アース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネス
【課題】高さの制限があっても多数のアース用電線を一括して接続可能なアース接続装置を提供する。
【解決手段】アース接続装置は、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2を備えている。第1および第2のジョイントコネクタJC1、JC2は、各アース用電線の端末に装着される複数の電線用端子20と、アース用導体30、130と、これを保持するコネクタハウジング40、140とを備える。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のアース用導体30、130は、積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とがこれらアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有する。
【解決手段】アース接続装置は、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2を備えている。第1および第2のジョイントコネクタJC1、JC2は、各アース用電線の端末に装着される複数の電線用端子20と、アース用導体30、130と、これを保持するコネクタハウジング40、140とを備える。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のアース用導体30、130は、積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とがこれらアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイヤハーネスに設けられ、このワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線を車両内の所定のアース部位に一括して接続するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線を車両内の所定のアース部位に一括して接続するためのアース接続装置として、アース用ジョイントコネクタが一般に知られている。
【0003】
アース用ジョイントコネクタは、特許文献1に記載されているように、複数のアース用電線の端末に接続される電線用端子と、アース部位に接続されるアース用導体と、コネクタハウジングとを備えている。アース用導体は、電線用端子に接続される電線側端子部と、アース部位に接続されるアース側端子部とを有する。コネクタハウジングは、電線用端子を収容する端子収容室を有している。電線用端子は、端子収容室の内部において、アース用導体の電線側端子部と嵌合することが可能である。このようなアース用ジョイントコネクタを介して、複数のアース用電線は、電線用端子と電線側端子部とが嵌合する方向(すなわち、端子嵌合方向)と直交する方向に横並びに配置された状態で、アース部位に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−60522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アース用ジョイントコネクタは、アース用導体の許容電流などの制約によって、1個のアース用ジョイントコネクタに接続可能なアース用電線の本数には上限がある。
【0006】
そのため、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続する場合には、これらのアース用電線を複数のジョイントコネクタに分けて接続し、さらに、各ジョイントコネクタのアース用導体同士を上下に積層して1つのアース部位に接続することが考えられる。ここで、同一形状の複数のジョイントコネクタを用いた場合、アース用導体同士を上下に積層しようとすれば、コネクタハウジング同士も上下に積層される位置関係になり、コネクタハウジングを積層した高さの分だけ広い隙間が必要になる。
【0007】
しかし、車体レイアウトの制約上、例えば、車体を構成する鋼板と内装材との隙間が狭く、ジョイントコネクタの設置場所の高さが制約されるときには、複数のコネクタハウジングを積層して配置することが難しい場合がある。
【0008】
そのため、従来のアース用ジョイントコネクタを用いた場合、車体内部の高さが制限された場所では、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続することが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、高さが制限された設置場所でも、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続することが可能なアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアース接続装置は、前記課題を解決するための手段として、複数のジョイントコネクタのそれぞれのアース用導体を積層させて1つのアース部位に接続可能な構造において、それぞれのコネクタハウジングを積層させずに同一の高さに平行に並べて配置できるようにアース用導体の形状を改良することにより、高さが限られた場所でも設置可能にしたものである。
【0011】
具体的には、本発明のアース接続装置は、車両内の壁面上に設けられたアース部位に複数本のアース用電線を一括して接続するためのアース接続装置であって、前記アース用電線のうちの複数の第1のアース用電線の端末に設けられる第1のアース用ジョイントコネクタと、前記アース用電線のうち前記第1のアース用電線と異なる複数の第2のアース用電線の端末に設けられる第2のアース用ジョイントコネクタとを備え、前記第1のアース用ジョイントコネクタは、前記各第1のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第1の電線用端子と、前記各第1の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第1の電線側端子部と、前記壁面上で前記アース部位に接続されることが可能な形状を有する第1のアース側端子部とを有し、前記各第1の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第1のアース側端子部と一体につながる第1のアース用導体と、前記第1のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第1の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第1の電線用端子を係止する端子係止部を有する第1のコネクタハウジングとを備え、前記第1のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第1の電線用端子がこれに対応する第1の電線側端子部と嵌合した状態で当該第1の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第1の電線側端子部を収容するとともに、前記第1のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第1のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第1のアース用導体を保持し、前記第2のアース用ジョイントコネクタは、前記各第2のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第2の電線用端子と、前記各第2の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第2の電線側端子部と、前記第1のアース側端子部に接続されることが可能な形状を有する第2のアース側端子部とを有し、前記各第2の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第2のアース側端子部と一体につながる第2のアース用導体と、前記第2のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第2の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第2の電線用端子を係止する端子係止部を有する第2のコネクタハウジングとを備え、前記第2のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第2の電線用端子がこれに対応する第2の電線側端子部と嵌合した状態で当該第2の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第2の電線側端子部を収容するとともに、前記第2のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第2のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第2のアース用導体を保持し、前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1の電線側端子部の並び方向と前記第2の電線側端子部の並び方向とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで前記第2のアース用導体が前記第1のアース用導体に対して前記両並び方向と直交する積層方向に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とする。
【0012】
この構成では、まず、アース用導体の各電線側端子部はアース側端子部が固定される車両の壁面と略平行な方向に並んでいるので、これと直交する方向、すなわち積層方向についてのアース用ジョイントコネクタ全体の寸法を抑えるようにことができ、第1および第2のアース用ジョイントコネクタのそれぞれのコネクタハウジングを扁平な形状にすることが可能であり、当該壁面からの突出量を小さく抑えることが可能である。
【0013】
そして、第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態では、これらの扁平な形状の第1および第2のアース用ジョイントコネクタのコネクタハウジング同士がアース用導体の積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されることにより、多数本の電線がアース部位に接続されることを可能にしながら車両内の高さが限られた場所でも容易に取り付けることが可能である。
【0014】
さらに、それぞれのコネクタハウジングを車両内の壁面に近づけて当該壁面と略平行になるように配置することが可能であるので、コネクタハウジングと壁面との隙間を小さくすることが可能であり、車両運転中の振動等によってコネクタハウジングが壁面に接触して異音が発生するおそれを低減することが可能である。
【0015】
また、前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部のうちの少なくとも1つは、前記両並び方向に平行な方向に突出する形状を有している、のが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部を両並び方向にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジングを第1および第2アース用導体の積層方向と直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0017】
さらに、前記第1のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向に突出する第1の側方突出部を有しており、前記第2のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向であって前記第1の側方突出部に対向する向きに突出する第2の側方突出部を有しており、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、前記積層方向に積層されているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1のアース側端子部および第2のアース側端子部は、それぞれ両並び方向に突出する第1の側方突出部および第2の側方突出部を有しているので、これらの側方突出部同士を積層させることにより、個々の側方突出部の突出量が小さくても、第1および第2のコネクタハウジングをアース用導体の積層方向と直交する方向に所定の間隔を確保しながら並べて配置させることが可能である。また、第1および第2のアース側端子を積層する前は、個々の側方突出部の突出量が小さくてすむので、個々のジョイントコネクタを輸送および保管する際に、それぞれの側方突出部が包装材等に干渉するおそれを低減することが可能である。
【0019】
また、前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部は、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部が積層している部分において、前記アース部位に接続されているのが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1および第2のアース側端子部は、第1および第2の側方突出部が積層している部分でアース部位に接続されているので、当該第1および第2の電線側端子部とアース部位との距離のばらつきを抑えることが可能である。その結果、アース部位を経由しないで隣接するアース用電線の間で電流が流れる不具合が生じるおそれを低減することが可能である。
【0021】
また、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、これらの側方突出部同士が前記積層方向に積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部同士を電気的に導通させる第1の接触部および第2の接触部をそれぞれ有するのが好ましい。
【0022】
この構造では、第1の側方突出部および第2の側方突出部が、第1の接触部および第2の接触部により、これら側方突出部同士が積層方向に積層された状態で互いに接触し、これにより両側方突出部同士を電気的に導通させることが可能になる。
【0023】
さらに、前記第1の接触部は第1の係合部を含み、前記第2の接触部は前記両側方突出部が積層された状態で前記第1の係合部と係合することによりその積層状態を維持する第2の係合部を含むのが好ましい。
【0024】
この構成によれば、前記第1および第2のアース側端子部における第1の接触部および第2の接触部が、互いに係合する第1の係合部および第2の係合部を含んでいるので、両側方突出部が積層された状態で第1および第2の係合部同士が互いに係合することにより、その積層状態を維持することが可能になる。その結果、第1および第2のアース用ジョイントコネクタを一体に結合した状態で、アース部位に一括して接続することができるので、アース部位への取付作業性が向上する。また、アース部位への接続状態を安定して維持できる。
【0025】
また、前記第1のアース用導体は、前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部を有し、前記第1のアース側端子部は、前記壁面に当接可能な形状を有する当接面を有し、前記第1のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第1の対向面を有し、前記第2のアース用導体は、前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部を有し、前記第2のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第2の対向面を有しており、前記第1の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接した状態において前記第1のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と前記壁面との間で所定の隙間を維持できるような高さに、設定され、前記第2の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接し、かつ、前記第2のアース側端子部が前記第1のアース側端子部に対して前記積層方向に積層された状態において前記第2のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と前記壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている、のが好ましい。
【0026】
この構造では、第1のアース側端子部と第2のアース側端子部とが互いに積層されているにもかかわらず第1および第2のコネクタハウジングのそれぞれの対向面と壁面との間に良好な隙間を確保できる。具体的には、第1のアース側端子部の当接面が車両の壁面に当接した状態では、第1のアース側端子部と第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部によって、第1のコネクタハウジングが壁面から積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と壁面との間で所定の隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第1のコネクタハウジングの対向面が壁面に接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。それとともに、第1のアース側端子部の当接面が車両の壁面に当接し、かつ、第2のアース用導体を第1のアース用導体に対して積層方向に積層された状態では、第2のアース側端子部と第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部によって、第2のコネクタハウジングが壁面から積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第2のコネクタハウジングの対向面が壁面に接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。
【0027】
また、本発明は、前記アース接続装置を利用したワイヤハーネスを提供する。このワイヤハーネスは、複数の前記第1のアース用電線を含む第1のワイヤハーネス本体と、複数の前記第2のアース用電線を含む第2のワイヤハーネス本体と、請求項1記載のアース接続装置とを含むワイヤハーネスであって、前記第1のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第1電線用端子が、前記第1のワイヤハーネス本体の前記第1のアース用電線の端末に装着された状態で、前記第1のコネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第1の電線側端子部に嵌合され、前記第2のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第2電線用端子が、前記第2のワイヤハーネス本体の前記第2のアース用電線の端末に装着された状態で、前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第2の電線側端子部に嵌合され、前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1のワイヤハーネス本体と前記第2のワイヤハーネス本体とが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とする。
【0028】
このワイヤハーネスは、ワイヤハーネス本体同士が、対応する第1および第2のコネクタハウジングとともに、積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されているので、壁面上における第1および第2のワイヤハーネス本体を配置するために必要な高さを低減することが可能であり、車両内の高さが制限された場所でも容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、ワイヤハーネスを複数個まとめて1つのアース部位に配置する場合にアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスを配置するために必要な高さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るワイヤハーネスの端末におけるアース接続装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアース接続装置を車両の壁面と平行な方向から見た図である。
【図3】図1のアース接続装置の背面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のアース接続装置において、第1および第2のアース用のジョイントコネクタの連結を解除した状態を示す斜視図である。
【図6】図1の第1のアース用ジョイントコネクタの縦断面図である。
【図7】図1の第1のアース用ジョイントコネクタを前方から見た図である。
【図8】図1の第1のアース用ジョイントコネクタを後方から見た図である。
【図9】図1のアース接続装置におけるアース用ジョイントコネクタのリテーナが挿脱許容位置にある状態を示す断面正面図。
【図10】図1のアース接続装置におけるアース用ジョイントコネクタのリテーナが係止位置にある状態を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスの好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1〜4は、本実施形態に係るワイヤハーネスの端末におけるアース接続装置を示したものである。ワイヤハーネスWHは、互いに束ねられた複数の電線を含むワイヤハーネス本体部2と、アース接続装置1とを備える。ワイヤハーネス本体部2は、第1のワイヤハーネス本体2aと、第2のワイヤハーネス本体2bとから構成されている。第1のワイヤハーネス本体2aは、複数のアース用電線11が束ねられて構成され、第2のワイヤハーネス本体2bは、複数のアース用電線111が束ねられて構成されている。
【0033】
本実施形態のアース接続装置1は、第1のアース用ジョイントコネクタJC1および第2のアース用ジョイントコネクタJC2を備えており、それぞれのアース用導体30、130が積層方向Sの方向に積層するとともに、それぞれのコネクタハウジング40、140の積層方向Sと直交の方向である当該コネクタハウジング40、140の幅方向Wに並んで略同一の高さで並んで配置されている。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、第1および第2のワイヤハーネス本体を構成する複数の第1および第2のアース用電線11、111をそれぞれ一括してアース部位に接続するためのものである。
【0034】
第1および第2のアース用電線11、111は、導体とこれを被覆する絶縁被覆とで構成され、前記アース接続装置を介して車両の壁面Aのアース部位に一括して接続される。このアース部位は、図2に示すように、車両のボディの壁面Aと、その壁面Aから内側に突設されたボルトBとを含む。
【0035】
前記アース用電線11、111は、前記ワイヤハーネスにつながる特定の回路を前記アース部位に接地するためのものであり、それぞれの一端が前記アース部位であるボルトBに接続され、他端は前記回路に接続される。
【0036】
アース接続装置1は、具体的には、以下のように構成されている。
【0037】
前記第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、それぞれ、複数の第1の電線用端子20(図9〜10参照)および第2の電線用端子(図示せず)と、第1および第2のコネクタハウジング40、140と、リテーナ50、150とを備えており、これらの部品については共通している。しかし、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、互いに異なる形状の第1のアース用導体30および第2のアース用導体130を有しており、コネクタハウジング40、140を幅方向Wに並んで略同一の高さで配置できるようにしている。
【0038】
すなわち、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、後述する第1の電線側端子部32(図9〜10参照)の並び方向(すなわち、図1および図7のコネクタハウジング40、140の幅方向W)と第2の電線側端子部(図示せず)の並び方向(同じく幅方向W)とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで第2のアース用導体130が第1のアース用導体30に対して両並び方向(すなわち、図1および図7の幅方向W)と直交する積層方向S(図1参照)に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが積層方向Sと直交する方向(すなわち、図1の幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能なような形状をしている。本実施形態では、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、それぞれ、両並び方向に平行な方向に突出する形状(具体的には、図1および図5に示される側方突出部34a、134a)を有するアース側端子部34、134と、互いに異なる長さを有する段差部36、136(図1〜2参照)とを有している。
【0039】
つぎに、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の各部品についてより具体的に説明する。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、アース用導体30,130以外は共通した構成を有しているので、以下の項目では、代表として、下側の第1のアース用ジョイントコネクタJC1の各部品の説明について詳細に説明する。
【0040】
(第1のアース用ジョイントコネクタJC1の構成)
前記第1の電線用端子20は、それぞれ、前記各第1のアース用電線11の端末に設けられるもので、図9〜10に示されるように、雌型の電気接触部22と、電線圧着部を構成する導体バレル23及びインシュレーションバレル24とを前後に有する。
【0041】
前記電気接触部22は、中空角筒状の本体と、この本体内で撓み可能に設けられる接触ばね片26とを有する。この電気接触部22の天壁には、前記第1のコネクタハウジング40側に係止されるための被係止用孔28が穿設されている。
【0042】
前記電線圧着部は、対応する第1のアース用電線11の端末に圧着される。当該第1のアース用電線11の端末には、予め、その絶縁被覆16を除去して導体14を露出させる処理が施されており、前記電線圧着部の各バレル23,24がそれぞれ前記導体14の端末及びその近傍の絶縁被覆16をそれぞれ抱き込むように曲げ加工されることにより、前記第1のアース用電線11の端末に圧着されてその導体に電気的に接続される。
【0043】
前記第1のアース用導体30は、導電材料からなり、前記各第1の電線用端子20に共通して接続されることによりこれらの第1の電線用端子20を一括してアース部位のボルトBに接続、すなわち接地する。第1のコネクタハウジング40は、合成樹脂等の絶縁材料により全体が一体に成型され、前記第1のアース用導体30の所定部位を格納した状態で保持することが可能な形状、具体的には当該第1のアース用導体30の厚み方向に扁平な形状を有する。
【0044】
本実施形態の第1のアース用導体30は、図5〜10に示されるように、複数の(図例では12本の)第1の電線側端子部32と、複数の第1の電線側端子部32を連結する連結部33(図7参照)と、第1のアース側端子部34と、連結部33とアース側端子部34との間に介在する第1の段差部36とを一体に有し、前記各電線側端子部32が連結部33および第1の段差部36を介して共通のアース側端子部34につながっている。複数の電線側端子部32は、上下2段にそれぞれ6本ずつ配置されている。これらの電線側端子部32は、U字状の連結部33によって、互いに接続されている。連結部33は、第1の段差部36に連結されている。
【0045】
前記各電線側端子部32は、第1のアース用ジョイントコネクタJC1の後側(電線側)に向かって突出し、前記各電線用端子20の雌型の電気接触部22に対して所定の端子嵌合方向Y(アース用電線11の軸方向)に嵌入可能な雄型の嵌合部(タブ)を構成し、その嵌合状態で前記電気接触部22の接触ばね片26及び天壁と圧接することにより、当該電気接触部22と電気的に導通する。これらの電線側端子部32は、その幅方向Wと平行な方向(前記端子嵌合方向と直交する方向であって前記壁面Aと平行な方向)に配列されている。
【0046】
前記アース側端子部34は、アース部位である前記ボルトBに接続された状態で前記壁面A上に固定されるとともに、上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2のアース側端子部134を保持する機能を有する。具体的に、このアース側端子部34は、前記壁面Aに沿う板状をなし、当該壁面Aに当接可能な形状を有する下面34b(図2および図4参照)を有する。下面34bは、本発明の当接面に対応する。
【0047】
第1の段差部36は、第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に介在する。第1の段差部36は、積層方向Sと平行な方向に延びることにより当該積層方向Sについて第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に段差を与える。第1の段差部36の高さは、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接した状態において第1のコネクタハウジング40が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第1のコネクタハウジング40の下面41と壁面Aとの間で所定の隙間tを維持できるような高さに、設定されている。
【0048】
図1および図5に示されるように、第1のアース側端子部34は、両並び方向(幅方向W)に平行な方向に突出する形状を有しており、具体的には、第1の側方突出部34aを有している。第1の側方突出部34aには、ボルトB(図1〜2参照)が挿通可能な貫通孔35が形成され、当該貫通孔35の左右両側(前記幅方向Wの両側)には、図4〜5に示されるように、第1の接触部37として、後述する第2のアース用ジョイントコネクタJC2の第2のアース側端子部134の第2の係合部137a、137bと係合する第1の係合部37a、37bが形成されている。この係合部37aは、アース側端子部34の他の部分よりも上側(表側)に隆起してその下側(裏側)に前記アース側端子部134を嵌め込むための空間が形成されている。また、係合部37bは、逆U字形状である。また、第1のアース側端子部34における第1の側方突出部34aと反対側の側端部には、第1のアース用ジョイントコネクタJC1の回転を規制する舌片39が設けられている。この舌片39は、壁面Aに形成された穴(図示せず)に嵌合して第1のアース用ジョイントコネクタJC1のボルトB回りの回転を規制することが可能である。
【0049】
前記コネクタハウジング40は、前記アース用導体30のうちのアース側端子部34を露出させた状態で各電線側端子部32を保持し、かつ、前記各電線側端子部32の配列方向と直交する方向に扁平な形状をなす。
【0050】
このコネクタハウジング40は、図1〜2および図5に示されるように、前記アース側端子部34の下面34bが前記壁面Aに当接した状態で当該アース側端子部34が当該壁面Aに固定されたときに当該壁面Aと対向する下面41と、その反対側の上面42とを有し、この実施の形態では上下両面41,42がともに前記壁面Aと略平行な平面となっている。下面41は、本発明の第1の対向面に対応する。
【0051】
図9〜10に示されるように、前記コネクタハウジング40の前側部(アース側部)は導体保持部43を構成し、後側部(電線側部)は複数(図例では12個)の端子収容室44を有する。
【0052】
これらの端子収容室44は、前記電線側端子部32の並び方向と平行な方向に当該電線側端子部32のピッチと同ピッチで上下2段に並び、後側すなわち前記アース側端子部34と反対の側にそれぞれ開口する。そして、この開口から前記各電線用端子20の電気接触部22が当該端子収容室44内に挿入されるのを許容する。
【0053】
前記導体保持部43は、この導体保持部43内に前記端子収容室44と反対の側(前側)から前記アース用導体30の各電線側端子部32が圧入されるのを許容する形状を有し、かつ、その圧入された電線側端子部32を保持する。各電線側端子部32は、これらの電線側端子部32が対応する端子収容室44内に突出し、かつ、この端子収容室44内に挿入される電線用端子20の電気接触部22と当該挿入方向(端子嵌合方向Y)に嵌合される位置に保持される。
【0054】
このコネクタハウジング40には、図9〜10に示すように、前記各端子収容室44に対応する位置に端子係止部であるランス48が形成されている。各ランス48は、各端子収容室44内においてその天面(上側面)から斜め内側に膨出し、その先端部はコネクタハウジング40の厚み方向(図では上下方向)に撓み変位することが可能な自由端部を構成する。この先端部は、挿入される電線用端子20と接触することにより上側に撓み変形して当該電線用端子20の通過を許容し、その通過後に正規の位置に弾性的に復帰することにより図10に示すように前記電線用端子20の被係止用孔28に嵌り込んで当該電線用端子20を後側から拘束する。つまり、電線用端子20が離脱方向に変位するのを阻止して当該電線用端子20を前記電線側端子部32と嵌合する位置に係止(一次係止)する。
【0055】
前記リテーナ50は、前記のように電線側端子部32と嵌合されてランス48により係止される各電線用端子20をさらに係止(二次係止)するためのもので、前記コネクタハウジング40の前後方向の中間部に装着される。詳しくは、このリテーナ50は、図9に示す挿脱許容位置と、図10に示すようにそれよりもコネクタハウジング40内に沈み込んだ係止位置との間でコネクタハウジング40の厚み方向(電線側端子部32の並び方向及び前記端子嵌合方向の双方に対して略直交する方向に移動可能となるように前記コネクタハウジング40に装着され、前記挿脱許容位置では前記各端子収容室44に対する前記各電線用端子20の挿脱を許容し、前記係止位置では前記端子収容室44に挿入されて前記電線側端子部32に嵌合された位置にある電線用端子20をその位置で係止する。
【0056】
リテーナ50は、前記のように電線側端子部32と嵌合されてランス48により係止される各電線用端子20をさらに係止(二次係止)するためのもので、コネクタハウジング40の上面42の前後方向の中間部に形成されたリテーナ挿入口40cに出没自在に装着される。詳しくは、このリテーナ50は、図9に示す挿脱許容位置と、図10に示すようにそれよりもコネクタハウジング40内に沈み込んだ係止位置との間でコネクタハウジング40の厚み方向(図1〜2の積層方向S)に移動可能となるように前記コネクタハウジング40に装着され、前記挿脱許容位置では前記各端子収容室44に対する前記各電線用端子20の挿脱を許容し、前記係止位置では前記端子収容室44に挿入されて前記電線側端子部32に嵌合された位置にある電線用端子20をその位置で係止する。
【0057】
図9〜10に示すように、このリテーナ50は、コネクタハウジング40の幅方向W(図1参照)に延びる天壁52と、各端子収容室44に対応する位置で当該天壁52の下面から突出する複数の係止突起53が形成されている。これらの係止突起53は、リテーナ50が前記挿脱許容位置にあるときに端子収容室44から上側(表側)に退避して当該端子収容室44に対する電線用端子20の挿脱を許容する一方、この電線用端子20が当該端子収容室44内に挿入されて前記ランス48に係止されている状態で前記リテーナ50が前記係止位置まで押し込まれたときに、前記各端子収容室44内に突出して前記各電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20の二重係止を行う。なお、図示されていないが、リテーナ50は、挿脱許容位置および係止位置においてそれぞれ係止されるように、係止突起などを有している。
【0058】
(第2のアース用ジョイントコネクタJC2の構成)
つぎに、上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2の構成について説明する。上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2は、下側の第1のアース用ジョイントコネクタJC1の構成のうち、第1のアース用導体30を当該第1のアース用導体30と異なる形状を有する第2のアース用導体130に置き換えたものであり、その他の構成については、第1のアース用ジョイントコネクタJC1と共通している。
【0059】
図1〜5に示されるように、第2のアース用導体130は、以下のように構成されている。
【0060】
第2のアース用導体130は、図1〜5に示されるように、第2のアース側端子部134と、第2の段差部136とを備えるとともに、コネクタハウジング140の内部に収容される部分として上記第1のアース用導体30と同様の複数の第2の電線側端子部および連結部(図示せず)を備えている。第2の電線側端子部および連結部については、上記の第1のアース用導体30と共通の構成を有しているので、説明を省略する。
【0061】
図1および図5に示されるように、第2のアース側端子部134は、両並び方向(幅方向W)に平行な方向に突出する形状を有しており、具体的には、両並び方向に平行な方向であって第1の側方突出部34aに対向する向きに突出する第2の側方突出部134aを有している。
【0062】
第2の側方突出部134aは、第1の側方突出部34aに対して積層方向Sに積層可能な形状を有する。第2の側方突出部134aを第1の側方突出部34aに対して積層方向Sに積層することにより、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134aを両並び方向(幅方向W)にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング40、140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。このような配置では、第2のコネクタハウジング140の下面141は、第1のコネクタハウジング40の第1のアース側端子部34の下面34b(当接面)が壁面Aに当接したときに壁面Aに対向することが可能である。下面141は、本発明の第2の対向面に対応する。
【0063】
第2の段差部136は、第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部(図示せず)との間に介在する。第2の段差部136は、積層方向Sと平行な方向に延びることにより当該積層方向Sについて第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部との間に段差を与える。
【0064】
第2の段差部136の高さは、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接し、かつ、第2のアース側端子部134が第1のアース側端子部34に対して積層方向Sに積層された状態において第2のコネクタハウジング140が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第2のコネクタハウジング140の下面141と壁面Aとの間で所定の隙間tと同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている。具体的には、図2に示されるように、第2のアース側端子部134に下側に位置する第1のアース側端子部34の第1の段差部36よりも短くなっている。これにより、図1〜2に示されるように、第2のコネクタハウジング140を第1のコネクタハウジング40に対して積層方向Sと直交する方向(すなわち、幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで、かつ、壁面Aから所定の間隔tをあけて配置することが可能である。間隔tは、2個のコネクタハウジング40、140が壁面Aに当たって異音などが発生しない程度の大きさ(例えば2mm前後)に設定される。
【0065】
第2の側方突出部134aは、ボルトB(図1〜2参照)が挿通可能な貫通孔135が形成されている。図1および図5に示されるように、第2の側方突出部134aを第1の側方突出部34aに積層するとともに貫通孔135を貫通孔35に重ね合わせ、これら貫通孔35、135にボルトBを貫通させることにより、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134は、第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aが積層しているこれら側方突出部34a、134aの場所において、アース部位(ボルトB)に接続することが可能である。
【0066】
また、第2の側方突出部134aは、図4〜5に示されるように、第2の接触部137を有する。第2の接触部137は、第2の側方突出部134aの貫通孔135の左右両側(前記幅方向Wの両側)に配置されている。第2の接触部137は、上記第1の側方突出部34aの第1の係合部37a、37bと係合する第2の係合部137a、137bから構成されている。
【0067】
第2の接触部137は、第1および第2の側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させるように、第1のアース側端子部34の第1の接触部37に接触する。
【0068】
第2の接触部137を構成する第2の係合部137a、137bは、両アース用導体30、130が積層された状態で第1の係合部37a、37bと係合することが可能である。
【0069】
(アース部位への接続方法)
つぎに、本実施形態のアース接続装置を用いてワイヤハーネスをアース部位へ接続する方法について説明する。
【0070】
1)電線用端子20の装着
まず、2つのワイヤハーネス本体部2からアース接続対象である複数のアース用電線11,111がそれぞれ引き出され、各アース用電線11,111の端末に各第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の電線用端子20がそれぞれ装着される。なお、この端子の装着はワイヤハーネスのアッセンブリの前に予め行われていてもよい。
【0071】
2)電線用端子20の係止
ついで、図9に示されるように、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のそれぞれの前記各電線用端子20が前記第1および第2のコネクタハウジング40、140の各端子収容室44内に挿入され、前記挿脱許容位置にあるリテーナ50、150の係止突起53の下をくぐりながらアース用導体30、130の電線側端子部32に嵌合されることにより、これらの電線用端子20が一括して共通のアース用導体30、130に電気的に接続可能な状態となる。その嵌合の際、各電線用端子20の電気接触部22に設けられた被係止用孔28内に第1および第2のコネクタハウジング40、140側の端子係止部であるランス48がそれぞれ嵌り込んで当該電気接触部22を係止(一次係止)することにより、当該電気接触部22と前記電線側端子部32との嵌合状態が維持される。
【0072】
前記の状態からさらに、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の前記リテーナ50、150がコネクタハウジング40、140の厚み方向S(すなわち前記電線側端子部32の並び方向及び前記端子嵌合方向の双方に対して略直交する方向)に押し込まれることにより、図10に示されるような係止位置にリテーナ50、150が係止される。この係止位置にあるリテーナ50,150は、その天壁52の係止突起53が端子収容室44内に入り込んで前記電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20を二次係止する。これにより、コネクタハウジング40,140の内部で各電線用端子20と各電線側端子部32との嵌合状態を確実に維持することを可能にする。
【0073】
3)アース用導体30、130の合体
その後、第2のアース用導体の130のアース側端子部134の幅方向Wに突出した第2の側方突出部134aを、第1のアース用導体30のアース側端子部34の幅方向Wに突出した第1の側方突出部34aに積層させることにより、第1および第2のコネクタハウジング40、140同士が幅方向Wに並んで略同一の高さで配置された状態で、第1および第2のアース用導体30、130を合体させて両者を導通状態にする。
【0074】
本実施形態では、第1および第2アース用ジョイントコネクタJC1、JC2におけるアース側端子部34、134を一体に結合するために、第1のアース側端子部34には第1の係合部37a、37bが設けられ、これらの係合相手として、第2のアース側端子部134には係合部137a、137bが設けられている。
【0075】
例えば、図4に示されるように、第2のアース用導体130のアース側端子部134に設けられた係合部137aが第1のアース用導体30のアース側端子部34における係合部37aの下側に嵌め込まれ、当該係合部37aの係止突起37cが当該係合部137aの係止用孔137cに嵌め込まれる。それとともに、アース側端子部134の係合部137bがアース側端子部34の係合部37bの下側に嵌め込まれ、当該係合部137bの係止突起137dが当該係合部37bの係止用孔37dに嵌め込まれる。これにより、2つのアース側端子部34、134が積層方向Sに積層された状態で連結され、ワイヤハーネス本体部2の端末にアース接続装置1が構築される。なお、これらの係止突起および係止用孔は、逆に配置されてもよい。
【0076】
このとき、図2に示されるように、第1のアース用導体30の上に積層された第2のアース用導体130の第2の段差部136は、第1のアース用導体30の第1の段差部36よりも短いので、図1〜2に示されるように、第1のコネクタハウジング40および第2のコネクタハウジング140をそれぞれ壁面Aからほぼ同じ所定の間隔tだけ離して配置することが可能である。
【0077】
4)アース部位への接続
上記のように、第2のアース用ジョイントコネクタJC2のアース側端子部134が、第1のアース用ジョイントコネクタJC1のアース側端子部34の表面に直接接触して電気的に接続された状態で、当該アース側端子部34、134の接続部分が、アース部位のボルトBに一括して直接接続される。
【0078】
具体的には、図1〜2に示されるように、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2が合体した状態で、アース側端子部34の舌片39を壁面Aに形成された穴(図示せず)などに挿入して位置決めする。この状態で、アース側端子部34、134にそれぞれ設けられる貫通孔35、135に前記ボルトBを貫通して壁面Aに締め付けることにより、アース側端子部34、134がアース部位に固定される。これにより、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2におけるアース側端子部34、134を含むアース用導体30、130及びそれらの各電線側端子部32に嵌合される各電線用端子20を介して,各アース用電線11、111がアース部位に一括して接続される。
【0079】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、第1の電線側端子部32の並び方向(図1の幅方向W)と第2の電線側端子部の並び方向(同幅方向W)とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで第2のアース用導体130が第1のアース用導体30に対して前記両並び方向と直交する積層方向Sに積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが積層方向Sと直交する方向(本実施形態におけるコネクタハウジング40、140の幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有している。これにより、まず、アース用導体30、130の各電線側端子部32はアース側端子部34、134が固定される車両の壁面Aと略平行な方向に並んでいるので、これと直交する方向、すなわち積層方向Sについてのアース用ジョイントコネクタJC1、JC2全体の寸法を抑えるようにことができ、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のそれぞれのコネクタハウジング40、140を扁平な形状にすることが可能であり、当該壁面Aからの突出量を小さく抑えることが可能である。
【0080】
そして、第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態では、これらの扁平な形状の第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のコネクタハウジング40、140同士がアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されることにより、多数本のアース用電線11、111がアース部位(ボルトB)に接続されることを可能にしながら車両内の高さが限られた場所でも容易に取り付けることが可能である。
【0081】
さらに、それぞれのコネクタハウジング40、140を車両内の壁面Aに近づけて当該壁面Aと略平行になるように配置することが可能であるので、コネクタハウジング40、140と壁面Aとの隙間を小さくすることが可能であり、車両運転中の振動等によってコネクタハウジング40、140が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを低減することが可能である。
【0082】
また、各アース用ジョイントコネクタJC1、JC2では、高さの限られた場所でも許容電流の範囲内で配線が可能であり、しかも、コネクタハウジング40、140を共通の形状および構造のものを使用することが可能であり、部品の共通化(ならびに部品番号の共通管理)を行うことも可能になる。
【0083】
(2)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134の両方が、前記両並び方向に平行な方向(同幅方向W)に突出する形状を有しているので、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部を両並び方向にずらした位置(すなわち、本実施形態では2つの側方突出部34a、134aが積層された場所)で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0084】
(3)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部は、それぞれ両並び方向(同幅方向W)に突出する第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aを有しているので、これらの側方突出部34a、134a同士を積層させることにより、個々の側方突出部34a、134aの突出量が小さくても、第1および第2のコネクタハウジング40、140をアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に所定の間隔を確保しながら並べて配置させることが可能である。また、第1および第2のアース側端子30、130を積層する前は、個々の側方突出部34a、134aの突出量が小さくてすむので、個々のジョイントコネクタJC1、JC2を輸送および保管する際に、それぞれの側方突出部34a、134aが包装材等に干渉するおそれを低減することが可能である。
【0085】
(4)
本実施形態のアース接続装置1では、第1および第2のアース側端子部34、134は、第1および第2の側方突出部34a、134aが積層している部分でアース部位(ボルトB)に接続されているので、当該第1および第2の電線側端子部32とアース部位Bとの距離のばらつきを抑えることが可能である。その結果、アース部位Bを経由しないで隣接するアース用電線11,111の間で電流が流れる不具合が生じるおそれを低減することが可能である。
【0086】
(5)
本実施形態のアース接続装置1では、第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aは、これらの側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させる第1の接触部37および第2の接触部137をそれぞれ有しており、これら第1の接触部37および第2の接触部137により、これら側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触し、これにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させることが可能になる。
【0087】
(6)
本実施形態のアース接続装置1では、前記第1および第2のアース側端子部134における第1の接触部37および第2の接触部137が、互いに係合する第1の係合部37a、37bおよび第2の係合部137a、137bを含んでいるので、両側方突出部34a,134aが積層された状態で第1の係合部37aと第2の係合部137aとの間、および、第1の係合部37bと第2の係合部137bとの間bでそれぞれ互いに係合することにより、その積層状態を維持することが可能になる。その結果、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2を一体に結合した状態で、アース部位であるボルトBに一括して接続することができるので、アース部位への取付作業性が向上する。また、アース部位への接続状態を安定して維持できる。
【0088】
(7)
本実施形態のアース接続装置1では、図2に示されるように、第1のアース側端子部34の下面34b(当接面)が車両の壁面Aに当接した状態では、第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に段差を与える第1の段差部36によって、第1のコネクタハウジング40が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに第1のコネクタハウジングの下面41(第1の対向面)と壁面Aとの間で所定の隙間tが維持されるので、車両運転中の振動等によって第1のコネクタハウジング40の下面41が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。それとともに、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接し、かつ、第2のアース側端子部134が第1のアース側端子部34に対して積層方向Sに積層された状態では、第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部(図示せず)との間に段差を与える第2の段差部136によって、第2のコネクタハウジング140が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第2のコネクタハウジング140の下面141(第2の対向面)と壁面Aとの間で前記所定の隙間tと同じ大きさの隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第2のコネクタハウジング140の下面141が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。
【0089】
(8)
さらに、本実施形態のワイヤハーネスWHでは、アース接続装置1が上記のように、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、ワイヤハーネス本体部2を構成する第1のワイヤハーネス本体2aと第2のワイヤハーネス本体2bとが積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で、第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが前記積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有している。したがって、このワイヤハーネスWHは、ワイヤハーネス本体2a、2b同士が、対応する第1および第2のコネクタハウジング140とともに、積層方向Sと直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されているので、壁面A上における第1および第2のワイヤハーネス本体を配置するために必要な高さを低減することが可能であり、車両内の高さが制限された場所でも容易に取り付けることができる。
【0090】
(変形例)
(A)
なお、上記の実施形態では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134の両方が、前記両並び方向に平行な方向(幅方向W)に突出する側方突出部34a、134aを有する形状であるが、本発明はこれに限定するものではなく、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134のうちの少なくとも1つが、前記両並び方向に平行な方向(幅方向W)に突出する形状であればよい。その場合でも、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134を両並び方向にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0091】
(B)
また、上記実施形態では、第1および第2の電線側端子部32並びにそれに接続されるアース用電線11、111が第1および第2のコネクタハウジング40、140に対して当該コネクタハウジング40、140の幅方向Wに横並びに並んだ列が上下2段に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電線側端子部32は1段であっってもよいし、または3段以上配置されてもよい。それらの場合であっても、コネクタハウジング40、140同士は横並びに配置してアース接続部位が設けられた壁面Aからの高さを低く押されることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
JC1 第1のアース用ジョイントコネクタ
JC2 第2のアース用ジョイントコネクタ
11 第1のアース用電線
20 第1の電線用端子
30 第1のアース用導体
32 第1の電線側端子部
34 第1のアース側端子部
37a、37b 第1の係合部
40 第1のコネクタハウジング
111 第2のアース用電線
130 第2のアース用導体
134 第2のアース側端子部
137a、137b 第2の係合部
140 第2のコネクタハウジング
A 壁面
B ボルト(アース部位)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ワイヤハーネスに設けられ、このワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線を車両内の所定のアース部位に一括して接続するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ワイヤハーネスに含まれる複数のアース用電線を車両内の所定のアース部位に一括して接続するためのアース接続装置として、アース用ジョイントコネクタが一般に知られている。
【0003】
アース用ジョイントコネクタは、特許文献1に記載されているように、複数のアース用電線の端末に接続される電線用端子と、アース部位に接続されるアース用導体と、コネクタハウジングとを備えている。アース用導体は、電線用端子に接続される電線側端子部と、アース部位に接続されるアース側端子部とを有する。コネクタハウジングは、電線用端子を収容する端子収容室を有している。電線用端子は、端子収容室の内部において、アース用導体の電線側端子部と嵌合することが可能である。このようなアース用ジョイントコネクタを介して、複数のアース用電線は、電線用端子と電線側端子部とが嵌合する方向(すなわち、端子嵌合方向)と直交する方向に横並びに配置された状態で、アース部位に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−60522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アース用ジョイントコネクタは、アース用導体の許容電流などの制約によって、1個のアース用ジョイントコネクタに接続可能なアース用電線の本数には上限がある。
【0006】
そのため、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続する場合には、これらのアース用電線を複数のジョイントコネクタに分けて接続し、さらに、各ジョイントコネクタのアース用導体同士を上下に積層して1つのアース部位に接続することが考えられる。ここで、同一形状の複数のジョイントコネクタを用いた場合、アース用導体同士を上下に積層しようとすれば、コネクタハウジング同士も上下に積層される位置関係になり、コネクタハウジングを積層した高さの分だけ広い隙間が必要になる。
【0007】
しかし、車体レイアウトの制約上、例えば、車体を構成する鋼板と内装材との隙間が狭く、ジョイントコネクタの設置場所の高さが制約されるときには、複数のコネクタハウジングを積層して配置することが難しい場合がある。
【0008】
そのため、従来のアース用ジョイントコネクタを用いた場合、車体内部の高さが制限された場所では、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続することが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑み、高さが制限された設置場所でも、1つのアース部位に多数のアース用電線を接続することが可能なアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアース接続装置は、前記課題を解決するための手段として、複数のジョイントコネクタのそれぞれのアース用導体を積層させて1つのアース部位に接続可能な構造において、それぞれのコネクタハウジングを積層させずに同一の高さに平行に並べて配置できるようにアース用導体の形状を改良することにより、高さが限られた場所でも設置可能にしたものである。
【0011】
具体的には、本発明のアース接続装置は、車両内の壁面上に設けられたアース部位に複数本のアース用電線を一括して接続するためのアース接続装置であって、前記アース用電線のうちの複数の第1のアース用電線の端末に設けられる第1のアース用ジョイントコネクタと、前記アース用電線のうち前記第1のアース用電線と異なる複数の第2のアース用電線の端末に設けられる第2のアース用ジョイントコネクタとを備え、前記第1のアース用ジョイントコネクタは、前記各第1のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第1の電線用端子と、前記各第1の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第1の電線側端子部と、前記壁面上で前記アース部位に接続されることが可能な形状を有する第1のアース側端子部とを有し、前記各第1の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第1のアース側端子部と一体につながる第1のアース用導体と、前記第1のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第1の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第1の電線用端子を係止する端子係止部を有する第1のコネクタハウジングとを備え、前記第1のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第1の電線用端子がこれに対応する第1の電線側端子部と嵌合した状態で当該第1の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第1の電線側端子部を収容するとともに、前記第1のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第1のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第1のアース用導体を保持し、前記第2のアース用ジョイントコネクタは、前記各第2のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第2の電線用端子と、前記各第2の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第2の電線側端子部と、前記第1のアース側端子部に接続されることが可能な形状を有する第2のアース側端子部とを有し、前記各第2の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第2のアース側端子部と一体につながる第2のアース用導体と、前記第2のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第2の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第2の電線用端子を係止する端子係止部を有する第2のコネクタハウジングとを備え、前記第2のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第2の電線用端子がこれに対応する第2の電線側端子部と嵌合した状態で当該第2の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第2の電線側端子部を収容するとともに、前記第2のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第2のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第2のアース用導体を保持し、前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1の電線側端子部の並び方向と前記第2の電線側端子部の並び方向とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで前記第2のアース用導体が前記第1のアース用導体に対して前記両並び方向と直交する積層方向に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とする。
【0012】
この構成では、まず、アース用導体の各電線側端子部はアース側端子部が固定される車両の壁面と略平行な方向に並んでいるので、これと直交する方向、すなわち積層方向についてのアース用ジョイントコネクタ全体の寸法を抑えるようにことができ、第1および第2のアース用ジョイントコネクタのそれぞれのコネクタハウジングを扁平な形状にすることが可能であり、当該壁面からの突出量を小さく抑えることが可能である。
【0013】
そして、第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態では、これらの扁平な形状の第1および第2のアース用ジョイントコネクタのコネクタハウジング同士がアース用導体の積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されることにより、多数本の電線がアース部位に接続されることを可能にしながら車両内の高さが限られた場所でも容易に取り付けることが可能である。
【0014】
さらに、それぞれのコネクタハウジングを車両内の壁面に近づけて当該壁面と略平行になるように配置することが可能であるので、コネクタハウジングと壁面との隙間を小さくすることが可能であり、車両運転中の振動等によってコネクタハウジングが壁面に接触して異音が発生するおそれを低減することが可能である。
【0015】
また、前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部のうちの少なくとも1つは、前記両並び方向に平行な方向に突出する形状を有している、のが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部を両並び方向にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジングを第1および第2アース用導体の積層方向と直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0017】
さらに、前記第1のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向に突出する第1の側方突出部を有しており、前記第2のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向であって前記第1の側方突出部に対向する向きに突出する第2の側方突出部を有しており、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、前記積層方向に積層されているのが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1のアース側端子部および第2のアース側端子部は、それぞれ両並び方向に突出する第1の側方突出部および第2の側方突出部を有しているので、これらの側方突出部同士を積層させることにより、個々の側方突出部の突出量が小さくても、第1および第2のコネクタハウジングをアース用導体の積層方向と直交する方向に所定の間隔を確保しながら並べて配置させることが可能である。また、第1および第2のアース側端子を積層する前は、個々の側方突出部の突出量が小さくてすむので、個々のジョイントコネクタを輸送および保管する際に、それぞれの側方突出部が包装材等に干渉するおそれを低減することが可能である。
【0019】
また、前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部は、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部が積層している部分において、前記アース部位に接続されているのが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1および第2のアース側端子部は、第1および第2の側方突出部が積層している部分でアース部位に接続されているので、当該第1および第2の電線側端子部とアース部位との距離のばらつきを抑えることが可能である。その結果、アース部位を経由しないで隣接するアース用電線の間で電流が流れる不具合が生じるおそれを低減することが可能である。
【0021】
また、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、これらの側方突出部同士が前記積層方向に積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部同士を電気的に導通させる第1の接触部および第2の接触部をそれぞれ有するのが好ましい。
【0022】
この構造では、第1の側方突出部および第2の側方突出部が、第1の接触部および第2の接触部により、これら側方突出部同士が積層方向に積層された状態で互いに接触し、これにより両側方突出部同士を電気的に導通させることが可能になる。
【0023】
さらに、前記第1の接触部は第1の係合部を含み、前記第2の接触部は前記両側方突出部が積層された状態で前記第1の係合部と係合することによりその積層状態を維持する第2の係合部を含むのが好ましい。
【0024】
この構成によれば、前記第1および第2のアース側端子部における第1の接触部および第2の接触部が、互いに係合する第1の係合部および第2の係合部を含んでいるので、両側方突出部が積層された状態で第1および第2の係合部同士が互いに係合することにより、その積層状態を維持することが可能になる。その結果、第1および第2のアース用ジョイントコネクタを一体に結合した状態で、アース部位に一括して接続することができるので、アース部位への取付作業性が向上する。また、アース部位への接続状態を安定して維持できる。
【0025】
また、前記第1のアース用導体は、前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部を有し、前記第1のアース側端子部は、前記壁面に当接可能な形状を有する当接面を有し、前記第1のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第1の対向面を有し、前記第2のアース用導体は、前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部を有し、前記第2のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第2の対向面を有しており、前記第1の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接した状態において前記第1のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と前記壁面との間で所定の隙間を維持できるような高さに、設定され、前記第2の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接し、かつ、前記第2のアース側端子部が前記第1のアース側端子部に対して前記積層方向に積層された状態において前記第2のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と前記壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている、のが好ましい。
【0026】
この構造では、第1のアース側端子部と第2のアース側端子部とが互いに積層されているにもかかわらず第1および第2のコネクタハウジングのそれぞれの対向面と壁面との間に良好な隙間を確保できる。具体的には、第1のアース側端子部の当接面が車両の壁面に当接した状態では、第1のアース側端子部と第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部によって、第1のコネクタハウジングが壁面から積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と壁面との間で所定の隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第1のコネクタハウジングの対向面が壁面に接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。それとともに、第1のアース側端子部の当接面が車両の壁面に当接し、かつ、第2のアース用導体を第1のアース用導体に対して積層方向に積層された状態では、第2のアース側端子部と第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部によって、第2のコネクタハウジングが壁面から積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第2のコネクタハウジングの対向面が壁面に接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。
【0027】
また、本発明は、前記アース接続装置を利用したワイヤハーネスを提供する。このワイヤハーネスは、複数の前記第1のアース用電線を含む第1のワイヤハーネス本体と、複数の前記第2のアース用電線を含む第2のワイヤハーネス本体と、請求項1記載のアース接続装置とを含むワイヤハーネスであって、前記第1のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第1電線用端子が、前記第1のワイヤハーネス本体の前記第1のアース用電線の端末に装着された状態で、前記第1のコネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第1の電線側端子部に嵌合され、前記第2のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第2電線用端子が、前記第2のワイヤハーネス本体の前記第2のアース用電線の端末に装着された状態で、前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第2の電線側端子部に嵌合され、前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1のワイヤハーネス本体と前記第2のワイヤハーネス本体とが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とする。
【0028】
このワイヤハーネスは、ワイヤハーネス本体同士が、対応する第1および第2のコネクタハウジングとともに、積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されているので、壁面上における第1および第2のワイヤハーネス本体を配置するために必要な高さを低減することが可能であり、車両内の高さが制限された場所でも容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、ワイヤハーネスを複数個まとめて1つのアース部位に配置する場合にアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスを配置するために必要な高さを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るワイヤハーネスの端末におけるアース接続装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアース接続装置を車両の壁面と平行な方向から見た図である。
【図3】図1のアース接続装置の背面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図1のアース接続装置において、第1および第2のアース用のジョイントコネクタの連結を解除した状態を示す斜視図である。
【図6】図1の第1のアース用ジョイントコネクタの縦断面図である。
【図7】図1の第1のアース用ジョイントコネクタを前方から見た図である。
【図8】図1の第1のアース用ジョイントコネクタを後方から見た図である。
【図9】図1のアース接続装置におけるアース用ジョイントコネクタのリテーナが挿脱許容位置にある状態を示す断面正面図。
【図10】図1のアース接続装置におけるアース用ジョイントコネクタのリテーナが係止位置にある状態を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明のアース接続装置およびそれを用いたワイヤハーネスの好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1〜4は、本実施形態に係るワイヤハーネスの端末におけるアース接続装置を示したものである。ワイヤハーネスWHは、互いに束ねられた複数の電線を含むワイヤハーネス本体部2と、アース接続装置1とを備える。ワイヤハーネス本体部2は、第1のワイヤハーネス本体2aと、第2のワイヤハーネス本体2bとから構成されている。第1のワイヤハーネス本体2aは、複数のアース用電線11が束ねられて構成され、第2のワイヤハーネス本体2bは、複数のアース用電線111が束ねられて構成されている。
【0033】
本実施形態のアース接続装置1は、第1のアース用ジョイントコネクタJC1および第2のアース用ジョイントコネクタJC2を備えており、それぞれのアース用導体30、130が積層方向Sの方向に積層するとともに、それぞれのコネクタハウジング40、140の積層方向Sと直交の方向である当該コネクタハウジング40、140の幅方向Wに並んで略同一の高さで並んで配置されている。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、第1および第2のワイヤハーネス本体を構成する複数の第1および第2のアース用電線11、111をそれぞれ一括してアース部位に接続するためのものである。
【0034】
第1および第2のアース用電線11、111は、導体とこれを被覆する絶縁被覆とで構成され、前記アース接続装置を介して車両の壁面Aのアース部位に一括して接続される。このアース部位は、図2に示すように、車両のボディの壁面Aと、その壁面Aから内側に突設されたボルトBとを含む。
【0035】
前記アース用電線11、111は、前記ワイヤハーネスにつながる特定の回路を前記アース部位に接地するためのものであり、それぞれの一端が前記アース部位であるボルトBに接続され、他端は前記回路に接続される。
【0036】
アース接続装置1は、具体的には、以下のように構成されている。
【0037】
前記第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、それぞれ、複数の第1の電線用端子20(図9〜10参照)および第2の電線用端子(図示せず)と、第1および第2のコネクタハウジング40、140と、リテーナ50、150とを備えており、これらの部品については共通している。しかし、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、互いに異なる形状の第1のアース用導体30および第2のアース用導体130を有しており、コネクタハウジング40、140を幅方向Wに並んで略同一の高さで配置できるようにしている。
【0038】
すなわち、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、後述する第1の電線側端子部32(図9〜10参照)の並び方向(すなわち、図1および図7のコネクタハウジング40、140の幅方向W)と第2の電線側端子部(図示せず)の並び方向(同じく幅方向W)とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで第2のアース用導体130が第1のアース用導体30に対して両並び方向(すなわち、図1および図7の幅方向W)と直交する積層方向S(図1参照)に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが積層方向Sと直交する方向(すなわち、図1の幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能なような形状をしている。本実施形態では、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、それぞれ、両並び方向に平行な方向に突出する形状(具体的には、図1および図5に示される側方突出部34a、134a)を有するアース側端子部34、134と、互いに異なる長さを有する段差部36、136(図1〜2参照)とを有している。
【0039】
つぎに、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の各部品についてより具体的に説明する。第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2は、アース用導体30,130以外は共通した構成を有しているので、以下の項目では、代表として、下側の第1のアース用ジョイントコネクタJC1の各部品の説明について詳細に説明する。
【0040】
(第1のアース用ジョイントコネクタJC1の構成)
前記第1の電線用端子20は、それぞれ、前記各第1のアース用電線11の端末に設けられるもので、図9〜10に示されるように、雌型の電気接触部22と、電線圧着部を構成する導体バレル23及びインシュレーションバレル24とを前後に有する。
【0041】
前記電気接触部22は、中空角筒状の本体と、この本体内で撓み可能に設けられる接触ばね片26とを有する。この電気接触部22の天壁には、前記第1のコネクタハウジング40側に係止されるための被係止用孔28が穿設されている。
【0042】
前記電線圧着部は、対応する第1のアース用電線11の端末に圧着される。当該第1のアース用電線11の端末には、予め、その絶縁被覆16を除去して導体14を露出させる処理が施されており、前記電線圧着部の各バレル23,24がそれぞれ前記導体14の端末及びその近傍の絶縁被覆16をそれぞれ抱き込むように曲げ加工されることにより、前記第1のアース用電線11の端末に圧着されてその導体に電気的に接続される。
【0043】
前記第1のアース用導体30は、導電材料からなり、前記各第1の電線用端子20に共通して接続されることによりこれらの第1の電線用端子20を一括してアース部位のボルトBに接続、すなわち接地する。第1のコネクタハウジング40は、合成樹脂等の絶縁材料により全体が一体に成型され、前記第1のアース用導体30の所定部位を格納した状態で保持することが可能な形状、具体的には当該第1のアース用導体30の厚み方向に扁平な形状を有する。
【0044】
本実施形態の第1のアース用導体30は、図5〜10に示されるように、複数の(図例では12本の)第1の電線側端子部32と、複数の第1の電線側端子部32を連結する連結部33(図7参照)と、第1のアース側端子部34と、連結部33とアース側端子部34との間に介在する第1の段差部36とを一体に有し、前記各電線側端子部32が連結部33および第1の段差部36を介して共通のアース側端子部34につながっている。複数の電線側端子部32は、上下2段にそれぞれ6本ずつ配置されている。これらの電線側端子部32は、U字状の連結部33によって、互いに接続されている。連結部33は、第1の段差部36に連結されている。
【0045】
前記各電線側端子部32は、第1のアース用ジョイントコネクタJC1の後側(電線側)に向かって突出し、前記各電線用端子20の雌型の電気接触部22に対して所定の端子嵌合方向Y(アース用電線11の軸方向)に嵌入可能な雄型の嵌合部(タブ)を構成し、その嵌合状態で前記電気接触部22の接触ばね片26及び天壁と圧接することにより、当該電気接触部22と電気的に導通する。これらの電線側端子部32は、その幅方向Wと平行な方向(前記端子嵌合方向と直交する方向であって前記壁面Aと平行な方向)に配列されている。
【0046】
前記アース側端子部34は、アース部位である前記ボルトBに接続された状態で前記壁面A上に固定されるとともに、上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2のアース側端子部134を保持する機能を有する。具体的に、このアース側端子部34は、前記壁面Aに沿う板状をなし、当該壁面Aに当接可能な形状を有する下面34b(図2および図4参照)を有する。下面34bは、本発明の当接面に対応する。
【0047】
第1の段差部36は、第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に介在する。第1の段差部36は、積層方向Sと平行な方向に延びることにより当該積層方向Sについて第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に段差を与える。第1の段差部36の高さは、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接した状態において第1のコネクタハウジング40が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第1のコネクタハウジング40の下面41と壁面Aとの間で所定の隙間tを維持できるような高さに、設定されている。
【0048】
図1および図5に示されるように、第1のアース側端子部34は、両並び方向(幅方向W)に平行な方向に突出する形状を有しており、具体的には、第1の側方突出部34aを有している。第1の側方突出部34aには、ボルトB(図1〜2参照)が挿通可能な貫通孔35が形成され、当該貫通孔35の左右両側(前記幅方向Wの両側)には、図4〜5に示されるように、第1の接触部37として、後述する第2のアース用ジョイントコネクタJC2の第2のアース側端子部134の第2の係合部137a、137bと係合する第1の係合部37a、37bが形成されている。この係合部37aは、アース側端子部34の他の部分よりも上側(表側)に隆起してその下側(裏側)に前記アース側端子部134を嵌め込むための空間が形成されている。また、係合部37bは、逆U字形状である。また、第1のアース側端子部34における第1の側方突出部34aと反対側の側端部には、第1のアース用ジョイントコネクタJC1の回転を規制する舌片39が設けられている。この舌片39は、壁面Aに形成された穴(図示せず)に嵌合して第1のアース用ジョイントコネクタJC1のボルトB回りの回転を規制することが可能である。
【0049】
前記コネクタハウジング40は、前記アース用導体30のうちのアース側端子部34を露出させた状態で各電線側端子部32を保持し、かつ、前記各電線側端子部32の配列方向と直交する方向に扁平な形状をなす。
【0050】
このコネクタハウジング40は、図1〜2および図5に示されるように、前記アース側端子部34の下面34bが前記壁面Aに当接した状態で当該アース側端子部34が当該壁面Aに固定されたときに当該壁面Aと対向する下面41と、その反対側の上面42とを有し、この実施の形態では上下両面41,42がともに前記壁面Aと略平行な平面となっている。下面41は、本発明の第1の対向面に対応する。
【0051】
図9〜10に示されるように、前記コネクタハウジング40の前側部(アース側部)は導体保持部43を構成し、後側部(電線側部)は複数(図例では12個)の端子収容室44を有する。
【0052】
これらの端子収容室44は、前記電線側端子部32の並び方向と平行な方向に当該電線側端子部32のピッチと同ピッチで上下2段に並び、後側すなわち前記アース側端子部34と反対の側にそれぞれ開口する。そして、この開口から前記各電線用端子20の電気接触部22が当該端子収容室44内に挿入されるのを許容する。
【0053】
前記導体保持部43は、この導体保持部43内に前記端子収容室44と反対の側(前側)から前記アース用導体30の各電線側端子部32が圧入されるのを許容する形状を有し、かつ、その圧入された電線側端子部32を保持する。各電線側端子部32は、これらの電線側端子部32が対応する端子収容室44内に突出し、かつ、この端子収容室44内に挿入される電線用端子20の電気接触部22と当該挿入方向(端子嵌合方向Y)に嵌合される位置に保持される。
【0054】
このコネクタハウジング40には、図9〜10に示すように、前記各端子収容室44に対応する位置に端子係止部であるランス48が形成されている。各ランス48は、各端子収容室44内においてその天面(上側面)から斜め内側に膨出し、その先端部はコネクタハウジング40の厚み方向(図では上下方向)に撓み変位することが可能な自由端部を構成する。この先端部は、挿入される電線用端子20と接触することにより上側に撓み変形して当該電線用端子20の通過を許容し、その通過後に正規の位置に弾性的に復帰することにより図10に示すように前記電線用端子20の被係止用孔28に嵌り込んで当該電線用端子20を後側から拘束する。つまり、電線用端子20が離脱方向に変位するのを阻止して当該電線用端子20を前記電線側端子部32と嵌合する位置に係止(一次係止)する。
【0055】
前記リテーナ50は、前記のように電線側端子部32と嵌合されてランス48により係止される各電線用端子20をさらに係止(二次係止)するためのもので、前記コネクタハウジング40の前後方向の中間部に装着される。詳しくは、このリテーナ50は、図9に示す挿脱許容位置と、図10に示すようにそれよりもコネクタハウジング40内に沈み込んだ係止位置との間でコネクタハウジング40の厚み方向(電線側端子部32の並び方向及び前記端子嵌合方向の双方に対して略直交する方向に移動可能となるように前記コネクタハウジング40に装着され、前記挿脱許容位置では前記各端子収容室44に対する前記各電線用端子20の挿脱を許容し、前記係止位置では前記端子収容室44に挿入されて前記電線側端子部32に嵌合された位置にある電線用端子20をその位置で係止する。
【0056】
リテーナ50は、前記のように電線側端子部32と嵌合されてランス48により係止される各電線用端子20をさらに係止(二次係止)するためのもので、コネクタハウジング40の上面42の前後方向の中間部に形成されたリテーナ挿入口40cに出没自在に装着される。詳しくは、このリテーナ50は、図9に示す挿脱許容位置と、図10に示すようにそれよりもコネクタハウジング40内に沈み込んだ係止位置との間でコネクタハウジング40の厚み方向(図1〜2の積層方向S)に移動可能となるように前記コネクタハウジング40に装着され、前記挿脱許容位置では前記各端子収容室44に対する前記各電線用端子20の挿脱を許容し、前記係止位置では前記端子収容室44に挿入されて前記電線側端子部32に嵌合された位置にある電線用端子20をその位置で係止する。
【0057】
図9〜10に示すように、このリテーナ50は、コネクタハウジング40の幅方向W(図1参照)に延びる天壁52と、各端子収容室44に対応する位置で当該天壁52の下面から突出する複数の係止突起53が形成されている。これらの係止突起53は、リテーナ50が前記挿脱許容位置にあるときに端子収容室44から上側(表側)に退避して当該端子収容室44に対する電線用端子20の挿脱を許容する一方、この電線用端子20が当該端子収容室44内に挿入されて前記ランス48に係止されている状態で前記リテーナ50が前記係止位置まで押し込まれたときに、前記各端子収容室44内に突出して前記各電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20の二重係止を行う。なお、図示されていないが、リテーナ50は、挿脱許容位置および係止位置においてそれぞれ係止されるように、係止突起などを有している。
【0058】
(第2のアース用ジョイントコネクタJC2の構成)
つぎに、上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2の構成について説明する。上側の第2のアース用ジョイントコネクタJC2は、下側の第1のアース用ジョイントコネクタJC1の構成のうち、第1のアース用導体30を当該第1のアース用導体30と異なる形状を有する第2のアース用導体130に置き換えたものであり、その他の構成については、第1のアース用ジョイントコネクタJC1と共通している。
【0059】
図1〜5に示されるように、第2のアース用導体130は、以下のように構成されている。
【0060】
第2のアース用導体130は、図1〜5に示されるように、第2のアース側端子部134と、第2の段差部136とを備えるとともに、コネクタハウジング140の内部に収容される部分として上記第1のアース用導体30と同様の複数の第2の電線側端子部および連結部(図示せず)を備えている。第2の電線側端子部および連結部については、上記の第1のアース用導体30と共通の構成を有しているので、説明を省略する。
【0061】
図1および図5に示されるように、第2のアース側端子部134は、両並び方向(幅方向W)に平行な方向に突出する形状を有しており、具体的には、両並び方向に平行な方向であって第1の側方突出部34aに対向する向きに突出する第2の側方突出部134aを有している。
【0062】
第2の側方突出部134aは、第1の側方突出部34aに対して積層方向Sに積層可能な形状を有する。第2の側方突出部134aを第1の側方突出部34aに対して積層方向Sに積層することにより、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134aを両並び方向(幅方向W)にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング40、140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。このような配置では、第2のコネクタハウジング140の下面141は、第1のコネクタハウジング40の第1のアース側端子部34の下面34b(当接面)が壁面Aに当接したときに壁面Aに対向することが可能である。下面141は、本発明の第2の対向面に対応する。
【0063】
第2の段差部136は、第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部(図示せず)との間に介在する。第2の段差部136は、積層方向Sと平行な方向に延びることにより当該積層方向Sについて第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部との間に段差を与える。
【0064】
第2の段差部136の高さは、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接し、かつ、第2のアース側端子部134が第1のアース側端子部34に対して積層方向Sに積層された状態において第2のコネクタハウジング140が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第2のコネクタハウジング140の下面141と壁面Aとの間で所定の隙間tと同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている。具体的には、図2に示されるように、第2のアース側端子部134に下側に位置する第1のアース側端子部34の第1の段差部36よりも短くなっている。これにより、図1〜2に示されるように、第2のコネクタハウジング140を第1のコネクタハウジング40に対して積層方向Sと直交する方向(すなわち、幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで、かつ、壁面Aから所定の間隔tをあけて配置することが可能である。間隔tは、2個のコネクタハウジング40、140が壁面Aに当たって異音などが発生しない程度の大きさ(例えば2mm前後)に設定される。
【0065】
第2の側方突出部134aは、ボルトB(図1〜2参照)が挿通可能な貫通孔135が形成されている。図1および図5に示されるように、第2の側方突出部134aを第1の側方突出部34aに積層するとともに貫通孔135を貫通孔35に重ね合わせ、これら貫通孔35、135にボルトBを貫通させることにより、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134は、第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aが積層しているこれら側方突出部34a、134aの場所において、アース部位(ボルトB)に接続することが可能である。
【0066】
また、第2の側方突出部134aは、図4〜5に示されるように、第2の接触部137を有する。第2の接触部137は、第2の側方突出部134aの貫通孔135の左右両側(前記幅方向Wの両側)に配置されている。第2の接触部137は、上記第1の側方突出部34aの第1の係合部37a、37bと係合する第2の係合部137a、137bから構成されている。
【0067】
第2の接触部137は、第1および第2の側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させるように、第1のアース側端子部34の第1の接触部37に接触する。
【0068】
第2の接触部137を構成する第2の係合部137a、137bは、両アース用導体30、130が積層された状態で第1の係合部37a、37bと係合することが可能である。
【0069】
(アース部位への接続方法)
つぎに、本実施形態のアース接続装置を用いてワイヤハーネスをアース部位へ接続する方法について説明する。
【0070】
1)電線用端子20の装着
まず、2つのワイヤハーネス本体部2からアース接続対象である複数のアース用電線11,111がそれぞれ引き出され、各アース用電線11,111の端末に各第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の電線用端子20がそれぞれ装着される。なお、この端子の装着はワイヤハーネスのアッセンブリの前に予め行われていてもよい。
【0071】
2)電線用端子20の係止
ついで、図9に示されるように、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のそれぞれの前記各電線用端子20が前記第1および第2のコネクタハウジング40、140の各端子収容室44内に挿入され、前記挿脱許容位置にあるリテーナ50、150の係止突起53の下をくぐりながらアース用導体30、130の電線側端子部32に嵌合されることにより、これらの電線用端子20が一括して共通のアース用導体30、130に電気的に接続可能な状態となる。その嵌合の際、各電線用端子20の電気接触部22に設けられた被係止用孔28内に第1および第2のコネクタハウジング40、140側の端子係止部であるランス48がそれぞれ嵌り込んで当該電気接触部22を係止(一次係止)することにより、当該電気接触部22と前記電線側端子部32との嵌合状態が維持される。
【0072】
前記の状態からさらに、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2の前記リテーナ50、150がコネクタハウジング40、140の厚み方向S(すなわち前記電線側端子部32の並び方向及び前記端子嵌合方向の双方に対して略直交する方向)に押し込まれることにより、図10に示されるような係止位置にリテーナ50、150が係止される。この係止位置にあるリテーナ50,150は、その天壁52の係止突起53が端子収容室44内に入り込んで前記電線用端子20の電気接触部22を後側から拘束することにより、当該電線用端子20を二次係止する。これにより、コネクタハウジング40,140の内部で各電線用端子20と各電線側端子部32との嵌合状態を確実に維持することを可能にする。
【0073】
3)アース用導体30、130の合体
その後、第2のアース用導体の130のアース側端子部134の幅方向Wに突出した第2の側方突出部134aを、第1のアース用導体30のアース側端子部34の幅方向Wに突出した第1の側方突出部34aに積層させることにより、第1および第2のコネクタハウジング40、140同士が幅方向Wに並んで略同一の高さで配置された状態で、第1および第2のアース用導体30、130を合体させて両者を導通状態にする。
【0074】
本実施形態では、第1および第2アース用ジョイントコネクタJC1、JC2におけるアース側端子部34、134を一体に結合するために、第1のアース側端子部34には第1の係合部37a、37bが設けられ、これらの係合相手として、第2のアース側端子部134には係合部137a、137bが設けられている。
【0075】
例えば、図4に示されるように、第2のアース用導体130のアース側端子部134に設けられた係合部137aが第1のアース用導体30のアース側端子部34における係合部37aの下側に嵌め込まれ、当該係合部37aの係止突起37cが当該係合部137aの係止用孔137cに嵌め込まれる。それとともに、アース側端子部134の係合部137bがアース側端子部34の係合部37bの下側に嵌め込まれ、当該係合部137bの係止突起137dが当該係合部37bの係止用孔37dに嵌め込まれる。これにより、2つのアース側端子部34、134が積層方向Sに積層された状態で連結され、ワイヤハーネス本体部2の端末にアース接続装置1が構築される。なお、これらの係止突起および係止用孔は、逆に配置されてもよい。
【0076】
このとき、図2に示されるように、第1のアース用導体30の上に積層された第2のアース用導体130の第2の段差部136は、第1のアース用導体30の第1の段差部36よりも短いので、図1〜2に示されるように、第1のコネクタハウジング40および第2のコネクタハウジング140をそれぞれ壁面Aからほぼ同じ所定の間隔tだけ離して配置することが可能である。
【0077】
4)アース部位への接続
上記のように、第2のアース用ジョイントコネクタJC2のアース側端子部134が、第1のアース用ジョイントコネクタJC1のアース側端子部34の表面に直接接触して電気的に接続された状態で、当該アース側端子部34、134の接続部分が、アース部位のボルトBに一括して直接接続される。
【0078】
具体的には、図1〜2に示されるように、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2が合体した状態で、アース側端子部34の舌片39を壁面Aに形成された穴(図示せず)などに挿入して位置決めする。この状態で、アース側端子部34、134にそれぞれ設けられる貫通孔35、135に前記ボルトBを貫通して壁面Aに締め付けることにより、アース側端子部34、134がアース部位に固定される。これにより、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2におけるアース側端子部34、134を含むアース用導体30、130及びそれらの各電線側端子部32に嵌合される各電線用端子20を介して,各アース用電線11、111がアース部位に一括して接続される。
【0079】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、第1の電線側端子部32の並び方向(図1の幅方向W)と第2の電線側端子部の並び方向(同幅方向W)とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで第2のアース用導体130が第1のアース用導体30に対して前記両並び方向と直交する積層方向Sに積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態で第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが積層方向Sと直交する方向(本実施形態におけるコネクタハウジング40、140の幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有している。これにより、まず、アース用導体30、130の各電線側端子部32はアース側端子部34、134が固定される車両の壁面Aと略平行な方向に並んでいるので、これと直交する方向、すなわち積層方向Sについてのアース用ジョイントコネクタJC1、JC2全体の寸法を抑えるようにことができ、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のそれぞれのコネクタハウジング40、140を扁平な形状にすることが可能であり、当該壁面Aからの突出量を小さく抑えることが可能である。
【0080】
そして、第1のアース用導体30と第2のアース用導体130とが積層された状態では、これらの扁平な形状の第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2のコネクタハウジング40、140同士がアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されることにより、多数本のアース用電線11、111がアース部位(ボルトB)に接続されることを可能にしながら車両内の高さが限られた場所でも容易に取り付けることが可能である。
【0081】
さらに、それぞれのコネクタハウジング40、140を車両内の壁面Aに近づけて当該壁面Aと略平行になるように配置することが可能であるので、コネクタハウジング40、140と壁面Aとの隙間を小さくすることが可能であり、車両運転中の振動等によってコネクタハウジング40、140が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを低減することが可能である。
【0082】
また、各アース用ジョイントコネクタJC1、JC2では、高さの限られた場所でも許容電流の範囲内で配線が可能であり、しかも、コネクタハウジング40、140を共通の形状および構造のものを使用することが可能であり、部品の共通化(ならびに部品番号の共通管理)を行うことも可能になる。
【0083】
(2)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134の両方が、前記両並び方向に平行な方向(同幅方向W)に突出する形状を有しているので、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部を両並び方向にずらした位置(すなわち、本実施形態では2つの側方突出部34a、134aが積層された場所)で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0084】
(3)
本実施形態のアース接続装置1では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部は、それぞれ両並び方向(同幅方向W)に突出する第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aを有しているので、これらの側方突出部34a、134a同士を積層させることにより、個々の側方突出部34a、134aの突出量が小さくても、第1および第2のコネクタハウジング40、140をアース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に所定の間隔を確保しながら並べて配置させることが可能である。また、第1および第2のアース側端子30、130を積層する前は、個々の側方突出部34a、134aの突出量が小さくてすむので、個々のジョイントコネクタJC1、JC2を輸送および保管する際に、それぞれの側方突出部34a、134aが包装材等に干渉するおそれを低減することが可能である。
【0085】
(4)
本実施形態のアース接続装置1では、第1および第2のアース側端子部34、134は、第1および第2の側方突出部34a、134aが積層している部分でアース部位(ボルトB)に接続されているので、当該第1および第2の電線側端子部32とアース部位Bとの距離のばらつきを抑えることが可能である。その結果、アース部位Bを経由しないで隣接するアース用電線11,111の間で電流が流れる不具合が生じるおそれを低減することが可能である。
【0086】
(5)
本実施形態のアース接続装置1では、第1の側方突出部34aおよび第2の側方突出部134aは、これらの側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させる第1の接触部37および第2の接触部137をそれぞれ有しており、これら第1の接触部37および第2の接触部137により、これら側方突出部34a、134a同士が積層方向Sに積層された状態で互いに接触し、これにより両側方突出部34a、134a同士を電気的に導通させることが可能になる。
【0087】
(6)
本実施形態のアース接続装置1では、前記第1および第2のアース側端子部134における第1の接触部37および第2の接触部137が、互いに係合する第1の係合部37a、37bおよび第2の係合部137a、137bを含んでいるので、両側方突出部34a,134aが積層された状態で第1の係合部37aと第2の係合部137aとの間、および、第1の係合部37bと第2の係合部137bとの間bでそれぞれ互いに係合することにより、その積層状態を維持することが可能になる。その結果、第1および第2のアース用ジョイントコネクタJC1、JC2を一体に結合した状態で、アース部位であるボルトBに一括して接続することができるので、アース部位への取付作業性が向上する。また、アース部位への接続状態を安定して維持できる。
【0088】
(7)
本実施形態のアース接続装置1では、図2に示されるように、第1のアース側端子部34の下面34b(当接面)が車両の壁面Aに当接した状態では、第1のアース側端子部34と第1の電線側端子部32との間に段差を与える第1の段差部36によって、第1のコネクタハウジング40が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに第1のコネクタハウジングの下面41(第1の対向面)と壁面Aとの間で所定の隙間tが維持されるので、車両運転中の振動等によって第1のコネクタハウジング40の下面41が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。それとともに、第1のアース側端子部34の下面34bが壁面Aに当接し、かつ、第2のアース側端子部134が第1のアース側端子部34に対して積層方向Sに積層された状態では、第2のアース側端子部134と第2の電線側端子部(図示せず)との間に段差を与える第2の段差部136によって、第2のコネクタハウジング140が壁面Aから積層方向Sに離間するとともに当該第2のコネクタハウジング140の下面141(第2の対向面)と壁面Aとの間で前記所定の隙間tと同じ大きさの隙間を維持されるので、車両運転中の振動等によって第2のコネクタハウジング140の下面141が壁面Aに接触して異音が発生するおそれを確実に低減することが可能である。
【0089】
(8)
さらに、本実施形態のワイヤハーネスWHでは、アース接続装置1が上記のように、第1のアース用導体30および第2のアース用導体130は、ワイヤハーネス本体部2を構成する第1のワイヤハーネス本体2aと第2のワイヤハーネス本体2bとが積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で、第1のコネクタハウジング40と第2のコネクタハウジング140とが前記積層方向Sと直交する方向(同幅方向W)に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有している。したがって、このワイヤハーネスWHは、ワイヤハーネス本体2a、2b同士が、対応する第1および第2のコネクタハウジング140とともに、積層方向Sと直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置されているので、壁面A上における第1および第2のワイヤハーネス本体を配置するために必要な高さを低減することが可能であり、車両内の高さが制限された場所でも容易に取り付けることができる。
【0090】
(変形例)
(A)
なお、上記の実施形態では、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134の両方が、前記両並び方向に平行な方向(幅方向W)に突出する側方突出部34a、134aを有する形状であるが、本発明はこれに限定するものではなく、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134のうちの少なくとも1つが、前記両並び方向に平行な方向(幅方向W)に突出する形状であればよい。その場合でも、第1のアース側端子部34および第2のアース側端子部134を両並び方向にずらした位置で部分的に積層させることが可能になり、第1および第2のコネクタハウジング140を第1および第2アース用導体30、130の積層方向Sと直交する方向に沿って容易に並べて配置することが可能である。
【0091】
(B)
また、上記実施形態では、第1および第2の電線側端子部32並びにそれに接続されるアース用電線11、111が第1および第2のコネクタハウジング40、140に対して当該コネクタハウジング40、140の幅方向Wに横並びに並んだ列が上下2段に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら電線側端子部32は1段であっってもよいし、または3段以上配置されてもよい。それらの場合であっても、コネクタハウジング40、140同士は横並びに配置してアース接続部位が設けられた壁面Aからの高さを低く押されることが可能である。
【符号の説明】
【0092】
JC1 第1のアース用ジョイントコネクタ
JC2 第2のアース用ジョイントコネクタ
11 第1のアース用電線
20 第1の電線用端子
30 第1のアース用導体
32 第1の電線側端子部
34 第1のアース側端子部
37a、37b 第1の係合部
40 第1のコネクタハウジング
111 第2のアース用電線
130 第2のアース用導体
134 第2のアース側端子部
137a、137b 第2の係合部
140 第2のコネクタハウジング
A 壁面
B ボルト(アース部位)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の壁面上に設けられたアース部位に複数本のアース用電線を一括して接続するためのアース接続装置であって、
前記アース用電線のうちの複数の第1のアース用電線の端末に設けられる第1のアース用ジョイントコネクタと、
前記アース用電線のうち前記第1のアース用電線と異なる複数の第2のアース用電線の端末に設けられる第2のアース用ジョイントコネクタとを備え、
前記第1のアース用ジョイントコネクタは、
前記各第1のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第1の電線用端子と、
前記各第1の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第1の電線側端子部と、前記壁面上で前記アース部位に接続されることが可能な形状を有する第1のアース側端子部とを有し、前記各第1の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第1のアース側端子部と一体につながる第1のアース用導体と、
前記第1のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第1の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第1の電線用端子を係止する端子係止部を有する第1のコネクタハウジングとを備え、
前記第1のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第1の電線用端子がこれに対応する第1の電線側端子部と嵌合した状態で当該第1の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第1の電線側端子部を収容するとともに、前記第1のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第1のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第1のアース用導体を保持し、
前記第2のアース用ジョイントコネクタは、
前記各第2のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第2の電線用端子と、
前記各第2の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第2の電線側端子部と、前記第1のアース側端子部に接続されることが可能な形状を有する第2のアース側端子部とを有し、前記各第2の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第2のアース側端子部と一体につながる第2のアース用導体と、
前記第2のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第2の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第2の電線用端子を係止する端子係止部を有する第2のコネクタハウジングとを備え、
前記第2のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第2の電線用端子がこれに対応する第2の電線側端子部と嵌合した状態で当該第2の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第2の電線側端子部を収容するとともに、前記第2のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第2のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第2のアース用導体を保持し、
前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1の電線側端子部の並び方向と前記第2の電線側端子部の並び方向とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで前記第2のアース用導体が前記第1のアース用導体に対して前記両並び方向と直交する積層方向に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とするアース接続装置。
【請求項2】
前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部のうちの少なくとも1つは、
前記両並び方向に平行な方向に突出する形状を有している、
請求項1記載のアース接続装置。
【請求項3】
前記第1のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向に突出する第1の側方突出部を有しており、
前記第2のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向であって前記第1の側方突出部に対向する向きに突出する第2の側方突出部を有しており、
前記第2の側方突出部は、前記第1の側方突出部に対して前記積層方向に積層されている、
請求項2記載のアース接続装置。
【請求項4】
前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部は、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部が積層している部分において、前記アース部位に接続されている、
請求項3記載のアース接続装置。
【請求項5】
前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、これらの側方突出部同士が前記積層方向に積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部同士を電気的に導通させる第1の接触部および第2の接触部をそれぞれ有することを特徴とする請求項3または4に記載のアース接続装置。
【請求項6】
前記第1の接触部は第1の係合部を含み、前記第2の接触部は前記両側方突出部が積層された状態で前記第1の係合部と係合することによりその積層状態を維持する第2の係合部を含むことを特徴とする請求項5記載のアース接続装置。
【請求項7】
前記第1のアース用導体は、前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部を有し、
前記第1のアース側端子部は、前記壁面に当接可能な形状を有する当接面を有し、
前記第1のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第1の対向面を有し、
前記第2のアース用導体は、前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部を有し、
前記第2のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第2の対向面を有しており、
前記第1の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接した状態において前記第1のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と前記壁面との間で所定の隙間を維持できるような高さに、設定され、
前記第2の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接し、かつ、前記第2のアース側端子部が前記第1のアース側端子部に対して前記積層方向に積層された状態において前記第2のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と前記壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアース接続装置。
【請求項8】
複数の前記第1のアース用電線を含む第1のワイヤハーネス本体と、複数の前記第2のアース用電線を含む第2のワイヤハーネス本体と、請求項1記載のアース接続装置とを含むワイヤハーネスであって、
前記第1のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第1電線用端子が、前記第1のワイヤハーネス本体の前記第1のアース用電線の端末に装着された状態で、前記第1のコネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第1の電線側端子部に嵌合され、
前記第2のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第2電線用端子が、前記第2のワイヤハーネス本体の前記第2のアース用電線の端末に装着された状態で、前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第2の電線側端子部に嵌合され、
前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1のワイヤハーネス本体と前記第2のワイヤハーネス本体とが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【請求項1】
車両内の壁面上に設けられたアース部位に複数本のアース用電線を一括して接続するためのアース接続装置であって、
前記アース用電線のうちの複数の第1のアース用電線の端末に設けられる第1のアース用ジョイントコネクタと、
前記アース用電線のうち前記第1のアース用電線と異なる複数の第2のアース用電線の端末に設けられる第2のアース用ジョイントコネクタとを備え、
前記第1のアース用ジョイントコネクタは、
前記各第1のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第1の電線用端子と、
前記各第1の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第1の電線側端子部と、前記壁面上で前記アース部位に接続されることが可能な形状を有する第1のアース側端子部とを有し、前記各第1の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第1のアース側端子部と一体につながる第1のアース用導体と、
前記第1のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第1の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第1の電線用端子を係止する端子係止部を有する第1のコネクタハウジングとを備え、
前記第1のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第1の電線用端子がこれに対応する第1の電線側端子部と嵌合した状態で当該第1の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第1の電線側端子部を収容するとともに、前記第1のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第1のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第1のアース用導体を保持し、
前記第2のアース用ジョイントコネクタは、
前記各第2のアース用電線の端末にそれぞれ装着される複数の第2の電線用端子と、
前記各第2の電線用端子に対して互いに共通する特定の端子嵌合方向に嵌合可能な形状を有する複数の第2の電線側端子部と、前記第1のアース側端子部に接続されることが可能な形状を有する第2のアース側端子部とを有し、前記各第2の電線側端子部が前記端子嵌合方向と略直交しかつ前記壁面と略平行な方向に並んだ状態で前記第2のアース側端子部と一体につながる第2のアース用導体と、
前記第2のアース用導体を保持するとともに、前記端子嵌合方向と平行な一方向に開口して当該開口から前記各第2の電線用端子が挿入可能な複数の端子収容室及び各端子収容室内に挿入される前記第2の電線用端子を係止する端子係止部を有する第2のコネクタハウジングとを備え、
前記第2のコネクタハウジングは、その各端子収容室内に挿入される第2の電線用端子がこれに対応する第2の電線側端子部と嵌合した状態で当該第2の電線用端子を前記各端子係止部が係止するように各端子収容室内に前記第2の電線側端子部を収容するとともに、前記第2のアース側端子部が前記各端子収容室の開口と反対の側で第2のコネクタハウジングの外部に突出するように前記第2のアース用導体を保持し、
前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1の電線側端子部の並び方向と前記第2の電線側端子部の並び方向とが略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで前記第2のアース用導体が前記第1のアース用導体に対して前記両並び方向と直交する積層方向に積層可能であり、かつ、これら第1のアース用導体と第2のアース用導体とが積層された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有することを特徴とするアース接続装置。
【請求項2】
前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部のうちの少なくとも1つは、
前記両並び方向に平行な方向に突出する形状を有している、
請求項1記載のアース接続装置。
【請求項3】
前記第1のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向に突出する第1の側方突出部を有しており、
前記第2のアース側端子部は、前記両並び方向に平行な方向であって前記第1の側方突出部に対向する向きに突出する第2の側方突出部を有しており、
前記第2の側方突出部は、前記第1の側方突出部に対して前記積層方向に積層されている、
請求項2記載のアース接続装置。
【請求項4】
前記第1のアース側端子部および前記第2のアース側端子部は、前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部が積層している部分において、前記アース部位に接続されている、
請求項3記載のアース接続装置。
【請求項5】
前記第1の側方突出部および前記第2の側方突出部は、これらの側方突出部同士が前記積層方向に積層された状態で互いに接触することにより両側方突出部同士を電気的に導通させる第1の接触部および第2の接触部をそれぞれ有することを特徴とする請求項3または4に記載のアース接続装置。
【請求項6】
前記第1の接触部は第1の係合部を含み、前記第2の接触部は前記両側方突出部が積層された状態で前記第1の係合部と係合することによりその積層状態を維持する第2の係合部を含むことを特徴とする請求項5記載のアース接続装置。
【請求項7】
前記第1のアース用導体は、前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第1のアース側端子部と前記第1の電線側端子部との間に段差を与える第1の段差部を有し、
前記第1のアース側端子部は、前記壁面に当接可能な形状を有する当接面を有し、
前記第1のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第1の対向面を有し、
前記第2のアース用導体は、前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に介在しかつ前記積層方向と平行な方向に延びることにより当該積層方向について前記第2のアース側端子部と前記第2の電線側端子部との間に段差を与える第2の段差部を有し、
前記第2のコネクタハウジングは、前記当接面が前記壁面に当接したときに前記壁面に対向する第2の対向面を有しており、
前記第1の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接した状態において前記第1のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第1のコネクタハウジングの第1の対向面と前記壁面との間で所定の隙間を維持できるような高さに、設定され、
前記第2の段差部の高さは、前記第1のアース側端子部の当接面が前記壁面に当接し、かつ、前記第2のアース側端子部が前記第1のアース側端子部に対して前記積層方向に積層された状態において前記第2のコネクタハウジングが前記壁面から前記積層方向に離間するとともに当該第2のコネクタハウジングの第2の対向面と前記壁面との間で前記所定の隙間と同じ大きさの隙間を維持できるような高さに、設定されている、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のアース接続装置。
【請求項8】
複数の前記第1のアース用電線を含む第1のワイヤハーネス本体と、複数の前記第2のアース用電線を含む第2のワイヤハーネス本体と、請求項1記載のアース接続装置とを含むワイヤハーネスであって、
前記第1のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第1電線用端子が、前記第1のワイヤハーネス本体の前記第1のアース用電線の端末に装着された状態で、前記第1のコネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第1の電線側端子部に嵌合され、
前記第2のアース用ジョイントコネクタに含まれる複数の前記第2電線用端子が、前記第2のワイヤハーネス本体の前記第2のアース用電線の端末に装着された状態で、前記コネクタハウジングの各端子収容室に挿入されて前記第2の電線側端子部に嵌合され、
前記第1のアース用導体および前記第2のアース用導体は、前記第1のワイヤハーネス本体と前記第2のワイヤハーネス本体とが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢で略同一高さで並んで配置された状態で前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとが前記積層方向と直交する方向に略平行な姿勢でかつ略同一高さで並んで配置可能な形状を有する
ことを特徴とするワイヤハーネス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−109999(P2013−109999A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254804(P2011−254804)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
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