アンテナ
【課題】広帯域を確保できるアンテナを得る。
【解決手段】二つの給電端子5,6と、第1インダクタンス素子L1と、第2インダクタンス素子L2と、を備えたアンテナ。第1インダクタンス素子L1はその両端が給電端子5,6にそれぞれ接続されている。第1インダクタンス素子L1と第2インダクタンス素子L2は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、電波の放射に使用される。
【解決手段】二つの給電端子5,6と、第1インダクタンス素子L1と、第2インダクタンス素子L2と、を備えたアンテナ。第1インダクタンス素子L1はその両端が給電端子5,6にそれぞれ接続されている。第1インダクタンス素子L1と第2インダクタンス素子L2は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、電波の放射に使用される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ、特に、小型で広帯域な表面実装型に構成できるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの移動体通信に使用される小型アンテナとして、特許文献1には、細長い絶縁性の本体部に励振コイルをヘリカル状に巻き付けるとともに、該励振コイルに隣接するように第1、第2の無給電コイルを本体部にヘリカル状に巻き付けることにより、2周波数帯での動作が可能なヘリカルアンテナが開示されている。
【0003】
しかしながら、前記ヘリカルアンテナは、動作可能な2周波数帯の間隔が数百MHz以上離れており、二つの周波数帯を100MHz以下の近傍に近付けることはできない。また、一つの周波数帯の帯域幅は単一コイルで形成したヘリカルアンテナに比較して広くなってはいるものの未だ十分な帯域幅を確保することはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、小型で広帯域を確保できるアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、
二つの給電端子と、第1インダクタンス素子と、第2インダクタンス素子と、を備えたアンテナであって、
第1インダクタンス素子はその両端が前記給電端子にそれぞれ接続されており、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は電波の放射に使用されること、
を特徴とする。
【0007】
本発明に係るアンテナにおいて、互いに異なるインダクタンス値を有する第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子とを互いに磁気的に結合させて放射素子として使用するため、周波数帯域が広がる。それゆえ、小型でかつ広帯域のアンテナが達成され、表面実装型とすることも可能になる。
【0008】
本発明に係るアンテナにおいては、少なくとも二つのキャパシタンス素子を含んでいてもよく、これらのキャパシタンス素子と第1インダクタンス素子及び第2インダクタンス素子とでそれぞれ二つの共振回路を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに異なるインダクタンス値を有する第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子とを互いに磁気的に結合させて放射素子として使用するため、周波数帯域が広がり、小型で広帯域のアンテナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例であるアンテナの等価回路図。
【図2】第1実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図3】第1実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図4】第1実施例であるアンテナの指向性を示す模式図。
【図5】第1実施例であるアンテナの指向性を示すX−Y平面のチャート。
【図6】第1実施例であるアンテナのインピーダンスを示すスミスチャート。
【図7】第2実施例であるアンテナの等価回路図。
【図8】第2実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図9】第2実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図10】第2実施例であるアンテナの回路変換した等価回路図。
【図11】第3実施例であるアンテナの等価回路図。
【図12】第3実施例であるアンテナの外観を示す斜視図。
【図13】第3実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図14】第4実施例であるアンテナの等価回路図。
【図15】第4実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図16】第4実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図17】第5実施例であるアンテナの等価回路図。
【図18】第5実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図19】第6実施例であるアンテナの等価回路図。
【図20】第6実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図21】他の実施例であるアンテナの等価回路図。
【図22】第7実施例であるアンテナの等価回路図。
【図23】第7実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図24】第8実施例であるアンテナの等価回路図。
【図25】第8実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図26】第9実施例であるアンテナの等価回路図。
【図27】第9実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図28】第10実施例であるアンテナの等価回路図。
【図29】第10実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図30】第10実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図31】第11実施例であるアンテナの等価回路図。
【図32】第11実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るアンテナの実施例について添付図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施例、図1〜図6参照)
第1実施例であるアンテナ1Aは、図1に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、かつ、キャパシタンス素子C2a,C2bを介してインダクタンス素子L2と並列に接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2a,C2bとからなるLC直列共振回路を含んで構成されている。
【0013】
以上の回路構成からなるアンテナ1Aは、図2に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11iを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極12a,12bが形成され、シート11cにはキャパシタ電極13a,13bとビアホール導体19c,19dが形成され、シート11dにはキャパシタ電極14a,14bとビアホール導体19c,19d,19e,19fが形成されている。
【0014】
さらに、シート11eには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19iが形成されている。シート11fには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11gには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11hには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11iには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0015】
以上のシート11a〜11iを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1aは電極12a,13aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極12b,13bで構成される。また、キャパシタンス素子C2aは電極13a,14aで構成され、キャパシタンス素子C2bは電極13b,14bで構成される。
【0016】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19dを介してキャパシタ電極13bに接続される。インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19fを介してキャパシタ電極14bに接続される。
【0017】
また、給電端子5はビアホール導体19aを介してキャパシタ電極12aと接続され、給電端子6はビアホール導体19bを介してキャパシタ電極12bと接続される。
【0018】
以上の構成からなるアンテナ1Aにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2a,C2bを介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0019】
隣接するインダクタンス素子L1,L2の結合係数kは、k2=M2/(L1×L2)で表され、0.1以上が好ましく、本第1実施例においては、約0.8975である。インダクタンス素子L1,L2のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。また、キャパシタンス素子C1a,C1b,C2a,C2bとインダクタンス素子L1,L2とからなるLC共振回路を集中定数型共振回路として構成しているため、積層タイプとして小型化することができ、他の素子からの影響が受けにくくなる。さらに、給電端子5,6には、キャパシタンス素子C1a,C1bが介在されているため、低周波数のサージをカットすることができ、機器をサージから保護することができる。
【0020】
また、複数のLC直列共振回路を積層基板にて形成したため、携帯電話などの基板に表面実装することのできる小型のアンテナとすることができ、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線ICデバイスのアンテナとしても使用することができる。
【0021】
図1に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Aにおいては、図3に示す反射特性を得ることができた。図3から明らかなように、中心周波数は760MHzであり、700〜800MHzの広帯域で−10dB以上の反射特性が得られた。なお、このように広帯域な反射特性が得られる理由については、後述の第2実施例において詳述する。
【0022】
また、図4にアンテナ1Aの指向性について示し、図5にX−Y平面での指向性について示す。X軸、Y軸、Z軸は図2及び図4に示す矢印X,Y,Zに対応する。図6はインピーダンスを示すスミスチャートである。
【0023】
(第2実施例、図7〜図10参照)
第2実施例であるアンテナ1Bは、図7に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1は一端がキャパシタンス素子C1を介して給電端子5と接続されるとともに、キャパシタンス素子C2を介してインダクタンス素子L2と接続されている。また、インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ直接に給電端子6と接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とからなるLC直列共振回路を含んで構成されており、第1実施例である前記アンテナ1Aからキャパシタンス素子C1b,C2bを省略したものである。インダクタンス素子L1,L2のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0024】
以上の回路構成からなるアンテナ1Bは、図8に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11iを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極12aとビアホール導体19mが形成され、シート11cにはキャパシタ電極13aとビアホール導体19c,19mが形成され、シート11dにはキャパシタ電極14aとビアホール導体19c,19e,19mが形成されている。
【0025】
さらに、シート11eには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19iが形成されている。シート11fには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11gには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11hには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11iには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0026】
以上のシート11a〜11iを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1は電極12a,13aで構成され、キャパシタンス素子C2は電極13a,14aで構成される。
【0027】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19d、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。また、キャパシタ電極12aはビアホール導体19aを介して給電端子5に接続される。
【0028】
一方、インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ接続用導体パターン15bによって接続されている。
【0029】
以上の構成からなるアンテナ1Bにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2を介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0030】
図7に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Bにおいては、図9に示す反射特性が得られた。
【0031】
以下に、第2実施例であるアンテナ1Bは広帯域な反射特性が得られることについて詳述する。図10を参照して、同図(A)は本アンテナ1Bの回路構成を示し、インダクタンス素子L1、キャパシタンス素子C2、インダクタンス素子L2からなるπ型回路部分をT型回路に変換したものが、同図(B)である。同図(B)において、L1<L2の場合、相互インダクタンスMの大きさによりL1−M≦0となる。ここで、L1−M=0の場合には、同図(B)に示した回路は同図(C)に示す回路に変換できる。なお、L1−M<0の場合には、同図(C)に示す回路におけるキャパシタンスC2がC2'となる。
このように回路変換された同図(C)に示す回路は、キャパシタンスC1と相互インダクタンスMとの直列共振回路と、キャパシタンスC2とインダクタンスL2−Mとの並列共振回路とで構成されることになり、各共振回路の共振周波数の間隔を広げることにより
帯域幅を広げて広帯域化が図れる。この帯域幅は各共振周波数、即ち、L1,L2,Mの値により適宜設定されるものである。
【0032】
(第3実施例、図11〜図13参照)
第3実施例であるアンテナ1Cは、図11に等価回路として示すように、それぞれ二つのLC直列共振回路からなるブロックA,B,Cにて構成されている。各ブロックA,B,Cに含まれるLC直列共振回路は前記第1実施例であるアンテナ1Aと同じ回路構成であり、その詳細な説明は省略する。
【0033】
このアンテナ1Cは、図2に示した積層構造をそれぞれブロックA,B,Cとして図12に示すように並置し、各ブロックA,B,CのLC直列共振回路を共通の給電端子5,6に接続している。
【0034】
以上の構成からなるアンテナ1Cにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2、インダクタンス素子L3,L4及びインダクタンス素子L5,L6を含むLC直列共振回路がそれぞれ共振し、放射素子として機能する。また、それぞれのインダクタンス素子がキャパシタンス素子を介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0035】
即ち、第3実施例であるアンテナ1Cは第1実施例であるアンテナ1Aを3個分並列に接続したもので、図11に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、図13に示すように、三つの周波数帯域T1,T2,T3において−10dB以上の反射特性が得られた。帯域T1はUHFテレビ、帯域T2はGSM、帯域T3はワイヤレスLANに相当する。また、本第3実施例におけるその他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
【0036】
(第4実施例、図14〜図16参照)
第4実施例であるアンテナ1Dは、図14に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2,L3,L4を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、かつ、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2a,C2bを介して並列に接続され、インダクタンス素子L3はキャパシタンス素子C3a,C3bを介して並列に接続され、インダクタンス素子L4はキャパシタンス素子C4a,C4bを介して並列に接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2a,C2bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L3とキャパシタンス素子C3a,C3bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L4とキャパシタンス素子C4a,C4bとからなるLC直列共振回路を含んで構成されている。
【0037】
以上の回路構成からなるアンテナ1Dは、図15に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート21a〜21jを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート21aには給電端子5,6としても機能するキャパシタ電極22a,22bが形成され、シート21bにはキャパシタ電極23a,23bとビアホール導体29a,29bが形成され、シート21cにはキャパシタ電極24a,24bとビアホール導体29a〜29dが形成されている。シート21dにはキャパシタ電極25a,25bとビアホール導体29a〜29fが形成され、シート21eにはキャパシタ電極26a,26bとビアホール導体29a〜29hが形成されている。
【0038】
さらに、シート21fには接続用導体パターン30a〜30dとビアホール導体28a〜28hが形成されている。シート21gには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。シート21hには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。シート21iには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。さらに、シート21jには接続用導体パターン32a〜32dが形成されている。
【0039】
以上のシート21a〜21jを積層することにより、導体パターン31a〜31dがそれぞれビアホール導体27e〜27hを介して接続されてインダクタンス素子L1〜L4が形成される。インダクタンス素子L1の一端は、ビアホール導体27e、接続用導体パターン32a、ビアホール導体27a,28a、接続用導体パターン30a及びビアホール導体29aを介してキャパシタ電極23aに接続される。インダクタンス素子L1の他端は、ビアホール導体28e,29bを介してキャパシタ電極23bに接続される。インダクタンス素子L2の一端は、ビアホール導体27f、接続用導体パターン32b、ビアホール導体27b,28b、接続用導体パターン30b及びビアホール導体29cを介してキャパシタ電極24aに接続される。インダクタンス素子L2の他端は、ビアホール導体28f,29dを介してキャパシタ電極24bに接続される。
【0040】
さらに、インダクタンス素子L3の一端は、ビアホール導体27g、接続用導体パターン32c、ビアホール導体27c,28c、接続用導体パターン30c及びビアホール導体29eを介してキャパシタ電極25aに接続される。インダクタンス素子L3の他端は、ビアホール導体28g,29fを介してキャパシタ電極25bに接続される。インダクタンス素子L4の一端は、ビアホール導体27h、接続用導体パターン32d、ビアホール導体27d,28d、接続用導体パターン30d及びビアホール導体29gを介してキャパシタ電極26aに接続される。インダクタンス素子L4の他端は、ビアホール導体28h,29hを介してキャパシタ電極26bに接続される。
【0041】
キャパシタンス素子C1aは電極22a,23aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極22b,23bで構成される。キャパシタンス素子C2aは電極23a,24aで構成され、キャパシタンス素子C2bは電極23b,24bで構成される。また、キャパシタンス素子C3aは電極24a,25aで構成され、キャパシタンス素子C3bは電極24b,25bで構成される。キャパシタンス素子C4aは電極25a,26aで構成され、キャパシタンス素子C4bは電極25b,26bで構成される。
【0042】
以上の構成からなるアンテナ1Dにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1〜L4を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1〜L4が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1〜L4がそれぞれキャパシタンス素子C2a,C2bとC3a,C3bとC4a,C4bを介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0043】
隣接するインダクタンス素子L1,L2の結合係数k1、インダクタンス素子L2,L3の結合係数k2、インダクタンス素子L3,L4の結合係数k3は、それぞれ、k12=M2/(L1×L2)、k22=M2/(L2×L3)、k32=M2/(L3×L4)で表され、それぞれ0.1以上が好ましい。本第4実施例においては、k1が約0.7624、k2が約0.5750、k3が約0.6627である。これらのインダクタンス素子L1〜L4のインダクタンス値、並びに、結合係数k1,k2,k3の値は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0044】
図14に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Dにおいては、図16に示すように、極めて広い周波数帯域T4において−6dB以上の反射特性が得られた。また、本第4実施例におけるその他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
【0045】
(第5実施例、図17及び図18参照)
第5実施例であるアンテナ1Eは、図17に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2と直列に接続されてLC直列共振回路を構成している。
【0046】
以上の回路構成からなるアンテナ1Eは、図18に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート41a〜41fを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート41aには給電端子5,6としても機能するキャパシタ電極42a,42bが形成され、シート41bにはキャパシタ電極43a,43bとビアホール導体49a,49bが形成されている。
【0047】
さらに、シート41cには導体パターン44a,45aとビアホール導体49c,49d,49e,49fが形成されている。シート41dには導体パターン44b,45bとビアホール導体49g,49hが形成されている。シート41eにはキャパシタ電極46とビアホール導体49iが形成されている。さらに、シート41fにはキャパシタ電極47が形成されている。
【0048】
以上のシート41a〜41fを積層することにより、導体パターン44a,44bがビアホール導体49dを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン45a,45bがビアホール導体49eを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1aは電極42a,43aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極42b,43bで構成される。また、キャパシタンス素子C2は電極46,47で構成される。
【0049】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体49c,49aを介してキャパシタ電極43aに接続され、その他端がビアホール導体49bを介してキャパシタ電極43bに接続される。インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体49f,49hを介してキャパシタ電極46に接続され、その他端がビアホール導体49g,49iを介してキャパシタ電極47に接続される。
【0050】
以上の構成からなるアンテナ1Eにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2が磁気的に結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0051】
本第5実施例であるアンテナ1Eの作用効果は前記第1実施例であるアンテナ1Aと基本的に同様である。
【0052】
(第6実施例、図19及び図20参照)
第6実施例であるアンテナ1Fは、図19に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1を介して給電端子5と接続され、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とからなるLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2と直列に接続されてLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L3は、一端が給電端子6と接続され、他端がインダクタンス素子L1,L2にそれぞれ接続されている。インダクタンス素子L1,L2,L3のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0053】
以上の回路構成からなるアンテナ1Fは、図20に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート51a〜51hを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート51aには給電端子5,6とビアホール導体59a,59bが形成されている。シート51bにはキャパシタ電極52aと導体パターン56aとビアホール導体59cが形成されている。シート51cにはキャパシタ電極52bと導体パターン56bとビアホール導体59c,59dが形成されている。
【0054】
さらに、シート51dには導体パターン53,56cとビアホール導体59c,59eが形成されている。シート51eには導体パターン56dとビアホール導体59c,59f,59gが形成されている。シート51fにはキャパシタ電極54aと導体パターン56eとビアホール導体59c,59gが形成されている。シート51gにはキャパシタ電極54bと導体パターン56fとビアホール導体59c,59g,59hが形成されている。さらに、シート51hには導体パターン55が形成され、該導体パターン55の他端側の端部は導体パターン56gとされている。
【0055】
以上のシート51a〜51hを積層することにより、導体パターン53がインダクタンス素子L1として構成され、導体パターン55がインダクタンス素子L2として構成される。また、導体パターン56a〜56gがビアホール導体59cを介して接続されてインダクタンス素子L3を形成する。さらに、キャパシタンス素子C1がキャパシタ電極52a,52bで構成され、キャパシタンス素子C2がキャパシタ電極54a,54bで構成される。
【0056】
インダクタンス素子L1は、その一端がビアホール導体59dを介してキャパシタ電極52bに接続され、その他端がビアホール導体59e,59gを介してインダクタンス素子L2の他端に接続される。インダクタンス素子L2は、その一端がビアホール導体59hを介してキャパシタ電極54bに接続され、その他端は前述のようにビアホール導体59g,59eを介してインダクタンス素子L1の他端に接続されるとともにインダクタンス素子L3の一端(導体パターン56g)に接続されている。インダクタンス素子L3はその他端がビアホール導体59bを介して給電端子6に接続される。また、キャパシタ電極52aはビアホール導体59aを介して給電端子5に接続される。
【0057】
以上の構成からなるアンテナ1Fにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2が磁気的に結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0058】
本アンテナ1Fにおいては、インダクタンス素子L1,L2の磁気結合が小さくても素子L1,L2が直結されているために広帯域を確保することができる。さらに、インダクタンス素子L1,L2の他端がインダクタンス素子L3を介して給電端子6に接続されているため、インダクタンス素子L1,L2の結合係数kを高めることができる。また、インダクタンス素子L3を付加することにより、インダクタンス素子L1,L2の結合係数が小さくても広帯域化を実現できる。第6実施例であるアンテナ1Fの他の作用効果は前記第1実施例であるアンテナ1Aと基本的に同様である。
【0059】
(LC共振回路を備えた他の共振回路、図21参照)
アンテナを構成する共振回路は前記第1〜第6実施例以外にも、例えば、図21(A)〜(E)に等価回路で示す種々の形態を採用することができ、小型で広帯域な特性を得ることができる。
【0060】
図21(A)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、インダクタンス素子L1の一端を給電端子5に接続し、キャパシタンス素子C1,C2を給電端子6に接続したものである。
【0061】
図21(B)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1の一端を給電端子5に接続し、インダクタンス素子L1,L2の間にキャパシタンス素子C2を接続し、キャパシタンス素子C1とインダクタンス素子L2の他端を給電端子6に接続したものである。
【0062】
図21(C)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、キャパシタンス素子C1を給電端子5に接続し、キャパシタンス素子C2とインダクタンス素子L1の他端を給電端子6に接続したものである。
【0063】
図21(D)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2の一端をキャパシタンス素子C1を介して接続し、他端を直結したものである。インダクタンス素子L1の一端が給電端子5に接続され、インダクタンス素子L1,L2の他端が給電端子6に接続されている。
【0064】
図21(E)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、インダクタンス素子L1の一端とキャパシタンス素子C1の接続点を給電端子5に接続し、インダクタンス素子L2の他端とキャパシタンス素子C1の接続点を給電端子6に接続したものである。
【0065】
(第7実施例、図22及び図23参照)
第7実施例であるアンテナ1Gは、図22に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、該インダクタンス素子L1,L2は給電端子5,6に互いに並列に接続されている。
【0066】
以上の回路構成からなるアンテナ1Gにおいて、インダクタンス素子L1,L2は互いに異なるインダクタンス値を有し、同相で磁気結合している。そして、インダクタンス素子L1,L2は磁気的な結合により、L1−L2=Mの相互インダクタンスが発生し、本発明者のシミュレーションによると、アンテナ1Gは図23に示す広帯域の反射特性を有する放射素子として機能する。
【0067】
なお、二つのインダクタンス素子L1,L2のみでマッチング回路を構成すると、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンスやリアクタンスは制約を受けることになるが、図23に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0068】
(第8実施例、図24及び図25参照)
第8実施例であるアンテナ1Hは、図24に等価回路として示すように、前記第7実施例に示したインダクタンス素子L1,L2に対して、インダクタンス素子L1の一端と給電端子5との間にキャパシタンス素子C1を接続したものである。
【0069】
以上の回路構成からなるアンテナ1Hにおいても、互いに異なるインダクタンス値を有するインダクタンス素子L1,L2の磁気的な結合により、相互インダクタンスMが発生し、本発明者のシミュレーションによると、図25に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0070】
(第9実施例、図26及び図27参照)
第9実施例であるアンテナ1Iは、図26に等価回路として示すように、前記第7実施例に示したインダクタンス素子L1,L2に対して、それぞれの一端と給電端子5との間にキャパシタンス素子C1,C2を接続したものである。
【0071】
以上の回路構成からなるアンテナ1Iにおいても、互いに異なるインダクタンス値を有するインダクタンス素子L1,L2の磁気的な結合により、相互インダクタンスMが発生し、本発明者のシミュレーションによると、図27に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0072】
(第10実施例、図28〜図30参照)
第10実施例であるアンテナ1Jは、図28に等価回路として示すように、前記第2実施例に示したインダクタンス素子L1にいわゆる中間タップを設け、該中間タップに給電端子5を接続したもので、キャパシタンス素子C1は省略されている。
【0073】
その作用効果は第2実施例と同じであるが、給電端子5,6間のインピーダンスに合わせて中間タップを設けることにより、電磁界エネルギーを低下させることなく、空間のインピーダンスと給電端子5,6間に接続される機器のインピーダンスとの整合を取ることができる。ここで、インダクタンス素子L1はインダクタンスL1a,L1bに分割されることになる。
【0074】
以上の回路構成からなるアンテナ1Jは、図29に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11hを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極13aと接続用導体パターン15dとビアホール導体19c,19m,19nが形成され、シート11cにはキャパシタ電極14aとビアホール導体19c,19e,19m,19nが形成されている。
【0075】
さらに、シート11dには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19i,19nが形成されている。シート11eには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19k,19nが形成されている。シート11fには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19k,19nが形成されている。シート11gには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11hには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0076】
以上のシート11a〜11hを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、かつ、導体パターン16cの分岐部16c'が中間タップとして機能し、該分岐部16c'がビアホール導体19nを介して、さらに、接続用導体パターン15d及びビアホール導体19aを介して給電端子5に接続される。また、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C2は電極13a,14aで構成される。
【0077】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19d、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。
【0078】
一方、インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ接続用導体パターン15bによって接続されている。
【0079】
以上の構成からなるアンテナ1Jにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2を介して結合し、かつ、分岐部16c'(中間タップ)を設けることで、給電端子5,
6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0080】
図28に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Jにおいては、図30に示す反射特性が得られた。
【0081】
(第11実施例、図31及び図32参照)
第11実施例であるアンテナ1Kは、図31に等価回路として示すように、前記第10実施例に示したアンテナ1Jにキャパシタンス素子C1を追加したものである。その作用効果は第10実施例と同様であり、給電端子5,6間のインピーダンスに合わせて中間タップを設けることにより、電磁界エネルギーを低下させることなく、空間のインピーダンスと給電端子5,6間に接続される機器のインピーダンスとの整合を取ることができる。第10実施例に対してキャパシタンス素子C1を追加することで、給電端子5,6間とのインピーダンス整合が取りやすくなる。
【0082】
以上の回路構成からなるアンテナ1Kは、基本的には図8及び図29に示した積層構造と同様の構成であり、詳細は省略する。また、図31に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Kにおいては、図32に示す反射特性が得られた。
【0083】
前記第10及び第11実施例のように、中間タップを設けることで給電端子5,6とのインピーダンス整合が取りやすくなるとリターンが大きくなり、それに応じて帯域が広くなる。つまり、インピーダンス整合の度合が変わると、帯域幅が変わる。従って、所望の帯域を得るために、各インダクタンス素子の定数を設定する際には、インピーダンス整合の度合も考慮する必要がある。
【0084】
(他の実施例)
なお、本発明に係るアンテナは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0085】
例えば、前記各実施例ではLC共振回路を集中定数型共振回路で構成したが、分布定数型共振回路で構成してもよい。また、このLC共振回路を内蔵する積層体は誘電体のみならず絶縁体であってもよく、材料としてはセラミックや樹脂などを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明は、アンテナに有用であり、特に、小型で広帯域を確保できる点で優れている。
【符号の説明】
【0087】
1E…アンテナ
L1,L2…インダクタンス素子
C1a,C1b,C2…キャパシタンス素子
5,6…給電端子
【技術分野】
【0001】
本発明はアンテナ、特に、小型で広帯域な表面実装型に構成できるアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの移動体通信に使用される小型アンテナとして、特許文献1には、細長い絶縁性の本体部に励振コイルをヘリカル状に巻き付けるとともに、該励振コイルに隣接するように第1、第2の無給電コイルを本体部にヘリカル状に巻き付けることにより、2周波数帯での動作が可能なヘリカルアンテナが開示されている。
【0003】
しかしながら、前記ヘリカルアンテナは、動作可能な2周波数帯の間隔が数百MHz以上離れており、二つの周波数帯を100MHz以下の近傍に近付けることはできない。また、一つの周波数帯の帯域幅は単一コイルで形成したヘリカルアンテナに比較して広くなってはいるものの未だ十分な帯域幅を確保することはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、小型で広帯域を確保できるアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、
二つの給電端子と、第1インダクタンス素子と、第2インダクタンス素子と、を備えたアンテナであって、
第1インダクタンス素子はその両端が前記給電端子にそれぞれ接続されており、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は電波の放射に使用されること、
を特徴とする。
【0007】
本発明に係るアンテナにおいて、互いに異なるインダクタンス値を有する第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子とを互いに磁気的に結合させて放射素子として使用するため、周波数帯域が広がる。それゆえ、小型でかつ広帯域のアンテナが達成され、表面実装型とすることも可能になる。
【0008】
本発明に係るアンテナにおいては、少なくとも二つのキャパシタンス素子を含んでいてもよく、これらのキャパシタンス素子と第1インダクタンス素子及び第2インダクタンス素子とでそれぞれ二つの共振回路を形成してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、互いに異なるインダクタンス値を有する第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子とを互いに磁気的に結合させて放射素子として使用するため、周波数帯域が広がり、小型で広帯域のアンテナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施例であるアンテナの等価回路図。
【図2】第1実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図3】第1実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図4】第1実施例であるアンテナの指向性を示す模式図。
【図5】第1実施例であるアンテナの指向性を示すX−Y平面のチャート。
【図6】第1実施例であるアンテナのインピーダンスを示すスミスチャート。
【図7】第2実施例であるアンテナの等価回路図。
【図8】第2実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図9】第2実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図10】第2実施例であるアンテナの回路変換した等価回路図。
【図11】第3実施例であるアンテナの等価回路図。
【図12】第3実施例であるアンテナの外観を示す斜視図。
【図13】第3実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図14】第4実施例であるアンテナの等価回路図。
【図15】第4実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図16】第4実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図17】第5実施例であるアンテナの等価回路図。
【図18】第5実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図19】第6実施例であるアンテナの等価回路図。
【図20】第6実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図21】他の実施例であるアンテナの等価回路図。
【図22】第7実施例であるアンテナの等価回路図。
【図23】第7実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図24】第8実施例であるアンテナの等価回路図。
【図25】第8実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図26】第9実施例であるアンテナの等価回路図。
【図27】第9実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図28】第10実施例であるアンテナの等価回路図。
【図29】第10実施例であるアンテナの積層構造を示す平面図。
【図30】第10実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【図31】第11実施例であるアンテナの等価回路図。
【図32】第11実施例であるアンテナの反射特性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係るアンテナの実施例について添付図面を参照して説明する。
【0012】
(第1実施例、図1〜図6参照)
第1実施例であるアンテナ1Aは、図1に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、かつ、キャパシタンス素子C2a,C2bを介してインダクタンス素子L2と並列に接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2a,C2bとからなるLC直列共振回路を含んで構成されている。
【0013】
以上の回路構成からなるアンテナ1Aは、図2に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11iを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極12a,12bが形成され、シート11cにはキャパシタ電極13a,13bとビアホール導体19c,19dが形成され、シート11dにはキャパシタ電極14a,14bとビアホール導体19c,19d,19e,19fが形成されている。
【0014】
さらに、シート11eには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19iが形成されている。シート11fには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11gには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11hには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11iには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0015】
以上のシート11a〜11iを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1aは電極12a,13aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極12b,13bで構成される。また、キャパシタンス素子C2aは電極13a,14aで構成され、キャパシタンス素子C2bは電極13b,14bで構成される。
【0016】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19dを介してキャパシタ電極13bに接続される。インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19fを介してキャパシタ電極14bに接続される。
【0017】
また、給電端子5はビアホール導体19aを介してキャパシタ電極12aと接続され、給電端子6はビアホール導体19bを介してキャパシタ電極12bと接続される。
【0018】
以上の構成からなるアンテナ1Aにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2a,C2bを介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0019】
隣接するインダクタンス素子L1,L2の結合係数kは、k2=M2/(L1×L2)で表され、0.1以上が好ましく、本第1実施例においては、約0.8975である。インダクタンス素子L1,L2のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。また、キャパシタンス素子C1a,C1b,C2a,C2bとインダクタンス素子L1,L2とからなるLC共振回路を集中定数型共振回路として構成しているため、積層タイプとして小型化することができ、他の素子からの影響が受けにくくなる。さらに、給電端子5,6には、キャパシタンス素子C1a,C1bが介在されているため、低周波数のサージをカットすることができ、機器をサージから保護することができる。
【0020】
また、複数のLC直列共振回路を積層基板にて形成したため、携帯電話などの基板に表面実装することのできる小型のアンテナとすることができ、RFID(Radio Frequency Identification)システムに用いられる無線ICデバイスのアンテナとしても使用することができる。
【0021】
図1に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Aにおいては、図3に示す反射特性を得ることができた。図3から明らかなように、中心周波数は760MHzであり、700〜800MHzの広帯域で−10dB以上の反射特性が得られた。なお、このように広帯域な反射特性が得られる理由については、後述の第2実施例において詳述する。
【0022】
また、図4にアンテナ1Aの指向性について示し、図5にX−Y平面での指向性について示す。X軸、Y軸、Z軸は図2及び図4に示す矢印X,Y,Zに対応する。図6はインピーダンスを示すスミスチャートである。
【0023】
(第2実施例、図7〜図10参照)
第2実施例であるアンテナ1Bは、図7に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1は一端がキャパシタンス素子C1を介して給電端子5と接続されるとともに、キャパシタンス素子C2を介してインダクタンス素子L2と接続されている。また、インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ直接に給電端子6と接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とからなるLC直列共振回路を含んで構成されており、第1実施例である前記アンテナ1Aからキャパシタンス素子C1b,C2bを省略したものである。インダクタンス素子L1,L2のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0024】
以上の回路構成からなるアンテナ1Bは、図8に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11iを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極12aとビアホール導体19mが形成され、シート11cにはキャパシタ電極13aとビアホール導体19c,19mが形成され、シート11dにはキャパシタ電極14aとビアホール導体19c,19e,19mが形成されている。
【0025】
さらに、シート11eには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19iが形成されている。シート11fには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11gには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。シート11hには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11iには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0026】
以上のシート11a〜11iを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1は電極12a,13aで構成され、キャパシタンス素子C2は電極13a,14aで構成される。
【0027】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19d、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。また、キャパシタ電極12aはビアホール導体19aを介して給電端子5に接続される。
【0028】
一方、インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ接続用導体パターン15bによって接続されている。
【0029】
以上の構成からなるアンテナ1Bにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2を介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0030】
図7に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Bにおいては、図9に示す反射特性が得られた。
【0031】
以下に、第2実施例であるアンテナ1Bは広帯域な反射特性が得られることについて詳述する。図10を参照して、同図(A)は本アンテナ1Bの回路構成を示し、インダクタンス素子L1、キャパシタンス素子C2、インダクタンス素子L2からなるπ型回路部分をT型回路に変換したものが、同図(B)である。同図(B)において、L1<L2の場合、相互インダクタンスMの大きさによりL1−M≦0となる。ここで、L1−M=0の場合には、同図(B)に示した回路は同図(C)に示す回路に変換できる。なお、L1−M<0の場合には、同図(C)に示す回路におけるキャパシタンスC2がC2'となる。
このように回路変換された同図(C)に示す回路は、キャパシタンスC1と相互インダクタンスMとの直列共振回路と、キャパシタンスC2とインダクタンスL2−Mとの並列共振回路とで構成されることになり、各共振回路の共振周波数の間隔を広げることにより
帯域幅を広げて広帯域化が図れる。この帯域幅は各共振周波数、即ち、L1,L2,Mの値により適宜設定されるものである。
【0032】
(第3実施例、図11〜図13参照)
第3実施例であるアンテナ1Cは、図11に等価回路として示すように、それぞれ二つのLC直列共振回路からなるブロックA,B,Cにて構成されている。各ブロックA,B,Cに含まれるLC直列共振回路は前記第1実施例であるアンテナ1Aと同じ回路構成であり、その詳細な説明は省略する。
【0033】
このアンテナ1Cは、図2に示した積層構造をそれぞれブロックA,B,Cとして図12に示すように並置し、各ブロックA,B,CのLC直列共振回路を共通の給電端子5,6に接続している。
【0034】
以上の構成からなるアンテナ1Cにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2、インダクタンス素子L3,L4及びインダクタンス素子L5,L6を含むLC直列共振回路がそれぞれ共振し、放射素子として機能する。また、それぞれのインダクタンス素子がキャパシタンス素子を介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0035】
即ち、第3実施例であるアンテナ1Cは第1実施例であるアンテナ1Aを3個分並列に接続したもので、図11に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、図13に示すように、三つの周波数帯域T1,T2,T3において−10dB以上の反射特性が得られた。帯域T1はUHFテレビ、帯域T2はGSM、帯域T3はワイヤレスLANに相当する。また、本第3実施例におけるその他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
【0036】
(第4実施例、図14〜図16参照)
第4実施例であるアンテナ1Dは、図14に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2,L3,L4を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、かつ、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2a,C2bを介して並列に接続され、インダクタンス素子L3はキャパシタンス素子C3a,C3bを介して並列に接続され、インダクタンス素子L4はキャパシタンス素子C4a,C4bを介して並列に接続されている。換言すれば、この共振回路は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2a,C2bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L3とキャパシタンス素子C3a,C3bとからなるLC直列共振回路と、インダクタンス素子L4とキャパシタンス素子C4a,C4bとからなるLC直列共振回路を含んで構成されている。
【0037】
以上の回路構成からなるアンテナ1Dは、図15に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート21a〜21jを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート21aには給電端子5,6としても機能するキャパシタ電極22a,22bが形成され、シート21bにはキャパシタ電極23a,23bとビアホール導体29a,29bが形成され、シート21cにはキャパシタ電極24a,24bとビアホール導体29a〜29dが形成されている。シート21dにはキャパシタ電極25a,25bとビアホール導体29a〜29fが形成され、シート21eにはキャパシタ電極26a,26bとビアホール導体29a〜29hが形成されている。
【0038】
さらに、シート21fには接続用導体パターン30a〜30dとビアホール導体28a〜28hが形成されている。シート21gには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。シート21hには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。シート21iには導体パターン31a〜31dとビアホール導体27a〜27hが形成されている。さらに、シート21jには接続用導体パターン32a〜32dが形成されている。
【0039】
以上のシート21a〜21jを積層することにより、導体パターン31a〜31dがそれぞれビアホール導体27e〜27hを介して接続されてインダクタンス素子L1〜L4が形成される。インダクタンス素子L1の一端は、ビアホール導体27e、接続用導体パターン32a、ビアホール導体27a,28a、接続用導体パターン30a及びビアホール導体29aを介してキャパシタ電極23aに接続される。インダクタンス素子L1の他端は、ビアホール導体28e,29bを介してキャパシタ電極23bに接続される。インダクタンス素子L2の一端は、ビアホール導体27f、接続用導体パターン32b、ビアホール導体27b,28b、接続用導体パターン30b及びビアホール導体29cを介してキャパシタ電極24aに接続される。インダクタンス素子L2の他端は、ビアホール導体28f,29dを介してキャパシタ電極24bに接続される。
【0040】
さらに、インダクタンス素子L3の一端は、ビアホール導体27g、接続用導体パターン32c、ビアホール導体27c,28c、接続用導体パターン30c及びビアホール導体29eを介してキャパシタ電極25aに接続される。インダクタンス素子L3の他端は、ビアホール導体28g,29fを介してキャパシタ電極25bに接続される。インダクタンス素子L4の一端は、ビアホール導体27h、接続用導体パターン32d、ビアホール導体27d,28d、接続用導体パターン30d及びビアホール導体29gを介してキャパシタ電極26aに接続される。インダクタンス素子L4の他端は、ビアホール導体28h,29hを介してキャパシタ電極26bに接続される。
【0041】
キャパシタンス素子C1aは電極22a,23aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極22b,23bで構成される。キャパシタンス素子C2aは電極23a,24aで構成され、キャパシタンス素子C2bは電極23b,24bで構成される。また、キャパシタンス素子C3aは電極24a,25aで構成され、キャパシタンス素子C3bは電極24b,25bで構成される。キャパシタンス素子C4aは電極25a,26aで構成され、キャパシタンス素子C4bは電極25b,26bで構成される。
【0042】
以上の構成からなるアンテナ1Dにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1〜L4を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1〜L4が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1〜L4がそれぞれキャパシタンス素子C2a,C2bとC3a,C3bとC4a,C4bを介して結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0043】
隣接するインダクタンス素子L1,L2の結合係数k1、インダクタンス素子L2,L3の結合係数k2、インダクタンス素子L3,L4の結合係数k3は、それぞれ、k12=M2/(L1×L2)、k22=M2/(L2×L3)、k32=M2/(L3×L4)で表され、それぞれ0.1以上が好ましい。本第4実施例においては、k1が約0.7624、k2が約0.5750、k3が約0.6627である。これらのインダクタンス素子L1〜L4のインダクタンス値、並びに、結合係数k1,k2,k3の値は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0044】
図14に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Dにおいては、図16に示すように、極めて広い周波数帯域T4において−6dB以上の反射特性が得られた。また、本第4実施例におけるその他の作用効果は前記第1実施例と同様である。
【0045】
(第5実施例、図17及び図18参照)
第5実施例であるアンテナ1Eは、図17に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1a,C1bを介して給電端子5,6と接続され、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1a,C1bとからなるLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2と直列に接続されてLC直列共振回路を構成している。
【0046】
以上の回路構成からなるアンテナ1Eは、図18に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート41a〜41fを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート41aには給電端子5,6としても機能するキャパシタ電極42a,42bが形成され、シート41bにはキャパシタ電極43a,43bとビアホール導体49a,49bが形成されている。
【0047】
さらに、シート41cには導体パターン44a,45aとビアホール導体49c,49d,49e,49fが形成されている。シート41dには導体パターン44b,45bとビアホール導体49g,49hが形成されている。シート41eにはキャパシタ電極46とビアホール導体49iが形成されている。さらに、シート41fにはキャパシタ電極47が形成されている。
【0048】
以上のシート41a〜41fを積層することにより、導体パターン44a,44bがビアホール導体49dを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、導体パターン45a,45bがビアホール導体49eを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C1aは電極42a,43aで構成され、キャパシタンス素子C1bは電極42b,43bで構成される。また、キャパシタンス素子C2は電極46,47で構成される。
【0049】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体49c,49aを介してキャパシタ電極43aに接続され、その他端がビアホール導体49bを介してキャパシタ電極43bに接続される。インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体49f,49hを介してキャパシタ電極46に接続され、その他端がビアホール導体49g,49iを介してキャパシタ電極47に接続される。
【0050】
以上の構成からなるアンテナ1Eにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2が磁気的に結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0051】
本第5実施例であるアンテナ1Eの作用効果は前記第1実施例であるアンテナ1Aと基本的に同様である。
【0052】
(第6実施例、図19及び図20参照)
第6実施例であるアンテナ1Fは、図19に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、インダクタンス素子L1はキャパシタンス素子C1を介して給電端子5と接続され、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とからなるLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L2はキャパシタンス素子C2と直列に接続されてLC直列共振回路を構成している。また、インダクタンス素子L3は、一端が給電端子6と接続され、他端がインダクタンス素子L1,L2にそれぞれ接続されている。インダクタンス素子L1,L2,L3のインダクタンス値、並びに、インダクタンス素子L1とインダクタンス素子L2の磁気結合の度合(相互インダクタンスM)は、所望する帯域幅が得られるように設定されるものである。
【0053】
以上の回路構成からなるアンテナ1Fは、図20に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート51a〜51hを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート51aには給電端子5,6とビアホール導体59a,59bが形成されている。シート51bにはキャパシタ電極52aと導体パターン56aとビアホール導体59cが形成されている。シート51cにはキャパシタ電極52bと導体パターン56bとビアホール導体59c,59dが形成されている。
【0054】
さらに、シート51dには導体パターン53,56cとビアホール導体59c,59eが形成されている。シート51eには導体パターン56dとビアホール導体59c,59f,59gが形成されている。シート51fにはキャパシタ電極54aと導体パターン56eとビアホール導体59c,59gが形成されている。シート51gにはキャパシタ電極54bと導体パターン56fとビアホール導体59c,59g,59hが形成されている。さらに、シート51hには導体パターン55が形成され、該導体パターン55の他端側の端部は導体パターン56gとされている。
【0055】
以上のシート51a〜51hを積層することにより、導体パターン53がインダクタンス素子L1として構成され、導体パターン55がインダクタンス素子L2として構成される。また、導体パターン56a〜56gがビアホール導体59cを介して接続されてインダクタンス素子L3を形成する。さらに、キャパシタンス素子C1がキャパシタ電極52a,52bで構成され、キャパシタンス素子C2がキャパシタ電極54a,54bで構成される。
【0056】
インダクタンス素子L1は、その一端がビアホール導体59dを介してキャパシタ電極52bに接続され、その他端がビアホール導体59e,59gを介してインダクタンス素子L2の他端に接続される。インダクタンス素子L2は、その一端がビアホール導体59hを介してキャパシタ電極54bに接続され、その他端は前述のようにビアホール導体59g,59eを介してインダクタンス素子L1の他端に接続されるとともにインダクタンス素子L3の一端(導体パターン56g)に接続されている。インダクタンス素子L3はその他端がビアホール導体59bを介して給電端子6に接続される。また、キャパシタ電極52aはビアホール導体59aを介して給電端子5に接続される。
【0057】
以上の構成からなるアンテナ1Fにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2が磁気的に結合することで、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0058】
本アンテナ1Fにおいては、インダクタンス素子L1,L2の磁気結合が小さくても素子L1,L2が直結されているために広帯域を確保することができる。さらに、インダクタンス素子L1,L2の他端がインダクタンス素子L3を介して給電端子6に接続されているため、インダクタンス素子L1,L2の結合係数kを高めることができる。また、インダクタンス素子L3を付加することにより、インダクタンス素子L1,L2の結合係数が小さくても広帯域化を実現できる。第6実施例であるアンテナ1Fの他の作用効果は前記第1実施例であるアンテナ1Aと基本的に同様である。
【0059】
(LC共振回路を備えた他の共振回路、図21参照)
アンテナを構成する共振回路は前記第1〜第6実施例以外にも、例えば、図21(A)〜(E)に等価回路で示す種々の形態を採用することができ、小型で広帯域な特性を得ることができる。
【0060】
図21(A)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、インダクタンス素子L1の一端を給電端子5に接続し、キャパシタンス素子C1,C2を給電端子6に接続したものである。
【0061】
図21(B)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1の一端を給電端子5に接続し、インダクタンス素子L1,L2の間にキャパシタンス素子C2を接続し、キャパシタンス素子C1とインダクタンス素子L2の他端を給電端子6に接続したものである。
【0062】
図21(C)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、キャパシタンス素子C1を給電端子5に接続し、キャパシタンス素子C2とインダクタンス素子L1の他端を給電端子6に接続したものである。
【0063】
図21(D)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2の一端をキャパシタンス素子C1を介して接続し、他端を直結したものである。インダクタンス素子L1の一端が給電端子5に接続され、インダクタンス素子L1,L2の他端が給電端子6に接続されている。
【0064】
図21(E)は、インダクタンス素子L1とキャパシタンス素子C1とで、及び、インダクタンス素子L2とキャパシタンス素子C2とで、それぞれLC直列共振回路を構成し、インダクタンス素子L1,L2を直結するとともに、インダクタンス素子L1の一端とキャパシタンス素子C1の接続点を給電端子5に接続し、インダクタンス素子L2の他端とキャパシタンス素子C1の接続点を給電端子6に接続したものである。
【0065】
(第7実施例、図22及び図23参照)
第7実施例であるアンテナ1Gは、図22に等価回路として示すように、互いに異なるインダクタンス値を有し、かつ、互いに同相で磁気結合(相互インダクタンスMで示す)されているインダクタンス素子L1,L2を備え、該インダクタンス素子L1,L2は給電端子5,6に互いに並列に接続されている。
【0066】
以上の回路構成からなるアンテナ1Gにおいて、インダクタンス素子L1,L2は互いに異なるインダクタンス値を有し、同相で磁気結合している。そして、インダクタンス素子L1,L2は磁気的な結合により、L1−L2=Mの相互インダクタンスが発生し、本発明者のシミュレーションによると、アンテナ1Gは図23に示す広帯域の反射特性を有する放射素子として機能する。
【0067】
なお、二つのインダクタンス素子L1,L2のみでマッチング回路を構成すると、給電端子5,6に接続される機器のインピーダンスやリアクタンスは制約を受けることになるが、図23に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0068】
(第8実施例、図24及び図25参照)
第8実施例であるアンテナ1Hは、図24に等価回路として示すように、前記第7実施例に示したインダクタンス素子L1,L2に対して、インダクタンス素子L1の一端と給電端子5との間にキャパシタンス素子C1を接続したものである。
【0069】
以上の回路構成からなるアンテナ1Hにおいても、互いに異なるインダクタンス値を有するインダクタンス素子L1,L2の磁気的な結合により、相互インダクタンスMが発生し、本発明者のシミュレーションによると、図25に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0070】
(第9実施例、図26及び図27参照)
第9実施例であるアンテナ1Iは、図26に等価回路として示すように、前記第7実施例に示したインダクタンス素子L1,L2に対して、それぞれの一端と給電端子5との間にキャパシタンス素子C1,C2を接続したものである。
【0071】
以上の回路構成からなるアンテナ1Iにおいても、互いに異なるインダクタンス値を有するインダクタンス素子L1,L2の磁気的な結合により、相互インダクタンスMが発生し、本発明者のシミュレーションによると、図27に示す広帯域の反射特性を得ることができる。
【0072】
(第10実施例、図28〜図30参照)
第10実施例であるアンテナ1Jは、図28に等価回路として示すように、前記第2実施例に示したインダクタンス素子L1にいわゆる中間タップを設け、該中間タップに給電端子5を接続したもので、キャパシタンス素子C1は省略されている。
【0073】
その作用効果は第2実施例と同じであるが、給電端子5,6間のインピーダンスに合わせて中間タップを設けることにより、電磁界エネルギーを低下させることなく、空間のインピーダンスと給電端子5,6間に接続される機器のインピーダンスとの整合を取ることができる。ここで、インダクタンス素子L1はインダクタンスL1a,L1bに分割されることになる。
【0074】
以上の回路構成からなるアンテナ1Jは、図29に一例として示す積層構造で構成され、誘電体からなるセラミックシート11a〜11hを積層、圧着、焼成したものである。即ち、シート11aには給電端子5,6とビアホール導体19a,19bが形成され、シート11bにはキャパシタ電極13aと接続用導体パターン15dとビアホール導体19c,19m,19nが形成され、シート11cにはキャパシタ電極14aとビアホール導体19c,19e,19m,19nが形成されている。
【0075】
さらに、シート11dには接続用導体パターン15a,15b,15cとビアホール導体19d,19g,19h,19i,19nが形成されている。シート11eには導体パターン16a,17aとビアホール導体19g,19i,19j,19k,19nが形成されている。シート11fには導体パターン16b,17bとビアホール導体19g,19i,19j,19k,19nが形成されている。シート11gには導体パターン16c,17cとビアホール導体19g,19i,19j,19kが形成されている。さらに、シート11hには導体パターン16d,17dが形成されている。
【0076】
以上のシート11a〜11hを積層することにより、導体パターン16a〜16dがビアホール導体19jを介して接続されてインダクタンス素子L1が形成され、かつ、導体パターン16cの分岐部16c'が中間タップとして機能し、該分岐部16c'がビアホール導体19nを介して、さらに、接続用導体パターン15d及びビアホール導体19aを介して給電端子5に接続される。また、導体パターン17a〜17dがビアホール導体19kを介して接続されてインダクタンス素子L2が形成される。キャパシタンス素子C2は電極13a,14aで構成される。
【0077】
そして、インダクタンス素子L1はその一端がビアホール導体19g、接続用導体パターン15c、ビアホール導体19cを介してキャパシタ電極13aに接続され、その他端がビアホール導体19d、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。
【0078】
一方、インダクタンス素子L2はその一端がビアホール導体19i、接続用導体パターン15a、ビアホール導体19eを介してキャパシタ電極14aに接続され、その他端がビアホール導体19h、接続用導体パターン15b、ビアホール導体19m,19bを介して給電端子6に接続される。インダクタンス素子L1,L2の他端はそれぞれ接続用導体パターン15bによって接続されている。
【0079】
以上の構成からなるアンテナ1Jにおいては、互いに磁気的に結合しているインダクタンス素子L1,L2を含むLC直列共振回路が共振し、インダクタンス素子L1,L2が放射素子として機能する。また、インダクタンス素子L1,L2がキャパシタンス素子C2を介して結合し、かつ、分岐部16c'(中間タップ)を設けることで、給電端子5,
6に接続される機器のインピーダンス(通常50Ω)と空間のインピーダンス(377Ω)とのマッチング回路として機能する。
【0080】
図28に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Jにおいては、図30に示す反射特性が得られた。
【0081】
(第11実施例、図31及び図32参照)
第11実施例であるアンテナ1Kは、図31に等価回路として示すように、前記第10実施例に示したアンテナ1Jにキャパシタンス素子C1を追加したものである。その作用効果は第10実施例と同様であり、給電端子5,6間のインピーダンスに合わせて中間タップを設けることにより、電磁界エネルギーを低下させることなく、空間のインピーダンスと給電端子5,6間に接続される機器のインピーダンスとの整合を取ることができる。第10実施例に対してキャパシタンス素子C1を追加することで、給電端子5,6間とのインピーダンス整合が取りやすくなる。
【0082】
以上の回路構成からなるアンテナ1Kは、基本的には図8及び図29に示した積層構造と同様の構成であり、詳細は省略する。また、図31に示した等価回路に基づいて本発明者がシミュレーションした結果、アンテナ1Kにおいては、図32に示す反射特性が得られた。
【0083】
前記第10及び第11実施例のように、中間タップを設けることで給電端子5,6とのインピーダンス整合が取りやすくなるとリターンが大きくなり、それに応じて帯域が広くなる。つまり、インピーダンス整合の度合が変わると、帯域幅が変わる。従って、所望の帯域を得るために、各インダクタンス素子の定数を設定する際には、インピーダンス整合の度合も考慮する必要がある。
【0084】
(他の実施例)
なお、本発明に係るアンテナは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0085】
例えば、前記各実施例ではLC共振回路を集中定数型共振回路で構成したが、分布定数型共振回路で構成してもよい。また、このLC共振回路を内蔵する積層体は誘電体のみならず絶縁体であってもよく、材料としてはセラミックや樹脂などを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上のように、本発明は、アンテナに有用であり、特に、小型で広帯域を確保できる点で優れている。
【符号の説明】
【0087】
1E…アンテナ
L1,L2…インダクタンス素子
C1a,C1b,C2…キャパシタンス素子
5,6…給電端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの給電端子と、第1インダクタンス素子と、第2インダクタンス素子と、を備えたアンテナであって、
第1インダクタンス素子はその両端が前記給電端子にそれぞれ接続されており、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は電波の放射に使用されること、
を特徴とするアンテナ。
【請求項2】
さらに、少なくとも二つのキャパシタンス素子を備え、該キャパシタンス素子の一方と第1インダクタンス素子とで共振回路を構成し、他方と第2インダクタンス素子とでいま一つの共振回路を構成していること、を特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【請求項1】
二つの給電端子と、第1インダクタンス素子と、第2インダクタンス素子と、を備えたアンテナであって、
第1インダクタンス素子はその両端が前記給電端子にそれぞれ接続されており、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は、直接的に接続されておらず、互いに磁気的に結合しており、かつ、互いに異なるインダクタンス値を有し、
第1インダクタンス素子と第2インダクタンス素子は電波の放射に使用されること、
を特徴とするアンテナ。
【請求項2】
さらに、少なくとも二つのキャパシタンス素子を備え、該キャパシタンス素子の一方と第1インダクタンス素子とで共振回路を構成し、他方と第2インダクタンス素子とでいま一つの共振回路を構成していること、を特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2013−48474(P2013−48474A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237428(P2012−237428)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2009−161310(P2009−161310)の分割
【原出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2009−161310(P2009−161310)の分割
【原出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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