説明

アーチ状木造橋模型の骨組み組み立て方法、骨組み構造および組立キット

【課題】アーチ状木造橋模型の骨組みを精度良く且つ容易に組み立てることができる方法、骨組み構造および組立キットを提供する。
【解決手段】側面形状がアーチ状である複数の橋桁部材101を用意し、複数の橋桁部材101を重ねてアーチ形状に沿って所定位置に複数の貫通孔102を設け、複数の貫通孔102の各々に梁部材103を貫通させ、複数の橋桁部材101を梁部材103に沿って所定間隔に広げることでアーチ状の骨組み構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は橋模型の骨組み組み立て方法に係り、特に曲線や複雑な形状を有するアーチ状木造橋模型の骨組み組み立て方法、骨組み構造および組立キットに関する。
【背景技術】
【0002】
山口県岩国市の錦川に架かる錦帯橋は5連のアーチが美しい木造橋として知られており、岩国市のシンボル的な存在の1つとなっている。このために岩国駅や資料館などに錦帯橋の精巧な模型が展示され、また記念品などのモチーフに錦帯橋のデザインが使用されて広く親しまれている。
【0003】
構造形態が特異な橋の模型としては、特開2005−129918号公報(特許文献1)に記載された「猿橋組み立て構造学習キット」がある。この学習キットは、山梨県大月市にある猿橋の構造を子供たちに学習させることを目的とし、猿橋を鉛筆、定規などの身近な材料で組み立て、遊びながら猿橋の構造を理解させようとするものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−129918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、錦帯橋のような橋を実際の複雑な構造に沿って組み立てることは素人には容易ではない。逆に、錦帯橋のアーチ形態をデフォルメしたデザインでは、組み立ては容易であっても、精巧な木造建造物を表現することはできない。
【0006】
特にアーチ型木造橋の模型では、木造建造物としての外観を失わずに骨組みをきれいなアーチ状に組み立てることが肝要である。上記特許文献1に開示された組み立てキットや組み立て方法では、錦帯橋のようなアーチ状を精度良く、しかも容易に組み立てることができない。
【0007】
本発明の目的は、アーチ状木造橋模型の骨組みを精度良く且つ容易に組み立てることができる方法、骨組み構造および組立キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、側面形状がアーチ状である複数の橋桁部材を用意し、前記複数の橋桁部材を重ねた状態でアーチ形状に沿って所定位置に複数の貫通孔を設け、前記複数の貫通孔の各々に梁部材を貫通させ、複数の橋桁部材を梁部材に沿って所定間隔に広げることでアーチ状の骨組み構造を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上述したように、本発明は、複数の橋桁部材を重ねて複数の貫通孔の各々に梁部材を貫通させ、複数の橋桁部材を梁部材に沿って所定間隔に広げることでアーチ状の骨組み構造を精度良く且つ容易に組み立てることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明の一実施形態によるアーチ状木造橋模型の組み立て方法を模式的に示す図であり、図2(A)はアーチ状木造橋模型の平面図、図2(B)はその側面図である。
【0011】
図1に示すように、所望のアーチ形状を有する橋桁(主桁)部材101を複数枚用意し、使用する全ての橋桁部材101を重ねた状態で補助具等(たとえばテープなど)により固定し、複数の貫通孔102をアーチに沿って配列形成する。あるいは、重ねた橋桁部材101の両端の貫通孔102だけをまず形成し、それらに補助具(たとえばピン)を差し込むことで、重ねた橋桁部材101を固定し、残りの貫通孔102をアーチに沿って配列形成してもよい。複数の橋桁部材101は、たとえば複数枚の板を重ねアーチ形状に切り抜くことで容易に形成することができる。貫通孔102の形状は、円形の方がドリル等により容易に形成できるので望ましいが、後工程での組み立てを考慮して矩形に形成してもよい。
【0012】
続いて、複数の橋桁部材101を重ねて補助具によって固定されている状態で、梁部材103を各貫通孔102に貫通させる。梁部材103の断面は貫通孔102の形状と一致させることが望ましいが、貫通した際に梁部材103が貫通孔102によって手動でスライドさせることができる程度に固定されることが望ましい。たとえば、貫通孔102を円形とし梁部材103を矩形とすることで、製造が容易で且つ適度の固定強度を得ることができる。
【0013】
続いて、複数の梁部材103が貫通した複数の橋桁部材101を図2(A)に示すように略等間隔となるようにスライドさせることで、図2(B)に示すアーチ状の側面を有する橋模型の骨組みを容易に組み立てることができる。
【0014】
なお、加工の容易さ、強度および木造建造物としての質感の観点から、橋桁部材101、梁部材103は木製であることが望ましいが、両方あるいはいずれかを金属製あるいはプラスチック製にすることも可能である。
【実施例】
【0015】
以下、望ましい例として錦帯橋の骨組みの組み立て工程を具体的に説明する。
【0016】
図3は本発明の一実施例による錦帯橋組み立てキットに含まれる部品説明図である。ここでは、本発明による骨組みに関係する部品として、アーチ形状の橋桁部材101が5枚、梁部材(上梁木)103が貫通孔102と同じ個数(あるいはそれ以上)含まれる。その他、後工程の部品として、下梁木、階段、踏板、敷梁、敷板、懐化粧蓋、親柱、斗束、枕木、鞍木、助木、振止木、欄干、および橋脚(石垣)が含まれる。本実施例における石垣以外の各部品は木材(たとえばヒノキ)であり、石垣は石膏である。
【0017】
本実施例のサイズは、一例として、各橋桁部材101が長さ420mm、局面の長さ420mm、上梁木の断面が3×3mmである。以下、錦帯橋模型の組立作業を説明する。
【0018】
図4は本実施例における貫通孔形成工程を示す斜視図、図5は本実施例における梁木差し込み工程を示す斜視図、図6は本実施例の橋桁広げ工程を示す斜視図、図7は完成したアーチ状の骨組みを示す斜視図である。
【0019】
1)貫通孔の形成
図4に示すように、まず5枚の橋桁部材101を重ねて、重ねた橋桁部材101の両端の貫通孔102を穴あけ工具(ここではドリル104)を用いて形成し、これら両端の貫通孔102にそれぞれ梁部材(上梁木)103を差し込むことで、重ねた橋桁部材101を固定する。こうして重ねた橋桁部材101を固定することで、残りの貫通孔102をアーチに沿って容易に形成することができる。なお、重ねた5枚の橋桁部材101をテープ等の補助具で固定し、貫通孔102をドリル等の穴あけ工具を用いて順次形成することも可能である。
【0020】
2)梁木差し込み
図5に示すように、重なっている5枚の橋桁部材101の各貫通孔102に、梁部材(上梁木)103を手で押し込む。手で入らない場合には、小さい金槌で中央部まで軽くたたき込む。
【0021】
3)橋桁広げ
すべての貫通孔102に梁部材(上梁木)103が貫通すると、図6に示すように、カッター等の薄い刃形状の工具を、重なっている橋桁部材の隙間にそれぞれ差し込んで徐々に広げ、真ん中の橋桁部材101を梁部材(上梁木)103の中央に固定し、その両側のそれぞれ2本の橋桁部材を均等間隔に広げていく。最終的に梁部材(上梁木)103の両端が3mm程度突出する程度に広げる。
【0022】
これだけの工程で、図7に示すように、きれいなアーチ状の骨組みを簡単に形成することができる。以下、端桁部材101の前後の端に懐化粧蓋を差し込み、敷梁を固定し、振止木をカットしてはめ込み・・・という所定の組立作業を行うことで、精巧なアーチ状の錦帯橋を完成させることができる。上述したように、基本となるアーチ状の骨組みを精巧に且つ容易に形成できることで、精巧でバランスの良い錦帯橋模型を容易に完成させることができるのである。
【0023】
なお、図1および図2あるいは図3〜図7に示したアーチ形状は一例であり、これに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明はアーチ状橋模型一般に適用可能であり、特に木造アーチ橋の骨組みの組立に適している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態によるアーチ状木造橋模型の組み立て方法を模式的に示す図である。
【図2】(A)はアーチ状木造橋模型の平面図、(B)はその側面図である。
【図3】本発明の一実施例による錦帯橋組み立てキットに含まれる部品説明図である。
【図4】本実施例における貫通孔形成工程を示す斜視図である。
【図5】本実施例における梁木差し込み工程を示す斜視図である。
【図6】本実施例の橋桁広げ工程を示す斜視図である。
【図7】本実施例の完成したアーチ状の骨組みを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
101 橋桁部材
102 貫通孔
103 梁部材(上梁木)
104 ドリル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーチ状木造橋模型の骨組み組み立て方法であって、
側面形状がアーチ状である複数の橋桁部材を用意し、
前記複数の橋桁部材を重ねた状態でアーチ形状に沿って所定位置に複数の貫通孔を設け、
前記複数の貫通孔の各々に梁部材を貫通させ、
前記複数の橋桁部材を前記梁部材に沿って所定間隔に広げることで、アーチ状の骨組み構造を形成する、
ことを特徴とするアーチ状木造橋模型の骨組み組み立て方法。
【請求項2】
アーチ状木造橋模型の骨組み構造であって、
側面形状がアーチ状であり、そのアーチ形状に沿って所定位置に複数の貫通孔を設けた複数の橋桁部材と、
前記複数の貫通孔の各々に貫通した梁部材と、
を有し、前記複数の橋桁部材が前記梁部材に沿って所定間隔に広げられたアーチ状木造橋模型の骨組み構造。
【請求項3】
アーチ状木造橋模型の組立キットであって、
側面形状がアーチ状であり、そのアーチ形状に沿って所定位置に複数の貫通孔を設けた複数の橋桁部材と、
前記複数の貫通孔の各々に貫通して前記複数の橋桁部材を所定間隔に広げた状態で固定するための複数の梁部材と、
を含むアーチ状木造橋模型の組立キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−106696(P2009−106696A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284889(P2007−284889)
【出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(507361387)
【出願人】(507361398)
【Fターム(参考)】