アンテナ配置算出装置

【課題】分散型レーダにおいてサイドローブレベルを最小化するアンテナ配置を効率良く求めるアンテナ配置算出装置を得る。
【解決手段】アンテナ配置の修正の際、利得の大きなサイドローブの電波到来方向について、各アンテナの位相回転複素数の位相がばらける方向にアンテナ位置を変える。これにより、分散型レーダのサイドローブレベルを下げるようアンテナ配置を修正することになり、従って、効率良く、高評価値のアンテナ配置に到達できる。また、移動対象とするアンテナの選択に際して、最大サイドローブピークの電波到来方向について、各アンテナの位相回転複素数に基づいて利得への寄与度を算出し、寄与度の大きいアンテナを移動対象とするので、最大サイドローブの利得低減を効率的に実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電波を用いて目標を探知、追尾或いは標定するレーダ装置、特にアンテナ配置算出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーダの探知性能を向上するための方式として、アンテナを大型化したり、送信電力を大きくすることが行われる。しかし、これらの方式では装置規模が増大し、費用対効果の低下や抗たん性の劣化などの問題が生じる。これを避けるため、小規模のアンテナを複数個、分散して配置し、各アンテナの出力を合成することにより、全体の探知性能を向上させる方式が知られている(下記非特許文献1参照)。このような構成のレーダ装置を、「分散型レーダ」と呼ぶことにする。分散型レーダの設計においては、サイドローブと呼ばれる不要な放射パターンを低減することが重要であり、非特許文献1では、アンテナをランダムに配置することによるサイドローブ低減方法について述べられている。
【0003】
また、特に重要な指標である、最大サイドローブに関するサイドローブレベル(サイドローブの、メインローブに対する利得の比)が小さいアンテナ配置を導出するために、最適化技術を適用する試みも行われている(下記非特許文献2、3参照)。非特許文献2、3では、1次元のアンテナ配置において、アンテナを配置可能な位置を最小ステップ幅間隔で離散化して、可能なアンテナ配置数を有限個としている。まず、非特許文献2では、可能な全てのアンテナ配置についてサイドローブレベルを評価し、最良のアンテナ配置を抽出する方式について述べられている。また、非特許文献3では、局所探索法(現在解を初期化後、「現在解に基づき近傍解を生成し、条件を満たすなら現在解を近傍解で置き換える」との処理を反復する、最適化アルゴリズムの枠組み)の、サイドローブレベルを評価基準とするアンテナ配置最適化への適用について述べられている。具体的に、近傍解としては、現在解のアンテナ配置において、1つのアンテナを最小ステップ幅だけ移動して得られるアンテナ配置を全て評価して、最良のものを選択している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】R.C. Heimiller、J.E. Belyea and P.G. Tomlinson著、”Distributed array radar”、IEEE Transaction on Aerospace and Electronics systems, vol.19, no.6, pp.831-839, Nov. 1983
【非特許文献2】Darren Leigh、Kathy Ryall、Tom Lanning、Neal Lesh、Hiroaki Miyashita、Kazufumi Hirata、Yoshihisa Hara and Takeshi Sakura著、”Sidelobe Minimization of Uniformly-Excited Sparse Linear Arrays using Exhaustive Search and Visual Browsing”、IEEE Antennas and Propagation Society International Symposium (AP-S International Symposium), Vol. 1B, pp. 763-766, July 2005
【非特許文献3】Christopher Lee、Darren Leigh、Kathy Ryall、Hiroaki Miyashita and Kazufumi Hirata著、”Very Fast Subarray Position Calculation for Minimizing Sidelobes in Sparse Linear Phased Arrays”、European Conference on Antennas and Propagation (EuCAP), November 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように構成された、従来の、サイドローブ低減のためのアンテナ配置では、次のような問題がある。
非特許文献1に記載されたランダム配置などは、サイドローブが低減される傾向はあるが、サイドローブレベルの最適化を目的としたものではない。そのため、これらの方法では、一般に、サイドローブレベルが最小となるアンテナ配置は得られない。
非特許文献2では、アンテナ設置位置が離散化されているとの制約の範囲内では、確かにサイドローブレベル最小のアンテナ配置が得られるが、可能な全てのアンテナ配置を評価するため、処理量が膨大である。
非特許文献3では、局所探索法を利用するため、比較的短い処理時間で、サイドローブレベルの観点で良いアンテナ配置が得られる。しかし、近傍解として、現在解から1つのアンテナを最小ステップ幅だけ移動して得られる配置を全て評価しているため、無駄なアンテナ配置を評価することも多く、効率が悪い。
【0006】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、分散型レーダにおいて、サイドローブレベルを最小化するアンテナ配置を効率良く求めるアンテナ配置算出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、分散型レーダを構成する複数のアンテナの位置情報であるアンテナ配置を少なくとも評価値とともに保持するアンテナ配置保持手段と、前記アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置を入力し、想定される各電波到来方向について、アンテナ間の経路長差、波長、各アンテナの重みから計算される受信信号の位相情報に基づき分散型レーダの利得を算出して、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを出力するアンテナパターン算出手段と、前記アンテナパターン算出手段が出力するアンテナパターンにおいて、最大サイドローブのサイドローブレベルを分散型レーダの前記評価値として算出して前記アンテナ配置保持手段に記録するアンテナ配置評価手段と、前記アンテナパターン算出手段が出力するアンテナパターンにおいて、利得の大きなサイドローブピークに対応する電波到来方向を求めるサイドローブピーク抽出手段と、前記サイドローブピーク抽出手段が出力する電波到来方向に関する重みを考慮した各アンテナの受信信号の位相情報に基づき、位相がばらつくように1つまたは複数のアンテナの位置を移動して新たなアンテナ配置を生成するアンテナ配置生成手段と、を備えたことを特徴とするアンテナ配置算出装置にある。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、分散型レーダにおいて、サイドローブレベルを最小化するアンテナ配置を効率良く求めるアンテナ配置算出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図2】一般的な分散型レーダの構成例を示す図である。
【図3】アンテナ間の経路長差を説明するための図である。
【図4】分散型レーダの正面方向にビームを形成する場合のアンテナパターンの一例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3,7に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図12】この発明の実施の形態3に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図14】この発明の実施の形態4に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図15】この発明の実施の形態5,8に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図16】この発明の実施の形態5に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図17】この発明の実施の形態5に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図18】この発明の実施の形態5に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図19】この発明の実施の形態6,9に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図20】この発明の実施の形態7に係るアンテナ配置の例を示す図である。
【図21】一般的な分散型レーダの構成例を示す図である。
【図22】この発明の実施の形態7に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図23】この発明の実施の形態7に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図24】この発明の実施の形態8に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図25】この発明の実施の形態8に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図26】この発明の実施の形態8に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図27】この発明の実施の形態8に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図28】この発明の実施の形態9に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図29】この発明の実施の形態10に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。
【図30】この発明の実施の形態10に係るアンテナ配置算出装置における配置算出原理を説明するための図である。
【図31】この発明におけるメインローブやサイドローブに関する説明のための図である。
【図32】この発明におけるメインローブやサイドローブに関する説明のための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明によるアンテナ配置算出装置を各実施の形態に従って図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一もしくは相当部分は同一符号で示し、重複する説明は省略する。
【0011】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置について図1から図7を参照しながら説明する。
【0012】
最初に本実施の形態で想定する前提について説明する。実施の形態では、分散型レーダで受信する信号は、十分に狭帯域であり、平面波として到来することを前提とする。ここで、信号の波長をλとする。また、各アンテナは同じ特性を持つものとする。各アンテナは、無指向性アンテナでも指向性アンテナでも良いが、以下では説明を分かり易くするため、無指向性アンテナである場合について説明する。また、制約として、アンテナは予め定めた1次元の線分上にのみ配置可能とし、さらに、両端のアンテナ位置は固定するものとする。両端のアンテナ位置を固定するのは、分散型レーダとしての開口径を一定とし、ある水準以上の角度分解能等の性能を満たすためである。
【0013】
分散型レーダの構成例を図2に示す。ここで、W,W,…,Wは、各アンテナの重み(一般に複素数)を表す。図2に示すように、複数アンテナで受信した信号に、それぞれ重み(W,W,…,W)を掛けて和を取ったものが分散型レーダの出力となる。
【0014】
分散型レーダにおいて、ビームを形成する方向(以下、「ビーム形成方向」と呼ぶ)が決まると、それに応じて各アンテナの重みを適切に設定する必要がある。例えば、ビームを分散型レーダの正面方向(図2の場合、入射角θが0度の方向)に形成する場合、各アンテナの重みは全て1と設定すれば良い。一方、正面方向以外の方向にビームを形成する場合は、各アンテナで受信する信号の位相差を補償するような複素数を、各アンテナの重みとして設定する。以下、簡単のため、分散型レーダの正面方向にビームを形成する場合、つまり、各アンテナの重みを全て1に設定する場合について説明する。
【0015】
以下、アンテナパターンの算出方法について説明する。まず、想定されるそれぞれの電波到来方向(=入射角)θについて、利得を算出する(図2参照)。信号は、各アンテナにおいて、経路長および波長λから定まる位相だけ位相が回転したものとして受信され、また、アンテナの重みが掛けられることにより、さらに位相が回転する。具体的に、ある基準点に対して、あるアンテナの経路長差がDである場合、基準点との信号の位相差は(2π/λ)・Dとなる。また、この位相回転は、複素数exp(j・(2π/λ)・D)として表現される。この複素数に対し、さらにアンテナの重みを掛けた値を、以下、「位相回転複素数」と呼ぶことにする。ここでは、アンテナの重みを一律に1に設定しているので、位相回転複素数の大きさは1で一定である。
【0016】
例えば、図3に示すアンテナ1、アンテナ2を想定し、アンテナ1の位置を基準点とする場合を考える。この時、破線で示す入射角θの波面に関するアンテナ1のアンテナ2に対する経路長差は図3に示すものとなり、この長さ分だけ、アンテナ1とアンテナ2の受信の際の位相は異なる。
【0017】
電波到来方向θについて、分散型レーダの振幅利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和となる複素数の大きさであり、また、これを2乗したものが電力利得となる。
【0018】
以上のようにして求められる、電波到来方向(入射角θ)と利得の間の関係を、アンテナパターンと呼ぶ。分散型レーダの正面方向にビームを形成する場合のアンテナパターンの一例を図4に示す。
【0019】
以下、分散型レーダのアンテナパターンにおいて、利得が極大となる、メインローブ以外の箇所およびその近傍を「サイドローブ」と呼ぶ。また、利得が極大となる部分を「サイドローブピーク」と呼ぶことにする。また、サイドローブピークの、メインローブに対する利得の比を「サイドローブレベル」と呼ぶ。また、単に「サイドローブレベル」と述べた場合、最大サイドローブに関するサイドローブレベルを表すものとする。
【0020】
図1はこの発明の実施の形態1に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。この発明によるアンテナ配置算出装置は、例えば記憶装置を含むコンピュータで構成することができ、図1は動作フローを兼ねた機能ブロックで示されている。図1においてアンテナ配置算出装置は、アンテナ配置保持手段101と、アンテナ配置初期化手段102と、アンテナパターン算出手段103と、アンテナ配置評価手段104と、サイドローブピーク抽出手段105と、アンテナ配置生成手段106と、アンテナ配置制約保持手段113から構成されている。
【0021】
アンテナ配置生成手段106は、移動アンテナ選択手段107とアンテナ移動手段110から構成されている。移動アンテナ選択手段107は、寄与度算出手段108と大寄与度アンテナ抽出手段109から構成されている。またアンテナ移動手段110は、許容位相範囲算出手段111とアンテナ位置決定手段112から構成されている。
【0022】
次に動作について説明する。図1において、アンテナ配置保持手段101は、分散型レーダを構成する全アンテナ又はアンテナ配置算出対象の全アンテナの位置情報を、評価値および、各アンテナの特性に関する情報とともに保持する。本実施の形態1の場合、アンテナ設置可能領域として1次元線分を想定しているので、個々のアンテナの位置情報は1次元で表現される。また、アンテナ特性は、分散型レーダのアンテナパターンの算出において考慮すべき、アンテナ独自の特性のことであり、具体的には、個々のアンテナに関するアンテナパターンを表す。上記の説明では、個々のアンテナが無指向性である場合を例にとっており、この場合、個々のアンテナのアンテナパターンにおいては、電波到来方向に関わらず利得は一定である。そのため、前述のように、分散型レーダのアンテナパターン算出の際、利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和から求められた。しかし、アンテナが無指向性でない場合、分散型レーダのアンテナパターンは、各アンテナの位相回転複素数の総和から算出されるアンテナパターンに対し、さらに、個々のアンテナのアンテナパターンの積を取ることにより求められる(個々のアンテナのアンテナ特性が同一の場合)。以上のように、一般に個々のアンテナが無指向性でない場合、分散型レーダのアンテナパターンの算出においては、個々のアンテナの特性(具体的にはアンテナパターン)が必要になる。アンテナ配置初期化手段102は、アンテナの初期配置を決定してアンテナ配置保持手段101に記録する。初期配置決定は、具体的には、例えば、アンテナ配置に関する制約を満たす範囲内で、アンテナをランダムに配置するなどする。
【0023】
アンテナパターン算出手段103は、アンテナ配置保持手段101が保持するアンテナ配置のうち未評価もしくは評価値の良いアンテナ配置を抽出、さらに、各アンテナの特性に関する情報を入力とする。そして上述したようにして、想定されるビーム形成方向に基づき、必要な場合は適切なアンテナの重みを計算の上、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを算出する。ここで、本実施の形態の場合は、分散型レーダの正面方向にビームを形成することを想定しているので、各アンテナの重みは1で固定である。ビーム形成方向として複数通りを想定する場合は、それぞれのビーム形成方向に応じ、複数のアンテナパターンが算出されることになる。
【0024】
アンテナ配置評価手段104は、アンテナパターン算出手段103が出力するアンテナパターンにおいて、最大サイドローブのサイドローブレベルを分散型レーダの評価値として算出して、アンテナ配置保持手段101に記録する。最大サイドローブのサイドローブレベルの例を図4に示した(デシベル表示で表す場合、サイドローブレベルは負の数であることに注意)。なお、異なるビーム形成方向に関する複数のアンテナパターンを考慮する場合、各アンテナパターンから算出されるサイドローブレベルのうち、最悪、即ち、最大のものを評価値とする。
【0025】
サイドローブピーク抽出手段105は、アンテナパターン算出手段103が出力するアンテナパターンにおいて、利得の大きなサイドローブピークに対応する電波到来方向を求める。利得最大のサイドローブピーク、利得が2番目に大きいサイドローブピーク、さらに、これらのサイドローブピークに対応する電波到来方向の例を図4に示す。但し、図4のアンテナパターンは入射角0度を中心に対称になっているため、入射角が正のサイドローブのみを示している。
【0026】
本実施の形態では、サイドローブピーク抽出手段105は、最大サイドローブに関するサイドローブピークについて、電波到来方向を求めるものとする。
【0027】
アンテナ配置生成手段106は、サイドローブピーク抽出手段105が出力する、サイドローブピークに対応する電波到来方向について、その方向に関する、重みを考慮した各アンテナの受信信号の位相情報に基づき、位相回転複素数の位相がばらつくように、1つまたは複数のアンテナの位置を移動して新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0028】
ここで、上記の動作の意味について説明する。前述のように、各電波到来方向θについて、分散型レーダの振幅利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和となる複素数の大きさである。図5はこの状況を図示したものである。電波到来方向θにおける利得が大きいということは、即ち、各アンテナの位相回転複素数の位相が比較的揃っているということであり、利得を下げるためには、各アンテナの位相回転複素数の位相がばらける方向にアンテナ位置を変えれば良い。
【0029】
つまり、上記のアンテナ配置生成手段106の動作によれば、最大サイドローブピークに関する電波到来方向について、利得を下げることができる。その結果として、分散型レーダのサイドローブレベルも下がることが期待できる。
【0030】
なお、新たなアンテナ配置の生成は、アンテナ配置制約保持手段113が保持する、アンテナ配置に関する制約情報を満たすように行われる。制約情報は、具体的には、アンテナを設置可能な領域の情報等から構成される。他の制約として、「アンテナ同士が重なってはいけない」等の条件が課される場合もある。
【0031】
以上のように、評価値の良いアンテナ配置を選択して、その修正処理を反復することにより、評価値が最適に近いアンテナ配置を得ることを目的とする。ここで、アンテナ配置の修正は、分散型レーダのサイドローブレベルを下げる方向に行うので、効率良く、高評価値のアンテナ配置に到達できる。
【0032】
以下、アンテナ配置生成手段106の動作について、より詳細に説明する。アンテナ配置生成においては、まず、移動アンテナ選択手段107が、アンテナ配置(位置情報)やサイドローブピークの電波到来方向等の情報に基づき、移動対象とするアンテナを選択する。その後、アンテナ移動手段110が、移動アンテナ選択手段107が出力した移動対象アンテナの位置を変化させて、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0033】
次に、移動アンテナ選択手段107の動作について、さらに詳細に説明する。移動アンテナ選択においては、まず、寄与度算出手段108が、サイドローブピーク抽出手段105が出力する最大サイドローブピークについて、その電波到来方向に関する利得への各アンテナの寄与の大きさを表す「寄与度」を算出する。
【0034】
ここで、各アンテナの寄与度の考え方について説明する。前述のように、各電波到来方向θについて、分散型レーダの振幅利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和となる複素数の大きさである(図5参照)。以下、特定のアンテナmの寄与度を考えることにする。すると、アンテナmの利得への寄与は、アンテナm以外のアンテナ群の位相回転複素数の総和の位相と、アンテナmの位相回転複素数の位相とが一致しているほど(つまり、これらの位相差が小さいほど)、大きいと考えられる。
【0035】
上記状況を図6に示す。図6において、αは、アンテナm以外のアンテナ群の位相回転複素数の総和の位相と、アンテナmの位相回転複素数の位相の差を表す。寄与度として、具体的には、例えば上記位相差のコサインを取った値、つまりcos(α)を算出すれば良い。
【0036】
さて、寄与度算出手段108により、最大サイドローブピークに関する各アンテナの寄与度が算出されるが、大寄与度アンテナ抽出手段109は、その中から寄与度が大きなアンテナを、移動対象として選択、出力する。これは、寄与度の大きなアンテナを移動した方が、最大サイドローブピークの電波到来方向に関する利得低下への効果が大きいためである。
【0037】
次に、アンテナ移動手段110の動作について、さらに詳細に説明する。アンテナ移動においては、まず、許容位相範囲算出手段111が、サイドローブピーク抽出手段105が出力する最大サイドローブピークに対応する電波到来方向について、移動アンテナ選択手段107が出力した移動対象アンテナの移動先位置における位相回転複素数の位相の許容範囲である「許容位相範囲」を算出する。許容位相範囲は、移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和と、移動対象アンテナの位相回転複素数の位相差がより大きくなるような、移動対象アンテナの位相回転複素数の位相範囲として定める。
【0038】
ここで、移動対象アンテナmの許容位相範囲の考え方について、図7を用いて説明する。図7では、移動前のアンテナ配置における、最大サイドローブピークの電波到来方向に関する、アンテナmの位相回転複素数および、アンテナm以外のアンテナ群の位相回転複素数総和を示している。ここで、アンテナmのみを移動することを考える場合、図から明らかなように、移動後のアンテナmの位相回転複素数の位相が、図7の「アンテナmの許容位相範囲」内に入る限りにおいて、分散型レーダの(最大サイドローブピークの電波到来方向に関する)利得は低下する。
【0039】
さて、許容位相範囲算出手段111により、移動対象アンテナmの許容位相範囲が算出されると、アンテナ位置決定手段112は、位相回転複素数の位相が許容位相範囲内の値となるよう、移動対象アンテナの移動先位置を決定する。具体的には、例えば、許容位相範囲内の値をランダムに決定後、位相回転複素数の位相がその値となるよう、また、移動幅が小さくなる範囲で、アンテナの移動先位置を決定すれば良い。この際、決定した位置が、アンテナ配置制約保持手段113が保持する制約に違反するようであれば、移動先位置の決定をやり直す。そして、決定した移動先位置に基づき、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0040】
以上のように、分散型レーダにおいて、アンテナ配置の修正処理を反復することにより、評価値が最適に近いアンテナ配置を得ることを目的とするが、アンテナ配置の修正の際、利得の大きなサイドローブの電波到来方向について、各アンテナの位相回転複素数の位相がばらける方向にアンテナ位置を変える。これにより、分散型レーダのサイドローブレベルを下げるようアンテナ配置を修正することになり、従って、効率良く、高評価値のアンテナ配置に到達できるとの効果がある。
【0041】
また、移動対象とするアンテナの選択に際して、最大サイドローブピークの電波到来方向について、各アンテナの位相回転複素数に基づいて利得への寄与度を算出し、寄与度の大きいアンテナを移動対象とするので、最大サイドローブの利得低減を効率的に実施できるとの効果がある。
【0042】
また、各アンテナの寄与度算出を、当該アンテナ以外のアンテナ群の位相回転複素数の総和の位相と、当該アンテナの位相回転複素数の位相の差について、コサインを取った値として定めるので、寄与度の算出が容易に実施可能との効果がある。
【0043】
また、移動対象アンテナの移動に際して、最大サイドローブピークの電波到来方向について、確実に利得が低下する許容位相範囲を算出し、位相回転複素数の位相がその範囲内の値となるようアンテナ移動先位置を決定するので、最大サイドローブの利得低減を効率的に実施できるとの効果がある。なお、本実施の形態では、移動対象アンテナを寄与度に基づいて決定する場合を説明したが、例えば移動対象アンテナをランダムに選択する場合であっても、上記の許容位相範囲に基づくアンテナ移動方法の効果は変わらない。
【0044】
以上ではアンテナを1次元配置する場合について述べたが、2次元、3次元配置を想定する場合であっても、本発明の構成は同様に適用可能である。
【0045】
また、以上ではアンテナが無指向性である場合について述べたが、アンテナが例えば複数素子アンテナから構成されるサブアレイであり指向性を持つ場合の分散型レーダのアンテナパターンは、サブアレイ中心位置に無指向性のアンテナが位置すると仮定した場合のアンテナパターンと、各サブアレイのアンテナパターンの積で表される(各サブアレイのアンテナパターンが同一の場合)。即ち、アンテナがサブアレイである場合の分散型レーダのアンテナパターンは、アンテナが無指向性アンテナである場合のアンテナパターンに補正を加えただけのものであり、従って、アンテナがサブアレイのように指向性を持つ場合であっても、本発明の構成は同様に適用可能である。
なお、本実施の形態1では、アンテナパターンにおいて、利得が極大となる、メインローブ以外の箇所およびその近傍を「サイドローブ」として、これに基づいて最適化を行う例を示した。ここで、メインローブに関し、図31に示すように「アンテナパターンにおいて、ビーム形成方向を中心とした、利得の極小値を持たないような入射角範囲」に対応すると考えることも可能であるし、また、図32に示すように「ビーム形成方向を中心とした一定幅の入射角範囲(例えば±a度の範囲と設定)」に対応するとの考え方もできる。後者の考え方の場合、メインローブの入射角範囲とそれ以外の入射角範囲との境界点において、入射角がビーム形成方向から離れるにつれて利得が下がる場合、上記境界点も、サイドローブに含まれると考えて良い。本発明の構成は、メインローブやサイドローブに関する上記のいずれの考え方に対しても同様に適用可能である。
【0046】
実施の形態2.
図8はこの発明の実施の形態2に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図1に示す上記実施の形態とは、アンテナ配置生成手段106A内のアンテナ移動手段110Aの構成が異なる。実施の形態2におけるアンテナ移動手段110Aは、アンテナ位置微小変化手段801から構成されている。
【0047】
アンテナ位置微小変化手段801は、移動アンテナ選択手段107が出力した移動対象アンテナについて、元の位置の近傍においてランダムに微小に移動することにより、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。この際、アンテナ配置制約保持手段113が保持する制約に違反するようであれば、移動先位置の決定をやり直す。
【0048】
このようにアンテナ移動先をランダムに決定するので、新たなアンテナ配置に関し、利得の大きなサイドローブピークの電波到来方向について、利得が低下する確実性は、実施の形態1よりは低下する。しかし、そもそも移動対象アンテナは、当該サイドローブピークの電波到来方向について、利得への寄与度が大きいものが選択されている。従って、当該アンテナをランダムに移動するだけでも、当該サイドローブピークの電波到来方向について、利得が低下する可能性は大きい。また、実施の形態1で必要であった、移動対象アンテナの許容位相範囲を求める処理は不要である。
【0049】
以上のように、寄与度の大きなアンテナの移動先をランダムに決定するので、効率良く、サイドローブピークの電波到来方向の利得を低減する可能性の大きな新たなアンテナ配置を生成できるとの効果がある。
【0050】
実施の形態3.
図9はこの発明の実施の形態3に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図1に示す上記実施の形態とは、アンテナ配置生成手段106B内の移動アンテナ選択手段107Bおよびアンテナ移動手段110Bの構成、また、サイドローブピーク抽出手段105Bの動作が異なる。
【0051】
サイドローブピーク抽出手段105Bは、利得の大きな順に、複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求める。
【0052】
移動アンテナ選択手段107Bは、寄与度算出手段108B、寄与度統合手段901、大寄与度アンテナ抽出手段109Bから構成されている。
【0053】
寄与度算出手段108Bは、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する複数のサイドローブピークについて、サイドローブピーク毎に、その電波到来方向に関する利得への各アンテナの寄与の大きさを表す寄与度を算出する。寄与度の算出手順については、実施の形態1と同じである。
【0054】
寄与度統合手段901は、アンテナ毎に、寄与度算出手段108Bが出力する、各サイドローブピークに対応する寄与度を統合することにより、最終的な単一の寄与度を算出する。例えば、あるアンテナmについて、サイドローブピーク1,2,…,pに関する寄与度がTm1,Tm2,…,Tmpである場合を考える。この時、寄与度統合手段901は、例えば以下の式によって、アンテナmに関する最終的な単一の寄与度Tを算出する。
【0055】
=k・Tm1+k・Tm2+…+k・Tmp
【0056】
ここで、k,k,..,kは各サイドローブピークに関する重みであり、例えば、各サイドローブの利得の値などを用いれば良い。
【0057】
大寄与度アンテナ抽出手段109Bは、寄与度統合手段901が出力する寄与度が大きな1つまたは複数のアンテナを抽出して、移動対象として出力する。
【0058】
また、アンテナ移動手段110Bは、許容位相範囲算出手段111B、許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902、アンテナ位置候補共通部分抽出手段903、アンテナ位置確定手段904から構成されている。
【0059】
許容位相範囲算出手段111Bは、移動アンテナ選択手段107Bが出力する移動対象アンテナおよび、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する、複数のサイドローブピークに対応する電波到来方向について、それぞれのサイドローブピーク毎に、移動対象アンテナの許容位相範囲を算出する。許容位相範囲の算出手順については、実施の形態1と同じである。
【0060】
許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902は、移動対象アンテナ毎に、許容位相範囲算出手段111Bが出力する複数サイドローブピークに対応する許容位相範囲について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求める。これらの位置は、移動対象アンテナの移動先位置の候補と考えられることから、「許容位相範囲対応アンテナ位置候補」と呼ぶことにする。以下、本実施の形態では、さらに簡単に「アンテナ位置候補」と呼ぶ。
【0061】
ある移動対象アンテナについて、特定のサイドローブピークに関する許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補の範囲の例を、図10に示す。図10には、1次元のアンテナ設置可能領域について、移動対象アンテナの現在位置の周辺を拡大した部分を示している。図10において、許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補は、一般に線分の集合となる。ここで、複数の線分が出現する周期は、移動対象アンテナの位相回転複素数の回転に対応しており、従って、等間隔となっている(この間隔は、電波到来方向によって異なる)。これらの線分のうち、一般には、移動対象アンテナの現在位置が端点となっている線分のみに着目する。これは、移動対象アンテナの移動先位置の決定を、移動幅が小さくなるように行うためである。
【0062】
ある移動対象アンテナについて、2つのサイドローブピークに対応する許容位相範囲(説明のため、各サイドローブピークに対応する2種類の許容位相範囲をA、Bと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図11に示す。但し、図11では、アンテナ位置候補に対応する複数の線分のうち、移動対象アンテナの現在位置を端点に持つ線分のみを示している。
【0063】
アンテナ位置候補共通部分抽出手段903は、許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補範囲(のうち、移動対象アンテナの現在位置を端点に持つ線分)に関し、その共通部分を抽出する。共通部分を抽出した例を、図12に示す。
【0064】
ここで、全てのサイドローブピークに対応するアンテナ位置候補範囲の共通部分を抽出していくと、移動対象アンテナの現在位置のみになる場合がある。例えば、図12の場合、3つのサイドローブピークに対応する許容位相範囲A,B,Cに関する、それぞれのアンテナ位置候補範囲の共通部分を抽出すると、移動対象アンテナの現在位置しか残らない。このような場合に対処するため、共通部分の抽出は、利得の大きなサイドローブピークの順番に実施する。例えば、サイドローブピークの許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補範囲が、利得の大きな順に、S,S,…,Sと表されるものとする。そして、S∩S∩…∩Sが「移動対象アンテナの現在位置のみ」でなく、S∩S∩…∩S∩Sn+1が「移動対象アンテナの現在位置のみ」であった場合、S∩S∩…∩Sを最終的なアンテナ位置候補範囲とする。ここで、記号「∩」は、集合の共通部分を抽出する演算を表す。
【0065】
アンテナ位置候補共通部分抽出手段903により、移動対象アンテナの最終的なアンテナ位置候補範囲が算出されると、アンテナ位置確定手段904は、得られたアンテナ位置候補の範囲内で、移動対象アンテナの移動先位置を確定する。そして、決定した移動先位置に基づき、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0066】
以上のように、利得の大きな順に複数のサイドローブピークを抽出し、それらの電波到来方向に関する利得への各アンテナの寄与度を考慮して、移動対象アンテナを決定するので、分散型レーダの主要な複数のサイドローブの利得をバランス良く低減することができるとの効果がある。
【0067】
また、移動対象アンテナの移動に際して、複数のサイドローブピークの電波到来方向について、確実に利得が低下する許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補の共通部分を算出し、それに基づきアンテナ移動先位置を決定するので、分散型レーダの主要な複数のサイドローブの利得低減を効率的に実施できる効果がある。
【0068】
実施の形態4.
図13はこの発明の実施の形態4に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図1に示す上記実施の形態1とは、アンテナ配置生成手段106C内のアンテナ移動手段110Cの構成が異なる。実施の形態4におけるアンテナ移動手段110Cは、逆位相算出手段1301とアンテナ位置決定手段1302から構成されている。
【0069】
逆位相算出手段1301は、移動アンテナ選択手段107が出力する移動対象アンテナおよび、サイドローブピーク抽出手段105が出力する最大サイドローブピークに対応する電波到来方向について、移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和の逆位相を求める。
【0070】
上記の逆位相の考え方について、図14を用いて説明する。図14では、移動前のアンテナ配置における、最大サイドローブピークの電波到来方向に関する、アンテナmの位相回転複素数および、アンテナm以外のアンテナ群の位相回転複素数総和を示している。ここで、アンテナmのみを移動することを考える場合、図から明らかなように、移動後のアンテナmの位相回転複素数と、図14の「逆位相となる複素数」との位相が近いほど、(最大サイドローブピークの電波到来方向に関する)分散型レーダの利得は低下する。
【0071】
逆位相算出手段1301により逆位相が算出されると、アンテナ位置決定手段1302は、位相回転複素数の位相が逆位相の近傍の値となるよう、移動対象アンテナ位置を変化させて、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0072】
以上のように、移動対象アンテナの移動に際して、最大サイドローブピークの電波到来方向について、利得低下の効果が最も大きい逆位相を算出し、位相回転複素数の位相が逆位相の近傍の値となるようアンテナ移動先位置を決定するので、最大サイドローブの利得低減を効率的に実施できるとの効果がある。
【0073】
実施の形態5.
図15はこの発明の実施の形態5に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図15のアンテナ配置算出装置では、図9に示す実施の形態3に対して、アンテナ配置生成手段106D内のアンテナ移動手段110Dの構成が異なる。
【0074】
サイドローブピーク抽出手段105Bは、実施の形態3と同様、利得の大きな順に、複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求める。
【0075】
アンテナ移動手段110Dは、逆位相算出手段1301Dと逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501とアンテナ位置候補統合手段1502とアンテナ位置確定手段904Dから構成されている。アンテナ位置候補統合手段1502はさらに、アンテナ位置候補方向算出手段1503とアンテナ位置候補方向統合手段1504から構成されている。
【0076】
逆位相算出手段1301Dは、移動アンテナ選択手段107Bが出力する移動対象アンテナおよび、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する、複数のサイドローブピークに対応する電波到来方向について、それぞれのサイドローブピーク毎に、移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和の逆位相を求める。逆位相の考え方については、実施の形態4で説明したものと同じである。
【0077】
逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501は、移動対象アンテナ毎に、逆位相算出手段1301Dが出力する複数サイドローブピークに対応する逆位相について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求める。これらの位置は、移動対象アンテナの移動先位置の候補と考えられることから、「逆位相対応アンテナ位置候補」と呼ぶことにする。以下、本実施の形態では、さらに簡単に「アンテナ位置候補」と呼ぶ。
【0078】
ある移動対象アンテナについて、特定のサイドローブピークに関する逆位相に対応するアンテナ位置候補の範囲の例を、図16に示す。図16には、1次元のアンテナ設置可能領域について、移動対象アンテナの現在位置の周辺を拡大した部分を示している。図16において、逆位相に対応するアンテナ位置候補は、一般に点の集合となる。ここで、複数の点が出現する周期は、移動対象アンテナの位相回転複素数の回転に対応しており、従って、等間隔となっている(この間隔は、電波到来方向によって異なる)。これらの点のうち、一般には、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある点のみに着目する。これは、移動対象アンテナの移動先位置の決定を、移動幅が小さくなるように行うためである。
【0079】
ある移動対象アンテナについて、3つのサイドローブピークに対応する逆位相(説明のため、各サイドローブピークに対応する3種類の逆位相をA,B,Cと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図17に示す。但し、図17では、アンテナ位置候補に対応する複数の点のうち、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある点のみを示している。
【0080】
アンテナ位置候補統合手段1502は、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補(のうち、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある点)を統合することにより、移動対象アンテナの移動先位置の範囲を求める。
【0081】
アンテナ位置候補統合手段1502の動作について、さらに詳細に説明する。アンテナ位置候補の統合に際しては、まず、アンテナ位置候補方向算出手段1503が、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補を表す点のそれぞれについて、移動対象アンテナの現在位置を起点として、上記「アンテナ位置候補を表す点」の方向を向いたベクトルを求める。このベクトルを、ここでは「アンテナ位置候補方向ベクトル」と呼ぶことにする。ここで、ベクトルの大きさは一定とする。
【0082】
図17に示す状況において、3つのサイドローブピークに対応する逆位相A,B,Cに関するアンテナ位置候補に対応するアンテナ位置候補方向ベクトルの例を、図18に示す。
【0083】
アンテナ位置候補方向統合手段1504は、アンテナ位置候補方向算出手段1503が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補方向ベクトルを合成する。ベクトルの合成は、具体的には、ベクトルの和を取り、方向はそのままで大きさを一定の値にするなどすれば良い。また、各サイドローブピークに関する重み付け和を計算することも考えられる。ここで、重みは、例えば各サイドローブの利得の値などとすれば良い。アンテナ位置候補方向ベクトルを足し合わせることにより合成する場合の例を図18に示す。アンテナ位置候補方向統合手段1504は、移動対象アンテナの現在位置を起点として、アンテナ位置候補方向ベクトルを合成して得られるベクトルの終点を中心とした近傍を、移動対象アンテナの移動先位置の範囲として出力する。
【0084】
アンテナ位置候補統合手段1502により、移動対象アンテナの移動先位置の範囲が算出されると、アンテナ位置確定手段904Dは、得られた移動先位置の範囲内で、移動対象アンテナの移動先位置を確定する。そして、決定した移動先位置に基づき、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0085】
以上のように、移動対象アンテナの移動に際して、複数のサイドローブピークの電波到来方向について、利得低下の効果が最も大きい逆位相を算出、対応するアンテナ位置候補を計算の上、統合した結果に基づいてアンテナ移動先位置を決定するので、分散型レーダの主要な複数のサイドローブの利得低減を効率的に実施できるとの効果がある。
【0086】
また、アンテナ位置候補の統合は、各アンテナ位置候補の方向を向いたベクトルの和に基づいて行うので、処理が容易に実施可能との効果がある。
【0087】
実施の形態6.
図19はこの発明の実施の形態6に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図19のアンテナ配置算出装置では、図15に示す実施の形態5に対して、アンテナ配置生成手段106E内のアンテナ移動手段110E内にある、アンテナ位置候補統合手段1502Eの構成が異なる。アンテナ位置候補統合手段1502Eは、アンテナ位置候補近傍範囲算出手段1901から構成されている。
【0088】
アンテナ位置候補近傍範囲算出手段1901は、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補に関し、そのいずれからも近い範囲(ここでは「アンテナ位置候補近傍範囲」と呼ぶ)を計算し、出力する。
【0089】
図17のように1次元アンテナ配置を想定する場合、例えば、各逆位相に関するアンテナ位置候補の重心の近傍を、アンテナ位置候補近傍範囲とすれば良い。また、各サイドローブピークに関する重み付け重心を計算することも考えられる。ここで、重みは、例えば各サイドローブの利得の値などとすれば良い。
【0090】
以上のように、アンテナ位置候補の統合を、各アンテナ位置候補の重心計算の結果に基づいて行うので、処理が容易に実施可能との効果がある。
【0091】
実施の形態7.
これまでの説明では、具体例として、1次元配置されたアンテナに基づく分散型レーダを対象とした場合を述べた。本実施の形態では、図9に示すアンテナ配置算出装置に関し、2次元配置されたアンテナに基づく分散型レーダを対象とした場合について説明する。
【0092】
以下、アンテナの2次元配置について説明する。制約として、アンテナ設置可能領域は予め定めた2次元水平面上の円であり、さらに、数個のアンテナは、円周上の特定位置に固定するものとする。また、捜索対象とする方向、即ちビーム形成方向は、水平面内の複数の方向に向けることが可能であることが要求されているものとする。上述のように円周上に数個のアンテナ位置を固定するのは、分散型レーダとして、各ビーム形成方向に対して必要な開口径を確保し、ある水準以上の角度分解能等の性能を満たすためである。
【0093】
上記の条件を満たす、一般的なアンテナ配置の例を図20に示す。図20では、大きな円で表されるアンテナ設置可能領域内に、アンテナ1、アンテナ2、アンテナ3、アンテナMを配置した場合を示しており、このうち、アンテナ1とアンテナ2はアンテナ設置可能領域の境界上に固定としている。また、ある基準点O(図20ではアンテナ設置可能領域を表す円の中心としている)に対する各アンテナの位置ベクトルを、それぞれd、d、d、d(d、d、d、dはベクトル)と表している。さらに図20では、ビーム形成方向の例も示しており、ビーム形成方向を示す単位ベクトルをi(iはベクトル)で表している。
【0094】
分散型レーダの構成例を図21に示す。ここで、W,W,…,Wは、各アンテナの重み(一般に複素数)を表す。図21に示すように、複数アンテナで受信した信号に、それぞれ重み(W,W,…,W)を掛けて和を取ったものが分散型レーダの出力となる。以上のように、分散型レーダの構成自体は、1次元配置されたアンテナから構成される分散型レーダと全く同じである。
【0095】
前述のように、分散型レーダにおいては、ビーム形成方向が決まると、それに応じて各アンテナの重みを適切に設定する必要がある。具体的には、ビーム形成方向に基づき、アンテナ間の経路長差による位相変化を打ち消すように設定する。図20の場合、ビーム形成方向iを考えると、基準点Oに対して、アンテナm(位置ベクトル:d)の経路長はi・d(ベクトルiとdの内積)だけ異なる。従って、アンテナmの重みWは、上記経路長差による位相変化を打ち消すよう、exp(−j(2π/λ)i・d)と設定すれば良い。
【0096】
以下、図20を参照しながら、特定のビーム形成方向iに対するアンテナパターンの算出方法について説明する。但し、まずは、各アンテナが無指向性である場合について述べる。
【0097】
想定される電波到来方向を示す単位ベクトルをu(uはベクトル)で表す。さらに、電波到来方向uを、ビーム形成方向iを基準とした入射角θで表す。各θについて、利得を算出することを考える。信号は、各アンテナにおいて、電波到来方向uに関する経路長差および波長λから定まる位相だけ位相が回転したものとして受信され、また、アンテナの重みが掛けられることにより、さらに位相が回転する。ここで、電波到来方向uに関し、基準点Oに対するアンテナmの経路長差はu・d(ベクトルuとdの内積)である。この経路長差に起因する位相差は(2π/λ)u・dとなり、その位相回転は、複素数exp(j(2π/λ)u・d)として表現される。この複素数に対し、さらにアンテナ重みWを掛けた値、すなわちexp(j(2π/λ)(u−i)・d)が、位相回転複素数であり、分散型レーダの振幅利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和となる複素数の大きさとして計算される。また、これを2乗したものが電力利得となる。そして、以上のようにして求められる、入射角θ(電波到来方向)と利得の間の関係が、アンテナパターンとなる。
【0098】
以上の原理は、1次元アンテナ配置の場合と同じであるが、上述の2次元アンテナ配置の場合、複数のビーム形成方向に対応する、複数のアンテナパターンを考慮する必要がある。
【0099】
上記の説明では、個々のアンテナが無指向性である場合を例にとっており、この場合、分散型レーダのアンテナパターン算出の際、利得は、各アンテナの位相回転複素数の総和から求められた。しかし、アンテナが無指向性でない場合、1次元アンテナ配置の場合と同様、分散型レーダのアンテナパターンは、各アンテナの位相回転複素数の総和から算出されるアンテナパターンに対し、さらに、個々のアンテナのアンテナパターンの積を取ることにより求められる(個々のアンテナのアンテナパターンが同一の場合)。
【0100】
なお、一般には、個々のアンテナについて向きを考慮する必要があり、アンテナの向きとビーム形成方向との関係に依存してアンテナパターン形状が変化することが多い。しかし、本実施の形態では、アンテナの向きとビーム形成方向との関係によらず、アンテナパターンは同じ形状と見なせるとの前提を置く。アンテナの向きとビーム形成方向との関係に依存してアンテナパターン形状が変化する場合でも、まずは「代表的な形状のアンテナパターンが存在する」ことを前提としてアンテナ配置を最適化した後に、得られたアンテナ配置を固定して、各アンテナの向きのみを最適化すれば良い。
【0101】
以下、図9を参照しながら、アンテナ配置算出装置の動作について説明する。アンテナ配置保持手段101は、分散型レーダを構成する全アンテナ又はアンテナ配置算出対象の全アンテナの位置情報を、評価値および、各アンテナの特性に関する情報とともに保持する。本実施の形態7の場合、アンテナ設置可能領域として2次元平面を想定しているので、個々のアンテナの位置情報は2次元で表現される。アンテナ配置初期化手段102は、アンテナの初期配置を決定してアンテナ配置保持手段101に記録する。
【0102】
アンテナパターン算出手段103は、アンテナ配置保持手段101が保持するアンテナ配置のうち未評価もしくは評価値の良いアンテナ配置を抽出、さらに、各アンテナの特性に関する情報を入力とする。そして上述したようにして、想定されるビーム形成方向に基づき、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを算出する。ここで、ビーム形成方向として複数を想定するため、アンテナパターンも複数出力される。
【0103】
アンテナ配置評価手段104は、アンテナパターン算出手段103が出力するアンテナパターンにおいて、最大サイドローブのサイドローブレベルを算出する。さらに、複数のアンテナパターンのそれぞれに対応するサイドローブレベルのうち、最悪、即ち、最大のものを分散型レーダの評価値として算出して、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0104】
サイドローブピーク抽出手段105Bは、各アンテナパターンに関し、それぞれ、利得の大きな順に、1つまたは複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求める。
【0105】
移動アンテナ選択手段107Bは、寄与度算出手段108B、寄与度統合手段901、大寄与度アンテナ抽出手段109Bから構成されている。
【0106】
寄与度算出手段108Bは、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する複数のサイドローブピークについて、サイドローブピーク毎に、その電波到来方向に関する利得への各アンテナの寄与の大きさを表す寄与度を算出する。寄与度の算出手順については、実施の形態1と同じである。
【0107】
寄与度統合手段901は、アンテナ毎に、寄与度算出手段108Bが出力する、各サイドローブピークに対応する寄与度を統合することにより、最終的な単一の寄与度を算出する。例えば、あるアンテナmについて、サイドローブピーク1,2,…,pに関する寄与度がTm1,Tm2,…,Tmpである場合を考える。この時、寄与度統合手段901は、例えば以下の式によって、アンテナmに関する最終的な単一の寄与度Tを算出する。
【0108】
=k・Tm1+k・Tm2+…+k・Tmp
【0109】
ここで、k,k,..,kは各サイドローブピークに関する重みであり、例えば、各サイドローブの利得の値などを用いれば良い。
【0110】
大寄与度アンテナ抽出手段109Bは、寄与度統合手段901が出力する寄与度が大きな1つまたは複数のアンテナを抽出して、移動対象として出力する。
【0111】
アンテナ移動手段110Bは、許容位相範囲算出手段111B、許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902、アンテナ位置候補共通部分抽出手段903、アンテナ位置確定手段904から構成されている。
【0112】
許容位相範囲算出手段111Bは、移動アンテナ選択手段107Bが出力する移動対象アンテナおよび、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する、複数のサイドローブピークに対応するビーム形成方向および電波到来方向について、それぞれのサイドローブピーク毎に、移動対象アンテナの許容位相範囲を算出する。許容位相範囲の算出手順については、実施の形態1と同じである。
【0113】
許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902は、移動対象アンテナ毎に、許容位相範囲算出手段111Bが出力する複数サイドローブピークに対応する許容位相範囲について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求める。これらの位置を、実施の形態3と同様、「許容位相範囲対応アンテナ位置候補」と呼ぶことにする。以下、本実施の形態では、さらに簡単に「アンテナ位置候補」と呼ぶ。
【0114】
ある移動対象アンテナについて、特定のサイドローブピークに関する許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補の範囲の例を、図22に示す。図22において、許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補は、一般に、平行な帯状領域の集合となる。その理由について、以下に説明する。
【0115】
アンテナの許容位相範囲は、前述のように、当該アンテナの位相回転複素数の位相が採っても良い値の範囲のことである。一方、位相回転複素数は、前述のように、式exp(j(2π/λ)(u−i)・d)で表される。従って、位相回転複素数の位相が一定の値を採る場合、式(u−i)・dも一定の値となる。今、特定のサイドローブピークを考えているので、ビーム形成方向iおよび電波到来方向uは固定されており、従って、ベクトルu−iも固定されている。従って、位相回転複素数の位相が一定の値を取る場合、dが取り得る値は、ベクトルu−iに垂直な直線上のベクトルとなる。さらに、位相回転複素数における回転に対応し、上記のような直線は、一般に、アンテナ設置可能領域上に等間隔に現れる。許容位相範囲は、連続した位相の値の範囲なので、許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補は、図22のように、平行な帯状領域の集合となる。なお、図22において、複数の帯状領域が出現する周期は、u−iに依存して決まる。
【0116】
以上のように、許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補は、平行な帯状領域の集合となるが、一般には、移動対象アンテナの現在位置に接する帯状領域のみに着目する。これは、移動対象アンテナの移動先位置の決定を、移動幅が小さくなるように行うためである。
【0117】
ある移動対象アンテナについて、2つのサイドローブピークに対応する許容位相範囲(説明のため、各サイドローブピークに対応する2種類の許容位相範囲をA、Bと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図23に示す。但し、図23では、アンテナ位置候補に対応する複数の帯状領域のうち、移動対象アンテナの現在位置に接する帯状領域のみを示している。
【0118】
アンテナ位置候補共通部分抽出手段903は、許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段902が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補範囲(のうち、移動対象アンテナの現在位置に接する帯状領域)に関し、その共通部分を抽出する。共通部分を抽出した例を、図23に示す。
【0119】
ここで、全てのサイドローブピークに対応するアンテナ位置候補範囲の共通部分を抽出していくと、移動対象アンテナの現在位置のみになる場合がある。このような場合に対処するため、実施の形態3と同様、共通部分の抽出は、利得の大きなサイドローブピークの順番に実施する。例えば、サイドローブピークの許容位相範囲に対応するアンテナ位置候補範囲が、利得の大きな順に、S,S,…,Sと表されるものとする。そして、S∩S∩…∩Sが「移動対象アンテナの現在位置のみ」でなく、S∩S∩…∩S∩Sn+1が「移動対象アンテナの現在位置のみ」であった場合、S∩S∩…∩Sを最終的なアンテナ位置候補範囲とする。
【0120】
アンテナ位置候補共通部分抽出手段903により、移動対象アンテナの最終的なアンテナ位置候補範囲が算出されると、アンテナ位置確定手段904は、得られたアンテナ位置候補の範囲内で、移動対象アンテナの移動先位置を確定する。そして、決定した移動先位置に基づき、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0121】
以上のように、2次元アンテナ配置において、複数のビーム形成方向に対応する複数のアンテナパターンを考慮すべき場合でも、1次元アンテナ配置の場合と同様な処理、特に許容位相範囲に基づく処理により、アンテナ配置最適化が可能である。これは、3次元アンテナ配置の場合でも同様である。
【0122】
実施の形態8.
本実施の形態では、図15に示すアンテナ配置算出装置に関し、2次元配置されたアンテナに基づく分散型レーダを対象とした場合について説明する。図15のアンテナ配置算出装置では、図9に示す実施の形態7に対して、アンテナ配置生成手段106D内のアンテナ移動手段110Dの構成が異なる。
【0123】
サイドローブピーク抽出手段105Bは、実施の形態7と同様、(異なるビーム形成方向に対応する)各アンテナパターンに関し、それぞれ、利得の大きな順に、1つまたは複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求める。
【0124】
アンテナ移動手段110Dは、逆位相算出手段1301Dと逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501とアンテナ位置候補統合手段1502とアンテナ位置確定手段904Dから構成されている。アンテナ位置候補統合手段1502は、アンテナ位置候補方向算出手段1503とアンテナ位置候補方向統合手段1504から構成されている。
【0125】
逆位相算出手段1301Dは、移動アンテナ選択手段107Bが出力する移動対象アンテナおよび、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する、複数のサイドローブピークに対応するビーム形成方向および電波到来方向について、それぞれのサイドローブピーク毎に、移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和の逆位相を求める。逆位相の考え方については、実施の形態4で説明したものと同じである。
【0126】
逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501は、移動対象アンテナ毎に、逆位相算出手段1301Dが出力する複数サイドローブピークに対応する逆位相について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求める。これらの位置は、移動対象アンテナの移動先位置の候補と考えられることから、実施の形態5と同様、「逆位相対応アンテナ位置候補」と呼ぶことにする。以下、本実施の形態では、さらに簡単に「アンテナ位置候補」と呼ぶ。
【0127】
ある移動対象アンテナについて、特定のサイドローブピークに関する逆位相に対応するアンテナ位置候補の範囲の例を、図24に示す。図24において、逆位相に対応するアンテナ位置候補は、一般に平行な直線の集合となる。その理由は、実施の形態7で述べた通りであり、複数の直線が出現する周期は、u−iに依存して決まる。
【0128】
以上のように、逆位相に対応するアンテナ位置候補は、平行な直線の集合となるが、一般には、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある直線のみに着目する。これは、移動対象アンテナの移動先位置の決定を、移動幅が小さくなるように行うためである。
【0129】
ある移動対象アンテナについて、3つのサイドローブピークに対応する逆位相(説明のため、各サイドローブピークに対応する3種類の逆位相をA,B,Cと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図25に示す。但し、図25では、アンテナ位置候補に対応する複数の直線のうち、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある直線のみを示している。
【0130】
アンテナ位置候補統合手段1502は、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補(のうち、移動対象アンテナの現在位置に最も近くにある直線)を統合することにより、移動対象アンテナの移動先位置の範囲を求める。
【0131】
アンテナ位置候補統合手段1502の動作について、さらに詳細に説明する。アンテナ位置候補の統合に際しては、まず、アンテナ位置候補方向算出手段1503が、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補を表す直線のそれぞれについて、移動対象アンテナの現在位置を起点として、上記「アンテナ位置候補を表す直線」の方向を向いたベクトルを求める。このベクトルを、ここでは「アンテナ位置候補方向ベクトル」と呼ぶことにする。ここで、ベクトルの大きさは一定とする。
【0132】
図25に示す状況において、3つのサイドローブピークに対応する逆位相A,B,Cに関するアンテナ位置候補に対応するアンテナ位置候補方向ベクトルの例を、図26に示す。
【0133】
アンテナ位置候補方向統合手段1504は、アンテナ位置候補方向算出手段1503が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補方向ベクトルを合成する。ベクトルの合成は、具体的には、ベクトルの和を取り、方向はそのままで大きさを一定の値にするなどすれば良い。また、各サイドローブピークに関する重み付け和を計算することも考えられる。ここで、重みは、例えば各サイドローブの利得の値などとすれば良い。アンテナ位置候補方向ベクトルを足し合わせることにより合成する場合の例を図27に示す。アンテナ位置候補方向統合手段1504は、移動対象アンテナの現在位置を起点として、アンテナ位置候補方向ベクトルを合成して得られるベクトルの終点を中心とした近傍を、移動対象アンテナの移動先位置の範囲として出力する。
【0134】
アンテナ位置候補統合手段1502により、移動対象アンテナの移動先位置の範囲が算出されると、アンテナ位置確定手段904Dは、得られた移動先位置の範囲内で、移動対象アンテナの移動先位置を確定する。そして、決定した移動先位置に基づき、新たなアンテナ配置を生成し、アンテナ配置保持手段101に記録する。
【0135】
以上のように、2次元アンテナ配置において、複数のビーム形成方向に対応する複数のアンテナパターンを考慮すべき場合でも、1次元アンテナ配置の場合と同様な処理、特に逆位相に対応するアンテナ位置候補の方向を向いたベクトルの和に基づく処理により、アンテナ配置最適化が可能である。これは、3次元アンテナ配置の場合でも同様である。
【0136】
実施の形態9.
本実施の形態では、図19に示すアンテナ配置算出装置に関し、2次元配置されたアンテナに基づく分散型レーダを対象とした場合について説明する。図19のアンテナ配置算出装置では、図15に示す実施の形態8に対して、アンテナ配置生成手段106E内のアンテナ移動手段110E内にある、アンテナ位置候補統合手段1502Eの構成が異なる。アンテナ位置候補統合手段1502Eは、アンテナ位置候補近傍範囲算出手段1901から構成されている。
【0137】
アンテナ位置候補近傍範囲算出手段1901は、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501が出力する、複数サイドローブピークに対応するアンテナ位置候補に関し、そのいずれからも近い範囲(実施の形態6と同様、「アンテナ位置候補近傍範囲」と呼ぶ)を計算し、出力する。
【0138】
2次元アンテナ配置を想定した場合に、ある移動対象アンテナについて、3つのサイドローブピークに対応する逆位相(説明のため、各サイドローブピークに対応する3種類の逆位相をA,B,Cと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図25に示す。図25の状況に対し、アンテナ位置候補近傍範囲算出手段1901が出力するアンテナ位置候補近傍範囲の例を、図28に示す。
【0139】
以下、アンテナ位置候補近傍範囲の具体的な算出手順の例を示す。まず、各逆位相に対応するアンテナ位置候補を表す直線群において、全ての交点を計算する。そして、各交点の重心の近傍を、アンテナ位置候補近傍範囲とすれば良い。
【0140】
以上のように、2次元アンテナ配置において、複数のビーム形成方向に対応する複数のアンテナパターンを考慮すべき場合でも、1次元アンテナ配置の場合と同様な処理、特に逆位相に対応するアンテナ位置候補の近傍範囲に基づく処理により、アンテナ配置最適化が可能である。これは、3次元アンテナ配置の場合でも同様である。
【0141】
実施の形態10.
図29はこの発明の実施の形態10に係るアンテナ配置算出装置の構成を示す図である。図29のアンテナ配置算出装置も実施の形態4、5、6、8、9と同様、1つまたは複数のサイドローブピークに対応する逆位相に基づいてアンテナ配置最適化を行うものであるが、装置の構成が異なる。以下、2次元配置されたアンテナに基づく分散型レーダを対象とした場合について説明する。
【0142】
図29においてアンテナ配置算出装置は、アンテナ配置制約保持手段113と、途中アンテナ配置保持手段2901と、アンテナパターン算出手段103と、サイドローブピーク抽出手段105Bと、逆位相算出手段1301Fと、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501と、追加アンテナ位置確定手段2902から構成されている。
【0143】
次に動作について説明する。途中アンテナ配置保持手段2901は、アンテナ配置を、各アンテナの特性に関する情報とともに保持する。途中アンテナ配置保持手段2901が保持するアンテナ配置は、アンテナ数が少ない状態を初期配置として、処理の進行に伴って1つずつアンテナが追加されていく。そこで、ここでは、途中アンテナ配置保持手段2901が保持するアンテナ配置のことを、特に「途中アンテナ配置」と呼ぶことにする。途中アンテナ配置保持手段2901は、初期配置としては、アンテナ設置可能領域の境界部分に、特定の固定アンテナのみを配置した状態を保持する。
【0144】
アンテナパターン算出手段103は、途中アンテナ配置保持手段2901が保持する途中アンテナ配置および、各アンテナの特性に関する情報を入力とする。そして、想定されるビーム形成方向に関し、電波到来方向と利得の関係を表す1つまたは複数のアンテナパターンを算出する。
【0145】
サイドローブピーク抽出手段105Bは、1つまたは複数のアンテナパターンに関し、それぞれ、利得の大きな順に、1つまたは複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求める。
【0146】
逆位相算出手段1301Fは、サイドローブピーク抽出手段105Bが出力する、1つまたは複数のサイドローブピークに対応するビーム形成方向および電波到来方向について、それぞれのサイドローブピーク毎に、途中アンテナ配置保持手段2901が保持する全アンテナに関する位相回転複素数総和の逆位相を求める。
【0147】
逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501は、逆位相算出手段1301Fが出力する、1つまたは複数のサイドローブピークに対応する逆位相について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求める。1つの逆位相に対応するアンテナ位置候補の例を、図16(1次元アンテナ配置を想定する場合)および図24(2次元アンテナ配置を想定する場合)に示す。
【0148】
追加アンテナ位置確定手段2902は、逆位相対応アンテナ位置候補算出手段1501が出力する、1つまたは複数のサイドローブピークに対応するアンテナ位置候補について、いずれのアンテナ位置候補からも近くにある位置を1つ選択する。そして、選択された位置に、アンテナを追加するものとし、途中アンテナ配置保持手段2901が保持する途中アンテナ配置を更新する。
【0149】
2次元アンテナ配置を想定した場合に、3つのサイドローブピークに対応する逆位相(説明のため、各サイドローブピークに対応する3種類の逆位相をA,B,Cと表す)に関し、対応するアンテナ位置候補の例を図30に示す。また、図30において、これらのアンテナ位置候補のいずれからも近くにある位置として、アンテナを追加すべく選択された位置の例も示す。
【0150】
上記の処理の反復によって、アンテナを1つずつ追加することにより途中アンテナ配置を更新していき、利用可能なアンテナ数を全て配置し終わった時点で、アンテナ配置最適化処理を終了する。なお、本最適化は、最適化分野において、グリーディ法と呼ばれる枠組みに属するものである。
【0151】
本実施の形態によれば、少数の固定アンテナのみを配置した初期状態から出発し、途中アンテナ配置に関するサイドローブピークの電波到来方向について、利得低下の効果が最も大きい逆位相を算出、対応するアンテナ位置候補に近い位置にアンテナを1つずつ追加していくことにより、アンテナ配置を生成する。本実施の形態で得られたアンテナ配置は、その生成方法からして、比較的評価値が高いものとなっている。そこで、本実施の形態で得られたアンテナ配置を初期配置として、実施の形態1〜9で述べたアンテナ配置最適化を適用することにより、より効率的に良いアンテナ配置に到達できるとの効果がある。
【0152】
なおこの発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、これらの実施の形態の特徴の可能な組み合わせを全て含むことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0153】
101 アンテナ配置保持手段、102 アンテナ配置初期化手段、103 アンテナパターン算出手段、104 アンテナ配置評価手段、105,105B サイドローブピーク抽出手段、106,106A−E アンテナ配置生成手段、107,107B 移動アンテナ選択手段、108,108B 寄与度算出手段、109,109B 大寄与度アンテナ抽出手段、110,110A−E アンテナ移動手段、111,111B 許容位相範囲算出手段、112 アンテナ位置決定手段、113 アンテナ配置制約保持手段、801 アンテナ位置微小変化手段、901 寄与度統合手段、902 許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段、903 アンテナ位置候補共通部分抽出手段、904,904D アンテナ位置確定手段、1301,1301D,1301F 逆位相算出手段、1302 アンテナ位置決定手段、1501 逆位相対応アンテナ位置候補算出手段、1502,1502E アンテナ位置候補統合手段、1503 アンテナ位置候補方向算出手段、1504 アンテナ位置候補方向統合手段、1901 アンテナ位置候補近傍範囲算出手段、2901 途中アンテナ配置保持手段、2902 追加アンテナ位置確定手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型レーダを構成する複数のアンテナの位置情報であるアンテナ配置を少なくとも評価値とともに保持するアンテナ配置保持手段と、
前記アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置を入力し、想定される各電波到来方向について、アンテナ間の経路長差、波長、各アンテナの重みから計算される受信信号の位相情報に基づき分散型レーダの利得を算出して、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを出力するアンテナパターン算出手段と、
前記アンテナパターン算出手段が出力するアンテナパターンにおいて、最大サイドローブのサイドローブレベルを分散型レーダの前記評価値として算出して前記アンテナ配置保持手段に記録するアンテナ配置評価手段と、
前記アンテナパターン算出手段が出力するアンテナパターンにおいて、利得の大きなサイドローブピークに対応する電波到来方向を求めるサイドローブピーク抽出手段と、
前記サイドローブピーク抽出手段が出力する電波到来方向に関する重みを考慮した各アンテナの受信信号の位相情報に基づき、位相がばらつくように1つまたは複数のアンテナの位置を移動して新たなアンテナ配置を生成するアンテナ配置生成手段と、
を備えたことを特徴とするアンテナ配置算出装置。
【請求項2】
前記サイドローブピーク抽出手段が最大サイドローブに関する1つの電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
前記サイドローブピーク抽出手段が出力する電波到来方向について該方向に関する各アンテナの受信信号の、アンテナの重みを考慮した位相回転を表す複素数である位相回転複素数に関し、アンテナ毎に、当該アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和に関する位相と当該アンテナの位相回転複素数に関する位相との差が小さいほど大きい値となる当該アンテナの寄与度を設定する寄与度算出手段、および
前記寄与度算出手段が出力する寄与度が大きな1つまたは複数のアンテナを抽出する大寄与度アンテナ抽出手段からなる移動アンテナ選択手段と、
アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置において前記大寄与度アンテナ抽出手段が出力するアンテナの位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ移動手段と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項3】
前記サイドローブピーク抽出手段が利得の大きな順に複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
前記サイドローブピーク抽出手段が出力する電波到来方向について該方向に関する各アンテナの受信信号の、アンテナの重みを考慮した位相回転を表す複素数である位相回転複素数に関し、アンテナ毎に、当該アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和に関する位相と当該アンテナの位相回転複素数に関する位相との差が小さいほど大きい値となる当該アンテナの寄与度を設定する寄与度算出手段、
アンテナ毎に前記寄与度算出手段が出力する複数サイドローブピークに対応する寄与度を統合して最終的な単一の寄与度を算出する寄与度統合手段、および
前記寄与度統合手段が出力する寄与度が大きな1つまたは複数のアンテナを抽出する大寄与度アンテナ抽出手段からなる移動アンテナ選択手段と、
アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置において前記大寄与度アンテナ抽出手段が出力するアンテナの位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ移動手段と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項4】
前記サイドローブピーク抽出手段が最大サイドローブに関する1つの電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
移動対象とする1つまたは複数のアンテナを抽出する移動アンテナ選択手段と、
アンテナ移動手段を構成する、
前記移動アンテナ選択手段が出力する移動対象アンテナおよび前記サイドローブピーク抽出手段が出力するサイドローブピークに対応する電波到来方向について、前記移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和と前記移動対象アンテナの位相回転複素数の位相差がより大きくなるような前記移動対象アンテナの位相回転複素数の位相範囲を求めて、許容位相範囲として出力する許容位相範囲算出手段、および
前記許容位相範囲算出手段が出力する前記移動対象アンテナと対応する許容位相範囲について位相回転複素数の位相が前記許容位相範囲内の値となるよう前記移動対象アンテナ位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ位置決定手段、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項5】
前記サイドローブピーク抽出手段が利得の大きな順に複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
移動対象とする1つまたは複数のアンテナを抽出する移動アンテナ選択手段と、
アンテナ移動手段を構成する、
前記移動アンテナ選択手段が出力する移動対象アンテナおよび前記サイドローブピーク抽出手段が出力するサイドローブピークに対応する電波到来方向について、前記サイドローブピーク毎に、前記移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和と前記移動対象アンテナの位相回転複素数の位相差がより大きくなるような前記移動対象アンテナの位相回転複素数の位相範囲を求めて、許容位相範囲として出力する許容位相範囲算出手段、
前記許容位相範囲算出手段が出力する、前記移動対象アンテナに対応する前記許容位相範囲について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求めて、許容位相範囲対応アンテナ位置候補として出力する許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段、
前記許容位相範囲対応アンテナ位置候補算出手段が出力する前記許容位相範囲対応アンテナ位置候補の共通部分を抽出するアンテナ位置候補共通部分抽出手段、および
前記アンテナ位置候補共通部分抽出手段が出力する、前記許容位相範囲対応アンテナ位置候補の共通部分の範囲内で、前記移動対象アンテナ位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ位置確定手段、
を含むことを特徴とする請求項1または3に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項6】
前記サイドローブピーク抽出手段が最大サイドローブに関する1つの電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
移動対象とする1つまたは複数のアンテナを抽出する移動アンテナ選択手段と、
アンテナ移動手段を構成する、
前記移動アンテナ選択手段が出力する移動対象アンテナおよび前記サイドローブピーク抽出手段が出力するサイドローブピークに対応する電波到来方向について、前記移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和の逆位相を求める逆位相算出手段、および
前記逆位相算出手段が出力する逆位相について、位相回転複素数の位相が前記逆位相の近傍の値となるよう前記移動対象アンテナ位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ位置決定手段、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項7】
前記サイドローブピーク抽出手段が利得の大きな順に複数のサイドローブピークに関する電波到来方向を求め、
前記アンテナ配置生成手段が、
移動対象とする1つまたは複数のアンテナを抽出する移動アンテナ選択手段と、
アンテナ移動手段を構成する、
前記移動アンテナ選択手段が出力する移動対象アンテナおよび前記サイドローブピーク抽出手段が出力するサイドローブピークに対応する電波到来方向について、前記サイドローブピーク毎に、前記移動対象アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和の逆位相を求める逆位相算出手段、
前記逆位相算出手段が出力する、前記移動対象アンテナに対応する前記逆位相について、それぞれ、対応するアンテナ位置の範囲を求めて、逆位相対応アンテナ位置候補として出力する逆位相対応アンテナ位置候補算出手段、
前記逆位相対応アンテナ位置候補算出手段が出力する前記逆位相対応アンテナ位置候補を統合することにより、移動対象アンテナの移動先位置の範囲を求めるアンテナ位置候補統合手段、および
前記アンテナ位置候補統合手段が出力する前記移動先位置範囲の範囲内で、前記移動対象アンテナ位置を変化させて新たなアンテナ配置を生成するアンテナ位置確定手段、
を含むことを特徴とする請求項1または3に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項8】
前記アンテナ位置候補統合手段は、移動対象アンテナの現在位置を起点として、前記逆位相対応アンテナ位置候補算出手段が出力する前記逆位相対応アンテナ位置候補の方向を向いたベクトルを合成して得られるベクトルの終点を中心とした近傍を、移動対象アンテナの移動先位置の範囲とすることを特徴とする請求項7記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項9】
前記アンテナ位置候補統合手段は、前記逆位相対応アンテナ位置候補算出手段が出力する前記逆位相対応アンテナ位置候補のいずれからも近い範囲を、移動対象アンテナの移動先位置の範囲とすることを特徴とする請求項7記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項10】
前記寄与度算出手段は、アンテナの寄与度を求める際に、当該アンテナを除くアンテナ群の位相回転複素数総和に関する位相と当該アンテナの位相回転複素数に関する位相との差のコサインを取った値として寄与度を求めることを特徴とする請求項2または3に記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項11】
前記アンテナ配置生成手段または前記アンテナ移動手段または前記アンテナ位置決定手段または前記アンテナ位置確定手段が、生成した新たなアンテナ配置を前記アンテナ配置保持手段に記録することを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項記載のアンテナ配置算出装置。
【請求項12】
分散型レーダを構成する複数のアンテナの位置情報であるアンテナ配置を保持する途中アンテナ配置保持手段と、
前記途中アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置を入力し、想定される各電波到来方向について、アンテナ間の経路長差、波長、各アンテナの重みから計算される受信信号の位相情報に基づき分散型レーダの利得を算出して、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを出力するアンテナパターン算出手段と、
前記アンテナパターン算出手段が出力するアンテナパターンにおいて、利得の大きなサイドローブピークに対応する電波到来方向を求めるサイドローブピーク抽出手段と、
前記サイドローブピーク抽出手段が出力するサイドローブピークに対応する電波到来方向について、前記サイドローブピーク毎に、前記途中アンテナ配置保持手段が保持する全アンテナに関する位相回転複素数総和の逆位相を求める逆位相算出手段と、
前記逆位相算出手段が出力する前記逆位相に対応するアンテナ位置候補を算出する逆位相対応アンテナ位置候補算出手段と、
前記逆位相対応アンテナ位置候補算出手段が出力する前記アンテナ位置候補のいずれからも近くにある位置を選択し、その位置に新たなアンテナを追加して新たなアンテナ配置を生成する追加アンテナ配置算出手段と、
を備えたことを特徴とするアンテナ配置算出装置。
【請求項13】
分散型レーダを構成する各アンテナが指向性を持ち、前記アンテナ配置保持手段または前記途中アンテナ配置保持手段がアンテナ配置を評価値および各アンテナのアンテナ特性とともに保持し、前記アンテナパターン算出手段が、前記アンテナ配置保持手段または前記途中アンテナ配置保持手段が保持するアンテナ配置およびアンテナ特性を入力し、想定される各電波到来方向について、アンテナ間の経路長差、波長、各アンテナの重みから計算される受信信号の位相情報に基づき分散型レーダの利得を算出して、電波到来方向と利得の関係を表すアンテナパターンを出力することを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項に記載のアンテナ配置算出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−137472(P2012−137472A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126003(P2011−126003)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】