説明

アンテナ装置

【課題】 小型で広帯域性を実現できるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】 アンテナ素子が、複数の上面F側導体セル22F、42Fとスルーホール52と複数の下面S側導体セル22S、42Sとを断面クランク状に配置して成るため、上面のみにアンテナ素子を配置するのと比較して小型化できる。また、アンテナ素子を断面クランク状に配置することで、広帯域性を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末用のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3〜10Gの超広帯域を利用し、超高速でデータ送信を行うUWB(Ultra Wide-band)無線システムの実用化が図られている。該UWB用の携帯端末に搭載されるアンテナには、小型軽量であると共に、実装の容易性から平面構造であり、超広帯域性を有し、更に、周波数による指向性の変動が少ないことが要求される。特許文献1には、プリント配線基板上に複数のアンテナ素子を設け、指向性を調整するアダプタブルアレーアンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−121659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、複数のアンテナ素子を用いるため、小型化が難しく、また、広帯域性を実現することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、小型で広帯域性を実現できるアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のアンテナ装置は、第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板と、
前記基板の第1面に形成される第1面側の導体層と、
前記基板の第2面に形成される第2面側の導体層と、
前記第1面側の導体層と前記第2面側の導体層とを接続するスルーホールとを有するアンテナ装置であって、
前記第1面側の導体層と、前記スルーホールと、前記第2面側の導体層とが、縦方向、又は、横方向に断面クランク状に配置されていることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1又は請求項2のアンテナ装置では、アンテナ素子が、複数の第1面側導体層とスルーホールと複数の第2面側導体層とを断面クランク状に配置して成るため、第1面のみにアンテナ素子を配置するのと比較して小型化できる。また、アンテナ素子を断面クランク状に配置することで、広帯域性を実現できる。プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できると共に、アンテナをプリント配線基板内に収容できるので、携帯端末への内蔵が容易である。
第1面側の導体層と、第2面側の導体層とはどちらも面状導体であって、各導体層には複数のスルーホールにより接続されることができる。
【0008】
請求項3のアンテナ装置では、アンテナ素子が、複数の第1面側の導線部と複数の第2面側の導線部とをスルーホールによりヘリカル状に接続してなる。このため、ヘリカルアンテナを平板状のプリント配線基板に形成することが可能となり、アンテナ装置を小型化できる。プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。
【0009】
請求項4のアンテナ装置では、複数の第1面側導体層とスルーホールと複数の第2面側導体層とをヘリカル状に配置して成るアンテナ素子と、複数の第1面側の導線部と複数の第2面側の導線部とをスルーホールによりクランク状に接続してなるアンテナ素子とを備えるため、アンテナの小型化と共に広帯域性を実現できる。
【0010】
請求項5のアンテナ装置では、放射エレメントと接地エレメントとの第1面側と第2面側とに連続的に設けられる各導体層の側辺を結ぶ線は、給電点から離れるに従い距離が離れるようにする。ここで、5GHzを超える高周波においては、放射エレメントの接地エレメント側の辺と、接地エレメントの放射エレメント側の辺との間で、等価的に導波路を形成して特性インピーダンスを決定する。このため、これを線とし、更に、徐々に間が開くように配置することで、テーパー状に広がる導波路を構成し、周波数に対して連続的に特性インピーダンスを変化させ、広帯域性を実現できる。更に、周波数による指向性の変動を小さくすることが可能となる。
【0011】
請求項6のアンテナ装置では、ヘリカル状のアンテナ素子が、主エレメントと、該主エレメントのショートポイントを接続点とする折り返しエレメントとを備えるため、特性の調整が容易である。
【0012】
請求項7のアンテナ装置では、除去可能なショートポイントを複数備えるため、特定のショートポイントをレーザトリーミングで除去することにより、単体毎に特性を容易に調整することができる。
【0013】
請求項8の導体層が、隣接する導体層側へスルーホールを超えて延在させることで、隣接する導体層との間でコンダクタンス分を持たせる。このコンダクタンス分をトリーミング等により調整できるため、アンテナの特性の調整が容易である。
【0014】
請求項9のアンテナ装置では、3層の絶縁層を備える多層プリント配線基板に形成した第1導体層、第2導体層、第3導体層、第4導体層、及び、ビア導体をスパイラル状に配置することで、スパイラル状アンテナ素子を構成できる。スパイラル状アンテナ素子を小型化できると共に、プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。
【0015】
請求項10のアンテナ装置では、3層の絶縁層を備える多層プリント配線基板に形成した第1導体層、第2導体層、第3導体層、第4導体層、及び、ビア導体をスパイラル状に配置したスパイラル状アンテナ素子を複数連結することで複合素子アンテナを構成できる。複合素子アンテナを小型化できると共に、プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は第1実施形態のアンテナ装置の平面図であり、図1(B)は図1(A)のb−b断面図であり、図1(C)は、図1(A)のc−c断面図である。
【図2】第1実施形態のアンテナ装置の斜視図である。
【図3】アンテナ素子の電気特性を説明するための説明図である。
【図4】図4(A)は第1実施形態の第1改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図4(B)は図4(A)のb1−b1断面図であり、図4(C)は、図4(B)中の楕円c1部の拡大図である。
【図5】図5(A)は第1実施形態の第2改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図5(B)は図5(A)のb3−b3断面図である。
【図6】図6は第1実施形態の第3改変例に係るアンテナ装置の平面図である。
【図7】第2実施形態のアンテナ装置の平面図である。
【図8】第2実施形態の改変例に係るアンテナ装置の平面図である。
【図9】第3実施形態のアンテナ装置の平面図である。
【図10】図10(A)は第3実施形態の改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図10(B)は図10(A)のb4−b4断面図である。
【図11】第4実施形態のアンテナ装置の断面図である。
【図12】第4実施形態の改変例に係るアンテナ素子の説明図である。
【図13】アンテナ素子の搭載例を示す説明図である。
【図14】アンテナ素子の搭載例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1〜図3を参照して本発明の第1実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
図1(A)は第1実施形態のアンテナ装置の平面図であり、図1(B)は図1(A)のb−b断面図であり、図1(C)は、図1(A)のc−c断面図である。図2は、アンテナ装置のアンテナ素子の斜視図である。
アンテナ装置は、プリント配線基板12にアンテナ素子が形成されてなる。アンテナ素子は、縦放射エレメント30と横放射エレメント20と、接地エレメント40とを備える。縦放射エレメント30と横放射エレメント20とは、給電点50の一方に接続され、接地エレメント40は、給電点50の他方に接続されている。給電点までは、図示しない50オームのコプレーナ線路で給電が行われる。ここで、コプレーナ線路の代わりにマイクロストリップラインを用いることもできる。
【0018】
図1(B)の断面図で示すように、接地エレメント40は、上面F側の略矩形形状の導体セル42Fと、下面S側の略矩形形状の導体セル42Sとをスルーホール52でクランク状に接続して成る。同様に、横放射エレメント20は、上面F側の台形形状の導体セル22Fと、下面S側の略台形形状の導体セル22Sとをスルーホール52で横方向へクランク状に接続して成る。縦放射エレメント30は、上面F側の略矩形形状の導体セル32Fと、下面S側の略矩形形状の導体セル32Sとをスルーホール52で縦方向へクランク状に接続して成る。ここでの縦Y、横Xは相対的なもので、横Y方向とは縦X方向からの垂直方向を意味する。縦方向とは、1方向の意味で、プリント配線基板12の縦横方向と必ずしも一致するものでは無い。
【0019】
アンテナ素子は、幅W1が14.2mm、長さL1が29.4mm、厚みD1が1mmに形成されている。アンテナ素子は、電子部品を実装する送受信基板内に作ることも可能であり、また、アンテナ素子のみから成る小型プリント配線基板(アンテナ装置)を、送受信基板に接続又は搭載することもできる。
【0020】
第1実施形態のアンテナ装置10では、アンテナ素子が、複数の上面F側導体セルとスルーホール52と1以上の下面S側導体セルとを断面クランク状に配置して成るため、上面のみにアンテナ素子を配置するのと比較して小型化できる。プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できると共に、アンテナをプリント配線基板内に収容できるので、携帯端末への内蔵が容易である。
【0021】
また、アンテナ素子を断面クランク状に配置することで、広帯域性を実現できる。
即ち、折り曲げ構造を備えないようにスルーホールクランク分を展開して横方向に大型化した平面状アンテナ素子と比較して、インピーダンス特性及びVSWR特性の計算、測定を行った。計算結果、測定結果はほぼ一致して、折り曲げ構造に対して、クランク状に折り曲げた第1実施形態のアンテナ素子では、3.5GHzから10.6GHzに渡ってVSWRがほぼ2以下になることを確認できた。この結果から、クランク状の折り曲げ構造を用いることで、VSWR特性が改善され、広帯域性が実現できることが明らかになった。
【0022】
図3は、図1中の円C1で囲んだ部位における電気特性を説明するための図である。
第1実施形態のアンテナ装置では、横放射エレメント20の上面F側と下面S側とに連続的に設けられる各導体セル22F、22S、22Fの側辺を曲線20L上に位置するように配置する。同様に、接地エレメント40の上面F側と下面S側とに連続的に設けられる各導体セル42F、42S、42Fの側辺を曲線40L上に位置するように配置する。そして、横放射エレメント20の導体セルを結ぶ曲線20Lと、接地エレメント40の導体セルを結ぶ曲線40Lとが、給電点から離れるに従い距離が離れるようにする。
【0023】
ここで、5GHzを超える高周波においては、横放射エレメント20の接地エレメント側の辺(曲線20L)と、接地エレメント40の放射エレメント側の辺(曲線40L)との間で、等価的に導波路を形成して特性インピーダンスを決定することが明らかになった。このため、これを曲線20L、40Lにし、更に、徐々に間が開くように配置することで、テーパー状に広がる導波路を構成し、周波数に対して連続的に特性インピーダンスを変化させ、広帯域性を実現できる。更に、周波数による指向性の変動を小さくすることが可能となる。なお、各導体セル22F、22S、42F、42Sを矩形にし、矩形の短辺(側辺)が直線状になるように配置することも可能である。
【0024】
更に、第1実施形態のアンテナ装置では、図1中に示すように横放射エレメント20の台形状各導体セル22F、22S、22Fの上底、下底を延長した線分は、接地エレメント40の略矩形状各導体セル42F、42S、42Fの長辺と重なるように配置されている。これにより、周波数に対して連続的に特性インピーダンスを変化させ、広帯域性を実現している。
【0025】
[第1実施形態の第1改変例]
図4を参照して本発明の第1実施形態の第1改変例に係るアンテナ装置について説明する。
図4(A)は第1実施形態の第1改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図4(B)は図4(A)のb1−b1断面図であり、図4(C)は、図4(B)中の楕円c1部の拡大図である。
第1実施形態の第1改変例に係るアンテナ装置は、第1実施形態と同様に、アンテナ素子は、縦放射エレメント30と横放射エレメント20と、接地エレメント40とを備える。但し、第1実施形態の第1改変例では、接地エレメント40を構成する導体セル42S、導体セル42Fは、スルーホール52を超えて、隣接する導体セル側へ延在させることで、隣接する導体層との間でコンダクタンス分を持たせる。同様に、横放射エレメント20の導体セル22S、22Fが形成されている。このコンダクタンス分をトリーミング等により導体セルの延在部分をカットすることで調整できるため、アンテナ装置単体毎のアンテナの特性調整が容易である。第1実施形態の第1改変例では、この延在した導体(ランド)によって導体のエッジ部分までのスペースが広くなり、スルーホールの形成が容易になる。
【0026】
[第1実施形態の第2改変例]
図5を参照して第1実施形態の第2改変例について説明する。
図5(A)は第1実施形態の第2改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図5(B)は図5(A)のb3−b3断面図である。
第1実施形態の第2改変例では、接地エレメント40を構成する略矩形導体セル42S、導体セル42Fの長辺、及び、横放射エレメント20の略台形導体セル22S、22Fの上底、下底からスルーホールのランド部分53が側方へ突出している。第1実施形態の第2改変例は、ランド部分が突出することで、スルーホールの形成が容易である。縦方向放射エレメント30に対しても同様なことが言える。
【0027】
[第1実施形態の第3改変例]
図6を参照して第1実施形態の第3改変例について説明する。
図6は第1実施形態の第3改変例に係るアンテナ装置の平面図である。
第1実施形態の第2改変例では、接地エレメントの縦放射エレメント30と対応する部位は、縦方向にクランク状に略矩形導体セル42S、導体セル42Fが配置されている。
【0028】
[第2実施形態]
図7を参照して本発明の第2実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
第2実施形態のアンテナ素子は、ヘリカル状放射エレメント60と、接地エレメント40とを備える。接地エレメント40は、第1実施形態と同様に略矩形形状に形成され、ヘリカル状放射エレメント60は、接地エレメント40の略矩形長辺に対して垂直方向に配置されている。
【0029】
第2実施形態では、ヘリカル状放射エレメント60は、複数の上面側の導線部62Fと複数の下面側の導線部62Sとをスルーホール52によりヘリカル状に接続してなる。ヘリカル状放射エレメント60により、ノーマルモードヘリカルアンテナの動作が実現でき、各ループで自己共振するため、低域での動作が可能になる。このため、ヘリカルアンテナを平板状のプリント配線基板に形成することが可能となり、アンテナ装置を小型化できる。プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。
【0030】
[第2実施形態の改変例]
図8を参照して本発明の第2実施形態の改変例に係るアンテナ装置について説明する。
第2実施形態の改変例に係るアンテナ素子は、第2実施形態と同様に、ヘリカル状放射エレメント60と、接地エレメント40とを備える。接地エレメント40は、第1実施形態と同様に略矩形形状に形成され、ヘリカル状放射エレメント60は、接地エレメント40の略矩形長辺に対して垂直方向に配置されている。
【0031】
第2実施形態の改変例では、ヘリカル状放射エレメント60は、給電点50側に接続された主エレメント64Mと、接地エレメント40に接続された折り返しエレメント64Uとから成る。折り返しエレメント64Uは、主エレメント64Mに対して、複数のショートポイント66a、66b、66cで接続されている。ノーマルモードヘリカルアンテナは、自己共振するものの、放射抵抗は一般的に低い。そのため、ヘリカル状放射エレメントの一部を折り返し構造とすることで、インピーダンスの調整を図れるので、特性の調整が容易である。また、除去可能なショートポイントを複数備えるため、ショートポイント66a、66b、66cのいずれかをレーザトリーミングで除去することにより、特性を容易に調整することができる。なお、接地エレメント40をヘリカル状接地エレメントにしてもよい。
【0032】
[第3実施形態]
図9を参照して本発明の第3実施形態に係るアンテナ装置について説明する。
第3実施形態のアンテナ素子は、第2実施形態と同様のヘリカル状放射エレメント60と、第1実施形態と同様の横放射エレメント20及び接地エレメント40とを備える。
【0033】
第1実施形態を参照して上述したように、横放射エレメント20は、横放射エレメント20の接地エレメント側の辺と、接地エレメント40の放射エレメント側の辺との間で、徐々に間が開くように配置することで、テーパー状に広がる導波路を構成し、周波数に対して連続的に特性インピーダンスを変化させ、高周波数での広帯域性を実現できる。一方、ヘリカル状放射エレメント60で、低域での動作が可能になる。このため、広い周波数に対応しながら、折り返し構成によりアンテナの小型化が可能である。なお、第3実施形態のアンテナ装置において、ヘリカル状放射エレメント60が、第2実施形態の改変例と同様な主エレメント64Mと、接地エレメント40とを備えることも好適である。
【0034】
[第3実施形態の改変例]
図10を参照して本発明の第3実施形態の改変例に係るアンテナ装置について説明する。
図10(A)は第3実施形態の改変例に係るアンテナ装置の平面図であり、図10(B)は図10(A)のb4−b4断面図である。
第3実施形態の改変例では、第1実施形態の第1改変例と同様に接地エレメント40を構成する導体セル42S、導体セル42Fは、スルーホール52を超えて、隣接する導体セル側へ延在させることで、隣接する導体層との間でコンダクタンス分を持たせる。同様に、横放射エレメント20の導体セル22S、22Fが形成されている。このコンダクタンス分をトリーミング等により導体セルの延在部分をカットすることで調整できるため、アンテナ装置単体毎のアンテナの特性調整が容易である。第3実施形態の改変例では、この延在した導体(ランド)によって導体のエッジ部分までのスペースが広くなり、スルーホールの形成が容易になる。
【0035】
[第4実施形態]
図11を参照して第4実施形態について説明する。
図11は、アンテナ装置の断面図を示している。アンテナ装置は、5層の樹脂製の絶縁層112、114、116、118、119を積層して成る積層プリント配線基板に形成されている。中央部の第1絶縁層116の上面F側に第2絶縁層118が積層され、第1絶縁層116の下面S側に第3絶縁層114が積層され、第2絶縁層118の上面側に第4絶縁層119が積層され、第3絶縁層114の下面側に第5絶縁層112が積層されている。
【0036】
アンテナ素子110は、第1絶縁層116の上面F側に配置された第1導体層122と、第1絶縁層116の下面S側に配置された第2導体層126と、第2絶縁層118の第1絶縁層側反対面に配置された第3導体層124と、第3絶縁層114の第1絶縁層側反対面に配置された第4導体層128と、第1導体層122と第2導体層126とを接続する第1絶縁層のビア導体134と、第2導体層126と第3導体層124とを接続する第1絶縁層のビア導体134及び第2絶縁層のビア導体132と、3導体層124と第4導体層128とを接続する第2絶縁層のビア導体132、第1絶縁層のビア導体134及び第3絶縁層のビア導体136とを備える。そして、該アンテナ素子110は、第1導体層122、ビア導体134,第2導体層126、ビア導体134、132、第3導体層124、ビア導体132、134、136、第4導体層128をスパイラル状に配置して成る。
【0037】
第4実施形態のアンテナ装置では、積層プリント配線基板の絶縁層に第1導体層、第2導体層、第3導体層、第4導体層、及び、ビア導体をスパイラル状に配置することで、スパイラル状アンテナ素子を構成できる。スパイラル状アンテナ素子を小型化できると共に、プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。スパイラル状放射エレメント110により、各ループで自己共振するため、低域での動作が可能になる。
【0038】
[第4実施形態の改変例]
図12を参照して第4実施形態の改変例に係るアンテナ装置について説明する。
図12は、第4実施形態の改変例に係るアンテナ装置のアンテナ素子の配置を模式的に示している。第4実施形態の改変例では、第4実施形態のスパイラル状アンテナ素子110を、図11を参照して上述した積層プリント配線基板内に3個連結して複合素子アンテナを構成している。
【0039】
図11を参照して上述したように、1つのスパイラル状アンテナ素子110は、第1導体層122、ビア導体134,第2導体層126、ビア導体134、132、第3導体層124、ビア導体132、134、136、第4導体層128をスパイラル状に配置して成る。最外の第4導体層128をY軸方向に延在させ、ビア導体136、134を介して、次のスパイラル状アンテナ素子110の第1導体層122へ接続する。
【0040】
第4実施形態の改変例では、導体層及びビア導体をスパイラル状に配置したスパイラル状アンテナ素子を複数連結することで複合素子アンテナを構成できる。複合素子アンテナを小型化できると共に、プリント配線基板の製造技術を用いてアンテナを形成できるので、低コストでアンテナを製造できる。複数連結で高集積化することによりアンテナ性能の向上が図れる。
【0041】
図13を参照してアンテナ装置のプリント配線基板への搭載例を説明する。
アンテナ装置10を構成するプリント配線基板12はポリイミド、テフロン(登録商標)等から成るフレキシブル基板であり、該アンテナ装置10がエポキシ等から成るリッジド基板210の側方に配置され、該リッジド基板210に接続されている。該アンテナ装置10の一端が、リッジド基板210の側方から内部に入り込んでおり、該リッジド基板210の配線と、該アンテナ装置の配線とは電磁的に結合されている。
【0042】
図14を参照してアンテナ装置のプリント配線基板への別搭載例を説明する。
アンテナ装置10は、フレックスリジッド基板12であり、相対的に高い周波数の電波を放射する高域アンテナ部10Aと、相対的に高い周波数の電波を放射する低域アンテナ部10Bとを備える。高域アンテナ部10Aは、リッジド基板210上に配置され、低域アンテナ部10Bは、フレックスリジッド基板12に形成されている。
【0043】
なお、上述した実施形態で、スルーホールは、金属で充填されていても中空状態であっても良い。
【符号の説明】
【0044】
10 アンテナ装置
20 横放射エレメント
22F、22S 導体セル(導体層)
30 横放射エレメント
32F、32S 導体セル(導体層)
40 接地エレメント
42F、42S 導体セル(導体層)
50 給電点
52 スルーホール
60 ヘリカル状放射エレメント
62F、62S 導線部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板と、
前記基板の第1面に形成される第1面側の導体層と、
前記基板の第2面に形成される第2面側の導体層と、
前記第1面側の導体層と前記第2面側の導体層とを接続するスルーホールとを有するアンテナ装置であって、
前記第1面側の導体層と、前記スルーホールと、前記第2面側の導体層とが、縦方向、又は、横方向に断面クランク状に配置されている。
【請求項2】
請求項1のアンテナ装置であって、
前記第1面側の導体層と、前記スルーホールと、前記第2面側の導体層とが、縦方向、および、横方向に断面クランク状に配置されている。
【請求項3】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを有する基板と、
前記基板の第1面に形成される第1面側の導線部と、
前記基板の第2面に形成される第2面側の導線部と、
前記第1面側の導線部と前記第2面側の導線部とを接続するスルーホールとを有するアンテナ装置であって、
複数の前記第1面側の導線部と複数の前記第2面側の導線部とが、スルーホールによりヘリカル状に接続されている。
【請求項4】
請求項3のアンテナ装置であって、
さらに、前記基板の第1面に形成される第1面側の導体層と、
前記基板の第2面に形成される第2面側の導体層と、
前記第1面側の導体層と前記第2面側の導体層とを接続するスルーホールとを有し、
前記第1面側の導体層と、前記スルーホールと、前記第2面側の導体層とが、前記ヘリカルの中心軸とは垂直方向に断面クランク状に配置されている。
【請求項5】
請求項1又は請求項2又は請求項4のアンテナ装置であって、
給電点と、
該給電点の一方側に接続される放射エレメントと、
該給電点の他方側に接続される接地エレメントと、を有し、
前記放射エレメント及び前記接地エレメントは、それぞれ第1面側と第2面側に複数の導体層を含み、
同一面にある前記放射エレメントに含まれる各導体層の前記接地エレメント側の側辺を結ぶ線と、該同一面にある前記接地エレメントに含まれる各導体層の前記放射エレメント側の側辺を結ぶ線とは、前記給電点から離れるに従い距離が離れる。
【請求項6】
請求項3又は請求項4のアンテナ装置であって:
前記ヘリカル状に配置された部分において、
主エレメントと、該主エレメントのショートポイントを接続点とする折り返しエレメントとを備える。
【請求項7】
請求項6のアンテナ装置であって、
除去可能なショートポイントを複数備える。
【請求項8】
請求項1又は請求項2又は請求項4のアンテナ装置であって、
前記第1面側の導体層および前記第2面側の導体層が、同一面にある隣接する導体層側へ前記スルーホールを超えて延在している。
【請求項9】
第1面と該第1面とは反対側の第2面とを備える内層の第1絶縁層と、
該第1絶縁層の第1面側に積層された第2絶縁層と、
該第1絶縁層の第2面側に積層された第3絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1面側に配置された第1導体層と、
前記第1絶縁層の第2面側に配置された第2導体層と、
前記第2絶縁層の前記第1絶縁層側反対面に配置された第3導体層と、
前記第3絶縁層の前記第1絶縁層側反対面に配置された第4導体層と、
前記第1導体層と前記第2導体層とを接続する第1絶縁層のビア導体と、
前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第1絶縁層のビア導体及び第2絶縁層のビア導体と、
前記第3導体層と前記第4導体層とを接続する前記第2絶縁層のビア導体、前記第1絶縁層のビア導体及び前記第3絶縁層のビア導体とを有するアンテナ装置であって、
前記第1導体層、前記第2導体層、前記第3導体層、前記第4導体層、及び、前記ビア導体がスパイラル状に配置されている。
【請求項10】
請求項9のアンテナ装置であって
複数の前記スパイラル状に配置された部分が互いに連結されている。
【請求項11】
請求項1乃至10のアンテナ装置であって、
前記基板はフレキシブル配線基板であり、
リジッド配線基板の側方に配置され、該リジッド配線基板に接続されている。
【請求項12】
請求項11のアンテナ装置であって、
その一端が、前記リジッド配線基板の内部に入り込んでいる。
【請求項13】
請求項11のアンテナ装置であって、
前記フレキシブル配線基板の配線と前記リジッド配線基板の配線とは電磁的に結合されている。
【請求項14】
請求項1乃至10のアンテナ装置であって、
前記基板はフレックスリジッド配線基板であり、
前記フレキシブル配線基板にあるアンテナ装置が相対的に低い周波数帯域の電波に対応し、前記リジッド配線基板にあるアンテナ装置が相対的に高い周波数帯域の電波に対応している。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−191613(P2012−191613A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−46251(P2012−46251)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【出願人】(512054517)イビデン ユーエスエイ アールアンドディー インコーポレイテッド (1)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】