説明

アンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法

【課題】アンモニア化合物の濃度を高い応答性で、簡単、かつ、高精度に計測することにある。
【解決手段】流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物を計測するアンモニア化合物濃度計測装置であって、流通ガスが流れる配管ユニットと、配管ユニットに配置され、アンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段と、配管ユニットを流れる流通ガスのうち、変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第1計測値と、変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第2計測値とを計測する計測手段と、配管ユニット、計測手段の動作を制御し、第1計測値と第2計測値との差分から、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を算出する制御手段と、を有し、近赤外域のレーザ光により計測を行うことで、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れるガスに含まれるアンモニア化合物濃度を計測するアンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、内燃機関、焼却炉等の燃焼機関から排出されるガスは、種々のガス状物質が混合した混合ガスとなっている。このような排ガスは、管路内を流されて、所定の装置や、大気に供給(排出)される。ここで、排ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測する方法としては、排ガスを湿式サンプリングし、溶液中にアンモニア成分を捕集し、捕集した溶液をインドフェノール吸光光度法、イオンクロマト分析法等で分析する方法、一例として、「JISK0099」に記載された「排ガス中のアンモニア分析方法」がある。
【0003】
また、管路内を流れる混合ガス(主に流通ガス)に含まれる特定物質の濃度計測方法としては、管路の所定経路に、レーザ光を通過させ、その入出力から測定対象の特定物質の濃度を計測する方法がある。例えば、本件出願人が出願した特許文献1には、測定対象とされるガス状物質に固有な吸収波長のレーザ光を発振する光源と、この光源から発振されるレーザ光の発振波長を少なくとも2つの異なる周波数で変調する手段と、この変調手段により変調されたレーザ光を前記ガス状物質が存在する測定領域に導く手段と、この測定領域において透過または反射または散乱したレーザ光を受光する受光手段と、この受光手段で受光した信号の中から変調された信号を周波数毎に順次それぞれ復調する複数の位相敏感検波器と、を具備することを特徴とするガス濃度計測装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3342446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、湿式サンプリングによる計測は、アンモニア化合物のみならず、排ガス中のガス状のアンモニアも捕集してしまう。そのため、アンモニア化合物とガス状のアンモニアとを合計した濃度を計測することになり、アンモニア化合物の濃度を計測することが困難である。また、湿式サンプリングでは、アンモニア化合物を溶液に捕集し、捕集した溶液を分析する。そのため、測定開始から、計測値の算出までに時間がかかるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の装置は、高い応答性で測定対象の物質を計測することができる。しかしながら、特許文献1に記載の装置のように、近赤外のレーザ光を照射して、測定対象による吸収を計測する計測方法では、一部のアンモニア化合物を計測することができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、アンモニア化合物の濃度を高い応答性で、簡単、かつ、高精度に計測することが可能であるアンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物濃度を計測するアンモニア化合物濃度計測装置であって、前記流通ガスが流れる配管ユニットと、前記配管ユニットに配置され、通過する前記流通ガスに含まれるアンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段と、前記配管ユニットを流れる前記流通ガスのうち、前記変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第1計測値と、前記変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第2計測値とを計測する計測手段と、前記配管ユニット、前記計測手段の動作を制御し、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、流通ガスに含まれるアンモニア化合物濃度を算出する制御手段と、を有し、前記計測手段は、前記アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、前記流通ガスが流れるガス計測セル、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる光学系、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部を含む少なくとも1つの計測ユニットと、前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる前記流通ガスの前記アンモニアの計測値を算出する算出部とを有することを特徴とする。
【0009】
上記アンモニア化合物濃度計測装置によれば、高い応答性、かつ、高い精度で、アンモニア化合物の濃度を検出することができる。
【0010】
さらに、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記変換手段に流入する前記流通ガスの流量を計測する第1流量計と、前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段から排出された前記流通ガスの流量を計測する第2流量計と、を備え、前記制御手段は、前記第1流量計の計測結果と、前記第2流量計の計測結果に基づいて、前記流通ガスの前記アンモニアの計測値を補正して算出することが好ましい。これにより、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度をより高い精度で計測することができる。
【0011】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管と、前記第1配管の下流側の端部と、前記第2配管の下流側の端部と、前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを接続する三方弁と、を有し、前記制御手段は、前記三方弁により前記第1配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第1流通ガスを流入させて、前記第1計測値を計測し、前記三方弁により、前記第2配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第2流通ガスを流入させて、前記第2計測値を計測することが好ましい。これにより、1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0012】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管とを備え、前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記第1配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、他方の前記計測ユニットは、前記第1配管に配置されていることが好ましい。これにより、連続して、アンモニア化合物を計測することができる。
【0013】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、他方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも上流側に配置されていることが好ましい。これにより、連続して、アンモニア化合物を計測することができる。
【0014】
また、前記変換手段は、アンモニア化合物を酸化反応させてアンモニアにする熱分解層であることが好ましい。これにより、簡単な構成でアンモニア化合物を測定可能な物質に変換することができる。
【0015】
また、前記変換手段は、アンモニア化合物を熱分解させてアンモニアにする熱分解層であることが好ましい。これにより、アンモニア化合物をより確実にアンモニアに変換することができる。
【0016】
また、前記変換手段は、前記熱分解層の温度を調整する温度調整部を備えることが好ましい。これにより、アンモニア化合物をより確実にアンモニアに変換することができる。
【0017】
また、前記変換手段の変換動作の実行と停止とを切り換える切換機構をさらに有し、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段は、アンモニア化合物を熱分解させてアンモニアにする熱分解層であり、前記切換手段は、前記熱分解層の温度を調整する温度調整部であり、前記制御手段は、前記変換手段の変換動作を実行させている状態と、前記変換手段の変換動作を停止させている状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより、1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0018】
また、前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記流通ガスが流れる配管と、を備え、前記変換手段は、前記配管ユニットに、オゾンを供給するオゾン供給手段と、前記流通ガスの流れ方向において前記配管の前記オゾン供給手段よりも下流側に形成され、前記流通ガスに含まれるアンモニア化合物と前記オゾン供給手段により供給されるオゾンとが反応する反応領域と、を備え、前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記流通ガスの流れ方向において前記反応領域よりも下流側に配置され、前記制御手段は、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給している状態と、前記オゾン供給手段から前記配管ユニットに前記オゾンを供給していない状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることが好ましい。これにより1つの計測ユニットで計測を行うことができる。
【0019】
また、前記変換手段は、さらに、前記アンモニア化合物を捕集する捕集層を有することが好ましい。これにより、より確実にアンモニア化合物をアンモニアに変換することができる。
【0020】
また、前記計測ユニットは、レーザ光が、前記変換手段を保持する配管の内部を通過することが好ましい。これにより、計測セルの一部を配管とすることができ、流通ガスをより直接的に計測することができる。
【0021】
また、前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れることが好ましい。これにより、流通ガスをより高い精度で計測することができる。
【0022】
また、前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れる測定対象配管から、一部の前記流通ガスを捕集していることが好ましい。このように、サンプリングで計測を行うことで、計測ユニットを適正な大きさにすることができる。
【0023】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、配管を流れる流通ガスのアンモニア化合物濃度を計測するアンモニア化合物濃度計測方法であって、前記配管を流れる流通ガスのうち、アンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段が配置されている領域を通過した第1流通ガスに対して、アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第1流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を第1計測値として計測する第1計測ステップと、前記配管を流れる流通ガスのうち、アンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段が配置されている領域を通過していない第2流通ガスに対して、アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第2流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を第2計測値として計測する第2計測ステップと、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、前記流通ガスに含まれるアンモニア化合物濃度の計測値を算出する算出ステップとを有することを特徴とする。
【0024】
上記アンモニア化合物濃度計測方法によれば、高い応答性、かつ、高い精度で、アンモニア化合物の濃度を検出することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかるアンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法は、高い精度かつ、高い応答性でアンモニア化合物の濃度を計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、アンモニア化合物濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示すアンモニア化合物濃度計測装置の計測手段本体の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、アンモニア化合物濃度計測装置の動作を説明するフロー図である。
【図4】図4は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図5】図5は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図6】図6は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図7】図7は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図8−1】図8−1は、アンモニア化合物濃度計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図8−2】図8−2は、アンモニア化合物濃度計測装置の動作を説明するための説明図である。
【図9】図9は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明にかかるアンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。ここで、アンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法は、管路を流れる種々のガスについて、ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測することができる。例えば、アンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法を排ガスが流れる管路に取付、排ガスに含まれるアンモニア化合物濃度を計測してもよい。また、排ガスが流れる管路を有する装置としては、各種燃焼機関、例えば、車両、船舶、発電機、焼却炉等が例示される。具体的には、ディーゼルエンジンに取付、ディーゼルエンジンから排出される排ガス(流通ガス)、ゴミ焼却炉から排出される流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測することができる。また、測定対象のガスは、燃焼機器から排出された排ガスに限定されず、各種の流通ガス、例えば、燃焼ガス、実験等により生成されたガスを測定対象とすることができる。なお、本実施形態では、配管内を流れる流通ガス(混合ガス)中に存在するアンモニア化合物が測定対象となる。なお、アンモニア化合物としては、硫安(硫酸アンモニウム、(NHSO)、酸性硫安(硫酸水素アンモニウム(NH)HSO)等がある。また、アンモニア化合物には、塩安(塩化アンモニウム、NHCl)、過塩素酸アンモニウム(NHClO)、硝安(硝酸アンモニウム、NHNO)、炭安、(炭酸アンモニウム、(NHCO)等を含む場合もある。
【0028】
[実施形態1]
図1は、本発明のアンモニア化合物濃度計測装置の一実施形態の概略構成を示す模式図である。アンモニア化合物濃度計測装置10は、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を採取(サンプリング)して、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測する計測装置である。アンモニア化合物濃度計測装置10は、図1に示すように、配管ユニット12と、変換手段14と、計測手段16と、制御手段18とを有する。また、アンモニア化合物濃度計測装置10は、流量計36、38を有する。
【0029】
配管ユニット12は、計測対象配管8と接続されており流通ガスを案内する経路を構成する。配管ユニット12は、サンプリング配管(流入配管)20と、第1配管22と、第2配管24と、分岐管26、28と、三方弁30と、ポンプ31と、開閉弁32、34と、を有する。
【0030】
サンプリング配管(流入配管)20は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管である。サンプリング配管20は、一方の端部(流通ガスの流れ方向において上流側の端部)が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部(流通ガスの流れ方向において下流側の端部)が、計測対象配管8の外に配置されている。また、サンプリング配管20は、捕集した流通ガスに含まれる煤塵等を少なくすることができるため、一方の端部の開口面が流通ガスの流れ方向に対して、直交または、直交方向よりも下流側に向けた向きで配置されている。また、サンプリング配管20は、他方の端部が第1配管22、第2配管24の2つの配管と連結されている。なお、本実施形態では、計測対象配管8からサンプリング配管20に流入する位置が流通ガスの流れ方向において、最も上流となる。また、配管ユニット12に流入した流通ガスは、サンプリング配管20の一方の端部から他方の端部に向けて流れる。計測対象配管8から流入した流通ガスが流れる方向が流通ガスの流れ方向となる。
【0031】
第1配管22は、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が三方弁30と接続されている。また、第1配管22には、管路内に後述する変換手段14が配置されている。また、第1配管22の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。なお、本実施形態では、変換手段14が配置されている領域の管路の径を大きくしたが、管路の径は一定としてもよい。
【0032】
また、第1配管22は、流通ガスの流れ方向において変換手段14よりも下流に、分岐管26が設けられている。また、分岐管26には、開閉弁32が設けられている。なお、分岐管26の流通ガスの流れ方向の下流側は、外気に開放してもよいが、流通ガスに有毒な成分等が含まれている場合は、流通ガスを処理する処理装置に接続させたり、計測対象配管8の下流に接続させたりすることが好ましい。
【0033】
第2配管24は、基本的に第1配管22と並列に形成された配管であり、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が三方弁30と接続されている。また、第2配管24には、管路内に後述する変換手段14が配置されていない。
【0034】
また、第2配管24も、分岐管28が設けられている。なお、分岐管28は、流通ガスの流れ方向において、分岐管26に対応する位置に設けることが好ましい。また、分岐管28には、開閉弁34が設けられている。なお、分岐管28の流通ガスの流れ方向の下流側も、外気に開放してもよいが、流通ガスに有毒な成分等が含まれている場合は、流通ガスを処理する処理装置に接続させたり、計測対象配管8の下流に接続させたりすることが好ましい。
【0035】
三方弁30は、第1配管22の下流側の端部と、第2配管24の下流側の端部と、計測手段16の上流側の端部とを連結させている。三方弁30は、第1配管22と計測手段16とを連結させた状態と、第2配管24と計測手段16とを連結させた状態とを切り替える。三方弁30は、第1配管22と計測手段16とを連結させた場合、サンプリング配管20から第1配管22を通過した流通ガスが計測手段16に流れる。また、三方弁30は、第2配管24と計測手段16とを連結させた場合、サンプリング配管20から第2配管24を通過した流通ガスが計測手段16に流れる。このように、三方弁30は、計測手段16を流れる流通ガスを切り替える。
【0036】
ポンプ31は、流通ガスの流れ方向において、計測手段16の下流側に配置されている。ポンプ31は、流通ガスがサンプリング配管20から計測手段16に向けて流れる向きに、空気を吸引する。
【0037】
変換手段14は、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物をアンモニアに変換する機構であり、第1配管22の管路内に配置されている。変換手段14は、第1配管22の管路内に配置された熱分解層39を有する。熱分解層39は、通過する流通ガス、及び、流通ガスに含まれるアンモニア化合物を一定の温度以上とし、熱分解させて、アンモニアに変換する。なお、アンモニアと結合していた物質は、アンモニアと分離されて他の物質となる。熱分解層39は、通過するアンモニア化合物を一定の温度以上にできればよく、その構成は限定されない。例えば、熱分解層39としては、配管と、その配管及び配管を流れる流通ガスを加熱するイメージ炉の組み合わせを用いることができる。なお、加熱機構としては、イメージ炉に限定されず、種々の加熱機構を用いることができる。例えば、配管の外周で燃焼ガスを燃焼させ、配管を加熱することで、流通ガスを加熱する機構や、配管を二重配管とし、内管に流通ガスを流し、外管に加熱された流体を流すことで、流通ガスを加熱する機構も用いることができる。なお、熱分解層39は、アンモニア化合物を適切に熱分解するために、アンモニア化合物を300℃以上に加熱することが好ましい。なお、変換手段14の熱分解層39により、アンモニア化合物を加熱する温度は、アンモニア化合物をアンモニアと他の物質とに分解できればよく、その温度は特に限定されない。なお、変換手段14の熱分解層39は、アンモニアが他の物質に変換しない程度の温度範囲で流通ガス及びアンモニア化合物を加熱する。また、熱分解層39は、流通ガスに流体を供給せずに、加熱することが好ましい。
【0038】
計測手段16は、管路内を流れる(三方弁30から流入した)流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測する計測手段であり、流通ガスを所定の管路に流し、レーザ光(レーザ)を通過させる計測ユニット42と、計測ユニット42にレーザ光を供給し、受光したレーザ光の強度から計測値を算出する計測手段本体44とを有する。
【0039】
計測ユニット42は、計測セル45と、光ファイバ46と、入光部48と、受光部50と、を有する。
【0040】
計測セル45は、基本的に主管52と、流入管54と、排出管56とを有する。主管52は、筒形状の部材であり、内部に流通ガスが流れる。主管52の筒形状の一方の端部(上面)には窓58が配置され、他方の端部(下面)には窓59が配置されている。つまり、主管52は、筒形状の上面と下面が、それぞれ窓58、窓59に塞がれた形状となっている。なお、窓58、59は、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、主管52は、窓58、59が設けられている両端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。つまり、主管52の外部から内部に光を入射させ、主管52の内部から外部に光を射出させることができる。
【0041】
流入管54は、一方の端部が三方弁30に接続されており、他方の端部が、主管52の側面(周面)の窓58側に接続されている。排出管56は、一方の端部が、主管52の側面(周面)の窓59側に接続され、他方の端部が、より下流側の配管(ポンプ31が配置されている配管)と接続されている。計測セル45は、三方弁30を介して第1配管22または第2配管24から供給される流通ガスを流入管54から主管52に供給する。また、計測セル45は、主管52を流れた流通ガスを排出管56から外部に排出する。
【0042】
次に、光ファイバ46は、計測手段本体44から出力されるレーザ光を入光部48に案内する。つまり、計測手段本体44から出力されたレーザ光を入光部48に入射させる。入光部48は、窓58に配置された光学系(ミラー、レンズ等)であり、光ファイバ46により案内されたレーザ光を窓58から主管52の内部に入射させる。
【0043】
受光部50は、計測セル45の主管52の内部を通過し、窓59から出力されたレーザ光を受光する受光部である。なお、受光部50は、例えば、フォトダイオード(PD、Photodiode)等の光検出器を備え、光検出器によってレーザ光を受光し、その光の強度を検出する。受光部50は、受光したレーザ光の強度を受光信号として、計測手段本体44に送る。
【0044】
次に、図1及び図2を用いて計測手段本体44について説明する。ここで、図2は、図1に示すアンモニア化合物濃度計測装置の計測手段本体の概略構成を示すブロック図である。計測手段本体44は、発光部62と、光源ドライバ64と、算出部66とを有する。
【0045】
発光部62は、アンモニアが吸収する近赤外波長域のレーザ光を発光させる発光素子である。発光素子としては、例えばレーザータイオード(LD)を用いることができる。発光部62は、発光させた光を光ファイバ46に入射させる。
【0046】
光源ドライバ64は、発光部62の駆動を制御する機能を有し、発光部62に供給する電流、電圧を調整することで、発光部62から出力されるレーザ光の波長、強度を調整する。
【0047】
算出部66は、受光部50で受光したレーザ光の強度の信号と、光源ドライバ64を駆動させている条件とに基づいて、測定対象の物質の濃度を算出する。具体的には、算出部66は、光源ドライバ64を駆動させている条件に基づいて、発光部62から出力され、主管52に入射するレーザ光の強度を算出し、受光部50で受光したレーザ光の強度と比較し、主管52を流れる流通ガスに含まれる測定対象の物質(アンモニア、アンモニア化合物を変換(分解)することで生成される物質)の濃度を算出する。
【0048】
計測手段16は、以上のような構成であり、発光部62から出力された近赤外波長域のレーザ光は、光ファイバ46から計測セル45の所定経路、具体的には、窓58、主管52、窓59を通過した後、受光部50に到達する。このとき、計測セル45内の流通ガス中に測定対象の物質(アンモニア)が含まれていると、計測セル45を通過するレーザ光が吸収される。そのため、レーザ光は、流通ガス中の測定対象の物質の濃度によって、受光部50に到達するレーザ光の出力が変化する。受光部50は、受光したレーザ光を受光信号に変換し、算出部66に出力する。また、光源ドライバ64は、発光部62から出力したレーザ光の強度を算出部66に出力する。算出部66は、発光部62から出力した光の強度と、受光信号から算出される強度とを比較し、その減少割合から計測セル45内を流れる流通ガスの測定対象の物質の濃度を算出する。このように計測手段16は、いわゆるTDLAS方式(Tunable Diode Laser Absorption Spectroscopy:可変波長ダイオードレーザー分光法)を用い、出力したレーザ光の強度と、受光部50で検出した受光信号とに基づいて主管52内の所定位置、つまり、測定位置を通過する流通ガス中の測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測する。また、計測手段16は、連続的に測定対象の物質の濃度を、算出及び/または計測することができる。
【0049】
ここで、流量計36は、第1配管22の変換手段14よりも上流側に配置され、第1配管22を流れる流通ガスの流量を計測する。流量計36は、第1配管22を流れる第1流通ガスのうち、変換手段14(熱分解層39)を通過する前の流通ガス、つまり、アンモニア化合物が変換(熱分解)される前の流通ガスの流量を計測する。また、流量計38は、第1配管22の変換手段14よりも下流側に配置され、第1配管22を流れる流通ガスの流量を計測する。流量計38は、第1配管22を流れる第1流通ガスのうち、変換手段14(熱分解層39)を通過した流通ガス、つまり、アンモニア化合物が変換された後の流通ガスの流量を計測する。流量計36、38は、計測した流量を制御手段18に送る。
【0050】
制御手段18は、配管ユニット12、変換手段14、計測手段16、流量計36、38の動作を制御する制御機能を有し、必要に応じて、各部の動作を制御する。具体的には、計測手段16による計測条件(光源ドライバ64の駆動条件、受光部50の受光動作)、配管ユニット12の三方弁30の経路選択動作、開閉弁32、34の開閉動作を制御する。また、制御手段18は、計測手段16で計測した計測結果(つまり、アンモニア濃度)、及び、各部で設定、検出した条件、また、流量計36、38で計測した流量に基づいて、測定対象のアンモニア化合物の濃度を算出及び/または計測する。
【0051】
次に、アンモニア化合物濃度計測装置10の動作を説明する。ここで、図3は、アンモニア化合物濃度計測装置の動作を説明するフロー図である。アンモニア化合物濃度計測装置10の制御手段18は、計測対象配管8に流通ガスが流れている状態で、測定開始の指示が入力されると、ポンプ31を駆動させ、計測対象配管8に流れている流通ガスをサンプリング配管20から吸引する。なお、この時、開閉弁32、34は、開状態としておくことが好ましい。また、三方弁30は、いずれの管路を連結させていてもよいが、計測ユニット42と連結している配管と、第1配管22とが接続している状態と、計測ユニット42と連結している配管と第2配管24が接続している状態とを、交互に切り替えることが好ましい。
【0052】
その後、配管ユニット12内に流通ガスが流れている状態となり、流通ガスが配管ユニット12内に充満したら、制御手段18は、ステップS12として、三方弁30により第1配管22と計測ユニット42とを連結させ、第1配管22を流れる流通ガス、つまり、変換手段14を通過した流通ガス(アンモニア化合物が変換された流通ガス、以下「第1流通ガス」ともいう。)が計測ユニット42に流れる状態とする。なおこのとき、開閉弁32は、閉状態とし、第1配管22を流れる流通ガスは、全量が計測ユニット42に供給される状態とする。また、開閉弁34は、開閉のいずれの状態でもよい。また、流量計36、38は、第1配管22の測定位置を流れる第1流通ガスの流量を計測する。
【0053】
制御手段18は、第1流通ガスが計測セル45を流れる状態としたら、ステップS14として、計測手段16により計測ユニット42の計測セル45の主管52内を流れる第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度(以下「第1計測値」ともいう。)を計測する。これにより、変換手段14により、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測することができる。なお、第1流通ガスには、測定対象のアンモニア化合物を変換手段14により変換したアンモニアと、変換前から含まれているアンモニア(共存ガス)とが含まれている。このため、第1計測値は、測定対象のアンモニア化合物を熱分解層39で変換したアンモニア(流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物に由来するアンモニア)と、変換前から含まれているアンモニア(共存ガス)とを合計した濃度が計測される。
【0054】
制御手段18は、第1流通ガスの濃度を計測したら、ステップS16として、三方弁30により第2配管24と計測ユニット42とを連結させ、第2配管24を流れる流通ガス(アンモニア化合物が変換されていない流通ガス、以下「第2流通ガス」ともいう。)が計測ユニット42に流れる状態とする。なおこのとき、開閉弁34は、閉状態とし、第2配管24を流れる流通ガスは、全量が計測ユニット42に供給される状態とする。また、開閉弁32は、開閉のいずれの状態でもよい。
【0055】
制御手段18は、第2流通ガスが計測セル45を流れる状態としたら、ステップS18として、計測手段16により計測ユニット42の計測セル45の主管52内を流れる第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度(以下「第2計測値」ともいう。)を計測する。これにより、変換手段14により、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測することができる。なお、第2流通ガスには、変換前から含まれているアンモニア(共存ガス)が含まれている。このため、第2計測値は、変換前から含まれているアンモニア(共存ガス)の濃度が計測される。
【0056】
制御手段18は、第2流通ガスの濃度を計測したら、ステップS20として、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度(計測値)を算出する。具体的には、ステップS14で計測した第1計測値と、ステップS18で計測した第2計測値との差分により、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の計測値を算出する。つまり、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物に由来するアンモニアと、共存ガスとを合計した濃度から、共存ガスの濃度を引くことで、流通ガスに含まれるアンモニア化合物に由来するアンモニアの濃度を算出することができる。さらに、制御手段18は、流量計36、38等から供給される情報に基づいて、流通ガスに含まれるアンモニア化合物に由来するアンモニアと流通ガスの流量の関係、また、アンモニア化合物からアンモニアへの反応の過程による各成分の増減を加味(補正)することで、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を算出することができる。制御手段18は、アンモニア化合物の計測値を算出したら、本処理を終了する。なお、制御手段18は、上記処理を繰り返すことで、連続的にアンモニア化合物の濃度を計測するようにしてもよい。
【0057】
アンモニア化合物濃度計測装置10は、以上のように、測定対象のアンモニア化合物を変換手段14により変換した第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測手段16により計測し、さらに、測定対象のアンモニア化合物を変換していない第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測手段16により計測し、差分をとることで、測定対象のアンモニア化合物の濃度を算出することができる。
【0058】
また、アンモニア化合物濃度計測装置10は、計測手段16として、測定対象のアンモニア化合物の変換物(分解物、アンモニア化合物を変換したアンモニア)の吸収波長域の近赤外波長域のレーザ光を照射し、当該アンモニアにより吸収される強度を検出することで、短時間で、かつ、高い精度でアンモニア化合物の濃度を計測することができる。
【0059】
また、測定対象のアンモニア化合物を変換し、変換した物質(アンモニア)として測定することで、近赤外波長域に吸収波長がないアンモニア化合物の濃度を、計測手段16に示す半導体レーザ吸収分光法を用いて計測することが可能となる。また、本実施形態のように、測定対象の物質の近赤外域の波長の光を用いた計測ができることで、高精度での計測を行うことができる。また、アンモニア化合物が複数の化合物で構成される場合も、アンモニアを計測するのみで、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測することができる。
【0060】
さらに、近赤外波長域のレーザ光を用いる計測では、測定対象の変換物(アンモニア)以外の成分が混在した状態であっても、測定対象の変換物の濃度を適切に測ることができる。つまり、測定対象の変換物以外の成分がノイズとなりにくくすることができる。これにより、フィルタや、除湿の工程をなくすまたは少なくすることができ、計測対象配管8から流通ガスを吸引してから、計測を行い、計測結果を算出するまでの時間を短時間にすることができる。つまり、計測の時間遅れを少なくすることができる。これにより、応答性を高くすることができる。
【0061】
また、アンモニア化合物濃度計測装置10は、変換手段14の前後の流量を算出し、その流量の変化に基づいて、変換(熱分解)によるマスバランスの変化、モル数の変化による影響を補正することで、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度をより適切に算出することができる。なお、アンモニア化合物の濃度をより適切に補正できるため、本実施形態のように変換手段の前後での流量の変化を計測することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、補正を行わないようにしてもよい。また、第1計測値と第2計測値との関係から、流量の変化量を推定し、その推定値に基づいて補正するようにしてもよい。
【0062】
また、アンモニア化合物濃度計測装置10は、流通ガスに含まれる共存ガス、つまり、流通ガスに元々含まれているアンモニアの濃度も計測することができる。これにより、流通ガスに含まれるアンモニア化合物と、アンモニアとの比も算出することができる。
【0063】
また、ポンプ31を設けることで、計測対象配管8を流れる流通ガスを適切にサンプリング配管20から吸引することができる。なお、ポンプ31は設けることが好ましいが、配管ユニット12の構成や、計測対象配管8を流れる流通ガスの圧力等により、配管ユニット12に一定流量以上の流通ガスが流れる場合は、ポンプ31は設けなくてもよい。
【0064】
ここで、アンモニア化合物濃度計測装置は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態とすることができる。以下、図4から図9を用いて、他の実施形態について説明する。
【0065】
[実施形態2]
図4は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図4に示すアンモニア化合物濃度計測装置100は、配管ユニット112と、変換手段14と、計測手段116と、制御手段118と、流量計36、38とを有する。ここで、アンモニア化合物濃度計測装置100は、計測ユニットが2つ設けられており、第1配管122、第2配管124のそれぞれに計測ユニットが配置されている。なお、変換手段14、流量計36、38とは、図1に示す変換手段14、流量計36、38と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0066】
配管ユニット112は、サンプリング配管20と、第1配管122と、第2配管124と、を有する。サンプリング配管20は、配管ユニット12の各部と同様の構成なので、説明は省略する。
【0067】
第1配管122は、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が計測手段116の第1計測ユニット130と接続されている。また、第1配管122には、管路内に変換手段14が配置されている。また、第1配管122の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。
【0068】
第2配管124は、基本的に第1配管122と並列に形成された配管であり、一方の端部がサンプリング配管20と接続され、他方の端部が計測手段116の第2計測ユニット132と接続されている。また、第2配管124には、管路内に変換手段14が配置されていない。このように、配管ユニット112は、第1配管122の他方の端部と第2配管124の他方の端部とを接続する三方弁が設けられておらず、別々の計測ユニットに接続されている。
【0069】
計測手段116は、第1計測ユニット130と、第2計測ユニット132と、計測手段本体134とを有する。第1計測ユニット130は、第1配管122の他方の端部に接続されており、第1配管122を流れた流通ガス、つまり、変換手段14を通過した流通ガス(第1流通ガス)が供給される。なお、第1計測ユニット130の各部の構成は、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0070】
第2計測ユニット132は、第2配管124の他方の端部に接続されており、第2配管124を流れた流通ガス、つまり、変換手段14を通過していない流通ガス(第2流通ガス)が供給される。なお、第2計測ユニット132の各部の構成も、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0071】
計測手段本体134は、第1計測ユニット130、第2計測ユニット132の2つの計測ユニットにレーザ光を出力し、2つの計測ユニットから受光信号を受光する以外は、基本的に計測手段本体44と同様の構成である。なお計測手段本体134は、2つの発光部を設け、それぞれの計測ユニットにレーザ光を出力するようにしてもよいが、1つの発光部から出力したレーザ光を2つに分波し、それぞれの計測ユニットにレーザ光を出力することが好ましい。発光部を1つにすることで、2つの計測ユニットに入射するレーザ光の波長を同じにすることができ、計測精度をより高くすることができる。
【0072】
計測手段本体134は、第1計測ユニット130に出力したレーザ光の強度、第1計測ユニット130から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガス(アンモニア化合物が変換された流通ガス)に含まれるアンモニアの濃度を計測し、第2計測ユニット132に出力したレーザ光の強度、第2計測ユニット132から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガス(アンモニア化合物が変換されていない流通ガス)に含まれるアンモニアの濃度を計測する。計測手段本体134は、計測結果を制御手段118に送る。
【0073】
制御手段118は、制御手段18と同様に、配管ユニット112、変換手段14、計測手段116の各部の動作を制御する。また、制御手段118は、計測手段116から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0074】
アンモニア化合物濃度計測装置100は、以上のような構成により、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測することができる。また、上述したアンモニア化合物濃度計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、アンモニア化合物を変換した物質(アンモニア)の濃度を計測手段による計測対象とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0075】
アンモニア化合物濃度計測装置100は、第1計測ユニット130、第2計測ユニット132の2つの計測ユニットを設けることで、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。これにより、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度と、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度をより連続的に計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。
【0076】
また、上述と同様にして、流量計36と、流量計38との計測結果に基づいて、アンモニア化合物の濃度を補正するようにしても良い。
【0077】
[実施形態3]
図5は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図5に示すアンモニア化合物濃度計測装置200は、配管ユニット212と、変換手段14と、計測手段216と、制御手段218と、流量計224、226を有する。ここで、アンモニア化合物濃度計測装置200は、配管ユニットが1本の配管で設けられており、計測ユニットが2つ設けられている。なお、変換手段14は、図1に示す変換手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0078】
配管ユニット212は、サンプリング配管220と、配管222と、流量計224とを有する。サンプリング配管220は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部が計測手段216の上流側計測ユニット230と連結されている。
【0079】
配管222は、一方の端部が上流側計測ユニット230と接続され、他方の端部が計測手段216の下流側計測ユニット232と接続されている。また、配管222には、管路内に変換手段14が配置されている。また、配管222の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。
【0080】
計測手段216は、上流側計測ユニット230と、下流側計測ユニット232と、計測手段本体234とを有する。上流側計測ユニット230は、上流側の端部が、サンプリング配管220の他方の端部と連結され、下流側の端部が、配管222の一方の端部(上流側の端部)とに連結されており、サンプリング配管220を流れ、変換手段14を通過する前の流通ガス(アンモニア化合物が変換されていない流通ガス、第2流通ガス)が供給される。なお、上流側計測ユニット230は、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0081】
下流側計測ユニット232は、上流側の端部が、配管222の一方の端部(下流側の端部)と連結され、下流側の端部が、さらに下流側の配管(排気配管等)とに連結されており、配管222を流れ、変換手段14を通過した流通ガス(アンモニア化合物が変換された流通ガス、第1流通ガス)が供給される。なお、下流側計測ユニット232も、上述した計測ユニット42と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0082】
計測手段本体234は、上流側計測ユニット230、下流側計測ユニット232の2つの計測ユニットにレーザ光を出力し、2つの計測ユニットから受光信号を受光する以外は、基本的に計測手段本体44と同様の構成である。つまり、計測手段本体134と同様の構成である。
【0083】
計測手段本体234は、下流側計測ユニット232に出力したレーザ光の強度、下流側計測ユニット232から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測し、上流側計測ユニット230に出力したレーザ光の強度、上流側計測ユニット230から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測する。計測手段本体234は、計測結果を制御手段218に送る。
【0084】
また、流量計224は、サンプリング配管220の経路上に配置され、サンプリング配管220を流れる流通ガスの流量、つまり、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計226は、配管222の変換手段14と、下流側計測ユニット232との間に配置され、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。
【0085】
制御手段218は、制御手段18と同様に、配管ユニット212、変換手段14、計測手段216の各部の動作を制御する。また、制御手段218は、計測手段216から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0086】
アンモニア化合物濃度計測装置200は、以上のような構成により、変換手段14(熱分解層39)が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニットを設けることでも、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測することができる。また、上述したアンモニア化合物濃度計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象のアンモニア化合物を変換(熱分解)した物質(アンモニア)の濃度を計測手段による計測対象とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0087】
アンモニア化合物濃度計測装置200は、熱分解層39が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニット230、232の2つの計測ユニットを設けることで、流通ガスを案内する配管を2つに分離することなく、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。また、この場合も、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度と、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスのアンモニア化合物濃度(流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度)をより連続的に計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。また、計測対象のガスを同じ流通ガスとすることができる。つまり、上流側計測ユニット230で計測した流通ガスを変換(熱分解)させた後、下流側計測ユニット232で計測することができる。また、流量計224と流量計226により、変換手段14の通過前の流通ガス(第2流通ガス)と、変換手段14の通過後の流通ガス(第1流通ガス)とのモル数のバランスの変化を検出することができる。これにより、算出したモル数から流通ガスのアンモニア化合物濃度の算出値を補正することができ、より正確なアンモニア化合物濃度を計測することができる。
【0088】
[実施形態4]
図6は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図6に示すアンモニア化合物濃度計測装置300は、配管ユニット312と、変換手段14と、計測手段316と、制御手段318と、流量計322、324と、を有する。ここで、アンモニア化合物濃度計測装置300は、配管ユニット312の構成と、計測ユニットの配置位置、構成を除いて、他の構成はアンモニア化合物濃度計測装置200と同様の構成である。また、変換手段14は、図1に示す変換手段14と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0089】
配管ユニット312は、サンプリング配管320と、流量計322とを有する。サンプリング配管320は、計測対象配管と接続し、計測対象配管を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管の内部に配置されており、他方の端部が下流の配管(排気配管)と連結されている。また、サンプリング配管320の経路上には、サンプリング配管320を流れる流通ガスの流量を計測する流量計322が配置されている。また、サンプリング配管320には、管路内に変換手段14が配置されている。また、サンプリング配管320の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。つまり、本実施形態の配管ユニットは、1本の配管で構成されている。
【0090】
計測手段316は、上流側計測ユニット330と、下流側計測ユニット332と、計測手段本体334とを有する。上流側計測ユニット330は、サンプリング配管320の変換手段14の配置位置よりも上流側に設けられており、サンプリング配管320を流れ、変換手段14を通過する前の流通ガス(アンモニア化合物が変換されていない流通ガス、第2流通ガス)のアンモニアの濃度を計測する。なお、上流側計測ユニット330は、測定光であるレーザ光をサンプリング配管320内に入射させ、サンプリング配管320を通過したレーザ光を受光することで、ガス濃度を計測する。
【0091】
上流側計測ユニット330は、入射管342aと、出射管344aと、窓346a、348aと、光ファイバ350aと、入光部352aと、受光部354aを有する。
【0092】
入射管342aは、管状部材であり、一方の端部がサンプリング配管320に連結されている。また、サンプリング配管320は、入射管342aとの連結部が、入射管342aの開口(端部の開口)と略同一形状の開口となっている。つまり、入射管342aは、サンプリング配管320と、空気の流通が可能な状態で連結されている。また、入射管342aの他方の端部には、窓346aが設けられており、窓346aにより封止されている。なお、窓346aは、光を透過する部材、例えば、透明なガラス、樹脂等で構成されている。これにより、入射管342aは、窓346aが設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。
【0093】
入射管342aは、図6に示すように、窓346a側の端部の開口(つまり、窓346aにより塞がれている開口)の面積と、サンプリング配管320側の端部(つまり、サンプリング配管320と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、入射管342aの形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0094】
出射管344aは、入射管342aと略同一形状の管状部材であり、一方の端部がサンプリング配管320に連結され、出射管344aの他方の端部には、窓348aが設けられている。出射管344aも、サンプリング配管320と空気が流通可能な状態で、窓348aが設けられている端部が、空気が流通しない状態で、かつ、光が透過できる状態となる。また、出射管344aは、中心軸が入射管342aの中心軸と略同一となる位置に配置されている。つまり、入射管342aと出射管344aとは、サンプリング配管320の対向する位置に配置されている。
【0095】
また、出射管344aも、窓348a側の端部の開口(つまり、窓348aにより塞がれている開口)の面積と、サンプリング配管320側の端部(つまり、サンプリング配管320と連結している部分の開口)の面積とが実質的に同一の円筒形状である。なお、出射管344aも形状は円筒形状に限定されず、空気及び光を通過させる筒型の形状であればよく、種々の形状とすることができる。例えば、断面が四角、多角形、楕円、非対称曲面となる形状としてもよい。また筒形状の断面の形状、径が位置によって変化する形状でもよい。
【0096】
次に、光ファイバ350aは、計測手段本体334から出力されるレーザ光を入光部352aに案内する。つまり、計測手段本体334から出力されたレーザ光を入光部352aに入射させる。入光部352aは、窓346aに配置された光学系(ミラー、レンズ等)であり、光ファイバ350aにより案内されたレーザ光を窓346aから入射管342aの内部に入射させる。入射管342aに入射したレーザ光は、入射管342aからサンプリング配管320を通過して、出射管344aに到達する。
【0097】
受光部354aは、サンプリング配管320の内部を通過し、窓348aから出力されたレーザ光を受光する受光部である。受光部354aは、受光したレーザ光の強度を受光信号として、計測手段本体334に送る。
【0098】
上流側計測ユニット330は、計測手段本体334から光ファイバ350aに供給されるレーザ光を、入光部352a、窓346a、入射管342a、サンプリング配管320、出射管344a、窓348aを通過して、受光部354aに入射する。これにより、上流側計測ユニット330は、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)が流れている領域を通過させたレーザ光の出力を検出することができる。これにより、上流側計測ユニット330は、上流側計測ユニット230と同様に、第2計測値を計測することができる。
【0099】
下流側計測ユニット332は、サンプリング配管320の変換手段14の配置位置よりも下流側に設けられており、サンプリング配管320を流れ、変換手段14を通過した後の流通ガス(アンモニア化合物が変換された流通ガス、第1流通ガス)のアンモニアの濃度を計測する。なお、下流側計測ユニット332も、測定光であるレーザ光をサンプリング配管320内に入射させ、サンプリング配管320を通過したレーザ光を受光することで、ガス濃度を計測する。下流側計測ユニット332は、入射管342bと、出射管344bと、窓346b、348bと、光ファイバ350bと、入光部352bと、受光部354bを有する。なお、下流側計測ユニット332は、計測ユニットの配置位置を除いて、基本的構成は、上流側計測ユニット330と同様であるので説明を省略する。
【0100】
下流側計測ユニット332は、計測手段本体334から光ファイバ350bに供給されるレーザ光を、入光部352b、窓346b、入射管342b、サンプリング配管320、出射管344b、窓348bを通過して、受光部354bに入射する。これにより、下流側計測ユニット332は、変換手段14を通過した流通ガス(第1流通ガス)が流れている領域を通過させたレーザ光の出力を検出することができる。これにより、下流側計測ユニット332は、下流側計測ユニット232と同様に、第1計測値を計測することができる。
【0101】
計測手段本体334は、上流側計測ユニット330、下流側計測ユニット332の2つの計測ユニットにレーザ光を出力し、2つの計測ユニットから受光信号を受光する以外は、基本的に計測手段本体44と同様の構成である。つまり、計測手段本体234と同様の構成である。
【0102】
計測手段本体334は、下流側計測ユニット332に出力したレーザ光の強度、下流側計測ユニット332から送られる受光信号に基づいて、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測し、上流側計測ユニット330に出力したレーザ光の強度、上流側計測ユニット330から送られる受光信号に基づいて、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を計測する。計測手段本体334は、計測結果を制御手段318に送る。
【0103】
また、流量計322は、サンプリング配管320の経路上において、上流側計測ユニット330と変換手段14との間に配置され、変換手段14を通過する前の流通ガス(第2流通ガス)の流量を計測する。また、流量計324は、サンプリング配管320の経路上において下流側計測ユニット332よりも下流側に配置され、変換手段14を通過した後の流通ガス(第1流通ガス)の流量を計測する。流量計332と流量計324は、流量の計測結果を制御手段318に送る。
【0104】
制御手段318は、制御手段18と同様に、配管ユニット312、変換手段14、計測手段316、流量計322、324の各部の動作を制御する。また、制御手段318は、計測手段316から送られる計測結果に基づいて、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度(流通ガスのアンモニア化合物濃度)を計測(算出)する。なお、算出方法は、上述した制御手段18の算出方法と同様の方法である。
【0105】
アンモニア化合物濃度計測装置300は、以上のような構成により、変換手段14(熱分解層39)が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニットを設けることでも、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測することができる。また、上述したアンモニア化合物濃度計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、流通ガス中のアンモニアの濃度を計測手段により計測することで、上述と同様の効果を得ることができる。また、アンモニア化合物濃度計測装置300も、流量計322、324での計測結果に基づいて、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の濃度の算出値を補正することができ、より高い精度で算出することができる。
【0106】
また、アンモニア化合物濃度計測装置300も、熱分解層39が配置されている領域よりも上流側と、下流側のそれぞれに計測ユニット330、332の2つの計測ユニットを設けることで、流通ガスを案内する配管を2つに分離することなく、第1流通ガスと第2流通ガスとを別々に計測することができる。また、この場合も、第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度と、第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度とを同時に計測することができる。これにより、流路の切り替えが必要なくなり、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度をより連続的に計測することができる。また、流路を切り替えることなく、計測ができるため、計測の応答性もより高くすることができる。また、計測対象のガスを同じ流通ガスとすることができる。つまり、上流側計測ユニット330で計測した流通ガスを変換させた後、下流側計測ユニット332で計測することができる。
【0107】
さらに、アンモニア化合物濃度計測装置300は、サンプリング配管320を流れる流通ガスを直接計測することができる。これにより、計測セルを設けることなく、サンプリング配管320に開口を形成するのみで設置することができる。また、上記実施形態では、サンプリング配管320を設けた場合として説明したが、これに限定されず、計測対象配管に直接設置することもできる。計測対象配管に直接設ける場合でも、専用の計測セルが必要ないため、計測対象配管を流れる流通ガスの流量、流速を変化させずに、計測することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、入射管と出射管を同軸上に設けたがこれには限定されない。例えば、サンプリング配管内に光学ミラーを設け、入射管の窓から入射されたレーザ光を測定セル内の光学ミラーで多重反射させた後、出射管の窓に到達させるようにしてもよい。このようにレーザ光を多重反射させることで、サンプリング配管内のより多くの領域を通過させることができる。これにより、サンプリング配管内を流れる流通ガスの濃度の分布(流通ガスの流量や密度のばらつき、流通ガス内の濃度分布のばらつき)の影響を小さくすることができ、正確に濃度を検出することができる。
【0109】
また、上記実施形態では、入射管と出射管をサンプリング配管に直接設けたが、サンプリング配管と同径の管に、入射管と出射管を設置し、その管をサンプリング配管の一部にはめ込むようにしても良い。つまり、サンプリング配管の一部を切断し、その切断部に入射管と出射管を設置した管をはめ込むようにしてもよい。
【0110】
[実施形態5]
図7は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図7に示すアンモニア化合物濃度計測装置500は、配管ユニット512と、変換手段14と、計測手段516と、制御手段518と、流量計522、524と、切換手段550とを有する。
【0111】
配管ユニット512は、サンプリング配管520を有する。サンプリング配管520は、計測対象配管8と接続し、計測対象配管8を流れる流通ガスの一部を捕集する配管であり、一方の端部が計測対象配管8の内部に配置されており、他方の端部が計測手段516の計測ユニット532と連結されている。また、サンプリング配管520には、管路内に変換手段14が配置されている。また、サンプリング配管520の変換手段14が配置されている領域は、他の領域よりも管路の径が大きくなっている。つまり、本実施形態の配管ユニットは、1本の配管で構成されている。
【0112】
計測手段516は、計測ユニット532と、計測手段本体534とを有する。計測ユニット532は、上流側の端部が、サンプリング配管520の一方の端部(下流側の端部)と連結され、下流側の端部が、さらに下流側の配管(排気配管等)とに連結されている。計測ユニット532は、変換手段14を通過した流通ガスが供給される。
【0113】
計測手段本体534は、計測ユニット532にレーザ光を出力し、計測ユニット532から受光信号を受光して、アンモニアの濃度を計測するものであり、基本的に計測手段本体44と同様の構成である。
【0114】
切換手段550は、変換手段14に接続して配置されている。切換手段550は、変換手段14がアンモニア化合物を熱分解する状態と、アンモニア化合物を熱分解しない状態とを切り換える手段であり、加熱機構552と、温度調整部554と、を有する。加熱機構552は、変換手段14の熱分解層39を加熱する機構であり、各種加熱機構を用いることができる。なお、加熱機構552は、変換手段14の熱分解層39を構成する温度調整機構を用いるようにしてもよい。つまり、加熱機構552には、変換手段14の温度調整機構(イメージ炉等)を用いることができる。
【0115】
温度調整部554は、加熱機構552の加熱動作を制御し、熱分解層39の温度を調整する。例えば、温度調整部554は、加熱機構552による加熱の有無を制御することで、熱分解層39を通過する流通ガスが100℃前後になる状態と、300℃前後になる状態とにする。なお、本実施形態の変換手段14は、切換手段550によって、熱分解層39の温度が調整される機構である。
【0116】
制御手段518は、制御手段18と同様に、配管ユニット512、変換手段14、計測手段516、流量計522、524の各部の動作を制御する。また、制御手段518は、切換手段550の温度調整部554により、加熱機構552を制御することで、変換手段14を通過する流通ガスを300℃以上に加熱する第1の状態と、変換手段14を通過する流通ガスを100℃程度で通過させる第2の状態とを切り替える。なお、本実施形態では、加熱機構552が熱分解層39を加熱していない状態とすることで、流通ガスが100℃程度を維持して熱分解層39を通過する。
【0117】
以下、図8−1及び図8−2を用いて具体的に説明する。ここで、図8−1及び図8−2は、アンモニア化合物濃度計測装置の動作を説明するための説明図である。また、図8−1及び図8−2は、横軸をともに時間tとし、図8−1は、縦軸を開閉信号、図8−2は、縦軸をアンモニア濃度とした。また、図8−1は、ON信号を1、OFF信号を0とした。ここで、ON信号が出力されている場合、切換手段550は、変換手段14を第1の状態とし、OFF信号が出力されている場合、切換手段550は、変換手段14を第2の状態とする。また、図8−2のアンモニア(NH)濃度は、変換手段14の下流側のアンモニア濃度である。
【0118】
例えば、制御手段518は、図8−1に示すようにOFF信号を出力し加熱機構552で熱分解層39を加熱していない状態から、時刻tでON信号を出力し、加熱機構552で熱分解層39を加熱している状態とし、一定時間経過後の時刻tで再びOFF信号を出力し加熱機構552で熱分解層39を加熱していない状態とする。これにより、時刻t以前は、変換手段14が第2の状態となり、時刻tから時刻tの間は、変換手段14が第1の状態となり、時刻t以降は、再び、変換手段14が第2の状態となる。
【0119】
これに対応して、変換手段14では、時刻t以前は、アンモニア化合物をそのまま通過させている状態となり、時刻tから時刻tの間は、アンモニア化合物をアンモニアに熱分解している状態となり、時刻t以降は、再び、アンモニア化合物をそのまま通過させている状態となる。これにより、時刻t以前及び時刻t以降は、基本的に、変換前から流通ガスに含まれるアンモニア(共存ガス、捕集時から流通ガスに含まれるアンモニア)のみが、変換手段14を通過した流通ガスに含まれ、時刻tから時刻tの間は、共存ガスに加え、変換手段14でアンモニア化合物を熱分解することで、生成されたアンモニアも含まれる状態となる。これにより、図8−2に示すように、時刻t以前は、アンモニアの濃度が低く(濃度X)、時刻tから時刻tの間は、アンモニアの濃度が高くなり(濃度X)、時刻t以降は、再び、アンモニアの濃度が低くなる(濃度X)。
【0120】
制御手段518は、図8−2の関係を用いて、時刻t以前及び時刻t以降に変換手段14を通過し、計測ユニットに供給された流通ガス(アンモニア化合物が変換されていない流通ガス、第2流通ガス)のアンモニア濃度を計測し、さらに、時刻tから時刻tの間に変換手段14を通過し、計測ユニットに供給された流通ガス(アンモニア化合物が変換された流通ガス、第1流通ガス)のアンモニア濃度を計測することで、流通ガスに含まれるアンモニア化合物に由来するアンモニアの濃度を算出し、さらにその結果から、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測(算出)する。
【0121】
アンモニア化合物濃度計測装置500は、以上のような構成により、切換手段550により変換手段14による流通ガスの加熱状態(ON/OFF)を調整することで、アンモニア化合物の変換(熱分解)のON/OFF(実行/停止)を繰り返すことでも、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測することができる。この場合も、上述したアンモニア化合物濃度計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象のアンモニア化合物を変換したアンモニアを測定対象とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0122】
なお、本実施形態では、切り替えの時間が必要となるため、アンモニア化合物濃度計測装置10と同様に間欠的な計測となるが、1つの計測ユニットで濃度を計測することができる。
【0123】
[実施形態6]
図9は、アンモニア化合物濃度計測装置の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。図9に示すアンモニア化合物濃度計測装置600は、配管ユニット512と、変換手段614と、計測手段516と、制御手段518と、流量計522、524と、切換手段550とを有する。なお、図9に示すアンモニア化合物濃度計測装置600は、変換手段614の構成を除いて、他の構成は、図7に示すアンモニア化合物濃度計測装置500と同様である。そこで、以下では、アンモニア化合物濃度計測装置600に特有の点について説明する。
【0124】
変換手段614は、捕集層639を有する。捕集層639は、アンモニア化合物を吸着する物質であり、アンモニア化合物を熱分解させる領域、つまり、熱分解層が配置される領域に配置されている。捕集層639としては、ポーラス状物質を用いることができ、特に、アンモニア化合物を選択的に吸着させる物質を用いることが好ましい。捕集層639は、通過する流通ガスに含まれているアンモニア化合物を吸着する。したがって、捕集層639を通過した流通ガスは、アンモニア化合物が低減または取り除かれた状態となる。
【0125】
また、変換手段614の流通ガスを加熱する機構は、切換手段550の加熱機構552となる。つまり、変換手段614は、加熱機構552により捕集層639が配置されている領域を加熱することで、捕集層639に吸着されているアンモニア化合物をアンモニアに熱分解する。
【0126】
このように、アンモニア化合物濃度計測装置600は、変換手段614として、アンモニア化合物を吸着する捕集層639を設けることで、切換手段550により、変換手段614でアンモニア化合物をアンモニアに熱分解するときには、通過する流通ガスに含まれるアンモニア化合物に加え、吸着させていたアンモニア化合物もアンモニアに熱分解する。
【0127】
なお、本実施形態のように、アンモニア化合物を捕集する場合は、第2の状態の流通ガスに基づいて、共存ガスの濃度を計測し、さらに、変換処理時に検出されるアンモニアの濃度と、変換処理前にアンモニア化合物を吸着していた時間との関係に基づいて、演算を行うことで(例えば、吸着していた時間と反応させた時間との合計で濃度を平均化することで)、流通ガスに含まれるアンモニア化合物に由来するアンモニアの濃度を算出し、さらにその結果から、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測(算出)する。
【0128】
アンモニア化合物濃度計測装置600は、以上のような構成により、熱分解する領域に、アンモニア化合物を吸着する捕集層639を用い、アンモニア化合物の吸着、熱分解を繰り返すことでも、流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物の濃度を計測することができる。この場合も、上述したアンモニア化合物濃度計測装置10と同様に、計測手段として、いわゆるTDLAS方式の計測手段を用い、かつ、測定対象のアンモニア化合物を変換したアンモニアを測定対象とすることで、上述と同様の効果を得ることができる。
【0129】
また、捕集層639でアンモニア化合物を捕集することで、熱分解時により多くのアンモニア化合物をアンモニアに分解できるため、流通ガスに含まれるアンモニア化合物の量が少ない場合も、アンモニア化合物に起因するアンモニア濃度の変化をより適切に検出することができる。また、捕集層639でアンモニア化合物を捕集することで、流通ガスに含まれるアンモニア化合物をより高い確率でアンモニアに熱分解することができる。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0130】
なお、本実施形態では、切り替えの時間が必要となるため、アンモニア化合物濃度計測装置10と同様に間欠的な計測となるが、1つの計測ユニットで濃度を計測することができる。
【0131】
ここで、本発明は上記実施形態にも限定されず、種々の形態とすることができる。例えば、各実施形態を組み合わせてもよい。例えば、実施形態1から実施形態4に捕集層を加えてもよい。このように、熱分解層に捕集層を設けることで、アンモニア化合物をより高い確率でアンモニアに熱分解することができる。これにより、計測精度をより高くすることができる。
【0132】
また、実施形態1から実施形態4に変換手段(熱分解する領域)の温度を調整する温度調整機構(温度調整部、例えば加熱機構)を設けるようにしてもよい。このように温度調整機構を設けることで、アンモニア化合物を熱分解する領域(雰囲気)の温度をより適切な範囲にすることができる。これにより、アンモニア化合物をより適切に熱分解することができ、アンモニアにすることができる。これにより、計測精度をより高くすることができる。また、上記実施形態では、いずれも、変換手段の熱分解層や、温度調整機構として、加熱機構を例示したが、冷却機構を備えていてもよい。
【0133】
また、アンモニア化合物濃度計測装置は、流通ガスに煤塵が多く含まれている場合は、サンプリング配管の上流側の端部付近にフィルタ(除塵装置)を設けてもよい。フィルタを設けることで、流通ガスに含まれる煤塵を除去することができる。なお、フィルタを設ける場合も、アンモニア化合物濃度計測装置は、煤塵に対する許容度が大きいので、他の計測方法を用いる場合よりも簡単なフィルタを用いることができる。これにより、フィルタを配置することにより発生する時間遅れを少なくすることができ、応答性を高く維持することができる。
【0134】
また、計測ユニットは、計測セルの窓に窓から離れる方向に空気を噴射するパージガス供給部を設けてもよい。パージガスを噴射させることで、窓に異物が付着し、レーザ光による計測に誤差が発生することを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
以上のように、本発明にかかるアンモニア化合物濃度計測装置及びアンモニア化合物濃度計測方法は、管路内を流れる流通ガスに含まれるアンモニア化合物の計測に有用である。
【符号の説明】
【0136】
8 計測対象配管
10、100、200、300、500、600 アンモニア化合物濃度計測装置
12 配管ユニット
14 変換手段
16 計測手段
18 制御手段
20 サンプリング配管(流入配管)
22 第1配管
24 第2配管
26、28 分岐管
30 三方弁
31 ポンプ
32、34 開閉弁
36、38 流量計
39 熱分解層
42 計測ユニット
44 計測手段本体
45 計測セル
46 光ファイバ
48 入光部
50 受光部
52 主管
54 流入管
56 排出管
58、59 窓
62 発光部
64 光源ドライバ
66 算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流通ガスに含まれる測定対象のアンモニア化合物濃度を計測するアンモニア化合物濃度計測装置であって、
前記流通ガスが流れる配管ユニットと、
前記配管ユニットに配置され、通過する前記流通ガスに含まれるアンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段と、
前記配管ユニットを流れる前記流通ガスのうち、前記変換手段を通過する配管経路を流れた第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第1計測値と、前記変換手段を通過しない配管経路を流れた第2流通ガスに含まれるアンモニアの濃度である第2計測値とを計測する計測手段と、
前記配管ユニット、前記計測手段の動作を制御し、前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、流通ガスに含まれるアンモニア化合物濃度を算出する制御手段と、を有し、
前記計測手段は、
前記アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力する発光部と、
前記流通ガスが流れるガス計測セル、前記ガス計測セルにレーザ光を入射させる光学系、前記発光部から入射され、前記ガス計測セルを通過したレーザ光を受光する受光部を含む少なくとも1つの計測ユニットと、
前記発光部から出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記ガス計測セルを流れる前記流通ガスの前記アンモニアの計測値を算出する算出部とを有することを特徴とするアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項2】
さらに、前記変換手段よりも上流側に配置され、前記変換手段に流入する前記流通ガスの流量を計測する第1流量計と、前記変換手段よりも下流側に配置され、前記変換手段から排出された前記流通ガスの流量を計測する第2流量計と、を備え、
前記制御手段は、前記第1流量計の計測結果と、前記第2流量計の計測結果に基づいて、前記流通ガスの前記アンモニアの計測値を補正して算出することを特徴とする請求項1に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項3】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管と、
前記第1配管の下流側の端部と、前記第2配管の下流側の端部と、前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを接続する三方弁と、を有し、
前記制御手段は、前記三方弁により前記第1配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第1流通ガスを流入させて、前記第1計測値を計測し、
前記三方弁により、前記第2配管の下流側の端部と前記ガス計測セルの前記流通ガスの流れ方向の上流側の端部とを連結させ、前記計測手段に前記第2流通ガスを流入させて、前記第2計測値を計測することを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項4】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された第1配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に前記第1配管と共に接続され、前記変換手段が配置されていない第2配管とを備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記第1配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
他方の前記計測ユニットは、前記第1配管に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項5】
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットを2つ備え、一方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
他方の前記計測ユニットは、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも上流側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項6】
前記変換手段は、アンモニア化合物を熱分解させてアンモニアにする熱分解層であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項7】
前記変換手段は、前記熱分解層の温度を調整する温度調整部を備えることを特徴とする請求項6に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項8】
前記変換手段の変換動作の実行と停止とを切り換える切換機構をさらに有し、
前記配管ユニットは、前記流通ガスが流入する流入配管と、
前記流入配管の前記流通ガスの流れ方向の下流側の端部に接続され、前記変換手段が配置された保持配管と、を備え、
前記計測手段は、前記計測ユニットが、前記保持配管の前記流通ガスの流れ方向において前記変換手段よりも下流側に配置され、
前記変換手段は、アンモニア化合物を熱分解させてアンモニアにする熱分解層であり、
前記切換手段は、前記熱分解層の温度を調整する温度調整部であり、
前記制御手段は、前記変換手段の変換動作を実行させている状態と、前記変換手段の変換動作を停止させている状態とを切り替え、前記計測ユニットに、前記第1流通ガスが流入している状態と、前記第2流通ガスが流入している状態とを切り替えることを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項9】
前記切換手段は、前記温度調整部により、前記流通ガスをアンモニア化合物が分解する温度に加熱して、前記変換手段の変換動作を実行させている状態とし、前記流通ガスの加熱を停止して、前記変換手段の変換動作を停止させている状態とすることを特徴とする請求項8に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項10】
前記変換手段は、さらに、前記アンモニア化合物を捕集する捕集層を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項11】
前記計測ユニットは、レーザ光が、前記変換手段を保持する配管の内部を通過することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項12】
前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項13】
前記配管ユニットは、測定対象の装置から排出される前記流通ガスの全量が流れる測定対象配管から、一部の前記流通ガスを捕集していることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のアンモニア化合物濃度計測装置。
【請求項14】
配管を流れる流通ガスのアンモニア化合物濃度を計測するアンモニア化合物濃度計測方法であって、
前記配管を流れる流通ガスのうち、アンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段が配置されている領域を通過した第1流通ガスに対して、アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第1流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記第1流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を第1計測値として計測する第1計測ステップと、
前記配管を流れる流通ガスのうち、アンモニア化合物をアンモニアに変換する変換手段が配置されている領域を通過していない第2流通ガスに対して、アンモニアの吸収波長を含み、かつ、近赤外波長域のレーザ光を出力させ、第2流通ガスが流れる管路内を通過した前記レーザ光を受光し、出力したレーザ光の強度と、前記受光部で受光したレーザ光の強度とに基づいて、前記流通ガスに含まれるアンモニアの濃度を第2計測値として計測する第2計測ステップと、
前記第1計測値と前記第2計測値との差分から、前記流通ガスに含まれるアンモニア化合物濃度の計測値を算出する算出ステップとを有することを特徴とするアンモニア化合物濃度計測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−8008(P2012−8008A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144300(P2010−144300)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】