説明

アンテナ装置

【課題】簡便な構造のアンテナ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】磁性体31と磁性体31に巻回されたコイル32を有するコイルユニット21に挿入されコイルユニット21を固定する挿入部41Dと、コイルユニット21に電気的に接続されたスルーホール41Cが配置されたプリント基板を備えてアンテナ装置60が構成される。このような構成により、プリント基板41を用いてコイルユニット21を固定出来るため、簡便な構造のアンテナ装置60を提供することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの施解錠等を遠隔制御で行うアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されたアンテナ装置を介して、車両のドアの施解錠を遠隔制御で行う車両が増えており、このようなアンテナ装置は、車両のドアハンドル内部等に配置可能なものとなっている。
【0003】
このような従来のアンテナ装置について、図4および図5を用いて説明する。
【0004】
図4は従来のアンテナ装置の断面図、図5は同分解斜視図であり、同図において、フェライト等の磁性体1にエナメル線等で形成されたコイル2が巻回される。
【0005】
また、絶縁樹脂製の端子台3の右端部の窪み3Aに磁性体1が挿入され保持されると共に、磁性体1とコイル2と端子台3からアンテナ体10が形成され、右先端が閉じられた直方体で中空のケース11に開放部11Aから挿入される。
【0006】
なお、ここで端子台3には、導電金属製で板状の接続端子12がインサート成型されており、接続端子12の右端は、端子台3の側面の二箇所から突出しコイル2の両端が係止される。また、接続端子12の左端は二本の線路状で端子台3から延出している。
【0007】
そして、延出した接続端子12を通過させ、端子台3の左端外周にゴム製でリング状に形成された防水リング13がはめ込まれ、さらに左方からケース11内に筒状のコネクタ14が挿入され、アンテナ装置20が構成されていた。
【0008】
なお、このように構成されたアンテナ装置20は、車両のドアハンドル内部等に配置され、車両のインスツルメントパネル内等に配置された制御装置(図示せず)と接続される。
【0009】
ここで、制御装置から延出されたケーブルの端部に設けた車両側コネクタ(図示せず)を、アンテナ装置20のコネクタ14内に挿入することにより、接続端子12を介して制御装置とアンテナ装置20が接続される。
【0010】
そして、例えば携帯機(図示せず)を携帯した運転者等が車両に近づくと、携帯機とアンテナ装置20との間で通信して、制御装置により車両のドアを解錠したり、逆に車両から離れると車両のドアを施錠したりするものであった。
【0011】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−042237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら従来のアンテナ装置においては、磁性体を挿入し保持する端子台には、接続端子がインサート成型され、且つ磁性体の寸法に対応した窪みを設ける必要があり、構造が複雑であった。
【0014】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、簡便な構造のアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、特に、磁性体と磁性体に巻回されたコイルを有するコイルユニットに挿入することによりコイルユニットを固定する挿入部と、コイルユニットに電気的に接続された接続部が配置されたプリント基板を備えてアンテナ装置が構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁性体と磁性体に巻回されたコイルを有するコイルユニットに挿入することによりコイルユニットを固定する挿入部と、コイルユニットに電気的に接続された接続部が配置されたプリント基板を備えてアンテナ装置が構成される。
【0017】
このような構成により、接続端子をインサート成型した端子台のような複雑な構成部品が無くても、プリント基板を用いてコイルユニットを固定出来るため、簡便な構造のアンテナ装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
【図2】同アンテナ装置の分解斜視図
【図3】同アンテナ装置に用いるコイルユニット及び基板ユニットの断面図
【図4】従来のアンテナ装置の断面図
【図5】従来のアンテナ装置の分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図3を用いて説明する。
【0020】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態によるアンテナ装置の斜視図、図2は同分解斜視図、図3はコイルユニット及び基板ユニットの断面図である。
【0021】
同図において、アンテナ装置60は、コイルユニット21と、コイルユニット21が固定された基板ユニット22と、コイルユニット21及び基板ユニット22を収納するケースユニット23を備えて構成される。
【0022】
さらに、コイルユニット21は、磁性体31と、磁性体31に巻回されたコイル32を備える。
【0023】
ここで磁性体31はフェライト、鉄、パーマロイ等の磁性材料で略直方体の形状で構成され、下面に溝部31Aを備える。
【0024】
そして、コイル32は、例えば直径0.1mm〜0.7mmのエナメル線等の被覆金属線が磁性体31に巻回されて構成される。
【0025】
また、基板ユニット22は、プリント基板41とコンデンサ42と抵抗43を備える。
【0026】
ここで、プリント基板41は、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、テフロン(登録商標)基板等のリジッド基板の上面に所定の配線パターン(図示せず)を設けて構成される。この配線パターンは略方形の回路配置部41Aと、回路配置部41Aから前後方向に方形に突出したコイル係止部41Bに設けられ、回路配置部41Aに設けられる接続部の一例となる二つのスルーホール41Cと電気的に接続している。さらに、回路配置部41Aから左方向には回路配置部41Aより細い幅で延出した挿入部41Dが設けられ、また回路配置部41Aから挿入部41Dへ幅が細くなり段部41Eが構成される。
【0027】
また、コンデンサ42は例えば所定の電気容量を有するチップコンデンサで、抵抗43は例えば所定の抵抗値を有するチップ抵抗である。そして、コンデンサ42と抵抗43は、回路配置部41Aの上面にハンダ付け等で固定され、回路配置部41Aの上面の配線パターンに電気的に接続される。
【0028】
また、挿入部41Dは溝部31A内に挿入されると共にコイル32の両端はコイル係止部41Bに係止される。これにより、コイルユニット21の右端が段部41Eに接して、基板ユニット22に対し固定される。そして、コイル係止部41Bに係止されたコイル32はコイル係止部41B上面の配線パターンに電気的に接続される。
【0029】
これにより、コイル32とコンデンサ42と抵抗43は二つのスルーホール41Cを端子とする直列共振回路を構成している。
【0030】
つまり、コイルユニット21と基板ユニット22を組み合わせた時点で、二つのスルーホール41Cを介して共振周波数を測定することが出来るため、コイルユニット21の磁性体31の寸法バラツキやコンデンサ42の電気容量バラツキによる共振周波数のバラツキが所望の範囲内に収まるよう調整等を行うことが出来る。
【0031】
なお、コンデンサ42と抵抗43の少なくとも片方を回路配置部41Aの上面から無くし、例えばアンテナ装置60が接続される電子回路(図示せず)に無くしたコンデンサ42あるいは抵抗43を配置することも可能であるが、アンテナ装置60の周波数バラツキを抑制する観点からは、少なくともコンデンサ42はアンテナ装置60内に配置するのが望ましい。
【0032】
次に、ケースユニット23について説明するが、ここでケースユニット23は、ケース51と接続端子52を備えて構成される。
【0033】
このケース51は、絶縁樹脂製で、コネクタ部51Aと筐体部51Bから構成される。そして、コネクタ部51Aは略円筒状で右方に延出するもので、上面に突起51Cを備える。また、筐体部51Bは、上面開放の方形箱状で、四方の側壁51Dと底面51Eを有して窪んだ収納部51Fを備え、コネクタ部51Aの左端に結合される。
【0034】
また、接続端子52は導電金属製で、ケース51にインサート成型等により一体に構成される。ここで、接続端子52は筒状に構成されたコネクタ部51Aの内周壁内に露出したコネクタ端子部52Aと、収納部51F内に露出した可撓部52B及び基板端子部52Cを備える。また、可撓部52Bは、コネクタ端子部52Aから延出し、収納部51F内に露出している。ここで、可撓部52Bは側壁51Dから露出し、下方及び左方に折り曲げられて構成される。また、基板端子部52Cは、可撓部52Bから上方に折り曲げられて構成される。
【0035】
そして、コイルユニット21が基板ユニット22に固定された状態で、収納部51F内に収納されると共に、プリント基板41のスルーホール41Cに基板端子部52Cの上端が挿入される。これにより、接続端子52はスルーホール41Cを介して、回路配置部41Aの配線パターンに電気的に接続される。
【0036】
ここで、回路配置部41Aから突出した二つのコイル係止部41Bは、それぞれ対向した側壁51Dに当接するよう配置され、プリント基板41の揺動を抑制している。
【0037】
さらに、接続端子52は、可撓部52Bが収納部51Fの長手方向及びそれに直交する幅方向に撓むことが出来るので、スルーホール41Cの位置に製造上のバラツキが生じても、スルーホール41Cに対して基板端子部52Cが安定な電気的接続を保持しうる。
【0038】
そして、収納部51Fをエポキシ樹脂等の封止剤(図示せず)でコイルユニット21と基板ユニット22を覆って封止し、アンテナ装置60が構成される。
【0039】
ここで、このアンテナ装置60は所定の共振周波数で通信が行えるように構成されるものであるが、アンテナ装置60の電気的特性を変更する場合にも対応することが出来る。電気的特性の変更とは、具体的には、例えば共振周波数の変更或いはコイルユニット21のインダクタンス値とコンデンサ42のキャパシタンス値を変更することである。そして、このアンテナ装置60では電気的特性を変更する場合でも、ケースユニット23や、プリント基板41の設計を変更することなく対応することが出来る。
【0040】
例えば共振周波数を変更する場合、コイルユニット21を構成する磁性体31の寸法や、コイル32が磁性体31に巻回されている巻数を変更することでコイルユニット21のインダクタンス値を変更できる。このような場合でも、コイルユニット21と側壁51Dの間には、コイルユニット21の幅に比し10%以上の幅の隙間が有るので、磁性体31の寸法を柔軟に変更して所望の電気的特性の変更に対応することが出来る。
【0041】
さらに、溝部31A内に挿入部41Dが挿入する構造であるため、磁性体31の寸法を変更したとしても、溝部31Aの幅を変更しなければ、特にプリント基板41の設計を変更しなくても、コイルユニット21を基板ユニット22に対し固定することが可能である。
【0042】
このように構成されたアンテナ装置60は、車両のドアハンドル内部等に配置され、車両のインスツルメントパネル内等に配置された制御装置(図示せず)と接続される。
【0043】
ここで、例えば制御装置から延出されたケーブルの端部に設けた車両側コネクタ(図示せず)を、アンテナ装置60のコネクタ部51A内に挿入することにより、接続端子52を介して制御装置とアンテナ装置60が電気的に接続される。なお、アンテナ装置60の突起51Cにより車両側コネクタは係止され、車両走行時の振動等でアンテナ装置60が揺れた場合でも、車両側コネクタとコネクタ部51Aの嵌合が維持される。
【0044】
そして、アンテナ装置60が使用される際には、例えば携帯機(図示せず)を携帯した運転者等が車両に近づくと、携帯機とアンテナ装置60との間で通信が行われ、アンテナ装置60に接続された制御装置は車両のドアを解錠等する。一方、運転者等が車両から離れると車両のドアの施錠等が行われる。
【0045】
なお、上述の説明においては、接続部としてスルーホール41Cを例にとり説明したが、接続部は接続端子52に対し電気的に接続可能であれば良く、例えばコネクタ等を用いても良い。
【0046】
また、スルーホール41Cを用いる場合であれば、接続端子52との接続はハンダ付けにより固定しても良いし、電気的に接続を維持出来るのであればスルーホール41Cに接続端子52を挿入するだけでも良い。なお、スルーホール41Cの内側面は導電性金属によりメッキされることが望ましい。
【0047】
また、コイル32の両端をコイル係止部41Bに係止する方法としては、コイル係止部41Bにコイル32を巻回しても良いし、ハンダ付け等で係止しても良い。また、コイル32を巻回しやすいように、側面に凹み等を設けても良い。
【0048】
このように本実施の形態によれば、磁性体31と磁性体31に巻回されたコイル32を有するコイルユニット21に挿入されコイルユニット21を固定する挿入部41Dと、コイルユニット21に電気的に接続された接続部が配置されたプリント基板を備えてアンテナ装置60が構成される。
【0049】
このような構成により、プリント基板41を用いてコイルユニット21を固定出来るため、簡便な構造のアンテナ装置60を提供することが出来る。
【0050】
また、接続部をスルーホールとして構成することにより、簡便に接続部を構成することが可能となる。
【0051】
さらに、プリント基板41は接続部が設けられた回路配置部41Aと、回路配置部41Aから突出しコイル32が係止されるコイル係止部41Bと、回路配置部41Aから突出しコイルユニット21に挿入される挿入部41Dを備え、回路配置部41Aと挿入部41Dの接続位置に段部41Eが構成される。
【0052】
これにより、段部41Eでコイルユニット21を受けることが可能となり、コイルユニット21をより安定して固定することが可能となる。さらに、段部41Eの幅に相当する幅でコイルユニット21の幅が調整可能なので、磁性体31の幅の設計の自由度を向上させることが出来る。
【0053】
また磁性体31に溝部31Aを設け、溝部31Aと挿入部41Dを勘合させるため、コイルユニット21の配置が安定し、より振動等に強いアンテナ装置60を提供することが出来る。
【0054】
さらに、収納部51Fは底面51Eと複数の側壁51Dを備え、コイル係止部41Bは回路配置部41Aを挟んで少なくとも二方向に突出し、コイル係止部41Bの突端はそれぞれ異なる側壁51Dに当接するものとしているため、プリント基板41が収納部51F内で配置が安定し、より振動等に強いアンテナ装置60を提供することが出来る。
【0055】
そして接続端子52は、コネクタ部51Aの内周壁内に露出したコネクタ端子部52Aと、収納部51F内に露出した可撓部52B及び基板端子部52Cを備え、基板端子部52Cはスルーホール41Cに挿入され、可撓部52Bは収納部51Fの長手方向及び長手方向に直交する方向に撓むことが可能に構成されるため、スルーホール41Cの位置に製造上のバラツキが生じても、スルーホール41Cに対して基板端子部52Cが安定な電気的接続を保持しうる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によるアンテナ装置は、簡便な構成のアンテナ装置を得ることが出来るという有利な効果を有し、車両のドアの施解錠等を行うための通信用として有用である。
【符号の説明】
【0057】
21 コイルユニット
22 基板ユニット
23 ケースユニット
31 磁性体
31A 溝部
32 コイル
41 プリント基板
41A 回路配置部
41B コイル係止部
41C スルーホール
41D 挿入部
41E 段部
42 コンデンサ
43 抵抗
51 ケース
51A コネクタ部
51B 筐体部
51C 突起
51D 側壁
51E 底面
51F 収納部
52 接続端子
52A コネクタ端子部
52B 可撓部
52C 基板端子部
60 アンテナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルユニットと、前記コイルユニットが固定された基板ユニットと、前記コイルユニットと前記基板ユニットが収納される収納部が設けられたケースユニットとから構成され、前記コイルユニットは磁性体と前記磁性体に巻回されたコイルを有し、前記基板ユニットは前記コイルユニットに挿入され前記コイルユニットを固定する挿入部と前記コイルユニットに電気的に接続された接続部を備えたプリント基板を有し、前記ケースユニットは前記収納部を有する筐体部と前記筐体部と接合されたコネクタ部を有するケースと前記接続部と電気的に接続され前記ケースと一体に構成される接続端子を有するアンテナ装置。
【請求項2】
前記接続部はスルーホールである請求項1記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記プリント基板は前記接続部が設けられた回路配置部と、前記回路配置部から突出し前記コイルが係止されるコイル係止部と、前記回路配置部から突出し前記コイルユニットに挿入される挿入部を備え、前記回路配置部と前記挿入部の接続位置に段部が構成された請求項2記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記磁性体には溝部が設けられ、前記溝部と前記挿入部が勘合する請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記収納部は底面と複数の側壁を備え、前記コイル係止部は前記回路配置部を挟んで少なくとも二方向に突出し、前記コイル係止部の突端はそれぞれ異なる側壁に当接する請求項3記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記接続端子は、前記コネクタ部の内周壁内に露出したコネクタ端子部と、前記収納部内に露出した可撓部及び基板端子部を備え、前記基板端子部は前記スルーホールに挿入され、前記可撓部は前記収納部の長手方向及び前記長手方向に直交する方向に撓むことが可能に構成された請求項5記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−102316(P2013−102316A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244230(P2011−244230)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】