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アンモニア分析計
説明

アンモニア分析計

【課題】 応答時間差を容易に調整することができるアンモニア分析計の提供。
【解決手段】 サンプリングプローブ40と、分析部50と、アンモニア濃度を算出する演算部61とを備え、吸引流路21の途中にはパージエア流路32が連結されており、パージエア流路32から吸引口21aに向かってパージエアを流通させるか流通させないかのいずれの状態にもすることが可能なアンモニア分析計1であって、閾値を記憶する記憶部64を備え、演算部60は、パージエアの流通を停止させた時間から、アンモニア系分析計53から得られたNO濃度が閾値を越えた時間と、窒素酸化物系分析計43から得られたNO濃度が閾値を越えた時間とに基づいて、応答時間差を算出して、応答時間差と、アンモニア系分析計53から得られたNO濃度と、窒素酸化物系分析計43から得られたNO濃度とを用いて、アンモニア濃度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス中に含まれるアンモニア(NH)濃度を連続的に測定するNH分析計に関する。このようなNH分析計は、例えば、油焚ボイラの空気予熱器以降の低温部排ガス処理を行う排煙脱硝装置やNH注入付集塵装置の出口に設置され、排ガス処理後の排ガス中のNH濃度を測定するのに利用される。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のNH分析計の一例を示す概略構成図である。煙道管排ガス用のNH分析計101は、NH系とNO系(窒素酸化物系)との2系統のサンプリングプローブラインからなるサンプリングプローブ40と、NH系流路52のNO濃度を測定するNH系分析計53とNO系流路42のNO濃度を測定するNO系分析計43とを有する分析部50と、NH系分析計53から得られたNO濃度とNO系分析計43から得られたNO濃度とよりNH濃度を算出する演算部160とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
なお、NH分析計101では、サンプリングプローブ40のNH系流路52には触媒Cが設けられており、触媒Cには酸化形と還元形とがあり、酸化形にはアンモニア酸化触媒、還元形にはアンモニア還元触媒が用いられている。
【0003】
酸化形の測定原理は、下記式(1)に示すように、NH系流路52を流れるNHを酸化触媒Cの働きで等モルのNOに酸化し、このNOの濃度をNH系分析計53で検出することにより、NH濃度を測定する。ところで、煙道管を流れる排ガス(試料ガス)には、一般にNOも含まれているので、NH系分析計53とNO系分析計43との上流で排ガス中のNOをNO−NOコンバータ(図示せず)によりNOに還元する。これにより、NO系流路42では、NO濃度だけがNO系分析計43で検出され、一方、NH系流路52では、NHとNOとの合計の濃度が検出されるので、この2つの流路42、52の分析計43、53の検出値の差がNH濃度となる。
NH+O→NO+HO ・・・(1)
【0004】
還元形の測定原理は、下記式(2)に示すように、NH系流路52を流れるNHを還元触媒Cの働きで等モルのNOと反応を行わせ、反応により欠損したNO濃度をNH系分析計53で検出することにより、NH濃度を測定する。この場合、NO系流路42では、NO濃度だけがNO系分析計43で検出され、一方、NH系流路52では、NH濃度の分だけ減少したNO濃度がNH系分析計53で検出され、この2つの流路42、52の分析計43、53の検出値の差がNH濃度となる。
NO+NH+1/4O→N+3/2HO ・・・(2)
【0005】
よって、このようなNH分析計101では、煙道管にNH系流路52とNO系流路42とに分かれた2本のサンプリングパイプを挿入し、NO系分析計43とNH系分析計53とにそれぞれ備えられたポンプ(図示せず)によりサンプリングパイプの先端の吸引口21aから排ガスを吸引している。また、排ガス中に含まれるダストが排ガスとともに分析計43、53まで達するのを防止するために、サンプリングプローブの吸引口21a付近の吸引流路21内に、予め除塵用フィルタ11が設置されている。
【0006】
演算部160は、CPU161とメモリ(記憶部)164とを備え、さらに入力装置62と表示装置63とが連結されている。CPU161が処理する機能をブロック化して説明すると、NH系分析計53から検出値を取得するNH系検出値取得部61aと、NO系分析計43から検出値を取得するNO系検出値取得部61bと、パージ電磁弁31と電磁弁41、51と2台のポンプとを制御する電磁弁制御部61cと、NH濃度を算出する濃度算出部161dとを有する。なお、メモリ164には、NH系分析計53から取得した検出値とNO系分析計43から検出値とを記憶するための検出値記憶領域64aとを有する。
【0007】
ところで、NH系分析計53から得られる検出値とNO系分析計43から得られる検出値とに応答時間差tdがあると、濃度算出部161dで算出されたNH濃度に誤差が生じる。このような応答時間差tdは、NH系流路52とNO系流路42との配管容量の差や、NH系流路52とNO系流路42との吸引ガス流量の差や、NH系流路52の触媒Cでの吸脱着等により生じる。
ここで、図5及び図6は、NH系流路52とNO系流路42とに同じ試料ガスを流したときに得られる検出値(指示)と時間との関係を示すグラフである。図5は、応答時間差tdがないときに得られる検出値(指示)と時間との関係を示すグラフであり、一方、図6は、応答時間差tdがあるときに得られる検出値(指示)と時間との関係を示すグラフである。
【0008】
図5に示すように応答時間差tdがなければ、分析計43、53の検出値の差であるNH濃度(指示)は0(一定)となっており、NO濃度の差がないように検出されているが、図6に示すように応答時間差tdがあれば、分析計43、53の検出値の差であるNH濃度(指示)は0(一定)となっておらず、同じ試料ガスであるにかかわらずNO濃度の差があるように検出されている。
そこで、作業員がNH分析計101を据付けるときに、作業員がNOボンベガスとNボンベガスとを用いて、パージエア流路32から分析部50に向かってNOとNとを流していた。そして、表示装置63を観察しながら分析計43、53の応答時間差tdを測定し、応答時間が速い方の分析計に応答時間差tdを考慮して、応答時間が速い方の分析計の応答時間を遅らせるよう、ソフトで応答時間を設定し調整していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−009603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したような分析計43、53の応答時間を調整する調整方法は、作業員がNOボンベガスとNボンベガスと演算部160とを用いて行うため、非常に手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明者は、応答時間差tdを容易に調整することができる方法について検討を行った。サンプリングプローブ40の吸引流路21内に除塵用フィルタ11が設置されているが、使用しているうちに除塵用フィルタ11が目詰まりするのを防止するため、パージエア入口32aからパージエア流路32を介して吸引口21aに向かってパージエアを流通させるか流通させないかのいずれの状態にもできるようになっている。これにより、定期的(所定の時間ごと)にパージエア入口32aから吸引口21aに向かってパージエアを流通させている。そして、パージエアの流通を停止させると、NH系流路52とNO系流路42とには、一旦空気が流れ、その後、排ガスが流れる。このとき、NH系分析計53から得られたNO濃度と、NO系分析計43から得られたNO濃度とは、一旦「0」となり、その後、上昇していく。図3は、除塵用フィルタ11の目詰まりを防止するときに得られる検出値(指示)と時間との関係を示すグラフである。そこで、パージエアの流通を停止させた時間「パージ終了」から、NH系分析計53から得られた検出値(NO濃度)が閾値Tを越えた時間tNH3と、NO系分析計43から得られた検出値(NO濃度)が閾値Tを越えた時間tNOXとに基づいて、応答時間差tdを演算部に算出させることを見出した。
【0012】
すなわち、本発明のアンモニア分析計は、煙道管内に挿入される吸引口を有する吸引流路と、当該吸引流路からアンモニア系と窒素酸化物系との2系統に分かれた流路とを有し、当該アンモニア系流路にはアンモニア酸化触媒又はアンモニア還元触媒が配置されているサンプリングプローブと、前記アンモニア系流路のNO濃度を測定するアンモニア系分析計と、前記窒素酸化物系流路のNO濃度を測定する窒素酸化物系分析計とを有する分析部と、前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度との濃度差から、アンモニア濃度を算出する演算部とを備え、前記吸引流路の途中にはパージエア流路が連結されており、当該パージエア流路から吸引口に向かってパージエアを流通させるか流通させないかのいずれの状態にもすることが可能なアンモニア分析計であって、NO濃度に関する閾値を記憶する記憶部を備え、前記演算部は、前記パージエアの流通を停止させた時間から、前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度が閾値を越えた時間と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度が閾値を越えた時間とに基づいて、応答時間差を算出して、前記応答時間差と、前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度とを用いて、アンモニア濃度を算出するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のアンモニア分析計によれば、演算部が応答時間差を自動的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本願実施形態に係るアンモニア分析計の一例を示す概略構成図。
【図2】電磁弁制御部によって実行されるタイムテーブル。
【図3】除塵用フィルタの目詰まりを防止するときに得られる検出値と時間との関係を示すグラフ。
【図4】従来のNH分析計の一例を示す概略構成図。
【図5】応答時間差がないときに得られる検出値と時間との関係を示すグラフ。
【図6】応答時間差があるときに得られる検出値と時間との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0016】
図1は、本願実施形態に係るアンモニア分析計の一例を示す概略構成図である。なお、上述したアンモニア分析計101と同様のものについては、同じ符号を付している。
煙道管排ガス用のNH分析計1は、NH系とNO系との2系統のサンプリングプローブラインからなるサンプリングプローブ40と、NH系流路52のNO濃度を測定するNH系分析計53とNO系流路42のNO濃度を測定するNO系分析計43とを有する分析部50と、NH系分析計53から得られたNO濃度とNO系分析計43から得られたNO濃度とよりNH濃度を算出する演算部60とから構成されている。
【0017】
NH系流路52には、電磁弁51が設けられている。これにより、電磁弁51を開閉することで、NH系流路52を排ガスが流通するか流通しないかを制御できるようになっている。
また、NO系流路42にも電磁弁41が設けられている。これにより、電磁弁41を開閉することで、NO系流路42を排ガスが流通するか流通しないかを制御できるようになっている。
【0018】
パージエア流路32には、パージ電磁弁31が設けられている。また、パージエア流路32のパージエア入口32aには、計装エアが予め連結されている。これにより、パージ電磁弁31を開閉することで、パージエア流路32をパージエアが流通するか流通しないかを制御できるようになっている。また、パージ電磁弁31を開くとともに電磁弁41、51を閉めることで、吸引口21aに向かってパージエアが流通するように制御できるようになっている。
【0019】
演算部60は、CPU61とメモリ(記憶部)64とを備え、さらに入力装置62と表示装置63とが連結されている。CPU61が処理する機能をブロック化して説明すると、NH系分析計53から検出値を取得するNH系検出値取得部61aと、NO系分析計43から検出値を取得するNO系検出値取得部61bと、パージ電磁弁31と電磁弁41、51と2台のポンプとを制御する電磁弁制御部61cと、NH濃度を算出する濃度算出部61dと、応答時間差tdを算出する応答時間差算出部61eとを有する。なお、メモリ64には、NH系分析計53から取得した検出値とNO系分析計43から検出値とを記憶するための検出値記憶領域64aと、閾値Tを予め記憶する閾値記憶領域64bと、応答時間差tdを記憶するための応答時間差記憶領域64cとを有する。閾値Tは、例えば、測定するNO濃度の50%程度に設定する。
【0020】
電磁弁制御部61cは、「パージエア流通」を実行する所定の時間になると、パージ電磁弁31と電磁弁41、51と2台のポンプとを制御する。
ここで、図2は、電磁弁制御部61cによって実行されるタイムテーブルである。「パージエア流通」を実行する所定の時間になると、2台のポンプをOFFにするとともに、電磁弁41、51を閉じる。これにより、NH系流路52とNO系流路42とに排ガスが流通しなくなる。よって、NH系分析計53から得られたNO濃度と、NO系分析計43から得られたNO濃度とは、一旦「0」となる。そして、所定間隔でパージ電磁弁31を2回開く。これにより、吸引流路21の吸引口21aに向かってパージエアが流通したり、流通しないようになる。その後、電磁弁31、41を開いた後、2台のポンプをONにして流量1.5L/minでガスを吸引する。これにより、NH系流路52とNO系流路42とに排ガスが流通するようになる。よって、NH系分析計53から得られた検出値(NO濃度)と、NO系分析計43から得られた検出値(NO濃度)とは、「0」から上昇していく。
【0021】
応答時間差算出部61eは、「パージエア流通」を実行する所定の時間になった後に、応答時間差tdを算出する制御を行う。具体的には、「パージエア流通」を実行する所定の時間になると、電磁弁制御部61cがパージ電磁弁31と電磁弁41、51とポンプとを制御するが、それに伴い、応答時間差算出部61eは、NH系分析計53から得られた検出値が閾値Tを超える時間tNH3と、NO系分析計43から得られた検出値が閾値Tを超える時間tNOXとをメモリ64に記録する。そして、時間tNH3と時間tNOXとの差分から応答時間差tdを算出して応答時間差記憶領域64cに更新するように記憶させる。つまり、どちらの分析計の応答時間が速いかを記憶させるとともに、どの程度速いかを記憶させる。
【0022】
濃度算出部61dは、応答時間差記憶領域64cに一番最新に記憶された応答時間差tdと、NH系分析計53から得られたNO濃度と、NO系分析計43から得られたNO濃度とを用いて、アンモニア濃度を算出する制御を行う。例えば、NO系分析計43の応答時間が、NH系分析計53の応答時間より応答時間差td速い場合、NO系分析計43から時間(t)に得られた検出値と、NH系分析計53から時間(t+td)に得られた検出値とを用いて、アンモニア濃度を算出する。一方、NH系分析計53の応答時間が、NO系分析計43の応答時間より応答時間差td速い場合、NH系分析計53から時間(t)に得られた検出値と、NO系分析計43から時間(t+td)に得られた検出値とを用いて、アンモニア濃度を算出する。
【0023】
以上のように、本発明のアンモニア分析計1によれば、演算部60が応答時間差tdを自動的に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、排ガス中に含まれるアンモニア(NH)濃度を連続的に測定するNH分析計に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1: アンモニア分析計
21: 吸引流路
21a: 吸引口
32: パージエア流路
40: サンプリングプローブ
42: 窒素酸化物系流路
43: 窒素酸化物系分析計
52: アンモニア系流路
53: アンモニア系分析計
60: 演算部
64: メモリ(記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道管内に挿入される吸引口を有する吸引流路と、当該吸引流路からアンモニア系と窒素酸化物系との2系統に分かれた流路とを有し、当該アンモニア系流路にはアンモニア酸化触媒又はアンモニア還元触媒が配置されているサンプリングプローブと、
前記アンモニア系流路のNO濃度を測定するアンモニア系分析計と、前記窒素酸化物系流路のNO濃度を測定する窒素酸化物系分析計とを有する分析部と、
前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度との濃度差から、アンモニア濃度を算出する演算部とを備え、
前記吸引流路の途中にはパージエア流路が連結されており、当該パージエア流路から吸引口に向かってパージエアを流通させるか流通させないかのいずれの状態にもすることが可能なアンモニア分析計であって、
NO濃度に関する閾値を記憶する記憶部を備え、
前記演算部は、前記パージエアの流通を停止させた時間から、前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度が閾値を越えた時間と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度が閾値を越えた時間とに基づいて、応答時間差を算出して、
前記応答時間差と、前記アンモニア系分析計から得られたNO濃度と、前記窒素酸化物系分析計から得られたNO濃度とを用いて、アンモニア濃度を算出することを特徴とするアンモニア分析計。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127840(P2012−127840A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280259(P2010−280259)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】