説明

アンドロゲン受容体モジュレーターとしての2−ヒドロキシ−2−フェニル/チオフェニルプロピオンアミド

構造式(I)の化合物は、組織選択的様式であるアンドロゲン受容体(AR)のモジュレーターである。これらの化合物は衰弱した筋肉緊張力の増強に、及びアンドロゲン欠損を原因とする症状又はアンドロゲン投与により改善し得る症状、例えば、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、虚弱、皮膚老化、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、肥満、再生不良性貧血及び他の造血障害、炎症性関節炎と関節修復、HFV消耗、前立腺がん、良性前立腺肥大(BPH)、腹部脂肪蓄積、メタボリック・シンドローム、II型糖尿病、がん悪液質、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、早発卵巣不全、及び自己免疫疾患などの処置に、単独で又は他の活性薬剤との組合わせで有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−ヒドロキシ−2−フェニル/チオフェニル−プロピオンアミド誘導体、それらの合成、及びアンドロゲン受容体モジュレーターとしてのそれらの使用に関する。より詳しくは、本発明化合物は、組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)であり、したがって、アンドロゲン欠損を原因とする症状、又はアンドロゲンの投与によって改善し得る症状、例えば、骨粗しょう症、歯周病、骨折、虚弱、及び骨格筋減少症などの治療に有用である。さらに、本発明のSARMは、低テストステロンと関連する精神障害、例えば、うつ病、性的機能不全、及び認識力低下などの治療に使用し得る。特定の組織におけるアンタゴニストであるSARMは、上昇したアンドロゲンの濃淡又は活性が引き起こす症状、例えば、良性前立腺肥大及び睡眠時無呼吸症にも有用である。
【背景技術】
【0002】
アンドロゲン受容体(AR)は、ステロイド/甲状腺ホルモン核受容体のスーパーファミリーに属し、その外のメンバーはエストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、糖質コルチコイド受容体、及び鉱質コルチコイド受容体である。ARは身体の多くの組織中に発現され、その受容体を介して、アンドロゲン、例えば、テストステロン(T)及びジヒドロテストステロン(DHT)などの生理的並びに病態生理学的作用が媒介される。構造的に、ARは3つの機能的ドメイン、すなわち、リガンド結合ドメイン(LBD)、DNA−結合ドメイン、及びアミノ末端ドメインから構成される。ARに結合し、内在性ARリガンドの作用を模倣する化合物はARアゴニストといい、他方、内在性ARリガンドの作用を阻害する化合物はARアンタゴニストと呼称する。
【0003】
ARに結合するアンドロゲンリガンドはリガンド/受容体複合体を誘導し、それが細胞の核に転位した後、核に存在する標的遺伝子のプロモーター又はエンハンサー領域内の調節DNA配列(アンドロゲン応答要素という)に結合する。補助因子と命名される他のタンパク質が次に供給され、それが遺伝子転写に導く受容体に結合する。
【0004】
アンドロゲン療法は、生殖障害及び一次又は二次の男性性機能低下症などの様々な男性障害を処置するためのものであった。さらに、多くの天然又は合成ARアゴニストが、骨格筋障害、例えば、骨疾患、造血障害、神経筋疾患、リューマチ性疾患、消耗病などの治療について、及び女性のアンドロゲン欠損症などのホルモン置換療法(HRT)について研究されてきた。さらに、ARアンタゴニスト、例えば、フルタミド及びビカルタミドなどが前立腺がんの治療に使用されている。それ故、男性化及び高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)の抑制など、負のアンドロゲンの性質を示すことなく、所望の骨−及び筋肉−同化作用を生じる組織選択的様式で、ARの機能を活性化(“作動させる”)し得る利用可能な化合物を入手することが有用である。
【0005】
閉経後骨粗しょう症の骨に対するアンドロゲンの有益な作用は、テストステロンとエストロゲンの組合わせ投与による最近の研究において、文献的に証明された[Hofbauer,et al.,Eur.J.Edocrinol.140:271−286(1999)]。大規模に2年かけての二重盲検比較研究において、経口用の抱合エストロゲン(CEE)とメチルテストステロンの併用剤が、脊椎と腰部の骨質量の増加を促進する上で有効であることが証明されたが、一方、抱合エストロゲン療法は単独で骨の喪失を防止した[J.Reprod.Med.,44:1012−1020(1999)]。
【0006】
さらに、CEEとメチルテストステロンで治療した女性の場合、顔面紅潮が減少するという証拠がある;しかし、治療を受けた女性の30%が、現行の薬物療法すべての併発症状であるニキビ及び顔面毛の有意な増加に悩まされた[Watts,et al.,Obstet.Gynecol.,85:529−537(1995)]。メチルテストステロンをCEEに加えると、他の研究でも見られるように、HDLレベルを低下させることも判明した。したがって、現行のアンドロゲン療法の脂質プロフィールによる男性化の可能性と影響は、組織選択的アンドロゲン受容体アゴニストを開発する上での理論的根拠を提供するものである。
【0007】
アンドロゲンは、男性において骨の代謝に重要な役割を果たしている[Anderson,et al.,“骨粗しょう症の発育不良男性におけるアンドロゲンの補足−骨無機質密度と心血管危険因子に対する6ヶ月治療の効果”,Bone,18:171−177(1996)]。骨粗しょう症の発育不良男性においても、テストステロン処置に対する治療応答は、アンドロゲンが重要な骨同化作用を示すことを明らかにしている。平均腰椎BMDは、筋肉内投与したテストステロンエステル250mgに応答して、5ないし6ヶ月で、0.799gm/cmから0.839g/cmに増大した。したがって、SARMは男性の骨粗しょう症の治療に使用し得る。
【0008】
アンドロゲン欠損は、アンドロゲン遮断療法(ADT)を受けているD期前立腺がん(転移がん)の男性に起こる。内分泌精巣摘除術は持続性GnRHアゴニストにより達成されるが、一方、アンドロゲン受容体遮断はARアンタゴニストにより実施する。ホルモン遮断に反応して、これらの男性は顔面紅潮、有意な骨喪失、衰弱、及び疲労に悩まされた。D期前立腺がんの男性についての試行研究では、骨減少症(50%対38%)及び骨粗しょう症(38%対25%)が、ADTを受けなかった患者よりも、1年以上ADTを受けていた男性において、より一般的であった[Wei,et al.,Urology,54:607−611(1999)]。腰部背柱BMDは、ADTを受けていた男性において有意に低かった。したがって、骨と筋肉に拮抗作用を欠く前立腺において組織選択的ARアンタゴニストは、前立腺がんの治療に、単独で又は伝統的ADTへの添加剤として、有用な薬剤であり得る[参照:A.Stoch,et al.,J.Clin.Endocrin.Metab.,86:2787−2791(2001)]。
【0009】
組織選択的ARアンタゴニストは、閉経後女性の多嚢胞性卵巣症候群をも治療し得る。参照:C.A.Eagleson,et al.,“多嚢胞性卵巣症候群:フルタミドがエストラジオールとプロゲステロンによる阻害に性腺刺激ホルモン−放出ホルモン・パルス発生因子の感受性を回復するという証拠”,J.Clin.Endocrinol.Metab.,85:4047−4052(2000)。
【0010】
SARMはまた、アンドロゲンが腎臓肥大及びエリスロポイエチン(EPO)産生を刺激するため、ある種の造血障害をも治療し得る。組換えヒトEPOが導入されるまで、アンドロゲンは慢性腎不全を原因とする貧血の治療に採用されていた。さらに、アンドロゲンは、軽度の再生不良性貧血及び骨髄異形成症候群の貧血患者において、血清EPOレベルを増加させる。貧血の治療は、SARMによって提供し得るような選択的作用を必要とする。
【0011】
SARMはまた、肥満の治療に添加剤としての臨床上の価値をも有する。体脂肪を低下させるこの方法は、アンドロゲンの投与が肥満患者の皮下脂肪及び内臓脂肪を低下させるとする公表された観察によって支持される[J.C.Lovejoy,et al.,“経口同化ステロイド処置は、非経口アンドロゲン処置では減少しない肥満老齢男性の腹部脂肪を減少させる、”,Int.J.Obesity,19:614−624(1995)]、[J.C.Lovejoy,et al.,“外来性アンドロゲンは肥満閉経後女性の身体組成と局所的体脂肪分布に影響する−臨床研究センター研究”,J.Clin.Endocrinol.Metab.,81:2198−2203(1996)]。それ故、不所望のアンドロゲン作用を回避するSARMは、肥満の治療に有益であり得る。
【0012】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、特に男性において、メタボリック・シンドローム(インスリン抵抗性症候群、症候群X)に対しても治療価値を有し得る。男性における低レベルの全体及び遊離のテストステロン及び性ホルモン−結合グロブリン(SHBG)は、2型糖尿病、内臓肥満、インスリン抵抗性(高インスリン血症、異常脂質血症)及びメタボリック・シンドロームと関連するとされてきた。D.Laaksonen,et al.,Diabetes Care,27(5):1036−1041(2004);さらに参照:D.Laaksonen,et al.Euro.J Endocrin,149:601−608(2003);P.Marin,et al.Int.J.Obesity,16:991−997(1992);及びP.M▲a▼rin,et al.Obesity Res.,1(4):245−251(1993)。
【0013】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、アルツハイマー病(AD)などの神経変性疾患に対しても治療価値を有し得る。アンドロゲン受容体を介して神経保護を誘導するアンドロゲンの能力については、ハモンドら(J.Hammond,et al.,“ヒト一次ニューロンにおけるアンドロゲン受容体を介してのテストステロン媒介神経保護”,J.Neurochem.,77:1319−1326(2001))が報告した。ガーラスら(Gouras et al.)は、テストステロンがアルツハイマーのβ−アミロイドの分泌を低下させ、それ故、ADの治療に使用し得ると報告した[Proc.Nat.Acad.Sci.,97:1202−1205(2000)]。進行ADに関係するタンパク質の過剰リン酸化の阻害経由メカニズムも記載されている[S.Papasozomenos,“テストステロンはグリコーゲンシンターゼ・キナーゼ−3βの活性化による熱ショックを防止するが、サイクリン依存性キナーゼ5及びc−Jun NH−末端キナーゼの場合は防止せず、同時にτの過剰リン酸化を排除する;アルツハイマー病との関連性”,Proc.Nat.Acad.Sci.,99:1140−1145(2002)]。
【0014】
アンドロゲン受容体アゴニストはまた、筋肉の緊張力と強度に有益な作用を持ち得る。最近の研究は、「健常な性機能低下男性の生理的アンドロゲン置換が、無脂肪量、筋肉サイズ及び最大の自発性強度の有意な獲得と関連する」ことを証明している[S.Bhasin,et al.,J.Endocrin.,170:27−38(2001)]。
【0015】
アンドロゲン受容体モジュレーターは、男女双方の低下した性欲を治療する上で有用であり得る。男性のアンドロゲン欠損は、減少した性欲に関係がある(S.Howell et al.,Br.J.Cancer,82:158−161)。低アンドロゲンレベルは、多くの女性において、彼女らの後期生殖可能年月での性的興味が減退していくことに寄与している[S.Davis,J.Clin.Endocrinol.Metab.,84:1886−1891(1999)]。一研究において、循環する遊離のテストステロンは、疑いなく性欲と相関した。別の研究では、一次又は二次的副腎機能不全の女性が、生理学的DHEA置換(50mg/日)に供された。プラシーボを服用した女性と比較して、DHEA服用女性は、性的な思考、興味、及び満足の頻度の増加を示した。W.Arlt,et al.,N Engl.J.Med.341:1013−1020(1999);K.Miller,J.Clin.Endocrinol.Metab.,86:2395−2401(2001)も参照。
【0016】
さらに、アンドロゲン受容体モジュレーターは認知障害の治療にも有用であり得る。最近の研究では、高用量経口エストロゲンが、単独に、又は高用量経口メチルテストステロンと組合わせて、4ヶ月間、閉経後女性に与えられた。認知試験は4ヶ月のホルモン処置の前後に評価した。この研究で見出されたことは、エストロゲン(1.25mg)とメチルテストステロン(2.50mg)の併用剤を受けた女性は、構築記憶作業に対して安定したレベルの行動力を維持したが、エストロゲン(1.25mg)のみを受けた女性は行動力の低下を示した。A.Wisniewski,Horm.Res.58:150−155(2002)。
【発明の概要】
【0017】
発明の要旨
本発明は、以下の構造式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
で示される化合物、又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体、それらの使用、及び医薬組成物に関する。
【0020】
これらの化合物は、アンドロゲン受容体アゴニストとして有効であり、特にSARMとして有効である。それ故、それらはアンドロゲン欠損を原因とする症状、又はアンドゲンの投与により改善し得る症状の治療に有用である。
【0021】
本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容され得る担体を含有してなる医薬組成物にも関する。
【0022】
本発明において、我々はARのリガンド媒介活性化、例えば、(i)N−C相互作用、(ii)転写抑制、及び(iii)転写活性化などの輪郭を描く一連のインビトロ細胞アッセイ法を用いて、SARMとして機能する化合物を同定してきた。上記掲載の方法で同定した本発明のSARM化合物は、インビボで組織選択的AR作動性作用、すなわち、骨での作動性作用(骨粗しょう症のげっ歯類モデルでの骨形成促進)及び前立腺での拮抗作用(去勢げっ歯類での前立腺増殖に対する最小作用及びARアゴニストが誘発する前立腺増殖の拮抗作用)を示す。
【0023】
SARMと同定した本発明化合物は、アンドロゲン投与により改善し得るアンドロゲン欠損を原因とする疾患又は症状の治療に有用である。かかる化合物は女性及び男性の骨粗しょう症の治療に、単独療法として、又は骨再吸収のインヒビターと組合わせて、例えば、ビスホスホネート、エストロゲン、SERM、カテプシンKインヒビター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カルシトニン、及びプロトンポンプインヒビターなどと組合わせて使用することが理想的である。それらは骨形成を促進する薬剤、例えば、副甲状腺ホルモン又はその類似体とともに使用し得る。本発明のSARM化合物は、単独で、又は前立腺疾患、例えば、前立腺がん及び良性前立腺肥大(BPH)などの治療用の他の薬剤と組合わせて、使用してもよい。さらに、本発明の化合物は、皮膚に対しては最小の影響(ニキビ及び顔面発毛)を示し、男性型多毛症の治療に有用であり得る。さらに、本発明の化合物は筋肉増殖を刺激することが可能であり、骨格筋減少症及び虚弱の治療に有用であり得る。それらは肥満の治療において、内臓脂肪を減少させるために使用し得る。さらに、本発明化合物は中枢神経系においてアンドロゲン作動性作用を示し、血管運動症候群(顔面紅潮)の治療に、またエネルギーと性欲の増強に有用であり得る。それらはアルツハイマー病の治療に使用し得る。
【0024】
本発明化合物はまた、前立腺でアンドロゲンに拮抗し、骨の消耗を最小とする能力を有する故に、骨を修復するそれらの能力のため、又は抗アンドロゲン療法の代替物として、前立腺がんの治療に、単独で、又はGnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法への添加剤として使用することも可能である。さらに、本発明の化合物は、それらが骨修復能力を有するため、抗アンドロゲンでの治療への添加剤として膵臓がんの治療に、又はそれらが抗アンドロゲン性であることから、骨節減剤として伝統的な抗アンドロゲン剤に勝る利点を提供する単一療法として使用し得る。さらに、本発明化合物は、赤血球細胞及び血小板などの血液細胞数を増加させ、再生不良性貧血などの造血障害の治療に有用であり得る。したがって、上記掲載のそれらの組織選択的アンドロゲン受容体作動性作用を考慮すると、本発明の化合物は、性機能低下(アンドロゲン欠損)男性におけるホルモン置換療法にとって理想的である。
【0025】
本発明はまた腹部脂肪蓄積、メタボリック・シンドローム(‘インスリン抵抗性症候群’及び‘症候群X’としても知られる)、及びII型糖尿病の男性患者を安全に、特異的に治療することにも関わる。
【0026】
発明の詳細な記載
本発明はアンドロゲン受容体モジュレーター、とりわけ、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)として有用な化合物に関する。本発明化合物は、
構造式(I):
【0027】
【化2】

【0028】
[式中、
X、Y、及びZの1つは、−N又は−NOであり、他の2つの部分は−CHであり;
nは0、1、2、又は3であり;
【0029】
【化3】

【0030】
はフェニル又はチオフェニルであり;
は以下から選択され:
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及び
ヒドロキシC0−10アルキル;
は以下から選択され:
シアノ、
アミノ、
ヒドロキシC0−10アルキル、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
アリールC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC1−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC1−10アルキル、
3−8ヘテロシクロアルキルC1−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
1−10アルコキシ(カルボニル)0−10−10アルキル、
0−10アルキルカルボキシC0−10アルキルアミノ、
1−10アルキルオキシC0−10アルキル、
アリールオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、及び
アリールC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ;
は以下から選択され:
水素、
ハロゲン、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
1−10アルコキシ(カルボニル)0−10−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及び
ヒドロキシC0−10アルキル;
ここで、R、R、及びRにおいて、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、へテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、及びシクロアルキルは、それぞれ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C−Cアルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−1)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニル、及びNHから選択される1個以上の基により置換されていてもよい]で示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体として記載される。
【0031】
例示されるが、限定するものではない本発明化合物の例は、
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−{[1−オキシド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}−2−フェニルプロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−{[1−オキシド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}−2−フェニルプロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−{[1−オキシド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}−2−フェニルプロパンアミド;
N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2S)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
N−[(5−シクロプロピル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパンアミド;
【0032】
(S)−N−[(5−シクロプロピル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパンアミド;
(R)−N−[(5−シクロプロピル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパンアミド;
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2S)−N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
【0033】
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−ブチルアミド;
(2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−ブチルアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−ブチルアミド;
2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
【0034】
2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2S)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2S)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
【0035】
(2S)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−クロロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−プロピオンアミド;
3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−チオフェン−2−イル−プロピオンアミド;
(2S)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−チオフェン−2−イル−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−チオフェン−2−イル−プロピオンアミド;
ピロリジン−1−カルボン酸2−[(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル・エステル;
(2S)ピロリジン−1−カルボン酸2−[(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル・エステル;
(2R)ピロリジン−1−カルボン酸2−[(5−シクロプロピル−ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル・エステル;
又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体である。
【0036】
当業者が1個以上のSi原子を本発明化合物に取り込ませ、化学的に安定であり、かつ容易に入手し得る出発物質から、当該技術分野における技術上公知の方法により容易に合成し得る化合物を提供し得ることは、理解される。
【0037】
本発明化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有し得るものであり(記載例:E.L. Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds(炭素化合物の立体化学),John Wiley & Sons,New York,1994,pages1119−1190)、ラセミ体、ラセミ体混合物として、また個々のジアステレオマーとして存在し、その可能な異性体とその混合物は、光学異性体も含めすべて本発明に包含される。
【0038】
用語「アルキル」とは、合計1個ないし10個の炭素原子、又はこの範囲内のいずれかの数値の直鎖又は分枝鎖のアルカン(すなわち、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチルなど)を意味するものとする。用語「Cアルキル」(「C0−8アルキルアリール」におけるように)とは、アルキル基が存在しないことを示すものとする。
【0039】
用語「アルケニル」とは、合計2個ないし10個の炭素原子、又はこの範囲内のいずれかの数値の直鎖又は分枝鎖のアルケンを意味するものとする。
【0040】
用語「アルキニル」とは、2個ないし10個の炭素原子と少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖、分枝又は環状の炭化水素基をいう。3つまでの炭素−炭素三重結合が存在し得る。したがって、「C−Cアルキニル」とは、2個ないし6個の炭素原子を有するアルキニル基を意味する。アルキニル基は、エチニル、プロピニル、ブチニル、3−メチルブチニルなどを含む。アルキニル基の直鎖、分枝又は環状部分は、三重結合を含み得るし、また置換されたアルキニル基と指示されている場合は、置換されていてもよい。
【0041】
本明細書にて使用する場合、「シクロアルキル」とは特定の炭素原子数を有する非芳香族環状炭化水素基であって、架橋していても、していなくても、又は構造的に制約されていてもよい。かかるシクロアルキルの例は、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロヘプチル、テトラヒドロ−ナフタレン、メチレンシクロヘキシルなどである。本明細書にて使用する場合、「C−C10シクロアルキル」の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:
【0042】
【化4】

【0043】
「アルコキシ」は、指定した炭素原子数の、酸素架橋を介して結合する環状又は非環状アルキルを表わす。それ故、「アルコキシ」は上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0044】
「ペルフルオロアルキル」は、それらの対応する水素がフッ素原子と完全に置換わっている炭素原子10個までのアルキル鎖を表わす。
【0045】
本明細書にて使用する場合、「アリール」とは、各環の原子7個までの安定な単環性又は二環性炭素環を意味するものとし、その場合の少なくとも1個の環は芳香族である。かかるアリール要素の例は、限定されるものではないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロ−ナフチル、インダニル、又はビフェニルである。アリール置換基が二環性であり、1個の環が非芳香族である場合、その結合は芳香環を介すると理解される。
【0046】
用語へテロアリールは、本明細書にて使用する場合、各環の原子7個までの単環性又は二環性炭素環を表わし、その場合の少なくとも1個の環が芳香族であり、O、N及びSから選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む。この定義の範囲内のヘテロアリール基は、限定されるものではないが、アザベンゾイミダゾール、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾジヒドロフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル、インドリル、キノリル、キノキサリニル、イソキノリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、テトラヒドロキノリニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、イミジゾピリジニル、テトラゾリル、及びインダニルである。下記ヘテロ環の定義でのように、「ヘテロアリール」もまた、窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を含有すると理解される。該ヘテロアリール置換基が二環性であり、1個の環が非芳香族であるか、又はヘテロ原子を含まない場合、その結合はそれぞれ芳香環を介するか、又はヘテロ原子含有環を介すると理解される。
【0047】
用語「アルキル」又は「アリール」又はそれらの接頭語根のいずれかが置換基の名称(例えば、アリールC0−8アルキル)で現れる場合、それは「アルキル」及び「アリール」について上に示したそれらの限定を含むと解釈されるものとする。指定した炭素原子数(例えば、C0−8)は、独立して、アルキル若しくは環状アルキル部分の炭素原子数をいうか、又はアルキルがその接頭語根として現れるより大きな置換基のアルキル部分についてをいう。
【0048】
当業者が認識するように、本明細書にて使用する場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、クロロ、フルオロ、ブロモ及びヨードを含むものとする。
【0049】
用語「ヘテロ環(ヘテロサイクル)」又は「ヘテロシクリル」は、本明細書にて使用する場合、O、N及びSからなる群より選択される1個ないし4個のヘテロ原子を含む5員ないし14員の芳香族又は非芳香族環系を意味するものとし、二環性基を包含する。したがって、「ヘテロシクリル」は、上記のヘテロアリール、並びにそのジヒドロ及びテトラヒドロ類似体を包含する。さらに、「ヘテロシクリル」の例は、限定されるものではないが、以下のものを包含する:アザベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、アジリジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、並びにそのN−オキシド。ヘテロシクリル置換基の結合は炭素原子を介して、又はヘテロ原子を介して起こり得る。
【0050】
用語「アリールアルキル」及び「アルキルアリール」は、アルキルが上記定義のアルキル部分であり、アリールが上記定義のアリール部分からなるものである。アリールアルキルの例は、限定されるものではないが、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、及びナフチルエチルである。アルキルアリールの例は、限定されるものではないが、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、及びブチルピリジンである。
【0051】
用語「オキシ」は、酸素(O)原子を意味する。用語「チオ」は、イオウ(S)原子を意味する。用語「オキソ」は、「=O」を意味する。用語「カルボニル」は、「C=O」を意味する。
【0052】
用語「置換された」とは、指定された置換基による置換が複数である場合も含むと見做す。複数置換基部分が開示されているか、又は特許請求されている場合、置換された化合物には、独立して、1個以上の開示された、又は特許請求された置換基部分が、1個又は複数、置換していてもよい。独立して置換されるとは、(2個以上の)置換基が同一又は異なり得ることを意味する。
【0053】
いずれかの変数(例えば、R、Rなど)が、いずれかの置換基に、又は式(I)中に一度ならず存在する場合、各存在におけるその定義は、その他すべての存在のその定義から独立したものである。また、置換基及び/又は変数の組み合わせは、かかる組合せが安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
【0054】
この開示全体を通して使用される標準的命名法のもとでは、指定された側鎖の末端部分が先ず記載され、結合点に向かって隣接する官能基がそれに続く。例えば、C1−5アルキルカルボニルアミノC1−6アルキル置換基は次の基に等価である:
【0055】
【化5】

【0056】
本発明化合物の選択に際して、当業者は種々の置換基、すなわち、R、R、R、Rなどが、化学構造の結合性についての周知の原則に従って選択されるものであることを認識しよう。
【0057】
置換基から環系に引いた線は、そこに示した結合が置換可能な環原子のいずれかに結合し得ることを表す。環系が多環式である場合は、近位の環のみの適切な炭素原子のいずれかに結合が付着しているものとする。
【0058】
本発明化合物上の置換基と置換パターンは、当業者が選択し、化学的に安定で、また容易に入手し得る出発物質から、当該技術分野で既知の方法並びに下記に提示する方法により容易に合成し得る化合物を提供し得るものであると理解される。置換基がそれ自体1個を超える基により置換されている場合、安定な構造が結果として生じる限り、それら複数の基は同じ炭素上にあってもよいし、異なる炭素上にあってもよいと理解される。“1個以上の置換基により置換されていてもよい”という文言は、“少なくとも1個の置換基により置換されていてもよい”という文言と同等であると解釈すべきであり、そのような場合、一実施態様では、0ないし3個の置換基を有する。
【0059】
本発明の一実施態様において、X、Y、及びZの1つは、−Nであり、他の2つの部分は−CHである。この実施態様の一変形において、Yは−Nであり、X及びZはそれぞれ−CHである。
【0060】
別の実施態様において、Xは−Nであり、Y及びZはそれぞれ−CHである。
【0061】
さらに別の実施態様において、Zは−Nであり、X及びYはそれぞれ−CHである。
【0062】
本発明の一変形において、Yは−NOであり、X及びZのそれぞれは−CHである。
【0063】
本発明の別の実施態様において、Zは−NOであり、X及びYのそれぞれは−CHである。
【0064】
さらに別の実施態様において、Xは−NOであり、Y及びZのそれぞれは−CHである。
【0065】
本発明の一実施態様において、
【0066】
【化6】

【0067】
はフェニルである。
別の実施態様において、
【0068】
【化7】

【0069】
はチオフェニルである。
本発明の一実施態様において、nは0である。別の実施態様において、nは2である。さらに別の実施態様において、nは2又は3である。一実施態様において、nは1である。
【0070】
本発明の一実施態様において、Rは、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、アリールC1−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキル、及びC3−8ヘテロシクリルC1−10アルキルから選択される。
【0071】
本発明の一実施態様において、Rは、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキル、ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及びヒドロキシC0−10アルキルから選択される。この実施態様の一変形において、Rは、ペルフルオロC1−6アルキル、及びC3−8シクロアルキルC0−10アルキルから選択される。
【0072】
一実施態様において、Rは、シアノ、アミノ、ヒドロキシC0−10アルキル、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、アリールC1−10アルキル、C3−8シクロアルキルC1−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC1−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC1−10アルキル、C0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシ、カルボニルオキシC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C1−10アルコキシ(カルボニル)0−10−10アルキル、C1−10アルキルオキシC0−10アルキル、アリールオキシC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルオキシ−C0−10アルキル、C3−8ヘテロシクリルオキシC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、及びC1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキルから選択される。
【0073】
本発明の別の実施態様において、Rは、シアノ、アミノ、ヒドロキシC0−10アルキル、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C3−8シクロアルキルC1−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC1−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、(C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、(C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、(C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、C0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、C0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、アリールC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、C0−10アルキルカルボキシC0−10アルキルアミノ、C1−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、C3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、及びアリールC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノから選択される。
【0074】
本発明の別の実施態様において、Rは、シアノ、ペルフルオロC1−6アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、及びC3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキルから選択される。本実施態様の一変形において、RはペルフルオロC1−6アルキル又はC3−8ヘテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキルである。
【0075】
本発明の一実施態様において、Rは、水素、ハロゲン、ペルフルオロC1−6アルキル、ペルフルオロC1−6アルコキシ、C1−10アルキル、アリールC0−10アルキル、C3−8シクロアルキルC0−10アルキル、C3−8へテロシクリルC0−10アルキル、ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及びヒドロキシC0−10アルキルから選択される。
【0076】
別の実施態様において、Rは水素及びハロゲンから選択される。
、R、及びRの上記実施態様において留意すべきこととして、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、へテロシクリル、及びシクロアルキルは、それぞれ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C−Cアルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−1)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニル、及びNHから選択される1個以上の基により置換されていてもよい。
【0077】
一実施態様において、本発明化合物は以下の化合物から選択される:
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2S)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2S)−N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;及び
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−ブチルアミド。
【0078】
別の実施態様において、本発明化合物は以下の化合物から選択される:
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−N−(2−シクロプロピル−ピリジン−4−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−(4−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イルメチル)−ブチルアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロ−フェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−ブチルアミド;及び
その薬学的に許容され得る塩。
【0079】
本発明化合物は、アンドロゲン受容体の組織選択的モジュレーター(SARM)であることが判明している。一態様において、本発明化合物は、哺乳動物においてアンドゲン受容体の機能を活性化するために有用であり、特に、骨及び/又は筋肉組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化するために、及び雄性個体の前立腺の、又は雌性個体の子宮のアンドロゲン受容体の機能を遮断若しくは阻害する(“拮抗する”)ために有用であり得る。
【0080】
本発明のさらなる態様は、ARアゴニストが誘発する雄性個体前立腺の、又は雌性個体子宮のアンドロゲン受容体の機能を減弱又は遮断するための式(I)の化合物の使用であるが、該化合物は育毛皮膚又は声帯には作用せず、また、骨及び/又は筋肉組織におけるアンドロゲン受容体の機能を活性化し、血中脂質レベルを制御する臓器(例えば、肝臓)では作用しない。
【0081】
本発明の代表的化合物は、一般に、アンドロゲン受容体に対し、サブマイクロモルの結合親和性を示す。それ故、本発明化合物は、アンドロゲン受容体機能に関連する障害に苦しむ哺乳動物の処置に有用である。治療上有効な量の化合物は、その薬学的に許容され得る塩も含めて、アンドロゲン受容体機能に関連する障害、例えば、アンドロゲン欠損、アンドロゲン置換により軽快し得るか、又はアンドロゲン置換により改善し得る障害;例えば、衰弱した筋肉緊張力、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、骨折(例えば、椎骨破損及び非椎骨破損)、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、虚弱、皮膚老化、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、肥満、再生不良性貧血及び他の造血障害、膵臓がん、炎症性関節炎と関節修復、HIV消耗、前立腺がん、良性前立腺肥大(BPH)、がん悪液質、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、早発卵巣不全、及び自己免疫疾患などの治療のために、哺乳動物に投与する。治療は、かかる治療の必要な哺乳動物に、治療上有効な量の構造式(I)の化合物を投与することにより実施する。さらに、これらの化合物は、単独で、又は他の活性剤との組合わせで、医薬組成物中の成分として有用である。
【0082】
一実施態様において、本発明化合物は、アンドロゲン欠損を原因とする雄性個体の症状、又はアンドロゲン置換により改善し得る症状、例えば、限定されるものではないが、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、HIV消耗、前立腺がん、がん悪液質、肥満、関節炎症状、貧血、例えば、再生不良性貧血など、筋ジストロフィー、及びアルツハイマー病、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、良性前立腺肥大(BPH)、腹部肥満、メタボリック・シンドローム、II型糖尿病、及びアテローム性動脈硬化症などの治療に、単独又は他の活性薬剤との組合わせで使用し得る。治療は、かかる治療の必要な雄性個体に、治療有効量の構造式(I)の化合物を投与することにより実施する。
【0083】
「関節炎症状」又は「関節炎症状群」は、炎症性病巣が関節に、又は関節の何らかの炎症症状、最も顕著には骨関節症及びリウマチ様関節炎に限定される疾患をいう(Academic Press Dictionary of Science Technology;Academic Press;1st edition,January 15,1992)。式(I)で示される化合物はまた、単独又は組合せで、炎症症状、例えば、ベーチェット病;滑液包嚢炎及び腱炎;CPPD沈着症;手根管症候群;エーラーズ・ダンロス症候群;線維性筋痛症;痛風;感染性関節炎;炎症性腸疾患;若年性関節炎;紅斑性狼瘡;ライム病;マルファン症候群;筋炎;骨関節症;不完全骨形成;骨壊死症;多発性動脈炎;リウマチ性多発筋痛症;乾癬性関節炎;レイノー現象;反射交感神経ジストロフィー症候群;ライター症候群;リウマチ様関節炎;強皮症;及びシェーグレン症候群などの治療又は予防に有用である。本発明の実施態様は、治療有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする関節炎症状の治療又は予防を包含する。それに次ぐ実施態様は、治療有効量の式(I)の化合物を投与することを特徴とする骨関節症の治療又は予防である。参照:Cutolo M,Seriolo B,Villaggio B,Pizzorni C,Craviotto C,Sulli A.Ann.N.Y.Acad.Sci.2002 Jun;966:131−42;Cutolo,M.Rheum Dis Clin North Am 2000 Nov;26(4):881−95;Bijlsma JW,Van den Brink HR.Am J Reprod Immunol 1992 Oct−Dec;28(3−4):231−4;Jansson L,Holmdahl R.;Arthritis Rheum 2001 Sep;44(9):2168−75;及びPurdie DW.Br Med Bull 2000;56(3):809−23。さらに参照:Merck Manual,17th edition,pp.449−451。
【0084】
関節炎症状を治療するために組合わせて使用する場合、式(I)の化合物は、併用療法に有用であるとして本明細書に開示した薬物のいずれかとともに使用し得るか、又は関節炎症状を治療又は予防するための既知薬物、例えば、コルチコステロイド、細胞傷害剤(又は他の疾患の改変又は軽減を誘発する薬物)、金処置剤、メトトレキセート、NSAID、及びCOX−2インヒビターなどの薬物とともに使用してもよい。
【0085】
別の実施態様において、本発明化合物は、アンドロゲン欠損を原因とする雌性個体の症状、又はアンドロゲン置換により改善し得る症状、例えば、限定されるものではないが、骨粗しょう症、骨減少症、皮膚老化、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、閉経後症候群、歯周病、HIV消耗、がん悪液質、肥満、貧血、例えば、再生不良性貧血など、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、早発卵巣不全、認識力低下、性機能不全、うつ病、炎症性関節炎及び関節修復、アテローム性動脈硬化症、及び自己免疫疾患などの治療に、単独又は他の活性薬剤と組合わせて使用し得る。治療は、かかる治療の必要な雌性個体に、治療有効量の構造式(I)の化合物を投与することにより実施する。
【0086】
式(I)で示される化合物はまた、哺乳動物、例えば、ヒトなどの筋肉緊張力の増強にも有用である。構造式(I)の化合物は、伝統的なアンドロゲン枯渇療法の添加剤として前立腺がんの治療に使用し、骨を修復、骨損失を最小化、また骨無機質密度を維持することが可能である。この方法において、それらは伝統的なアンドロゲン枯渇療法とともに、以下の文献記載のものなど、GnRHアゴニスト/アンタゴニストを含め、使用することが可能である:P.Limonta,et al.,Exp.Opin.Invest.Drugs,10:709−720(2001);H.J.Stricker,Urology,58(Suppl.2A):24−27(2001);R.P.Millar,et al.,British Medical Bulletin,56:761−772(2000);及びA.V.Schally et al.,Advanced Drug Delivery Reviews,28:157−169(1997)。構造式(I)で示される化合物は、前立腺がんの治療において、抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性化代謝物)、ニルタミド、及びビカルタミド(カソデックス(Casodex;商標))などと組合わせて使用し得る。
【0087】
さらに、本発明化合物はまた、それらがアンドロゲン・アンタゴニストの性質であるために、又は抗アンドロゲン剤、例えば、フルタミド、2−ヒドロキシフルタミド(フルタミドの活性化代謝物)、ニルタミド、及びビカルタミド(カソデックス(Casodex;商標))への添加剤として、膵臓がんの治療に使用してもよい。
【0088】
「がん(癌)を治療する」又は「がん(癌)の治療」という用語は、がん(癌)症状に冒されている哺乳動物に投与することをいい、またがん(癌)細胞を殺すことによりがん(癌)症状を軽減する作用をいうが、また、がん(癌)の増殖及び/又は転移を阻害するに至る作用をもいう。
【0089】
構造式(I)の化合物は、脂質代謝に対する負の作用を最小とし得る。それ故、それらの組織選択的アンドロゲン・アゴニストの性質を考慮すると、本発明化合物は、性機能低下(アンドロゲン欠損)雄性個体におけるホルモン置換療法に対する既存の方法を超える利点を有する。
【0090】
さらに、本発明の化合物は、赤血球細胞及び血小板などの血液細胞数を増加させることが可能であり、また、再生不良性貧血などの造血障害の治療のために使用し得る。
【0091】
本発明の一実施態様においては、式(I)の化合物の治療有効量を哺乳動物に投与し、以下から選択される障害を治療又は改善する:衰弱した筋肉緊張力の増強、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、虚弱、皮膚老化、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、肥満、再生不良性貧血及びその他の造血障害、膵臓がん、炎症性関節炎と関節修復、HIV消耗、前立腺がん、良性前立腺肥大(BPH)、がん悪液質、アルツハイマー病、筋ジストロフィー、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、早発卵巣不全、及び自己免疫疾患。
【0092】
別の実施態様において、治療有効量の化合物を使用し、衰弱した筋肉緊張力、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、アルツハイマー病、及び虚弱から選択される障害を治療又は改善することが可能である。
【0093】
別の実施態様において、本発明による化合物は、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、肥満、再生不良性貧血及びその他の造血障害、膵臓がん、炎症性関節炎と関節修復、HIV消耗、前立腺がん、良性前立腺肥大(BPH)、がん悪液質、筋ジストロフィー、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、うつ病、早発卵巣不全、及び自己免疫疾患などの障害を治療又は改善するために使用し得る。
【0094】
本発明化合物は、それらのエナンチオマーとして純粋な形状で投与し得る。ラセミ混合物は多くの常套の方法のいずれかにより、それらの個々のエナンチオマーに分離し得る。これらはキラル・クロマトグラフィー、キラル補助体での誘導化と引き続くクロマトグラフィー又は結晶化による分離、及びジアステレオマー塩の分別結晶化である。
【0095】
本明細書にて使用する場合、アンドロゲン受容体の「アゴニスト」として機能する本発明化合物は、アンドロゲン受容体に結合し、その受容体に特徴的な生理学的又は薬理学的な応答を起こす。「組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーター」という用語は、ある種の組織において天然のリガンドの作用を模倣するが、他の組織では模倣しないアンドロゲン受容体リガンドをいう。「部分的アゴニスト」とは、適用する化合物の量に関わらず、受容体集団の最大活性化を誘導し得ないアゴニストである。「完全アゴニスト」は、所定の濃度でアンドロゲン受容体集団の完全な活性化を誘導する。アンドロゲン受容体の「アンタゴニスト」として機能する本発明化合物は、アンドロゲン受容体に結合し得、天然のアンドロゲン受容体リガンドにより正常に誘導されるアンドロゲン関連応答を遮断又は阻害することが可能である。
【0096】
用語「薬学的に許容され得る塩」とは、無機若しくは有機の塩基及び無機若しくは有機の酸を含む薬学的に許容され得る非毒性塩基又は酸から調製される塩をいう。限定されるものではないが、無機塩基から誘導される代表的な塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)塩、亜マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などである。本発明の一変形において、該塩は、アンモニウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、及びナトリウム塩から選択される。限定されるものではないが、薬学的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩の例は、第一級、第二級、及び第三級のアミン、天然産置換アミンなどの置換されたアミン、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂などの塩であり、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N′−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどである。
【0097】
本発明化合物が塩基性である場合、その塩は無機及び有機の酸を含む薬学的に許容され得る非毒性の酸から調製し得る。使用し得る代表的な酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などである。一変形において、該酸は、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸から選択される。
【0098】
上記の薬学的に許容され得る塩及びその他の典型的な薬学的に許容され得る塩の調製については、文献(Berg et al.,“Pharmaceutical Salts(医薬用塩)”,J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19)に詳しく記載されている。
【0099】
さらに留意すべきことは、本発明化合物が潜在的に内部塩又は双性イオンであることである;その理由は、生理的条件下で、該化合物の脱プロトン化酸部分、例えば、カルボキシル基などが、アニオン性であることがあり、この電荷がプロトン化された、又はアルキル化された塩基性部分、例えば、四級窒素原子のカチオン電荷に対して、分子内でバランスをとるからである。
【0100】
用語「治療有効量」とは、研究者、獣医師、医師又はその他の臨床医が求めている、組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を惹き出す構造式(I)の化合物の量を意味する。
【0101】
本明細書にて使用する場合の用語「組成物」は、特定量の特定成分を含んでなる生成物、並びに特定量の特定成分の組合わせから、直接又は間接的に生じるいずれかの生成物を包含するものとする。
【0102】
「薬学的に許容され得る」とは、その担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と相容性であり、その受容者に有害とならないものでなければならないことを意味する。
【0103】
用語「化合物の投与」及び「化合物を投与する」とは、本発明化合物又は本発明化合物のプロドラッグを、処置の必要な個体に提供することを意味すると理解すべきである。
【0104】
用語「組織選択的方法でアンドロゲン受容体が媒介する機能を調節すること」とは、(骨及び/又は筋肉の)同化組織(骨及び筋肉)において、前立腺、睾丸、精嚢、卵巣、子宮、その他の性付属組織などのアンドロゲン性(生殖)組織でのかかる調節なしに、選択的に(又は差別的に)アンドロゲン受容体が媒介する機能を調節することを意味する。一実施態様においては、同化組織におけるアンドロゲン受容体の機能が活性化され、一方、アンドロゲン組織におけるアンドロゲン受容体の機能は、遮断又は抑制される。別の実施態様においては、同化組織におけるアンドロゲン受容体の機能が遮断又は抑制され、他方、アンドロゲン組織におけるアンドロゲン受容体の機能は活性化される。
【0105】
本発明治療方法を実施するための、構造式(I)の化合物の投与は、構造式(I)で示される化合物の有効量を、かかる治療又は予防を必要とする患者に投与することにより実施する。本発明方法による予防的投与の必要性は、周知の危険因子を使用して決定する。個々の化合物の有効量は、最終の分析において、症例担当の臨床医により決定されるが、その量は、処置すべき確かな疾患、疾患の重篤度、及び患者が罹患する他の疾患又は症状、選択された投与ルート、患者が同時に必要とし得る他の薬物と処置、及び臨床家の判断における他の因子などの因子により決まる。
【0106】
投与量を固定して製剤化する場合、かかる併用生成物では、下記投与範囲内の本発明化合物及び認可された投与量範囲内での他の薬学的に活性な薬剤を使用する。本発明化合物は、別法として、組合わせ製剤が不適切である場合、既知の薬学的に許容され得る薬剤と連続して使用し得る。
【0107】
一般に、構造式(I)で示される化合物の1日の投与量は、成人1日あたり約0.01ないし約1000mgの広い範囲で変り得る。例えば、投与量は約0.1ないし約200mg/kgの範囲である。経口投与の場合、当該組成物は処置すべき哺乳動物に対して症状により調整するために、活性成分として約0.01ないし約1000mg、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、3.0、5.0、6.0、10.0、15.0、25.0、50.0、75、100、125、150、175、180、200、225、及び500ミリグラムなどを含む錠剤の形状で提供される。
【0108】
投与量は単回日用量で投与してもよいし、あるいは1日の合計投与量を1日2回、3回又は4回の分割用量でも投与し得る。さらに、投与のために選択する個々の化合物の性質に基づき、投与量は頻度を少なくして、例えば、週ごとに、週に2回、月1回などとして投与し得る。勿論、単位用量は投与頻度を少なくしたために、相応に大きくなるだろう。
【0109】
鼻腔内ルート、経皮ルート経由、直腸若しくは膣坐剤により、又は静脈内溶液を介して投与する場合、薬用量投与は、勿論、投薬レジメンをとおして、断続的であるよりはむしろ継続的であろう。
【0110】
本発明を例証するのは、上記の化合物のいずれかと薬学的に許容され得る担体とを含有してなる医薬組成物である。さらに本発明を例証するのは、上記の化合物のいずれかと薬学的に許容され得る担体とを組合わせることにより製造される医薬組成物である。本発明を説明するのは、上記の化合物のいずれかと薬学的に許容され得る担体とを組合わせることを特徴とする医薬組成物の製造法である。
【0111】
本発明方法において医学用途に使用する組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターの製剤は、構造式(I)で示される化合物を薬学的に許容され得るその担体とともに、及び任意に他の治療的に活性な成分を含有してなる。該担体は製剤の他の成分と相容性であり、製剤の受容者対象に有害ではないという意味で薬学的に許容されなければならない。
【0112】
それ故、本発明はさらに、構造式(I)で示される化合物を薬学的に許容され得るその担体とともに含有してなる医薬製剤を提供する。該製剤は、経口、直腸、膣内、鼻腔内、局所、及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内投与を含む)に適する製剤である。一実施態様において、該製剤は経口投与に適する製剤である。
【0113】
式(I)で示される化合物の適切な局所用製剤は、経皮デバイス、エーロゾル、クリーム、溶液、軟膏、ゲル、ローション、散布剤などである。本発明化合物を含有する局所用医薬組成物は、通常、薬学的に許容され得る媒体と混合して、活性化合物を重量で約0.005%ないし約5%含有する。本発明化合物の投与に有用な経皮型皮膚パッチは、当業者周知のものである。
【0114】
該製剤は単位投与形態で提供可能であり、薬学の技術分野で既知の方法のいずれかで調製し得る。方法はすべて活性化合物と担体とを組合わせる工程を含み、その担体が1種以上の成分を構成する。一般に、該製剤は活性化合物を、液状担体、ワックス状固形担体又は微細分割した固形担体と一様に緊密に組合わせ、次いで、必要であれば、その生成物を所望の投与形態に形造ることにより調製する。
【0115】
経口投与に適する本発明の製剤は、カプセル、カシェ剤、錠剤、又はロゼンジなど、それぞれが既定量の活性化合物を含む別々の単位として;粉末又は顆粒として;又は水性液体若しくは非水性液体中の懸濁液若しくは溶液、例えば、シロップ、エリキシル、又はエマルジョンとして提供し得る。
【0116】
錠剤は、任意に1種以上の補助成分とともに圧縮又は成型することにより製造し得る。圧縮錠剤は、適切な機械で活性化合物を自由に流動する形状、例えば、粉末又は顆粒として、任意の補助成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、崩壊剤又は着色剤と混合して圧縮することにより製造し得る。成型錠剤は、適切な機械で、活性化合物を、好ましくは粉末の形状で、適当な担体との混合物として成型することにより製造し得る。適切な結合剤は、限定されるものではないが、デンプン、ゼラチン、グルコース若しくはベータ−ラクトースなどの天然糖、コーン甘味剤、アラビアゴム、トラガカント若しくはアルギン酸ナトリウムなどの天然及び合成ガム、カルボキシメチル−セルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどである。これらの投与形態において使用される代表的な滑沢剤は、限定されるものではないが、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどである。崩壊剤は、限定されるものではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどである。
【0117】
経口液状形態、例えば、適切に風味を加えた懸濁剤又は分散剤(合成及び天然ガム、例えば、トラガカント、アラビアゴム、メチルセルロースなど)中のシロップ又は懸濁液などは、該溶液又は懸濁液に活性化合物を加えることにより製造し得る。使用し得るさらなる分散剤はグリセリンなどである。
【0118】
膣又は直腸投与用の製剤は、慣用の担体、すなわち、粘膜に対して非毒性、非刺激性であり、構造式(I)の化合物と相容性であり、保存中に安定であり、さらに構造式(I)の化合物と結合せず、またその放出に干渉しない基剤により、坐剤として提供し得る。適切な基剤は、カカオ脂(シオブローマオイル)、ポリエチレングリコール(カーボワックス及びポリグリコールなど)、グリコール−界面活性剤組合わせ、ステアリン酸ポリオキシ40、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(トゥイーン、ミルジュ、及びアーラセルなど)、グリセリン化ゼラチン、及び硬化植物油などである。グリセリン化ゼラチン坐剤を使用する場合、メチルパラベン又はプロピルパラベンなどの保存剤を使用し得る。
【0119】
活性薬物成分を含有する局所製剤は、当業者によく知られた種々の担体物質、例えば、アルコール、アロエ(aloe vera)ゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、PPG2プロピオン酸ミリスチルなどと混和し、例えば、アルコール溶液、局所用クレンザー、クレンジングクリーム、スキンゲル、スキンローション、及びクリーム若しくはゲル形状のシャンプーなどを形成し得る。
【0120】
本発明化合物はリポソーム送達システム、例えば、小型単層小胞、大型単層小胞及び多層小胞の形状で投与することも可能である。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの多様なリン脂質から形成し得る。
【0121】
本発明化合物は、化合物分子をカップル結合させた個々の担体としてのモノクローナル抗体を使用して、送達することもできる。本発明化合物はまた、目標を定め得る担体として可溶性ポリマーとカップル結合させることも可能である。かかるポリマーは、ポリビニル−ピロリドン、ピラン・コポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタアクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミドフェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレン−オキシドポリリジンなどを包含し得る。さらに、本発明化合物は、薬物の制御放出を達成する際に有用な一群の生物分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリル酸エステル、及びヒドロゲルの架橋若しくは両親媒性ブロックコポリマーにカップル結合し得る。
【0122】
非経口投与に適する製剤は、受容者の血液と等張性であり得る活性化合物の無菌水性調製品を含んでなる製剤を含む。かかる製剤は、適切には、受容者対象の血液と等張性である化合物の溶液又は懸濁液を含んでなる。かかる製剤は、蒸留水、5%デキストロース/蒸留水若しくは食塩水及び活性化合物を含み得る。多くの場合、使用する溶媒に適切な溶解性を有する活性化合物の薬学的に、また薬理学的に許容され得る酸付加塩を使用することが有用である。また、有用な製剤は、適切な溶媒で希釈することにより、非経口投与に適する溶液を与える活性化合物を含んでなる濃縮溶液又は固体を含有してなる。
【0123】
本発明の医薬組成物及び方法は、さらに、以下を含む上記の症状の処置に通常適用される他の治療上の活性化合物を含み得る:骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、虚弱、皮膚老化、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、例えば、再生不良性貧血などの造血障害、膵臓がん、アルツハイマー病、炎症性関節炎、及び関節修復。
【0124】
骨粗しょう症の処置及び予防のためには、抗再吸収剤、骨代謝剤、及び正確には定義されていないメカニズムを介して骨格に有益である他の薬剤、例えば、カルシウムサプリメント、フラボノイド、及びビタミンD類似体などから選択される少なくとも1種の骨強化剤と組合わせて、本発明化合物を投与し得る。歯周病、骨折、及び骨再構築手術後の骨損傷の症状はまた、これらの組合わせ処置から利益を受け得る。例えば、本発明化合物は、有効量の他の薬剤、例えば、エストロゲン、ビスホスホネート、SERM、カテプシンKインヒビター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、液胞ATPアーゼインヒビター、ポリペプチド・オステオプロテゲリン、VEGFのアンタゴニスト、チアゾリジンジオン、カルシトニン、プロテインキナーゼインヒビター、副甲状腺ホルモン(PTH)及び類似体、カルシウム受容体アンタゴニスト、成長ホルモン分泌促進剤、成長ホルモン放出ホルモン、インスリン様成長因子、骨形態形成タンパク質(BMP)、BMP拮抗作用インヒビター、プロスタグランジン誘導体、線維芽細胞増殖因子、ビタミンD若しくはその誘導体、ビタミンK若しくはその誘導体、ダイズイソフラボン、カルシウム塩、及びフッ素化塩などと組合わせて、効果的に投与し得る。歯周病、骨折、及び骨再構築手術後の骨損傷の症状はまた、これらの組合わせ処置から利益を得ることができる。
【0125】
本発明の一実施態様において、本発明化合物は、有効量の少なくとも1種の骨強化剤、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、単独又はプロゲスチン若しくはプロゲスチン誘導体との組合わせ;ビスホスホネート;抗エストロゲン若しくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター;αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト;カテプシンKインヒビター;破骨細胞液胞ATPアーゼインヒビター;カルシトニン;及びオステオプロテゲリン;と組合わせて、効果的に投与し得る。
【0126】
骨粗しょう症の処置において、本発明化合物の活性は、抗再吸収剤:エストロゲン、ビスホスホネート、SERM、カルシトニン、カテプシンKインヒビター、液胞ATPアーゼインヒビター、ランク/ランクル/オステオプロテゲリン経路に干渉する薬剤、p38インヒビター、又は破骨細胞生成若しくは破骨細胞活性化の他の阻害剤などの活性とは識別可能である。骨再吸収を阻害するよりもむしろ、構造式(I)の化合物は、骨形成の刺激を助長し、骨強度の重要な部分を担う、例えば、皮質骨に作用する。皮質骨の濃厚化は骨折のリスク、特に腰部の骨折のリスクの低減に実質的に寄与する。抗再吸収剤、例えば、エストロゲン又はエストロゲン誘導体、ビスホスホネート、抗エストロゲン、SERM、カルシトニン、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、HMG−CoAリダクターゼ・インヒビター、液胞ATPアーゼインヒビター、及びカテプシンKインヒビターなどの薬剤と、構造式(I)で示される組織SARMとの組合わせは、骨同化及び抗再吸収作用の相補的効果の故に、特に有用である。
【0127】
エストロゲン及びエストロゲン誘導体の代表例は、限定されるものではないが、エストロゲン活性を有するステロイド化合物、例えば、17β−エストラジオール、エストロン、抱合エストロゲン(プレマリン;PREMARIN;登録商標)、エクイン・エストロゲン、17β−エチニルエストラジオールなどである。エストロゲン又はエストロゲン誘導体は、単独で、又はプロゲスチン若しくはプロゲスチン誘導体と組合わせて使用し得る。プロゲスチン誘導体の例は、限定されるものではないが、ノルエチンドロン及び酢酸メドロキシ−プロゲステロンである。
【0128】
本発明化合物と組合わせても使用し得るビスホスホネート化合物の例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:
(a)アレンドロネート(アレンドロン酸、4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸、アレンドロン酸ナトリウム、アレンドロン酸一ナトリウム・三水和物又は4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホン酸一ナトリウム・三水和物としても知られる;米国特許第4,922,007号明細書(Kieczykowski et al.;1990年5月1日発行);米国特許第5,019,651号明細書(Kieczykowski;1991年5月28日発行);米国特許第5,510,517号明細書(Dauer et al.;1996年4月23日発行);米国特許第5,648,491号明細書(Dauer et al.;1997年7月15日発行)に記載;
(b)[(シクロヘプチルアミノ)−メチレン]−ビス−ホスホネート(インカドロネート);米国特許第4,970,335号明細書(Isomura et al.;1990年11月13日発行)に記載;
(c)(ジクロロメチレン)−ビス−ホスホン酸(クロドロン酸)及びジナトリウム塩(クロドロネート);ベルギー特許第672,205号明細書(1966)及びJ.Org.Chem 32,4111(1967)に記載;
(d)[1−ヒドロキシ−3−(1−ピロリジニル)−プロピリデン]−ビス−ホスホネート(EB−1053);
(e)(1−ヒドロキシエチリデン)−ビス−ホスホネート(エチドロネート);
(f)[1−ヒドロキシ−3−(メチルペンチルアミノ)プロピリデン]−ビス−ホスホネート(イバンドロネート);米国特許第4,927,814号明細書(1990年5月22日発行)に記載;
(g)(6−アミノ−1−ヒドロキシヘキシリデン)−ビス−ホスホネート(ネリドロネート);
(h)[3−(ジメチルアミノ)−1−ヒドロキシプロピリデン]−ビス−ホスホネート(オルパドロネート);
(i)(3−アミノ−1−ヒドロキシプロピリデン)−ビス−ホスホネート(パミドロネート);
(j)[2−(2−ピリジニル)エチリデン]−ビス−ホスホネート(ピリドロネート);米国特許第4,761,406号明細書に記載;
(k)[1−ヒドロキシ−2−(3−ピリジニル)−エチリデン]−ビス−ホスホネート(リセドロネート);
(l){[(4−クロロフェニル)チオ]メチレン}−ビス−ホスホネート(チルドロネート);米国特許第4,876,248号明細書(Breliere et al.;1089年11月24日)に記載;
(m)[1−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−1−イル)エチリデン]−ビス−ホスホネート(ゾレドロネート);及び
(n)[1−ヒドロキシ−2−イミダゾピリジン−(1,2−a)−3−イルエチリデン]−ビス−ホスホネート(ミノドロネート)。
【0129】
本発明の方法及び組成物の一実施態様において、ビスホスホネートは:アレンドロネート(alendronate)、クロドロネート(clodronate)、エチドロネート(etidronate)、イバンドロネート(ibandronate)、インカドロネート(incadronate)、ミノドロネート(minodronate)、ネリドロネート(neridronate)、オルパドロネート(olpadronate)、パミドロネート(pamidronate)、ピリドロネート(piridronate)、リセドロネート(risedronate)、チルドロネート(tiludronate)、ゾレドロネート(zoledronate)、これらビスホスホネート類の薬学的に許容され得る塩、及びその混合物から選択される。一変形において、該ビスホスホネートは、アレンドロネート、リセドロネート、ゾレドロネート、イバンドロネート、チルドロネート、及びクロドロネートから選択される。このクラスのサブクラスにおいて、ビスホスホネートはアレンドロネート、その薬学的に許容されるその塩及びその水和物、及びその混合物である。アレンドロネートの特定の薬学的に許容され得る塩は、アレンドロン酸一ナトリウムである。アレンドロン酸一ナトリウムの薬学的に許容され得る水和物は、一水和物及び三水和物を包含する。リセドロネートの特定の薬学的に許容され得る塩は、リセドロン酸一ナトリウムである。リセドロン酸一ナトリウムの薬学的に許容され得る水和物は、ヘミ五水和物を包含する。
【0130】
なおさらに、抗エストロゲン化合物、例えば、ラロキシフェン(参照例:米国特許第5,393,763号明細書)、クロミフェン、ズクロミフェン、エンクロミフェン、ナフォキシデン、CI−680、CI−628、CN−55,945−27、Mer−25、U−11,555A、U−100A、及びその塩など(参照例;米国特許第4,729,999及び4,894,373号明細書)は、構造式(I)の化合物と組合わせて、本発明の方法と組成物において使用し得る。これらの薬剤はSERMとして、又はエストロゲンの経路と同様である、と信じられる経路を経る骨再吸収を阻害することにより、骨喪失を防止することが当該技術分野で知られている薬剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーターとしても知られている。
【0131】
代表的なSERMは、限定されるものではないが、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、トレミフェン、アゾルキシフェン、EM−800、EM−652、TSE424、クロミフェン、ドロロキシフェン、イドキシフェン、及びレボルメロキシフェン[Goldstein,et al.,“A pharmacological review of selective estrogen receptor modulators(選択的エストロゲン受容体モジュレーターの薬理学的概観),”Human Reproduction Update,6:212−224(2000);Lufkin,et al.,Rheumatic Disease Clinics of North America,27:163−185(2001),及び“Targeting the Estrogen Receptor with SERMs(SERMによるエストロゲン受容体の標的化),”Ann.Rep.Med.Chem.36:149−158 (2001)]。
【0132】
αvβ3インテグリン受容体アンタゴニストは骨再吸収を抑制し、骨粗しょう症などの骨障害の処置のために、構造式(I)のSARMと組合わせて使用し得る。αvβ3インテグリン受容体のペプチジル並びにペプチド模倣アンタゴニストは、科学文献及び特許文献両方に記載されている。例えば、参照は文献(W.J.Hoekstra and B.L.Poulter,Curr.Med.Chem.5:195−204(1998))及びそこに引用された文献になされている:国際特許出願WO95/32710;WO95/37655;WO97/01540;WO97/37655;WO98/08840;WO98/18460;WO98/18461;WO98/25892;WO98/31359;WO98/30542;WO99/15506;WO99/15507;WO00/03973号明細書;欧州特許出願EP853084;EP854140;EP854145号明細書;米国特許第5,204,350;5,217,994;5,639,754;5,741,796;5,780,426;5,929,120;5,952,341;6,017,925;及び6,048,861号明細書。
【0133】
他のαvβ3アンタゴニストについては、以下の文献に記載されている:R.M.Keenan et al.,J.Med.Chem.40:2289−2292(1997);R.M.Keenan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3165−3170(1998);及びR.M.Keenan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.8:3171−3176(1998)。
【0134】
様々のαvβ3インテグリン受容体アンタゴニストについて記載する公開された特許及び特許出願の代表的な例は、限定されるものではないが、以下のとおりである:ベンズアゼピン、ベンゾジアゼピン及びベンゾシクロヘプテンを包含するもの―国際特許出願WO96/00574、WO96/00730、WO96/06087、WO96/26190、WO97/24119、WO97/24122、WO97/24124、WO98/14192、WO98/15278、WO99/05107、WO99/06049、WO99/15170、WO99/15178、WO97/34865、WO99/15506号明細書、及び米国特許第6,159,964号明細書;ジベンゾシクロヘプテン、及びジベンゾオキサピンを包含するもの−国際特許出願WO97/01540、WO98/30542、WO99/11626、WO99/15508号明細書,及び米国特許第6,008,213及び6,069,158号明細書;フェノール制約を有するもの−国際特許出願WO98/00395、WO99/32457、WO99/37621、WO99/44994、WO99/45927、WO99/52872、WO99/52879、WO99/52896、WO00/06169号明細書、欧州特許EP0 820,988、EP0 820,991号明細書;及び米国特許第5,741,796、5773,644、5,773,646、5,843,906、5,852,210、5,929,120、5,952,281、6,028,223及び6,040,311号明細書;単環性環制約を有するもの−国際特許出願WO99/26945、WO99/30709、WO99/30713、WO99/31099、WO99/59992、WO00/00486、WO00/09503号明細書、欧州特許EP0 796,855、EP0 928,790、EP0 928,793号明細書、及び米国特許第5,710,159、5,723,480、5,981,546、6,017,926、及び6,066,648号明細書;及びニ環性環制約を有するもの−国際特許出願WO98/23608、WO98/35949、及びWO99/33798号明細書、欧州特許EP0 853,084号明細書、及び米国特許第5,760,028、5,919,792、及び5,925,655号明細書。
【0135】
以前にはカテプシンO2として知られていたカテプシンKは、システイン・プロテアーゼであり、国際特許出願WO96/13523号明細書;米国特許第5,501,969及び5,736,357号明細書に記載されている。システイン・プロテアーゼ、具体的にはカテプシンは、腫瘍転移、炎症、関節炎、及び骨改造などの多くの疾患につながりをもっている。酸性のpHにおいて、カテプシンはI型コラーゲンを分解し得る。カテプシン・プロテアーゼ・インヒビターは、コラーゲン線維の分解を阻害することにより、破骨細胞骨再吸収を阻害し得るので、骨粗しょう症などの骨再吸収疾患の治療に有用である。限定されるものではないが、カテプシンKインヒビターの例は、国際特許公開WO01/49288及びWO01/77073号明細書に見出される。
【0136】
「スタチン」として知られるHMG−CoAリダクターゼ・インヒビタークラスのメンバーは、新しい骨の増殖の引き金を引き、骨粗しょう症の結果として失われた骨質量を元に戻すことが判明している(参照:The Wall Street Journal,Friday,December 3,1999,page B1)。それ故、スタチンは骨再吸収の治療を期待できる。HMG−CoAリダクターゼ・インヒビターの例は、ラクトン化又はジヒドロキシ開環酸の形状のスタチン及びその薬学的に許容され得る塩及びエステルであり、限定されるものではないが、ロバスタチン(参照:米国特許第4,342,767号明細書);シンバスタチン(参照:米国特許第4,444,784号明細書);ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、特にそのアンモニウム塩又はカルシウム塩;プラバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第4,346,227号明細書);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第5,354,772号明細書);アトルバスタチン、特にそのカルシウム塩(参照:米国特許第5,273,995号明細書);セリバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第5,177,080号明細書);ロスバスタチン(ZD−4522としても知られる)(参照:米国特許第5,260,440号明細書)及びピタバスタチン(NK−104ともいわれる);イタバスタチン、又はニスバスタチン(参照:国際特許出願公開番号WO97/23200)などを包含する。
【0137】
破骨細胞嚢胞ATPアーゼ・インヒビターは、プロトン・ポンプ・インヒビターとも呼称し、構造式(I)のSARMとともに使用し得る。破骨細胞の頂端膜に見出されるプロトンATPアーゼは、骨再吸収プロセスにおいて重要な役割を演じると報告されている。それ故、このプロトン・ポンプは、骨粗しょう症及び関連する代謝疾患の処置と予防に潜在的に有用な骨再吸収のインヒビター設計の魅力的な標的を代表する[参照:C.Farina et al.,DDT,4:163−172(1999)]。
【0138】
血管形成因子VEGFは、破骨細胞上のその受容体に結合することにより、摘出した成熟ウサギ破骨細胞の骨再吸収活性を刺激することが示されている[参照:M.Nakagawa et al.,FEBS Letters,473:161−164(2000)]。それ故、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、例えば、KDR/Flk−1及びFlt−1などの開発が、骨再吸収の処置又は予防のさらなる方法を提供し得る。
【0139】
ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(PPARγ)の活性化因子、例えば、チアゾリジンジオン(TZD)などは破骨細胞様細胞形成及びインビトロでの骨再吸収を阻害する。文献に報告されている結果(R.Okazaki et al.Endocrinology,140:5060−5065(1999))は、骨髄細胞に対する局部メカニズム並びにグルコース代謝に関するシステムの一つを示している。限定されるものではないが、活性化因子、PPARγの例は、グリタゾン類、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、及びBRL49653である。
【0140】
また、カルシトニンは、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。カルシトニンはサーモン鼻腔スプレーとして優先的に使用されている(Azra et al.,Calcitonin.1996.In:J.P.Bilezikian,et al.,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;及びSilverman,“Calcitonin,”Rheumatic Disease Clinics of North America,27:187−196,2001)。
【0141】
また、プロテインキナーゼ・インヒビターは、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。キナーゼ・インヒビターは国際特許出願WO01/17562号明細書に開示されたインヒビターを包含し、一実施態様においては、p38のインヒビターから選択される。限定されるものではないが、本発明において有用なp38インヒビターの例は、SB203580[Badger et al.,J.Pharmacol.Exp.Ther.,279:1453−1461(1996)]である。
【0142】
骨同化剤は、骨タンパク質マトリックスの産生を増加させることにより、骨を構築することが知られた同化剤である。かかる骨同化剤は、例えば、副甲状腺ホルモン(PTH)及びそのフラグメントであり、例えば、天然産PTH(1−84)、PTH(1−34)、そのままの、又は置換基を有するその類似体、特に、副甲状腺ホルモン皮下注射剤である。PTHは骨を形成する細胞、骨芽細胞の活性を増大させ、それによって新しい骨の合成を促進することが見出されている(Modern Drug Discovery,Vol.3,No.8,2000)。ヒトPTHの注射用組換え型、フォルテオ(Forteo)(テリパラチド;teriparatide)は骨粗しょう症の治療について、米国での規制当局の認可を受けている。
【0143】
本発明のSARMと組合わせで有用なのは、カルシウム受容体アンタゴニストであり、このものは文献(Gowen et al.,J.Clin.Invest.105:1595−604(2000))記載のように、PTHの分泌を誘導する。
【0144】
さらなる骨同化剤は、成長ホルモン分泌促進物質、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンなどであり、骨粗しょう症の処置のために、構造式(I)に相当する化合物とともに使用し得る。代表的な成長ホルモン分泌促進物質は、以下に開示されている:米国特許第3,239,345、4,036,979、4,411,890、5,206,235、5,283,241、5,284,841、5,310,737、5,317,017、5,374,721、5,430,144、5,434,261、5,438,136、5,494,919、5,494,920、5,492,916及び5,536,716号明細書;欧州特許公開番号0,144,230及び0,513,974号明細書;国際特許公開番号WO94/07486、WO94/08583、WO94/11012;WO94/13696、WO94/19367、WO95/03289、WO95/03290、WO95/09633、WO95/11029、WO95/12598、WO95/13069、WO95/14666、WO95/16675、WO95/16692、WO95/17422、WO95/17423、WO95/34311、及びWO96/02530号明細書;論文:Science,260,1640−1643(June 11,1993);Ann.Rep.Med.Chem.,28:177−186(1993);Bioorg.Med.Chem.Lett.,4:2709−2714(1994);及びProc.Natl.Acad.Sci.、USA,92:7001−7005(1995)。
【0145】
インスリン様成長因子(IGF)は、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。インスリン様成長因子は、インスリン様成長因子Iから、単独で、又はIGF結合タンパク質3及びIGFIIと組合わせて選択し得る[参照:Johannson and Rosen,“The IGFs as potential therapy for metabolic bone diseases(代謝性骨疾患に対する有力な治療としてのIGF),”1996,In:Bilezikian,et al.,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;及びGhiron et al.,J.Bone Miner.Res.10:1844−1852(1995)]。
【0146】
骨形態形成タンパク質(BMP)もまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。骨形態形成タンパク質は、BMP2、3、5、6、7、並びに関連する分子TGFベータ及びGDF5である[Rosen et al.,“Bone morphogenetic proteins(骨形態形成タンパク質),”1996.In:J.P.Bilezikian,et al.,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;及びWang EA,Trends Biotechnol.,11:379−383(1993)]。
【0147】
BMP拮抗作用のインヒビターもまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。一実施態様において、BMPアンタゴニスト・インヒビターは、BMPアンタゴニストSOST、ノッギン(noggin)、コルジン(chordin)、グレムリン(gremlin)、及びダン(dan)から選択される[参照:Massague and Chen, “Controlling TGF−beta signaling(TGF−ベータシグナル伝達の制御),”Genes Dev.,14:627−644,2000;Aspenberg et al.,J.Bone Miner.Res.16:497−500,2001;及びBrunkow et al.,Am.J.Hum.Genet.68:577−89(2001)]。
【0148】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、骨粗しょう症などの骨喪失と関連する症状の処置のため、ポリペプチド・オステオプロテゲリンと組合わせ得る。該オステオプロテゲリンは、哺乳動物オステオプロテゲリン及びヒト・オステオプロテゲリンから選択し得る。腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーのメンバーであるポリペプチド・オステオプロテゲリンは、骨粗しょう症などの骨喪失増大を特徴とする骨疾患を処置するために有用である。参照文献は、米国特許第6,288,032号明細書である。
【0149】
プロスタグランジン誘導体もまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。限定されるものではないが、プロスタグランジン誘導体の代表例は、プロスタグランジン受容体EP1、EP2、EP4、FP、IP及びその誘導体のアゴニストから選択される[Pilbeam et al.,“Prostaglandins and bone metabolism(プロスタグランジン及び骨代謝),”1996.In: Bilezikian,et al.Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press;Weinreb et al.,Bone,28:275−281(2001)]。
【0150】
線維芽細胞増殖因子もまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。線維芽細胞増殖因子は、aFGF、bFGF及びFGF活性をもつ関連ペプチドを含む[Hurley Florkiewicz,“Fibroblast growth factor and vascular endothelial growth factor families(線維芽細胞増殖因子及び血管内皮細胞増殖因子ファミリー),”1996.In:J.P.Bilezikian,et al.,Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press]。
【0151】
骨再吸収インヒビター及び骨同化剤に加えて、正確には定義されていないメカニズムを介して、骨格にとって有益であることが知られている他の薬剤も存在する。これらの薬剤は、好ましくは、構造式(I)のSARMと組合わせることが可能である。
【0152】
ビタミンD、ビタミンD誘導体及び類似体もまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。ビタミンD及びビタミンD誘導体は、例えば、D(コレカルシフェロール)、D(エルゴカルシフェロール)、25−OH−ビタミンD、1α,25(OH)ビタミンD、1α−OH−ビタミンD、1α−OH−ビタミンD、ジヒドロタキステロール、26,27−F6−1α,25(OH)ビタミンD、19−ノル−1α,25(OH)ビタミンD、22−オキサカルシトリオール、カルシポトリオール、1α,25(OH)−16−エン−23−イン−ビタミンD(Ro23−7553)、EB1089、20−エピ−1α,25(OH)ビタミンD、KH1060、ED71、1α,24(S)−(OH)ビタミンD、1α,24(R)−(OH)ビタミンD[参照:Jones G.,“Pharmacological mechanisms of therapeutics:vitamin D and analogs(治療剤:ビタミンD及び類似体の薬理学的メカニズム),”1996.In:J.P.Bilezikian,et al.Ed.Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press]。
【0153】
ビタミンK及びビタミンK誘導体もまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。ビタミンK及びビタミンK誘導体はメナテトレノン(ビタミンK2)を包含する[参照:Shiraki et al.,J.Bone Miner.Res.,15:515−521(2000)]。
【0154】
イプリフラボンを含むダイズ・イソフラボンは、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。
【0155】
フッ素化塩は、フッ化ナトリウム(NaF)及びフルオロリン酸一ナトリウム(MFP)を含め、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。食事療法カルシウムサプリメントもまた、構造式(I)のSARMと一緒に使用することが可能である。食事療法カルシウムサプリメントは、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、及び天然のカルシウムを包含する(Heaney.Calcium.1996.In:J.P.Bilezikian,et al.,Ed.,Principles of Bone Biology,San Diego:Academic Press)。
【0156】
本発明の組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、良性前立腺肥大(BPH)の処置のために、アルファ−1アドレナリン作動性遮断剤又は5アルファ・リダクターゼ・インヒビターとも組合わせ得る。限定されるものではないが、アルファ−1アドレナリン作動性遮断剤の例は、ドキサゾシン(ファイザー)、テラゾシンHCl(アボット)、タムスロシンHCl(ベーリンガー・インゲルハイム)、及びアルフゾシンHCl(サノフィ−シンセラボ)などである。限定されるものではないが、5アルファ・リダクターゼ・インヒビターの例は、構造式(I)の化合物を含む:
【0157】
【化8】

【0158】
式中、Rは、(a)未置換であるか、又は1個ないし3個のハロゲン置換基で置換されるC1−10アルキル;及び(b)未置換であるか、又はハロゲン、メチル、及びトリフルオロメチルから独立して選択される1個ないし3個の置換基で置換されたフェニル;から選択される;例えば、フィナステリド(メルク・エンド・カムパニー社)、ズタステリド(dutasteride)(アボダート;AVODART;グラクソ・スミス・クライン)、及びエプリステリド(epristeride)である。
【0159】
構造式(I)の化合物と組合わせて使用した場合、骨格に役立つように使用し得る、骨再吸収インヒビター、骨同化剤、及び他の薬剤についての日用量範囲は、当該技術分野で既知の範囲である。かかる組合わせにおいて、構造式(I)のSARMについての日用量範囲は、成人あたり1日につき約0.01ないし約1000mg、約0.1ないし約200mg/日、の範囲である。しかし、各薬剤の用量を減少させるための調整が、組合わせる薬剤の有効性を上昇させることで、なし得る。
【0160】
特に、ビスホスホネートを使用する場合、約2.5ないし約100mg/日の投与量(遊離ビスホスホン酸として測定)、例えば、5ないし20mg/日の範囲、又は約10mg/日が、治療のために適切である。予防的には、約2.5ないし約10mg/日、及び特に約5mg/日が、使用されるべきである。副作用の低下のためには、構造式(I)の化合物とビスホスホネートとの併用剤を週1回投与することが望ましい。週1回投与のためには、ビスホスホネートについて週あたり約15mgないし約700mgの範囲、及び構造式(I)の化合物について約0.07ないし約7000mgの範囲の用量が、別々に、又は組合わせ形状で使用し得る。構造式(I)の化合物は好適には、特に、週1回の投与のために、制御放出送達デバイスで、投与し得る。
【0161】
アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、及び高脂肪血症の処置のためには、構造式(I)の化合物を1種以上のさらなる活性剤と組合わせて、効果的に投与し得る。さらなる活性剤又は活性剤類は、脂質改変化合物、例えば、HMG−CoAリダクターゼ・インヒビター、他の医薬活性を有する薬剤、及び脂質改変作用と他の医薬活性両方をもつ薬剤から選択し得る。限定されるものではないが、HMG−CoAリダクターゼ・インヒビターの例は、ラクトン化又はジヒドロキシ開環酸の形状のスタチン及びその薬学的に許容され得る塩及びエステルであり、限定されるものではないが、ロバスタチン(参照:米国特許第4,342,767号明細書);シンバスタチン(参照:米国特許第4,444,784号明細書);ジヒドロキシ開環酸シンバスタチン、特にそのアンモニウム塩又はカルシウム塩;パラバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第4,346,227号明細書);フルバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第5,354,772号明細書);アトロバスタチン、特にそのカルシウム塩(参照:米国特許第5,273,995号明細書);セリバスタチン、特にそのナトリウム塩(参照:米国特許第5,177,080号明細書);及びニスバスタチン(NK−104ともいわれる)(参照:国際特許出願公開番号WO97/23200)などを包含する。
【0162】
構造式(I)の化合物と組合わせて使用し得るさらなる活性薬剤は、限定されるものではないが、HMG−CoAシンターゼ・インヒビター;スクアレンエポキシダーゼ・インヒビター;スクアレンシンセターゼ・インヒビター(スクアレンシンターゼ・インヒビターとしても知られる)、アシル−コエンザイムA;コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、例えば、ACAT−1若しくはACAT−2の選択的インヒビター並びにACAT−1及び−2の二重インヒビター;ミクロソーム・トリグリセリド・トランスファータンパク質(MTP)インヒビター;プロブコール;ナイアシン;コレステロール吸収インヒビター、例えば、SCH−58235(エゼチミベ(ezetimibe)及び1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノンとしても知られる)(記載:米国特許第5,767,115及び5,846,966号明細書);胆汁酸金属イオン封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘発剤;血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン;ヒト・ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト、一般にグリタゾンと呼ばれる化合物、例えば、トログリタゾン、ピオグリタゾン及びロシグリタゾン、及びチアゾリジンジオンとして知られる構造クラス内に含まれる化合物並びにそれらのPPARγ、チアゾリジンジオン構造クラス外のアゴニスト;PPARαアゴニスト、例えば、クロフィブレート、微粉化フェノフィブレートを含むフェノフィブレート、及びゲムフィブロジル;PPAR二重α/γアゴニスト;ビタミンB(ピリドキシンとしても知られる)及びHCl塩などの薬学的に許容され得るその塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても知られる);葉酸又は薬学的に許容され得るその塩又はエステル、例えばナトリウム塩及びメチルグルカミン塩;ビタミンC及びE及びベータカロテンなどの抗酸化性ビタミン;ベータ−遮断薬;ロサルタンなどのアンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素インヒビター、例えば、エナラプリル及びカプトプリル;カルシウム・チャンネル遮断薬、例えば、ニフェジピン及びジルチアゼム;エンドセリン・アンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増強するLXRリガンドなどの薬剤;ビスホスホネート化合物、例えば、アレンドロネートナトリウム;及びシクロオキシゲナーゼ−2インヒビター、例えば、ロフェコキシブ及びセレコキシブ、並びにこれらの症状の処置に有用であることが知られている他の薬剤である。
【0163】
構造式(I)の化合物と組合わせて使用した場合、HMG−CoAリダクターゼ・インヒビターの日用量範囲は、当該技術分野で既知の範囲に対応する。同様に、HMG−CoAシンターゼ・インヒビター;スクアレンエポキシダーゼ・インヒビター;スクアレンシンセターゼ・インヒビター(スクアレンシンターゼ・インヒビターとしても知られる)、アシル−コエンザイムA;コレステロール・アシルトランスフェラーゼ(ACAT)インヒビター、例えば、ACAT−1若しくはACAT−2の選択的インヒビター並びにACAT−1及び−2の二重インヒビター;ミクロソーム・トリグリセリド・トランスファータンパク質(MTP)インヒビター;プロブコール;ナイアシン;エゼチミベ(ezetimibe)を包含するコレステロール吸収インヒビター、胆汁酸金属イオン封鎖剤;LDL(低密度リポタンパク質)受容体誘発剤;血小板凝集阻害剤、例えば、糖タンパク質IIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト及びアスピリン;ヒト・ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体ガンマ(PPARγ)アゴニスト;PPARαアゴニスト;PPAR二重α/γアゴニスト;ビタミンB;ビタミンB12;葉酸;抗酸化性ビタミン;ベータ−遮断薬;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素インヒビター;カルシウム・チャンネル遮断薬;エンドセリン・アンタゴニスト;ABC1遺伝子発現を増強するLXRリガンドなどの薬剤;ビスホスホネート化合物;及びシクロオキシゲナーゼ−2インヒビター;などの日用量範囲も、当該技術分野で既知の範囲に対応するが、構造式(I)の化合物との組合わせ作用により、その投与量は、組合わせ投与の場合には幾分低くなり得る。
【0164】
本発明の一実施態様は、哺乳動物における骨代謝回転マーカーに影響を及ぼす方法であって、式(I)に対応する化合物の治療有効量を投与することを特徴とする当該方法である。限定されるものではないが、骨代謝回転マーカーの例は、I型コラーゲンの尿中C−テロペプチド分解生成物(CTX)、I型コラーゲンの尿中N−テロペプチド架橋物(NTX)、オステオカルシン(骨Glaタンパク質)、二重エネルギーX線吸収法(DXA)、骨特異的アルカリホスファターゼ(BSAP)、定量的超音波(QUS)、及びデオキシピリジノリン(DPD)架橋から選択し得る。
【0165】
本発明の方法によると、組合わせの個々の成分は、治療の経過中、異なる時点で別個に、又は分割形状若しくは単一の組合わせ形状で同時に投与し得る。それ故、本発明はかかる同時又は交互の処置計画すべてを包含すると理解すべきであり、用語「投与する」とはそれに従って解釈すべきである。本発明化合物と他の薬剤との組合わせの範囲は、アンドロゲン欠損が惹き起こす疾患又はアンドロゲンの添加により軽快し得る疾患の治療に有用であると理解される。
【0166】
本発明化合物製造の説明に使用する略号
AcOH:酢酸
BOC:(tert−ブトキシカルボニル)
BOCO:ニ炭酸ジ−tert−ブチル
DHT:ジヒドロテストステロン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMEM:ダルベッコ変法イーグル培地
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
EGTA:エチレンビス(オキシエチレンニトリロ)四酢酸
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
FBS:ウシ胎児血清
FCS:ウシ胎児血清
hr:時間
HAP:ヒドロキシアパタイト
HEPES:(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析
MeOH:メタノール
NMM:N−メチルモルホリン
Pd(OAc):酢酸パラジウム(II)
PyBop:ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウム
Rt又はrt:室温
TEGM:結合バッファー
Ti(OEt):チタニウム(IV)エトキシド
TLC:薄層クロマトグラフィー
【0167】
本発明化合物は、以下の反応工程図に示す反応を用いて、さらには文献既知であるか、又は実験手順に例示した他の標準的操作により調製し得る。それ故、以下の説明用の工程図は、掲載した化合物により、又は説明を目的として用いる特定の置換基により限定されるものではない。反応工程図に示す置換基の番号は、必ずしも請求項で用いる番号と相関するものではなく、多くの場合、先に定義した式(I)の定義のもとで可能とされる複数の置換基の代わりに、単一の置換基を化合物に結合させて示す。
【0168】
【化9】

【0169】
【化10】

【0170】
【化11】

【0171】
【化12】

【0172】
反応工程図Aに示すように、アミンA−2は水素化条件を経て、シアノピリジンA−1から調製した。酸B−3は文献記載の手法に従って調製した(Mosher,H.S.,et al.,J.Org.Chem.1969,34,2543)。出発物質としてA−2及びB−3を使用し、標準的なアミド形成手法を経由してアミドを調製した(反応工程図B)。反応工程図DはD−4類似体を調製するための反応経路を示した。D−3はフリーデル−クラフト反応のプロトコールに従って調製した。引き続く加水分解とアミド形成が所望の類似体D−4に導いた。
【実施例】
【0173】
実施例1
【0174】
【化13】

【0175】
1−(5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)メタンアミン(1−2
7N−NH3/メタノール(アクロス・オルガニックス)30mL中の市販品1−1(アクロス・オルガニックス;1.5g、8.5mmol)の溶液に、ラネーニッケル5gを加えた。この混合物を脱気し、風船水素化条件下に1時間処置した。この混合物をセライトのパッドで濾過し、濃縮してアミン1−2を得た;これをさらに精製することなく、次工程で使用した。
LC/MS:計算値176.14;実測値:M+1=177.1
【0176】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸(1−3)
カルボン酸1−3は、既知の方法に従って調製した(Mosher,H.S.,et al.,J.Org.Chem.1969,34,2543)。エステルのエナンチオマー混合物の分割は、文献に報告されているような酸の分別結晶の代わりに、キラル・パックAD[360nm、95%ヘキサン(0.1%ジエチルアミン)と5%MeOH/EtOH(1:1)]により実施した。(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸1−3の絶対配置はRと決定した(測定値:[α]+24.8,c0.1,MeOH;文献値:[α]+29.8,c0.8,MeOH;Sharpless,K.B.et al.,Tetrahedron:Asymmetry 1994,5,1473)。
【0177】
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−{[5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}プロパンアミド(1)
1−3(0.05g、0.2mmol)及び1−(5−トリフルオロメチルピリジン−3−イル)メタンアミン1−2(0.044g、0.25mmol)を無水DMF1mLに溶かし、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.11mL、0.68mmol)及びHOAt(0.034g、0.25mmol)を加えた。10分間攪拌した後、1−(3−メチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.048g、0.25mmol)を加え、その溶液を3時間攪拌した。反応混合物に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を希HCl(aq)で、次いで飽和食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLCで精製し、を固形物として得た。
LC/MS:実測値:M+H=379.9
【0178】
実施例2
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−{[1−オキシド−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル]メチル}−2−フェニルプロパンアミド(2)
【0179】
【化14】

【0180】
ジクロロメタン3mL中の(1g、2.6mmol)の溶液に、m−CPBA(0.7g、3.9mmol)を加えた。反応混合物を室温で一夜攪拌し、次いで、40℃で4時間加熱した。反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOH/ヘキサン)により精製し、を固形物として得た。
HRMS:M+1 計算値=395.0825;実測値=395.0825
【0181】
実施例3
2R)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド(3)
【0182】
【化15】

【0183】
3−シアノ−5−シクロプロピルピリジン(3−1)
THF中のZnCl(アルドリッチ;0.5M、120mL、60mmole)を乾燥フラスコに容れ、次いで、シクロプロピル・グリニヤール試薬(アルドリッチ;0.5M、120mL、60mmole)を室温で加えた。混合物を30分間攪拌し、次いで、ブロモピリジン3−1−1(アクロス;10g、55mmole)を加えた。混合物に窒素を5分間流し、次いで、Pd(dba)(アルドリッチ;3g、3mmole)及びdppf(アルドリッチ;3g、6mmole)を加えた。この混合物を85℃で12時間攪拌し、室温に冷やした。溶媒除去後に、NHCl(aq)を加えた。混合物をエーテル(×3)で抽出した。併合した有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮して、液体を得た;これをシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーを用いるISCOで精製して、所望の生成物3−1を得た。
LC/MS,計算値:M+CH3CN+1として=186.18;実測値:186.1
【0184】
5−シクロプロピルピリジン−3−イル)メチルアミン(3−2)
オーブン乾燥した二頚丸底フラスコ中、3−1(0.1g、0.7mmol)を15mlの7N−NH/MeOHに溶かした。容器に窒素を流し、次いで、ラネーNiを加えた。反応混合物を風船水素化条件下に60分間処理した。この混合物をセライトのパッドで濾過し、大量の塩化メチレンで洗った。次いで、濾液を減圧濃縮した。残渣をトルエンとの共沸混合物として3回乾燥し、所望の生成物3−2を固形物として得た。
LC/MS:計算値148.2;実測値(M+H):149.1
【0185】
2R)−N−(5−シクロプロピル−1−ヒドロキシ−ピリジン−3−イルメチル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−プロピオンアミド(3)
無水DMF2mL中の1−3(0.1g、0.6mmol)及び3−2(0.09g、0.6mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(0.3mL、1.8mmol)を加えた。10分間攪拌した後、PyBOP(0.4g、0.7mmol)を加えた。この溶液を3時間攪拌した。反応混合物を水で処理し、酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を希HCl(aq)で洗い、次いで飽和食塩水で洗った。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLC(MeCN/HO)で精製し、をHCl塩として得た。
HRMS:計算値M+1=351.1315,実測値:351.1307
【0186】
実施例4
(R)−N−[(5−シクロプロピル−1−オキシドピリジン−3−イル)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパンアミド(4)
【0187】
【化16】

【0188】
(0.05g、0.1mmol)をジクロロメタン1mLに溶かし、次いで、m−CPBA(0.03g、0.3mmol)で処理した。反応液を室温で4時間攪拌した。減圧下に溶媒を除去し、残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLC(MeCN/HO)で精製し、を固形物として得た。
LC/MS:計算値366.3;実測値(M+H+):367.1
【0189】
実施例5、6、及び7
【0190】
【化17】

【0191】
化合物5
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−{[4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル}プロパンアミド(5)
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸1−3(0.2g、0.9mmol)及び1−(4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メタンアミン5−1(アレイ;0.18g、0.99mmol)を2mLの無水DMFに溶かし、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.45mL、2.7mmol)及び1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(0.1g、0.9mmol)を加えた。10分間攪拌した後、1−(3−メチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(0.17g、0.9mmol)を加えた。この溶液を3時間攪拌した。反応混合物に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加えて反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。併合した有機層を希HCl(aq)で、次いで食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLC(MeCN/HO)で精製し、を固形物として得た。
HRMS:計算値379.0876;実測値379.0865
【0192】
2−シクロプロピルイソニコチノニトリル5−2
乾燥フラスコに、THF中のZnCl(アルドリッチ;0.5M、108mL、54mmole)を加え、次いで、シクロプロピル・グリニヤール試薬(アルドリッチ;0.5M、108mL、54mmole)を室温で加えた。混合物を30分間攪拌し、次いで、クロロピリジン5−2−1(メイブリッジ;5g、36mmole)を加えた。混合物に窒素を5分間流し、次いで、Pd(dba)(アルドリッチ;3g、3mmole)及びdppf(アルドリッチ;3g、6mmole)を加えた。この混合物を60℃で12時間攪拌し、室温に冷やした。NHCl(aq)を加えて、反応を停止させた。溶媒を除去し、混合物をエーテル(×3)で抽出した。併合した有機層を乾燥し(NaSO)、濃縮して、液体を得た;これをシリカゲル・フラッシュ・クロマトグラフィーを用いるISCOで精製して、所望の生成物5−2を得た。
LC/MS,計算値:M+CH3CN+1として=186.18;実測値:186.1
【0193】
(2−シクロプロピルピリジン−4−イル)メチルアミン塩酸塩(5−3)
オーブン乾燥二頚丸底フラスコ中、2−シクロプロピルイソニコチノニトリル5−2(0.6g、4.3mmol)を15mlの9M−NH/MeOHに溶解した。容器に窒素を流し、ラネーNiを加えた。この混合物を風船水素化条件下で処理した。混合物を60分間攪拌した。次いで、反応混合物をセライトのパッドで濾過し、大量の塩化メチレンで洗った。濾液を減圧下に濃縮した。10mLの1N−HClを加え、次いで、減圧下に除去した。残渣をトルエンとの共沸混合物として3回乾燥し、所望の生成物5−3をHCl塩として得た。
LC/MS:計算値148.2 実測値(M+H):149.1
【0194】
化合物6
(2R)−N−[(2−シクロプロピルピリジン−4−イル)メチル]−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパンアミド(6)
無水DMF3mL中の1−3(0.25g、1.1mmol)及び(2−シクロプロピルピリジン−4−イル)メチルアミン塩酸塩5−3(0.5g、2.7mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、8.1mmol)を加えた。10分間攪拌した後、PyBOP(1.5g、2.9mMol)を加え、その溶液を2時間攪拌した。反応混合物を水で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。併合した有機層を希HCl(aq)で、次いで飽和食塩水で洗った。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、減圧下に濃縮した。粗残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLC(MeCN/HO)で精製し、をHCl塩として得た。
LC/MS:計算値350.3 実測値(M+H):351.0
【0195】
3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルブタン酸(5−4)
カルボン酸5−4は既知方法(Mosher,H.S.,et al.,J.Org.Chem.1969,34,2543)に従って調製した。エステルのエナンチオマー混合物の分割は、文献に報告されているような酸の分別結晶の代わりに、キラル・パックAD[360nm、95%ヘキサン(0.1%ジエチルアミン)と5%MeOH/EtOH(1:1)]により実施した。ペンタフルオロエチル類似体は、それぞれ、18分と21分に2つのピークを与えた。生化学的アッセイにおいて活性なカップル結合化合物(例えば、)を与える酸は、第二のピーク(RT=21min、[α]+4.4、c0.1、MeOH)のものであった。
【0196】
化合物7
(R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニル−N−{[4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]メチル}ブチルアミド(7)
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルブタン酸5−4(0.05g、0.2mmol)及び(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)メチルアミン5−1(0.04g、0.2mmol)を2mLの無水DMFに溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(0.09mL、0.6mmol)を加えた。10分間攪拌した後、PyBOP(0.1g、0.2mmol)を加え、溶液を3時間攪拌した。反応混合物を水で処理し、酢酸エチルで3回抽出した。併合した有機層を希HCl(aq)で洗い、次いで飽和食塩水で洗った。有機層をMgSOで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLC(MeCN/HO)で精製し、所望の生成物を固形物として得た。
LC/MS:Cal:428.2 実測値(M+H):429.0
【0197】
実施例8
【0198】
【化18】

【0199】
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシプロパン酸エチル(6−3)
塩化4−フルオロフェニルマグネシウム6−1(アルドリッチ;2.0M−THF、14.7mL、29.4mmol)を、THF(100mL)中のトリフルオロピルビン酸エチル6−2(アルドリッチ;5.0g、29.4mmol)の攪拌溶液に−78℃で滴下し、得られる溶液を−78℃で1時間攪拌し、次いで冷却浴を除いた。反応液を室温で18時間攪拌した。反応液に1N−HClを加えて反応を停止させ、次いでEtOで抽出した。有機抽出液を無水MgSOで乾燥し、減圧下に溶媒を除去した。シリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィーに付し、0〜20%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出し、精製すると、ラセミエステルの混合物を澄明な粘稠油として得た。キラルHPLC、キラセルAD(10cm、300ml/分、5%(1:1EtOH/MeOH)/ヘキサン;0.1%DEA)により分離し、6−3を澄明な粘稠油として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.80(m,2H),7.09(t,2H,J=9Hz),4.42(m,2H),4.35(s,1H),1.38(t,3H,J=7Hz)。
【0200】
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシプロパン酸(6−4)
1N−NaOH水溶液(15mL、15mmol)を、EtOH(20mL)中の6−3(2.5g、9.4mmol)の溶液に加え、得られる溶液を室温で1時間攪拌した。この溶液を1N−HClで酸性とし、粗生成物をEtOAcで抽出した。有機抽出液を飽和食塩水で洗い、無水MgSOで乾燥し、溶媒を減圧下に除去して、6−4を粘稠な無色油として得た。
H NMR(500MHz,CDCl)δ7.81(m,2H),7.11(t,2H,J=8Hz)。
【0201】
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−(4−フルオロ−フェニル)−2−ヒドロキシ−N−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−3−イルメチル)−プロピオンアミド(8)
N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中の、(2R)−3,3,3−トリフルオロ−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−2−フェニルプロパン酸6−4(0.06g、0.3mmol)、塩化(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−3−イル)メタンアミニウム1−2(0.06g、0.3mmol)、及び4−メチルモルホリン(0.1mL、1.0mmol)の溶液を、PyBOP(0.14g、0.26mmol)により室温で処理した。反応混合物を室温で18時間攪拌した。この溶液をEtOAcで希釈し、次いで、水、10%KCO、及び飽和食塩水で洗った。有機抽出液を無水MgSOで乾燥し、溶媒を減圧下に除去した。シリカゲル上のフラッシュ・クロマトグラフィーに付し、0〜100%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出精製し、を無色固形物として得た。
HRMS(M+H)=397.0785;H NMR(500MHz,CDCl)δ8.78(s,1H),8.63(s,1H),7.65(m,2H),7.12(t,2H,J=9Hz),6.81(m,1H),4.60(d,2H,J=6Hz)。
【0202】
実施例9〜15
実施例1011121314,及び15は適切な出発物質を用いて、実施例に記載したプロトコールと同じプロトコールで実施した。出発物質は市販品として入手可能な供給源から入手した。
【0203】
実施例16
【0204】
【化19】

【0205】
(2R又は2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパン酸エチル(7−3)
マイクロ波用試験管中、チオフェン7−1(アルドリッチ・ケミカルズ;1.0g、11.9mmol)及び3,3,3−トリフルオロピルビン酸エチル7−2(ランカスター;2.02g、11.9mmol)の混合物に、塩化亜鉛(0.16g、1.2mmol)を加えた。得られる混合物をマイクロ波中にて150℃で30分間加熱した。得られる黄色油をフラッシュ・クロマトグラフィー(1〜25%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、次いで、キラルカラム(キラルパックAD;4%(1:1)EtOH:MeOH/ヘキサン)により分割して、所望の生成物7−3を得た。
MS(M+H)=255.23;H NMR(500MHz,CDCl)δ7.37(m,2H),7.05(m,1H),4.59(bs,1H),4.44(m,12H),1.39(m,3H)。
【0206】
(2R又は2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(1−オキソ−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド(16)
ジオキサン/水(2:1、50mL)中のエステル7−3(1.5g、5.9mmol)の溶液を、水酸化リチウム(0.74g、17.7mmol)にて室温で処理した。反応混合物を12時間攪拌し、酢酸エチルと1N−HClに分配した。有機層を分離し、乾燥(MgSO)、減圧濃縮して、(2R又は2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパン酸を得た。N,N−ジメチルホルムアミド(1.0mL)中の、(2R又は2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−(2−チエニル)プロパン酸(100mg、0.44mmol)及び1−(5−シクロプロピルピリジン−3−イル)メタンアミン3−2;R=H;0.77g、0.44mmol)の溶液を、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt;0.08g、0.58mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドHCl(EDC;0.11g、0.58mmol)により室温で処理した。2時間後、反応混合物を、ジクロロメタンと0.5N−NaOHに分配した。有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下に濃縮した。逆相クロマトグラフィー(10〜100%アセトニトリル/水)により、所望の生成物16を得た。
HRMS(M+H)=383.0591;H NMR(500MHz,CDCl)δ8.43(s,1H),8.41(bs,1H),8.36(s,1H),7.71(s,1H),7.38−7.37(m,2H),7.05−7.02(m,1H),4.52(q,2H,J=17.0Hz),3.10−3.00(bs,1H),2.01−1.97(m,1H),1.21−1.18(m,2H),0.83−0.81(m,2H)。
【0207】
実施例17
【0208】
【化20】

【0209】
(2R又は2S)−3−{[(5−シクロプロピルピリジン−3−イル)メチル]アミノ}−2−ヒドロキシ−3−オキソ−2−フェニルプロピルピロリジン−1−カルボキシレート(17)
ジクロロメタン(1mL)中の、アルコール8−1(650mg、3.09mmol)(文献(Wang,Z.M.;Sharpless,K.B..Synlett,1993,8,603−4)に従って調製)及びDMAP(2.5mg、0.015mmol)の溶液を、トリホスゲン(376mg、3.710mmol.)により0℃で処理した。1時間後に、ピロリジン(264mg、3.714mmol)を加えた。2時間後、反応混合物をジクロロメタンと0.5N−NaOHに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。粗製のエステルをジオキサン(5mL)に溶かし、1N−LiOH溶液(3mL)を加えた。反応液を室温で12時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン(100mL)で希釈し、1N−HClで酸性とした。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。N,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中の、酸8−2(100mg、0.358mmol)及び1−(5−シクロプロピルピリジン−3−イル)メタンアミン3−2(0.06mg、0.358mmol)の溶液を、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt、58mg、0.430mmol)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミドHCl(EDC、82mg、0.430mmol)により室温で処理した。14時間後、反応混合物をジクロロメタンと0.5N−NaOHに分配した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、0〜80%酢酸エチル/ヘキサン)により所望の生成物17を得た。
HRMS(M+H)=410.2079;H NMR(500MHz,CDCl)δ8.44(d,2H,J=7.6Hz),7.75(m,1H),7.39(d,2H,J=7.6Hz),7.57(s,1H),7.40−7.27(m,3H),4.76(d,1H,J=12.5Hz),4.61−4.56(m,2H),4.45(dd,1H,J=16.1,6.4Hz),3.70−3.38(m,3H),3.24−3.23(m,2H),1.92−1.86(m,5H),1.16−1.14(m,2H),0.69−0.66(m,2H)。
【0210】
【表1】

【0211】
【表2】

【0212】
【表3】

【0213】
【表4】

【0214】
実施例5
医薬組成物
本発明の具体的実施態様として、100mgの2−(R)−N−[(2−シクロプロピル−5−フルオロピリジン−4−イル)メチル]−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−2−フェニルブタンアミドを、十分に微粉末化した乳糖で製剤化して合計580ないし590mgとし、サイズ0のハードゼラチンカプセルに充填した。
【0215】
上記の明細は説明を目的として提供した実施例とともに、本発明の原理を説明するものであるが、本発明の手法は以下の請求項及びそれらの等価物の範囲内にあるものとして、通常の変動、採択、又は変更のすべてを包含するものと理解される。
【0216】
アッセイ
化合物のSARM活性同定のためのインビトロ及びインビボ・アッセイ
本出願に例示した化合物は、1種以上の以下のアッセイにおいて活性を示した。
内因性発現ARに対する化合物親和性のヒドロキシアパタイト−ベースの放射性リガンド置換アッセイ
【0217】
材料
結合バッファー:TEGM(10mMトリス−HCl、1mM EDTA、10%グリセロール、1mMベータ−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸ナトリウム、pH7.2)
50%HAPスラリー:カルビオケム・ヒドロキシアパタイト、高速フロー、10mMトリス中、pH8.0、及び1mM−EDTA。
洗浄バッファー:40mMトリス、pH7.5、100mM−KCl、1mM−EDTA及び1mM−EGTA。
95%EtOH
メチルトリエノロン、[17α−メチル−H]、(R1881);NEN NET590
メチルトリエノロン(R1881)、NEN NLP005(95%EtOHに溶解)
ジヒドロテストステロン(DHT)[1,2,4,5,6,7−H(N)]NEN NET453
ヒドロキシルアパタイト 急速フロー:カルビオケム・カタログ#391947
モリブデート=モリブデン酸(シグマ:M1651)
【0218】
MDA−MB−453細胞培地
RPMI1640(ギブコ11835−055)w/23.8
mM NaHCO、2mM L−グルタミン
完全培地500mL中 最終濃度
10mL(1Mヘペス) 20mM
5mL(200mM L−グルタミン) 4mM
0.5mL(10mg/mLヒトインスリン) 10μg/mL
0.01N HCl中
カルビオケム#407694−S)
50mL FBS(シグマF2442) 10%
1mL(10mg/mLゲンタマイシン 20μg/mL
ギブコ#15710−072)
【0219】
細胞継代
細胞(Hall R.E.,et al.,European Journal of Cancer,30A:484−490(1994))はPBSで2回すすぎ、フェノールレッド不含トリプシン−EDTAを同じPBS中に、1:10に希釈する。細胞層を1Xトリプシンですすぎ、余分のトリプシンを注ぎ出し、細胞層を37℃で〜2分間インキュベートする。フラスコを軽く叩き、細胞剥離の兆候をチェックする。細胞がフラスコから滑り落ち始めたところで、完全培地を加えて、トリプシンを殺す。この時点で細胞を計数し、次いで、適切な濃度に希釈し、フラスコ又は皿に分けとってさらに培養する(通常、1:3ないし1:6希釈)。
【0220】
MDA−MB−453細胞溶解液の調製
MDA細胞が70ないし85%周密となったとき、細胞を上記のように剥離させ、4℃で10分間、1000gの遠心分離により収集する。細胞ペレットをTEGM(10mMトリス−HCl、1mM−EDTA、10%グリセロール、1mMベータ−メルカプトエタノール、10mMモリブデン酸ナトリウム、pH7.2)で2回洗浄する。最終洗浄の後、細胞をTEGMに再懸濁して、10細胞/mLの濃度とする。この細胞懸濁液を液体窒素又はエタノール/ドライアイス中で素早く凍結し、ドライアイス上−80℃のフリーザーに移す。結合アッセイを始める前に、凍結サンプルを氷水に放置して融解する(〜1時間)。次いで、このサンプルを12,500gないし20,000g、4℃で30分間遠心分離する。この上清を用いて直ちにアッセイを始める。上清50μLを使用する場合、試験化合物はTEGMバッファー50μLで調製し得る。
【0221】
複数化合物スクリーニングの手順
1×TEGMを調製し、同位体含有アッセイ混合物は以下の順で調製する:EtOH(2%最終反応濃度)、H−R1881又はH−DHT(0.5nM最終反応濃度)及び1×TEGM。[例えば、100サンプルの場合、200μL(100×2)のEtOH+4.25μLの1:10 H−R1881保存液+2300μL(100×23)1×TEGM]。化合物を段階的に希釈する;例えば、出発最終濃度が1μMであり、化合物が溶液25μL中にある場合、二重サンプル用に、75μLの4x1μM溶液を作製し、3μLの100μMを72μLのバッファーに加え、1:5に段階希釈する。
【0222】
25μLのH−R1881トレーサー及び25μLの化合物溶液を最初に混合し、次いで、50μLの受容体溶液を添加する。反応液をゆるやかに混合し、約200rpmで簡単に回転し、4℃で一夜インキュベートする。50%HAPスラリー100μLを調製し、インキュベートした反応液に加え、次いで、ボルテックスし、氷上で5ないし10分間インキュベートする。反応液をインキュベートしながら、反応混合物を2回以上ボルテックスしてHAPを再懸濁する。次いで96穴フォーマット中のサンプルを、フィルターメート(FilterMateTM)(ユニバーサル・ハーベスター・プレートウォッシャ;パッカード)を用いて洗浄バッファー中で洗浄する。洗浄プロセスは、リガンド結合発現受容体を含むHAPペレットを、ユニフィルター−96GF/Bフィルタープレート(パッカード)に移す。フィルタープレート上のHAPペレットは、50μLのマイクロシント(MICROSCINT)(パッカード)シンチラントと30分間インキュベートし、トップカウント・マイクロシンチレーション・カウンター(パッカード)で計数する。IC50は、R1881を標準として用いて計算する。
【0223】
表1及び2に見出される実施例1−1から1−19、及び実施例2−1から2−15の化合物について、上記のアッセイにより試験し、1マイクロモル以下のIC50値を有することが判明した。
【0224】
アンドロゲン受容体N−末端及びC−末端ドメインのリガンド誘導相互作用についての哺乳動物ツーハイブリッド・アッセイ(アゴニストモード:バーコン(VIRCON))
このアッセイは、活性化されたアンドロゲン受容体が媒介し、インビボで男性化する潜在力を反映するrhARのN−末端ドメイン(NTD)とC−末端ドメイン(CTD)間の相互作用を誘導するARアゴニストの能力を評価する。rhARのNTDとCTDの相互作用は、CV−1サル腎臓細胞における哺乳動物ツーハイブリッド・アッセイのように、Gal4DBD−rhARCTD融合タンパク質及びVP16−rhARNTD融合タンパク質間のリガンド誘導会合として定量される。
【0225】
形質導入の前日、CV−1細胞をトリプシン処理して計数し、次いで、DMEM+10%FCS中、96−穴プレート又はより大型のプレートに、20,000細胞/ウエルの割合で塗布する。翌朝、CV−1細胞は、リポフェクタミンプラス試薬(ギブコBRL)を用い、供給メーカーが推奨する手順に従って、pCBB1(SV40初期プロモーターのもとで発現されるGal4DBD−rhAR LBD融合構築物)、pCBB2(SV40初期プロモーターのもとで発現されるVP16−rhAR NTD融合構築物)、及びpFR(Gal4応答ルシフェラーゼ・レポーター;プロメガ)で同時形質移入する。簡単に説明すると、0.05μgのpCBB1、0.05μgのpCBB2、及び0.1μgのpFRのDNA混合物を、「プラス試薬」(1.6μL、ギブコ−BRL)と混合した3.4μLのOPTI−MEM(GIBCO−BRL)中で混合し、室温(RT)で15分間インキュベートし、予め複合化したDNAを形成する。
【0226】
各ウエルについて、0.4μLのリポフェクタミン試薬(ギブコ−BRL)を第二の試験管中、4.6μLのOPTI−MEMに希釈し、混合して、希釈したリポフェクタミン試薬を生成する。予め複合化したDNA(上記)と希釈したリポフェクタミン試薬(上記)を併合し、混合して、室温で15分間インキュベートする。細胞上の培地を40μL/ウエルのOPTI−MEMと置き換え、各ウエルに10μLのDNA−脂質複合体を加える。この複合体をゆるやかに培地中に混合し、37℃、5%COで5時間インキュベートする。インキュベーション後に、200μL/ウエルのD−MEM及び13%活性炭−処理FCSを加え、次いで、37℃、5%COでインキュベートする。24時間後に、試験化合物を所望の濃度(1nM〜10μM)で加える。48時間後、製造業者のプロトコールに従って、LUC−スクリーン・システム(TROPIX)を用いてルシフェラーゼ活性を測定する。このアッセイは、ウエルに直接アッセイ溶液1を、次いでアッセイ溶液2を、それぞれ50μL連続的に加えて実施する。室温で40分間インキュベートした後、2〜5秒積分して発光を直接測定する。
【0227】
試験化合物の活性は、3nM R1881で得られる活性に比例するEmaxとして計算する。本発明の典型的な組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、このアッセイにおいて弱いアゴニスト活性を示すか、又は全く示さず、そのアゴニスト活性は10マイクロモルで50%未満である。
【0228】
参照:He B,Kemppainen JA,Voegel JJ,Gronemeyer H,Wilson EM,“Activation function in the human androgen receptor ligand binding domain mediates inter−domain communication with the NH(2)−terminal domain(ヒトアンドロゲン受容体リガンド結合ドメインの活性化機能は、NH(2)−末端ドメインとのドメイン間情報伝達を媒介する),”J.Biol.Chem.274:37219−37225(1999)。
【0229】
アンドロゲン受容体のトランス活性化モジュレーション(TAMAR)
本アッセイでは、天然ではヒトARを発現するヒト乳癌細胞株、MDA−MB−453細胞中のMMTV−LUCレポーター遺伝子からの転写を制御する試験化合物の能力を評価する。このアッセイでは、LUCレポーター遺伝子に結合する修飾MMTV LTR/プロモーターの導入を測定する。
【0230】
20,000ないし30,000細胞/ウエルを白色透明底96穴プレート中、10%FBS、4mM−L−グルタミン、20mM−HEPES、10μg/mLのヒトインスリン、及び20μg/mLゲンタマイシンを含むフェノールレッド不含RPMI1640からなる「対数増殖培地」に塗布する。インキュベーション条件は37℃、5%COとする。形質移入はバッチ様式で実施する。細胞をトリプシン処理し、適当量の新鮮培地にて上面の細胞数を計数し、次いで、フュージーン/DNAカクテル混合物と緩やかに混合し、96−穴プレートに塗布する。すべてのウエルに200Tlの培地+脂質/DNA複合体を加え、37℃で一夜インキュベートする。形質移入カクテルは無血清オプチメン、フュージーン6試薬及びDNAからなる。カクテル設定の製造業者(ロシュ・バイオケミカル)のプロトコールは以下のとおりである。脂質(Tl)とDNA(Tg)との比を約3:2とし、インキュベーション時間を室温で20分間とする。形質移入の16ないし24時間後、細胞を試験化合物で処理して、最終DMSO(媒体)濃度が<3%であるようにする。細胞は48時間、試験化合物と接触させる。48時間後、細胞をプロメガ細胞培養分解液バッファーにより30〜60分間、分解し、次いで、抽出液中のルシフェラーゼ活性を96穴フォーマット・ルミノメーターにてアッセイする。
【0231】
試験化合物の活性は、100nM R1881で得られる活性に比例するEmaxとして計算する。
【0232】
参照:R.E.Hall,et al.,“MDA−MB−453,an androgen−responsive human breast carcinoma cell line with high androgen receptor expression(高アンドロゲン受容体発現を示すアンドロゲン応答ヒト乳癌細胞、MDA−MB−453),”Eur.J.Cancer,30A:484−490(1994)及びR.E.Hall,et al.,“Regulation of androgen receptor gene expression by steroids and retinoic acid in human breast−cancer cells(ヒト乳癌細胞中のステロイド及びレチノイン酸によるアンドロゲン受容体遺伝子発現の調節),”Int.J.Cancer.,52:778−784(1992)。
【0233】
試験化合物の活性は、R1881で得られる活性に比例するEmaxとして計算する。本発明の例示した組織選択的アンドロゲン受容体モジュレーターは、本アッセイにおいて、10%を超える部分的アゴニスト活性を示す。
【0234】
インビボ前立腺アッセイ
9〜10週令の雄性スプラーグ−ドーリーラット(性的成熟の最早期令)を予防様式で使用する。そのゴールは、アンドロゲン様化合物が精巣除去(睾丸切除[ORX])後の7日間に生じる腹側前立腺及び精嚢の急速な劣化(〜85%)をどの程度遅延させるかを測定することである。
【0235】
ラットの睾丸を切除する(ORX)。各ラットの体重を測定し、次いで、イソフルランガスにより麻酔して、作用を持続させる。陰嚢に1.5cmの前後切開を作る。右睾丸を体外に転移する。輸精管動脈と精管を睾丸近傍0.5cmで4.0絹糸で結紮する。結紮部位末端を小型の手術用ハサミで切断して睾丸を遊離させる。組織断端を陰嚢に戻す。同様の処置を左睾丸で繰り返す。両方の断端を陰嚢に戻して、陰嚢と上側の皮膚を4.0絹糸で縫合して閉じる。シャム−ORXについて、結紮とハサミ切断以外のすべての手順を終える。ラットは10〜15分以内に覚醒し、完全な動作を取り戻す。
【0236】
外科的切開を縫合した後、直ちに一定用量の試験化合物をラットに皮下又は経口投与する。処置はさらに連続6日間続ける。
【0237】
屍検及びエンドポイント
最初にラットの体重を測定し、臨死までCOチャンバー中で麻酔する。約5mlの全血を心臓穿刺により採取する。次いで、ラットの死亡の兆候とORXの完成度を試験する。次に、前立腺の腹側部分の所在を確認し、高度に様式化された方式で平滑に切開摘出する。腹側前立腺を3〜5秒間、拭き取り乾燥し、重量を計測する(VPW)。最後に、精嚢の位置を確かめ切開する。腹側精嚢を3〜5秒間、拭き取り乾燥し、重量を計測する(SVWT)。
【0238】
本アッセイについての一次データは、腹側前立腺と精嚢の重量である。二次データは血清LH(黄体形成ホルモン)とFSH(卵胞刺激ホルモン)及び可能な骨形成と男性化の血清マーカーである。データはアノバ及びフィッシャーPLSDポスト−ホックテストにより解析し、群間の差を確認する。どの試験化合物がVPWとSVWTのORX−誘導損失を阻害するか、その程度を評価する。
【0239】
インビボ骨形成アッセイ
7〜10月令の雌性スプラーグ−ドーリーラットを、成人女性をシミュレートする処置様式で使用する。骨喪失を惹き起こし、エストロゲン欠損、骨減少成人女性をシミュレートするために、ラットを75〜180日前に卵巣切除(OVX)しておく。強力な抗再吸収性アレンドロネート(0.0028mpk SC、2X/wk)の低用量による事前処置は、0日に開始する。試験化合物での処置は、15日目に開始する。試験化合物処置は、15〜31日目に開始し、32日目に屍検する。そのゴールは、どのアンドロゲン様化合物が、蛍光色素標識増大により示される骨膜表面での骨形成量を増大させるか、その程度を測定することである。
【0240】
典型的なアッセイにおいて、7匹のラットからなる9群についてそれぞれ検討する。
19日目及び29日目(処置の第5日及び第15日)に、カルセイン(8mg/kg)を単回の皮下注射で各ラットに与える。
【0241】
屍検及びエンドポイント
最初にラットの体重を測定し、臨死までCOチャンバー中で麻酔する。約5mLの全血を心臓穿刺により採取する。次いで、ラットの死亡の兆候とOVXの完成度を試験する。最初に、子宮の所在を確認し、高度に様式化された方式で平滑に切開摘出し、3〜5秒間、拭き取り乾燥し、重量を計測する(UW)。子宮を10%中性緩衝ホルマリンに入れる。次に、右脚を腰部で関節離断する。大腿骨と脛骨とを膝部分で分離し、実質的に肉を除き、次いで、70%エタノールに入れる。
【0242】
その中心に大腿基部末端中間点をもつ中心右大腿骨の1cmセグメントをシンチレーションバイアルに入れ、脱水し、段階的アルコールとアセトンで脱脂し、次いで、メタクリ酸メチルの濃度を増大させながら溶液に導入する。これを90%メタクリル酸メチル:10%フタル酸ジブチルの混合物に包埋させ、48〜72時間で重合させる。ボトルを破壊し、プラスチックの断片をライカ1600ソーミクロトーム(骨の長軸を切断面とするように調製)の万力様標品ホルダーに好都合に適合する形に切り取る。85μm厚の3枚の切片を調整し、ガラススライド上に置く。骨の中間点に近似させた各ラットからの1切片を選択し、盲目的にコード化する。各切片の骨膜表面は、骨膜表面、単一蛍光色素標識、二重蛍光色素標識、及び標識間の距離について評価する。
【0243】
本アッセイの一次データは、二重標識を担う骨膜表面の百分比及び無機質並置率(標識間距離(μm)/10d)(骨形成の準独立マーカー)である。二次データーは子宮重量及び組織学的特徴である。三次エンドポイントは骨形成と男性化の血清マーカーであり得る。データはアノバ及びフィッシャーPLSDポスト−ホックテストにより解析し、群間の差を確認する。どの試験化合物が骨形成エンドポイントを増加するか、その程度を評価する。
【0244】
インビボ脂肪除外体重アッセイ
ゴールは、どのSARM化合物が脂肪除外体重(LMB)を変化させるか、24日間の処置におけるLBMの変化により示し、その程度を測定することである。典型的なアッセイにおいて、9匹のラットからなる7群について検討する。7〜10ヶ月令の雌性スプラーグ−ドーリーラットを用いる。骨喪失を惹き起こし、エストロゲン欠損、骨減少成人女性をシミュレートするために、ラットを75〜180日前に卵巣切除(OVX)しておく。0日に、各ラットにつき、非侵襲的に脂肪除外体重(LMB)を測定する(二重エネルギーX線吸収法;DXA;ホロジック(Hologic)コーポレーション;又はEchoMRI−700;エコーメディカル・システム;ヒューストン;テキサス)。1日目に試験化合物での処置を開始し、24日間続ける。24日目に、各ラットにおいて脂肪除外体重を非侵襲的に測定する。
【0245】
このLBMアッセイの一次データは、処置経過中の「LBM(g)の変化」である。データはアノバ及びフィッシャーPLSDポスト−ホックテストにより解析し、群間の差を確認する。どの試験化合物がLBMを変化させるか、その程度を評価する。効果のあるSARMは、対照よりも20〜30g(5〜7%増加)LBMを増加させる(P<.02)。
【0246】
インビボでLBMについて検討したラットはまた、SARMが影響していると思われる他のエンドポイントについて、例えば、子宮重量、皮脂腺肥大、及び骨形成率について検討してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】

[式中、
X、Y、及びZの1つは、−N又は−NOであり、他の2つの部分は−CHであり;
nは0、1、2、又は3であり;
【化2】

はフェニル又はチオフェニルであり;
は以下から選択され:
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及び
ヒドロキシC0−10アルキル;
は以下から選択され:
シアノ、
アミノ、
ヒドロキシC0−10アルキル、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
アリールC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC1−10アルキル、
3−8ヘテロシクリルC1−10アルキル、
3−8ヘテロシクロアルキルC1−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルオキシC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8シクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクリルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルアミノC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC0−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC0−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルオキシC0−10アルキル、
1−10アルコキシ(カルボニル)0−10−10アルキル、
0−10アルキルカルボキシC0−10アルキルアミノ、
1−10アルキルオキシC0−10アルキル、
アリールオキシC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルオキシC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルカルボニルオキシC0−10アルキル、
1−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8へテロシクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ、及び
アリールC0−10アルキルオキシ(カルボニル)0−10−10アルキルアミノ;
は以下から選択され:
水素、
ハロゲン、
ペルフルオロC1−6アルキル、
ペルフルオロC1−6アルコキシ、
1−10アルキル、
2−10アルケニル、
2−10アルキニル、
アリールC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキル、
(C0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
(アリールC0−10アルキル)1−2アミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルアミノカルボニルC0−10アルキル、
0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
アリールC0−10アルキルカルボニルアミノC1−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルアミノC1−10アルキル、
1−10アルコキシ(カルボニル)0−10−10アルキル、
0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
3−8シクロアルキルC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
3−8へテロシクリルC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
アリールC0−10アルキルオキシカルボニルC0−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC1−10アルキル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルケニル、
ヒドロキシカルボニルC2−10アルキニル、及び
ヒドロキシC0−10アルキル;
ここで、R、R、及びRにおいて、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、へテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、及びシクロアルキルは、それぞれ、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、COH、シアノ、O(C=O)C−Cアルキル、NO、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、−O(0−1)(C1−10)ペルフルオロアルキル、C0−10アルキルアミノカルボニルアミノ、C1−10アルキルオキシカルボニルアミノ、C1−10アルキルカルボニルアミノ、C0−10アルキルアミノスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニルアミノ、C1−10アルキルスルホニル、C0−10アルキルアミノスルホニル、C0−10アルキルアミノカルボニル、及びNHから選択される1個以上の基により置換されていてもよい]で示される化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体。
【請求項2】
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルプロパンアミド;
(2R)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2S)−3,3,4,4,4−ペンタフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−フェニルブタンアミド;
(2R)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−クロロ−3−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3,4−ジフルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(4−クロロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパンアミド;
(2R)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−2−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[3−(メチルチオ)フェニル]−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;
(2R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
(2S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]−2−(2−チエニル)プロパンアミド;
2−(5−ブロモ−2−チエニル)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−N−[(4−オキソ−3,4−ジヒドロキナゾリン−2−イル)メチル]プロパンアミド;並びにその薬学的に許容され得る塩及び立体異性体から選択される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体の使用であって、衰弱した筋肉緊張力、骨粗しょう症、骨減少症、糖質コルチコイド誘発骨粗しょう症、歯周病、骨折、骨再構築手術後の骨損傷、骨格筋減少症、虚弱、皮膚老化、男性性機能低下、女性の閉経後症候群、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂肪血症、肥満、再生不良性貧血、造血障害、関節炎症状と関節修復、HIV消耗、前立腺がん、がん悪液質、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、認識力低下、性機能不全、睡眠時無呼吸症、良性前立腺肥大、腹部脂肪蓄積、メタボリック・シンドローム、II型糖尿病、うつ病、早発卵巣不全、及び自己免疫疾患から選択される症状の治療又は予防のための、それを必要とする哺乳動物においての医薬の製造における使用。
【請求項4】
当該症状が骨粗しょう症である請求項3記載の使用。
【請求項5】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体及び薬学的に許容され得る担体を含有してなる医薬組成物。
【請求項6】
さらに、エストロゲン若しくはエストロゲン誘導体、単独又はプロゲスチン若しくはプロゲスチン誘導体との組合わせ、ビスホスホネート、抗エストロゲン若しくは選択的エストロゲン受容体モジュレーター、αvβ3インテグリン受容体アンタゴニスト、カテプシンKインヒビター、nHMG−CoAリダクターゼ・インヒビター、破骨細胞液胞ATPアーゼインヒビター、破骨細胞受容体に結合するVEGFのアンタゴニスト、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γの活性因子、カルシトニン、カルシウム受容体アンタゴニスト、副甲状腺ホルモン若しくはその類似体、成長ホルモン分泌促進物質、ヒト成長ホルモン、インスリン様成長因子、p38プロテインキナーゼ・インヒビター、骨形態形成タンパク質、BMP拮抗作用インヒビター、プロスタグランジン誘導体、ビタミンD若しくはビタミンD誘導体、ビタミンK若しくはビタミンK誘導体、イプリフラボン、フッ化塩、食事療法カルシウム・サプリメント、オステオプロテゲリン、アルファ−1アドレナリン作動性遮断剤、及び5−アルファ−リダクターゼ・インヒビターから選択される活性成分を含有してなる請求項5記載の組成物。
【請求項7】
当該ビスホスホネートがアレンドロネートである請求項6記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくは立体異性体と、薬学的に許容され得る担体とを組合わせることからなる医薬組成物の製造法。
【請求項9】
当該関節炎症状がリウマチ様関節炎及び骨関節症から選択される請求項3記載の使用。
【請求項10】
当該症状が、衰弱した筋肉緊張力、骨格筋減少症、及びがん悪液質から選択される症状から選択される請求項3記載の使用。

【公表番号】特表2010−506914(P2010−506914A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533333(P2009−533333)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/021984
【国際公開番号】WO2008/048540
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】