説明

アンテナ用ブラケット

【課題】アンテナの位置を精確に調整することができるアンテナ用ブラケットを提供すること。
【解決手段】本発明に係るアンテナ用ブラケット100は、台座10と、前記台座10にスライド可能に装着されるスライド板20と、前記スライド板20に固定され且つ伸縮可能な支柱30と、アンテナを装着するための積載ブロック40と、駆動モジュール50及び赤外線スイッチモジュール60と、を備え、前記積載ブロック40は、前記支柱30の上端に固定され、前記駆動モジュール50は、前記台座10に設けられ、且つ前記スライド板20を駆動して、前記台座10に対してスライドさせ、前記赤外線スイッチモジュール60は、前記台座10及び前記スライド板20に設けられ、且つ前記スライド板20の前記台座10に対するスライド位置を規制し、位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに用いられるブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電磁妨害(Electromagnetic Interference:EMI)高周波テストを行う場合、通常、先ずテスト地点の合格性を検証するために、アンテナに対して、サイト電圧定在波比(Site Voltage Standing−Wave Ratio:SVSWR)を測定する。この測定過程において、送信アンテナ及び受信アンテナを、レベル極性或いは垂直極性に同時に放置して、測定しなければならない。
【0003】
また、レベル極性の測定から垂直極性の測定に切り換える際に、前記送信アンテナ及び受信アンテナの高さを同時に調整する必要があり、前記レベル極性或いは垂直極性の測定を行う際も、送信アンテナ及び受信アンテナの互いに対する位置を頻繁に調整する必要がある。そのため、現在受信アンテナを固定して、送信アンテナの送信点の位置のみを調整するのが一般的な方法であるが、毎度調整した後の送信アンテナと受信アンテナとの距離は精確でなければならず、毎度送信アンテナの位置を調整する際に、操作員の手作業によって、送信アンテナと受信アンテナとの距離を測定する方法では、データに誤差が生じ易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、アンテナの位置を精確に調整することができるアンテナ用ブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係るアンテナ用ブラケットは、台座と、前記台座にスライド可能に装着されるスライド板と、前記スライド板に固定され、且つ伸縮可能な支柱と、アンテナを装着するための積載ブロックと、駆動モジュールと、赤外線スイッチモジュールと、を備え、前記積載ブロックは、前記支柱の上端に固定され、前記駆動モジュールは、前記台座に設けられ、且つ前記スライド板を駆動して、前記台座に対してスライドさせ、前記赤外線スイッチモジュールは、前記台座及び前記スライド板に設けられ、且つ前記スライド板の前記台座に対するスライド位置を規制し、位置決めする。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術とは異なり、本発明のアンテナ用ブラケットは、アンテナを前記積載ブロックに装着して、前記積載ブロックにおいて、アンテナの水平極性及び垂直極性の切り換えを行うことができ、前記支柱と前記スピンボタンとの組み合せによって、前記アンテナの高さも調節することができる。また、前記スライド板を、前記台座の前記スライド溝に対してスライドさせることで、前記アンテナを水平方向に移動させ、且つ前記赤外線位置決めスイッチを介して、前記アンテナの水平位置を精確に調整することができる。従って、本発明のアンテナ用ブラケットは、アンテナの位置を精確に、且つ柔軟に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るアンテナ用ブラケットの斜視図である。
【図2】図1に示したアンテナ用ブラケットの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態に係るアンテナ用ブラケット100は、台座10と、前記台座10に設けられるスライド板20と、前記スライド板20の上面に設けられる支柱30と、前記支柱30の頂部に設けられる積載ブロック40と、前記台座10に設けられる駆動モジュール50と、前記台座10及び前記スライド板20にそれぞれ設けられる赤外線スイッチモジュール60と、を備える。
【0009】
前記台座10は平板状であり、且つ底面101及び頂面102を備える。前記底面101の四つの隅にはそれぞれ、1つの支持脚11が設置されている。前記台座10は、テーブル等の上面で、四つの前記支持脚11によって支持され、且つ水平状態を保つ。前記頂面102上の長さ方向には、互いに平行する2つのスライド溝12が設けられている。
【0010】
前記スライド板20は略矩形の平板状であり、且つ上面201及び下面202を備える。前記スライド板20の前記上面201の中央には、1つの固定孔205が設けられている。また、前記下面202には、四つのスライド車輪22が互いに間隔をあけて、且つ対称的に設けられている。四つの前記スライド車輪22は、前記台座10の2つの前記スライド溝12と組み合わせることで、前記スライド板20の前記台座10に対するスライドを実現する。また、前記スライド板20は、前記台座10により支持され、且つ前記台座10に重ねて設けられる。前記スライド板20に外力が加わると、四つの前記スライド車輪22は、前記スライド板20を動かして、前記台座10の頂面102上において、長軸方向に沿ってスライドする。
【0011】
前記支柱30は、外周面に少なくとも2つの段差部が形成されている円柱体である。前記支柱30の下端301を、前記固定孔205に係止させて、前記支柱30の全体を前記スライド板20の前記上面201の中央部に、且つ前記スライド板20に対して垂直に立設させる。前記支柱30は、伸縮可能であり、且つ長さが各々等しい三段式の円柱体構造である。前記支柱30を伸縮させて1つの短くてより太い円柱体にしても良いし、三つの円柱体をどれも最大まで伸ばして、最長にしても良い。また、相隣する2つの円柱体の連接部位は段差状を呈し、この連接部位の近傍には、1つのスピンボタン32がそれぞれ設けられている。このスピンボタン32を締める、又は緩めることによって、前記支柱30全体の長さを調節する。
【0012】
前記積載ブロック40は、前記支柱30の上端302に連接して固定される。前記積載ブロック40の一端には、互いに直交する垂直貫通孔42及び水平貫通孔44が設けられている。前記垂直貫通孔42は、アンテナ(図示せず)を積載して、該アンテナを垂直極性にすることができる。前記水平貫通孔44は、アンテナを積載して、該アンテナを水平極性にすることができる。前記支柱30全体の長さが調節可能であるため、積載ブロック40は、前記アンテナの前記スライド板20或いは前記台座10に対して、高さを調節することができる。
【0013】
前記駆動モジュール50は、モーター52と、2つのホイール54及び伝動ベルト56と、を備え、前記モーター52は、前記台座10の一端に設けられる。2つの前記ホイール54は、前記台座10の前記頂面102における対向する両端にそれぞれ設けられる。前記伝動ベルト56の一端は、前記モーター52に巻き取られ、前記伝動ベルト56の他端は、前記台座10の一端の1つのホイール54を通過して、前記モーター52から遠く離れている前記台座10の他端のもう1つのホイール54に絡められる。この際、前記スライド板20の前記下面202は、前記伝動ベルト56に連接されている。前記モーター52が駆動して、前記伝動ベルト56を移動させると、前記スライド板20は連動されて、前記台座10の長さ方向に沿って、水平移動する。この際、前記スライド板20の底部に設けられた四つの前記スライド車輪22は、前記台座10の前記スライド溝12に沿ってスライドする。
【0014】
前記赤外線スイッチモジュール60は、2対の赤外線リミットスイッチ62及び1対の赤外線位置決めスイッチ64を備える。2対の前記赤外線リミットスイッチ62は、前記台座10の前記スライド溝12の延伸方向の両端にそれぞれ設けられる。各々の対の赤外線リミットスイッチ62は、互いに対称的に設置された2つの第一支持片622と、各々の前記第一支持片622の上端にそれぞれ設けられた2つの第一感応点624と、を備える。また、各々の対の赤外線リミットスイッチ62において、1つの第一支持片622は、一方側の前記スライド溝12の外側に立設され、もう1つの前記第一支持片622は、他方側の前記スライド溝12の外側に立設される。
【0015】
前記一方側の前記第一感応点624と前記他方側の前記第一感応点624は、互いに感応することができるが、この2つの第一感応点624を接ぐ直線が、障害物によって遮断されると、2つの前記第一感応点624は互いに感応できなくなる。従って、前記赤外線リミットスイッチ62は、前記スライド板20が、前記台座10の長さ方向に沿って、2つの前記第一感応点624の間をスライドすると、前記モーター52の駆動を停止して、前記スライド板20が、2つの前記スライド溝12の端部を引き続きスライドして、前記台座10から脱出することを防止する。
【0016】
前記赤外線位置決めスイッチ64は、前記台座10の前記頂面102上で、互いに対称に設けられた2つの第二支持片642と、前記スライド板20の前記上面201に設けられた第三支持片646と、を備え、各々の前記第二支持片642の上端には、第二感応点644が設けられている。また、前記赤外線位置決めスイッチ64は、2対の前記赤外線リミットスイッチ62の間に位置する。1つの前記第二支持片642は、一方側の前記スライド溝12の外側に位置し、もう1つの前記第二支持片642は、他方側の前記スライド溝12の外側に位置する。2つの第二感応点644は、互いに感応することができる。また、前記第三支持片646には、複数の第三感応点648が間隔をあけて設けられている。
【0017】
前記スライド板20は、前記第二支持片642の位置を滑り越え、且つ各々の前記第三感応点648が、2つの前記第二感応点644の間(具体的には、2つの前記第二感応点644と、前記第三感応点648とが互いに感応する位置)を通過すると、スライドを停止する、つまり、前記赤外線位置決めスイッチ64が、前記モーター52の駆動を停止する。これにより、前記積載ブロック40に積載されたアンテナの位置決めを行うことができる。
【0018】
本実施形態において、場所電圧定在波比を測定する場合、受信アンテナを固定し、前記アンテナ用ブラケット100を使用して、送信アンテナを積載する。複数の前記第三感応点648は、異なる測定距離(即ち、前記積載ブロック40により積載されている送信アンテナと、固定されている受信アンテナとの相対距離)に基づいて、間隔をあけて設けられる。前記スライド板20は、各々の前記第三感応点648が、2つの前記第二感応点644の間を経過すると、スライドを停止して、前記積載ブロック40により積載されたアンテナを位置決めする。これにより、アンテナを水平移動方向において精確に位置決めすることができる。
【0019】
本発明のアンテナ用ブラケット100は、アンテナを前記積載ブロック40に装着して、前記積載ブロック40において、アンテナの水平極性及び垂直極性の切り換えを行うことができ、前記支柱30と前記スピンボタン32との組み合せによって、前記アンテナの高さも調節することができる。また、前記スライド板20を、前記台座10の前記スライド溝12に対してスライドさせることで、前記アンテナを水平方向に移動させ、且つ前記赤外線位置決めスイッチ64を介して、前記アンテナの水平位置を精確に調整することができる。従って、本発明のアンテナ用ブラケット100は、アンテナの位置を精確に、且つ柔軟に調整することができる。
【0020】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形又は修正が可能であり、該変形又は修正も又、本発明の特許請求の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0021】
10 台座
11 支持脚
12 スライド溝
20 スライド板
22 スライド車輪
30 支柱
32 スピンボタン
40 積載ブロック
42 垂直貫通孔
44 水平貫通孔
50 駆動モジュール
52 モーター
54 ホイール
56 伝動ベルト
60 赤外線スイッチモジュール
62 赤外線リミットスイッチ
64 赤外線位置決めスイッチ
100 アンテナ用ブラケット
101 底面
102 頂面
201 上面
202 下面
205 固定孔
301 下端
302 上端
622 第一支持片
624 第一感応点
642 第二支持片
644 第二感応点
646 第三支持片
648 第三感応点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座と、前記台座にスライド可能に装着されるスライド板と、前記スライド板に固定され、且つ伸縮可能な支柱と、アンテナを装着するための積載ブロックと、駆動モジュールと、赤外線スイッチモジュールと、を備え、前記積載ブロックは、前記支柱の上端に固定され、前記駆動モジュールは、前記台座に設けられ、且つ前記スライド板を駆動して、前記台座に対してスライドさせ、前記赤外線スイッチモジュールは、前記台座及び前記スライド板に設けられ、且つ前記スライド板の前記台座に対するスライド位置を規制し、位置決めすることを特徴とするアンテナ用ブラケット。
【請求項2】
前記台座は、底面及び頂面を備え、前記底面の四つの隅にはそれぞれ、支持脚が設けられ、前記頂面には、2つのスライド溝が前記台座の長さ方向に沿って、互いに平行して設けられ、前記台座全体は、四つの前記支持脚によって支持されて、水平状態に保たれることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項3】
前記スライド板は、上面及び下面を備え、前記下面には、四つのスライド車輪が間隔をあけて設けられ、四つの前記スライド車輪は、2つの前記スライド溝と組み合わさり、前記スライド板の前記台座に対する水平移動を実現することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項4】
前記支柱は、伸縮可能であり、且つ長さが各々等しい三段式の円柱体であり、相隣する2段の円柱体の接続部位には、スピンボタンがそれぞれ設けられ、このスピンボタンを締める、又は緩めることによって、前記支柱全体の長さを調整することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項5】
前記積載ブロックの一端には、垂直貫通孔及び水平貫通孔が設けられ、該垂直貫通孔及び水平貫通孔にアンテナを積載させることで、アンテナを垂直極性又は水平極性にすることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項6】
前記駆動モジュールは、モーターと、2つのホイール及び伝動ベルトと、を備え、前記伝動ベルトの一端は、前記モーターに巻き取られ、前記伝動ベルトの他端は、一端のホイールを通過して、前記モーターから遠く離れている他端のホイールに絡められ、前記スライド板の下面は、前記伝動ベルトに連結され、前記モーターが、前記伝動ベルトを駆動して移動させると、前記スライド板は連動して、前記台座上で水平移動することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項7】
前記赤外線スイッチモジュールは、2対の赤外線リミットスイッチ及び1対の赤外線位置決めスイッチを備え、2対の前記赤外線リミットスイッチは、前記スライド溝の延伸方向の対向する両端にそれぞれ設けられ、1対の前記赤外線位置決めスイッチは、2対の前記赤外線リミットスイッチの間に設けられることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項8】
各々の対の赤外線リミットスイッチは、前記台座の頂面で、対称的に設けられた2つの第一支持片及び該第一支持片に設けられた2つの第一感応点を備え、2つの前記第一感応点は、互いに対称であり、且つ互いに感応し、前記スライド板は、2つの前記第一感応点の間をスライドすると、前記赤外線リミットスイッチは、前記モーターの駆動を停止して、前記スライド板のスライドを停止することを特徴とする請求項7に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項9】
前記赤外線位置決めスイッチは、対称的に設置された2つの第二支持片と、該第二支持片に設けられた2つの第二感応点と、前記スライド板の上面に設けられた第三支持片と、前記第三支持片に間隔をあけて設けられた複数の第三感応点と、を備え、2つの前記第二感応点は、互いに対称であり、且つ互いに感応し、前記第三感応点は、それ自身が2つの前記第二感応点と互いに感応する位置に移動すると、前記赤外線位置決めスイッチは、前記モーターの駆動を停止して、前記スライド板のスライドを停止することを特徴とする請求項7に記載のアンテナ用ブラケット。
【請求項10】
前記第三感応点は、前記アンテナ用ブラケットにより積載された送信アンテナと、固定された受信アンテナとの相対距離に基づいて、間隔をあけて設けられることを特徴とする請求項9に記載のアンテナ用ブラケット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−90329(P2013−90329A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219191(P2012−219191)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【出願人】(503023069)鴻富錦精密工業(深▲セン▼)有限公司 (399)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】