説明

アンフェタミンおよび他の刺激薬の極性親水性プロドラッグ、およびそれらの製造方法および使用方法

開示するのは、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む極性親水性刺激薬プロドラッグ組成物である。それらを製造する方法および使用する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書中にそのまま援用される2007年2月8日出願の米国仮特許出願第60/888870号への優先権およびそれによる恩典を主張する。
【0002】
連邦政府に資金援助された研究又は開発
適用なし
マイクロフィッシュ/著作権の参照
適用なし
本技術は、概して、刺激薬アンフェタミン(すなわち、1−フェニルプロパン−2−アミン)の新規なプロドラッグ/組成物、更には、アンフェタミンの極性親水性結合体、その塩、その他の誘導体、およびその組合せを記載する。更に、ここに記載の技術は、概して、これら新しいプロドラッグ/組成物を製造する方法および使用する方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
アンフェタミンおよびその誘導体を含めた刺激薬は、交感神経系および/または中枢神経系(CNS)の活性を増大させ、そして例えば、注意欠陥多動障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、肥満症、ナルコレプシー、食欲抑制、うつ病、不安および覚醒状態(wakefulness)を主として包含する一定範囲の状態および障害の処置に処方される。
【0004】
小児の注意欠陥多動障害(ADHD)は、長年の間、刺激薬で処置されてきた。しかしながら、より最近は、成人集団のADHD療法への処方数の増加が、時々、小児科市場の成長をしのいでいる。現在、ADHDの処置への使用には、メチルフェニデート(例えば、(スイス、バーゼルにある)Novartis International AGより、Ritalin(登録商標)という商標として商業的に入手可能)および非刺激薬アトモキセチン(atomoxetine)((インディアナポリス、INにある)Eli Lilly and Companyより、Strattera(登録商標)として商業的に入手可能)などのいろいろな薬物があるが、アンフェタミンは、ADHD療法における先駆者であった。更に、教室試験中に、非刺激薬は、ADHDに罹患した小児の行動および注意を改善する場合に、アンフェタミン誘導体よりも有効性が劣ることが分かった。
【0005】
ADHDのための初期の薬物療法は、例えば、刺激薬活性成分の治療的作用の急速消耗を含めた一連の潜在的に望ましくない副作用を引き起こして、反跳症状、心臓血管ストレス/障害(例えば、心拍数増加、高血圧、心筋症)、他の副作用(例えば、不眠症、多幸感、精神病性エピソード)、嗜癖および乱用をもたらす刺激薬(例えば、Dexedrine(登録商標)、純粋な硫酸デキストロアンフェタミン、英国にあるSmith Kline and French より商業的に入手可能)の速効性即時放出製剤に限られていた。
【0006】
行動的荒廃(反跳/「虚脱(crashing)」)は、ADHDを有するかなりの小児において、薬物療法消耗として、典型的には、午後にまたは夕方早くに認められる。反跳症状には、例えば、被刺激性、気難しさ(crankiness)、未投薬状態よりも悪い活動亢進、悲しさ、号泣、そして希に、精神病性エピソードが含まれる。それら症状は、速やかに鎮静することがありうるし、または数時間持続することがありうる。いくらかの患者は、処置を中断しなければならないほど重症の反跳/虚脱を経験することがありうる。反跳/虚脱作用は、予想される反跳/虚脱の負の結果および副作用を妨げる意図で追加用量の刺激薬を患者に投与させることにより、嗜癖性行動を生じることもありうる。
【0007】
メチルフェニデートおよびアンフェタミンなどの刺激薬は、例えば、心拍数増加、高血圧、動悸、頻拍、そして単発的には、心筋症、脳卒中、心筋梗塞および突然死を含む心臓血管イベントをもたらすことがありうるノルアドレナリン作動性およびドーパミン作動性の作用を示すことが分かっている。結果として、現在利用可能な刺激薬は、既存の構造的心臓異常または他の重症の心臓適応症を有する患者を、なお一層大きい健康リスクにさらすので、しばしば、この集団には用いられない、または慎重に用いられる。しかしながら、例えば、心拍数および血圧への刺激薬の心臓血管作用は、投与される用量に依存するということが注目に値する。結果として、最低有効刺激薬血中濃度を治療的に有益な持続期間維持する処置は、より少ない心臓血管リスク/副作用を示すと考えられる。
【0008】
アンフェタミンおよび多数のその誘導体(例えば、メタンフェタミン、3,4−メチレンジオキシメタンフェタミン/「Ecstacy」)は、多幸感、長時間の敏捷(alertness)/覚醒状態(wakefulness)、または急速体重減少などのいろいろな目的に、または例えば、不安またはうつ病の場合に反跳症状が現れないように過度の自己投与習慣を生じた実際のADHD患者によって、広く乱用されている。潜在的乱用者が望む作用は、中枢神経系の刺激によって生じていて、1970年の規制薬物法(Controlled Substance Act)(CSA)の通過後、Schedule IIという分類をまたは Schedule Iさえも、アンフェタミン(個々にd−およびl−アンフェタミンおよび双方のいずれかの組合せは、Schedule IIである)およびそのある種の誘導体について促した。双方の分類は、乱用への高い性癖によって定義される。CSAに従うと、Schedule II薬物は許容された医学的用途を有するが、Schedule I物質はそうでない。これまでのところ、徐放性製剤を含む組成物およびそれらのプロドラッグを含めた全てのアンフェタミン製品は、医薬品標示に、アンフェタミン乱用および依存の可能性について患者に知らせるブラックボックス警告を包含する義務がある。
【0009】
従来の技術分野において、アンフェタミンの大抵の副作用は、刺激薬の血中濃度の大きい初期スパイクによって引き起こされ、これは、治療的有効性より低いレベルへと(典型的には、4〜6時間の範囲内で)急速に減退するということが示された。結果として、デキストロアンフェタミン(d−アンフェタミン)の高い力価は、引き続き、より安全で且つ乱用性が少ない処置結果および治療方式を生じる目的で、アンフェタミンを血流中に一層緩慢に送達することによって達成される、益々持続性である放出プロフィールを有する一連の新薬によって調節された。薬物血中濃度に一層小さいスパイクを生じる方法および技術には、例えば、混合塩および異性体組成物(すなわち、d−アンフェタミンおよび効力の少ないl−アンフェタミンのいろいろな塩)、長期放出/制御放出/持続放出製剤(例えば、ウェーン、PAにある Shire U.S., Inc. から商業的に入手可能な Adderall X(登録商標))、そしてごく最近は、アンフェタミンのプロドラッグ(Shire から更に商業的に入手可能な VyvanseTM)の使用が含まれる。理想的な薬物処置選択肢は、心臓血管ストレスおよび行動的荒廃を最小限にするために、刺激薬血中濃度を狭い治療的濃度範囲内で長期期間生じた後に長時間の消失期間を生じるべきであり、そして更に、抗乱用性を示すと考えられる。
【0010】
即時放出製剤のほかに、多数回毎日投与に対する単回毎日投薬方式の便利さを与える治療的処置選択肢を提供する目的で、より新しい持続放出製剤が開発された。このような製剤は、更に、多幸応答を与えるまたは伝える目的を有する。持続放出製剤は、一般的には、胃腸管による活性薬物物質の吸収を比較的一定の時間遅らせ且つ延長するポリマーまたはポリマーブレンドで被覆された薬物粒子から成る。このような製剤は、しばしば、治療薬/活性成分/薬物を、親水性ヒドロコロイドゲル化ポリマーマトリックス(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはプルラン)中に埋め込んでいる。この投薬製剤は、順次、ヒトおよび動物の胃内で見出されるような酸性媒質に入った時点でゲルになり、そこで直ちに、治療薬/活性成分/薬物をゆっくりと放出する。しかしながら、その投薬製剤は、ヒトおよび動物の腸内で見出されるようなアルカリ性媒質中に溶解し、同時に、薬物を未制御方式で一層速やかに放出する。アクリル樹脂、アクリルラテックス分散系、セルロースアセテートフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどのいくつかの製剤は、腸内において、それら自体でかまたは親水性ポリマーとの混合状態で、酸性環境に耐性であることおよび拡散−浸食機構によって高pHのみで活性成分を分配することにより改善された持続放出を与える。
【0011】
持続放出製剤は、改善され且つ延長された剤形を与える場合に、即時放出錠剤にまさって適度に有効であった。それにもかかわらず、このような製剤は、ポリマー物質の破損のために、首尾一貫しない、不規則なまたは時期尚早の治療薬放出をする可能性があり、そしてそれらは、通常は、簡単な物理的手順を利用した活性成分の容易な抽出も可能にする。単回毎日用量製剤は、即時放出製剤より多量のアンフェタミンを含有するので、それらは、潜在的乱用者に一層魅力的であり、結果として、薬物物質の抽出性を、もう一つの望ましくない特性にする。それも、少なくとも一部分は、増加した薬物流用の理由であり、特に、ADHD患者であり且つ持続放出アンフェタミンカプセル剤を所持している学童による薬物の売買によって明らかである。次に、入手された刺激薬は、高用量を摂取することによってかまたは薬物物質を粉砕後にそれを鼻吸飲することによって、障害のない級友によって乱用される。
【0012】
米国特許第7,105,486号(譲受人 New River Pharmaceuticals、以下、「特許’486号」)は、アンフェタミンに共有結合した化学部分(すなわち、L−リジン)を含む化合物、それらの組成物、およびそれを使用する方法を記載していると考えられる。申し立てによると、これら化合物およびそれらの組成物は、アンフェタミンの乱用および過剰投与を減少させるまたは妨げるのに有用である。特許’486号は、更に、l−リジン以外のいずれのアミノ酸(表46)を用いても、l−リジン−d−アンフェタミン(Lys−Amp,VyvanseTM)によって示される同じ in vivo 特性を生じることはないということを記載している。更に、リジンは、天然の且つ標準的なアミノ酸であるので、新しいプロドラッグの分解は、副作用プロフィールを減少させるのに望まれるよりも速く生じる。したがって、このような標準アミノ酸結合体組成物からのアンフェタミンの急速放出は、他の慣用的な刺激薬処置において見出される血圧および心拍数の増加を引き起こすことがありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,105,486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
結果として、当該技術分野において、治療的に有効であり且つ持続放出および持続した治療的作用を与えることができる、アンフェタミンの一層安全な剤形および処置方式についての必要性が、依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0015】
概して、ここに記載の技術は、少なくとも一つの側面において、例えば、プロドラッグ形態のアンフェタミンの緩慢/持続/制御放出組成物であって、経口投与時に安全な治療的濃度の範囲内でヒトまたは動物の血液系中への刺激薬の緩慢/持続/制御送達を可能にする組成物である。本技術の少なくともいくつかの組成物/製剤は、アンフェタミンおよび類似の化合物に関連した反跳作用、心臓血管ストレス、嗜癖/乱用潜在性、および/または他の一般的な刺激薬副作用を少なくすることができる。このような組成物は、更に、具体的には、経口投与された場合に、治療的効力の持続期間、適用の容易さ、患者のコンプライアンス、および/またはこれら特徴のいずれかの組合せを増加させることがありうる。
【0016】
したがって、ここに記載の技術は、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む組成物であって、ヒトまたは動物において in vivo 放出されるまで、その刺激薬の薬理活性を減少させるまたは排除することができる組成物を提供する。本技術の極性親水性リガンドに化学結合した(好ましくは、共有結合した)刺激薬は、プロドラッグ形の刺激薬であり、それは、極性親水性刺激薬プロドラッグと称することができるし、そして体内において、正常な代謝過程によってその活性形へと変換されることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本技術の一つまたはそれを超える極性親水性結合体は、制御された血中レベルを長時間与え、したがって、慣用的な刺激薬処置選択肢に関連した反跳作用、心臓血管ストレスおよび多幸感を妨げることによって、他の持続放出形のアンフェタミンより安全であると考えられる。本技術の一つまたはそれを超える極性親水性刺激薬プロドラッグは、刺激薬を放出することを試みて違法化学者が用いる可能性がある手順を模擬する試験において安定である。
【0017】
ここに記載の技術は、更に、経口投与によるアンフェタミン組成物の制御された治療的送達方法を提供する。本技術の極性親水性結合体の経口投与後のアンフェタミンの放出は、長時間にわたって徐々に起こり、それによって、ヒトまたは動物患者の血流中の薬物レベルの意図されていない上昇(例えば、血中レベル濃度スパイク)を排除することができる。再度、いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、血中レベルのこのようなスパイクは、血圧および心拍数の増加のような心臓血管作用および多幸薬「高揚(high)」をもたらすことがありうるということも考えられる。更に、持続した血中レベルは、有効な治療的範囲内で、他の慣用的な療法よりも長い持続期間達成され、それによって、反跳作用を妨げる。
【0018】
本技術の刺激薬プロドラッグを含む少なくともいくつかの組成物は、不法使用の際にしばしば用いられる静脈内「発射(shooting)」、鼻腔内「鼻吸飲(snorting)」または吸入「喫煙(smoking)」などの非経口投与経路による乱用に耐性である。したがって、本技術は、ADHD、ADD、肥満症、ナルコレプシー、食欲抑制薬、うつ病、不安、離脱症状(withdrawness)および覚醒状態などの、CNSの刺激を必要とする特定の障害のための、乱用潜在性が減少しているまたは妨げられている、刺激薬に基づく処置様式および剤形を提供する。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、本技術の組成物での上記のこのようなCNS状態の処置は、既存の刺激薬処置様式および剤形と比較して、実質的に減少した乱用傾向を生じると考えられる。
【0019】
本技術の刺激薬プロドラッグを含む少なくともいくつかの組成物は、刺激薬(コカイン、メタンフェタミン)乱用および嗜癖を処置するのに、戦場敏捷(alertness)を改善するのに、および/または疲労と戦うのに用いることもできる。
【0020】
第一の側面において、ここに記載の技術は、ヒトまたは動物の中枢神経系を刺激する組成物であって、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む組成物を提供する。
【0021】
好ましくは、少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドは、ヒドロキシル、カルボン酸、第一級アミン、第二級アミン、ケトン、アルデヒド、アセチルハライド、ホスフェート、ホスホノ、スルフェート、スルホニル、スルホンアミドまたはチオールから本質的に成る一つまたはそれを超える官能基を含む。例えば、極性親水性リガンドは、非標準アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体、アミノアルコール、リン酸化炭水化物、糖アルコール、リン脂質またはその混合物でありうる。別の例について、極性親水性リガンドは、いくつかの天然基質または他の親水性基からのものでありうる。
【0022】
本技術の組成物は、好ましくは、注射または鼻腔内投与経路によって投与された場合、薬理活性を有さないか、または実質的に減少した薬理活性を有する。しかしながら、それらは、経口では生物学的に利用可能なままである。再度、いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、そのバイオアベイラビリティーは、経口投与後の化学結合(例えば、共有結合)の加水分解の結果でありうる。化学結合の加水分解は、時間依存性であり、それによって、アンフェタミンまたは別の刺激薬が、長時間にわたってその活性形で利用可能になることを可能にする。少なくとも一つの態様において、アンフェタミンまたは別の刺激薬の放出は、本技術の組成物を非経口経路で送達した場合、減少するまたは排除される。
【0023】
例えば、一つの態様において、本技術の組成物は、錠剤、カプセル剤または他の経口剤形の粉砕後に、その有効性および乱用耐性を維持する。対照的に、アンフェタミンの放出を、例えば、マトリックス中への包含によって制御するのに用いられる慣用的な長期放出製剤は、粉砕直後にアンフェタミン含有量/用量全部まで放出しやすい。粉砕された錠剤の含有量を注射するまたは鼻吸飲する場合、その大用量のアンフェタミンは、嗜癖者が求める「ラッシュ(rush)」作用を生じる。
【0024】
本技術の極性親水性リガンドに化学結合することができる刺激薬の例には、アンフェタミン、アドラフィニル(adrafinil)、モダフィニル(modafinil)、アミノレクス(aminorex)、ベンジルピペラジン、カチノン(cathinone)、クロルフェンテルミン(chlorphentermine)、クロベンゾレクス(chlobenzorex)、シクロペンタミン、ジエチルプロピオン、エフェドリン、フェンフルラミン(fenfluramine)、4−メチルアミノレクス、メチロン(methylone)、メチルフェニデート、ペモリン、フェンテルミン(phentermine)、フェニレフリン、プロピルヘキサドリン(propylhexadrine)、プソイドエフェドリン、シネフリン(synephrine)、それらの代謝産物、それらの誘導体およびそれらの組合せが含まれる。本技術のいくつかの態様において、少なくとも一つの刺激薬は、アンフェタミン、その代謝産物、その誘導体またはその混合物である。アンフェタミンは、右旋性(dextro)(d−)、左旋性(levo)(l−)またはラセミ体の形でありうる。一つの好ましいアンフェタミンは、d−アンフェタミンであり、好ましくは、それは、既知の毒性プロフィールを有する非標準アミノ酸に結合している。更に、d−アンフェタミンは、好ましくは、例えば、l−カルニチン、l−サッカロピン、l−リジノール、安息香酸、クエン酸、コリン、EDTAまたはコハク酸に結合しうると考えられる。
【0025】
別の側面において、ここに記載の技術は、そのCNS(Central Nervous System)の刺激を必要とする障害または状態を有するヒトまたは動物患者を処置する方法であって、少なくとも一つの本技術のアンフェタミンの非標準アミノ酸結合体を含み経口投薬用に製剤化された組成物を、それを必要としている患者に経口投与する工程を含む方法を提供し、ここにおいて、患者体内の血中アンフェタミンレベルは、不必要に上昇すること(すなわち、血中レベルスパイク)がなく、したがって、例えば、血圧および/または心拍数の増加による追加の心臓血管ストレスを妨げる。
【0026】
別の側面において、ここに記載の技術は、そのCNSの刺激を必要とする障害または状態を有するヒトまたは動物患者を処置する方法であって、薬学的有効量の、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む経口投薬用に製剤化された組成物を、それを必要としている患者に経口投与することを含む方法を提供する。好ましくは、本技術にしたがって経口投与後、患者体内のアンフェタミンなどの刺激薬の血中レベルは、治療的作用レベルを維持することができるが、多幸作用(アンフェタミンまたは他の刺激薬の乱用で認められるものなど)を生じない。
【0027】
本技術の少なくとも一つの態様において、組成物中の刺激薬への極性親水性リガンドの化学結合(好ましくは、共有結合)は、組成物を患者に投与した場合に、治療的と考えられる用量より多い用量での刺激薬の毒性を減少させ、同時に、活性剤/活性成分の薬学的活性を普通用量範囲内で維持することにより、過剰投与の潜在性を実質的に減少させることができる。いずれの特定の理論によっても拘束されたくはないが、アンフェタミンまたは別の刺激薬と結合した極性親水性部分は、刺激薬の薬理活性を減少させるまたは排除することができると考えられる。したがって、活性回復させることは、極性親水性リガンド結合体からの刺激薬の放出を必要とする。
【0028】
もう一つの側面において、ここに記載の技術は、アンフェタミンを送達する方法であって、ヒトまたは動物患者に、治療的有効量の、少なくとも一つの、アンフェタミンの極性親水性結合体であって、遊離アンフェタミンと比較した場合に、治療的に生物学的同等の曲線下面積(AUC)を与えることができるが、経口摂取した場合に心拍数増加、血圧増加または薬物関連多幸感を生じる最大濃度(Cmax )を与えない結合体を与えることを含む方法を提供する。
【0029】
本発明の他の目的、利点および態様は、下に記載されるが、本発明のこの既述および実施から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、ラットに経口投与されたl−ホモアルギニン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出される平均血漿濃度を比較する。
【図2】図2は、l−ホモアルギニン−d−アンフェタミンおよびl−リジン−d−アンフェタミンから放出されるd−アンフェタミンの相対血中レベルを比較する。
【図3】図3は、図2に示される研究結果から得られた血中レベルの差を示す。
【図4】図4は、図2に示される研究結果から得られた血中レベルの差を示す。
【図5】図5は、ラットに投与されたl−ホモアルギニン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンの4回(4)の経口研究からの平均血漿濃度を比較する。
【図6】図6は、ラットに経口投与されたl−シトルリン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出される平均血漿濃度を比較する。
【図7】図7は、ラットに経口投与されたサルコシン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出される平均血漿濃度を比較する。
【図8】図8は、ラットに経口投与されたl−ホモシトルリン−d−アンフェタミン、l−ホモアルギニン(NO)−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度を比較する。
【図9】図9は、ラットに鼻腔内投与されたl−ホモアルギニン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度を比較する。
【図10】図10は、ラットに静脈内投与されたd−アンフェタミン、l−ホモアルギニン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンから放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度を比較する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここに記載の技術は、刺激薬の新規なプロドラッグ/組成物、より具体的には、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、それらの塩、それらの誘導体、またはそれらの組合せに関する。本技術のプロドラッグ/組成物を製造する方法および使用する方法も開示する。
【0032】
本明細書中で用いられる「非標準」アミノ酸とは、「標準的な」20種類のアミノ酸の内の一つではない天然に存在するアミノ酸を意味する。非標準アミノ酸は、遺伝子コドンを有していないし、天然由来のタンパク質中に包含されてもいない。非標準アミノ酸の一つの種類は、他のアミノ酸の代謝産物である。
【0033】
本明細書中で用いられる「アミノ酸誘導体」は、天然に存在する(標準または非標準)アミノ酸の化学修飾された変型である。本明細書中で用いられる「アミノ酸前駆体」とは、天然に存在する(標準または非標準)アミノ酸へと化学的にかまたは代謝的に分解されうる分子を意味する。本明細書中で用いられる「合成アミノ酸」は、天然に存在しないアミノ酸である。本明細書中で用いられる「アミノアルコール」とは、カルボン酸基がアルコールへと還元された(標準または非標準の天然または合成)アミノ酸の誘導体を意味する。
【0034】
本明細書中で用いられる「アンフェタミン」は、中枢神経系刺激活性を有するいずれかの交感神経様作用フェネチルアミン誘導体であって、アンフェタミン(α−メチルフェネチルアミン)、メタンフェタミン、p−メトキシアンフェタミン、メチレンジオキシアンフェタミン、2,5−ジメトキシ−4−メチルアンフェタミン、2,4,5−トリメトキシアンフェタミンおよび3,4−メチレンジオキシメタンフェタミンなどであるがこれに制限されるわけではないものを意味するものとする。
【0035】
本明細書中で用いられる「製造者の取扱説明書とは一致しない方式で」というまたは類似の表現は、標示に記載のまたは有資格医師が指示する量より多い量を消費すること、および/または組成物を注射、吸入または喫煙することができるように、いずれかの手段(例えば、粉砕、破断、融解、分離等)によって投薬製剤を変化させることを包含する意味であるが、これに制限されるわけではない。
【0036】
本明細書中で用いられる「減少した(decreased)(reduced)(diminished)」または「低下した(lowered)」などの句は、薬理活性の少なくとも10%の変化を包含する意味であり、一層大きい変化百分率は、乱用潜在性および過剰投与潜在性の減少に好適である。例えば、その変化は、25%、35%、45%、55%、65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、99%またはその増分より大であってもよい。
【0037】
本出願に用いることができるいくつかの略語には、DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド、NHS=N−ヒドロキシスクシンイミド、EtOAc=酢酸エチル、MsOH=メタンスルホン酸、EDCI=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、PyBrOP=ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、NMM=N−メチルモルホリンまたは4−メチルモルホリン、TEA=トリエチルアミン、CDI=カルボニルジイミダゾール、IPAC=酢酸イソプロピル、DEA=ジエチルアミン、BOP=(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートが含まれる。
【0038】
いくつかの態様により、本技術は、プロドラッグ形のアンフェタミンなどの刺激薬を提供する。より具体的には、刺激薬プロドラッグは、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む。
【0039】
ここに記載の技術により、極性親水性分子またはリガンドを、アンフェタミン(d−、l−またはラセミ体の形またはその混合物)に化学的に(好ましくは、共有結合によって)結合して、アンフェタミンの新規な極性親水性プロドラッグを生成させることができる。他の刺激薬(刺激薬または刺激薬様薬物を含めた)も、これらリガンドで修飾することができる。他の刺激薬のいくつかの例には、アドラフィニル、モダフィニル、アミノレクス、ベンジルピペラジン、カチノン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレクス、シクロペンタミン、ジエチルプロピオン、エフェドリン、フェンフルラミン、4−メチルアミノレクス、メチロン、メチルフェニデート、ペモリン、フェンテルミン、フェニレフリン、プロピルヘキサドリン、プソイドエフェドリンおよびシネフリンが含まれる。これらおよび他の刺激薬の代謝産物および誘導体も、同じ可能な利点で修飾しうると考えられる。アンフェタミンの代謝産物の例には、p−ヒドロキシアンフェタミンおよびp−ヒドロキシエフェドリンが含まれる。
【0040】
本技術は、時々、アンフェタミンのみに関して記載していることがありうるが、アンフェタミンは、一例として用いられているにすぎないということに留意されたい。ここに記載の技術のいずれの方法または組成物も、アンフェタミンに限定されないということは理解されるはずである。
【0041】
少なくともいくつかの態様により、本技術に適する極性親水性リガンドは、次の官能基、すなわち、ヒドロキシル、カルボン酸、(第一級または第二級)アミン、ケトンまたはアルデヒド、アセチルハライド、ホスフェート、ホスホノ、スルフェート、スルホニル、スルホンアミドおよびチオールの内の少なくとも一つを含有する。これら官能基は、例えば、アンフェタミンの第一級アミンを介してアンフェタミンに化学結合して、次の化学結合、すなわち、カルバメート、アミド、尿素、ホスホンアミド、ホスホンアミド、スルホンアミドまたはチオ尿素を形成することができる。本技術の最終プロドラッグ生成物は、結合したリガンドの他の官能基、および必要であるかもしれないしまたは必要でないかもしれないいずれかの脱保護工程に依存して、塩形などの多数の誘導体形であってよい。
【0042】
形成することができ且つ利用することができる極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬の塩には、メシラート、塩酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、トリフラート、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩およびアンモニウム塩が含まれるが、これに制限されるわけではない。更に、いくつかの態様により、それら塩は、多重形(例えば、ジ−、トリ−またはテトラ−)で要求されることがありうる。遊離塩基、遊離酸または中性の形などの他の誘導体形も、用いられる極性親水性リガンドに依存して製造することができる。
【0043】
ここに記載の技術に適する極性親水性リガンドは、多数の形をとることができる。これら形は、非標準アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体、アミノアルコール、合成アミノ酸誘導体、リン酸化炭水化物、糖アルコール、リン脂質、天然基質および他の親水性基またはリガンドを含めたいくつかの種類に分けることができる。それらは、リガンドに依存して、多数の他の可能な鏡像異性体/ジアステレオマーの形と一緒に、d−、l−またはラセミ体の形またはその混合物でありうる。例えば、本技術の刺激薬プロドラッグを生成させるのに用いられる非標準アミノ酸は、d−形かまたはl−形のアミノ酸、ラセミ体のアミノ酸またはその混合物でありうる。
【0044】
ここに記載の技術に適する非標準アミノ酸の例には、ホモアルギニン、シトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)ブタン酸(HMB)、ホモセリン、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、タウリン、グルタチオン、スタチン、ホモシステイン、セレノメチオニンおよびそれらの組合せが含まれる。いくつかの非標準アミノ酸の構造を、下に示す。
【0045】
【化1】

【0046】
ここに記載の技術に適するアミノ酸誘導体または前駆体の例には、イソセリン、N−ω−ニトロアルギニン、N−ε,ε−ジメチルリジン、ブチオニン(buthionine)、システイン酸、エチオニン、(2−アミノエチル)システイン、シスタチオニン、2−アミノ−3−エチオキシブタン酸、メチルセリン、サッカロピン、エトキシテオリン(ethoxytheorine)およびそれらの組合せが含まれる。本技術の実施に用いるためのいくつかのアミノ酸誘導体または前駆体の構造を、下に与える。
【0047】
【化2】

【0048】
ここに記載の技術に用いるのに適する合成アミノ酸の例には、2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸、2−アミノ−3−ウレイドプロピオン酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノメチル安息香酸、3−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、5−アセトアミド−2−アミノ安息香酸、(3,4)−ジアミノ安息香酸、(3,5)−ジアミノ安息香酸、2−アミノ−3−メトキシ安息香酸、4−ニトロアントラニル酸およびそれらの組合せが含まれる。本技術の実施に用いるためのいくつかの合成アミノ酸の構造を、下に与える。
【0049】
【化3】

【0050】
ここに記載の技術に用いるのに適するアミノアルコールの例には、アラニノール(alaninol)、インダノ(indano)、ノルエフェドリン、アスパラギノール(asparaginol)、アスパルチモール(aspartimol)、グルタモール(glutamol)、ロイシノール(leucinol)、メチオニノール(methioninol)、フェニルアラニノール、プロリノール(prolinol)、トリプトファノール(tryptophanol)、バリノール(valinol)、イソロイシノール、アルギニノール(argininol)、セリノール(serinol)、チロシノール(tyrosinol)、トレオニノール(threoninol)、システイノール(cysteinol)、リジノール(lysinol)、ヒスチジノール(histidinol)およびそれらの組合せが含まれる。本技術の実施に用いるためのいくつかのアミノアルコールの構造を、下に与える。
【0051】
【化4】

【0052】
本技術の刺激薬プロドラッグを生成させるのに用いることができる他の極性親水性リガンドには、リン酸化炭水化物、糖アルコール、リン脂質、天然基質および他の親水性基が含まれる。本明細書中で用いられるリン酸化炭水化物とは、天然に存在し、しかも化学的に、酵素的にまたは生物学的にリン酸化された炭水化物を意味する。糖アルコールは、アルコールへと還元される糖のアルデヒド基を有していた糖から誘導される。糖アルコールは、糖代用領域に大いに用いられている。ここに記載の技術に用いるのに適する糖アルコールの例には、マンニトール、ソルビトール、エリトリトール、グリセロール、イソマルト(isomalt)、ラクチトール(lactitol)、マルチトール(maltitol)およびキシリトールが含まれる。本技術の実施に用いるためのいくつかの糖アルコールの構造を、下に与える。
【0053】
【化5】

【0054】
リン脂質とは、リン酸化された天然に存在するモノグリセリドまたはジグリセリドを意味する。本明細書中で用いられる「天然基質」とは、ヒトにおいて容易に見出される極性分子を意味し、それには、必須または非必須栄養素および生体成分が含まれうる。他の親水性基またはリガンドには、天然に存在するまたは無毒性と考えられる、しかも他の群に容易に分類され得ないと考えられる化合物の例が含まれる。
【0055】
ここに記載の技術に用いるのに適するいくつかの天然基質の例には、カルニチン、安息香酸、酒石酸、ビオチン、クエン酸、パントテン酸および塩、コリン、シスチン二量体、乳酸、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD2、ビタミンD3、アスコルビン酸およびそれらの組合せが含まれる。本技術の実施に用いるためのいくつかの好適な天然基質の構造を、下に与える。
【0056】
【化6】

【0057】
ここに記載の技術に用いるのに適する他の親水性基の例には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、t−ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピオン酸、ソルビン酸、エリソルビン酸、メチルパラベン、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、チオジプロピオン酸、プロピレングリコール、ピリドキシン、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、アセトイン、N−酪酸、バニリン、ゲラニオール、アントラニル酸メチル、ベンゾイン、ベンジルアルコールおよびそれらの組合せが含まれる。本技術の実施に用いるための二つの代表的な親水性基の構造を、下に与える。
【0058】
【化7】

【0059】
概して、本技術の刺激薬プロドラッグを製造するには、ある選択された極性親水性リガンド(例えば、商業的に入手可能な非標準アミノ酸またはアミノ酸誘導体)を、右旋性、左旋性またはラセミ体の形の刺激薬(例えば、アンフェタミン)に付加することができる。選択された極性親水性リガンドに依存して、極性親水性リガンド上の一つまたはそれを超える官能基は、リガンドを刺激薬とカップリングする前に保護する必要があるかもしれないしまたは必要がないかもしれない。
【0060】
例えば、アミノ酸をアンフェタミンと結合するには、一つまたはそれを超えるアミノ基を、好ましくは、アミノ酸をアンフェタミンと反応させる前に保護する。反応物中のアミノ基を保護するための物質および方法は、当該技術分野において知られている。アミノ基を保護するのに用いることができる保護基の例には、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルカーボネート(Boc)、トリフルオロアセテート(TFA)、アセテート(Ac)およびベンジルオキシカルボニル(Z)が含まれるが、これに制限されるわけではない。いずれか標準的なカップリング手順でカップリング後、脱保護は、いろいろな強酸で行って、対応する塩形を生成させることができる。塩形は、生成物を最初に遊離塩基形成させた後、いずれかの酸を加えることによって変化させることもできる。中性、有機塩基または陰イオンの塩も、形成することができる。追加の脱保護は、ホモアルギニンおよびいずれかの保護された尿素誘導体などのいくつかの極性親水性リガンドの場合に必要であるかもしれない。これら脱保護は、通常は、水素化条件下で行われる。
【0061】
別の例について、アンフェタミンへの(d−、l−またはラセミ体)カルニチンのカップリングは、カップリング前にヒドロキシル基の保護を必要とすることがありうる。いくつかの態様により、ヒドロキシル基を保護するためのシリル基またはベンゾイル基の使用は、好適であると考えられる。シリルの脱保護は、水中または僅かに酸性の媒質中で行うことができる。もう一方において、ベンゾイルの脱保護は、通常は、NaOMeの存在下などの強塩基性条件を必要とする。
【0062】
より具体的には、一例としてアンフェタミンおよび非標準アミノ酸を用いて、その非標準アミノ酸を、ここに記載の技術にしたがってアンフェタミンに結合させて、アンフェタミンのアミノ酸結合体またはその塩を製造することができる。好ましくは、アミノ酸を、アミノ酸のC末端を介してアンフェタミンに共有結合させる。アミノ酸のN末端または側鎖アミノ基は、フリーで且つ未保護の状態であってよいし、またはその塩の形であってよい。或いは、いくつかの態様において、アミノ酸は、N末端を介してアンフェタミンに結合させることができる。ここに記載の技術にしたがって形成し且つ患者に投与することができるアンフェタミンのアミノ酸結合体の塩の例には、メシラート、塩酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、トリフラート、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、硝酸塩および安息香酸塩、およびそれらの混合物が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0063】
アミノ酸をアンフェタミンと結合するには、一つまたはそれを超えるアミノ基を、好ましくは、上記の物質を用いて保護した後、アミノ酸をアンフェタミンと反応させる。アミノ基が保護されているアミノ酸を、N−保護アミノ酸と称することができる。それらアミノ基を、製造過程中に現場で保護するかまたは、商業的に入手可能なN−保護アミノ酸を直接的に用いることができる。好ましくは、N−保護アミノ酸中のカルボン酸基を、酸活性化剤(時々、カップリング試薬とも称される)によって活性化させて、N−保護アミノ酸とアンフェタミンとの反応を助ける。ペプチド結合を形成するアミノ酸の反応についての一般的な情報は、例えば、本明細書中にそのまま援用される G.C. Barett, D.T. Elmare, Amino Acids and Peptides, page 151-156, Cambridge University Press, UK (1st edition, 1998); Jones, J., Amino Acid and Peptide Synthesis, pages 25-41, Oxford University Press, UK (2nd edition, 2002) に見出されうる。
【0064】
当該技術分野において周知の酸活性化剤(カップリング試薬)の一つの種類は、カルボジイミドである。カルボジイミド酸活性化剤の例には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)およびジイソプロピルカルボジイミド(DIPCDI)が含まれるが、これに制限されるわけではない。用いうると考えられる他のカップリング試薬の例には、ブロモトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、PCl/PhH、SOCl、N、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、他のホスホニウム試薬およびウロニウム試薬が含まれる。適当なアシルハライドまたは無水物の使用も考えられる。
【0065】
次に、上記のようなN−保護アミノ酸およびアンフェタミンの反応によって生じるアンフェタミンのN−保護アミノ酸結合体を、強酸で脱保護してまたは未保護状態にして、アンフェタミンのアミノ酸結合体の対応する最終塩形を生成させることができる。
【0066】
下のスキーム1は、ここに記載の技術にしたがってホモアルギニンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。この典型的な反応スキームにおいて、HCl塩形のホモアルギニン−アンフェタミンを製造する。その手順は、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)およびニトロ保護されたホモアルギニン(Boc−ホモアルギニン(ニトロ))を出発物質として用いる。この典型的な反応スキームにおいて、カップリング剤EDCIを、Boc−ホモアルギニンに加える。次に、N−ヒドロキシスクシンアミド(NHS)を、ジメチルホルムアミド(DMF)中の反応混合物に加える。Boc−ホモアルギニン(ニトロ)の安定な、しかし依然として活性化されているコハク酸エステルを形成する。次に、アンフェタミンを、得られたBoc−ホモアルギニン(ニトロ)のコハク酸エステルに加えて、対応する保護されたプロドラッグBoc−ホモアルギニン(ニトロ)−Ampを製造する。この保護されたプロドラッグは、水素化後、メタンスルホン酸(MsOH)または塩酸などの強酸を用いて脱保護してまたは未保護状態にして、アンフェタミンのプロドラッグを生成させることができるが、それは、この典型的な反応スキームにおいて、ホモアルギニン−アンフェタミンの塩酸塩である。
【0067】
【化8】

【0068】
ここに記載の技術に用いることができる他の溶媒の例には、イソプロピルアセテート(IPAC)、アセトンおよびジクロロメタン(DCM)、ジメチルホルムアミド(DMF)、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノールが含まれるが、これに制限されるわけではない。異なった溶媒の混合物を用いることもできる。第三級アミンなどの補助塩基は、ここに記載の技術のカップリング反応に加えてよいしまたは加えなくてよい。適する補助塩基の例には、1−メチルモルホリン(NMM)、4−メチルモルホリン、トリエチルアミン(TEA)、アンモニアまたはいずれかの第三級アミン塩基が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0069】
ここに記載の技術の極性親水性リガンドに化学結合するアンフェタミンは、d−形、l−形またはラセミ体の形でありうるし、またはその混合物でありうる。ここに記載の技術のいくつかの態様により、既知の毒性プロフィールを有するd−アンフェタミン(デキストロアンフェタミン)および非標準アミノ酸は、好ましくは、アンフェタミンプロドラッグを製造するのに用いられる。d−アンフェタミンを形成するための他の好適な極性親水性リガンドには、例えば、l−カルニチン、l−サッカロピン、l−リジノール、安息香酸、クエン酸、コリン、EDTAまたはコハク酸が含まれる。いくつかの他の態様により、d−アンフェタミンのプロドラッグは、l−アンフェタミンのプロドラッグまたはl−アンフェタミン自体と組み合わせて用いることができる。
【0070】
下のスキーム2は、ここに記載の技術にしたがってセレノメチオニンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、硫酸塩形である。
【0071】
【化9】

【0072】
下のスキーム3は、ここに記載の技術にしたがってスタチンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、HCl塩形である。
【0073】
【化10】

【0074】
下のスキーム4は、ここに記載の技術にしたがってイソセリンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、MsOH塩形である。
【0075】
【化11】

【0076】
下のスキーム5は、ここに記載の技術にしたがってサッカロピンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、いろいろな塩形である。
【0077】
【化12】

【0078】
下のスキーム6は、ここに記載の技術にしたがってシスタチオニンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、HCl塩形である。
【0079】
【化13】

【0080】
下のスキーム7は、ここに記載の技術にしたがってエトキシテオリンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、HCl塩形である。
【0081】
【化14】

【0082】
下のスキーム8は、ここに記載の技術にしたがって2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、MsOH塩形である。
【0083】
【化15】

【0084】
下のスキーム9は、ここに記載の技術にしたがってリジノールカルバメートに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。ここで製造されるアンフェタミンプロドラッグは、HCl塩形である。
【0085】
【化16】

【0086】
【化17】

【0087】
上のスキーム10は、ここに記載の技術にしたがってリジノール尿素に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0088】
下のスキーム11は、ここに記載の技術にしたがってリン酸化炭水化物に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0089】
【化18】

【0090】
下のスキーム12は、ここに記載の技術にしたがってエリトリトールに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0091】
【化19】

【0092】
下のスキーム13は、ここに記載の技術にしたがってリン脂質に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0093】
【化20】

【0094】
下のスキーム14は、ここに記載の技術にしたがって塩化ベンゾイルを用いて安息香酸に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0095】
【化21】

【0096】
下のスキーム15は、ここに記載の技術にしたがってカルニチンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0097】
【化22】

【0098】
下のスキーム16は、ここに記載の技術にしたがってクエン酸に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0099】
【化23】

【0100】
下のスキーム17は、ここに記載の技術にしたがってコリンに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0101】
【化24】

【0102】
下のスキーム18は、ここに記載の技術にしたがってEDTAに化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0103】
【化25】

【0104】
下のスキーム19は、ここに記載の技術にしたがってコハク酸に化学結合したアンフェタミンの誘導体の合成について典型的な経路を概説する。
【0105】
【化26】

【0106】
本技術の少なくともいくつかの極性親水性刺激薬プロドラッグは、注射または鼻腔内投与経路によって投与され場合、薬理活性を有さないか、または実質的に減少した薬理活性しか有さない。しかしながら、それらは、経口で生物学的に利用可能なままである。そのバイオアベイラビリティーは、経口投与後の共有結合の加水分解の結果でありうる。化学結合の加水分解は、時間依存性であり、それによって、アンフェタミン、およびp−ヒドロキシアンフェタミンおよびp−ヒドロキシエフェドリンなどの他の代謝産物または別の刺激薬が、長時間にわたってその活性形で利用可能になることを可能にする。したがって、本技術のプロドラッグ化合物は、長時間にわたってアンフェタミンまたは別の刺激薬を放出することができるし、しかも遊離アンフェタミンまたは別の刺激薬と比較した場合、最大濃度(Cmax )のスパイクまたは同等のCmaxを全くまたはほとんど伴うことなく、治療的曲線下面積(AUC)を与えることができる。いずれか特定の理論によって拘束されたくはないが、非標準アミノ酸および他の適する極性親水性リガンドを用いてプロドラッグを製造しているので、酵素によるプロドラッグの in vivo 分解は、例えば、標準アミノ酸を用いて刺激薬を結合する場合より遅い速度で起こるであろうと考えられる。これは、プロドラッグが、アンフェタミンまたは他の刺激薬を徐々に、好ましくは、in vivo 条件下でのみ放出することを可能にするであろう。
【0107】
当業者が理解するであろうように、医薬製品は、それらが、一つまたは複数の同じ活性成分を含有し、同じ剤形、投与経路を有し、そして強度または濃度が同一である場合に、薬学的同等物と考えられる。薬学的に同等の医薬製品は、同じ剤形中に同量の活性成分を含有するように、そして同じまたは包括的(compendial)または他の応用可能な標準規格(すなわち、強度、品質、純度および同一性)を満たすように製剤化されるが、それらは、形状、スコアリングコンフィギュレーション(scoring configuration)、放出機構、包装、賦形剤(着色剤、着香剤、保存剤を含めた)、有効期限、そして一定の制限のもとで標示などの特徴が異なっていてよい。医薬製品は、それらが薬学的同等物である場合、およびそれらが、標示に規定された条件下で患者に投与された時に同じ臨床効果および安全性プロフィールを有すると期待することができる場合にのみ、治療的同等物であると考えられる。もう一方で、「生物学的同等の」という用語は、類似の実験条件下で研究された場合に同等のバイオアベイラビリティーを示す薬学的同等製品または薬学的代替製品を記載する。
【0108】
リジンまたはグルタミン酸などの標準アミノ酸は、ここに記載の技術には考えられない。標準アミノ酸は、全ての食事要件の必須部分であるので、標準アミノ酸と結合された本技術のプロドラッグは、より速い速度で放出されるであろうと考えられる。非標準アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸誘導体または前駆体、またはここに記載の技術の他の極性親水性リガンドを用いることにより、アンフェタミンまたは別の刺激薬の放出速度は、刺激薬プロドラッグの全消化速度の差ゆえに、減少するであろう。
【0109】
いったん製造されると、本技術のアンフェタミン(または別の刺激薬)のプロドラッグは、経口送達経路によって投与することができるし、そしていったん投与されると、刺激薬を消化条件下で放出するであろう。それらプロドラッグの親水性および極性および上記のような化学結合の緩慢な加水分解速度ゆえに、高レベルの薬物が偶発的にかまたは意図的に投与される場合、プロドラッグは、大量の刺激薬を放出する前に、代謝および/または排泄経路によって浄化されるであろう。更に、長時間にわたるアンフェタミン(または別の刺激薬)の放出は、アンフェタミン療法を制限するまたは終わらせることがありうる薬物に誘導される副作用を軽減するまたは減少させるはずである。これら副作用には、心拍数および呼吸数の増加、血圧増加、眼の瞳孔散大および食欲低下が含まれる。他の副作用には、不安、かすみ目、不眠およびめまいが含まれる。更に、アンフェタミンおよび他の刺激薬は、強力な精神刺激薬であり且つ物質乱用の傾向がある。
【0110】
刺激薬の物質乱用は、しばしば、イベントのエスカレーションを特徴とする。第一に、実質的な「ラッシュ」または高揚は、経口投薬量を増加させることによって得ることができる。これら極性親水性プロドラッグの特性ゆえに、これら潜在的乱用経路は、プロドラッグの極性によって緩和されることがありうる。すなわち、治療的レベルより高レベルでいったん投与されると、身体は、残っているプロドラッグを全て、アンフェタミンへと分解することなく排泄するであろう。経口量が達成可能な量を超えた後、喫煙、鼻吸飲または注射を含めた他の経路が探されうる。ここに記載の技術により、アンフェタミンまたは別の刺激薬の放出は、所望の生理学的条件下で起こるにすぎないと考えられる。好ましくは、他の投与経路(例えば、鼻腔内または静脈内)は、プロドラッグを、いずれかかなりの程度には分解しない。更に好ましくは、外部手段(化学的、酵素的またはその他)も、プロドラッグを、いずれかかなりの程度に分解することはない。外部手段によって達成されうるプロドラッグの分解比率は、好ましくは、約50%未満、或いは、約25%未満、或いは、約20%未満、或いは、約10%未満である。
【0111】
ここに記載の技術は、非標準アミノ酸、アミノ酸誘導体またはいずれかの極性親水性基によるアンフェタミンの共有結合修飾を利用して、行動的荒廃または反跳作用を引き起こすその潜在性を減少させる。当該アンフェタミンは、本技術の極性親水性結合体を形成するように共有結合修飾され且つ一日の全時間にわたって徐々に放出するので、活性成分/薬物/治療的成分の緩慢な連続放出ゆえに、反跳作用はほとんどまたは全く起こりえないと考えられる。
【0112】
ここに記載の技術の化合物、組成物および方法は、更に、反跳への減少した潜在性、乱用または嗜癖への減少した潜在性を与える、および/またはアンフェタミンの刺激薬関連毒性を改善すると考えられる。血中レベルスパイクを制限することにより、用量は、他の療法で投与される不必要なレベルを伴うことなく、臨床的に有意の作用に必要なレベルで保持される。血中レベルのこれらスパイクは、薬物乱用において遭遇する多幸感に加えて、高血圧および急速心拍数の形の心臓血管毒性をもたらすことがありうると広く考えられている。更に、まる一日療法(full day therapy)では、再投薬のリスクが低下し、したがって、さらなる毒性または薬物乱用の問題が妨げられる。
【0113】
ここに記載の技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグは、中枢神経系(CNS)の刺激を必要とするいずれかの状態に用いうると考えられる。これら状態には、例えば、注意欠陥多動障害(ADHD)、注意欠陥障害(ADD)、肥満症、ナルコレプシー、食欲抑制、うつ病、不安、離脱症状(例えば、アルコール離脱症状または薬物離脱症状)および覚醒状態が含まれる。アンフェタミンなどのいくつかの刺激薬は、更に、刺激薬(例えば、コカイン、メタンフェタミン)乱用および嗜癖を処置する場合に有用性を示した。アンフェタミン刺激薬は、更に、戦場敏捷を改善するのにおよび疲労と戦うの広範囲に用いられてきた。
【0114】
したがって、いくつかの態様により、ここに記載の技術は、少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含む刺激薬組成物を提供する。
【0115】
一つの態様は、アンフェタミン投与の行動的荒廃を妨げることができる組成物であって、少なくとも一つのアンフェタミンの極性親水性結合体を含む組成物である。
【0116】
別の態様は、刺激薬を安全に送達する組成物であって、治療的有効量の、少なくとも一つの、本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグを含み、ここにおいて、極性親水性部分は、未結合の刺激薬または例えば、標準アミノ酸に結合した刺激薬を送達することと比較して、刺激薬の吸収速度を減少させることができる組成物である。
【0117】
本技術の別の態様は、アンフェタミン毒性を減少させることができる組成物であって、少なくとも一つの、アンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含み、ここにおいて、非標準アミノ酸部分は、アンフェタミンを一日全体にわたって放出して、限られた行動的荒廃作用を与えることができる組成物である。
【0118】
本技術の別の態様は、アンフェタミン毒性を減少させることができる組成物であって、少なくとも一つの、本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含み、ここにおいて、極性親水性部分は、アンフェタミンを治療的範囲内の用量を超える用量で与えた場合に、アンフェタミンの毒性レベルより上に増加しない血清放出曲線を与えることができる組成物である。
【0119】
本技術の別の態様は、アンフェタミンのバイオアベイラビリティーを減少させることができる組成物であって、少なくとも一つの、本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含み、ここにおいて、アンフェタミンプロドラッグは、アンフェタミンを治療的範囲内の用量を超える用量で与えた場合に、治療的に有効なバイオアベイラビリティーを与えることができる定常状態血清放出曲線を維持することができるが、未結合のアンフェタミンまたは標準アミノ酸と結合したアンフェタミンと比較して増加した血清濃度またはスパイクを妨げる組成物である。
【0120】
本技術の別の態様は、少なくとも一つの、本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含む組成物であって、経口による以外の手段によって摂取された場合、アンフェタミンについてCmaxまたは同等のCmaxスパイクを妨げることができるが、経口摂取された場合、治療的に有効なバイオアベイラビリティー曲線を依然として与える組成物である。
【0121】
本技術の別の態様は、患者の毒性放出プロフィールを妨げることができる組成物であって、少なくとも一つの、本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含み、ここにおいて、アンフェタミンプロドラッグは、治療的に有効なバイオアベイラビリティーを与える定常状態血清放出曲線を維持することができるが、未結合のアンフェタミンまたは天然に存在する且つ標準的なアミノ酸と結合したアンフェタミンと比較して増加した血清濃度またはスパイクを妨げる組成物である。
【0122】
本技術の一つまたはそれを超える態様は、アンフェタミンなどの刺激薬組成物であって、適切な投薬量で送達された場合、刺激薬を治療的有効にさせるが、治療的範囲内の用量を超える用量で刺激薬を与えた場合、刺激薬の吸収速度またはバイオアベイラビリティーの程度を減少させる組成物を提供する。本技術の一つまたはそれを超える態様は、更に、刺激薬組成物であって、極性親水性部分が、治療的範囲内の用量を超える用量で刺激薬を与えた場合に、刺激薬のクリアランス速度を増加させる刺激薬組成物を提供する。
【0123】
一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬組成物は、未結合の刺激薬または標準アミノ酸と結合した刺激薬と比較して実質的に低い毒性を有する。一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬組成物は、経口投与による過剰投与の可能性を減少させるまたは排除することができる。一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬組成物は、鼻腔内投与による過剰投与の可能性を減少させるまたは排除することができる。一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬組成物は、注射による過剰投与の可能性を減少させるまたは排除することができる。一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬組成物は、吸入による過剰投与の可能性を減少させるまたは排除することができる。
【0124】
一つまたはそれを超える態様において、本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグは、親水性ポリマーおよび/または水不溶性ポリマーを含むポリマーブレンドを更に含むことができる。それらポリマーは、産業標準規格にしたがって用いられて、乱用耐性を減少させることなく、本技術の刺激薬プロドラッグの持続放出/乱用耐性を更に増強することができる。例えば、ある組成物は、約70重量%〜約100重量%の本技術の刺激薬プロドラッグ、約0.01重量%〜約10重量%の親水性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、約0.01重量%〜約2.5重量%の水不溶性ポリマー(例えば、アクリル樹脂)、約0.01重量%〜約1.5重量%の添加剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)および約0.01重量%〜約1重量%の着色剤を包含しうる。
【0125】
持続放出製剤に用いるのに適する親水性ポリマーには、アラビアゴム、トラガカントゴム、イナゴマメガム、グアーガムまたはカラヤゴムなどの一つまたはそれを超える天然のまたは部分または完全合成の親水性ガム;メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの改変セルロース物質;寒天、ペクチン、カラゲーン(carrageen)およびアルギネートなどのタンパク質物質;およびカルボキシポリメチレン、ゼラチン、カゼイン、ゼイン、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、多糖類、改変デンプン誘導体、および当業者に知られている他の親水性ポリマーなどの他の親水性ポリマー、またはこのようなポリマーの組合せが含まれる。これら親水性ポリマーおよびゲルは、水性酸性媒質中に徐々に溶解し、それによって、胃内のそのゲルから刺激薬プロドラッグを拡散させると考えられる。ゲルが腸に達した時点で、それは、より高いpH媒質中に制御された量で溶解して、徐放を更に可能にすると考えられる。好ましい親水性ポリマーは、The Dow Chemical Company によって製造され且つ Methocel E1OMなどの Methocel エーテルとして知られるものなどのヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0126】
本技術の一つまたはそれを超える態様による他の製剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、粉末ステアリン酸、水素化植物油、タルク、ポリエチレングリコールおよび鉱油などの滑沢剤;Emerald Green Lake、FD&C Red No. 40、FD&C Yellow No. 6、D&C Yellow No. 10またはFD&C Blue No. 1などの着色剤、および他のいろいろな認証着色添加剤(21 CFR, Part 74を参照されたい);スクロース、ラクトース、ゼラチン、デンプンペースト、アラビアゴム、トラガカント、ポビドンポリエチレングリコール、Pullulan およびトウモロコシシロップなどの結合剤;コロイド二酸化ケイ素およびタルクなどの滑剤(glidants);ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルナトリウムスルホスクシネート、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタン、ポロキサルコル(poloxalkol)および第四級アンモニウム塩などの界面活性剤;保存剤および安定化剤;ラクトース、マンニトール、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース、スクロース、マルトース、キシリトール、ソルビトール、カリウム、ナトリウムおよびマグネシウムの塩化物、硫酸塩およびリン酸塩などの賦形剤;および/または当業者に知られているいずれか他の医薬添加剤が含まれるがこれに制限されるわけではない医薬添加剤を更に含むことができる。一つの好ましい態様において、本技術の持続放出製剤は、ステアリン酸マグネシウムおよび Emerald Green Lake を更に含む。
【0127】
本技術の刺激薬組成物は、少なくとも一つの、本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含むものであり、賦形剤と一緒に更に製剤化することができるし、そして医薬製造業者に知られているいずれか適当な方法にしたがって製造することができる。例えば、刺激薬プロドラッグおよび親水性ポリマーは、ミキサー中でアリコートの水と混合して、湿潤顆粒を成形することができる。その顆粒を乾燥させて、親水性ポリマーにカプセル封入された刺激薬プロドラッグ顆粒剤を得ることができる。得られた顆粒を、微粉砕し、篩い分けした後、いろいろな医薬添加剤、例えば、水不溶性ポリマーおよび/または追加の親水性ポリマーなどとブレンドすることができる。次に、その製剤を錠剤成形することができ、そして更に、胃液中に急速に溶解するまたは分散する保護コーティングでフィルムコーティングすることができる。
【0128】
上の添加剤は、本技術の刺激薬組成物が持続放出および乱用耐性を有するのに必要とされないということに注目すべきである。本技術の刺激薬プロドラッグ自体が、上の添加剤の添加を伴うことなく、消化管中への刺激薬の放出を長時間にわたって制御して、即時放出組合せと比較して改善されたプロフィールおよび乱用の防止を生じることができる。本技術の一つまたはそれを超える態様において、鋭敏でないまたは減少した薬物動態曲線(例えば、減少した多幸作用)を達成し、同時に、経口摂取時に治療的有効量のアンフェタミン放出を達成するのに、持続放出添加剤はこれ以上必要とされない。
【0129】
ここに記載の技術の化合物および組成物は、好ましくは、いずれかの経口送達経路によるいろいろな剤形へと製剤化され且つそれで投与することができる。いったん投与されると、それらプロドラッグは、消化条件下でアンフェタミンまたは別の刺激薬を放出するであろう。現在または将来に当業者に知られているいずれかの生物学的に許容しうる剤形およびそれらの組合せが、本技術での使用に考えられる。好ましい剤形の例には、制限されることなく、咀嚼錠、急速溶解錠剤、発泡錠、再形成性散剤、エリキシル剤、液剤、水剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、多層錠、二重層錠剤、カプセル剤、ゼラチン軟カプセル剤、ゼラチン硬カプセル剤、キャプレット、ロゼンジ、咀嚼ロゼンジ、ビーズ、散剤、顆粒剤、粒子、微粒子、分散性顆粒剤、カシェ剤、薄片、経口フィルム剤、経皮パッチおよびそれらの組合せが含まれる。好ましい剤形には、カプセル剤、薄片および溶液製剤が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0130】
経口投与に適する本技術の製剤は、カプセル剤、キャプレットまたは錠剤などの離散単位として提示することができる。これら経口製剤は、水性液または非水性液中の溶液または懸濁液を含むことができる。製剤は、水中油液状エマルジョンまたは油中水液状エマルジョンなどのエマルジョンでありうる。それら油剤は、嚥下不能である患者の給餌管に引き続き入れることができる調製経腸製剤に、精製され且つ滅菌された液剤を加えることによって投与することができる。
【0131】
カプセル形を選択する場合、例えば、カプセル製剤中に用いられる賦形剤は、別々の四群、すなわち、増量剤/結合剤、崩壊剤、滑沢剤および担体中に分割しうると考えられる。好ましいカプセル製剤は、約50重量%〜約90重量%のいろいろなタイプの微結晶性セルロースなどの増量剤;約1重量%〜約5重量%のクロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤;約0.5重量%〜約2.5重量%のステアリン酸マグネシウムまたは他の脂肪酸塩などの滑沢剤を含む。担体は、どちらのゼラチン硬カプセル剤でもありうるが、好ましくは、#3または#4ゼラチン硬カプセル剤などの、より小さいサイズのものを用いることができる。
【0132】
軟質ゲルまたはゼラチン軟カプセル剤は、例えば、本技術の製剤を、適当なビヒクル(植物油が一般的に用いられる)中に分散させて、高粘度混合物を形成することによって製造することができる。次に、この混合物を、軟質ゲル産業業者に知られている技術および仕組み(machinery)を用いて、ゼラチン基剤薄膜でカプセル封入することができる。次に、そのように形成された個々の単位を、恒量へと乾燥させる。
【0133】
咀嚼(チュアブル)錠は、例えば、本技術の製剤を、嚥下よりもむしろ咀嚼されることを予定した比較的軟質の着香錠剤剤形を形成するように設計された賦形剤と混合することによって製造することができる。慣用的な錠剤仕組みおよび手順、すなわち、直接圧縮および圧縮前の造粒、すなわち、スラッグ成形(slugging)の双方を利用することができる。医薬固体剤形生産に関与する者は、その方法に精通しているし、そしてチュアブル剤形として用いられる仕組みは、医薬産業において極めて一般的な剤形である。
【0134】
フィルムコーティング錠は、例えば、回転皿コーティング法(rotating pan coating method)または空気懸濁法(air suspension methods)などの技法を用いて錠剤をコーティングして、錠剤上に連続薄膜層を付着させることによって製造することができる。
【0135】
圧縮錠は、例えば、本技術の製剤を、崩壊性に結合性を加えることを予定した賦形剤と混合することによって製造することができる。その混合物は、当業者に知られている方法および仕組みを用いて、直接的に圧縮するかまたは、造粒後に圧縮することができる。次に、得られた圧縮錠投薬単位を、市場要求、すなわち、単位用量、ロール、ボトル、ブリスターパック等にしたがって包装する。
【0136】
極性親水性プロドラッグの一つの好ましい製剤は、急速溶解性経口フィルム剤または薄片である。経口フィルム剤または薄片を製造するのに必要な方法および他の成分は、当該技術分野において知られている。可能性のある薄膜形成剤には、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、キサンタンガム、トラガカントゴム、グアーガム、アラビアゴム、Arabic ガム、ポリアクリル酸、アミラーゼ、デンプン、デキストリン、ペクチン、キチン、キトシン(chitosin)、レバン、エルシナン(elsinan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、ダイズタンパク質単離物、乳清タンパク質単離物、カゼインおよびそれらの混合物が含まれる。
【0137】
更に、唾液刺激剤、可塑剤、冷却剤、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、結合剤、甘味剤、着香剤、着色剤、保存剤または味覚マスキング樹脂は、経口フィルム剤または薄片中に用いることができる。好ましい物質には、プルラン、トリエタノールアミンステアラート、メチルセルロース、デンプン、トリアセチン、ポリソルベート80、キサンタンガム、マルチット、ソルビトールおよびグリセロールが含まれる。
【0138】
ここに記載の技術は、更に、広範囲の物質から製造することができる生物学的に許容しうる担体の使用を考える。これに制限されるわけではないが、このような物質には、希釈剤、結合剤および接着剤、滑沢剤、可塑剤、崩壊剤、着色剤、増量物質、着香剤、甘味剤、および具体的な薬用組成物を製造するための緩衝剤および吸着剤などのその他の物質が含まれる。
【0139】
結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースまたは他の適するセルロース誘導体、ポビドン、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、製剤用艶出剤、ガム、乳清などの乳汁誘導体、デンプンおよび誘導体、更には、当業者に知られている他の慣用的な結合剤などの広範囲の物質から選択することができる。典型的な非制限溶媒は、水、エタノール、イソプロピルアルコール、塩化メチレンまたはそれらの混合物および組み合わせである。典型的な非制限増量物質には、糖、ラクトース、ゼラチン、デンプンおよび二酸化ケイ素が含まれる。
【0140】
好ましい可塑剤は、制限されることなく、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クロトン酸(cronotic acid)、プロピレングリコール、フタル酸ブチル、セバシン酸ジブチル、ヒマシ油およびそれらの混合物から成る群より選択することができる。明らかであるように、それら可塑剤は、事実上、疎水性であっても親水性であってもよい。フタル酸ジエチル、セバシン酸ジエチルおよびヒマシ油などの水不溶性の疎水性物質は、ビタミンB6およびビタミンCなどの水溶性ビタミンの放出を遅らせるのに用いられる。対照的に、親水性可塑剤は、水不溶性ビタミンを用いる場合に用いられ、それらは、カプセル封入薄膜を溶解させ、その表面にチャンネルを作るのを助け、それらが、栄養組成物放出を助ける。
【0141】
上に具体的に述べられた成分に加えて、本技術の製剤は、着香剤、保存剤および酸化防止剤などの他の適する物質を包含することができるということは理解されるはずである。このような酸化防止剤は、食品許容性であると考えられ、それには、例えば、ビタミンE、カロテン、BHTまたは当業者に知られている他の酸化防止剤が含まれうると考えられる。
【0142】
包含されてよい他の化合物は、例えば、医学的不活性成分、例えば、錠剤またはカプセル剤のためのラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、デンプンまたはリン酸カルシウム、軟カプセル剤のためのオリーブ油またはオレイン酸エチル、および懸濁剤または乳剤のための水または植物油などの固体および液体希釈剤;シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウムおよび/またはポリエチレングリコールなどの滑沢剤;コロイドクレーなどのゲル化剤;トラガカントゴムまたはアルギン酸ナトリウムなどの増粘剤;デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンなどの結合剤;デンプン、アルギン酸、アルギネートまたはナトリウムデンプングリコラートなどの崩壊剤;飽和剤(effervescing mixtures);色素;甘味剤;レシチン、ポリソルベートまたはラウリルスルフェートなどの湿潤剤;およびこのような製剤のための既知の添加剤である保湿剤、保存剤、緩衝剤および酸化防止剤などの他の治療的に許容しうる補助成分である。
【0143】
経口投与には、希釈剤、分散助剤および/または界面活性剤を含有する細粉または顆粒剤を、水またはシロップ中の飲料中で、乾燥状態のカプセル剤またはサシェ剤中で、懸濁化剤が包含されていてよい非水性懸濁液中で、または水またはシロップ中の懸濁液中で提示することができる。所望されるまたは必要な場合、着香剤、保存剤、懸濁化剤、増粘剤または乳化剤が包含されうる。
【0144】
経口投与用の液状分散は、シロップ剤、乳剤または懸濁剤であってよい。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロース、またはグリセロールおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールを含むサッカロースを含有してよい。懸濁剤および乳剤は、担体として、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有してよい。
【0145】
成人または小児用の用量範囲は、患者の年齢、体重および状態を含めた多数の因子に依存するであろう。ここに記載の技術の一つの刺激薬のプロドラッグの適する経口投薬量は、その刺激薬を用いる処置において典型的に見出されるものの相当量でありうる。例えば、アンフェタミン塩の典型的な投薬量は、約1mg〜約100mgでありうるが、後々、より多い投薬量が是認されることがありうる。本技術のプロドラッグの分子量、プロドラッグからのアンフェタミンの放出百分率(放出%)および必要なアンフェタミンの所望の剤形を用いて、次の方程式を生じることができる。
【0146】
必要なプロドラッグのグラム数=(アンフェタミンの投薬量/分子量)(放出%)(プロドラッグの分子量)
錠剤、カプセル剤、および離散単位で与えられる他の形の提示は、好都合には、1日用量またはその適当な画分の本発明の一つまたはそれを超えるプロドラッグ化合物を含有する。例えば、それら単位は、約1mg〜約1000mg、或いは、約5mg〜約500mg、或いは、約5mg〜約250mg、或いは、約10mg〜約100mgのここに記載の技術の一つまたはそれを超えるプロドラッグ化合物を含有してよい。
【0147】
本技術の剤形を、当業者に知られているいずれかの放出形と一緒にすることも可能である。これら慣用的な放出形には、即時放出、延長放出、パルス放出、可変放出、制御放出、時限放出、徐放、遅延放出、長時間作用型およびそれらの組合せが含まれる。即時放出、延長放出、パルス放出、可変放出、制御放出、時限放出、徐放、遅延放出、長時間作用型の特徴およびそれらの組合せを得る能力は、当該技術分野において知られている。
【0148】
本技術の組成物は、部分、すなわち、分画用量で24時間中に1回またはそれを超えて、24時間の間に単回用量で、24時間の間に二倍用量で、または24時間の間に二倍を超える用量で投与することができる。分画、二倍または他の倍数用量は、同時に、または24時間中のいろいろな時点に摂取することができる。それら用量は、いろいろな投与時点において、互いの成分に関してまたは個々の成分に関して一様でない用量であってよい。
【0149】
同様に、本技術の組成物は、ブリスターパックまたは他のこのような医薬パッケージ中で与えることができる。更に、本技術の組成物は、処方される処置用の製品として組成物を個体に識別させる印を更に包含してよいしまたはそれを伴っていてよい。その印は、組成物を投与するための上に規定の時間の指示を更に包含してよい。例えば、その印は、組成物の投与のための1日の内の規定のまたは一般的な時刻を指示する時刻印であってよいし、またはその印は、組成物の投与のための曜日を指示する期日印であってよい。ブリスターパックまたは他の組合せパッケージは、第二の医薬製品を包含してもよい。
【0150】
本技術の組成物の薬理活性は、当該技術分野において知られている標準的な薬理学的モデルを用いて示すことができるということは理解されるであろう。更に、本技術の組成物は、部位特異的送達に適するポリマーマトリックスまたはメンブラン中に包含するまたはカプセル封入することができる、または部位特異的送達を行うことが可能な特異的標的指向物質で機能付加することができるということは理解されるであろう。これら技法、並びに他のドラッグデリバリー技法は、当該技術分野において周知である。
【0151】
本技術の一つまたはそれを超える態様において、組成物の溶解度および溶解速度は、例えば、腸内、粘膜表面または血流中で遭遇するいろいろな生理学的条件下で実質的に変化することがありうる。本技術の一つまたはそれを超える態様において、組成物の溶解度および溶解速度は、アンフェタミンのバイオアベイラビリティーを、具体的には、療法に予定される用量より多い用量で、実質的に減少させることがありうる。本技術の一つの態様において、バイオアベイラビリティーの減少は、鼻腔内投与時に起こる。別の態様において、バイオアベイラビリティーの減少は、静脈内投与時に起こる。
【0152】
本技術の記載された態様各々について、一つまたはそれを超える次の特徴を実現することができる。アンフェタミンプロドラッグの心臓血管毒性は、未結合のアンフェタミンおよび標準アミノ酸と結合したアンフェタミンの場合より実質的に低下する。共有結合した極性親水性部分は、行動的荒廃または反跳作用の潜在性を減少させるまたは排除する。共有結合した極性親水性部分は、鼻腔内投与による乱用の潜在性を減少させるまたは排除する。共有結合した極性親水性部分は、注射による乱用の潜在性を減少させる。
【0153】
ここに記載の技術は、更に、アンフェタミンおよび他の刺激薬を、それらの乱用潜在性を減少させることができる方式で変更するおよび/または送達する方法を提供する。本技術の方法は、アンフェタミンなどの刺激薬を、本技術の極性親水性リガンドと結合することによって投薬量を調節するいろいろな方法を提供する。
【0154】
一つの態様は、行動的荒廃または反跳作用を妨げる方法であって、少なくとも一つのアンフェタミンの極性親水性結合体を含む本技術のアンフェタミンプロドラッグ組成物を、それを必要としている患者に投与することによる方法を提供する。
【0155】
別の態様は、アンフェタミンまたは別の刺激薬を安全に送達する方法であって、治療的有効量の、少なくとも一つの、本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグを与えることを含み、ここにおいて、極性親水性部分は、未結合の刺激薬または例えば、標準アミノ酸と結合した刺激薬を送達することと比較して、アンフェタミンまたは別の刺激薬の吸収速度を減少させることができる方法を提供する。
【0156】
別の態様は、刺激薬毒性を減少させる方法であって、少なくとも一つの本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグを患者に与えることを含み、ここにおいて、極性親水性部分は、刺激薬を治療的範囲内の用量を超える用量で与えた場合に、薬理学的に活性な刺激薬(すなわち、アンフェタミンなどの放出される刺激薬)のクリアランス速度を増加させることができる方法を提供する。
【0157】
別の態様は、刺激薬毒性を減少させる方法であって、少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを患者に与えることを含み、ここにおいて、極性親水性部分は、未結合の刺激薬について治療的範囲内の用量を超える用量で与えた場合に、刺激薬の毒性レベルより上に増加しない血清放出曲線を与えることができる方法を提供する。
【0158】
別の態様は、刺激薬のバイオアベイラビリティーを減少させる方法であって、少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを与えることを含み、ここにおいて、刺激薬プロドラッグは、未結合の刺激薬または例えば、標準アミノ酸と結合した刺激薬について治療的範囲内の用量を超える用量で与えた場合に、治療的に有効なバイオアベイラビリティーを与える定常状態血清放出曲線を維持することができるが、未結合の刺激薬と比較して増加した血清濃度またはスパイクを妨げる方法を提供する。
【0159】
別の態様は、アンフェタミンまたは別の刺激薬についてCmaxまたは同等のCmaxスパイクを妨げるが、治療的に有効なバイオアベイラビリティー曲線を依然として与える方法であって、少なくとも一つの、本技術のアンフェタミンまたは別の刺激薬の極性親水性プロドラッグを患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0160】
別の態様は、患者の毒性放出プロフィールを妨げる方法であって、少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを患者に投与することを含み、ここにおいて、刺激薬プロドラッグは、特に、処方量より多い用量で摂取した場合、治療的に有効なバイオアベイラビリティーを与える定常状態血清放出曲線を維持することができるが、未結合の刺激薬または標準アミノ酸に結合した刺激薬と比較して増加した血清濃度またはスパイクを妨げる方法を提供する。
【0161】
本技術の別の態様は、刺激薬の乱用を減少させるまたは妨げる方法であって、それを必要としている患者に、組成物を与える、投与するまたは処方することを含み、ここにおいて、この組成物は、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性が減少するように、少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含む方法である。
【0162】
本技術の別の態様は、アンフェタミンなどの刺激薬の乱用を減少させるまたは妨げる方法であって、少なくとも一つの本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグを消費することを含み、ここにおいて、このプロドラッグは、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性が実質的に減少するように、極性親水性リガンドに共有結合した刺激薬を含む方法である。
【0163】
本技術の別の態様は、アンフェタミンまたは刺激薬処置の行動的荒廃または反跳作用を妨げる方法であって、それを必要としている患者に、ここに記載の技術のアンフェタミン組成物を与える、投与するまたは処方することを含み、ここにおいて、この組成物は、アンフェタミンまたは刺激薬処置による行動的荒廃または反跳作用の潜在性を減少させることができる少なくとも一つのアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを含む方法である。
【0164】
本技術の別の態様は、刺激薬の多幸作用を減少させるまたは妨げる方法であって、それを必要としているヒトまたは動物に、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性を減少させることができる少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含む組成物を与える、投与するまたは処方することを含む方法である。
【0165】
本技術の別の態様は、刺激薬の多幸作用を減少させるまたは妨げる方法であって、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性を減少させることができる少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含む組成物を消費することを含む方法である。
【0166】
本技術の別の態様は、前述の方法のいずれかであり、ここにおいて、用いられる刺激薬組成物は、経口投与に適応していて、そしてここにおいて、刺激薬プロドラッグは、組成物を鼻腔内または静脈内などの非経口で投与した場合、極性親水性部分から刺激薬を放出するのを妨害する。好ましくは、刺激薬は、胃、腸管または血流中に存在する酸および/または酵素の存在下において極性親水性部分から放出されることがありうる。場合により、用いられる刺激薬組成物は、錠剤、カプセル剤、経口溶液、経口懸濁液、薄片または本明細書中で論じられる他の経口剤形の形であってよい。
【0167】
一つまたはそれを超える挙げられた方法について、用いられる本技術の組成物は、実質的な多幸感を伴うことなく、治療的作用を生じることができる。好ましくは、本技術の刺激薬組成物は、刺激薬単独と比較した場合、治療的に同等AUCを与えることができるが、多幸感を生じるCmaxまたは同等のCmaxを与えない。
【0168】
本技術の別の態様は、アンフェタミンなどの刺激薬の乱用を減少させるまたは妨げる方法であって、患者に、本技術の刺激薬プロドラッグ組成物を経口投与することを含み、ここにおいて、この組成物は、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性を減少させることができる少なくとも一つの本技術の極性親水性刺激薬プロドラッグを含む方法である。
【0169】
別の態様は、刺激薬の多幸作用を減少させるまたは妨げる方法であって、それを必要としている患者に、本技術の刺激薬プロドラッグ組成物を経口投与することを含み、ここにおいて、この組成物は、製造者の取扱説明書とは一致しない方式で組成物を用いた場合に刺激薬の薬理活性を減少させることができる少なくとも一つの本技術の刺激薬の極性親水性プロドラッグを含む方法である。
【0170】
本技術の一つまたはそれを超える挙げられた方法について、次の特性は、アンフェタミンを極性親水性基に結合することによって達成することができる。一つの態様において、本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグの心臓血管毒性またはストレスは、アンフェタミンを、その未結合状態で、標準アミノ酸に結合した化合物として、またはその塩として送達した時のアンフェタミンの場合より低下することがありうる。別の態様において、行動的荒廃の潜在性は、減少するまたは排除される。別の態様において、鼻腔内投与による乱用の潜在性は、減少するまたは排除される。別の態様において、静脈内投与による乱用の潜在性は、減少するまたは排除される。
【0171】
本技術の別の態様は、中枢神経系(CNS)の刺激を必要とするいろいろな疾患または状態を処置する方法であって、本技術の化合物または組成物であって、それぞれの病気または疾患について一般的に処方される活性剤を更に含んでいてよいものを投与することを含む方法を提供する。例えば、本発明の一つの態様は、注意欠陥多動障害(ADHD)を処置する方法であって、少なくとも一つの本技術のアンフェタミンの極性親水性プロドラッグを患者に投与することを含む方法を含む。別の態様は、注意欠陥障害(ADD)を処置する方法であって、本発明の化合物または組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0172】
本発明の別の態様は、ナルコレプシーを処置する方法であって、ここに記載の技術の化合物または組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0173】
ここに記載の技術およびその利点は、次の実施例を参照することで、より良く理解されるであろう。これら実施例は、本技術の具体的な態様を記載するために与えられている。これら具体的な実施例を与えることで、出願者が、本技術の範囲および精神を制限することはない。ここに記載の技術の全範囲が、本明細書を付随する請求の範囲、およびそれら請求の範囲のいずれかの変更、修正または同等物によって定義される内容を包含するということは、当業者に理解されるであろう。
【実施例】
【0174】
実施例1:非標準アミノ酸タイプ(hArg−Amp)の極性親水性プロドラッグおよび標準アミノ酸結合体(VyvanseTM,Lys−Amp)の投与後に放出されるd−アンフェタミンの薬物動態パラメーターの比較研究
本技術の非標準アミノ酸結合体および Shire, Incorporated of Wayne, PA より商業的に入手可能な標準アミノ酸結合体 VyvanseTM(Lys−Amp)の経口投与後のd−アンフェタミンの薬物動態パラメーターを、この実施例において研究する。この実施例に用いられる非標準アミノ酸結合体は、hArg−Ampの塩酸塩である。それら結果を、下の表に記録する。
【0175】
【表1】

【0176】
この研究は、本技術のプロドラッグのCmaxが、d−アンフェタミンの標準アミノ酸結合体 VyvanseTMの場合より有意に低いということを示し、それは、より低い心臓血管作用(血圧、心拍数)をもたらすことがありうる。アンフェタミンの急速放出(より高いCmax)は、血圧および心拍数の有意の増加を既に示した。一定の患者集団において、これら心臓血管副作用は、用量限定的でありうるし、または刺激療法を停止させることがありうる。
【0177】
hArg−Ampおよびd−アンフェタミンの非経口投与後のd−アンフェタミンの薬物動態パラメーターも研究する。その研究は、hArg−Ampを非経口経路(鼻腔内、静脈内)によって摂取した場合、他の経路に対して、胃内で遭遇する酵素の違いゆえに、アンフェタミンの放出はほとんど起こらない(<25%)ということを示す。Adderall X(登録商標)または他のアンフェタミン制御放出製剤を、注射するまたは鼻吸飲する場合、アンフェタミンの薬物動態パラメーターは、有意に変化するので、個体は、これら変化を用いて多幸感を生じることができる。
【0178】
実施例2:Boc−hArg(NO)−Ampの製造
Boc−hArg(NO)−OH(2.667g,8mmol)を、DMF(25ml)中に溶解させた。次に、EDCI(2.30g,12mmol)、NHS(1.012g,8.8mmol)、d−アンフェタミン(1.269g,9.6mmol)およびDIEA(1.138g,8.8mmol)を、逐次的に加えた。透明反応混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、pH3の水(150ml)で急冷し、そして生成物を、EtOAc(3x50ml)で抽出した。合わせた抽出物を、pH3の水で、次に飽和NaClで洗浄した。EtOAc層を、無水MgSO上で乾燥させた。生成物を、EtOAc−ヘキサンから2回再結晶させて、2.36gの所望の保護された生成物を生じた。
【0179】
生成物を、H NMR(DMSO−d)δを用いて分析した。結果は、次を示す。
【0180】
0.9-1.1 (m, 3H, Amp CH3), 1.1-1.2 (m, 2H, hArg γ CH2), 1.2-1.5 (m, 13H, Boc CH3, hArg β,δ CH2), 2.55-2.75 (m, 2H, Amp β CH2), 3.1 (m, 2H, hArg ε CH2), 3.75 (m, 1H, Amp α CH), 3.95 (m, 1H, hArg α CH), 6.65 (t, 1H, hArg グアニジノ NH), 7.1-7.3 (m, 5H, Amp Ar-H), 7.6-8.2 (br m, 2H, hArg グアニジン NH およびアミド NH), 8.5 (br s, 1H, hArg NH-NO2)。
【0181】
これら結果は、考えられる構造と一致する。
【0182】
実施例3:hArg−Amp−2HCl(l−ホモアルギニン−d−アンフェタミン 二塩酸塩)の製造
Boc−hArg(NO)−Amp(1.5g)を、HPLCグレードMeOH(120ml)中に溶解させ、その透明溶液に、Pd−C触媒(10%,Aldrich)を加えた。小スターバーをフラスコ中に入れ、反応混合物を、2−プロパノール中の5〜6N HCl溶液(1.5ml)を包含後、緩慢な水素流下で一晩撹拌した。一晩反応後、溶液を濾過し、溶媒を蒸発させた。白色結晶性生成物を、真空下で乾燥させて、1.61gのBoc−hArg−Amp中間体生成物を生じた。
【0183】
生成物(1.6g)を、80mlのHPLCグレードMeOH中に溶解させ、そして2−プロパノール中の5〜6N HCl(3.2mL)を、その溶液に加えた。反応混合物を、一晩撹拌し、溶媒を除去し、そして最小量のMeOH中に再溶解させた。最終生成物を、MTBEで粉砕し、真空下において30℃で約20時間乾燥させて、1.12gの白色粉末を生じた。
【0184】
その白色粉末を、H NMR(DMSO−d)δを用いて分析した。結果は、次を示す。
【0185】
0.9-1.1 (m, 3H, Amp CH3), 1.1-1.2 (m, 2H, hArg γ CH2), 1.35 (m, 2H, hArg β CH2), 1.55(m, 2H, hArg δ CH2), 2.75 (d, 2H, Amp β CH2), 3.0 (m, 2H, hArg ε CH2), 3.75 (m, 1H, Amp α CH), 4.05 (m, 1H, hArg α CH), 7.1-7.2 (m, 5H, Amp Ar-H), 7.2-7.8 (br m, 3H, アミド NH, HCl), 8.0 (t, 1H, hArg グアニジノ NH), 8.2 (br s, 2H, アミドまたはグアニジノ NH2), 8.75 (d, 1H, アミド NH);
13C NMR (DMSO-d6) δ 21.08 (Amp CH3), 21.36 (hArg γ), 28.23 (hArg δ), 32.28 (hArg β), 40.18 (Amp β), 42.19 (hArg ε), 46.88 (Amp α), 52.23 (hArg α), 126.54 (p-Ar), 128.52 (m-Ar), 129.60 (o-Ar), 139.34 (Ar), 157.61 (C=O), 167.95 (グアニジノ C);
M+1=306。
【0186】
これら結果は、考えられる構造と一致している。
【0187】
実施例4:Cit−Amp・HCl(l−シトルリン−d−アンフェタミン塩酸塩)の製造
Boc−Cit−OH(0.500g,1.82mmol)を、無水THF中に溶解させた。この溶液に、NHS(0.209g,1.82mmol)を、次にDCC(0.376g,1.82mmol)を加えた。得られたスラリーを、周囲温度で一晩撹拌した。別のフラスコ中で、d−硫酸アンフェタミン(0.306g,0.83mmol)を、THF(10ml)中に懸濁させ、NMM(0.34ml,3.64mmol)を加えた。活性化されたエステルを、アンフェタミン懸濁液中に直接的に濾過し、得られた懸濁液を一晩撹拌した。その反応を、5%NaHCOおよびIPACで45分間急冷した。次に、有機溶媒を除去した。次に、水性層を、IPACで3回抽出し、合わせた有機層を、5%酢酸、5%NaHCOおよび5%NaClで洗浄した。次に、有機層をNaSO上で乾燥させ、溶媒を除去した。粗生成物を、IPAC/ヘプタンを用いて再結晶させて、200mgの白色固体を生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:8.06分。
【0188】
10mlのジオキサン中の4N HClを、200mg(0.200g)のBoc−Cit−Ampに加えた。その混合物を、室温で6時間撹拌し、溶媒を除去した。
【0189】
実施例5:hCit−Amp・HCl(l−ホモシトルリン−d−アンフェタミン塩酸塩)の製造
シトルリンについて記載の手順。しかしながら、アミノ酸活性化およびカップリング反応の際に、THFの代わりに1,4−ジオキサンを用いた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(0〜6.5%MeOH/DCM)によって精製して、201mg(0.49mmol)のBoc−l−hCit−d−アンフェタミン(500mgのBoc−l−hCit−OHに基づく)を生じた。
【0190】
Boc保護されたBoc−l−hCit−d−アンフェタミン(110mg,0.27mmol)を、氷浴中で冷却し、10mLの冷4N HCl/ジオキサンを加えた。その混合物を4時間撹拌し、溶媒を蒸発乾固させて、92mg(0.27mmol)のl−hCit−d−アンフェタミン・HClを生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:8.92分。
【0191】
実施例6:hyPro−Amp・HCl(2−ヒドロキシプロリン−d−アンフェタミン塩酸塩)の製造
Z−l−hyPro(tBu)−OH(1.000g,3.11mmol)を、15mLの無水THF中に溶解させた。NHS(0.358g,3.11mmol)を加え、その溶液を5分間撹拌した。次に、DCC(0.642g,3.11mmol)を加え、混合物を周囲温度で一晩撹拌した。別のフラスコ中で、d−硫酸アンフェタミン(0.521g,1.41mmol)を、15mLの無水THF中に懸濁させ、NMM(0.68mL,6.22mmol)を加えた。その混合物を10分間撹拌した。次に、前に調製したスクシンイミジルエステルを、焼結漏斗によってその懸濁液に加え、混合物を一晩撹拌した。その反応を、5%NaHCO溶液(75mL)で急冷した。IPAC(25mL)を加え、その溶液を45分間撹拌した。その混合物を、大部分の有機溶媒を蒸発させることによって濃縮した。水性層を、IPAC(3x100mL)で抽出した。合わせた有機層を、5%HOAc(1x100mL)、5%NaHCO(1x100mL)および5%NaCl溶液(2x100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、蒸発乾固させた。粗生成物を、10mLのAcO中に60℃で溶解させ、10mLの水を熱いうちに加えた。その混合物を、周囲温度で一晩保持した。白色結晶が形成し、それを濾去し、水ですすぎ洗浄し、高真空下で乾燥させて、877mg(2.00mmol)のZ−l−hyPro(tBu)−d−アンフェタミンを生じた。
【0192】
完全に保護されたZ−l−hyPro(tBu)−d−アンフェタミン(500mg,1.14mmol)を、10mLのMeOH中に溶解させた。Pd/C(10重量%Pd,250mg)を加え、混合物を水素雰囲気下において周囲温度で一晩撹拌した。その懸濁液を、Celite(登録商標)を介して濾過し、溶媒を蒸発乾固させた。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(0〜2.5%MeOH/DCM)によって精製して、96mg(0.32mmol)のl−hyPro(tBu)−d−アンフェタミンを生じた。
【0193】
ヒドロキシル保護されたl−hyPro(tBu)−d−アンフェタミン(96mg,0.32mmol)を、氷浴中で冷却し、5mLの冷TFAを加えた。氷浴を除去し、その混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、そして残留物を、4N HCl/ジオキサン中に溶解させた。この過程を3回繰り返した。生成物を高真空下で乾燥させて、90mg(0.32mmol)のl−hyPro−d−アンフェタミン・HClを生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:9.61分。
【0194】
実施例7:Arg(NO2)−Amp・2HCl(l−アルギニン(NO2)−d−アンフェタミン二塩酸塩)の製造
シトルリンについて記載の手順。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(0〜3.5%MeOH/DCM)によって精製して、471mg(1.08mmol)のBoc−l−Arg(NO)−d−アンフェタミン(1.000gのBoc−Arg(NO)−OHに基づく)を生じた。
【0195】
Boc保護されたBoc−Arg(NO)−d−アンフェタミンを、ホモシトルリンについて記載の手順を用いて脱保護して、442mg(1.08mmol)のl−Arg(NO)−d−アンフェタミン・HClを生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:9.21分。
【0196】
実施例8:リジノール−CO−Ampの製造
Boc−l−Lys(Z)−オール(500mg,1.36mmol)を、10mLの無水ジオキサン中に溶解させた。CDIを加え、その混合物を周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固させ、残りの油状残留物を、15mLの無水THF中に溶解させた。硫酸アンフェタミン(277mg,0.75mmol)およびEtN(0.40mL,2.86mmol)を加え、混合物を50℃で一晩撹拌した。その反応を水で急冷し、そして水性層を、IPAC(3x75mL)で抽出した。合わせた有機層を、5%HOAc、飽和NaHCO、飽和NaClおよび5%NaCl溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させた。溶媒を蒸発乾固させて、Boc−l−Lys(Z)−OCONH−d−アンフェタミンを白色泡状物として生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:20.59分。
【0197】
実施例9:Bz−Amp(ベンズアミド−d−アンフェタミン)の製造
硫酸アンフェタミン(1.000g,2.71mmol)を、15mLの無水ジオキサン中に入れた。NMM(1.36mL,12.34mmol)を加え、その懸濁液を氷浴中で冷却した。塩化ベンゾイル(0.57mL,4.93mmol)を徐々に加え、そして混合物を、周囲温度に加温しながら一晩撹拌した。固体を濾去し、ジオキサンですすぎ洗浄した。白色結晶を乾燥後、IPA中に60℃で溶解させた。その熱溶液に、沈殿を全く形成させることなく水を加えた。その混合物を、周囲温度に冷却しながら4時間保持した。白色結晶が形成し、それを濾去し、水ですすぎ洗浄して、317mg(1.32mmol)のBzNH−d−アンフェタミンを生じた。HPLC:カラム:YMC ODS−AQ,5μm,120Å,4.6x250mm;移動相:A=0.1%TFA/HO,B=0.1%TFA/MeCN;方法:0〜15分:85/15→60/40,15〜25分:60/40→0/100;流速:1mL/分;UV検出:230nm;保持時間:21.84分。
【0198】
実施例10:Carn−Amp(O−アセチル−l−カルニチン−d−アンフェタミンクロリド)の製造
O−アセチル−l−カルニチン−Cl(1.000g,4.17mmol)を、12.5mLのDMF/ジオキサン/水(2:2:1)の混合物中に溶解させた。NHS(0.528g,4.59mmol)およびDCC(0.947g,4.59mmol)を加え、その混合物を周囲温度で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下で一晩乾燥させた。粗製スクシンイミジルエステル中間体を、20mLの無水DMF中に溶解させた。硫酸アンフェタミン(0.700g,1.90mmol)およびNMM(0.92mL,8.34mmol)を加え、その混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発乾固させ、残留物をIPAで浸出した。溶媒を蒸発させて、Carn−d−アンフェタミンを生じた。
【0199】
実施例11:Suc−Amp(スクシンアミド−d−アンフェタミン)の製造
DMF中の無水コハク酸(1.1eq)の溶液に、N−メチルモルホリン(1.5eq)およびアンフェタミン(1eq)を加えた。得られた混合物を、室温で18時間撹拌し、水で急冷し、そしてEtOAcと水とに分配した。有機層を一緒にし、乾燥させ、溶媒を除去して、Suc−Amp(86%収率)を白色固体として得た。
【0200】
実施例12:hArg−Amp対Lys−Ampの薬物動態研究
雄 Sprague-Dawley ラットを、一晩絶食させ、そしてl−ホモアルギニン−d−アンフェタミン(hArg−Amp)かまたはl−リジン−d−アンフェタミン(VyvanseTM,Lys−Amp)を経口強制飼養によって投与した。水は、随意に与えた。用量は、同等の1.5mg/kgの遊離塩基相当量のd−アンフェタミンで計算した。d−アンフェタミンの血漿濃度は、ELISA(Neogen Corp. Lexington, KY)を用いて測定した。
【0201】
l−ホモアルギニン−d−アンフェタミンまたはl−リジン−d−アンフェタミンによって放出されたd−アンフェタミンの平均血漿濃度曲線(n=5)を、図1に示す。この研究の薬物動態(PK)パラメーターを、表2に挙げる。
【0202】
【表2】

【0203】
この薬物動態(PK)研究は、非標準アミノ酸タイプの極性親水性プロドラッグ(hArg−Amp)について、標準アミノ(Lys−Amp)と比較したTmaxのシフトを明らかに示す。このシフトは、アンフェタミンに結合した標準アミノ酸に対するアンフェタミンに結合した非標準アミノ酸のアミド結合の酵素的加水分解速度の減少のためでありうる。
【0204】
図2〜4は、図1および表2に反映されるデータを検分する異なった方法である。下で更に論じられるように、これら図は、最初の数時間中のLys−AmpにまさるhArg−Ampの差を強調している。
【0205】
図2は、Lys−AmpおよびhArg−Amp双方から放出されたd−アンフェタミンの相対血中レベルを示している。そのグラフは、より後の時点まで、同等の血中レベルが生じないということ、および血中レベルが、Lys−Ampよりも有意のCmaxを有するまたはスパイクするとは考えられないということを示す。hArg−Ampから放出されるd−アンフェタミンの量は、漸進的であり且つ研究持続期間にわたってLys−Ampの場合よりも一定の濃度を維持する。対照的に、放出されるd−アンフェタミンのLys−Amp血中レベルは、3時間で「スパイクを示し」、そしてhArg−Ampから得られる血中レベルよりも速く浄化された。
【0206】
図3および図4は、図2に記載の研究から得られた血中レベルの差を示している。示されるように、双方の結合体(Lys−AmpおよびhArg−Amp)についての初期血中レベルは、極めて異なり、hArg−Ampは、より緩やかな速度でアンフェタミンを放出している。これら血中レベルの差は、刺激薬処置の一層臨界的な作用持続期間中に一層小さくなるが、より重要なことに、それら差は、より後の時点で再び大きく、hArg−Ampは、Lys−Ampと比較した場合、より一貫した用量のアンフェタミンを維持するということが示唆される。hArg−Ampについての一層長い放出持続期間は、行動的荒廃を引き起こすことへのはるかに低い潜在性を示唆すると考えられる。
【0207】
他の経口研究を、類似の様式で行っており、下の表3に要約する。4回の(4)経口研究(ビヒクルにつきn=30)についての平均PK結果を、図5に記録する。
【0208】
【表3】

【0209】
実施例13:Lys−AmpおよびCit−Ampの比較生物学的研究
d−アンフェタミンの放出量をいろいろな極性親水性プロドラッグの間で比較するために、別の経口薬物動態研究において、l−シトルリン−d−アンフェタミン(Cit−Amp)を、Lys−Ampと一緒に投与した。Cit−AmpおよびLys−Ampによって放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度曲線(n=5)を、図6に示す。この研究の薬物動態パラメーターを、表4に挙げる。
【0210】
極性親水性プロドラッグ、特に、アンフェタミンの非標準アミノ酸結合体(CitおよびhArg)の直接比較は、標準アミノ酸に対して、薬物動態特性をシフトさせるまたは変化させる有意の能力を示す。研究された非標準アミノ酸は全て、50%を超える量でアンフェタミンを放出した。ホモアルギニンは、リジンの場合よりはるかに低いCmaxレベルを示し、そしてホモアルギニンおよびシトルリンは、Lys−Ampと比較してTmaxをシフトさせた。非標準アミノ酸に結合した場合のアンフェタミンの薬物動態特性へのこれら変化は、Lys−Ampによって記載されも示されてもいないし、他の標準アミノ酸によって記載されも示されてもいない臨床的に有意の変化である。
【0211】
【表4】

【0212】
実施例14:Lys−Amp、サルコシン−Amp、hCit−AmpおよびhArg(NO)−Ampの薬物動態研究
d−アンフェタミンの放出量をいろいろな極性親水性プロドラッグの間で比較するために、別の経口薬物動態研究において、サルコシン−d−アンフェタミン(Sar−Amp)、l−ホモシトルリン−d−アンフェタミン(hCit−Amp)およびl−ホモアルギニン(NO)−d−アンフェタミン(hArg(NO)−Amp)を、Lys−Ampと一緒に投与した。それらアンフェタミンプロドラッグによって放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度曲線(n=5)を、図7および図8に示す。この研究の薬物動態パラメーターを、表5に挙げる。
【0213】
【表5】

【0214】
実施例15:Amp、Lys−AmpおよびhArg−Ampの鼻腔内研究
雄 Sprague-Dawley ラットを、一晩絶食させ、そしてhArg−Ampか、Lys−Ampかまたはd−アンフェタミンを鼻腔内投与によって投与した。用量は、同等の1.5mg/kgの遊離塩基相当量のd−アンフェタミンで計算した。d−アンフェタミンの血漿濃度は、ELISAを用いて測定した。hArg−AmpまたはLys−Ampによって放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度曲線(n=5)を、図9に示す。この研究の薬物動態パラメーターを、表6に挙げる。hArg−AmpでもLys−Ampでも、有意の放出(<50%)は認められなかったし、最初の投与時間中には、放出はほとんど認められなかった(<25%)。Lys−Ampからの認められるレベルは、以前に公表されたデータよりも有意に高い。
【0215】
【表6】

【0216】
実施例16:d−Amp、hArg−Amp、Lys−Ampの静脈内研究
雄 Sprague-Dawley ラットに、尾静脈による静脈内投与により、hArg−Amp、Lys−Ampまたはd−アンフェタミンを投与した。用量は、同等の1.5mg/kgの遊離塩基相当量のd−アンフェタミンで計算した。d−アンフェタミンの血漿濃度は、ELISAを用いて測定した。hArg−AmpまたはLys−Ampによって放出されるd−アンフェタミンの平均血漿濃度曲線(n=5)を、図10に示す。この研究の薬物動態パラメーターを、表7に挙げる。hArg−AmpでもLys−Ampでも、有意の放出(<15%)は認められなかったが、hArg−Ampは、有意に少なかった。Lys−Ampからの認められるレベルは、以前に公表されたデータよりも有意に高い。hArg−Ampから放出されるd−アンフェタミンの初期スパイクは、速やかに浄化された。
【0217】
【表7】

【0218】
上の実施例の研究結果は、極性親水性プロドラッグを用いることによる経口薬物動態特性の予想外の変化を明らかに示している。アンフェタミンに結合した極性親水性基を変更することにより、それら結合体は、Tmax(初期または後期)をシフトさせ、曲線形状を変更し、Cmaxを低下させ、そしてCmaxを上昇させることができる。更に、hArg−AmpについてのTmaxのシフトは、心臓血管副作用および毒性の多くが、TmaxおよびCmaxに関連しているという点で、臨床的に有意でありうる。それら結果は、これら極性親水性基を用いることにより、AUCを有意に変化させることなく、より低いCmaxを伴うTmaxのシフトが生じるということを示している。更に、hArg−Amp対Lys−Ampの取込みの勾配は、一層緩やかであり、したがって、一層緩慢な開始をもたらすと考えられ、それが、副作用を更に軽減しうると考えられる。
【0219】
本技術の上に挙げられたアンフェタミン結合体は、極性親水性プロドラッグを用いることにより、Tmaxのシフトが生じるが、AUCおよび潜在的臨床作用を依然として保持しているということを示す。極性親水性プロドラッグを用いることにより、本発明者は、hArg−Ampが、IN(鼻腔内)およびIV(静脈内)経路によって放出をほとんど示さないが、類似のAUCをなお依然として維持するということを示すことができる。
【0220】
本技術の極性親水性アンフェタミンプロドラッグは、アミド結合の in vitro 加水分解に化学的に安定であって、経口摂取前にアンフェタミンを不正に変化させないまたは除去させない。更に、本技術の極性親水性アンフェタミンプロドラッグの経口投与によるアンフェタミンの制御放出は、分子の固有特性であり、製剤とは無関係である。したがって、本技術のプロドラッグは、いろいろな剤形へと容易に製剤化することができる。
【0221】
本発明は、ここに、関係するいずれの当業者にも、それを実施可能であるように完全に、明確に、簡潔に、そして正確に記載されている。前述のことが、本発明の好ましい態様を記載しているということ、およびそこにおいて、請求の範囲に示されている本発明の精神または範囲を逸脱することなく、変更を行うことができるということは、理解されるはずである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトまたは動物の中枢神経系を刺激するための組成物であって、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含む組成物。
【請求項2】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、ヒドロキシル、カルボン酸、第一級アミン、第二級アミン、ケトン、アルデヒド、アセチルハライド、ホスフェート、ホスホノ、スルフェート、スルホニル、スルホンアミドまたはチオールから本質的に成る一つまたはそれを超える官能基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、非標準アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体またはその混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
非標準アミノ酸が、ホモアルギニン、シトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)ブタン酸(HMB)、ホモセリン、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、タウリン、グルタチオン、スタチン、ホモシステイン、セレノメチオニン、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
合成アミノ酸が、2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸、2−アミノ−3−ウレイドプロピオン酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノメチル安息香酸、3−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、5−アセトアミド−2−アミノ安息香酸、(3,4)−ジアミノ安息香酸、(3,5)−ジアミノ安息香酸、2−アミノ−3−メトキシ安息香酸、4−ニトロアントラニル酸、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
アミノ酸誘導体または前駆体が、イソセリン、N−ω−ニトロアルギニン、N−ε,ε−ジメチルリジン、ブチオニン(buthionine)、システイン酸、エチオニン、(2−アミノエチル)システイン、シスタチオン、2−アミノ−3−エチオキシブタン酸、メチルセリン、サッカロピン、エトキシテオリン(ethoxytheorine)、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、アラニノール(alaninol)、インダノ(indano)、ノルエフェドリン、アスパラギノール(asparaginol)、アスパルチモール(aspartimol)、グルタモール(glutamol)、ロイシノール(leucinol)、メチオニノール(methioninol)、フェニルアラニノール、プロリノール(prolinol)、トリプトファノール(tryptophanol)、バリノール(valinol)、イソロイシノール、アルギニノール(argininol)、セリノール(serinol)、チロシノール(tyrosinol)、トレオニノール(threoninol)、システイノール(cysteinol)、リジノール(lysinol)、ヒスチジノール(histidinol)、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択されるアミノアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、リン酸化炭水化物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、糖アルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、リン脂質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、カルニチン、安息香酸、酒石酸、ビオチン、クエン酸、パントテン酸および塩、コリン、シスチン二量体、乳酸、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD2、ビタミンD3、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、t−ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピオン酸、ソルビン酸、エリソルビン酸、メチルパラベン、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、チオジプロピオン酸、プロピレングリコール、ピリドキシン、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、アセトイン、N−酪酸、バニリン、ゲラニオール、アントラニル酸メチル、ベンゾイン、ベンジルアルコール、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも一つの刺激薬が、アンフェタミン、アドラフィニル(adrafinil)、モダフィニル(modafinil)、アミノレクス(aminorex)、ベンジルピペラジン、カチノン(cathinone)、クロルフェンテルミン(chlorphentermine)、クロベンゾレクス(chlobenzorex)、シクロペンタミン、ジエチルプロピオン、エフェドリン、フェンフルラミン(fenfluramine)、4−メチルアミノレクス、メチロン(methylone)、メチルフェニデート、ペモリン、フェンテルミン(phentermine)、フェニレフリン、プロピルヘキサドリン(propylhexadrine)、プソイドエフェドリン、シネフリン(synephrine)、その代謝産物、その誘導体またはその組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも一つの刺激薬が、アンフェタミン、その代謝産物、その誘導体またはその混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
アンフェタミンが、d−アンフェタミンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、非標準アミノ酸、l−カルニチン、l−サルコシン、l−リジノール、安息香酸、クエン酸、コリン、EDTAまたはコハク酸を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
代謝産物が、p−ヒドロキシアンフェタミン、p−ヒドロキシエフェドリンまたはその混合物である、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
非経口経路によって投与された場合に、減少したまたは妨げられた薬理活性を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
塩が、メシラート、塩酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、トリフラート、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩またはその混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
組成物が、錠剤、カプセル剤、キャプレット、トローチ、ロゼンジ、経口粉末、溶液、薄片、経口フィルム剤、経皮パッチまたは懸濁液を含む形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
錠剤、薄片、トローチまたはロゼンジが、チュアブルである、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せが、約1mgまたはそれを超える量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せが、約5mg〜約250mgの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せが、約10mg〜約100mgの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを、ヒトまたは動物に、少なくとも一つの刺激薬単独と比較した場合に治療的有効性を与えるのに十分な量であるが、反跳作用を与えないまたは実質的に減少した反跳作用を与える量で与える、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを、ヒトまたは動物に、少なくとも一つの刺激薬単独と比較した場合に治療的有効性を与えるのに十分な量で与えるが、同等のCmaxを与えない、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
中枢神経系の刺激を必要とする障害または状態を有する患者を処置する方法であって、該患者に、薬学的有効量の、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを経口投与する工程を含む方法。
【請求項27】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、ヒドロキシル、カルボン酸、第一級アミン、第二級アミン、ケトン、アルデヒド、アセチルハライド、ホスフェート、ホスホノ、スルフェート、スルホニル、スルホンアミドまたはチオールから本質的に成る一つまたはそれを超える官能基を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、非標準アミノ酸、合成アミノ酸、アミノ酸誘導体、アミノ酸前駆体またはその混合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
非標準アミノ酸が、ホモアルギニン、シトルリン、ホモシトルリン、ヒドロキシプロリン、2−ヒドロキシ−4−(メチルチオ)ブタン酸(HMB)、ホモセリン、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、タウリン、グルタチオン、スタチン、ホモシステイン、セレノメチオニン、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
合成アミノ酸が、2−アミノ−3−グアニジノプロピオン酸、2−アミノ−3−ウレイドプロピオン酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノメチル安息香酸、3−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、5−アセトアミド−2−アミノ安息香酸、(3,4)−ジアミノ安息香酸、(3,5)−ジアミノ安息香酸、2−アミノ−3−メトキシ安息香酸、4−ニトロアントラニル酸、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
アミノ酸誘導体または前駆体が、イソセリン、N−ω−ニトロアルギニン、N−ε,ε−ジメチルリジン、ブチオニン、システイン酸、エチオニン、(2−アミノエチル)システイン、シスタチオン、2−アミノ−3−エチオキシブタン酸、メチルセリン、サッカロピン、エトキシテオリン、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、アラニノール、インダノ、ノルエフェドリン、アスパラギノール、アスパルチモール、グルタモール、ロイシノール、メチオニノール、フェニルアラニノール、プロリノール、トリプトファノール、バリノール、イソロイシノール、アルギニノール、セリノール、チロシノール、トレオニノール、システイノール、リジノール、ヒスチジノール、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択されるアミノアルコールである、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、リン酸化炭水化物である、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、糖アルコールである、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、リン脂質である、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、カルニチン、安息香酸、酒石酸、ビオチン、クエン酸、パントテン酸および塩、コリン、シスチン二量体、乳酸、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンD2、ビタミンD3、アスコルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、t−ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、プロピオン酸、ソルビン酸、エリソルビン酸、メチルパラベン、没食子酸プロピル、プロピルパラベン、チオジプロピオン酸、プロピレングリコール、ピリドキシン、アジピン酸、コハク酸、リンゴ酸、アセトイン、N−酪酸、バニリン、ゲラニオール、アントラニル酸メチル、ベンゾイン、ベンジルアルコール、それらの誘導体およびそれらの組合せから成る群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一つの刺激薬が、アンフェタミン、アドラフィニル、モダフィニル、アミノレクス、ベンジルピペラジン、カチノン、クロルフェンテルミン、クロベンゾレクス、シクロペンタミン、ジエチルプロピオン、エフェドリン、フェンフルラミン、4−メチルアミノレクス、メチロン、メチルフェニデート、ペモリン、フェンテルミン、フェニレフリン、プロピルヘキサドリン、プソイドエフェドリン、シネフリン、その代謝産物、その誘導体またはその組合せを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
刺激薬が、アンフェタミン、その代謝産物、その誘導体またはその混合物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
アンフェタミンが、d−アンフェタミンである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも一つの刺激薬への化学結合前の極性親水性リガンドが、非標準アミノ酸、l−カルニチン、l−サッカロピン、l−リジノール、安息香酸、クエン酸、コリン、EDTAまたはコハク酸を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
代謝産物が、p−ヒドロキシアンフェタミン、p−ヒドロキシエフェドリンまたはその混合物である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記経口投与工程が、少なくとも一つの錠剤、カプセル剤、キャプレット、トローチ、ロゼンジ、経口粉末、経口溶液、薄片、経口フィルム剤または懸濁液を投与することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
少なくとも一つの極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬を塩の形で投与する、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
塩が、メシラート、塩酸塩、硫酸塩、シュウ酸塩、トリフラート、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、リン酸塩、硝酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、炭酸塩、水酸化物、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アンモニウム塩またはその混合物である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
約1mgまたはそれを超える、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩、その誘導体またはその組合せを含有する剤形を投与する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
約5mg〜約250mgの、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩またはその組合せを含有する剤形を投与する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
約10mg〜約100mgの、少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩またはその組合せを含有する剤形を投与する工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩またはその組合せを、少なくとも一つの刺激薬単独と比較した場合に治療的有効性を与えるのに十分な量で与えるが、多幸感を生じるCmaxを与えない、請求項26に記載の方法。
【請求項49】
少なくとも一つの、極性親水性リガンドに化学結合した刺激薬、その塩またはその組合せを、アンフェタミン単独と比較した場合に治療的有効性を与えるのに十分な量で与えるが、同等のCmaxを与えない、請求項26に記載の方法。
【請求項50】
障害または状態が、注意欠陥多動障害、注意欠陥障害、肥満症、ナルコレプシー、食欲抑制、うつ病、不安、覚醒状態(wakefulness)、離脱症状またはその組合せである、請求項26に記載の方法。
【請求項51】
障害または状態が、注意欠陥多動障害である、請求項26に記載の方法。
【請求項52】
障害または状態が、注意欠陥障害である、請求項26に記載の方法。
【請求項53】
障害または状態が、肥満症である、請求項26に記載の方法。
【請求項54】
障害または状態が、食欲抑制である、請求項26に記載の方法。
【請求項55】
障害または状態が、うつ病である、請求項26に記載の方法。
【請求項56】
障害または状態が、ナルコレプシーである、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−518113(P2010−518113A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549243(P2009−549243)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053363
【国際公開番号】WO2008/098151
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509163710)ケムファーム・インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】