説明

アーチサポート中敷

【課題】履物に挿入するのに好適な中敷の提供。
【解決手段】履物に挿入する中敷であって、足中央部分およびかかと部分は、第1の硬さを有する弾力性の緩衝機能を提供する材料のクッション材層によって形成され、該クッション材層におけるへこみの中に構成され、該クッション材層から下方向に延びているクッション材インサート20であって、該クッション材インサートは該クッション材層の該硬さよりも硬くない、第2の硬さを有する弾力性の材料を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、靴の中敷またはインサートに関し、より具体的には、異なる硬さのゲル材料を含む、追加的なアーチのサポートおよび快適さのために適合される中敷に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな種類の中敷が公知であり、それらは、さまざまな足の問題をなくし、痛みを和らげ、または使用者にさらなる快適さを提供するために、靴の中に嵌入する。そのような中敷の例は、Dr.SCHOLL’S(登録商標)という登録商標の下で本発明の譲受人によって販売されるものがある。
【0003】
特に、その全開示が本明細書において参考として援用される特許文献1は、比較的低いヒールと、薄いばねの壁を有する爪先のへこみとを有するゲル中敷を記述する。その発明の中敷によって提供される進歩は、歩くために必要なエネルギーを増加させることのない、歩行時のショック吸収だと言われる。
【0004】
しかし、中敷の残りの部分のゲル材料とは異なる硬さのゲル材料を含む薄いばねの壁を備えるアーチサポート中敷は、アーチサポート、ショック吸収および快適さ全般において、改善を提供することが、驚くほどに発見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,598,321号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、足のアーチに向けられたサポートを提供する中敷を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、中底(midsole)においてアーチ領域とかかと領域にクッションを提供する中敷を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、周辺の縁に向かって厚さが次第に減少する中敷を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、作製および使用が、容易および経済的である中敷を提供することである。
【0010】
一実施形態に従って、本発明は、履物に挿入する中敷を提供し、該中敷は、足中央部分およびかかと部分であって、該足中央部分およびかかと部分は、第1の硬さを有する弾力性の、緩衝機能を提供する材料のクッション材層によって形成された、足中央部分およびかかと部分と、該クッション材層におけるへこみの中に構成され、該クッション材層から下方向に延びているクッション材インサートであって、該クッション材インサートは、該クッション材層の該硬さよりも硬くない、第2の硬さを有する弾力性の材料を含む、クッション材インサートとを備えている。
【0011】
本発明の別の実施形態に従って、履物の中に挿入する中敷が提供され、該中敷は、足中央部分とかかと部分とを含み、該中敷の上部面は、第1の硬さを有する第1のエラストマーのゲル材料を含み、該中敷の下部面は、該第1のエラストマーのゲル材料と、該第1のエラストマーのゲル材料とは異なる第2の硬さを有する第2のエラストマーのゲル材料とを含み、該第2のエラストマーのゲル材料は、足のアーチの下に置かれる足中央部分に実質的に位置付けられる。
【0012】
好適な実施形態において、該第1のエラストマーのゲル材料は、第2のゲルのエラストマーのゲル材料よりも硬い硬さを有し、これによって、第1のエラストマーのゲル材料は、ショック吸収およびサポートを提供し、該第2のエラストマーのゲル材料は、緩衝機能および追加のサポートを提供する。
【0013】
好適には、中敷は、かかと部分から足中央部分に形成される長さの3/4の長さである。より好適には、第2のエラストマーのゲル材料は、かかと部分から足中央部分に延びており、特に、足が中敷と接触するときには、足のアーチの直接下の足中央部分の領域に位置づけられている。
【0014】
好適には、第2のエラストマーのゲル材料は、中敷の中にクッション材インサートを含み、これによって、クッション材インサートは、第2のエラストマーのゲル材料から形成された、複数の、間隔を置いたばねの壁を含み、該ばねの壁は、クッション材層の下部面から延びている。一実施形態において、ばねの壁は、クッション材インサートの中央において最も高い高さを有し得、該ばねの壁は、クッション材インサートの縁に向かって高さが次第に低くなる。好適には、ばねの壁のそれぞれは、全般的にシヌソイドの波形で形成される。
【0015】
好適には、該クッション材インサートは、約2mmの実質的に均一の厚さを有し、まくらは、均一な層の上で、約3mmよりも下の高さを有し、クッション材層は、中敷の周辺に向かって厚さが次第に減っていく。
【0016】
一実施形態において、中敷を適所に維持する配置は、該中敷の下部面において接着剤を含むか、または、例えば履物から中敷を取り外し、かつ該履物の中で該中敷の位置を変えることを可能にする非永久的な接着剤を含むか、あるいは、高い摩擦の中敷の下部面を含む。別の実施形態において、粘着剤が、ゲル材料に加えられる。
【0017】
頂部カバーもまた、クッション材層の上部面に固定され得る。
【0018】
本発明の上記および他の特徴は、以下の詳細な説明から容易に明らかとなり、該詳細な説明は、添付の図面とともに読まれるべきである。
(項目1)
履物に挿入する中敷であって、
a)足中央部分およびかかと部分であって、該足中央部分およびかかと部分は、第1の硬さを有する弾力性の、緩衝機能を提供する材料のクッション材層によって形成された、足中央部分およびかかと部分と、
b)該クッション材層におけるへこみの中に構成され、該クッション材層から下方向に延びているクッション材インサートであって、該クッション材インサートは、該クッション材層の該硬さよりも硬くない、第2の硬さを有する弾力性の材料を含む、クッション材インサートと
を備えている、中敷。
(項目2)
前記クッション材層を形成する前記弾力性の材料は、粘弾性ゲル材料である、項目1に記載の中敷。
(項目3)
前記クッション材インサートを形成する前記弾力性の材料は、粘弾性ゲル材料である、項目1に記載の中敷。
(項目4)
前記中敷は、前記かかと部分と前記足中央部分とがともに繋がって形成される3/4の長さの中敷である、項目1に記載の中敷。
(項目5)
前記中敷が足と接触するときには、前記クッション材インサートは、前記かかと部分からアーチの下に置かれる足中央部分の一部まで延びている、項目4に記載の中敷。
(項目6)
前記中敷を適所に維持するために、該中敷の下部面に接着剤を含む、項目1に記載の中敷。
(項目7)
前記接着剤は、前記履物から前記中敷を取り外し、かつ該履物の中で該中敷の位置を変えることを可能にする緩い接着剤である、項目4に記載の中敷。
(項目8)
前記中敷を適所に維持するために、高い摩擦の該中敷の下部面を含む、項目1に記載の中敷。
(項目9)
前記中敷を適所に維持するために、前記ゲル材料に加えられる粘着剤を含む、項目1に記載の中敷。
(項目10)
前記クッション材インサートは、前記弾力性の材料から形成された、複数の、間隔を置かれたばねの壁を含み、該ばねの壁は、前記クッション材層の下部面から延びている、項目1に記載の中敷。
(項目11)
前記ばねの壁は、それぞれが、まくらの中央において高さが最も高く、該まくらの縁に向かって高さが次第に低くなる、項目10に記載の中敷。
(項目12)
前記ばねの壁のそれぞれは、全般的にシヌソイドの波形で形成されている、項目11に記載の中敷。
(項目13)
前記クッション材層は、前記中敷の周辺部に向かって厚さが次第に減少する、項目1に記載の中敷。
(項目14)
前記クッション材層の上部面に固定された頂部カバーをさらに含む、項目1に記載の中敷。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、一実施形態に従った、右の中敷の下平面図である。
【図2】図2は、一実施形態に従った、右の中敷の上平面図である。
【図3】図3は、一実施形態に従った、右の中敷のアーチ区間の断面図である。
【図4】図4A、図4B、図4Cは、それぞれ、かかと部分の断面図、長手方向の断面図、足中央部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を詳細に参照すると、本発明の第1の実施形態に従った右の中敷10が、周知のように、履物の中に配置されるように適合される。左の中敷(不図示)は、右の中敷10と同一であり、該右の中敷の鏡像である。
【0021】
図1および図2に見られるように、中敷10は、上部面11と下部面12とを備えている。上部面11は、実質的に平面の中央部分13と、該中央部分13から上方向に湾曲する壁を形成する、側面部分14および16とを備えている。側面部分14は、足の外側および足のかかとと接触する、中敷10の縁の下部の壁を表し、側面部分16は、足の甲またはアーチと接触する、中敷10の縁の上部の壁を表す。下部面12は、クッション材インサート20を備えている。図3に見られるように、上部面11および下部面12は、第1の硬さを有する第1の粘弾性ゲル材料を含むクッション材層18と、第2の硬さを有する第2の粘弾性ゲル材料を含むクッション材インサート20とを備えている。従って、中敷10とともに、クッション材インサート20は、歩行中のほとんどの衝撃および力が発生する、足の領域のかかとおよびアーチに提供される。
【0022】
特に、第1の実施形態において、中敷10は、クッション材層18およびクッション材インサート20によって形成され、そのそれぞれは、異なる硬さを有する異なるエラストマーのゲル材料から作られ、特に、クッション材インサート20は、クッション材層18を構成するエラストマーのゲル材料よりも硬くないエラストマーのゲル材料を含む。実際には、クッション材層18およびクッション材インサート20は、圧力を減少させるために、足を保護するショック吸収アーチサポート層をともに形成する。
【0023】
クッション材層18およびクッション材インサート20は、非発泡エラストマー、例えば粘弾性ポリマーまたはシリコーンゲルとして公知の種類の材料から作られ得、該材料は、−50℃から100℃の範囲で行われる動的機械分析によって試験されるときには、高いレベルの減衰を示す。そのようなエラストマー材料および製造方法は、米国特許第6,598,321号に記述されており、その全内容は、本明細書において参考として援用される。
【0024】
ゲルの機械的特性は、弾性材料よりもより粘性があるので、ゲルは、高いエネルギー吸収を提供する。本発明に従って用いられ得るゲルは、多くのポリマーの系統群から作られる材料などの熱可塑性プラスチックエラストマー(エラストマー材料)であり、それらには、限定的にではなく、クラトン系統群のスチレン−オレフィン−ゴムブロックのコーポリマー、熱可塑性プラスチックポリウレタン、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性プラスチックポリオレフィン、ポリアミド、ポリユリア、ポリエステル、および温度の作用として可逆に軟らかくなる他のポリマー材料を含む。好適なエラストマーは、可塑剤として素地にミネラルオイルが入れられたスチレン/エチレンコブチレン/スチレン、またはスチレン/ブタジエン/スチレンのクラトンブロックコポリマー、またはポリウレタンゲルである。
【0025】
認識されるべきは、中敷10は、好適には3/4の長さの中敷、すなわち、かかとから足の母指球に沿って延びる中敷であるということである。通常は、中敷10は、靴の大きさに対応して寸法が決められ得、同じ寸法の組で提供され得る。
【0026】
中敷10は、ゲルの粘着特性を用いることによって履物に固定され得る。この点については、ゲルの粘着性は、ゲル表面の摩擦/粘着性を増加させるために、ゲル成分に粘着剤を入れることによって高められることが好ましい。適切な粘着剤は、I−マークVの名称の下で、日本国、東京の出光興産株式会社によって販売される石油炭化水素樹脂、SEBSゲルに対するRE80の名称の下で、ASYLVALITE(登録商標)という登録商標の下で販売される樹脂、およびポリウレタン(PU)ゲルに対するAMESAMOLL(登録商標)という登録商標の下で販売される、フェノールスルホン酸エステルを含む。所望の粘着性は、1秒の接触時間において、APOLYKEN(登録商標)の登録商標の下で販売される、プローブ粘着性テスターによって決定されるように、好適には120〜250グラムの間である。
【0027】
図3および図4に示されるように、薄いばねの壁22は、クッション材インサート20の前端部から後端部まで、実質的に中敷10の長い方向に延びている。ばねの壁22の高さは、図4Bにおいて最良に示されるように、クッション材インサート20の中央近くに位置するばねの壁22は、クッション材インサート20の縁近くに位置するばねの壁22よりも高い高さを有するように変化し得、その間のばねの壁22は次第に低くなる。このようにして、クッション材インサート20の中のばねの壁22の下部端は、実質的にドーム形状を形成する。その結果として、各まくらの中央におけるばねの壁22の高さは、中敷の残りの部分よりも高い約2〜3mmに達し得、中敷の残りの部分は、約1〜2mmであり得る。
【0028】
図2の実施形態において、薄く、間隔が置かれたばねの壁22は、平行に、間隔を置いて、シヌソイド形状の波のパターンで形成される。しかし、本発明は、そのように限定されるのではなく、米国特許第6,598,321号に記述された任意の実施形態のように形成され得る。さらに、薄いばねの壁22の間の空間、ばねの壁22の数、ばねの壁22におけるシヌソイドの波のパターンのピッチなども、変化し得る。
【0029】
頂部カバー層30は、中敷の上部面11に固定され得るが、そのような頂部カバー層は、必要ではない。用いられる場合には、頂部カバー層30は、限定的にではなく、ファブリック、皮、レザーボード、発泡させたビニル気泡、凝集されたビニルフィルム、凝固したポリウレタン、スクリム上のラテックス気泡、サポートされたポリウレタン気泡、ラミネートされたポリウレタンフィルムなどの任意の適切な材料から作られ得、または一体型の頂部カバーとして、例えば、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン−ゴム、アクリロニトリルブタジエン、アクリロニトリルターポリマーおよびコーポリマー、ビニル、または他のアクリルの鋳型内コーティングで作られ得る。頂部カバー層30の所望の特性は、良好な耐久性、安定性および外観を含む。頂部カバー層30が、容易に成形可能であるために、低い弾性率によって示されるように、良好な可撓性を有することも望ましい。頂部カバー層30の結合面は、上部面11に対する適切な機械的結合を達成するために、適当なテクスチャを提供するべきである。好適には、頂部カバー層30の材料は、ファブリック、例えば、毛羽立て加工されたニットラミネートトップの布(毛羽立て加工されたニットファブリック/ウレタンフィルム/不織スクリム布ラミネート)またはウレタンニットラミネートトップの布である。好適には、頂部カバー層30は、ポリエステルのファブリック材料から作られ、好適には約0.02インチの厚さを有する。
【0030】
本発明は、中敷という用語を用いるが、認識されるべきは、他の均等物または同様の用語、例えば、インナーソールまたはインサートが、同義語であり交換可能であると考慮され、これによって、主張された本発明によって包括されるということである。
【0031】
さらに、本発明は、取外し可能な中敷に関連して議論されたが、靴などの履物の中の恒久的な中底として組み入れられ得る。
【0032】
添付の図面に関連して本発明の特定の好適な実施形態を記述したが、認識されるべきは、本発明は、それらの正確な実施形態に限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、さまざまな変更および修正が、当業者によって実施され得るということである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−136199(P2011−136199A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−48363(P2011−48363)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【分割の表示】特願2008−524224(P2008−524224)の分割
【原出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】