説明

アンモニアまたは他の液体によって織物材料を処理する方法及び装置

織物品(T)用の供給路と;前記供給路に沿って、生成物により織物品を含浸する含浸手段(11,13)と;前記織物品から生成物を取り除く手段(23,25)とを備える。含浸手段は、製品を凝縮し、処理される織物品を進行させる一つかそれ以上の冷却ローラー(11,13)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアによって織物材料、特に編物または織り糸の束を処理する方法に関連する。概して本発明は凝縮温度の低い液体によって、織物品または材料を処理する方法に関連している。
【0002】
また本発明は、織物材料を処理する装置にも関連する。
【背景技術】
【0003】
シルケット加工(Mercerizaiton)は、セルロース繊維から作られた編物及び織り糸、特に綿に関する典型的な処理であり、それによって材料に幾つかの利点、すなわち:
光沢と親水性が増すこと、
寸法的な安定性が増すこと、
続く最後の処理(換言すると、しわ防止処理)の改善及び強化、
をもたらしている。
【0004】
現在、シルケット加工プロセスはアルカリ、一般的に苛性ソーダを使用して行われ、それにより:
繊維の収縮及び膨脹、
張力の増加、
屈曲及び捻れ力の減少、
を促している。
【0005】
繊維の一部分が楕円形から円形へ変形され、それにより光の反射を改善でき、その結果光沢が増す。選択的に液体アンモニアをシルケット加工化学生成物として使用できる。
【0006】
液体アンモニアによる綿繊維の処理は、繊維内に深く定着した構造的な変化によって、編物の技術的な織物の性質に影響を及ぼす最後のプロセスである。このプロセスは、発展のため顕著な潜在能力を有しており;液体アンモニアに浸すことによりシルケット加工を実行するために必要な接触時間が、ごく短くなることは(たいてい一秒以下)充分に考えられる。このタイプの処理の間、繊維は重量の通常100%以下のパーセンテージで液体アンモニアにより含浸され、急速に乾燥されて、結果的に迅速な収縮プロセスを、それが許容不可能になる前に制限する。
【0007】
様々な研究施設によって行われた研究技術の状態から、液体アンモニアによる処理が苛性ソーダを使用した従来のシルケット加工で得られない、特別なシルケット効果を得ることが可能になることは知られており、乾燥及び最後のプロセスの結果による良好な品質(しわ防止、繊維強度、繊維の膨脹及び光沢の増加)に言及しないで、完成した生成物の快適性、機能性及び美的感覚が増している。
【0008】
アンモニアを利用したシルケット加工装置の一例が、米国特許明細書US-A-3980429に記載されている。それらの装置では、繊維が連続供給され、含浸槽を備えたチャンバを介して進行させられ、そこで繊維が浸されて、アンモニアで含浸される。乾燥手段は、典型的に加熱ローラーの形をして繊維からアンモニアを蒸気化させ、乾燥手段は含浸槽の下流に配置される。繊維が加熱ローラーを通過する前に、含浸されたアンモニアの一部を取り除くために繊維が押される。そして複合システムは、ガス状アンモニアを回収して次に液化し、液化したアンモニアを槽へ戻すために備えられる。
【0009】
大気圧において-33℃で蒸発する液体アンモニアの使用は、それに関連する難点があるため、この技術を利用した装置は世界に数台である。これにより装置を構成するのを複雑にし、安全と処理廃棄物の処分に関して問題が生じる。その結果、装置がかなり複雑で且つ高価になる。
【0010】
不連続シルケット加工装置が最近提案されている。それらの装置では、ローラー上に巻かれる繊維の束が閉鎖チャンバ内に配され、そこでは繊維が段々に解かれ、液体アンモニアの入った含浸槽に浸される。このタイプの不連続装置の一例が、C.Meyer<<Nuovo procedimento di trattamento discontinuo con ammoniaca>>(アンモニアによる不連続的処理の新しい手順)によってITB、International Textile Bulletin 6/99, 第66頁とその後の頁に記載されている。
【0011】
不連続処理装置においても、ガス状アンモニアを回収及び液化する必要がある。
【0012】
毒性の高いアンモニアは、その回収及び液化に関する手順を特に複雑且つ重要なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記で記載された欠点を克服する方法及び装置を提供することである。更に特には、第一の特徴によると、本発明の目的はアンモニアによるシルケット加工プロセスをより簡単に、安価で、本質的に安全にする方法と、より一般的には繊維物品を周囲の圧力下において、低温で凝縮する生成物によって含浸する方法を提供することである。
【0014】
別の特徴によると、本発明の目的は、アンモニアによるシルケット加工または、周囲の気圧下において低温で凝縮する生成物により繊維材料を含浸することを含む別の処理に関して、シンプルで且つ容易に操作でき、安価でより安全な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による方法が請求項1に定義されており、本発明による装置は請求項20に定義されている。従属の請求項は本発明の特徴と本発明を制限しない好適な実施形態を定義している。
【0016】
織物材料又は物品は、処理路に沿って供給され得る相当な長さの半分完成した生成物を指す。特に、織物品または材料が紡ぎ繊維、編み繊維、不織繊維または紡ぎまたは非紡ぎ繊維で製造された本質的に管状の生成物でもよい。更に織物品または材料は、いかなる構造の織り糸でもよい。
【0017】
実質的に本発明による方法は、液体アンモニアによる繊維の含浸を制御するもので、液体アンモニアはプロセスを実行するために充分な量を、繊維にまたは繊維が接触する表面において直接、ガスまたは気化の状態から凝縮させられる。
【0018】
このシステムによって、繊維を含浸する一定量のアンモニアを制御方法で必要なパーセンテージ値に減らすことができる。一方で現在使用されている全てのシステム、または別の同等なシステムは浸入によって含浸され、それはもし押さないと、100%よりもかなり多い、もし押してもアンモニアの重量の繊維パーセンテージが100%よりも僅かに少なるだけで、必然的に繊維からかなりの量の物質を取り除く必要がある。
【0019】
処理に含まれる特に綿、麻糸及び麻繊維の繊維が、アンモニアをかなり早く吸収し、全てそれら繊維に分配されるが、それを解放するのはかなり扱い難いので気を付ける必要がある。繰り返しの実験と分析により、処理に必要なアンモニアのパーセンテージが、従来の装置に用いられている現在の値よりもかなり低いことは明らかであり、前記の値は単に従来の装置及び方法において、繊維にアンモニアを浸させ、完全に吸い込むことによる避けることができない結果である。
【0020】
実際に、繊維においてガス状アンモニアを凝縮するため本発明による方法は、ガス状アンモニアで飽和状態にした環境に浸した繊維を急速に冷却すること、温度を制御できる冷却システムで、適切に冷たく保たれた表面と繊維を接触するように配置させること含む。繊維が冷却表面と接触して、その温度を保つ時間は、繊維の含浸のパーセンテージを安全且つ繰り返し可能に制御できる。処理チャンバが環境と相容れないように、外の環境から隔離する必要があり、処理チャンバを飽和状態にするため選択されたアンモニアガスの圧力は、繊維がアンモニアを凝縮するための温度範囲も決定する。麻糸と綿の様々なサンプルに行われる試験は両方とも、従来技術によると100%〜300%の間の含浸度で、繊維を液体アンモニアに浸すこと、パーセンテージが例えば5%〜10%の間で変わる繊維中のアンモニアを解放するため、調整される本発明による凝縮プロセスを利用することで、同じ結果が得られることを示している。
【0021】
上記と以下の記載において、アンモニアを利用した織物材料の処理のための特別な参考例を示す。実際に、この応用例では本発明による方法及び装置が特別且つ重要な利点を有しており、それは上記で記載されており、以下で更に詳しく説明する。しかし処理温度で飽和環境から凝縮される別の生成物によって織物品を処理するため、急速に少量を織物品によって吸収するため、同じ方法を使用してもよい。
【0022】
主に、冷却表面は固定表面にすることができ、表面上に織物品を走らせる。しかし好ましくは、駆動或いはアイドル動作する一つかそれ以上の案内ローラーが備えられ、その上を織物品が案内され、それが前記ローラーを配置したチャンバの飽和ガス体内に存在するアンモニアを凝縮するために必要な温度に保たれる。
【0023】
一つだけではないが、可能な形態の一つが、繊維を供給してそれを二つの冷却ローラーに接触させて保持し、一方のローラーにおいて繊維が表側で部分的に巻き取られ、他方では裏側で部分的に巻き取られる。
【0024】
アンモニアの凝縮表面を画定する特定のローラーまたは別の部材が、処理または含浸チャンバに閉じ込められ、そのチャンバは例えば周囲の圧力に近い圧力でガス状アンモニアによって完全に充填されており、ローラーまたは何か別の凝縮表面を、適切な冷却回路によって温度を-33℃以下に保持する必要がある。その状態で、アンモニアの凝縮は、繊維が接触してすぐに吸収する直前に、繊維と冷却された金属表面の両方で行う。次に隣接する乾燥チャンバ内で、繊維が前進して加熱ローラーかまたは別の乾燥装置に接触し、繊維から解放されたアンモニア蒸気が処理または含浸チャンバへ戻り、チャンバに供給される繊維において再度凝縮される。有利には、二つの凝縮チャンバと乾燥チャンバが流体連通(fluid communication)して、第一チャンバにおけるアンモニアの凝縮がガス状アンモニアを、別のチャンバから回収する。理論的に、もし全てのアンモニアが繊維が乾燥チャンバを出る前に、繊維から取り出せれば、装置はアンモニアの追加を何ら必要としないか、前記アンモニアを回収して液化するために複雑なシステムが不要になる。
【0025】
全般的に見て、本発明に関連した凝縮による含浸プロセスは、二つの特別重要な概念で別の従来の方法とは異なる。
1)プロセス中に路用されるアンモニアの量が、従来の方法に比べて10〜20培ほど、かなり低く、結果的に乾燥及びアンモニア回収システムのコストと寸法を減らすこと;
2)液体アンモニアをプロセスに加えることが不要になり、その結果として繊維乾燥システムから回収されたアンモニアを圧縮して液化するための高価なシステムを取り除くこと;
になる。
【0026】
主にプロセスは、入口と出口を備えたオープンシステムを介して供給される織物品に関する連続プロセスである。しかし選択的にプロセスと装置を不連続的な処理のために構成してもよく、そこで繊維の束または織り糸のリール或いは別の織物品が解かれて、閉じた環境で巻き戻され、それから処理された織物品が処理の最後に通路を遮断した後に集められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、以下の記載と、本発明を制限しない実施形態を示した添付図面によって、より理解できるであろう。
【実施例1】
【0028】
添付図面の図1において、全体を符号1で示した装置が連続タイプであり、入口3と出口5を織物品用の有し、実施例では繊維をTで示している。しかし、処理は織り糸または別のタイプの織物品に対して行われ得、その繊維をアンモニアを使用してシルケット加工する必要がある。既知のタイプ(図示せず)の手段は、入口3と出口5に関連して、装置内部にあるガスを逃がさないようにしている。
【0029】
図面上で、装置は第一凝縮または含浸チャンバを備えており、チャンバは実際の処理に関するもので、符号7で示されており、第二乾燥チャンバ9と連通している。処理される繊維Tの供給路が二つのチャンバを介して延びて通る。
【0030】
二つのローラー11、13は含浸チャンバ7に配置され、図面で矢印のように逆方向に回転する。ローラーが駆動して、繊維の供給を促進するか、一方のローラーをアイドル状態にして、他方を駆動させる。選択的に、それらを両方ともアイドル状態にもし得る。アイドルローラーによる解決手段は、ローラー支持システムを簡略化するが、繊維を牽引力によって含浸チャンバを介して動かす必要がある。この目的のため、一つかそれ以上のローラーを繊維の供給路に沿って下流で駆動させ得る。符号15は図面上で冷却回路を示しており、冷却回路は二つのローラー11及び13において循環させるべく冷却剤を圧縮、冷却、凝縮、そして伸ばすために使用される。チャンバ7は例えば気圧よりも少し低い制御圧力で、アンモニアによって飽和状態にされ、チャンバから周囲環境にアンモニアを逃がさないようにする。ローラー11、13を-33℃以下の温度に維持することによって、ローラーの表面上でアンモニアが凝縮し、ローラーの周囲で進行する繊維Tに含浸する。繊維の両面がローラーに接触し、それによって繊維の厚み内の含浸を本質的に均等にできる。
【0031】
繊維が通路17を介して含浸または処理チャンバ7から出て、乾燥チャンバ9へ入り、そこでダンサーロール18が繊維の正確な張力を確定し、次の制御ローラーの速度を自動的に調節する。チャンバ9において、ダンサーロール18の周囲に巻かれるのと同様に、繊維が二つの加熱ローラー23、25の周囲で繊維の供給路を画定するガイド及びドライブローラー19、21、27の周囲にも巻かれる。それらは電気的、熱気の循環、熱伝導液体または蒸気或いは何か別の適切な方法で加熱され得る。凝縮ローラー11、13と同じ方法で、乾燥ローラー23、25が繊維Tの二つの対向面に接触するように配置されて、急速且つ均一な乾燥を行う。
【0032】
ローラー23、25によって与えられた熱エネルギーの吸収手段によって、繊維から蒸発すなわち気化したアンモニアを、通路17を介してチャンバ7へ戻す。この方法ではアンモニアを回収するため、どの様なタイプの装置も必要がない。アンモニアの回収及び再利用は、二つのチャンバにおいて熱力学的な状態の相違が結果的に生じる。
【0033】
チャンバ7内の凝縮状態と繊維Tの供給速度を制御でき、それによって典型的にアンモニアの重量に対して低いパーセンテージ、有利には乾燥繊維の重量の50%以下、好ましくは25%またはそれ以下の繊維を含浸する。特に織物品が重量の1%〜20%の範囲、特に重量の1%〜15%、より好適には重量の1%〜10%または1%〜8%を含浸され得る。この低いパーセンテージのアンモニアは、ごく簡単に且つ少なくとも完全に加熱ローラー23、25によって除去される。
【0034】
当業者にとって明らかなように、水中で溶解したアンモニアは繊維に対して何あら有利な効果をもたらさない。処理される繊維は必然的に、より多いか少ない範囲に(典型的には2%〜8%の範囲だが、場合によって周囲の湿気と織物品の事前処理に依存する)湿気を有すると考えると、繊維によって吸収されるアンモニアの一部が、湿気の形で繊維内にある水によって、中和されることに留意する必要がある。水はアンモニアの重量の40%まで吸収する。従って、もし繊維が繊維の重量と比較して単位重量当たり例えば5%の湿気パーセンテージを有していれば、乾燥した繊維の単位重量当たり2%に等しい量が、水を吸収し、水によって中和される。適切な量のアンモニア、例えば乾燥した繊維の重量の3%を得るため、乾燥した繊維の重量に対してアンモニアの重量で、総量の5%を含浸する必要がある。
【0035】
従って上記のパーセンテージは、アンモニアの有利または利用可能なパーセンテージとして示され得ます。有利なパーセンテージは、繊維内で湿気の形をした残留水が、アンモニアによって飽和状態にされた後、織物繊維に対して作用するために利用できるように残ったアンモニアのパーセンテージを示している。
【実施例2】
【0036】
図2は、不連続装置の実施例の一例を示している。同じ符号は、図1における装置のそれと比べるように同じ部分を示している。
【0037】
再び符号1で全体を示した装置が、第一含浸及び処理チャンバ7と第二乾燥チャンバ9から成っている。適切な温度、典型的に-33℃またはそれ以下に冷却される二つのローラー11、13が、含浸チャンバ7に備えられている。織物物品の供給路もこの場合一例として繊維Tによって示されており、二つのローラー11、13を周って延びている。処理のため一定量の繊維が巻かれている供給ロールR1から繊維が解かれる。ロールR1は、駆動する解放ローラー2によって解かれる。符号4は、二つの冷却ローラー11、13に関連した二つの対抗加圧ローラーを示している。
【0038】
この実施例において、加熱パイプ8と排水トレイ10を具備したスクレーパー6も、二つの冷却ローラー11、13の各々にも関連している。この構成は、ローラーの表面上に形成したどの水氷もかき集めるために使用され得る。氷は、アンモニア凝縮物をかき集めることのないように、ローラーの表面から最小距離で配置され得るスクレーパーによって取り外される。取り外された氷は、加圧パイプによって熱せられ、排水トレイによって回収される。
【0039】
符号12は、しわを繊維T上に形成しないために使用されるスプレッダーバーを示しており、それは個々のローラー11または13に対して完全に付着する。
【0040】
凝縮ローラー11、13に接触することによってアンモニアで含浸された繊維が、通路17を介して通過し、乾燥チャンバ9に入る。ここに二つの加熱ローラー23、25が備えられており、その周囲に繊維Tの供給路が延びており、前記供給路も案内ローラー18、19によって画定されている。ローラー18は、繊維Tの張力を制御するためのダンサーロールであり得る。更にスプレッダーバー12は、繊維の通過路に沿って含浸チャンバ7にも備えられている。処理されて乾燥された繊維は、駆動巻き取りローラー30によって回転させられるロールR2に巻かれる。
【0041】
装置は以下のように動作する。処理される繊維のロールR1が、チャンバ7の中に供給され、その先端部に通過路を通らせ、ロールR2が形成される巻き取りコアに固定される。装置を閉じて繊維がロールR1から解かれて処理され、ロールR2に巻き戻される。処理の最後で、装置から場合によって慎重にアンモニアを除去した後、ロールR2をチャンバ9から取り外して、新しいロールR1をチャンバ7に挿入し、新しい処理サイクルを受けさせる。
【0042】
図2に示した例において、流体がチャンバ9からチャンバ7へ繊維の供給路に関連した別の供給路を介して通る。実際に断熱壁33が二つチャンバを分離するために備えられ、冷却コイル37によって冷やされる冷却壁35と共に、キャビティ39を画定する。これによって頂部開口39Aを介してチャンバ9と、底部開口39Bを介してチャンバ7と連通する。チャンバ9内の蒸気アンモニアが、開口部39Aを介してキャビティ39に入り、底部開口39Bを介してチャンバ7へ運ばれて冷却される。含浸チャンバ7における凝縮を促進するためアンモニアを冷却する機能と同様に、冷却コイル37は乾燥段階中に繊維によって解放される何らかの水蒸気の凝縮を生じさせる機能も有している。凝縮された水は、底部でキャビティ39を閉じる排水トレイ40によって集められる。これによって、低温でアンモニアが凝縮する要素を収容する含浸チャンバ7に、水蒸気が入るのを防ぐか或いは減らすことができる。水の凝縮物は、冷却壁35において生成し得る。これは必要に応じて加熱手段によって除去される。この目的のため、例えば電気抵抗を利用した第二コイルまたは別の加熱及び解凍手段を備えてもよい。
【0043】
コイル37と解凍のための何か別の加熱手段と、それに組み込まれた別の構成要素の特別な構成は、図1における連続装置にも備えられ得る。水蒸気、水凝縮物または氷を除去する手段は、連続装置の場合に特に有利であり、そこで繊維の連続通過して、水を蓄積させる。従って要素4、6、8、10、12を備えることは、図1における連続装置において利点である。
【0044】
含浸装置7における繊維の供給路を画定する一つかそれ以上のローラーを、繊維の供給路を変化させ、繊維と冷却ローラー11、13との間の接触表面を増やしたり減らしたりするために調節してもよい。これによってアンモニアを直接凝縮するために利用可能なローラーの表面のパーセンテージを、多くしたり少なくしたりできる。この方法で、繊維がローラーに接触した時、ローラーの表面で凝縮し、繊維に含浸するアンモニアの量を変化させことが可能である。実際に含浸は、ローラーによって冷却される繊維の表面において、チャンバ9のガス体からアンモニアを凝縮することによって、またはローラーの表面における凝縮と接触の際の繊維による吸収によって行うことができる。この場合、含浸はローラーに接触する繊維の表面を介して、或いはチャンバ7のガス体にさらされる表面を介して行う。
【0045】
図面は単に、本発明の可能な実施例を示したものであり、本発明を基本とする概念の範囲内で形式及び構成を変えてもよいことは理解されよう。例えばアンモニアまたは他の処理生成物が、加熱とは別の方法を使用して、真空圧力によって生じる蒸気によって、洗浄または別の方法で除去され得る。他方で、加熱はあまり高価ではない方法であり、気化した生成物を冷却して含浸チャンバへ運ぶことによって、直ぐに再使用できる。更に個々で記載した処理の上流と下流で、繊維に対して更に作業を行う。特にもし蒸気による処理生成物(アンモニアまたはその他の生成物)の取り除きが不充分であれば、続いて洗浄段階を行ってもよい。それらの作業は図1において連続ラインの場合にラインの中で行われ、或いは図2における装置の場合、ロールR2を解くことによってラインの外で行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】連続処理に関する実施例において本発明による装置を例示的に図解する長手断面図。
【図2】不連続処理に関する装置の断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝縮温度の低い生成物によって織物品を処理する方法であり、液状の前記生成物で織物品を湿らす段階と、織物品の繊維に作用する液体生成物を作る段階とを含み、
前記生成物をガス状から液状への凝縮することによって、織物品を含浸することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記生成物がアンモニアであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
織物品が、ガス状態の前記生成物で飽和状態になった環境において、少なくとも一つの冷却表面に接触させられ、生成物が前記冷却表面上で凝縮し、織物品に接触して織物品によって吸収されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記織物品が、連続物品であることを特徴とする請求項1または2或いは3に記載の方法。
【請求項5】
前記織物品が、一定の幅を持ち処理される繊維の束であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記織物品が、織り糸であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
織物品が、乾燥した織物品の重量の50%を超えないで、好ましくは25%以下、1%〜20%の範囲内を適切な量の前記凝縮生成物によって、含浸されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
織物品が、その重量の1%〜15%の範囲内、好ましくは乾燥した織物品の重量の1%〜10%の範囲内、乾燥した織物品の重量の1%〜8%の範囲内を、適切な量の前記凝縮生成物によって含浸されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生成物が、少なくとも一つの移動表面において凝縮され、その周囲で前記織物品を進行させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一つの前記移動表面が、回転案内ローラーの円筒表面であることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記織物品を二つの冷却案内ローラーの周囲で進行させ、一方のローラーが織物品の第一表面に接触し、他方のローラーが織物品の逆側の表面に接触することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
生成物が織物品に作用した後、生成物が少なくとも部分的に織物品から取り除かれることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記生成物が、気化によって前記織物品から取り除かれることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
織物品から気化した生成物が凝縮され、再び前記織物品の別の部分に含浸することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
含浸された織物品が加熱され、蒸気によって生成物を取り除くことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記織物品を二つの加熱ローラーの周囲で進行させ、織物品の二つの向かい合った表面と接触して、前記織物品を加熱することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
含浸チャンバと乾燥チャンバが流体連通して、織物品の供給路に沿って配置され;織物品が前記含浸チャンバ内で凝縮された前記生成物によって含浸され;含浸された織物品が、含浸チャンバから乾燥チャンバへ運ばれ;前記乾燥チャンバにおいて生成物が気化によって織物品から取り除かれ;ガス状に気化した生成物が、気化チャンバから含浸チャンバへ運ばれること、を特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記織物品が、連続して処理されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記織物品が、不連続に処理されることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
織物品用の供給路と;前記供給路に沿って、前記生成物により織物品を含浸する含浸手段と;前記織物品から生成物を取り除く手段とを備え;凝縮温度の低い液状の生成物によって織物品を処理する装置であり、
前記含浸手段が、ガス状態から生成物を凝縮して、前記織物品を湿らせることを特徴とする装置。
【請求項21】
前記含浸手段が、少なくとも一つの冷却表面を備え、織物品が前記冷却表面に接触し、そこで前記生成物が凝縮することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも一つの冷却表面が、織物品の案内ローラーの円筒表面であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
スクレーパーが、前記冷却ローラーに関連して、どの水、氷でも除去することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
織物品を駆動されるため二つの冷却ローラーを備え、前記ローラーが織物品の供給路に沿って配置され、前記織物品の第一表面が第一の前記ローラーに接触し、その第二表面が第二の前記ローラーに接触することを特徴とする請求項20、21、22、23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
ガス状の前記精製物のガス体を含む含浸チャンバを備え、そこに前記含浸手段が配置されることを特徴とする請求項20〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
乾燥チャンバを備え、そこには生成物を織物品から取り除くための前記手段が配置され、織物品の供給路に沿って並んで配置された、前記含浸チャンバと前記乾燥チャンバとを介して、織物品が移動することを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記含浸チャンバと前記乾燥チャンバが、流体連通しており、前記乾燥チャンバにおける織物品から取り除かれた生成物が、ガス状態で含浸チャンバへ運ばれ、そこで凝縮されることを特徴とする請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記乾燥チャンバと前記含浸チャンバとの間にキャビティがあり、前記キャビティには冷却手段が配置されており、それを介して気化した生成物が移動することを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
水を回収して取り除くための手段が、前記キャビティに関連することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
生成物を織物品から取り除く前記手段が、少なくとも一つの加熱ローラーを備えることを特徴とする請求項20〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
織物品の前記供給路が、入口と出口を具備した連続路であることを特徴とする請求項20〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
処理される織物品の第一供給分から織物品を分配するための解放手段と、処理される織物物品を回収して、それを処理される織物品の第二供給分に配置するための巻き取り手段とを備え、供給路が前記解放手段と前記巻き取り手段との間に延びることを特徴とする請求項20〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記含浸手段が、アンモニアを凝縮する圧力と温度の状態にされることを特徴とする請求項20〜32のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−522236(P2006−522236A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507646(P2006−507646)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【国際出願番号】PCT/IT2004/000165
【国際公開番号】WO2004/088027
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(504008003)ビアンカラニ ソチエタ ペル アチオーニ (1)
【Fターム(参考)】