説明

イオンチャネルリガンドとしてのアミド化合物およびその使用

以下により表される式を有する化合物が開示される:この化合物は、薬学的組成物として調製され得、そして哺乳動物(ヒトを含む)における種々の状態の予防および処置のために使用され得、これら種々の状態としては、非限定的な例として、関節炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、発作、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、疼痛症候群の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、脱毛症、炎症性腸疾患および免疫障害その他が挙げられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、新規化合物およびこのような化合物を含む薬学的組成物に関する。本発明はまた、本発明の化合物および薬学的組成物を使用して、哺乳動物における疼痛関連状態および炎症関連状態(例えば、関節炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、発作、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、疼痛症候群(急性および慢性、またはニューロパシー性)の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、脱毛症(毛髪損失)、炎症性腸疾患および免疫障害(しかし、これらに限定されない))を予防および/または処置するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
体内のシグナル伝達経路の研究は、イオンチャネルの存在を解き明かし、そしてこれらの役割を説明しようとしてきた。イオンチャネルは、異なる2つの特徴を有する膜一体型タンパク質である:これらイオンチャネルは、膜電位または化学的リガンドの直接結合のような特異的信号によってゲート操作され(gate)(開き、そして閉じる)、そして一旦開くと、これらイオンチャネルは細胞膜を横切って非常に高速でイオンを導く。
【0003】
多くの型のイオンチャネルが存在する。イオンに対する感受性に基づき、これらイオンチャネルは、カルシウムチャネル、カリウムチャネル、ナトリウムチャネルなどに分けられ得る。カルシウムチャネルは、他の型のイオンよりカルシウムイオンに対してより透過性であり、カリウムチャネルは他のイオンよりカリウムイオンを選択する、などである。イオンチャネルはまた、それらのゲート操作メカニズムに従って分類され得る。電圧ゲート操作性イオンチャネルにおいて、開口の確率は膜電位に依存し、一方、リガンドゲート操作性イオンチャネルにおいて、開口の確率は低分子(リガンド)の結合によって制御される。リガンドゲート操作性イオンチャネルは、リガンドからシグナルを受けるので、これらチャネルはまた、そのリガンドに対する「レセプター」とみなされ得る。
【0004】
リガンドゲート操作性イオンチャネルの例としては、nAChR(ニコチンアセチルコリンレセプター)チャネル、GluR(グルタミン酸レセプター)チャネル、ATP感受性カリウムチャネル、Gタンパク質活性化チャネル、環状ヌクレオチドゲート操作性チャネル、などが挙げられる。
【0005】
一過性レセプター電位(TRP)チャネルタンパク質は、多くの組織および細胞型において発現される、巨大かつ多様なファミリーのタンパク質を構成する。このファミリーのチャネルは、神経成長因子、フェロモン、嗅覚、血管の色調(tone)、および代謝ストレスなどに対する応答を媒介し、そしてこれらのチャネルは種々の生物、組織および細胞型(非興奮性平滑筋および非興奮性神経細胞を含む)において見出される。さらに、TRP関連チャネルタンパク質は、種々の疾患(例えば、いくつかの腫瘍および神経変性障害など)に関係する。例えば、非特許文献1を参照のこと。
【0006】
侵害受容器は、疼痛の感知を導く、特定の一次求心性ニューロンおよび一連の神経における最初の細胞である。これらの細胞のレセプターは、別個の有害な化学的刺激または物理的刺激によって活性化され得る。侵害受容器の基幹機能としては、有害な刺激の脱分極化への変換が挙げられ、この変換は、活動電位、中枢神経系における一次感覚部位からシナプスへの活動電位の伝達、およびシナプス前末端における活動電位の神経伝達物質の放出への転換を惹起し、これらの全てがイオンチャネルに依存する。
【0007】
特に有益な1つのTRPチャネルタンパク質は、バニロイドレセプターである。またVR1としても公知であり、このバニロイドレセプターは、非選択性カチオンチャネルであり、このチャネルは一連の異なる刺激(カプサイシン刺激、熱刺激および酸刺激、ならびに脂質二重層代謝産物(アナンダミド)(anandamide)、ならびにリポキシゲナーゼ代謝物を含む)によって活性化されるかまたは感受性にされる。例えば、非特許文献2を参照のこと。VR1は一価カチオンのなかのものを区別しないが、Ca2+>Mg2+>Na=K=Csの透過性の順序で二価カチオンについて注目に値する優先を示す。Ca2+は特にVR1の機能に重要である。なぜなら、細胞外Ca2+は、脱感作(特定の化学的シグナルまたは物理的シグナルへの全体的な応答を縮小することによって、特定の刺激に対してニューロンを順応させ得るプロセス)を媒介するからである。VR1は、ラット、マウスおよびヒトにおける一次感覚ニューロンにおいて高度に発現され、そして多くの内臓器官(真皮、骨、膀胱、胃腸管および肺を含む)を神経支配する。このVR1はまた、他の神経系組織および非神経系組織(CNS、神経細胞群(nuclei)、腎臓、胃およびT細胞を含む)において発現される。VR1チャネルは、6個の膜貫通領域を有するイオンチャネルのスーパーファミリーの一員であり、TRPファミリーのイオンチャネルと最も高い相同性を有する。
【0008】
VR1遺伝子ノックアウトマウスは、温度刺激および酸刺激に対する感覚感受性を低減していることが示された。例えば、非特許文献3を参照のこと。このことは、VR1が疼痛応答の生成にのみでなく、感覚神経の基本的な活動の維持にも寄与するという概念を支持する。VR1アゴニストおよびVR1アンタゴニストは、種々の起源および病因学の疼痛(例えば、急性疼痛、炎症性疼痛およびニューロパシー性疼痛、歯痛ならびに頭痛(例えば、偏頭痛、群発性頭痛、および緊張性頭痛))の処置のための鎮痛剤としての用途を有する。これらはまた、関節炎の処置、パーキンソン病の処置、アルツハイマー病の処置、発作の処置、ブドウ膜炎の処置、喘息の処置、心筋梗塞の処置、疼痛症候群(急性および慢性[ニューロパシー性])の処置または予防、外傷性脳損傷の処置、脊髄損傷の処置、神経変性障害の処置、脱毛症(毛髪消失)の処置、炎症性腸疾患の処置および自己免疫障害の処置、腎臓障害の処置、肥満の処置、摂食障害の処置、癌の処置、統合失調症の処置、癲癇の処置、睡眠障害の処置、認識低下の処置、不安の処置、血圧の処置、脂質障害の処置、ならびにアテローム性動脈硬化症の処置のための抗炎症剤として有用である。
【0009】
本発明の化合物のような化合物は、バニロイドレセプターと相互作用し、これによってこれらの状態を処置または予防または緩和させる役割を果たし得る。
【0010】
異なる構造の広範な種々のバニロイド化合物(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4に開示される化合物)は、当該分野で公知である。バニロイド化合物またはバニロイドレセプター調節因子の特に注目すべき例は、カプサイシンまたはトランス8−メチル−N−バニリル−6−ノネナミド(これは唐辛子植物から単離される)、カプサゼピン(非特許文献4)、およびオルバニルまたはN−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)オレアミド(非特許文献5)である。
【0011】
特許文献5は、ジアリールピペラジンおよび関連化合物を開示し、これらは、カプサイシンレセプターまたはVR1レセプターとしても公知であるバニロイドレセプター(特に、I型バニロイドレセプター)に対して、高選択性および高親和性で結合する。これらの化合物は、慢性疼痛状態および急性疼痛状態、痒みおよび尿失禁の処置において有用であるといわれる。
【0012】
特許文献6、特許文献7および特許文献8は、バニロイドレセプターに高親和性を有する化合物が、胃−十二指腸潰瘍を処置するのに有用であることを示す。
【0013】
特許文献9は、特定の置換されたビフェニル−4−カルボン酸アリールアミドアナログを記載し、これらはレセプター調節因子として実行できる適用を有する。
【0014】
特許文献10および特許文献11は共に、鎮痛性活性、中枢神経系活性および精神薬理学的(pyschopharmacologic)活性を示すといわれる一連の3−ウレイドピロリジンを記載する。これらの特許は、特に、それぞれ化合物1−(1−フェニル−3−ピロリジニル)−3−フェニルウレアおよび1−(1−フェニル−3−ピロリジニル)−3−(4−メトキシフェニル)ウレアを開示する。特許文献12および特許文献13は、一連のピラゾール誘導体を開示し、これらはNPYレセプターサブタイプY5と関係する障害および疾患(例えば、肥満)の処置に有用であると述べられる。特許文献12は、特に、化合物5−アミノ−N−イソキノリン−5−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミドを開示する。特許文献13は、特に、以下の化合物を開示する:5−メチル−N−キノリン−8−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、5−メチル−N−キノリン−7−イル−1−[3−トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、5−メチル−N−キノリン−3−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、N−イソキノリン−5−イル−5−メチル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、5−メチル−N−キノリン−5−イル−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、1−(3−クロロフェニル)−N−イソキノリン−5−イル−5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、N−イソキノリン−5−イル−1−(3−メトキシフェニル)−5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、1−(3−フルオロフェニル)−N−イソキノリン−5−イル−5−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、1−(2−クロロ−5−トリフルオロメチルフェニル)−N−イソキノリン−5−イル−5−メチル−1N−ピラゾール−3−カルボキサミド、5−メチル−N−(3−メチルイソキノリン−5−イル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1N−ピラゾール−3−カルボキサミド、5−メチル−N−(1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−5−イル)−1−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド。
【0015】
特許文献14は、一連のピペラジン誘導体を記載する。この出願は特に、化合物N−[3−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−1,2−ジヒドロ−4−メチル−2−オキソ−7−キノリニル]−4−フェニル−1−ピペラジンカルボキサミドを開示する。
【0016】
ここで本発明者らは、VR−1アンタゴニストとして驚くほどの力価および選択性を有する特定の化合物を発見した。本発明の化合物は、VR−1アンタゴニストとして特に有益であるとみなされる。なぜなら、特定の化合物が改善された水溶性および代謝安定性を示すからである。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0347000号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0401903号明細書
【特許文献3】英国特許出願公開第2226313号明細書
【特許文献4】国際公開第92/09285号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/08221号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/16317号パンフレット
【特許文献7】国際特許公開第02/16318号パンフレット
【特許文献8】国際特許公開第02/16319号パンフレット
【特許文献9】米国特許第号3,424,760明細書
【特許文献10】国際公開第04/56774号パンフレット
【特許文献11】米国特許第3,424,761号明細書
【特許文献12】国際公開第01/62737号パンフレット
【特許文献13】国際公開第00/69849号パンフレット
【特許文献14】独国特許出願公開第2502588号明細書
【非特許文献1】Minkeら,APStracts 2002年、第9号、p6
【非特許文献2】Smithら,Nature,2002年,第418号,p186−190
【非特許文献3】Caterinaら,Science,2000年,第14号,p306−313
【非特許文献4】Tetrahedron,1997年,第53号,p4791
【非特許文献5】J.Med.Chem.,1993年,第36号,p2595
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
(発明の要旨)
ここで、本明細書中に記載される化合物のような化合物が、哺乳動物のイオンチャネル(例えば、VR1カチオンチャネル)を変更し得ることが見出された。この知見は、治療上価値を有する新規化合物に繋がる。このことはまた、活性成分として本発明の化合物を有する薬学的組成物へと、そして哺乳動物における一連の状態(例えば、種々の起源および病因学の疼痛(例えば、急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛およびニューロパシー性疼痛)、歯痛および頭痛(例えば、偏頭痛、群発性頭痛、および緊張性頭痛)であるが、これらに限定されない)を処置、予防または緩和するための、それら化合物の使用に繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明の第1の局面において、式I
【0019】
【化14】

を有する、インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;ならびにその異性体および立体異性体が開示され、ここで:
Aは、N、CR、Lと結合した炭素原子であるか、または原子でなく;
Aが原子でない場合、W、Z、B、YおよびXのうちの1つがLと結合した炭素原子であり、W、Z、B、YおよびXのうちの別の1つがGと結合した炭素原子であり、そしてW、Z、B、YおよびXのうちの残りの各々が独立してNまたはCRであり;
Lは、結合、または−(CH−であって、ここでnは1〜3の整数であり;
Gは、C=O、C=SまたはSOであり;
は、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、または置換もしくは非置換のヘテロアラルキルであり;
は、水素であるか、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、置換または非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキルまたは置換もしくは非置換のヘテロアラルキルであり;そして
各々のRは、独立して、水素、アルキル、置換もしくは非置換のアルキル、アシル、アシルアミノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、アリールアルキル、スルホキシド、スルホン、スルファニル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、ジヒドロキシホスホリル、アミノヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、カルバモイル、カルボキシル、シアノ、シクロヘテロアルキル、ジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、またはチオである。
【0020】
本発明のさらなる実施形態において、式IA:
【0021】
【化15】

を有する化合物は、インビボでイオンチャネルを変更し得る。
【0022】
式Iおよび式IAの化合物において、Lは好ましくは結合である。
【0023】
式Iおよび式IAのある特定の化合物において、Rは、置換もしくは非置換のフェニル、置換もしくは非置換のベンゾ[1,3]ジオキソリル、置換もしくは非置換のモルホリニル、置換もしくは非置換のピリジル、置換もしくは非置換のピリミジニル、置換もしくは非置換のピラジニル、置換もしくは非置換のピペラジニル、置換もしくは非置換のピペリジニル、置換もしくは非置換のピリジジニル、置換もしくは非置換のチエニル、置換もしくは非置換のフリル、置換もしくは非置換のピラゾリル、置換もしくは非置換のピロリル、置換もしくは非置換のトリアゾリル、置換もしくは非置換のインダニル、置換もしくは非置換のイミダゾイル、置換もしくは非置換のオキサゾリル、置換もしくは非置換のチアゾリル、置換もしくは非置換のオキサジアゾリル、置換もしくは非置換のイソチアゾリル、置換もしくは非置換のイソオキサゾリル、または置換もしくは非置換のチアジアゾリルである。特定の化合物において、Rは必要に応じて置換された(すなわち、置換もしくは非置換の)ピリジルまたはピリミジンである。いくつかの好ましい化合物において、Rは2−ピリジルである。
【0024】
式IAのある特定の化合物において(以後式IA’の化合物として参照される)、Lは結合であり、そしてRは部分Rによりx回置換されたピリジルであり、ここでxは0〜4の整数を表し、そしてRは、独立して、置換もしくは非置換のアルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから選択される。
【0025】
式IAの化合物の特定の実施形態において、Lは結合であり、GはC=Oであり、Rは、置換されたアリール、または置換されたヘテロアリールであり、Rは水素であり、そしてRは、置換されたヘテロアリールである。
【0026】
別の特定の実施形態において、本発明の化合物は式(IB)の化合物、特に式(IC)の化合物:
【0027】
【化16】

であり、ここで、Rは、独立して、置換もしくは非置換のアルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから選択され、そしてxは0〜4の整数である。
【0028】
式I、式IA、式IA’、式IBおよび式ICの特定の化合物において、Rは、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、またはアラルキルを表し得る。いくつかの好ましい実施形態において、Rは、置換された(例えば、一置換された)アリール(例えば、置換されたフェニル)である。特定のR部分は、3−アルコキシフェニルである。特定の実施形態において、Rは、アルキル、アルキル(OH)、−COOH、−C(Me)、−CH(Me)、ハロ、シアノまたはメトキシで置換される。
【0029】
式I、式IA、式IA’、式IBおよび式ICの特定の好ましい化合物において、Rは水素である。
【0030】
式I、式IA、式IA’、式IBおよび式ICの化合物において、Gは好ましくはCOである。
【0031】
式IAの化合物のさらなる実施形態において、Rは式:
【0032】
【化17】

であり、ここで、Rは上記のとおりであり;nは1〜3の整数であり;そしてAはハロゲン、またはトリハロアルキルである。さらなる実施形態において、W、X、YおよびZの各々はCRであるか、または代替的に、W、X、YおよびZの各々は独立して、C−H、C−ハロゲンまたはC−アルコキシから選択される。さらに、W、X、YおよびZの少なくとも1つは、C−ハロゲンまたはC−アルコキシであり、そして特に、C−フルオロまたはC−メトキシであり得、そして特定の実施形態において、W、X、YおよびZの各々は全てC−Hであり得る。
【0033】
式IAの化合物に関して、Rは、置換されたフェニル、またはあるいは、置換もしくは非置換のナフチルであり得る。さらにRはまた、置換もしくは非置換のヘテロアリールであり、そして特定の実施形態において、このヘテロアリールは、ピリミジニル、チアゾリルおよびピラゾリルからなる群より選択され得る。さらに具体的には、ヘテロアリールは、2−ピリジル、3−ピリジルまたは4−ピリジルであり得る。特定の実施形態において、このヘテロアリール上の置換基は、水素、アルキル、トリフルオロメチル、ハロ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される。なおさらなる特定の実施形態において、ヘテロアリール上の置換基は、tert−ブチル、シアノ、トリフルオロアルキル、ハロ、ニトロ、メトキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される。
【0034】
式IAの化合物より誘導される、本発明のなおさらなる局面において、さらなる化合物、またはこの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;ならびにその異性体および立体異性体が開示され、これらの化合物はインビボでイオンチャネルを変更し得、式II:
【0035】
【化18】

を有し、ここで、R1’は、シアノ、トリフルオロアルキル、ハロ、ニトロ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノ、アルキルアミノおよびカルボキシからなる群より選択され;xは1〜5より選択される。これらの化合物の特定の実施形態において、AはClであり得、xは1であり得、そしてR1’は4−トリフルオロメチルであり得る。
【0036】
さらに特定の実施形態において、インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物、またはこの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;ならびにその異性体および立体異性体であって、この化合物は、式III:
【0037】
【化19】

を有し、ここでRは上記式1の化合物に関して述べたとおりである。
【0038】
特定の実施形態において、インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物であって、この化合物は式IV:
【0039】
【化20】

を有し、ここでRは置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のヘテロアリールである。式IVの化合物の特定の実施形態において、アリールまたはヘテロアリール上の置換は、水素、置換もしくは非置換のアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリハロアルキル、アルコキシおよびジアルキルアミノから選択され得る。さらなる実施形態において、アリールまたはヘテロアリール上の置換は、tert−ブチル、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、ニトロ、アルコキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、式1に基づく化合物が調製され得、ここでRは、以下:
【0041】
【化21】

で置換された、脂肪族、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアラルキルであり得;ここで、環Pはシクロヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、または置換されたヘテロアリールである。この実施形態において、Lは結合であり得、GはC=Oであり得、そしてRは水素であり得、そしてRは先に記載されたとおりであり得る。この範囲内での特定の化合物は式Vを有し、これは以下のとおりである:
【0042】
【化22】


【0043】
この実施形態において、環Pは、置換または非置換の、以下:
【0044】
【化23】

から選択され、ここで、R2’はHおよびRから選択され、そしてRは式Iに関して定義されたとおりである。
【0045】
特定の実施形態において、インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物であって、この化合物は式VI:
【0046】
【化24】

を有し、ここでAはCl、F、OMe、NMe、CFまたはSOMeである。
【0047】
環Pの例としては、置換または非置換の以下:
【0048】
【化25】

が挙げられるが、これらに限定されず、ここでR2’は、HおよびRから選択され、そしてRは式Iに関して定義されたとおりである。
【0049】
なおさらなる特定の実施形態において、本発明の化合物が記載され、そして後に本明細書中の表1に記載される、これら化合物の包括的な列挙から選択され得る。この表は、合成された403以上の化合物を含み、そしてこれら化合物は、インビボでのイオンチャネルの変更能力における活性を集団的に実証し、これによって、カプサイシンおよびバニロイドレセプターに関して本明細書中に記載される治療適用において機能した。
【0050】
本発明の化合物は炎症性疼痛ならびに関係する痛覚過敏および異痛症の処置に有用である。これら化合物はまた、ニューロパシー性疼痛ならびに関係する痛覚過敏および異痛症(例えば、三叉神経神経痛または疱疹性神経痛、糖尿病性ニューロパシー、カウザルギー、交感神経性に維持される疼痛、および求心路遮断症候群(例えば、腕神経叢捻除))の処置に有用である。本発明の化合物はまた、関節炎の処置のための抗炎症剤として有用であり、そしてパーキンソン病、アルツハイマー病、発作、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷、脊髄損傷、神経変性障害、脱毛症(毛髪消失)、炎症性腸疾患および自己免疫障害、腎臓障害、肥満、摂食障害、癌、統合失調症、癲癇、睡眠障害、認識低下、不安、血圧、脂質障害、ならびにアテローム性動脈硬化症を処置するための薬剤として有用である。
【0051】
1つの局面において、本発明は、インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物を提供する。そのように変更される代表的なイオンチャネルとしては、電圧ゲート操作性チャネルおよびリガンドゲート操作性チャネルが挙げられ、バニロイドチャネルのようなカチオンチャネルが含まれる。
【0052】
さらなる局面において、本発明は、本発明の化合物、および薬学的キャリア、賦形剤または希釈剤を含む薬学的組成物を提供する。本発明のこの局面において、この薬学的組成物は、本明細書中に記載される1つ以上の化合物を含み得る。
【0053】
本発明のさらなる局面において、本明細書中に列挙された状態のうちのある状態、そして特に、例えば関節炎、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、脱毛症(毛髪消失)、炎症性腸疾患および自己免疫障害と関係し得る状態に、感受性であるかまたはその状態に罹患した、哺乳動物(ヒトを含む)および下等哺乳動物種を処置するための方法が開示され、この方法は、ここに記載される1つ以上の薬学的組成物の有効量を投与する工程を包含する。同様に、本発明は、前述の疾患の処置のため、ならびに薬学的組成物および同様の医薬の調製のための、本発明の化合物の使用を広げ、そしてこの使用を包含し、このことは、それらの適用および使用の中でも、前述の疾患の処置を含む。さらに、本発明は、製薬および医薬としての使用のための本発明の化合物に、広がる。
【0054】
処置の局面のなお別の方法において、本発明は、疼痛応答を惹起するかまたは感覚神経の基本活動の維持における平衡失調に関する状態に感受性であるか、この状態に罹患した哺乳動物を処置する方法を提供する。化合物は、以下の種々の起源または病因学の疼痛の処置のための鎮痛剤としての用途を有する:例えば、急性炎症性疼痛(例えば、変形性関節炎および慢性関節リウマチと関係する疼痛);種々のニューロパシー性疼痛症候群(例えば、疱疹後の(post−herpetic)神経痛、三叉神経痛、反射性交感神経性ジストロフィ、糖尿病性ニューロパシー、ギラン−バレー症候群、線維筋痛症、幻想肢痛、乳房切除術後の(post−masectomy)疼痛、末梢ニューロパシー、HIVニューロパシー、ならびに化学療法誘導性ニューロパシーおよび他の医原性ニューロパシー);内臓疼痛(例えば、胃食道の反射疾患と関係する内臓疼痛、刺激性腸症候群と関係する内臓疼痛、炎症性腸疾患と関係する内臓疼痛、膵臓と関係する内臓疼痛、ならびに種々の婦人障害および泌尿器障害と関係する内臓疼痛)、歯痛および頭痛(例えば、偏頭痛、群発性頭痛および緊張性頭痛)。
【0055】
処置の局面のさらなる方法において、本発明は、以下のような神経変性疾患および神経変性障害に感受性であるかまたはこれらに罹患した哺乳動物を処置する方法を提供する:例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病および多発性硬化症;神経性炎症により媒介されるかまたは神経性炎症を生じる疾患および障害(例えば外傷性脳損傷、発作および脳炎);中心性に媒介される神経精神医学的疾患および障害(例えば、鬱躁、双極性疾患、不安、統合失調症、摂食障害、睡眠障害、および認識障害);癲癇障害および痙攣障害;前立腺不全、膀胱不全および腸不全(例えば、尿失禁、排尿躊躇、直腸過敏症、便失禁、良性前立腺肥大および炎症性腸疾患);呼吸性および気道性の疾患および障害(例えば、アレルギー性鼻炎、喘息ならびに反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患);炎症により媒介されるかまたは炎症を生じる疾患および障害(例えば、慢性関節リウマチおよび変形性関節症);心筋梗塞;種々の自己免疫疾患および自己免疫障害;ブドウ膜炎およびアテローム性硬化症;痒み/掻痒(例えば、乾癬);脱毛症(毛髪消失);肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;または腎臓障害。この方法は、先に記載した1つ以上の薬学的組成物の状態処置有効量もしくは状態予防有効量を投与する工程を包含する。
【0056】
さらなる局面において、本発明は、本明細書中で後に開示される代表的な合成プロトコルおよび合成経路を用いた、本発明の化合物を合成するための方法を提供する。
【0057】
他の目的および利点は、以下の例示的な図面の参照を併せて、次の詳細な説明を理解することより、当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
(発明の詳細な説明)
(定義)
化合物、このような化合物を含む薬学的組成物、ならびにこのような化合物および組成物を使用する方法を記載する場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有する。以下に定義される任意の部分は、種々の置換基で置換され得ること、およびそれぞれの定義はそれらの範囲内でそのような置換された部分を含むことを意図されることも、理解されるべきである。非限定的な例によって、このような置換基は、例えば、ハロ(例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ)、−CN、−CF、−OH、−OCF、C2〜6アルケニル、C3〜6アルキニル、C1〜6アルコキシ、アリールおよびジ−C1〜6アルキルアミノを含み得る。
【0059】
「アシル」とは、−C(O)R基をいい、ここでRは本明細書中に定義されるように、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである。代表的な例としては、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
「アシルアミノ」とは、−NR’C(O)R基をいい、ここでR’は本明細書中に定義されるように、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり、そしてRは水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。代表的な例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチル−カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
「アシルオキシ」とは、基−OC(O)Rをいい、ここでRは水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルである。
【0062】
「置換されたアルケニル」とは、本明細書中の「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特にアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するアルケニル基をいう。
【0063】
「アルコキシ」とは、基−ORをいい、ここでRはアルキルである。具体的なアルコキシ基としては、例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0064】
「置換されたアルコキシ」は、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヘテロアリール、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するアルコキシ基をいう。
【0065】
「アルコキシカルボニルアミノ」とは、基−NRC(O)OR’をいい、ここでRは水素、アルキル、アリールまたはシクロアルキルであり、そしてR’はアルキルまたはシクロアルキルである。
【0066】
「脂肪族」とは、構成炭素原子の直鎖状配置、分枝状配置または環状配置、および芳香属性不飽和の不在により特徴付けられるヒドロカルビル有機化合物またはヒドロカルビル基をいう。脂肪族としては、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルケニレン、アルキニルおよびアルキニレンが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族基は代表的に、1個または2個〜約12個の炭素原子を有する。
【0067】
「アルキル」は、特に約11個以下の炭素原子を有し、低級アルキルの場合、より特定すると1個〜8個の炭素原子を、そしてさらにより特定すると1個〜6個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいう。この炭化水素鎖は、直鎖状でも分枝状でもいずれであってもよい。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどのような基によって例示される。用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基をいう。用語「アルキル」はまた、以下に定義される「シクロアルキル」を含む。
【0068】
「置換されたアルキル」は、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ヘテロアリール、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−、およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するアルキル基をいう。
【0069】
「アルキレン」とは、特に約11個以下の炭素原子、より特定すると1〜6個の炭素原子を有する、二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基をいい、これは直鎖状または分枝状であり得る。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−および−CH(CH)CH−)などのような基により例示される。
【0070】
「置換されたアルキレン」は、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するアルキレン基をいう。
【0071】
「アルケニル」とは、好ましくは約11個以下の炭素原子(特に、2〜8個の炭素原子、そしてより特定すると、2〜6個の炭素原子)を有する、一価のオレフィン型不飽和ヒドロカルビル基をいう。これは、直鎖状または分枝状であり得、そして少なくとも1個、そして特に1〜2個のオレフィン型不飽和部位を有する。特定のアルケニル基としては、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)、ビニルおよび置換されたビニルなどが挙げられる。
【0072】
「アルケニレン」とは、特に約11個以下の炭素原子、そしてより特定すると2〜6個の炭素原子を有する、二価のオレフィン型不飽和ヒドロカルビル基をいう。これは、直鎖状または分枝状であり得、そして少なくとも1個、そして特に1〜2個のオレフィン型不飽和部位を有する。この用語は、エテニレン(−CH=CH−)、プロペニレン異性体(例えば、−CH=CHCH−および−C(CH)=CH−および−CH=C(CH)−)などのような基により例示される。
【0073】
「アルキニル」とは、特に約11個までの炭素原子を有し、そしてより特定すると、2〜6個の炭素原子を有する、アセチレン型不飽和ヒドロカルビル基をいい、これは直鎖状または分枝状であり得、そして少なくとも1個、そして特に1〜2個のアルキニル不飽和部位を有する。アルキニル基の特定の非限定的な例としては、アセチレン型、エチニル(−C≡CH)、プロパギル(−CHC≡CH)などが挙げられる。
【0074】
「置換されたアルキニル」は、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そしてより特定すると、1〜3個の置換基)を有するアルキニル基をいう。
【0075】
「アルカノイル」または「アシル」とは、本明細書中で使用される場合、基R−C(O)−をいい、ここでRは上記で定義したとおりの水素またはアルキルである。
【0076】
「アリール」とは、親の芳香環系の1個の炭素原子からの1個の水素原子の除去によって誘導される、一価の芳香族炭化水素基をいう。代表的なアリール基としては、アセアンスリレンから誘導される基、アセナフチレンから誘導される基、アセフェナンスリレンから誘導される基、アントラセンから誘導される基、アズレンから誘導される基、ベンゼンから誘導される基、クリセンから誘導される基、コロネンから誘導される基、フルオランセンから誘導される基、フルオレンから誘導される基、ヘキサセンから誘導される基、ヘキサフェンから誘導される基、ヘキサレンから誘導される基、as−インダセンから誘導される基、s−インダセンから誘導される基、インダンから誘導される基、インデンから誘導される基、ナフタレンから誘導される基、オクタセンから誘導される基、オクタフェンから誘導される基、オクタレンから誘導される基、オバレンから誘導される基、ペンタ−2,4−ジエンから誘導される基、ペンタセンから誘導される基、ペンタレンから誘導される基、ペンタフェンから誘導される基、ペリレンから誘導される基、フェナレンから誘導される基、フェナントレンから誘導される基、ピセンから誘導される基、プレイアデンから誘導される基、ピレンから誘導される基、ピラントレンから誘導される基、ルビセンから誘導される基、トリフェニレンから誘導される基、トリナフタレンから誘導される基などが挙げられるが、これらに限定されない。特に、アリール基は6〜14個の炭素原子を含む。
【0077】
「置換されたアリール」は、明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルケニル、置換されたアルケニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、置換されたアルキル、アルキニル、置換されたアルキニル、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、特に1〜3個の置換基)で必要に応じて置換され得るアリール基をいう。
【0078】
「縮合アリール」とは、第二のアリール環または脂肪族環と共通した2つの環炭素を有するアリールをいう。
【0079】
「アルカリル」とは、上記に定義したような1つ以上のアルキル基で置換された、上記に定義したようなアリール基をいう。
【0080】
「アラルキル」または「アリールアルキル」とは、上記に定義したような1つ以上のアリール基で置換された、上記に定義したようなアルキル基をいう。
【0081】
「アリールオキシ」とは、−O−アリール基をいい、ここで「アリール」は上記に定義したとおりである。
【0082】
「アルキルアミノ」とは、基アルキル−NR’R”をいい、ここでR’およびR”の各々は独立して、水素およびアルキルから選択される。
【0083】
「アリールアミノ」とは、基アリール−NR’R”をいい、ここでR’およびR”の各々は独立して、水素、アリールおよびヘテロアリールから選択される。
【0084】
「アルコキシアミノ」とは、基−N(H)ORをいい、ここでRは、本明細書中に定義されるアルキル基またはシクロアルキル基を表す。
【0085】
「アルコキシカルボニル」とは、基−C(O)−アルコキシをいい、ここでアルコキシは本明細書中に定義されるとおりである。
【0086】
「アルキルアリールアミノ」とは、基−NRR’をいい、ここでRはアルキル基またはシクロアルキル基を表し、そしてR’は本明細書中に定義されるアリールである。
【0087】
「アルキルスルホニル」とは、基−S(O)Rをいい、ここでRは、本明細書中に定義されるアルキル基またはシクロアルキル基である。代表的な例としては、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
「アルキルスルフィニル」とは、基−S(O)Rをいい、ここでRは、本明細書中に定義されるアルキル基またはシクロアルキル基である。代表的な例としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
「アルキルチオ」とは、基−SRをいい、ここでRは、本明細書中に定義されるアルキル基またはシクロアルキル基であり、これらは必要に応じて本明細書中に定義されるように置換され得る。代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
「アミノ」とは、基−NHをいう。
【0091】
「置換されたアミノ」は、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に基−N(R)をいい、ここで各々のRは独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルキニル、置換されたアルキニル、アリール、シクロアルキル、置換されたシクロアルキルからなる群より選択され、そしてここで両方のR基は一緒になってアルキレン基を形成する。両方のR基が水素である場合、−N(R)はアミノ基である。
【0092】
「アミノカルボニル」とは、基−C(O)NRRをいい、ここで各々のRは独立して、水素、アルキル、アリールおよびシクロアルキルであるか、またはここでこれらR基は一緒になってアルキレン基を形成する。
【0093】
「アミノカルボニルアミノ」とは、基−NRC(O)NRRをいい、ここで各々のRは独立して、水素、アルキル、アリールもしくはシクロアルキルであるか、またはここで2つのR基は一緒になってアルキレン基を形成する。
【0094】
「アミノカルボニルオキシ」とは、基−OC(O)NRRをいい、ここで各々のRは独立して水素、アルキル、アリールもしくはシクロアルキルであるか、またはここでこれらR基は一緒になってアルキレン基を形成する。
【0095】
「アリールアルキルオキシ」とは、−O−アリールアルキル基をいい、ここでアリールアルキルは本明細書中に定義したとおりである。
【0096】
「アリールアミノ」とは、基−NHRをいい、ここでRは本明細書中に定義されるアリール基を表す。
【0097】
「アリールオキシカルボニル」とは、基−C(O)−O−アリールをいい、ここでアリールは本明細書中に定義されるとおりである。
【0098】
「アリールスルホニル」とは、基−S(O)Rをいい、ここでRは、本明細書中に定義されるアリール基またはヘテロアリール基である。
【0099】
「アジド」とは、基−Nをいう。
【0100】
「カルバモイル」とは、基−C(O)N(R)をいい、ここで各々のR基は独立して、本明細書中に定義される水素、アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり、これらは必要に応じて本明細書中に定義されるように置換され得る。
【0101】
「カルボキシ」とは、基−C(O)OHをいう。
【0102】
「カルボキシアミノ」とは、基−N(H)C(O)OHをいう。
【0103】
「シクロアルキル」とは、3個〜約10個の炭素原子を有し、そして単一環または多重環(縮合環系および架橋環系を含む)を有する環状ヒドロカルビル基をいい、この環状ヒドロカルビル基は、必要に応じて、1〜3個のアルキル基で置換され得る。このようなシクロアルキル基としては、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなどのような単一環構造、およびアダマンタニルなどのような多環構造が挙げられる。
【0104】
「置換されたシクロアルキル」とは、本明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するシクロアルキル基をいう。
【0105】
「シクロアルコキシ」とは、基−ORをいい、ここでRはシクロアルキルである。このようなシクロアルキル基としては、例として、シクロペントキシ、シクロヘキソキシなどが挙げられる。
【0106】
「シクロアルケニル」とは、3〜10個の炭素原子を有し、そして単一環または多重環(縮合環系および架橋環系を含む)を有し、そして少なくとも1個そして特に1〜2個のオレフィン型不飽和部位を有する、環式ヒドロカルビル基をいう。このようなシクロアルケニル基としては、例として、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロプロペニルなどのような単一環構造が挙げられる。
【0107】
「置換されたシクロアルケニル」は、明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するシクロアルケニル基をいう。
【0108】
「縮合シクロアルケニル」とは、第二の脂肪族環または第二の芳香環と共通した2つの環炭素原子を有し、そしてこのシクロアルケニル環に芳香族性を与えるように位置するオレフィン型不飽和を有するシクロアルケニルをいう。
【0109】
「シアナト」とは、基−OCNをいう。
【0110】
「シアノ」とは、基−CNをいう。
【0111】
「ジアルキルアミノ」は、基−NRR’を意味し、ここで、RおよびR’は独立して、本明細書中に定義される、アルキル基、置換されたアルキル基、アリール基、置換されたアリール基、シクロアルキル基、置換されたシクロアルキル基、シクロヘテロアルキル基、置換されたシクロヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、または置換されたヘテロアリール基を表す。
【0112】
「エテニル」とは、置換または非置換の−(C≡C)−をいう。
【0113】
「エチレン」とは、置換または非置換の−(C−C)−をいう。
【0114】
「エチニル」とは、−(C≡C)−をいう。
【0115】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードをいう。好ましいハロ基は、フルオロまたはクロロのいずれかである。
【0116】
「ヒドロキシ」とは、基−OHをいう。
【0117】
「ニトロ」とは、基−NOをいう。
【0118】
「置換された」とは、1個以上の水素原子が各々独立して、同じ置換基(単数または複数)または別の置換基と置き換えられる基をいう。代表的な置換基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:−X、−R14、−O、=O、−OR14、−SR14、−S、=S、−NR1415、=NR14、−CX、−CF、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO、=N、−N,−S(O)、−S(O)OH、−S(O)14、−OS(O)O、−OS(O)14、−P(O)(O、−P(O)(OR14)(O)、−OP(O)(OR14)(OR15)、−C(O)R14、−C(S)R14、−C(O)OR14、−C(O)NR1415、−C(O)O、−C(S)OR14、−NR16C(O)NR1415、−NR16C(S)NR1415、−NR17C(NR16)NR1415および−C(NR16)NR1415、ここで、各々Xは独立してハロゲンである;各々R14、R15、R16およびR17は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアルキル、アリールアルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたアルキル、シクロヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換されたヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、置換されたヘテロアリールアルキル、−NR1819、−C(O)R18もしくは−S(O)18であるか、または必要に応じてR18とR19とはそれらの両方と結合する原子と一緒になって、シクロヘテロアルキル環もしくは置換されたシクロヘテロアルキル環を形成し;そしてR18およびR19は、独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アリール、置換されたアルキル、アリールアルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたアルキル、シクロヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、ヘテロアルキル、置換されたヘテロアルキル、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルまたは置換されたヘテロアリールアルキルである。
【0119】
置換されたアリールの代表的な例としては、以下が挙げられる:
【0120】
【化26】

これらの式において、R6’およびR7’のうちの1つは、水素であり得、そしてR6’およびR7’のうちの少なくとも1つは、各々独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロヘテロアルキル、アルカノイル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、NR10COR11、NR10SOR11、NR10SO14、COOアルキル、COOアリール、CONR1011、CONR10OR11、NR1011、SONR1011、S−アルキル、S−アルキル、SOアルキル、SOアルキル、Sアリール、SOアリール、SOアリールから選択されるか;またはR6’およびR7’は、一緒になって5〜8個の原子の(飽和または不飽和の)環式環を形成し得、必要に応じてN、OもしくはSから選択される1個以上のヘテロ原子を含む。R10、R11およびR12は、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、パーフルオロアルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたアルキルもしくはヘテロアルキルなどである。
【0121】
「ヘテロ」とは、化合物、または化合物上に存在する基を記載するために使用される場合、化合物または基のうちの1つ以上の炭素原子が窒素ヘテロ原子、酸素ヘテロ原子または硫黄ヘテロ原子によって置き換えられていることを意味する。ヘテロは、上記の任意のヒドロカルビル基(例えば、アルキル(例えば、ヘテロアルキル)、シクロアルキル(例えば、シクロヘテロアルキル)、アリール(例えば、ヘテロアリール)、シクロアルケニル、シクロヘテロアルケニル、など)に適用され得、これは1〜5個のヘテロ原子、特に1〜3個のヘテロ原子を有する。
【0122】
「ヘテロアリール」とは、親のヘテロ芳香族環系のうちの1個の原子からの1個の水素原子の除去によって導かれる、一価のヘテロ芳香族基をいう。代表的なヘテロアリール基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アクリジンから誘導される基、アルシンドールから誘導される基、カルバゾールから誘導される基、β−カルボリンから誘導される基、クロマンから誘導される基、クロメンから誘導される基、シンノリンから誘導される基、フランから誘導される基、イミダゾールから誘導される基、インダゾールから誘導される基、インドールから誘導される基、インドリンから誘導される基、インドリジンから誘導される基、イソベンゾフランから誘導される基、イソクロメンから誘導される基、イソインドールから誘導される基、イソインドリンから誘導される基、イソキノリンから誘導される基、イソチアゾールから誘導される基、イソオキサゾールから誘導される基、ナフチリジンから誘導される基、オキサジアゾールから誘導される基、オキサゾールから誘導される基、ペリミジンから誘導される基、フェナントリジンから誘導される基、フェナントロリンから誘導される基、フェナジンから誘導される基、フタラジンから誘導される基、テリジンから誘導される基、プリンから誘導される基、ピランから誘導される基、ピラジンから誘導される基、ピラゾールから誘導される基、ピリダジンから誘導される基、ピリジンから誘導される基、ピリミジンから誘導される基、ピロールから誘導される基、ピロリジンから誘導される基、キナゾリンから誘導される基、キノリンから誘導される基、キノリジンから誘導される基、キノキサリンから誘導される基、テトラゾールから誘導される基、チアジアゾールから誘導される基、チアゾールから誘導される基、チオフェンから誘導される基、トリアゾールから誘導される基、キサンテンから誘導される基など。好ましくは、ヘテロアリール基は、5〜20員の間のヘテロアリールであり、5〜10員のヘテロアリールが特に好ましい。特定のヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、およびピラジンから誘導される基である。
【0123】
代表的なヘテロアリールの例としては、以下に挙げられる:
【0124】
【化27】

ここで、各々のYはカルボニル、N、NR、OおよびSから選択される。
【0125】
代表的なシクロヘテロアルキルの例としては、以下が挙げられる:
【0126】
【化28】

ここで、各々のXは、CR、NR、OおよびSから選択され;そして各々のYは、N、NR、OおよびSから選択され、そしてここでR6’はRである。
【0127】
代表的なシクロヘテロアルケニルの例としては、以下が挙げられる:
【0128】
【化29】

ここで、各々のXはCR、NR、OおよびSから選択され;そして各々のYは、カルボニル、NH、NR、OおよびSから選択される。
【0129】
置換基を含むヘテロ原子を有する代表的なアリールの例としては、以下が挙げられる:
【0130】
【化30】

ここで、各々のXはC=O、NR、OおよびSから選択され;そして各々のYは、カルボニル、NR、OおよびSから選択される。
【0131】
「ヘテロ置換基」とは、ハロ原子を含む官能基、O原子を含む官能基、S原子を含む官能基またはN原子を含む官能基をいい、これらは、本発明の化合物のA、B、W、X、YまたはZに対する直接的な置換基として存在する、RC基におけるRとして存在し得るか、またはこの化合物において存在する「置換された」アリール基および「置換された」脂肪族基における置換基として存在し得る。
【0132】
ヘテロ置換基の例としては、以下が挙げられる:
−ハロ、
−NO、−NH、−NHR、−N(R)
−NRCOR,−NRSOR,−NRSOR、OH、CN,COR、
−COH、
−R−OH、−O−R、−COOR、
−CON(R)、−CONROR、
−SOH、−R−S、−SON(R)
−S(O)R、−S(O)R、ここで、各々のRは独立して、必要に応じて置換を有するアリールまたは脂肪族である。R基を含むヘテロ置換基のなかでも、本明細書中に定義されたアリールR基およびアルキルR基を有する物質が好ましい。好ましいヘテロ置換基は、上記に列挙した置換基である。
【0133】
本明細書中で使用される場合、用語「シクロヘテロアルキル」とは、N、OおよびSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、安定な複素環式非芳香環、および安定な複素環式縮合環をいう。縮合複素環式環系は、炭素環式環を含み得、そして複素環式環を1つのみ含んでいればよい。複素環式環の例としては、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニルおよびモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されず、そして以下の例示的な例において示され:
【0134】
【化31】

これらは、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される、1つ以上の基で必要に応じて置換される。置換する基としては、カルボニルまたはチオカルボニルが挙げられ、これらは例えば、ラクタム誘導体およびウレア誘導体を提供する。例において、MはCR、NR、OまたはSであり;QはO、NRまたはSである。RおよびRは、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より独立して選択される。
【0135】
「ジヒドロキシホスホリル」とは、基−PO(OH)をいう。
【0136】
「置換されたジヒドロキシホスホリル」は、明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、ヒドロキシル基のうちの一方または両方が置換されたジヒドロキシホスホリル基をいう。適切な置換基は、以下に詳細に記載される。
【0137】
「アミノヒドロキシホスホリル」とは、基−PO(OH)NHをいう。
【0138】
「置換されたアミノヒドロキシホスホリル」は、明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、アミノヒドロキシホスホリルをいい、ここでそのアミノ基は1つまたは2つの置換基で置換される。適切な置換基は、以下に詳細に記載される。特定の実施形態において、ヒドロキシル基もまた置換され得る。
【0139】
「チオアルコキシ」とは、基−SRをいい、ここでRはアルキルである。
【0140】
「置換されたチオアルコキシ」は、明細書中で「置換された」の定義で記載される基を含み、そして特に、1個以上の置換基(例えば、1〜5個の置換基、そして特に1〜3個の置換基)を有するチオアルコキシ基をいい、この置換基は、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換されたアルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換されたアミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換されたチオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキル−S(O)−、アリール−S(O)−、アルキル−S(O)−およびアリール−S(O)−からなる群より選択される。
【0141】
「スルファニル」とは、基HS−をいう。「置換されたスルファニル」とは、RS−のような基をいい、ここでRは本明細書中に記載される任意の置換基である。
【0142】
「スルホニル」とは、二価基−S(O)−をいう。「置換されたスルホニル」とは、R−(O)S−のような基をいい、ここでRが本明細書中に記載される任意の置換基である。「アミノスルホニル」または「スルホンアミド」とは、基HN(O)S−をいい、そして、「置換されたアミノスルホニル」「置換されたスルホンアミド」とは、RN(O)S−のような基をいい、ここで各々のRは、独立して、本明細書中に記載される任意の置換基である。
【0143】
「スルホン」とは、基−SORをいう。特定の実施形態において、RはH、低級アルキル、アルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される。
【0144】
「チオアリールオキシ」とは、基−SRをいい、ここでRはアリールである。
【0145】
「チオケト」とは、基=Sをいう。
【0146】
「チオール」とは、基−SHをいう。
【0147】
有機合成分野の当業者は、安定で化学的に実施可能な複素環式環におけるヘテロ原子の最大数が、芳香族性であれ非芳香族性であれ、環の大きさ、不飽和の程度およびヘテロ原子の原子価によって決定されることを理解する。一般に、複素環式環は、そのヘテロ芳香環が化学的に実現可能かつ安定である限り、1〜4個のヘテロ原子を有し得る。
【0148】
「薬学的に受容可能」とは、連邦もしくは州政府の管理機関によって認可されるか、または米国薬局方に列挙されるかもしくは他の一般に認識される、動物における使用(そして特にヒトにおける使用)のための薬局方に列挙されることを意味する。
【0149】
「薬学的に受容可能な塩」とは、薬学的に受容可能であり、そして親化合物の所望される薬学的活性を有する、本発明の化合物の塩をいう。このような塩としては、以下が挙げられる:(1)酸付加塩:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸と形成される塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプタン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、などのような有機酸と形成される塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオン)によって置き換えられる塩;またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミンなどのような有機塩基と配位する場合に生成される塩。塩としてはさらに、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる。そして化合物が塩基性官能基を含む場合、無毒性の有機酸または無機酸の塩(例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩など)が挙げられる。用語「薬学的に受容可能なカチオン」とは、無毒性の受容可能な、酸性官能基のカチオン性対イオンをいう。このようなカチオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、アンモニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例示される。
【0150】
用語「溶媒和物」とは、通常は加溶媒分解反応によって、溶媒と結合された化合物の形態をいう。慣用的な溶媒としては、水、エタノール、酢酸などが挙げられる。本発明の化合物は、例えば、結晶形態で調製され得、そして溶媒和または水和され得る。適切な溶媒和物としては、薬学的に受容可能な溶媒和物(例えば、水和物)が挙げられ、そしてさらに、化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物の両方が挙げられる。
【0151】
「薬学的に受容可能なビヒクル」とは、希釈剤、アジュバント、賦形剤またはキャリアをいい、これらと共に本発明の化合物が投与される。
【0152】
「予防すること」または「予防」とは、疾患または障害を得る危険性の軽減(すなわち、疾患の臨床学的症状のうちの少なくとも1つを、疾患に曝され得るかまたはその疾患に罹りやすくあり得るが未だにその疾患の症状を体験も提示もしない被験体において、進行させないこと)をいう。
【0153】
「被験体」は、ヒトを含む。用語「ヒト」、用語「患者」および用語「被験体」は、本明細書中で相互交換可能に使用される。
【0154】
「治療有効量」は、疾患を処置するために被験体に投与される場合、その疾患のためのそのような処置を達成するのに十分である、化合物の量を意味する。この「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重篤度、ならびに処置される被験体の年齢、体重などに依存して変動し得る。
【0155】
任意の疾患または障害についての「処置すること」または「処置」とは、1つの実施形態において、疾患または障害を緩和させること(すなわち、その疾患またはその臨床学的症状のうちの少なくとも1つの進行を抑止するかまたは軽減すること)をいう。別の実施形態において、「処置すること」または「処置」とは、少なくとも1つの物理的パラメータを緩和することをいい、このことは被験体によって識別可能でなくてよい。なお別の実施形態において、「処置すること」または「処置」とは、物理的に(識別可能な症状の安定化)か、生理学的に(物理学的パラメータの安定化)か、またはその両方のいずれかで、疾患または障害を調節することをいう。なお別の実施形態において、「処置すること」または「処置」とは、疾患または障害の発症を遅延させることをいう。
【0156】
「プロドラッグ」とは、切断可能な基を有し、そして加溶媒分解によってかまたは生理学的条件下でインビボで薬学的に活性である本発明の化合物になる化合物(本発明の化合物の誘導体を含む)を、いう。このような例としては、コリンエステル誘導体など、N−アルキルモルホリンエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0157】
同じ分子式を有するが、その性質、または原子の結合の順位もしくは空間的な原子の配置が異なる化合物は「異性体」と称されることも、理解されるべきである。空間的に原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。
【0158】
互いに鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と称され、そして互いに重ね合せ不能な鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」と称される。化合物が不斉中心を有する場合、例えば、この不斉中心は4個の異なる基と結合し、1対のエナンチオマーが存在し得る。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置によって特徴付けられ得、そしてCahnおよびPrelogのR順位則およびS順位則によって記されるか、またはこの分子が偏光の平面を回転させそして右旋回性もしくは左旋回性として(すなわち、それぞれ(+)異性体または(−)異性体として)描かれる様式によって、記される。キラル化合物は、個々のエナンチオマーとしてかまたはそれらの混合物としてのいずれかで存在し得る。等量のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
【0159】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有し得る;従って、このような化合物は、個々の(R)立体異性体もしくは(S)立体異性体としてかまたはそれらの混合物として生成され得る。他に示されない限り、本明細書および特許請求の範囲における特定の化合物の記載または命名は、個々のエナンチオマーおよびその混合物(ラセミ体またはその他)の両方を含むことが意図される。立体化学の決定および立体異性体の分離に関する方法は、当該分野で周知である。
【0160】
(化合物)
本明細書中で先に記載されるように、本発明の化合物は、哺乳動物において、広範な状態、とりわけ関節炎、パーキンソン病、アルツハイマー病、発作、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、疼痛症候群(急性および慢性、またはニューロパシー性)の処置および予防、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、神経変性障害、脱毛症(毛髪喪失)、炎症性腸疾患ならびに自己免疫障害または自己免疫状態を、予防および/または処置するのに有用である。
【0161】
本明細書中に記載される発明がより完全に理解され得るため、本発明の代表的化合物を表す以下の構造が記載される。これらの例は、例示の目的のみのためであり、そして本発明を任意の様式に限定するものとはみなされるべきでないことが、理解されべきである。
【0162】
従って、特定の化合物のさらなる群が提供される。このように、そして本明細書中で先に考察したように、インビボでイオンチャネルを変更し得る適切な化合物は、以下の表1に列挙される化合物から選択され得、そして示されるように調製され得るか、またはこれらの薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;ならびにそれらの異性体および立体異性体の形態でかのいずれかで、調製され得る。このようなすべての可変物は本明細書中で企図され、そして本発明の範囲内である。
【0163】
特定の局面において、本発明は、上記の式に従う化合物のプロドラッグおよびその誘導体を提供する。プロドラッグは、本発明の化合物の誘導体であり、これは切断可能な基を有し、そして加溶媒分解によるかまたは生理条件下でインビボで薬学的に活性である本発明の化合物になる。このような例としては、コリンエステル誘導体など、N−アルキルモルホリンエステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
本発明の化合物の他の誘導体は、それらの酸形態および酸誘導化形態の両方において活性を有するが、この酸感受性形態は、しばしば、哺乳動物生物体中での溶解性の利点、組織適合性の利点または徐放性の利点を授け得る(Bundgard,H.,Design of Prodrugs,7−9頁,21−24,Elsevier,Amsterdam 1985を参照のこと)。プロドラッグは、当業者に周知の酸誘導体(例えば、親の酸と適切なアルコールとの反応により調製されるエステル、または親の酸性化合物と置換または非置換のアミンとの反応により調製されるアミド、または酸無水物)、または混合無水物が挙げられる。本発明の化合物上の酸性基ペンダントから誘導される、簡単な脂肪族エステルまたは芳香族エステル、アミドまたは無水物は、好ましいプロドラッグである。いくつかの場合において、二重エステル型プロドラッグ(例えば、(アシルオキシ)アルキルエステルまたは((アルコキシカルボニル)オキシ)アルキルエステル)を調製することが所望可能である。本発明の化合物のC〜Cアルキルエステル、C〜Cアルケニルエステル、アリールエステル、置換されたC〜C12アリールエステル、およびC〜C12アリールアルキルエステルが、好ましい。
【0165】
(薬学的組成物)
薬剤として使用される場合、本発明のアミド化合物は、代表的に、薬学的組成物の形態で投与される。このような組成物は、薬学的分野において周知の様式で調製され得、そして少なくとも1つの活性な化合物を含み得る。
【0166】
一般的に、本発明の化合物は、薬学的有効量で投与される。実際に投与される化合物の量は、代表的に、関連する状況(処置されるべき状態、選択される投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答、その患者の症状の重篤度などを含む)を考慮して、医師によって決定される。
【0167】
本発明の薬学的組成物は、種々の経路(非限定的な例として、経口、直腸、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内が挙げられる)によって投与され得る。意図される送達経路に依存して、本発明の化合物は好ましくは、注射可能にか、経口組成物か、または経皮投与のために全て軟膏としてか、ローションとしてかもしくはパッチとしてのいずれかで、処方される。
【0168】
経口投与のための組成物は、バルクの液体溶液もしくは液体懸濁物、またはバルクの粉剤の形態をとり得る。しかしながら、より通常は、組成物は、迅速な投薬を容易にするために、単位投薬形態で提供される。用語「単位投薬形態」とは、ヒト被険体および他の哺乳動物のための単回の投薬として適切な、物理的に分離した単位をいい、各々の単位は所望の治療効果を生じるよう計算された活性物質の予め定められた量を、適切な薬学的賦形剤と一緒に含む。代表的な単位投薬形態としては、液体組成物の予め充填され予め計られたアンプルもしくはシリンジ、または固形組成物の場合で、丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。このような組成物において、フランスルホン酸化合物は、通常、微量成分であり(約0.1〜約50重量%、または好ましくは約1〜約40重量%)、残りは種々のビヒクルまたはキャリアおよび所望の投薬形態を形成するのを助ける処理補助剤である。
【0169】
経口投与に適切な液体形態は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルと、緩衝剤、懸濁剤および分散剤、着色剤、香味剤などとを含み得る。固形形態は、例えば、任意の以下の成分または同様の性質の化合物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶セルロース、ガムトラガカント、またはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogel、またはトウモロコシデンプン);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);流動促進剤(glidant)(例えば、コロイド性二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、ショ糖またはサッカリン);または香味剤(例えば、ペパーミント香味剤、サリチル酸メチル香味剤またはオレンジ香味剤)。
【0170】
注射可能組成物は、代表的に、注射可能な滅菌生理食塩水もしくはリン酸緩衝化生理食塩水、または当該分野で公知の他の注射可能なキャリアに基づく。先のように、このような組成物における活性化合物は、代表的に微量成分であり、しばしば、約0.05〜10重量%であり、残りは注射可能なキャリアなどである。
【0171】
経皮組成物は、代表的に、一般的に、約0.01〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%、そしてより好ましくは約0.5〜約15重量%に及ぶ量で活性成分(単数または複数)を含む局所用軟膏または局所用クリームとして処方される。軟膏として処方される場合、活性成分は、代表的に、バラフィン性または水混和性の軟膏ベースのいずれかとともに混ぜ合わされる。あるいは、活性成分は、例えば水中油のクリームベースと共に、クリーム中に処方され得る。このような経皮処方物は、当該分野で周知であり、そして一般的に、この活性成分またはこの処方物の安定した皮膚浸透を増強するために、さらなる成分を含む。このような公知の経皮処方物および内容物の全ては、本発明の範囲内に含まれる。
【0172】
本発明の化合物はまた、経皮的デバイスによって投与され得る。従って、経皮投与は、レザバ型もしくは多孔性膜型、または固体マトリクス種類のいずれかのパッチを使用して達成され得る。
【0173】
経口投与可能な組成物、注射可能な組成物または局所投与可能な組成物に関する上記成分は、単なる代表的なものである。他の物質および処理技術などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、1985、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania(これは本明細書中で参考として援用される)の第8章において記載される。
【0174】
本発明の化合物はまた、徐放性形態でかまたは徐放性薬物送達系より投与される。代表的な徐放製物質の記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出され得る。
【0175】
以下の処方例は、本発明の代表的な薬学的組成物を例示する。しかしながら、本発明は、以下の薬学的組成物に限定されない。
【0176】
(処方1−錠剤)
式Iの化合物を、乾燥ゼラチン結合剤と、約1:2の重量比で乾燥粉末として混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加する。この混合物を、錠剤プレスにおいて240〜270mgの錠剤(錠剤1つあたり80〜90mgの活性化合物)に形成する。
【0177】
(処方2−カプセル)
式Iの化合物を、デンプン希釈剤と、約1:1の重量比で乾燥粉末として混合する。この混合物を、250mgのカプセル(カプセル1つあたり125mgの活性化合物)中に充填する。
【0178】
(処方3−液剤)
式Iの化合物(125mg)、ショ糖(1.75g)およびキサンタンガム(4mg)を混合し、10号メッシュU.S.篩に通し、次いで予め作製した、水中の微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)との溶液と混合する。安息香酸ナトリウム(10mg)(香味剤)および着色剤を水で希釈し、そして撹拌しながら添加する。次いで、十分な水を添加して、総量5mLを生成する。
【0179】
(処方4−錠剤)
式Iの化合物を、乾燥ゼラチン結合剤と、約1:2の重量比で乾燥粉末として混合する。少量のステアリン酸マグネシウムを滑沢剤として添加する。この混合物を、錠剤プレスにおいて450〜900mgの錠剤(錠剤1つあたり150〜300mgの活性化合物)に形成する。
【0180】
(処方5−注射剤)
式Iの化合物を緩衝化した滅菌生理食塩水の注射可能な水性媒体中に、約5mg/mlの濃度に溶解するかまたは懸濁する。
【0181】
(処方6−局所用)
ステアリルアルコール(250g)および白色ワセリン(250g)を約75℃で融解し、次いで、水(約370g)に溶解した式Iの化合物(50g)、メチルパラベン(0.25g)、プロピルパラベン(0.15g)、ラウリル硫酸ナトリウム(10g)、およびプロピレングリコール(120g)の混合物を添加し、そして得られた混合物を硬化するまで撹拌する。
【0182】
(処置方法)
本発明の化合物は、哺乳動物の状態の処置のための治療剤として使用される。従って、本発明の化合物または薬学的組成物は、ヒトを含む哺乳動物における神経変性状態、自己免疫状態および炎症性状態を予防および/または処置するための治療剤としての用途を見出す。
【0183】
処置局面の方法において、本発明は、関節炎、ブドウ膜炎、喘息、心筋梗塞、外傷性脳損傷、急性脊髄損傷、脱毛症(毛髪喪失)、炎症性腸疾患、および自己免疫障害と関係した状態に感受性であるかまたはこのような状態に罹患した哺乳動物を処置する方法を提供し、この方法は、先に記載した1つ以上の薬学的組成物の治療有効量を投与する工程を包含する。
【0184】
処置局面のなお別の方法において、本発明は、疼痛応答を生じる状態、または感覚神経の基本活動の維持における不平衡に関する状態に感受性であるかまたはこれら状態に罹患した哺乳動物を処置する方法を提供する。化合物は、種々の起源または病因論の疼痛(例えば、急性炎症性疼痛(例えば、変形性関節炎および慢性関節リウマチと関係した疼痛);種々のニューロパシー性疼痛症候群(例えば、疱疹後の神経痛、三叉神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、糖尿病性ニューロパシー、ギラン−バレー症候群、線維筋痛症、幻想肢痛、乳房切除術後の疼痛、末梢ニューロパシー、HIVニューロパシー、ならびに化学療法誘導性神経痛および他の医原性神経痛);内臓疼痛(例えば、胃食道逆流(reflex)疾患、刺激性腸症候群、炎症性腸疾患、膵臓炎、ならびに種々の婦人障害および泌尿障害と関係する疼痛)、歯痛、および頭痛(例えば、偏頭痛、群発性頭痛および緊張性頭痛)の処置のための鎮痛剤としての用途を有する。
【0185】
処置局面のさらなる方法において、本発明は、神経変性疾患および神経変性状態(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、および多発性硬化症);神経性炎症により媒介されるかまたは神経性炎症を生じる疾患または障害(例えば、外傷性脳損傷、発作および脳炎);中心性に媒介される神経精神学的疾患および神経精神学的状態(例えば、躁鬱、双極性疾患、不安、統合性失調症、摂食障害、睡眠障害、および認識障害);癲癇障害および発作障害;前立腺不全、膀胱不全および腸不全(例えば、尿失禁、排尿躊躇、直腸過敏、便失禁、良性前立腺肥大および炎症性腸疾患);呼吸性および気道の疾患および障害(例えば、アレルギー性鼻炎、喘息および反応性気道疾患、ならびに慢性閉塞性肺疾患);炎症により媒介されるかまたは炎症を生じる疾患および障害(例えば、慢性関節リウマチおよび変形関節炎、心筋梗塞、種々の自己免疫疾患および自己免疫障害、ブドウ膜炎ならびにアテローム性動脈硬化症);痒み/掻痒(例えば、乾癬);脱毛症(毛髪喪失);肥満;脂質障害;癌;血圧;脊髄損傷;ならびに腎臓障害)に感受性であるかまたはこれらに罹患した哺乳動物を処置するための方法を提供する。この方法は、先に記載した1つ以上の薬学的組成物の状態処置有効量または状態予防有効量を投与する工程を包含する。
【0186】
本発明のさらなる局面において、上記の状態の処置における使用のための本発明の化合物が提供される;また、上記の状態の処置における本発明の化合物の使用が提供される;また、上記の状態の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用が、提供される。
【0187】
注射用量レベルは、全て約1〜約120時間の間、そして特に24〜96時間の間、約0.1mg/kg/時間〜少なくとも10mg/kg/時間に及ぶ。適切な安定した確実な状態レベルを達成するため、約0.1mg/kg〜約10mg/kgまたはそれ以上の前もって充填したボーラスもまた、投与され得る。最大総用量は、40〜80kgのヒト患者に対して1日あたり約2gを超えないことが期待される。
【0188】
長期の状態(例えば、神経変性状態および自己免疫状態)の予防および/または処置のため、処置のためのレジメンは、通常、多くの年月にわたり、そのため、経口投薬が、患者の利便性および寛容性のために好ましい。経口投薬に関して、1日あたり1〜5回、そして特に1日あたり2〜4回、そして代表的に1日あたり3回の経口用量が代表的なレジメンである。これらの投薬形式を使用して、各々の用量は、約0.01〜約20mg/kgの化合物またはその誘導体を与え、好ましい用量は各々が約0.1〜約10mg/kg、そして特に約1〜約5mg/kgを与える。
【0189】
経皮用量は、一般的に、注射用量を使用して達成するのと同じかまたはより低い血中レベルを提供するように選択される。
【0190】
神経変性状態、自己免疫状態または炎症性状態の発生を予防するために使用される場合、本発明の化合物またはその誘導体は、代表的には医師の助言および監督の下で、上記の投薬レベルで、これら状態を進行する危険性にある患者に投与される。特定の状態を進行させる危険性にある患者としては、一般に、その状態の家族歴を有する患者、またはその状態を進行させる可能性が特に高いことを遺伝子試験または遺伝子スクリーニングによって同定された患者が挙げられる。
【0191】
本発明の化合物は、単独の活性薬剤として投与され得るか、またはこれら本発明の化合物は、他の薬剤(他の活性な誘導体を含む)と組み合わせて投与され得る。
【実施例】
【0192】
(一般的合成手順)
本発明の化合物は、以下の一般的な方法および手順を使用して、容易に利用可能な出発物質から調製され得る。代表的または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、反応時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられるが、他の処理条件もまた他に示されない限り使用され得ることが、理解される。最適な反応条件は、特定の反応物または使用される溶媒で変動し得るが、そのような条件は、慣用的な最適化手順によって当業者により決定され得る。
【0193】
さらに、当業者には明らかであるが、特定の官能基が所望されない反応を受けることを妨げるため、既往の保護基が必要であり得る。特定の官能基に適切な保護基、ならびに保護および脱保護に適切な条件の選択は、当該分野で周知である。例えば、多くの保護基およびそれらの導入および除去は、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第2版、Wiley、New York、1991および本明細書中に記載される参考文献において、記載される。
【0194】
標的化合物を、以下のスキームに概説される公知の反応により合成する。この生成物を、公知の標準的手順によって単離および精製する。このような手順としては、再結晶化、カラムクロマトグラフィー、またはHPLCが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。例えば、適切に置換されたハロピリジンと、適切に官能化されたカルボキシボロン酸との反応によって標的化合物を調製し、所望のビアリールカルボン酸を取得し得る。このようにして得たカルボン酸中間体を、活性化、その後の適切な置換アミンとの反応によって、対応するアミドへと簡便に変換し得る。この生成物を、公知の標準的な手順によって単離しそして精製する。このような手順としては、再結晶化、カラムクロマトグラフィー、またはHPLCが挙げられる(しかし、これらに限定されない)。
【0195】
(中間体ピリジン−2−イル−安息香酸の合成)
(中間体1)
(3−クロロ−[2,3’]ビピリジニル−6’−カルボン酸の合成)
(1a)5−ビス(ヒドロキシル)ボロン−2−メチルピコリンの合成)
【0196】
【化32】

5−ヒドロキシ−2−メチルピリジン(1.0g、9.2mmol)を20mlのジクロロメタン中に溶解し、0℃で撹拌した。この反応混合物に、1.10mlの無水ピリジン(13.8mmol)、その後、2.32mlのトリフルオロメタンスルホン酸無水物(13.8mmol)を添加した。この反応混合物を室温に温め、そして完了まで撹拌した(LC−MS/TLCによりモニタリングした)。この混合物を分液漏斗に注ぎ、そして水で3回洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそして減圧下でエバポレートした。この物質を次工程のための粗生成物として使用した。
【0197】
トリフレート(triflate)(4.6mmol)をアセトニトリル(30ml)中に溶解し、そして5ml マイクロ波容器に入れた。この溶液に1.5当量のビス(ピナコラート)ジボロン(6.9mmol;1.71g)を添加した。この混合物を磁気撹拌台上で溶解するまで撹拌した。この混合物にKOAc(13.8mmol;1.35g)および98mgの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.03mol%)を添加した。この反応混合物を160℃で600秒間を2回加熱した。完了後(LC−MSによりモニタリングした)、アセトニトリルをエバポレートして、黒色固形物を生じた。この固形物をDMSO中に溶解し、msおよびHPLCにより精製して、ボロン酸(580mg、92%;4.2mmol)を得た。
MS:MH+=138。
【0198】
(1b)3−クロロ−6’−メチル−[2,3’]ビピリジニルの合成)
【0199】
【化33】

上記ボロン酸(4.2mmol)をアセトニトリル(2ml)中に溶解し、そして5ml マイクロ波容器に加えた。この溶液に、6.9mmolの2,3−ジクロロピリジン(1.01g)、53mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加えた。溶解するまで撹拌した後、13.8mmolの炭酸カリウム(1.90g)、その後1mlの水を添加した。次いで、この混合物を160℃で300秒間加熱した。反応完了後、減圧下で溶媒をエバポレートした。標的化合物をHPLCにより精製し、黄色固形物(800mg;85%)を得た。
MS:MH+=205。
【0200】
(1c)3−クロロ−[2,3’]ビピリジニル−6’−カルボン酸の合成)
【0201】
【化34】

上記3−クロロ−6’−メチル−[2,3’]ビピリジニル(2.5mmol)を、5mlのマイクロ波容器に加え、その後3mlの水を加えた。3.75mmolの過マンガン酸カリウムを添加し、そしてこの混合物を120℃で600秒間加熱した。さらに3.75mmolの過マンガン酸カリウムを添加し、そしてこの混合物を再度600秒間(同じ温度で)マイクロ波加熱した。完了後(LC−MSによりモニタリングした)、この混合物をセライトを通して濾過し、そしてマンガン塩を水で洗浄した。約10mlまで水をエバポレートし、そして生成物をHPLCにより精製して、白色固形物として293mg(51%)を得た。
MS:MH+=235。
【0202】
(中間体2)
(4−(3−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−メトキシ安息香酸の合成)
(2a)3−メトキシ−4−ボロン酸−安息香酸メチルエステルの合成)
【0203】
【化35】

1.0gの4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸メチルエステル(5.5mmol)を、20mlのジクロロメタン中に溶解し、そして0℃で撹拌した。この反応混合物に、0.66mlの無水ピリジン(8.25mmol)、その後1.39mlのトリフルオロメタンスルホン酸無水物(8.25mmol)を添加した。この反応混合物を室温に温め、そして完了まで(LC−MS/TLCによりモニタリングした)撹拌した。この混合物を分液漏斗に注ぎ、水で3回洗浄した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそして減圧下でエバポレートして、トリフレート(ボロン酸(boronoic acid)形成へと粗製のまま使用した)を得た。
【0204】
このトリフレート(5.5mmol)をアセトニトリル(30ml)中に溶解し、そして80ml マイクロ波容器中に入れた。この溶液に、1.5当量のビス(ピナコラート)ジボロン(8.25mmol;2.08g)を添加した。磁気撹拌台上でこの混合物を溶解するまで撹拌した。この混合物に、KOAc(16.5mmol;1.62g)および134mgの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.03mol%)を添加した。この反応混合物を160℃で600秒間、2回加熱した。完了後(LC−MSによりモニタリングした)、アセトニトリルをエバポレートして、黒色固形物を得た。この固形物をEtOAc中に溶解し、そして水、ブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過後、減圧下で溶媒をエバポレートした。次いで、この固形物質をクロロホルム中に溶解し、そしてシリカを通して濾過した。クロロホルムをエバポレートして、暗緑色の固形物を得た(次工程へと粗製のまま使用した)。
【0205】
(2b)4−(3−クロロ−ピリジン−2−イル)−3−メトキシ安息香酸の合成)
【0206】
【化36】

ボロン酸3(5.5mmol)をアセトニトリル(10ml)中に溶解し、そして80mlのマイクロ波容器に加えた。この溶液に、8.25mmolの2,3−ジクロロピリジン(1.2g)、63mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。溶解するまで撹拌した後、5mlの1M 炭酸カリウム溶液(水溶液)を添加し、そしてこの混合物を160℃で300秒間加熱した。反応完了(compleation)後、減圧下でアセトニトリルをエバポレートし、そして2N KOH(20ml)を添加し、その後10mlのTHFを添加した。加水分解が完了するまで、この反応物を加熱した(15分間)。この溶液を酸性にし(濃HCl)、そしてEtOAcで3回抽出した。MgSOで乾燥させた後、有機層を濾過し、そして減圧下でエバポレートした。化合物をHPLCにより精製して、黄色固形物(263mg、18%)を得た。
MS:MH+=264。
【0207】
(中間体3)
(4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)安息香酸の合成)
【0208】
【化37】

4−ビス(ヒドロキシル)ボロン−1−安息香酸メチル(2.8mmol)をアセトニトリル(2ml)中に溶解し、そして5mlのマイクロ波容器に加えた。この溶液に、3.5mmolの2−クロロ−3−トリフルオロメチルピリジン(633mg)、34mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)を加えた。溶解するまで撹拌した後、8.4mmolの炭酸カリウム(1.16g)を添加し、その後1mlの水を添加した。次いで、この混合物を160℃で300秒間加熱した。反応完了後、減圧下で溶媒をエバポレートした。この残渣を2N KOHおよびTHF中に溶解し、そして10分間加熱した。加水分解後、THFをエバポレートし、そして塩基層をEtOAcで洗浄した。次いで、水層を酸性化し、そしてEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、そして水およびブラインで洗浄した。乾燥、濾過およびエバポレーションの後、その残渣をHPLCにより精製して、白色固形物として標的化合物(602mg;81%)を得た。
MS:MH+=268。
【0209】
(中間体4)
(3−フルオロ−4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)安息香酸の合成)
【0210】
【化38】

4−ブロモ−3−フルオロ安息香酸メチルエステル(700mg;2.45mmol)をアセトニトリル(3.0ml)中に溶解し、そして2mlのマイクロ波容器に入れた。この溶液に、1.5当量のビス(ピナコラート)ジボロン(3.67mmol;1.08g)を添加した。磁気撹拌台上でこの混合物を溶解するまで撹拌した。この混合物にKOAc(7.33mmol;7.16mg)および60mgの[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(0.03mol%)を添加した。この反応混合物を160℃で600秒間、2回加熱した。完了後(LC−MSによりモニタリングした)、アセトニトリルをエバポレートして、黒色固形物を得た。この固形物をEtOAc中に溶解し、そして水、ブラインで洗浄し、そしてMgSOで乾燥させた。濾過後、減圧下で溶媒をエバポレートした。次いで、この固形物質をクロロホルム中に溶解し、そしてシリカを通して濾過した。クロロホルムをエバポレートして、暗緑色の固形物を得た(次反応へと粗製のまま使用した)。
【0211】
ボロン酸(2.45mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして3−トリフルオロメチル)−2−クロロピリジンを添加した。混合後、テトラキスパラジウム(25mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(912mg;3.0mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、白色固形物として所望の物質(530mg;76%)を得た。
MS:MH+=286。
【0212】
(中間体5)
(4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−3−メトキシ安息香酸)
【0213】
【化39】

中間体2において記載したように、ボロン酸を調製して、410mg(78%)を得た。このボロン酸(2.55mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして3−(トリフルオロメチル)−2−クロロピリジンを添加した。混合後、テトラキスパラジウム(29mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(912mg;6.6mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、白色固形物として所望の物質(495mg;68%)を得た。
MS:MH+=298。
【0214】
(中間体6)
(4−(3−メトキシピリジン−2−イル)−3−フルオロ安息香酸)
【0215】
【化40】

中間体4において記載したように、ボロン酸を調製して、2.2mmole(定量化、粗製)を得た。このボロン酸(2.2mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして3−メトキシ−2−クロロピリジン(380mg;288mmol)を添加した。混合後、テトラキスパラジウム(25mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(912mg;6.6mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、ベージュ色の固形物として所望の物質(312mg;57%)を得た。
MS:MH+=248。
【0216】
(中間体7)
(4−(3−メトキシピリジン−2−イル)安息香酸)
【0217】
【化41】

4−ビス(ヒドロキシル)ボロン−1−安息香酸メチル(2.8mmol;582mg)をアセトニトリル(2ml)中に溶解し、そして5mlのマイクロ波容器に加えた。この溶液に、3.5mmolの2−クロロ−3−メトキシピリジン(482mg)、34mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。溶解するまで撹拌した後、8.4mmolの炭酸カリウム(1.16g)を添加し、その後1mlの水を添加した。次いで、この混合物を160℃で300秒間加熱した。反応完了後、減圧下で溶媒をエバポレートした。その残渣を2N KOHおよびTHF中に溶解し、そして10分間加熱した。加水分解後、THFをエバポレートし、そして塩基性層をEtOACで洗浄した。次いで、水層を酸性化し、そしてEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、そして水およびブラインで洗浄した。乾燥、濾過およびエバポレーションの後、残渣をエーテルで磨砕(triterate)して、黄色固形物として所望の生成物(423mg;77%)を得た。
MS:MH+=230。
【0218】
(中間体8)
(4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−3−クロロ安息香酸)
(8a)4−ブロモ−3−クロロ安息香酸メチル)
【0219】
【化42】

4−ブロモ−3−クロロトルエン(4.0g;19.5mmol)を250ml丸底フラスコに加え、その後50mlの水を加えた。この混合物に3.22gの過マンガン酸カリウム(23.4mmol)を添加し、そしてこの反応物を完了するまで還流した。冷却後、この混合物をセライトを通して濾過した。水層を酸性化し、そして酢酸エチルで3回抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させた。濾過およびエバポレーションの後、得られた白色固形物をエーテル中の1.0M HCl中に溶解し、そして一晩撹拌した。減圧下でメタノールを除去し、そしてその残渣を酢酸エチル中に溶解し、そして飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、清澄なオイルとして所望の物質(713mg;15%)を得た。
【0220】
(8b)4−(3−トリフルオロメチルピリジン−2−イル)−3−クロロ安息香酸)
【0221】
【化43】

中間体4において記載したように、ボロン酸を調製して、2.8mmole(定量化、粗製)を得た。このボロン酸(2.8mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして2−クロロ 3−トリフルオロメチルピリジン(620mg;3.3mmol)を添加した。混合後、テトラキスパラジウム(33mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(1182mg;6.6mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、白色固形物として所望の物質(460mg;55%)を得た。
MS:MH+=303。
【0222】
(中間体9)
(4−(3−メトキシピリジン−2−イル)3−メトキシ安息香酸)
【0223】
【化44】

中間体5において記載したように、ボロン酸(2.5mmol;粗製)を調製し、そしてアセトニトリル(2ml)中に溶解し、そして5mlマイクロ波容器中に加えた。この溶液に、3.0mmolの2−クロロ−3−メトキシピリジン(432mg)、29mgのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を添加した。溶解するまで撹拌した後、7.5mmolの炭酸カリウム(1.06g)を添加し、その後1mlの水を添加した。次いで、この混合物を160℃で300秒間加熱した。反応完了後、減圧下で溶媒をエバポレートした。その残渣を2N KOHおよびTHF中に溶解し、そして10分間加熱した。加水分解後、THFをエバポレートし、そして塩基性層をEtOACで洗浄した。次いで、水層を酸性化し、そしてEtOAcで3回抽出した。有機層を合わせ、そして水およびブラインで洗浄した。乾燥、濾過およびエバポレーションの後、残渣をエーテルで磨砕して、黄色固形物として所望の生成物(310mg;47%)を得た。
MS:MH+=260。
【0224】
(中間体10)
(4−(3−メトキシピリジン−2−イル)−3−クロロ安息香酸)
【0225】
【化45】

中間体4において記載したように、ボロン酸を調製して、2.8mmole(定量化、粗製)を得た。このボロン酸(2.14mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして3−メトキシ−2−クロロピリジン(368mg;2.6mmol)を添加した。混合後、テトラキスパラジウム(25mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(887mg;6.5mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、黄色固形物として所望の物質(425mg;76%)を得た。
MS:MH+=264。
【0226】
(中間体11)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−3−フルオロ安息香酸)
【0227】
【化46】

中間体4において記載したように、ボロン酸(2.45mmol)を調製して、アセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして2,3−ジクロロピリジンを添加した。混合後、テトラキスパラジウム(25mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(912mg;3.0mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、白色固形物として所望の物質(403mg;56%)を得た。
MS:MH+=252。
【0228】
(中間体12)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−アミノ安息香酸)
(12a)4−ブロモ−2−アミノ安息香酸メチル)
【0229】
【化47】

4−ブロモ−2−ニトロ安息香酸メチル(300mg;1.15mmol)を、25mlのメタノール中に溶解し、そして水素雰囲気下(50PSI)で5% Pd(c)と共に1時間撹拌した。この反応物をセライトを通して濾過し、そしてエバポレートして、白色固形物として生成物(255mg;96%)を得た。
MS:MH+=230。
【0230】
(12b)4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−アミノ安息香酸)
【0231】
【化48】

中間体4において記載したように、ボロン酸を調製して、3.4mmole(定量化、粗製)を得た。このボロン酸656mg(3.4mmol)をアセトニトリル(2.4ml)中に溶解し、そして2,3−ジクロロピリジン(600mg;4.08mmol)を添加した。混合後、テトラキスパラジウム(40mg;0.01mol%)を添加し、その後0.8mlの水およびKCO(1.40g;10.8mmol)を添加した。この反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Microwave中で160℃で300秒間加熱した。反応完了後、溶媒をエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解し、そして水およびブラインで洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートした。次いで、この残渣をTHF/2N KOHの1:1混合物中に溶解し、そしてけん化が完了するまで加熱した。次いで、塩基性層をEtOAcで抽出し、そして濃HClで酸性化した。次いで、水層をEtOAcで3回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、黄色固形物として所望の物質(466mg;55%)を得た。
MS:MH+=249。
【0232】
(中間体13)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−N−メチルアミノ安息香酸)
(13a)4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−(トリフルオロメチルアセトアミド)安息香酸メチル)
【0233】
【化49】

4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2アミノ安息香酸メチル(1.43mg;0.55mmol)を、1,2−ジクロロエタン(5ml)中に溶解した。この混合物に、無水トリフルオロ酢酸(7.2mmol;1.0ml)およびピリジン(7.7mmol;0.63ml)を添加し、そしてこの反応物を2時間撹拌した。この溶液をジクロロメタンで希釈し、そして水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、白色固形物として所望の生産物(1.5g;79%)を得た。
MS:MH+=359。
【0234】
(13b)4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−N−メチルアミノ安息香酸)
【0235】
【化50】

4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−(トリフルオロメチルアセトアミド)安息香酸メチル(540mg;1.5mmol)を乾燥テトラヒドロフラン中に溶解した。トリフェニルホスフィン(446mg;1.7mmol)およびDIAD(0.36ml;1.7mmol)、その後無水メタノール(0.07ml;1.7mmol)を添加した。THFをエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそして乾燥させた。この粗製物質を、2:1のヘキサン:酢酸エチルを使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、465mgの所望の生成物(83%)を得た。
【0236】
このメチル化生成物(464mg;1.24mmol)をメタノール(8ml)および4mlの水酸化リチウム水溶液(4ml;10%)中に溶解した。メタノールをエバポレートし、そしてこの混合物を酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、黄色固形物として所望の生成物(338mg;91%)を得た。
MS:MH+=263。
【0237】
(中間体14)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−N−メトキシエチルアミノ安息香酸)
【0238】
【化51】

4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−(トリフルオロメチルアセトアミド)安息香酸メチル(1.2g;3.3mmol)を乾燥テトラヒドロフラン中に溶解した。トリフェニルホスフィン(2.2g;8.3mmol)およびDIAD(1.7ml;8.3mmol)、その後無水メトキシエタノール(0.66ml;8.3mmol)を添加した。THFをエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそして乾燥させた。この粗製物質を、2:1のヘキサン:酢酸エチルを使用したフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、676mgの所望の生成物(66%)を得た。
【0239】
このアルキル化生成物(525mg;1.24mmol)をメタノール(8ml)および4mlの水酸化リチウム水溶液(4ml;10%)中に溶解した。メタノールをエバポレートし、そしてこの混合物を酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、黄色固形物として所望の生成物(260mg;66%)を得た。
MS:M+=307。
【0240】
(中間体15)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−N−ベンジルアミノ安息香酸)
【0241】
【化52】

4−(3−クロロピリジン−2−イル)−2−(トリフルオロメチルアセトアミド)安息香酸メチル(436m;1.2mmol)を乾燥テトラヒドロフラン中に溶解した。トリフェニルホスフィン(349mg;1.33mmol)およびDIAD(0.28ml;1.33mmol)、その後無水ベンジルアルコール(0.14ml;1.33mmol)を添加した。THFをエバポレートし、そしてその残渣をEtOAc中に溶解した。有機層を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそして乾燥させた。この粗製物質を、2:1のヘキサン:酢酸エチルを使用してフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、435mgの所望の生成物(80%)を得た。
【0242】
このアルキル化生成物(68mg;0.15mmol)をメタノール(6ml)および4mlの水酸化リチウム水溶液(2ml;10%)中に溶解した。メタノールをエバポレートし、そしてこの混合物を酸性化し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過しそしてエバポレートして、黄色固形物として所望の生成物(51mg;75%)を得た。
MS:M+=339。
【0243】
(中間体16)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)安息香酸)
【0244】
【化53】

0.4M KCO(10mL)およびアセトニトリル(10mL)の混合物中のカルボキシベンゼンボロン酸(0.33g、2.0mMol)および2,3−ジクロロピリジン(0.296g、2.0mMol)の懸濁液に、テトラキスパラジウム(0.12g、0.1mMol)を添加し、そしてこの混合物を窒素ブランケットの下で90℃で12時間加熱した。この熱懸濁液を濾過し、濾液を元の容量の約半分まで濃縮した後、塩化メチレンで洗浄した。水層を用心しながら濃HClで酸性化し、そして沈殿を収集し、水で洗浄しそして減圧下で乾燥させて、白色固形物として生成物を得た。
MS:m/z=232(M−1)。
【0245】
中間体1〜16に関する上記の手順、ならびに当業者に公知の適切な試薬、出発物質および精製方法に従って、他の安息香酸を調製した。この安息香酸を本発明のアミド化合物を合成する場合に使用した。
【0246】
(カルボン酸のアミド化)
(実施例1)
(ベンズアミドの代表的な合成)
(4−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−トリフルオロメチル−フェニル)ベンズアミド(化合物18))
【0247】
【化54】

塩化メチレン(100mL)中の4−(3−クロロ−ピリジン−2−イル)−安息香酸(5.0g、21.4mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(5.43g、42.79mmol)を周囲温度において添加し、その後2滴のDMFを添加し、そしてこの混合物を加熱して30分間還流した。次いで、この清澄な溶液を乾燥物へと濃縮し、塩化メチレン(100mL)中に溶解し、そして4−トリフルオロメチルアニリン(4.14g、25.68mmol)で処理し、その後トリエチルアミン(2.6g、25.68mmol)で処理し、そしてこの混合物を穏やかに加熱して30分間還流し、そして周囲温度で一晩撹拌した。この混合物を飽和NaCOで処理した後、有機層を分離し、水で洗浄し、乾燥させそして濃縮して、粗生成物を得た。この粗生成物を、シリカゲルでのクロマトグラフィーにかけて、白色固形物として4.0g(49.6%)の表題の化合物を得た。
【0248】
【化55】


【0249】
(実施例2)
(自動化パラレル合成方法を使用したベンズアミド代表的な合成)
適切な安息香酸(2mmol)を15mlのクロロホルム中に溶解または懸濁し、そして20mmolの塩化チオニルで処理した。この反応混合物を15分間還流し、そして溶媒を減圧下で除去した。その残渣を、4mlの無水クロロホルムに溶解し、そしてこの溶液の60μl(30μmole)を96ウェルガラスプレートの各々のウェルに加えた。次いで、適切なアミン(60μmole)を対応するウェルに添加し、その後N,N−ジイソプロピルエチルアミン(120μmole)を添加した。次いで、このプレートを65℃で15分間加熱した。HT−12 Genevac遠心分離エバキュエーターを使用して溶媒を除去し、そして各々のウェルに100μlのDMSOを添加し、そして化合物を96ウェルポリプロピレン反応プレートに移した。次いでこのプレートをABgeneプレートシーラーを使用して密封し、そしてLC−MS精製に供した。
【0250】
(ライブラリーの自動化パラレルLC−MS精製のための一般的方法)
Shimadzu LCポンプを取り付けたPerkin Elmer API100質量分析計を使用して、これらのライブラリーを精製した。使用したクロマトグラフィーの方法は、1分当たり6mlの流速で、8分間にわたる10〜100%のアセトニトリル:水の勾配であった。使用したカラムは、10×50mm YMC C18であり、そして化合物をGilson 204フラクションコレクタを使用して収集した。
【0251】
実施例1または実施例2に関する上記の手順、ならびに当業者に公知の適切な試薬、出発物質および精製方法に従って、本発明のアミド化合物を調製した。
【0252】
以下の合成例および生物学的例は、本発明の例示のために提供され、そして本発明の範囲を限定するようには決して解釈されるべきでない。以下の実施例において、全ての温度は(他に示されない限り)摂氏温度である。本発明に従って調製した化合物は、以下の表にした形態で与えられる。これらの代表的化合物の合成を、上記の方法に従って実行した。
【0253】
(本発明の例示的化合物)
以下の化合物を本発明の方法に従って調製した。
【0254】
【表1−1】

【0255】
【表1−2】

【0256】
【表1−3】

【0257】
【表1−4】

【0258】
【表1−5】

【0259】
【表1−6】

【0260】
【表1−7】

【0261】
【表1−8】

【0262】
【表1−9】

【0263】
【表1−10】

【0264】
【表1−11】

【0265】
【表1−12】

【0266】
【表1−13】

【0267】
【表1−14】

【0268】
【表1−15】

【0269】
【表1−16】

【0270】
【表1−17】

【0271】
【表1−18】

【0272】
【表1−19】

【0273】
【表1−20】

【0274】
【表1−21】

【0275】
【表1−22】

【0276】
【表1−23】

【0277】
【表1−24】

【0278】
【表1−25】

【0279】
【表1−26】

【0280】
【表1−27】

【0281】
【表1−28】

【0282】
【表1−29】

【0283】
【表1−30】

【0284】
【表1−31】

【0285】
【表1−32】

【0286】
【表1−33】

【0287】
【表1−34】

【0288】
【表1−35】

【0289】
【表1−36】

【0290】
【表1−37】

【0291】
【表1−38】

【0292】
【表1−39】

【0293】
【表1−40】

【0294】
【表1−41】

【0295】
【表1−42】

【0296】
【表1−43】

【0297】
【表1−44】

表1の目的のため、各々の化合物の活性を、以下のように表す:
「+」 カプサイシン刺激によって誘導されたカルシウムイオンの流入について、0〜25%の阻害を示した化合物
「++」 カプサイシン刺激によって誘導されたカルシウムイオンの流入について、25〜50%の阻害を示した化合物
「+++」 カプサイシン刺激によって誘導されたカルシウムイオンの流入について、50〜75%の阻害を示した化合物
「++++」 カプサイシン刺激によって誘導されたカルシウムイオンの流入について、75%以上の阻害を示した化合物
「++++」によって表される阻害百分率を有する化合物が、特に有益である。
【0298】
化合物18が特に有益である。
【0299】
(実施例3)
(カルシウム画像化アッセイを使用した、インビトロでの有効性の決定に関するVR1アンタゴニストの高スループットスクリーニング)
VR1タンパク質は、熱ゲート操作性カチオンチャネルであり、これはナトリウムイオン毎につき約10個のカルシウムイオンを交換して、神経細胞膜の脱分極および細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を生じる。従って、VR1レセプターにおける化合物の機能活性は、カプサイシン非感受性VR1レセプター変異体を発現する293細胞における細胞内カルシウムレベルの変化を測定することによって決定され得る。流体工学制御および温度制御を取り付けたベンチトップ走査型蛍光光度計(Flex Station,Molecular Devices)を使用して、96ウェルの様式で、二波長比率測定(ratiometric)色素(Fura2)をカルシウムイオンの相対レベルについての指標として使用した。
【0300】
流体工学制御および温度制御を取り付けたベンチトップ走査型蛍光光度計(Flex Station,Molecular Devices)を使用して、96ウェルの様式で、[Ca2+]の相対レベルの指標として、二波長比率測定色素(Fura2)を使用した。
【0301】
5% Penstrep、5% Glutamax、200μg/ml ハイグロマイシン、5μg/ml ブラスチシド、および10% 熱不活性化FBSを含むDMEM培地の存在下で、PDLコーティングした96ウェル黒色壁プレートで、293細胞を増殖させた。アッセイの前に、細胞を、通常の生理食塩水溶液中の5μg/ml Fura2で37℃で40分間ロードした。次いで、細胞を通常の生理食塩水で洗浄して、色素を除去した。
【0302】
このアッセイは、2段階からなる;前処理フェーズおよびその後の処理フェーズ。
【0303】
50μlの化合物溶液を細胞に添加した(前処理)。続いて直ちに、生理食塩水中の50μlの試験化合物溶液(pH5.1)を添加した。Fura2を、相対的なカルシウム濃度を示すために、340nMおよび380nMで励起させた。4秒間の間隔で3分間にわたる実験の経過全体にわたって、波長変化の測定を行った。(試験化合物添加後のピークの蛍光比)−(前処理前の基底の蛍光比)として応答を測定し、そしてSoftMaxProソフトウェアを使用して計算した。以下のようにExcelを使用して計算した、阻害百分率としてデータを表した。
【0304】
【数1】

75%より大きい阻害百分率を有する全ての化合物をヒットとみなし、そしてより低濃度でsらなる研究のために目印を付けた。阻害百分率の値の相対強度は、表1に記載される。
【0305】
(実施例4)
(ホールセルパッチクランプ電気生理学)
脊髄神経節(DRG)ニューロンを、新生仔ラットまたは成体ラットのいずれかより回収し、そしてポリ−D−リジンコーティングしたガラスカバースリップ上にプレートした。プレートされたニューロンをチャンバ内に移して、コンピューター制御電磁弁ベースの灌流系を使用して、薬物溶液をこれら細胞に添加した。これらの細胞を、標準的なDICオプティックスを使用して画像化した。細く引き延ばした(finely−pulled)ガラス電極を使用して、細胞をパッチした。pCLAMP8ソフトウェアにより増幅制御されたAxon Instruments Multiclampを使用して、電圧クランプ電気生理学実験を実施した。
【0306】
細胞を、ホールセル電圧クランプに配置し、そして間隔無し(gap−free)記録モードにおいて膜電流をモニタリングする間、−80mVの電圧を掛けた。500nMのカプサイシンをコントロールとして30秒間加えた。30秒のカプサイシン適用の前に、(10〜1000nM)に及ぶ種々の濃度の試験化合物を、1分間細胞に添加した。コントロール実験と薬物ポジティブなカプサイシン実験との間の差異を使用して、各々の試験化合物の有効性を決定した。50%より大きいカプサイシン誘導電流を阻害した化合物を全て、ポジティブとみなした。化合物24および化合物18に関して得たデータを、以下の表2に記載する。図3は、カプサイシン誘導性カルシウムイオン流入を阻害することにおいて、試験したより高濃度(すなわち、50nM、100nMおよび250nM)での化合物18が有効性を増加することを実証する用量応答曲線を表す。同様に、図4は、カプサイシン誘導性カルシウム流入を阻害することにおいて、試験されたより高濃度(すなわち、20nM、40nMおよび100nMおよび200nM)での化合物24が有効性を増加することを実証する用量応答曲線を表す。
【0307】
【表2】

図1は、カプサイシン誘導電流を阻害することにおける、試験した化合物の活性を実証する。
【0308】
(実施例5)
(血漿の血管外遊出の研究;神経性炎症の測定)
TRPV1発現の密度は、炎症性状態の間に増強される。従って、TRPV1アンタゴニストを、3つの異なるモデルの炎症性疼痛(すなわち、血漿の血管外遊出、ポウリック(足舐め:paw lick)アッセイ、および熱痛覚過敏)において調査した。
【0309】
(方法)
Charles River,San Diego,CAより入手したSprague−Dawley雄ラットに、化合物18を投薬した。2時間後、これらにEvan’s Blue(10mg/kgまたは150μl)を注射した。静脈注射の30分後、100%エタノール中の25mM カプサイシンを10μl、その動物の左耳に適用し、その後10μlのビヒクル(100% EtOH)をそのマウスの右耳に適用した。15分後、この動物をCOを用いて屠殺した。各々の耳を外し、標識を付けたチューブ中に入れ、そして秤量した。次いで、この耳を55〜60℃で一晩乾燥させることにより、耳から色素を抜いた。翌日、250μlのホルムアミドを加え、そして55〜60℃で一晩放置した。
【0310】
Evans blueの標準曲線を最初に作成した(2.5mg/μl、5mg/μl、10mg/μl、20mg/μl、40mg/μlおよび80mg/μl)。サンプル(耳を有する)を少なくとも1分間スピンさせ、その後各々のサンプルのうちの100μlを適切なウェルに加えた。サンプルをSOFTmaxPROによりプレートホルダで分析した。標準曲線を作成するため標準品をグラフ化し、次いでこの標準曲線を使用して実験サンプルのEvans Blue濃度を推定した。
【0311】
(結果)
用量30mg/kgでの化合物18は、ラットにおいて、カプサイシン誘導性の血漿の管外遊出を有意にブロックする。図2は、組織1mg当たりのμgEB(Evans Blue)の結果を実証する。この結果は、送達ビヒクルHPBCD、ビヒクル中のコントロール化合物BCTC、ビヒクル中の2つの濃度の化合物18、およびビヒクル中のカプサイシン単独について表す。
【0312】
(実施例6)
(ポウリックアッセイ)
カプサイシンチャレンジに対する応答を阻害する化合物18の能力を試験するために、このアッセイを実施した。
【0313】
(方法)
動物を順応させ、少なくとも2日後、行動チャンバ(behavioral chamber)に1時間入れることにより試験した。試験当日、動物を30〜60分間訓練した後、投薬した。30mg/kgの化合物18を動物に投薬し、少なくとも30分後に試験し、次いで順応のための行動チャンバ中に入れた。次いで、動物をファルコンチューブレストレーナー(restrainer)に入れ、そして足の足底表面に0.16mg/mlのカプサイシン溶液(またはビヒクル)を注射した。次いで、動物を行動チャンバに戻し、そして続いて5分間隔にわたって足を舐める挙動についてモニタリングした(前足および後足を舐める挙動を含む)。
【0314】
(結果)
化合物18(30mg/kg)は、カプサイシンでの処置により誘導されるポウリック応答を有意に阻害した。図5は、送達ビヒクルが単独で投与される場合、カプサイシンが投与される場合、カプサイシンがコントロール化合物と共に投与される場合、およびカプサイシンが化合物18と共に投与される場合の、1秒当たりの足を舐める回数を実証する。
【0315】
(実施例7)
(熱痛覚過敏)
Charles River,San Diego,CAより入手したSprague−Dawley雄ラット150〜175gのものを購入し、そして試験前の少なくとも1週間維持した。動物をイソフルラン(isofluorane)麻酔にかけた間に、右腹側の後足に0.9%生理食塩水sub−Q中の2%カラゲナンを100μl注射することにより、疼痛を誘導した。次いで、1時間後に動物に異なる濃度の化合物18(3mg/kg、10mg/kgおよび30mg/kg)を投薬した。2時間後、20〜30分間試験チャンバ内で順応させた後、熱試験装置を使用して、足を引っ込めるまでの待ち時間に関して両後足について動物を試験した。10分間隔の実験で2〜3回の実験を行った。図6に実証されるように、30mg/kgでの化合物18の用量は足を引っ込めるまでの待ち時間を有意に増大させ、このことは熱痛覚過敏の逆転を実証した。この図は、基底における熱刺激からの動物が足を引っ込めるまでの時間、ならびに送達ビヒクルの投与の2時間後に熱刺激からの動物が足を引っ込めるまでの時間、コントロール化合物の投与の2時間後に熱刺激からの動物が足を引っ込めるまでの時間、および3つの濃度の化合物18の投与の2時間後に熱刺激からの動物が足を引っ込めるまでの時間を秒単位で示す。
【0316】
(実施例8)
(薬物動態学的プロフィール)
ラットにおける静脈内投与および経口投与に従って、化合物18の薬理動態学的プロフィールを評価した。Charles River,San Diego,CAより入手したSprague−Dawley雄ラットを24時間順応させた。
【0317】
1mg/kg用量でのIV投与のための濃度0.5mg/mL、および5mg/kg用量での経口投与のための濃度1mg/mLに、化合物18を処方した。全ての動物を投薬前に秤量した。それらの体重を使用して、各々の動物に対する実際の用量を計算した。頚静脈カテーテルを介して、1分未満のうちに静脈内用量を投与した。経口洗浄を介して全てのPOラットに投与した経口用量の容量は、1.5mLだった。
【0318】
IV投薬に関して、投薬前、ならびに投薬後t=2分、5分、15分、30分、60分、120分、180分、360分および480分に、頚動脈カテーテルを介してヘパリン処理済シリンジを使用して血液サンプルを収集した。PO投薬に関して、投薬前、ならびに投薬後t=5分、15分、30分、60分、120分、180分、360分および480分に、頚動脈カテーテルを介してヘパリン処理済シリンジを使用して血液サンプルを収集した。250μLの血液を各々の動物から各々の時点に採取した。等量の0.9%の通常の生理食塩水を置き換えて、乾燥を防いだ。血液サンプル全体を遠心分離まで氷上で保存した。血液サンプルを4℃で10分間14,000rpmで遠心分離し、そして上側の血漿層を清浄なバイアル中に移し、そして−80℃で保管した。
【0319】
この血漿を分析した。化合物18は、30.06%の経口バイオアベイラビリティ(%F)、3.71時間の半減期(t1/2)、0.53L/時間/Kgのクリアランス(Cl)、2.82L/Kgの分布容積(Vd)、180分のTmax、および1.75mMのCmaxを実証した。
【0320】
(実施例9)
(水溶性)
NaCl/HClのpH2.0の等張溶液およびpH7.4の水性緩衝液において、平衡溶解度を測定した。生理食塩水溶液をHClを使用してpH2.0に調節することによって、pH2.0の溶液を調製した。0.07MのNaHPO溶液のpHを10N NaOHを用いてpH7.4に調節することによって、pH7.4の緩衝液を調製した。各々の緩衝液は0.15のイオン強度を有した。少なくとも1mgの粉末を1mlの緩衝液と混合して、≧1mg/mlの混合物を作製した。このサンプルを≧2時間振とうし、そして室温で一晩静値しておいた。次いで、このサンプルを、サンプルで最初に染み込ませた0.45μmのナイロンシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を2回連続してサンプリングした。全てのサンプルを、電子スプレーイオン化を使用したLC/MSによりアッセイした。アッセイの代表的な範囲は、1mg/ml超〜0.0002mg/mL未満であり、分析感度に依存する。これらの結果はpH2.0における<0.0002mg/mlの溶解性、およびpH7.4における低溶解性を、実証した。
【0321】
水飽和した1−オクタノールとpH7.4の緩衝液との間での分配係数(Log(D))を、化合物18に関して決定した。0.07MのNaHPO溶液のpHを10N NaOHを用いてpH7.4に調節することによって、pH7.4の緩衝液を調製した。試験物品の10mM ストック溶液の15μLを、1−オクタノールおよびpH7.4の緩衝液の各々750μLを含む溶液試験管内に、二連でピペッティングして加えた。次いで、3μLの50mM テストステロンをまた、各々の管に加えた。次いで、これら管をベンチトップローテーターを使用して約1時間回転させた。回転の後、これら管を約1時間ベンチトップに静置して、層を分離させた。
【0322】
その後、400μLのオクタノール層(上層)を取り出し、そして試験管に入れた。次に400μLの水層(下層)を取り出し、そして試験管に入れた。次いで、希釈剤として50%メタノールを使用して、以下の系列希釈を各々の層から作製した:オクタノール−100×、1000×、および10,000×:水−1×、10×、および100×。次いで、これら100×希釈、1000×希釈および10,000×希釈のオクタノールサンプル、および未希釈、10×希釈、および100×希釈の水サンプルを、適切なバイアルに入れた。
【0323】
試験物品およびテストステロンの標準曲線を、50%メタノールを使用して以下の濃度において調製した:2μM、0.6μM、0.2μM、0.06μM、0.02μM、0.006μMおよび0.002μM。試験物品およびテストステロンの両方をLC/MSでモニタリングすることによって、これらサンプルを分析した。各々の相の最低希釈サンプルの計算された濃度を採用することによって、二連のサンプル各々についてLog(D)を計算した。このLog(D)は以下の公式を使用して標準曲線に当てはまった:Log(D)=Log10(有機相中の計算された濃度/水相中の計算された濃度)。これらの結果は、化合物18に関して、pH7.4でのLog(D)値が4.7より小さいことを実証した。
【0324】
(実施例10)
(血漿タンパク質結合の分析)
5,000分子量カットオフのメンブレン(Harvard/Amikaより)を、dHOでリンスし、次いでpH7.4のPBS(Gibcoより供給される)中に入れた。これらのメンブレンを1時間浸漬させた。試験物品のストックを、DMSO中の2mMのワルファリン、アトロピンと共にプールした。次いで、この試験物品を、クエン酸ナトリウム中のヒト血漿中、ラット血漿中およびマウス血漿中に、最終濃度10μM(0.5% DMSO v/v)で投薬した。次いで、予め浸漬したメンブレンを透析チャンバに入れた。500μLのPBSを一方のチャンバに加え、そして試験物品を含む500μLのマトリクスをもう一方のチャンバに加えた。
【0325】
次いで、これらのチャンバを、封をした加熱したロッカーに入れた。このロッカーを37℃に予め温め、そして少なくとも22時間平衡に到達させた。22時間後、両側よりサンプリングした。100μLのドナー側を500μLのPBSに加えた。100μLのPBS側を20μLの新鮮なマトリクスに加えた。次いで、サンプルを1:1のアセトニトリルで崩壊させ、そして10,000RPMで10分間遠心分離した。100μLの上清をアッセイのためにLC/MSバイアル中に入れた。
【0326】
1:5の血漿:PBS混合物中に5μM、1.5μM、0.5μM、0.15μM、0.05μM、0.015μM、および0.005μMの濃度で標準を調製した。これらサンプルおよび標準をHPLCバイアル中に入れ、そしてLC/MSにより分析した。タンパク質結合値を以下のように計算した:
%結合率=[(ドナー中の濃度−レシーバ中の濃度)/(ドナー中の濃度)]×100
%回収率=[(ドナー中の濃度+レシーバ中の濃度)]/(通常初期濃度)]×100。
【0327】
化合物18は、99.8%超の高いヒト血漿タンパク質結合を有した。ラット血漿およびマウス血漿における化合物18のタンパク質結合は、試験物品の低回収率に起因して確立し得なかった。
【0328】
(実施例11)
(シトクロムp450阻害評価)
試験化合物が5つの主要なヒトシトクロムp450アイソザイムを阻害する能力を評価した。Gentest P450阻害指示書に記載されるプロトコルに従って、シトクロムp450阻害アッセイを、96ウェルマイクロタイターアッセイプレート上で実施した。100μMの高濃度側より1:3の系列希釈で続く8つの濃度で、これらのアッセイを二連で実施した。100μLのコファクター/系列希釈ミックスに100μLの酵素/基質ミックスを添加することにより、反応を開始させ、そしてCYP3A4/DBFに対して、75μLの4:1 アセトニトリル:0.5M トリス塩基溶液の添加、または2N NaOHの添加によって、反応を終了させた。蛍光プレートリーダー(FLUOstar モデル403,BMG Lab Technologies,Durham,NC)を使用して蛍光を測定した。50%より大きい阻害を有する反応に対して、そのデータをソフトウェアGraphPad Prism(Version 4.02,GraphPad Software,San Diego,CA)を使用してHillの式に当てはめることによって、IC50値を決定した。
【0329】
公知のCYPインヒビターは、期待される様式でそれぞれのCYP酵素を阻害した。このことは、CYP酵素が活性で応答性であることを示唆する。化合物18は、試験した濃度範囲においては、2C9の活性、CYP2D6の活性およびCYP3A4の活性を大して阻害しなかった。この化合物18はCYP2C19の活性を阻害した。IC50値は26.85μMであると推定された。この化合物18はまた、推定IC50値97.45μMでCYP1A2の活性を阻害した。
【0330】
前述の記載より、本発明の組成物および方法における種々の改変および変更が当業者に浮かぶであろう。添付の特許請求の範囲の範囲内にある全てのこのような改変は、その範囲に含まれることが意図される。
【0331】
本明細書中に記載された全ての出版物(特許および特許出願を含むがこれらに限定されない)は、個々の出版物各々が全体的に記載されるように本明細書中で参考として援用されることを具体的かつ別個に示される場合、本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0332】
【図1】カプサイシン誘導性細胞内電流を阻害する、化合物18および化合物24の活性を実証するグラフ。VR1レセプターにおける化合物の機能活性は、ニューロン(例えば、脊髄神経節におけるニューロン(DRGニューロン))において細胞内カルシウムレベルの変化を測定することによって、決定され得る。
【図2】用量30mg/kgでの化合物18が、ラットにおいてカプサイシン誘導性の血漿の血管外遊出を有意にブロックすることを示すグラフ。これらの結果は、組織1mgあたりのμgEBで表される。これらの結果は、送達ビヒクルHPBCD、送達ビヒクル中のコントロール化合物BCTC、送達ビヒクル中の2つの濃度での化合物18、および送達ビヒクル中のカプサイシン単独について表される。
【図3】カプサイシン誘導性カルシウムイオン流入を阻害することについての、試験されたより高い濃度(すなわち、50nM、100nMおよび250nM)での化合物18の増大効果を実証する、用量応答曲線。
【図4】カプサイシン誘導性カルシウム流入を阻害することについての、試験されたより高い濃度(すなわち、20nM、40nMおよび100nMおよび200nM)での化合物24の増大効果を実証する、用量応答曲線。
【図5】患部領域に対して、送達ビヒクルが単独で投与される場合、カプサイシンが投与される場合、カプサイシンがコントロール化合物と共に投与される場合、そしてカプサイシンが化合物18と共に投与される場合の、1秒当たりの、試験被験体が足を舐める回数。
【図6】30mg/kgでの化合物18の用量が、後足を引っ込めるまでの待ち時間を有意に増加させることを実証するグラフであり、これは熱痛覚過敏の逆転を示す。この図は、基底状態、ならびに送達ビヒクルの投与の2時間後、コントロール化合物の投与の2時間後、3つの濃度の化合物18の投与の2時間後の、動物が熱刺激から引っ込めるまでの時間を秒単位で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビボでイオンチャネルを変更し得る化合物であって、以下の式:
【化1】

を有する化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびその立体異性体であって、ここで:
Aは、N、CR、Lと結合した炭素原子であるか、または原子でなく;
Aが原子でない場合、W、Z、B、YおよびXのうちの1つがLと結合した炭素原子であり、W、Z、B、YおよびXのうちの別の1つがGと結合した炭素原子であり、そしてW、Z、B、YおよびXのうちの残りの各々が独立してNまたはCRであり;
Lは、結合、または−(CH−であり、ここでnは1〜3の整数であり;
Gは、C=O、C=SまたはSOであり;
は、置換または非置換の脂肪族、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアラルキル、または置換または非置換のヘテロアラルキルであり;
は、水素であるか、または置換もしくは非置換のアルキルであり;
は、置換もしくは非置換の脂肪族、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のアラルキル、または置換もしくは非置換のヘテロアラルキルであり;そして
各々のRは、独立して、水素、アルキル、置換もしくは非置換のアルキル、アシル、アシルアミノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアリールアミノ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アリール、アリールアルキル、スルホキシド、スルホン、スルファニル、アミノスルホニル、アリールスルホニル、硫酸、硫酸エステル、ヒジドロキシホスホリル、アミノヒドロキシホスホリル、アジド、カルボキシ、カルバモイル、カルボキシル、シアノ、シクロヘテロアルキル、ジアルキルアミノ、ハロ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアルキル、ヒドロキシル、ニトロ、またはチオである、化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ、およびその立体異性体。
【請求項2】
前記化合物が、式:
【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項2に記載の化合物であって、ここで;
Lは結合であり;
GはC=Oであり;
は置換されたアリールまたは置換されたヘテロアリールであり;
は水素であり;
は置換されたヘテロアリールである、化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、ここでRは、式:
【化3】

であり;ここでRは、請求項1に記載されるとおりであり;nは1〜3の整数であり;そしてAは、ハロゲンまたはトリハロアルキルである、化合物。
【請求項5】
W、X、YおよびZのうちの各々がCRである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
W、X、YおよびZのうちの各々が、独立して、C−H、C−ハロゲンおよびC−アルコキシから選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
W、X、YおよびZのうちの少なくとも1つがC−ハロゲンまたはC−アルコキシである、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
W、X、YおよびZのうちの少なくとも1つがC−フルオロまたはC−メトキシである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、置換されたフェニルである、請求項6〜8のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、置換または非置換のナフチルである、請求項6〜8のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項9に記載の化合物であって、ここで、該化合物は、以下の式:
【化4】

であり、ここで、R1’が、シアノ、トリフルオロアルキル、ハロ、ニトロ、メトキシ、トリルフオロメトキシ、アミノ、アルキルアミノおよびカルボキシからなる群より選択され;xは1〜5より選択される、化合物。
【請求項12】
AがClである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
xが1である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
1’が4−トリフルオロメチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
請求項14に記載の化合物であって、該化合物は、以下の式:
【化5】

である、化合物。
【請求項16】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が24、25、26または27ある、請求項9に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項17】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、2、3、5、12、18、20、21、22、26、28、43、44、45、56、57、69、71、74、79、83、84、86、107もしくは109である、請求項9に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項18】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、11、13、15、16、23、54、67、114、116、118、119、122、124、125、127、128、132、134、135、165、166、170、172、173、175、176、177、178、183、189、190、192、193、194、195、196、199、201、204、206、210、212、213、214、240、242、246、247、248、250、252、253、254、256、258、259、260、261、265、269、271、274、276、277、278、279、281もしくは284である、請求項9に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項19】
AがCFである、請求項9に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、354、355、356、357、358、359、361、362、363、364、365、366、372、373、374、375、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、395、396、397もしくは398である、請求項19に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項21】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、366もしくは389である、請求項19に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項22】
が、置換または非置換のヘテロアリールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項23】
前記ヘテロアリールがピリミジニル、チアゾリルおよびピラゾリルからなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
前記ヘテロアリールが2−ピリジルまたは3−ピリジルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項25】
W、X、YおよびZのうちの少なくとも1つがC−フルオロまたはC−メトキシである、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記ヘテロアリールが4−ピリジルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項27】
前記ヘテロアリール上の置換基が、水素、アルキル、トリフルオロメチル、ハロ、メトキシ、トリフルオロメトキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される、請求項22〜26のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
前記ヘテロアリール上の置換基が、tert−ブチル、シアノ、トリフルオロアルキル、ハロ、ニトロ、メトキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される、請求項22〜26のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が表1のものであり、そして該化合物の識別番号が、7、8、9、30、31、32、33、35、37、38、48、49、62、63、95、97、98、101、103、106、139、140、145、149、152、153、156、158、217、218、219、223、225、226、230、231、232、235である、請求項22に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項30】
前記ヘテロアリールが、キノリン、ベンゾジオキサン、テトラヒドロキノリン、インドール、インダゾールおよびカルバゾールからなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項31】
前記ヘテロアリールが、ベンゾジオキサンおよびカルバゾールからなる群より選択される、請求項22に記載の化合物。
【請求項32】
前記ヘテロアリール上の置換基が、水素、置換もしくは非置換のアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリハロアルキル、アルコキシおよびジアルキルアミノからなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項33】
前記ヘテロアリール上の置換基が、tert−ブチル、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、ニトロ、メトキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項34】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、1、36もしくは55である、請求項22に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項35】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、156、160、186、233、234、236、273もしくは287である、請求項22に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項36】
YがNであり、そしてW、XおよびZのうちの各々がCRである、請求項4に記載の化合物。
【請求項37】
W、XおよびZのうちの各々がC−H、C−ハロゲンおよびC−アルコキシから選択される、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
請求項36に記載の化合物であって、ここで、該化合物が式:
【化6】

のものであり、ここでRが置換もしくは非置換のアリール、または置換もしくは非置換のヘテロアリールである、化合物。
【請求項39】
請求項38に記載の化合物であって、ここでアリールまたはヘテロアリール上の置換基が、水素、置換もしくは非置換のアルキル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリハロアルキル、アルコキシおよびジアルキルアミノから選択される、化合物。
【請求項40】
前記アリールまたはヘテロアリール上の置換が、tert−ブチル、シアノ、トリフルオロメチル、ハロ、ニトロ、アルコキシ、アミノおよびカルボキシからなる群より選択される、請求項39に記載の化合物。
【請求項41】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、289、292、297、299、302、303、308、311、312、313、317、318、319、324、325、326、327、328、331、332、338、339、340、341、343、344、345、346もしくは347である、請求項36に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項42】
請求項1に記載の化合物であって、ここで、Rは、以下:
【化7】

で置換された、脂肪族、アルキル、へテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキルまたはヘテロアルキルであり;ここで環Pは、シクロヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールである、化合物。
【請求項43】
請求項42に記載の化合物であって、ここでLは結合であり;GはC=Oであり;Rは水素である、化合物。
【請求項44】
請求項43に記載の化合物であって、ここでRは、以下:
【化8】

で置換されたアリールまたはヘテロアリールであり、ここで環Pは、シクロヘテロアルキル、置換されたシクロヘテロアルキル、ヘテロアリールまたは置換されたヘテロアリールである、化合物。
【請求項45】
前記化合物が、式:
【化9】

である、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
前記環Pが、置換もしくは非置換の以下:
【化10】

から選択され、ここでR2’が、HおよびR1から選択されて、そしてR1が置換または非置換のアルキルである、請求項42〜45のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
式:
【化11】

を有する請求項46に記載の化合物であって、ここでAは、Cl、F、OMe、NMe、CFまたはSOMeである、化合物。
【請求項48】
前記化合物が表1のものであり、そしてここで該化合物の識別番号が、400、401、402もしくは403である、請求項44に記載の化合物、またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物もしくはプロドラッグ;およびその立体異性体。
【請求項49】
Lが結合であり、そしてRが部分Rによりx回ピリジル置換されており;ここでxは0〜4の整数を表し、そしてRは独立して、置換もしくは非置換のアルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項50】
式(IB):
【化12】

の請求項1に記載の化合物であって、ここで、Rは独立して、置換もしくは非置換のアルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキシから選択され;ここでxは0〜4の整数である、化合物。
【請求項51】
式(IC):
【化13】

の請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
GがC=Oを表す、請求項49〜51のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項53】
がHを表す、請求項49〜52のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
が置換もしくは非置換のアリールである、請求項49〜53のうちのいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
が置換もしくは非置換のフェニルである、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
薬学的に受容可能なキャリアおよび請求項1〜55のいずれかに記載の化合物の薬学的有効量を含む、薬学的組成物。
【請求項57】
前記キャリアが非経口性キャリアである、請求項56に記載の薬学的組成物。
【請求項58】
前記キャリアが経口性キャリアである、請求項56に記載の薬学的組成物。
【請求項59】
前記キャリアが局所性キャリアである、請求項56に記載の薬学的組成物。
【請求項60】
疾患または状態を予防、処置、緩和または管理するための方法であって、該方法は、このような予防、処置、緩和または管理を必要とする患者に、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物の予防有効量もしくは治療有効量、または請求項56〜59のいずれかに記載の薬学的組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項61】
前記疾患または状態が疼痛状態である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記疾患または状態が自己免疫疾患である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記疾患または状態が炎症性疾患または炎症性状態である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患または状態が神経性疾患もしくは神経性状態、または神経変性疾患もしくは神経変性状態である、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
疾患または状態を予防、処置、緩和または管理するための方法であって、該方法は、このような予防、処置、緩和または管理を必要とする患者に、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物の予防上受容可能な量もしくは治療有効量、または請求項56〜59のいずれかに記載の薬学的組成物を投与する工程を包含し、ここで該疾患または状態が:疼痛(急性疼痛、炎症性疼痛およびニューロパシー性疼痛を含む);慢性疼痛;歯痛;頭痛(偏頭痛、群発性頭痛、および緊張性頭痛を含む);パーキンソン病;アルツハイマー病;多発性硬化症;神経性炎症、外傷性脳損傷、発作または脳炎により媒介されるかまたは神経性炎症、外傷性脳損傷、発作または脳炎を生じる疾患および障害;中心性に媒介される神経性精神医学的疾患および障害(鬱病、躁病、双極性疾患、不安、統合失調症、摂食障害、睡眠障害、および認識障害を含む);癲癇障害および痙攣障害;前立腺不全、膀胱不全および腸不全、尿失禁、排尿躊躇、直腸過敏症、便失禁、良性前立腺肥大および炎症性腸疾患;呼吸性および気道性の疾患および障害(アレルギー性鼻炎、喘息ならびに反応性気道疾患および慢性閉塞性肺疾患を含む);炎症により媒介されるかまたは炎症を生じる疾患または障害(関節炎、慢性関節リウマチおよび変形性関節症を含む);心筋梗塞;自己免疫疾患および自己免疫障害;ブドウ膜炎およびアテローム性硬化症;痒み/掻痒;乾癬;脱毛症(毛髪消失);肥満;脂質障害;癌;高血圧;脊髄損傷;または腎臓障害である、方法。
【請求項66】
前記疾患または状態がパーキンソン病である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記疾患または状態がアルツハイマー病である、請求項65に記載の方法。。
【請求項68】
前記疾患または状態が外傷性脳損傷である、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記疾患または状態が発作である、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記疾患または状態が疼痛である、請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記疾患または状態がニューロパシー性疼痛である、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
請求項1〜55のいずれかに記載の化合物を調製するための方法であって、該方法は、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物を生成するのに十分な条件下で、式R−L−Cy−COClの化合物または式R−L−Cy−SOClの化合物と、式RNHの化合物とを接触させる工程を包含し、ここでCyはアリールまたヘテロアリールである、方法。
【請求項73】
カプサイシンへの曝露の症状、熱への曝露に起因する火傷または刺激の症状、光への曝露に起因する火傷または刺激の症状、火傷の症状、催涙ガスへの曝露に起因する気管支収縮または刺激、および酸への曝露に起因する火傷または曝露刺激の症状からなる群より選択される少なくとも1つの症状に罹患した哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物の疾患処置有効量もしくは状態処置有効量、または請求項56〜59のいずれかに記載の薬学的組成物を該哺乳動物に投与する工程を包含する、方法。
【請求項74】
前記疼痛が、乳房切除術後の疼痛症候群、断端疼痛、幻想肢痛、咽頭ニューロパシー性疼痛、シャルコー疼痛、歯痛、毒蛇の咬傷、蜘蛛の咬傷、虫刺され、疱疹後の神経痛、糖尿病性ニューロパシー、反射性交感神経性ジストロフィ、三叉神経痛、変形性関節症、慢性関節リウマチ、線維筋痛症、ギラン−バレー症候群、感覚異常性大腿神経痛、口内焼灼感症候群、両側性末梢ニューロパシー、カウザルギー、坐骨神経炎、末梢神経炎、多発性神経炎、分節性神経炎、ゴンボー神経炎、ニューロン炎、頚腕神経痛、頭側神経痛、膝神経痛、舌咽頭筋神経痛、偏頭痛性神経痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、顎関節神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅色神経痛、スラダー神経痛、脾臓口蓋神経痛、眼窩上神経痛、ヴィディウス神経痛、洞頭痛、緊張頭痛、分娩、出産、腸管ガス、月経、癌および外傷からなる群より選択される状態と関係した、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
医薬品としての使用のための、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物。
【請求項76】
請求項61〜71、73または74のいずれか1項に記載の状態の処置のための医薬品としての使用のための、請求項1〜55のいずれか記載の化合物。
【請求項77】
請求項61〜71、73または74のいずれか1項に記載の状態の処置のための医薬の調製における、請求項1〜55のいずれかに記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−525482(P2007−525482A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534432(P2006−534432)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033403
【国際公開番号】WO2005/032493
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(505140384)レノビス, インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】