(例えばスナップ構造等)を有している。このため各DSTチップ230と各コネクタ部240とが接続されたとき、各アンテナ140及び150がコネクタ部240を介してDSTチップ230と電気的に接続される。これにより、本実施例6のアンテナ付きジャケット200zは、本実施例1のアンテナ付きジャケット200と同様に機能することが可能となる。
【0146】
ここで、アンテナ付きジャケットに対する要望として、例えば衛生上の理由により、アンテナ付きジャケットを「使い捨て」として、又は、毎回洗浄して使用したいというものが想定される。ところがDSTチップ230は比較高価な部品である。従ってアンテナ付きジャケットを「使い捨て」とすることは実使用上において困難であり得た。またDSTチップ230は耐水性もないため、洗浄もできなかった。
【0147】
そこで、本発明の実施例6の如く、DSTチップ230を実装した信号伝送基板120U’及び120D’をアンテナ付きジャケット200zから着脱自在としたことにより、比較的安価なジャケット部分のみを使い捨てにして、信号伝送基板120U’及び120D’を繰り返し使用することが可能となる。これにより、ランニングコストを大幅に抑えることが可能となる。また耐水性のないDSTチップ230を着脱自在としたことにより、洗浄可能なアンテナ付きジャケットを提供することも可能となる。
【0148】
以上が本発明の実施例である。本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0149】
なお、各実施例ではアンテナによって捕捉された「受信ビデオ信号」や強度情報等を2D−DSTによって制御ユニット220に伝送しているが、別の実施例ではケーブルやパターン等を用いたディジーチェインの形態で各種信号を伝送するようにしても良い。
【0150】
また、各実施例では3又は4本のアンテナを用いてカプセル型内視鏡100の位置を特定しているが、別の実施例ではより多くのアンテナを用いて当該位置を特定しても良い。位置特定に用いるアンテナが多ければ多いほど、位置特定精度が向上する。
【0151】
また、受信データ取得時(リアルタイム)に受信位置の判断が誤っていたとしても、記録された受信データには受信チップのIDが添付されているため、最終的な受信位置特定(推定)は、外部処理システム300に受信データ全てを移送した後、改めて解析し直し、取得出来た受信データの位置を校正し、再特定(推定)することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の実施例1の内視鏡システムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例1のカプセル型内視鏡の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施例1の内視鏡システムの中からアンテナ付きジャケットを抽出して示した図である。
【図4】本発明の実施例1のアンテナ付きジャケットの断面図である。
【図5】本発明の実施例1のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図6】本発明の実施例1のDSTチップの構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の実施例1の制御ユニットの構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の実施例1のカプセル型内視鏡の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2のアンテナ付きジャケットの断面図である。
【図10】本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの構成を示した図である。
【図11】本発明の実施例4のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図12】本発明の実施例4のカプセル型内視鏡の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。
【図13】本発明の実施例4の各DSTチップの制御部が実行する初期動作処理を示したフローチャートである。
【図14】本発明の実施例4の「AMAX」チップの動作を示したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例4の「A2nd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図16】本発明の実施例4の「他」チップの動作を示したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例5のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図18】本発明の実施例5の各DSTチップの制御部が実行する初期動作処理を示したフローチャートである。
【図19】本発明の実施例5の「CMAX」チップの動作を示したフローチャートである。
【図20】本発明の実施例5の「C2nd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図21】本発明の実施例5の「C3rd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図22】本発明の実施例5の「他」チップの動作を示したフローチャートである。
【図23】本発明の実施例6の内視鏡システムに備えられたアンテナ付きジャケットを示した図である。
【符号の説明】
【0153】
10 内視鏡システム
100 カプセル型内視鏡
140、150 アンテナ
200 アンテナ付きジャケット
220 制御ユニット
230 DSTチップ
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣、当該信号に基づいて外部機器を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システム、及び、アンテナ付き着衣システムを備えた内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
術者が被験者の体腔内を観察する場合、ケーブルやファイバを配置した可撓管の先端部にある撮像素子によって当該体腔内の画像を撮像する電子内視鏡が広く利用されている。しかしながらこのような内視鏡は、長い可撓管を体腔内に挿入する形態である為、被験者にとって負担となっている。また、このような内視鏡では、その内部が細長く且つ蛇行した腸類に挿入させることが難しい。そこで近年、被験者の負担を軽減させると共に腸類の観察も想定したカプセル型の内視鏡を備えた様々なシステムが提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−19111号公報
【0003】
上記特許文献1に記載されたシステムは、複数のアンテナを搭載したベルトを被験者の体に巻き付けたり接着したりし、体腔内に投入したカプセル型内視鏡から発信される電波を当該アンテナによって受信させ、その発信源の位置を探知するものである。なお、当該文献において、カプセル型内視鏡は、体腔内の状態を測定するものや、体腔内の画像を撮像するものとして記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1に示されたようなアンテナ付き着衣では、多くのアンテナを当該着衣上に配置できない為、発信源の位置特定の精度が低い。
【0005】
そこで、本発明は上記の事情に鑑み、発信源の位置を高い精度で特定する為にアンテナを効率良く配置したアンテナ付き着衣、発信源の位置を高い精度で特定できるアンテナ付き着衣システム、及び、このようなアンテナ付き着衣システムを備えた内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する本発明の一態様に係るアンテナ付き着衣は、外部機器からの信号を受信する機能を有したものであり、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群を備えている。
【0007】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係るアンテナ付き着衣は、外部機器からの信号を受信する機能を有したものであり、各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナを備えている。
【0008】
ここで、上記アンテナ付き着衣は、例えば複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、各通信チップとそれぞれに対応するアンテナとを接続/分離するためのコネクタとを更に備えたものであっても良い。
【0009】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係るアンテナ付き着衣システムは、外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したものであり、少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、第一のアンテナ群及び第二のアンテナ群に含まれた各アンテナの受信強度を検出してその情報を取得する強度情報取得手段と、取得された強度情報の各々を比較する強度情報比較手段と、比較結果に基づいて少なくとも二本のアンテナを特定するアンテナ特定手段を備えており、特定アンテナを参照し、該外部機器の位置を特定する。
【0010】
なお、上記アンテナ付き着衣システムは、特定アンテナの強度情報を取得した時刻を計時する計時手段と、該時刻と特定アンテナとを関連付けて記憶する記憶手段を更に備えたものであっても良く、特定アンテナに加えて該時刻も参照し、該外部機器の位置を特定することができる。なお、取得された強度情報が所定数に満たない場合、今回取得された強度情報のアンテナに加え、記憶手段に記憶された強度情報も参照し、該外部機器の位置を特定することもできる。
【0011】
また、上記アンテナ付き着衣システムでは、最も高い受信強度を有するアンテナにより、外部機器からの信号を捕捉することができる。
【0012】
また、上記の課題を解決する本発明の別の態様に係るアンテナ付き着衣システムは、外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したものであり、各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナと、複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、複数の通信チップからの信号を処理し記録する制御ユニットを備えている。そして複数の通信チップの各々は、自身と他の通信チップが取得した強度情報を比較し、比較結果を隣接する通信チップを介して制御ユニットに出力する。更に、制御ユニットは、比較結果に基づいて通信チップを制御する。
【0013】
なお、上記アンテナ付き着衣システムでは、該比較結果は、通信チップの識別情報とそれが取得した強度情報とを関連付けたチップデータを少なくとも二つ含んだものであっても良い。また、複数の通信チップの各々は、自身が取得した強度情報が、該比較結果に含まれる少なくとも二つの強度情報の中のいずれか一つよりも高い場合、当該比較結果に自身のチップデータを書き込むことができる。
【0014】
また、上記アンテナ付き着衣システムでは、制御ユニットは、該比較結果を参照し、最も高い強度情報を取得した通信チップを、外部機器からの信号を捕捉する通信チップとして設定することができる。
【0015】
また、上記アンテナ付き着衣システムは、例えば各通信チップとそれぞれに対応するアンテナとを接続/分離するためのコネクタを更に備えたものであっても良い。
【0016】
また、上記の課題を解決する本発明の一態様に係る内視鏡システムは、体腔内に投入されるカプセル型内視鏡であって、該体腔内の画像を撮像して信号を生成し、生成された信号を外部に無線で発信するカプセル型内視鏡と、カプセル型内視鏡から発信された信号を受信して処理し、制御ユニット内の所定の記憶装置に記憶する上述したいずれかのアンテナ付き着衣システムと、記憶された信号を用いて、該体腔内の映像を表示するモニタと該体腔内の状態を解析する機能を備えている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアンテナ付き着衣、アンテナ付き着衣システム、及び、内視鏡システムを採用すると、発信源の位置を二次元で囲まれた領域内に特定することができる為、当該発信源が位置し得る領域を狭い範囲に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の内視鏡システムの構成及び作用について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例1の内視鏡システム10の構成を示したブロック図である。術者は、本実施例1の内視鏡システム10を使用することにより、被験者1の体腔内の様相を観察し、当該被験者1を診断することができる。
【0020】
内視鏡システム10は、カプセル型内視鏡100、アンテナ付きジャケット200、及び、モニタ付きPCを含む外部処理システム300を有している。カプセル型内視鏡100は、被験者1の体腔内を撮像する為に当該体腔内に投入される小型の内視鏡である。アンテナ付きジャケット200は、体腔内を観察する為に被験者1に着用させるジャケットであり、カプセル型内視鏡100から発信される画像情報を含んだ信号(以下、「ビデオ信号」と称する)を取得することができる。外部処理システム300は、アンテナ付きジャケット200で取得された画像情報を表示、解析することが出来る。ここでいう解析とは、例えば取得された画像情報に基づいて、体腔内の表面形状やその分布の傾向、或いは、画像情報の色信号成分の体腔内表面の色分布の傾向を分析し、通常状態(正常部分)と異なる状態の部分を抽出することを示す。これにより、大量に取得された画像情報に基づき、異常がありそうな部分の候補を予めピックアップすることができ、診断の高速化等が可能となる。なお、本システムにおいて外部処理システム300は、常にアンテナ付ジャケット200及び制御ユニット220と接続している必要はない。
【0021】
図2は、本実施例1のカプセル型内視鏡100の構成を示したブロック図である。カプセル型内視鏡100は、微小な内視鏡である為、細長く且つ蛇行した腸類に容易に進入してその内部を撮像することができる。カプセル型内視鏡100は、各構成要素に電源を供給する電源部102、全体の制御を司る制御部104、各種データが記憶されるメモリ106、体腔内を照明する2つの照明部108、体腔内を観察する為の対物光学系110、体腔内の画像を撮像する固体撮像素子112、外部(ここではアンテナ付きジャケット200)との間で通信を行うための発信部114、及び、送受信するアンテナ部115を備えている。
【0022】
電源がオンされて被験者1の体腔内に投入されると、カプセル型内視鏡100は、照明部108によって当該体腔内を照明する。体腔内の壁部などで反射された照明光は、対物光学系110に入射され、対物光学系110の像側焦点面上にその受光面を有した固体撮像素子112に受光される。
【0023】
固体撮像素子112は、受光された反射光を光電変換し、「ビデオ信号」を生成する。制御部104は、発信部114を制御し、生成された「ビデオ信号」を変調する。変調された「ビデオ信号」は、アンテナ部115を介して外部に発信される。本実施例1において、アンテナ部115から発信された「ビデオ信号」は、アンテナ付きジャケット200によって受信される。
【0024】
次に、本実施例1のアンテナ付きジャケット200の構成及び作用について説明する。本実施例1のアンテナ付きジャケット200は、複数のアンテナを効率良く配置することにより、外部機器(ここではカプセル型内視鏡100)の位置特定を高い精度で実現させ得たものである。
【0025】
図3は、本実施例1の内視鏡システム10の中からアンテナ付きジャケット200を抽出して示した図である。また、図4は、アンテナ付きジャケット200の断面図である。図4(a)は図3のA−A断面を示した図であり、図4(b)は図3のB−B断面を示した図である。
【0026】
なお、本実施例1のアンテナ付きジャケット200では、アンテナによって捕捉された外部機器からの信号や他の各種信号を、周知の二次元拡散信号伝送(2 Dimension- Diffusive Signal-Transmission)テクノロジ(以下、「2D−DST」と称する)によって後述の制御ユニット220に伝送している。この為、アンテナ付きジャケット200内部には、有線ケーブルや銅箔のパターンを用いることなく、例えばカプセル型内視鏡100から発信された信号を伝送する回路が構築され得る。
【0027】
ここで、上記2D−DSTとは、特開平2003−188882号公報やウェブ上(株式会社セルクロス、[平成18年8月検索]、インターネット、〈http://www.cellcross.co.jp/technology.html〉)で開示された技術であって、個別に配線を必要とすることなく、複数の素子(以下、DST(Diffusive Signal-Transmission)チップと称する)の各々が中継地点として機能し、信号を目的地に向けてパケットで伝送させていく技術である。
【0028】
アンテナ付きジャケット200は、被験者1の体の一部を覆うよう型取られている。そしてその上側(着用時に被験者1の胸部付近に位置する箇所)には、2D−DSTによる信号伝送を実行する為の帯状の信号伝送基板120Uが、ジャケット全周に渡って一続きに内在している。また、その下側端部にも、同様の信号伝送基板120Dが、ジャケット全周に渡って一続きに内在している。なお、信号伝送基板120U及び120Dには、その長手方向に沿ってDSTチップ230(DSTチップの内容については後述)が複数配置されている。また、これらの信号伝送基板120U及び120Dは、その一部において制御ユニット220に接続されている。
【0029】
制御ユニット220は、信号伝送基板120U及び120Dにおいて構築され得る信号伝送の回路全体を制御したり、入力された信号を処理、記録したりするユニットである。あるDSTチップ230からの信号は、それぞれの基板において、2D−DSTにより、各DSTチップ230を中継して制御ユニット220に伝送される。
【0030】
図4に示されるように、アンテナ付きジャケット200は、例えば絶縁ゴムや絶縁性の布等の柔軟性及び絶縁性を有した計六枚の絶縁シート111〜116を積層させたものである。絶縁シート111はアンテナ付きジャケット200の裏側(被験者側)に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート111、112、113、114、115、116の順に積層されている。なお、絶縁シート111及び116は、アンテナ付きジャケット200の内部と外部とを絶縁している。また、絶縁シート112〜115は、信号伝送基板120U及び120Dと、カプセル型内視鏡100からの信号を受信する複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0031】
信号伝送基板120Uは、グランド層122U、信号層124U、及び、複数のDSTチップ230を有している。グランド層122U及び信号層124Uは、例えば導電ゴムや導電体が織り込まれた布等の柔軟性及び導電性を有したシートから成る。2D−DSTによる信号伝送が実行されるとき、グランド層122Uはグランド電位となる信号層を成し、信号層124Uは、DSTチップ230間で所定の信号(例えばアンテナによって受信された「ビデオ信号」(以下、「受信ビデオ信号」と称する))を伝送するための信号層を成す。なお、グランド層122Uは絶縁シート113に埋設されており、信号層124Uは絶縁シート115に埋設されている。従って、グランド層122Uと信号層124Uは互いに絶縁された状態で積層されている。また、DSTチップ230は、絶縁シート113及び114に跨るように埋設されている。
【0032】
アンテナ140は、信号伝送基板120Uから信号伝送基板120D近傍に掛けて所定の方向に沿って延在する棒状または平面状のアンテナであり、隣接するアンテナ140と互いに平行になるように複数本配列されている。各アンテナ140は、絶縁シート112に埋設されており、信号伝送基板120U中の一つのDSTチップ230と接続されている。
【0033】
また、信号伝送基板120Dは、グランド層122D、信号層124D、及び、複数のDSTチップ230を有している。グランド層122D及び信号層124Dは、グランド層122U及び信号層124Uと同様の構成及び機能を有している。なお、グランド層122Dは絶縁シート114に埋設されており、信号層124Dは絶縁シート112に埋設されている。従って、グランド層122Dと信号層124Dは互いに絶縁された状態で積層されている。また、DSTチップ230は、絶縁シート113及び114に跨るように埋設されている。
【0034】
アンテナ150は、信号伝送基板120Dから信号伝送基板120U近傍に掛けて、何本かのアンテナ140と交差して延在する棒状、または平面状のアンテナであり、隣接するアンテナ150と互いに平行になるように複数本配列されている。各アンテナ150は、絶縁シート115に埋設されており、信号伝送基板120D中の一つのDSTチップ230と接続されている。
【0035】
上述したようにアンテナ140とアンテナ150は互いに交差して配列されている。ここで、図5に、アンテナ付きジャケット200中の絶縁シート111〜116を除いた構成を示した図であって、当該構成を二次元に展開した概略図を示す。図5に示されるように、各アンテナ140は、何本かのアンテナ150と二次元平面上において交差している。また、各アンテナ150は、何本かのアンテナ140と二次元平面上において交差している。なお、図5において、アンテナ140U1、140U2、140U3、140U4、140U5は、DSTチップ230U1、230U2、230U3、230U4、230U5にそれぞれ接続されている。また、アンテナ150D1、150D2、150D3、150D4、150D5は、DSTチップ230D1、230D2、230D3、230D4、230D5にそれぞれ接続されている。
【0036】
次に、DSTチップ230の構成及び作用について説明する。DSTチップ230は、アンテナ140又は150によって受信された信号を捕捉する機能と、2D−DSTによって制御ユニット220に当該信号を伝送する機能を有している。
【0037】
図6は、本実施例1のDSTチップ230の構成を示したブロック図である。DSTチップ230は、制御部232、メモリ234、及び、通信部236を有している。
【0038】
制御部232は、当該チップ全体の制御を統括的に実行するものであり、アンテナ140又は150によって受信された信号を補足し、2D−DSTによる信号伝送を実行出来る形態に受信信号を処理することができる。メモリ234は、自身のID情報(アンテナ付きジャケット200上における位置情報を含むものであっても良い)、所定の目的地に向けて信号伝送する為の経路情報等を記憶しており、さらに、アンテナ140又は150によって受信された信号を一時的に保持することができる。通信部236は、2D−DSTによる信号伝送を実行する為に、隣接したDSTチップ230との通信を果たす。
【0039】
制御部232によって捕捉された信号は、所定の目的地である制御ユニット220に向け、信号伝送基板120U又は120D中の各DSTチップ230を中継して伝送されていく。
【0040】
図7は、本実施例1の制御ユニット220の構成を示したブロック図である。制御ユニット220は、制御部221、電源222、通信部223、メモリ224、信号処理部225、及び、インターフェース部226を有している。
【0041】
制御部221は、アンテナ付きジャケット200全体を統括的に制御する。電源222は、アンテナ付きジャケット200全体の電源として機能する。例えば各DSTチップ230の駆動電源は、2D−DSTによって信号層124を介し、電源222から供給される。また、通信部223は、2D−DSTによって信号層124を介し、制御ユニット220に最も近接したDSTチップ230との通信を果たす。このため、信号層124では、前記の通信時における信号と電源222から供給される電源とが重畳された状態で伝送される。メモリ224は、各種制御用プログラムや、各アンテナ140又は150及び各DSTチップ230に関する情報を記憶し、DSTチップ230からの伝送信号等を含む各種データを格納することができる。信号処理部225は、上記伝送信号の一つである「受信ビデオ信号」等の情報に所定の処理を施し、それらをメモリ224に送り記憶させたり、インターフェース部266を介し外部処理システム300に信号を出力する為の処理を行うことが出来る。インターフェース部226は、外部装置との信号、及び外部電源との接続部である。本実施例1では、制御ユニット220を、インターフェース部226によって外部処理システム300といった外部装置と接続させることができる。なお、制御部221は、時刻を計時する計時部221を有しており、計時した時刻情報を必要に応じてメモリ224に格納させることができる。
【0042】
図8は、本実施例1の制御ユニット220(より正確には制御部221)が実行する処理であって、体腔内に投入されたカプセル型内視鏡100の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。なお、本実施例1の位置特定処理は、電源222がオンされると開始され、電源222がオフされると終了する。
【0043】
制御ユニット220の電源スイッチがオンされると、制御部221は、自身を初期化し(ステップ1、以下、ステップをSと略記)、全てのDSTチップ230に、電源222によって電力を供給すると共に初期化命令を出力する(S2)。なお、電力は、2D−DSTによって信号層124を介して各DSTチップ230に供給される。また、初期化命令は、信号層124D及び124Uを介して各DSTチップ230に受信される。
【0044】
各DSTチップ230は、電力が供給されて初期化命令を受信すると、自身周辺のチップとの相対位置関係情報(隣のチップはどれであるかというような一種の位置情報)を取得し自己のID情報の一部とすると共に、自身に接続されたアンテナ140又は150の受信強度を検出し、その強度情報をメモリ234に一時的に格納する。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報と自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成し、当該「チップデータ」を、伝送経路情報に基づいて2D−DSTによって制御ユニット220に伝送する。各DSTチップ230からの「チップデータ」を受信すると、制御部221は、それらの「チップデータ」をメモリ224に格納する(S3)。
【0045】
制御部221は、全てのDSTチップ230からの「チップデータ」を取得した時点で、それらの各々に含まれる強度情報を比較する(S4)。そしてその比較結果の中で、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230(すなわち受信強度が最も高いアンテナに接続されたDSTチップ230)を、外部機器すなわちカプセル型内視鏡100からの「ビデオ信号」を受信して捕捉する「信号捕捉チップ」として設定する。また、二番目に高い強度情報、三番目に高い強度情報、及び、四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230を、引き続き「チップデータ」を出力する「チップデータ出力チップ」として設定する(S5)。
【0046】
S5の処理でチップを設定すると、制御部221は、「信号捕捉チップ」として設定した一つのDSTチップ230に、「受信ビデオ信号」を捕捉し、捕捉された「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを送信させる送信命令を出力する。また、「チップデータ出力チップ」として設定した三つのDSTチップ230に、「チップデータ」を送信させる送信命令を出力する(S6)。
【0047】
なお、「信号捕捉チップ」は、制御部221からの送信命令を受信すると、ある程度の容量の「受信ビデオ信号」(例えば1フレームに相当する「受信ビデオ信号」)をメモリ234に蓄積する。そして前記の容量の「受信ビデオ信号」が蓄積されると、当該「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを制御ユニット220に出力する。そしてこれ以降は、自身が「信号捕捉チップ」に設定されている限り、送信命令の有無に拘わらず、前記の容量の「受信ビデオ信号」が蓄積される度に当該「受信ビデオ信号」と「チップデータ」とを制御ユニット220に出力する。
【0048】
制御部221は、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」からの信号を受信すると(S7)、計時部221aによって計時された時刻であって、「信号捕捉チップ」からの信号を受信した時刻を、各チップからの受信信号と共に一つのデータ(以下、このデータを「受信データ」と称する)としてメモリ224に格納する(S8)。なお、制御部221は、ここで格納された「受信データ」に含まれる「受信ビデオ信号」に対し、信号処理部225によって所定の処理を施した状態でメモリ224に格納することも出来る。
そして、信号処理部225、インターフェース部226を介し、処理された信号を外部処理システム300に出力する。これにより、外部処理システム300において、体腔内の観察画像が表示され、これに基づいて患部の状態を解析することができる。
【0049】
制御部221は、次に、受信状況が悪い場合にも位置特定をできる限り精度良く実行する為に、「受信データ」に含まれる強度情報が四つ全て揃っているか否かを判定する(S9)。強度情報が四つ全て揃っていると判定した場合(S9:YES)、制御部221は、これらの強度情報に関連付けられたID情報を参照し、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S11)。
【0050】
ここで、図5を用い、制御部221で実行される位置特定のアルゴリズムを説明する。なお、以下では説明を簡潔にする為に、アンテナの受信強度は、基本的には、当該アンテナとカプセル型内視鏡100との距離に比例し、その他の要因には左右されないものとする。
【0051】
カプセル型内視鏡100が位置Pにあるとき、当該位置Pの最も近くに位置するアンテナ150D2の受信強度が最も高く、アンテナ140U2の受信強度が二番目に高く、アンテナ140U3の受信強度が三番目に高く、アンテナ150D3の受信強度が四番目に高くなる。制御部221は、これら四本のアンテナの強度情報に基づき、当該四本のアンテナに囲まれた領域内にカプセル型内視鏡100が位置すると推定する。そしてさらに、アンテナ150D2の受信強度が最も高く且つアンテナ140U2の受信強度が二番目に高いことから、カプセル型内視鏡100の位置を領域R内に特定する。
【0052】
本実施例1では、より高い精度で位置特定を実行する為にアンテナを四本用いている。しかしながら制御部221はカプセル型内視鏡100の位置を二次元で特定する為、配列されているアンテナのピッチ及び要求されている位置特定の精度にもよるが、位置特定に用いられるアンテナの本数は最低二本あれば良い(この場合、四本のアンテナを用いて位置特定を行うときよりも精度が低下する)。位置特定の精度は、主に、位置特定に用いられるアンテナの数や配置間隔に依存して決まる。
【0053】
また、S9の処理において、上記強度情報が四つに満たないと判定した場合(S9:NO)、制御部221は、メモリ224に格納されている各「受信データ」に含まれる受信時刻の情報に基づいて少なくとも一つの「受信データ」を選択し、選択された「受信データ」に含まれる「信号捕捉チップ」の位置情報及び受信時刻情報を参照して(S10)カプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定する。そしてこれにより推定されるカプセル型内視鏡100が位置し得る範囲と、例えば三つの強度情報(すなわち四つに満たない一以上の強度情報)で推定される範囲とを掛け合わせて更に範囲を絞り込み、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S11)。なお、ここでの「受信データ」の選択条件には様々なものがあり、例えばメモリ224に格納されている最新の「受信データ」のみ、又は、最新の「受信データ」を含む(又は含まない)複数の「受信データ」、或いは、全ての「受信データ」を選択するものが想定される。
【0054】
カプセル型内視鏡100が例えば図5の位置P1にあるとき、当該位置P1の最も近くに位置するアンテナ140U4の受信強度が最も高く、アンテナ150D5の受信強度が二番目に高く、アンテナ150D4の受信強度が三番目に高く、アンテナ140U5の受信強度が四番目に高くなる。ここで、例えばアンテナ140U5とカプセル型内視鏡100との間にシールドとして作用するような部品や異物等が介在し、当該アンテナ140U5の受信強度が微弱となる場合、制御部221は、三本のアンテナだけで位置特定を実行することになる。この為、カプセル型内視鏡100の位置を領域R1とR2とを含む領域までにしか絞れない。
【0055】
ここで、制御部221は、より精度の高い位置特定を実現する為に、直前までに記録された「受信データ」に含まれる位置情報を参照する(例えば前回特定されたカプセル型内視鏡100の位置を参照する)。前回のカプセル型内視鏡100の位置がP2であり、制御部221によって特定された位置が領域R3である場合、領域R1の方が領域R2よりも領域R3に近い。制御部221は、カプセル型内視鏡100が突然大きく移動しないことを前提に、領域R3により近い領域R1内にカプセル型内視鏡100が移動したと推定し、その位置を領域R1内に特定する。
【0056】
また、カプセル型内視鏡100が、例えばいずれかのアンテナの真下に位置する場合、或いは、複数(少なくとも二本)のアンテナとの距離が同一となるように位置する場合、受信強度が同一となる二本のアンテナが存在することになる。この為、先に説明された強度情報不足の例と同様に位置特定の範囲が広くなってしまう。ただしこのような場合にも、計時された時刻の情報に基づいて前回までに格納された「受信データ」を参照することにより、例えばカプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定し、それにより、その範囲をより狭いものに限定することができる。また、過去の「受信データ」を複数読み出し、それらに含まれる上記位置情報及び受信時刻情報に基づいてカプセル型内視鏡100の移動速度及び方向を推定して位置を特定することもできる。
【0057】
S11の処理で位置特定が実行されると、制御部221は、現在「信号捕捉チップ」に設定しているDSTチップ230の強度情報が、少なくとも残り三つの「チップデータ出力チップ」に比べても最も高いか否かを判定する(S12)。前記の強度情報が最も高いと判定した場合(S12:YES)、制御部221は、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」の設定を更新するタイミングであるか否かを判定する(S13)。例えば強度情報がある設定値(最低受信強度)よりも低いとき、制御部221は、前記のタイミングでないと判定して(S13:NO)S7の処理に戻り、上述したS7〜S13までの一連の処理を再び実行する。
【0058】
現在「信号捕捉チップ」に設定しているDSTチップ230の強度情報よりも高い強度情報を有したものが残り3つの「チップデータ出力チップ」の中にあると判定した場合(S12:NO)、或いは、「信号捕捉チップ」及び各「チップデータ出力チップ」の強度情報がある設定値(最低受信強度)より低いと判断される、または上記のチップから来る強度情報が異常で、強度情報のリセットが必要と判断された等で、設定を更新するタイミングであると判定した場合(S13:YES)、制御部221は、全てのDSTチップ230に対し、「チップデータ」を送信させる送信命令を出力する(S14)。
【0059】
各DSTチップ230は、S14の処理で出力された送信命令に応答し、「チップデータ」を制御ユニット220に向けて出力する。各DSTチップ230からの「チップデータ」を受信すると、制御部221は、S3の処理と同様に、それらの「チップデータ」をメモリ224に格納する(S15)。そして今回格納された全ての「チップデータ」に含まれる強度情報の各々を比較し、最も高い、二番目に高い、三番目に高い、及び、四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230を判定する。ここで、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の「信号捕捉チップ」とが異なる場合、或いは、二から四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の三つの「チップデータ出力チップ」との中で一つでも異なるものがある場合(S16:YES)、制御部221は、各チップを再設定する為にS5の処理に戻り、チップ再設定後、上述したS6〜S16までの一連の処理を再び実行する。なお、最も高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の「信号捕捉チップ」、及び、二から四番目に高い強度情報を出力したDSTチップ230と現在の三つの「チップデータ出力チップ」が全て同一の場合に限り(S16:NO)、制御部221は、S7の処理に戻り、上述したS7〜S16までの一連の処理を再び実行する。
【0060】
本実施例1の如く複数のアンテナ140又は150からなる二つのアンテナ群を互いに交差するように配列すると、二次元平面上においてそれらのアンテナが二方向に延在する。これら二方向に延在する複数のアンテナの受信強度を参照することにより、カプセル型内視鏡100の位置を二次元で囲まれた領域内に特定することができる為、カプセル型内視鏡100が位置し得る領域を狭い範囲に特定することが可能となる。
【0061】
なお、本実施例1では2D−DSTによって各DSTチップを経由させて信号を伝送しているが、別の実施例では各アンテナと制御ユニットとをそれぞれ独立して接続させたケーブルやパターン等によって当該信号を伝送させることもできる。
【0062】
次に、図面を参照して、様々な変形例の一部(実施例2〜6)を示す。なお、以下の図面において、図1〜7に示された本実施例1の内視鏡システム10と同一の構成には、同一の符号を付してここでの詳細な説明は省略する。
【実施例2】
【0063】
図9は、本発明の実施例2のアンテナ付きジャケットの断面図であって、図4(a)に対応した断面図である。本実施例2のアンテナ付きジャケットは、計八枚の絶縁シート1111〜1118を積層させたものである。絶縁シート1111はアンテナ付きジャケットの裏側に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート1111、1112、1113、1114、1115、1116、1117、1118の順に積層されている。なお、絶縁シート1111及び1118は、アンテナ付きジャケットの内部と外部とを絶縁している。絶縁シート1112〜1117は、信号伝送基板を構成するグランド層122、信号層124、DSTチップ230a及び230b、及び、複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0064】
本実施例2のアンテナ付きジャケットでは、その上側に配列されたDSTチップ230bと、下側に配列されたDSTチップ230aとが共通のグランド層122及び信号層124に接続されている。上側のDSTチップ230bと下側のDSTチップ230aとが相互通信可能である為、本実施例2のアンテナ付きジャケットは、実施例1のアンテナ付きジャケット200と比較すると、信号伝送経路の自由度が向上する。従って、設定された経路中のチップに不具合が生じた場合であっても、代替的な様々な経路を設定することができる。
【実施例3】
【0065】
図10は、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの構成を示した図である。図10(a)は、図5と同様の図であって、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分とチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。また、図10(b)は、本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの断面図であって、図10(a)のC−C断面を示した図である。
【0066】
本実施例3のアンテナ付きジャケットは、計九枚の絶縁シート2111〜2119を積層させたものである。絶縁シート2111はアンテナ付きジャケットの裏側に位置し、各絶縁シートは、絶縁シート2111、2112、2113、2114、2115、2116、2117、2118、2119の順に積層されている。なお、絶縁シート2111及び2119は、アンテナ付きジャケットの内部と外部とを絶縁している。絶縁シート2112〜2118は、信号伝送基板を構成するグランド層122、信号層124、DSTチップ230c及び230d、及び、複数のアンテナ140及び150を埋設している。
【0067】
本実施例3のアンテナ付きジャケットでは、その上側に配列されたDSTチップ230dと、下側に配列されたDSTチップ230cとが、近接して配置され、共通のグランド層122及び信号層124に接続されている。他の実施例と比較すると各チップ間の距離が短い為、信号伝送の速度が向上する。
【実施例4】
【0068】
図11は、図5と同様の図であって、本発明の実施例4のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。本実施例4のアンテナ付きジャケットは、その上側に、DSTチップ230A1、230A2、230A3を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120U、その下側に、DSTチップ230B1、230B2、230B3、230B4を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120Dを備えている。なお、各信号伝送基板120は、本実施例1と同様に、制御ユニット220にそれぞれ独立して接続されている。
【0069】
各DSTチップは、自身を中心として二方向に延在するV字型のアンテナに接続されている。例えばDSTチップ230A1は、幾つかのV字型アンテナ140及びV字型アンテナ150と交差するように配置されたV字型アンテナ140A1に接続されている。また、DSTチップ230A2、230A3は、V字型アンテナ140A2、V字型アンテナ140A3にそれぞれ接続されている。また、DSTチップ230B1も、幾つかのV字型アンテナ140及びV字型アンテナ150と交差するように配置されたV字型アンテナ150B1に接続されている。また、DSTチップ230B2、230B3、230B4も、V字型アンテナ150B2、V字型アンテナ150B3、V字型アンテナ150B4にそれぞれ接続されている。
【0070】
図12は、本実施例4の制御ユニット220の制御部221が実行する処理であって、体腔内に投入されたカプセル型内視鏡100の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。なお、本実施例4の位置特定処理は、本実施例1と同様に、電源222がオンされると開始され、電源222がオフされると終了する。
【0071】
制御ユニット220の電源スイッチがオンされると、制御部221は、自身を初期化し(S51)、全てのDSTチップに、電源222によって電力を供給すると共に信号伝送経路を確立させる為の経路確立命令を出力する(S52)。
【0072】
各DSTチップは、電力が供給されて経路確立命令を受信すると、所定のアルゴリズムで信号伝送経路を決定し、決定された経路の情報と自身のID情報とを関連付けて制御ユニット220に向けて出力する。制御部221は、各DSTチップからの上記情報をメモリ224に格納すると共に、全てのDSTチップから上記情報を受け取ったか否かを監視する(S53)。そして全てのDSTチップから経路情報を受け取ったと判定すると(S53:YES)、制御部221は、各DSTチップに対して初期化命令を出力する(S54)。
【0073】
次に、図13を用い、上記初期化命令を受信した後の各DSTチップの制御部232が実行する初期動作処理について説明する。なお、以下に説明される本実施例4の各DSTチップで実行される処理は、制御ユニット220からの電力供給が途絶えると終了する。また、信号伝送基板120Uと120Dで実行される処理は同様のものである為、以下においては、信号伝送基板120Uで実行される処理のみを説明し、信号伝送基板120Dで実行される処理は省略する。
【0074】
制御部232は、上記初期化命令を受信すると初期化(例えば後述の特定フラグ=0にする等)を行い(S101)、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度を検出し、その強度情報MMYをメモリ234に一時的に格納する(S102)。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報MMYと自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成する。
【0075】
ここで、ある一つのDSTチップ(例えば制御ユニット220から最も遠くに位置したDSTチップ)は、他のDSTチップと異なる動作をする。具体的には、「チップデータ」を作成後、最も高い受信強度の強度情報MMAXを得たDSTチップに関する情報MAX、及び、二番目に高い受信強度の強度情報M2ndを得たDSTチップに関する情報2ndを有した「チップ特定信号」を、更に作成し、隣接チップに送信する。なお、このDSTチップは、「チップ特定信号」に、情報MAX及び情報2ndとして自身の「チップデータ」を入れる。
【0076】
「チップデータ」のみを作成した各DSTチップ(すなわち上記「チップ特定信号」を作成したもの以外のDSTチップ)の制御部232は、「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する(S103)。「チップ特定信号」を受信したと判定した場合(S103:YES)、制御部232は、過去に「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する為の特定フラグが1であるか否かを判定する(S104)。特定フラグが1でないと判定した場合(S104:NO)、制御部232は、「チップ特定信号」を受信したため当該特定フラグを1にする(S105)。
【0077】
制御部232は、次に、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報MMAXよりも高いものであるか否かを判定する(S106)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S106:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S107)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報MAXが自身の「チップデータ」、情報2ndが先程までの情報MAXとなるように書き換える。
【0078】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S106:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M2ndよりも高いものであるか否かを判定する(S108)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S108:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S109)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報2ndが自身の「チップデータ」となるように書き換える。
【0079】
強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S106:NO)、又はS107或いはS109の書き換え処理後、制御部232は、「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S110)、S103の処理に戻る。なお、S101からS110までの上述した一連の処理は、全てのDSTチップにおいて実行される。従って、信号伝送基板120U中の全てのDSTチップを経由した「チップ特定信号」には、信号伝送基板120Uの中の全DSTチップを比較した結果得られた情報MAX及び情報2ndが含まれる。
【0080】
ここで、S104の処理において、特定フラグが1であると判定した場合(S104:YES)、制御部232は、S105からS110までの上述した一連の処理を実行しており、次の段階として「チップ特定信号」に含まれる情報MAXが自身の「チップデータ」であるか否かを判定する(S111)。
【0081】
情報MAXが自身の「チップデータ」であると判定した場合(S111:YES)、制御部232は、自身のIDを「AMAX」とし、情報2ndに該当するチップのIDを「A2nd」とした「チップ決定信号」を作成する(S112)。「チップ決定信号」作成後、又は、情報MAXが自身の「チップデータ」でないと判定した場合(S111:NO)、制御部232は、「チップ決定信号」又は「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S113)、S103の処理に戻る。なお、S104からS113までの上述した一連の処理は、「チップ特定信号」の伝送順序と逆の順序(すなわち「チップ特定信号」を最後に受信したDSTチップから「チップ特定信号」を作成したDSTチップに至る順序)で実行される。
【0082】
全てのDSTチップでS113の処理が成されると、「チップ決定信号」は、上述した「チップ特定信号」の伝送順序で各DSTチップに送信され、最後に制御ユニット220に送信される。ここで、受信した信号が「チップ特定信号」でなく(S103:NO)「チップ決定信号」である場合(S114:YES)、制御部232は、当該「チップ決定信号」を参照し、自身がどのチップとして機能するかを判定する(S115)。「チップ決定信号」を参照した結果、自身が「AMAX」チップであると判定した場合(S115:AMAX)、制御部232は、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「A2nd」チップであると判定した場合(S115:A2nd)、制御部232は、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「AMAX」チップでも「A2nd」チップでもないと判定した場合(S115:他チップ)、制御部232は、「他」チップとして振る舞うべく、図16のフローチャートに示す処理を実行する。
【0083】
なお、制御ユニット220の制御部221は、図12のS54の初期化命令発行後、「チップ決定信号」の受信を監視している(S55)。そして「チップ決定信号」を受信すると、制御部221は、各チップに対し、「AMAX」チップ、又は「A2nd」チップ、或いは「他」チップとして動作する為の通常受信命令を出力する(S56)。
【0084】
先ず、図14のフローチャートを参照し、「AMAX」チップの動作について説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S121)、「AMAX」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報と「受信ビデオ信号」とを取得する(S122)。そして「チップデータ」を作成すると共に、作成した「チップデータ」と「受信ビデオ信号」とを含んだ「前受信信号」を作成して(S123)「A2nd」チップに送信する(S124)。なお、「AMAX」チップは、「チップ決定信号」の内容を参照することにより、「A2nd」チップがいずれのチップであるかを把握している。「AMAX」チップから出力された「前受信信号」は、2D−DSTによって「他」チップを中継するなどして、「A2nd」チップに伝送される。
【0085】
図15のフローチャートを参照し、「A2nd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S141)、「A2nd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報を取得し(S142)、「チップデータ」を作成する。そして「AMAX」チップによって作成される「前受信信号」を受信したか否かを監視する(S143)。「前受信信号」を受信したと判定した場合(S143:YES)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」のタイプに応じた処理を実行する(S144)。また、所定時間待機しても「前受信信号」を受信しなかった場合(S143:NO)、「A2nd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S143の受信監視処理を再実行する。
【0086】
「前受信信号」のタイプが後述する付加信号を持たないものである場合(S144:付加信号なし)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号」を作成して(S145)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S146)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「AMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S147)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S147:YES)、「A2nd」チップは、自身を「AMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S148)「AMAX」チップに送信し(S149)、S142の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S147:NO)、いずれの信号も作成することなくS142の処理に戻る。
【0087】
更に、図16のフローチャートを参照し、「他」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S161)、「他」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ140の受信強度の情報を取得し(S162)、「チップデータ」を作成する。そして「A2nd」チップによって作成される「受信信号」を受信したか否かを監視する(S163)。
【0088】
「受信信号」を受信したと判定した場合(S163:YES)、「他」チップは、当該「受信信号」を制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S164)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「AMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S165)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S165:YES)、自身を「AMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S167)「AMAX」チップに送信し(S168)、S162の処理に戻る。
【0089】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S165:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「A2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S166)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S166:YES)、自身を「A2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S167)「AMAX」チップに送信し(S168)、S162の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S166:NO)、いずれの信号も作成することなくS162の処理に戻る。
【0090】
なお、制御ユニット220の制御部221は、図12のS56の通常受信命令発行後、「受信信号」の受信を監視している(S57)。そして「受信信号」を受信すると、制御部221は、当該「受信信号」をメモリ224に格納する(S58)。更に、格納された「受信信号」に含まれる各「チップデータ」を参照し、カプセル型内視鏡100の位置を特定する(S59)。位置特定後、S57の処理に戻り、「受信信号」の受信を再度監視する。なお、信号伝送基板120U及び120Dの各々から送信される「受信信号」には二つの「チップデータ」が含まれている。この為、本実施例4の制御部221は、計四つの「チップデータ」によって位置特定を実行する。
【0091】
ここで、カプセル型内視鏡100が図11の位置P4にあるとき、信号伝送基板120Uからの「受信信号」の「AMAX」チップがDSTチップ230A3、「A2nd」チップがDSTチップ230A1となり、信号伝送基板120Dからの「受信信号」の「BMAX」チップ(「AMAX」チップに相当)がDSTチップ230B4、「B2nd」(「A2nd」チップに相当)チップがDSTチップ230B1となる。また、DSTチップ230A3の強度情報MMAXがDSTチップ230B4の強度情報MMAXよりも高い。このような場合、制御部221は、本実施例1と同様のアルゴリズムにより、カプセル型内視鏡100の位置を領域R4内に特定することができる。
【0092】
なお、制御部221は、図12のS58の処理において「受信信号」を格納する際に、各信号伝送基板から得られる「受信信号」の強度情報MMAXを比較し、その値が高い「受信信号」のみをメモリ224に格納する。そして格納された「受信信号」に含まれる「受信ビデオ信号」が1フレーム分の画像に達すると(一つの「受信信号」に含まれる「受信ビデオ信号」が1フレーム分の画像を含むときは直ちに)、1フレーム分の当該「受信ビデオ信号」に対し、信号処理部225によって所定の処理を施し、メモリ224に格納する。そして、メモリ224に格納された所定の処理を施された「受信ビデオ信号」は、さらに信号処理部225によって通信するのに最適な所定の処理が施された上で、インターフェース部226を介し、変換された画像信号を外部処理システム300に出力される。これにより、外部処理システム300において、体腔内の観察画像が表示され、これに基づいて患部の状態を解析することが出来る。
【0093】
ここで図14のフローチャートに戻り、「AMAX」チップの動作について再び説明する。「AMAX」チップは、S124の「前受信信号」送信処理後、「昇格信号」を受信したか否かを判定する(S125)。ここで、「昇格信号」を受信していないと判定した場合(S125:NO)、「前受信信号」を送信するタイミングであるか否かを判定する(S126)。「前受信信号」を送信するタイミングでないと判定した場合(S126:NO)、S125の処理を再び実行する。また、「前受信信号」を送信するタイミングであると判定した場合(S126:YES)、S122の処理に戻り、新しい「前受信信号」を作成して「A2nd」チップに送信する。
【0094】
S125の処理で「昇格信号」を受信したと判定した場合(S125:YES)、「AMAX」チップは、当該「昇格信号」を参照してその発信元を判定する(S127)。発信元が「A2nd」チップであると判定した場合(S127:A2nd)、新しい「前受信信号」を作成して(S128)「A2nd」チップに送信する(S129)。そして自身は「A2nd」チップに降格する為、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「A2nd」チップを「AMAX」チップに昇格させる為の「切替信号A」を付加したもの(付加信号が付加されたもの)である。
【0095】
また、発信元が「他」チップであると判定した場合(S127:他チップ)、「AMAX」チップは、新しい「前受信信号」を作成して(S130)「A2nd」チップに送信する(S131)。なお、ここで作成される「前受信信号」は、「受信ビデオ信号」の区切りに、「他」チップを「AMAX」チップに昇格させる為の「切替信号B1」を付加したもの、又は、「他」チップを「A2nd」チップに昇格させる為の「切替信号B2」を付加したものである。「昇格信号」が図16のS165の処理において高いと判定されたときに作成されたものである場合、「切替信号B1」が付加される。また、「昇格信号」が図16のS166の処理において高いと判定されたときに作成されたものである場合、「切替信号B2」が付加される。
【0096】
新たな「前受信信号」送信後、「AMAX」チップは、当該「前受信信号」に付加された「切替信号B」のタイプに応じた処理を実行する(S132)。「切替信号B1」である場合(S132:切替信号B1)、自身は「A2nd」チップに降格する為、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。また、「切替信号B2」である場合(S132:切替信号B2)、自身は「AMAX」チップのままで且つ「A2nd」チップと「他」チップとが入れ替わる為、「昇格信号」の発信元の「他」チップが「A2nd」チップとなるようにそのIDをセットアップし(S133)、S122の処理に戻って「AMAX」チップとしての処理を続行する。
【0097】
ここで図15のフローチャートに戻り、「A2nd」チップの動作についても再び説明する。S144の処理において、「前受信信号」のタイプが「切替信号A」を付加したもの(付加信号ありのもの)である場合(S144:切替信号A付)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号」を作成して(S150)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S151)。「切替信号A」は「AMAX」チップへの昇格を示す信号である為、「A2nd」チップは、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のS133の処理に進む。
【0098】
また、S144の処理において、「前受信信号」のタイプが「切替信号B1」又は「切替信号B2」を付加したものである場合(S144:切替信号B付)、「A2nd」チップは、当該「前受信信号」に自身の「チップデータ」を加えた「受信信号X」を作成する(S152)。そして作成した「受信信号X」を、「切替信号B1」又は「切替信号B2」を付加する元になった「他」チップを経由して制御ユニット220に伝送されるよう、隣接チップに送信する(S153)。「A2nd」チップにとって「切替信号B1」又は「切替信号B2」は「他」チップへの降格を示す信号である為、「A2nd」チップは、「他」チップとして振る舞うべく、図16のS162の処理に進む。
【0099】
また、図16のフローチャートに戻り、「他」チップの動作についても再び説明する。S163の処理において、「受信信号」を受信していないと判定した場合(S163:NO)、「他」チップは、「A2nd」チップによって作成され得る「受信信号X」を受信したか否かを判定する(S169)。ここで、「受信信号X」を受信したと判定した場合(S169:YES)、当該「受信信号X」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであるか否かを判定する(S170)。自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであると判定した場合(S170:YES)、「他」チップは、S167の「昇格信号」作成処理の履歴に基づき、「AMAX」チップ又は「A2nd」チップに変更する(S171)。「AMAX」チップに変更する場合(S171:AMAX)、「AMAX」チップとして振る舞うべく、図14のS133の処理に進む。また、「A2nd」チップに変更する場合(S171:A2nd)、「A2nd」チップとして振る舞うべく、図15のS142の処理に進む。なお、「受信信号X」を受信していない(S169:NO)、又は、「受信信号X」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものでないと判定した場合(S170:NO)、「他」チップは、S162の処理に戻る。
【0100】
本実施例4では、一つのDSTチップに搭載された一つのアンテナが二方向に延在している為、本実施例1と比べて遜色のない位置特定精度を実現すると共にDSTチップ230の数を削減することができる。
【実施例5】
【0101】
図17は、図5と同様の図であって、本発明の実施例5のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。本実施例5のアンテナ付きジャケットは、その下側にのみ、DSTチップ230C1、230C2、230C3、230C4、230C5、230C6、230C7を含む複数のDSTチップを有した信号伝送基板120を備えている。
【0102】
各DSTチップは、本実施例4のV字型アンテナ150と同様のアンテナに接続されている。DSTチップ230C1、230C2、230C3、230C4、230C5、230C6、230C7は、V字型アンテナ150C1、150C2、150C3、150C4、150C5、150C6、150C7にそれぞれ接続されている。
【0103】
次に、図18〜図22を参照し、本実施例5の各DSTチップが実行する処理について説明する。なお、本実施例5の制御ユニット220の制御部221は、本実施例4のものと同様の動作をする為、ここでの詳細な説明は省略する。
【0104】
先ず、図18を用い、上記初期化命令(図12のS54の処理参照)を受信した後の各DSTチップの制御部232が実行する初期動作処理について説明する。
【0105】
制御部232は、上記初期化命令を受信すると初期化(例えば後述の特定フラグ=0にする等)を行い(S201)、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度を検出し、その強度情報MMYをメモリ234に一時的に格納する(S202)。そして当該メモリ234を読み込み、格納された強度情報MMYと自身のID情報とを関連付けた「チップデータ」を作成する。
【0106】
ここで、ある一つのDSTチップ(例えば制御ユニット220から最も遠くに位置したDSTチップ)は、他のDSTチップと異なる動作をする。具体的には、「チップデータ」を作成後、最も高い受信強度の強度情報MMAXを得たDSTチップに関する情報MAX、二番目に高い受信強度の強度情報M2ndを得たDSTチップに関する情報2nd、及び、三番目に高い受信強度の強度情報M3rdを得たDSTチップに関する情報3rdを有した「チップ特定信号」を、更に作成し、隣接チップに送信する。なお、このDSTチップは、「チップ特定信号」に、情報MAX及び情報2nd並びに情報3rdとして自身の「チップデータ」を入れる。
【0107】
「チップデータ」のみを作成した各DSTチップの制御部232は、「チップ特定信号」を受信したか否かを判定する(S203)。「チップ特定信号」を受信したと判定した場合(S203:YES)、制御部232は、本実施例4と同様の特定フラグが1であるか否かを判定する(S204)。特定フラグが1でないと判定した場合(S204:NO)、制御部232は、「チップ特定信号」を受信したため当該特定フラグを1にする(S205)。
【0108】
制御部232は、次に、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報MMAXよりも高いものであるか否かを判定する(S206)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S206:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S207)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報MAXが自身の「チップデータ」、情報2ndが先程までの情報MAX、情報3rdが先程までの情報2ndとなるように書き換える。
【0109】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S206:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M2ndよりも高いものであるか否かを判定する(S208)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S208:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S209)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報2ndが自身の「チップデータ」、情報3rdが先程までの情報2ndとなるように書き換える。
【0110】
また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S208:NO)、制御部232は、自身の強度情報MMYが「チップ特定信号」に含まれる強度情報M3rdよりも高いものであるか否かを判定する(S210)。強度情報MMYが強度情報M3rdよりも高いと判定した場合(S210:YES)、制御部232は、「チップ特定信号」の書き換えを行う(S211)。具体的には、制御部232は、「チップ特定信号」の情報3rdが自身の「チップデータ」となるように書き換える。
【0111】
強度情報MMYが強度情報M3rdよりも低いと判定した場合(S210:NO)、又はS207、S209、或いはS211の書き換え処理後、制御部232は、「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S212)、S203の処理に戻る。なお、S201からS212までの上述した一連の処理は、全てのDSTチップにおいて実行される。従って、信号伝送基板120中の全てのDSTチップを経由した「チップ特定信号」には、信号伝送基板120の中の全DSTチップを比較した結果得られた情報MAX、情報2nd、及び、情報3rdが含まれる。
【0112】
ここで、S204の処理において、特定フラグが1であると判定した場合(S204:YES)、制御部232は、S205からS212までの上述した一連の処理を実行しており、次の段階として「チップ特定信号」に含まれる情報MAXが自身の「チップデータ」であるか否かを判定する(S213)。
【0113】
情報MAXが自身の「チップデータ」であると判定した場合(S213:YES)、制御部232は、自身のIDを「CMAX」とし、情報2ndに該当するチップのIDを「C2nd」とし、情報3rdに該当するチップのIDを「C3rd」とした「チップ決定信号」を作成する(S214)。「チップ決定信号」作成後、又は、情報MAXが自身の「チップデータ」でないと判定した場合(S213:NO)、制御部232は、「チップ決定信号」又は「チップ特定信号」を隣接チップに送信し(S215)、S203の処理に戻る。なお、S204からS215までの上述した一連の処理は、「チップ特定信号」の伝送順序と逆の順序(すなわち「チップ特定信号」を最後に受信したDSTチップから「チップ特定信号」を作成したDSTチップに至る順序)で実行される。
【0114】
全てのDSTチップでS215の処理が成されると、「チップ決定信号」は、上述した「チップ特定信号」の伝送順序で各DSTチップに送信され、最後に制御ユニット220に送信される。ここで、受信した信号が「チップ特定信号」でなく(S203:NO)「チップ決定信号」である場合(S216:YES)、制御部232は、当該「チップ決定信号」を参照し、自身がどのチップとして機能するかを判定する(S217)。「チップ決定信号」を参照した結果、自身が「CMAX」チップであると判定した場合(S217:CMAX)、制御部232は、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「C2nd」チップであると判定した場合(S217:C2nd)、制御部232は、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「C3rd」チップであると判定した場合(S217:C3rd)、制御部232は、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のフローチャートに示す処理を実行する。また、自身が「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップのいずれでもないと判定した場合(S217:他チップ)、制御部232は、「他」チップとして振る舞うべく、図22のフローチャートに示す処理を実行する。
【0115】
先ず、図19のフローチャートを参照し、「CMAX」チップの動作について説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S221)、「CMAX」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報と、「受信ビデオ信号」とを取得する(S222)。そして「チップデータ」を作成すると共に、作成した「チップデータ」と「受信ビデオ信号」とを含んだ「前受信信号1」を作成して(S223)、「C2nd」チップに送信する(S224)。
【0116】
図20のフローチャートを参照し、「C2nd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S241)、「C2nd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S242)、「チップデータ」を作成する。そして「CMAX」チップによって作成される「前受信信号1」を受信したか否かを監視する(S243)。「前受信信号1」を受信したと判定した場合(S243:YES)、「C2nd」チップは、「前受信信号1」に自身の「チップデータ」を加えた「前受信信号2」を作成し(S244)、「C3rd」チップに送信する(S245)。そして受信した「前受信信号1」のタイプに応じた処理を実行する(S246)。なお、S243の処理において所定時間待機しても「前受信信号1」を受信しなかった場合(S243:NO)、「C2nd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S243の受信監視処理を再実行する。また、受信した「前受信信号1」に後述の「切替信号4」が付加されていた場合、「C2nd」チップは、その旨を報知する信号を、S244の処理で作成する「前受信信号2」に付加しておく。
【0117】
「前受信信号1」のタイプが付加された信号を持たないものである場合(S246:付加信号なし)、「C2nd」チップは、自身の強度情報MMYが「受信信号1」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S247)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S247:YES)、「C2nd」チップは、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S248)「CMAX」チップに送信し(S249)、S242の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S247:NO)、いずれの信号も作成することなくS242の処理に戻る。
【0118】
次に、図21のフローチャートを参照し、「C3rd」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S261)、「C3rd」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S262)、「チップデータ」を作成する。そして「C2nd」チップによって作成される「前受信信号2」を受信したか否かを監視する(S263)。「前受信信号2」を受信したと判定した場合(S263:YES)、「C3rd」チップは、「前受信信号2」に自身の「チップデータ」を加えた「前受信信号」を作成して(S264)制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S265)。そして受信した「前受信信号2」のタイプに応じた処理を実行する(S266)。なお、S263の処理において所定時間待機しても「前受信信号2」を受信しなかった場合(S263:NO)、「C3rd」チップは、受信強度の情報を再取得して新しい「チップデータ」を作成し、S263の受信監視処理を再実行する。また、受信した「前受信信号2」にS244の処理で説明された「切替信号4」付加の報知信号が付加されている場合、「C3rd」チップは、S264の処理において、「受信信号」に上記報知信号を付加した「受信信号Y」を作成する。
【0119】
なお、本実施例5では、上記に示されるように「受信信号」に三つの「チップデータ」が含まれている。この為、本実施例5の制御ユニット220の制御部221は、三つの「チップデータ」によって位置特定を実行する。
【0120】
「前受信信号2」のタイプが付加信号を持たないものである場合(S266:付加信号なし)、「C3rd」チップは、自身の強度情報MMYが、「受信信号2」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S267)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S267:YES)、「C3rd」チップは、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S269)「CMAX」チップに送信し(S270)、S262の処理に戻る。
【0121】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S267:NO)、「C3rd」チップは、強度情報MMYが「受信信号2」に含まれる「C2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S268)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S268:YES)、「C3rd」チップは、自身を「C2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S269)「CMAX」チップに送信し(S270)、S262の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S268:NO)、いずれの信号も作成することなくS262の処理に戻る。
【0122】
更に、図22のフローチャートを参照し、「他」チップの動作についても説明する。制御部221からの上記通常受信命令を受信すると(S281)、「他」チップは、自身に接続されたV字型アンテナ150の受信強度の情報を取得し(S282)、「チップデータ」を作成する。そして「C3rd」チップによって作成される「受信信号」を受信したか否かを監視する(S283)。
【0123】
「受信信号」を受信したと判定した場合(S283:YES)、「他」チップは、当該「受信信号」を制御ユニット220に伝送する為に隣接チップに送信する(S284)。そして自身の強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「CMAX」チップの強度情報MMAXよりも高いか否かを判定する(S285)。強度情報MMYが強度情報MMAXよりも高いと判定した場合(S285:YES)、自身を「CMAX」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。
【0124】
また、強度情報MMYが強度情報MMAXよりも低いと判定した場合(S285:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「C2nd」チップの強度情報M2ndよりも高いか否かを判定する(S286)。強度情報MMYが強度情報M2ndよりも高いと判定した場合(S286:YES)、自身を「C2nd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。
【0125】
また、強度情報MMYが強度情報M2ndよりも低いと判定した場合(S286:NO)、「他」チップは、強度情報MMYが「受信信号」に含まれる「C3rd」チップの強度情報M3rdよりも高いか否かを判定する(S287)。強度情報MMYが強度情報M3rdよりも高いと判定した場合(S287:YES)、自身を「C3rd」チップに昇格させる為の「昇格信号」を作成して(S288)「CMAX」チップに送信し(S289)、S282の処理に戻る。また、強度情報MMYが強度情報M3rdよりも低いと判定した場合(S287:NO)、いずれの信号も作成することなくS282の処理に戻る。
【0126】
ここで図19のフローチャートに戻り、「CMAX」チップの動作について再び説明する。「CMAX」チップは、S224の「前受信信号1」送信処理後、「昇格信号」を受信したか否かを判定する(S225)。ここで、「昇格信号」を受信していないと判定した場合(S225:NO)、「前受信信号1」を送信するタイミングであるか否かを判定する(S226)。「前受信信号1」を送信するタイミングでないと判定した場合(S226:NO)、S225の処理を再び実行する。また、「前受信信号1」を送信するタイミングであると判定した場合(S226:YES)、S222の処理に戻り、新しい「前受信信号1」を作成して「C2nd」チップに送信する。
【0127】
S225の処理で「昇格信号」を受信したと判定した場合(S225:YES)、「CMAX」チップは、当該「昇格信号」を参照してその発信元を判定する(S227)。発信元が「C2nd」チップであると判定した場合(S227:C2nd)、新しい「前受信信号1」を作成して(S228)「C2nd」チップに送信する(S229)。そして自身は「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C2nd」チップを「CMAX」チップに昇格させる為の「切替信号1」を付加したものである。「C2nd」チップが「CMAX」チップに昇格する場合、「C3rd」チップ及び「他」チップは変更されない。
【0128】
また、発信元が「C3rd」チップであると判定した場合(S227:C3rd)、「CMAX」チップは、「昇格信号」のタイプに応じた処理を実行する(S230)。なお、ここでの「昇格信号」のタイプには、「C3rd」チップを「CMAX」チップに昇格させるタイプα、「C3rd」チップを「C2nd」チップに昇格させるタイプβがある。「C3rd」チップが「CMAX」チップに昇格する場合(すなわちタイプα)、「CMAX」チップが「C2nd」チップ、「C2nd」チップが「C3rd」チップに降格し、「他」チップは変更されない。また、「C3rd」チップが「C2nd」チップに昇格する場合(すなわちタイプβ)、「CMAX」チップ及び「他」チップは変更されない。
【0129】
「昇格信号」がタイプαである場合(S230:α)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S231)「C2nd」チップに送信する(S232)。そして自身は「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C3rd」チップを「CMAX」チップに昇格させる為の「切替信号2」を付加したものである。
【0130】
また、「昇格信号」がタイプβである場合(S230:β)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S233)「C2nd」チップに送信し(S234)、S222の処理に戻る。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに「C3rd」チップを「C2nd」チップに昇格させる為の「切替信号3」を付加したものである。
【0131】
また、発信元が「他」チップであると判定した場合(S227:他チップ)、「CMAX」チップは、新しい「前受信信号1」を作成して(S235)「C2nd」チップに送信する(S236)。なお、ここで作成される「前受信信号1」は、「受信ビデオ信号」の区切りに、「他」チップを「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格させる為の「切替信号4」を付加したものである。「切替信号4」の内容は、図22のS285、S286、S287の処理に応じて決定される。
【0132】
「CMAX」チップは、「切替信号4」の内容が「他」チップを「CMAX」チップに昇格させるものである場合(S237:C2nd)、自身が「C2nd」チップに降格する為、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。また、「切替信号4」の内容が「他」チップを「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格させるものである場合(S237:変更なし)、自身は「CMAX」チップのままで且つ「C3rd」チップ、又は、「C2nd」チップ及び「C3rd」チップが変更する為、その変更に応じた新しい「C2nd」チップ及び「C3rd」チップのIDをセットアップし(S238)、S222の処理に戻って「CMAX」チップとしての処理を続行する。
【0133】
ここで図20のフローチャートに戻り、「C2nd」チップの動作についても再び説明する。S246の処理において、「前受信信号1」のタイプが「切替信号」を付加したものである場合(S246:切替信号付)、「C2nd」チップは、当該「切替信号」のタイプに応じた処理を実行する(S250)。「CMAX」チップへの昇格を示す信号である「切替信号1」である場合(S250:切替信号1)、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。
【0134】
また、「C3rd」チップが「CMAX」チップ又は「C2nd」チップに昇格する為の「切替信号2」又は「切替信号3」である場合(S250:切替信号2又は3)、「C2nd」チップは、「C3rd」チップに降格する為、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。
【0135】
また、「他」チップがいずれかに昇格する為の「切替信号4」である場合(S250:切替信号4)、「C2nd」チップは、当該「切替信号4」の内容に応じた処理を実行する(S251)。「切替信号4」の内容が「他」チップを「CMAX」チップ又は「C2nd」チップに昇格させる内容である場合(S251:C3rd)、「C3rd」チップに降格する為、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。また、「切替信号4」の内容が「他」チップを「C3rd」チップに昇格させる内容である場合(S251:変更なし)、自身は変わらず「C2nd」チップである為、S242の処理に戻って「C2nd」チップとしての処理を続行する。
【0136】
また、図21のフローチャートに戻り、「C3rd」チップの動作についても再び説明する。S266の処理において、「前受信信号2」のタイプが「切替信号」を付加したものである場合(S266:切替信号付)、「C3rd」チップは、当該「切替信号」のタイプに応じた処理を実行する(S271)。「切替信号1」である場合(S271:切替信号1)、「CMAX」チップと「C2nd」チップとが入れ替わるだけであり、自身は変わらず「C3rd」チップである為、S262の処理に戻って「C3rd」チップとしての処理を続行する。
【0137】
また、「CMAX」チップへの昇格を示す信号である「切替信号2」である場合(S271:切替信号2)、「C3rd」チップは、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。
【0138】
また、「C2nd」チップへの昇格を示す信号である「切替信号3」である場合(S271:切替信号3)、「C3rd」チップは、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。
【0139】
また、「切替信号4」である場合(S271:切替信号4)、「他」チップが「CMAX」チップ又は「C2nd」チップ或いは「C3rd」チップに昇格する為、「C3rd」チップは、「他」チップへと降格する。従って、「C3rd」チップは、「他」チップとして振る舞うべく、図22のS282の処理に進む。
【0140】
また更に、図22のフローチャートに戻り、「他」チップの動作についても再び説明する。S283の処理において、「受信信号」を受信していないと判定した場合(S283:NO)、「他」チップは、「C3rd」チップによって作成され得る「受信信号Y」を受信したか否かを判定する(S290)。ここで、「受信信号Y」を受信したと判定した場合(S290:YES)、当該「受信信号Y」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであるか否かを判定する(S291)。自身の作成した「昇格信号」に基づいたものであると判定した場合(S291:YES)、「他」チップは、S288の「昇格信号」作成処理の履歴に基づき、いずれかのチップに変更する(S292)。「CMAX」チップに変更する場合(S292:CMAX)、「CMAX」チップとして振る舞うべく、図19のS238の処理に進む。また、「C2nd」チップに変更する場合(S292:C2nd)、「C2nd」チップとして振る舞うべく、図20のS242の処理に進む。また、「C3rd」チップに変更する場合(S292:C3rd)、「C3rd」チップとして振る舞うべく、図21のS262の処理に進む。なお、「受信信号Y」を受信していない(S290:NO)、又は、「受信信号Y」が自身の作成した「昇格信号」に基づいたものでないと判定した場合(S291:NO)、自身は変わらず「他」チップである為、S282の処理に戻って「他」チップとしての処理を続行する。
【0141】
本実施例5では、V字型のアンテナに接続されたDSTチップ230をアンテナ付きジャケットの下側のみに配置している。従って、本実施例4における効果に加え、信号伝送基板を一系統にしたことによるコストメリットも有する。
【0142】
また、本実施例4及び5では、各DSTチップで相互通信を実行している為、制御ユニット220の負担が他の実施例と比べて軽減されている。ただし別の観点においては、本実施例1では、各DSTチップ230の負担が、信号伝送のみに限定されている為、本実施例4及び5と比べて軽減されている。製造者は、要求される仕様に応じて制御ユニット220又はDSTチップ230のいずれの負担を軽減させるかを選択し、アンテナ付きジャケットを設計することができる。
【0143】
なお、本実施例4及び5でも、本実施例1と同様に、計時部221aによって計時される時刻を利用して位置特定を実行することが可能である。また、本実施例1の如きアンテナの配列であっても、本実施例4や5で実行される各処理を適用させることが可能である。また逆に、本実施例4や5の如きアンテナの配列であっても、本実施例1で実行される各処理を適用させることが可能である。
【実施例6】
【0144】
図23は、本発明の実施例6のアンテナ付きジャケット200zの構成を示した図である。本実施例6のアンテナ付きジャケット200zには、本実施例1のアンテナ付きジャケット200と同様に、複数のアンテナ140及び150が埋設されている。各アンテナ140、150の一端にはコネクタ部240が取り付けられている。コネクタ部240は、アンテナ付きジャケット200の上側(着用時に被験者1の胸部付近に位置する箇所)、及び、下側端部においてそれぞれ複数個設置されている。
【0145】
またアンテナ付きジャケット200zは、着脱可能な信号伝送基板120U’及び120D’を備えている。信号伝送基板120U’及び120D’は帯状に形成されている。信号伝送基板120U’及び120D’上には複数のDSTチップ230が一列に並ぶよう設置されている。これらのDSTチップ230はコネクタ部240と同一ピッチで配置されており、各コネクタ部240と機械的及び電気的に接続するための周知の構造(例えばスナップ構造等)を有している。このため各DSTチップ230と各コネクタ部240とが接続されたとき、各アンテナ140及び150がコネクタ部240を介してDSTチップ230と電気的に接続される。これにより、本実施例6のアンテナ付きジャケット200zは、本実施例1のアンテナ付きジャケット200と同様に機能することが可能となる。
【0146】
ここで、アンテナ付きジャケットに対する要望として、例えば衛生上の理由により、アンテナ付きジャケットを「使い捨て」として、又は、毎回洗浄して使用したいというものが想定される。ところがDSTチップ230は比較高価な部品である。従ってアンテナ付きジャケットを「使い捨て」とすることは実使用上において困難であり得た。またDSTチップ230は耐水性もないため、洗浄もできなかった。
【0147】
そこで、本発明の実施例6の如く、DSTチップ230を実装した信号伝送基板120U’及び120D’をアンテナ付きジャケット200zから着脱自在としたことにより、比較的安価なジャケット部分のみを使い捨てにして、信号伝送基板120U’及び120D’を繰り返し使用することが可能となる。これにより、ランニングコストを大幅に抑えることが可能となる。また耐水性のないDSTチップ230を着脱自在としたことにより、洗浄可能なアンテナ付きジャケットを提供することも可能となる。
【0148】
以上が本発明の実施例である。本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。
【0149】
なお、各実施例ではアンテナによって捕捉された「受信ビデオ信号」や強度情報等を2D−DSTによって制御ユニット220に伝送しているが、別の実施例ではケーブルやパターン等を用いたディジーチェインの形態で各種信号を伝送するようにしても良い。
【0150】
また、各実施例では3又は4本のアンテナを用いてカプセル型内視鏡100の位置を特定しているが、別の実施例ではより多くのアンテナを用いて当該位置を特定しても良い。位置特定に用いるアンテナが多ければ多いほど、位置特定精度が向上する。
【0151】
また、受信データ取得時(リアルタイム)に受信位置の判断が誤っていたとしても、記録された受信データには受信チップのIDが添付されているため、最終的な受信位置特定(推定)は、外部処理システム300に受信データ全てを移送した後、改めて解析し直し、取得出来た受信データの位置を校正し、再特定(推定)することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の実施例1の内視鏡システムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施例1のカプセル型内視鏡の構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施例1の内視鏡システムの中からアンテナ付きジャケットを抽出して示した図である。
【図4】本発明の実施例1のアンテナ付きジャケットの断面図である。
【図5】本発明の実施例1のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図6】本発明の実施例1のDSTチップの構成を示したブロック図である。
【図7】本発明の実施例1の制御ユニットの構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の実施例1のカプセル型内視鏡の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施例2のアンテナ付きジャケットの断面図である。
【図10】本発明の実施例3のアンテナ付きジャケットの構成を示した図である。
【図11】本発明の実施例4のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図12】本発明の実施例4のカプセル型内視鏡の位置を特定する位置特定処理を示したフローチャートである。
【図13】本発明の実施例4の各DSTチップの制御部が実行する初期動作処理を示したフローチャートである。
【図14】本発明の実施例4の「AMAX」チップの動作を示したフローチャートである。
【図15】本発明の実施例4の「A2nd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図16】本発明の実施例4の「他」チップの動作を示したフローチャートである。
【図17】本発明の実施例5のアンテナ付きジャケットにおけるアンテナ部分及びチップ部分の配置を二次元に展開して示した図である。
【図18】本発明の実施例5の各DSTチップの制御部が実行する初期動作処理を示したフローチャートである。
【図19】本発明の実施例5の「CMAX」チップの動作を示したフローチャートである。
【図20】本発明の実施例5の「C2nd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図21】本発明の実施例5の「C3rd」チップの動作を示したフローチャートである。
【図22】本発明の実施例5の「他」チップの動作を示したフローチャートである。
【図23】本発明の実施例6の内視鏡システムに備えられたアンテナ付きジャケットを示した図である。
【符号の説明】
【0153】
10 内視鏡システム
100 カプセル型内視鏡
140、150 アンテナ
200 アンテナ付きジャケット
220 制御ユニット
230 DSTチップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣において、
少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、
該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、前記第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、を備えたこと、を特徴とするアンテナ付き着衣。
【請求項2】
外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣において、
各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナを備えたこと、を特徴とするアンテナ付き着衣。
【請求項3】
前記複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、
各前記通信チップとそれぞれに対応する前記アンテナとを接続/分離するためのコネクタと、を更に備えたこと、を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンテナ付き着衣。
【請求項4】
外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システムにおいて、
少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、
該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、前記第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、
前記第一のアンテナ群及び前記第二のアンテナ群に含まれた各アンテナの受信強度を検出してその情報を取得する強度情報取得手段と、
取得された強度情報の各々を比較する強度情報比較手段と、
比較結果に基づいて少なくとも二本のアンテナを特定するアンテナ特定手段と、を備え、
特定アンテナを参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とするアンテナ付き着衣システム。
【請求項5】
特定アンテナの強度情報を取得した時刻を計時する計時手段と、
該時刻と特定アンテナとを関連付けて記憶する記憶手段と、を更に備え、
特定アンテナに加えて該時刻も参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とする請求項4に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項6】
取得された強度情報が所定数に満たない場合、今回取得された強度情報のアンテナに加え、前記記憶手段に記憶されている強度情報も参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とする請求項5に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項7】
最も高い受信強度を有するアンテナにより、外部機器からの信号を捕捉すること、を特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項8】
外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システムにおいて、
各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、
前記複数の通信チップからの信号を処理し記録する制御ユニットと、を備え、
前記複数の通信チップの各々は、自身と他の通信チップが取得した強度情報を比較し、比較結果を、隣接する通信チップを介して前記制御ユニットに出力し、
前記制御ユニットは、比較結果に基づいて前記通信チップを制御すること、を特徴とするアンテナ付き着衣システム。
【請求項9】
該比較結果は、前記通信チップの識別情報とそれが取得した強度情報とを関連付けたチップデータを、少なくとも二つ含んだこと、を特徴とする請求項8に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項10】
前記複数の通信チップの各々は、自身が取得した強度情報が、該比較結果に含まれる少なくとも二つの強度情報の中のいずれか一つよりも高い場合、当該比較結果に自身のチップデータを書き込むこと、を特徴とする請求項9に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、該比較結果を参照し、最も高い強度情報を取得した通信チップを、外部機器からの信号を捕捉する通信チップとして設定すること、を特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項12】
各前記通信チップとそれぞれに対応する前記アンテナとを接続/分離するためのコネクタを更に備えたこと、を特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項13】
体腔内に投入されるカプセル型内視鏡であって、該体腔内の画像を撮像して信号を生成し、生成された信号を外部に無線で発信するカプセル型内視鏡と、
前記カプセル型内視鏡から発信された信号を受信して処理し、前記制御ユニット内の所定の記憶装置に記憶する、請求項4から請求項12のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システムと、
記憶された信号を用いて該体腔内の映像を表示するモニタと、該体腔内の状態を解析する機能を備えたこと、を特徴とする内視鏡システム。
【請求項1】
外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣において、
少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、
該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、前記第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、を備えたこと、を特徴とするアンテナ付き着衣。
【請求項2】
外部機器からの信号を受信する機能を有したアンテナ付き着衣において、
各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナを備えたこと、を特徴とするアンテナ付き着衣。
【請求項3】
前記複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、
各前記通信チップとそれぞれに対応する前記アンテナとを接続/分離するためのコネクタと、を更に備えたこと、を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンテナ付き着衣。
【請求項4】
外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システムにおいて、
少なくとも第一の方向に配列された複数のアンテナを含む第一のアンテナ群と、
該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に、その各々が、前記第一のアンテナ群の中の幾つかのアンテナと交差するように配列された複数のアンテナを含む第二のアンテナ群と、
前記第一のアンテナ群及び前記第二のアンテナ群に含まれた各アンテナの受信強度を検出してその情報を取得する強度情報取得手段と、
取得された強度情報の各々を比較する強度情報比較手段と、
比較結果に基づいて少なくとも二本のアンテナを特定するアンテナ特定手段と、を備え、
特定アンテナを参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とするアンテナ付き着衣システム。
【請求項5】
特定アンテナの強度情報を取得した時刻を計時する計時手段と、
該時刻と特定アンテナとを関連付けて記憶する記憶手段と、を更に備え、
特定アンテナに加えて該時刻も参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とする請求項4に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項6】
取得された強度情報が所定数に満たない場合、今回取得された強度情報のアンテナに加え、前記記憶手段に記憶されている強度情報も参照し、該外部機器の位置を特定すること、を特徴とする請求項5に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項7】
最も高い受信強度を有するアンテナにより、外部機器からの信号を捕捉すること、を特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項8】
外部機器からの信号を受信してその位置を特定する機能を有したアンテナ付き着衣システムにおいて、
各々が、少なくとも二つの方向に延在し、他の幾つかのアンテナと交差する複数のアンテナと、
前記複数のアンテナの各々に接続され、その受信強度の情報を取得でき、互いに通信可能な複数の通信チップと、
前記複数の通信チップからの信号を処理し記録する制御ユニットと、を備え、
前記複数の通信チップの各々は、自身と他の通信チップが取得した強度情報を比較し、比較結果を、隣接する通信チップを介して前記制御ユニットに出力し、
前記制御ユニットは、比較結果に基づいて前記通信チップを制御すること、を特徴とするアンテナ付き着衣システム。
【請求項9】
該比較結果は、前記通信チップの識別情報とそれが取得した強度情報とを関連付けたチップデータを、少なくとも二つ含んだこと、を特徴とする請求項8に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項10】
前記複数の通信チップの各々は、自身が取得した強度情報が、該比較結果に含まれる少なくとも二つの強度情報の中のいずれか一つよりも高い場合、当該比較結果に自身のチップデータを書き込むこと、を特徴とする請求項9に記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項11】
前記制御ユニットは、該比較結果を参照し、最も高い強度情報を取得した通信チップを、外部機器からの信号を捕捉する通信チップとして設定すること、を特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項12】
各前記通信チップとそれぞれに対応する前記アンテナとを接続/分離するためのコネクタを更に備えたこと、を特徴とする請求項8から請求項11のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システム。
【請求項13】
体腔内に投入されるカプセル型内視鏡であって、該体腔内の画像を撮像して信号を生成し、生成された信号を外部に無線で発信するカプセル型内視鏡と、
前記カプセル型内視鏡から発信された信号を受信して処理し、前記制御ユニット内の所定の記憶装置に記憶する、請求項4から請求項12のいずれかに記載のアンテナ付き着衣システムと、
記憶された信号を用いて該体腔内の映像を表示するモニタと、該体腔内の状態を解析する機能を備えたこと、を特徴とする内視鏡システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2008−99734(P2008−99734A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282759(P2006−282759)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】
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