アースオーガ

【目的】内軸とこれに外嵌合される外軸との間の間隙部にセメントミルク等が侵入しないようにすること。
【構成】先端に掘削ヘッド５を取付けた内軸６と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根または掘削羽根７を取付けた中空外軸８とを、互いに独立して正逆転するが、両軸６，８一体に昇降するようにして支持リーダ２に配備し、内軸６の下端部に、中空外軸８の下端部８ａを経由して該外軸８の外周８ｂ側を覆うような断面略Ｊ字状の環部３２を形成してなる。

【考案の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】
本考案は地盤改良をおこなうためのアースオーガに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種アースオーガとして特開昭５９−１５１１８号公報に記載のものがある。これは先端に掘削ヘッドを取付けた中空掘削軸と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根を取付けた中空攪拌軸とを有し、該両軸を互いに逆方向へ回転させながらその両軸を一体に降下させて、上記掘削ヘッドにより地盤を掘削し、所定深度に達したならば、両軸を一体に上昇させて中空掘削軸の先端から噴出させたセメントミルクと掘削土壌とを攪拌混合するものであって、これにより地盤に基礎杭が形成され、地盤の改良がなされる。
【０００３】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来のアースオーガによると、掘削・攪拌作業途上において、中空掘削軸と中空攪拌軸との間の間隙部に土圧によりセメントミルクや掘削土壌が侵入し、その侵入したセメントミルク等が凝固して両軸の回転を妨げ、所定どうりの攪拌作業をおこなえないという欠点がある。
【０００４】
本考案は上記従来の問題点に鑑み、上記両軸間の間隙部にセメントミルク等が侵入しないようにしたアースオーガを提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に係る考案にあっては、先端に掘削ヘッド５を取付けた内軸６と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根または掘削羽根７を取付けた中空外軸８とを、互いに独立して正逆転するが、両軸６，８一体に昇降するようにして支持リーダ２に配備し、内軸６の下端部に、中空外軸８の下端部８ａを経由して該外軸８の外周８ｂ側を覆うような断面略Ｊ字状の環部３２を形成してなる構成を採用するものである。
【０００６】
また請求項２に係る考案にあっては、上記Ｊ字状環部３２と上記中空外軸８との間に水密材３３を装着してなる請求項１記載の構成を採用してなるものである。
【０００７】
【実施例】
図６は本考案の一実施例たるアースオーガを示すものであって、クレーン本体１に支持された支持リーダ２のガイドレール３にオーガ本体４が昇降自在に配設され、先端に掘削ヘッド５を取付けた内軸たる中空掘削軸６と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根または掘削羽根７を取付けた中空外軸８とが上記オーガ本体４に垂設され、前記ガイドレール３の下部に、上記両軸６，８の振れ止め用の支持部材９が昇降自在に配設されている。
【０００８】
図１に示すように、前記中空掘削軸６は、オーガ本体４に軸受１０を介して回転自在に支持され、電動式または油圧式の掘削駆動装置１１により伝動歯車１２，１３を介して回転させられるようになっている（図３参照）。またその掘削軸６の中央部を構成するトルクチューブ部６ａ内にはセメントミルク供給パイプ６ｂが同心状に配設され、該パイプ６ｂの上部はスイベルジョイント１４を介してオーガ本体４の上部に設けたセメントミルク供給口１５に連通し、またその下部は掘削ヘッド５のセメントミルク吐出口１６に連通しており、セメントミルク供給ポンプ１７により上記セメントミルク供給口１５に供給されたセメントミルクが供給パイプ６ｂを介して吐出口１６から吐出するようになっている。
【０００９】
前記中空外軸８は、オーガ本体４に軸受１８を介して回転自在に支持され、且つ前記支持部材９に配設されたボス部１９内に昇降自在に挿通されており、オーガ本体４を昇降させることによって、前記中空掘削軸６と一体に昇降するようになっている。また図４に示すように、中空外軸８の外周面と上記ボス部１９の内周面とは多角形に形成されて互いに嵌合しており、電動式または油圧式の攪拌駆動装置２０により伝動歯車２１，２２を介して回転させられるボス部１９の回転力が中空攪拌軸８に伝達されるようになっている。
【００１０】
そして図１、特に図２に示すように、内軸たる中空掘削軸６の下端部において、中空外軸８の下端部８を経由してその外周８ｂ側を覆うような断面略Ｊ字状の環部３２が一体に突出形成され、該環部３２の内周面と中空外軸８の内周面との間にシール材やパッキン材のような水密材３３が環部３２または中空外軸８に固着するようにして装着されている。
【００１１】
更に、上記中空外軸８の内周面下端部に、図５に示すように環状の金属ブッシュ（メタル）２３が固着され、該ブッシュ２３に対向して中空掘削軸６の外周面にセラミック製コーティング等による耐摩耗性被膜２４が形成されている。また図１に示すように、中空外軸８と中空掘削軸６との間の間隙部２５が、中空掘削軸６のトルクチューブ部６ａに形成した連通孔２６，２６及びスイベルジョイント２７を介してオーガ本体４の下部に設けた圧力流体供給口２８に連通しており、水圧ポンプ２９またはエアポンプ３０から三方切換弁３１を介して上記間隙部２５に圧力流体が供給され、これによって間隙部２５の圧力を高め、前記ブッシュ２３と掘削軸６との間から間隙部２５にセメントミルク等が侵入するのを阻止するようになっている。
【００１２】
なお前記攪拌駆動装置２０は、支持リーダ３の下方においてガイドレール３に図示しない懸吊ロープによって昇降自在に設けた支持部材９に配設されており、これによって支持リーダ３の重心が下がり、アースオーガの安定性を良くしている。
【００１３】
上記アースオーガによる土壌改良の手順について説明すると、図６に示す状態から、両軸６，８を互いに逆方向へ回転させながら、あるいは掘削軸６のみを回転させて地盤を掘削し、所定深度に達したならば、両軸６，８を上昇させると共に、該両軸６，８の回転速度を高速に切換え、その両軸６，８の昇降を数回繰返すことによってセメントミルクと掘削土壌とを均一に攪拌混合する。
【００１４】
そして、この間、本考案によれば、内軸たる中空掘削軸６の下端部において、中空外軸８の下端部８を経由してその外周８ｂ側を覆うような断面略Ｊ字状の環部３２が一体に突出形成されて、中空掘削軸６と中空外軸８との間の間隙部２５は、上記Ｊ字状の環部３２によって覆われているため、セメントミルクや掘削土壌が間隙部２５に侵入するのを阻止することになる。
【００１５】
そしてこの際に、該環部３２の内周面と中空外軸８の内周面との間にシール材やパッキン材のような水密材３３装着されることによって、該間隙部２５へのセメントミルク等の侵入防止効果を一層発揮することができる。更には、この実施例によれば、中空外軸８の内周面下端部に、図５に示すように環状の金属ブッシュ（メタル）２３が固着されて、間隙部２５が塞がれるているか、間隙部２５の出口が絞られているため、間隙部２５内に圧力流体を土圧より若干高い圧力で供給し、セメントミルク等が間隙部２５内に侵入するのを更に一層阻止することがてきる。
【００１６】
【考案の効果】
請求項１に係る考案によれば、先端に掘削ヘッドを取付けた内軸と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根または掘削羽根を取付けた中空外軸との間に必然的に発生する間隙部を、内軸の下端部に、中空外軸の下端部を経由して該外軸の外周側を覆うような断面略Ｊ字状の環部によって塞ぐようになっているため、掘進途上において、セメントミルクや掘削土壌が上記間隙部に侵入するのを有効に阻止することができる。
【００１７】
また請求項２に係る考案によれば、上記Ｊ字状環部と上記中空外軸との間に水密材を装着してなるため、上記間隙部へのセメントミルク等の侵入防止効果を一層発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本考案の一実施例たるアースオーガの縦断面図である。
【図２】同要部の縦断面図である。
【図３】図１のII−II線に沿う要部の横断面図である。
【図４】図１のIII −III 線に沿う要部の横断面図である。
【図５】図１のIV−IV線に沿う拡大横断面図である。
【図６】アースオーガの側面図である。
【符号の説明】
２支持リーダ
４オーガ本体
５掘削ヘッド
６内軸（中空掘削軸）
７攪拌羽根
８中空外軸
９支持部材
２０攪拌駆動軸
２５間隙部
２８圧力流体供給口
３２断面略Ｊ字状の環部
３３水密材

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項１】先端に掘削ヘッドを取付けた内軸と、これに外嵌合され外周面に攪拌羽根または掘削羽根を取付けた中空外軸とを、互いに独立して正逆転するが、両軸一体に昇降するようにして支持リーダに配備し、内軸の下端部に、中空外軸の下端部を経由して該外軸の外周側を覆うような断面略Ｊ字状の環部を形成してなるアースオーガ。
【請求項２】上記Ｊ字状環部と上記中空外軸との間に水密材を装着してなる請求項１記載のアースオーガ。

【図１】