説明

アームカバー

【課題】生産コストの低い、心地良い装着感を得ることのできる日焼け防止用アームカバーを提供する。
【解決手段】アームカバー1は、筒状の本体部2を備えたニット製品であって、その本体部2の両端部がゴム編みされた手首側ゴム部3およびひじ側ゴム部4であって、本体部2の手首側ゴム部3から少しひじ側へ入った位置に、アームカバー1の長手方向にスリット状の親指通し用開口部5が設けられている。このアームカバー1は、丸編み機により、筒状の本体部2を編みながら、親指通し用開口部5が一体として編まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽からの紫外線による日焼けを防止するために着用する日焼け防止用のカバーに関し、特に、心地良い装着感で腕および手の甲の日焼けを防止するアームカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
夏季などの気温が高い季節では、体温の上昇を防止するために、着用する衣類が薄くなるとともに、首回り、腕などを広く露出するものが着用されるようになる。このような衣類を着用すると、太陽からの紫外線が直接的に皮膚に当たり、皮膚が日焼けする。この日焼けは、色白を好む女性にとっては美容上大きな問題となり、さらには、この日焼けはシミ、あざ、皮膚がんなどの原因となる。このようなことから、紫外線を遮断して日焼けを防止する日焼け防止用着衣が各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開2001−159010号公報(特許文献1)、特開2000−265303号公報(特許文献2)および特開平10−158911号公報(特許文献3)は、腕の日焼けを防止するアームカバーを開示する。これらの文献に開示されたアームカバーは、腕のみならず手の甲を覆う布部があり、アームカバーに設けられた輪に指を通すことによりアームカバーが不用意にずれないようにしている。このようなアームカバーでは、指を通す輪を別途製作して、アームカバーに取り付ける必要がある。
【0004】
これに対して、特開2007−321251号公報(特許文献4)および実用新案登録第3161120号公報(特許文献5)は、手の甲を覆う部分に指を通すための穴部を設けたアームカバーを開示する。代表的には親指を穴部から筒状のアームカバーの外部に出すことによりアームカバーが不用意にずれないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−159010号公報
【特許文献2】特開2000−265303号公報
【特許文献3】特開平10−158911号公報
【特許文献4】特開2007−321251号公報
【特許文献5】実用新案登録第3161120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
手の甲を覆う部分に指を通すための穴部を設けたアームカバーの一例を図3に示す。図3に示すように従来のアームカバー10は、丸編み機で編まれ、本体である筒状の本体部12を備え、その本体部12の両端がゴム編みされたゴム部13およびゴム部14となっている。このようにして編まれた本体部12の端部からひじ側へ少し入った位置(手の甲の大きさに対応した位置)に、アームカバー10の長手方向に切り込み(スリット)を設けて、本体部12がほどけないようにスリットの周囲を穴かがりした開口部15を備えている。ゴム部13およびゴム部14によりアームカバー10が腕からずれないようにするとともに、開口部15に、たとえば親指を通してアームカバー10がずれないようにするので、手の甲を含めて日焼けを防止できるようになる。
【0007】
しかしながら、図3に示す従来のアームカバー10では、(1)丸編み工程に加えて開口部を設ける工程(スリット切断+穴かがり)が必要になり生産コストが上昇すること、(2)開口部が穴かがりされているのでアームカバー本体がニット製品でも開口部の大きさが変えることができないこと、(3)穴かがりにより周囲のアームカバーの厚みよりも盛り上がってしまうこと、(4)開口部に指を通すときに指先の爪で穴かがり糸を引っかけてしまうおそれがあること等の問題点がある。
【0008】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、指を通す開口部を備えた筒状のアームカバーであって、生産コストの低い、心地良い装着感を得ることのできるアームカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のアームカバーは以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のアームカバーは、紫外線の透過を抑制する筒状のアームカバーであって、前記アームカバーはニット製であって、前記アームカバーの手首側には指を通す開口部が設けられ、筒状の部分を丸編みする工程において前記開口部が一体的に形成されたことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記開口部に親指を通すアームカバーであるとよい。
好ましくは、アームカバーは、紫外線の透過を抑制する糸で編むとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアームカバーによれば、筒状のアームカバーに指を通す開口部を一体的に設けることによって、生産コストの低い、心地良い装着感を得ることができる。ここで、心地良い装着感とは、穴かがりされていないので、開口部の大きさが変化してユーザの親指の大きさや形状にフィットし、周囲よりも盛り上がることなく、指先の爪が穴かがり糸を引っかけることもないことを指すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るアームカバーの斜視図である。
【図2】図1のアームカバーの使用態様を説明する斜視図である。
【図3】従来のアームカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態に係るアームカバー1を、図面に基づき詳しく説明する。このアームカバー1は、図1に示すように、筒状の本体部2を備えたニット製品であって、その本体部2の両端部がゴム編みされた手首側ゴム部3およびひじ側ゴム部4となっている。そして、本体部2の手首側ゴム部3からひじ側へ少し入った位置(手の甲の大きさに対応した位置)に、アームカバー1の長手方向にスリット状の親指通し用開口部5が設けられている。
【0014】
このアームカバー1は、特にその種類を限定しない糸を使って、丸編み機により編まれている。紫外線の透過を抑制する糸でこのアームカバー1を編むことがさらに好ましい。
特徴的であるのは、丸編み機において、親指通し用開口部5を形成することである。アームカバー1の筒状の本体部2を編みながら、その一部にスリット状の親指通し用開口部5を設けるように編む。このような丸編み機は、特に限定されるものではない。このような丸編み機として、たとえば、イタリアのサンジャコモ社製のインターシャ編機である「X−machine」と呼ばれる編み機がある。
【0015】
すなわち、丸編み機を用いて、手首側ゴム部3をゴム編みし、筒状の本体部2を丸編みし、その本体部2を丸編みしている途中で親指通し用開口部5を形成し、ひじ側ゴム部4をゴム編みすることにより、親指通し用開口部5が一体として形成されたアームカバー1が製造される。なお、丸編みする順序はひじ側ゴム部4からであっても構わない。
このようにして編まれたアームカバー1は、従来のアームカバー10と違って以下の利点がある。(1)丸編み工程において親指通し用開口部5を形成してしまうので、開口部を設けるための編み工程と異なる工程が不要となり生産コストの上昇を抑制できること、(2)開口部が穴かがりされていないので親指通し用開口部5が広がったり縮んだりすること、(3)開口部が穴かがりされていないので親指通し用開口部5の周囲がアームカバーの厚みよりも盛り上がらないこと、(4)親指通し用開口部5に指を通すときに指先の爪で穴かがり糸を引っかけてしまうおそれがないこと、である。
【0016】
このように製造されたアームカバー1の使用態様を図2に示す。なお、図2においては、親指通し用開口部5に親指のみを通す使用態様を示しているが、本発明はこのような使用態様に限定されるものではない。開口部に通す指は、親指ではなく他の指であっても構わないし、親指1本でなく2本以上の指であっても構わない。
ユーザは、ひじ側ゴム部4を広げて5本の指をアームカバー1の筒状の本体部2に挿入する。5本の指が手首側ゴム部3近傍まで来ると、親指7を親指通し用開口部5に通して、親指7をアームカバー1の外部へ出して、親指以外の他の4本の指を親指通し用開口部5に通さないで、親指以外の他の4本の指を手首側ゴム部3からアームカバー1の外部へ出す。他方の手でひじ側ゴム部14をひじ近傍まで引っ張り上げることにより、アームカバー1で腕6を覆う。
【0017】
このように腕6にアームカバー1を装着するときにおいて、爪(特にネイルアートされた爪)等が、かがり糸に引っかかることもない。このため、装着時に問題が発生しない。
腕6にアームカバー1を装着した後において、親指通し用開口部5が穴かがりされていないので親指通し用開口部5が広がったり縮んだりするので、縮むと親指通し用開口部5が過度に広がらないので親指の根元の日焼けを防止できる(さらには小指を親指通し用開口部5に通しても縮ませることもできるので小指の根元の日焼けを防止できる)、広がると2本以上の指でも通すことができること、親指通し用開口部5が穴かがりされていないので親指通し用開口部5の周囲がアームカバー1の厚みよりも盛り上がらないこと、により、引っかかりがなく、かつ、ごろつき感のない、心地良い装着感を実現することができる。
【0018】
図2に示すようにアームカバー1を装着した状態においては、アームカバー1の筒状部分でユーザの腕6を覆い、アームカバー1の先端側でユーザの手の甲を覆う。従って、心地良い装着感で、ユーザの腕および手の甲が太陽からの紫外線に晒されることがなく、これらの部位の日焼けを防止することができる。
上述したアームカバー1についての、親指通し用開口部5の位置および大きさ、手首側ゴム部3およびひじ側ゴム部4の形状は例示であって、特に限定されるものではない。
【0019】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、日焼け防止用のアームカバーに好適であり、腕に加えて手の甲が日焼けすることを防止するアームカバーに特に好適である。
【符号の説明】
【0021】
1 アームカバー
2 本体部
3 手首側ゴム部
4 ひじ側ゴム部
5 親指通し用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線の透過を抑制する筒状のアームカバーであって、前記アームカバーはニット製であって、前記アームカバーの手首側には指を通す開口部が設けられ、
筒状の部分を丸編みする工程において前記開口部が一体的に形成されたことを特徴とする日焼け防止用アームカバー。
【請求項2】
前記開口部に親指を通すことを特徴とする、請求項1に記載の日焼け防止用アームカバー。
【請求項3】
前記アームカバーは、紫外線の透過を抑制する糸で編まれたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の日焼け防止用アームカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−40414(P2013−40414A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176979(P2011−176979)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】