説明

イオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物、及びイオンインプランテーション用パターン形成方法

【課題】薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜が形成されていない場合にも、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能なイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】波長200nm以下のレーザーを用いたリソグラフィーに用いられ、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来する第一の繰り返し単位及び置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位を有するとともに、酸解離性基を含み、酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、を含むイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物、及びイオンインプランテーション用パターン形成方法に関する。より詳しくは、波長200nm以下のレーザー、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)等を用いた200nm以下のレベルでの微細加工に有用なイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物、及びイオンインプランテーション用パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、より高い集積度を得るために、リソグラフィーにおける加工サイズの微細化が進んでいる。最近では、波長200nm以下のレーザー、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)等を用いた200nm程度以下のレベルにおける微細加工が可能なリソグラフィー技術が必要とされている。このようなエキシマレーザーによる照射に適した感放射線性樹脂組成物としては、酸解離性官能基(以下、「酸解離性基」と記す場合がある)を有する成分と放射線などの光の照射により酸を発生する成分である光酸発生剤とを含有し、これらの成分の化学増幅効果を利用した化学増幅型の感放射線性組成物が数多く提案されている。例えば、ノルボルナン環誘導体を有する単量体に由来する繰り返し単位を含有する特定の樹脂を含むフォトレジスト用組成物が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
また、狭分散性の(メタ)アクリル酸と特定のモノシクロヘキサンまたはビシクロヘプタンカルボラクトン等とのエステルを繰り返し単位として含有する(メタ)アクリル酸共重合体を含むレジスト組成物が知られている(特許文献3)。
【0004】
更に、酸解離性官能基を有する(メタ)アクリル酸系重合体と酸発生剤とからなる感放射線性樹脂組成物に、フェノール性化合物を含有させることにより、露光部分の溶解性及び酸発生剤からの酸発生効率を高めることが報告されている(特許文献4)。
【0005】
これらのフォトレジスト用組成物は、基板上に形成した反射防止膜上に塗布して使用されることが多い。この反射防止膜は、活性光線が基板上で乱反射することを防止したり、入射光と反射光によって発生する定在波の影響を抑えたりするためのものであるが、イオンプランテーション用途などの微細加工においては、反射防止膜を形成することができない場合がある。このような場合には、十分な加工精度で解像できないという問題があった。
【0006】
一方、イオンインプランテーション工程に用いられる感放射線性樹脂組成物は、イオン注入に際して、イオン遮断性や耐破壊性に優れたレジスト膜を形成可能であるものが求められている。例えば、酸の作用によりアルカリ可溶性が増大する樹脂として特定の(α−低級アルキル)アクリル酸エステル共重合体を含有する組成物が報告されている(特許文献5)。
【0007】
以上のように、従来、イオンプランテーション工程に用いるレジスト膜は、イオン注入においてイオン遮断性やレジストパターンの耐破壊性を有することに加え、入射光と基板面からの反射光との干渉によって生じる定在波によるパターンの形状の悪化、膜厚が変動した際のパターンの幅の大きな変動などの影響を抑えるために、例えば、厚膜に形成されている。例えば、特許文献5の組成物は、形成するレジスト膜の膜厚を0.6〜2.0μmの範囲とすることにより、反射防止膜を形成することなく、イオンインプランテーション工程を行うことを提案している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−201232号公報
【特許文献2】特開2002−145955号公報
【特許文献3】特開2003−84436号公報
【特許文献4】特開2003−322963号公報
【特許文献5】特開2005−316136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、波長200nm以下のレーザー、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)等を用いた200nm以下のレベルでの微細加工が可能なリソグラフィー技術においては、更に微細な加工を達成するためには、レジスト膜を薄く形成する必要があった。特に、イオンインプランテーション工程においては、レジスト膜を薄く形成することに加え、入射光と基板面からの反射光との干渉により生じる定在波の影響を抑えることを目的として塗膜の吸光係数(消衰係数)が適当な範囲に制御されたレジスト膜が求められている。即ち、上記レジスト膜を形成可能な化学増幅型の感放射線性樹脂組成物が求められているが、この要求を十分に満たすものは未だ得られていない。
【0010】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜を形成していない場合であっても、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成可能なイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物、及びこの組成物を用いたイオンインプランテーション用パターン形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、所定の(メタ)アクリル酸エステル類に由来する繰り返し単位と所定の重合性単量体に由来する繰り返し単位とを含有する樹脂、光酸発生剤を含むことによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明によれば、以下に示す、イオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物、及びイオンインプランテーション用パターン形成方法が提供される。
【0013】
[1] 波長200nm以下のレーザーを用いたリソグラフィーに用いられ、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来する第一の繰り返し単位及び置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位を有するとともに、酸解離性基を含み、前記酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、を含むイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【0014】
[2] 更に、前記樹脂(A)が、その他の繰り返し単位を有する前記[1]に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【0015】
[3] 前記酸解離性基が、第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、及びその他の繰り返し単位の少なくともいずれかに含まれる前記[2]に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【0016】
[4] 前記第二の繰り返し単位が、前記アリール基を側鎖に有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【0017】
[5] 前記重合性単量体が、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【0018】
【化1】

(前記一般式(1)、(2)、及び(4)中、R、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、フェニル基であり、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基、または一般式(5);−Y−Xで表される基であり(なお、前記一般式(5)中、Yはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、Xは水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基である)、m及びnはそれぞれ0〜3の整数であり、kは0〜2の整数であり、前記一般式(4)中、Wは−O−Z−または−NH−Z−で表される結合であり、Zは単結合、またはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、前記一般式(3)中、R、X、m及びnは、それぞれ、前記一般式(1)のR、X、m及びnと同義である)
【0019】
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成し、形成した前記レジスト膜に対して、所望のレジストパターンを備えるマスクを介して露光を行い、露光された前記レジスト膜をアルカリ現像することによりレジストパターンを得るイオンインプランテーション用レジストパターン形成方法。
【0020】
[7] 前記レジスト膜の膜厚が、1.0μm以下である前記[6]に記載のイオンインプランテーション用レジストパターン形成方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物は、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜が形成されていない場合にも、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することができるという効果を奏するものである。
【0022】
本発明のイオンインプランテーション用パターン形成方法は、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜が形成されていない場合にも、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することができるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0024】
[1]イオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物(感放射線性樹脂組成物):
本発明のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」と記す場合がある)は、波長200nm以下のレーザーを用いたリソグラフィーに用いられ、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来する第一の繰り返し単位及び置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位を有するとともに、酸解離性基を含み、前記酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる樹脂(A)と、光酸発生剤(B)と、を含むものである。
【0025】
このような構成により、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜が形成されていない場合にも、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することができる。
【0026】
[1−1]樹脂(A):
本発明の樹脂組成物に含有される樹脂(A)は、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来する第一の繰り返し単位及び置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位を有するとともに、酸解離性基を含み、前記酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となるものである。
【0027】
[1−1−1]第一の繰り返し単位:
上記第一の繰り返し単位としては、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来するものである限り特に制限はないが、例えば、下記一般式(6)で表される酸解離性基を有する繰り返し単位を挙げることができる。即ち、樹脂(A)に含まれる酸解離性基は、第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、上記その他の繰り返し単位のいずれに含まれるものであってもよいが、第一の繰り返し単位に含まれることが好ましい。
【0028】
【化2】

(前記一般式(6)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは互いに独立に炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、若しくは置換されても良い炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基、またはいずれか2つのRが互いに結合し、それぞれが結合している炭素原子とともに、置換されても良い炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成し、残りのRが炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換されても良い炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である)
【0029】
具体的には、下記一般式(6−1)〜(6−19)で表される酸解離性基を有する繰り返し単位などを好適例として挙げることができる。なお、下記一般式(6−1)〜(6−19)中、Rは、水素原子またはメチル基である。
【0030】
【化3】

【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
上記一般式(6−1)〜(6−19)で表される酸解離性基を有する繰り返し単位以外の第一の繰り返し単位(以下、「その他の第一の繰り返し単位」と記す場合がある)としては、下記一般式(7−1)〜(7−8)で表されるラクトン構造を有する繰り返し単位を例として挙げることができる。
【0034】
【化6】

(前記一般式(7−1)〜(7−8)中、Rは水素原子またはメチル基である)
【0035】
更に、その他の第一の繰り返し単位としては、下記一般式(8−1)〜(8−12)で表される繰り返し単位を例として挙げることができる。
【0036】
【化7】

(前記一般式(8−1)〜(8−12)中、Rは水素原子またはメチル基である)
【0037】
なお、上記樹脂(A)は、これらの繰り返し単位を単独または2種以上を含有していてもよい。
【0038】
[1−1−2]第二の繰り返し単位:
上記樹脂(A)に含有される置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位は、その構成が、上記重合性単量体に由来するものである限り特に制限はないが、アリール基を側鎖に有するものであることが好ましい。
【0039】
また、上記重合性単量体は、上記アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類以外の単量体であって、重合性を有する単量体であればその構造などに特に制限はないが、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0040】
【化8】

(前記一般式(1)、(2)、及び(4)中、R、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、フェニル基であり、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基、または一般式(5);−Y−Xで表される基であり(なお、前記一般式(5)中、Yはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、Xは水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基である)、m及びnはそれぞれ0〜3の整数であり、kは0〜2の整数であり、前記一般式(4)中、Wは−O−Z−または−NH−Z−で表される結合であり、Zは単結合、またはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、前記一般式(3)中、R、X、m及びnは、それぞれ、前記一般式(1)のR、X、m及びnと同義である)
【0041】
上記一般式(1)〜(3)で表される化合物としては、具体的には、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−ビニルフェノール、3−ビニルフェノール、4−ビニルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、3−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、2−プロポキシフェノール、3−プロポキシフェノール、4−プロポキシフェノール、2−ブトキシフェノール、3−ブトキシフェノール、4−ブトキシフェノール、2−ビニルベンジルアルコール、3−ビニルベンジルアルコール、4−ビニルベンジルアルコール、2−メトキシメチルスチレン、3−メトキシメチルスチレン、4−メトキシメチルスチレン、2−エトキシメチルスチレン、3−エトキシメチルスチレン、4−エトキシメチルスチレン、
【0042】
2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、2−ビニル安息香酸メチル、3−ビニル安息香酸メチル、4−ビニル安息香酸メチル、2−ビニル安息香酸エチル、3−ビニル安息香酸エチル、3−ビニル安息香酸エチル、2−ビニル安息香酸プロピル、3−ビニル安息香酸プロピル、3−ビニル安息香酸プロピル、2−ビニル安息香酸ブチル、3−ビニル安息香酸ブチル、3−ビニル安息香酸ブチル、2−カルボキシメチルスチレン、3−カルボキシメチルスチレン、4−カルボキシメチルスチレン、2−カルボキシエチルスチレン、3−カルボキシエチルスチレン、4−カルボキシエチルスチレン、(2−ビニルフェニル)酢酸メチル、(3−ビニルフェニル)酢酸メチル、(4−ビニルフェニル)酢酸メチル、(2−ビニルフェニル)酢酸エチル、(3−ビニルフェニル)酢酸エチル、(4−ビニルフェニル)酢酸エチル、
【0043】
2−シアノスチレン、3−シアノスチレン、4−シアノスチレン、α−メチルスチレン、4−イソプロペニルフェノール、4−イソプロペニル安息香酸、4−シアノ−α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1−ビニル−5−メチルナフタレン、2−ビニル−6−メチルナフタレン、1−ビニル−5−ナフトール、2−ビニル−6−ナフトール、アセナフチレン、5−ヒドロキシアセナフチレンなどのナフタレン誘導体、9−ビニルアントラセンなどのアントラセン誘導体等を挙げることができる。
【0044】
これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−ビニルフェノール、アセナフチレン等が好ましい。
【0045】
上記一般式(4)で表される化合物としては、具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、2−トルイル(メタ)アクリレート、3−トルイル(メタ)アクリレート、4−トルイル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシ−1−ナフチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、9−アントラセニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート等、
【0046】
N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−,N−ジフェニル(メタ)アクリルアミド、N−2−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−3−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル−N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−2−トルイル(メタ)アクリルアミド、N−3−トルイル(メタ)アクリルアミド、N−4−トルイル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。
【0047】
これらの中でも、フェニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、1−ナフチル(メタ)アクリレート、N−4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0048】
[1−1−3]その他の繰り返し単位:
上記樹脂(A)は、上記第一の繰り返し単位及び上記第二の繰り返し単位以外に、更に、その他の繰り返し単位を含有することもできる。その他の繰り返し単位としては、例えば、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ヒドロキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどのノルボルネン骨格を有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物等に由来する繰り返し単位、2−トリフルオロメタンスルホニルアミノエチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0049】
[1−1−4]酸解離性基:
本発明の樹脂組成物の樹脂(A)に含まれる「酸解離性基」は、アルカリ水溶液と親和性を持つ極性官能基(酸性基)の水素原子の少なくとも一部を、酸の作用により容易に脱離する保護基である。この酸解離性基は、第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、上記その他の繰り返し単位のいずれに含まれるものであってもよい。ただし、上記第一の繰り返し単位が、酸解離性基を含んでいる場合、上記酸解離性基はアリール基を含まないものである。このような酸解離性基を有することにより、樹脂(A)は、酸の作用により上記酸解離性基が脱離(解離)する前においてはアルカリ水溶液に不溶あるいは難溶なものであるが、酸解離性基が脱離すると酸性基が露出してアルカリ可溶性となるものである。
【0050】
なお、本明細書において、「アルカリ水溶液に不溶あるいは難溶」とは、樹脂(A)と光酸発生剤(B)を含有する樹脂組成物によって得られるレジスト膜からレジストパターンを形成する際に使用されるアルカリ現像条件下で、上記レジスト膜に代えて樹脂(A)によってのみ得られる被膜を現像した場合、この被膜の初期膜厚の50%以上が現像後に残存する性質を意味する。
【0051】
「酸性基」は、アルカリ水溶液と親和性を持つ極性官能基であれば特に制限はない。例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、またはスルホン酸基等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ水溶液に対する溶解性を向上させる効果が高いという理由から、フェノール性水酸基、カルボキシル基が好ましい。上記樹脂(A)は、これらのうち一種の酸性基のみを有するものであってもよいし、2種以上の酸性基を有するものであってもよい。
【0052】
上記酸解離性基としては、上記性質を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、t−ブチル基などを挙げることができるが、上記酸解離性基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(6−1)〜(6−19)で表される酸解離性基を有する繰り返し単位などを好適として挙げることができる。
【0053】
なお、上記樹脂(A)は、上記酸性基が上記酸解離性基のうち一種のみによって保護されているものであってもよいし、2種以上によって保護されているものであってもよい。
【0054】
なお、本発明の樹脂組成物に含有される樹脂(A)は、ハロゲン、金属等の不純物が少なく、残留単量体やオリゴマー成分が既定値以下、例えば、HPLCで0.1質量%であることが好ましい。不純物などを少なくすることにより、レジストとしての感度、解像度、プロセス安定性、パターン形状等を更に改善できることに加えて、液中異物や感度等の経時変化が少ないレジストを形成することができる。
【0055】
上記樹脂(A)の精製法としては、例えば、以下の方法などを挙げることができる。まず、上述した金属等の不純物を除去するための方法としては、ゼータ電位フィルターを用いて樹脂溶液中の金属を吸着させる方法がある。また、しゅう酸やスルホン酸等の酸性水溶液で樹脂溶液を洗浄することにより金属をキレート状態にして除去する方法がある。
【0056】
上述した残留単量体やオリゴマー成分を規定値以下に除去するための方法としては、水洗や適切な溶剤を組み合わせることにより残留単量体やオリゴマー成分を除去する液々抽出法、特定の分子量以下のもののみを抽出除去する限外ろ過等の溶液状態での精製方法、樹脂溶液を貧溶媒へ滴下することで樹脂を貧溶媒中に凝固させることにより残留単量体等を除去する再沈澱法、ろ別した樹脂スラリーを貧溶媒で洗浄する等の固体状態での精製方法がある。なお、これらの方法を組み合わせることもできる。また、上記再沈澱法に用いられる貧溶媒は、精製する樹脂の物性等により適宜選定することができる。
【0057】
上記樹脂(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜100,000であることが更に好ましく、3,000〜50,000であることが特に好ましい。樹脂(A)のMwが、1,000未満であると、レジストとしての耐熱性が低下するおそれがある。一方、300,000超であると、レジストとしての現像性が低下するおそれがある。
【0058】
また、上記樹脂(A)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。
【0059】
上記第一の繰り返し単位の含有割合は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、30〜95モル%であることが好ましく、50〜90モル%であることが更に好ましく、70〜90モル%であることが特に好ましい。上記第一の繰り返し単位の含有割合が、30モル%未満であると、露光部の溶解性が不足して充分な解像度が得られなくなるおそれがある。一方、95モル%超であると、193nmにおける透過率が大きくなり、矩形のパターン形状が得られなくなるおそれがある。
【0060】
上記第二の繰り返し単位の含有割合は、樹脂(A)の全繰り返し単位に対して、1〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%であることが更に好ましく、5〜30モル%であることが特に好ましい。上記第二の繰り返し単位の含有割合が、1モル%未満であると、193nmにおける透過率が大きくなり、矩形のパターン形状が得られなくなるおそれがある。一方、50モル%超であると、解像度が劣化するおそれがある。
【0061】
なお、樹脂(A)は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0062】
[1−2]光酸発生剤(B):
本発明の樹脂組成物に含有される光酸発生剤(B)は、活性光線または放射線の照射により酸を発生する成分である。このような光酸発生剤(B)としては、例えば、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物を挙げることができる。
【0063】
これらの中でも、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0064】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0065】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0066】
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
【0067】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0068】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0069】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0070】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0071】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
【0072】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等を好適例として挙げることができる。なお、上記光酸発生剤(B)は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0073】
上記光酸発生剤(B)の配合量は、レジストとしての感度及び現像性を確保する観点から、樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることが更に好ましい。上記光酸発生剤(B)の配合量が、0.1質量部未満であると、感度及び現像性が低下するおそれがある。一方、30質量部超であると、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなるおそれがある。
【0074】
[1−3]その他の成分:
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、酸拡散制御剤、酸解離性基を有する脂環族添加剤、酸解離性基を有しない脂環族添加剤、界面活性剤、増感剤等の各種の添加剤を配合することができる。
【0075】
上記酸拡散制御剤は、照射により上記光酸発生剤(B)から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非照射領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。このような酸拡散制御剤を配合することにより、得られる樹脂組成物の貯蔵安定性が向上し、またレジストとしての解像度が更に向上するとともに、照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性を極めて良好にすることができる。
【0076】
上記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の照射や加熱処理により塩基性が変化しない点において、含窒素有機化合物が好ましい。
【0077】
上記含窒素有機化合物としては、(C1)3級アミン化合物、(C2)アミド基含有化合物、(C3)4級アンモニウムヒドロキシド化合物、(C4)含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
【0078】
(C1)3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;
【0079】
トリエタノールアミン、ジエタノールアニリンなどのアルカノールアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等を挙げることができる。
【0080】
(C2)アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、
【0081】
N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−モルフォリン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
【0082】
(C3)4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。
【0083】
(C4)含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
【0084】
上記含窒素有機化合物のうち、(C1)3級アミン化合物、(C2)アミド基含有化合物、(C4)含窒素複素環化合物が好ましい。なお、上記(C2)アミド基含有化合物の中では、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、(C4)含窒素複素環化合物の中ではイミダゾール類が好ましい。なお、上記酸拡散制御剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
酸拡散制御剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、15質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることが更に好ましく、5質量部以下であることが特に好ましい。酸拡散制御剤の配合量が、15質量部超であると、レジストとしての感度及び放射線照射部の現像性が低下するおそれがある。なお、酸拡散制御剤の配合量が、0.001質量部未満であると、プロセス条件によってはレジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0086】
上記酸解離性基を有する脂環族添加剤、または酸解離性基を有しない脂環族添加剤は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を更に改善する作用を示す成分である。
【0087】
上記脂環族添加剤としては、例えば、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル、1−アダマンタンカルボン酸t−ブトキシカルボニルメチル、1−アダマンタンカルボン酸αブチロラクトンエステル、1,3−アダマンタンジカルボン酸ジ−t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブチル、1−アダマンタン酢酸t−ブトキシカルボニルメチル、1,3−アダマンタンジ酢酸ジ−t−ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(アダマンチルカルボニルオキシ)ヘキサン等のアダマンタン誘導体類;
【0088】
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル、デオキシコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、デオキシコール酸3−オキソシクロヘキシル、デオキシコール酸テトラヒドロピラニル、デオキシコール酸メバロノラクトンエステル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル、リトコール酸2−シクロヘキシルオキシエチル、リトコール酸3−オキソシクロヘキシル、リトコール酸テトラヒドロピラニル、リトコール酸メバロノラクトンエステル等のリトコール酸エステル類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジn−ブチル、アジピン酸ジt−ブチル等のアルキルカルボン酸エステル類等が挙げられる。なお、上記脂環族添加剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0089】
上記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分である。上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤のほか、以下全て商品名で、KP341(信越化学工業社製)、ポリフローNo.75,同No.95(共栄社化学社製)、エフトップEF301,同EF303,同EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックスF171,同F173(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430,同FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382,同SC−101,同SC−102,同SC−103,同SC−104,同SC−105,同SC−106(旭硝子社製)等が挙げられる。なお、上記界面活性剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0090】
界面活性剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、2質量部以下であることが好ましい。
【0091】
上記増感剤は、放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを光酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を示し、樹脂組成物のみかけの感度を向上させる効果を有するものである。
【0092】
増感剤としては、例えば、カルバゾール類、ベンゾフェノン類、ローズベンガル類、アントラセン類、フェノール類等を挙げることができる。なお、上記増感剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。増感剤の配合量は、樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
【0093】
更に、上記以外の添加剤としては、ハレーション防止剤、接着助剤、保存安定化剤、消泡剤等を挙げることができる。
【0094】
[2]感放射線性樹脂組成物の調製:
本発明の樹脂組成物は、例えば、全固形分濃度が3〜50質量%となるように、溶剤に溶解した後、孔径0.2μm程度のフィルターでろ過することにより組成物溶液として調製することができる。なお、上記全固形分濃度は、5〜25質量%であることが更に好ましい。
【0095】
上記組成物溶液の調製に使用する溶剤としては、例えば、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、2−オクタノン等の直鎖状若しくは分岐状のケトン類;シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の環状のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレン、グリコールモノアルキルエーテルアセテート類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の2−ヒドロキシプロピオン酸アルキル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の3−アルコキシプロピオン酸アルキル類のほか、
【0096】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。なお、上記溶剤は、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
【0097】
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチルから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。ただし、シクロヘキサノンは溶解性の点からは、有効な溶剤であるが、毒性を有する点においてできるだけ使用を避けることが好ましい。
【0098】
[3]イオンインプランテーション用レジストパターン形成方法:
本発明のイオンインプランテーション用レジストパターン形成方法は、上述したイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成し、形成したレジスト膜に対して、所望のレジストパターンを備えるマスクを介して露光を行い、露光されたレジスト膜をアルカリ現像することによりレジストパターンを得るものである。
【0099】
このような方法により、基板上に反射防止膜が形成されていない場合、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することができる。
【0100】
[3−1]レジスト膜の形成:
上記組成物溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、イオン注入すべき固体上、またはイオン注入すべき薄膜を形成した基板上に塗布し、乾燥することによってレジスト膜を形成する。なお、上記基板としては、シリコンウエハー、酸化シリコン薄膜で被覆されたウエハー、またはアルミニウムで被覆されたウエハー等を挙げることができる。
【0101】
上記レジスト膜は、その膜厚が、1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm〜1.0μmであることが更に好ましく、0.1μm〜0.5μmであることが特に好ましく、0.1μm〜0.3μmであることが最も好ましい。膜厚が、1.0μm超であると、パターンが解像できなくなるおそれがある。
【0102】
[3−2]露光:
その後、必要によって加熱処理(以下、「PB」という)を行った後、所定のレジストパターンを形成するように上記レジスト膜に露光をする。なお、その際に使用される放射線としては、例えば、紫外線、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)、EUV(極紫外線、波長13nm等)等の遠紫外線、電子線等の荷電粒子線、シンクロトロン放射線等のX線等を適宜選択して使用できるが、これらのうち200nm以下のArFエキシマレーザー(波長193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)が好ましい。また、照射量等の照射条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、各添加剤の種類等に応じて、適宜選定される。
【0103】
また、露光後に加熱処理(以下、「PEB」という)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂(A)中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、樹脂組成物の配合組成によって変わるが、30〜200℃であることが好ましく、50〜170℃であることが更に好ましく、70〜150℃であることが特に好ましい。
【0104】
なお、本発明の樹脂組成物は、反射防止膜を形成しない場合でも、上述した本発明の効果を奏するものであるが、反射防止膜を形成しておくこともできる。このような反射防止膜は、樹脂組成物の潜在能力を最大限に引き出すことができるため、例えば、特公平6−12452号公報等に開示されているように、使用される基板上に有機系または無機系のものを用いることができる。また、上記反射防止膜以外にも、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されている保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。そして、これらの技術(反射防止膜と保護膜)を併用することもできる。
【0105】
[3−3]アルカリ現像:
次いで、照射されたレジスト膜をアルカリ現像液を用いて現像することにより、所定のレジストパターンを形成する。アルカリ現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0106】
アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が、10質量%超であると、非照射部も現像液に溶解するおそれがある。また、上記アルカリ性水溶液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像液で現像した後、水で洗浄して乾燥することが一般的である。
【0107】
[3−4]イオンインプランテーション:
以上のようにして、本発明の樹脂組成物によって形成したレジスト膜に所定のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンが形成されたレジスト膜をマスクとして、イオン注入すべき固体またはイオン注入すべき薄膜を形成した基板に、所望のイオンを注入する(イオンインプランテーション)。イオン注入に用いるイオン源(イオン)は、所望のイオン源を適宜選択して用いることができるが、例えば、ホウ素、りん、砒素、アルゴンなどのイオンを挙げることができる。また、イオン注入すべき固体またはイオン注入すべき薄膜の構成成分は、特に制限はないが、例えば、ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、アルミニウム等を挙げることができる。なお、イオン注入時のイオン加速エネルギーは、10〜200keVであることが好ましい。
【実施例】
【0108】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0109】
以下に示す各合成例における分子量(Mw、Mn)及びMw/Mnの測定方法は、下記の要領で行った。
【0110】
[分子量(Mw、Mn)測定方法]:
樹脂の分子量(Mw、Mn)測定には、東ソー社製高速GPC装置(型式「HLC−8120」)に東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」;2本、「G3000HXL」;1本、「G4000HXL」;1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
【0111】
(合成例1)樹脂(A−1)の合成:
下記化合物(M−1)36.95g(35モル%)、下記化合物(M−4)10.65g(10モル%)、下記化合物(M−5)50.06g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.19gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.35g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(78g、収率78%)。この白色粉末を樹脂(A−1)とした。
【0112】
【化9】

【0113】
この樹脂(A−1)は、Mwが6800、Mw/Mn=1.53であった。
【0114】
(合成例2)樹脂(A−2)の合成:
下記化合物(M−1)42.55g(40モル%)、化合物(M−5)50.45g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.23gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−8)7.00g(10モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(77g、収率77%)。この白色粉末を樹脂(A−2)とした。
【0115】
【化10】

【0116】
この樹脂(A−2)は、Mwが6300、Mw/Mn=1.58であった。
【0117】
(合成例3)樹脂(A−3)の合成:
下記化合物(M−1)36.34g(35モル%)、化合物(M−4)10.47g(10モル%)、化合物(M−5)49.24g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.10gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−9)3.95g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(81g、収率81%)。この白色粉末を樹脂(A−3)とした。
【0118】
【化11】

【0119】
この樹脂(A−3)は、Mwが5800、Mw/Mn=1.63であった。
【0120】
(合成例4)樹脂(A−4)の合成:
下記化合物(M−1)42.59g(40モル%)、化合物(M−5)50.49g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.23gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−10)6.92g(10モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(77g、収率77%)。この白色粉末を樹脂(A−4)とした。
【0121】
【化12】

【0122】
この樹脂(A−4)は、Mwが6100、Mw/Mn=1.62であった。
【0123】
(合成例5)樹脂(A−5)の合成:
下記化合物(M−1)38.58g(35モル%)、化合物(M−3)6.69g(10モル%)、化合物(M−5)52.28g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.42gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.45g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(79g、収率79%)。この白色粉末を樹脂(A−5)とした。
【0124】
【化13】

【0125】
この樹脂(A−5)は、Mwが7100、Mw/Mn=1.65であった。
【0126】
(合成例6)樹脂(A−6)の合成:
下記化合物(M−1)41.86g(35モル%)、化合物(M−4)12.06g(10モル%)、化合物(M−6)43.42g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.88gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.66g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(81g、収率81%)。この白色粉末を樹脂(A−6)とした。
【0127】
【化14】

【0128】
この樹脂(A−6)は、Mwが7200、Mw/Mn=1.64であった。
【0129】
(合成例7)樹脂(A−7)の合成:
下記化合物(M−1)47.55g(45モル%)、化合物(M−5)50.10g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.33gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.35g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(82g、収率82%)。この白色粉末を樹脂(A−7)とした。
【0130】
【化15】

【0131】
この樹脂(A−7)は、Mwが6900、Mw/Mn=1.61であった。
【0132】
(合成例8)樹脂(A−8)の合成:
下記化合物(M−1)46.77g(45モル%)、化合物(M−5)49.28g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.11gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−9)3.95g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(77g、収率77%)。この白色粉末を樹脂(A−8)とした。
【0133】
【化16】

【0134】
この樹脂(A−8)は、Mwが6300、Mw/Mn=1.59であった。
【0135】
(合成例9)樹脂(A−9)の合成:
下記化合物(M−2)36.55g(40モル%)、化合物(M−5)55.71g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.77gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−8)7.73g(10モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(76g、収率76%)。この白色粉末を樹脂(A−9)とした。
【0136】
【化17】

【0137】
この樹脂(A−9)は、Mwが5900、Mw/Mn=1.56であった。
【0138】
(合成例10)樹脂(A−10)の合成:
下記化合物(M−1)48.31g(40モル%)、化合物(M−6)43.85g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.93gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−10)7.84g(10モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(78g、収率78%)。この白色粉末を樹脂(A−10)とした。
【0139】
【化18】

【0140】
この樹脂(A−10)は、Mwが6400、Mw/Mn=1.58であった。
【0141】
(合成例11)樹脂(A−11)の合成:
下記化合物(M−1)37.87g(35モル%)、化合物(M−2)8.42g(10モル%)、化合物(M−5)51.31g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にアゾビスイソブチロニトリル4.44gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.40g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(72g、収率72%)。この白色粉末を樹脂(A−11)とした。
【0142】
【化19】

【0143】
この樹脂(A−12)は、Mwが6900、Mw/Mn=1.69であった。
【0144】
(合成例12)樹脂(A−12)の合成:
下記化合物(M−1)37.23g(35モル%)、化合物(M−2)8.27g(10モル%)、化合物(M−5)50.45g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.23gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−9)4.04g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(76g、収率76%)。この白色粉末を樹脂(A−12)とした。
【0145】
【化20】

【0146】
この樹脂(A−12)は、Mwが6400、Mw/Mn=1.54であった。
【0147】
(合成例13)樹脂(A−13)の合成:
下記化合物(M−1)43.97g(35モル%)、化合物(M−3)7.62g(10モル%)、化合物(M−6)45.61g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6.17gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)2.79g(5モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(77g、収率77%)。この白色粉末を樹脂(A−13)とした。
【0148】
【化21】

【0149】
この樹脂(A−13)は、Mwが7000、Mw/Mn=1.73であった。
【0150】
(合成例14)樹脂(A−14)の合成:
下記化合物(M−2)36.59g(40モル%)、化合物(M−5)55.77g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.78gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−10)7.64g(10モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(79g、収率79%)。この白色粉末を樹脂(A−14)とした。
【0151】
【化22】

【0152】
この樹脂(A−14)は、Mwが6100、Mw/Mn=1.59であった。
【0153】
(合成例15)樹脂(A−15)の合成:
下記化合物(M−2)59.29g(60モル%)、化合物(M−11)19.21g(20モル%)、化合物(M−15)21.49g(20モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.45gを投入して単量体溶液を準備した。一方、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコを30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(63g、収率63%)。この白色粉末を樹脂(A−15)とした。
【0154】
【化23】

【0155】
この樹脂(A−15)は、Mwが5600、Mw/Mn=1.63であった。
【0156】
(合成例16)樹脂(A−16)の合成:
下記化合物(M−2)44.15g(45モル%)、化合物(M−11)23.85g(25モル%)、化合物(M−15)32.01g(30モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.42gを投入して単量体溶液を準備した。一方、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコを30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(66g、収率66%)。この白色粉末を樹脂(A−16)とした。
【0157】
【化24】

【0158】
この樹脂(A−16)は、Mw6800が、Mw/Mn=1.65であった。
【0159】
(合成例17)樹脂(A−17)の合成:
下記化合物(M−12)57.34g(60モル%)、化合物(M−11)20.13g(20モル%)、化合物(M−15)22.52g(20モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.66gを投入して単量体溶液を準備した。一方、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコを30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(71g、収率71%)。この白色粉末を樹脂(A−17)とした。
【0160】
【化25】

【0161】
この樹脂(A−17)は、Mw7100が、Mw/Mn=1.62であった。
【0162】
(合成例18)樹脂(A−18)の合成:
下記化合物(M−2)44.57g(40モル%)、化合物(M−15)36.36g(30モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)19.07gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−7)5.02g(30モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(62g、収率62%)。この白色粉末を樹脂(A−18)とした。
【0163】
【化26】

【0164】
この樹脂(A−18)は、Mw6100が、Mw/Mn=1.75であった。
【0165】
(合成例19)樹脂(A−19)の合成:
下記化合物(M−2)54.00g(55モル%)、化合物(M−13)24.89g(15モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)21.11gを投入して単量体溶液を準備した。一方、下記化合物(M−8)4.42g(30モル%)を、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(73g、収率73%)。この白色粉末を樹脂(A−19)とした。
【0166】
【化27】

【0167】
この樹脂(A−19)は、Mwが5900、Mw/Mn=1.44であった。
【0168】
(合成例20)樹脂(A−20)の合成:
下記化合物(M−2)35.41g(15モル%)、化合物(M−14)21.40g(35モル%)、化合物(M−5)43.18g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)3.99gを投入して単量体溶液を準備した。一方、予め100gの2−ブタノンを投入しておいた1000mlの三口フラスコを30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(81g、収率81%)。この白色粉末を樹脂(A−20)とした。
【0169】
【化28】

【0170】
この樹脂(A−20)は、Mwが6400、Mw/Mn=1.72であった。
【0171】
(合成例21)樹脂(R−1)の合成:
下記化合物(M−1)30.74g(30モル%)、下記化合物(M−4)20.67g(20モル%)、下記化合物(M−5)48.59g(50モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)4.03gを投入して単量体溶液を準備した。一方、100gの2−ブタノンを1000mlの三口フラスコに投入した後、30分間窒素でパージした。窒素パージの後、反応釜(上記三口フラスコ)を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて上記反応釜に3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却した。冷却後、2000gのメタノールに投入して析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を400gのメタノールにてスラリー状で2回洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥した。乾燥後、白色粉末を得た(74g、収率74%)。この白色粉末を樹脂(R−1)とした。
【0172】
【化29】

【0173】
この樹脂(R−1)は、Mwが9400、Mw/Mn=1.72であった。
【0174】
なお、表1,2には、合成例1〜21に用いた化合物(モノマー)及びその配合処方(mol%)を示す。
【0175】
【表1】

【0176】
【表2】

【0177】
(実施例1)
[感放射線性樹脂組成物の調製]:
上記樹脂(A−1)100部、光酸発生剤(B)としてトリフェニルスルホニウム−ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート(表3中、「B−1」と示す)5部、酸拡散制御剤としてtert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート(表3中、「C−1」と示す)1部、及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(表3中、「D−1」と示す)600部を混合して均一溶液とした後、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、感放射線性樹脂組成物溶液(組成物溶液)を調製した。この感放射線性樹脂組成物溶液を用いて各評価を行った。
【0178】
[感度]:
本評価を行うために、レジストパターンを備えたシリコン基板を以下のようにして作製した。まず、シリコンウエハー表面にヘキサメチルジシラザンを150℃で60秒間曝し、表面処理を施した。このシリコンウエハー上に、レジスト膜の膜厚が0.22μmとなるように上記感放射線性樹脂組成物溶液をスピンコートにより塗布した。その後、ホットプレートにて、100℃、60秒の条件でPBを行うことにより上記ウエハーにレジスト膜を形成した。なお、このレジスト膜の膜厚は、WOOLLAM社製の分光エリプソメーター「VUV−VASE:VU−303」を用いて測定した。次に、上記膜厚0.22μmのレジスト膜に、ニコン社製のArFエキシマレーザー露光装置(開口数0.60)を用い、マスクパターンを介して露光した。露光後、115℃、60秒でPEBを行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液によって25℃で60秒間現像した。その後、水洗、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを備えたシリコン基板(ウエハー)を得た。
【0179】
得られたシリコン基板について、線幅0.18μmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を、日立社製の「測長SEM:S9260」にてレジストパターン上部から観察し、1対1の線幅に形成する露光量(J/m)を測定した。このときの露光量(最適露光量)(J/m)を「感度」とした。
【0180】
[解像度]:
上記感度評価における最適露光量(J/m)で解像される最小のライン・アンド・スペースパターンの寸法(μm)を解像度とした。
【0181】
[パターン形状]:
上記感度評価におけるレジスト膜のパターン断面を、日立社製の「断面観察SEM:S4800」にて観察した。図1に示すように、基板1上に形成されたパターン2の上部の線幅をL1、下部の線幅をL2としたとき、(L1−L2)/L1が−0.15〜+0.15の範囲になる場合を「○」(良好)、(L1−L2)/L1が−0.15より小さい場合、または+0.15より大きい場合を「×」(不良)として評価した。
【0182】
[パターン幅変動]:
膜厚0.18〜0.24μmの範囲で0.006μm毎の各膜厚において、膜厚0.22μmにおける最適露光量(J/m)を照射して解像した際の180nm1L/1Sパターンを観測し、観測されたパターン線幅の最大値と最小値の差が70nm以下の場合を「○」、70nmを超える場合を「×」として評価した。
【0183】
[消衰係数]:
上記感放射線性樹脂組成物溶液を基板上にスピンコートにより塗布し、ホットプレートにて、100℃、60秒でPBを行い、膜厚0.2μmのレジスト膜を得た。得られたレジスト膜について、WOOLLAM社製の分光エリプソメーター「VUV−VASE:VU−303」を用いて、波長193nmの露光光の消衰係数kを測定した。
【0184】
本実施例の上記各評価の結果は、感度が293J/mであり、解像度が110nmであり、パターン幅変動評価で観測されたパターン線幅の最大値と最小値の差が50で、その評価が「○」であり、パターン形状が矩形であり、消衰係数kが0.082であった。
【0185】
(実施例2〜20、比較例1)
表3、表4に示す配合とした以外は、実施例1と同様にして感放射線性樹脂組成物溶液を調製した後、上記各評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0186】
【表3】

【0187】
【表4】

【0188】
【表5】

【0189】
なお、表3,表4に示す、感放射線性樹脂組成物溶液の調製に用いた各成分を以下に示す。
[光酸発生剤(B)]
(B−1):トリフェニルスルホニウム−ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
(B−2):4−n−ブトキシ−1−ナフチル−テトラヒドロチオフェニウム−ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
[酸拡散制御剤]
(C−1):tert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジンカルボキシレート
(C−2):フェニルベンズイミダゾール
[溶剤]
(D−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(D−2):シクロヘキサノン
【0190】
表5から明らかなように、実施例1〜20の感放射線性樹脂組成物は、比較例1の感放射線性樹脂組成物に比べて、薄膜であってもイオン遮断性及びレジストの耐破壊性に優れ、基板上に反射防止膜が形成されていない場合にも、良好な感度及び解像度を有し、良好なパターンの形状、及びパターン変動幅の小さいレジスト膜を形成することが可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、イオンインプランテーション工程を備えるリゾクラフィーにおけるレジスト膜を形成するための塗工液として特に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】ライン・アンド・スペースパターンの形状を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0193】
1 基板
2 パターン
L1 パターンの上部での線幅
L2 パターンの下部での線幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長200nm以下のレーザーを用いたリソグラフィーに用いられ、アリール基を有さない(メタ)アクリル酸エステル類に由来する第一の繰り返し単位及び置換または非置換のアリール基を有する重合性単量体に由来する第二の繰り返し単位を有するとともに、酸解離性基を含み、前記酸解離性基の解離によりアルカリ可溶性となる樹脂(A)と、
光酸発生剤(B)と、
を含むイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【請求項2】
更に、前記樹脂(A)が、その他の繰り返し単位を有する請求項1に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
前記酸解離性基が、第一の繰り返し単位、第二の繰り返し単位、及びその他の繰り返し単位の少なくともいずれかに含まれる請求項2に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【請求項4】
前記第二の繰り返し単位が、前記アリール基を側鎖に有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体が、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれか一項に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物。
【化1】

(前記一般式(1)、(2)、及び(4)中、R、Rは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基、フェニル基であり、Xは水酸基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基、または一般式(5);−Y−Xで表される基であり(なお、前記一般式(5)中、Yはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、Xは水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、カルボキシル基、炭素数1〜4のカルボン酸エステル、シアノ基である)、m及びnはそれぞれ0〜3の整数であり、kは0〜2の整数であり、前記一般式(4)中、Wは−O−Z−または−NH−Z−で表される結合であり、Zは単結合、またはメチレン基、炭素数2〜8のアルキレン基であり、前記一般式(3)中、R、X、m及びnは、それぞれ、前記一般式(1)のR、X、m及びnと同義である)
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のイオンインプランテーション用感放射線性樹脂組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成し、形成した前記レジスト膜に対して、所望のレジストパターンを備えるマスクを介して露光を行い、露光された前記レジスト膜をアルカリ現像することによりレジストパターンを得るイオンインプランテーション用レジストパターン形成方法。
【請求項7】
前記レジスト膜の膜厚が、1.0μm以下である請求項6に記載のイオンインプランテーション用レジストパターン形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2008−197606(P2008−197606A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63256(P2007−63256)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】