説明

アンテナ樋の取付構造

【課題】竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにしながら、アンテナ性能の低下を防ぐことができるアンテナ樋の取付構造を提供する。
【解決手段】本発明のアンテナ樋の取付構造は、建物外壁90に沿って配設された竪樋8と、この竪樋8に連通接続されたアンテナ樋1とを備える。アンテナ樋1は、竪樋8に同芯状に設けられた外側筒部10と、外側筒部10に沿って設けられたスロットアンテナ20と、外側筒部10の内部に設けられて竪樋8に連通接続されており、且つ前記竪樋8の中心線に対しスロットアンテナ20のスロット21とは反対側に偏芯した位置に設けられた排水筒部12とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水機能を有するアンテナであるアンテナ樋の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、竪樋に取り付けられる竪樋取り付け用のアンテナが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載のアンテナは、建物外壁に沿って配設された竪樋に対し、後付け的に取り付けられるものである。このアンテナは、2つの略矩形状の半体に分割された構造となっている。アンテナは、竪樋を挟むようにしてこの一対の略矩形状の半体が配置され、この状態で半体同士がねじ等の固着具を介して連結されることで取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平01−168101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの特許文献1記載のアンテナは、略矩形状の半体から構成されており、竪樋に取り付けられると当該竪樋の側方に大きく膨出する。このため、この引用文献1記載のアンテナは、設置された状態では、外観上非常に目立つものであり、建物の外観を損なうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにしながら、アンテナ性能の低下を防ぐことができるアンテナ樋の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアンテナ樋の取付構造は、建物外壁に沿って配設された竪樋と、この竪樋に連通接続されたアンテナ樋とを備え、前記アンテナ樋は、前記竪樋に同芯状に設けられた外側筒部と、前記外側筒部に沿って設けられたスロットアンテナと、前記外側筒部の内部に設けられて前記竪樋に連通接続されており、且つ前記竪樋の中心線に対し前記スロットアンテナのスロットとは反対側に偏芯した位置に設けられた排水筒部とを有していることを特徴とする。
【0008】
またこのアンテナ樋の取付構造において、前記外側筒部は、前記アンテナが外周部に設けられた内筒体と、前記内筒体の外側に同芯状に設けられた外筒体とを備えていることが好ましい。
【0009】
またこのアンテナ樋の取付構造において、前記排水筒部は、断面略楕円形状に形成されており、その長軸方向が前記外側筒部の断面中心線に沿うよう前記スロットとは反対側に偏心した位置に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアンテナ樋の取付構造によれば、竪樋に取り付けられても、外観上目立たないようにしながら、アンテナ性能の低下を防ぐことができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のアンテナ樋の断面図である。
【図2】本実施形態のアンテナ樋の一部破断した斜視図である。
【図3】本実施形態のアンテナ樋の分解斜視図である。
【図4】本実施形態のアンテナ樋のアンテナの斜視図である。
【図5】本実施形態のアンテナ樋の給電部分周辺の斜視図である。
【図6】本実施形態のアンテナ樋のアンテナの斜視図である。
【図7】本実施形態のアンテナ樋の水平断面図であり、外筒体を透過している。
【図8】本実施形態のアンテナ樋の下接続体の分解斜視図である。
【図9】本実施形態のアンテナ樋の上接続体の分解斜視図である。
【図10】本実施形態のアンテナ樋の集水部を示す斜視図であり、内筒体を透過した図である。
【図11】図10において回転部を取り付けた状態の斜視図である。
【図12】本実施形態のアンテナ樋の上接続体近傍の断面図である。
【図13】本実施形態のアンテナ樋の取付構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0013】
本実施形態のアンテナ樋1は、図13に示されるように、建物外壁90に沿って配設された竪樋8の上下方向の一部が取り除かれ、その取り除かれた部分に取り付けられる。
【0014】
なお以下必要に応じて、竪樋8の一部を切除した後の上流側に位置する筒状の樋を「上流側の竪樋91」とし、竪樋8の一部を切除した後の下流側に位置する筒状の樋を「下流側の竪樋92」として区別する。
【0015】
アンテナ樋1は、電気機器などに接続されて、電波受信用のアンテナを構成する。具体的にアンテナ樋1は、例えば、ケーブル93を介してテレビに接続されることで、テレビ用のアンテナとして用いられる。本実施形態のアンテナ樋1は、図1に示されるように、外筒体17及び内筒体11により構成された外側筒部10と、この外側筒部10に沿って設けられたアンテナ2と、外側筒部10の内部に設けられた排水筒部12とを備えている。またアンテナ樋1は、竪樋8に連通接続するための接続部4をさらに備えている。
【0016】
ここで接続部4は、外側筒部10の上端部及び下端部に設けられている。なおアンテナ樋1が排水溝のすぐ上方に取り付けられて下流側の竪樋92に接続される必要がない場合には、接続部4は上端部側にのみ設けられていればよい。またアンテナ樋1が、集水器95等に取り付けられて上流側の竪樋91に接続されない場合には、接続部4は下端部側にのみ設けられていればよい。
【0017】
以下必要に応じて、外側筒部10の上端部に設けられた接続部4を上接続体40とし、外側筒部10の下端部に設けられた接続部4を下接続体50として区別する。
【0018】
外側筒部10は、アンテナ2が外周部16に設けられた内筒体11と、この内筒体11の外側に同芯状に設けられた外筒体17とを備えている。
【0019】
内筒体11は、非導電性の合成樹脂により形成された丸樋である。内筒体11は、図3に示されるように、上端の開口縁に側面視U字状の上位置決め溝13が設けられている。また内筒体11は、下端の開口縁に側面視逆U字状の下位置決め溝14が設けられている。
【0020】
上位置決め溝13は、上接続体40の集水部15に設けられた上位置決め凹所152及びアンテナ2に設けられた上嵌入溝252と同位置に配置される。上位置決め溝13は、上位置決め凹所152及び上嵌入溝252と同位置に配置された状態で、取付部材7の上端から突設された位置決め突起(図示せず)が挿入される。これにより、アンテナ2と内筒体11と集水部15とは、周方向に相互に位置決めされて、一体化される。
【0021】
また下位置決め溝14は、下接続体50の下位置決め凹所57及びアンテナ2の下嵌入溝251と同位置に配置される。下位置決め溝14は、下位置決め凹所57及び下勧誘溝251と同位置に配置された状態で、取付部材7の下端から突設された位置決め突起(図示せず)が挿入される。これにより、アンテナ2と内筒体11と下接続体50とは、周方向に相互に位置決めされて、一体化される。
【0022】
外筒体3は、図3に示されるように、円筒状に形成されている。外筒体3は、その内径が、内筒体11よりも大きくなるよう形成されている。外筒体3は、その中心軸が、内筒体11の中心軸と同軸上に位置するよう配置される。これにより外筒体3は、内筒体11及びアンテナ2を外側から覆うよう設けられている。外筒体3は、非導電性の合成樹脂により構成されている。外筒体3は、図7に示されるように、その側壁の外面に、上下方向に連続する突条31が突設されている。本実施形態の突条31は、外筒体3の上下方向の略全長に亘って設けられている。この突条31は、水平断面において、後述のアンテナ2のスロット21に対し、中心軸を中心として略対称の位置に配置される。言い換えると突条31は、中心軸を挟んでアンテナ2のスロット21とは反対側に位置している。
【0023】
外筒体3は、内筒体11の外側に取り付けられると、アンテナ2を外側から覆う。このため、施工者は、アンテナ樋1を外壁90に設置する際、アンテナ2の受信方向が認識できなくなってしまう。ところが本実施形態では、この突条31が、常にアンテナ2の受信方向とは反対側に位置するため、施工者はアンテナ2の受信方向を把握することが可能となっている。つまりこの突条31は、アンテナ2の送受信方向を把握するための視認手段32を構成する。
【0024】
アンテナ2は、内筒体11の外周部16に設けられている。アンテナ2は、内筒体11の外周部16に積層され、又は当該外周部16の肉厚内に埋め込まれる。本実施形態のアンテナ2は、図2に示されるように、内筒体11の外周部16に沿うよう外側から重ねられて、取付部材7により固定される。アンテナ2は、導電性を有する金属板材(金属箔も含まれる)により構成されている。アンテナ2は、図4に示されるように、縦長矩形状の金属板材を短辺方向がC字状となるよう長辺方向に一様に湾曲させることで形成される。
【0025】
アンテナ2は、上下方向に複数のスロット21が形成されたスロットアンテナ20により構成されている。すなわち本実施形態のアンテナ2は指向性を有している。アンテナ2は、このスロット21が上下方向に複数並設されており(本実施形態では2箇所)、隣接するスロット21同士がスリット状の細溝22で接続されている。アンテナ2は、各スロット21が周方向の一部に位置している。各スロット21は、金属板材の厚み方向に貫通する開口により構成されており、一対の三角形の頂点同士を互いに突き合わせたようなボウタイ状に形成されている。上方側のスロット21は、上下方向の略中央部分に給電部23を有している。本実施形態の給電部23は、周方向に対向する三角状片24の頂点部分により構成されている。
【0026】
給電部23には、図5に示されるように、同軸ケーブル75が電気的に接続される。同軸ケーブル75は、中央の線が一方の三角状片24に接続され且つ外側の網線が他方の三角状片24に接続される。同軸ケーブル75は、アンテナ2により受信した電波を、室内側のテレビ等に出力する。同軸ケーブル75は、第一端が給電部23に接続され、第二端が、上接続体40に設けられた接続具422に接続される(図3,11参照)。
【0027】
本実施形態のアンテナ2は、図4に示されるように、第一の周波数帯(例えば473〜600MHz)の電波を受信する第一の受信部26と、第二の周波数帯(例えば600〜720MHz)の電波を受信する第二の受信部27とを有している。
【0028】
第一の受信部26は、スロット21及び当該スロット21の開口周縁部により構成される。第二の受信部27は、このスロット21に上下方向に隣接する周方向に連続した金属板材により構成される。
【0029】
第一の受信部26を構成するスロット21の上下方向の長さは、前記第一の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。また、第二の受信部27の周方向の長さは、前記第二の周波数帯内の電波の電気的な半波長の長さに応じて決定される。
【0030】
またアンテナ2は、図6に示されるように、周方向の両端間に、上下方向の全長に亘って隙間28が形成される。この隙間28は、スロット21に対向する位置に設けられ、すなわちアンテナ2の円弧中心を挟んで、スロット21とは対極の位置となるように形成される。
【0031】
またアンテナ2は、スロット21の背部に抜き部29が形成されている。抜き部29は、金属板材が存在しない部分であって、正面から見てスロット21と重なる位置に設けられている。抜き部29は、上下方向の長さがスロット21の上下方向の長さよりも長く、且つ周方向の長さがスロット21の周方向の長さよりも長く形成されている。
【0032】
このアンテナ2は、図3に示されるように、金属板材に非導電性の保護シート25が積層されている。このため本実施形態のアンテナ2は、この保護シート25により錆の発生が抑制される。アンテナ2は、保護シート25の下端部に、下接続体50の下位置決め凹所57と重なる位置に配置される下嵌入溝251を有している。この下嵌入溝251は、スロット21に対応する位置に設けられており、具体的には、略同位相の位置に設けられている。またアンテナ2は、保護シート25の上端部に、上接続体40の集水部41の上位置決め凹所412と同位置に配置される上嵌入溝252を有している。
【0033】
なお、アンテナ2としては、保護シート25が積層されない金属板材のみにより構成されたものであってもよい。
【0034】
このような構成のアンテナ2は、図2に示されるように、湾曲して内向する裏面が、内筒体11の外周部16に当接した状態で取り付けられる。言い換えると、アンテナ2は、排水路の外側に設けられている。アンテナ2は、内筒体11の外周部16に巻き付けられた状態で、その外側から取付部材7により押さえられて固定される。
【0035】
取付部材7は、図3に示されるように、平面視円環状に形成されている。取付部材7は、第1の部材71と、第2の部材72とに分割され、これらが着脱自在に連結される。取付部材7は、図5に示されるように、給電部23において同軸ケーブル75の端部を保持・固定する給電固定部73と、同軸ケーブル75の中間部分を保持するケーブル保持部74とを備えている。ケーブル保持部74は、スロット21とは周方向にずれた位置に設けられている。これによりケーブル保持部74は、スロット21に同軸ケーブル75が重なるのを防ぐ。
【0036】
排水筒部12は、内筒体11の内部に配置される。排水筒部12は、上流側の竪樋91に連通接続されると共に下流側の竪樋92に連通接続される。排水筒部12は、図3に示されるように、断面略楕円形状の筒体により構成されている。排水筒部12は、非導電性の合成樹脂により構成されている。
【0037】
排水筒部12は、図7に示されるように、その長軸方向が内筒体11の断面中心線に沿うよう配置され、且つ内筒体11内においてスロット21とは反対側に偏心した位置に設けられている。言い換えると、排水筒部12は、内筒体11のスロット21側の内側面との間に一定以上の間隙を介して固定されており、スロット21や給電部23とは離れた位置に配置されている。排水筒部12は、外側筒部10の内部に、下接続体50及び上接続体40を介して固定されている。
【0038】
下接続体50は、外側筒部10の下端に固定されている。本実施形態の下接続体50は、図8に示されるように、外側筒部10及び排水筒部12の両者に固定されて、外側筒部10及び排水筒部12と共に回転する回動体51と、これらを回転自在に支持する固定側の保持体60との少なくとも2部材を備えている。
【0039】
回動体51は、保持体60に中心軸廻りに回動自在に支持されている。回動体51は、排水筒部12と内筒体11と外筒体3とを固着一体化し、建物外壁90に固定された竪樋8に対して、排水筒部12と内筒体11と外筒体3とを共通して回転可能とさせる。
【0040】
回動体51は、排水筒部12が連通接続される嵌合部54を有している。回動体51は、雨水を外部に排出する流出口56を有している。回動体51は、嵌合部54と流出口56とを連通する流出路55を有している。
【0041】
嵌合部54は、中心から偏心した位置に設けられている。嵌合部54は、下位置決め凹所57とは反対側に片寄った位置に設けられている。言い換えると、嵌合部54は、アンテナ2のスロット21とは反対側に偏芯して設けられている。一方、流出口56は、中心に設けられている。このため、流出路55は、下方ほど中央側に位置するよう傾斜した流路を有している。
【0042】
保持体60は、回動体51を回動自在に支持する。言い換えると保持体60は、外側筒部10及び排水筒部12を中心軸廻りに回動自在に支持する。保持体60は、建物外壁90に樋控え具80を介して固定される外郭部61と、回動体51を回転自在に保持するレール部63とを備えている。
【0043】
外郭部61は、円筒状に形成されている。外郭部61は、その上端に、フランジ状に径外方向に突出した自重受け突部62を有している。この自重受け突部62は、図2に示されるように、外郭部61を保持する樋控え具80の上端に当接する。これにより保持体60は、樋控え具80によって下方にずれないように保持される。自重受け突部62は、外郭部61の周方向の全長に亘って形成されている。
【0044】
下接続体50は、下流側の竪樋92に排水筒部12を連通接続する。本実施形態の下接続体50は、保持体60が下流側の竪樋92に固定的に取り付けられる。このため、外側筒部10及び排水筒部12は、下流側の竪樋92に対して回動自在となっている。
【0045】
上接続体40は、図9に示されるように、集水部41と、回転部42と、カバー部43と、ロック部44とを備えている。上接続体40は、カバー部43が、上方に開口する流入口45を有している。流入口45は、排水筒部12の内部に連通し、つまり流出口56に連通している。
【0046】
集水部41は、上流側の竪樋91から流出した雨水を集水して、排水筒部12内に流通させる。集水部41は、図10に示されるように、内筒体11の上端に固定される第1の固定部410と、排水筒部12の上端に固定される第2の固定部411とを備えている。集水部41は、第1の固定部410と内筒体11とが連結され、第2の固定部411と排水筒部12とが連結されることで、内筒体11に排水筒部12を固定する。
【0047】
集水部41は、内筒体11の上端縁の上位置決め溝13と同位置に配置される上位置決め凹所412が設けられている。上位置決め凹所412と上位置決め溝13とアンテナ2の上嵌入溝252とが重なった状態で、この上位置決め凹所412内に、取付部材7の位置決め突起が嵌入する。
【0048】
回転部42は、外側筒部10の中心軸廻りに回転自在に設けられている。回転部42は、図11に示されるように、接続具422を取り付けるために設けられた膨出部420を有している。膨出部420は、外側筒部10の外周部よりも側方に膨出している。回転部42は、外側筒部10の中心軸を中心とした弧状の長孔により構成されたケーブル取出用孔421を有している。このケーブル取出用孔421は、上下方向に貫通しており、アンテナ2に接続された同軸ケーブル75が挿通される。
【0049】
回転部42は、同軸ケーブル75のアンテナ2側とは反対側の端部に接続された接続具422が取り付けられている。接続具422は、膨出部420の上方から挿通され、膨出部420の下面から下方に突出している。これにより接続具422は、外部に露出している。
【0050】
カバー部43は、回転部42を覆うよう構成されている。カバー部43は、図9に示されるように、その天面部431に流入口45が設けられている。流入口45は、上流側の竪樋91(筒状の樋)の外径よりも大きく形成されており、この上流側の竪樋91に回動自在に遊嵌される。流入口45は、その外周縁に、下方に向けて突設された周縁突起432を有している。この周縁突起432は、集水部41の上方の開口の内側に位置するよう構成されている。これにより流入口45は、集水部41の上方の開口に接続される。カバー部43は、その側壁が回転部42の外周縁のすぐ外側に位置するよう構成されており、これにより、回転部42を内部に収容した状態で着脱自在に取り付けられる。
【0051】
ロック部44は、回転部42の回転を、外側筒部10の中心軸廻りの任意の位置でロックする。ロック部44は、平面視円環状をしており、流入口45内に回転自在となるよう設けられる。ロック部44は、図9に示されるように、カバー部43の上端に当接する鍔部441と、鍔部441の内周縁から下方に向けて突設された内側片442とを備えている。内側片442は、径外方向に突出する突起443を有している。
【0052】
ロック部44は、集水部41に、回転部42及びカバー部43を固定することで、当該回転部42及びカバー部43の回転をロックする。ここで集水部41は、図9に示されるように、その側面に、上方に向けて凸となった複数の嵌合凸部413が設けられている。また集水部41は、その内側面に、ロック部44の内側片442の突起443と係合するガイド突条414が設けられている。回転部42は、集水部41との対向面に、下方に開口する複数の嵌合凹部423が設けられている。
【0053】
ロック部44は、図12に示されるように、内側片442の突起443が、集水部41のガイド突条414にガイドされることで、カバー部43を鍔部441を介して下方に押圧し、この状態で保持する。すると、集水部41の嵌合凸部413と、回転体の嵌合凹部423とが嵌合し、この状態で保持される。これによりロック部44は、回転部42の回転を任意の回転位置で規制する。
【0054】
以上のような構成のアンテナ樋1は、図13に示されるように、建物の外壁90に沿って設置された竪樋100の一部を構成する。
【0055】
軒樋94には集水器95が設けられており、集水器95には、第1のエルボ96を介して呼び樋97が接続されている。呼び樋97には、第2のエルボ98を介して上流側の竪樋91が接続されている。上流側の竪樋91は、その下方に離間して下流側の竪樋92が設けられている。下流側の竪樋92は、下流側の端部が排水溝に連通接続されている。アンテナ樋1は、上端部が上接続体40を介して上流側の竪樋91の下端に接続され、下端部が下接続体50を介して下流側の竪樋92の上端に接続される。
【0056】
なお、上流側の竪樋91及び下流側の竪樋92は、端部が樋控え具99を介して外壁90に固定されている。また、本実施形態のアンテナ樋1は、非導電性樹脂により形成された樋控え具81により固定されている。このように、本実施形態のアンテナ樋1は、設置されると、建物の外壁90に沿って設置された竪樋の一部を構成する。
【0057】
本実施形態のアンテナ樋1を設置するには、施工者は、上接続体40の流入口45に上流側の竪樋91の下端を奥まで挿入し、下接続体50を下流側の竪樋92に接続する。この後、下接続体50を樋控え具80を介して外壁90に固定する。
【0058】
この状態のアンテナ樋1は、下方にずれないように且つ上流側の竪樋91に対し回動自在となるよう外壁90に支持されている。
【0059】
次いで施工者は、アンテナ2が放送電波を最も強く受信できるよう、アンテナ樋1を上流側の竪樋91及び下流側の竪樋92に対して回動させる。このときアンテナ樋1は、固定された下接続体50の保持体60に対し、外側筒部10及び排水筒部12が回動自在であるため、施工者はアンテナ2の向きを微調整することができる。微調整後、施工者は、アンテナ樋1の上端部を、別の樋控え具80により固定する。
【0060】
次に施工者は、アンテナ樋1の上接続体40を回転させて、膨出部420を建物外壁90に沿わせる。そして、施工者は、ロック部44を回転させて、上接続体40の回転をロックする。
【0061】
本実施形態のアンテナ樋1は、排水性能を備えるアンテナである。つまり、従来は屋根の上にアンテナを設置していたが、本実施形態の雨樋によれば、竪樋8と一体化させることができ、建物外観を向上させることができる。
【0062】
また本実施形態のアンテナ樋1は、排水筒部12がスロットアンテナ20のスロット21とは反対側に偏芯する位置に設けられているため、排水筒部12を流れる雨水がアンテナ2に悪影響を与えてしまうのを防ぐことができる。
【0063】
また本実施形態のアンテナ樋1の取付構造は、排水筒部12がアンテナ2のスロット21から離れるようにして偏芯して配置されているが、外側筒部10が、建物外壁90に沿って配設された竪樋8に同芯状に配設されている。このため、アンテナ2の性能の低下を防ぎながら、外観上目立たないようにすることができる。
【0064】
特に、本実施形態の外側筒部10は、円筒状に形成されているため、竪樋8に同芯状に配置されることで、一層目立たないようにすることができる。
【0065】
また本実施形態のアンテナ樋1の取付構造は、外側筒部10が内筒体11と外筒体17とを備えており、2重筒となっている。このため、内筒体11と外筒体17との間にアンテナ2を配置することができて、アンテナ2が外部に露出しないようにすることができる。
【0066】
また本実施形態のアンテナ樋1の取付構造は、排水筒部12が、断面略楕円形状に形成されており、その長軸方向が外側筒部10の断面中心線に沿うようスロット21とは反対側に偏心した位置に設けられている。このため、排水筒部12の流量を一定以上に確保しながら、外側筒部10の外周部16に設けられたスロットアンテナ20のスロット21と、排水筒部12との間に一定以上の隙間を形成することができる。
【0067】
また本実施形態のアンテナ樋1は、排水筒部12が断面略楕円形状に形成されているため、落ち葉やゴミなどを詰まりにくいものとすることができる。
【0068】
また本実施形態のアンテナ樋1は、竪樋8に接続するための接続部4を備えている。このため、排水性能を有するアンテナとして、ユニット化することができる。これにより、施工者の技量に寄らず建物に簡単に取り付けることができ、施工後の仕上がりを一定以上のものとすることができる。
【0069】
なお本実施形態の雨樋は、新たに竪樋を施工する際に取り付けられてもよいし、既に設置された竪樋の一部を切除して、後付け的に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 アンテナ樋
10 外側筒部
11 内筒体
12 排水筒部
16 外周部
17 外筒体
2 アンテナ
20 スロットアンテナ
21 スロット
4 接続部
40 上接続体
41 集水部
42 回転部
420 膨出部
422 接続具
43 カバー部
44 ロック部
45 流入口
50 下接続体
51 回動体
56 流出口
60 保持体
62 自重受け突部
7 取付部材
8 竪樋
81 樋控え具
90 外壁
91 上流側の竪樋
92 下流側の竪樋
93 ケーブル
94 軒樋
95 集水器
97 呼び樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁に沿って配設された竪樋と、
この竪樋に連通接続されたアンテナ樋と
を備え、
前記アンテナ樋は、
前記竪樋に同芯状に設けられた外側筒部と、
前記外側筒部に沿って設けられたスロットアンテナと、
前記外側筒部の内部に設けられて前記竪樋に連通接続されており、且つ前記竪樋の中心線に対し前記スロットアンテナのスロットとは反対側に偏芯した位置に設けられた排水筒部と
を有している
ことを特徴とするアンテナ樋の取付構造。
【請求項2】
前記外側筒部は、
前記アンテナが外周部に設けられた内筒体と、
前記内筒体の外側に同芯状に設けられた外筒体と
を備えている
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ樋の取付構造。
【請求項3】
前記排水筒部は、断面略楕円形状に形成されており、その長軸方向が前記外側筒部の断面中心線に沿うよう前記スロットとは反対側に偏心した位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンテナ樋の取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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