説明

アーカイブシステム、第一の端末及びプログラム

【課題】生徒等が、直感的かつ簡便な操作で、閲覧を所望する時間帯をきめ細かに設定し、設定した時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できる。
【解決手段】ノート8の所定のノート用紙の板書エリア831に対する記入中に電子ペン1Sから送信されて通信手段72に受信された記入情報を、記入時間帯を特定可能な状態で記憶する記憶手段73と、通信手段72に受信された記入情報が、所定のノート用紙のアーカイブ再生指示エリア832に対して電子ペン1Sによりタップがなされた際のものであると判定されると、記憶手段73に記憶された記入情報から、アーカイブ再生指示エリア832に対応する板書エリア831に記入された記入時間帯を特定し、記入時間帯を含む所定の再生時間帯における部分情報をサーバ6に要求し、送信された当該部分情報を通信手段72に受信させ、部分情報を再生する制御を実行するアーカイブ再生手段754と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生徒等が、直感的かつ簡便な操作で、閲覧を所望する時間帯をきめ細かに設定し、設定した時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できるようになる、アーカイブシステム、端末及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記入した情報を電子化する電子ペンが開発されており、その代表的なものとしてスウェーデンのAnoto社が開発した「アノトペン(Anoto pen)」が知られている。アノトペンは、所定のドットパターンが印刷された専用紙と共に使用される。アノトペンは、ペン先部に、文字等を書くための通常のインクカートリッジに加えて、専用紙に印刷されたドットパターンを撮像するための小型カメラと、撮像したドットパターンから専用紙における位置座標を演算するプロセッサと、演算された位置座標等を外部機器へ送信するデータ通信ユニットとを搭載している。ユーザが専用紙上にアノトペンで文字等を書いたりすると、ペンの移動に伴って小型カメラが専用紙に印刷されたドットパターンを撮像し、プロセッサによって演算された連続する位置座標から、ユーザが書き込んだ文字、画像等の記入情報が認識される。そして、この記入情報が、データ通信ユニットによりアノトペンから近くのパーソナルコンピュータや携帯電話等のコンピュータ装置に送信される(例えば、特許文献1参照)。また、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能については、例えば特許文献2に記載されている。
【0003】
このような電子ペンを学校の授業に用いて、事後的に授業の内容を閲覧可能にする技術が、特許文献3,4に記載されている。
特許文献3には、電子黒板と電子ペンを用いて行われる授業の様子を、ビデオカメラにより録画することによって、生徒等がオンデマンドで過去の授業の様子を閲覧できる技術が記載されている。
また、特許文献4には、生徒等が、ディスプレイ等に同時に表示された授業の様子と、電子ペンで用紙に記入した内容とを閲覧できる技術が開示されている。
【0004】
また、電子ペンを用いていないが、事後的に授業の内容を閲覧可能にする別の技術として、スタイラスやペン等で電子黒板上を操作した様子が事後的に閲覧等可能なアーカイブとして記録される技術が、特許文献5に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3872498号公報
【特許文献2】特表2003−529853号公報
【特許文献3】特開2009−4846号公報
【特許文献4】特再表2006−62054号公報
【特許文献5】特表2006−526958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献3〜5に記載の従来の技術を授業に適用した場合には、生徒等は、授業の一部の内容、特に、所望の時間帯(例えば授業の途中)の内容を閲覧するときには、具体的な日付や時間帯等を特定した上で、当該内容のデータの検索操作していた。このため、生徒等が、直感的かつ簡便な操作で、閲覧を所望する時間帯をきめ細かに設定し、設定した時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できる技術が、近年要望されていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、生徒等が、直感的かつ簡便な操作で、閲覧を所望する時間帯をきめ細かに設定し、設定した時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できるようになることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るアーカイブシステムは、ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有するノートと、コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、所定の画像に関する経時的な情報を記憶するサーバと、前記電子ペンから送信された記入情報を用いて所定の処理を実行する第1の端末と、を備えるアーカイブシステムであって、前記ノートの各ノート用紙には、前記電子ペンの記入対象となる第1のエリアと、前記所定の画像に関する情報のうち、第1のエリアの記入時間帯を含む所定の再生時間帯における部分情報の再生を指示する第2のエリアとが設けられており、前記第1の端末は、前記電子ペンから送信される記入情報、又は前記サーバから読み出されて送信される部分情報を受信する通信手段と、第1のエリアに対する記入中に前記電子ペンから送信されて前記通信手段に受信された記入情報を、前記記入時間帯を特定可能な状態で記憶する記憶手段と、前記通信手段に受信された記入情報が、第2のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記記憶手段に記憶された記入情報から、第2のエリアに対応する第1のエリアに記入された前記記入時間帯を特定し、前記記入時間帯を含む前記所定の再生時間帯における部分情報を前記サーバに要求して、前記サーバから送信された当該部分情報を前記通信手段に受信させ、前記部分情報を再生する制御を実行するアーカイブ再生手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、複数のノート用紙の各々には、電子ペンの記入対象となる第1エリアと、所定の画像に関する情報のうち、第1エリアの記入時間帯を含む所定の再生時間帯における部分情報の再生を指示する第2のエリアとが設けられている。第1の端末において、受信した記入情報が、所定のノート用紙の第2エリアに対して電子ペンによりタップがなされた際のコード化パターンの読み取らせによるものであると判定されると、記憶手段に記憶された記入情報から記入時間帯が特定され、記入時間帯を含む所定の再生時間帯における部分情報が、要求に応じてサーバから受信されて、当該部分情報が再生される。従って、第1のエリアに対して第2のエリアが対応付けられているため、第1の端末の操作者は、電子ペンを第2のエリアにタップさせるといった直観的かつ簡便な操作をするだけで、第2のエリアに対応する第1のエリアへの記入時間帯を第1の端末に認識させすることができ、当該時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できる。
【0010】
上記アーカイブシステムにおいて、各ノート用紙には、第1のエリアの内容の再生を指示する第3のエリアがさらに設けられており、前記第1の端末は、前記通信手段に受信された記入情報が、第3のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記記憶手段に記憶された記入情報の内容を再生する制御を実行するノート記入再生手段と、を備えるように構成するとよい。
この構成によれば、第1のエリアにはさらに第3のエリアが対応付けられているため、第1の端末の操作者は、電子ペンを第3エリアにタップさせるといった直観的かつ簡便な操作をするだけで、第3のエリアに対応する第1のエリアの内容を事後的に閲覧できるようになる。このため、操作者は、この所定の画像により復習をさらに効率良く行うことができる。
【0011】
また、上記アーカイブシステムにおいて、各ノート用紙には、前記所定の再生時間帯における前記部分情報、及び、前記第1のエリアの内容の同時再生を指示する第4のエリアがさらに設けられており、前記第1の端末は、前記通信手段に受信された記入情報が、第4のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記アーカイブ再生手段及び前記ノート記入再生手段は同期して再生の制御をそれぞれ実行するように構成するとよい。
この構成によれば、第1のエリアにはさらに第4のエリアが対応付けられているため、端末の操作者は、電子ペンを第4のエリアにタップさせるといった直観的かつ簡便な操作をするだけで、同一の再生時間帯における部分情報と第1のエリアの内容とを同時に同期して閲覧することができるようになる。このため、操作者は、この所定の画像により復習をさらに一段と効率良く行うことができる。
【0012】
また、上記アーカイブシステムにおいて、前記サーバは、教材コンテンツを表示する第2の端末と接続され、前記サーバは、所定の画像に関する情報として、第2の端末において表示された教材コンテンツの表示に関する情報を記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における教材コンテンツの表示に関する情報を部分情報として送信するよう構成するとよい。
この構成によれば、サーバは、第2の端末において表示された教材コンテンツの表示に関する情報を記憶し、第1の端末からの要求に応じて、所定の再生時間帯における教材コンテンツの表示に関する情報を部分情報として第2の端末へ送信し、第1の端末は、その部分情報を再生する。従って、操作者は、第2又は第4のエリアへの電子ペンのタップにより、教材コンテンツの画像を再生させて、復習をさらに一段と効率良く行うことができる。
【0013】
さらに、上記アーカイブシステムにおいて、前記第2の端末には、表示画像をスクリーンに投影するプロジェクターが接続されており、前記第2の端末は、前記スクリーンへのペンによる記入に応じたストロークを前記教材コンテンツの表示に重ねて描画し、前記サーバは、所定の画像に関する情報として、ストロークが重ねて描画された教材コンテンツの表示に関する情報を第2の端末から受信して記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における、ストロークが重ねて描画された教材コンテンツの表示に関する情報を部分情報として送信するよう構成するとよい。
この構成によれば、第2の端末での表示画像は、プロジェクターによりスクリーンに投影され、スクリーンへのペンによる記入に応じたストロークも教材コンテンツの表示に重ねて描画されるため、結果として、描画されたストロークもスクリーンに投影されている。従って、教材コンテンツやそれへの描画ストロークが受講者に見やすくなっている。さらには、ストロークが重ねて描画された教材コンテンツの表示画像が、第2の端末から送信により、サーバに記憶され、第1の端末からの要求に応じて、所定の再生時間帯における画像の情報が、第1の端末に送信されて再生される。そのため、操作者は、第2又は第4のエリアへの電子ペンのタップにより、ストロークの描画と合わせて教材コンテンツの画像を再生させて、復習をさらに一段と効率良く行うことができる。
【0014】
さらに、上記アーカイブシステムにおいて、前記サーバは、ビデオカメラと接続され、前記サーバは、所定の画像に関する情報として、前記ビデオカメラで撮像された画像情報を記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における画像情報を部分情報として送信するよう構成するとよい。
この構成により、ビデオカメラで撮像された授業の様子、例えば先生が教壇で示した標本などの画像が、サーバにより記憶され、第1の端末からの要求に応じて、所定の再生時間帯における画像の情報が、第1の端末に送信されて再生される。そのため、操作者は、第2又は第4のエリアへの電子ペンのタップにより、ビデオカメラにより撮像された画像を再生させて、復習をさらに一段と効率良く行うことができる。
【0015】
本発明に係る第1の端末及びそのプログラムの各々は、前記アーカイブシステムにおける前記第1の端末に対応する端末及びプログラムであり、上記作用効果を同様に奏することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、生徒等が、直感的かつ簡便な操作で、閲覧を所望する時間帯をきめ細かに設定し、設定した時間帯における授業の内容を事後的に閲覧できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態におけるアーカイブシステムの概要を示す図である。
【図2】ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。
【図3】(A)は、ドットパターンを模式的に示し、(B)は、それに対応する情報の例を示す図である。
【図4】電子ペンの構造を示す概略図である。
【図5】ノートファイルが開かれた直後にタブレットPCに表示される画像の例を示す模式図である。
【図6】ノートの各ページの一例を示す模式図である。
【図7】タブレットPCにおけるアーカイブ再生の表示例を示す模式図である。
【図8】タブレットPCにおけるノート記入再生の表示例を示す模式図である。
【図9】タブレットPCにおける同時再生の表示例を示す模式図である。
【図10】サーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図11】タブレットPCの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図12】タブレットPCにおける処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】再生選択の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
[アーカイブシステムの構成]
図1は、本実施形態におけるアーカイブシステムの概要を示す図である。
図1に示すように、本実施形態におけるアーカイブシステムは、教師が複数の生徒に対して授業をする学校の教室、及び複数の生徒の各々が授業の復習をする家等において、生徒等が利用できるように構築されている。
【0019】
学校の教室では、アーカイブシステムのうち、電子ペン1Tと、電子ペン1Sと、ドットスクリーン2と、ノートPC(Personal Computer)(第2の端末)3と、プロジェクター4と、カメラ5と、サーバ6と、タブレットPC7(第1の端末)と、電子ペン対応ノート8(以下、単に「ノート8」と呼ぶ)とが用いられる。
【0020】
教師は、電子ペン1Tを用いて、ドットパターンが印刷されたドットスクリーン2に対して、授業の内容(板書すべき内容)を、手書きのストローク群により記入する。電子ペン1Tからの記入情報は、Bluetooth(登録商標)により、ノートPC3に無線送信される。
【0021】
ノートPC3は、ドットスクリーン2に対して電子ペン1Tで記入されている際に当該電子ペン1Tから逐次送信されてくる記入情報を受信すると、これらの記入情報に基づいて、ドットスクリーン2に記入されたのと同様のストローク群を描画する。ノートPC3は、このようなストローク群をディスプレイに表示したり、ディスプレイの画像データをプロジェクター4に送信したり、ディスプレイの画像データやストローク群を示すデータをサーバ6に送信したりする。
そのため、ノートPC3が、予め保存してある電子教科書(教材コンテンツ)のデータを開いてディスプレイに表示させている状態のときには、その画像データがプロジェクター4に送信されるため、プロジェクター4により、ドットスクリーン2にその画像が投影される。このときに、ノートPC3は、電子ペン1Tから記入情報を受信している場合には、電子教科書の表示上に、その記入情報に基づいてストロークを描画していく様子を示すように電子教科書の画像データの一部としてストロークが描画された画像データを順次生成して、ディスプレイに順次表示する。その後、ノートPC3は、画像データ(電子教科書の画像と当該画像にストロークが描画された画像データ)をプロジェクター4及びサーバ6に順次送信する。また、ノートPC3への入力手段による操作により、表示画面上、電子教科書の頁めくりも可能となっている。
【0022】
プロジェクター4は、ノートPC3から送信されてきた描画ストロークを含む電子教科書の画像データに基づいて、当該画像データを動画像として表示したり、当該画像データを連続的に静止画像として表示したりするようにドットスクリーン2に投影する。
ここで、後述するドットパターンにより特定されるドットスクリーン2の座標と、プロジェクター4により投影されるディスプレイ画面の座標との対応関係(座標変換関数)がキャリブレーション処理により予め求められているものとする。従って、ドットスクリーン2に教師が電子ペン1Tを移動させた軌跡上(手書きのストローク群上)に、プロジェクター4によって、ディスプレイ上に描画されたストローク群が投影される。この場合、後述するように、電子ペン1Tにはインクカートリッジが設けられていないため、電子ペン1Tによる手書きの記入内容(移動軌跡)は、インクによりドットスクリーン2に直接的に描かれない。しかしながら、プロジェクター4はストローク群を適切な位置に投影させるので、当該ストローク群があたかもドットスクリーン2に描かれていくように生徒の眼には映る。
また、プロジェクター4は、教室の天井に固定されており、上方からドットスクリーン2に対して画像を投影する。このため、プロジェクター4とドットスクリーン2との間には、生徒等の障害物が存在することが殆どなく、障害物の陰がドットスクリーン2に投影されることが防止される。
【0023】
カメラ5は、学校の教室の後方等に設置され、ドットスクリーン2を含む教壇周辺を撮像することによって、教師とドットスクリーン2の様子が映った動画像(以下、「授業風景の動画像」と適宜呼ぶ)のデータを生成して、サーバ6に送信する。より詳細には、カメラ5は、録音機能も有しており、動画像を撮像している最中に録音した音声のデータも、動画像のデータと共にサーバ6に送信する。ただし、以下、説明の簡略上、音声と動画像の各データをあわせて、「動画像のデータ」と呼んで説明する。
また、カメラ5は、手操作、自動あるいは遠隔操作等により、教師の動きに追従して撮像動作を継続すると共に、ノートPC3や図示せぬコントローラにより、カメラ本体の角度や撮像範囲(ズームイン・ズームアウト)が適宜変更される。
【0024】
サーバ6は、学校内に設置されて、例えば、ノートPC3から送信されてくる、ドットスクリーン2に記入されたストローク群が重ねて描画された電子教科書の画像データなど、ディスプレイで表示された再生用の画像データを受信すると共に、カメラ5から送信されてくる動画像のデータを受信すると、これらのデータを同期付けて対応付けて記憶する。
【0025】
このようにして授業が行われている間、生徒は、電子ペン1Sを用いて、ドットパターンが印刷されたノート8に対して、ドットスクリーン2に投影されたストローク群(板書)等、授業の重要な事項等を、手書きのストローク群により記入する。電子ペン1Sからの記入情報は、Bluetooth(登録商標)により、タブレットPC7に無線送信される。
【0026】
タブレットPC7は、ノート8に対して電子ペン1Sで記入されている際に当該電子ペン1Sから逐次送信されてくる記入情報を受信すると、これらの記入情報に基づいて、ストローク群を描画する。タブレットPC7は、このようなストローク群をディスプレイに表示したり、当該ストローク群を示すデータを記憶したりする。
【0027】
ノート8は、ページごとに異なる座標範囲のドットパターンが形成された複数のノート用紙を有するノートである。ノート8の各ページ(各ノート用紙)の具体例については、図6を参照して後述する。
【0028】
授業の後に生徒が当該授業の復習をする場所、例えば当該生徒の家等では、アーカイブシステムのうち、電子ペン1Sと、タブレットPC7と、ノート8とが用いられる。
【0029】
生徒は、ノート8のうち、復習対象の授業の内容が記入されたページを開き、当該ページを電子ペン1Sでタップ(ノート8への軽叩)する。
タブレットPC7は、ノート8に対して電子ペン1Sでタップされた際に当該電子ペン1Sから送信された記入情報を受信すると、当該記入情報に基づいて、ノート8がタップされた位置を認識し、認識した位置により特定されるデータの取得要求を生成する。
詳細については後述するが、取得要求がなされるデータとは、タップされたページが記入対象となっていた際の授業に関するデータのうち、当該ページに手書きのストローク群が記入された時間帯(以下、「記入時間帯」と呼ぶ)を含む所定の時間帯のデータである。授業に関するデータとは、カメラ5により撮像されてサーバ6に記憶された授業風景の動画像のデータや、ノートPC3から送信されてサーバ6に記憶されたデータであって、ディスプレイで表示され、プロジェクター4により投影された再生用の画像データ(電子ペン1Tによるストローク群が重ねて描画された電子教科書の画像データや、記入情報を受信しない場合の電子教科書の再生用画像データ、電子教科書が開かれていない場合の電子ペン1Tからの記入情報に基づいて描画されたストロークの再生用データも含む)、タブレットPC7に記憶された、電子ペン1Sによるストローク群を示すデータなどの総称をいう。即ち、これらのうち、少なくとも1種類のデータの取得要求がなされることになる。
【0030】
取得要求がなされたデータの中に、タブレットPC7に記憶された、電子ペン1Sによるストローク群を示すデータが含まれる場合、取得要求は、タブレットPC7自身に対してなされることになる。
この場合、タブレットPC7は、当該データを内部から読み出して、ストローク群を描画して、ディスプレイに表示する。
【0031】
一方、取得要求がなされたデータの中に、サーバ6に記憶されたデータ、即ち授業風景の動画像のデータ、又はディスプレイに表示された再生用の画像データが含まれる場合、取得要求は、タブレットPC7からサーバ6に対してなされることになる。
従って、この取得要求がサーバ6に伝送されるように、タブレットPC7とサーバ6とは、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続される。
この場合、タブレットPC7のネットワークNへの接続の形態は、特に限定されず、例えば図1に示すように、LAN(Local Area Network)ケーブル等での有線による接続の形態を採用してもよいし、無線基地局9又は無線LAN Wi−Fi(wireless fidelity)等での無線による接続の形態を採用してもよい。タブレットPC7がサーバ6付近にある場合には、取得要求は、ネットワークNを介さずしてサーバ6に受信されてもよい。サーバ6は、当該取得要求で要求されているデータを読み出して、ネットワークNを介してタブレットPC7に送信する。タブレットPC7は、取得要求で要求されるデータに応じて、授業風景の動画像のデータを受信して、当該動画像をディスプレイに表示したり、ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2にプロジェクター4によって投影された画像データと同じ再生用の画像データを受信して、当該画像データから生成した当該動画像をディスプレイに表示したりする。
【0032】
生徒は、このようにして復習対象の授業の内容(板書の内容等)が記入されたノート8のページを電子ペン1Sでタップするだけで、当該ページの記入時間帯における授業の様子がタブレットPC7で再現されるので、効率良くかつ効果的な復習を行うことができる。なお、授業の様子とは、授業風景の動画像、ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2にプロジェクター4によって投影された再生用の動画像、及び生徒自身がノート8に記入したストローク群のうち少なくとも1つにより示される様子をいう。
【0033】
[ドットパターン]
次に、ドットスクリーン2及びノート8において使用されるドットパターンについて説明する。
図2は、ドットパターンのドットとそのドットが変換される値との関係を説明する図である。図2に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。即ち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、ドットスクリーン2やノート8のノート用紙上の位置座標が決定されるよう構成されている。
【0034】
図3(A)は、あるドットパターンの配列を示している。図3(A)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、ドットスクリーン2及びノート8のノート用紙上のどの部分から6×6ドットを取ってもユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは位置座標を保持している。図3(B)は、図3(A)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図2に示す規則性に基づいて対応付けられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1T又は電子ペン1Sによって行われる。
なお、以下、電子ペン1Tと電子ペン1Sとを、個々に区別する必要がない場合には、これらをまとめて「電子ペン1」と呼ぶ。
【0035】
[電子ペン]
次に電子ペン1について説明する。図4に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、インクカートリッジ104、LED105、CMOSカメラ106、圧力センサ107、CPU等により構成されるプロセッサ108、ROMやRAMといったメモリ109、リアルタイムクロック110、アンテナ等により構成される通信ユニット111及びバッテリー112を備える。
なお、電子ペン1Sは、図4に示す通り、インクカートリッジ104を有するが、電子ペン1Tは、インクカートリッジ104を有さず、その代替部材(インクを出力しないが、後述のペン先部103を有するもの)を有している。
インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、ユーザは、電子ペン1のペン先部103をドットスクリーン2やノート8のノート用紙上に当接させて、文字等のストローク(手書きのストローク)を記入したり、タップ(ペン先部103によるドットスクリーン2やノート8への軽叩)したりする。ここで、電子ペン1のペン先部103がドットスクリーン2やノート8のノート用紙に接触することをペンダウンと呼び、接触している(当接している)状態からペン先部103が離れることをペンアップと呼ぶ。電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に記入される軌跡が1つのストロークとなり、文字や図形等は、1つ又は複数個のストロークからなる。
また、電子ペン1Sの場合には、ペンダウンからペンアップまでにペン先部103からノート8のノート用紙上に流出するインクカートリッジ104のインクにより、ストロークと略同一軌道の軌跡がノート8上に描かれる。
【0036】
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものであり、例えば電子ペン1のキャップ(図示せず)の脱着により電子ペン1自体の電源のオン/オフを行うよう構成させてもよい。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、ユーザが電子ペン1によりドットスクリーン2やノート8のノート用紙に文字やマークを書いたりタップしたりする際にペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ伝送する。
【0037】
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105及びCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切り替える。即ち、ユーザが電子ペン1でドットスクリーン2やノート8に文字等を書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、ユーザが記入を開始したと判定して、LED105及びCMOSカメラ106を作動させる。そして、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンダウン情報と、後述するペンIDとを関連付けて、記入情報としてノートPC3やタブレットPC7へ送信する。また、ユーザが1つのストロークを記入し終えて電子ペン1をドットスクリーン2やノート8のノート用紙から離すと、圧力センサ107は、所定値以上の筆圧が検出されなくなることでペンアップを検出する。すると、通信ユニット111が、圧力センサ107により検出されたペンアップ情報とペンIDとを関連付けて、記入情報として、電子ペン1TはノートPC3へ、電子ペン1SはタブレットPC7へ送信する。
【0038】
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられており、筐体101におけるLED105及びCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、ドットスクリーン2やノート8のノート用紙上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照明する。その領域は、ペン先部103がドットスクリーン2やノート8のノート用紙に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106には、赤外線を透過し赤外線以外を遮断する赤外線透過フィルタが設けられており、CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。
ここで、ドットのインク素材は、赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットによって吸収される。そのため、ドットの部分は、赤外線の反射量が比較的少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が比較的多い。CMOSカメラ106の撮影により、赤外線の反射量の違いから閾値を設けることによって、ドットの領域とそれ以外の領域を区別することができる。なお、CMOSカメラ106による撮影領域は、図3(A)に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲であり、CMOSカメラ106の撮影は毎秒50〜100回程度の定間隔で行われる。また、CMOSカメラ106は、ドットを鮮明に撮影するため、十分な被写界深度を有している。
【0039】
プロセッサ108は、ユーザの記入が行われる間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、ユーザが記入するストローク(筆跡)のドットスクリーン2やノート8のノート用紙上におけるX,Y座標(単に「位置座標」、「座標情報」とも呼ぶ)を連続的に演算していく。即ち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給される、図3(A)に示されるようなドットパターンの画像データを図3(B)に示すデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値・Y座標ビット値に変換して、そのデータ配列から所定の演算方法によりX,Y座標データを演算する。なお、プロセッサ108は、ドットパターンに対向する電子ペン1の角度に起因するドットの画像上の配列を補正する回転補正処理機能を備えており、座標演算の際、その機能を実行させる。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)、筆圧データ及びX,Y座標データを関連付ける。以後、これらの関連付けたデータを、まとめて「座標属性情報」と呼ぶ。
【0040】
メモリ109には、電子ペン1を識別するための「pen01」といったペンID、ペン製造者番号、ペンソフトウェアのバージョン等のプロパティ情報が記憶されている。そして、通信ユニット111は、ペンIDと、座標属性情報(時刻情報と、筆圧データと、X、Y座標データ)とを関連付けて、記入情報としてノートPC3やタブレットPC7へ送信する。通信ユニット111によるノートPC3やタブレットPC7への送信は、Bluetooth(登録商標)等の無線送信によって、即時的かつ逐次的に行われる。ここで、電子ペン1のペンダウンからペンアップまでの間に生成されてノートPC3やタブレットPC7に送信された1個又は複数個の記入情報(座標属性情報)は、ノートPC3やタブレットPC7によりストローク情報として記憶される。換言すると、1つのストロークは、1個又は複数個のX,Y座標(座標点)に基づいて描画されるため、ノートPC3やタブレットPC7は、ペンダウン情報及びペンアップ情報によって、1つのストロークを描画するために必要な1個又は複数個の座標属性情報を認識する。このように、ユーザにおいて1つのストロークの記入により、電子ペン1によって生成される座標属性情報の集合を「ストローク情報」と呼ぶ。また、ペン先部103は、筆圧をインクカートリッジ104を介して圧力センサ107に伝達する。
【0041】
〔ノートとタブレットPC〕
図5は、ファイルが開かれた直後にタブレットPC7のディスプレイ7Dに表示される画像の例を示している。
図5(A)に示すように、ノート8の表紙81には科目シール82が貼り付けられており、当該科目シール82、及びそれが貼り付けられたノート8についてのファイル(タブレットPC7に記憶されているファイルであり、以下、「ノートファイル」と呼ぶ)には、例えば、「理科」という科目等が属性として既に設定されているものとする。即ち、「理科」という科目等の属性によって、科目シール82と、ノートファイルとが対応付けられているものとする。また、科目シール82には、科目(図5の例の場合は「理科」)を特定するためのドットパターンが印刷されているものとする。
この状態で、生徒が科目シール82に対して電子ペン1Sでタップすると、タブレットPC7は、電子ペン1Sから送信された記入情報を受信し、その記入情報に含まれる座標値が「理科」という科目を示すものと認識し、その「理科」の属性として既に設定されているノートファイルを開いて、図5(B)に示すように、タブレットPC7のディスプレイ7Dに「理科 NOTEBOOK」の文字を表示する。
【0042】
図6は、ノート8の見開き状態としたあるページの一例を示す模式図である。
ノート8は、図6に示すように見開き状態にした場合には、左側のページは、授業の講義に関する内容を記入するページ(以下、「授業用ページ」と呼ぶ)となり、右側のページは、授業で討論が導入された場合に当該討論に関する内容を記入するページ(以下、「討論用ページ」と呼ぶ)となる。
【0043】
授業用ページには、板書に関する記入エリア83と、自主演習/ノーティングに関する記入エリア84の2つのエリアとが設けられている。
【0044】
板書に関する記入エリア83には、板書エリア831(第1のエリア)と、アーカイブ再生指示エリア832(第2のエリア)と、ノート記入再生指示エリア833(第3のエリア)と、同時再生指示エリア834(第4のエリア)とが設けられる。
板書エリア831は、電子ペン1Sにより板書の内容が記入されるエリアであり、記入を補助する罫線が内部に引かれている。
アーカイブ再生指示エリア832は、生徒が電子ペン1Sでタップすることで、タブレットPC7に対して、板書エリア831に対して電子ペン1Sで記入していた時間帯におけるアーカイブ再生を行うように指示するエリアである。
ここでいうアーカイブ再生とは、授業風景の動画像、ノートPC3のディスプレイに表示されドットスクリーン2に投影された画像などのうち、少なくとも1種類をサーバ6から取得し再生することである。なお、両方再生させる場合には、タブレットPC7は、同期して再生させる。
ノート記入再生指示エリア833は、生徒が電子ペン1Sでタップすることで、タブレットPC7に対して、板書エリア831に対して記入したストロークを再生して描画するように指示するエリアである。
同時再生指示エリア834は、生徒が電子ペン1Sでタップすることで、タブレットPC7に対して、板書エリア831に対応する同時再生を行うように指示するエリアである。
ここでいう同時再生とは、アーカイブ再生及びノート記入再生を同時に同期させて実行することである。従って、生徒が電子ペン1Sで同時再生指示エリア834をタップすると、タブレットPC7は、板書エリア831に対して記入したストロークを再生して描画するともとに、それに同期させて、授業風景の動画像や、ノートPC3のディスプレイに表示されドットスクリーン2に投影された画像を再生させる。
【0045】
また、自主演習/ノーティングに関する記入エリア84は、自主演習/ノーティングエリア841(第1のエリア)と、アーカイブ再生指示エリア842(第2のエリア)と、ノート記入再生指示エリア843(第3のエリア)と、同時再生指示エリア844(第4のエリア)とが設けられる。
自主演習/ノーティングエリア841は、電子ペン1Sにより自主演習した内容やメモ等が記入されるエリアであり、記入を補助する罫線が内部に引かれている。
アーカイブ再生指示エリア842は、生徒が電子ペン1Sでタップすると、タブレットPC7に対して、自主演習/ノーティングエリア841に対して電子ペン1Sで記入していた時間帯におけるアーカイブ再生を、サーバ6から画像データ等を取得することで行うように指示するエリアである。
ノート記入再生指示エリア843は、生徒が電子ペン1Sによりタップすると、タブレットPC7に対して、自主演習/ノーティングエリア841に対して記入したストロークを再生して描画するように指示するエリアである。
同時再生指示エリア844は、生徒が電子ペン1Sによりタップすると、タブレットPC7に対して、自主演習/ノーティングエリア841に対応する同時再生を行うように指示するエリアである。
【0046】
一方、討論用ページは、討論の段階(初期段階、中間段階、最終段階)に応じた討論の内容が記入されるページである。
討論用ページは、討論の段階に応じて、それぞれ、理由と、討論の賛否(賛成or反対)とを記入するためのエリア85(第1のエリア)が設けられる。
エリア85には、討論の初期段階に記入対象となるエリアとして、「はじめの考え(自分の意見)」の項目のエリア851と、討論の賛否を選択的に記入するエリア852とが設けられる。
また、エリア85には、討論の中間段階に記入対象となるエリアとして、「とちゅうの考え(参照他人の意見)」の項目のエリア853と、討論の賛否を選択的に記入するエリア854とが設けられる。
また、エリア85には、討論の最終段階に記入対象となるエリアとして、「さいごの考え(自分の結論)」の項目のエリア855と、討論の賛否を選択的に記入するエリア856とが設けられる。
また、討論用ページには、討論の内容を記入するエリア85の他に、当該エリアに対して電子ペン1Sで記入していた時間帯における再生を指示するための、アーカイブ再生指示エリア857(第2のエリア)と、ノート記入再生指示エリア858(第3のエリア)と、同時再生指示エリア859(第4のエリア)とが設けられる。
【0047】
例えば「○○市は、ゴミの分別をすべきか」という討論を行った場合には、討論用ページが記入対象になる。
生徒は、討論の初期段階では、自分の意見として「ゴミの分別は面倒くさい」という主張を所望した場合、電子ペン1Sを用いて、エリア851に「ゴミの分別はめんどくさい。」という記入をし、エリア852の「反対」の文字を丸で囲むような記入をする。
また、討論の中間段階では、他人の意見として「リサイクルによって資源の少ない日本が救われる」という主張がなされて、その主張に生徒が賛成する場合、生徒は、電子ペン1Sを用いて、エリア853に「リサイクルによって資源の少ない日本が救われる。」という記入をし、エリア854の「賛成」の文字を丸で囲むような記入をする。
また、討論の最終段階では、生徒は、自分の結論として「レアアース問題もあるので、やはり分別した方がよい」という主張をすることにした場合、電子ペン1Sを用いて、エリア855に「レアアース問題もあるので、やはり分別した方がよい。」という記入をし、エリア856の「賛成」の文字を丸で囲むような記入をする。
【0048】
次に、図7乃至図9を参照してタブレットPC7における各種再生(アーカイブ再生、ノート記入再生及び同時再生)の表示例について説明する。
図7は、タブレットPC7におけるアーカイブ再生の表示例を示す模式図である。
アーカイブ再生では、タブレットPC7のディスプレイ7Dには、図7に示すように、授業風景動画再生エリア714と、板書再生エリア715と、再生状態表示エリア716とが設けられる。
タブレットPC7は、授業風景動画再生エリア714に、サーバ6から取得した授業風景の動画像を再生して表示する。
タブレットPC7は、板書再生エリア715に、授業風景の動画像と同期して、ノートPC3のディスプレイに表示されドットスクリーン2に対してドットスクリーン2に投影された画像をサーバ6から取得して、再生し、表示する。このとき、板書再生エリア715には、当該板書がなされていたときにドットスクリーン2に投影されていた電子教科書の内容や、その電子教科書上に電子ペン1Tにより板書がなされてストロークが描画されていく様子を示す動画像が、表示される。
また、タブレットPC7は、再生状態表示エリア716に、バー716aと、ポイント716bと、ソフトウェアボタン716cと、ボックス716dとを表示する。
バー716aは、アーカイブ再生の再生時間帯を示す。即ち、バー716aのうち、左端が再生開始時刻を示し、右端が再生終了時刻を示している。本実施形態では、ノート8における所定のページのうち、アーカイブ再生指示エリア832等が電子ペン1Sでタップされると、タブレットPC7は、当該所定のページにおける板書エリア831等の記入時間帯が、少なくとも再生時間帯内に含まれるように設定する。
ポイント716bは、現時点の再生位置(時刻)を示す。
ソフトウェアボタン716cは、各種再生操作をするために生徒により押下操作され、タブレットPC7は、割り当てられた再生に関する各種指令を発行し、再生を制御する。
ボックス716dには、再生速度が表示される。即ち、本実施形態では、タブレットPC7は、再生速度を可変に設定できる。
【0049】
図7に示す例では、理科のノート8において、所定のページのアーカイブ再生指示エリア832が電子ペン1Sでタップされたため、タブレットPC7は、当該アーカイブ再生指示エリア832に対応する板書エリア831にストローク群が記入されていた時間帯、即ち板書エリア831の記入時間帯を含むように再生時間帯を記入情報に含まれる時刻情報から認識し設定する。そして、タブレットPC7は、当該再生時間帯における授業風景の動画像やノートPC3のディスプレイに表示された画像データをサーバ6に要求し、サーバ6から取得した動画像データ等を、タブレットPC7のディスプレイ7Dに同期させて再生する。
図7に示す例では、授業風景動画再生エリア714には、教師がハ虫類の例示であるヘビの標本を手にとってヘビの説明を行っている様子が映し出され、板書再生エリア715には、「ハ虫類 例えば、ヘビ 両生類 例えば、カエル」という板書が表示されている。
【0050】
図8は、タブレットPC7におけるノート記入再生の表示例を示す模式図である。
図8に示すように、ノート記入再生では、タブレットPC7は、ディスプレイ7Dに、ノート記入再生エリア717と、再生状態表示エリア718とを設ける。
そして、タブレットPC7は、ノート記入再生エリア717に、ノート8に対して、生徒が電子ペン1Sを用いて記入したストロークを記憶した記入情報に基づいて描画して再生する。
再生状態表示エリア718には、バー718aと、ポイント718bと、ソフトウェアボタン718cと、ボックス718dとが表示される。なお、再生状態表示エリア718は、図7の再生状態表示エリア716に対応するものであるため、ここではその説明は省略する。
【0051】
図8に示す例では、図7の例と同様のページにおいて、ノート記入再生指示エリア833が電子ペン1Sでタップされたため、タブレットPC7は、当該ノート記入再生指示エリア833に対応する板書エリア831にストローク群が記入された時間帯、即ち板書エリア831の記入時間帯を含むように再生時間帯を設定する。そして、タブレットPC7は、当該再生時間帯において板書エリア831に記入されたストローク群を、記憶した記入情報に基づいて、ディスプレイ7Dに再生する。
図8に示す例では、ノート記入再生エリア717には、「ハ虫類 例えば ヘビ」と書きかけの「両生」の文字列を示すストローク群が表示されている。
【0052】
図9は、タブレットPC7における同時再生の表示例を示す模式図である。
同時再生では、タブレットPC7は、ディスプレイ7Dに、図9に示すように、授業風景動画再生エリア719と、板書再生エリア720と、ノート記入再生エリア721と、再生状態表示エリア722とを設ける。
タブレットPC7は、授業風景動画再生エリア719に、サーバ6から取得した授業風景の動画像を再生して表示する。
タブレットPC7は、板書再生エリア720に、授業風景の動画像と同期して、ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2に投影された画像を、サーバ6から取得し、再生して表示する。
また、タブレットPC7は、ノート記入再生エリア721に、授業風景の動画像と同期して、ノート8のノート用紙に対して、生徒が電子ペン1Sを用いて記入したストロークを、記憶している記入情報に基づいて、描画して再生表示する。
タブレットPC7は、再生状態表示エリア722に、バー722aと、ポイント722bと、ソフトウェアボタン722cと、ボックス722dとを表示する。なお、再生状態表示エリア722は、図7の再生状態表示エリア716に対応するものであるため、ここではその説明は省略する。
【0053】
図9に示す例では、図7の例と同様のページにおいて、同時再生指示エリア834が電子ペン1Sでタップされたため、タブレットPC7は、当該同時再生指示エリア834に対応する板書エリア831にストローク群が記入されていた時間帯、即ち板書エリア831の記入時間帯を含むように再生時間帯を設定する。そして、当該再生時間帯における、授業風景の動画像等と、板書エリア831に記入されたストローク群とを同時に同期させて再生する。
また、図9に示す例では、授業風景動画再生エリア719には、教師がハ虫類の例示であるヘビの標本を手にとってヘビの説明を行っている様子が映し出されている。板書再生エリア720には、「ハ虫類 例えば、ヘビ 両生類 例えば、カエル」という板書が表示されている。ノート記入再生エリア721には、「ハ虫類 例えば ヘビ」と書きかけの「両生」の文字を示すストローク群が表示されている。
【0054】
このようなアーカイブシステムは、主に授業中において、生徒の復習時に提示される各種データを生成するために、サーバ6及びタブレットPC7によりデータ生成処理が実行される。また、主に生徒の復習時等において、データ生成処理により生成されたデータを再生するために、タブレットPC7によりデータ再生処理を実行する。
【0055】
[サーバ]
サーバ6は、データ生成処理を実行するために、ハードウェアとして、ノートPC3やカメラ5とデータ通信可能なデータ通信装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、ディスプレイ、マウス、キーボード等を含むコンピュータ装置等で構成される。
【0056】
図10は、サーバ6の機能的構成を示す機能ブロック図である。
サーバ6は、図9に示すように、機能的には、入力手段61と、通信手段62と、記憶手段63と、出力手段64と、処理手段65とを備える。
【0057】
入力手段61は、マウスやキーボード等により構成され、ユーザの操作に応じた各種情報を入力し、処理手段65に供給する。
通信手段62は、データ通信回路等により構成され、カメラ5やノートPC3からのデータを受信して、処理手段65に供給したり、処理手段65からの指示により外部機器にデータを送信したりする。具体的には、通信手段62は、カメラ5から送信される授業風景の動画像のデータや、ノートPC3から送信される画像データ(ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2に投影された画像データと同じ画像データ)等の各種データを処理手段65に供給する。
記憶手段63は、処理手段65の処理命令により、各種データを記憶する。具体的には、記憶手段63は、例えば、授業風景の動画像のデータ、動画像のデータ(ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2に投影された画像データと同じ画像データを動画像にした画像データ)等の各種データを記憶する。
出力手段64は、ディスプレイ等を含むように構成され、処理手段65により指示された内容を画像として表示したりする。
【0058】
処理手段65は、入力手段61、通信手段62、記憶手段63、出力手段64を制御して各種情報を授受することで、各種の処理を実行する。処理手段65は、主に、主制御手段651と、撮像制御手段652と、動画データ取得手段653と、同期手段654と、記憶制御手段655とを備える。
主制御手段651は、各種汎用的な機能を実現する処理を含む各種処理を実行する。
撮像制御手段652は、通信手段62を介して、接続されるカメラ5の撮像動作、即ち教壇にいる先生の動きにカメラ本体の向きを追従させたり、レンズフォーカスでズームイン・ズームアウトさせたりするなど、授業風景の動画像の撮像動作を制御する。なお、入力手段61の操作により、撮像制御手段652を介して、撮像動作を制御してもよい。
動画データ取得手段653は、通信手段62を介して、授業風景の動画像のデータをカメラ5から取得したり、プロジェクター4で投影に用いられた画像データ(ノートPC3のディスプレイに表示され、ドットスクリーン2に投影された画像データ)と同じ画像データを動画像のデータとして取得したりする。なお、ノートPC3から送信される画像データには、電子教科書の画像のデータと共に、電子ペン1Tにより描画された場合には、描画されたストローク群の画像も画像データに含まれている。
同期手段654は、動画データ取得手段653により取得された各種動画像のデータをサーバ6の時間と同期させる。また、同期の手法は、再生時に各データの時間的な同期が取れている手法であれば足りる。例えば、データの生成前に、アーカイブシステムの各構成要素(少なくとも、電子ペン1、ノートPC3、カメラ5、及びサーバ6)に内蔵されるクロックの時刻を同期させる手法を採用してもよいし、或いは、データの生成後に、各データに付加される時間情報(例えばフレームの表示時刻を示す情報等)を更新することで同期を取る手法を採用してもよいが、前者の方が望ましい。
記憶制御手段655は、例えば1つの授業を単位として、動画データ取得手段653により取得された各種動画像のデータを記憶手段63に記憶させる制御を実行する。
【0059】
[タブレットPC]
タブレットPC7は、データ生成処理及びデータ再生処理を実行するために、ハードウェアとして、サーバ6とデータ通信可能なデータ通信装置、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリ、タッチパネル、ディスプレイ等を含むコンピュータ装置等で構成される。
【0060】
図11は、タブレットPC7の機能的構成を示す機能ブロック図である。
タブレットPC7は、図11に示すように、機能的には、入力手段71と、通信手段72と、記憶手段73と、出力手段74と、処理手段75とを備える。
【0061】
入力手段71は、タッチパネル等により構成され、出力手段74の少なくとも一部としてのディスプレイに積層される。入力手段71としてのタッチパネル(表示面)は、ユーザが指を接触させる操作に伴い、当該タッチパネル上の位置情報を検出し、処理手段75に供給する。
通信手段72は、サーバ6及び電子ペン1Sと通信可能に構成される。具体的には、通信手段72は、図1に示すように、LANケーブル等での有線接続、無線基地局9やあるいは無線LAN Wi−Fi等での無線接続等のルートでネットワークNに接続可能であり、これらのうちの何れかの方法でネットワークNに接続すると、当該ネットワークNを介してサーバ6と通信する。また、通信手段72は、Bluetooth(登録商標)により、電子ペン1Sから記入情報を受信する。
記憶手段73は、処理手段75の処理命令により、各種データを記憶する。具体的には、記憶手段73は、例えば、ノート8のノート用紙への電子ペン1Sによる記入により生成された記入情報から得られたストローク情報群等の各種データを記憶する。
出力手段74は、ディスプレイ等を含むように構成され、処理手段75により指示された内容を画像として表示したりする。
【0062】
処理手段75は、入力手段71、通信手段72、記憶手段73、出力手段74を制御して各種情報を授受することで、各種の処理を実行する。
処理手段75は、主に、主制御手段751と、記入情報取得手段752と、データ生成手段753と、アーカイブ再生手段754と、ノート記入再生手段755と、モード切替手段756とを備える。
【0063】
データ生成処理が実行される場合には、主に、主制御手段751と、記入情報取得手段752と、データ生成手段753とが機能する。
主制御手段751は、各種汎用的な機能を実現する処理を含む各種処理を実行する。
記入情報取得手段752は、授業中に生徒が電子ペン1Sでノート8に記入している際に、当該電子ペン1から逐次送信されてくる記入情報を、通信手段72を介して取得する。
データ生成手段753は、記入情報取得手段752により逐次取得される記入情報に基づいて、生徒が電子ペン1Sでノート8に記入した内容を示すストローク群を描画することによって、当該ストローク群を示すストローク情報群を生成し、記憶手段73に記憶させる。
具体的には、データ生成手段753は、ストローク描画手段7531と、出力制御手段7532と、記憶制御手段7533とを備える。
ストローク描画手段7531は、記入情報取得手段752により取得された電子ペン1Sからの記入情報に含まれる座標情報を、ディスプレイ等の出力手段74の座標系に変換し、ペンダウンからペンアップまでのストロークの単位で、ストロークを描画する。このとき、ストローク描画手段7531は、当該ストロークを示すストローク情報を生成する。
出力制御手段7532は、ストローク描画手段7531によって描画されたストロークを画像として出力手段74から表示出力させる制御を実行する。
記憶制御手段7533は、ストローク描画手段7531によって生成されたストローク情報を記憶手段73に記憶させる制御を実行する。ここで、ストロークが描画された時刻を示す時間情報は、各記入情報に含まれており、本実施形態では、記憶制御手段7533は、ストローク情報の一部として記憶手段73に併せて記憶する。また、記憶制御手段7533は、この場合の記憶の単位(まとまり)として、ノート8における各ページに設けられた所定のエリアごととする。例えば板書エリア831に記入された分のストローク情報群が1単位となり、当該1単位内のストローク群の各々が描画された時刻を示す時間情報が含められて記憶手段73に記憶される。これにより、各エリア(板書エリア831等)の記入時間帯が事後的に容易に特定可能になる。
【0064】
このように、データ生成処理が実行される場合には、主に、主制御手段751と、記入情報取得手段752と、データ生成手段753とが機能する。
これに対して、データ再生処理が実行される場合には、主に、主制御手段751と、記入情報取得手段752と、アーカイブ再生手段754と、ノート記入再生手段755とが機能する。
【0065】
記入情報取得手段752は、ノート8の所定のページにおいて、アーカイブ再生指示エリア832が電子ペン1Sによりタップされると、その際に当該電子ペン1から送信されてきた記入情報を、通信手段72を介して取得する。
【0066】
ノート8における所定のページのアーカイブ再生指示エリア832,842,857等が電子ペン1Sによりタップされると、後述するモード切替手段756のモード切替により、アーカイブ再生手段754が機能して、アーカイブ再生が実行される。
アーカイブ再生手段754は、アーカイブ再生を実行すべく、時刻抽出手段7541と、データ要求手段7542と、データ取得手段7543と、出力制御手段7544とを備える。
時刻抽出手段7541は、電子ペン1Sのタップにより取得された記入情報に基づいて、タップされたエリアに対応する記入エリア(板書エリア831、自主演習/ノーティングエリア841、討論エリア85等)に記入されることで得られたストローク情報群と対応付けられた時間情報を記憶手段73から読み出す。そして、時刻抽出手段7541は、当該時間情報から、再生時間帯を特定する再生開始時刻及び再生終了時刻を抽出する。ここで、再生開始時刻とは、アーカイブ再生の開始時刻をいい、当該記入エリア(板書エリア831等)に対する記入が開始した時刻以前であれば足りる。また、再生終了時刻とは、当該アーカイブ再生の終了時刻をいい、当該記入エリア(板書エリア831等)に対する記入が終了(最後に記入)した時刻以降であれば足りる。即ち、再生開始時刻から再生終了時刻までの再生時間帯の中に、記入エリア(板書エリア831等)の記入時間帯が含まれていれば足りる。
データ要求手段7542は、時刻抽出手段7541により抽出された再生開始時刻から再生終了時刻までを再生時間帯として、再生時間帯のアーカイブデータ再生用データの取得要求を、通信手段72及びネットワークNを介してサーバ6に送信する。
データ取得手段7543は、取得要求を受けてサーバ6から送信されてきたアーカイブデータ再生用データを、ネットワークN及び通信手段72を介して取得する。
ここで、アーカイブデータ再生用データとは、サーバ6の記憶手段63に記憶されているデータ、即ち授業風景の動画像データ、ノートPC3から送信されてきた画像データ(電子教科書の画像上に電子ペン1Tで描かれたストロークが描画された動画像データ)等を意味する。
出力制御手段7544は、データ取得手段7543により取得されたアーカイブデータ再生用データを出力手段74から再生出力(表示出力及び音声出力)するように制御する。即ち、出力制御手段7544は、授業風景の動画像のデータ、ノートPC3から送信されてきた画像データのそれぞれを同時に同期して出力手段74から再生表示するように制御する。
【0067】
ノート記入再生手段755は、ノート記入再生を実行すべく、時刻抽出手段7551と、データ取得手段7552と、出力制御手段7553とを備える。
時刻抽出手段7551は、電子ペン1Sのタップにより取得された記入情報に基づいて、タップされたエリアに対応する記入エリア(板書エリア831等)に記入されることで得られたストローク情報群と対応付けられた時間情報を記憶手段73から読み出し、当該時間情報から、再生時間帯を特定する再生開始時刻及び再生終了時刻を抽出する。ここにおける再生開始時刻も、当該記入エリアに対する記入が開始した時刻以前であれば足り、再生終了時刻も、当該記入エリアに対する記入が終了(最後に記入)した時刻以降であれば足りる。
データ取得手段7552は、再生時間帯のノート記入再生用データを、記憶手段73から取得する。従って結局、ノート記入再生用データは、ノート8の当該記入エリアに記入された記入内容を示すストローク情報群となる。
なお、時刻抽出手段7551がなく、再生時間帯が特定できなくとも、データ取得手段7552は、タップされたエリアに対応する記入エリアに記入されることで得られたストローク情報群を直接、記憶手段73から読み出して取得してもよい。
出力制御手段7553は、データ取得手段7552により取得されたノート記入再生用データを出力手段74から再生出力(表示出力)するように制御する。
【0068】
ノート8における所定の記入エリアの同時再生指示エリア834,844,859等が電子ペン1Sによりタップされると、タブレットPC7は、アーカイブ再生手段754と、ノート記入再生手段755を機能させて、アーカイブ再生とノート記入再生とを同期して行う。
【0069】
以上のようなデータ生成処理とデータ再生処理との切り替えがなされる場合には、主に、主制御手段751と、モード切替手段756とが機能する。
モード切替手段756は、記入情報取得手段752により取得された記入情報のデータに基づいて、モードを切り替える。
具体的には、モード切替手段756は、データを生成するモードと、アーカイブを再生するモードと、ノート記入を再生するモードのうち指示されたモードに切り替える。即ち、モード切替手段756によりデータを生成するモードに切り換えられた場合には、データ生成処理が実行される。一方で、モード切替手段756によりアーカイブを再生するモード、又はノート記入を再生するモードに切り替えられた場合には、データ再生処理が実行される。ただし、アーカイブを再生するモードに切り換えられた場合には、アーカイブ再生手段754が機能し、ノート記入を再生するモードに切り替えられた場合には、ノート記入再生手段755が機能する。
【0070】
[タブレットPCにおける処理の動作]
図12は、タブレットPC7が実行する記入実行処理の流れを示すフローチャートである。なお、本例においては、説明の簡略上、電子ペン1の操作対象が、ノート8のうち、板書に関する記入エリア83に限定されているが、他のエリアの場合も基本的に同様の処理が実行されることは言うまでもない。
記入実行処理とは、電子ペン1からの指示により、タブレットPC7における各種動作を実行する処理である。記入実行処理は、上述したデータ生成処理とデータ再生処理とが組み合わさったものである。
【0071】
主制御手段751は、記入情報の受信・記憶をする(ステップS1)。詳細には、主制御手段751は、通信手段72を介して、電子ペン1から送信される記入情報を受信する。その後、主制御手段651は、受信した記入情報を記憶手段73に記憶させる。
【0072】
モード切替手段756は、記入エリア/アーカイブ再生/ノート記入再生/同時再生のモードを切り替える(ステップS2)。詳細には、モード切替手段756は、記憶した記入情報が、板書エリア831(本例の記入エリア)での記入情報であるか、アーカイブ再生指示エリア832での記入情報であるか、ノート記入再生指示エリア833での記入情報であるか、同時再生指示エリア834での記入情報であるかを記入情報に含まれる座標データを参照して判断して、対応するモードの切り替えを行う。
受信した記入情報が記入エリア(板書エリア831,自主演習/ノーティングエリア841,または討論エリア85)での記入情報である場合(ステップS2:記入エリア)には、処理はステップS3に進み、データ生成処理が実行される。
受信した記入情報がアーカイブ再生指示エリア832,842,または857での記入情報である場合(ステップS2:アーカイブ再生)には、処理はステップS4に進み、データ再生処理が実行されて、アーカイブ再生がなされる。
受信した記入情報がノート記入再生指示エリア833,843,または858での記入情報である場合(ステップS2:ノート記入再生)には、処理はステップS5に進み、データ再生処理が実行されて、ノート記入再生がなされる。
記憶した記入情報が同時再生指示エリア834,844,または859での記入情報である場合(ステップS2:記入エリア)には、処理はステップS4及びステップS5に進み、データ再生処理が実行されて、アーカイブ再生及びノート記入再生の同時再生がなされる。なお、アーカイブ再生及びノート記入再生は同期して行われる。
【0073】
記入情報が記入エリア831,841,または85での記入情報である場合には、データ生成手段753は、対応する科目ノートファイルのノート8における対応する記入エリアへの記入として、ストロークを描画して表示し、記憶する(ステップS3)。その後、処理は終了する。
【0074】
記入情報がアーカイブ再生指示エリア832,842,または857での記入情報である場合には、アーカイブ再生手段754は、対応する記入エリア831,841,または85に記入していた時刻帯(記入時間帯)における授業の様子を示すデータ(例えば、授業風景の動画像、ノートPC3から受信した画像データのうちの、一部分の部分データ)をサーバ6から呼び出して、同時に同期して再生出力する(ステップS4)。その後、処理は終了する。
【0075】
記入情報がノート記入再生指示エリア833,843,または858での記入情報である場合には、ノート記入再生手段755は、対応する記入エリア831,841,または85に電子ペン1で記入していたストロークを再生出力する(ステップS5)。その後、処理は終了する。
【0076】
記入情報が同時再生指示エリア834,844,または859での記入情報である場合には、ステップS4及びステップS5の処理が同時に行われる。即ち、アーカイブ再生手段754及びノート記入再生手段755とは、対応する記入エリア831,841,または85に記入していた時刻帯における授業の様子を示すデータ及び対応する記入エリアに記入していた時刻帯における電子ペン1のストロークを同時に同期して再生出力する。その後、処理は終了する。
【0077】
[本実施形態による作用効果]
以上説明したように本実施形態によれば、アーカイブシステムを利用する生徒は、電子ペン1Sを用いてノート8に板書を記入する。その後、生徒は、復習を行いたいノート8のアーカイブ再生指示エリア832,842,857、ノート記入再生指示エリア833,843,858、または同時再生指示エリア834,844,859をタップすることで、タブレットPC7により、対応する記入エリアに電子ペン1Sで記入された時刻帯おける授業に関する情報が再生される。生徒は、提示された情報を閲覧することで、授業の復習を行うことができる。
このように、生徒は、授業に関する情報が記憶されるサーバ6等に対して、復習を行いたいデータを直接検索等することなく、直感的かつ簡便な操作のみで、所望の時間帯における授業に関する情報を事後的に閲覧することができる。
【0078】
[変形例]
図13は、再生の選択の変形例を示す模式図である。
上述の実施形態においては、ノート8の何れかの再生指示エリア(アーカイブ再生指示エリア、ノート記入再生指示エリア、同時再生指示エリア)を電子ペン1でタップするように構成したが、本変形例では、タブレットPC7で再生指示ができるように構成される。
図13に示す例では、タブレットPC7での再生選択画面を示している。この場合、タブレットPC7は、科目ごとに対応したノートの記入エリアに電子ペン1Sで記入された情報を、科目や記入エリアを区別して記憶する。
また、図13に示す例では、画面には、再生可能な日付(7月12日、7月13日、7月14日)が表示されており、中央の日付においては、さらに詳細に再生可能な時間割と記入エリアに対応した再生可能なソフトウェアボタン732a、732b、732cが表示されている。画面上部には、戻るボタン731Rと、進むボタン731Fがあり、当該ソフトウェアボタンをタップすることにより、再生選択可能な日付を戻したり、進めたりすることができる。ソフトウェアボタン732aは、アーカイブ再生指示ボタンとなっており、ソフトウェアボタン732bは、ノート記入再生指示ボタンとなっており、ソフトウェアボタン732bは、同時再生指示ボタンとなっている。
また、図13に示す例では、2011年7月13日(水)において、再生指示可能なソフトウェアボタンが時間割順に表示されている。
また、図13に示す例では、2011年7月13日(水)の1時限(社会)、2時限(理科)及び3時限(数学)の再選択が可能な画面が表示されている。この際、図中、左側に示すスクロールバー下の三角印の▽をタップすることで、3限以降の時限についても選択することができる。
このように構成されるアーカイブシステムは、生徒に対して、タブレットPC7に復習可能な授業の表示を行うために、生徒が表示された授業の中から復習したい授業を選択すれば記入エリアごとに授業に関する情報を閲覧することができる。このため、生徒は、簡単に復習したい授業を探し出すことができる。
【0079】
また、上述した実施形態では、ドットスクリーン2と電子ペン1を用いたがこれに限られない。教師の板書をデータ化して取得することができる構成であればよく、例えば、感圧式又は電磁式の電子黒板や電子白板と、当該電子黒板に対応する筆記具(ペン)を用いて構成してもよい。
【0080】
また、上述した実施形態では、学校に設置したサーバ6にカメラ5の映像等の授業に関するデータを記憶させたがこれに限られない。例えば、授業に関するデータをインターネットに接続されたサーバ6に記憶させるように構成してもよい。
【0081】
また、上述した実施形態では、記入情報の記入時間を基にして、記入開始時間から記入終了時間までの再生データを再生するように構成したがこれに限られない。ノート8への記入がされた時間帯に関連する話にはタイムラグがある。このために、記入がされた内容に対応する蓋然性が高い時間帯を再生させるように構成するために、当該タイムラグを考慮して、記入がされた時間帯とその前後の時間帯を含めて再生させるように構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、電子ペン1を用いる対象は、ノート8とされたが、特にこれに限られず、アノト式のドットパターンが印刷された任意の書き込み媒体であればよい。また、コード化パターンや、記入情報、電子ペン1は、アノト方式に限られなくともよい。
【0083】
また、上記実施形態では、アーカイブシステムは、学校で教師が生徒に授業をする行為に用いられていたが、特にこれに限定されず、企業内の研修など、所定の時間帯に行われる所定の行為に広く適用することができる。
【0084】
さらにまた、上記実施形態では、電子教科書の画像と、電子ペン1Tにより描画されたストロークとを、ノートPC3のディスプレイに表示された1つの画像データ(電子教科書の表示上に、電子ペン1Tにより描画されたストロークが表示される画像データ)として構成し、最終的に、経時的に連続して取得した複数の画像データから動画像のデータを生成するように構成したがこれに限られず、例えば、電子教科書の画像と、電子ペン1Tにより描画されたストロークの情報とを別々のデータ、即ち、電子教科書の画像データと、ストローク群の記入情報のデータの別々のデータとして取得し、最終的に、それぞれのデータを同期して再生することによって、1つの動画像を生成するように構成してもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、電子ペン1から送信された記入情報に含まれる時刻情報を元に、再生開始時刻及び再生終了時刻を抽出していたが、その代わりに、タブレットPC7が、記入情報を受信したときの時刻情報を記入情報に関連付けて記憶手段73に記憶し、時刻抽出手段7541,7551が再生開始時刻及び再生終了時刻を記入情報に関連づけられた受信時の時刻情報を基に決定してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1T、1S・・・電子ペン
3・・・ノートPC
4・・・プロジェクター
5・・・カメラ
6・・・サーバ
61・・・入力手段
62・・・通信手段
63・・・記憶手段
64・・・出力手段
65・・・処理手段
651・・・主制御手段
652・・・撮像制御手段
653・・・動画データ取得手段
654・・・同期手段
655・・・記憶制御手段
7・・・タブレットPC
71・・・入力手段
751・・・主制御手段
752・・・記入情報取得手段
753・・・データ生成手段
754・・・アーカイブ再生手段
755・・・ノート記入再生手段
756・・・モード切替手段
72・・・通信手段
73・・・記憶手段
74・・・出力手段
8・・・ノート
9・・・無線基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページごとに異なるコード化パターンが形成された複数のノート用紙を有するノートと、
コード化パターンを読み取り、コード化パターンに関する情報を記入情報として送信する電子ペンと、
所定の画像に関する経時的な情報を記憶するサーバと、
前記電子ペンから送信された記入情報を用いて所定の処理を実行する第1の端末と、
を備えるアーカイブシステムであって、
前記ノートの各ノート用紙には、前記電子ペンの記入対象となる第1のエリアと、前記所定の画像に関する情報のうち、第1のエリアの記入時間帯を含む所定の再生時間帯における部分情報の再生を指示する第2のエリアとが設けられており、
前記第1の端末は、
前記電子ペンから送信される記入情報、又は前記サーバから読み出されて送信される部分情報を受信する通信手段と、
第1のエリアに対する記入中に前記電子ペンから送信されて前記通信手段に受信された記入情報を、前記記入時間帯を特定可能な状態で記憶する記憶手段と、
前記通信手段に受信された記入情報が、第2のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記記憶手段に記憶された記入情報から、第2のエリアに対応する第1のエリアに記入された前記記入時間帯を特定し、前記記入時間帯を含む前記所定の再生時間帯における部分情報を前記サーバに要求して、前記サーバから送信された当該部分情報を前記通信手段に受信させ、前記部分情報を再生する制御を実行するアーカイブ再生手段と、
を備えることを特徴とするアーカイブシステム。
【請求項2】
前記ノートの各ノート用紙には、第1のエリアの内容の再生を指示する第3のエリアがさらに設けられており、
前記第1の端末は、
前記通信手段に受信された記入情報が、第3のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記記憶手段に記憶された記入情報の内容を再生する制御を実行するノート記入再生手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のアーカイブシステム。
【請求項3】
前記ノートの各ノート用紙には、前記所定の再生時間帯における前記部分情報、及び、第1のエリアの内容の同時再生を指示する第4のエリアがさらに設けられており、
前記第1の端末は、
前記通信手段に受信された記入情報が、第4のエリアに対して前記電子ペンによりタップがなされた際のものであると判定されると、前記アーカイブ再生手段及び前記ノート記入再生手段は同期して再生の制御をそれぞれ実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載のアーカイブシステム。
【請求項4】
前記サーバは、教材コンテンツを表示する第2の端末と接続され、
前記サーバは、所定の画像に関する情報として、第2の端末において表示された教材コンテンツの表示に関する情報を記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における教材コンテンツの表示に関する情報を部分情報として送信することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のアーカイブシステム。
【請求項5】
前記第2の端末には、表示画像をスクリーンに投影するプロジェクターが接続されており、
前記第2の端末は、前記スクリーンへのペンによる記入に応じたストロークを前記教材コンテンツの表示に重ねて描画し、
前記サーバは、所定の画像に関する情報として、ストロークが重ねて描画された教材コンテンツの表示に関する情報を第2の端末から受信して記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における、ストロークが重ねて描画された教材コンテンツの表示に関する情報を部分情報として送信することを特徴とする請求項4に記載のアーカイブシステム。
【請求項6】
前記サーバは、ビデオカメラと接続され、
前記サーバは、所定の画像に関する情報として、前記ビデオカメラで撮像された画像情報を記憶し、第1の端末からの要求に応じて、前記所定の再生時間帯における画像情報を部分情報として送信することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のアーカイブシステム。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のアーカイブシステムにおける第1の端末。
【請求項8】
請求項1〜6のうちいずれか一項に記載のアーカイブシステムにおける第1の端末として、コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−114334(P2013−114334A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257801(P2011−257801)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】