説明

アンテナ及びそれを備えた無線装置

【課題】低背で小型であり、従来のアンテナと同等の周波数帯域に対応可能であり、安価で、かつアンテナ配置部の設計自由度が高いアンテナを提供する。
【解決手段】電磁波信号を送受信するアンテナ素子部2と、接地されるグラウンド導体3と、を備え、アンテナ素子部2は、中心導体4と外部導体6とを有する同軸ケーブル8と、中心導体4と外部導体6のうち一方の一端部とグラウンド導体3との間に設けられ、給電系に接続される給電部10と、中心導体4と外部導体6のうち他方の一端部とグラウンド導体3とを電気的に接続する短絡部11と、中心導体4の他端部と外部導体6の他端部とを電気的に接続する導体接続部12と、を有し、同軸ケーブル8は、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、中心導体4と外部導体6間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パーソナルコンピュータ、UMPC(ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ)、ネットブック、携帯電話、PND(パーソナルナビゲーションデバイス)、センサネットワーク端末等に搭載され、電磁波信号の送受信を行うアンテナ及びそれを備えた無線装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
WWAN(Wireless Wide Area Network)、WLAN(Wireless Local Area Network)、RFID(Radio Frequency Identification)、WiMax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、Blue Tooth、LTE(Long Term Evolution)等の無線システムに適応が可能であり、かつこれらシステムに対応するノート型パーソナルコンピュータ(ノートPC)、UMPC、ネットブック、携帯電話、PND、センサネットワーク等の無線通信端末(無線装置)に内蔵され、無線通信に利用されるアンテナとして、平面多重アンテナが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この平面多重アンテナは、小型であり無線通信端末への内蔵に適しており、かつ通信に使用される複数の周波数帯域において動作が可能である。
【0004】
従来用いられている平面多重アンテナの一例を図17に示す。
【0005】
図17に示すように、平面多重アンテナ171は、電磁波信号を送受信するアンテナ素子部172と、接地されるグラウンド導体173と、給電系に接続される給電部174と、を備えており、アンテナ素子部172は、複数の矩形導体(平面視で長方形状の導体)を組み合わせた構造となっている。
【0006】
平面多重アンテナ171を無線通信端末に搭載する際は、例えば、平面多重アンテナ171と高周波信号の送受を行う無線通信モジュールとが、同軸ケーブルやプリント基板に形成されるマイクロストリップ線路などを介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3690375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
昨今、ノートPCやタブレットPC、電子書籍等の小型の無線通信端末では、主に上述のWLANやWWAN、WiMax等の無線通信規格を用いた無線通信システムを使って、画像、映像や音楽等の情報を送受する。このような無線通信端末には、各規格に対応するアンテナが搭載されており、このアンテナから送受される電磁波を介して情報の送受信を行うことになる。
【0009】
ところで、このような無線通信端末は年々の普及率増加とともに低価格化が進んでおり、内蔵するアンテナに対しても価格低減の要求がある。
【0010】
従来の平面多重アンテナ171は、上述の無線通信規格に対応が可能であり、かつ小型であることから、小型の無線通信端末への搭載に適しているといえる。しかしながら、価格低減を実現するためには、導体板の板厚を低減したり、導体板の材料を変更する等しなければならず、これらを最適化しようにも、アンテナ性能を所望の値に保つために必要な導体板の板厚、および材料はある程度決まっているため、価格低減には限りがあるという問題がある。
【0011】
また昨今、上述のような無線通信端末は、携帯しやすいように小型化が求められ、かつ、凹凸の無い外形形状であることが求められる。また、無線通信端末に搭載されるアンテナは、アンテナ放射特性を良好に保つため無線通信端末のなかでも自由空間に近い場所、すなわち筺体の壁に近い場所に配置されることが多く、アンテナの大きさ等が無線通信端末の外形形状に与える影響は大きい。
【0012】
しかしながら、従来の平面多重アンテナ171では、アンテナ素子部172が複数の矩形導体からなり、その矩形導体群がグラウンド導体173に対し図示上下方向に重なる構造となっているため、アンテナの高さ、つまりグラウンド導体173の上端からグラウンド導体173から最も離れたアンテナ素子部172の最上端までの距離が、比較的大きくなってしまう。
【0013】
アンテナの高さが大きくなると、無線通信端末の外形の凹凸が大きくなり、携帯しにくくなるという問題が生じる。また、無線通信端末の外形を滑らかにしようとすると、無線通信端末が大型化してしまうという問題が生じる。
【0014】
他方、アンテナ素子部172の矩形導体群をグラウンド導体173に近づけ、アンテナの高さを小さくすると、アンテナとして動作する周波数帯域が減少し、希望する周波数帯域に対応できなくなるという別の問題が生じる。
【0015】
さらに、従来の平面多重アンテナ171では、電磁波信号を送受信するアンテナ素子部172の形状が固定されているため、アンテナ配置部の設計自由度が低いという問題もある。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、低背で小型であり、従来のアンテナと同等の周波数帯域に対応可能であり、安価で、かつアンテナ配置部の設計自由度が高いアンテナ及びそれを備えた無線装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、電磁波信号を送受信するアンテナ素子部と、接地されるグラウンド導体と、を備え、前記アンテナ素子部は、中心導体と外部導体とを有する同軸ケーブルと、前記中心導体と前記外部導体のうち一方の一端部と前記グラウンド導体との間に設けられ、給電系に接続される給電部と、前記中心導体と前記外部導体のうち他方の一端部と前記グラウンド導体とを電気的に接続する短絡部と、前記中心導体の他端部と前記外部導体の他端部とを電気的に接続する導体接続部と、を有し、前記同軸ケーブルは、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、かつ、前記中心導体と前記外部導体間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下であるアンテナである。
【0018】
前記給電部を共通とし、前記同軸ケーブルの寸法が異なる複数の前記アンテナ素子部を備えてもよい。
【0019】
前記給電部に、第2のアンテナ素子部となる導体を並列接続してもよい。
【0020】
前記給電部には、給電用同軸ケーブルを用いて給電がなされ、前記アンテナ素子部の前記同軸ケーブルと、前記給電用同軸ケーブルとを、1本の共通の同軸ケーブルで構成してもよい。
【0021】
前記短絡部は、接着剤の塗布された導体箔からなってもよい。
【0022】
また、本発明は、アンテナを備え、電磁波信号により情報を伝達する無線装置であって、前記アンテナは、電磁波信号を送受信するアンテナ素子部と、接地されるグラウンド導体と、を備え、前記アンテナ素子部は、中心導体と外部導体とを有する同軸ケーブルと、前記中心導体と前記外部導体のうち一方の一端部と前記グラウンド導体との間に設けられ、給電系に接続される給電部と、前記中心導体と前記外部導体のうち他方の一端部と前記グラウンド導体とを電気的に接続する短絡部と、前記中心導体の他端部と前記外部導体の他端部とを電気的に接続する導体接続部と、を有し、前記同軸ケーブルは、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、かつ、前記中心導体と前記外部導体間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下である無線装置である。
【0023】
前記給電部を共通とし、前記同軸ケーブルの寸法が異なる複数の前記アンテナ素子部を備えてもよい。
【0024】
前記給電部に、第2のアンテナ素子部となる導体を並列接続してもよい。
【0025】
前記給電部には、給電用同軸ケーブルを用いて給電がなされ、前記アンテナ素子部の前記同軸ケーブルと、前記給電用同軸ケーブルとを、1本の共通の同軸ケーブルで構成してもよい。
【0026】
前記短絡部は、接着剤の塗布された導体箔からなってもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、低背で小型であり、従来のアンテナと同等の周波数帯域に対応可能であり、安価で、かつアンテナ配置部の設計自由度が高いアンテナ及びそれを備えた無線装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態に係るアンテナを示す図であり、(a)は概略構成図、(b)は給電用同軸ケーブルを接続したときの概略構成図、(c)は給電用同軸ケーブルを接続したときの平面図である。
【図2】図1のアンテナに用いる同軸ケーブルの横断面図である。
【図3】図1のアンテナの寸法の一例を示す図である。
【図4】図1のアンテナの入力アドミタンス−周波数特性を示すグラフ図である。
【図5】図1のアンテナの比較対象となる先端開放アンテナの平面図である。
【図6】図5の先端開放アンテナの入力アドミタンス−周波数特性を示すグラフ図である。
【図7】図1のアンテナの比較対象となる先端短絡アンテナの平面図である。
【図8】図7の先端短絡アンテナの入力アドミタンス−周波数特性を示すグラフ図である。
【図9】図1のアンテナのリターンロス−周波数特性を示すグラフ図である。
【図10】図1のアンテナの放射効率−周波数特性を示すグラフ図である。
【図11】図1のアンテナの作用効果を説明する図である。
【図12】第1の実施の形態に係るアンテナの変形例を示す図であり、給電用同軸ケーブルを接続したときの平面図である。
【図13】第2の実施の形態に係るアンテナを示す図であり、(a)は概略構成図、(b)は給電用同軸ケーブルを接続したときの平面図である。
【図14】第3の実施の形態に係るアンテナの概略構成図である。
【図15】第4の実施の形態に係るアンテナを示す図であり、(a)は概略構成図、(b)は給電用同軸ケーブルを接続したときの概略構成図である。
【図16】第5の実施の形態に係るアンテナの概略構成図である。
【図17】従来の平面多重アンテナの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0030】
なお、本明細書において、“電気的に接続する”とは、接続する両端において、対象とする周波数の電気信号の電圧と電流の比(インピーダンス)の変化が略零であるように接続することを表す。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係るアンテナを示す図であり、(a)は概略構成図、(b)は給電用同軸ケーブルを接続したときの概略構成図、(c)は給電用同軸ケーブルを接続したときの平面図である。
【0032】
図1(a)〜(c)に示すように、アンテナ1は、電磁波信号を送受信するアンテナ素子部2と、接地されるグラウンド導体3と、を備え、アンテナ素子部2は、中心導体(心線)4と外部導体6とを有する同軸ケーブル8と、外部導体6の一端部とグラウンド導体3との間に設けられ、給電系に接続される給電部10と、中心導体4の一端部とグラウンド導体3とを電気的に接続する短絡部11と、中心導体4の他端部と外部導体6の他端部とを電気的に接続する導体接続部12と、を有し、同軸ケーブル8は、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、かつ、中心導体4と外部導体6間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下であることを特徴としている。
【0033】
ここで、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数とは、アンテナ素子部2にて送受信可能な電磁波信号のうち最小の周波数であり、例えば、リターンロスが−6dBより小さい帯域に含まれる最も小さい周波数のことをいう。また、最小の直列共振周波数とは、入力アドミタンスの実数成分である入力コンダクタンスが極大値となる周波数(直列共振周波数)のうち最小の周波数のことである。
【0034】
同軸ケーブル8は、図1および2に示すように、中心導体4の外周に、絶縁体5、外部導体6、ジャケット7を順次形成したものである。同軸ケーブル8の両端部は段剥きされており、外部導体6よりも中心導体4の方が長くなっている。上述のように、同軸ケーブル8としては、中心導体4と外部導体6間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下であるものを用いる必要がある。ここでは、同軸ケーブル8として、外径数mm程度の汎用の細径同軸ケーブルを用いた。なお、詳細は後述するが、アンテナ配置部の設計自由度を向上させるため、同軸ケーブル8には柔軟性に優れたものを用いることが望ましい。
【0035】
アンテナ1では、外部導体6および外部導体6の外部にある中心導体4は、主として放射素子として動作し、外部導体6の内部にある中心導体4は、主としてアンテナ整合回路として動作することになる。
【0036】
一般的に、アンテナでは、電磁波の送受信効率を高めるために、給電系(後述する給電用同軸ケーブル13、無線通信モジュール9)との良好な整合条件を実現する必要があるが、本発明のアンテナ1では、実験結果から、入力アドミタンスにおける直列共振周波数近傍において給電系との整合状態が良好であることが確認できている。また、同軸ケーブル8の全長は入力アドミタンスにおける最小の直列共振周波数に対応する波長の1/4程度であり、同軸ケーブル8の全長が入力アドミタンスにおける最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2より小さくなることが確認できている。これらの詳細については後述する。
【0037】
アンテナ1では、同軸ケーブル8とグラウンド導体3との距離、および、同軸ケーブル8における中心導体4と外部導体6間の距離(中心導体4と外部導体6の径の比)などの同軸ケーブル8の寸法を適宜変化させることにより、入力アドミタンスの調整が可能であり、所望の帯域で給電系と良好な整合条件を実現させ、アンテナ動作させることが可能である。
【0038】
ここで、アンテナ1を小型化できる理由について説明しておく。
【0039】
所謂逆Lアンテナ(あるいは先端開放アンテナ)の様な、導体とグラウンドから構成され、導体の一点とグラウンド間に給電される従来のアンテナでは、給電部からみた入力イミタンスの周波数特性において、最も周波数の小さい直列共振周波数と、その次に小さい直列共振周波数との差が、数GHzと大きい。また、この様な従来のアンテナでは、整合回路が必要な場合もあるが、直列共振周波数近傍で給電系との整合状態が比較的良好であり、この帯域においてアンテナとして動作する。
【0040】
これに対して、本発明のアンテナ1では、給電部10からみた入力イミタンスの周波数特性において、最も周波数の小さい直列共振周波数fo’と、その次に小さい直列共振周波数fo’’との差が、従来のアンテナと比較して小さい。アンテナ1は、従来のアンテナと同様に、直列共振周波数近傍fo’,fo’’において給電系との整合状態が比較的良好であり、これらの帯域においてアンテナ動作が可能である。また、直列共振周波数fo’,fo’’は、同軸ケーブル8の寸法等(中心導体4と外部導体6間の距離や、導体接続部12の位置等)に依存しており、調整が可能である。
【0041】
本発明のアンテナ1では、同軸ケーブル8の寸法等を適宜調整するにより、直列共振周波数fo’,fo’’の値を適宜に選択し、直列共振周波数fo’近傍でアンテナ動作が可能である帯域(動作帯域という)と、直列共振周波数fo’’近傍の動作帯域とを合わせる(つまり、隣り合う動作帯域同士を重なり合わせる)ことで、従来のアンテナより大きい動作帯域を実現する。直列共振周波数fo’とfo’’の差は、中心導体4と外部導体6間の距離に依存し、広帯域なアンテナを実現するには、中心導体4と外部導体6間の距離を、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下とする必要があることが、実験結果からわかっている(詳細は後述する)。
【0042】
一般に、アンテナ高さとアンテナとして動作が可能な周波数帯域は正の相関を持つ。よって、アンテナとして動作が可能な周波数帯域が広くなれば、アンテナ高さを小さくしても十分な動作帯域を確保することが可能となり、アンテナの小型化が可能となる。
【0043】
図1(b)および図1(c)に示すように、本実施の形態では、給電部10には、給電用同軸ケーブル13を用いて給電がなされる。給電用同軸ケーブル13は、中心導体14の外周に、絶縁体15、外部導体16、ジャケット17を順次形成したものであり、同軸ケーブル8と同じものを用いてもよいし、同軸ケーブル8と寸法等が異なるものを用いてもよい。
【0044】
給電用同軸ケーブル13の一端は無線装置の無線通信モジュール9に接続され、給電用ケーブル13の中心導体14の他端は同軸ケーブル8の外部導体6の一端に、給電用ケーブル13の外部導体16の他端は同軸ケーブル8の中心導体4の一端に、それぞれ半田付けにより電気的に接続される。図1(c)における符号Sは、半田付け部を表している。図1(c)に示すように、本実施の形態では、導体接続部12は、中心導体4と外部導体6を接続する半田付け部Sからなる。
【0045】
また、本実施の形態では、短絡部11として、接着剤の塗布された導体箔(導体テープ)18を用いる。
【0046】
アンテナ1では、導体箔18を用いて、給電用同軸ケーブル13の外部導体16の他端部をグラウンド導体3に接続するように構成している。具体的には、給電用同軸ケーブル13の他端部においてジャケット17を削除し、これにより露出した外部導体16とグラウンド導体3の両者に、一方の面に接着材が塗布された導体箔18を接着固定し、給電用同軸ケーブル13の外部導体16とグラウンド導体3とを電気的に接続するようにした。
【0047】
このように、アンテナ1では、同軸ケーブル8の中心導体4を、給電用同軸ケーブル13の外部導体16と、接着材が塗布された導体箔18とを介して、グラウンド導体3に電気的に接続するようにしたが、これに限らず、導体箔18を同軸ケーブル8の中心導体4に直接接着するようにして、同軸ケーブル8の中心導体4を、給電用同軸ケーブル13の外部導体16を介さずに、グラウンド導体3に電気的に接続するようにしてもよい。
【0048】
グラウンド導体3としては、アンテナ1を搭載する無線装置のケースの一部や、回路基板を搭載するプリント基板のグラウンド部などを用いてもよい。その場合、グラウンド導体3として用いる導体(ケースの一部やプリント基板のグラウンド部など)に、導体箔18を直接接着するようにすればよい。
【0049】
次に、入力イミタンスの周波数特性および直列共振周波数と、アンテナ構造の関係についてより詳細に説明する。ここでは、説明を容易とするため、本発明のアンテナ1の入力アドミタンス−周波数特性と、従来のアンテナの入力アドミタンス−周波数特性とを比較する。
【0050】
図1のアンテナ1を作製し、入力アドミタンスの測定を行った。作製したアンテナ1の寸法は、図3に示す通りであり(図3では各部の寸法をmmで示している)、グラウンド導体3としては単層導体のガラスエポキシプリント基板(ガラスエポキシ基板の片面にグラウンド導体3となる導体パターンを形成したもの)を用い、導体箔18としてはアルミニウムテープを用いた。また、同軸ケーブル8としては、中心導体4の外径が0.3mm、絶縁体5の外径が0.9mm、外部導体6の外径が1.1mm、ジャケット7の外径が1.4mmのものを用いた。中心導体4と外部導体6間の距離は0.6mmである。
【0051】
給電部10からアンテナ方向を見た入力アドミタンス−周波数特性の測定結果を図4に示す。図4における実線は、入力アドミタンスの実数成分であるコンダクタンスGを表し、破線は虚数成分であるサセプタンスBを表す。この入力アドミタンス−周波数特性において、入力アドミタンス周波数成分のコンダクタンスGが極大値となる周波数が直列共振周波数である。
【0052】
本発明の比較対象となる従来のアンテナとして、図5に示す先端開放アンテナ51の入力アドミタンス−周波数特性の一例を図6に、図7に示す先端短絡アンテナ71の入力アドミタンス−周波数特性の一例を図8に示す。
【0053】
図5の先端開放アンテナ51は、プリント基板52の表面に形成された矩形導体(平面視で長方形状の導体パタン)53とグラウンド導体54とからなり、矩形導体53の一端とグラウンド導体54との間に給電部55を設け、矩形導体53の他端を開放した構造となっている。
【0054】
図7の先端短絡アンテナ71は、プリント基板72の表面に形成された矩形導体(平面視で長方形状の導体パタン)73とグラウンド導体74とからなり、矩形導体73の一端とグラウンド導体74との間に給電部75を設け、矩形導体73の他端とグラウンド導体74との間に両者を短絡する短絡部76を設けた構造となっている。
【0055】
一般に、通信端末に搭載されるアンテナシステムの特性インピーダンスは50+j0[Ω]であり、特性アドミタンスはこの逆数の0.02+j0[S]となる。このため、アンテナ1,51,71の入力アドミタンスが0.02+j0[S]であるときに給電系と完全整合となり、最も効率よく電磁波信号の送受信が可能となる。
【0056】
図4,6,8に示すように、アンテナ1,51,71では、直列共振周波数(コンダクタンスGが極大値となる周波数)の近傍で、コンダクタンスGが0.02[S]となっている。図4,6,8では、コンダクタンスGが0.02[S]となる周波数においてサセプタンスBは零となっていないが、整合回路を追加することにより、サセプタンスBの値を零に近づけることができ、給電系との良好な整合条件を実現することが可能である。例えば、先端開放アンテナ51では、先端開放された矩形導体53と並列に短絡線路(ショートスタブ)を追加して逆Fアンテナとすること等で、サセプタンスBを零に調整し、給電系との良好な整合条件を実現することが可能である。
【0057】
この様に、アンテナ1,51,71では、直列共振周波数の近傍、より詳細にはコンダクタンスGが0.02[S]となる周波数の近傍では、給電系との整合条件が良好となっている。
【0058】
図5の先端開放アンテナ51では、図6に示すように、直列共振周波数の値は小さい方から、約0.85GHz、約2.5GHz、・・・である。一般的に、先端開放型のアンテナでは、直列共振周波数は周波数に対して周期的に生じ、最も小さい直列共振周波数以外の直列共振周波数は、最小の直列共振周波数の3n倍(n=1、2、3・・・)となる。先端開放アンテナ51における最小の直列共振周波数と隣り合う直列共振周波数の差は、約1.65GHzである。
【0059】
また、図7の先端短絡アンテナ71では、図8に示すように、直列共振周波数の値は小さい方から、約1.8GHz、約3.55GHz、・・・である。一般的に、先端短絡型のアンテナでは、この様に、直列共振周波数は周波数に対して周期的に生じ、最も小さい直列共振周波数以外の直列共振周波数は、最小の直列共振周波数の2n倍(n=1、2、3・・・)となる。先端短絡アンテナ71における最小の直列共振周波数と隣り合う直列共振周波数の差は、約1.75GHzである。
【0060】
これに対して、第1の実施の形態に係るアンテナ1では、図4に示すように、直列共振周波数は小さい方から、約800MHz、約1.6GHz、・・・であり、上述の先端開放アンテナ51や先端短絡アンテナ71と異なり、最小の直列共振周波数と隣り合う直列共振周波数の差が、約800MHzと小さくなっている。このように、アンテナ1では、先端開放アンテナ51や先端短絡アンテナ71と比較して、最小の直列共振周波数(以下、第1の直列共振周波数という)と、その最小の直列共振周波数の次に小さい直列共振周波数(以下、第2の直列共振周波数という)との差が小さくなっている。
【0061】
また、図4では示されていないが、アンテナ1の入力アドミタンス−周波数特性をより詳細に検討すると、第1の直列共振周波数の3n倍の周波数に直列共振周波数が生じており、かつ、第2の直列共振周波数の2n倍の周波数に直列共振周波数が生じている。つまり、アンテナ1では、アンテナ素子部2が、先端短絡型と先端開放型の両方の特徴を兼ね備えており、その結果、第1の直列共振周波数と第2の直列共振周波数との差が小さくなっていると考えられる。
【0062】
アンテナ1の先端開放型としての動作(すなわち第1の直列共振周波数)は、給電部10から中心導体4の他端までの長さ(両導体4,6のうち長い方の長さ)に影響され、先端短絡型としての動作(すなわち第2の直列共振周波数)は、給電部10から導体接続部12(半田付け部S)までの長さに影響されることが、実験結果からわかっている。したがって、これらの長さを適宜調整することで、第1の直列共振周波数と第2の直列共振周波数との差を調整することが可能である。なお、中心導体4の長さ(両導体4,6のうち長い方の長さ)を変更すると動作帯域が変わってしまうので、導体接続部12の配置位置によって第1の直列共振周波数と第2の直列共振周波数との差を調整するとよい。
【0063】
このように、第1の実施の形態に係るアンテナ1は、2つの直列共振周波数をより小さい周波数帯域内に配置することが可能であり、それら直列共振周波数の間隔を適宜に調整し、整合状態が良好な2つの周波数帯域を近づけることにより、1つの、より帯域が大きい、整合状態が良好な周波数帯域とすることが可能である。
【0064】
また、上述のように、アンテナ1の最小の直列共振周波数は約800MHzであり、この周波数での波長の1/2は約187mmとなる。これに対して、図3で示したように、同軸ケーブル8の全長は73mmであり、同軸ケーブル8の全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下となることがわかる。
【0065】
また、上述のように、アンテナ1は、最小の直列共振周波数近傍において給電系との整合条件が良好であるから、最小の直列共振周波数である約800MHzよりも小さい周波数で動作する。つまり、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長は、少なくとも374mmより大きくなる。上述のように、中心導体4と外部導体6間の距離は0.6mmであるから、中心導体4と外部導体6間の距離は、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下となることが分かる。
【0066】
さらに、図3の寸法で作製したアンテナ1のリターンロスと放射効率の測定を行った。リターンロスの測定結果を図9に、放射効率の測定結果を図10に示す。
【0067】
図9に示すように、作製したアンテナ1は、リターンロスが−6dBより小さい帯域幅が約140MHz(約760MHz〜約900MHz)であり、この帯域において給電系の整合が良好であることがわかる。
【0068】
さらに、図10より、周波数が約750MHz〜約900MHzにおいて放射効率が−3dB以上であり、この近傍の帯域においてアンテナとして動作していることがわかる。
【0069】
次に、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0070】
第1の実施の形態に係るアンテナ1では、アンテナ素子部2を、中心導体4と外部導体6とを有する同軸ケーブル8と、外部導体6の一端部とグラウンド導体3との間に設けられ、給電系に接続される給電部10と、中心導体4の一端部とグラウンド導体3とを電気的に接続する短絡部11と、中心導体4の他端部と外部導体6の他端部とを電気的に接続する導体接続部12とで構成し、同軸ケーブル8を、最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下の長さに形成すると共に、中心導体4と外部導体6間の距離を、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下としている。
【0071】
これにより、先端短絡型と先端開放型の両方の特徴を兼ね備えたアンテナ素子部2を実現でき、最も周波数の小さい直列共振周波数(第1の直列共振周波数)近傍の動作帯域と、2番目に小さい直列共振周波数(第2の直列共振周波数)近傍の動作帯域とを重ね合わせて、従来のアンテナより大きい動作帯域を実現することが可能になる。つまり、本発明によれば、従来のアンテナと同程度のサイズであれば、従来のアンテナよりも動作帯域が広いアンテナ1を実現できる。
【0072】
したがって、同軸ケーブル8(中心導体4および外部導体6)とグラウンド導体3との距離を近付けてアンテナの高さを低くして動作帯域が減少したとしても、従来のアンテナと同程度の十分な動作帯域を確保することが可能となり、低背で小型であり、従来のアンテナと同等の周波数帯域に対応可能なアンテナ1を実現できる。
【0073】
このように、本発明によれば、従来のアンテナと比較して小型であり、特に、アンテナの高さ、つまりグラウンド導体3の上端からグラウンド導体3から最も離れたアンテナ素子部2の最上端までの距離を小さくすることが可能である。上述のように、無線装置にアンテナを搭載する際には、一般的に、良好なアンテナ特性を保つために、無線装置のなかでも筺体の壁に近い場所にアンテナを配置する。よって、低背で小型な本発明のアンテナ1を用いることで、無線装置の外形の凹凸を少なくすることが可能であり、より収納が容易であり、より小型な無線装置の実現が可能である。
【0074】
さらに、アンテナ1では、アンテナ素子部2に汎用の同軸ケーブル2を用いているため、従来のアンテナと比較して安価である。
【0075】
さらにまた、アンテナ1では、アンテナ素子部2に同軸ケーブル2を用いているため、図11に示すように、アンテナ素子部2を自由に湾曲させることができ、複雑なスペースへもアンテナ1を配置することが可能となる。よって、アンテナ1を搭載する無線装置のアンテナ配置部の設計自由度を向上させることができる。
【0076】
すなわち、本発明によれば、従来のアンテナと同等の周波数帯域に対応可能であり、かつ安価であり、かつアンテナ配置部の設計自由度が高く、かつノートPC、UMPC、ネットブック、タブレットPC、携帯電話、PND、電子書籍などの無線端末への搭載が可能なアンテナ1を実現できる。
【0077】
[第1の実施の形態の変形例]
図12に示すアンテナ121は、図1(c)のアンテナ1において、短絡部11を構成する導体箔18を拡大してL字形状に形成し、導体箔18の一部をグラウンド導体3として用いるようにしたものである。
【0078】
図1のアンテナ1では、アンテナ素子部2とは別の導体をグラウンド導体3として利用する必要があるが、アンテナ1を配置する近傍にグラウンド導体3となる導体(無線装置のケースの一部やプリント基板のグラウンド部など)がない場合には、所望のアンテナ入力インピーダンスを得ることができなくなり、アンテナ1と給電系との整合状態が劣化し、アンテナとしての機能が低下するおそれがある。
【0079】
アンテナ121によれば、適当な寸法のL字形状の導体箔18を用いることにより、この導体箔18をグラウンド導体3として動作させることが可能となり、アンテナ121を配置する近傍にグラウンド導体3となる導体がないような場合であっても、所望のアンテナ入力インピーダンスを得ることができ、アンテナ121と給電系との整合状態を改善することが可能である。
【0080】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態を図13を用いて説明する。
【0081】
図13(a),(b)に示すアンテナ131は、図1のアンテナ1において、アンテナ素子部2に加えて、さらに、アンテナ素子部2の同軸ケーブル8(中心導体4、外部導体6)とは寸法が異なる同軸ケーブル133を有するアンテナ素子部132を並列接続したものである。
【0082】
2つのアンテナ素子部2,132は、給電部10及び短絡部11を共通として設けられる。つまり、2つのアンテナ素子部2,132は、給電部10に対して並列に接続されている。
【0083】
ここでは、アンテナ素子部132の同軸ケーブル133として、アンテナ素子部2の同軸ケーブル8と同じものを用い、かつ、同軸ケーブル133の方が同軸ケーブル8よりも短くなるように形成した。両同軸ケーブル8,133の中心導体4は、半田付けにより給電用同軸ケーブル13の外部導体16に電気的に接続され、両同軸ケーブル8,133の外部導体6は、半田付けにより給電用同軸ケーブル13の中心導体14に電気的に接続される。また、同軸ケーブル133の中心導体4と外部導体6の他端部同士は、半田付けにより電気的に接続され、導体接続部12が形成されている。
【0084】
アンテナ131では、アンテナ素子部132の同軸ケーブル133を、アンテナ素子部2の同軸ケーブル8よりも短くしており、中心導体4および外部導体6の長さ(寸法)を異ならせているため、アンテナ素子部2,132の動作帯域を異ならせ、複数の帯域でのアンテナ動作を可能とし、複数のシステムに対応が可能となる。
【0085】
また、2つのアンテナ素子部2,132が適度に近い帯域でアンテナ動作するように同軸ケーブル8,133の長さを選択することにより、2つのアンテナ素子部2,132の動作帯域を重なり合わせ、より広帯域なアンテナ131を実現することも可能である。
【0086】
ここでは、2つのアンテナ素子部2,132を並列接続する場合を説明したが、同様に3つ以上のアンテナ素子部を並列接続することにより、より多くの帯域(あるいはより広帯域)でのアンテナ動作を可能とし、より多くのシステムに対応が可能なアンテナを実現できる。
【0087】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態を図14を用いて説明する。
【0088】
図14に示すアンテナ141は、図1のアンテナ1において、給電部10に、第2のアンテナ素子部142となる導体143を並列接続したものである。
【0089】
ここでは、導体143として平面視で長方形状の導体板を用いるが、これに限らず、プリント基板に形成された導体パタンを用いてもよい。導体143の一端は、外部導体6と給電部10とが電気的に接続される部分に電気的に接続され、他端は開放されている。
【0090】
アンテナ141では、第2のアンテナ素子部142が先端開放型のアンテナとして動作することになる。なお、ここでは、導体143を先端開放としているが、先端短絡としてもよい。また、給電系との整合状態を改善するために、導体143とグラウンド導体3とを電気的に接続する短絡線路を設けてもよい。
【0091】
アンテナ141によれば、導体143の寸法を適宜選択することによって、第2のアンテナ素子部142をアンテナ素子部2と別の帯域で動作させることが可能であり、複数の帯域でのアンテナ動作が可能になる。したがって、上述の第2の実施の形態と同様に、複数のシステムに対応が可能なアンテナ141を実現できる。また、2つのアンテナ素子部2,142が適度に近い帯域でアンテナ動作するよう構成することで、より広帯域なアンテナ141を実現できる。
【0092】
さらには、複数の導体を並列接続することにより、より多くの帯域(あるいはより広帯域)でのアンテナ動作を可能とし、より多くのシステムに対応が可能なアンテナを実現できる。
【0093】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態を図15を用いて説明する。
【0094】
図15(a)に示すように、アンテナ151は、図1のアンテナ1において、中心導体4の一端部とグラウンド導体3との間に給電を行うようにし、外部導体6の一端部とグラウンド導体3とを電気的に接続するよう構成したものであり、つまり、アンテナ1の給電部10と短絡部11とを入れ替えたものである。
【0095】
アンテナ151によれば、上述の第1の実施の形態と同様の作用効果が得られ、さらに、アンテナ素子部2の同軸ケーブル8と、給電用同軸ケーブル13とを、1本の共通の同軸ケーブルで構成することが可能になる。
【0096】
具体的には、図15(b)に示すように、共通の同軸ケーブル152の一端を無線装置の無線通信モジュール9に接続し、同軸ケーブル152の中心導体4と外部導体6の他端部同士を電気的に接続して導体接続部12を形成し、かつ、同軸ケーブル152の途中においてジャケット7を除去して露出させた外部導体6と、グラウンド導体3とを、導体箔18により接続して短絡部11を形成する。このように構成することにより、短絡部11より他端側の同軸ケーブル152がアンテナ素子部2の同軸ケーブル8、短絡部11より一端側の同軸ケーブル152が給電用同軸ケーブル13として動作することになる。
【0097】
アンテナ素子部2の同軸ケーブル8と、給電用同軸ケーブル13とを、1本の共通の同軸ケーブル152で構成することで、給電用同軸ケーブル13を接続する手間が省け、アンテナ151の価格をさらに低減することが可能となる。
【0098】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態を図16を用いて説明する。
【0099】
図16に示すアンテナ161は、図15のアンテナ151において、アンテナ素子部2に加えて、さらに、アンテナ素子部2の同軸ケーブル8(中心導体4、外部導体6)とは寸法が異なる同軸ケーブル163を有するアンテナ素子部162を並列接続したものである。図16では、2つのアンテナ素子部2,162を並列接続する場合を示しているが、3つ以上のアンテナ素子部を並列接続することも勿論可能である。
【0100】
アンテナ161によれば、上述の第2の実施の形態と同様に、より多くの帯域でのアンテナ動作を可能とし、より多くのシステムに対応が可能なアンテナ161を実現できる。また、2つのアンテナ素子部2,162が適度に近い帯域でアンテナ動作するように構成することで、より広帯域なアンテナ161を実現できる。
【0101】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0102】
例えば、上記実施の形態では、給電部10に給電用同軸ケーブル13を用いて給電を行う場合を説明したが、これに限らず、例えば、マイクロストリップ線路等のプリント基板に形成された伝送線路によって給電するようにしてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では言及しなかったが、給電系との整合状態を改善するために、同軸ケーブル8の外部導体6とグラウンド導体3とを電気的に接続する短絡線路を設けることも勿論可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 アンテナ
2 アンテナ素子部
3 グラウンド導体
4 中心導体
6 外部導体
8 同軸ケーブル
10 給電部
11 短絡部
12 導体接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波信号を送受信するアンテナ素子部と、接地されるグラウンド導体と、を備え、
前記アンテナ素子部は、
中心導体と外部導体とを有する同軸ケーブルと、
前記中心導体と前記外部導体のうち一方の一端部と前記グラウンド導体との間に設けられ、給電系に接続される給電部と、
前記中心導体と前記外部導体のうち他方の一端部と前記グラウンド導体とを電気的に接続する短絡部と、
前記中心導体の他端部と前記外部導体の他端部とを電気的に接続する導体接続部と、を有し、
前記同軸ケーブルは、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、かつ、前記中心導体と前記外部導体間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下である
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記給電部を共通とし、前記同軸ケーブルの寸法が異なる複数の前記アンテナ素子部を備えた請求項1記載のアンテナ。
【請求項3】
前記給電部に、第2のアンテナ素子部となる導体を並列接続した請求項1記載のアンテナ。
【請求項4】
前記給電部には、給電用同軸ケーブルを用いて給電がなされ、
前記アンテナ素子部の前記同軸ケーブルと、前記給電用同軸ケーブルとを、1本の共通の同軸ケーブルで構成した請求項1記載のアンテナ。
【請求項5】
前記短絡部は、接着剤の塗布された導体箔からなる請求項1〜4いずれかに記載のアンテナ。
【請求項6】
アンテナを備え、電磁波信号により情報を伝達する無線装置であって、
前記アンテナは、
電磁波信号を送受信するアンテナ素子部と、接地されるグラウンド導体と、を備え、
前記アンテナ素子部は、
中心導体と外部導体とを有する同軸ケーブルと、
前記中心導体と前記外部導体のうち一方の一端部と前記グラウンド導体との間に設けられ、給電系に接続される給電部と、
前記中心導体と前記外部導体のうち他方の一端部と前記グラウンド導体とを電気的に接続する短絡部と、
前記中心導体の他端部と前記外部導体の他端部とを電気的に接続する導体接続部と、を有し、
前記同軸ケーブルは、その全長が最小の直列共振周波数に対応する波長の1/2以下であり、かつ、前記中心導体と前記外部導体間の距離が、アンテナ動作する周波数のうち最小の周波数に対応する波長の1/100以下である
ことを特徴とする無線装置。
【請求項7】
前記給電部を共通とし、前記同軸ケーブルの寸法が異なる複数の前記アンテナ素子部を備えた請求項6記載の無線装置。
【請求項8】
前記給電部に、第2のアンテナ素子部となる導体を並列接続した請求項6記載の無線装置。
【請求項9】
前記給電部には、給電用同軸ケーブルを用いて給電がなされ、
前記アンテナ素子部の前記同軸ケーブルと、前記給電用同軸ケーブルとを、1本の共通の同軸ケーブルで構成した請求項6記載の無線装置。
【請求項10】
前記短絡部は、接着剤の塗布された導体箔からなる請求項6〜9いずれかに記載の無線装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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