説明

アンドロゲン受容体モジュレーターとしてのフッ化4−アザステロイド誘導体

【課題】新規選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの提供。
【解決手段】次式(I)


[式中、nは0、1または2であり、a−bは、CF=CH、CHFCH2またはCF2CH2を表し、R1は水素、ヒドロキシメチルまたはC1〜3アルキルであり、ここで、アルキルは非置換であるか、または1から7個のフッ素原子で置換されており、R2は水素またはC1〜4アルキルであり、R3はC1〜4アルキル、および特定の複素環を示す]で表される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフッ化4−アザステロイド誘導体、その合成およびアンドロゲン受容体モジュレーターとしてのその使用に関する。より詳しくは、本発明の化合物は、組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターであり、したがって、アンドロゲン欠乏によって引き起こされるか、アンドロゲン投与によって寛解され得る症状、例えば、骨粗鬆症、歯周病、骨折、虚弱およびサルコペニアの治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、ステロイド/チロイドホルモン核受容体のスーパーファミリーに属し、その他のメンバーとしては、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、糖質コルチコイド受容体(GR)および鉱質コルチコイド受容体(MR)が挙げられる。ARは、体内の多数の組織で発現され、それによって内生アンドロゲンリガンド、例えば、テストステロン(T)およびジヒドロテストステロン(DHT)の生理学的ならびに病態生理学的作用が発現される受容体である。構造的には、ARは、3つの主要な機能性ドメイン:リガンド結合ドメイン(LBD)、DNA結合ドメインおよびアミノ末端ドメインからなる。ARと結合し、内生ARリガンドの作用を模倣する化合物は、ARアゴニストと呼ばれ、内生ARリガンドの作用を阻害する化合物は、ARアンタゴニストと呼ばれる。
【0003】
ARとのアンドロゲンリガンドの結合により、リガンド/受容体複合体が提供され、これが、細胞の核内への輸送後、細胞の核に存在する標的遺伝子または遺伝子類のプロモーターまたはエンハンサー領域内の、特異的な調節DNA配列(アンドロゲン応答エレメントまたはAREと呼ばれる)と結合する。補助因子と呼ばれる他のタンパク質が次に補充され、これが受容体のアミノ末端ドメインまたはLBDと結合して遺伝子転写およびその後の翻訳をもたらし、その遺伝子または遺伝子類によってコードされるタンパク質が生じる。
【0004】
アンドロゲン療法は、種々の男性疾患、例えば、生殖疾患および原発性または続発性の男性の性腺機能低下症を治療するために臨床で用いられている。さらに、いくつかの天然または合成ARアゴニストが、筋骨格疾患、例えば、骨疾患、造血疾患、神経筋疾患、リウマチ学的疾患、萎縮病の治療について、およびホルモン置換療法(HRT)、例えば、女性のアンドロゲン欠乏について臨床試験されている。さらに、ARアンタゴニスト、例えば、フルタミドおよびビカルタミドは前立腺癌を治療するために使用されている。したがって、ARの機能を、組織選択的に活性化(「アゴナイズ」)でき、負のアンドロゲン特性、例えば、男性化および循環器病をもたらし得るアテローム生成的脂質特性を伴わずに、アンドロゲンの所望の有益な骨および筋同化作用を与える可能性がある利用可能な化合物を得ることは有用であろう。
【0005】
骨形成におけるアンドロゲンの役割は実証されている。例えば、タンパク同化性ステロイド、例えば、ナンドロロンデカノエートまたはスタノゾロールは、閉経後の女性において骨量を増加させることがわかっている。閉経後骨粗鬆症における骨に対するアンドロゲンの有益な作用が、テストステロンとエストロゲンの併用投与を用いる最近の研究で実証された[Hofbauerら、「Androgen effects on bone metabolism:recent progress and controversies」、Eur.J.Endocrinol.140:271〜286頁(1999)]。併用治療は、エストロゲン単独での治療と比べて、腰および臀部領域の骨塩量(BMD)の上昇速度および上昇度を大幅に増加させた。さらに、酢酸メドロキシプロゲステロンではなく、アンドロゲン作用のあるプロゲスチン(ノルエチンドロンなど)を組み込んだエストロゲン−プロゲスチンの組合せは、臀部BMDのより大きな改善をもたらした。これら結果は、より大きな、2年の、二重盲検比較試験で最近確認されており、これでは、経口抱合エストロゲン(CEE)とメチルテストステロンの組合せが、脊椎および臀部の骨量の増加を促進するのに有効であると実証され、一方で抱合エストロゲン療法単独も骨減少を防いだ(「A two−year,double−blind comparison of estrogen−androgen and conjugated estrogens in surgically menopausal women:Effects on bone mineral density,symptoms and lipid profiles」、J.Reprod.Med.44:1012〜1020頁(1999)]。閉経後の女性におけるアンドロゲンの有益な作用にもかかわらず、アンドロゲンの使用は、アンドロゲンの望ましくない男性化作用および代謝作用のためにわずかであった。Wattsらのデータは、CEEおよびメチルテストステロンで治療された女性ではほてりが減少するが、これらの女性のうち30%がにきびと顔面の毛の大幅な増加、現下のアンドロゲン薬物療法すべての合併症を被ったということを証明している[Wattsら、「Comparison of oral estrogens and estrogens plus androgen on bone mineral density,menopausal symptoms,and lipid−lipoprotein profiles in surgical menopause」、Obstet.Gynecol.85、529〜537頁(1995)]。さらに、CEEにメチルテストステロンを加えることによって、他の研究でも見られたように、HDLレベルが著しく低下した。したがって、非組織選択的ARアゴニストは、循環器病の危険を高め得る。したがって、現下のアンドロゲン療法の男性化の可能性および脂質プロフィールに対する副作用のために、骨のための組織選択的アンドロゲン受容体アゴニストの開発は当然のことである。骨粗鬆症の治療における非選択的タンパク同化性ステロイドの考察については、Osteoporosis、Blackwell Science、第8章、196〜227頁(1994)のJ.A.Kanis、「Other agents for generalized osteoporosis」を参照。
【0006】
アンドロゲンが、男性では骨代謝において重要な役割を果たすということは十分に確証されており、これは女性におけるエストロゲンの役割と似ている[Andersonら、「Androgen supplementation in eugonadal men with osteoporosis−effects of six months of treatment on bone mineral density and cardiovascular risk factors」、Bone、18:171〜177頁(1996)]。骨粗鬆症が確立された、生殖器正常の男性においてでさえ、テストステロン治療に対する治療応答によって、アンドロゲンは重要な骨同化作用を発揮するというさらなる証拠が示されている。平均腰部BMDは、2週間に1度筋内投与された250mgのテストステロンエステルに応じて5〜6カ月で0.799gm/cmから0.839g/cmへ増加した。アンドロゲン抑制療法(ADT)を受けるステージDの前立腺癌(転移性)の男性では、アンドロゲン欠乏症の共通のシナリオが起こる。内分泌睾丸摘出術は長期作用性GnRHアゴニストによって達成され、アンドロゲン受容体遮断はフルタミド、ニルタミド、ビカルタミドまたはRU58841(ARアンタゴニスト)を用いて実施される。これらの男性は、ホルモン抑制に応じて、ほてり、相当量の骨減少、脱力感、疲労に苦しんだ。ステージDの前立腺癌の男性についての最近の試験的研究では、ADTを1年より長く受けた男性では、ADTを受けなかった患者よりも、骨減少症(50%対38%)および骨粗鬆症(38%対25%)がより多く発生していた[Weiら、「Androgen deprivation therapy for prostate cancer results in significant loss of bone density」、Urology、54:607〜611頁(1999)]。ADTを受けた男性では腰椎BMDが大幅に低下した。したがって、骨粗鬆症のための組織選択的ARアゴニストの使用の他に、骨および筋肉におけるアンタゴニスト作用を失っている、前立腺における組織選択的ARアンタゴニストが、単独でまたは従来のADTの補助剤として、例えば、GnRHアゴニスト/アンタゴニストなどとともに前立腺癌の治療のための有用な薬剤であり得る[A.Stocheら、J.Clin.Endocrin.Metab.86:2787〜91頁(2001)も参照]。組織選択的ARアンタゴニストはまた、閉経後の女性における多嚢胞性卵巣症候群の治療において有用性があり得る[C.A.Eaglesonら「Polycystic ovarian syndrome:evidence that flutamide restores sensitivity of the gnadotropin−releasing hormone pulse generator to inhibition by estradiol and progesterone」、J.Clin.Endocrinol.Metab.、85:4047〜4052頁(2000)およびE.Diamanti−Kandarakis、「The Effect of a Pure Antiandrogen Receptor Blocker、Flutamide、on the Lipid Profile in the Polycystic Ovary Syndrome」、Int.J.Endocrinol.Metab.、83:2699〜2705頁(1998)参照]。
【0007】
男性および女性双方において、骨減少症および骨粗鬆症を治療するためのより有効な薬剤が必要である。骨粗鬆症は、骨再吸収(破壊)と骨形成間の不均衡に起因する骨減少を特徴とし、これは40歳代で始まり、年に約1〜4%の割合で一生を通じて継続する[Eastell、「Treatment of postmenopausal osteoporosis」、New Eng.J.Med.338:736頁、(1998)]。米国では、現在、約2千万人の人々が、骨粗鬆症による椎骨の検出可能な骨折を抱えている。さらに、年に約250,000件の骨粗鬆症による股関節骨折があり、これはこの2年の間の12%〜20%の死亡率と関連しており、一方で、30%の患者が骨折後の養護ホームでの介護を必要とし、多くの人が二度と十分に歩行できるようにはならない。閉経後の女性では、閉経に続いてすぐに、エストロゲン欠乏が骨再吸収の増加を導き、これが年に約5%という椎骨の骨の減少をもたらす。したがって、この症状の第1選択治療/予防は、ビスホスホネート、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)およびカルシトニンによる骨再吸収の阻害である。しかし、骨再吸収の阻害は、すでに相当量の骨を失ってしまった患者の骨量を回復するのには十分ではない。ビスホスホネート治療によって得られた脊椎BMDの増加は、アレンドロネートでの治療の7年後には11%に達することもある。さらに、骨代謝回転の速度は部位ごとに異なるので(椎骨の海綿骨では長骨の皮質よりも高い)、骨再吸収阻害剤は、股関節BMDの増加および股関節骨折の予防にはあまり有効でない。したがって、骨膜骨形成を刺激することによって長骨の皮質骨形成および骨量を増加させる増加させる骨同化薬が、骨粗鬆症の治療における、特に股関節骨折の危険性の高い患者にとっての、まだ対処されていない必要性に対応するであろう。骨同化薬はまた、海綿骨の包膜を標的とする骨再吸収阻害剤を補完し、生体力学的に有利な骨構造をもたらす(J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press、1996の、Schmidtら、「Anabolic steroid:Steroid effects on bone in women」)。心血管系に対する有害な作用が減少し、男性化の可能性が制限された組織選択的ARアゴニストは、女性の骨粗鬆症を予防および/または治療するための単独療法として有用であり得る。さらに、骨および筋肉において骨同化特性を有するが、前立腺および性的補助組織においては活性が低下している化合物は、男性、特に高齢の男性における男性骨粗鬆症および骨減少症の予防および/または治療のために有用であり得る。
【0008】
選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、特定の造血疾患を治療するのに有用であり得る。アンドロゲンは、腎臓肥大およびエリスロポエチン(EPO)産生を刺激することが知られている。組換えヒトEPO導入に先立って、慢性腎不全によって引き起こされた貧血を治療するためにアンドロゲンが用いられた。さらに、薬理学的用量のアンドロゲンが、重症でない再生不良性貧血の貧血患者において、および骨髄異形成症候群の貧血でない患者において、血清EPOレベルを高めることがわかった。貧血の治療モダリティーには、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターによって提供され得るような選択的作用必要である。
【0009】
さらに、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、肥満症を治療するための補助剤として臨床的価値があり得る。体脂肪を低下させるためのこのアプローチは、アンドロゲン投与が肥満症の男性において皮下および腹部内臓脂肪を減少させたという公開された知見によって支持される[J.C.Lovejoyら、「Oral anabolic steroid treatment,but not parenteral androgen treatment,decreases abdominal fat in obese,older men」、Int.J.Obesity、19:614〜624頁(1995)]。したがって、前立腺に対するアンドロゲン性作用を欠いているSARMは、肥満症の男性の治療において有益であり得る。別の研究では、アンドロゲン投与が、肥満症の閉経後女性において皮下腹部脂肪の減少をもたらした[J.C.Lovejoyら、「Exogenous Androgens Influence Body Composition and Regional Body Fat Distribution in Obese Postmenopausal Women−A Clinical Research Center Study」、J.Clin.Endocrinol.Metab.、81:2198〜2203頁(1996)]。後者の研究では、ナンドロロンデカノエート、弱いアンドロゲンおよび同化剤が、痩せるダイエットを行っている肥満症の閉経後女性において除脂肪体重および安静代謝率を高めることがわかった。
【0010】
アンドロゲン受容体調節特性を有する非ステロイド性化合物は、すべてLigand Pharmaceuticalsに譲渡された、米国特許第5,688,808号、同5,696,130号、同6,017,924号、同6,093,821号、WO01/16139(2001年3月8日に公開された)およびWO01/16108(2001年3月8日に公開された)に、およびKaken Pharm.Co.に譲渡されたWO01/27086に開示されている。選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの開発の理論的根拠のさらなる背景は、L.ZhiおよびE.Martinborough in Ann.Rep.Med.Chem.36:169〜180頁(2001)に見られる。非ステロイド性SARMは、J.P.Edwards、「New Nonsteroidal Androgen Receptor Modulators Based on 4−(Trifluoromethyl)−2(1H)−Pyrrolidino[3,2−g]quinolinone」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、8:745〜750頁(1998)およびL.Zhiら、「Switching Androgen Receptor Antagonists to Agonists by Modifying C−ring Sbstituents on Piperidino[3,4−g]quinolinone」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、9:1009〜1012頁(1999)に開示されている。
【0011】
アンドロゲン置換療法の正の応答を誘発できるが、ARの非組織選択的アゴニストの望ましくない副作用は伴わない、より有効な薬剤の臨床技術が必要である。必要とされるものは、アンドロゲン置換療法と同様の正の応答をもたらすことができるが、望ましくない副作用は伴わない化合物である。身体の異なる組織に対して選択的作用を発揮するアンドロゲン性化合物も必要である。本発明では、本発明者らは、ARのリガンド媒介性活性化、例えば、(i)N−C相互作用、(ii)転写抑制および(iii)転写活性化をプロファイリングする一連のin vitro細胞アッセイを用いて選択的アンドロゲン受容体モジュレーターSARMとして機能する化合物を同定した。前記の方法で同定された本発明のSARM化合物は、in vivoで組織選択的ARアゴニズム、すなわち、骨におけるアゴニズム(骨粗鬆症の齧歯類モデルにおける骨形成の促進)および前立腺におけるアンタゴニズム(去勢した齧歯類における前立腺成長に対する最小作用およびARアゴニストによって誘導される前立腺成長のアンタゴニズム)を示す。
【0012】
SARMとして同定された本発明の化合物は、アンドロゲン投与によって寛解され得る、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病または症状を治療するのに有用である。かかる化合物は、単独療法として、または骨再吸収の阻害剤、例えば、ビスホスホネート、エストロゲン、SERM、カテプシンK阻害剤、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カルシトニンおよびプロトンポンプ阻害剤との組合せで、女性および男性における骨粗鬆症の治療にとって理想的である。それらはまた、骨形成を促進する薬剤、例えば、パラチロイドホルモンまたはその類似体と併用できる。本発明のSARM化合物はまた、前立腺の疾病、例えば、前立腺癌および前立腺肥大症(BPH)の治療に使用できる。さらに、本発明の化合物は、皮膚(にきびや顔面の毛の成長)に対しては最小の作用しか示さず、多毛症の治療にも有用でありうる。さらに、本発明の化合物は筋成長を促進することができ、サルコペニアや虚弱の治療にも有用であり得る。それらはまた、肥満症の治療において皮下および腹部内蔵脂肪を減少させるために使用できる。さらに、本発明の化合物は、中枢神経系においてアンドロゲンアゴニズムを示すことができ、特に閉経後の女性において、血管運動性徴候(ほてり)を治療するのに、またエネルギーや性欲を高めるのに有用であり得る。本発明の化合物は、骨を再構築するその能力のために、前立腺癌の治療において、単独または従来のGnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法の補助剤としてのいずれかで、または前立腺においてアンドロゲンをアンタゴナイズし、骨格系では骨枯渇を最小にするその能力のために抗アンドロゲン療法の代わりとして使用できる。さらに、本発明の化合物は、骨を再構築するその能力のために、膵癌の治療において、抗アンドロゲンでの治療の補助剤として、またはその抗アンドロゲン性のために、骨節約型である従来の抗アンドロゲンを上回る利点を提供する単独療法として使用できる。さらに、本発明の化合物は、血液細胞、例えば、赤血球および血小板の数を増加することができ、再生不良性貧血などの造血疾患の治療に有用であり得る。最後に、本発明の化合物は、脂質代謝に対しては最小の作用しか持たない。したがって、前記のその組織選択的アンドロゲン受容体アゴニズムを考慮すると、本発明の化合物は性腺機能が低下した(アンドロゲンが欠乏した)男性におけるホルモン置換療法にとって理想的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,688,808号
【特許文献2】米国特許第5,696,130号
【特許文献3】米国特許第6,017,924号
【特許文献4】米国特許第6,093,821号
【特許文献5】国際公開第01/16139号
【特許文献6】国際公開第01/16108号
【特許文献7】国際公開第01/27086号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Hofbauerら、「Androgen effects on bone metabolism:recent progress and controversies」、Eur.J.Endocrinol.140:271〜286頁(1999)
【非特許文献2】A two−year,double−blind comparison of estrogen−androgen and conjugated estrogens in surgically menopausal women:Effects on bone mineral density,symptoms and lipid profiles」、J.Reprod.Med.44:1012〜1020頁(1999)
【非特許文献3】Wattsら、「Comparison of oral estrogens and estrogens plus androgen on bone mineral density,menopausal symptoms,and lipid−lipoprotein profiles in surgical menopause」、Obstet.Gynecol.85、529〜537頁(1995)
【非特許文献4】Osteoporosis、Blackwell Science、第8章、196〜227頁(1994)
【非特許文献5】Andersonら、「Androgen supplementation in eugonadal men with osteoporosis−effects of six months of treatment on bone mineral density and cardiovascular risk factors」、Bone、18:171〜177頁(1996)
【非特許文献6】Weiら、「Androgen deprivation therapy for prostate cancer results in significant loss of bone density」、Urology、54:607〜611頁(1999)
【非特許文献7】A.Stocheら、J.Clin.Endocrin.Metab.86:2787〜91頁(2001)
【非特許文献8】C.A.Eaglesonら「Polycystic ovarian syndrome:evidence that flutamide restores sensitivity of the gnadotropin−releasing hormone pulse generator to inhibition by estradiol and progesterone」、J.Clin.Endocrinol.Metab.、85:4047〜4052頁(2000)
【非特許文献9】E.Diamanti−Kandarakis、「The Effect of a Pure Antiandrogen Receptor Blocker、Flutamide、on the Lipid Profile in the Polycystic Ovary Syndrome」、Int.J.Endocrinol.Metab.、83:2699〜2705頁(1998)
【非特許文献10】Eastell、「Treatment of postmenopausal osteoporosis」、New Eng.J.Med.338:736頁、(1998)
【非特許文献11】J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press、1996の、Schmidtら、「Anabolic steroid:Steroid effects on bone in women」
【非特許文献12】J.C.Lovejoyら、「Oral anabolic steroid treatment,but not parenteral androgen treatment,decreases abdominal fat in obese,older men」、Int.J.Obesity、19:614〜624頁(1995)
【非特許文献13】J.C.Lovejoyら、「Exogenous Androgens Influence Body Composition and Regional Body Fat Distribution in Obese Postmenopausal Women−A Clinical Research Center Study」、J.Clin.Endocrinol.Metab.、81:2198〜2203頁(1996)
【非特許文献14】L.ZhiおよびE.Martinborough in Ann.Rep.Med.Chem.36:169〜180頁(2001)
【非特許文献15】J.P.Edwards、「New Nonsteroidal Androgen Receptor Modulators Based on 4−(Trifluoromethyl)−2(1H)−Pyrrolidino[3,2−g]quinolinone」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、8:745〜750頁(1998)
【非特許文献16】L.Zhiら、「Switching Androgen Receptor Antagonists to Agonists by Modifying C−ring Sbstituents on Piperidino[3,4−g]quinolinone」、Bioorg.Med.Chem.Lett.、9:1009〜1012頁(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとして有用であるフッ化4−アザステロイド誘導体を提供することである。
【0016】
本発明のもう1つの目的は、本発明のフッ化4−アザステロイド誘導体を、製薬上許容される担体と関連して含む薬剤組成物を提供することである。
【0017】
本発明のもう1つの目的は、選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとして使用するためのフッ化4−アザステロイド誘導体を含む薬剤組成物を提供することである。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、アンドロゲン投与によって寛解され得る、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病または症状を治療する方法を提供することである。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、アンドロゲン投与によって寛解され得る、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病または症状を、他の薬剤と組み合わせて治療する方法を提供することである。
【0020】
本発明のもう1つの目的は、アンドロゲン投与によって寛解され得る、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病または症状の治療用薬物として使用するためのフッ化4−アザステロイド誘導体およびその薬剤組成物を提供することである。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、アンドロゲン投与によって寛解され得る、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病または症状の治療用薬物を製造するためのフッ化4−アザステロイド誘導体およびその薬剤組成物を提供することである。
【0022】
これらおよび他の目的は以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、構造式Iで表される化合物
【0024】
【化1】

またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体に関する[式中、
nは0、1または2であり、
a−bは、CF=CH、CHFCHまたはCFCHを表し、
は水素、ヒドロキシメチルまたはC1〜3アルキルであり、ここで、アルキルは非置換であるか、または1から7個のフッ素原子で置換されており、
は水素またはC1〜4アルキルであり、

1〜4アルキル、
(CH−シクロヘテロアルキル、および
(CH−アリールから選択され、ここで、アリールは以下から選択され、
(1)フェニル、
(2)ナフチル、
(3)ベンズイミダゾリル、
(4)ベンゾフラニル、
(5)ベンゾチオフェニル、
(6)ベンゾキサゾリル、
(7)ベンゾチアゾリル、
(8)ベンゾジヒドロフラニル、
(9)1,3−ベンゾジオキソリル、
(10)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、
(11)インドリル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)フラニル、
(15)チエニル、
(16)イミダゾリル、
(17)オキサゾリル、
(18)チアゾリル、
(19)イソキサゾリル、
(20)イソチアゾリル、
(21)ピラゾリル、
(22)ピロリル、
(23)ピリジル、
(24)ピリミジル、
(25)ピラジニル、
(26)チアジアゾリル、
(27)オキサジアゾリル、
(28)トリアゾリル、
(29)テトラゾリル、および
(30)インダニル
ここで、アルキル基またはシクロヘテロアルキル基は、非置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、項目(1)〜(30)で定義されるアリール基は非置換であるか、またはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロ−C1〜4アルキル、ペルフルオロ−C1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1〜3個の基で置換されており、(CH中のメチレン(CH)炭素原子はいずれも非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、または2つの置換基は、同一メチレン(CH)基にある場合それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し、
あるいは、RおよびRは一緒になって、N、OおよびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環系と縮合している5または6員の飽和環を形成する]。
【0025】
これらの化合物は、アンドロゲン受容体アゴニストとして有効であり、選択的アンドロゲン受容体アゴニスト(SARM)として特に有効である。したがって、それらは、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる、すなわち、アンドロゲン投与によって寛解され得る症状の治療にとって有用である。
【0026】
本発明はまた、本発明の化合物と、製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物に関する。
【0027】
本発明はまた、本発明の化合物および薬剤組成物を投与することによって、それを必要とする哺乳類において、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる、すなわち、アンドロゲン投与によって寛解され得る症状を治療する方法に関する。
【0028】
本発明はまた、本発明の化合物および薬剤組成物を、単独または治療上有効な量のこれらの症状を治療するのに有用であると知られている別の薬剤と組み合わせて投与することによって、骨粗鬆症、骨減少症、糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷、サルコペニア、虚弱、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性における閉経後徴候、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血およびその他の造血疾患、関節炎症状、例えば、炎症性関節炎および関節修復など、HIV消耗、前立腺癌、癌悪液質、筋ジストロフィー、早発閉経および自己免疫疾患を治療する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、アンドロゲン受容体アゴニストとして、特に、選択的アンドロゲン受容体アゴニストとして有用である化合物に関する。本発明の化合物は構造式I:
【0030】
【化2】

またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体によって記載される[式中、
nは0、1または2であり、
a−bは、CF=CH、CHFCHまたはCFCHを表し、
は水素、ヒドロキシメチルまたはC1〜3アルキルであり、ここで、アルキルは非置換であるか、または1から7個のフッ素原子で置換されており、
は水素またはC1〜4アルキルであり、

1〜4アルキル、
(CH−シクロヘテロアルキル、および
(CH−アリールから選択され、ここで、アリールは以下から選択され、
(1)フェニル、
(2)ナフチル、
(3)ベンズイミダゾリル、
(4)ベンゾフラニル、
(5)ベンゾチオフェニル、
(6)ベンゾキサゾリル、
(7)ベンゾチアゾリル、
(8)ベンゾジヒドロフラニル、
(9)1,3−ベンゾジオキソリル、
(10)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、
(11)インドリル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)フラニル、
(15)チエニル、
(16)イミダゾリル、
(17)オキサゾリル、
(18)チアゾリル、
(19)イソキサゾリル、
(20)イソチアゾリル、
(21)ピラゾリル、
(22)ピロリル、
(23)ピリジル、
(24)ピリミジル、
(25)ピラジニル、
(26)チアジアゾリル、
(27)オキサジアゾリル、
(28)トリアゾリル、
(29)テトラゾリル、および
(30)インダニル
ここで、アルキル基またはシクロヘテロアルキル基は、非置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、項目(1)〜(30)で定義されるアリール基は非置換であるか、またはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロ−C1〜4アルキル、ペルフルオロ−C1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1〜3個の基で置換されており、(CH中のメチレン(CH)炭素原子はいずれも非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、または2つの置換基は、同一メチレン(CH)基にある場合それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し、
あるいは、RおよびRは一緒になって、N、OおよびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環系と縮合している5または6員の飽和環を形成する]。
【0031】
本発明の化合物の一実施形態では、Rは水素またはメチルである。この実施形態の一クラスでは、Rはメチルである。
【0032】
本発明の化合物の第2の実施形態では、a−bはCF=CHを表す。
【0033】
本発明の化合物の第3の実施形態では、a−bはCHFCHを表す。
【0034】
本発明の化合物の第4の実施液体では、Rは水素であり、Rは(CH−アリールである。この実施形態の一クラスでは、nは0または1である。
【0035】
本発明の化合物の第5の実施形態では、Rはメチルであり、a−bはCF=CHを表し、Rは水素であり、Rは(CH−アリールである。この実施形態の一クラスでは、nは0または1である。
【0036】
本発明の化合物の第6の実施形態では、Rはメチルであり、a−bはCHFCHを表し、Rは水素であり、Rは(CH−アリールである。この実施形態の一クラスでは、nは0または1である。
【0037】
もう1つの実施形態では、Rは水素およびメチルから選択され、a−bはCHFCHから選択され、Rは水素であり、Rは(CH−シクロへテロアルキルである。この実施形態の一クラスでは、Rはメチルであり、a−bはCF=CHを表す。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態では、R
1〜4アルキルおよび
(CH−アリールから選択され、
ここでアリールは、以下から選択され
(1)フェニル、
(2)ナフチル、
(3)ベンズイミダゾリル、
(4)ベンゾフラニル、
(5)ベンゾチオフェニル、
(6)ベンゾキサゾリル、
(7)ベンゾチアゾリル、
(8)ベンゾジヒドロフラニル、
(9)1,3−ベンゾジオキソリル、
(10)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、
(11)インドリル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)フラニル、
(15)チエニル、
(16)イミダゾリル、
(17)オキサゾリル、
(18)チアゾリル、
(19)イソキサゾリル、
(20)イソチアゾリル、
(21)ピラゾリル、
(22)ピロリル、
(23)ピリジル、
(24)ピリミジル、
(25)ピラジニル、
(26)チアジアゾリル、
(27)オキサジアゾリル、
(28)トリアゾリル、
(29)テトラゾリル、および
(30)インダニル
ここで、アルキル基またはシクロヘテロアルキル基は、非置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、項目(1)〜(30)で定義されるアリール基は非置換であるか、またはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロ−C1〜4アルキル、ペルフルオロ−C1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1〜3個の基で置換されており、(CH中のメチレン(CH)炭素原子はいずれも非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、または2つの置換基は、同一メチレン(CH)基にある場合それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成する。
【0039】
アンドロゲン受容体モジュレーターとして有用である本発明の化合物の例示的ではあるがそれだけには限らない例として、以下がある:
N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−クロロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(4−メトキシフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3−メトキシフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−メチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3−メチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(4−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(α−メチルフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(フェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(5−メチルピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(チオフェン−3−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−トリフルオロメチルフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド;
N−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(1−メチル−5−トリフルオロメチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(4−メチルチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(チアゾール−4−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(1−メチルイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(2−トリフルオロメチルフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(3−メトキシフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(4−メトキシフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(2−クロロフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
その製薬上許容される塩および鏡像異性体。
【0040】
本発明のさらにもう1つの実施形態では、本発明の化合物は以下から選択される:
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド;
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド;
その製薬上許容される塩および鏡像異性体。
【0041】
さらにもう1つの変形では、本発明の化合物は以下から選択される:
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
その製薬上許容される塩および鏡像異性体。
【0042】
本発明の一実施形態では、本化合物は以下から選択される:
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド
その製薬上許容される塩および鏡像異性体。
【0043】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を含むことがあり(E.L.ElielおよびS.H.Wilen、Stereochemistry of Carbon Compounds、John Wiley & Sons、New York、1994、1119〜1190頁に記載されるように)、またラセミ化合物、ラセミ混合物および個々のジアステレオマーとして生じることがあり、光学異性体をはじめとするすべてのあり得る異性体およびその混合物は本発明に含まれる。さらに、本明細書に開示された化合物は、互変異性体として存在することがあり、一方の互変異性構造しか示されていなくとも両互変異性型とも本発明の範囲内に包含されるものとする。例えば、以下の、化合物Aについてのすべての特許請求の範囲は、互変異性構造Bを含むと理解され、逆も同様であり、ならびにその混合物も含むと理解される。ここで、Xは、本発明のフッ化4−アザステロイド誘導体の残部を表す。
【0044】
【化3】

【0045】
用語「アルキル」は、1〜10個の総炭素原子の、またはこの範囲内のいずれかの数の直鎖または分枝鎖アルカン(すなわち、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど)を意味する。用語「Cアルキル」(「C0〜8アルキルアリール」におけるような)はアルキル基がないことを指す。
【0046】
用語「アルケニル」は、2〜10個の総炭素原子の、またはこの範囲内のいずれかの数の直鎖または分枝鎖アルケンを意味する。
【0047】
用語「アルキニル」は、2〜10個の総炭素原子の、またはこの範囲内のいずれかの数の直鎖または分枝鎖アルキンを意味する。
【0048】
用語「アルキリデン」は、1〜10個の総炭素原子の、またはこの範囲内のいずれかの数の直鎖または分枝鎖アルキリデン基を意味する。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、3〜8個の総炭素原子の、またはこの範囲内のいずれかの数のアルカンの環式環(すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチル)を意味する。
【0050】
本明細書において用語「シクロヘテロアルキル」は、N、OまたはSから選択される1または2個のヘテロ原子を含む、3〜8員の完全飽和複素環式環を意味する。シクロへテロアルキル基の例としては、それだけには限らないが、ピペリジニル、ピロリジニル、アゼチジニル、モルホリニル、オキサシクロペンタン、オキサシクロヘキサンおよびピペラジニルが挙げられる。本発明の一実施形態では、シクロへテロアルキルはピペリジニル、ピロリジニル、オキサシクロペンタン、オキサシクロヘキサンおよびモルホリニルから選択される。
【0051】
本明細書において用語「アルコキシ」は、特定された炭素原子数の(例えば、C1〜5アルコキシ)、またはこの範囲内のいずれかの数の、直鎖または分枝鎖アルコキシド(すなわち、メトキシ、エトキシなど)を指す。
【0052】
本明細書において用語「アリール」は、少なくとも1個の芳香環を含む単環系または二環系を指し、単環系または二環系は、0、1、2、3または4個のN、OまたはSから選択されるヘテロ原子を含み、非置換であるかまたはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニルC1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロC1〜4アルキル、ペルフルオロC1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1個または複数の基で置換されている。アリール基は非置換であるか、1〜3個の前記で指定された置換基で一、二または三置換されていることが好ましく、アリール基は非置換であるか、1〜2個の前期で指定された置換基で一または二置換されていることがより好ましい。
【0053】
用語「アルキル」または「アリール」またはその接頭辞語源のいずれかは、置換基の名前に現れ(例えば、アリールC0〜8アルキル)、「アルキル」および「アリール」について前記で示したそれらの制限を含むと解釈される。炭素原子の指定数(例えば、C0〜8)は、アルキルまたは環状アルキル部分またはアルキルがその接頭辞語源として現れる大きな置換基のアルキル部分の炭素原子の数を独立に指す。
【0054】
用語「アリールアルキル」および「アルキルアリール」は、アルキルが前記で定義したようなものであるアルキル部分を含み、またアリールが前記で定義したようなものであるアリール部分を含む。アリールアルキルの例としては、それだけには限らないが、ベンジル、フルオロベンジル、クロロベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フルオロフェニルエチル、クロロフェニルエチル、チエニルメチル、チエニルエチルおよびチエニルプロピルが挙げられる。アルキルアリールの例としては、それだけには限らないが、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジンおよびブチルピリジンが挙げられる。
【0055】
用語「ハロゲン」は、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素を含む。
【0056】
用語「オキシ」は、酸素(O)原子を意味する。用語「チオ」は、硫黄(S)原子を意味する。用語「オキソ」は、「=O」を意味する。用語「カルボニル」は、「C=O」を意味する。
【0057】
用語「置換された」は、指定された置換基による複数度の置換を含むと見なされる。複数の置換基部分が開示されるか、特許請求されている場合には、置換された化合物は、1個または複数の開示された、または特許請求された置換基部分によって、単一にまたは複数に、独立に置換され得る。独立に置換されるとは、(2個または複数の)置換基が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
【0058】
いずれかの可変物(例えば、R、Rなど)がいずれかの置換基中に、または式I中に2回以上現れる場合には、各出現におけるその定義は、他のどの出現でのその定義とも独立している。また、置換基および/または可変物の組合せは、かかる組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0059】
本開示を通じて用いた標準命名法では、指定側鎖の末端部分をまず記載し、次いで、隣接する官能基を結合点に向かって続ける。例えば、C1〜5アルキルカルボニルアミノC1〜6アルキル置換基は以下に相当する。
【0060】
【化4】

【0061】
本発明の化合物の選択においては、当業者ならば、種々の置換基、すなわち、R、R、Rなどは、化学構造連結性についての十分に知られている原則に準じて選択されるべきであるということは理解されよう。
【0062】
本発明の化合物は、アンドロゲン受容体の組織選択的モジュレーター(SARM)であることがわかった。一態様では、本発明の化合物は、哺乳類においてアンドロゲン受容体の機能を活性化するのに、特に、骨および/または筋組織においてアンドロゲン受容体の機能を活性化し、男性個体の前立腺においてまたは女性個体の子宮においてアンドロゲン受容体の機能をブロックまたは阻害(「アンタゴナイズ」)するのに有用であり得る。実施例に詳細に記載したように、骨におけるARの活性化は、骨粗鬆症の齧歯類モデルにおける骨形成の促進によってアッセイすることができ、前立腺におけるARのアンタゴニズムは、去勢した齧歯類における前立腺成長に対する最小作用およびARアゴニストによって誘導された前立腺成長のアンタゴニズムの観察によってアッセイすることができる。
【0063】
本発明のさらなる態様は、男性個体の前立腺では、または女性個体の子宮では、ARアゴニストによって誘導されるアンドロゲン受容体の機能をブロックするが、髪が生える皮膚または声帯ではではそうではなく、骨および/または筋組織ではアンドロゲン受容体の機能を活性化するが、血中脂質レベルを制御する器官(例えば、肝臓)ではそうではない構造式Iの化合物に関する。
【0064】
本発明の化合物は、それだけには限らないが、骨粗鬆症、骨減少症、糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷、サルコペニア、虚弱、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性における閉経後徴候、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血およびその他の造血疾患、関節炎症状、例えば、炎症性関節炎および関節修復など、HIV消耗、前立腺癌、癌悪液質、筋ジストロフィー、早発閉経および自己免疫疾患をはじめとする、アンドロゲン欠乏によって引き起こされるか、アンドロゲン置換によって寛解され得る症状を治療するために、単独または他の活性な薬剤と組み合わせて使用できる。治療は、治療上有効量の構造式Iの化合物を、かかる治療を必要とする哺乳類に投与することによって達成される。さらに、これらの化合物は、単独または他の活性な薬剤と組み合わせて、薬剤組成物中の成分として有用である。
【0065】
一実施形態では、本発明の化合物は、それだけには限らないが、骨粗鬆症、骨減少症、糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症、歯周病、HIV消耗、前立腺癌、癌悪液質、肥満症、再生不良性貧血およびその他の貧血および筋ジストロフィーをはじめとする、アンドロゲン欠乏によって引き起こされるか、またはアンドロゲン置換によって寛解され得る、男性個体における症状を治療するために、単独または他の活性な薬剤と組み合わせて使用できる。治療は、治療上有効量の構造式Iの化合物を、かかる治療を必要とする男性個体に投与することによって達成される。
【0066】
「関節炎症状」または「関節炎症状類」とは、炎症病変が関節に限定されている疾患または関節の何らかの炎症症状を指し、最も顕著には、骨関節炎および関節リウマチがある(Academic Press Dictionary of Science Technology;Academic Press、第1版、1992年1月15日)。式Iの化合物はまた、単独または組み合わせて、関節炎症状、例えば、ベーチェット病、滑膜包炎および腱炎、CPPD沈着症、手根管症候群、エーラーダンロス症候群、線維筋痛症、痛風、感染性関節炎、炎症性腸疾患、若年性関節炎、エリテマトーデス、ライム病、マルファン症候群、筋炎、骨関節炎、骨形成不全症、骨壊死、多発動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、乾癬性関節炎、レイノー現象、反射性交感神経性ジストロフィー症候群、ライター(Reiter’s)症候群、関節リウマチ、強皮症およびシェーグレン症候群を治療または予防するために有用である。本発明の一実施形態は、治療上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、関節炎症状の治療または予防を包含する。下位の一実施形態は、治療上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、骨関節炎の治療または予防である。Cutolo M、Seriolo B、Villaggio B、Pizzorni C、Craviotto C、Sulli A、Ann.N.Y.Acad.Sci.2002年1月;966:131〜42頁;Cutolo、M.Rheum Dis Clin North Am 2000年11月;26(4):881〜95頁;Bijlsma JW、Van den Brink HR、Am J Reprod Immunol 1992年10月〜12月;28(3〜4):231〜4頁;Jansson L、Holmdahl R、Arthritis Rheum 2001年9月;44(9):2168〜75頁およびPurdie DW、Br Med Bull 2000年;56(3):809〜23頁参照。また、Merck Manual、第17版、449〜451頁も参照。
【0067】
関節炎症状を治療するために併用する場合には、式Iの化合物は、併用量法にとって有用であると本明細書に開示されたどんな薬物とも使用でき、または関節炎症状を治療または予防すると知られている薬物、例えば、副腎皮質ステロイド、細胞傷害性薬(または他の予防維持薬または寛解導入薬)、金治療、メトトレキセート、NSAIDおよびCOX−2阻害剤とともに使用できる。
【0068】
もう1つの実施形態では、本発明の化合物は、それだけには限らないが、骨粗鬆症、骨減少症、糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症、閉経後徴候、歯周病、HIV消耗、癌悪液質、肥満症、再生不良性貧血およびその他の貧血、筋ジストロフィー、早発閉経および自己免疫疾患経をはじめとする、女性個体における、アンドロゲン欠乏によって引き起こされるか、アンドロゲン置換によって寛解され得る症状を治療するために、単独または他の活性な薬剤と組み合わせて使用できる。治療は、治療上有効量の構造式Iの化合物を、かかる治療を必要とする女性個体に投与することによって達成される。
【0069】
構造式Iの化合物はまた、前立腺癌の治療において、骨を再建し、骨減少を最小にし、骨塩量を維持または増加させるために、従来のアンドロゲン枯渇療法の補助剤として使用できる。このようにして、それらを、GnRHアゴニスト/アンタゴニスト、例えば、P.Limontaら、「LHRH analogues as anticancer agents:pituitary and extrapituitary sites of action」、Exp.Opin.Invest.Drugs、10:709〜720頁(2001);H.J.Stricker、「Luteinizing hormone−releasing hormone antagonists」、Urology、58(付録2A):24〜27頁(2001);R.P.Millarら、「Progress towards the development of non−peptide orally−active GnRH antagonists」、British Medical Bulletin、56:761〜772頁(2000)およびA.V.Schallyら、「Rational use of agonists and antagonists of LH−RH in the treatment of hormone−sensitive neoplasms and gynecologic conditions」、Advanced Drug Delivery Reviews、28:157〜169頁(1997)に開示されたものをはじめとする従来のアンドロゲン枯渇療法と併用することができる。構造式Iの化合物を前立腺癌の治療において、抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性代謝産物)、ニルタミド(nilutamide)およびビカルタミド(カソデックス(Casodex)(商標))と併用することも可能である。
【0070】
さらに、本発明の化合物はまた、前立腺癌の治療において、そのアンドロゲンアンタゴニスト特性のために、または抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性代謝産物)、ニルタミドおよびビカルタミド(カソデックス(Casodex)(商標))の補助剤として使用できる。
【0071】
構造式Iの化合物は、脂質代謝に対して最小の副作用しかない。したがって、その組織選択的アンドロゲンアゴニスト性を考慮すると、本発明の化合物は、性腺機能の低下した(アンドロゲン欠乏)男性個体におけるホルモン置換療法のための既存のアプローチよりも有利である。
【0072】
さらに、本発明の化合物は、血液細胞、例えば、赤血球および血小板の数を増加させることができ、再生不良性貧血などの造血疾患の治療に用いることができる。
【0073】
本発明の代表的な化合物は、一般に、アンドロゲン受容体に対してマイクロモル以下の結合親和性を示す。したがって、本発明の化合物は、アンドロゲン受容体機能と関連している疾患を患う哺乳類の治療において有用である。アンドロゲン受容体機能と関連しているか、またはさらなるアンドロゲンを加えることで改善され得る疾患、例えば、骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷、サルコペニア、虚弱、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性における閉経後徴候、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血および他の造血疾患、膵癌、関節炎症状、例えば、炎症性関節炎および関節修復を治療するために、製薬上有効なその塩を含む製薬上有効量の化合物を、哺乳類に投与する。
【0074】
一般に、鏡像異性的に純粋な形の本発明の化合物を投与することが好ましい。ラセミ混合物は、いくつかの従来法のうちのいずれかによってその個々の鏡像異性体に分離することができる。これらとしては、キラルクロマトグラフィー、キラル補助剤を用いる誘導体化とそれに続くクロマトグラフィーまたは結晶化による分離、およびジアステレオマー塩の分別結晶化が挙げられる。
【0075】
本明細書において、アンドロゲン受容体の「アゴニスト」として機能する本発明の化合物は、アンドロゲン受容体と結合し、その受容体に特有の生理学的または薬理学的応答を開始できる。用語「組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーター」は、ある組織では天然リガンドの働きを模倣し、他の組織ではそうしないアンドロゲン受容体リガンドを指す。「部分アゴニスト」とは、適用される化合物の量にかかわらず、受容体集団の最大活性化を誘導できないアゴニストである。「完全アゴニスト」は、指定の濃度でアンドロゲン受容体集団の完全活性化を誘導する。アンドロゲン受容体の「アンタゴニスト」として機能する本発明の化合物は、アンドロゲン受容体と結合して、天然のアンドロゲン受容体リガンドによって正常に誘導されるアンドロゲン関連応答をブロックまたは阻害できる。
【0076】
用語「製薬上許容される塩」とは、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む製薬上許容される非毒性塩基または酸から調製された塩を指す。無機塩基から誘導した塩としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。製薬上許容される有機非毒性塩基から誘導した塩としては、第一、第二および第三アミン、天然の置換アミンをはじめとする置換アミン、環状アミンの塩、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタミン、カフェイン、コリン、N−N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバルミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
【0077】
本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機および有機酸をはじめとする製薬上許容される非毒性酸から調製することができる。かかる酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが挙げられる。クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
【0078】
用語「治療上有効量」は、研究者、獣医、医師またはその他の臨床家によって調べられている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する構造式Iの化合物の量を意味する。
【0079】
本明細書において用語「組成物」は、指定成分を指定量含む製剤、ならびに指定量の指定成分の組合せから直接または間接的にもたらされるいずれかの製剤を包含するものとする。
【0080】
「製薬上許容される」は、担体、希釈剤または賦形剤が製剤のその他の成分と適合しなければならず、かつ、その受容者に対して有害であってはならないことを意味する。
【0081】
用語「化合物の投与」および「化合物を投与する」は、治療を必要とする個体に本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを提供することを意味すると理解されるべきである。
【0082】
用語「アンドロゲン受容体によって媒介される機能を組織選択的に調節すること」とは、アンドロゲン受容体によって媒介される機能を、アンドロゲン性(生殖)組織、例えば、前立腺、精巣、精嚢、卵巣、子宮および他の性的補助組織ではこのような調節がなく、同化(骨および/または筋肉)組織(骨および筋肉)において選択的に(または識別して)調節することを意味する。一実施形態では、同化組織ではアンドロゲン受容体の機能が活性化され、アンドロゲン性組織ではアンドロゲン受容体の機能がブロックまたは抑制される。
【0083】
本治療方法を実施するための構造式Iの化合物の投与は、かかる治療または予防を必要とする患者に、有効量の構造式Iの化合物を投与することによって実施される。本発明の方法による予防的投与の必要性は、十分に知られている危険因子を用いることによって決定される。個々の化合物の有効量は、最後の解析において、その事例を担当する医師によって決定されるが、治療される正確な疾病、その疾病の重篤度およびその患者が患っているその他の疾病または症状、選択した投与経路、その患者が同時に必要とし得るその他の薬剤および治療、ならびに医師の判断におけるその他の因子などの因子に応じて変わる。
【0084】
一般に、構造式Iの化合物の日用量は、成人1日当たり0.01〜1000mgという広い範囲にわたって変化し得る。最も好ましくは、投与量は0.1〜200mg/日の範囲にわたる。経口投与には、組成物は、治療される哺乳類に対する投与量の対症調節のために、0.01〜1000mg、特に、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、3.0、5.0、6.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75、100、125、150、175、180、200、225および500ミリグラムの有効成分を含む錠剤の形で提供されるのが好ましい。
【0085】
用量は単回1日用量で投与でき、総1日投与量を、1日2回、3回または4回の分割用量で投与することもできる。さらに、投与のために選択された個々の化合物の特性に基づいて、用量をより低頻度で、例えば、毎週、2週毎、毎月などで投与することもできる。当然、低頻度投与に対しては、単位投与量はそれに対応して多くなる。
【0086】
鼻腔経路、直腸または膣用座剤による経皮経路によって、または静脈内溶液によって投与する場合には、投与量投与はもちろん投与計画を通じて断続的なものではなく、連続的なものとなる。
【0087】
本発明の例示としては、前記のいずれかの化合物と製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物がある。また、本発明の例示としては、前記のいずれか化合物と製薬上許容される担体とを混合することによって調製される薬剤組成物がある。本発明の例としては、前記の化合物のいずれかと製薬上許容される担体とを混合することを含む薬剤組成物の調製方法がある。
【0088】
医学的用途のために本方法に用いる組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの製剤は、構造式Iの化合物をその許容される担体、および場合によってはその他の治療上活性な成分とともに含む。担体は、製剤の他の成分と適合しているという意味で製薬上許容されなければならず、またその製剤の受容被験者に対して有害であってはならない。
【0089】
したがって、本発明はさらに、構造式Iの化合物をその製薬上許容される担体とともに含む薬剤製剤を提供する。
【0090】
製剤としては、経口、直腸、膣内、局所または非経口(皮下、筋内および静脈内投与を含む)に適したものが挙げられる。好ましい製剤は、経口投与に適したものである。
【0091】
製剤は単位投与形で提示することができ、製薬学の技術分野で知られている方法のいずれかによって調製することができる。すべての方法は、活性な化合物を、1種または複数の成分を構成する担体と関係させるステップを含む。一般に、製剤は、活性な化合物を、液体担体、ろう様固体担体または微粉化固体担体と均一かつ密接に関係させること、および、次いで、必要に応じて、生成物を所望の投与形に成形することによって調製する。
【0092】
経口投与に適した本発明の製剤は、各々所定量の活性な化合物を、散剤または顆粒剤として含む、カプセル剤、カシェ剤、錠剤またはトローチ剤などの個別単位、または水性の液体もしくは非水性の液体中の懸濁液もしくは溶液、例えば、シロップ、エリキシルまたはエマルションとして提示することができる。
【0093】
錠剤は、場合によっては1種または複数の補助的成分とともに打錠することまたは成形することによって調製することができる。打錠錠剤は、適切な機械で、場合によって補助的成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、崩壊剤または着色剤と混合した、流動形、例えば、散剤または顆粒剤の活性な化合物を打錠することによって調製することができる。成形錠剤は、適切な機械で、好ましくは、粉末化形態の活性な化合物と適した担体との混合物を成形することによって調製することができる。適切な結合剤としては、それだけには限らないが、デンプン、ゼラチン、グルコースまたはβラクトースなどの天然の糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントなどの天然および合成ゴムまたはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの投与形に用いる滑沢剤としては、それだけには限らないが、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、それだけには限らないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0094】
経口液体形、例えば、適切に矯味した沈殿防止剤または分散剤、例えば、合成および天然ゴム、例えば、トラガカント、アカシア、メチルセルロースなどの中のシロップまたは懸濁液は、溶液または懸濁液に活性な化合物を添加することによって調製することができる。使用できるさらなる分散剤として、グリセリンなどが挙げられる。
【0095】
膣または直腸投与用製剤は、従来の担体、すなわち、非毒性であり、かつ、粘膜に対して非刺激性であり、構造式Iの化合物と適合し、かつ、保存において安定であり、構造式Iの化合物と結合しないかまたはその放出を干渉しない基剤を含む座剤として提示することができる。適切な基剤としては、ココアバター(テオブロマオイル)、ポリエチレングリコール(カルボワックス(carbowax)およびポリグリコールなど)、グリコール−界面活性剤組合せ、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween、Myrj、Arlacelなど)、グリセリンゼラチンおよび硬化植物油が挙げられる。グリセリンゼラチン座剤を用いる場合には、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどの防腐剤を用いることもできる。
【0096】
活性な薬物成分を含む局所製剤は、当技術分野で十分に知られている種々の担体物質、例えば、アルコール、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンAおよびEオイル、鉱油、プロピオン酸PPG2ミリスチルなどと混合し、例えば、アルコール性溶液、局所用洗浄剤、クレンジングクリーム、スキンジェル、スキンローションおよびクリームまたはゲル製剤のシャンプーを形成することもできる。
【0097】
本発明の化合物はまた、リポソーム送達系、例えば、小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞の形で投与することもできる。リポソームは種々のリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンから形成することができる。
【0098】
本発明の化合物はまた、化合物分子が結合しているモノクローナル抗体を、個々の担体として用いることによって送達することもできる。本発明の化合物はまた、ターゲッティングできる薬物担体として可溶性ポリマーと結合させてもよい。かかるポリマーとしては、ポリビニル−ピロリドン、ピラン、コポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルトアミドフェノールまたはパルミトイル残基で置換したポリエチレン−オキシドポリリジンが挙げられる。さらに、本発明の化合物は、薬物の徐放を達成するのに有用な、ある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリエプシロン、カプロラクトン(caprolactone)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体と結合させることもできる。
【0099】
非経口投与に適した製剤としては、好ましくは、受容者の血液と等張である、活性な化合物の滅菌水性調製物を含む製剤が挙げられる。かかる製剤は、受容被験者の血液と等張である化合物の溶液または懸濁液を含むことが適切である。かかる製剤には、蒸留水、蒸留水または生理食塩水に溶解した5%デキストロースと活性な化合物とを含めてもよい。用いる溶媒に対して適当な可溶性を有する、活性な化合物の製薬上および薬理学上許容される酸付加塩を用いることが有用であることが多い。有用な製剤はまた、適当な溶媒で希釈すると、非経口投与に適した溶液が得られる、濃縮溶液または活性な化合物を含む固体を含む。
【0100】
本発明の化合物は、薬剤の徐放を達成するのに有用な、ある種の生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリエプシロン、カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロック共重合体と結合させることもできる。
【0101】
本発明の薬剤組成物および方法は、骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷、サルコペニア、虚弱、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性における閉経後徴候、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、再生不良性貧血および他の造血疾患、膵癌、関節炎症状、例えば、炎症性関節炎および関節修復をはじめとする、前記の症状の治療に通常適用される、他の治療上活性な化合物をさらに含むことができる。
【0102】
骨粗鬆症の治療および予防には、本発明の化合物は、再吸収阻害剤、骨同化剤ならびにカルシウム栄養補助食品、フラボノイドおよびビタミンD類似体などの、正確には規定されていない機序によって骨格に有益なその他の薬剤から選択される骨強化剤と組み合わせて投与することもできる。歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷という症状もこれらの併用治療から利益を受けることができる。例えば、本発明の化合物は、有効量の、エストロゲン、ビホスホネート、SERM、カテプシンK阻害剤、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、液胞型ATPアーゼ阻害剤、ポリペプチドオステオプロテジェリン、VEGFのアンタゴニスト、チアゾリジンジオン、カルシトニン、プロテインキナーゼ阻害剤、副甲状腺ホルモン(PTH)および類似体、カルシウム受容体アンタゴニスト、成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン様成長因子、骨形態形成タンパク質(BMP)、BMPアンタゴニズムの阻害剤、プロスタグランジン誘導体、繊維芽細胞成長因子、ビタミンDおよびその誘導体、ビタミンKおよびその誘導体、ダイズイソフラボン、カルシウム塩ならびにフッ化物塩などの他の薬剤と組み合わせて効果的に投与することができる。歯周病、骨折、骨再建術後の骨の損傷という症状もこれらの併用治療から利益を受けることができる。本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、有効量の、単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせたエストロゲンまたはエストロゲン誘導体、ビスホスホネート、抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カテプシンK阻害剤、破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、カルシトニンおよびオステオプロテジェリンから選択される骨強化剤と組み合わせて効果的に投与することができる。
【0103】
骨粗鬆症の治療では、本発明の化合物の活性は、再吸収阻害剤:エストロゲン、ビスホスホネート、SERM、カルシトニン、カテプシンK阻害剤、液胞型ATPアーゼ阻害剤、RANK/RANKL/オステオプロテジェリン経路を干渉する薬剤、p38阻害剤または破骨細胞生成または破骨細胞活性化のいずれかの他の阻害剤のものとは異なっている。構造式Iの化合物は、骨再吸収を阻害するのではなく、骨強度についての相当な部分に預かっている皮質骨に選択的に作用して骨形成を促進する。皮質骨の肥厚は、骨折の危険、特に、股関節の骨折の減少に大きく寄与する。構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの、エストロゲン、ビスホスホネート、抗エストロゲン、SERM、カルシトニン、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、HMG−CoA還元酵素阻害剤、液胞型ATPアーゼ阻害剤およびカテプシンK阻害剤などの再吸収阻害剤との組合せは、骨同化作用と抗再吸収作用の相補性のために特に有用である。
【0104】
骨再吸収阻害剤は、骨の再吸収を阻害することが当技術分野で知られている薬剤であり、これには、例えば、エストロゲンおよび例えば、17β−エストラジオール、エストロン、抱合エストロゲン(プレマリン(PREMARIN)(登録商標))、ウマエストロゲン、17β−エチニルエストラジオールなどといったエストロゲン活性を有するステロイド性化合物を含むエストロゲン誘導体がある。エストロゲンまたはエストロゲン誘導体は、単独で用いてもよく、プロゲスチンまたはプロゲスチン誘導体と併用してもよい。それだけには限らないが、プロゲスチン誘導体の例としては、ノルエチンドロンおよびメドロキシプロゲステロンアセテートがある。
【0105】
ビスホスホネートも骨再吸収阻害剤である。本発明の構造式Iの化合物と併用できるビスホスホネート化合物としては以下が挙げられる:
(a)アレンドロン酸:(4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン)−ビス−ホスホン酸、
(b)アレンドロネート(alendronate)(アレンドロ酸ナトリウムまたは一ナトリウム三水和物としても知られる):(4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン)−ビス−ホスホン酸一ナトリウム三水和物(アレンドロン酸およびアレンドロネートは、双方ともその全文が参照により本明細書に組み込まれる、1990年5月1日に取得されたKieczykowskiらの米国特許第4,922,007号、および1991年5月28日に取得されたKieczykowskiの同5,019,651号に記載されている)、
(c)その全文が参照により本明細書に組み込まれる、1990年11月13日に取得されたIsomuraらの米国特許第4,970,335号に記載されている、[(シクロヘプチルアミノ)−メチレン]−ビス−ホスホネート(インカドロネート)、
(d)双方ともその全文が参照により本明細書に組み込まれる、ベルギー特許第672,205号(1966)およびJ.Org.Chem32、4111(1967)に記載されている、(ジクロロメチレン)−ビス−ホスホン酸(クロドロン酸)および二ナトリウム塩(クロドロネート)、
(e)[1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン]−ビス−ホスホネート(EB−1053)、
(f)(1−ヒドロキシエチリデン)−ビス−ホスホネート(エチドロネート)、
(g)その全文が参照により本明細書に組み込まれる、1990年5月22日に取得された米国特許第4,927,814号に記載されている、[1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)プロピリデン]−ビス−ホスホネート(イバンドロネート)、
(h)(6−アミノ−1−ヒドロキシヘイリデン)−ビス−ホスホネート(ネリドロネート(neridronate))、
(i)[3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン]−ビス−ホスホネート(オルパドロネート(olpadronate))、
(j)(3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン)−ビス−ホスホネート(パミドロネート)、
(k)その全文が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,761,406号に記載されている、[2−(2−ピリジニル]エチリデン]−ビス−ホスホネート(ピリドロネート(piridronate))、
(l)[1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン]−ビス−ホスホネート(リセドロネート)、
(m)その全文が参照により本明細書に組み込まれる、1989年10月24日、Breliereらの米国特許第4,876,248号に記載されている、{[(4−クロロフェニル)チオ]メチレン}−ビス−ホスホネート(チルドロネート(tiludronate))、
(n)[1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン]−ビス−ホスホネート(ゾレドロネート(zoledronate))および
(o)[1−ヒドロキシ−2−イミダゾピリジン−(1,2−a)−3−イルエチリデン]−ビス−ホスホネート(ミノドロネート(minodronate))。
【0106】
本発明の方法および組成物の一実施形態では、ビスホスホネートは、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネートおよびゾレドロネートならびにその製薬上許容される塩およびその混合物から選択される。この実施形態の一クラスでは、ビスホスホネートは、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、イバンドロネート、チルドロネートおよびクロドロネートから選択される。このクラスの一サブクラスでは、ビスホスホネートはアレンドロネート、その製薬上許容される塩およびその水和物およびその混合物である。アレンドロネートの特定の製薬上許容される塩としてはアレンドロン酸一ナトリウムがある。アレンドロン酸一ナトリウムの製薬上許容される水和物としては、一水和物および三水和物が挙げられる。リセドロネートの特定の製薬上許容される塩としてはリセドロン酸一ナトリウムがある。リセドロン酸一ナトリウムの製薬上許容される水和物としては、21/2水和物が挙げられる。
【0107】
本明細書および特許請求の範囲を通じて、「アレンドロン酸」は、関連ビスホスホン酸の形、製薬上許容される塩の形、およびこれらの平衡混合物を含む。アレンドロン酸およびその製薬上許容される塩の結晶、水和結晶および無定形の形を含む。具体的には、無定形アレンドロン酸一ナトリウム、アレンドロン酸一ナトリウム一水和物およびアレンドロン酸一ナトリウム三水和物を含む。
【0108】
なおさらに、ラロキシフェン(例えば、米国特許第5,393,763号参照)、クロミフェン、ズクロミフェン(zuclomiphene)、エンクロミフェン(enclomiphene)、ナフォキシデン(nafoxidene)、CI−680、CI−628、CN−55,945−27、Mer−25、U−11,555A、U−100Aおよびその塩などといった抗エストロゲン化合物(例えば、米国特許第4,729,999号および同4,894,373号参照)を、本発明の方法および組成物において構造式Iの化合物と併用することができる。これらの薬剤はまた、SERMまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、エストロゲンのものと同様であると考えられている経路によって骨再吸収を阻害することによって骨減少を予防することが当技術分野で知られている薬剤としても知られている。これらの薬剤は、骨粗鬆症をはじめとする骨疾患を有益に治療するために、本発明の化合物と併用できる。かかる薬剤としては、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン(lasofoxifene)、トレミフェン、アゾルキシフェン(azorxifene)、EM−800、EM−652、TSE424、クロミフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、イドキシフェン(idoxifene)およびレボルメロキシフェン(levormeloxifene)が挙げられる[Goldsteinら、「A pharmacological review of selective estrogen receptor modulators」、Human Reproduction Update、6:212〜224頁(2000)およびLufkinら、「The role of selective estrogen receptor modulators in the prevention and treatment of osteoporosis」、Rheumatic Disease Clinics of North America、27:163〜185頁、2001)]。SERMはまた、「Targeting the Estrogen Receptor with SERMs」、Ann.Rep.Med.Chem.36:149〜158頁(2001)に論じられている。
【0109】
αvβ3インテグリン受容体アンタゴニストは、骨再吸収を抑制し、骨粗鬆症をはじめとする骨疾患の治療のために、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターと併用することができる。αvβ3インテグリン受容体のペプチジルならびにペプチドミメティックアンタゴニストは、双方とも化学文献および特許文献に記載されている。例えば、W.J.HoekstraおよびB.L.Poulter、Curr.Med.Chem.5:195〜204頁(1998)およびそれに列挙された参照文献、WO95/32710、WO95/37655、WO97/01540、WO97/37655、WO98/08840、WO98/18460、WO98/18461、WO98/25892、WO98/31359、WO98/30542、WO99/15506、WO99/15507、WO00/03973、EP853084、EP854140、EP854145、米国特許第5,204,350号、同5,217,994号、同5,639,754号、同5,741,796号、同5,780,426号、同5,929,120号、同5,952,341号、同6,017,925号および同6,048,861号が参照される。in vitroおよびin vivoにおけるαvβ3インテグリン受容体アンタゴニストの骨再吸収を防ぐ能力についての証拠が示されている(V.W.Englemanら、「A Peptidomimetic Antagonist of the αvβ3 Integrin Inhibits Bone Resorption In Vitro and Prevents Osteoporosis In Vivo」、J.Clin.Invest.99:2284〜2292頁、1997、S.B.Rodanら、「A High Affinity Non−Peptide αvβ3 Ligand Inhibits Osteoclast Activity In Vitro and In Vivo」、J.Bone Miner.Res.11:S289(1996)、J.F.Gourvestら、「Prevention of OVX−Induced Bone Loss With a Non−peptidic Ligand of αvβ3 Vitronectin Receptor」、Bone 23:S612(1998)、M.W.Larkら、「An Orally Active Vitronectin Receptor αvβ3 Antagonist Prevents Bone Resorption In Vitro and In Vivo in the Ovariectomized Rat」、Bone 23:S219(1998)。その他のαvβ3アンタゴニストは、R.M.Keenanら、「Discovery of Potent Nonpeptide Vitronectin Receptor(αvβ3)Antagonists」、J.Med.Chem.40:2289〜2292頁(1997)、R.M.Keenanら、「Benzimidazole Derivatives As Arginine Mimetics in 1,4−Benzodiazepine Nonpeptide Vitronectin Receptor(αvβ3)Antagonists」、Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3165〜3170頁、(1998)およびR.M.Keenanら、「Discovery of an Imidazopuridine−Containing 1,4−Benzodiacepine Nonpeptide Vitronectin Receptor(αvβ3)Antagonist With Efficacy in a Restenosis Model」、Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3171〜3176頁、(1998)に記載されている。さらにその他のベンズアゼピン、ベンゾジアゼピンおよびベンゾシクロヘプテンαvβ3インテグリン受容体アンタゴニストが、以下の特許公報に記載されている:WO96/00574、WO96/00730、WO96/06087、WO96/26190、WO97/24119、WO97/24122、WO97/24124、WO98/14192、WO98/15278、WO99/05107、WO99/06049、WO99/15170、WO99/15178、WO99/15506および米国特許第6,159,964号およびWO97/34865。ジベンゾシクロヘプテン、ジベンゾシクロヘプタンおよびジベンゾキサゼピン足場を有するαvβ3インテグリン受容体アンタゴニストが、WO97/01540、WO98/30542、WO99/11626、WO99/15508、WO00/33838、米国特許第6,008,213号および同6,069,158号に記載されている。主鎖配座の環束縛を組み込んでいる、その他の破骨細胞インテグリン受容体アンタゴニストが、特許文献に記載されている。フェニル束縛を有するアンタゴニストを開示する公開特許出願または取得特許としては、WO98/00395、WO99/32457、WO99/37621、WO99/44994、WO99/45927、WO99/52872、WO99/52879、WO99/52896、WO00/06169、EP0820,988、EP0820,991、米国特許第5,741,796号、同5,773,644、同5,773,646号、同5,843,906号、同5,852,210号、同5,929,120号、同5,952,381号、同6,028,223号および同6,040,311号が挙げられる。単環式環束縛を有するアンタゴニストを開示する公開特許出願または取得特許としては、WO99/26945、WO99/30709、WO99/30713、WO99/31099、WO99/59992、WO00/00486、WO00/09503、EP0796,855、EP0928,790、EP0928,793、米国特許第5,710,159号、同5,723,480号、同5,981,546号、同6,017,926号および同6,066,648号が挙げられる。二環式環束縛を有するアンタゴニストを開示する公開特許出願または取得特許としては、WO98/23608、WO98/35949、WO99/33798、EP0853,084、米国特許第5,760,028号、同5,919,792号および同5,925,655が挙げられる。また、αvインテグリンアンタゴニストに関するさらなる科学文献および特許文献については以下の総説も参照される:M.E.Dugganら、「Ligands to the integrin receptor αvβ3、Exp.Opin.Ther.Patents、10:1367〜1383頁(2000)、M.Gowenら、「Emerging therapies for osteoporosis」、Emerging Drugs、5:1〜43頁(2000)、J.S.Kerrら、「Small molecule αv integrin antagonists:novel anticancer agents」、Exp.Opin.Invest.Drugs、9:1271〜1291頁(2000)およびW.H.Millerら、「Identification and in vivo efficacy of small−molecule antagonists of integrin αvβ3(the vitronectin receptor)」、Drug Discovery Today、5:397〜408頁(2000)。
【0110】
かつてはカテプシンO2として知られていたカテプシンKは、システインプロテアーゼであり、1996年5月9日に公開されたPCT国際出願公開WO96/13523、1996年3月3日に取得された米国特許第5,501,969号および1998年4月7日に取得された米国特許第5,736,357号に記載されており、これらのすべてはその全文を参照により本明細書に組み込まれる。システインプロテアーゼ、具体的には、カテプシンはいくつかの病状、例えば、腫瘍転移、炎症、関節炎および骨リモデリングと関連がある。酸性pHでは、カテプシンはI型コラーゲンを分解することができる。カテプシンプロテアーゼ阻害剤は、コラーゲン線維の分解を阻害することによって破骨細胞骨再吸収を阻害することができるので、骨再吸収疾病、例えば、骨粗鬆症の治療において有用である。
【0111】
「スタチン」として知られる、HMG−CoA還元酵素阻害剤というクラスのメンバーは、新しい骨の成長を誘発し、骨粗鬆症の結果として失われた骨量を元に戻すことが分かっている(The Wall Street Journal、1999年12月3日金曜日、B1頁)。したがって、スタチンは骨再吸収の治療にとって期待できる。HMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、それだけには限らないが、ロバスタチン(米国特許第4,342,767号参照)、シンバスタチン(米国特許第4,444,784号参照)、ジヒドロキシオープンアシッドシンバスタチン、特に、そのアンモニウム塩またはカルシウム塩、プラバスタチン、特に、そのナトリウム塩(米国特許第4,346,227号)、フルバスタチン(fluvastatin)、特に、そのナトリウム塩(米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(米国特許第5,273,995号参照)、セリバスタチン、特にそのナトリウム塩(米国特許第5,177,080号参照)、ZD−4522としても知られるロスバスタチン(rosuvastatin)(米国特許第5,260,440号参照)およびNK−104、イタバスタチンまたはニスバスタチン(nisvastatin)とも呼ばれるピタバスタチン(pitabastatin)(PCT国際公開WO97/23200参照)をはじめとする、ラクトン化型またはジヒドロキシオープンアシッド型のスタチン、およびその製薬上許容される塩およびエステルが挙げられる。
【0112】
プロトンポンプ阻害剤とも呼ばれる破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤も、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。破骨細胞の頂端膜で見られるプロトンATPアーゼは、骨再吸収プロセスにおいて重要な役割を果たすと報告されている。したがって、このプロトンポンプが、骨粗鬆症および関連代謝疾病の治療および予防にとって有用である可能性がある、骨再吸収の阻害剤の設計にとって魅力的な標的になる[C.Farinaら、「Selective inhibitors of the osteoclast vacuolar proton ATPase as novel bone antiresorptive agents」、DDT、4:163〜172頁(1999)]。
【0113】
血管形成因子VEGFは、破骨細胞上の受容体と結合することによって、単離された成熟ウサギ破骨細胞の骨再吸収活性を促進すると示されている[M.Nakagawaら、「Vascular endothelial growth factor(VEGF)directly enhances osteoclastic bone resorption and survival of mature osteoclasts」、FEBS Letters、473:161〜164頁(2000)参照]。したがって、VEGFの破骨細胞受容体との結合のアンタゴニスト、例えば、KDR/Flk−1およびFlt−1の開発によって、骨再吸収を治療または予防するためのさらなるアプローチを提供することができる。
【0114】
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)のアクチベーター、例えば、チアゾリジンジオン(TZD)は、in vitroで破骨細胞様細胞形成および骨再吸収を阻害する。Endocrinology、140:5060〜5065頁(1999)においてR.Okazakiらによって報告された結果は、骨髄細胞に対する局所機構ならびにグルコース代謝に対する全身機構を示している。それだけには限らないが、PPARγアクチベーターの例としては、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびBRL49653などのグリタゾンが挙げられる。
【0115】
カルシトニンもまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。カルシトニンはサケ点鼻薬として選択的に用いられる。J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press中のAzraら、Calcitonin、1996およびSilverman、「Calsitonin」、Rheumatic Disease Clinics of North America、27:187〜196頁、2001)。
【0116】
プロテインキナーゼ阻害剤も、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。キナーゼ阻害剤としては、WO01/17562に開示されたものが挙げられ、一実施形態では、P38の阻害剤から選択される。本発明において有用なP38阻害剤の特定の実施形態としては、SB203580が挙げられる[Badgerら、「Pharmacological profile of SB 203580,a selective inhibitor of cytokine suppressive binding protein/p38 kinase,in animal models of arthritis,bone resorption,endotoxin shock,and immune function」、J.Pharmacol.Exp.Ther.、279:1453〜1461頁(1996)]。
【0117】
骨同化剤とは、当技術分野では、骨タンパク質マトリックスの産生を増加させることによって骨を構築すると知られている薬剤である。かかる骨同化剤としては、例えば、天然PTH(1−84)、PTH(1−34)、天然または置換を含むその類似体、具体的には、副甲状腺ホルモンの皮下注射など種々の形態の副甲状腺ホルモン(PTH)が挙げられる。PTHは骨芽細胞、骨を形成する細胞の活性を高め、それによって新しい骨の合成を促進することが分かっている(Modern Drug Discovery、第3巻、8号、2000)。2000年6月にシカゴで開かれた、骨粗鬆症に関する最初の世界大会で報告された研究では、PTH−エストロゲン併用療法を受けている女性が、骨髄骨量の12.8%の増加および総臀部量の4.4%の増加を示した。同じ会議で示された別の研究は、PTHは骨の大きさおよび密度を増加させることができるということを示した。ヒト副甲状腺ホルモン1−34断片[hPTH(1−34)]の閉経後骨粗鬆症の女性に対する作用についての臨床試験の結果、平均22カ月の治療後に、脊髄骨折が≧65%減少し、非椎骨の骨折が54%減少した[J.M.Hock、Bone、27:467〜469頁(2000)およびS.Mohanら、Bone、27:471〜478頁(2000)およびそれらに列挙された参照文献参照]。したがって、PTHおよびその断片、例えば、hPTH(1−34)は、骨粗鬆症の治療において、単独でまたはその他の薬剤、例えば、本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターと組み合わせて、有効であるとわかる。ヒトPTHの注射可能組換え型、Forteo(テリパラチド)は、米国では骨粗鬆症の治療用に規制認可を受けている。
【0118】
また、本発明のSARMとの組合せにおいて有用なものは、Gowenらによって「Antagonizing the parathyroid calsium receptor stimulates parathyroid hormone secretion and bone formation in osteopenic rats」、J.Clin.Invest.105:1595〜604頁(2000)に記載されたような、PTHの分泌を誘導するカルシウム受容体アンタゴニストである。
【0119】
成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンなどもまた、骨粗鬆症の治療のために、構造式Iの化合物とともに用いることができる骨同化剤である。代表的な成長ホルモン分泌促進物質は、米国特許第3,239,345号、同4,036,979号、同4,411,890号、同5,206,235号、同5,283,241号、同5,284,841号、同5,310,737号、同5,317,017号、同5,374,721号、同5,430,144号、同5,434,261号、同5,438,136号、同5,494,919号、同5,494,920号、同5,492,916号、同5,536,716号、EPO特許公報第0,144,230号、同0,513,974号、PCT特許公報WO94/07486、同WO94/08583、同WO94/11012、同WO94/13696、同WO94/19367、同WO95/03289、同WO95/03290、同WO95/09633、同WO95/11029、同WO95/12598、同WO95/13069、同WO95/14666、同WO95/16675、同WO95/16692、同WO95/17422、同WO95/17423、同WO95/34311、同WO96/02530、Science、260、1640〜1643頁(1993年6月11日)、Ann.Rep.Med.Chem.、28:177〜186頁(1993)、Bioorg.Med.Chem.Lett.、4:2709〜2714頁(1994)およびProc.Natl.Acad.Sci.USA、92:7001〜7005頁(1995)に開示されている。
【0120】
インスリン様成長因子(IGF)も、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。インスリン様成長因子は、単独またはIGF結合タンパク質3と組み合わせたインスリン様成長因子IおよびIGFIIから選択することができる[Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press中のJohannsonおよびRosen、「The IGFs as potential therapy for metabolic bone diseases」、1996、およびGhironら、「Effects of recombinant insulin−like growth factor−I and growth hormone on bone turnover in elderly women」、J.Bone Miner.Res.10:1844〜52頁(1995)参照]。
【0121】
骨形態形成タンパク質(BMP)も、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。骨形態形成タンパク質としては、BMP2、3、5、6、7ならびに関連分子TGFβおよびGDF5が挙げられる[J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press中のRosenら、「Bone morphogenetic proteins」、1996およびWang EA、「Bone morphogenetic proteins(BMPs):therapeutic potential in healing bony defects」、Trends Biotechnol.、11:379〜83頁(1993)]。
【0122】
BMPアンタゴニズムの阻害剤もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。BMPアンタゴニスト阻害剤は、一実施形態では、BMPアンタゴニストの阻害剤SOST、ノッジン(noggin)、コルジン(chordin)、グレムリン(gremlin)およびダン(dan)から選択される[MassagueおよびChen、「Controlling TGF−beta signaling」、Genes Dev.、14:627〜644頁、2000、Aspenbergら、「The bone morphogenetic proteins antagonist Noggin inhibits membranous ossification」、J.Bone Miner.Res.16:497〜500頁、2001、Brunkowら、「Bone dysplasia sclerosteosis results from loss of the SOST gene product,a novel cystine knot−containing protein」、Am.J.Hum.Genet.68:577〜89頁(2001)]。
【0123】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターはまた、骨減少を伴う症状、例えば、骨粗鬆症の治療のために、ポリペプチドオステオプロテジェリンと併用することができる。オステオプロテジェリンは哺乳類オステオプロテジェリンであることが好ましく、ヒトオステオプロテジェリンがより好ましい。ポリペプチドオステオプロテジェリン、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーは、骨減少の増加を特徴とする骨疾患、例えば、骨粗鬆症を治療するのに有用である。その全文が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,288,032号が参照される。
【0124】
プロスタグランジン誘導体もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。プロスタグランジン誘導体は、一実施形態では、プロスタグランジン受容体EP1、EP2、EP4、FPおよびIPまたはその誘導体のアゴニストから選択される[Bilezikianら編、Principles of Bone Biology.San Diego:Academic Press中のPilbeamら、「Prostaglandins and bone metabolism」、1996、Weinrebら、「Expression of the prostaglandi E(2)(PGE(2))receptor subtype EP(4)and its regulation by PGE(2)in osteoblastic cell lines and adult rat bone tissue」、Bone、28:275〜81頁(2001)]。
【0125】
繊維芽細胞成長因子もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。繊維芽細胞成長因子としては、aFGF、bFGFおよびFGF活性を有する関連ペプチドが挙げられる[J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology.San Diego:Academic Press中のHurley Florkiewicz、「Fibroblast growth factor and vascular endothelial growth factor families」、1996]。
【0126】
骨再吸収阻害剤や骨同化剤の他に、正確には規定されていない機序によって骨格に有益であることが知られている他の薬剤もある。これらの薬剤を構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターと組み合わせることも好都合であり得る。
【0127】
ビタミンDおよびビタミンD誘導体もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。ビタミンDおよびビタミンD誘導体としては、天然ビタミンD、25−OH−ビタミンD3、1α,25(OH)ビタミンD3、1α−OH−ビタミンD3、lα−OH−ビタミンD2、ジヒドロタキステロール、26,27−F6−1α,25(OH)ビタミンD3、19−ノル−1α,25(OH)ビタミンD3、22−オキサカルシトリオール、カルシポトリオール(carcipotriol)、1α,25(OH)−16−エン−23−イン−ビタミンD3(Ro23−7553)、EB1089、20−エピ−1α,25(OH)ビタミンD3、KH1060、ED71、1α,24(S)−(OH)ビタミンD3、1α,24(R)−(OH)ビタミンD3が挙げられる[J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press中のJones G、「Pharmacological mechanisms of therapeutics:vitamin D and analogs」、1996参照]。
【0128】
ビタミンKおよびビタミンK誘導体もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。ビタミンKおよびビタミンK誘導体としては、メナテトレノン(ビタミンK2)が挙げられる[Shirakiら、「Vitamin K2(menatetrenone)effectively prevents fractures and sustains lumbar bone mineral density in osteoporosis」、J.Bone Miner.Res.15:515〜521頁(2000)参照]。
【0129】
イプリフラボンをはじめとするダイズイソフラボンも、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。
【0130】
フッ化ナトリウム(NaF)およびモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)をはじめとするフッ化物塩もまた、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。カルシウム栄養補助食品も、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターとともに用いることができる。カルシウム栄養補助食品としては、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウムおよび天然カルシウム塩が挙げられる(J.P.Bilezikianら編、Principles of Bone Biology、San Diego:Academic Press中のHeaney、Calcium、1996)。
【0131】
骨再吸収阻害剤、骨同化剤および構造式Iの化合物と併用する場合に骨格の利益になるよう使用できる他の薬剤の1日投与量範囲は、当技術分野で知られているものである。かかる組合せでは、一般に、構造式Iの組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの1日投与量範囲は、成人1日当たり0.01〜1000mg、より好ましくは0.1〜200mg/日である。しかし、併用薬剤の効力の増加のために、各薬剤の用量を減少させるよう調節を行うこともできる。
【0132】
特に、ビスホスホネートを用いる場合には、治療には、2.5〜100mg/日の投与量(遊離ビスホスホン酸として測定して)が適当であり、5〜20mg/日がより好ましく、特に約10mg/日である。予防的には、約2.5〜約10mg/日、特に、約5mg/日の用量を用いるべきである。副作用の減少には、構造式Iの化合物とビスホスホネートの組合せを週1回投与することが望ましい。週1回の投与には、週当たり約15mg〜700mgのビスホスホネートと0.07〜7000mgの構造式Iの化合物という用量を、個別にまたは組合せ投与形のいずれかで用いればよい。構造式Iの化合物は、特に、週1回の投与のためには、徐放性送達装置において投与するのが好都合であり得る。
【0133】
アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症および高脂血症の治療には、構造式Iの化合物は、1種または複数のさらなる活性な薬剤と組み合わせて効率的に投与することができる。さらなる活性な薬剤または薬剤類は、HMG−CoA還元酵素阻害剤などの脂質を変化させる化合物、または他の薬剤的活性を有する薬剤、または脂質を変化させる作用とその他の薬剤的活性の双方を有する薬剤であり得る。HMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、それだけには限らないが、ロバスタチン(米国特許第4,342,767号参照)、シンバスタチン(米国特許第4,444,784号参照)、ジヒドロキシオープンアシッドシンバスタチン、特に、そのアンモニウム塩またはカルシウム塩、プラバスタチン、特に、そのナトリウム塩(米国特許第4,346,227号参照)、フルバスタチン、特に、そのナトリウム塩(米国特許第5,354,772号参照)、アトルバスタチン、特に、そのカルシウム塩(米国特許第5,273,995号参照)、セリバスタチン、特に、そのナトリウム塩(米国特許第5,177,080号参照)およびNK−104とも呼ばれるニスバスタチン(PCT国際公開WO97/23200参照)をはじめとする、ラクトン化またはジヒドロキシオープンアシッド型のスタチンならびにその製薬上許容される塩およびエステルが挙げられる。構造式Iの化合物と併用できるさらなる活性な薬剤としては、それだけには限らないが、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られる)、ACAT−1またはACAT−2の選択的阻害剤ならびにACAT−1および−2の二重阻害剤をはじめとするアシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、プロブコール、ナイアシン、米国特許第5,767,115号および同5,846,966号に記載されている、エゼチミブおよび1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンとしても知られるSCH−58235などのコレステロール吸収阻害剤、胆汁酸抑制薬、LDL(低密度リポタンパク質)受容体インデューサー、血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニストおよびアスピリン、一般にグリタゾンと呼ばれる化合物、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾンを含み、またチアゾリジンジオンとして知られる構造的クラス内に含まれる化合物ならびにチアゾリジンジオン構造的クラス外のPPARγアゴニストを含む、ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト、クロフィブラート、微粉末化フェノフィブラート(fenofibrate)をはじめとするフェノフィブラートおよびゲムフィブロジルなどのPPARαアゴニスト、PPAR二重α/γアゴニスト、ビタミンB(ピリドキシンとしても知られる)およびHCl塩などのその製薬上許容される塩、ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる)、葉酸またはナトリウム塩およびメチルグルカミン塩などのその製薬上許容される塩もしくはエステル、ビタミンCおよびEおよびβカロテンなどの抗酸化ビタミン、β−遮断薬、ロサルタンなどのアンギオテンシンIIアンタゴニスト、エナラプリルおよびカプトプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤、ニフェジピンおよびジルチアザム(diltiazam)などのカルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、ABC1遺伝子発現を増強するLXRリガンドなどの薬剤、アレンドロン酸ナトリウムなどのビスホスホネート化合物およびロフェコキシブおよびセレコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤ならびにこれらの症状の治療において有用であることが知られている他の薬剤が挙げられる。
【0134】
構造式Iの化合物と併用する場合のHMG−CoA還元酵素阻害剤の1日投与量の範囲は、当技術分野で知られているものに相当する。同様に、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤(スクアレンシンターゼ阻害剤としても知られる)、ACAT−1またはACAT−2の選択的阻害剤ならびにACAT−1および−2の二重阻害剤をはじめとするアシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、ミクロソームのトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)阻害剤、プロブコール、ナイアシン、エゼチミブをはじめとするコレステロール吸収阻害剤、胆汁酸抑制薬、LDL(低密度リポタンパク質)受容体インデューサー、血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニストおよびアスピリン、ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)アゴニスト、PPARαのアゴニスト、PPAR二重α/γアゴニスト、ビタミンB、ビタミンB12、葉酸、抗酸化ビタミン、β−遮断薬、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、カルシウムチャンネル遮断薬、エンドセリンアンタゴニスト、ABC1遺伝子発現を増強するLXRリガンドなどの薬剤、ビスホスホネート化合物およびシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤の1日投与量範囲も、組み合わせて投与する場合には、構造式Iの化合物との併用作用のために投与量は幾分か減少することがあるものの、当技術分野で知られているものに相当する。
【0135】
本発明の一実施形態は、治療上有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳類において骨代謝回転マーカーをもたらす方法である。それだけには限らないが、骨代謝回転マーカーの例は、I型コラーゲンの尿中C−テロペプチド分解産物(CTX)、I型コラーゲンの尿中N−テロペプチド架橋(NTX)、DXAおよびDPDから選択することができる。
【0136】
本発明の方法によれば、組合せの個々の構成要素は、治療の過程の間の異なる時間に個別に投与することができ、分割または単回組合せ形で同時に投与することもできる。したがって、本発明は、同時または交互治療のすべてのかかる投与計画を受け入れていると理解されるべきであり、用語「投与する」はそれに応じて解釈されるべきである。本発明の化合物のその他の薬剤との組合せの範囲は、アンドロゲン欠乏によって引き起こされる疾病またはアンドロゲンの添加によって寛解され得る疾病の治療に有用であるということは理解されよう。
【0137】
本発明の化合物の調製の説明に用いた略語:
AcOH 酢酸
BOP ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Bu ブチル
calc. 計算した
CHCl 塩化メチレン
CBZ(Cbz) ベンジルオキシカルボニル
CsCO 炭酸セシウム
DDQ 2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン
DEAD ジエチルアゾジカルボキシレート
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDC 1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドHCl
ES−MS エレクトロンスプレー質量分析
Et エチル
EtO ジエチルエーテル
EtN トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
FAB 高速原子衝撃
FN(SOPh) N−フルオロベンゼンスルホンイミド
HOAt 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HOBt N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高性能液体クロマトグラフィー
HRMS 高分解能マススペクトル
i−PrOH イソプロピルアルコール
LAH 水素化リチウムアルミニウム
LDA リチウムジイソプロピルアミド
Me メチル
MF 分子式
MgSO 硫酸マグネシウム
MS マススペクトル
NMM N−メチルモルホリン
NaSO 硫酸ナトリウム
Ph フェニル
PhS(O)OMe メチルベンゼンスルフィネート
Pr プロピル
r.t. 室温
NaHCO 炭酸水素ナトリウム
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0138】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物は、以下の反応スキームおよび実施例に記載した手順またはその改変にしたがって、容易に入手可能な出発物質、試薬および合成有機化学の当業者にはよく知られている従来の手順またはその変法を用いて調製することができる。スキーム中の変数の特定の定義は、単に例示目的で示すものであって、記載した手順を限定しようとするものではない。
【0139】
構造式1〜5の選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)を、スキーム1に概説されたように調製した。出発物質は、G.H.Rasmussonら、J.Med.Chem.、27:1690〜1701頁(1984)に開示されている17β−カルボキシレート1−1とした。
【0140】
【化5】

【0141】
別法として、構造式1〜5の化合物をスキーム2に示した中間体1〜3から調製した。
【0142】
【化6】

【0143】
スキーム3中の構造式3〜6の化合物は、以下のスキーム3に概説したように調製した。出発物質は、G.H.Rasmussonら、J.Med.Chem.、29:2298〜2315頁(1986)およびR.L.Tolmanら、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.、60:303〜309頁(1997)に開示されている17β−カルボン酸3−1とした。
【0144】
【化7】


【0145】
別法として、構造式3〜6の化合物を、スキーム4に示した中間体3〜5から調製した。
【0146】
【化8】

【0147】
本発明の化合物の調製および使用をさらに詳細に示すために、以下の実施例を提供する。それらは本発明の範囲を多少なりとも制限しようとするものではなく、そのように解釈されるべきではない。さらに、以下の実施例に記載された化合物が、本発明として考えられる唯一の種類を形成すると解釈されるべきではなく、化合物のどんな組合せも、またはその一部もそれ自体が一種類を形成し得る。当業者であれば、以下の調製手順の条件および方法の既知の変法を用いてこれらの化合物を調製することができるということは容易に理解されよう。すべての温度は、特に断りのない限り、摂氏温度である。
【0148】
【化9】

【0149】
(実施例1)
ステップA:2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボン酸メチルエステル(1−2)
THF(100mL)中、1−1(7.5g、21.6mmol)の溶液に、−78℃で、THF(17.3mL、25.9mmol)中、1.5M LDAの溶液を、20分かけて滴下し、次いで、1時間攪拌した。次いで、THF(40mL)中、FN(SOPh)(10.2g、32.4mmol)の溶液を20分かけて加えた。30分後、冷却槽を取り除き、反応物を14時間攪拌した。EtOを加え、この混合物を水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで、濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤としてヘキサン〜EtOAc)により、1−2(4.2g)が、無色の固体として得られた。
【0150】
MS計算値M+H:366、実測値366.1。
【0151】
ステップB:2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボン酸メチルエステル(1−3)
THF(400mL)中、1−2(30g、82.1mmol)の溶液に、−78℃で、THF(71.1mL、107mmol)中、1.5M LDAの溶液を30分かけて滴下し、次いで、1時間攪拌した。次いで、メチルベンゼンスルフィネート(19.23g、123mmol)を15分かけて加えた。30分後、冷却槽を取り除き、反応物を1時間攪拌した。EtOを加え、この混合物を水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで、濃縮した。残渣をトルエン(200mL)に溶解し、還流で2時間加熱した。溶媒蒸発と残渣のシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤としてヘキサン〜50%EtOAc/ヘキサン)により、1−3(20.4g)が淡黄色の固体として得られた。
【0152】
MS計算値M+H:364、実測値364.1。
【0153】
ステップC:2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボン酸(1−4)
1,4−ジオキサン(50mL)中、1−3(2.4g、6.6mmol)の溶液に、水酸化リチウム(0.41g、9.9mmol)水溶液(20mL)の溶液を加え、この混合物を100℃で3時間加熱した。冷却した後、混合物を酢酸エチルで希釈し、次いで、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで、濃縮すると、1−4(2.2g)が淡黄色の固体として得られる。
【0154】
MS計算値M+H:350、実測値350。
【0155】
ステップD:N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド(5−1)
DMF(2mL)に溶かした、1−4(0.12g、0.34mmol)、EDC(0.079g、0.41mmol)、HOAt(0.056g、0.41mmol)、NMM(0.15mL、1.37mmol)および2−フルオロベンジルアミン(0.52g、0.41mmol)の混合物を14時間攪拌した。この混合物を水で希釈し、濾過し、固体を水、次いで、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させると、5−1(0.12g)が淡黄色の固体として得られる。
【0156】
MS計算値M+H:457.2661、実測値457.2666。
【0157】
【化10】

【0158】
(実施例2)
ステップA:S−(ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボチオエート(2−1)
トルエン(10mL)に溶かした、1−4(0.80g、2.30mmol)、2,2’−ジチオピリジン(1.01g、4.6mmol)およびトリフェニルホスフィン(1.2g、4.6mmol)の混合物を14時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、固体をトルエン(5mL)に懸濁し、ジエチルエーテルで希釈した。濾過によってこの固体を回収し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで真空下で乾燥させると、2−1(0.12g)が淡黄色の固体として得られる。
【0159】
MS計算値M+H:443、実測値443。
【0160】
ステップB:N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド(6−1)
ジクロロメタン(3mL)に溶かした、2−1(0.25g、0.57mmol)、2−トリフルオロメチルアニリン(0.18g、1.13mmol)および銀(II)トリフレート(0.15g、0.57mmol)の混合物を14時間攪拌した。溶媒を蒸発させた後、残渣のシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤としてヘキサン〜EtOAc)により、6−1(0.12g)が淡黄色の固体として得られた。
【0161】
MS計算値M+H:493.2473、実測値493.2470。
【0162】
表1の実施例3〜50は、実施例1および2と同様の方法ではあるが、カルボキサミドを作製するのに適当なアミンを用いて調製した。
【0163】
【表1】






【0164】
【化11】


【0165】
(実施例51)
ステップA:4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボン酸(3−2)
3−1(13.2g、39.82mmol)およびEtOH(200ml)の懸濁液に、LiOH(20ml HOに溶かした2g、47.8mmol)を加えた。この溶液に、10%Pd/C(1g)を加え、次いでこの混合物を1atmH下で4.0時間攪拌した。この反応物を、セライトパッドを通して濾過し、次いで、濃縮した。残渣に、1N HClを加えた。形成された固体を回収し、EtOで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させると、3−2(10.5g)が白色固体として得られる。
【0166】
ステップB:4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボン酸4−メトキシベンジルエステル(3−3)
3−2(10.5g、31.48mmol)およびDMF(200ml)の懸濁液に、CsCO(10g、47.8mmol)および4−メトキシベンジルクロリド(5.9g、37.78mmol)を加えた。この混合物を60℃に一晩加熱した。EtOAcを加え、この混合物を1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濃縮した。残渣をEtOAcを用いてトリチュレートし、次いで、濾過した。この溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤としてヘキサン〜EtOAc)に付すと、3−3(7.22g)が白色固体として得られる。
【0167】
MS計算値M+H:454.6、実測値454.3。
【0168】
ステップC:2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボン酸4−メトキシベンジルエステル(3−4)
THF(100mL)中、3−3(7.2g、15.9mmol)の溶液に、−78℃で、THF(12.7mL、19.05mmol)中、1.5M LDAの溶液を20分かけて滴下し、次いで、1時間攪拌した。次いで、THF(40mL)中、FN(SOPh)(6.0g、19.05mmol)の溶液を20分かけて加えた。30分後、冷却槽を取り除き、反応物を14時間攪拌した。EtOを加え、次いで、水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで、濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出剤としてヘキサン〜EtOAc)により、3−4(3.1g)が無色の固体として得られた。
【0169】
MS計算値M+H:472.6、実測値472.3。
【0170】
ステップD:2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボン酸(3−5)
CHCl(20ml)中、3−4(3.1g、6.57mmol)の溶液に、TFA(10ml)を加えた。30分後、溶液を濃縮し、次いで、トルエンを用いて共沸した。残渣をCHClに溶解し、次いで、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO)、次いで、濃縮すると、3−5(2.1g)が白色固体として得られる。
【0171】
MS計算値M+H:352.5、実測値352.2。
【0172】
ステップE:N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド(7−1)
DMF(2mL)に溶かした、3−5(0.10g、0.285mmol)、EDC(0.066g、0.34mmol)、HOAt(0.047g、0.34mmol)、NMM(0.13mL、1.14mmol)および2−フルオロベンジルアミン(0.52g、0.41mmol)の混合物を14時間攪拌した。この混合物を、水で希釈し、濾過し、固体を水、次いで、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させると、7−1(0.12g)が淡黄色の固体として得られる。
【0173】
MS計算値M+H:459.2818、実測値459.2812。
【0174】
【化12】

【0175】
(実施例52)
ステップA:S−(ピリジン−2−イル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボチオエート(4−1)
スキーム4に記載した手順を利用して、4−1を、3−5から調整した。MS計算値M+H:445、実測値445.1。
【0176】
ステップB:N−(2−トリフルオロフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド(8−1)
スキーム4に記載した手順を利用して、8−1を、4−1から調整した。MS実測値M+H:495.2624。
【0177】
表2の実施例53〜67は、実施例51および52と同様の方法ではあるが、カルボキサミドを作製するのに適当なアミンを使用して調製した。
【0178】
【表2】


【0179】
(実施例68)
経口組成物
本発明の化合物の経口組成物の具体的な実施形態として、本発明の化合物50mgを十分に細かく粉砕したラクトースと配合して総量580〜590mgとし、0サイズのハードゼラチンカプセルに詰める。
【0180】
(実施例69)
経皮パッチ製剤
成分 量
式Iの化合物 40g
シリコン液 45g
コロイド二酸化シリコン 2.5g
【0181】
シリコン液と構造式Iの化合物を混合し、コロイド二酸化シリコンを加えて粘度を高める。次いで、この材料を、ポリエステル剥離ライナー、シリコンまたはアクリルポリマーからなる皮膚接触接着剤、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリビニルアセテートまたはポリウレタン)である制御膜およびポリエステル多積層物製の不透過性裏打ち膜からなる、逐次ヒートシールした重合体の積層物中に盛り込む。次いで、得られた積層シートを10cmのパッチに切断する。100パッチ当たり。
【0182】
(実施例70)
座剤
成分 量
構造式Iの化合物 25g
ポリエチレングリコール1000 1481g
ポリエチレングリコール4000 494g
【0183】
ポリエチレングリコール1000とポリエチレングリコール4000を混合し、融解する。構造式Iの化合物を、溶解混合物に混合し、型に流し入れ、放冷する。1000個の座剤当たり。
【0184】
(実施例71)
注射用溶液
成分 量
構造式Iの化合物 5g
緩衝剤 適量
プロピレングリコール 400mg
注射用水 600mL
【0185】
構造式Iの化合物と緩衝剤を約50℃でプロピレングリコールに溶解する。次いで、注射用水を攪拌しながら加え、得られた溶液を濾過し、アンプルに詰め、密閉し、オートクレーブ処理することによって滅菌する。1000個のアンプル当たり。
【0186】
(実施例72)
注射用溶液
成分 量
構造式Iの化合物 5g
緩衝剤 適量
硫酸マグネシウム七水和物 100mg
注射用水 880mL
【0187】
構造式Iの化合物、硫酸マグネシウム七水和物および緩衝剤を、攪拌しながら注射用水に溶解し、得られた溶液を濾過し、アンプルに詰め、密閉し、オートクレーブ処理することによって滅菌する。1000個のアンプル当たり。
【0188】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの活性を特性決定するために、以下のアッセイを用いた。
【0189】
SARM活性を有する化合物を同定するためのIN VITROおよびIN VIVOアッセイ
1.内因的に発現されたAR物質に対する化合物親和性についての、ヒドロキシルアパタイトをベースとする放射性リガンド置換アッセイ
結合バッファー:TEGM(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1mM β−メルカプトエタノール、10mM モリブデン酸ナトリウム、pH7.2)
50%HAPスラリー:10mM Tris、pH8.0および1mM EDTA中、Calbiochem ヒドロキシルアパタイト、ファストフロー(Fast Flow)。
【0190】
洗浄バッファー:40mM Tris、pH7.5、100mM KCI、1mM EDTAおよび1mM EGTA。95% EtOH
メチルトリエノロン、[17α−メチル−3H]、(R1881);NEN NET590
メチルトリエノロン(R1881)、NEN NLP005(95% EtOHに溶解)
ジヒドロテストステロン(DHT)[1,2,4,5,6,7−H(N)]NEN NET453
ヒドロキシルアパタイトファストフロー;Calbiochemカタログ番号391947
モリブデン酸塩=モリブデン酸(Sigma、M1651)
【0191】
MDA−MB−453細胞培養培地:
RPMI 1640(Gibco 11835−055)w/23.8mM NaHCO、2mM L−グルタミン
500mLの完全培地中 最終濃度
10mL(1M Hepes) 20mM
5mL(200mM L−glu) 4mM
0.5mL(10mg/mL ヒトインスリン) 10μg/mL
0.01N HCl Calbiochem407694−S)中、
50mL FBS(Sigma F2442) 10%
1mL(10mg/mL ゲンタマイシン 20μg/mL
Gibco15710−072)
【0192】
細胞継代:
細胞(Hall R.E.ら、European Journal of Cancer、30A:484〜490頁(1994))をPBSで2回すすぎ、フェノールレッド不含トリプシン−EDTAを同じPBSに1:10希釈する。細胞層を1×トリプシンですすぎ、過剰のトリプシンを注ぎ出し、細胞層を37℃で約2分間インキュベートする。フラスコを軽くたたき、細胞の剥離のサインを調べる。細胞がフラスコから剥がれて滑りはじめたら、完全培地を加えてトリプシンを失活させる。この時点で細胞を計数し、次いで、適当な濃度に希釈し、さらなる培養のためにフラスコまたはディッシュに分ける(通常、1:3〜1:6希釈)。
【0193】
MDA−MB−453細胞溶解物の調製
MDA細胞が70〜85%コンフェルトである時に、それらを前記の通りに剥がし、4℃、1000gで10分間遠心分離することによって回収する。細胞ペレットをTEGM(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1mM β−メルカプトエタノール、10mM モリブデン酸ナトリウム、pH7.2)で2回洗浄する。最後の洗浄後に、細胞をTEGMに10個細胞/mLの濃度で再懸濁する。この細胞懸濁液を液体窒素またはエタノール/ドライアイス浴中で素早く凍結し、−80℃のフリーザーのドライアイス上に移す。結合アッセイを準備する前に、凍結サンプルをちょうど解けるまで氷−水上に置く(約1時間)。次いで、サンプルを4℃、12,500g〜20,000gで30分間遠心分離する。直ちに、上清を準備したアッセイに用いる。50μLの上清を用いれば、試験化合物を50μLのTEGMバッファー中に調製できる。
【0194】
マルチプル化合物スクリーニングの手順:
1×TEGMバッファーを調製し、同位元素含有アッセイ混合物を以下の順序で調製する:EtOH(反応液中、2%最終濃度)、H−R1881またはH−DHT(反応液中、0.5nM最終濃度)および1×TEGM[例えば、100サンプル当たり、200μL(100×2)のEtOH+4.25μLの1:10 H−R1881ストック+2300uL(100×23)1×TEGM]。化合物を段階希釈し、例えば、出発最終濃度が1μMであり、化合物が、2連のサンプルについて、25μLの溶液中にある場合には、75μLの4×1μM溶液を作製し、72μLのバッファーに3μLの100μMを加え、1:5段階希釈する。
【0195】
25μLのH−R1881トレースおよび25μLの化合物溶液をまず混合し、次いで、50μLの受容体溶液を加える。反応物を穏やかに混合し、約200rpmで短時間回転させ、4℃で一晩インキュベートする。100μLの50%HAPスラリーを調製し、インキュベートした反応物に加え、これを次いで、ボルテックス処理し、氷上で5〜10分間インキュベートする。反応物をインキュベートする間、反応混合物を3回以上ボルテックス処理してHAPを再懸濁させる。次いで、96ウェル形式のサンプルをTheFilterMate(商標)Universal Harvester plate washer(Packard)を用いて洗浄バッファーで洗浄した。洗浄プロセスによって、リガンドが結合している発現された受容体を含有するHAPペレットを、Unifilter−96 GF/Bフィルタープレート(Packard)に移す。フィルタープレート上のHAPペレットを、50μLのMICROSCINT(Packard)シンチリント(scintillint)とともに30分間インキュベートし、次いで、TopCountマイクロシンチレーションカウンター(Packard)でカウントする。R1881を参照として用いてIC50を計算する。本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、1マイクロモル未満のIC50値を示す。
【0196】
2.MMP1プロモーター抑制、一過性トランスフェクションアッセイ(TRAMPS)
HepG2細胞を、37℃で5%COを用いて、10%チャコール処理FCS含有、フェノールレッド不含MEMで培養する。トランスフェクションのために、細胞を10,000個細胞/ウェルで96ウェル白色、透明底プレートにプレーティングする。24時間後、細胞を、製造業者によって推奨されたプロトコールにしたがって、FuGENE6トランスフェクション試薬を用いて、MMP1プロモーター−ルシフェラーゼレポーター構築物とアカゲザル発現構築物(50:1比)を用いて同時トランスフェクトする。MMP1プロモーター−ルシフェラーゼレポーター構築物は、ヒトMMP1プロモーター断片(−179/+63)をpGL2ルシフェラーゼレポーター構築物(Promega)に挿入することによって作製し、アカゲザルAR発現構築物は、CMV−Tag2B発現ベクター(Stratagene)で作製する。細胞をさらに24時間培養し、次いで、MMP1プロモーターの基礎活性を高めるために用いる、100nM ホルボール−12−ミリステート−13−アセテート(PMA)の存在下、試験化合物で処理する。化合物はこの時点で、1000nM〜0.03nMの範囲で、10種の希釈物を、10×濃度、1/10容積で加える。(例えば、すでにウェル中にある100マイクロリットルの培地に10マイクロリットルのリガンドを10×で加える)。細胞をさらに48時間培養する。次いで、細胞をPBSで2回洗浄し、ウェルに70μLの溶解バッファー(1×、Promega)を加えることによって溶解させる。ルシフェラーゼ活性を、1450Microbeta Jet(Perkin Elmer)照度計を用いて96ウェル形式で測定する。試験化合物の活性は、PMA刺激した対照レベルからのルシフェラーゼシグナルの抑制として示される。EC50およびEmax値を報告される。通常、本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、抑制を活性化し、EC50値はマイクロモル以下で、Emax値は約50%より大きい。
【0197】
参照文献:
a.Newberry EP、Willis D、Latifi T、Boudreaux JM、Towler DA、「Fibroblast growth factor receptor signaling activates the human interstitial collagenase promoter via the bipartite Ets−AP1 element」、Mol.Endocrinol.11:1129〜44頁(1997)。
【0198】
b.Schneikert J、Peterziel H、Defossez PA、Klocker H、Launoit Y、Cato AC、「Androgen receptor−Ets protein interaction is a novel mechanism for steroid hormone−mediated down−modulation of matrix metalloproteinase expression」、J.Biol.Chem.271:23907〜23913頁(1996)。
【0199】
3.アンドロゲン受容体のN末端とC末端ドメインのリガンド誘導性相互作用(アゴニスト様式)についての哺乳類2ハイブリッドアッセイ
このアッセイは、ARアゴニストの、rhARのN末端ドメイン(NTD)とC末端ドメイン(CTD)間の相互作用を誘導する能力を評価し、これは、活性化されたアンドロゲン受容体によって媒介されるin vivo男性化の可能性を反映する。rhARのNTDとCTDの相互作用は、CV−1サル腎臓細胞における哺乳類2ハイブリッドアッセイとして、Gal4DBD−rhARCTD融合タンパク質とVP16−rhARNTD融合タンパク質間のリガンド誘導性会合として定量する。
【0200】
トランスフェクションの前日に、CV−1細胞を、DMEM+10%FCS中で、トリプシン処理し、計数し、次いで、20,000個細胞/ウェルで96ウェルプレートまたはより大きいプレートに(スケールアップに応じて)プレーティングする。翌朝、CV−1細胞を、製造供給元によって推奨された手順にしたがって、LIPOFECTANINE PLUS試薬(GIBCO−BRL)を用いて、pCBBl(SV40初期プロモーター下で発現されるGaI4DBD−rhARLBD融合構築物)、pCBB2(SV40初期プロモーター下で発現されるVP16−rhAR NTD融合構築物)およびpFR(Gal4応答性ルシフェラーゼリポーター、Promega)を用いて同時トランスフェクトする。簡単には、3.4uLのOPTI−MEM(GIBCO−BRL)中に混合された0.05μg pCBB1、0.05μg pCBB2および0.1μgのpFRからなるDNA混合物を、「PLUS Reagent」(1.6μL、GIBCO−BRL)と混合し、室温(RT)15分間でインキュベートして予備混合DNAを形成する。
【0201】
各ウェル用に、第2の試験管で0.4μLのLIPOFECTAMINE Reagent(GIBCO−BRL)を4.6μLのOPTI−MEMに希釈し、混合して希釈LIPOFECTAMINE Reagentを形成する。予備混合DNA(前記)と希釈LIPOFECTAMINE Reagent(前記)を合わせ、混合し、RTで15分間インキュベートする。細胞上の培地を40μL/ウェルのOPTI−MEMで置換し、各ウェルに10μLのDNA−脂質複合体を加える。この複合体を培地に穏やかに混合し、5%CO、37℃で5時間インキュベートする。インキュベーション後、200μL/ウェルD−MEMおよび13%のチャコール処理した(charcoal−stripped)FCSを加え、5%CO、37℃でインキュベーションを続ける。24時間後、試験化合物を所望の濃度(1nM〜10μM)で加える。48時間後、LUC−Screenシステム(TROPIX)を用い、製造業者のプロトコールにしたがってルシフェラーゼ活性を測定する。アッセイは、アッセイ溶液1、次いでアッセイ溶液2各50μLを連続して添加することによって、ウェル中で直接実施する。室温で40分間インキュベーションした後、2〜5秒積分して発光を直接測定する。
【0202】
試験化合物の活性は、3nMのR1881によって得た活性と比較したEmaxとして算出する。本発明の通常の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、このアッセイでは、10マイクロモルで50%未満のアゴニスト活性を有する弱いアゴニスト活性を示すか、または示さない。
【0203】
参照文献:
He B,Kemppainen JA、Voegel JJ、Gronemeyer H、Wilson EM、「Activation function in the human androgen receptor ligand binding domain mediates inter−domain communication with the NH(2)−terminal domain」、J.Biol.Chem.、274:37219〜37225頁(1999)。
【0204】
4.アンドロゲン受容体のN末端とC末端ドメイン間の相互作用の阻害(アンタゴニスト様式)についての哺乳類2ハイブリッドアッセイ
このアッセイは、前記のCV−1細胞における哺乳類2ハイブリッドアッセイで、試験化合物の、R1881の、rhARのNTDとCTD間の相互作用に対する刺激作用をアンタゴナイズする能力を評価する。
【0205】
トランスフェクションの48時間後、CV−1細胞を試験化合物で、通常、10μM、3.3μM、1μM、0.33μM、100nM、33nM、10nM、3.3nMおよび1nMの最終濃度で処理する。5%COで37℃で10〜30分間インキュベーションした後、ARアゴニストメチルトリエノロン(R1881)を0.3nMという最終濃度まで加え、37℃でインキュベートする。48時間後、LUC−Screenシステム(TROPIX)を用い製造業者によって推奨されたプロトコールにしたがってルシフェラーゼ活性を測定する。試験化合物の、R1881の作用をアンタゴナイズする能力は、0.3nMのR1881単独を用いた値と比較した相対発光として算出する。
【0206】
本発明のSARM化合物は、このアッセイでは通常、アンタゴニスト活性を示し、IC50値は1マイクロモル未満である。
【0207】
5.アンドロゲン受容体のトランス活性化調節(TAMAR)
このアッセイは、試験化合物の、MDA−MB−453細胞、天然にヒトARを発現するヒト乳癌細胞株においてMMTV−LUCレポーター遺伝子からの転写を制御する能力を評価する。このアッセイは、LUCレポーター遺伝子と連結された改変されたMMTV LTR/プロモーターの誘導を測定する。
【0208】
20,000〜30,000個細胞/ウェルを、白色、透明底96ウェルプレート中の、10%FBS、4mM L−グルタミン、20mM HEPES、10μg/mLヒトインスリンおよび20μg/mLゲンタマイシンを含有するフェノールレッド不含RPMI1640からなる「指数関数的増殖培地」にプレーティングする。インキュベーター条件は37℃および5%COとする。バッチモードでトランスフェクションを行う。細胞をトリプシン処理し、計数して適当な量の新鮮培地中の適切な細胞数とし、次いで、Fugene/DNAカクテルミックスと穏やかに混合し、96ウェルプレートにプレーティングする。すべてのウェルに200μlの培地+脂質/DNA複合体を入れ、次いで、37℃で一晩インキュベートする。トランスフェクションカクテルは、血清不含Optimem、Fugene6試薬およびDNAからなる。カクテル準備のための製造業者(Roche Biochemical)のプロトコールに従う。脂質(μl)とDNA(μg)の比は約3:2とし、インキュベーション時間は室温で20分である。トランスフェクションの16〜24時間後、最終DMSO(媒介物)濃度が<3%であるよう細胞を試験化合物で処理する。細胞を試験化合物に48時間曝露する。48時間後、細胞をPromega細胞培養溶解バッファーによって30〜60分間溶解し、次いで、抽出物中のルシフェラーゼ活性を96ウェル形式の照度計でアッセイする。
【0209】
試験化合物の活性は、100nM R1881を用いて得られた活性に対するEmaxとして算出する。
【0210】
参照文献:
a.R.E.Hallら、「MDA−MB−453、an androgen−responsive human breast carcinoma cell line with high androgen receptor expression」、Eur.J.Cancer、30A:484〜490頁(1994)。
【0211】
b.R.E.Hallら、「Regulation of androgen receptor gene expression by steroids and retinoic acid in human breast−cancer cells」、Int.J.Cancer、52:778〜784頁(1992)。
【0212】
6.In Vivo前立腺アッセイ
9〜10週齢、性的成熟の最も早い齢の雄のスプラーグドーリー(Sprague−Dawley)ラットを予防様式で用いる。目的は、アンドロゲン様化合物が、精巣除去(睾丸摘出術[ORX])後7日間の間に起こる腹側前立腺と精嚢の急速な劣化(約−85%)を遅延する程度を測定することである。
【0213】
ラットに睾丸摘出術(ORX)を行う。各ラットの体重を量り、次いで、イソフルランガスによって麻酔し、達成するためにこれを維持する。陰嚢を体軸方向に1.5cm切開する。右側の精巣を露出させる。精巣動脈と輸精管を、精巣まで0.5cmの近位部で4.0シルクで結紮する。結紮部位から遠位で、小型の手術用鋏で1回切断して精巣を切り離す。組織スタンプを陰嚢にもどす。同じことを左側の精巣に繰り返す。陰嚢に両スタンプを戻したら、陰嚢と覆っている皮膚を4.0シルクで縫合する。偽ORXのためには、結紮と鋏での切断を除くすべての手順を完了する。ラットは10〜15分内に意識と完全な運動性が十分に戻る。
【0214】
外科的切開を縫合した直後、ラットに、試験化合物の一用量を皮下または経口投与する。さらに6連続日、処置を続ける。
【0215】
剖検および指標:
まず、ラットの体重を量り、次いで、COチャンバー内で瀕死まで麻酔する。心臓穿刺によって約5mlの全血を採取する。次いで、ラットを特定の死徴およびORXの完全性について調べる。次に、前立腺の腹側部分の位置を確認し、高度に様式化された方法で非開切除する。腹側前立腺を、3〜5秒間水分を吸い取って乾燥させ、次いで、秤量する(VPW)。最後に、精嚢の位置を確認し、切除する。腹側精嚢を、3〜5秒間水分を吸い取って乾燥させ、次いで秤量する(SVWT)。
【0216】
このアッセイの一次データは、腹側前立腺と精嚢の重量である。二次データとしては、血清LH(黄体形成ホルモン)およびFSH(卵胞刺激ホルモン)および骨形成および男性化についての可能性ある血清マーカーが挙げられる。データは群間の差を同定するために、ANOVAおよびFisher PLSDポストホックテスト(post−hoc test)によって解析する。試験化合物が、ORX誘導性のVPWおよびSVWTの減少を阻害する程度を評価する。
【0217】
7.In Vivo骨形成アッセイ
成人ヒト女性をシミュレートするために、7〜10カ月齢の雌のスプラーグドーリーラットを治療様式で用いる。ラットには、骨減少を引き起こし、エストロゲン欠乏、骨減少性成人ヒト女性をシミュレートするために、75〜180日前に卵巣切除(OVX)を行っておく。低用量の強力な抗吸収性、アレンドロネート(0.0028mpk SC、2×/週)での予備処置を、0日に開始する。15日に、試験化合物での処置を開始する。15〜31日は試験化合物治療を行い、32日に剖検を行う。目的は、骨膜表面での蛍光色素標識の増加によって示される、アンドロゲン様化合物が骨形成量を増加させる程度を測定することである。
【0218】
通常のアッセイでは、各々7個体のラットからなる9群を調べる。
【0219】
19日および29日(処置5日目および15日目)に、各ラットにカルセイン(8mg/kg)を1回皮下注射する。
【0220】
剖検および指標:
まず、ラットの体重を量り、次いで、COチャンバー内で瀕死まで麻酔する。心臓穿刺によって約5mLの全血を採取する。次いで、ラットを特定の死徴およびOVXの完全性について調べる。まず、子宮の位置を確認し、高度に様式化された方法で非開切除し、3〜5秒間水分を吸い取って乾燥させ、次いで、秤量する(UW)。子宮を10%中性緩衝ホルマリンに入れる。次に、右足の股関節を外す。大腿骨と脛骨を膝で分け、しっかりと肉を除き、次いで、70%エタノールに入れる。
【0221】
中央に大腿骨近位−遠位中間点を含む右大腿骨の中央1cmの断片をシンチレーションバイアルに入れ、段階的なアルコールおよびアセトン中で脱水し、脱脂し、次いで、メチルメタクリレートの濃度を徐々に高めた溶液に入れる。90%エチルメタクリレート:10%フタル酸ジブチルの混合物中に包埋し、48〜72時間重合させる。このビンを割り、プラスチックブロックを、Leica 1600 Saw Microtomeの万力のような標本押さえに都合よく適合する形に整え、骨の長軸を横断面をとるように準備する。厚さ85μmの3つの横断面を調製し、スライドガラスにマウントする。各ラットから骨の中間点に近接する1つの切片を選択し、ブラインドコード化する。各切片の骨膜表面を、全骨膜表面、単一蛍光色素標識、二重蛍光色素標識および標識間距離について評価する。
【0222】
このアッセイの一次データは、二重標識を保持する骨膜表面のパーセンテージと鉱質並置率(標識間距離(μm)/10日)、骨形成の半独立マーカーである。二次的データとしては、子宮重量および組織学的特徴が挙げられる。三次の指標として、骨形成および男性化についての血清マーカーを挙げることもできる。データは、群間の差を同定するために、ANOVAおよびFisher PLSDポストホックテストによって解析する。試験化合物が骨形成指標を増加させる程度を評価する。
【0223】
前記の明細書は、本発明の原則を教示し、実施例は例示目的で提供されるものであって、本発明の実施は、特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にあるような、通常の変法、採用、または改変のすべてを包含するということは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式Iで表される化合物
【化1】

またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体[式中、
nは0、1または2であり、
a−bは、CF=CH、CHFCHまたはCFCHを表し、
は水素、ヒドロキシメチルまたはC1〜3アルキルであり、ここで、アルキルは非置換であるか、または1から7個のフッ素原子で置換されており、
は水素またはC1〜4アルキルであり、

1〜4アルキル、
(CH−シクロヘテロアルキル、および
(CH−アリールから選択され、ここで、アリールは以下から選択され、
(1)フェニル、
(2)ナフチル、
(3)ベンズイミダゾリル、
(4)ベンゾフラニル、
(5)ベンゾチオフェニル、
(6)ベンゾキサゾリル、
(7)ベンゾチアゾリル、
(8)ベンゾジヒドロフラニル、
(9)1,3−ベンゾジオキソリル、
(10)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、
(11)インドリル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)フラニル、
(15)チエニル、
(16)イミダゾリル、
(17)オキサゾリル、
(18)チアゾリル、
(19)イソキサゾリル、
(20)イソチアゾリル、
(21)ピラゾリル、
(22)ピロリル、
(23)ピリジル、
(24)ピリミジル、
(25)ピラジニル、
(26)チアジアゾリル、
(27)オキサジアゾリル、
(28)トリアゾリル、
(29)テトラゾリル、および
(30)インダニル
ここで、アルキル基またはシクロヘテロアルキル基は、非置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、項目(1)〜(30)で定義されるアリール基は非置換であるか、またはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロ−C1〜4アルキル、ペルフルオロ−C1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1〜3個の基で置換されており、(CH中のメチレン(CH)炭素原子はいずれも非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、または2つの置換基は、同一メチレン(CH)基にある場合それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し、
あるいは、RおよびRは一緒になって、N、OおよびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環系と縮合している5または6員の飽和環を形成する]。
【請求項2】
が水素またはメチルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
以下の構造式で表される化合物。
【化2】

またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体[式中、
nは0、1または2であり、
a−bは、CF=CH、CHFCHまたはCFCHを表し、
は水素、ヒドロキシメチルまたはC1〜3アルキルであり、ここで、アルキルは非置換であるか、または1から7個のフッ素原子で置換されており、
は水素またはC1〜4アルキルであり、

1〜4アルキル、および
(CH−アリールから選択され、ここで、アリールは以下から選択され、
(1)フェニル、
(2)ナフチル、
(3)ベンズイミダゾリル、
(4)ベンゾフラニル、
(5)ベンゾチオフェニル、
(6)ベンゾキサゾリル、
(7)ベンゾチアゾリル、
(8)ベンゾジヒドロフラニル、
(9)1,3−ベンゾジオキソリル、
(10)2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、
(11)インドリル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)フラニル、
(15)チエニル、
(16)イミダゾリル、
(17)オキサゾリル、
(18)チアゾリル、
(19)イソキサゾリル、
(20)イソチアゾリル、
(21)ピラゾリル、
(22)ピロリル、
(23)ピリジル、
(24)ピリミジル、
(25)ピラジニル、
(26)チアジアゾリル、
(27)オキサジアゾリル、
(28)トリアゾリル、
(29)テトラゾリル、および
(30)インダニル
ここで、アルキル基またはシクロヘテロアルキル基は、非置換であるか、または、ハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルコキシから独立に選択される1〜3個の置換基で置換されており、項目(1)〜(30)で定義されるアリール基は非置換であるか、またはハロゲン、フェニル、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8シクロヘテロアルキル、フェニル−C1〜6アルキル、アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(C1〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルキルアミノ−C0〜6アルキル、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノ−C0〜6アルキル、C1〜6アルキルチオ、フェニル−C0〜6アルキルチオ、C1〜6アルキルスルフィニル、フェニル−C0〜6アルキルスルフィニル、C1〜6アルキルスルホニル、フェニル−C0〜6アルキルスルホニル、C1〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシ−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C0〜6アルキル、C1〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニル−C0〜6アルキル、ヒドロキシカルボニル−C1〜6アルキルオキシ、ヒドロキシ−C0〜6アルキル、シアノ、ニトロ、ペルフルオロ−C1〜4アルキル、ペルフルオロ−C1〜4アルコキシ、オキソ、C1〜6アルキルカルボニルオキシ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルオキシ、C1〜6アルキルカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルカルボニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルスルホニルアミノ、C1〜6アルコキシカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルコキシカルボニルアミノ、C1〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、フェニル−C0〜6アルキルアミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルアミノ、(C1〜6アルキル)アミノカルボニルオキシおよび(フェニル−C0〜6アルキル)アミノカルボニルオキシから独立に選択される1〜3個の基で置換されており、(CH中のメチレン(CH)炭素原子はいずれも非置換であるか、またはハロゲン、ヒドロキシおよびC1〜4アルキルから独立に選択される1〜2個の基で置換されており、または2つの置換基は、同一メチレン(CH)基にある場合それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し、
あるいは、RおよびRは一緒になって、N、OおよびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子を有する5または6員の芳香族環系と縮合している5または6員の飽和環を形成する]。
【請求項4】
が水素またはメチルである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
a−bがCF=CHを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
a−bがCHFCHを表す請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素であり、Rが(CH−アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
nが0または1である請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
がメチルであり、a−bがCF−CHを表し、Rが水素であり、Rが(CH−アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
nが0または1である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がメチルであり、a−bがCHFCHを表し、Rが水素であり、Rが(CH−アリールである請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
nが0または1である請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がメチルであり、a−bがCF=CHを表し、Rが水素であり、Rが(CH−シクロへテロアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
nが0または1である請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
がメチルであり、a−bがCHFCHを表し、Rが水素であり、Rが(CH−シクロへテロアルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
nが0または1である請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−クロロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(4−メトキシフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−メトキシフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−メチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−メチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(4−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(4−クロロ−2−フルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(α−メチルフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(フェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェニル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−メチルピリジン−2−イル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(チオフェン−3−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−トリフルオロメチルフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(1−メチル−5−トリフルオロメチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5a−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(4−メチルチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−4−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(1−メチルイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(2−トリフルオロメチルフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(3−メトキシフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(4−メトキシフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(2−トリフルオロメチルフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5a−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(2−クロロフェニル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5a−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(1−メチルベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
その製薬上許容される塩および鏡像異性体から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項18】
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5a−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17βカルボキサミド、
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
その製薬上許容される塩および鏡像異性体から選択される請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(S)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド、
N−(テトラヒドロフラン−2(R)−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−l−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
その製薬上許容される塩および鏡像異性体から選択される請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(3−フルオロフェニルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−クロロベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(5−メトキシベンズイミダゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(ベンズチアゾール−2−イルメチル)−2−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスト−1−エン−17β−カルボキサミド、
N−(2−フルオロフェニルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(チアゾール−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
N−(フラン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、および
N−(チオフェン−2−イルメチル)−2α−フルオロ−4−メチル−3−オキソ−4−アザ−5α−アンドロスタン−17β−カルボキサミド、
その製薬上許容される塩および鏡像異性体から選択される請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、アンドロゲン受容体によって媒介される機能の調節を必要とする哺乳類において、前記調節を行う方法。
【請求項22】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、アンドロゲン受容体の機能の活性化を必要とする哺乳類において、前記活性化を行う方法。
【請求項23】
アンドロゲン受容体によって媒介される前記機能が、骨および筋肉組織の少なくとも一方において活性化され、前立腺または子宮では遮断される請求項21に記載の方法。
【請求項24】
アンドロゲン欠乏によって引き起こされるか、アンドロゲン置換によって寛解され得るか、アンドロゲン置換によって増加し得る、筋緊張の減弱、骨粗鬆症、骨減少症、糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症、歯周病、骨折、骨再建術後の骨損傷、サルコペニア、虚弱、加齢肌、男性の性腺機能低下症、女性における閉経後徴候、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、肥満症、再生不良性貧血および他の造血疾患、関節炎症状、HIV消耗、前立腺癌、癌悪液質、筋ジストロフィー、早発閉経および自己免疫疾患から選択される、哺乳類の症状の治療を必要とする哺乳類に、治療上有効量の式Iの化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、前記治療を行う方法。
【請求項25】
前記症状が骨粗鬆症である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療上有効量の請求項11に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、骨粗鬆症を治療する必要のある哺乳類において、その治療を行う方法。
【請求項27】
(a)単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせた、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体、
(b)ビスホスホネート、
(c)抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、
(d)αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、
(e)カテプシンK阻害剤、
(f)HMG−CoA還元酵素阻害剤、
(g)破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、
(h)破骨細胞受容体とのVEGF結合のアンタゴニスト、
(i)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γのアクチベーター、
(j)カルシトニン、
(k)カルシウム受容体アンタゴニスト、
(l)副甲状腺ホルモンまたはその類似体、
(m)成長ホルモン分泌促進物質、
(n)ヒト成長ホルモン、
(o)インスリン様成長因子、
(p)P−38プロテインキナーゼ阻害剤、
(q)骨形態形成タンパク質、
(r)BMPアンタゴニズムの阻害剤
(s)プロスタグランジン誘導体、
(t)ビタミンDまたはビタミンD誘導体、
(u)ビタミンKまたはビタミンK誘導体、
(v)イプリフラボン、
(w)フッ化物塩、
(x)カルシウム栄養補助食品、および
(y)オスエオプロテジェリン
から選択される薬剤を投与することをさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(a)単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせた、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体が、ノルエチンドロンおよびメドロキシプロゲステロンアセテートから選択される少なくとも1種の薬剤を含む、抱合型エストロゲン、ウマエストロゲン、17β−エストラジオール、エストロン、17β−エチニルエストラジオール、17β−エチニルエストラジオールから選択され、
(b)ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、インカドロネート、ミノドロネート、ネリドロネート、オルパドロネート、パミドロネート、ピリドロネート、リセドロネート、チルドロネート、およびゾレドロネートから選択され、
(c)抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーターが、ラロキシフェン、クロミフェン、ズクロミフェン、エンクロミフェン、ナフォキシデン、CI−680、CI−628、CN−55,945−27、Mer−25、U−11、555A、U−100A、タモキシフェン、ラソフォキシフェン、トレミフェン、アゾルキシフェン、EM−800、EM−652、TSE424、ドロロキシフェン、イドキシフェンおよびレボルメロキシフェンから選択され、
(d)HMG−CoA還元酵素阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、ジヒドロキシ−オープンアシッドシンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンおよびニスバスタチンから選択され、
(e)カルシトニンが点鼻薬として投与されるサケカルシトニンであり、
(f)骨形態形成タンパク質が、BMP2、BMP3、BMP5、BMP6、BMP7、TGFβおよびGDF5から選択され、
(g)インスリン様成長因子が、単独またはIGF結合タンパク質3と組み合わせた、IGF IおよびIGF IIから選択され、
(h)プロスタグランジン誘導体が、プロスタグランジン受容体EP1、EP2、EP4、FPおよびIPのアゴニストから選択され、
(i)線維芽細胞成長因子が、aFGFおよびbFGFから選択され、
(j)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH類似体が、PTH皮下注射、ヒトPTH(1−84)、ヒトPTH(1−34)および未変性であるか、または置換を含む他の部分配列から選択され、
(k)ビタミンDまたはビタミンD誘導体が、天然ビタミンD、25−OH−ビタミンD3、1α,25(OH)ビタミンD3、1α−OH−ビタミンD3、1α−OH−ビタミンD2、ジヒドロタキステロール、26,27−F6−1α,25(OH)ビタミンD3、19−ノル−1α,25(OH)ビタミンD3、22−オキサカルシトリオール、カルシポトリオール、1α,25(OH)−16−エン−23−イン−ビタミンD3(Ro23−7553)、EB1089、20−エピ−1α,25(OH)ビタミンD3、KH1060、ED71、1α,24(S)−(OH)ビタミンD3および1α,24(R)−(OH)ビタミンD3から選択され、
(l)カルシウム栄養補助食品が、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウムおよび天然カルシウム塩から選択され、および
(m)フッ化物塩が、フッ化ナトリウムおよびモノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、およびその製薬上許容される塩から選択される
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ビスホスホネートがアレンドロン酸一ナトリウム三水和物またはアレンドロン酸一ナトリウム一水和物である請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記薬剤が、
(a)単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせた、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体、
(b)ビスホスホネート、
(c)抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、
(d)αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、
(e)カテプシンK阻害剤、
(f)破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、
(g)破骨細胞受容体とのVEGF結合のアンタゴニスト、
(h)カルシトニン、
(i)オストプロテグリン(ostoprotegrin)、および
(j)副甲状腺ホルモンまたはその類似体
から選択される請求項20に記載の方法。
【請求項31】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物と製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物。
【請求項32】
(a)単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせた、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体、
(b)ビスホスホネート、
(c)抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、
(d)αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、
(e)カテプシンK阻害剤、
(f)HMG−CoA還元酵素阻害剤、
(g)破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、
(h)破骨細胞受容体とのVEGF結合のアンタゴニスト、
(i)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γのアクチベーター、
(j)カルシトニン、
(k)カルシウム受容体アンタゴニスト、
(1)副甲状腺ホルモンまたは類似体、
(m)成長ホルモン分泌促進物質、
(n)ヒト成長ホルモン、
(o)インスリン様成長因子、
(p)P38プロテインキナーゼ阻害剤、
(q)骨形態形成タンパク質、
(r)BMPアンタゴニズムの阻害剤、
(s)プロスタグランジン誘導体、
(t)ビタミンDまたはビタミンD誘導体、
(u)ビタミンKまたはビタミンK誘導体、
(v)イプリフラボン、
(w)フッ化物塩、
(x)カルシウム栄養補助食品、および
(y)オステオプロテジェリン
から選択される有効成分をさらに含む請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記有効成分が、
(a)単独またはプロゲスチンもしくはプロゲスチン誘導体と組み合わせた、エストロゲンまたはエストロゲン誘導体、
(b)ビスホスホネート、
(c)抗エストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、
(d)αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、
(e)カテプシンK阻害剤、
(f)破骨細胞液胞型ATPアーゼ阻害剤、
(g)カルシトニン、
(h)オステオプロテグリン(osteoprotegrin)、および
(i)副甲状腺ホルモンまたは類似体
から選択される請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記ビスホスホネートがアレンドロネートである請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、骨塩量を増加させる必要がある哺乳類において、前記増加を行う方法。
【請求項36】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、脊椎または非脊椎骨折の危険を低下させる必要がある哺乳類において、前記低下を行う方法。
【請求項37】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、骨代謝回転マーカーをもたらす必要がある哺乳類において、それをもたらす方法。
【請求項38】
請求項1に記載の化合物と製薬上許容される担体とを合わせることによって製造される薬剤組成物。
【請求項39】
請求項1に記載の化合物と製薬上許容される担体とをあわせることを含む、薬剤組成物の製造方法。
【請求項40】
治療上有効量の請求項1に記載の化合物またはその製薬上許容される塩もしくは鏡像異性体を投与することを含む、関節炎症状を治療または予防する必要がある哺乳類において、前記治療または予防を行う方法。
【請求項41】
関節炎症状が関節リウマチおよび骨関節炎から選択される請求項40に記載の方法。

【公開番号】特開2010−168391(P2010−168391A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−55367(P2010−55367)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【分割の表示】特願2003−575972(P2003−575972)の分割
【原出願日】平成15年3月7日(2003.3.7)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】