説明

アンテナ用チルト金具

【課題】所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定したり、銘板を見やすい場所に簡単に取り付けることができる、アンテナ用チルト金具を提供すること。
【解決手段】支柱7に支柱側金具71を介して取り付けられる基部金具1と、基部金具1の両側面部のアンテナ側に両側面部が連結される調整部金具2と、調整部金具2の両側面部のアンテナ側と両側面部が連結され、当該両側面部間に平面部を有するアタッチメント8と、アタッチメント8とアンテナ3に設けられたアンテナ側金具33との間に設けられるスペーサ9とからなり、アタッチメント8とスペーサ9とには、アンテナ側金具33の連結ボルト孔と対応する位置に連結ボルト孔が形成されている共に、銘板10をビョウ81e1,81g1等により取付けるための小孔が形成されており、アタッチメント8とスペーサ9と銘板10の厚さの合計はビョウ81e1,81g1等の軸部の長さより大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セクタアンテナ等の棒(ポール)状または長尺状のアンテナの仰角を調整して支柱に取付けるアンテナ用チルト金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アンテナ支持体の上部と下部に所定の間隔をあけて下部支持部材及び上部支持部材を取付け、下部支持部材には回動支持機構を設けて、アンテナの下部側を回動可能に支持する一方、上部支持部材には仰角調整機構を設け、アンテナ上部を支持し、アンテナの仰角を調整するようにしたアンテナ用チルト金具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−223106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記アンテナ用チルト金具では、仰角調整機構が無段階で仰角を調整するため、所定角度毎の仰角を設定する場合には、精度が劣る、という課題があった。
【0005】
また、上記アンテナ用チルト金具では、型番などを記した銘板の取り付け方法については何ら触れられてなく、銘板の取り付けスペースを確保していないため、銘板を見やすい場所に簡単に取り付けることができない、という課題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定したり、銘板を見やすい場所に簡単に取り付けることができる、アンテナ用チルト金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱における所定間隔を空けた上下2箇所の少なくとも一方に上側金具または下側金具として設けられ、前記支柱に対しアンテナの仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具であって、支柱に取付けられる支柱側金具に平面部の支柱側が連結される基部金具と、前記基部金具の両側面部のアンテナ側に両側面部が連結される調整部金具と、前記調整部金具の両側面部のアンテナ側と両側面部が連結され、当該両側面部間に平面部を有するアタッチメントと、前記アタッチメントと前記アンテナに設けられたアンテナ側金具との間に設けられるスペーサとからなり、前記アタッチメントの平面部と前記スペーサとには、前記アンテナ側金具の連結ボルト孔と対応する位置に連結ボルト孔が形成されている共に、銘板をビョウまたはビスにより取り付けるための小孔が形成されており、前記アタッチメントの平面部と前記スペーサと前記銘板の厚さの合計は、前記ビョウまたはビスの軸部の長さより大きい、ことを特徴とするアンテナ用チルト金具である。
ここで、前記調整部金具の両側面部には、前記下側金具として使用した際、前記上側金具の回転中心を中心とした前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記下側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列が形成されていると共に、前記上側金具として使用した際、前記下側金具の回転中心を中心として前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記上側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列が形成されている一方、前記基部金具の両側面部には、前記調整部金具の前記下側金具用角度設定ボルト孔列および前記上側金具用角度設定ボルト孔列にボルトにより連結される連結ボルト孔が形成されている、ようにしても良い。
また、前記基部金具と前記調整部金具との2組を、上側金具および下側金具として使用するようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアンテナ用チルト金具は、アタッチメントとスペーサとには、アンテナ側金具の連結ボルト孔と対応する位置に連結ボルト孔が形成されている共に、銘板をビョウまたはビスにより取り付けるための小孔が形成されており、アタッチメントとスペーサ厚さ合計が、ビョウまたはビスの軸部の長さより大きいので、型番などを記した銘板をビョウまたはビス等によりアタッチメントとスペーサの小孔に差し込んで固定しても、ビョウまたはビス等の軸部先端がアンテナ側金具に当たることがなくなり、銘板を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(c)それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1の使用態様の一例を示す全体図である。
【図2】実施形態1の1組のアンテナ用チルト金具を構成する基部金具1の一例を示している。
【図3】実施形態1の1組のアンテナ用チルト金具を構成する調整部金具の一例を示している。
【図4】基部金具と調整部金具とからなるアンテナ用チルト金具を上側金具として使用している基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図5】基部金具と調整部金具とからなるアンテナ用チルト金具を下側金具として使用している基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図6】実施形態1の1組のアンテナ用チルト金具を下側金具として使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図7】実施形態1の1組のアンテナ用チルト金具を上側金具として使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図8】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列の他の例を示す側面図である。
【図9】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列のさらに他の例を示す側面図である。
【図10】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列のさらに他の例を示す側面図である。
【図11】本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2の使用態様を拡大して示す拡大斜視図である。
【図12】(a),(b)それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2の使用態様の一例を示す平面図、正面図である。
【図13】(a)〜(d)それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2におけるアタッチメントの正面図、平面図、右側面図、左側面図である。
【図14】(a)〜(c)それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2におけるスペーサの正面図、平面図、右側面である。
【図15】(a),(b)それぞれ、図12(a)に示す連結状態の本実施形態2のアンテナ用チルト金具のA−A線断面図、B−B線断面図である。
【図16】図15(b)におけるビョウ部分の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1.
以下、本発明にかかるアンテナ用チルト金具の実施形態1について説明する。なお、本実施形態1では、本発明にかかる同一のアンテナ用チルト金具を2組利用し、上側金具Uおよび下側金具Dとして使用する場合について説明するが、本発明では、これに限らず、本発明にかかるアンテナ用チルト金具を、上側金具Uまたは下側金具Dのいずれか一方として使用し、それぞれ対応する下側金具Dまたは上側金具Uとして、本発明にかかるアンテナ用チルト金具ではなく、別の金具を使用してもよい。
【0011】
図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1の使用態様の一例を示す全体図である。
【0012】
図1(a)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1を使用し、支柱に対し−5度の仰角を設定した状態を示す図、図1(b)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1を使用し、0度の仰角を設定した状態を示す図、図1(c)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1を使用し、支柱に対し+5度の仰角を設定した状態を示す図である。
【0013】
つまり、図1(a)〜(c)に示すように、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態1は、アンテナ3を電柱等の支柱7に所定間隔を空けた上下2箇所で支持し、かつ、支柱7に対するアンテナ3の仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具である。
【0014】
このアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱7に支柱側金具71を介して取り付けられたる基部金具1と、基部金具1に取り付けられると共に、アンテナ3が固定される調整部金具22とからなるアンテナ用チルト金具を2組、上下2箇所それぞれに上側金具Uおよび下側金具Dとして配置し、アンテナ3を支柱7に対し所定の角度毎に設定して取り付けている。
【0015】
ここで、本実施形態1では、支柱7に対するアンテナ3の仰角は、図1(a)〜(c)に示すように、最大−5度〜+5度まで、1度毎、すなわち1度刻みで角度を設定可能である。ただし、これは一例であり、最大−5度〜+5度でなく、最大−10度〜+10度でも、1度刻みでなく、0.5度刻み、2度刻みでも勿論よい。
【0016】
また、本実施形態1では、アンテナ3は、例えば、セクタアンテナ等の棒状のアンテナを対象にしているが、これに限定されるものではない。
【0017】
なお、本発明および本実施例では、基部金具1および調整部金具2からなる同一のアンテナ用チルト金具1を2組用いているので、以後の説明では、1組のアンテナ用チルト金具1を構成する基部金具1および調整部金具2にて説明する。
【0018】
図2は、1組のアンテナ用チルト金具を構成する基部金具1の一例を示している。
【0019】
具体的には、図2(a)は基部金具1の外観を示す斜視図、同(b)は、基部金具1を上から見た平面図、同(c)は、基部金具1を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(d)は、基部金具1を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、基部金具1を右側面(図上下方)から見た右側面図と、基部金具1を前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図2(c),(d)と同じであるので、省略する。
【0020】
図2から明らかなように、基部金具1は、断面コ字状の金具であり、底面11と、両側面22a,22bとを有している。
【0021】
基部金具1の底面11には、図2(a),(b)に示すように、支柱7に固定された支柱側金具71に任意の方位角で取り付けるため、支柱側金具71先端とボルト締めされる回転中心孔111と、回転中心孔111を中心とする所定半径上に支柱7に対する方位角を、例えば、20度ずつ調整するための方位角調整孔112a〜112gが7個形成されている。なお、方位角調整孔112a〜112gの20度刻みや、7個はあくまで一例である。
【0022】
また、基部金具1の底面11には、図2(a),(b)に示すように、後述する脱落防止ボルト321が挿通される脱落防止用大長孔113が形成されている。
【0023】
また、基部金具1の両側面12a,12bには、図2(a),(c)に示すように、調整部金具2とボルトにより連結するための連結ボルト孔12a1,12b1が形成されている。なお、この角度設定ボルト孔12a1,12b1は、後述すように、基部金具1が下側金具Dとして使用した際、および上側金具Uとして使用した際も、角度設定ボルト孔12a1,12b1が回転中心となる。なお、調整部金具2と連結するためのボルトは、ネジ溝が切られていないピン等でもあっても良い。
【0024】
図3は、1組のアンテナ用チルト金具1を構成する調整部金具2の一例を示している。
【0025】
具体的には、図3(a)は調整部金具2の外観を示す斜視図、同(b)は、調整部金具2を上から見た平面図、同(c)は、調整部金具2を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(d)は、調整部金具2を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、調整部金具2を右側面(図上下方)から見た右側面図と、調整部金具2を前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図3(c),(d)と同じであるので、省略する。
【0026】
図3から明らかなように、調整部金具2は、基部金具1と同様に、断面コ字状の金具であり、底面21と、両側面22a,22bとを有している。
【0027】
調整部金具2の底面21には、図3(a),(b)に示すように、基部金具1の脱落防止用大長孔113と出合い、脱落防止ボルトが挿通される脱落防止用小長孔211と、重量を軽くするための開口部212が形成されている。なお、開口部212は、省略しても良いし、複数設けるようにしても、長方形状でなくても良い。
【0028】
また、調整部金具2の両側面22a,22bの後端には、図3(a),(c)に示すように、アンテナ3側に設けられたアンテナ側金具31と連結するためのアンテナ側連結ボルト孔22a1,22a2、22b1,22b2が2個ずつ上下に形成されている。
【0029】
そして、調整部金具2の両側面22a,22bの先端から中央には、図3(a),(c)に示すように、下側金具Dとして使用した際、上側金具Uとして使用している基部金具1の角度設定ボルト孔12a1,12b1を中心として、下側金具Dと上側金具Uとの間の取付け間隔(ここでは、例えば1680mmとする。)をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、下側金具D用の複数の角度設定ボルト孔を1度ずつずらして5度まで並べて下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10を形成している一方、上側金具Uとして使用した際、下側金具Aとして使用している基部金具1の角度設定ボルト孔12a1,12b1を中心として、上記取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、上側金具U用の複数の角度設定ボルト孔を1度ずつずらして5度まで並べた上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20が形成されている。
【0030】
ただし、本実施形態1の場合、図3(a),(c)に示すように(ここでは、右側面22bのみ図示しているが、左側面22aも同様である。)、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は共通としているので、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、重なって、すなわち繋がって一体で形成された複数の角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8より構成されている。
【0031】
つまり、本実施形態1では、調整部金具2の右側面12bには、図3(a),(c)に示すように、下側金具用角度設定ボルト孔列22b10および上側金具用角度設定ボルト孔列22b20の双方として機能する±5度調整用の複数の角度設定ボルト孔22b3〜22b8が形成されている一方、左側面12aには、図3(a)に示すように、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10および上側金具用角度設定ボルト孔列22a20の双方として機能する±5度調整用の複数の角度設定ボルト孔22a3〜22a8が形成されている。
【0032】
このため。これら角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8は、図(a),(c)から明らかなように、0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は、ほぼ真円だが、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10および上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20の双方として機能するため、±1度、±2度、±3度、±4度、±5度と1度ずつ増減していく毎に、角度設定ボルト孔22b4〜22b8、22a4〜22a8は、図上、上下に拡がった形状になっている。
【0033】
図4(a)〜(c)は、基部金具1と調整部金具2とからなるアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用している基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0034】
具体的には、図4(a)は、基部金具1と調整部金具2の連結状態を上から見た平面図、同(b)は、その連結状態を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(c)は、その連結状態を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、その連結状態を右側面(図上下方)から見た右側面図と、前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図4(b),(c)と同じであるので、省略する。
【0035】
ここで、基部金具1と調整部金具2との連結は、連結ボルト32a3,32b3により行われている一方、調整部金具2とアンテナ側金具31(図1参照)との接続は、連結ボルト32a1,32a2,32b1,32b2により行っている。
【0036】
そして、基部金具1と調整部金具2とを上側金具Uとして使用する場合、アンテナ3の脱落を防止する脱落防止ボルト321を取り付けている。ここで、脱落防止ボルト321は、図4(b),(c)に示すように、基部金具1と調整部金具2とを完全に締め付けないで、上下に余裕を持たせている。
【0037】
図5(a)〜(c)は、基部金具1と調整部金具2とからなるアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用している基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0038】
具体的には、図5(a)は、基部金具1と調整部金具2の連結状態を上から見た平面図、同(b)は、その連結状態を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(c)は、その連結状態を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、その連結状態を右側面(図上下方)から見た右側面図と、前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図5(b),(c)と同じであるので、省略する。
【0039】
ここで、基部金具1と調整部金具2との連結は、図4に示す上側金具Uとして使用する場合とほぼ同様であるが、下側金具Dとして使用する場合には、脱落防止ボルト321を省略している。勿論、下側金具Dとして使用する場合にも、脱落防止ボルト321を使用しても勿論よい。
【0040】
図6は、図1(a)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0041】
具体的には、図6(a)は−1度で角度設定ボルト孔22b4を使用しており、図6(b)は−2度で角度設定ボルト孔22b5を使用し、図6(c)は−3度で角度設定ボルト孔22b6を使用し、図6(d)は−4度で角度設定ボルト孔22b7を使用し、図6(e)は−5度で角度設定ボルト孔22b8を使用することにより、−1度〜―5度の1度刻みの仰角を設定している。
【0042】
つまり、図1(a)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用する場合、図6に示すように、角度設定ボルト孔22b3〜22b8の上側を利用した下側金具用角度設定ボルト孔列22b10を使用することになる。
【0043】
図7は、図1(c)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0044】
具体的には、図7(a)は+1度で角度設定ボルト孔22b4を使用しており、図7(b)は+2度で角度設定ボルト孔22b5を使用し、図7(c)は+3度で角度設定ボルト孔22b6を使用し、図7(d)は+4度で角度設定ボルト孔22b7を使用し、図7(e)で角度設定ボルト孔22b8を使用することにより、+1度〜+5度の1度刻みの仰角を設定している。
【0045】
つまり、図1(c)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用する場合、図7に示すように、角度設定ボルト孔22b3〜22b8の下側を利用した上側金具用角度設定ボルト孔列22b20を使用することになる。
【0046】
従って、本実施形態1のアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱7に取り付けられる基部金具1と、基部金具1に取り付けられると共に、アンテナ3が固定される調整部金具2と、からなるアンテナ用チルト金具を上下2箇所それぞれに上側金具Uおよび下側金具Dとして配置し、基部金具1には、調整部金具2をボルトにより連結するための連結ボルト孔12a1,12b1が形成されている一方、調整部金具2には、下側金具Dとして使用した際、上側金具Uの角度設定ボルト孔を中心として、下側金具Dと上側金具Uとの間の取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、下側金具D用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10が形成されている一方、上側金具Uとして使用した際、下側金具Dの角度設定ボルト孔を中心とし取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、上側金具U用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20が形成されているので、上下2箇所でアンテナ3を支持する場合でも、同一の基部金具1と調整部金具2からなるアンテナ用チルト金具を上側金具Uとしても、下側金具Dとしても上下逆にせずにそのまま使用することができ、部品点数が増えず、かつ、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができる。
【0047】
特に、本実施形態1では、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は共通とし、所定角度毎の複数の角度設定ボルト孔は一体にした角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8を形成したので、調整部金具2の側面22a1,22bの高さを抑えることができ、全体として、基部金具1および調整部金具2を小型化することができると共に、軽量化することができる。
【0048】
なお、上記実施形態1の説明では、本発明にかかる同一のアンテナ用チルト金具を2組利用し、上側金具Uおよび下側金具Dとして使用する場合について説明したが、本発明では、これに限らず、本発明にかかるアンテナ用チルト金具を、上側金具Uまたは下側金具Dのいずれか一方として使用し、その際、それぞれ対応する下側金具Dまたは上側金具Uとしては、本発明にかかるアンテナ用チルト金具ではなく、別の金具を使用しても勿論よい。
【0049】
また、本実施形態1の説明では、アンテナ3側に調整部金具2を設ける一方、支柱7側に基部金具1を設けて説明したが、本発明では、これに限らず、アンテナ3側に基部金具1を設ける一方、支柱7側に調整部金具2を設けるようにしても勿論よい。
【0050】
また、上記実施形態1の説明では、図3等に示すように、調整部金具2の側面22a,22bに設ける下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とを一体形成し、調整部金具2の先端に行くほど孔幅が拡がる角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8により説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、図8に示す左側面42bのように、調整部金具2の基部に行くほど孔の長さが拡がる角度設定ボルト孔42b3〜42b8や、図9や図10の左側面52b,62bのように、上側角度設定ボルト52b32〜52b83,62b32〜62b83と、下側角度設定ボルト孔52b31〜52b81,62b31〜62b81とを独立して設け、下側金具用角度設定ボルト孔列52b10,62b10、上側金具用角度設定ボルト孔列52b20,62b20を形成するようにしても勿論よい。
【0051】
実施形態2.
次に、実施形態2のアンテナ用チルト金具について説明する。実施形態2のアンテナ用チルト金具は、上述した実施形態1のアンテナ用チルト金具の調整部金具2に対しスペーサ9を介してアタッチメント8を取付け、アタッチメント8の表側に、型番等を刻印する銘板10を取り付けことができるようにしたものである。
【0052】
図11は、実施形態2の使用態様を拡大して示す拡大斜視図、図12(a),(b)は、それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2の使用態様の一例を示す平面図、正面図である。
【0053】
図11、図12(a),(b)に示すように、実施形態2のアンテナ用チルト金具は、上述した実施形態1のアンテナ用チルト金具の調整部金具2に対しスペーサ9を介してアタッチメント8を取り付け、アタッチメント8の調整部金具2側に、型番等を刻印する銘板10を取り付けることができるようにしたもので、基部金具1と調整部金具2との連結は、連結ボルト32a3,32b3により行う一方、調整部金具2とアタッチメント9との連結は、連結ボルト32a1,32a2,32b1,32b2により行っている。
【0054】
また、スペーサ9を介したアタッチメント8とアンテナ側金具33との連結は、連結ボルト81a1〜81d1により4点で行っている一方、アタッチメント8への銘板10の取付けは、ビョウ81e1〜81h1により4点で行っている。
【0055】
なお、本実施形態2では、上述の実施形態1の基部金具1および調整部金具2を使用しているので、基部金具1および調整部金具2の説明は省略し、本実施形態2特有のスペーサ9およびアタッチメント8を中心に説明する。
【0056】
図13(a)〜(d)は、それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2におけるアタッチメント8の正面図、平面図、右側面図、左側面図である。
【0057】
図13(a)〜(d)に示すように、本実施形態2のアタッチメント8は、高さ×幅が約90mm×166mmの平面部81と、右側面部82aと、左側面部82bとを有している。平面部81には、連結ボルト81a1〜81d1が挿入される連結ボルト孔81a〜81dが形成されていると共に、それより内側に、型番等を刻印する銘板10をビョウ81e1〜81h1等により取付ける小孔81e1〜81h1が形成されている。
【0058】
そして、アタッチメント8の右側面部82aと、左側面部82bとには、それぞれ、図13(c),(d)に示すように、調整部金具2のアンテナ側連結ボルト孔22a1,22a2、22b1,22b2(図3参照)に連結ボルト32a1,32a2,32b1,32b2により連結するためのボルト孔82a1,82a2、82b1,82bが2個ずつ上下に形成されている。
【0059】
図14(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態2におけるスペーサ9の正面図、平面図、右側面である。
【0060】
図14(a)〜(c)に示すように、本実施形態2のスペーサ9は、高さ×幅が約80mm×140mmというように、アタッチメント8の平面部81より一回り小さく構成されている。そして、平面部81の連結ボルト孔81a〜81dと同一位置かつ同一大きさで連結ボルト孔91a〜91dが形成されていると共に、平面部81の小孔81e1〜81h1と同一位置かつ同一大きさで小孔91e1〜91h1が形成されている。
【0061】
図15(a),(b)は、それぞれ、図12(a)に示す連結状態の本実施形態2のアンテナ用チルト金具のA−A線断面図、B−B線断面図、図16は、図15(b)におけるビョウ81f1部分の端面図である。
【0062】
つまり、図15(a)は、連結ボルト81a1,81c1とナット81a2,81c2により締め付けて固定した部分の断面を示しており、図15(b)は、ビョウ81f1,81h1を挿入して銘板10をアタッチメント8の平面部81に取付けた状態の断面を示している。
【0063】
ここで、本実施形態2では、図16から明らかなように、ビョウ81e1〜81h1の軸部81e2〜81h2の長さは、銘板10の厚さd1と、アタッチメント8の平面部81の厚さd2と、スペーサ9の厚さd3との合計より短くなるように、スペーサ9の厚さd3を確保している。
【0064】
これにより、本実施形態2では、銘板10を取付けるビョウ81e1〜81h1の軸部81e2〜81h2の先端部が、アンテナ側金具33に当たることを防止して、アンテナ側金具33と干渉することなく、またビョウ81e1〜81h1の軸部81e2〜81h2がアタッチメント8の平面部81の厚さd2とスペーサ9の厚さd3との合計より長いことによりビョウ81e1〜81h1の頭が浮くこと等を防止して、銘板10を取付けることができる。
【0065】
従って、本実施形態2のアンテナ用チルト金具によれば、上記実施形態1のアンテナ用チルト金具と同様に、上下2箇所でアンテナ3を支持する場合でも、同一の基部金具1と調整部金具2からなるアンテナ用チルト金具を上側金具Uとしても、下側金具Dとしても上下逆にせずにそのまま使用することができ、部品点数が増えず、かつ、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができると共に、基部金具1および調整部金具2を小型化して、軽量化することができる。
【0066】
特に、本実施形態2のアンテナ用チルト金具では、アタッチメント8とアンテナ側金具33との間にスペーサ9を設け、ビョウ81e1〜81h1の軸部81e2〜81h2の長さが、銘板10の厚さd1と、アタッチメント8の平面部81の厚さd2と、スペーサ9の厚さd3との合計より短くなるように、スペーサ9の厚さd3を確保したので、銘板10を取付けるビョウ81e1〜81h1の軸部81e2〜81h2の先端部がアンテナ側金具33に当たることを防止することができる。
【0067】
なお、本実施形態2では、軸部81e2〜81h2にネジ山が形成されていないビョウ81e1〜81h1により銘板10を取付けるように説明したが、本発明では、これに限られず、軸部81e2〜81h2にネジ山が形成されたビス等により銘板10を取付けるようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0068】
1 基部金具
12a1,12ab1 連結ボルト孔
2 調整部金具
22a3〜22a8,22b3〜22b8 角度設定ボルト孔
22a10,22b10 下側金具用角度設定ボルト孔列
22a20,22b20 上側金具用角度設定ボルト孔列
3 アンテナ
31,33 アンテナ側金具
7 支柱
71 支柱側金具
8 アタッチメント
81a〜81d 連結ボルト孔
81e〜81h 小孔
9 スペーサ
91a〜91d 連結ボルト孔
91e〜91h 小孔
81e1〜81h1 ビョウ
10 銘板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱等の支柱における所定間隔を空けた上下2箇所の少なくとも一方に上側金具または下側金具として設けられ、前記支柱に対しアンテナの仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具であって、
支柱に取付けられる支柱側金具に平面部の支柱側が連結される基部金具と、
前記基部金具の両側面部のアンテナ側に両側面部が連結される調整部金具と、
前記調整部金具の両側面部のアンテナ側と両側面部が連結され、当該両側面部間に平面部を有するアタッチメントと、
前記アタッチメントと前記アンテナに設けられたアンテナ側金具との間に設けられるスペーサとからなり、
前記アタッチメントの平面部と前記スペーサとには、
前記アンテナ側金具の連結ボルト孔と対応する位置に連結ボルト孔が形成されている共に、銘板をビョウまたはビスにより取り付けるための小孔が形成されており、
前記アタッチメントの平面部と前記スペーサと前記銘板の厚さの合計は、前記ビョウまたはビスの軸部の長さより大きい、
ことを特徴とするアンテナ用チルト金具。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ用チルト金具において、
前記調整部金具の両側面部には、
前記下側金具として使用した際、前記上側金具の回転中心を中心とした前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記下側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列が形成されていると共に、前記上側金具として使用した際、前記下側金具の回転中心を中心として前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記上側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列が形成されている一方、
前記基部金具の両側面部には、
前記調整部金具の前記下側金具用角度設定ボルト孔列および前記上側金具用角度設定ボルト孔列にボルトにより連結される連結ボルト孔が形成されている、
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のアンテナ用チルト金具において、
前記調整部金具と、前記基部金具と、前記アタッチメントと、前記スペーサとの2組を、上側金具および下側金具として使用する、アンテナ用チルト金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−34088(P2012−34088A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170460(P2010−170460)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(509036012)株式会社TCM (5)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】