説明

イア・バイオメトリックスを使用してハンドヘルド・オーディオ・デバイス(HANDHELDAUDIODEVICE)を設定する方法および装置

【課題】イア・バイオメトリックスを使用してハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する方法および装置を提供すること。
【解決手段】方法および装置は、ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを使用している耳を識別し、耳の識別情報に応答してその耳にオーディオ情報を伝達するようにハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定することによって、オーディオ情報を伝達するようにハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する。こうした識別情報は、音響技術または視覚的な技術を使用して耳を識別できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話の設定に関し、特に、ハンドヘルド・オーディオ・デバイスの設定を決定するためのイア・バイオメトリックスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の範囲内では、特定の個人の片方または両方の耳に聴覚障害(hearing impairments)があることがよく知られている。このような聴覚障害は、場合によってはオーディオ情報のボリューム不足または/およびスペクトル不足(spectral deficiencies)に関連する。先行技術のソリューションは、電話を手動で調整してこうした聴覚障害を補償することである。こうしたソリューションには多くの問題がある。第1に、個人の片方の耳には聴覚障害があるが、もう片方の耳には障害がない場合に、個人は通話中に電話を片方の耳からもう片方の耳に移す前に、手動で調整しなければなるまい。また、個人の両方の耳に聴覚障害があるが、片方の耳の障害が軽い場合にも、いずれの耳を使用するかによって手動で調整する必要があろう。さらに、聴覚障害のない他の電話ユーザーは、聴覚障害のある個人が電話を使用した後に電話を再調整するか、または聴覚障害のある個人が指定した設定を使用する必要があろう。
【0003】
安全対策として、政府のさまざまな規制では、ボリュームを上げるボリューム調整は、次のコールで別の個人が電話を使用する場合にコール終了時に自動的にリセットされなければならないことを要求している。具体的には、Code of Federal Regulations(連邦規則集)のParagraph 36 CFR Part 1194.23(g)に、“If a telecommunications product allows a user to adjust the receive volume, a function shall be provided to automatically reset the volume to the default level after every use.(通信製品でユーザーが受信のボリュームを調整できる場合は、使用後に毎回ボリュームをデフォルトのレベルに自動的にリセットする機能が提供されるものとする。)”と記載されている。このような規則に関する問題は、常に電話を使用している聴覚障害のある個人が、毎回の通話に先立って常に調整する必要があることである。
【特許文献1】米国特許7,065,232号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0140453号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
方法および装置は、ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを使用している耳を識別し、耳の識別情報に応答してその耳にオーディオ情報を伝達するようにハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定することによって、オーディオ情報を伝達するようにハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する。こうした識別情報は、音響技術または視覚的な技術を使用して耳を識別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
1つの実施形態では、イア・バイオメトリックスを使用して通話に使用されている個人の耳を識別し、さらに、この耳の感覚特性と感覚不全(sensory characteristics and deficiencies)に関する既存のデータ(description)を利用して電話の音響特性および/または電磁特性を調整することにより、耳の聴覚の要件を満たす。こうした要件は、オーディオ・ボリューム不足および/またはスペクトル不足でもよい。この実施形態では、識別を行うために視覚または音響の技術を利用できる。または、こうした技術の組合せを使用することもできる。電話は、有線電話でも、無線電話(たとえば、移動電話、携帯電話、コードレス電話、送受信兼用の無線機、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、あるいは任意のハンドヘルド・オーディオ・デバイス)でもよい。さらに、この電話では、ビデオおよびオーディオを含むがこれらに限定はされないさまざまなメディアを使用することができる。有線電話は、物理的な配線によって公衆交換電話網(PSTN:public switched telephone network)または構内電話交換(private telephone exchange)に接続できる。または、インターネットなどのデータ交換網を経由した接続を利用することもできる。
【0006】
別の実施形態では、イア・バイオメトリックスの操作で耳を識別できなかった場合に、電話はあらかじめ定義された設定にセットされる。この実施形態では、電話を使用しているのが唯一の個人である場合に、1つまたは2つの耳だけを識別するように電話をトレーニングする必要がある。電話を使用する他のすべての個人に関して、耳が識別されなかった場合に、電話はあらかじめ定義された設定にセットされる。
【0007】
図1および2は、電話103の設定を調整する動作を示している。電話103は無線システム101にもPSTN 102にも接続できるので、電話103は無線電話でも有線電話でもよい。ただし、電話103が有線電話の場合に、図1および2に示す電話103の一部は電話103のハンドセットの部分だけでよいことを当業者は直ちに理解するであろうことに留意されたい。また、図1および2に示す位置は説明を目的とするものにすぎず、当業者はこれ以外の位置を容易に想定できるであろう。
【0008】
この実施形態で、着呼を受信したときに、視覚的な技術を利用して耳を識別する場合は、電話103が位置109から位置111に移動したときに、電話103は自らのイメージング機能を利用して耳を識別する。電話103が耳に当てられるタイミングを判定するために、電話103は視覚、熱、加速度のいずれの技術を利用してもよい。また、音響技術を使用することもできる。たとえば、ユーザーが送話口(mouthpiece)で話すのが聞こえたときに電話103はユーザーの耳に当てられたと仮定してもよい。電話103のユーザーが図1に示す耳から図2に示す耳に電話を移動する場合は、電話103が位置112から位置113に移動したときに、電話103は自らのイメージング機能を利用してもう一方の耳を識別できる。
【0009】
この実施形態で、着呼を受信しているときに、音響技術を利用して耳を識別する場合は(音響技術を利用して識別プロセスを開始するのではなく)、音響技術を利用して耳を識別する前に、電話103は位置111に到達するまで待機する。電話103が耳に当てられるタイミングを判定するために、電話103は音響、視覚、熱、または加速度のいずれの技術を利用してもよい。電話103のユーザーが図1に示す耳から図2に示す耳に電話を移動する場合は、音響技術を利用して耳を識別する前に、電話103は位置113に到達するまで待機する。
【0010】
図3は、視覚的な技術を利用して耳の識別情報を決定する電話を示すブロック図である。コンピュータ303(図5でより詳細に示す)は、電話の動作を制御する。電話が無線電話の場合は電話がブロック301および302を備えているのに対して、電話が有線電話の場合は電話がブロック309を備えている。無線電話の場合に、コンピュータ303はRF回路302を制御することによって、オーディオ情報および制御情報の両方について無線信号を送信および受信する。RF回路302は、アンテナ301を経由してRF信号を送信および受信する。電話が有線電話の場合に、コンピュータ303は電話回線インターフェイス309を制御する。ユーザー・インターフェイス304は、ユーザーに視覚情報を送信する機能と、ユーザーからキーおよびボタンの作動情報を受信する機能を提供する。ユーザー・インターフェイス304は、コンピュータ303に制御されている。イメージング・モジュール(imaging module)306により、コンピュータ303は視覚情報を受信できる。電話は、耳からの熱を使用して耳の接近(proximity)を検知するための熱センサー(heat sensor)307を備えていてもよい。さらに、電話は、電話が耳に当てられたかその動作の途中であるかを判定するための加速度計308を備えていてもよい。
【0011】
イメージング・モジュール306には、レンズ、レンズの焦点調整メカニズム、イメージ・キャプチャ回路、および耳を照らすための光源が含まれるがこれらに限定はされない。コンピュータ303は、イメージング・モジュール306から受信した生のイメージ情報を処理して使用可能な視覚情報を生成し、耳を識別するために必要な分析を実行する。当業者には周知のデジタル・カメラの技術を利用することにより、コンピュータ303はイメージング・モジュール306を使用して一連の写真を調べることによって動きと加速度を決定することができる。
【0012】
コンピュータ303は、受信機(receiver)313とインターフェイス312を使用してユーザーからオーディオ情報を受信する。コンピュータ303は、送信機(transmitter)311およびインターフェイス309を介してユーザーにオーディオ情報を送信する。図10で示されてそれに対応する本文で説明するように、送信機311はオーディオ・トランスデューサー(audio transducer)と2つの1次誘導コイル(primary inductive coils)を備えていてもよい。2つの1次誘導コイルは、補聴器を使用しているユーザーがオーディオ情報を音響結合(acoustic coupling)でなく電磁場として受信するために使用される。補聴器という用語は、本出願の範囲内では、36 CFR Part 1194.23(i)に記載されるように、外耳道の内部に装着する補聴器、人工内耳(cochlear implants)、およびそれ以外の聴覚補助デバイス(assistive listening devices)を含む一般的な意味で使用されている。1つの1次誘導コイルは、聴覚補助デバイスの2次誘導コイル(一般に「テレコイル(telecoil)」または「T−コイル(T−coil)」と呼ばれる)が外耳道の内部にある場合に使用される。この構成では、1次誘導コイルはハンドセットのスピーカー・エレメント(speaker element)と同じ軸上にある。たとえば、テレコイルが外耳道の外部に位置する場合に(たとえば、人工内耳用のテレコイルは耳の後ろの乳様突起内に装着してもよい)、もう1つの誘導コイルは聴覚補助デバイスのパフォーマンスを最大化するために使用される。2つの1次誘導コイルは、補聴器への電磁場を最大化し、ユーザーのテレコイルの極性を最適化するために、異なる角度で配置されている。誘導コイルの1つを利用して補聴器にオーディオ情報を伝達する場合に、電磁場の強さと極性が関連のテレコイルに適切であれば、オーディオ・トランスデューサーによって生成される音声のボリュームは、標準のボリュームでも低いボリュームでもよい。さらに、好ましい実装には3つ以上の1次誘導コイルが必要であろうことは、当業者には言うまでもない。たとえば、ユーザーの左側の人工内耳に適切な角度をつけた1次誘導コイルは、ユーザーの右側の人工内耳に関しては最適なパフォーマンスを提供しない。
【0013】
動作中に、コンピュータ303はイメージング・モジュール306を以下のように利用し、ユーザーのいずれの耳が電話に接近しているかを識別する。電話が移動の途中にあることをコンピュータ303が検知すると、コンピュータ303はイメージング・モジュール306に対して一連の2Dイメージの写真を撮影するように指示する。コンピュータ303は、有効な光の量を監視し、必要に応じてイメージング・モジュール306の光源を有効にする。コンピュータ303は、さらにイメージング・モジュール306のレンズの焦点調整も制御する。コンピュータ303は、次にイメージング・モジュール306から収集されている2Dイメージから3Dイメージを生成する。
【0014】
ここで、コンピュータ303は、電話をトレーニングした個人の耳の識別情報を含む耳の識別データベースを利用して個人の耳を認識する。ただし、唯一の人物が電話を使用するように意図されている場合は、データベースには1つまたは2つの耳の情報のみが含まれていてもよいことに留意されたい。耳が識別されない場合は、電話に関してあらかじめ定義された設定が使用される。このデータベースから取得した情報に基づいて、コンピュータ303はいずれ(右または左)の耳かを識別でき、その耳がだれのものかを識別することもできる。2Dイメージから3Dイメージを生成する動作と、3Dイメージを使用してデータベースから識別情報を取得する動作は、米国特許7,065,232号および米国特許出願第2006/0140453号に説明されている。前述の特許および特許出願で説明されているデータベースは、指定された個人用の電話をトレーニングすることによって組み立てられた耳の識別データベースで置き換えることができる。代替として、別の実施形態は単に一般的な意味で左の耳か右の耳か認識することを含んでいてもよい。この場合は、個人の耳のデータベースは不要である。
【0015】
図4は、音響技術を利用して耳の情報を決定する電話を示すブロック図である。ブロック401と402は、存在する場合に、図3に示すブロック301と302に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。この機能は、図9により詳細に示されている。ブロック406は、存在する場合に、図3に示すブロック309に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。ユーザー入力インターフェイス404は、図3に示すユーザー・インターフェイス304と同じ機能を提供する。
【0016】
送信機セクション418はユーザーが電話の送信機に関連付ける電話の物理的な部分を備えており、受信機セクション417はユーザーが電話の受信機に関連付ける電話の物理的な部分を備えている。コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機408とインターフェイス407を使用して、ユーザーに音声情報およびその他の音響信号を送信する。図3の送信機311に関連して説明したように、送信機セクション418は、図10に示し、これに関連して説明するように、送信機はオーディオ・トランスデューサーと2つの誘導コイルの両方を備えていてもよい。しかし、コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機412およびインターフェイス413も使用して、さらにユーザーの耳の共振周波数を決定するための超音波周波数をユーザーの耳に送信する。コンピュータ403は、ユーザーの耳の共振周波数を決定するために、送信機セクション418の受信機414とインターフェイス416を使用して、超音波周波数に応答してユーザーの耳から返される情報を受信する。コンピュータ403は、受信機セクション417の受信機409とインターフェイス411を使用して、ユーザーから音声情報を受信する。
【0017】
電話のアクティブなコールがある場合に、コンピュータ403は送信機412とインターフェイス413を使用して周波数が超音波の範囲内の信号を生成する。これは、20kHz〜60kHzの範囲内でもよいが、こうした特定の範囲に限定されず、当業者はこれ以外の周波数範囲を容易に想定することができる。このような周波数は人間には聞こえないので、こうした周波数のオーディオ情報は電話での会話を妨害しない。ユーザーの外耳道は、こうした周波数に応答してさまざまな周波数で共振する。受信機414およびインターフェイス416は、耳から返されるエコーを受信し、コンピュータ403はこのエコーを利用して外耳道の共振周波数または非共振周波数(指定された周波数の位相から180°ずれる)を決定する。
【0018】
ここで、コンピュータ403は、識別データベースを利用して耳(右または左)を決定し、この共振の情報を使用してユーザーを識別することもできる。データベースは、電話を利用する見込みのあるすべてのユーザーによって構築されており、それによってユーザーの耳に関して電話をトレーニングする。ただし、唯一の人物が電話を使用するように意図されている場合は、データベースには1つまたは2つの耳の情報のみが含まれていてもよいことに留意されたい。耳が識別されない場合は、電話に関してあらかじめ定義された設定が使用される。また、共振の情報を使用して、電話はそれがユーザーの耳から近い位置または遠い位置に移動するタイミングを検知することもできる。
【0019】
図5はコンピュータ500を示すブロック図である(図3に示すコンピュータ303でも、図4に示すコンピュータ403でもよい)。図3で、デバイス302、304、306、307、および308は、当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。図4で、デバイス402、404、406、418、および417も当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。プロセッサ501は、メモリ502に格納されたルーチンを実行することにより、インターフェイス503を経由してこうしたデバイスを制御する。
【0020】
インターフェイス・ルーチン512は、プロセッサ501によって実行され、メモリ502に格納されたその他のルーチンによって行われた判定に基づき、インターフェイス503を経由して前述のデバイスを直接制御する。
【0021】
オペレーティング・システム504は、データ506に格納された情報を利用して、コンピュータ500の全体的な制御を提供する。
【0022】
通信制御ルーチン507は、インターフェイス・ルーチン512とデータ506に格納された情報を利用して、電話の標準的な通信動作を制御する。
【0023】
図8または図9で説明するトレーニングの動作は、トレーニング・ルーチン509によって実行される。トレーニング・ルーチン509は、耳と個人の識別情報を耳の識別データベース508に格納する。
【0024】
耳識別ルーチン511は、図6または図7に関連して説明する動作を実行する。耳識別ルーチン511は、耳識別データベース508に格納されたデータを利用する。
【0025】
図6は、図3に示す視覚的な技術を利用して耳の情報を決定する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。ブロック601で開始された後に、意志決定ブロック602で着呼があるかどうかを判定する。意志決定ブロック602で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック602が再実行される。意志決定ブロック602で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック603でその通話に応答したかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック613に制御が移行し、以下で説明する動作が実行される。意志決定ブロック603で回答がyes(はい)の場合は、ブロック604に制御が移行する。
【0026】
ブロック604で、図3に示すイメージング・モジュール306とコンピュータ303を利用して、2D写真をキャプチャする。さらに、ブロック606で2D写真を処理して3D写真を生成する。ここで、生成された3D写真を使用して、電話ユーザーの耳の識別情報を含むデータベースを検索する。ブロック607が実行された後に、意志決定ブロック608に制御が移行する。単に左の耳か右の耳かを区別する場合は、3D写真でなく2D写真で十分であろう。
【0027】
意志決定ブロック608で、通話が終了したかどうかを判定する。意志決定ブロック608で回答がyes(はい)の場合は、ブロック613に制御が移行する。意志決定ブロック608で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック609に制御が移行する。意志決定ブロック609で、ブロック607のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック604に制御が返される。意志決定ブロック609で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック612に制御が移行する前に、ブロック611で、識別された耳に関して格納された電話の設定を使用して、この耳に合うように電話を調整する。ブロック611で、音響音声(acoustic sound)レベルを調整するか、かつ/または補聴器(hearing aid)に電磁波(electromagnetic field)を送信する誘導コイル(inductive coils)の1つを利用するかを決定する。
【0028】
意志決定ブロック612で、通話が終了したかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、ブロック613が存在すればこれに制御が移行されてよい。ブロック613が存在しない場合は、ブロック614に制御が移行する。ブロック613は、あらかじめ定義された設定に常にリセットされることが望ましい場合にのみ存在する。存在する場合は、ブロック614(動作を終了する)に制御が移行する前に、ブロック613で電話をあらかじめ定義された設定にセットする。
【0029】
意志決定ブロック612に戻り、意志決定ブロック612で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック616で電話が移動中かどうかを判定する。こうした検出は、視覚、熱、または加速度の技術を利用して実行できる。意志決定ブロック616で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック612に制御が返される。意志決定ブロック616で回答がyes(はい)の場合は、ブロック604に制御が返される。
【0030】
図7は、図3に示す音響技術を利用して耳の情報を決定する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。ブロック701で開始された後に、意志決定ブロック702で着呼があるかどうかを判定する。意志決定ブロック702で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック702が再実行される。意志決定ブロック702で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック703でその通話に応答したかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック713に制御が移行し、以下で説明する動作が実行される。意志決定ブロック703で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック704に制御が移行する。
【0031】
意志決定ブロック704で、電話が耳の位置に到達するタイミングを判定する。これは、音響、熱、または加速度の技術を利用して実行できる。さらに、ブロック706で、図4に示す送信機セクション418とコンピュータ403を利用して、耳の音響分析(sonic analysis)を実行する。ここで、結果として得られた音響情報を使用して、電話ユーザーの耳の識別情報を格納する耳識別データベースを検索する。ブロック707が実行された後に、意志決定ブロック708に制御が移行する。
【0032】
意志決定ブロック708で、通話が終了したかどうかを判定する。意志決定ブロック708で回答がyes(はい)の場合は、ブロック713に制御が移行する。意志決定ブロック708で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック709に制御が移行する。意志決定ブロック709で、ブロック707のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック704に制御が返される。意志決定ブロック709で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック712に制御が移行する前に、ブロック711で、識別された耳に関して格納された電話の設定を使用して、この耳に合うように電話を調整する。ブロック711で、音響音声レベルを調整するか、かつ/または補聴器に電磁波を送信する誘導コイルの1つを利用するかを決定する。
【0033】
意志決定ブロック712で、通話が終了したかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、ブロック713が存在すればこれに制御が移行されてよい。ブロック713が存在しない場合は、ブロック714に制御が移行する。ブロック713は、あらかじめ定義された設定に常にリセットされることが望ましい場合にのみ存在する。存在する場合は、ブロック714(動作を終了する)に制御が移行する前に、ブロック713で電話をあらかじめ定義された設定にセットする。
【0034】
意志決定ブロック712に戻り、意志決定ブロック712で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック716で電話が移動中かどうかを判定する。こうした検出は、音響、熱、または加速度の技術を利用して実行できる。意志決定ブロック716で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック712に制御が返される。意志決定ブロック716で回答がyes(はい)の場合は、ブロック704に制御が返される。
【0035】
図8は、視覚的な技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするために、1つの実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。ブロック801で開始された後に、ブロック802で個人の識別情報を取得し、いずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック802でこの耳で使用される電話の設定を取得する。コンピュータ303は、ユーザー・インターフェイス304を使用してこの情報を取得できる。次に、ブロック803で、個人が電話を最初の位置から最終的な位置(つまり、電話が耳に当てられたときの位置)への移動を開始するように要求する。
【0036】
移動が開始されると、ブロック804〜809であらかじめ定義された数の3D写真を、後で耳と個人を識別するときに使用できるようにデータベースに格納しようとする。第1に、ブロック804であらかじめ定義された数の2D写真をキャプチャし、意志決定ブロック807に制御が移行する前に、ブロック806でこうした2D写真を処理して3D写真を生成する。
【0037】
意志決定ブロック807で、電話の位置が適切でない可能性があるので、3D写真が有効な耳の写真であるかどうかを判定する。意志決定ブロック807で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック809に制御が移行する前に、ブロック808で3D写真を耳の識別データベースに格納する。
【0038】
意志決定ブロック809で、あらかじめ定義された数の3D写真がデータベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック809で回答がyes(はい)の場合は、ブロック811に制御が移行し、処理が完了する。
【0039】
意志決定ブロック807に戻り、意志決定ブロック807で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック812で、電話で取得した無効な写真の数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック812で回答がyes(はい)の場合は、ブロック813に制御が移行し、ブロック811に制御が移行する前に、ブロック813でエラーの信号を送信する。
【0040】
図9は、音響技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするために1つの実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。ブロック901で開始された後に、ブロック902で個人の識別情報を取得し、いずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック902でこの耳に関して使用される電話の設定を取得する。コンピュータ403は、図4に示すユーザー・インターフェイス404を使用してこの情報を取得できる。その後に、ブロック903で、個人が電話をユーザーの耳に接近させるように要求する。
【0041】
次に、意志決定ブロック904で、電話が実際にユーザーの耳に接近しているかどうかを判定する。意志決定ブロック904で回答がno(いいえ)の場合は、ブロック903に制御が返される。意志決定ブロック904で回答がyes(はい)の場合は、ブロック906に制御が移行する。意志決定ブロック907に制御が移行する前に、ブロック906でコンピュータ403によって送信機セクション418を使用して音響情報を取得する。
【0042】
意志決定ブロック907で、ブロック906で取得した音響情報が有効かどうかを判定する。意志決定ブロック907で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック909に制御が移行する前に、ブロック908で音響情報をデータベースに格納する。
【0043】
意志決定ブロック909で、あらかじめ定義された音響情報のサンプルがデータベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック909で回答がyes(はい)の場合は、ブロック911に制御が移行し、処理が完了する。
【0044】
意志決定ブロック907に戻り、意志決定ブロック907で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック912で、電話で取得した無効な音響情報のサンプルの数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック912で回答がyes(はい)の場合は、ブロック913に制御が移行し、ブロック911に制御が移行する前に、ブロック913でエラーの信号を送信する。
【0045】
図10は、送信機311または408の代わりとなる実施形態を示している。この実施形態では、制御インターフェイス(309または407)は、オーディオ情報をユーザーに伝達するために、音響トランスデューサー(acoustic transducer)1001のみを利用することも、かつ/または誘導コイル1002または1003を利用することもできる。誘導コイル1002および1003は、オーディオ情報を音響情報としてではなく電磁場として受信する補聴器で利用される。誘導コイル1002は、外耳道内に装着される補聴器に最大の電磁場を伝達するように配置される。誘導コイル1003は、耳の後ろの乳様突起内に装着される人工内耳を利用する補聴器に最大の電磁場を伝達するように角度をつけて配置される。
【0046】
コンピュータの動作がソフトウェアに実装される場合は、ソフトウェアは任意のコンピュータ可読媒体に格納し、コンピュータ関連の任意のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用できることに留意されたい。本明細書のコンテクストでは、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用するためのコンピュータ・プログラムを含むまたは格納できる電子的、磁気的、光学的、またはその他の物理的なデバイスまたは手段である。コンピュータは、任意のコンピュータ可読媒体として具体化でき、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチして命令を実行できる命令実行システム、装置、またはデバイス(たとえば、コンピュータベースのシステム、プロセッサを備えるシステム、またはその他のシステム)によって、あるいはこうしたシステムに接続して使用することができる。本明細書のコンテクストでは、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用されるかまたはこれらに接続して使用され、プログラムを格納、伝達、伝搬、または搬送できる任意の手段でよい。たとえば、コンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体によるシステム、装置、またはデバイスでもよいが、これらに限定はされない。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(限定的な(non−exhaustive)リスト)には、1つまたは複数の配線を伴う電気接続(電子)、ポータブル・コンピュータ・ディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)(電子)、読み出し専用メモリ(ROM:read−only memory)(電子)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM:erasable programmable read−only memory、EEPROMまたはフラッシュメモリ)(電子)、光ファイバ(光)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM:compact disc read−only memory)(光学)などが含まれる。
【0047】
代わりとなる実施形態では、コンピュータはハードウェアで実装されており、電話セット、制御コンピュータ、またはサーバーは、データ信号に関する論理機能を実装するための論理ゲートを備える分散型論理回路(discrete logic circuit(s))、適切な組合せ論理ゲート(combinational logic gates)を備える特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA:grammable gate array(s))、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)といった、それぞれ当業者には周知の技術のいずれかまたは組合せで実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】個人の耳を識別するための実施形態を示す図である。
【図2】個人のもう一方の耳を識別するための実施形態を示す図である。
【図3】視覚的な技術を利用して耳の情報を決定する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図4】音響技術を利用して耳の情報を決定する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図3および4で利用できるコンピュータを示すブロック図である。
【図6】図3に示す視覚的な技術を利用して耳の情報を決定する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。
【図7】図3に示す音響技術を利用して耳の情報を決定する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。
【図8】視覚的な技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするために、1つの実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。
【図9】音響技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするために、1つの実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。
【図10】補聴器(hearing aid)に電磁場(electromagnetic field)を送信するための2つの誘導コイル(inductive coils)を備える送信機の代わりとなる実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ情報を伝達するようにハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する方法であって、
前記ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを使用している耳を識別するステップと、
前記耳の識別情報に応答して前記耳にオーディオ情報を伝達するように前記ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記識別するステップは、前記耳の識別情報を取得するために音響技術を使用するステップから成る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記識別するステップは、前記耳の識別情報を取得するために視覚的な技術を使用するステップから成る請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記使用するステップは、耳に関する視覚的な情報を取得する処理と、
前記取得した視覚的な情報とデータベースに格納された視覚的な情報とを比較する処理とを含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記設定するステップは、前記オーディオ情報を表現する前記音響信号のボリュームを調整するステップからなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記設定するステップは、前記オーディオ情報のスペクトル成分を調整するステップから成る請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記設定するステップは、前記オーディオ情報を伝達する電磁場を調整するステップから成る請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ハンドヘルド・オーディオ・デバイスは、少なくとも移動電話、携帯電話、コードレス電話、送受信兼用の無線機、または携帯情報端末(PDA)の1つである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
設定可能なハンドヘルド・オーディオ・デバイスであって、
ユーザーの耳に音声情報を伝達する送信機と、
前記ユーザーからの音声情報を受信する受信機と、
前記ユーザーの前記耳の外耳道に超音波信号を送信する超音波送信機と、
前記送信された超音波信号から得られる前記外耳道からの反射超音波信号を受信する超音波受信機と、
前記外耳道からの前記反射超音波信号を処理して前記耳の前記識別情報を決定するコンピュータと、
前記耳の前記識別情報に応答して前記ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する前記コンピュータとを備えており、前記送信機によって伝達された前記音声情報は前記耳に合うように調整されるハンドヘルド・オーディオ・デバイス。
【請求項10】
設定可能なハンドヘルド・オーディオ・デバイスであって、
ユーザーの耳に音声情報を伝達する送信機と、
前記ユーザーからの音声情報を受信する受信機と、
前記ユーザーの前記耳のデジタル・イメージを取得するイメージング・モジュールと、
前記取得した耳のデジタル・イメージを処理して前記耳の前記識別情報を決定するコンピュータと、
前記耳の前記識別情報に応答して前記ハンドヘルド・オーディオ・デバイスを設定する前記コンピュータとを備えており、前記送信機によって伝達された前記音声情報は前記耳に合うように調整されるハンドヘルド・オーディオ・デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−65669(P2009−65669A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227682(P2008−227682)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(506079711)アバイア テクノロジー エルエルシー (45)
【Fターム(参考)】